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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】受配電装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/20 20060101AFI20250109BHJP
   H02B 3/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H02B1/20 S
H02B1/20 T
H02B3/00 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021021643
(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公開番号】P2022124081
(43)【公開日】2022-08-25
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古野 勝也
(72)【発明者】
【氏名】山本 達人
(72)【発明者】
【氏名】滿永 修二
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 拳
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-226715(JP,A)
【文献】特開平06-284520(JP,A)
【文献】特公昭63-037449(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3013435(JP,U)
【文献】特開昭50-080448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/20 - 1/38
H02B 1/46 - 7/08
H01R 9/00
H01R 9/15 - 9/28
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給する電力供給線に設けられる遮断器と、
前記遮断器の開閉を制御し、前記電力供給線の電気的な状態を示す複数のデジタル信号
を出力する制御装置と、
前記複数のデジタル信号と1対1に対応して設けられる複数のリレーを有する制御基板
と、
前記複数のリレーの出力端子の一部又は全部と接続される複数の第1端子を備える外線
端子台と、を備え
前記制御装置は、
前記電力の配電に関する物理量を計測する計測装置から出力される計測信号に応じたア
ナログ信号を生成する生成回路と、
前記アナログ信号が供給されるアナログ端子とを備え、
前記外線端子台は、前記アナログ端子と第4ケーブルを介して接続される第2端子を備
える、
受配電装置。
【請求項2】
電力を供給する電力供給線に設けられる遮断器と、
前記遮断器の開閉を制御し、前記電力供給線の電気的な状態を示す複数のデジタル信号
を出力する制御装置と、
前記複数のデジタル信号と1対1に対応して設けられる複数のリレーを有する制御基板
と、
前記複数のリレーの出力端子の一部又は全部と接続される複数の第1端子を備える外線
端子台と、を備え
前記複数のリレーは、第1リレーと第2リレーとを含み、
前記複数の第1端子は、前記第1リレーに対応する複数の第1リレー端子と、前記第2
リレーに対応する複数の第2リレー端子とを含み、
前記複数の第1リレー端子のうちいずれか一つの端子と、前記複数の第2リレー端子の
うちいずれか一つの端子とは、渡り配線を介して接続される、
受配電装置
【請求項3】
前記制御装置は、前記複数のデジタル信号が供給される第1コネクタを備え、
前記制御基板は、前記第1コネクタと第1ケーブルを介して接続される第2コネクタと
を備え、
前記制御基板及び前記外線端子台の少なくとも一方は、第3コネクタを備え、
前記制御基板及び前記外線端子台は第2ケーブルを介して接続される、
請求項1又は2に記載の受配電装置。
【請求項4】
前記第1ケーブルは、第1個別ケーブルと第2個別ケーブルとを有し、
前記第2ケーブルは、第3個別ケーブルと第4個別ケーブルとを有し、
前記第1個別ケーブルと前記第2個別ケーブルとを中継する第1中継端子台と、
前記第3個別ケーブルと前記第4個別ケーブルとを中継する第2中継端子台とを備える

請求項に記載の受配電装置。
【請求項5】
前記計測装置は、前記電力供給線を流れる電流又は前記電力供給線の電圧を計測し、
