(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】車両の報知装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20250109BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20250109BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/16 C
B60W50/14
(21)【出願番号】P 2021020694
(22)【出願日】2021-02-12
【審査請求日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2020151278
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】掛下 真舟
(72)【発明者】
【氏名】陳 希
(72)【発明者】
【氏名】諸冨 浩平
(72)【発明者】
【氏名】新保 祐人
(72)【発明者】
【氏名】臼井 右
(72)【発明者】
【氏名】清水 健一
(72)【発明者】
【氏名】池 渉
(72)【発明者】
【氏名】八十嶋 恒和
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-008127(JP,A)
【文献】特開2019-018827(JP,A)
【文献】特開2017-222317(JP,A)
【文献】国際公開第2019/175956(WO,A1)
【文献】特開2012-088904(JP,A)
【文献】特開2013-025635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 50/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方領域に存在している物標及び前記自車両が走行している道路上の区画線についての情報を含む周囲情報を取得する周囲センサと、
前記自車両の運転者による所定の操作によって非作動状態から作動状態へと状態が変更させられる方向指示器と、
前記運転者が注意すべき他車両の存在を前記運転者に対して報知するための報知動作を行う報知器と、
前記報知器を制御する制御ユニットと、
を備える車両の報知装置において、
前記制御ユニットは、
前記自車両が走行している走行車線に対する対向車線を前記自車両の前方から当該自車両へと接近するように走行する他車両であって、且つ、左側通行の地域においては前記自車両の右方を通過し右側通行の地域においては前記自車両の左方を通過する他車両、である対向車両が存在しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定
し、
左側通行の地域においては前記自車両の右方であり右側通行の地域においては前記自車両の左方であって前記自車両が右折又は左折をする際に前記対向車線を横切る方向である特定方向に対応する、前記方向指示器のうちの特定方向指示器、が前記作動状態にあり且つ前記対向車両が存在すると判定した場合、前記自車両が前記特定方向に旋回する場合に通過する領域の一部を含み且つ前記自車両に対して予め定められている特定領域に含まれる前記走行車線を区画する区画線についての情報及び前記自車両の直前に位置している他車両である先行車両についての情報の少なくとも一方に基いて、前記自車両が前記特定方向への旋回を開始する可能性が高いと予測される場
合に成立する予め定められた特定条件が成立したと判定したときに前記報知器に前記報知動作を開始させ、
前記特定方向指示器が前記作動状態にあり且つ前記対向車両が存在すると判定した場合であっても、前記特定条件が成立したと判定しない間は前記報知器に前記報知動作を開始させない、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の報知装置において、
前記制御ユニットは、
前記特定領域に、前記走行車線を画定する前記一対の区画線の内の前記特定方向側の区画線が含まれていない場合に成立する条件、である特定領域条件、が成立しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定し、
前記特定領域条件が成立していると判定されている場合に前記特定条件が成立したと判定する、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両の報知装置において、
前記制御ユニットは、
前記特定領域に、前記走行車線を画定する前記一対の区画線の内の前記特定方向側の区画線が含まれており、且つ、前記自車両の走行速度が所定の第1閾値速度よりも小さいときに成立する条件、である旋回待機条件、が成立しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定し、
前記旋回待機条件が成立していると判定されている場合に前記特定条件が成立したと判定する、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両の報知装置において、
前記制御ユニットは、
前記先行車両が存在しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定し、
前記先行車両が存在していると判定した場合、前記先行車両の速度が所定の先行車両旋回閾値速度より大きいか否かを判定し、
前記先行車両の速度が前記先行車両旋回閾値速度より大きいと判定したとき、前記特定条件が成立したと判定する、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両の報知装置において、
前記制御ユニットは、
前記先行車両が存在しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定し、
前記先行車両が存在していると判定した場合、前記先行車両が前記特定方向への旋回を開始したか否かを前記周囲情報に基づいて判定し、
前記先行車両が前記特定方向への旋回を開始したと判定したとき、前記特定条件が成立したと判定する、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の車両の報知装置において、
前記制御ユニットは、
前記対向車両と異なる他車両であって且つ当該他車両の予想走行経路が前記対向車両の予想走行経路と交差する他車両、である横断車両が存在しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定し、
前記横断車両が存在しているとの条件を含む禁止条件が成立した場合、前記報知動作の実行を禁止する、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の車両の報知装置において、
前記制御ユニットは、
前記対向車両と異なる他車両であって且つ当該他車両の予想走行経路が前記自車両の予想経路と交差する他車両、である横断車両が存在しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定し、
前記横断車両が存在しているとの条件を含む禁止条件が成立した場合、前記報知動作の実行を禁止する、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項8】
請求項2に記載の車両の報知装置において、
前記制御ユニットは、
前記自車両から前記対向車両までの前記自車両の幅方向における距離である横距離が前記自車両の走行速度が大きくなるほど大きくなる横閾値距離以上であるか否かを前記周囲情報に基づいて判定し、
前記横距離が前記横閾値距離以上であるとの条件を含む禁止条件が成立した場合、前記報知動作の実行を禁止する、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項9】
請求項2に記載の車両の報知装置において、
前記制御ユニットは、
前記自車両の走行速度が第4閾値速度以下の場合に、前記自車両から前記対向車両までの前記自車両の幅方向における距離である横距離が第3閾値距離以上であるか否かを前記周囲情報に基づいて判定し、
前記自車両の走行速度が前記第4閾値速度以下であり、且つ、前記横距離が前記第3閾値距離以上であるとの条件を含む禁止条件が成立した場合、前記報知動作の実行を禁止する、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項10】
請求項9に記載の車両の報知装置において、
前記制御ユニットは、
前記自車両の走行速度が前記第4閾値速度よりも大きい場合、前記横距離が前記第3閾値距離よりも大きい第4閾値距離以上であるか否かを前記周囲情報に基づいて判定し、
前記自車両の走行速度が前記第4閾値速度よりも大きく、且つ、前記横距離が前記第4閾値距離以上であるとの条件を含む禁止条件が成立した場合、前記報知動作の実行を禁止する、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項11】
請求項2に記載の車両の報知装置において、
前記自車両の操舵ハンドルの操作角度を検出する操舵角度センサと、
前記自車両のブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキペダル操作状態センサと、
を備え、
前記制御ユニットは、
前記検出された操作角度が前記対向車線を横切るように前記自車両を旋回させる向きとは反対の向きの値である
か、又は、前記検出された操舵角度が前記対向車線を横切るように前記自車両を旋回させる向きの値であって且つ当該操舵角度の大きさが閾値角度よりも小さく、且つ、
前記検出された前記ブレーキペダルの操作状態が前記ブレーキペダルが操作されている状態であることを示し、且つ、
前記自車両の走行速度が第5閾値速度以下である、
との条件を含む禁止条件が成立するか否かを判定し、
前記禁止条件が成立した場合、前記報知動作の実行を禁止する、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項12】
請求項2に記載の車両の報知装置において、
前記報知器は、音を発生するスピーカと表示を行うディスプレイとを含み、
前記制御ユニットは、
前記対向車両であると判定していた車両と前記自車両との距離である縦距離が所定の第2閾値距離よりも小さく且つ当該対向車両であると判定していた車両の物標走行速度が所定の第3閾値速度以下であると判定した場合、前記対向車両であると判定していた車両が停止したと判定し、
前記対向車両であると判定していた車両が停止したと判定した場合、前記対向車両であると判定していた車両が停止したとの判定がなされたことを示す停止履歴を保持し、
前記特定条件が成立したと判定した場合に前記停止履歴が保持されていないときには前記スピーカ及び前記ディスプレイの両方を用いた報知動作を開始させ、
前記特定条件が成立したと判定した場合に前記停止履歴が保持されているときには前記ディスプレイを用いることなく前記スピーカを用いた報知動作を開始させる、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項13】
請求項2に記載の車両の報知装置において、
前記制御ユニットは、
前記対向車両であると判定していた車両と前記自車両との距離である縦距離が所定の第2閾値距離よりも小さく且つ当該対向車両であると判定していた車両の物標走行速度が所定の第3閾値速度以下であると判定した場合、前記対向車両であると判定していた車両が停止したと判定し、
前記対向車両であると判定していた車両が停止したと判定した場合、前記対向車両であると判定していた車両が停止したとの判定がなされたことを示す停止履歴を保持し、
前記特定条件が成立したと判定した場合に前記停止履歴が保持されていないときには前記報知動作を開始させ、
前記特定条件が成立したと判定した場合に前記停止履歴が保持されているときには前記報知動作を禁止する、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項14】
請求項2乃至請求項10の何れか一項に記載の報知装置であって、
前記自車両の操舵ハンドルの操作角度を検出する操舵角度センサを備え、
前記制御ユニットは、
前記自車両が前記特定方向への旋回を開始後に途中で停止した可能性が高いときに成立する予め定められた第1報知終了条件が成立しているか否かを前記検出された操舵角度に応じたパラメータに基いて判定し、
前記報知動作の実行中に前記第1報知終了条件が成立していると判定したとき、前記報知動作を終了させる、
ように構成された、
車両の報知装置。
【請求項15】
請求項2乃至請求項14の何れか一項に記載の報知装置であって、
前記制御ユニットは、
前記報知動作の実行中に前記対向車両が存在しないと判定される状態が第3閾値時間以上に渡って継続したとき、前記報知動作を終了させる、
ように構成された、
車両の報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の運転者に対向車両の存在を報知する車両の報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両の報知装置の1つ(以下、「従来装置」とも称呼される。)は、自車両が停止し且つ右方の方向指示器が作動している場合、自車両の予想右折軌跡に対向車両が到達するまでの時間が所定時間よりも小さいとき、車両の運転者に対して報知を行う(例えば、特許文献1を参照。)。この報知を行う処理は、「対向車両報知処理」又は「報知処理」とも称呼される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
予想右折軌跡(即ち、自車両の予想走行経路)は、例えば、現時点における自車両の操舵角度に基づいて取得することができる。この場合、自車両の運転者が右折のための操舵操作を開始していなければ、対向車両報知処理が実行されない。
【0005】
しかしながら、対向車両報知処理はなるべく早いタイミング(例えば、運転者が右折のための操舵操作を開始する前のタイミング)にて開始されるのが望ましい。その一方、対向車両報知処理が不必要に実行されることは出来るだけ避けることが望ましい。
【0006】
そこで、本発明の目的の一つは、対向車両の存在を運転者に報知する報知動作を早期に開始することが可能であり、且つ、不必要な報知動作を実行する可能性が低い、車両の報知装置を提供することである。
【0007】
上記目的を達成するための車両の報知装置(以下、「本発明装置」とも称呼される。)は、周囲センサ、方向指示器、報知器、及び、制御ユニットを備えている。
【0008】
前記周囲センサ(前方カメラ41)は、
自車両の前方領域に存在している物標及び前記自車両が走行している道路上の区画線についての情報を含む「周囲情報」を取得する。
【0009】
前記方向指示器(方向指示器43)は、
前記自車両の運転者による所定の操作によって非作動状態(消灯状態)から作動状態(点滅状態)へと状態が変更させられる。
【0010】
前記報知器(ディスプレイ46及びスピーカー47)は、
前記運転者が注意すべき他車両の存在を前記運転者に対して報知するための「報知動作」を行う。
【0011】
前記制御ユニット(ECU21乃至ECU29等)は、
前記報知器を制御する(ステップ630及びステップ640等を参照。)。
【0012】
加えて、前記制御ユニットは、
前記自車両が走行している走行車線に対する「対向車線」を前記自車両の前方から当該自車両へと接近するように走行する他車両であって且つ当該他車両の「予想走行経路」が前記自車両の現在位置に対して右方及び左方の一方である「特定方向」側を通過する他車両、である「対向車両」が存在しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定する。
【0013】
更に、前記制御ユニットは、
前記方向指示器のうち前記自車両の前記特定方向に対応する方向指示器が前記作動状態にあり、且つ、前記対向車両が存在すると判定し、且つ、前記自車両が前記特定方向への旋回を開始する可能性が高いと予測される場合及び前記自車両が前記特定方向への旋回を開始する前に前記自車両の運転者が前記対向車両の存在を認識しておくべきである場合の何れかの場合に成立する「予め定められた特定条件」が成立したと判定したとき(例えば、
図6のステップ645:Yes,ステップ650:Yes等を参照。)、前記報知器に前記報知動作を開始させる(例えば、ステップ630)。
【0014】
特定方向は、例えば、左側通行の地域(車両が道路の左側を走行する地域)においては右方であり、右側通行の地域(車両が道路の右側を走行する地域)においては左方である。つまり、特定方向は、自車両が右折又は左折する際に対向車線を横切る方向である。自車両が左側通行の領域を走行している場合、対向車両の予想走行経路が自車両の右方を通過する状況において自車両が右方へ旋回すると自車両が対向車両と衝突する可能性がある。そこで、自車両が特定方向への旋回を開始する前の時点であっても、自車両が前記特定方向への旋回を開始する可能性が高いと予測(推定)される場合に成立する予め定められた特定条件が成立したとき、報知動作が開始される。
【0015】
換言すれば、自車両の運転者が右折のための操舵操作を開始していなくても、特定条件が成立すると報知動作(対向車両報知処理)が開始される。一方、特定条件が成立していなければ、報知動作は開始されない。従って、本発明装置によれば、報知動作(運転者が注意すべき対向車両の存在を運転者に報知すること)を、運転者による操舵が開始される前の時点に開始することができるとともに、報知動作が不必要に行われてしまう可能性を低くすることができる。
【0016】
本発明装置の幾つかの実施態様において、
前記制御ユニットは、
前記自車両が前記特定方向に旋回する場合に通過する領域の一部を含み且つ前記自車両に対して予め定められている特定領域(例えば、右折通過領域)に、前記走行車線を画定する一対の(左右の)区画線の内の前記特定方向側の区画線(即ち、特定区画線、(Lt1、Lt2、Lt3及びLt4等を参照。)が含まれていない場合に成立する条件(即ち、特定領域条件)が成立しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定する(例えば、ステップ645)。
【0017】
更に、前記制御ユニットは、
前記特定領域条件が成立していると判定されている場合に前記特定条件が成立したと判定し、報知器に報知動作を開始させる(例えば、ステップ645での「Yes」からステップ630に進んだ場合を参照。)。
【0018】
「特定方向」に対応する自車両の方向指示器が作動状態にあり、且つ、特定領域に特定区画線が含まれていない場合(特定領域条件が成立している場合)、自車両は交差点にて特定方向側へ旋回しようとしている可能性が高い。そのため、この場合、報知動作が開始される。
【0019】
本発明装置の幾つかの実施態様において、
前記制御ユニットは、
旋回待機条件が成立しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定し、
前記旋回待機条件が成立していると判定されている場合に前記特定条件が成立したと判定する、
ように構成される。
旋回待機条件は、前記特定領域に前記特定区画線が含まれており(ステップ645:No)、且つ、前記自車両の走行速度が所定の第1閾値速度(Vth1)よりも小さいとき(ステップ650:Yes)に成立する条件である。
【0020】
自車両が交差点以外の場所にて特定方向に旋回するときに対向車両と衝突する可能性が高くなる場合がある。この場合も報知動作が実行されることが望ましい。
【0021】
自車両が交差点以外の場所にて特定方向に旋回するとき、特定区画線が特定通過領域に含まれる場合が多い。加えて、多くの場合、運転者は、自車両を特定方向に旋回させる前に自車両の走行速度を低下させる。そのため、自車両が交差点以外の場所にて特定方向に旋回しようとしている場合、旋回待機条件が成立する。よって、自車両が交差点以外の場所にて特定方向に旋回する場合であっても、報知動作を適切に行うことができる。
【0022】
一方、例えば、運転者は、左側通行の地域における最も左側の車線から、その車線の右側に位置する車線(対向車線ではなく、一般に、追い越し車線と称呼される。)へと車線変更するために特定方向に対応する方向指示器を作動させる場合がある。この場合、自車両の走行速度は第1閾値速度よりも大きいことが多いから、旋回待機条件は成立せず、よって、報知動作は行われない。従って、車線変更が行われる場合に報知動作が不必要に行われる可能性を低下することができる。
