(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】印刷制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20250109BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G06F3/12 339
G06F3/12 338
G06F3/12 373
G06F3/12 303
G06F3/12 389
B41J29/38 201
(21)【出願番号】P 2021026530
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 雄一郎
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-188477(JP,A)
【文献】特開2006-277264(JP,A)
【文献】特開2020-055218(JP,A)
【文献】特開2015-170003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書データと、前記文書データの印刷を制限する条件を示す制限情報を保持する外部装置に対して問合せが必要か否かを示す情報とを含む指示情報を受信し、
前記指示情報が前記問合せ要を示す情報を含む場合、前記外部装置に問い合わせて前記文書データに紐付いた前記制限情報が存在する場合に当該制限情報を取得し、
取得した前記制限情報の比較の対象となる情報が前記制限情報が示す条件を満たす場合、前記文書データの印刷を許可するプロセッサを備え
、
前記プロセッサは、前記指示情報が前記問合せ要を示す情報を含まない場合、及び前記指示情報が前記問合せ要を示す情報を含むが前記制限情報を取得できない場合、前記文書データの印刷を許可する、
印刷制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記比較の対象となる情報が前記制限情報が示す条件を満たす場合であって、前記文書データの機密性が高い場合
、前記文書データの印刷を許可し
、前記文書データの機密性が低い場合
、前記文書データの印刷を許可して当該印刷を履歴情報として記録させる、
請求項
1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記制限情報は、項目ごとに制限の有無及び制限の内容を設定できるように構成されている、
請求項1
又は2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記比較の対象となる情報が前記条件を満たさない場合、前記プロセッサは、前記条件を満たさない理由を出力する、
請求項1から
3のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記条件を満たさない理由を、前記制限情報を変更する権限を有する者の端末装置に送信する、
請求項
4に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記制限情報が示す条件は、前記文書データを印刷する印刷装置が設置されている場所及び前記文書データを印刷する時間を含む、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記制限情報が示す条件は、さらに印刷を要求する要求者の情報を含む、
請求項
6に記載の印刷制御装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記制限情報の変更の権限を有する者から前記制限情報の変更の要求があった場合、前記制限情報の変更を
受け付ける、
請求項1から
7のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項9】
コンピュータに、
文書データと、前記文書データの印刷を制限する条件を示す制限情報を保持する外部装置に対して問合せが必要か否かを示す情報とを含む指示情報を受信させ、
前記指示情報が前記問合せ要を示す情報を含む場合、前記外部装置に問い合わせて前記文書データに紐付いた前記制限情報が存在する場合に当該制限情報を取得させ、
取得した前記制限情報の比較の対象となる情報が前記制限情報が示す条件を満たす場合、前記文書データの印刷を許可させる
プログラムであって、
