(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
G07F 5/22 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G07F5/22 Y
(21)【出願番号】P 2021017384
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒徳 拓弥
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-157658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を販売する自動販売機であって、
インターネット接続を行うインターネット接続通信部と、
1以上の特定の無線通信手段に対する無線通信接続を行う無線通信部と、
前記無線通信部を介し、外部の無線通信機器による前記インターネット接続通信部の外部利用時に予め登録した外部利用識別情報の認証処理を行って前記外部利用の許可を判定する認証許可判定部と、
許可された前記外部利用と前記商品の販売に関する前記インターネット接続通信部の内部使用との優先順位をもとに前記インターネット接続通信部の利用制御を行う利用制御部と、
を備えたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記外部利用の優先順位は、商品の販売処理の内部
使用より低くし、自動販売機自体の商品販売管理処理の内部
使用より高くすることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記無線通信部は、近距離無線通信部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記インターネット接続通信部の外部利用の際、前記外部の無線通信機器が送受信する情報をモニタして取得する情報取得部を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の自動販売機。
【請求項5】
前記インターネット接続通信部の外部利用の条件及び料金は予め設定することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項6】
前記料金の支払いは、自動販売機の金銭処理機構を用いて行うことが可能であることを特徴とする請求項5に記載の自動販売機。
【請求項7】
前記料金は、前記商品の購入により割り引きし、あるいは無料とすることを特徴とする請求項5又は6に記載の自動販売機。
【請求項8】
自動販売機前面に前記外部利用が可能である旨を表示する案内表示部を備えたことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機のインターネット接続機能を外部の無線通信機器が利用することができる自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動販売機は、ローカルエリアネットワーク無線通信機能のみならず、インターネット接続機能を有してインターネットに接続され、自動販売機の売上データなどを管理サーバ側に送信するようにしている。
【0003】
一方、レンタル自転車などもローカルエリアネットワーク無線通信機能を有し、利用者の携帯端末を用いてインターネット接続し、レンタル自転車の管理サーバにアクセスして利用許可を得るようにしている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、レンタル自転車の利用者は、自己の携帯端末を利用するため、利用者にインターネット接続利用の料金負担がかかることになる。また、インターネット接続時には稼動情報や保守情報などの利用者にとって利用価値のないデータも含まれ、データ量が膨大なものとなる場合が多い。この利用者の料金負担を軽減するためには、レンタル自転車にインターネット接続機能を持たせる必要があるが、インターネット接続機能を持たせるとレンタル自転車の事業者側にコストがかかることになる。
【0006】
このような事情は、レンタル自転車などの移動体(電動を含むレンタル自動車、レンタルバイク)の無線通信機器に限らず、近距離無線通信機能のみを有するパーソナルコンピュータなどの無線通信機器、公共物(橋、電柱、電灯、信号等)の点検情報、稼動情報、保守情報などを送信する無線通信機器、農業施設などの各種施設のセンサ情報を送信する無線通信機器にも言えることであり、これらの無線通信機器にインターネット接続機能を設けるとコストが増大してしまうという課題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、自動販売機のインターネット接続機能を外部の無線通信機器が利用することができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、商品を販売する自動販売機であって、インターネット接続を行うインターネット接続通信部と、1以上の特定の無線通信手段に対する無線通信接続を行う無線通信部と、前記無線通信部を介し、外部の無線通信機器による前記インターネット接続通信部の外部利用時に予め登録した外部利用識別情報の認証処理を行って前記外部利用の許可を判定