【0023】
本発明装置の幾つかの実施態様(例えば、第1変形例)において、
前記制御ユニットは、
前記自車両の直前に位置している他車両である先行車両が存在しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定し(
図8のステップ820)、
前記先行車両が存在していると判定した場合、前記先行車両の速度が所定の先行車両旋回閾値速度(Vth2)より大きいか否かを判定し、
前記先行車両の速度が前記先行車両旋回閾値速度より大きいと判定したとき、前記特定条件が成立したと判定する(ステップ820:Yes)、
ように構成される。
【0024】
例えば、先行車両の運転者が対向車両の存在に気づかずに交差点にて特定方向への旋回を開始する場合がある。或いは、先行車両の運転者が、対向車両が交差点に到達するよりも先に交差点にて特定方向への旋回を行おうとする場合がある。これらの場合、自車両の運転者が、対向車両は存在していないと誤解する可能性がある。そこで、上記態様においては、先行車両の速度が前記先行車両旋回閾値速度より大きいと判定されたときに前記特定条件が成立したと判定され、報知動作が行われる。
【0025】
本発明装置の幾つかの実施態様(例えば、第2変形例)において、
前記制御ユニットは、
前記自車両の直前に位置している他車両である先行車両が存在しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定し、
前記先行車両が存在していると判定した場合、前記先行車両が前記特定方向への旋回を開始したか否かを前記周囲情報に基づいて判定し(
図10のステップ1020)、
前記先行車両が前記特定方向への旋回を開始したと判定したとき、前記特定条件が成立したと判定する(ステップ1020:Yes)、
ように構成される。
【0026】
この態様によれば、先行車両の運転者が対向車両の存在に気づかずに交差点にて特定方向への旋回を開始したり、対向車両が交差点に到達するよりも先に交差点にて特定方向への旋回を行おうとした場合であっても、特定条件が成立したと判定される。よって、報知動作が行われる。
【0027】
本発明装置の幾つかの実施態様(例えば、第3変形例)において、
前記制御ユニットは、
前記対向車両が走行している前記対向車線と前記自車両の前記走行車線とが互いに隣接しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定し(
図12のステップ1245)、
前記対向車両が走行している前記対向車線と前記自車両の前記走行車線とが互いに隣接していると判定したとき、前記特定条件が成立したと判定する(ステップ1245:Yes)、
ように構成される。
【0028】
走行車線の特定方向側に隣接する車線を対向車両が走行している場合、特定方向に対応する自車両の方向指示器が作動状態にあれば、対向車線が走行している車線を自車両が横切る可能性が高い。即ち、走行車線の特定方向側に隣接する車線を対向車両が走行している場合は、自車両が特定方向への旋回を開始する前に自車両の運転者が対向車両の存在を認識しておくべきである場合である。そのため、上記態様においては、対向車両が走行している対向車線と自車両の走行車線とが互いに隣接していると判定したとき、特定条件が成立したと判定される。よって、この場合において報知動作が行われる。
【0029】
本発明装置の幾つかの実施態様(例えば、第3変形例)において、
前記制御ユニットは、
前記自車両から前記対向車両までの前記自車両の幅方向における距離である横距離(|Dx|)が所定の第1閾値距離(Dth1)よりも小さいか否かを前記周囲情報に基づいて判定し(
図12のステップ1250)、
前記横距離が前記第1閾値距離よりも小さいと判定したとき、前記特定条件が成立したと判定する(ステップ1250:Yes)、
ように構成される。
【0030】
自車両から対向車両までの横距離が小さい場合、特定方向に対応する自車両の方向指示器が作動状態にあれば、自車両が操作を開始した直後に対向車両に接近する可能性がある。即ち、自車両から対向車両までの横距離が小さい場合は、自車両が特定方向への旋回を開始する前に自車両の運転者が対向車両の存在を認識しておくべきである場合である。そのため、上記態様においては、横距離が第1閾値距離よりも小さいと判定したとき、特定条件が成立したと判定される。よって、この場合において報知動作が行われる。
【0031】
本発明装置の幾つかの実施態様(例えば、第4変形例)において、
前記制御ユニットは、
前記対向車両と異なる他車両であって且つ当該他車両の予想走行経路が前記対向車両の予想走行経路と交差する他車両、である横断車両が存在しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定し(
図14のステップ1450)、
前記横断車両が存在しているとの条件を含む禁止条件が成立した場合、前記報知動作の実行を禁止する(ステップ1450:No)、
ように構成される。
【0032】
本発明装置の幾つかの実施態様(例えば、第4変形例の変形例)において、
前記制御ユニットは、
前記対向車両と異なる他車両であって且つ当該他車両の予想走行経路が前記自車両の予想経路と交差する他車両、である横断車両が存在しているか否かを前記周囲情報に基づいて判定し(
図14のステップ1450)、
前記横断車両が存在しているとの条件を含む禁止条件が成立した場合、前記報知動作の実行を禁止する(ステップ1450:No)、
ように構成される。
【0033】
自車両の運転者は、横断車両を認識した場合、自車両を減速させる可能性が高い。そのため、上記幾つかの実施形態においては、横断車両が存在しているとの条件を含む禁止条件が成立した場合、報知動作の実行を禁止する。これにより、報知動作が不必要に実行される可能性を低下させることができる。
【0034】
本発明装置の幾つかの実施態様(例えば、第6変形例)において、
前記制御ユニットは、
前記自車両から前記対向車両までの前記自車両の幅方向における距離である横距離(|Dx|)が前記自車両の走行速度が大きくなるほど大きくなる横閾値距離(Dth3,Dth4)以上であるか否かを前記周囲情報に基づいて判定し(
図19の、ステップ1950及びステップ1955)、
前記横距離が前記横閾値距離以上であるとの条件を含む禁止条件が成立した場合、前記報知動作の実行を禁止する(ステップ1950:No、ステップ1955:No)、
ように構成される。
【0035】
自車両の走行速度が小さくなるほど対向車両の予想走行経路(対向車両予想経路)に到達するまでの時間(交点到達時間)が長くなる。加えて、自車両の車幅方向における対向車両との距離(横距離(|Dx|)が大きくなるほど交点到達時間が長くなる。交点到達時間が長くなると、自車両が対向車両予想経路に到達するまでに運転者が対向車両の存在を認識する可能性が高くなる。そのため、上記実施形態においては、横距離が前記横閾値距離以上であるとの条件を含む禁止条件が成立した場合、報知動作の実行が禁止される。これにより、報知動作が不必要に実行される可能性を低下させることができる。
【0036】
上記の「横距離と横閾値距離とを比較する実施形態」において、より具体的には、
前記制御ユニットは、
前記自車両の走行速度が第4閾値速度(Vth4)以下の場合に、前記自車両から前記対向車両までの前記自車両の幅方向における距離である横距離が第3閾値距離(Dth3)以上であるか否かを前記周囲情報に基づいて判定し(
図19の、ステップ1945及びステップ1950)、
前記自車両の走行速度が前記第4閾値速度以下であり、且つ、前記横距離が前記第3閾値距離以上であるとの条件を含む禁止条件が成立した場合、前記報知動作の実行を禁止する(ステップ1950:No)、
ように構成される。
【0037】
同様に、上記の「横距離と横閾値距離とを比較する実施形態」において、より具体的には、前記制御ユニットは、
前記自車両の走行速度が第4閾値速度よ(Vth4)りも大きい場合に、「前記自車両から前記対向車両までの前記自車両の幅方向における距離である横距離」が「前記第3閾値距離よりも大きい第4閾値距離(Dth4)」以上であるか否かを前記周囲情報に基づいて判定し(
図19の、ステップ1945及びステップ1955)、
前記自車両の走行速度が前記第4閾値よりも大きく、且つ、前記横距離が前記第4閾値距離以上であるとの条件を含む禁止条件が成立した場合、前記報知動作の実行を禁止する(ステップ1955:No)、
ように構成される。
【0038】
本発明装置の幾つかの実施態様(例えば、第7変形例)は、
前記自車両の操舵ハンドルの操作角度を検出する操舵角度センサ(45)と、
前記自車両のブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキペダル操作状態センサ(48)と、
を備える。
【0039】
更に、この実施形態の制御ユニットは、以下に述べる総ての条件が成立することを成立の前提条件として有する禁止条件が成立するか否かを判定し、その禁止条件が成立した場合、前記報知動作の実行を禁止する。
・前記検出された操作角度(θs)が前記対向車線を横切るように前記自車両を旋回させる向きとは反対の向きの値であるか又は前記検出された操舵角度が前記対向車線を横切るように前記自車両を旋回させる向きの値であって且つ当該操舵角度の大きさが閾値角度(θth)よりも小さい(
図20のステップ2050:Yes)。
・前記検出された前記ブレーキペダルの操作状態が前記ブレーキペダルが操作されている状態であることを示している(
図20のステップ2055:Yes)。
・前記自車両の走行速度が第5閾値速度(Vtht)以下である(
図20のステップ2060:Yes)。
【0040】
自車両の運転者が対向車両の存在を認識していれば、特定方向への旋回を開始する前に運転者が自車両を減速させる可能性が高い。そのため、ブレーキペダルが操作されていれば、運転者が対向車両の存在を認識している可能性が高い。一方、操舵ハンドルが特定方向に閾値角度(θth)よりも大きい角度だけ操作された状態であるとき、運転者が対向車両の存在を認識していない可能性が高い。更に、自車両の走行速度が第5閾値速度よりも大きいとき運転者が対向車両の存在を認識していない可能性が高い。従って、上記実施形態によれば、自車両の運転者が対向車両の存在を認識している可能性が高い場合に報知動作が実行されてしまう可能性を低下することができる。
【0041】
本発明装置の幾つかの実施態様(例えば、第5変形例)において、前記報知器は、音を発生するスピーカ(47)と表示を行うディスプレイ(46)とを含む。
【0042】
更に、前記制御ユニットは、
前記対向車両であると判定していた車両と前記自車両との距離である縦距離が所定の第2閾値距離よりも小さく且つ当該対向車両であると判定していた車両の物標走行速度が所定の第3閾値速度以下であると判定した場合、前記対向車両であると判定していた車両が停止したと判定し、
前記対向車両であると判定していた車両が停止したと判定した場合、前記対向車両であると判定していた車両が停止したとの判定がなされたことを示す停止履歴を保持し、
前記特定条件が成立したと判定した場合に前記停止履歴が保持されていないときには前記スピーカ及び前記ディスプレイの両方を用いた報知動作を開始させ(
図16のステップ1650:No、ステップ1630及びステップ1632)、
前記特定条件が成立したと判定した場合に前記停止履歴が保持されているときには前記ディスプレイを用いることなく前記スピーカを用いた報知動作を開始させる(
図16のステップ1650:Yes、ステップ1632)、
ように構成される。
【0043】
対向車両が停止(一時停止)した場合、自車両の運転者の視界内に当該対向車両が存在していた時間が長くなる。よって、自車両の運転者は、その対向車両に気付いている可能性が高くなる。そのため、停止履歴が保持されているときにはディスプレイを用いることなく前記スピーカを用いた報知動作を行うことによって、運転者がディスプレイへの表示を煩わしく感じる可能性を低減することができる。
【0044】
同様に、本発明装置の幾つかの実施態様(例えば、第5変形例の変形例)において、
前記制御ユニットは、
前記対向車両であると判定していた車両と前記自車両との距離である縦距離が所定の第2閾値距離よりも小さく且つ当該対向車両であると判定していた車両の物標走行速度が所定の第3閾値速度以下であると判定した場合、前記対向車両であると判定していた車両が停止したと判定し、
前記対向車両であると判定していた車両が停止したと判定した場合、前記対向車両であると判定していた車両が停止したとの判定がなされたことを示す停止履歴を保持し、
前記特定条件が成立したと判定した場合に前記停止履歴が保持されていないときには前記報知動作を開始させ、
前記特定条件が成立したと判定した場合に前記停止履歴が保持されているときには前記報知動作を禁止する、
ように構成される。
【0045】
この実施形態によれば、対向車両が一時停止した(停止履歴が保持されている)ことに起因して自車両の運転者が対向車両に気付いている可能性が高い場合、報知動作が禁止される。従って、自車両の運転者が対向車両の存在を認識している可能性が高い場合に報知動作が実行されてしまう可能性を低下することができる。
【0046】
本発明装置の幾つかの実施態様(例えば、第8変形例)において、
前記制御ユニットは、
前記自車両が前記特定方向への旋回を停止した可能性が高いときに成立する予め定められた第1報知終了条件が成立しているか否かを前記検出された操舵角度に応じたパラメータに基いて判定し(
図22のステップ2210)、
前記報知動作の実行中に前記第1報知終了条件が成立していると判定したとき、前記報知動作を終了させる(
図22のステップ2210:Yes、
図22のステップ640)、
ように構成される。
【0047】
第1報知終了条件は、例えば、自車両の操舵ハンドルが特定方向の反対向きに所定の閾値角速度よりも大きな角速度にて操作されるときに成立する条件である。操作状態に基づいて第1報知終了条件が成立していると判定されると、報知動作が終了される。
【0048】
本発明装置の幾つかの実施態様(例えば、第8変形例)において、
前記制御ユニットは、
前記報知動作の実行中に前記対向車両が存在しないと判定される状態が第3閾値時間以上に渡って継続したとき(
図22のステップ2255及びステップ2270を参照。)前記報知動作を終了させる(ステップ2265:Yes、
図22のステップ640)、
ように構成される。
【0049】
周囲センサの検出精度の一時的な低下に起因して対向車両が実際に存在しているにも拘わらず一時的に対向車両が存在していないと判定される場合があり得る。この場合、対向車両が存在していないと誤って判定されたために報知動作が終了した後、すぐに対向車両が存在していると正しく判定されたために報知動作が再開される状況が発生しうる。この場合、運転者が違和感を覚える可能性が高い。そのため、対向車両が存在していないと判定されている状態が第3閾値時間継続するまで報知動作が継続される。そして、対向車両が存在していないことが確実になった時点にて報知動作が終了される。
【0050】
本発明装置の幾つかの実施態様において、
前記制御ユニットは、
前記報知動作の実行中に、
前記自車両の前記特定方向に対応する前記方向指示器が前記作動状態から前記非作動状態へと変化した場合(条件(C1))、及び、
前記自車両が停止した場合(条件(C3)、
の少なくとも一方の場合に前記報知動作を終了させる、
ように構成される(
図6のステップ635を参照。)。
【0051】
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両の報知装置(本報知装置)が搭載される車両(本車両)の概略図である。
【
図3】本報知装置により経路交差報知条件及び第1先行報知条件に基づいて対向車両報知処理が実行される場合の例を示した図である。
【
図4】本報知装置により経路交差報知条件及び第2先行報知条件に基づいて対向車両報知処理が実行される場合の例を示した図である。
【
図5】第2先行報知条件が成立しない場合の例を示した図である。
【
図6】本報知装置が実行する対向車両報知判定処理ルーチンを表したフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態の第1変形例に係る車両の報知装置(第1変形装置)により第3先行報知条件に基づいて対向車両報知処理が実行される場合の例を示した図である。
【
図8】第1変形装置が実行する対向車両報知判定処理ルーチンを表したフローチャートである。
【
図9】本発明の実施形態の第2変形例に係る車両の報知装置(第2変形装置)により第4先行報知条件に基づいて対向車両報知処理が実行される場合の例を示した図である。
【
図10】第2変形装置が実行する対向車両報知判定処理ルーチンを表したフローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態の第3変形例に係る車両の報知装置(第3変形装置)により第5先行報知条件又は第6先行報知条件に基づいて対向車両報知処理が実行される場合の例を示した図である。
【
図12】第3変形装置が実行する対向車両報知判定処理ルーチンを表したフローチャートである。
【
図13】本発明の実施形態の第4変形例に係る車両の報知装置(第4変形装置)により第7先行報知条件に基づいて対向車両報知処理が実行される場合の例を示した図である。
【
図14】第4変形装置が実行する対向車両報知判定処理ルーチンを表したフローチャートである。
【
図15】本発明の実施形態の第5変形例に係る車両の報知装置(第5変形装置)により対向車両に係る停止履歴に基づいて対向車両報知処理が実行される場合の例を示した図である。
【
図16】第5変形装置が実行する対向車両報知判定処理ルーチンを表したフローチャートである。
【
図17】本発明の実施形態の第6変形例に係る車両の報知装置(第6変形装置)により第8先行報知条件に基づいて対向車両報知処理が実行される場合の例を示した図である。
【
図18】第6変形装置により第9先行報知条件に基づいて対向車両報知処理が実行される場合の例を示した図である。
【
図19】第6変形装置が実行する対向車両報知判定処理ルーチンを表したフローチャートである。
【
図20】本発明の実施形態の第7変形例に係る車両の報知装置(第7変形装置)が実行する対向車両報知判定処理ルーチンを表したフローチャートである。
【
図21】本発明の実施形態の第8変形例に係る車両の報知装置(第8変形装置)が実行する対向車両報知判定処理ルーチンを表したフローチャートである。
【
図22】第8変形装置が実行する対向車両報知終了処理ルーチンを表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
(構成)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る車両の報知装置(以下、「本報知装置」とも称呼される。)について説明する。本報知装置は、
図1に示される車両10に適用される。本報知装置のブロック図である
図2から理解されるように、本報知装置は電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である車両制御ECU21を含んでいる。車両制御ECU21は、以下、単にECU21とも称呼される。
【0054】
ECU21は、CPU31、不揮発性メモリ32及びRAM33を備えたマイクロコンピュータを主要素として含んでいる。CPU31は、所定のプログラム(ルーチン)を逐次実行することによってデータの読み込み、数値演算、及び、演算結果の出力等を行う。不揮発性メモリ32は、ROM及び読み書き可能なフラッシュメモリを含んでいる。不揮発性メモリ32は、CPU31が実行するプログラム及びプログラムの実行時に参照されるルックアップテーブル(マップ)等を記憶している。RAM33は、CPU31によって参照されるデータを一時的に記憶する。
【0055】
ECU21は、前方カメラ41、ウインカーレバーセンサ42、方向指示器43、車速センサ44、操舵角度センサ45、ディスプレイ46、スピーカー47及びブレーキペダル操作量センサ(ブレーキペダル操作状態センサ)48と接続されている。前方カメラ41は、便宜上、「周囲センサ」とも称呼される。ディスプレイ46及びスピーカー47は、便宜上、「報知器」とも称呼される。