前記計測信号は前記電流の大きさ又は前記電圧の大きさを示す、
請求項1に記載の受配電装置。
【請求項6】
前記計測装置は、前記電力供給線の電圧を計測する計測器用変圧器であり、
前記計測信号は、前記電力供給線の電圧を変圧比に応じて減衰させた出力電圧である、
請求項5に記載の受配電装置。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記出力電圧を減衰比に応じて減衰させた計測電圧を出力する減衰回路と、
前記計測電圧の電圧値と基準電圧値との比較結果に基づいて、前記出力電圧が不足してい
る場合にアクティブとなる不足電圧検出信号を生成する制御回路とを備え、
前記不足電圧検出信号は、前記複数のデジタル信号に含まれる、
請求項6に記載の受配電装置。
【請求項8】
前記計測装置は、前記電力供給線の電流を計測する計測器用変流器であり、
前記計測信号は、前記電力供給線の電流を変流比に応じて減衰させた出力電流である、
請求項5に記載の受配電装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記出力電流を減衰比に応じて減衰させた計測電流を出力するトランスと、
前記計測電流の電流値が基準電流値を超える場合にアクティブとなる過電流検出信号を生
成する制御回路とを備え、
前記過電流検出信号は、前記複数のデジタル信号に含まれる、
請求項8に記載の受配電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力を受電及び配電する受配電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等の施設においては、電力を受電して施設に電力を配電する受配電装置が設けられる。受配電装置には、電力を供給する母線が引き込まれ、母線を断路可能とする真空遮断器が収納されることがある。また、受配電装置には真空遮断器を開閉制御する電子機器が収納される。また、電子機器は低電圧で動作するため、電子機器の出力信号を用いて、真空遮断器を直接制御することはできない。特許文献1には、補助リレーを備えた中継接続ユニットが開示されている。補助リレーは、真空遮断器を制御するための制御回路として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-196211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、受配電装置では母線を流れる電流及び電圧を検出することによって、何らかの異常を検出し、検出結果を一又は複数の監視装置に通知することがある。
しかし、従来の技術では、電子機器が異常を示す検出信号を生成するため、受配電装置が検出信号を伝送する能力が小さいといった問題があった。このため、受配電装置から監視装置までの距離が制限される、あるいは複数の監視装置に対して検出信号を伝送できないといった課題があった。
本開示は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、受配電装置で生成された信号を複数の監視装置に伝送する能力を向上することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本開示の受配電装置は、電力を供給する電力供給線に設けられる遮断器と、前記遮断器の開閉を制御し、前記電力供給線の電気的な状態を示す複数のデジタル信号を出力する制御装置と、前記複数のデジタル信号と1対1に対応して設けられる複数のリレーを有する制御基板と、前記複数のリレーの端子のうち、一部又は全部と接続される複数の第1端子を備える外線端子台と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】受配電装置1の構成例を示すブロック図である。
図2】制御装置10の構成例を示すブロック図である。
図3】制御基板20の構成例を示すブロック図である。
図4】リレーRnの構成例を示す回路図である。
図5】外線端子台30の構成例を示す説明図である。
図6】渡り配線を用いてオア回路を構成する場合の説明図である。
図7】渡り配線を用いてアンド回路を構成する場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本開示に係る実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法及び縮尺は実際のものと適宜異なる。また、以下に記載する実施形態は、本開示の好適な具体例である。このため、以下の実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