する認証許可判定部と、許可された前記外部利用と前記商品の販売に関する前記インターネット接続通信部の内部使用との優先順位をもとに前記インターネット接続通信部の利用制御を行う利用制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記外部利用の優先順位は、商品の販売処理の内部使用より低くし、自動販売機自体の商品販売管理処理の内部使用より高くすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記無線通信部は、近距離無線通信部であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記インターネット接続通信部の外部利用の際、前記外部の無線通信機器が送受信する情報をモニタして取得する情報取得部を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記インターネット接続通信部の外部利用の条件及び料金は予め設定することが可能であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記料金の支払いは、自動販売機の金銭処理機構を用いて行うことが可能であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記料金は、前記商品の購入により割り引きし、あるいは無料とすることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、自動販売機前面に前記外部利用が可能である旨を表示する案内表示部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、外部の無線通信機器が自動販売機のインターネット接続機能を利用することができるので、外部の無線通信機器にインターネット接続機能を設ける必要がないので、外部の無線通信機器のコスト増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機を含む自動販売機システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、自動販売機を含む自動販売機システムの制御系の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、自動販売機による無線端末のインターネット接続利用制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0019】
<自動販売機の構成>
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機1を含む自動販売機システム100の構成を示す模式図である。また、
図2は、自動販売機1を含む自動販売機システム100の制御系の構成を示すブロック図である。なお、
図2に示すように、自動販売機システム100は、インターネットNを介して、自動販売機1、自動販売機管理サーバ2a、決済サーバ2b、レンタル管理サーバ2cが接続される。また、自動販売機1と無線端末4とは直接、無線接続が可能である。なお、この自動販売機1は、自動販売機の一例であり、例えば缶入り飲料、ビン入り飲料、ペットボトル入り飲料などの商品を販売する自動販売機であるが、カップ式自動販売機などの各種商品を販売するものであってもよい。また、無線端末4は、レンタル自転車101に搭載される装置であり、レンタルが許容される場合に鍵4aを解錠する。
【0020】
図1に示すように、自動販売機1は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料などの商品を冷やした状態または温めた状態で販売するもので、本体キャビネット1aの前面開口を閉塞する外扉1bが配置される。
【0021】
外扉1bの前面右側中程には、ポップアップハンドル111が設けてある。ポップアップハンドル111は、外扉1bを閉塞した状態で施錠するためのものである。自動販売機1は、外扉1bを閉塞した状態でポップアップハンドル111を押し込むことにより施錠され、解錠操作するとポップアップハンドル111がポップアップ(突出)することにより、外扉1bの開放操作が可能となる。
【0022】
また、外扉1bの前面上部域には、展示室112が設けてある。展示室112は、自動販売機1が販売する商品の商品見本Dを展示するためのものである。展示室112は、外扉1bの後方側に開閉可能に取り付けられた中扉と外扉1bの前面側に嵌め込んだ透明な電照板114とにより画成され、利用者が自動販売機1の前面側から展示室112の内部を視認可能である。
【0023】
展示室112の内部には、商品を展示するためのステージ115が上下方向に三つ並べて設置してあり、それぞれのステージ115において商品見本Dが横並びに展示される。
【0024】
商品選択ボタン23は、商品を選択するためのもので、商品見本Dと対応するように、複数の商品選択ボタン23を備えている。なお、各商品選択ボタン23は、LED表示が可能であり、投入金額に対して商品購入が可能な商品に対応する場合、点灯表示される。また、商品選択ボタン23は、キャッシュレス決済の場合、商品選択ボタン23の押下に連動して点灯表示される。
【0025】