【0056】
(構成-前方カメラ)
前方カメラ41は、車両10の車室内上部の図示しないリアビューミラー(ルームミラー)近傍の位置に配設されている(
図1を参照。)。前方カメラ41は、車両10の前方の領域を撮影した「前方画像」を所定の時間間隔ΔTc(固定値)が経過する毎に取得し、前方画像を表すデータ(前方画像データ)をECU21へ出力する。前方カメラ41の水平方向の視野(画角、撮影領域)は、直線Lc1から直線Lc2までの範囲である(
図1を参照。)。
【0057】
前方カメラ41によって最後に取得された前方画像は、以下、「最新画像」とも称呼される。前方カメラ41によって最新画像の直前に取得された前方画像(即ち、最新画像が取得された時刻よりも時間間隔ΔTcだけ以前に取得された前方画像)は、以下、「前回画像」とも称呼される。
【0058】
以下の説明において、
図1に示されるように、車両10の左右方向(車幅方向)に沿う軸をX軸と称呼し、車両10の前後方向に沿う軸をY軸と称呼する。車両10の前方端部であって車両10の左右方向の中心点が、X=0且つY=0となる原点である。X座標は、車両10が前進する場合の進行方向に向かって右方向において正の値となり、車両10が前進する場合の進行方向に向かって左方向において負の値となる。Y座標は、車両10の前方向において正の値となり、車両10の後ろ方向において負の値となる。
【0059】
ECU21は、前方画像データを受信すると、前方画像に含まれる他車両及び歩行者を含む立体物標と、走行車線(即ち、車両10が走行している車線)を画定する一対の区画線と、を検出(抽出)する。前方画像に基づいて検出された立体物標は、以下、「カメラ検出物標」とも称呼される。前方画像に基づいて検出された、カメラ検出物標及び走行車線に関する情報は、便宜上、「周囲情報」とも称呼される。
【0060】
カメラ検出物標の検出方法についてより具体的に述べると、ECU21は、前方画像から立体物標を抽出するため、前方画像における「予め記憶している多数のテンプレート(即ち、他車両及び歩行者等のパターン)の何れかと類似する部分」を探索する。ECU21は、テンプレートのうちの1つと類似する前方画像の一部(即ち、前方画像における立体物標が映っている部分)が見つかれば、そのテンプレートに対応する「前方画像に写された立体物標」の輪郭を抽出する。即ち、ECU21は、パターンマッチング手法によって前方画像に含まれる立体物標の輪郭を抽出する。
【0061】
ECU21は、前方画像から立体物標を検出すると、その立体物標に対応するテンプレート(即ち、対応テンプレート)の種別を立体物標の種別として取得する。本実施形態において、立体物標の種別(即ち、ECU21に予め記憶されたテンプレートの種別)は、「他車両」を含んでいる。
【0062】
更に、ECU21は、周知の手法により、検出された立体物標の車両10に対する「左端位置」及び「右端位置」を取得する。左端位置及び右端位置のそれぞれは、X座標値とY座標値との組合せによって表される。
【0063】
ECU21は、車両10の前端と立体物標とのY軸方向の距離を縦位置Dyとして取得する。具体的には、ECU21は、立体物標の左端位置のY座標値と、右端位置のY座標値と、の内の小さい値を縦位置Dyとして取得する。
【0064】
加えて、ECU21は、立体物標のX座標値を横位置Dxとして取得する。具体的には、ECU21は、立体物標の左端位置のX座標値と、右端位置のX座標値と、の平均値を横位置Dxとして取得する。
【0065】
このとき、立体物標の種別が「他車両」であり且つ立体物標(即ち、他車両)の前面(前端)が前方画像に含まれていれば、ECU21は、前方画像に含まれる他車両の前面の左端位置(即ち、他車両の前端の左角部)及び右端位置(即ち、他車両の前端の右角部)のそれぞれの車両10に対する位置を取得する。同様に、立体物標の種別が「他車両」であり且つ立体物標(即ち、他車両)の後面(後端)が前方画像に含まれていれば、ECU21は、前方画像に含まれる他車両の後面の左端位置(即ち、他車両の後端の左角部)及び右端位置(即ち、他車両の後端の右角部)のそれぞれの車両10に対する位置を取得する。
【0066】
最新画像から検出された立体物標が前回画像からも検出されていれば、ECU21は、立体物標の横相対速度Vx、縦相対速度Vy及び物標走行速度Vcを取得する。横相対速度Vxは、立体物標の車両10に対するX軸方向の相対速度を表す。縦相対速度Vyは、立体物標の車両10に対するY軸方向の相対速度を表す。物標走行速度Vcは、立体物標の路面(地面)に対する移動速度の大きさを表す。
【0067】
より具体的に述べると、ECU21は、「最新画像に基づいて取得された横位置Dx」と「前回画像に基づいて取得された横位置Dxである前回横位置Dpx」との差分を横変化量ΔDxとして取得する(即ち、ΔDx=Dx-Dpx)。加えて、ECU21は、横変化量ΔDxを時間間隔ΔTcにより除することによって横相対速度Vxを取得する(即ち、Vx=ΔDx/ΔTc)。
【0068】
同様に、ECU21は、「最新画像に基づいて取得された縦位置Dy」と「前回画像に基づいて取得された縦位置Dyである前回縦位置Dpy」との差分を縦変化量ΔDyとして取得する(即ち、ΔDy=Dy-Dpy)。加えて、ECU21は、縦変化量ΔDyを時間間隔ΔTcにより除することによって縦相対速度Vyを取得する(即ち、Vy=ΔDy/ΔTc)。
【0069】
更に、ECU21は、車両10の走行速度である車速Vsと縦相対速度Vyとの和を物標縦速度Vcyとして取得する(即ち、Vcy=Vs+Vy)。加えて、ECU21は、物標縦速度Vcyの2乗と横相対速度Vxの2乗との和の平方根を物標走行速度Vcとして取得する(即ち、Vc=(Vcy2+Vx2)1/2)。
【0070】
次に、前方画像に含まれる走行車線を画定する一対の区画線(具体的には、左方区画線及び右方区画線)の検出方法について説明する。本実施形態において、左方区画線及び右方区画線は、白色又は黄色の実線又は破線によって表された路面標示である。右方区画線は、例えば、車道中央線及び車線境界線の何れかである。右方区画線は、便宜上、「特定区画線」とも称呼される。
【0071】
ECU21は、前方画像における路面(地面)に対応する領域における色相、明度及び彩度のそれぞれの勾配に基づいて車両10の前端から前方(遠方)に延びる区画線と、区画線以外の領域と、の境界(区画線境界)を抽出する。ECU21は、抽出された区画境界線に基づいて、左方区画線及び右方区画線の車両10に対する位置を取得する。左方区画線は、「あるY座標値」と、「そのY座標値における左方区画線のX座標値」と、の組合せの集合によって表される。同様に、右方区画線は、「あるY座標値」と、「そのY座標値における右方区画線のX座標値」と、の組合せの集合によって表される。
【0072】
加えて、ECU21は、車両10に対して右方区画線の更に右方にある区画線(以下、「隣接右方区画線」とも称呼される。)が検出されているか否かを判定する。隣接右方区画線は、右方区画線と共に「走行車線の右方に隣接する車線」を画定する区画線である。右方区画線と隣接右方区画線とによって画定される車線は、以下、「右方隣接車線」とも称呼される。
【0073】
(構成-ウインカーレバー及びウインカーランプ)
図2に示したウインカーレバーセンサ42は、
図1に示したウインカーレバー51aの回転位置(具体的には、中立位置、右方位置、及び、左方位置の何れか)を検出し、回転位置を表す信号をECU21へ出力する。ウインカーレバー51aは、車両10の操舵ハンドル51のステアリングコラムに、車両10の運転者に対して右方に延びるように配設されている。
【0074】
ウインカーレバー51aは、ウインカーレバー51aの基部(即ち、ウインカーレバー51aのステアリングコラムへの固定位置)を支点(回転中心)として右回り方向及び左回り方向に所定の角度だけ回転(傾動)可能になっている。ウインカーレバー51aが運転者によって操作されていないとき、ウインカーレバー51aは中立位置にある。
【0075】
図2に示した方向指示器43は、右方指示器43R及び左方指示器43Lを含んでいる。右方指示器43Rは、
図1に示したように、車両10の前端の右角部及び後端の右角部にそれぞれ配設されたウインカーランプ(黄色灯)である。左方指示器43Lは、車両10の前端の左角部及び後端の左角部にそれぞれ配設されたウインカーランプである。
【0076】
図2に示したECU21は、ウインカーレバー51aの操作状態(即ち、ウインカーレバーセンサ42から受信した回転位置を表す信号)に応じて方向指示器43を制御する。具体的には、ウインカーレバー51aの回転位置が右方位置であるとき(即ち、ウインカーレバー51aが右回り方向に操作されているとき)、ECU21は、右方指示器43Rを点滅させる。ウインカーレバー51aの回転位置が左方位置であるとき(即ち、ウインカーレバー51aが左回り方向に操作されているとき)、ECU21は、左方指示器43Lを点滅させる。左方指示器43L及び右方指示器43Rの一方が点滅している場合、その点滅している方向指示器の状態は「作動状態」であると表現される。左方指示器43L及び右方指示器43Rの一方が点滅していない場合、その点滅していない方向指示器の状態は「非作動状態」であると表現される。
【0077】
(構成-その他)
車速センサ44は、車速Vsを検出し、車速Vsを表す信号をECU21へ出力する。操舵角度センサ45は、操舵ハンドル51の回転角度である操舵角度θsを検出し、操舵角度θsを表す信号をECU21へ出力する。
【0078】
操舵ハンドル51が中立位置にあるとき、操舵角度θsは「0」となる。操舵角度θsは、操舵ハンドル51が中立位置に対して時計回りに回転させられているときに正の値となる(即ち、θs>0)。一方、操舵角度θsは、操舵ハンドル51が中立位置に対して反時計回りに回転させられているときに負の値となる(即ち、θs<0)。
【0079】
ディスプレイ46は、車両10のインストルメントパネル(不図示)であって車両10の運転者が視認可能な位置に配設された液晶ディスプレイ(LCD)である。ディスプレイ46に表示される文字及び図形等は、ECU21によって制御される。スピーカー47は、車両10の車室内に配設されている。スピーカー47によって再生される警告音及び音声メッセージ等は、ECU21によって制御される。
【0080】
ブレーキペダル操作量センサ48は、運転者が車速Vsを低下させるために操作するブレーキペダル52の操作量であるブレーキペダル操作量Bpを検出し、ブレーキペダル操作量Bpを表す信号をECU21へ出力する。ブレーキペダル52が操作されていないとき、ブレーキペダル操作量Bpは「0」となる。ブレーキペダル52の操作量が大きくなるほどブレーキペダル操作量Bpは大きくなる。
【0081】
(対向車両報知処理)
次に、ECU21が実行する「対向車両報知処理」について、道路の左側を車両が通行するように定められた法規を有する地域(左側通行地域であり、例えば、日本国又は英国)を車両10が走行していると仮定して説明する。車両10が右折しつつある場合に「対向車両」と衝突する可能性が高いとき、ECU21は、対向車両報知処理を実行する。具体的には、ECU21は、車両10のディスプレイ46とスピーカー47とに「車両10の運転者に対向車両の存在を報知するための動作(即ち、報知動作)を行わせる。対向車両は、走行車線と対向する車線である対向車線を走行している他車両である。対向車線は、走行車線が形成されている道路において、定められた車両進行方向が走行車線における車両進行方向と反対方向である車線と云うことができる。
【0082】
ECU21は、「経路交差報知条件」、「第1先行報知条件」及び「第2先行報知条件」の中の少なくとも1つが成立したとき、対向車両報知処理を開始する。「経路交差報知条件」、「第1先行報知条件」及び「第2先行報知条件」のそれぞれは、便宜上、「特定条件」とも称呼される。左側通行地域における右方(即ち、車両が旋回しようとする際に直進対向車と交差する旋回方向)は、便宜上、「特定方向」とも称呼される。右側通行地域においては、右方が特定方向である。
【0083】
<<経路交差報知条件>>
経路交差報知条件は、以下の条件(A1)乃至条件(A4)が全て成立したときに成立する条件である。
条件(A1):右方指示器43Rが作動状態である(点滅している)。
条件(A2):対向車両が存在している。
条件(A3):車両10の「自車両予想経路」と、対向車両の「対向車両予想経路」と、が互いに交差する。
条件(A4):交点到達時間Tcが所定の第1閾値時間Tth1以下である(即ち、Tc≦Tth1)。
【0084】
条件(A1)乃至条件(A4)のそれぞれについて、
図3を参照しながら説明する。
図3において、車両10の現在位置は、車両位置10aによって示される。本例において、運転者は、車両10を交差点にて右折させようとしている。具体的には、運転者は、車両10を車両位置10aから車両位置10b及び車両位置10cを経て車両位置10dに到達させようとしている。破線Le1は、運転者が意図している車両10の走行経路(具体的には、車両10の前端中央部の移動経路)を示している。
【0085】
なお、後述するように、車両10が車両位置10dに到達する前に対向車両報知処理によって他車両61の存在が車両10の運転者に報知される。そのため、車両10が車両位置10cの近傍に位置している時点にて運転者が車両10を停止させる可能性が高い。
【0086】
車両10が車両位置10aから車両位置10bまでの区間を走行している期間において、操舵角度θsは0°である。車両10が車両位置10bを通過した後、操舵角度θsが増加し始め、以て、車両10は右方に旋回する。その後、操舵角度θsが減少し始め、車両10が車両位置10dに到達した時点において操舵角度θsは0°に戻る。
【0087】
運転者は、車両10が車両位置10aに到達したときに右方指示器43Rの作動(点滅)を開始させる。そのため、車両10が車両位置10aに到達したときに条件(A1)が成立する。
【0088】
図3に示される他車両61は、前方画像に基づいて検出された他車両(即ち、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標)である。車両10が車両位置10aにある時点における他車両61の位置は、他車両位置61aによって示される。車両10が車両位置10bにある時点における他車両61の位置は、他車両位置61bによって示される。車両10が車両位置10cにある時点における他車両61の位置は、他車両位置61cによって示される。
【0089】
<<<対向車両と判定する条件>>>
本実施形態において、対向車両は、以下の条件(a)乃至条件(e)を全て満たすカメラ検出物標である。即ち、条件(a)乃至条件(e)が全て成立していれば、条件(A2)が成立する。即ち、条件(a)乃至条件(e)が全て成立していれば、対向車両が存在していると判定される。
条件(a):カメラ検出物標が存在していて、且つ、その物標種別が「車両」である。
条件(b):そのカメラ検出物標の縦位置Dyが、正の値である(即ち、Dy>0)。
条件(c):そのカメラ検出物標の縦相対速度Vyが、負の値である(即ち、Vy<0)。
条件(d):そのカメラ検出物標の物標走行速度Vcが、所定の他車両閾値速度Vcth以上である(即ち、Vc≧Vcth)。
条件(e):そのカメラ検出物標が車両10の現在位置の右方を通過すると予想される。
【0090】
他車両61は、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標であるので、条件(a)が成立する。
【0091】
他車両位置61a乃至他車両位置61cから理解されるように、車両10が車両位置10aから車両位置10cまでの区間を走行しているとき、他車両61は車両10の前方にある。即ち、車両10がこの区間を走行する期間において他車両61の縦位置Dyが正の値であるので、条件(b)が成立する。
【0092】
加えて、車両10が車両位置10aから車両位置10cまでの区間を走行する期間において、他車両61は、車両10の前後方向において車両10に接近している。即ち、車両10がこの区間を走行する期間において他車両61の縦相対速度Vyは負の値であるので、条件(c)が成立する。
【0093】
条件(d)に係る他車両閾値速度Vcthは、車両が交差点を直進する場合における当該車両がとり得る一般的な走行速度のうちの下限値に略一致するように予め設定されている。他車両61は、交差点を直進しようとしているので、その物標走行速度Vcは他車両閾値速度Vcthよりも大きい。そのため、条件(d)が成立する。
【0094】
次に、条件(e)について説明する。そのカメラ検出物標の「対向車両予想経路」が車両10の「右方半直線」と交差する場合、ECU21は、条件(e)が成立していると判定する。対向車両予想経路は、カメラ検出物標の位置(即ち、横位置Dx及び縦位置Dy)及び速度(即ち、横相対速度Vx及び縦相対速度Vy)に基づき、その速度が変化せずに維持されるとの仮定に基づいて取得される。
【0095】
図3において、他車両位置61aにある他車両61の対向車両予想経路は、破線Ls1によって示される。本例において、他車両61は直進している。そのため、他車両位置61bにある他車両61の対向車両予想経路は、
図3における破線Ls1の他車両位置61bよりも紙面下方にある区間よって示される。同様に、他車両位置61cにある他車両61の対向車両予想経路は、
図3における破線Ls1の他車両位置61cよりも紙面下方にある区間よって示される。
【0096】
車両10の右方半直線は、車両10の前端中央部(即ち、X-Y座標系の原点)から車両10の車幅方向(即ち、X軸方向)に右方へ延びる半直線である。
図3において、車両位置10aにある車両10の右方半直線は一点鎖線Lraによって示される。車両位置10bにある車両10の右方半直線は一点鎖線Lrbによって示される。車両位置10cにある車両10の右方半直線は一点鎖線Lrcによって示される。
【0097】
破線Ls1(即ち、他車両61の対向車両予想経路)と一点鎖線Lraとは点Praにて互いに交差する。同様に、破線Ls1と一点鎖線Lrbとは点Prbにて互いに交差し、破線Ls1と一点鎖線Lrcとは点Prcにて互いに交差する。そのため、車両10が車両位置10aから車両位置10cを走行する期間において、条件(e)が成立する。
【0098】
従って、車両10が車両位置10aから車両位置10cまでの区間を走行する期間において、他車両61は条件(a)乃至条件(e)をすべて満たし、以て、条件(A2)が成立する。
【0099】
次に、条件(A3)について説明する。自車両予想経路は車両10の予想走行経路であり、現時点における操舵角度θsに基づき、その操舵角度θsが変化せずに維持されるとの仮定に基づいて取得される。車両10が車両位置10aにある時点において、自車両予想経路は、破線Lh1によって示される。上述したように、この時点における操舵角度θsは0°であるので、破線Lh1は直線である。車両位置10bにある車両10の自車両予想経路は、
図3における破線Lh1の車両位置10bよりも紙面上方にある区間によって示される。
【0100】
図3から理解されるように、車両10が車両位置10aにある時点における自車両予想経路(即ち、破線Lh1)と、他車両61(具体的には、他車両位置61aにある他車両61)の対向車両予想経路(即ち、破線Ls1)と、は互いに交差しない。同様に、車両10が車両位置10bにある時点における自車両予想経路(即ち、破線Lh1)と、他車両61(具体的には、他車両位置61bにある他車両61)の対向車両予想経路(即ち、破線Ls1)と、は互いに交差しない。そのため、車両10が車両位置10aから車両位置10bまでの区間を走行している期間において、条件(A3)は成立しない。従って、この期間において、経路交差報知条件は成立しない。
【0101】
一方、車両10が車両位置10cに到達した時点における車両10の自車両予想経路は、破線Lh2によって示される。この時点において操舵角度θsは正の値となっているので(操舵角度θs>0)、破線Lh2から理解されるように、車両10の予想走行経路は右方に湾曲している。
【0102】
破線Lh2と破線Ls1とは点Ps2にて互いに交差する。そのため、車両10が車両位置10cにある時点において、条件(A3)が成立する。
【0103】