前記指示情報が前記問合せ要を示す情報を含まない場合、及び前記指示情報が前記問合せ要を示す情報を含むが前記制限情報を取得できない場合、前記文書データの印刷を許可させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、文書ファイルを印刷要求する印刷要求者が判断することなく、文書ファイルに設定された印刷制限の範囲内でのみ印刷を可能とする印刷システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載された印刷システムは、文書内容、印刷制限情報テーブル及び印刷要求情報テーブルを受け取り、印刷の可否を判定する印刷許可判定手段を備え、印刷許可判定手段は、印刷要求情報テーブルに含まれる印刷要求情報が印刷制限情報テーブルに含まれる印刷制限情報を満たす場合には、文書内容の印刷を許可する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、文書データの印刷を制限する制限情報を管理する者の意図に沿って文書データの出力を管理することができる印刷制御装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]文書データと、前記文書データの印刷を制限する条件を示す制限情報を保持する外部装置に対して問合せが必要か否かを示す情報とを含む指示情報を受信し、
前記指示情報が前記問合せ要を示す情報を含む場合、前記外部装置に問い合わせて前記文書データに紐付いた前記制限情報が存在する場合に当該制限情報を取得し、
取得した前記制限情報の比較の対象となる情報が前記制限情報が示す条件を満たす場合、前記文書データの印刷を許可するプロセッサを備え、
前記プロセッサは、前記指示情報が前記問合せ要を示す情報を含まない場合、及び前記指示情報が前記問合せ要を示す情報を含むが前記制限情報を取得できない場合、前記文書データの印刷を許可する、印刷制御装置。
[2]前記プロセッサは、前記比較の対象となる情報が前記制限情報が示す条件を満たす場合であって、前記文書データの機密性が高い場合、前記文書データの印刷を許可し、前記文書データの機密性が低い場合、前記文書データの印刷を許可して当該印刷を履歴情報として記録させる、前記[1]に記載の印刷制御装置。
[3]前記制限情報は、項目ごとに制限の有無及び制限の内容を設定できるように構成されている、前記[1]又は[2]に記載の印刷制御装置。
[4]前記比較の対象となる情報が前記条件を満たさない場合、前記プロセッサは、前記条件を満たさない理由を出力する、前記[1]から[3]のいずれか1つに記載の印刷制御装置。
[5]前記プロセッサは、前記条件を満たさない理由を、前記制限情報を変更する権限を有する者の端末装置に送信する、前記[4]に記載の印刷制御装置。
[6]前記制限情報が示す条件は、前記文書データを印刷する印刷装置が設置されている場所及び前記文書データを印刷する時間を含む、前記[1]から[5]のいずれか1つに記載の印刷制御装置。
[7]前記制限情報が示す条件は、さらに印刷を要求する要求者の情報を含む、前記[6]に記載の印刷制御装置。
[8]前記プロセッサは、前記制限情報の変更の権限を有する者から前記制限情報の変更の要求があった場合、前記制限情報の変更を受け付ける、前記[1]から[7]のいずれか1つに記載の印刷制御装置。
[9]コンピュータに、文書データと、前記文書データの印刷を制限する条件を示す制限情報を保持する外部装置に対して問合せが必要か否かを示す情報とを含む指示情報を受信させ、
前記指示情報が前記問合せ要を示す情報を含む場合、前記外部装置に問い合わせて前記文書データに紐付いた前記制限情報が存在する場合に当該制限情報を取得させ、
取得した前記制限情報の比較の対象となる情報が前記制限情報が示す条件を満たす場合、前記文書データの印刷を許可させるプログラムであって、
前記指示情報が前記問合せ要を示す情報を含まない場合、及び前記指示情報が前記問合せ要を示す情報を含むが前記制限情報を取得できない場合、前記文書データの印刷を許可させるプログラム。
【発明の効果】
【0007】
請求項1、9に係る発明によれば、文書データの印刷を制限する制限情報を管理する者の意図に沿って文書データの出力を管理することができる。
請求項2に係る発明によれば、機密性が低い文書データについては、印刷の制限を設ける代わりに当該印刷を履歴情報として管理することができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、制限情報の変更や設定を容易に行うことができる。
請求項4に係る発明によれば、制限情報が示す条件のどの項目を変更すれば、印刷が許可されるかを知ることができる。
請求項5に係る発明によれば、印刷を要求する要求者から制限情報の変更要求が無くても、制限情報を変更する権限を有する者は、印刷が許可されるように制限情報を変更することができる。
請求項6に係る発明によれば、印刷を許可する場所と時間で印刷を制限することができる。
請求項7に係る発明によれば、印刷を要求する要求者で印刷を制限することができる。