また、展示室112の下方となる外扉1bの中程には、硬貨投入口51、紙幣挿入口53、表示部24、返却レバー52、電子マネーリーダライタ36、インターネット支払ボタン25、及び、案内表示部26が設けてある。
【0026】
硬貨投入口51は、硬貨を受け付けるための開口である。硬貨投入口51から投入された硬貨は、外扉1bの内側に搭載したコインメカニズム(硬貨処理装置)33に収容される。コインメカニズム33は、各種硬貨の投入枚数を整理し、後述する自動販売機主制御部10に送信する一方、この自動販売機主制御部10からの指令に従い、各種硬貨を払い出すものである。なお、コインメカニズム33には、硬貨の真贋及び金種を識別する金銭識別機能を有する。
【0027】
紙幣挿入口53は、紙幣を受け付けるための開口である。紙幣挿入口53から挿入された紙幣は、外扉1bの内側に搭載したビルバリデータ(紙幣処理装置)34に収容される。ビルバリデータ34は、紙幣の投入枚数を整理し、自動販売機主制御部10に送信する一方、この自動販売機主制御部10からの指令に従い、紙幣を払い出すものである。なお、ビルバリデータ34は、紙幣の真贋及び金種を識別する金銭識別機能を有する。
【0028】
電子マネーリーダライタ36は、電子マネーカードにチャージされた電子マネーを読み込みむとともに、決済後の電子マネーを書き込む処理を行う。また、電子マネーリーダライタ36は、電子マネーカードに釣銭分の電子マネーをチャージする書き込み処理を行う。電子マネーリーダライタ36は、電子マネーカードを検出するとともに電子マネーカードの有効無効や種別を識別する電子マネー識別機能を有する。
【0029】
表示部24は、販売中、釣り切れ、準備中、お札中止のほか、投入金額、インターネット利用料金、各種設定時の情報等の各種情報を表示するためのものである。
【0030】
返却レバー52は、取引の中断を指示するためのもので、返却レバー52が操作されると、取引が中断され、コインメカニズム33から硬貨返却口63に釣銭等が放出され、ビルバリデータ34から紙幣挿入口53に紙幣が返却される。
【0031】
インターネット支払ボタン25は、無線端末4が利用したインターネット利用料金を現金あるいは電子マネーカードで支払う場合に押下するボタンである。このインターネット支払ボタン25を押下すると、直前に利用したインターネット利用料金が表示部24に表示される。なお、インターネット支払ボタン25は、1つの商品選択ボタン23により実現してもよい。この場合、商品選択ボタン23の上部に、インターネットの料金支払いのボタンである旨を表示することが好ましい。
【0032】
案内表示部26は、無線端末4が自動販売機1のインターネット接続通信部21を利用してインターネット接続が可能である旨を表示する。案内表示部26は、例えば、「インターネット利用できます」などが表示されたラベルを自動販売機前面に表示する。案内表示部26は、液晶表示などの電子画像表示であってもよい。また、自動販売機前面のほとんどが電子画像表示するデジタルサイネージディスプレイである場合、その画面の一部に案内表示部を設けてもよい。さらに、自動販売機1の側面、あるいは自動販売機1の全周に案内表示部26を設けてもよい。また、案内表示部26は、自動販売機1に近接あるいは隣接して配置してもよい。
【0033】
また、外扉1bの下方となる位置には、取出口62が設けてある。取出口62は、商品収納ラックから搬出された商品を取り出すための開口である。
【0034】
<自動販売機の制御系>
図2に示すように、自動販売機1は、自動販売機主制御部10を有し、自動販売機主制御部10には、通信制御ユニット20、本体制御部30、冷熱装置31、搬出装置32、コインメカニズム33、ビルバリデータ34、電子マネーリーダライタ36、商品選択ボタン23、表示部24、インターネット支払ボタン25が接続される。
【0035】
通信制御ユニット20は、インターネット接続通信部21及び近距離無線通信部22を有する。インターネット接続通信部21は、例えば、3G、LTE(登録商標)、4G、5Gなどの通信方式により、セルラー通信網を介してインターネットNに接続する通信インタフェースである。近距離無線通信部22は、無線端末4と近距離無線通信を行う通信インタフェースである。近距離無線通信部22は、1以上の特定の無線通信プロトコルなどの無線通信手段に対する無線通信接続を行う無線通信部として機能する。近距離無線通信は、WiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)、特に低消費電力の観点からBLE(Bluetooth Low Energy)通信を用いている。なお、近距離無線通信部22は、無線通信部の一例であり、近距離無線通信以外のLPWA(Low Power Wide Area)の無線通信手段やローカル5Gなどの無線通信手段を接続する無線通信部であってもよい。また、無線通信手段は、近距離無線通信及び近距離無線通信以外の無線通信の無線通信接続が可能であってもよい。また、無線通信手段は、形態として、ローカルエリアネットワーク無線通信機能であってもよい。
【0036】
本体制御部30には、冷熱装置31、搬出装置32が接続される。本体制御部30は、自動販売機主制御部10の制御のもと、冷熱装置31、搬出装置32を制御する。
【0037】