更に、条件(A4)について説明する。交点到達時間Tcは、自車両予想経路と対向車両予想経路との交点(本例において、点Ps2)に車両10が到達するまでの時間である。ECU21は、車両10から自車両予想経路と対向車両予想経路との交点までの距離(道のり)を車速Vsにより除することによって交点到達時間Tcを取得(算出)する。本例において、車両10が車両位置10cに到達した時点にて交点到達時間Tcが第1閾値時間Tth1と等しくなる。即ち、車両10が車両位置10cに到達した時点にて条件(A4)が成立する。
【0104】
従って、車両10が車両位置10cに到達した時点にて、条件(A1)乃至条件(A4)が全て成立し、以て、経路交差報知条件が成立する。
【0105】
<<第1先行報知条件>>
第1先行報知条件は、上述した「条件(A1)及び条件(A2)」、並びに、以下の条件(B3a)が全て成立したときに成立する条件である。即ち、第1先行報知条件は以下の全てが成立したときに成立する。
条件(A1):右方指示器43Rが作動状態である(点滅している)。
条件(A2):対向車両が存在している。
条件(B3a):後述する「車両10の右折通過領域」に右方区画線が含まれていない。なお、条件(B3a)は、便宜上、「特定領域条件」とも称呼される。条件(B3a)は、自車両が特定方向への旋回を開始する可能性が高いと予測(推定)される場合に成立する条件である。
【0106】
車両10の「右折通過領域」は、車両10の近傍の右斜め前方向の領域であり、より詳細には、車両10の前端中央部(原点O)、点Pa、点Pb、点Pc及び点Pdを頂点とする5角形の領域である。点Pa、点Pb、点Pc及び点PdのそれぞれのX-Y座標値は、Pa(0,Dy1)、Pb(Dx1,Dy1)、Pc(Dx1,Dy2)及びPd(Wd/2,0)である。右折通過領域は、車両10が右折(特定方向に旋回)する場合に通過する領域の一部を含み且つ車両10に対して予め定められている領域であり、便宜上、「特定領域」とも称呼される。
【0107】
距離Dx1、距離Dy1及び距離Dy2のそれぞれは、右折通過領域が「車両10が右折する場合(即ち、車両10が右方に旋回する場合)に車両10が通過する可能性が高い領域」となるように予め定められた固定値である。点Pdを規定するために用いられる車幅Wdは、車両10の車幅方向における長さである(
図1を参照)。なお、Dy1>Dy2>0、及び、Dx1>Wd/2>0である。
【0108】
例えば、車両10が車両位置10aにある場合、右折通過領域は領域Rpaによって示される。この領域Rpaには右方区画線である区画線Lt1が含まれている。そのため、この時点において、条件(B3a)は成立していない。
【0109】
車両10が車両位置10bにある場合の右折通過領域は領域Rpbによって示され、車両10が車両位置10cにある場合の右折通過領域は領域Rpcによって示される。これらの「領域Rpb及び領域Rpc」のそれぞれには区画線(右方区画線)Lt1が含まれていない。即ち、車両10が車両位置10bに到達した時点以降、右折通過領域に区画線(右方区画線)Lt1が含まれなくなる。よって、車両10が車両位置10bに到達した時点以降において条件(B3a)が成立する。即ち、
図3に示した例においては、車両10が車両位置10bに到達した時点にて条件(A1)、条件(A2)及び条件(B3a)が成立し、以て、第1先行報知条件が成立する。
【0110】
このように、経路交差報知条件が成立する時点(車両10が車両位置10cに到達した時点)よりも前の時点である「車両10が車両位置10bに到達した時点」にて、第1先行報知条件が成立する。従って、本例においては、より早期に対向車両報知処理が開始される。
【0111】
<<第2先行報知条件>>
第2先行報知条件は、上述した「条件(A1)及び条件(A2)」、並びに、以下の「条件(B3b)及び条件(B4)」の全てが成立したときに成立する条件である。即ち、第2先行報知条件は以下の全てが成立したときに成立する。
条件(A1):右方指示器43Rが作動状態である(点滅している)。
条件(A2):対向車両が存在している。
条件(B3b):車両10の右折通過領域に右方区画線が含まれている。
条件(B4):車速Vsが所定の第1閾値速度Vth1よりも小さい(即ち、Vs<Vth1)。第1閾値速度Vth1は、車両が右折(又は左折)を開始する時点において当該車両が取りうる一般的な走行速度のうちの上限値(右左折直前上限値)と略一致するように予め設定されている。
なお、条件(B3b)及び条件(B4)が共に成立する場合、便宜上、「旋回待機条件」が成立したとも表現される。旋回待機条件は、自車両が特定方向への旋回を開始する可能性が高いと予測(推定)される場合に成立する条件である。
【0112】
更に、第2先行報知条件について、
図4を参照しながら説明する。
図4に示した例において、車両10の現在位置は車両位置10eによって示される。本例において、運転者は、車両10を、対向車線を横切り且つ駐車位置Rsに進入させようとしている。具体的には、運転者は、車両10を車両位置10eから車両位置10f乃至車両位置10hを経て車両位置10iに到達させようとしている。破線Le2は、運転者が意図している車両10の走行経路を示している。この場合における、経路交差報知条件、第1先行報知条件及び第2先行報知条件のそれぞれの成否について、順に説明する。
【0113】
運転者は、車両10が車両位置10fに到達したときに右方指示器43Rの作動(点滅)を開始させる。そのため、車両10が車両位置10fに到達したとき、条件(A1)が成立する。
【0114】
図4に示される他車両62は、前方画像に基づいて検出された他車両(即ち、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標)である。そのため、他車両62は、上述した条件(a)を満たす。
【0115】
車両10が車両位置10eにある時点における他車両62の位置は、他車両位置62eによって示される。車両10が車両位置10fにある時点における他車両62の位置は、他車両位置62fによって示される。車両10が車両位置10gにある時点における他車両62の位置は、他車両位置62gによって示される。
【0116】
他車両位置62eにある他車両62の対向車両予想経路は、破線Ls2によって示される。本例において、他車両62の物標走行速度Vcは他車両閾値速度Vcthよりも大きい。そのため、他車両62は、条件(b)を満たす。
【0117】
本例において、他車両62は直進している。そのため、他車両位置62fにある他車両62の対向車両予想経路は、
図4における破線Ls2の他車両位置62fよりも紙面下方にある区間よって示される。他車両位置62gにある他車両62の対向車両予想経路は、
図4における破線Ls2の他車両位置62gよりも紙面下方にある区間よって示される。
【0118】
図4から理解されるように、車両10が車両位置10eから車両位置10gまでを走行している期間において、他車両62の縦位置Dyは正の値であり、縦相対速度Vyは負の値である(即ち、Dy>0且つVy<0)。従って、この期間において、他車両62は、条件(b)及び条件(c)を満たす。
【0119】
車両位置10eにある車両10の右方半直線は、一点鎖線Lreによって示される。車両位置10fにある車両10の右方半直線は、一点鎖線Lrfによって示される。車両位置10gにある車両10の右方半直線は、一点鎖線Lrgによって示される。
【0120】
破線Ls2(即ち、他車両62の対向車両予想経路)と一点鎖線Lreとは点Preにて互いに交差する。同様に、破線Ls2と一点鎖線Lrfとは点Prfにて互いに交差し、破線Ls2と一点鎖線Lrgとは点Prgにて互いに交差する。そのため、車両10が車両位置10eから車両位置10gを走行する期間において、条件(e)が成立する。
【0121】
従って、車両10が車両位置10eから車両位置10gまでの区間を走行する期間において他車両62は条件(a)乃至条件(e)をすべて満たしているので、条件(A2)が成立している。即ち、他車両62は対向車両であると判定される。
【0122】
車両10が車両位置10fにある時点における自車両予想経路は、破線Lh3によって示される。破線Ls2(即ち、他車両62の対向車両予想経路)と破線Lh3とは互いに交差しない。即ち、この時点において、条件(A3)は成立していない。
【0123】
その後、車両10が車両位置10gにある時点における自車両予想経路は、破線Lh4によって示される。破線Ls2と破線Lh4とは点Ps4にて互いに交差する。そのため、この時点において、条件(A3)は成立している。
【0124】
加えて、車両10が車両位置10gにある時点における交点到達時間Tcは、第1閾値時間Tth1と等しい。そのため、即ち、車両10が車両位置10gに到達した時点にて条件(A4)が成立する。
【0125】
従って、車両10が車両位置10gに到達した時点にて、条件(A1)乃至条件(A4)が全て成立し、以て、経路交差報知条件が成立する。
【0126】
次に、第1先行報知条件の成否について説明する。車両位置10eにある車両10の右折通過領域は、領域Rpeによって示される。同様に、車両位置10fにある車両10の右折通過領域は、領域Rpfによって示される。車両位置10gにある車両10の右折通過領域は、領域Rpgによって示される。
【0127】
図4から理解されるように、領域Rpe、領域Rpf及び領域Rpgのそれぞれに右方区画線である区画線Lt2が含まれている。そのため、車両10が車両位置10eから車両位置10gまでの区間を走行している期間において、条件(B3a)は成立しない。従って、この期間において第1先行報知条件は成立しない。
【0128】
更に、第2先行報知条件の成否について説明する。上述したように、領域Rpe、領域Rpf及び領域Rpgのそれぞれに右方区画線である区画線Lt2が含まれている。よって、車両10が車両位置10eから車両位置10gまでの区間を走行している期間において、条件(B3b)が成立する。
【0129】
前述したように、第1閾値速度Vth1は右左折直前上限値に設定されていて、且つ、車両10の運転者は右折を行う意図を有しているので、車両10が車両位置10eから車両位置10gまでの区間を走行している期間において、車速Vsは第1閾値速度Vth1よりも小さい。そのため、この期間において条件(B4)が成立する。
【0130】
上述したように、運転者は車両10が車両位置10fに到達したときに右方指示器43Rを作動させるので、この時点において条件(A1)が成立する。従って、車両10が車両位置10fに到達したときに第2先行報知条件が成立する。
【0131】
このように、経路交差報知条件が成立する時点(車両10が車両位置10gに到達した時点)よりも前の時点である「車両10が車両位置10fに到達した時点」にて、第2先行報知条件が成立する。従って、本例においては、より早期に対向車両報知処理が開始される。
【0132】
次に、第2先行報知条件が条件(B4)を含んでいる理由について、
図5を参照しながら説明する。
図5において、車両10の現在位置は車両位置10jによって示される。運転者は、車両10を、走行車線から「車両10の右方において走行車線に隣接する車線(定められた車両進行方向が走行車線における車両進行方向と同じ車線であり、一般に、「追い越し車線」又は「隣接車線」とも称呼される。)」へ車線変更させようとしている。具体的には、運転者は、車両10を車両位置10jから車両位置10kを経て車両位置10mに到達させようとしている。破線Le3は、運転者が意図している車両10の走行経路を示している。
【0133】
運転者は、車両10が車両位置10kに到達したときに右方指示器43Rの作動を開始させる。そのため、車両10が車両位置10kに到達したとき、条件(A1)が成立する。なお、運転者は、車両10が車両位置10mに到達したとき(即ち、車線変更が終了したとき)に右方指示器43Rの作動を終了させる。
【0134】
図5に示される他車両63は、前方画像に基づいて検出された他車両(即ち、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標)である。車両10が車両位置10jにある時点における他車両63の位置は、他車両位置63jによって示される。車両10が車両位置10kにある時点における他車両63の位置は、他車両位置63kによって示される。車両10が車両位置10mにある時点における他車両63の位置は、他車両位置63mによって示される。
【0135】
詳述は割愛されるが、車両10が車両位置10jから車両位置10mまでの区間を走行している期間において、他車両63は対向車両の要件(即ち、条件(a)乃至(e))を満たす。そのため、条件(A2)が成立する。一方、車両10が車両位置10jから車両位置10mまでの区間を走行している期間において、条件(A3)及び条件(A4)は、何れも成立しない。即ち、この期間において経路交差報知条件は成立しない。
【0136】
車両位置10jにある車両10の右折通過領域は、領域Rpjによって示される。同様に、車両位置10kにある車両10の右折通過領域は、領域Rpkによって示される。車両位置10mにある車両10の右折通過領域は、領域Rpmによって示される。
【0137】
車両位置10jにある車両10の走行車線の右方区画線は区画線Lt3である。隣接車線の右方区画線は区画線Lt4である。
図5から理解されるように、領域Rpj及び領域Rpkのそれぞれに区画線Lt3が含まれている。加えて、領域Rpmに区画線Lt4が含まれている。そのため、車両10が車両位置10jから車両位置10mまでの区間を走行している期間において、条件(B3a)は成立しない。即ち、この期間において第1先行報知条件は成立しない。
【0138】
一方、車両10が車両位置10jから車両位置10mまでの区間を走行している期間において、条件(B3b)が成立する。加えて、車両10が車両位置10jから車両位置10mまでの区間を走行している期間において、車速Vsは第1閾値速度Vth1よりも大きい。そのため、この期間において条件(B4)は成立しない。即ち、
図5に示されるように車両10が車線変更する場合、
図4に示されるように車両10が右折する場合と比較して車速Vsが大きくなる可能性が高い。この場合、車速Vsが第1閾値速度Vth1よりも大きく、以て、条件(B4)は成立しない。即ち、この期間において第2先行報知条件は成立しない。
【0139】
従って、車両10が車両位置10jから車両位置10mまでの区間を走行している期間において、経路交差報知条件、第1先行報知条件及び第2先行報知条件が何れも成立しないので対向車両報知処理は実行されない。換言すれば、例えば、車線変更を行う際に右方指示器43Rが作動し且つ対向車が存在している場合であっても(即ち、条件(A1)、(A2)及び(B3b)が成立しても)、運転者が車両10を右折させるために車速Vsを低下させていなければ条件(B4)が成立しない。よって、車線変更時に第2先行報知条件は成立せず、以て、対向車両報知処理は実行されない。
【0140】
(具体的作動)
次に、ECU21の具体的作動について説明する。ECU21のCPU31(以下、単に「CPU」とも称呼される。)は、
図6にフローチャートにより表された「対向車両報知判定処理ルーチン」を所定の時間が経過する毎に実行する。
【0141】
従って、適当なタイミングとなると、CPUは、
図6のステップ600から処理を開始してステップ605に進み、現時点の状態が、対向車両報知処理(以下、単に「報知処理」とも称呼される。)が実行されていない状態であるか否かを判定する。即ち、CPUは、現時点において対向車の存在を運転者に報知するための「ディスプレイ46及びスピーカー47を用いた報知動作」が行われていないか否かを判定する。
【0142】
(ケースA)
報知処理が実行されておらず且つ経路交差報知条件が成立する状況となった後、最初に本ルーチンが実行されていると仮定する。
【0143】
この仮定によれば、現時点において報知処理が実行されていないので、CPUは、ステップ605にて「Yes」と判定してステップ610に進み、右方指示器43Rが作動状態であるか否か(作動中か否か)を判定する。即ち、CPUは、上述した条件(A1)が成立しているか否かを判定する。
【0144】
前述の仮定によれば、右方指示器43Rが作動中である。そのため、CPUは、ステップ610にて「Yes」と判定してステップ615に進み、対向車両が存在しているか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(A2)が成立しているか否かを判定する。
【0145】
前述の仮定によれば、対向車両が存在している。そのため、CPUは、ステップ615にて「Yes」と判定してステップ620に進み、自車両予想経路と対向車両予想経路とが互いに交差しているか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(A3)が成立しているか否かを判定する。
【0146】
前述の仮定によれば、自車両予想経路と対向車両予想経路とが互いに交差している。そのため、CPUは、ステップ620にて「Yes」と判定してステップ625に進み、交点到達時間Tcが第1閾値時間Tth1以下であるか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(A4)が成立しているか否かを判定する。
【0147】
前述の仮定によれば、交点到達時間Tcは第1閾値時間Tth1以下である。そのため、CPUは、ステップ625にて「Yes」と判定してステップ630に進み、報知処理を開始する。
【0148】
具体的には、CPUは、車両10が対向車両と衝突する可能性が高いことを表す記号(対向車両警告記号)をディスプレイ46に表示する。加えて、CPUは、対向車両と衝突する可能性が高いことを表す警告音(対向車両警告音)をスピーカー47に発生させる。次いで、CPUは、ステップ695に進み、本ルーチンの処理を終了する。
【0149】
(ケースB)
報知処理が実行されておらず且つ第1先行報知条件が成立した状況となった後、最初に本ルーチンが実行されていると仮定する。例えば、
図3に示される例において、車両10が車両位置10bに到達した後、最初に本ルーチンが実行されている場合がこの仮定に該当する。
【0150】
この場合、条件(A1)及び条件(A2)が共に成立しているので、CPUは、ステップ610及びステップ615のそれぞれにて「Yes」と判定してステップ620に進む。前述の仮定によれば、経路交差報知条件は成立していない(即ち、条件(A3)は成立していない)。そのため、CPUは、ステップ620にて「No」と判定してステップ645に進み、現在の状態が「右折通過領域に右方区画線が含まれていない状態」であるか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(B3a)が成立しているか否か(換言すれば、条件(B3b)が成立していない状態であるか否か)を判定する。
【0151】
前述の仮定によれば、第1先行報知条件が成立しているので(即ち、条件(B3a)が成立しているので)、CPUは、ステップ645にて「Yes」と判定してステップ630に進み、報知処理を開始する。
【0152】
(ケースC)
報知処理が実行されておらず且つ第2先行報知条件が成立した状況となった後、最初に本ルーチンが実行されていると仮定する。例えば、
図4に示される例において、車両10が車両位置10fに到達した後、最初に本ルーチンが実行されている場合がこの仮定に該当する。
【0153】
この場合、条件(A1)及び条件(A2)が共に成立している一方、条件(A3)及び条件(B3a)は何れも成立していない。そのため、CPUは、ステップ610及びステップ615のそれぞれにて「Yes」と判定した後、ステップ620及びステップ645のそれぞれにて「No」と判定してステップ650に進む。
【0154】
ステップ650にてCPUは、車速Vsが第1閾値速度Vth1よりも小さいか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(B4)が成立しているか否かを判定する。前述の仮定によれば、車速Vsが第1閾値速度Vth1よりも小さいので、CPUは、ステップ650にて「Yes」と判定してステップ630に進み、報知処理を開始する。
【0155】
(ケースD)
次に、報知処理が実行されており且つ「報知終了条件」が成立していないと仮定する。報知終了条件は、報知処理を終了すべき場合に成立する条件であり、後述する。
【0156】
この場合、報知処理が既に実行されているので、CPUは、ステップ605にて「No」と判定してステップ635に進み、報知終了条件が成立しているか否かを判定する。前述の仮定によれば、報知終了条件は成立していないので、CPUは、ステップ635にて「No」と判定してステップ695に直接進む。即ち、報知処理が開始された後、報知終了条件が成立するまでの期間において報知処理が継続される。