請求項8に係る発明によれば、制限情報の変更の権限を有する者の意図に沿って制限情報を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷システムの概略の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、チケット管理情報テーブルの一例を示す図である。
【
図3】
図3(a)は、文書の機密レベルが「高」用の印刷制限情報チケットの一例を示す図、
図3(b)は、文書の機密レベルが「低」用の印刷制限情報チケットの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、履歴情報テーブルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、印刷装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、プリントジョブの構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、印刷装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図7に示すステップS2の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0010】
[実施の形態の要約]
本実施の形態に係る印刷制御装置は、文書データと、文書データの印刷を制限する条件を示す制限情報を保持する外部装置に対して問合せが必要か否かを示す情報とを含む指示情報を受信し、指示情報が問合せ要を示す情報を含む場合、外部装置に問い合わせて文書データに紐付いた制限情報が存在する場合に当該制限情報を取得し、取得した制限情報の比較の対象となる情報が制限情報が示す条件を満たす場合、文書データの印刷を許可するプロセッサを備える。
【0011】
文書データは、文字が書かれた文書の他に、図形、画像、動画、音声等を含むものでもよい。文書データには、機密性の程度が異なるものがある。すなわち、文書データには、機密性を要するものと、要しないものとがあり、機密性を要するものには、機密性が高いものや低いもの等がある。機密性の程度は、例えば、機密レベルで表現してもよく、機密性を要しないものから機密性が高いものまで、機密レベル0、1、機密レベル0、1、2、機密レベル0、1、2、3、・・・等のように複数の段階の機密レベルで表現してもよい。
【0012】
制限情報は、印刷を許可する条件で表現してもよく、印刷を禁止する条件で表現してもよい。条件は、AND条件でもOR条件でもよい。
【0013】
制限情報、及びこれとの比較の対象となる情報には、例えば、次のものがある。
(a)印刷に使用する印刷装置が設置されている場所の情報
場所の情報は、都道府県単位でも、関東地方、東北地方等の地方単位でも、区や市町村単位でもよい。
(b)印刷する時間
開始時間と終了時間との時間帯、午前/午後、曜日等の単位でもよい。
(c)印刷を要求する者の情報
例えば、ユーザID、ユーザ名等の個人を特定する情報、個人が所属する部門、グループ等の組織を特定する情報等が該当する。
(d)印刷設定情報に関する情報
印刷設定情報とは、使用するトレイ(記録用紙サイズ、用紙方向、紙質などが特定される。)、拡大・縮小サイズ、白黒・カラー印刷、片面又は両面印刷、Nアップ印刷(Nページ分の画像を1枚の用紙に印刷すること)、印刷部数等の印刷設定に関する情報をいう。また、印刷設定情報は、印刷を許可する特定のページ、又は印刷を禁止する特定のページを含んでもよい。印刷を禁止する特定のページとして、例えば、文書全体は機密性を要しないが、特定のページのみが機密性を要する場合が該当する。
(e)上記(a)~(d)を組み合わせたもの
例えば、(c)と(d)の組合せとして、特定の部門にはカラー印刷を許可し、特定の部門以外の部門にはカラー印刷を禁止し、白黒印刷のみを許可する場合が該当する。
【0014】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷システムの概略の構成の一例を示す図である。この印刷システム1は、複数の印刷装置2と、サーバ3と、印刷装置2の利用者(ユーザ、印刷要求者ともいう。)が使用する複数のユーザ端末4と、管理者が使用する管理者端末5と、これらの印刷装置2、サーバ3、ユーザ端末4及び管理者端末5を接続するネットワーク6とを備える。印刷装置2は、印刷制御装置が適用された画像形成装置の一例である。サーバ3は、外部装置の一例である。ユーザは、印刷を要求する者の一例である。管理者は、制限情報を変更する権限を有する者の一例である。
【0015】