1.実施形態
図1は、本開示の実施形態に係る受配電装置1の構成例を示すブロック図である。受配電装置1は、母線L、制御装置10、制御基板20、外線端子台30、計測器用変圧器VT、真空遮断器VCB、計測器用変流器CT、及び零相電圧検出器ZPDを備える。なお、計測器用変圧器VT、計測器用変流器CT、及び零相電圧検出器ZPDは、電力の配電に関する物理量を計測する計測装置の一例である。
【0009】
母線Lは、3本の電力供給線L1~L3によって構成される。電力供給線L1~L3には三相交流電圧が給電される。
【0010】
計測器用変圧器VTは、一次巻線数と二次巻線数に応じて定まる変圧比で母線Lの電圧を減圧して出力する。例えば、R相の電力供給線L1とS相の電力供給線L2とが一次巻線に接続されており、交流電圧が6600Vであり、変圧比が60であるとする。この場合、計測器用変圧器VTの出力電圧は110Vとなる。計測器用変圧器VTの出力電圧Voutは制御装置10に供給される。出力電圧Voutは計測信号の一例である。
【0011】
真空遮断器VCBは、電力を供給する母線Lに設けられる。真空遮断器VCBは、遮断器の一例である。真空遮断器VCBは、真空バブルを備えており、真空バルブ内で接点の開閉が行われる。真空ではアークが速やかに消弧するため、真空遮断器VCBは、高電圧の遮断に好適である。真空遮断器VCBは、制御装置10から出力される制御信号CTLに基づいて、開閉制御を実行する。
【0012】
計測器用変流器CTは、母線Lに設けられる。計測器用変流器CTは、変流比に応じて、相ごとに大電流を小電流に変換して出力する。計測器用変流器CTの出力電流Ioutは、例えば、約5Aである。出力電流Ioutは、R相に対応する出力電流Ir、S相に対応する出力電流Is、及びT相に対応する出力電流Itで構成される。出力電流Ioutは制御装置10に供給される。出力電流Iout、出力電流Ir、出力電流Is、及び出力電流Itは、計測信号の一例である。
【0013】
零相電圧検出器ZPDは、母線Lに接続され、零相電圧を検出する。正常状態では、零相電圧は零となるが、三相の何れかの相に地絡が発生すると、零相電圧が上昇する。例えば、交流電圧が6600Vであり、R相に地絡が発生すると、零相電圧は11430Vとなる。零相電圧検出器ZPDは、例えば、電力供給線L1~L3と1対1に接続される3個の相コンデンサと、3個の相コンデンサと共通に接続される検出用コンデンサと、変圧器とを備える。相コンデンサの容量値と検出用コンデンサの容量値との率に応じて、検出用コンデンサの印加電圧が定まる。さらに、印加電圧を変圧器によって減圧された検出電圧Vdetが、零相電圧検出器ZPDから制御装置10に出力される。検出電圧Vdetは計測信号の一例である。
【0014】
図2は、制御装置10の構成例を示すブロック図である。図2に示されるように、制御装置10は、制御回路11、減衰回路12、及びトランス13~15を備える。減衰回路12は、出力電圧Voutを減衰比に応じて減衰させた計測電圧Vsを出力する。減衰回路12は、例えば、直列に接続された第1抵抗と第2抵抗で構成される。第1抵抗の一端に出力電圧Voutが印加される。第2抵抗の一端は接地される。第1抵抗の他端と第2抵抗の他端とは接続され、接続点から計測電圧Vsが出力される。第1抵抗の抵抗値をr1、第2抵抗の抵抗値をr2とした場合、減衰比は、r2/(r1+r2)となる。減衰比は、計測電圧Vsが制御回路11に入力可能な電圧となるように設定される。また、計測電圧Vsはアナログ端子Ta1に供給される。計測電圧Vsはアナログ信号の一例であり、減衰回路12は、計測信号に応じてアナログ信号を生成する生成回路の一例である。なお、減衰回路12はトランスで構成されてもよい。
【0015】
トランス13~15の一次側には、出力電流Ir、出力電流Is、及び出力電流Itが供給される。トランス13~15の二次側は制御回路11に接続される。トランス13~15は、制御回路11に入力できる程度に出力電流Ir、出力電流Is、及び出力電流Itの大きさを減衰させる。トランス13~15は、出力電流Ir、出力電流Is、及び出力電流Itを、減衰比に応じて減衰させた計測電流Isr、Iss、及びIstを出力する。制御回路11は、電流を電圧に変換する変換回路を備える。変換回路の出力信号は、電流値を示すアナログ信号である。制御回路11は、出力電流Irに対応するR相電流値信号Sr、出力電流Isに対応するS相電流値信号Ss、及び出力電流Itに対応するT相電流値信号Stをアナログ端子Ta2~Ta4へ出力する。トランス13~15及び変換回路は、生成回路の一例である。