【0157】
(ケースE)
報知処理が実行されており且つ報知終了条件が成立した後、最初に本ルーチンが実行されていると仮定する。
【0158】
<<報知終了条件>>
本実施形態における報知終了条件は、以下の条件(C1)乃至条件(C3)の少なくとも1つが成立したときに成立する条件である。
条件(C1):右方指示器43Rの作動が終了した(右方指示器43Rの状態が、作動状態から非作動状態へと変化した)。
条件(C2):対向車両が存在しなくなった。
条件(C3):車両10が停止した(車速Vsが「0」へと変化した。)。
【0159】
例えば、他車両(即ち、対向車両)が減速して物標走行速度Vcが他車両閾値速度Vcthよりも小さくなると、条件(d)が成立しなくなるので、その他車両は対向車両ではなくなる。この場合、条件(C2)が成立するので、報知終了条件が成立する。加えて、対向車両の存在に気づいた運転者が車両10を停止させると(即ち、車速Vsが「0」となると)、条件(C3)が成立するので、報知終了条件が成立する。
【0160】
前述の仮定によれば、報知終了条件が成立しているので、CPUは、ステップ635にて「Yes」と判定してステップ640に進み、報知処理を終了する。具体的には、CPUは、ディスプレイ46における上述した対向車両警告記号の表示を終了する。加えて、CPUは、スピーカー47による対向車両警告音の発生を終了させる。次いで、CPUは、ステップ695に直接進む。
【0161】
(他のケース)
報知処理が実行されておらず且つ条件(A1)が成立していない場合、CPUは、ステップ610にて「No」と判定してステップ695に直接進む。報知処理が実行されておらず且つ条件(A1)が成立しているが、条件(A2)が成立していない場合、CPUは、ステップ615にて「No」と判定してステップ695に直接進む。報知処理が実行されておらず且つ条件(A1)乃至条件(A3)が成立しているが、条件(A4)が成立していない場合、CPUは、ステップ625にて「No」と判定してステップ695に直接進む。報知処理が実行されておらず、条件(A1)、条件(A2)及び(B3b)が成立しているが、条件(B4)が成立していない場合、CPUは、ステップ650にて「No」と判定してステップ695に直接進む。
【0162】
以上、説明したように、ECU21を搭載した本報知装置は、車両10の操舵角度θsに基づいて取得される自車両予想経路と、対向車両の対向車両予想経路と、が互いに交差していなくても(即ち、経路交差報知条件が成立していなくても)、第1先行報知条件又は第2先行報知条件が成立したタイミングにて対向車両報知処理を実行する。即ち、本報知装置によれば、対向車両報知処理を早期に開始することが可能となる。加えて、
図5の例によって示されるように、車両10が右方に車線変更している場合(即ち、車両10が右折しようとしていない場合)、対向車両報知処理は実行されない。即ち、対向車両報知処理が不必要に作動されない。
【0163】
(本報知装置の第1変形例)
次に、本報知装置の第1変形例(第1変形装置)について説明する。上述した本報知装置は、経路交差報知条件、第1先行報知条件及び第2先行報知条件の少なくとも1つが成立した場合に対向車両報知処理を実行していた。これに対し、第1変形装置は、経路交差報知条件及び「第3先行報知条件」の少なくとも1つが成立した場合に対向車両報知処理を実行する。第3先行報知条件は、車両10の直前の位置を走行している他車両である「先行車両」の状態に基づいて成否が判定される条件である。以下、この相違点について説明する。
【0164】
<<第3先行報知条件>>
第3先行報知条件は、上述した条件(A1)及び条件(A2)、並びに、以下の条件(D3)が全て成立したときに成立する条件である。即ち、第3先行報知条件は以下の全てが成立したときに成立する。
条件(A1):右方指示器43Rが作動状態である(点滅している)。
条件(A2):対向車両が存在している。
条件(D3):先行車両の物標走行速度Vcが所定の第2閾値速度Vth2よりも大きい(即ち、Vc>Vth2)。第2閾値速度Vth2は、車両が右折する場合における一般的な走行速度の範囲の下限値と略一致するように予め設定されている。第2閾値速度Vth2は、便宜上、先行車両旋回閾値速度とも称呼される。先行車両の物標走行速度Vcが第2閾値速度Vth2以下の値から第2閾値速度Vth2よりも大きくなったとき、先行車両が右折(特定方向への旋回)を開始したと判定することができる。条件(D3)は自車両が特定方向への旋回を開始する可能性が高いと予測(推定)される場合に成立する条件である。
【0165】
第3先行報知条件について、
図7を参照しながら説明する。
図7において、車両10の現在位置は車両位置10nによって示される。本例において、運転者は、車両10を交差点にて右折させようとしている。具体的には、運転者は、車両10を車両位置10nから車両位置10oを経て車両位置10pに到達させようとしている。破線Le4は、運転者が意図している車両10の走行経路を示している。
【0166】
車両10が車両位置10nにある時点における自車両予想経路は、破線Lh5によって示される。車両10が車両位置10oにある時点における自車両予想経路は、
図7における破線Lh5の車両位置10nよりも紙面上方にある区間によって示される。
【0167】
図7に示される他車両64は、前方画像に基づいて検出された他車両(即ち、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標)である。車両10が車両位置10nにある時点における他車両64の位置は、他車両位置64nによって示される。車両10が車両位置10oにある時点における他車両62の位置は、他車両位置64oによって示される。
【0168】
運転者は、車両10が車両位置10oに到達したときに右方指示器43Rの作動(点滅)を開始させる。そのため、車両10が車両位置10oに到達したとき、条件(A1)が成立する。
【0169】
詳述は割愛されるが、少なくとも「車両10が車両位置10nから車両位置10oまでの区間を走行している期間」において、他車両64は対向車両の要件を満たし、以て、条件(A2)が成立する。一方、条件(A3)及び条件(A4)は、車両10が車両位置10oを通過した後、成立する。換言すれば、車両10が車両位置10oに到達した時点において条件(A3)及び条件(A4)は、何れも成立していない。本例においては、車両10が車両位置10oに到達した後の時点において、条件(A3)及び条件(A4)が成立し、その結果、経路交差報知条件が成立する。
【0170】
図7に示される他車両65は、前方画像に基づいて検出されたカメラ検出物標である。車両10が車両位置10nにある時点における他車両65の位置は、他車両位置65nによって示される。車両10が車両位置10oにある時点における他車両65の位置は、他車両位置65oによって示される。
【0171】
第1変形装置に係る車両制御ECU22(以下、単に「ECU22」とも称呼される。)は、車両10が車両位置10nから車両位置10oまでの区間を走行している期間において他車両65が先行車両であると判定する。
【0172】
<<<先行車両と判定する条件>>>
より具体的に述べると、先行車両は、上述した条件(a)及び条件(b)、並びに、以下の条件(f)及び条件(g)を全て満たすカメラ検出物標である。即ち、条件(a)、条件(b)、条件(f)及び条件(g)が全て成立していれば、先行車両が存在していると判定される。
条件(a):カメラ検出物標が存在していて、且つ、その物標種別が、「車両」である。
条件(b):そのカメラ検出物標の縦位置Dyが、正の値である(即ち、Dy>0)。
条件(f):そのカメラ検出物標の縦位置Dyが所定の距離Dy3よりも小さい(即ち、Dy<Dy3)。
条件(g):そのカメラ検出物標の左端位置が自車両予想経路の左方にあり且つ右端位置が自車両予想経路の右方にある。
【0173】
他車両65は、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標であるので、条件(a)が成立する。車両10が車両位置10nから車両位置10oまでの区間を走行する期間において他車両65は車両10に対して前方にあるので、縦位置Dyは正の値である。そのため、この期間において条件(b)が成立する。
【0174】
図7から理解されるように、車両10が車両位置10nにある時点における他車両65の縦位置Dyは距離Daであり、距離Daは距離Dy3よりも小さい(即ち、Da<Dy3)。そのため、条件(f)が成立する。
【0175】
この時点において、他車両65の左端位置は点Peであり、右端位置は点Pfである。点Pe(即ち、左端位置)は破線Lh5(即ち、自車両予想経路)の左方にあり、点Pf(即ち、右端位置)は破線Lh5の右方にある。そのため、条件(g)が成立する。
【0176】
本例において、車両10が車両位置10nから車両位置10oまでの区間を走行する期間において、条件(f)及び条件(g)が共に成立している。即ち、車両10が車両位置10nから車両位置10oまでの区間を走行する期間において、条件(a)、条件(b)、条件(f)及び条件(g)が全て成立している。そのため、この期間において他車両65は、先行車両の要件を満たしている。
【0177】
加えて、本例において、車両10が車両位置10nから車両位置10oまでの区間を走行する期間における他車両65(即ち、先行車両)の物標走行速度Vcは、第2閾値速度Vth2よりも大きい。即ち、車両10が車両位置10nから車両位置10oまでの区間を走行する期間において、条件(D3)が成立している。
【0178】
例えば、他車両65の運転者が対向車(本例において、他車両64)の存在に気づかないまま交差点を右折しようとする場合、他車両65の物標走行速度Vcが第2閾値速度Vth2よりも大きくなり得る。或いは、他車両65の運転者が、他車両64が交差点に到達するよりも前に他車両65を右折させようとする場合、他車両65の物標走行速度Vcが第2閾値速度Vth2よりも大きくなり得る。これらの場合、車両10の運転者が、対向車が存在していないと思い、他車両65の後に続いて車両10の右折を開始しようとする可能性がある。このような事態の発生を回避するため、条件(A1)及び条件(A2)に加えて条件(D3)が成立すると、対向車両報知処理が実行される。
【0179】
従って、車両10が車両位置10oに到達した時点において運転者の操作によって右方指示器43Rの作動が開始されると、条件(A1)が成立し、以て、第3先行報知条件が(経路交差報知条件が成立するよりも先に)成立する。即ち、車両10が車両位置10oに到達した時点にて対向車両報知処理が開始される。
【0180】
(第1変形装置の具体的作動)
第1変形装置に係るECU22のCPU31(以下、単に「CPU」とも称呼される。)は、
図6に示された「対向車両報知判定処理ルーチン」に代わり、
図8にフローチャートにより示された「対向車両報知判定処理ルーチン」を所定の時間が経過する毎に実行する。なお、以下において記述されるフローチャートのそれぞれに示されたステップであって
図6のフローチャートに示されたステップと同様の処理が実行されるステップには
図6と同一のステップ符号が付されている。
【0181】
従って、適当なタイミングとなると、CPUは、
図8のステップ800から処理を開始してステップ605以降のステップの処理を実行する。CPUは、ステップ620にて「No」と判定した場合(即ち、条件(A1)及び条件(A2)が成立している一方、条件(A3)が成立していない場合)、ステップ820に進む。
【0182】
ステップ820にてCPUは、先行車両が存在しているか否かを判定し、先行車両が存在している場合には当該先行車両の物標走行速度Vcが第2閾値速度(先行車両旋回閾値速度)Vth2よりも大きいか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(D3)が成立しているか否かを判定する。
【0183】
先行車両の物標走行速度Vcが第2閾値速度Vth2よりも大きれば(即ち、条件(D3)が成立していれば)、CPUは、ステップ820にて「Yes」と判定してステップ630に進み、報知処理を開始する。即ち、この場合、第3先行報知条件が成立している。次いで、CPUは、ステップ895に進み、本ルーチンの処理を終了する。
【0184】
一方、先行車両の物標走行速度Vcが第2閾値速度Vth2以下であれば(即ち、条件(A1)及び条件(A2)が共に成立しているが、条件(D3)が成立していなければ)、CPUは、ステップ820にて「No」と判定してステップ895に直接進む。なお、先行車両が存在していない場合にも、CPUはステップ820にて「No」と判定してステップ895に直接進む。
【0185】
以上、説明したように、第1変形装置は、先行車両に基づいて対向車両報知処理を実行すべきか否かを判定する。よって、第1変形装置は、経路交差報知条件が成立していなくても、第3先行報知条件が成立したタイミングにて対向車両報知処理を実行することができる。そのため、第1変形装置によれば、対向車両報知処理を早期に開始することが可能であり且つ対向車両報知処理が不必要に作動されない。なお、ECU22のCPU31は、前方画像(の履歴)に基いて「先行車両が右折(特定方向への旋回)」を開始したか否かを判定し、先行車両が右折を開始したと判定した場合に条件(D3)が成立したと判定するように構成されていてもよい。
【0186】
(本報知装置の第2変形例)
次に、本報知装置の第2変形例(第2変形装置)について説明する。上述した第1変形装置は、経路交差報知条件及び第3先行報知条件の少なくとも1つが成立した場合に対向車両報知処理を実行していた。これに対し、第2変形装置は、経路交差報知条件及び「第4先行報知条件」の少なくとも1つが成立した場合に対向車両報知処理を実行する。以下、この相違点について説明する。
【0187】
<<第4先行報知条件>>
第4先行報知条件は、条件(A1)及び条件(A2)、並びに、以下の条件(E3)が全て成立したときに成立する条件である。先行車両は、上述した条件(a)、条件(b)、条件(f)及び条件(g)を全て満たすカメラ検出物標である。
条件(A1):右方指示器43Rが作動状態である(点滅している)。
条件(A2):対向車両が存在している。
条件(E3):先行車両と判定されていた他車両が右方への旋回(即ち、右折)を開始した。条件(E3)は自車両が特定方向への旋回を開始する可能性が高いと予測(推定)される場合に成立する条件である。
【0188】
次に、第4先行報知条件について、
図9を参照しながら説明する。
図9において、車両10の現在位置は車両位置10rによって示される。本例において、運転者は、車両10を交差点にて右折させようとしている。具体的には、運転者は、車両10を車両位置10rから車両位置10sを経て車両位置10tに到達させようとしている。破線Le5は、運転者が意図している車両10の走行経路を示している。
【0189】
車両10が車両位置10rにある時点における自車両予想経路は、破線Lh6によって示される。車両10が車両位置10sにある時点における自車両予想経路は、
図9における破線Lh6の車両位置10sよりも紙面上方にある区間によって示される。
【0190】
図9に示される他車両66は、前方画像に基づいて検出された他車両(即ち、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標)である。車両10が車両位置10rにある時点における他車両66の位置は、他車両位置66rによって示される。車両10が車両位置10sにある時点における他車両66の位置は、他車両位置66sによって示される。
【0191】
運転者は、車両10が車両位置10rに到達したときに右方指示器43Rの作動(点滅)を開始させる。そのため、車両10が車両位置10rに到達したとき、条件(A1)が成立する。
【0192】
詳述は割愛されるが、少なくとも「車両10が車両位置10rから車両位置10sまでの区間を走行している期間」において、他車両66は対向車両の要件を満たし、以て、条件(A2)が成立する。一方、条件(A3)及び条件(A4)は、車両10が車両位置10sを通過した後、成立する。換言すれば、車両10が車両位置10sに到達した時点において条件(A3)及び条件(A4)は、何れも成立していない。本例においては、車両10が車両位置10sに到達した後の時点において、条件(A3)及び条件(A4)が成立し、その結果、経路交差報知条件が成立する。
【0193】
次に、条件(E3)について、
図9に示される他車両67を例に説明する。他車両(即ち、先行車両)67の運転者は、他車両66(即ち、対向車両)の存在に気づかずに交差点にて右折する可能性がある。或いは、他車両67の運転者は、他車両66が交差点に到達するよりも先に交差点における右折を行おうとする可能性がある。このような場合に車両10の運転者が対向車両(即ち、他車両66)は存在していないと誤解する可能性がある。そこで、条件(A1)及び条件(A2)が存在しているとき、条件(E3)が成立すると(即ち、先行車両が右折を開始すると)、対向車両報知処理が実行される。
【0194】
他車両67は、前方画像に基づいて検出されたカメラ検出物標である。車両10が車両位置10rにある時点における他車両67の位置は、他車両位置67rによって示される。車両10が車両位置10sにある時点における他車両65の位置は、他車両位置67sによって示される。
【0195】
詳述は割愛されるが、車両10が車両位置10rから車両位置10sまでの区間を走行する期間において、他車両67は条件(a)、条件(b)及び条件(f)を満たす。
【0196】
他車両位置67rにある他車両67の左端位置は点Pgによって示され、右端位置は点Phによって示される。他車両位置67sにある他車両67の左端位置は点Piによって示され、右端位置は点Pjによって示される。
【0197】
図9から理解されるように、他車両位置67rの左端位置である点Pgは、破線Lh6(即ち、車両位置10rにある車両10の自車両予想経路)よりも左方にあり、他車両位置67rの右端位置である点Phは破線Lh6よりも右方にある。そのため、車両10が車両位置10rにあるとき、条件(g)が成立するので、この時点において他車両67は先行車両であると判定される。
【0198】
一方、他車両位置67sの左端位置である点Pi及び他車両位置67sの右端位置である点Pjは、共に破線Lh6(即ち、車両位置10sにある車両10の自車両予想経路)よりも右方にある。より具体的には、他車両位置67sは左端位置が破線Lh6の左方から右方に遷移した直後の他車両67の位置を示している。即ち、車両10が車両位置10sに到達した時点にて、先行車両(他車両67)が自車両予想経路(破線Lh6)よりも車両10に対して右方に移動している。換言すれば、この時点にて先行車両と判定されていた他車両が右方への旋回を開始している。そのため、この時点にて条件(E3)が成立している。
【0199】
従って、車両10が車両位置10sに到達した時点において、条件(A1)及び条件(A2)に加えて条件(E3)が新たに成立し、以て、第4先行報知条件が(経路交差報知条件が成立するよりも先に)成立する。
【0200】
(第2変形装置の具体的作動)
第2変形装置に係る車両制御ECU23(以下、単に「ECU23」とも称呼される。)のCPU31(以下、単に「CPU」とも称呼される。)は、
図6に示された「対向車両報知判定処理ルーチン」に代わり、
図10にフローチャートにより示された「対向車両報知判定処理ルーチン」を所定の時間が経過する毎に実行する。
【0201】
従って、適当なタイミングとなると、CPUは、
図10のステップ1000から処理を開始してステップ605以降のステップの処理を実行する。CPUは、ステップ620にて「No」と判定した場合(即ち、条件(A1)及び条件(A2)が成立している一方、条件(A3)が成立していない場合)、ステップ1020に進む。
【0202】
ステップ1020にてCPUは、この時点の直前まで先行車両が存在していたか否かを判定し、先行車両が存在していた場合にはその先行車両と判定されていた他車両が右方への旋回を開始した後、最初に本ルーチンが実行されているか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(E3)が成立した後、最初に本ルーチンが実行されているか否かを判定する。