なお、同図では、複数の印刷装置2を図示しているが、1つの印刷装置2をネットワーク6に接続して構成してもよい。また、印刷装置2が設置される場所は、例えば、同一企業の同じ建物内でもよいし、本社と支社のように異なる建物内でもよい。また、印刷装置2が設置される場所は、同一企業に限られず、学校、病院、シェアオフィス、コンビニエンスストア等の施設内でもよい。
【0016】
サーバ3は、チケット管理情報テーブル30(
図2参照)と、機密レベルが異なる文書に対する印刷制限情報チケット31a、31b(これらを総称するときは、以下「印刷制限情報チケット31」ともいう。)(
図3参照)と、履歴情報テーブル32(
図4参照)とを保持している。機密レベルとは、機密性の程度を示すものであり、機密レベルが高い程、機密性が高いことを示す。
【0017】
チケット管理情報テーブル30は、文書と印刷制限情報チケット31とを紐づけたテーブルである。印刷制限情報チケット31は、文書ごとに印刷を制限する条件を記録したものである。履歴情報テーブル32は、ユーザごとに印刷装置2の利用実績を記録したものである。
【0018】
ユーザ端末4及び管理者端末5は、パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理端末である。なお、ユーザ端末4及び管理者端末5は、ノート型パソコン、タブレット端末等の携帯型情報処理端末や、多機能携帯電話機(スマートフォン)等の移動通信端末でもよい。
【0019】
ユーザ端末4は、プリンタドライバにより、文書データを、印刷装置2が解釈できる印刷データ、例えば、ページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述された印刷データに変換し、この印刷データに、印刷の実行に必要な各種の設定(例えば、両面/片面や部数等の各種の印刷の条件等)を記録した印刷設定情報、及びユーザを識別するユーザID、文書を識別する文書IDを付加し、プリントジョブとしてユーザにより指定された印刷装置2に送信する。後処理を実施したい場合は、プリンタドライバは、プリントジョブに後処理の内容を示す後処理情報を付加する。プリントジョブの構成については、後述する。
【0020】
ネットワーク6は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、インターネット等であり、有線でも無線でもよい。
【0021】
図2は、チケット管理情報テーブル30の一例を示す図である。チケット管理情報テーブル30は、「文書ID」、「チケットID」の各項目を有する。これらの項目からなるチケット管理情報は、管理者の操作に基づいてサーバ3により記録される。
【0022】
「文書ID」には、処理対象の文書を識別する文書IDが記録される。「チケットID」には、印刷制限情報チケット31を識別するチケットIDが記録される。チケット管理情報テーブル30により処理対象の文書と印刷制限情報チケット31とが文書IDとチケットIDを用いて紐付けられる。
【0023】
(印刷制限情報チケットの構成)
図3(a)は、文書の機密レベルが「高」用の印刷制限情報チケット31aの一例を示す図、
図3(b)は、文書の機密レベルが「低」用の印刷制限情報チケット31bの一例を示す図である。
【0024】
印刷制限情報チケット31は、印刷制限情報が項目ごとに制限の有無及び制限の内容を設定できるように構成されている。すなわち、印刷制限情報チケット31は、「チケットID」、「文書ID」、「機密レベル」で特定される印刷対象に関する情報(印刷対象情報ともいう。)について、「印刷要求者」、「用紙種類」、「印刷可能回数」、「制御情報」(印刷設定情報及び後処理情報を含む。)、「印刷可能場所」、「印刷可能時間」の複数の項目からなる印刷制限情報は、管理者の操作によりサーバ3により記録される。なお、印刷制限情報の項目は、上記のものに限られない。また、印刷制限情報の項目は、制限が不要の場合は除かれるか、内容が記録されず、他に必要な項目があれば追加される。
図3に示す印刷制限情報の項目は、全ての項目が満たされた場合に印刷が許可されるAND条件で設定されている。なお、印刷制限情報の項目は、印刷を許可する条件としてOR条件で設定されてもよく、印刷を禁止する条件としてAND条件又はOR条件で設定されてもよい。
【0025】
図3(a)に示す印刷制限情報チケット31aは、チケットID「Tiket001」、文書ID「D001」、文書の機密レベルが「高」の印刷対象情報に関するものである。同図に示す場合、印刷を行える「印刷要求者」はUserAに制限されている。また、「用紙種類」が普通紙、「印刷可能枚数」が5回、「制御情報」が片面/2Up/後処理無し、「印刷可能場所」が横浜市保土ヶ谷区内、「印刷可能時間」が10:00~11:00にそれぞれ制限されている。
【0026】