【0016】
制御装置10は、アナログ端子Ta1~Ta4と1対1に対応するアナログ端子Tb1~Tb4を備える。アナログ端子Tb1~Tb4は接地される。そして、アナログ端子Ta1及びTb1に第3ケーブルC3が接続され、アナログ端子Ta2及びTb2に第4ケーブルC4が接続され、アナログ端子Ta3及びTb3に第5ケーブルC5が接続され、アナログ端子Ta4及びTb4に第4ケーブルC4が接続される。第3ケーブルC3、第4ケーブルC4、第5ケーブルC5、及び第6ケーブルC6は、ツイストペアで構成される。これらのケーブルをツイストペアで構成することによって、同相ノイズをキャンセルすることができる。制御装置10で生成されるアナログ信号は、第3ケーブルC3、第4ケーブルC4、第5ケーブルC5、及び第6ケーブルC6を介して外線端子台30に供給される。
【0017】
制御回路11は、変換回路の出力信号に基づいて計測電流Isr、計測電流Iss、及び計測電流Istの各電流値が、正常状態であるか異常状態であるかを判定する。具体的には、制御回路11は、計測電流Isr、計測電流Iss、及び計測電流Istの各電流値が、基準電流値以下である場合に正常状態と判定する。また、制御回路11は、出力電流Ir、出力電流Is、及び出力電流Itの各電流値が、基準電流値を超える場合に異常状態と判定する。制御回路11は、R相の電流が異常状態である場合にハイレベルとなり、R相の電流が通常状態の場合にローレベルとなる第1デジタル信号D1を生成する。制御回路11は、S相の電流が異常状態である場合にハイレベルとなり、S相の電流が通常状態の場合にローレベルとなる第2デジタル信号D2を生成する。制御回路11は、T相の電流が異常状態である場合にハイレベルとなり、T相の電流が通常状態の場合にローレベルとなる第3デジタル信号D3を生成する。さらに、制御回路11は、R相の電流、S相の電流、及びT相の電流のうち少なとも一つが異常状態である場合にハイレベルとなり、R相の電流、S相の電流、及びT相の電流の全てが正常状態である場合にローレベルとなる第4デジタル信号D4を生成する。第1デジタル信号D1、第2デジタル信号D2、第3デジタル信号D3及び第4デジタル信号D4は、過電流検出信号の一例である。
【0018】
また、制御回路11は、検出電圧Vdetに基づいて、零相電圧が異常状態の場合にハイレベルとなり、零相電圧が通常状態の場合にローレベルとなる第5デジタル信号D5を生成する。
【0019】
また、制御回路11は、計測電圧Vsに基づいて母線Lに給電される交流電圧の電圧値が不足していないかを判定する。具体的には計測電圧Vsの電圧値を基準電圧値と比較することによって、計測電圧Vsの電圧値が基準電圧値未満である場合に、ハイレベルとなり、計測電圧Vsの電圧値が基準電圧値以上である場合に、ローレベルとなる第6デジタル信号D6を生成する。第6デジタル信号D6は出力電圧Voutが、不足している場合にアクティブとなる不足電圧検出信号の一例である。制御回路11は、計測電圧Vsの電圧値と基準電圧値との比較結果に基づいて、不足電圧検出信号を生成する。
【0020】
さらに、制御回路11は、R相の電流、S相の電流、及びT相の電流のうち少なとも一つが異常状態である場合、零相電圧が異常状態の場合、あるいは、母線Lに給電される交流電圧の電圧値が不足している異常状態の場合に、ハイレベルとなる制御信号CTLを生成する。制御信号CTLは通常状態の場合にローレベルとなる。制御信号CTLの電圧レベルは、真空遮断器VCBを制御できるように設定されている。
【0021】
上述した第1~第6デジタル信号D1~D6は、基板上の配線を介して第1コネクタCN1に接続される。上述したように第1~第6デジタル信号D1~D6は、電力供給線L1~L3に流れる電流、または、電力供給線L1~L3に印加される電圧に基づいて定められる。したがって、第1~第6デジタル信号D1~D6は、電力供給線L1~L3の電気的な状態を示す。
【0022】