【0203】
条件E3が成立していれば、CPUは、ステップ1020にて「Yes」と判定してステップ630に進み、報知処理を開始する。即ち、この場合、第3先行報知条件が成立している。次いで、CPUは、ステップ1095に進み、本ルーチンの処理を終了する。
【0204】
一方、先行車両が右方への旋回を開始していなければ(条件E3が成立していなければ)、CPUは、ステップ1020にて「No」と判定してステップ1095に直接進む。
【0205】
以上、説明したように、第2変形装置は、先行車両に基づいて対向車両報知処理を実行すべきか否かを判定する。よって、第2変形装置は、経路交差報知条件が成立していなくても、第4先行報知条件が成立したタイミングにて対向車両報知処理を実行することができる。そのため、第2変形装置によれば、対向車両報知処理を早期に開始することが可能であり且つ対向車両報知処理が不必要に作動されない。
【0206】
(本報知装置の第3変形例)
本報知装置の第3変形例(第3変形装置)は、経路交差報知条件、「第5先行報知条件」、「第6先行報知条件」の少なくとも1つが成立した場合に対向車両報知処理を実行する。
【0207】
<<第5先行報知条件>>
第5先行報知条件は、上述した条件(A1)及び条件(A2)、並びに、以下の条件(F3)が全て成立したときに成立する条件である。即ち、第5先行報知条件は以下の全てが成立したときに成立する。
条件(A1):右方指示器43Rが作動状態である(点滅している)。
条件(A2):対向車両が存在している。
条件(F3):対向車両が右方隣接車線を走行している。即ち、対向車両が走行している対向車線と車両10の走行車線とが互いに隣接している。条件(F3)は、自車両が特定方向への旋回を開始する前に自車両の運転者が対向車両の存在を認識しておくべきである場合に成立する条件である。
【0208】
<<第6先行報知条件>>
第6先行報知条件は、上述した条件(A1)及び条件(A2)、並びに、以下の条件(F4)が全て成立したときに成立する条件である。即ち、第6先行報知条件は以下の全てが成立したときに成立する。
条件(A1):右方指示器43Rが作動状態である(点滅している)。
条件(A2):対向車両が存在している。
条件(F4):対向車両の横位置Dxの大きさ(横距離|Dx|)が所定の第1閾値距離Dth1よりも小さい(即ち、横距離|Dx|<Dth1)。第1閾値距離Dth1は、多くの場合における走行車線の幅よりも僅かな長さだけ大きな値に設定されている。条件(F4)は、自車両が特定方向への旋回を開始する前に自車両の運転者が対向車両の存在を認識しておくべきである場合に成立する条件である。
【0209】
第5先行報知条件及び第6先行報知条件について、
図11を参照しながら具体的に説明する。
図11において、車両10の現在位置は車両位置10uによって示される。本例において、運転者は、右方(右側)に隣接する車線への車線変更を行い、その後、車両10を交差点にて右折させようとしている。具体的には、運転者は、車両10を車両位置10uから車両位置10v乃至車両位置10xを経て車両位置10yへ到達させようとしている。破線Le6は、運転者が意図している車両10の走行経路を示している。
【0210】
図11に示される他車両68は、前方画像に基づいて検出された他車両(即ち、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標)である。車両10が車両位置10uにある時点における他車両68の位置は、他車両位置68uによって示される。車両10が車両位置10vにある時点における他車両68の位置は、他車両位置68vによって示される。車両10が車両位置10wにある時点における他車両68の位置は、他車両位置68wによって示される。車両10が車両位置10xにある時点における他車両68の位置は、他車両位置68xによって示される。
【0211】
他車両位置68uにある他車両68の対向車両予想経路は、破線Ls3によって示される。本例において、他車両68は直進している。
【0212】
運転者は、車両10が車両位置10uに到達したときに右方指示器43Rの作動(点滅)を開始させる。そのため、車両10が車両位置10uに到達したとき、条件(A1)が成立する。
【0213】
詳述は割愛されるが、少なくとも「車両10が車両位置10uから車両位置10xまでの区間を走行している期間」において、他車両68は対向車両の要件(上述した条件(a)乃至条件(e))を満たす。よって、条件(A2)が成立する。加えて、車両10が車両位置10xに到達した後の時点において、条件(A3)及び条件(A4)が共に成立し、その結果、経路交差報知条件が成立する。
【0214】
次に、第5先行報知条件の成否について説明する。第3変形装置に係る運転支援ECU24は、条件(A2)が成立していて(即ち、対向車両が存在していて)、且つ、後述する中間車線が存在しないと判定したとき、条件(F3)が成立していると判定する。即ち、ECU24は、対向車両が存在していて、且つ、中間車線が存在しないと判定したとき、対向車両が右方隣接車線を走行していると判定する。
中間車線は、対向車両が走行している対向車線と車両10の走行車線との間に位置する他の車線である。ECU24は、以下の条件(x1)及び条件(x2)が共に成立するとき中間車線が存在していると判定する。
条件(x1):右方区画線及び隣接右方区画線が共に検出されている。
条件(x2):対向車両予想経路(本例において、破線Ls3)が、車両10に対して隣接右方区画線よりも右方に位置している。
【0215】
具体的には、車両10が車両位置10uにあるとき、区画線Lm1が右方区画線として検出され且つ区画線Lm2が隣接右方区画線として検出されていて、区画線Lm1及び区画線Lm2によって画定される中間車線が存在している。この場合、対向車両予想経路(破線Ls3)は、車両10に対して隣接右方区画線(区画線Lm2)よりも右方にある。よって、条件(x1)及び条件(x2)が成立するので、ECU24は、中間車線が存在していると判定するから、この時点において条件(F3)は成立していないと判定する。
【0216】
その後、車両10が車両位置10vに到達すると、区画線Lm2が右方区画線として検出され且つ区画線Lm3が隣接右方区画線として検出される。破線Ls3(即ち、対向車両予想経路)は、区画線Lm3よりも車両10に対して左方にある。従って、この場合、中間車線が存在していないので(即ち、他車両68が右方隣接車線を走行しているので)、条件(F3)が成立し、以て、第5先行報知条件が成立する。
【0217】
次に、第6先行報知条件の成否について説明する。車両10が車両位置10uにあるとき、他車両位置68uにある他車両68の横位置Dxの大きさ|Dx|は、第1閾値距離Dth1よりも大きい。従って、この時点において、条件(F4)は成立していない。
【0218】
その後、車両10が、走行車線から車両10の右方に隣接する車線(即ち、区画線Lm1及び区画線Lm2によって画定される車線)へ車線変更を行いつつあるとき、他車両68の横位置Dxの大きさ|Dx|が減少する。そして、車両10が車両位置10wに到達すると、他車両68の横位置Dxの大きさ|Dx|が第1閾値距離Dth1よりも小さくなる。従って、車両10が車両位置10wに到達したときに条件(F4)が成立するので、第6先行報知条件が成立する。
【0219】
(第3変形装置の具体的作動)
第3変形装置に係る運転支援ECU24のCPU31(以下、単に「CPU」とも称呼される。)は、
図6に示された「対向車両報知判定処理ルーチン」に代わり、
図12にフローチャートにより示された「対向車両報知判定処理ルーチン」を所定の時間が経過する毎に実行する。
【0220】
従って、適当なタイミングとなると、CPUは、
図12のステップ1200から処理を開始してステップ605以降のステップの処理を実行する。CPUは、ステップ620にて「No」と判定した場合(即ち、条件(A1)及び条件(A2)が成立している一方、条件(A3)が成立していない場合)、ステップ1245に進む。
【0221】
ステップ1245にてCPUは、対向車両が右方隣接車線を走行しているか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(F3)が成立しているか否かを判定する。
【0222】
対向車両が右方隣接車線を走行していれば(即ち、条件(F3)が成立していれば)、CPUは、ステップ1245にて「Yes」と判定してステップ630に進み、報知処理を開始する。
【0223】
一方、対向車両が右方隣接車線を走行していなければ(即ち、条件(F3)が成立していなければ)、CPUは、ステップ1245にて「No」と判定してステップ1250に進む。ステップ1250にてCPUは、対向車両の横位置Dxの大きさである横距離|Dx|が第1閾値距離Dth1よりも小さいか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(F4)が成立しているか否かを判定する。
【0224】
対向車両の横位置Dxの大きさ|Dx|が第1閾値距離Dth1よりも小さければ(即ち、条件(F4)が成立してれば)、CPUは、ステップ1250にて「Yes」と判定してステップ630に進む。一方、対向車両の横位置Dxの大きさ|Dx|が第1閾値距離Dth1以上であれば(即ち、条件(F4)が成立していなければ)、CPUは、ステップ1250にて「No」と判定してステップ1295に直接進み、本ルーチンの処理を終了する。
【0225】
以上、説明したように、第3変形装置は、対向車両が右方隣接車線を走行している場合に対向車両報知処理を開始することができる。即ち、適切なタイミングにて対向車両報知処理を実行することができる。
【0226】
(本報知装置の第4変形例)
次に、本報知装置の第4変形例(第4変形装置)は、経路交差報知条件及び「第7先行報知条件」の少なくとも1つが成立した場合に対向車両報知処理を実行する。
【0227】
<<第7先行報知条件>>
第7先行報知条件は、上述した「条件(A1)、条件(A2)及び条件(B3a)」、並びに、以下に述べる条件(G4)が全て成立したときに成立する条件である。即ち、第7先行報知条件は、上述した第1先行報知条件が成立し、更に条件(G4)が成立したときに成立する。
条件(A1):右方指示器43Rが作動状態である(点滅している)。
条件(A2):対向車両が存在している。
条件(B3a):車両10の右折通過領域に右方区画線が含まれていない。
条件(G4):後述する「横断車両」が存在していない。
【0228】
第7先行報知条件について、
図13を参照しながら説明する。
図13において、車両10の現在位置は車両位置10zによって示される。本例において、運転者は、車両10を交差点にて右折させようとしている。具体的には、運転者は、車両10を車両位置10zから車両位置10A及び車両位置10Bを経て車両位置10Cへ到達させようとしている。破線Le7は、運転者が意図している車両10の走行経路を示している。
【0229】
図13に示される他車両69は、前方画像に基づいて検出された他車両(即ち、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標)である。車両10が車両位置10zにある時点における他車両69の位置は、他車両位置69zによって示される。車両10が車両位置10Aにある時点における他車両69の位置は、他車両位置69Aによって示される。車両10が車両位置10Bにある時点における他車両69の位置は、他車両位置69Bによって示される。
【0230】
他車両位置69zにある他車両69の対向車両予想経路は、破線Ls4によって示される。本例において、他車両69は直進している。
【0231】
運転者は、車両10が車両位置10zに到達したときに右方指示器43Rの作動(点滅)を開始させる。そのため、車両10が車両位置10zに到達したとき、条件(A1)が成立する。
【0232】
詳述は割愛されるが、少なくとも「車両10が車両位置10zから車両位置10Bまでの区間を走行している期間」において、他車両69は対向車両の要件(即ち、条件(a)乃至(e))を満たす。そのため、条件(A2)が成立する。一方、条件(A3)及び条件(A4)は、車両10が車両位置10Aを通過した後、成立する。換言すれば、車両10が車両位置10Aに到達した時点において条件(A3)及び条件(A4)は、何れも成立していない。本例においては、車両10が車両位置10Aから車両位置10Bに進む途中の時点において、条件(A3)及び条件(A4)が成立し、その結果、経路交差報知条件が成立する。
【0233】
一方、車両10が車両位置10Aに到達すると、車両10の右折通過領域である領域Rpnに右方区画線が含まれなくなる。つまり、車両10が車両位置10Aに到達した時点において条件(B3a)が成立する。
【0234】
図13に示される他車両71は、前方画像に基づいて検出された他車両(即ち、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標)である。車両10が車両位置10zにある時点における他車両71の位置は、他車両位置71zによって示される。車両10が車両位置10Aにある時点における他車両71の位置は、他車両位置71Aによって示される。車両10が車両位置10Bにある時点における他車両71の位置は、他車両位置71Bによって示される。
【0235】
第4変形装置に係る車両制御ECU25(以下、単に「ECU25」とも称呼される。)は、少なくとも「車両10が車両位置10zから車両位置10Bまでの区間を走行している期間」において他車両71が横断車両であると判定する。
【0236】
より具体的に述べると、横断車両は、上述した条件(a)、並びに、以下の条件(h)及び条件(i)を全て満たすカメラ検出物標である。即ち、以下に列挙した「条件(a)、条件(h)及び条件(i)」が全て成立していれば、ECU25は横断車両が存在していると判定する。その結果、ECU25は、条件(G4)が成立していないと判定する。なお、横断車両が存在しているとの条件は、便宜上、「禁止条件」とも称呼される。
条件(a):カメラ検出物標が存在していて、且つ、その物標種別が「車両」である。
条件(h):そのカメラ検出物標が対向車両とは別の物標(他車両)であり、そのカメラ検出物標の「横断車両予想経路」と、対向車両の対向車両予想経路と、が互いに交差する。
条件(i):交差時間Trが所定の第2閾値時間Tth2以下である(即ち、Tr≦Tth2)。
【0237】
他車両71は、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標であるので、条件(a)が成立する。条件(h)について説明する。横断車両予想経路は、そのカメラ検出物標の予想走行経路である。横断車両予想経路は、カメラ検出物標の位置(即ち、横位置Dx及び縦位置Dy)及び速度(即ち、横相対速度Vx及び縦相対速度Vy)に基づき、その速度及び移動方向が変化せずに維持されるとの仮定に基づいて取得される。
【0238】
図13において、他車両位置71zにある他車両71の横断車両予想経路は、破線Ls5によって示される。本例において、他車両71は直進している。そのため、他車両位置71Aにある他車両71の対向車両予想経路は、
図13における破線Ls5の他車両位置71Aよりも紙面右方にある区間よって示される。同様に、他車両位置71Bにある他車両71の対向車両予想経路は、
図13における破線Ls5の他車両位置71Bよりも紙面下右方にある区間よって示される。
【0239】
図13から理解されるように、破線Ls4と破線Ls5とは点Ps5にて互いに交差する。換言すれば、少なくとも「車両10が車両位置10zから車両位置10Bまでの区間を走行している期間」において他車両71の横断車両予想経路と他車両69の対向車両予想経路とが互いに交差するから、条件(h)が成立している。
【0240】
次に、条件(i)について説明する。交差時間Trは、横断車両予想経路を予想経路として有するカメラ検出物標が対向車両予想経路に到達するまでの時間である。現時点(即ち、車両10が車両位置10zにある時点)における他車両71の交差時間Trは、他車両71が他車両位置71zから点Ps5まで走行するのに要する時間である。本例において、車両10が車両位置10zに到達した時点にて交差時間Trが第2閾値時間Tth2と等しくなる。そのため、少なくとも「車両10が車両位置10zから車両位置10Bまでの区間を走行している期間」において条件(i)が成立している。
【0241】
換言すれば、少なくとも「車両10が車両位置10zから車両位置10Bまでの区間を走行している期間」において他車両71が横断車両の要件(即ち、条件(a)、条件(h)及び条件(i))を満たすので条件(G4)が成立しない。従って、第7先行報知条件は成立しない。そのため、ECU25は、車両10が車両位置10Bに到達したとき(即ち、経路交差報知条件が成立したとき)、報知処理を開始する。
【0242】
(第4変形装置の具体的作動)
第4変形装置に係るECU25のCPU31(以下、単に「CPU」とも称呼される。)は、
図6に示された「対向車両報知判定処理ルーチン」に代わり、
図14にフローチャートにより示された「対向車両報知判定処理ルーチン」を所定の時間が経過する毎に実行する。
【0243】
従って、適当なタイミングとなると、CPUは、
図14のステップ1400から処理を開始してステップ605以降のステップの処理を実行する。CPUは、ステップ620にて「No」と判定した場合(即ち、条件(A1)及び条件(A2)が成立している一方、条件(A3)が成立していない場合)、ステップ645に進む。
【0244】
CPUは、ステップ645にて「Yes」と判定した場合(即ち、条件(B3a)が成立している場合)、ステップ1450に進み、横断車両が存在していない状態であるか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(G4)が成立しているか否かを判定する。
【0245】
横断車両が存在していなければ(即ち、条件(G4)が成立していれば)、CPUは、ステップ1450にて「Yes」と判定してステップ630に進む。即ち、この場合、第7先行報知条件が成立しているので、CPUは、報知処理を開始する。
【0246】
一方、横断車両が存在していれば、CPUは、ステップ1450にて「No」と判定してステップ1495に進み、本ルーチンの処理を終了する。
【0247】
なお、ステップ645の判定条件が成立していなければ(即ち、条件(B3a)が成立していなければ)、CPUは、ステップ645にて「No」と判定してステップ1495に直接進む。
【0248】
以上、説明したように、第4変形装置によれば、横断車両が存在しているか否かに基づいて禁止条件の成否が判定される。そのため、第4変形装置によれば、対向車両報知処理が不必要に作動されない。
【0249】
(本報知装置の第5変形例)
本報知装置の第5変形例(第5変形装置)は、経路交差報知条件及び第1先行報知条件の少なくとも一方が成立した場合に対向車両報知処理を実行する。
【0250】
ただし、第5変形装置に係る車両制御ECU26(以下、単に「ECU26」とも称呼される。)は、第1先行報知条件が成立した場合、対向車両についての「停止履歴」が存在していない(保持されていない)ときには対向車両報知処理として、「第1報知処理」及び「第2報知処理」の両方を実行する。これに対し、第1先行報知条件が成立した場合、対向車両についての「停止履歴」が存在しているとき(保持されているとき)、対向車両報知処理として第2報知処理のみを実行する。
【0251】
第1報知処理は、スピーカー47を用いることなくディスプレイ46を用いて実行される報知処理である。第2報知処理は、ディスプレイ46を用いることなくスピーカー47を用いて実行される報知処理である。第1報知処理及び第2報知処理が共に実行される処理は、上述したECU21が実行する対向車両報知処理と同じである。即ち、上述したECU21は、経路交差報知条件、第1先行報知条件及び第2先行報知条件の中の少なくとも1つが成立したとき、第1報知処理及び第2報知処理を共に開始するように構成されていると言うことができる。
【0252】
ECU26は、第1先行報知条件が成立したとき、対向車両についての「停止履歴」が存在していれば、ディスプレイ46を用いることなくスピーカー47を用いた報知を行う。これに対し、ECUは、第1先行報知条件が成立したとき、対向車両についての「停止履歴」が存在していなければ、ディスプレイ46及びスピーカー47の両方を用いた報知を行う。