図3(b)に示す印刷制限情報チケット31bは、チケットID「Tiket002」、文書ID「D002」、文書の機密レベルが「低」の印刷対象情報に関するものである。同図に示す場合、印刷を行える「印刷要求者」は空欄であるので、制限されていない。また、「用紙種類」、「制御情報」、「印刷可能場所」、「印刷可能時間」もそれぞれ空欄であるので制限されていない。
図3(a)、(b)に示す印刷制限情報チケット31a、31bにおいて、「印刷要求者」は、要求者の情報の一例である。なお、
図3(b)に示す印刷制限情報チケット31bにおいて、「印刷要求者」、「用紙種類」、「印刷可能回数」、「制御情報」、「印刷可能場所」、「印刷可能時間」のいずれかの項目で印刷を制限してもよい。また、
図3(a)に示す印刷制限情報チケット31aよりも印刷制限情報の項目数を少なくしてそれぞれの項目で印刷を制限してもよい。
【0027】
(履歴情報テーブルの構成)
図4は、履歴情報テーブル32の一例を示す図である。履歴情報テーブル32は、ユーザIDごとに設けられている。同図は、ユーザID「UserA」に関するものである。履歴情報テーブル32は、「文書ID」、「印刷」等の複数の項目を有する。これらの項目からなる履歴情報は、印刷装置2から定期的に送信される利用実績を示す情報に基づいて、及び後述する必要なタイミングでサーバ3により記録される。
【0028】
「文書ID」には、
図2と同様に、処理対象の文書を識別する文書IDが記録される。「印刷」には、コピー及びプリントの合計印刷枚数が記録される。「印刷」の他に「スキャン」等の項目を設けてもよい。
【0029】
(印刷装置の構成)
図5は、印刷装置2の構成の一例を示すブロック図である。印刷装置2は、プリンタ20と、後処理装置29とを備えている。プリンタ20は、例えば、スキャン、プリント、コピー等の複数の機能を有する複合機である。後処理装置29は、印刷された用紙に対して後処理を実行するものである。
【0030】
後処理には、例えば、針綴じ(ステープルともいう。)、針無し綴じ(針無しステープルともいう。)、穴あけ(パンチともいう。)、折り、製本、裁断等がある。「ステープル」とは、複数枚の用紙を針で綴じる処理をいう。「パンチ」とは、用紙に2つの穴をあける処理をいう。「折り」とは、用紙をZの形状に折る処理をいう。
【0031】
プリンタ20は、印刷装置2の各部を制御する制御部21を有し、この制御部21に、記憶部22、操作表示部23、画像読取部24、画像形成部25、カード読取部26、用紙搬送部27、通信部28を接続し、さらに後処理装置29を接続している。プリンタ20と後処理装置29とは、図示しない用紙搬送路によって接続されている。なお、印刷装置2は、後処理装置29を備えていなくてもよい。
【0032】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、インターフェース等から構成されている。制御部21のプロセッサは、記憶部22に記憶されたプログラム220を実行することにより、プリントジョブ、スキャンジョブ、コピージョブ等のジョブを実行する。プリントジョブは、指示情報の一例である。
【0033】
プリントジョブとは、ユーザ端末4から送信されるジョブに含まれる印刷データを画像形成部25により用紙に印刷して出力するジョブである。プリントジョブには、ジョブを要求するユーザIDと、印刷データと、印刷設定情報と、要求される場合には後処理情報とが含まれている。後処理情報は、印刷データが印刷設定情報に従って印刷された用紙に対して実施する後処理の内容を示すものである。
【0034】
スキャンジョブとは、画像読取部24で原稿から画像データを読み取るジョブである。コピージョブとは、スキャンジョブによって得られた画像データを画像形成部25により用紙に印刷して出力するジョブである。プリントジョブ及びコピージョブは、それぞれ印刷ジョブともいう。
【0035】
記憶部22は、ROM(Read Only Memory)、RAM、(Random Access Memory)、ハードディスク等から構成され、プログラム220、ユーザ情報テーブル221、プリントジョブ蓄積部222、自装置2が設置されている住所等の場所の情報(以下「設置場所情報」ともいう。)等の各種の情報を記憶する。
【0036】
操作表示部23は、情報の入力及び表示を行うものである。操作表示部23は、例えば、タッチパネルディスプレイであり、液晶ディスプレイ等のディスプレイにタッチパネルを重ねて配置した構成を有する。
【0037】
画像読取部24は、原稿台上に設けられた自動給紙装置と、原稿台に配置された原稿、又は自動給紙装置により送られた原稿から原稿画像を光学的に読み取るスキャナとを備える。
【0038】