冷熱装置31は、本体キャビネット内の商品収納庫を設定された状態に管理するためのものである。冷熱装置31は、冷却設定された商品収納庫の内部を冷却する一方、加温設定された商品収納庫の内部を加温する。
【0038】
搬出装置32は、ラックごとに設けられたベンドソレノイド、売切スイッチを管理するためのものである。本体制御部30は、自動販売機主制御部10から送信された搬出命令に従ってラックから商品を搬出する。また、搬出装置32は、ラックに収納された商品のすべてを搬出した場合に売切信号を本体制御部30に出力する。
【0039】
コインメカニズム33、ビルバリデータ34、電子マネーリーダライタ36、商品選択ボタン23、表示部24、及び、インターネット支払ボタン25は、上記において説明したので説明を省略する。
【0040】
自動販売機主制御部10は、販売制御部11、認証許可判定部12、利用制御部13、情報取得部14、及び、記憶部15を有する。販売制御部11は、商品選択ボタン23によって選択された商品の払い出し、決済処理等の販売処理を行う。また、自動販売機主制御部10は、インターネット接続通信部21を介して自動販売機管理サーバ2aとの間で、売上データ、設定データなどの通知やダウンロードを行う。なお、販売制御部11は、商品購入者の無線端末4と通信接続することによって、購入した商品の決済を、決済サーバ2bを介して行うことができる。なお、QRコード(登録商標)などの図形化コードの読取を行い、決済サーバ2bを介して購入商品の決済を行うようにしてもよい。
【0041】
認証許可判定部12は、近距離無線通信部22を介し、外部の無線端末4によるインターネット接続通信部21の外部利用時に予め登録した外部利用識別情報D1,D2の認証処理を行って外部利用の許可を判定する。なお、外部利用識別情報D1は、自動販売機1の記憶部15に登録されており、外部利用識別情報D2は、無線端末4の記憶部43に登録されている。なお、外部利用識別情報D1は、レンタル管理サーバ2c側に登録しておいてもよい。
【0042】
利用制御部13は、許可された無線端末4によるインターネット接続通信部21の外部利用と、自動販売機1による商品の販売に関するインターネット接続通信部21の内部使用との優先順位D10をもとにインターネット接続通信部21の利用制御を行う。優先順位D10は、記憶部15に記憶されており、例えば、外部利用の優先順位は、商品の販売処理の内部使用より低くし、自動販売機自体の売上データの送信などの商品販売管理処理の内部使用より高くする。商品の販売処理の内部使用の場合、自動販売機1の本来の商品販売処理を最優先するためであり、自動販売機1の売上データなど内部使用の優先順位を低くしたのは、売上データは1日単位で自動販売機管理サーバ2aにアップロードすればよく、リアルタイム性が要求されないからである。
【0043】
利用制御部13は、予め無線端末4と契約した利用契約情報D11をもとに、無線端末4によるインターネット接続通信部21の利用条件及び利用料金を決定する。利用条件には、例えば、一時的な利用、一定データ容量の利用、利用料金は、利用の都度、請求してもよいし、予め通信回数、通信時間、通信容量を購入するようにしてもよい。また、月額、年額一定料金としてもよい。さらには、後述するデータ送受信の情報取得を前提として利用料金を無料としてもよい。また、広告を行うことによって利用料金を無料としてもよい。さらには、自動販売機の商品購入により利用料金を割り引きしたり、利用料金を無料としてもよい。また、利用料金は、自動販売機1の金銭処理機構を用いて現金で支払ってもよいし、決済サーバ2bを介して支払ってもよい。現金で支払う場合、上記のように、インターネット支払ボタン25を押下する。なお、外部利用の情報は、利用情報D12として記憶される。
【0044】
情報取得部14は、利用契約情報D11により外部利用による送受信データの取得が可能である場合、送受信データをモニタして取得し、取得情報D13として記憶し、その後、売上データなどとともに、自動販売機管理サーバ2aにアップロードする。取得する送受信データは、例えば、外部利用の利用種別、利用者の年齢、性別、利用時間などの他に、振動、加速度、温度、湿度、磁気、照度、気圧、音圧、位置などのセンシング情報である。
【0045】
センシング情報とは、橋、電柱、電灯、信号などの公共物(社会インフラ)、スマートハウス、農業、環境、ヘルスケア、医療、産業、物流、公共インフラ(水道メータやガスメータ)、エネルギー、スマートビル、スマートシティ、スマートパーキング、位置検知、コンシューマー製品などに関連して設けられた無線端末が送受信するデータである。これらのセンシング情報は、設定した時間間隔で定期的に送信され、あるいは、所定の閾値を超えた場合に通知される。また、このセンシング情報には、罠の作動状況、LPガスや水道の検針データ、ひとり暮らし世帯の見守り、駐車場の空車状況管理、盗難自転車の位置などのデータも含まれる。
【0046】
なお、センシング情報は複数の無線端末4がメッシュネットワークとして接続されている場合があり、この場合、メッシュネットワークを構成する1つの無線端末4と自動販売機1とが無線通信接続されればよい。
【0047】
<無線端末の制御系>