次に、制御基板20について説明する。図3は制御基板20の構成例を示すブロック図である。図3に示されるように制御基板20は、6個のリレーR1~R6、第2コネクタCN2、及び第3コネクタCN3を備える。制御基板20と制御装置10とは、図1に示されるように第1ケーブルC1及び第1中継端子台TB1を介して接続される。第1ケーブルC1は多芯ケーブルである。また、第1ケーブルC1は第1個別ケーブルC11と第2個別ケーブルC12とを備える。第1中継端子台TB1は、第1個別ケーブルC11と第2個別ケーブルC12とを中継する。第1ケーブルC1は、一方の端部にコネクタを備え、他方の端部にもコネクタを備える。具体的には、第1個別ケーブルC11及び第2個別ケーブルC12の各々は、一方の端部と他方の端部にコネクタを備える。第1ケーブルC1の一方の端部は、第1個別ケーブルC11の一方の端部に相当し、第1ケーブルC1の他方の端部は、第2個別ケーブルC12の他方の端部に相当する。したがって、受配電装置1の組み立て工程において、制御装置10の第1コネクタCN1に第1ケーブルC1の一方の端部に設けられたコネクタが接続され、制御基板20の第2コネクタCN2に第1ケーブルC1の他方の端部に設けられたコネクタが接続されれば、制御装置10と制御基板20とが接続される。このように多芯ケーブルとコネクタを利用することによって、作業範囲を縮小できる。よって、受配電装置1を組み立てるために必要な時間を大幅に削減できる。また配線の接続ミスを無くすことができる。加えて、第1中継端子台TB1を用いることによって、多様な装置に適用可能となる。具体的には、制御装置10の種類が変更された場合であっても、制御基板20と容易に接続できる。この結果、組み立て工程において作業範囲が縮小される。
【0023】
この例では、6個のリレーR1~R6は、同様に構成されている。nを1以上6以下の自然数とした場合、リレーRnの制御端子には、第nデジタル信号Dnが第2コネクタCN2を介して供給される。換言すれば、リレーR1~R6は、第1~第6デジタル信号D1~D6と1対1に対応して設けられる。
【0024】
図4はリレーRnの構成例を示す回路図である。図に示されるようにリレーRnは、出力端子201~205、制御端子206及び207、並びにスイッチSW1~SW3を備える。スイッチSW1は通常状態で閉状態であり、制御端子206と制御端子207の間に電流が流れると開状態となる。スイッチSW2及びSW3は通常状態で開状態であり、制御端子206と制御端子207の間に電流が流れると閉状態となる。出力端子202はb接点であり、出力端子203及び205はa接点であり、出力端子201及び204は共通端子として機能する。図4において、制御端子206と制御端子207との間には、図示せぬコイルが設けられる。この例では、制御端子206は接地され、制御端子207に第nデジタル信号Dnが供給される。リレーRnの出力端子201~205の各々は、配線を介して第3コネクタCN3に接続される。なお、リレーRnとタイマ回路とを組み合わせて使用されてもよい。この場合、タイマ回路の入力端子に第nデジタル信号Dnが入力され、タイマ回路の出力端子とリレーRnの制御端子とが接続される。タイマ回路は、第nデジタル信号Dnを所定時間だけ遅らせて、出力端子から出力する。
【0025】
制御基板20に設けられた6個のリレーR1~R6は、第1~第6デジタル信号D1~D6を複数の監視装置等の外部機器に伝送するために用いられる。一般にデジタル信号の振幅は数Vである。第1~第6デジタル信号D1~D6を制御装置10から伝送する場合を想定する。第1~第6デジタル信号D1~D6のハイレベルは数Vであるため、信号にノイズが重畳すると、監視装置が誤動作する可能性がある。また、第1~第6デジタル信号D1~D6の伝送距離が長い場合には、配線の浮遊容量が大きくなる。このため、制御装置10の制御回路11は、容量性の負荷を駆動する必要がある。したがって、制御回路11の出力段の回路規模が大きくなる。本実施形態は、監視装置等の外部機器に第1~第6デジタル信号D1~D6を確実に伝送するとともに、制御回路11の出力段の回路規模を小さくするために、リレーR1~R6を用いる。
【0026】
図1に示されるように、制御基板20と外線端子台30とは、第2ケーブルC2及び第2中継端子台TB2を介して接続される。第2ケーブルC2は多芯ケーブルである。また、第2ケーブルC2は第3個別ケーブルC21と第4個別ケーブルC22とを備える。第2ケーブルC2の一方の端部にはコネクタが設けられている。第2ケーブルC2のコネクタは制御基板20の第3コネクタCN3に接続される。第2ケーブルC2の他方の端部は、バラ線となっている。第2ケーブルC2の一方の端部は、第3個別ケーブルC21の一方の端部に相当し、第2ケーブルC2の他方の端部は、第4個別ケーブルC22の他方の端部に相当する。