画像形成部25は、給紙カセットから給紙された用紙に、例えば、電子写真方式、インクジェット方式等により画像を形成することで印刷物を作成する。画像形成部25は、PDLで記述された印刷データをラスターデータからなる画像データに変換し、プリントジョブに含まれる印刷設定情報に従って画像データを用紙に印刷する。
【0039】
カード読取部26は、ユーザが所持するICカードがかざされると、ICカードからユーザID及びパスワードをユーザ情報として読み取るものである。
【0040】
用紙搬送部27は、制御部21の制御の下で、給紙トレイから給紙された用紙を画像形成部25に搬送し、印刷された用紙を、後処理が実施されない場合には、排出トレイに搬送し、後処理が実施される場合には、用紙搬送路を介して用紙を後処理装置29に搬送し、後処理が実施された用紙を排出トレイに搬送する。
【0041】
通信部28は、ネットワーク6を介して印刷装置2、サーバ3、ユーザ端末4及び管理者端末5に接続されている。
【0042】
ユーザ情報テーブル221には、ユーザごとにユーザID及びパスワードが記録されている。ユーザID及びパスワードからなるユーザ情報は、管理者の操作に基づいて制御部21により記録される。
【0043】
プリントジョブ蓄積部222は、印刷装置2がUSB等の記録媒体7から取り込んで受信したプリントジョブ、又は印刷装置2がユーザ端末4又は他の印刷装置2から受信したプリントジョブをユーザIDごとに蓄積する領域である。
【0044】
図6は、プリントジョブ蓄積部222に蓄積されるプリントジョブ8の構成の一例を示す図である。プリントジョブ8は、属性情報80、問合せ要否情報81、印刷設定情報82、後処理情報83、印刷データ84を含む。後処理を実施しない場合は、プリントジョブ8に後処理情報83は含まれない。属性情報80には、文書を識別する文書IDが含まれる。なお、文書IDの代わりに文書名等の文書識別情報を用いてもよい。問合せ要否情報81は、問合せが必要とされる場合は「要」が記録され、問合せが必要とされない場合は「否」が記録される。
【0045】
次に、制御部21について説明する。
【0046】
制御部21は、記録媒体7、又はユーザ端末4又は他の印刷装置2からプリントジョブ8を受信すると、受信したプリントジョブ8を、プリントジョブ8に含まれるユーザIDに対応するプリントジョブ蓄積部222に蓄積する。また、制御部21は、ジョブを実行した内容を履歴情報として定期的(例えば、毎日18:00)にサーバ3に送信する。
【0047】
制御部21は、印刷制限情報の比較の対象となる情報(以下「要求情報」ともいう。)が印刷制限情報チケット31に記録されている印刷制限情報が示す条件を満たす場合、印刷を許可する。
【0048】
制御部21は、要求情報を次の方法により取得する。印刷要求者については、例えば、ユーザのログイン時やプリントジョブ蓄積部222の認証処理時に取得してもよい。用紙種類及び制御情報については、例えば、プリントジョブ8に含まれる印刷設定情報82及び後処理情報83から取得してもよい。印刷する場所については、記憶部22に記憶されている自装置2の設置場所情報から取得してもよい。印刷する時間については、操作表示部23に表示したプリントジョブ8の一覧からユーザが実行したいプリントジョブ8が選択された時でもよい。
【0049】
(印刷システムの動作)
次に、印刷システム1の動作の一例を、
図7及び
図8を参照して説明する。
図7は、印刷装置2の動作の一例を示すフローチャートである。
図8は、
図7に示すステップS2の詳細を示すフローチャートである。なお、特に記述がない限り、印刷装置2の制御部21が実行するものとする。
【0050】
(1)印刷制限情報を変更しない場合の動作
印刷装置2の制御部21は、記録媒体7からプリントジョブ8を受信する(S1)。制御部21は、受信したプリントジョブ8を、プリントジョブ8に含まれるユーザIDに対応するプリントジョブ蓄積部222に蓄積する。なお、プリントジョブ8は、ユーザ端末4又は他の印刷装置2から送信されてもよい。
【0051】
ユーザが自己が所持するICカードをカード読取部26にかざすと、制御部21は、
図8に示すプリントジョブ蓄積部222の認証処理を開始する(S2)。
【0052】
カード読取部26は、ICカードからユーザID及びパスワードからなるユーザ情報を読み取り、制御部21に出力する。制御部21は、カード読取部26から出力されたユーザ情報がユーザ情報テーブル221に記録されているか否かにより認証が成立するか否かを判断する(S21)。
【0053】
認証が成立した場合(S21:Yes)、プリントジョブ選択画面を操作表示部23に表示し、プリントジョブ8の選択を受け付ける(S22)。プリントジョブ選択画面には、認証されたユーザのプリントジョブ蓄積部222に蓄積されたプリントジョブ8の一覧が表示され、プリントジョブ8の一覧からユーザが実行したいプリントジョブ8を選択できるようになっている。ユーザがプリントジョブ8を選択し、「確定」ボタンを操作すると、制御部21は、プリントジョブ蓄積部222からプリントジョブ8を読み出す。