【0253】
次に、上述した停止履歴について説明する。ECU26は、対向車両の縦位置Dyが所定の第2閾値距離Dth2よりも小さい場合に当該対向車両の物標走行速度Vcが所定の第3閾値速度Vth3以下であるとき、その対向車両が停止したと判定する。第5変形例において、第3閾値速度Vth3は「0」である。ECU26は、対向車両が停止したと判定すると、その判定がなされた時点以降においてその対向車両に係る停止履歴を保持する。
【0254】
停止履歴が保持される対向車両の例について、
図15を参照しながら説明する。
図15において、車両10の現在位置は車両位置10Fによって示される。車両10は、車両位置10D及び車両位置10Eを経て車両位置10Fに到達している。実線Le8は、車両10が既に走行した経路を示している。
【0255】
運転者は、車両10が車両位置10Eに到達したときに右方指示器43Rの作動(点滅)を開始させている。そのため、車両10が車両位置10Eに到達したとき、条件(A1)が成立している。
【0256】
本例において、運転者は、車両10を信号機の無い交差点にて右折させようとしている。具体的には、運転者は、車両10を車両位置10Fから車両位置10Gを経て車両位置10Hへ到達させようとしている。破線Le9は、運転者が意図している車両10の走行経路を示している。
【0257】
図15に示される歩行者81は、横断歩道上を歩いて道路を横断したところである。歩行者81の現在位置は歩行者位置81Fによって示される。車両10が車両位置10Dにある時点における歩行者81の位置は、歩行者位置81Dによって示される。車両10が車両位置10Eにある時点における歩行者81の位置は、歩行者位置81Eによって示される。実線Lw1は、歩行者81が既に歩いた経路を示している。
【0258】
他車両72は、前方画像に基づいて検出された他車両(即ち、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標)であり、対向車両として認識された車両である。車両10が車両位置10Dから車両位置10Eまで走行する期間における他車両72の位置は、他車両位置72Dによって示される。より具体的に述べると、他車両72の前方にある横断歩道を歩行者81が歩いていたため、他車両72は、車両10が車両位置10Dから車両位置10Eまで走行する期間において他車両位置72Dにて停止していた。
【0259】
その後(即ち、歩行者81が道路の横断を完了した後)、他車両72は走行を再開している。車両10が車両位置10Fにある時点における他車両72の位置は、他車両位置72Fによって示される。実線Ls6は、他車両72が既に走行した経路を示している。
【0260】
車両10が車両位置10Gにある時点における他車両72の位置は、他車両位置72Gによって示される。他車両位置72Fにある他車両72の対向車両予想経路は、破線Ls7によって示される。本例において、他車両72は直進している。そのため、他車両位置72Gにある他車両72の対向車両予想経路は、
図15における破線Ls7の他車両位置72Gよりも紙面下方にある区間よって示される。
【0261】
この例において、他車両72の位置が他車両位置72Dに到達した時点以降において、他車両72の停止履歴が存在する。より具体的に述べると、車両10が車両位置10Dに到達した時点(他車両72の位置が他車両位置72Dに到達した時点)において、他車両72の物標走行速度Vcが第3閾値速度Vth3(=0)と等しくなり、且つ、その時点における他車両72の縦位置Dyは第2閾値距離Dth2よりも小さい。よって、ECU26は、対向車両である他車両72が停止したと判定する。よって、車両10が車両位置10Eに到達した時点において他車両72が走行を開始したが、他車両72の停止履歴は保持されている(存在している)。
【0262】
詳述は割愛されるが、少なくとも「車両10が車両位置10Fから車両位置10Gまでの区間を走行している期間」において、他車両72は対向車両の要件(即ち、条件(a)乃至(e))を満たすので、条件(A2)が成立する。しかしながら、車両10が車両位置10Fに到達した時点において条件(A3)及び条件(A4)は、何れも成立していない。なお、本例においては、車両10が車両位置10Gに到達した後の時点において、条件(A3)及び条件(A4)が成立し、その結果、経路交差報知条件が成立する。
【0263】
加えて、車両10が車両位置10Fに到達すると、車両10の右折通過領域である領域Rpoに右方区画線が含まれなくなる。つまり、車両10が車両位置10Fに到達した時点において条件(B3a)が成立する。従って、車両10が車両位置10Fに到達した地点において第1先行報知条件が成立する。
【0264】
この場合(即ち、第1先行報知条件が成立した場合)、上述したように、第5変形装置に係る車両制御ECU26は、対向車両についての「停止履歴」が存在しているときには対向車両報知処理として第2報知処理のみを実行する。よって、上述の例では対向車両(即ち、他車両72)の停止履歴が存在しているので、ECU26は、車両10が車両位置10Fに到達して第1先行報知条件が成立したとき第2報知処理(スピーカー47を用いて実行される報知処理)を開始する。その後、車両10が車両位置10Gに到達した場合(即ち、経路交差報知条件が成立した場合)、ECU26は、第1報知処理を開始する。即ち、ECU26は、第1報知処理(ディスプレイ46を用いて実行される報知処理)を第2報知処理に加えて実行する。
【0265】
これに対し、他車両72の停止履歴が存在していなければ、ECU26は、車両10が車両位置10Fに到達したときに第1報知処理及び第2報知処理を共に開始する。
【0266】
(第5変形装置の具体的作動)
第5変形装置に係る運転支援ECU26のCPU31(以下、単に「CPU」とも称呼される。)は、
図6に示された「対向車両報知判定処理ルーチン」に代わり、
図16にフローチャートにより示された「対向車両報知判定処理ルーチン」を所定の時間が経過する毎に実行する。
【0267】
従って、適当なタイミングとなると、CPUは、
図16のステップ1600から処理を開始してステップ1605に進み、第2報知処理が実行されていない状態であるか否かを判定する。換言すれば、第1報知処理及び第2報知処理が共に実行されているとき、及び、第2報知処理のみが実行されているとき、CPUは、ステップ1605にて「No」と判定し、ステップ635に進む。
【0268】
ステップ635の判定条件が成立していなければ(即ち、報知終了条件が成立していなければ)、CPUは、ステップ635にて「No」と判定してステップ610に進む。
【0269】
加えて、CPUがステップ1605に進んだ時点において、第2報知処理が実行されていなければ、CPUはステップ1605にて「Yes」と判定してステップ610に進む。
【0270】
CPUは、ステップ625にて「Yes」と判定した場合(即ち、経路交差報知条件が成立している場合)、ステップ1630に進み、第1報知処理を実行する。より具体的に述べると、第1報知処理が実行されていなければ(即ち、第1報知処理が既に開始されていなければ)、CPUは、ディスプレイ46に対向車両警告記号を表示することによって第1報知処理を開始する。一方、第1報知処理が実行されていれば、CPUは、第1報知処理の実行を継続する。
【0271】
次いで、CPUは、ステップ1632に進み、第2報知処理を実行する。より具体的に述べると、第2報知処理が実行されていなければ、(即ち、第2報知処理が既に開始されていなければ)、CPUは、スピーカー47に対向車両警告音を発生させることによって第2報知処理を開始する。一方、第2報知処理が実行されていれば、CPUは、第2報知処理の実行を継続する。その後、CPUは、ステップ1695に進み、本ルーチンの処理を終了する。
【0272】
CPUは、ステップ645にて「Yes」と判定した場合(即ち、経路交差報知条件は成立していないが、条件(B3a)が成立することにより第1先行報知条件が成立している場合)、ステップ1650に進む。CPUは、ステップ1650にて、対向車両についての停止履歴が保持されているか(存在しているか)否かを判定する。
【0273】
対向車両についての停止履歴が保持されていれば(存在していれば)、CPUは、ステップ1650にて「Yes」と判定してステップ1632に進み、対向車両報知処理として第2報知処理を実行する。一方、対向車両に停止履歴が保持されていなければ(存在していなければ)、CPUは、ステップ1650にて「No」と判定してステップ1630及びステップ1632に進む。この結果、対向車両報知処理として「第1報知処理及び第2報知処理」が共に実行される。
【0274】
第5変形装置によれば、対向車両についての停止履歴が存在しているか否かに基づいて禁止条件の成否が判定される。そのため、第5変形装置によれば、対向車両報知処理が不必要に作動されない。
【0275】
加えて、第5変形装置によれば、禁止条件が成立しているときには第2報知処理が実行されず、第1報知処理のみが実行される。従って、報知処理の実行に起因して運転者が煩わしさを覚える可能性を低減することができる。
【0276】
なお、対向車両に係る停止履歴が保持されている(存在している)ときに成立する条件は、便宜上、「禁止条件(停止履歴禁止条件)」とも称呼される。更に、第5変形装置の変形例は、停止履歴禁止条件が成立しているときには、第2報知処理のみならず第1報知処理をも禁止してもよい。即ち、CPUは、
図16のステップ1650にて「Yes」と判定した場合、ステップ1632に進むことなく、ステップ1695に直接進んでもよい。
【0277】
(本報知装置の第6変形例)
本報知装置の第6変形例(第6変形装置)は、経路交差報知条件、「第8先行報知条件」及び「第9先行報知条件」の少なくとも1つが成立した場合に対向車両報知処理を実行する。
【0278】
<<第8先行報知条件>>
第8先行報知条件は、上述した「条件(A1)、条件(A2)及び条件(B3a)」、並びに、以下に述べる「条件(H4a)及び条件(H5a)」が全て成立したときに成立する条件である。即ち、第8先行報知条件は以下の全てが成立したときに成立する。
条件(A1):右方指示器43Rが作動状態である(点滅している)。
条件(A2):対向車両が存在している。
条件(B3a):車両10の右折通過領域に右方区画線が含まれていない。
条件(H4a):車両10の車速Vsが所定の第4閾値速度Vth4以下である(即ち、Vs≦Vth4)。
条件(H5a):対向車両の横位置Dxの大きさ(横距離|Dx|)が所定の第3閾値距離Dth3よりも小さい(即ち、|Dx|<Dth3)。第3閾値距離Dth3は、対向車両が走行車線と隣接する車線(右方隣接車線)を走行しているときに取りうる横位置Dxの大きさ(横距離|Dx|)のうちの上限値と略一致するように予め設定されている。
【0279】
<<第9先行報知条件>>
第9先行報知条件は、上述した「条件(A1)、条件(A2)及び条件(B3a)」、並びに、以下に述べる「条件(H4b)及び条件(H5b)」が全て成立したときに成立する条件である。即ち、第9先行報知条件は以下の全てが成立したときに成立する。
条件(A1):右方指示器43Rが作動状態である(点滅している)。
条件(A2):対向車両が存在している。
条件(B3a):車両10の右折通過領域に右方区画線が含まれていない。
条件(H4b):車両10の車速Vsが第4閾値速度Vth4よりも大きい(即ち、Vs>Vth4)。
条件(H5b):対向車両の横位置Dxの大きさ(横距離|Dx|)が所定の第4閾値距離Dth4よりも小さい(即ち、|Dx|<Dth4)。第4閾値距離Dth4は、第3閾値距離Dth3よりも大きい値であり(即ち、Dth3<Dth4)、対向車両が「車両10に対して、右方隣接車線の更に右側に隣接する車線」を走行しているときに取りうる横位置Dxの大きさ(横距離|Dx|)うちの上限値と略一致するように予め設定されている。
【0280】
なお、第8先行報知条件に含まれる「条件(H4a)及び条件(H5a)」と、第9先行報知条件に含まれる「条件(H4b)及び条件(H5b)」と、の条件は、以下の条件(H6)としてまとめることができる。
条件(H6):対向車両の横位置Dxの大きさ(横距離|Dx|)が、車両10の車速Vsが大きくなるほど大きくなる横閾値距離(Dxyth)よりも小さい。
【0281】
第8先行報知条件について
図17を参照しながら説明する。
図17において、車両10の現在位置は車両位置10Jによって示される。本例において、運転者は、車両10を交差点にて右折させようとしている。具体的には、運転者は、車両10を車両位置10Jから車両位置10K及び車両位置10Lを経て車両位置10Mへ到達させようとしている。破線Le10は、運転者が意図している車両10の走行経路を示している。
【0282】
図17に示される他車両73は、前方画像に基づいて検出された他車両(即ち、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標)である。車両10が車両位置10Jにある時点における他車両73の位置は、他車両位置73Jによって示される。車両10が車両位置10Kにある時点における他車両73の位置は、他車両位置73Kによって示される。車両10が車両位置10Lにある時点における他車両73の位置は、他車両位置73Lによって示される。
【0283】
他車両位置73Jにある他車両73の対向車両予想経路は、破線Ls8によって示される。本例において、他車両73は直進している。
【0284】
運転者は、車両10が車両位置10Jに到達したときに右方指示器43Rの作動(点滅)を開始させる。そのため、車両10が車両位置10Jに到達したとき、条件(A1)が成立する。
【0285】
詳述は割愛されるが、少なくとも「車両10が車両位置10Jから車両位置10Lまでの区間を走行している期間」において、他車両73は対向車両の要件(即ち、条件(a)乃至(e))を満たす。そのため、この期間において条件(A2)が成立する。一方、車両10が車両位置10Kに到達した時点において条件(A3)及び条件(A4)は、何れも成立していない。なお、本例においては、車両10が車両位置10Lに到達した後の時点において、条件(A3)及び条件(A4)が成立し、その結果、経路交差報知条件が成立する。
【0286】
更に、車両10が車両位置10Kに到達すると、車両10の右折通過領域である領域Rppに右方区画線が含まれなくなる。つまり、車両10が車両位置10Kに到達した時点において条件(B3a)が成立する。
【0287】
本例において、車両10が車両位置10Kに到達した時点において、車速Vsが第4閾値速度Vth4以下である。よって、この時点にて条件(H4a)が成立している。更に、
図17から理解されるように、この時点における他車両73の横位置Dxの大きさ(|Dx|)は、第3閾値距離Dth3よりも小さいので、条件(H5a)が成立している。従って、車両10が車両位置10Kに到達した時点にて第8先行報知条件が成立する。
【0288】
次に、第9先行報知条件について
図18を参照しながら説明する。
図18において、車両10の現在位置は車両位置10Nによって示される。本例において、運転者は、車両10を交差点にて右折させようとしている。具体的には、運転者は、車両10を車両位置10Nから車両位置10P及び車両位置10Qを経て車両位置10Rへ到達させようとしている。破線Le11は、運転者が意図している車両10の走行経路を示している。
【0289】
図18に示される他車両74は、前方画像に基づいて検出された他車両(即ち、物標種別が「車両」であるカメラ検出物標)である。車両10が車両位置10Nにある時点における他車両74の位置は、他車両位置74Nによって示される。車両10が車両位置10Pにある時点における他車両74の位置は、他車両位置74Pによって示される。車両10が車両位置10Qにある時点における他車両74の位置は、他車両位置74Qによって示される。
【0290】
他車両位置74Nにある他車両74の対向車両予想経路は、破線Ls9によって示される。本例において、他車両74は直進している。
【0291】
運転者は、車両10が車両位置10Nに到達したときに右方指示器43Rの作動(点滅)を開始させる。そのため、車両10が車両位置10Nに到達したとき、条件(A1)が成立する。
【0292】
詳述は割愛されるが、少なくとも「車両10が車両位置10Nから車両位置10Qまでの区間を走行している期間」において、他車両74は対向車両の要件(a)乃至(e))を満たす。そのため、この期間において条件(A2)が成立する。一方、車両10が車両位置10Pに到達した時点において条件(A3)及び条件(A4)は、何れも成立していない。なお、本例においては、車両10が車両位置10Qに到達した後の時点において、条件(A3)及び条件(A4)が成立し、その結果、経路交差報知条件が成立する。
【0293】
更に、車両10が車両位置10Pに到達すると、車両10の右折通過領域である領域Rpqに右方区画線が含まれなくなる。つまり、車両10が車両位置10Pに到達した時点において条件(B3a)が成立する。
【0294】
本例において、車両10が車両位置10Pに到達した時点において、車速Vsが第4閾値速度Vth4よりも大きい。よって、この時点にて条件(H4b)が成立している。更に、
図18から理解されるように、この時点における他車両74の横位置Dxの大きさ(|Dx|)は、第4閾値距離Dth4よりも小さいので、条件(H5b)が成立している。従って、車両10が車両位置10Pに到達した時点にて第9先行報知条件が成立する。
【0295】
(第6変形装置の具体的作動)
第6変形装置に係る運転支援ECU27のCPU31(以下、単に「CPU」とも称呼される。)は、
図6に示された「対向車両報知判定処理ルーチン」に代わり、
図19にフローチャートにより示された「対向車両報知判定処理ルーチン」を所定の時間が経過する毎に実行する。
【0296】
従って、適当なタイミングとなると、CPUは、
図19のステップ1900から処理を開始してステップ605以降のステップの処理を実行する。CPUは、645にて「Yes」と判定した場合(即ち、条件(A1)、条件(A2)及び条件(B3a)が成立している場合)、ステップ1945に進み、車両10の車速Vsが第4閾値速度Vth4以下であるか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(H4a)が成立しているか否かを判定する。
【0297】
車速Vsが第4閾値速度Vth4以下であれば、CPUは、ステップ1945にて「Yes」と判定してステップ1950に進み、対向車両の横位置Dxの大きさ(|Dx|)が第3閾値距離Dth3よりも小さいか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(H5a)が成立しているか否かを判定する。
【0298】
対向車両の横位置Dxの大きさ(|Dx|)が第3閾値距離Dth3よりも小さければ、CPUは、ステップ1950にて「Yes」と判定してステップ630に進む。即ち、この場合、第8先行報知条件が成立しているので、CPUは、報知処理を開始する。
【0299】
一方、車速Vsが第4閾値速度Vth4よりも大きければ(即ち、条件(H4b)が成立していれば)、CPUは、ステップ1945にて「No」と判定してステップ1955に進み、対向車両の横位置Dxの大きさ(|Dx|)が第4閾値距離Dth4よりも小さいか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(H5b)が成立しているか否かを判定する。
【0300】
対向車両の横位置Dxが第4閾値距離Dth4よりも小さければ、CPUは、ステップ1955にて「Yes」と判定してステップ630に進む。即ち、この場合、第9先行報知条件が成立しているので、CPUは、報知処理を開始する。これに対し、対向車両の横位置Dxが第4閾値距離Dth4以上である場合、CPUは、ステップ1955にて「No」と判定してステップ1995に直接進む。
【0301】
なお、ステップ1950の判定条件が成立していなければ(即ち、対向車両の横位置Dxの大きさ(|Dx|)が第3閾値距離Dth3以上であれば)、CPUは、ステップ1950にて「No」と判定してステップ1995に直接進む。
【0302】
第6変形装置によれば、対向車両が右方隣接車線を走行している場合、及び、対向車両が右方隣接車線の更に右方の車線を走行している場合、のそれぞれにおいて、適切なタイミングにて対向車両報知処理を行うことができる。
