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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電話システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 3/58 20060101AFI20250109BHJP
   H04M 3/537 20060101ALI20250109BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20250109BHJP
   H04L 51/21 20220101ALI20250109BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H04Q3/58 107
H04M3/537
H04M11/00 302
H04L51/21
H04M1/00 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021029994
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131183
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】304014143
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 孝
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-227698(JP,A)
【文献】特開2003-018628(JP,A)
【文献】特開2010-135978(JP,A)
【文献】特開2002-325128(JP,A)
【文献】特開平10-084416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L51/00-51/58
67/00-67/75
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04Q3/58-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP網に接続されたゲートウェイと、
通信回線を介して前記ゲートウェイに接続されて、前記IP網を介した音声通話を確立する電話端末とを備え、
前記ゲートウェイは、前記IP網のメールサーバから、予め設定されている利用者宛ての新着メールを受信して保存し、
前記電話端末は、音声通話の発着信に関する操作を行う、1つまたは複数の回線キーを有し、前記回線キーには、相手先が予め個別に割り当てられており、前記ゲートウェイから取得した自端末の利用者宛ての新着メールに関する到着状況を表示する際、前記相手先からの新着メールに関する到着状況を、当該相手先に対応する回線キーの表示ランプで表示すること
を特徴とする電話システム。
【請求項2】
IP網に接続されたゲートウェイと、
通信回線を介して前記ゲートウェイに接続されて、前記IP網を介した音声通話を確立する電話端末とを備え、
前記ゲートウェイは、前記IP網のメールサーバから、予め設定されている利用者宛ての新着メールを受信して保存し、
前記電話端末は、音声通話の発着信に関する操作を行う、1つまたは複数の回線キーを有し、前記回線キーには、相手先が予め個別に割り当てられており、前記ゲートウェイにおける自端末の利用者宛ての新着メールに関する到着状況を表示する際、前記相手先からの新着メールに関する到着状況を、当該相手先に対応する回線キーの表示ランプで表示すること
を特徴とする電話システムにおいて、
前記通信回線を介して前記ゲートウェイおよび前記電話端末と接続されて、前記電話端末を呼制御することにより、前記電話端末による前記IP網を介した音声通話を確立する電話制御装置をさらに備え、
前記電話制御装置は、前記ゲートウェイから取得した前記新着メールの到着状況を、前記電話端末の前記表示ランプで表示するように指示し、前記電話端末における前記回線キーの操作に応じて、前記ゲートウェイから取得した当該新着メールの内容を当該電話端末に通知すること
を特徴とする電話システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電話システムにおいて、
新着メールの到着表示中における前記回線キーの操作に応じて、前記ゲートウェイから取得された当該回線キーと対応する相手先からの新着メールの内容を表示または音声出力すること
を特徴とする電話システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電話システムにおいて、
前記電話端末は、前記回線キーに割り当てられた相手先からの着信があった場合、当該着信に応じて、当該着信への応答操作に応じて、または、当該着信へ応答して音声通話を行っている際に、前記回線キーの操作に応じて、前記ゲートウェイから取得された当該回線キーと対応する相手先からの新着メールの内容を表示または音声出力すること
を特徴とする電話システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話システムの電話端末で、新たに到着した新着メールを利用者に通知するためのメール処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電話端末を電話網に交換接続するビジネスホンシステムやPBXシステムなどの電話システムには、電子メールシステムと連携することにより、付加価値のある電話サービスを利用者に提供するメール処理技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
このようなメール制御技術では、予め設定されている利用者のメールアカウントに基づいて、電話システムが定期的にメールサーバへアクセスし、当該利用者への新着メールがメールサーバに蓄積されている場合には、当該利用者の電話端末により、新着メールの到着、さらには、新着メール数を通知するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-241556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来技術のような、新着メールの到着を電話端末の表示ランプを用いて通知する方式によれば、利用者がメールサーバへアクセスして受信メールを確認しなくても、利用者は新着メールが届いていること自体は、電話端末ですぐに確認ことができる。しかしながら、新着メールの内容については電話端末で確認することはできない。したがって、新着メールの到着が電話端末で通知された場合、利用者は、電話端末とは別のPCやスマートホンでメーラーを起動してメールサーバにアクセスし、新着メールを検索してその内容を確認することになる。