【0054】
上記ステップS21において、認証が成立しなかった場合(S21:No)、認証不成立である旨を操作表示部23に表示する(S23)。
【0055】
プリントジョブ蓄積部222の認証処理が終了すると、
図7に示すステップS3において、制御部21は、プリントジョブ8の問合せ要否情報81が問合せ要を示しているか否かを判断する(S3)。
【0056】
問合せ要を示していない場合(S3:No)、プリントジョブ8に含まれる印刷データ84を印刷設定情報82に従って印刷するよう画像形成部25を制御する(S4)。プリントジョブ8に後処理情報83が含まれている場合は、印刷後に後処理装置29により後処理を実行させる。
【0057】
上記ステップS3において、問合せ要を示している場合(S3:Yes)、制御部21は、プリントジョブ8の属性情報80に含まれている文書IDに関して印刷制限情報チケット31が設定されているか否かをサーバ3に問い合わせる(S5)。サーバ3は、問合せに含まれている文書IDに対応するチケットIDがチケット管理情報テーブル30に存在する場合、チケットIDに対応する印刷制限情報チケット31を印刷装置2に送信する。例えば、プリントジョブ8の属性情報80に含まれている文書IDが「D001」の場合、
図2に示すようにチケット管理情報テーブル30には、文書ID「D001」に対応してチケットID「Ticket001」が記録されているので、チケットIDが存在すると判断する。
【0058】
制御部21は、サーバ3に問い合わせた結果、印刷制限情報チケット31を取得できたか否かを判断する(S6)。チケットIDがチケット管理情報テーブル30に存在しないために印刷制限情報チケット31を取得できない場合(S6:No)、上記ステップS3において、問合せ要を示していない場合(S3:No)と同様に印刷を実行させる(S4)。
【0059】
制御部21は、印刷制限情報の比較の対象となる要求情報を取得し、要求情報が印刷制限情報チケット31に記録されている印刷制限情報が示す条件を満たすか否かを判断する(S7)。
【0060】
ここで、印刷制限情報チケット31aが
図3(a)に示す場合について説明する。この場合は、印刷制限情報の印刷要求者がUserAであるので、印刷を要求するユーザのユーザIDがUserA以外の場合、文書IDがD001の文書の印刷が禁止される。また、印刷制限情報の用紙種類が普通紙であるので、普通紙以外の薄紙や厚紙の用紙への印刷が禁止される。
【0061】
印刷制限情報の印刷可能回数が「5回」であるので、制御部21は、サーバ3にアクセスし、ユーザID「UserA」に関する履歴情報テーブル32から文書IDがD001の印刷回数「4回」を取得する。取得した印刷回数「4回」が印刷制限情報の印刷可能回数「5回」以下であるので、この条件を満たすと判断する。印刷制限情報チケット31aに印刷可能回数の項目が無い場合は、履歴情報テーブル32から印刷回数を取得しない。
【0062】
印刷制限情報の制限情報が片面/2up/後処理無しとあるので、Nアップ印刷以外の両面印刷や両面印刷は禁止される。後処理が要求された印刷も禁止される。
【0063】
印刷制限情報の印刷可能場所は、横浜市保土ヶ谷区内であるので、制御部21は、記憶部22から設置場所情報を取得し、設置場所情報が横浜市保土ヶ谷区内であるか否かで要求情報が条件を満たすか否かを判断する。
【0064】
印刷制限情報の印刷可能時間が10:00~11:00であるので、制御部21は、例えば、操作表示部23に表示したプリントジョブ8の一覧からユーザが実行したいプリントジョブ8が選択された時が10:00~11:00に含まれていれば、要求情報が条件を満たすと判断し、10:00~11:00に含まれていなければ、要求情報が条件を満たさないと判断する。
【0065】
要求情報が印刷制限情報が示す条件を満たす場合(S7:Yes)、印刷制限情報の機密レベルが「高」か否かを判断する(S8)。機密レベルが「高」の場合(S8:Yes)、前述したのと同様に印刷を実行させる(S4)。
【0066】
機密レベルが「低」の場合(S8:No)、サーバ3は、プリントジョブ8の実行内容(例えば、ユーザID、これまでの合計の印刷回数等)を履歴として履歴情報テーブル32に記録する。
【0067】
上記ステップS7において、要求情報が印刷制限情報が示す条件を満さない場合(S7:No)、制御部21は、操作表示部23に印刷不可を表示する(S10)。印刷を中止したことを履歴情報としてサーバ3に記録する(S11)。なお、制御部21は、操作表示部23に印刷不可を表示する際に、要求情報が満たさない条件を表示してもよく、要求情報が満たさない条件を管理者端末5に送信してもよい。