第3個別ケーブルC21の両方の端部にはコネクタが設けられている。第4個別ケーブルC22の一方の端部にはコネクタが設けられており、第4個別ケーブルC22の他方の端部は、バラ線となっている。第2中継端子台TB2は、第3個別ケーブルC21と第4個別ケーブルC22とを中継する。また、上述したように制御装置10で生成されたアナログ信号は、第3ケーブルC3、第4ケーブルC4、第5ケーブルC5及び第6ケーブルC6を介して、外線端子台30に供給される。外線端子台30を介して、各種の信号が複数の監視装置に出力される。受配電装置1の組み立て工程において、制御基板20の第3コネクタCN3に第2ケーブルC2の一方の端部に設けられたコネクタが接続される。このように多芯ケーブルとコネクタを利用することによって、作業範囲を縮小できる。加えて、第2中継端子台TB2を用いることによって、多様な装置に適用可能となる。具体的には、制御基板20の種類が変更された場合であっても、外線端子台30と容易に接続できる。この結果、組み立て工程において作業範囲が縮小される。
【0027】
図5に外線端子台30の構成例を示す。外線端子台30は、第3ケーブルC3を介してリレーR1~R6と接続される30個の第1端子T101~T130と、第2端子Ta21~Ta24及びTb21~Tb24を備える。30個の第1端子T101~T130は、1対1にリレーR1~R6の出力端子201~205と接続される。一方、第2端子Ta21~Ta24は、制御装置10のアナログ端子Ta1~Ta4と1対1に接続され、第2端子Tb21~Tb24は、制御装置10のアナログ端子Tb1~Tb4と1対1に接続される。外線端子台30を構成する各端子はネジ止めされる。
【0028】
次に、渡り配線を用いて、論理回路を構成する態様について説明する。図6は、渡り配線を用いたオア回路の構成例を示す説明図である。図6に示されるように、第1端子T116及びT126は渡り配線Laで接続され、第1端子T118及びT128は渡り配線Lbで接続され、第1端子T119及びT129は渡り配線Lcで接続され、第1端子T120及びT130は渡り配線Ldで接続される。この例では、リレーR4のスイッチSW2とリレーR6のスイッチSW2とが並列接続される。よって、第4デジタル信号D4及び第6デジタル信号D6のうちいずれか一方がハイレベルになる場合、第1端子T116と第1端子T118とは導通し、且つ、第1端子T119と第1端子T120とは導通する。したがって、オア回路が構成される。
【0029】
ここで、第4デジタル信号D4は、R相の電流、S相の電流、及びT相の電流のうち少なとも一つが異常状態である場合にハイレベルとなる。即ち、過電流が母線Lに流れる場合に、第4デジタル信号D4はアクティブになる。また、第6デジタル信号D6は、交流電圧が基準電圧に満たない不足電圧の状態で、アクティブになる。
【0030】
よって、渡り配線La~Lcを用いることによって、母線Lを流れる電流に異常がある場合、又は母線Lに印加される交流電圧に異常がある場合に、アクティブとなる信号を複数の監視装置に対して伝送できる。なお、図6に示されるリレーR4は、第1リレーの一例であり、リレーR6は第2リレーの一例である。また、第1端子T116~T120は、リレーR4に対応する複数の第1リレー端子の一例である。さらに、第1端子T126~T130は、リレーR6に対応する複数の第2リレー端子の一例である。
【0031】
図7は、渡り配線を用いたオア回路の構成例を示す説明図である。図7に示されるように、第1端子T118及びT126は渡り配線Leで接続され、第1端子T120及びT129は渡り配線Lfで接続される。この例では、リレーR4のスイッチSW2とリレーR6のスイッチSW2とが縦続接続される。よって、第4デジタル信号D4及び第6デジタル信号D6の両方がハイレベルになる場合、第1端子T116と第1端子T128とは導通し、且つ、第1端子T119と第1端子T130とは導通する。したがって、アンド回路が構成される。よって、渡り配線Le及びLfを用いることによって、母線Lを流れる電流に異常があり、且つ、母線Lに印加される交流電圧に異常がある場合に、アクティブとなる信号を複数の監視装置に対して伝送できる。
【0032】