【0303】
(本報知装置の第7変形例)
本報知装置の第7変形例(第7変形装置)は、経路交差報知条件及び「第10先行報知条件」の少なくとも1つが成立した場合に対向車両報知処理を実行する。
【0304】
<<第10先行報知条件>>
第10先行報知条件は、上述した「条件(A1)、条件(A2)及び条件(B3a)」、並びに、以下に述べる条件(J4)が全て成立したときに成立する条件である。即ち、第10先行報知条件は以下の全てが成立したときに成立する。
条件(A1):右方指示器43Rが作動状態である(点滅している)。
条件(A2):対向車両が存在している。
条件(B3a):車両10の右折通過領域に右方区画線が含まれていない。
条件(J4):後述する「禁止条件(特定禁止条件)」が成立していない。
【0305】
条件(J4)の禁止条件(特定禁止条件)は、以下の条件(j)、条件(k)及び条件(m)が全て成立したときに成立する条件である。
<<<特定禁止条件>>>
条件(j):操舵角度θsが所定の正の閾値角度θthよりも小さい(即ち、0<θth且つθs<θth)。即ち、操舵角度θsが対向車線を横切るように車両10を旋回させる向きの値であって、その操舵角度θsの大きさ|θs|が閾値角度θthよりも小さい(|θs|<θth)。
条件(k):ブレーキペダル操作量Bpが所定の閾値操作量Bthよりも大きい(即ち、Bp>Bth)。即ち、ブレーキが作動中である。
条件(m):車両10の車速Vsが所定の第5閾値速度Vth5以下である(即ち、Vs≦Vth5)。
【0306】
本変形例において閾値操作量Bthは「0」である。第5閾値速度Vth5は、便宜上、「特定速度」とも称呼される。
【0307】
(第7変形装置の具体的作動)
第7変形装置に係る運転支援ECU28のCPU31(以下、単に「CPU」とも称呼される。)は、
図6に示された「対向車両報知判定処理ルーチン」に代わり、
図20にフローチャートにより示された「対向車両報知判定処理ルーチン」を所定の時間が経過する毎に実行する。
【0308】
従って、適当なタイミングとなると、CPUは、
図20のステップ2000から処理を開始してステップ605以降のステップの処理を実行する。CPUは、645にて「Yes」と判定した場合(即ち、条件(A1)、条件(A2)及び条件(B3a)が成立している場合)、ステップ2050に進み、操舵角度θsが閾値角度θthよりも小さいか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(j)が成立しているか否かを判定する。
【0309】
操舵角度θsが閾値角度θth以上であれば(即ち、条件(j)が成立しておらず、以て、禁止条件(特定禁止条件)が成立していなければ)、CPUは、ステップ2050にて「No」と判定してステップ630に進む。即ち、この場合、第10先行報知条件が成立しているので、CPUは、報知処理を開始する。その後、CPUは、ステップ2095に進み本ルーチンの処理を終了する。
【0310】
一方、操舵角度θsが閾値角度θthよりも小さければ、CPUは、ステップ2050にて「Yes」と判定してステップ2055に進み、ブレーキペダル操作量Bpが閾値操作量Bthよりも大きいか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(k)が成立しているか否かを判定する。ブレーキペダル操作量Bpが閾値操作量Bth以下であれば(即ち、条件(k)が成立しておらず、以て、禁止条件(特定禁止条件)が成立していなければ)、CPUは、ステップ2055にて「No」と判定してステップ630に進んで報知処理を開始する。
【0311】
ブレーキペダル操作量Bpが閾値操作量Bthよりも大きければ、CPUは、ステップ2055にて「Yes」と判定してステップ2060に進み、車速Vsが第5閾値速度Vth5よりも小さいか否かを判定する。即ち、CPUは、条件(m)が成立しているか否かを判定する。車速Vsが第5閾値速度Vth5以上であれば(即ち、条件(m)が成立しておらず、以て、禁止条件(特定禁止条件)が成立していなければ)、CPUは、ステップ2060にて「No」と判定してステップ630に進んで報知処理を開始する。
【0312】
一方、車速Vsが第5閾値速度Vth5よりも小さければ(即ち、禁止条件が成立していれば)、CPUは、ステップ2060にて「Yes」と判定してステップ2095に直接進む。
【0313】
第7変形装置によれば、操舵角度θs、ブレーキペダル操作量Bp及び車速Vsに基づいて禁止条件の成否が判定される。そのため、そのため、第7変形装置によれば、対向車両報知処理が不必要に作動されない。
【0314】
(本報知装置の第8変形例)
次に、本報知装置の第8変形例(第8変形装置)について説明する。上述した本報知装置及び変形例は、条件(C1)乃至条件(C3)の少なくとも1つが成立すると、報知処理を終了していた。これに対し、第8変形装置は、後述する「第1報知終了条件」が成立した時点、及び、後述する「第2報知終了条件」が成立した状態が所定の第3閾値時間Tth3以上継続した時点、のうちの何れか先に到来した時点にて報知処理を終了する。以下、具体的に説明する。
【0315】
第1報知終了条件は、運転者による運転操作の状態に基づいて成立しているか否かが判定される。より具体的に述べると、第1報知終了条件は、車両10の運転者が対向車両の存在を認識している可能性が高いと判定(推定)されるときに成立する条件である。
【0316】
<<第1報知終了条件>>
本変形例において、第1報知終了条件は、以下に述べる終了条件(END11)及び終了条件(END12)が共に成立したときに成立する。
終了条件(END11):操舵角度θsの単位時間あたりの変化量である操舵速度Wsが負の値である。即ち、運転者が操舵ハンドル51を左方へ操作しつつある。
終了条件(END12):操舵速度Wsの大きさ絶対値|Ws|が所定の閾値角速度Wthよりも大きい(即ち、|Ws|>Wth>0)。閾値角速度Wthは、車両10の右折開始後に対向車両の存在に気づいた運転者が操舵ハンドル51を左方へ操作する場合における閾値角速度Wthの大きさの下限値に略一致するように予め設定されている。本変形例において、操舵角度センサ45は、便宜上、「運転状態センサ又は運転操作状態センサ」とも称呼される。
【0317】
<<第2報知終了条件>>
第2報知終了条件は、車両10の車速Vs及び周囲情報の少なくとも一方に基づいて判定される。より具体的に述べると、第2報知終了条件は、車両10が対向車両と衝突する可能性がなくなったと判定されるときに成立する条件である。本変形例において、第2報知終了条件は、条件(C2)が成立したとき(即ち、対向車両が存在しなくなったとき)に成立する条件である。
【0318】
(第8変形装置の具体的作動)
第8変形装置に係る運転支援ECU29(以下、単に「ECU29」とも称呼される。)のCPU31(以下、単に「CPU」とも称呼される。)は、
図6に示された「対向車両報知判定処理ルーチン」に代わり、
図21にフローチャートにより示された「対向車両報知判定処理ルーチン」を所定の時間が経過する毎に実行する。
図21に示したルーチンは、
図6に示したルーチンからステップ635及びステップ640を削除したルーチンである。
【0319】
加えて、CPUは、
図22にフローチャートにより示された「対向車両報知終了処理ルーチン」を第3閾値時間Tth3よりも短い所定の時間が経過する毎に実行する。
【0320】
なお、
図22のルーチンにて用いられる報知フラグXwの値は、車両10のイグニッション・スイッチ(不図示)に対するオン操作が行われたときにCPUにより実行される初期化ルーチン(不図示)によって「0」に設定される。
【0321】
適当なタイミングとなると、CPUは、
図21のステップ2100から処理を開始してステップ605に進む。CPUは、ステップ605にて「No」と判定すると、ステップ2195に直接進み、本ルーチンの処理を終了する。これに対し、CPUは、ステップ605にて「No」と判定すると、ステップ610以降のステップの処理を行う。これにより、経路交差報知条件、第1先行報知条件及び第2先行報知条件の中の少なくとも1つが成立すると報知処理が開始される(ステップ630)。
【0322】
適当なタイミングとなると、CPUは、
図22のステップ2200から処理を開始してステップ2205に進み、現時点の状態が、報知処理が実行されている状態であるか否かを判定する。現時点の状態が、報知処理が実行されている状態でなければ、CPUは、ステップ2205にて「No」と判定してステップ2295に進み、本ルーチンの処理を終了する。
【0323】
これに対し、現時点の状態が、報知処理が実行されている状態である場合、CPUは、ステップ2205にて「Yes」と判定してステップ2210に進み、上述した第1報知終了条件(車両10の右折開始後に対向車両の存在に気づいた運転者が操舵ハンドル51を左方向に操作するときに成立する条件)が成立しているか否かを判定する。即ち、CPUは、終了条件(END11)及び終了条件(END12)が共に成立しているか否かを判定する。第1報知終了条件が成立していれば、CPUは、ステップ2210にて「Yes」と判定してステップ640に進み、報知処理を終了する。
【0324】
次いで、CPUは、ステップ2245に進み、報知フラグXwの値が「1」であるか否かを判定する。後述するように、報知フラグXwの値は、報知処理の実行中に第2報知終了条件が成立したときに「1」に設定される(ステップ2270を参照。)。CPUがステップ2245に進んだとき、報知フラグXwの値が「1」であれば、CPUは、ステップ2245にて「Yes」と判定してステップ2250に進み、報知フラグXwの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ2295に進む。
【0325】
これに対し、CPUがステップ2245に進んだとき、報知フラグXwの値が「1」でなければ(即ち、報知フラグXwの値が「0」であれば)、CPUは、ステップ2245にて「No」と判定してステップ2295に直接進む。
【0326】
CPUがステップ2210に進んだとき、第1報知終了条件が成立していなければ、CPUは、ステップ2210にて「No」と判定してステップ2255に進み、第2報知終了条件が成立しているか否かを判定する。即ち、CPUは、対向車両が存在していないか否かを判定する。
【0327】
第2報知終了条件が成立していれば、CPUは、ステップ2255にて「Yes」と判定してステップ2260に進み、報知フラグXwの値が「1」であるか否かを判定する。報知フラグXwの値が「0」であれば、CPUは、ステップ2260にて「No」と判定してステップ2270に進み、報知フラグXwの値を「1」に設定する。加えて、CPUは、報知フラグXwの値が「1」に設定された時刻(フラグ変更時刻)をRAM33に記憶する。その後、CPUは、ステップ2295に進む。
【0328】
本ルーチンが次に実行されたとき、第1報知終了条件が成立しておらず且つ第2報知終了条件が成立した状態が継続していれば、CPUは、ステップ2205、ステップ2210及びステップ2255を経て2260に進む。CPUは、ステップ2260にて「Yes」と判定してステップ2265に進む。
【0329】
ステップ2265にてCPUは、報知フラグXwの値が「1」となった後、第3閾値時間Tth3以上経過しているか否かを判定する。具体的には、CPUは、現在時刻が、RAM33に記憶されたフラグ変更時刻から第3閾値時間Tth3以上経過した時刻以降の時刻であるか否かを判定する。
【0330】
報知フラグXwの値が「1」となった後、第3閾値時間Tth3以上経過していなければ、CPUは、ステップ2265にて「No」と判定してステップ2295に直接進む。これに対し、報知フラグXwの値が「1」となった後、第3閾値時間Tth3以上経過していれば、CPUは、ステップ2265にて「Yes」と判定してステップ640に進む。この場合、ステップ640にて報知処理が開始され且つステップ2250にて報知フラグXwの値が「0」に設定される。
【0331】
なお、ステップ2255の判定条件が成立していなければ(即ち、第2報知終了条件が成立していなければ)、CPUは、ステップ2255にて「No」と判定してステップ2245に進む。CPUは、ステップ2255にて「No」と判定した場合、ステップ2295に直接進んでもよい。
【0332】
第8変形装置によれば、第1報知終了条件が成立した場合(即ち、車両10の運転者が対向車両の存在に気づいたと推定される場合)、報知処理が直ちに終了される。更に、第8変形装置によれば、第2報知終了条件が成立した状態(対向車両が存在しない状態)が第3閾値時間Tth3以上に渡って継続したとき、報知処理が終了される。よって、より安全な状態が確認されたときに、報知処理を終了することができる。
【0333】
以上、本発明に係る報知装置の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態及び変形例に係る特定方向は右方であった。しかし、道路の右側を車両が通行するように定められた法規を有する地域(右側通行地域)においては、特定方向は左方となる。
【0334】
加えて、本実施形態において、右折通過領域は固定値(具体的には、距離Dx1、距離Dy1、距離Dy2及び車幅Wd)に基づいて画定される領域であった。しかし、右折通過領域はこれとは異なる領域であっても良い。例えば、右折通過領域のX軸方向の長さが、走行車線の幅(即ち、右方区画線と左方区画線との間の距離)が大きくなるほど大きくなるように右折通過領域が画定されても良い。
【0335】
加えて、本実施形態に係るECU21乃至ECU29のそれぞれは、上述した条件(a)乃至条件(e)が全て成立していれば、対向車両が存在していると判定していた。しかしながら、カメラ検出物標が対向車両であるか否かを判定するための条件は、これとは異なっていても良い。
【0336】
例えば、ECU21乃至ECU29のそれぞれは、カメラ検出物標の縦位置Dyが正の値であり且つ所定の第5閾値距離Dth5よりも小さいとき(即ち、0<Dy<Dth5)、条件(b)が成立していると判定するように構成されても良い。
【0337】
或いは、ECU21乃至ECU29のそれぞれは、条件(a)乃至条件(e)及び以下の条件(n)が全て成立しているときに対向車両が存在していると判定するように構成されても良い。
条件(n):そのカメラ検出物標の縦位置Dyを縦相対速度Vyにより除して得られる値である参照時間Ttの大きさが所定の基準時間Tsよりも小さい(即ち、|Tt|<Ts)。この場合、車両10との距離が比較的長い他車両、或いは、車両10に接近するまでに長い時間を要する他車両は、対向車両と判定されない。
【0338】
加えて、本実施形態に係るECU22及びECU23等は、自車両予想経路を直線又は曲線として取得し、その自車両予想経路と「他車両の左端位置及び当該他車両の右端位置」との位置関係に基づいて条件(g)が成立しているか否かを判定していた。しかしながら、条件(g)はこれとは異なっていても良い。例えば、ECU22及びECU23等は、自車両予想経路に対して左右方向に所定の幅(例えば、車幅Wdの半分(Wd/2)、或いは、車幅の半分にマージンαを加えた値(α+Wd/2))を有する帯状の領域を進行予想領域として取得するように構成されても良い。即ち、進行予測領域は、車両10が進行するときに通過するエリアであり、その幅が略車幅Wdのエリアである。そして、これらのECUのそれぞれは、この進行予想領域にカメラ検出物標(具体的には、他車両)の一部又は全部が含まれているとき、条件(g)が成立していると判定するように構成されても良い。
【0339】
加えて、右折通過領域に右方区画線(具体的には、白色又は黄色の実線又は破線によって描かれた路面標示)が含まれていれば、条件(B3b)が成立していると判定されていたが、右折通過領域に中央分離帯が含まれていたときにも条件(B3b)が成立していると判定されてもよい。
【0340】
加えて、本実施形態に係るECU22は、条件(A1)、条件(A2)及び条件(D3)が全て成立したとき、第3先行報知条件が成立していると判定していた。しかし、ECU22は、条件(A1)、条件(A2)及び条件(D3)、並びに、以下の条件(D4)が全て成立したときに第3先行報知条件が成立していると判定するように構成されても良い。
条件(D4):先行車両の右方側の方向指示器が作動(点滅)状態にあり、先行車両の左方側の方向指示器が不作動状態にある。
この場合、ECU22は前方画像の履歴(所定期間において取得された複数の前方画像)に基づいて先行車両の方向指示器が作動状態にあるかか否かを判定する。
【0341】
加えて、ECU25は、条件(a)、条件(h)及び条件(i)を全て満たすカメラ検出物標が横断車両であると判定していた。しかしながら、ECU25は、条件(a)、条件(h)、条件(i)及び以下に述べる条件(p)を全て満たすカメラ検出物標が横断車両であると判定するように構成されても良い。更に、ECU25は、条件(h)を条件(p)に置換し、条件(a)、条件(i)及び条件(p)を全て満たすカメラ検出物標が横断車両であると判定するように構成されても良い。
条件(p):そのカメラ検出物標が対向車両とは別の物標(他車両)であり、且つ、その物標の「横断車両予想経路」と、自車両予想経路と、が互いに交差する。
【0342】
加えて、ECU26は、対向車両の縦位置Dyが第2閾値距離Dth2よりも小さく且つ当該対向車両の物標走行速度Vcが所定の第3閾値速度Vth3以下であるとき、当該対向車両が停止したと判定していた。しかしながら、ECU26は、前方画像に基づいて検出された対向車両の物標走行速度Vcが第3閾値速度Vth3以下となったとき、縦位置Dyに関わらず当該対向車両が停止したと判定するように構成されても良い。
【0343】
加えて、ECU29は、操舵速度Wsに基づいて第1報知終了条件が成立しているか否かを判定していた。しかし、ECU29は、左側通行地域においては操舵角度θsが所定の負の閾値角度θthよりも小さいときに第1報知終了条件が成立していると判定するように構成されても良い。或いは、ECU29は、右通行地域においては操舵角度θsが所定の正の閾値角度θthよりも大きいときに第1報知終了条件が成立していると判定するように構成されても良い。更に、ECU29は、車両10のヨーレートの変化に基いて第1報知終了条件が成立していると判定するように構成されても良い。
【0344】
加えて、ECU29は、対向車両が存在しなくなったとき第2報知終了条件が成立したと判定していた。しかしながら、ECU29は、車速Vsが所定の閾値速度よりも大きいときに第2報知終了条件が成立していると判定するように構成されても良い。或いは、ECU29は、前方画像に基づいて対向車両の方向指示器が作動(点滅)しているか否かを判定し、対向車両の方向指示器が作動していると判定されたときに第2報知終了条件が成立していると判定するように構成されても良い。
【0345】
加えて、第3閾値速度Vth3及び閾値操作量Bthは、共に「0」であった。しかし、第3閾値速度Vth3及び閾値操作量Bthの一方又は両方は、「0」よりも大きい値(例えば、微少な値)であっても良い。
【0346】
加えて、本実施形態及び変形例において、対向車両及び先行車両は、前方画像に基づいて検出されていた。即ち、対向車両及び先行車両は、前方カメラ41を用いて検出されていた。しかし、対向車両及び先行車両の少なくとも一方は、前方カメラ41とは異なるセンサによって検出されても良い。例えば、対向車両及び先行車両の少なくとも一方は、LiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)装置又はミリ波レーダー装置によって検出されても良い。
【0347】
加えて、本実施形態に係るECU21乃至ECU29のそれぞれによって実現されていた機能は、複数のECUによって実現されても良い。例えば、前方画像に基づいて立体物標を検出する処理は、前方カメラ41に含まれるECUによって実行されても良い。
【符号の説明】
【0348】
10…車両、21…車両制御ECU、41…前方カメラ、42…ウインカーレバーセンサ、43…方向指示器、43L…左方指示器、43R…右方指示器、44…車速センサ、45…操舵角度センサ、46…ディスプレイ、47…スピーカー、48…スピーカー、51…操舵ハンドル、51a…ウインカーレバー、52…他車両、61-67…他車両。