【0068】
(2)印刷制限情報を変更する場合の動作
取引先との打合せ時間の変更に伴い、UserAの印刷要求者が印刷する日時や印刷する場所が変更した場合について、印刷装置2の動作の一例について説明する。
【0069】
印刷する日時や印刷する場所が変更したために、上記ステップS7において要求情報が印刷制限情報が示す条件を満たさない場合(S7:No)、印刷中止が操作表示部23に表示される(S10)。
【0070】
例えば、印刷要求者は、管理者に印刷制限情報を変更するようメール又は電話で依頼する。例えば、UserAが印刷する場所が横浜市都西区に変更し、印刷する時間が12時になったとする。この場合、
図3に示す印刷制限情報チケット31aの印刷可能場所は、横浜市保土ヶ谷区内であり、印刷可能時間は10:00~11:00であるので、印刷可能場所及び印刷可能時間の項目を満たさないことになる。印刷要求者は、現在の場所と時間が印刷制限情報が示す条件を満たすように管理者に依頼する。
【0071】
管理者は、管理者端末5からサーバ3にアクセスし、
図3に示す印刷制限情報チケット31aの印刷可能場所を横浜市都西区内に変更し、印刷可能時間を例えば12:00~14:00に変更する。管理者は、変更したことを印刷要求者にメール又は電話で通知する。管理者は、印刷を許可する場合には、印刷制限情報を修正する。
【0072】
文書IDがD001についてプリントジョブ8の実行を指示すると、問合せ要の判断がなされ(S3:Yes)、サーバ3に問い合わせし(S5)、印刷制限情報チケット31aを取得し(S6:Yes)、要求情報が印刷制限情報が示す条件を満たし(S7:Yes)、機密レベルが「高」の判断がされ(S8:Yes)、印刷が実行される(S4)。
【0073】
(変形例1)
上記実施の形態では、記録媒体7からプリントジョブ8を印刷装置2に取り込んで印刷装置2にプリントジョブ8を蓄積したが、ユーザ端末4からプリントジョブ8をサーバ3に送信してサーバ3に蓄積し、印刷装置2にログインして認証処理を行い、サーバ3から印刷装置2にプリントジョブ8をダウンロードしてもよい。
【0074】
(変形例2)
サーバ3が有する機能の全て又は一部を複数の印刷装置2のうちの1つが有してもよい。例えば、1つの印刷装置2がチケット管理情報テーブル30と、印刷制限情報チケット31、履歴情報テーブル32を記憶し、要求情報と印刷制限情報とを比較し、印刷を許可するか否かを判断してもよい。
【0075】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施の形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形、実施が可能である。
【0076】
プロセッサの各手段は、それぞれ一部又は全部を再構成可能回路(FPGA:Field Programmable Gate Array)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等のハードウエア回路によって構成してもよい。
【0077】
上記実施の形態において、プロセッサは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC、FPGA、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0078】
また、上記実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0079】
また、上記実施の形態の構成要素の一部を省くことや変更してもよい。また、上記実施の形態のフローにおいて、ステップの追加、削除、変更、入替え等を行ってもよい。また、上記実施の形態で用いたプログラムをCD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供することができ、クラウドサーバ等の外部サーバに格納しておき、ネットワークを介して利用することもできる。
【符号の説明】
【0080】
1…印刷システム、2…印刷装置、3…サーバ、4…ユーザ端末、5…管理者端末、
6…ネットワーク、7…記録媒体、8…プリントジョブ、20…プリンタ、
21…制御部、22…記憶部、23…操作表示部、24…画像読取部、
25…画像形成部、26…カード読取部、27…用紙搬送部、28…通信部、
29…後処理装置、30…チケット管理情報テーブル、
31、31a、31b…印刷制限情報チケット、32…履歴情報テーブル、
80…属性情報、81…問合せ要否情報、82…印刷設定情報、83…後処理情報、
84…印刷データ、220…プログラム、221…ユーザ情報テーブル、
222…プリントジョブ蓄積部