以上説明したように、受配電装置1は、電力を供給する母線Lに設けられる真空遮断器VCBと、真空遮断器VCBの開閉を制御し、電力供給線L1~L3の電気的な状態を示す複数のデジタル信号D1~D6を出力する制御装置10と、 複数のデジタル信号D1~D6と1対1に対応して設けられる複数のリレーR1~R6を有する制御基板20と、複数のリレーR1~R6の出力端子201~205のうち、一部又は全部と接続される複数の第1端子T101~T130を備える外線端子台30と、を備える。 受配電装置1は、外線端子台30と接続される複数のリレーR1~R6を備えるので、複数の監視装置等の外部装置に対して複数のデジタル信号D1~D6を伝送できる。
【0033】
また、受配電装置1において、制御装置10は、複数のデジタル信号D1が供給される第1コネクタCN1を備え、制御基板20は、第1コネクタCN1と第1ケーブルC1を介して接続される第2コネクタCN2とを備える。そして、制御基板20及び外線端子台30の少なくとも一方は、第3コネクタCN3を備え、制御基板20及び外線端子台30は第2ケーブルC2を介して接続される。ここで、制御基板20は第3コネクタCN3を備えることが好ましい。この態様によれば、制御装置10と第1ケーブルC1とはコネクタを用いて接続されるので、受配電装置1の組み立て工数を削減できる。また、配線の接続ミスを低減できる。さらに、制御基板20と外線端子台30の少なくとも一方は第2ケーブルC2とコネクタを用いて接続されるので、受配電装置1を容易に組み立てることができる。
【0034】
制御装置10は、電力の配電に関する物理量を計測する計測装置から出力される計測信号に応じたアナログ信号を生成する生成回路と、アナログ信号が供給されるアナログ端子Ta1とを備える。計測装置には、計測器用変圧器VT及び計測器用変流器CTが含まれ得る。外線端子台30は、アナログ端子Ta1と第4ケーブルC4を介して接続される第2端子Ta21を備える。この態様によれば、外線端子台30は、デジタル信号の他にアナログ信号を出力できる。また、アナログ信号は、複数のデジタル信号に基づいて動作する制御基板20を経由することなく、第4ケーブルC4を介して制御装置10から外線端子台30へ供給される。このようにデジタル信号の伝送経路とアナログ信号の伝送経路とを分離したので、デジタル信号に起因するノイズがアナログ信号に重畳することが抑制される。
【0035】
計測装置は、例えば、計測器用変流器CTであり、電力供給線L1~L3を流れる電流を計測し、R相に対応する出力電流Ir、S相に対応する出力電流Is、及びT相に対応する出力電流Itが計測信号であってもよい。この態様によれば、電力供給線L1~L3を流れる電流に対応する出力電流Ir、出力電流Is、及び出力電流Itを制御装置10に取り込むことができる。
【0036】
計測装置は、電力供給線L1~L3を流れる電流又は電力供給線L1~L3の電圧を計測し、計測信号は電流の大きさ又は電圧の大きさを示すことが好ましい。
【0037】
計測装置は、電力供給線L1~L3の電圧を計測する計測器用変圧器VTであり、計測信号は、電力供給線L1~L3の電圧を変圧比に応じて減衰させた出力電圧Voutであることが好ましい。この態様によれば、制御装置10は、出力電圧Voutを取り込むことができる。
【0038】
制御装置10は、出力電圧Voutを減衰比に応じて減衰させた計測電圧Vsを出力する減衰回路12と、計測電圧Vsの電圧値と基準電圧値との比較結果に基づいて、出力電圧Voutが不足している場合にアクティブとなる不足電圧検出信号を生成する制御回路11とを備え、不足電圧検出信号は、複数のデジタル信号に含まれることが好ましい。この態様によれば、電力供給線L1~L3が低下している場合に、不足電圧検出信号を複数の監視装置に出力できるので、複数の監視装置を用いた保護協調を実施できる。
【0039】
計測装置は、電力供給線L1~L3の電流を計測する計測器用変流器CTであり、計測信号は、電力供給線L1~L3に流れる電流を変流比に応じて減衰させた出力電流Ioutであることが好ましい。この態様によれば、制御装置10は、出力電流Ioutを取り込むことができる。
【0040】
制御装置10は、出力電流Ioutを減衰比に応じて減衰させた計測電流Isr、 Iss、及びIstを出力するトランス13~15と、計測電流Isr、 Iss、及びIstの電流値が基準電流値を超える場合にアクティブとなる過電流検出信号を生成する制御回路11とを備え、過電流検出信号は、複数のデジタル信号に含まれることが好ましい。この態様によれば、電力供給線L1~L3に流れる電流が過大である場合に、過電流検出信号を複数の監視装置に出力できるので、複数の監視装置を用いた保護協調を実施できる。
【0041】