図2に示すように、無線端末4は、操作表示部41、近距離無線通信部42、記憶部43及び制御部44を有する。操作表示部41は、例えばタッチパネル式の液晶表示デバイスであり、各種データの操作入力及び各種データの表示出力、例えば、外部利用によるレンタル自転車101の利用アプリの操作画面などの表示を行う入出力インタフェースである。近距離無線通信部42は、無線通信手段の一例であり、例えば、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)などの通信方式を用いて自動販売機1と近距離無線通信接続を行う通信インタフェースである。記憶部43は、外部利用識別情報D2を記憶している。
【0048】
制御部44は、無線端末4全体を制御する制御部であり、レンタル自転車101の利用許可を得た場合、鍵4aを解錠する。また、制御部44は、決済アプリを有し、自動販売機1を介して決済サーバ2bにアクセスし、レンタル自転車101の利用料金の決済を行う。
【0049】
<インターネット接続利用制御処理>
図3は、自動販売機1による無線端末4のインターネット接続利用制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、まず、自動販売機1は、無線端末4との近距離無線通信接続処理を行う(ステップS110)。その後、無線端末4から送られた外部利用識別情報D2が外部利用識別情報D1として登録されているかを認証し、外部利用が正当であるか否かを判定する(ステップS120)。外部利用が正当でない場合(ステップS120:No)には本処理を終了し、外部利用が正当である場合(ステップS120:Yes)には、さらに、現時点で外部利用の優先順位は最高位であるか否かを判定する(ステップS130)。
【0050】
現時点で外部利用の優先順位は最高位でない場合(ステップS130:No)、所定時間経過したか否かを判定する(ステップS140)。所定時間経過しない場合(ステップS140:No)には、ステップS130に移行して優先順位の判定を繰り返す。一方、所定時間経過した場合(ステップS140:Yes)には、本処理を終了する。なお、所定時間は、外部利用よりも優先順位が高い内部使用が存在し、処理が終了する時間に対応する時間であるが、無線端末4による外部利用あるいは外部利用する送受信データを一時記憶し、優先順位の高い処理が終了した時点で外部利用の処理あるいは外部利用する送受信データを送受信するようにしてもよい。
【0051】
一方、現時点で外部利用の優先順位は最高位である場合(ステップS130:Yes)、外部利用によるインターネット接続処理を行う(ステップS150)。そして、無線端末4によるデータ送受信を行う(ステップS160)。また、この送受信データをモニタし、モニタした送受信データを取得する(ステップS170)。
【0052】
その後、インターネット接続の切断があったか否かを判定する(ステップS180)。インターネット接続の切断がない場合(ステップS180:No)、ステップS160に移行して、データ送受信及びデータ取得の処理を行う。一方、インターネット接続の切断があった場合(ステップS180:Yes)には、利用情報D12を記憶し(ステップS190)、利用料金の支払い処理を行って(ステップS200)、本処理を終了する。
【0053】
本実施の形態では、全国に多数分散配置された自動販売機1の設置状況を有効利用し、インターネット接続機能を有しない無線端末4が自動販売機のインターネット接続機構を利用してインターネット接続することができるため、無線端末4にインターネット接続機能を設ける必要がなく、無線端末4のコスト低減を図ることができる。
【0054】
また、無線端末4は、自動販売機1のインターネット接続機能をインターネット接続のゲートウェイとして利用するため、無線端末4が設置されたレンタル移動体などの利用者は、自己の携帯端末を利用する必要がないため、利用者にかかる料金負担を軽減することができる。
【0055】
さらに、レンタル移動体の場合、自動販売機の近傍がレンタル移動体の駐車場となり、その駐車場の数は多数であるため、乗り捨ての自由度がさらに増すことになる。
【0056】
一方、公共物などのセンシング情報の送受信においても、無線端末4はインターネット接続機能を設ける必要がないため、無線端末4の小型化及びコスト低減を実現することができる。
【0057】
なお、上記の実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 自動販売機
1a 本体キャビネット
1b 外扉
2a 自動販売機管理サーバ
2b 決済サーバ
2c レンタル管理サーバ
4 無線端末
4a 鍵
10 自動販売機主制御部
11 販売制御部
12 認証許可判定部
13 利用制御部
14 情報取得部
15,43 記憶部
20 通信制御ユニット
21 インターネット接続通信部
22 近距離無線通信部
23 商品選択ボタン
24 表示部
25 インターネット支払ボタン
26 案内表示部
30 本体制御部
31 冷熱装置
32 搬出装置
33 コインメカニズム
34 ビルバリデータ
36 電子マネーリーダライタ
41 操作表示部
42 近距離無線通信部
44 制御部
100 自動販売機システム
101 レンタル自転車
D1,D2 外部利用識別情報
D10 優先順位
D11 利用契約情報
D12 利用情報
D13 取得情報
N インターネット