複数のリレーR1~R6は、第1リレーR4と第2リレーR6とを含み、複数の第1端子T101~T130は、第1リレーR4に対応する複数の第1リレー端子T116~T120と、第2リレーR6に対応する複数の第2リレー端子T126~T130とを含み、複数の第1リレー端子T116~T120のうちいずれか一つの端子T116と、複数の第2リレー端子T126~T130のうちいずれか一つの端子T126とは、渡り配線Laを介して接続されることが好ましい。
この態様によれば、渡り配線を用いて第1リレーR4と第2リレーとを接続するので、オア回路又はアンド回路といった各種の論理回路を構成できる。したがって、監視装置の監視対象とする項目に対応する信号を、外線端子台30において生成できる。
【0042】
2.変形例
(1)上述した実施形態においては、計測装置の一例として、零相電圧検出器ZPD、
計測器用変流器CT、及び計測器用変圧器VTを例示したが、本開示はこれに限定されない。計測装置は、電力の配電に関する物理量を計測する装置であれば、どのような装置であってもよい。計測装置として、例えば、地絡電流を検知する零相変流器であってもよい。
【0043】
(2)上述した実施形態においては、遮断器の一例として真空遮断器VCBを取り上げたが、本開示はこれに限定されない。遮断器として、例えば、真空電接触器を適用してもよい。
【0044】
(3)上述した実施形態において、第2ケーブルC2の他方の端部と外線端子台30にコネクタを設け、第2ケーブルC2の他方の端部に位置するコネクタと外線端子台30に設けられたコネクタとを接続してもよい。この場合には、第2ケーブルC2の両端にコネクタが設けられるので、さらに、受配電装置1の組み立てを容易にでき、配線ミスを無くすことができる。また、第2ケーブルC2の他方の端部と外線端子台30にコネクタを設け、制御基板20から第2コネクタCN2を除去してもよい。この場合、制御基板20と第2ケーブルC2とは、ばら線の状態で接続される。一方、第2ケーブルC2のコネクタと外線端子台30に設けられたコネクタとを接続すればよい。この態様では、制御基板20に第3コネクタCN3が設けられておらず、且つ外線端子台30にもコネクタが設けられていない場合と比較して、受配電装置1の組み立てを容易にでき、配線ミスを無くすことができる。
【0045】
(3)上述した実施形態において、第1ケーブルC1は第1個別ケーブルC11及び第2個別ケーブルC12を備え、第1個別ケーブルC11及び第2個別ケーブルC12は第1中継端子台TB1を介して、制御装置10と制御基板20とに接続される。本開示は、これに限定されるものではなく、第1ケーブルC1は、1本のケーブルで構成されてもよい。この場合、第1中継端子台TB1は不要となる。また、第2ケーブルC2は第3個別ケーブルC21及び第4個別ケーブルC22を備え、第3個別ケーブルC21及び第4個別ケーブルC22は第2中継端子台TB2を介して、制御基板20と外線端子台30とに接続される。本開示は、これに限定されるものではなく、第2ケーブルC2は、1本のケーブルで構成されてもよい。この場合、第2中継端子台TB2は不要となる。
【0046】
(4)上述した実施形態において、リレーR1~R6の出力端子T201~T205の全部が、第3コネクタCN3及び第2ケーブルC2を介して、外線端子台30の第1端子T101~T130に接続された。しかし、本開示はこれに限定されるものではなく、リレーR1~R6の出力端子T201~T205の一部が、第3コネクタCN3及び第2ケーブルC2を介して、第1端子T101~T130の一部に接続されてもよい。例えば、受配電装置1において、第5デジタル信号D5を監視装置に対して出力する必要がない場合、リレーR5の出力端子T201~T205と第3コネクタCN3とを接続する配線を設けなくてもよい。この場合、リレーR5の出力端子T201~T205は第1端子T121~T125と接続されない。
【符号の説明】
【0047】
1…受配電装置、10…制御装置、11…制御回路、12…減衰回路、13~1設け5…トランス、20…制御基板、30…外線端子台、ZPD…零相電圧検出器、CT…計測器用変流器、VCB…高圧遮断器、VT…計測器用変圧器、R1~R6…リレー、CN1…第1コネクタ、CN2…第2コネクタ、CN3…第3コネクタ,C1…第1ケーブル、C2…第2ケーブル、C3…第3ケーブル、Ta1~Ta4,Tb1~Tb4,…アナログ端子、T101~T130…第1端子、Ta21~Ta24, Tb21~Tb24…第2端子、La~Lf…渡り配線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7