このため、作業負担が大きいという問題点があった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、電話端末に到着が通知された新着メールの内容を、少ない作業負担で容易に閲覧することができるメール処理技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話システムは、IP網に接続されたゲートウェイと、通信回線を介して前記ゲートウェイに接続されて、前記IP網を介した音声通話を確立する電話端末とを備え、前記ゲートウェイは、前記IP網のメールサーバから、予め設定されている利用者宛ての新着メールを受信して保存し、前記電話端末は、音声通話の発着信に関する操作を行う、1つまたは複数の回線キーを有し、前記回線キーには、相手先が予め個別に割り当てられており、前記ゲートウェイから取得した自端末の利用者宛ての新着メールに関する到着状況を表示する際、前記相手先からの新着メールに関する到着状況を、当該相手先に対応する回線キーの表示ランプで表示するように構成したものである。
【0007】
また、本発明にかかる上記電話システムはIP網に接続されたゲートウェイと、通信回線を介して前記ゲートウェイに接続されて、前記IP網を介した音声通話を確立する電話端末とを備え、前記ゲートウェイは、前記IP網のメールサーバから、予め設定されている利用者宛ての新着メールを受信して保存し、前記電話端末は、音声通話の発着信に関する操作を行う、1つまたは複数の回線キーを有し、前記回線キーには、相手先が予め個別に割り当てられており、前記ゲートウェイにおける自端末の利用者宛ての新着メールに関する到着状況を表示する際、前記相手先からの新着メールに関する到着状況を、当該相手先に対応する回線キーの表示ランプで表示するように構成され、前記通信回線を介して前記ゲートウェイおよび前記電話端末と接続されて、前記電話端末を呼制御することにより、前記電話端末による前記IP網を介した音声通話を確立する電話制御装置をさらに備え、前記電話制御装置は、前記ゲートウェイから取得した前記新着メールの到着状況を、前記電話端末の前記表示ランプで表示するように指示し、前記電話端末における前記回線キーの操作に応じて、前記ゲートウェイから取得した当該新着メールの内容を当該電話端末に通知するように構成したものである。
【0008】
また、本発明にかかる上記電話システムの一構成例は、新着メールの到着表示中における前記回線キーの操作に応じて、前記ゲートウェイから取得された当該回線キーと対応する相手先からの新着メールの内容を表示または音声出力するように構成したものである。
【0009】
また、本発明にかかる上記電話システムの一構成例は、前記電話端末は、前記回線キーに割り当てられた相手先からの着信があった場合、当該着信に応じて、当該着信への応答操作に応じて、または、当該着信へ応答して音声通話を行っている際に、前記回線キーの操作に応じて、前記ゲートウェイから取得された当該回線キーと対応する相手先からの新着メールの内容を表示または音声出力するように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電話端末に到着が通知された新着メールの内容を、少ない作業負担で容易に閲覧することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態にかかる電話システムのメール処理動作を示すシーケンス図である。
図3】第1の実施の形態にかかる電話システムのメール処理動作の他の例を示すシーケンス図である。
図4】第1の実施の形態にかかる電話システムのメール処理動作の他の例を示すシーケンス図である。
図5】第1の実施の形態にかかる電話システムのメール処理動作の他の例を示すシーケンス図である。
図6】第2の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
図7】第2の実施の形態にかかる電話システムのメール処理動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話システム1について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
この電話システム1は、全体としてビジネスホンシステムやPBXシステムなどの電話システムからなり、ゲートウェイ30を介してインターネットなどのIP網(IP電話網)NWに、複数の電話端末10を交換接続することにより、利用者に対して各種の電話サービスを提供するシステムである。
【0013】
[電話システム]
図1に示すように、本実施の形態にかかる電話システム1は、主な構成として、複数の電話端末10とゲートウェイ30を備えている。
【0014】
[ゲートウェイ]
ゲートウェイ30は、全体としてVoIPゲートウェイからなり、通信回線L2を介してIP網NWと接続し、通信回線L1を介して接続された電話端末10を、IP網NWに中継接続するように構成されている。
また、ゲートウェイ30は、予め設定されている各電話端末10の利用者のメールアカウントに基づいて、IP網NWに接続されているメールサーバ40に定期的にアクセスし、各利用者宛ての電子メールを自動受信して、当該利用者に対応するメールボックスに保存するように構成されている。
【0015】
この際、保存対象となるメールについては、メールの重要度に応じた予めフィルタを設定して、当該利用者宛てのメールのうち、フィルタを通過した特定のメールのみ保存するようにしてもよい。これにより、電話端末10で通知される新着メールを重要度の高いものだけに絞り込むことができ、メール確認作業に要する利用者負担を軽減できるとともに、ゲートウェイ30のメモリリソースを節約できる。メールの重要度に応じたフィルタは、例えば、送信元アドレス、メールの件名、メールの本文に含まれる特定のキーワード等に応じて新着メールをフィルタリングするように予め設定することができる。
【0016】
[電話端末]
電話端末10は、全体としてIP電話端末からなり、ゲートウェイ30を介してIP網NWに接続された呼制御サーバ50との間で呼制御メッセージをやり取りすることにより、VoIP(Voice over Internet Protocol)技術に基づいて、IP網NWを介した音声通話を確立するように構成されている。
また、電話端末10は、ゲートウェイ30に定期的にアクセスして、予め設定されている自端末の利用者と対応するメールボックスを参照し、新着メールの到着を確認するように構成されている。この際、メールボックスの参照については、IMAP(Internet Message Access Protocol)などの一般的なメールプロトコルを利用すればよい。
【0017】
また、電話端末10は、図1に示すように、音声通話の発着信に関する操作を行う、1つまたは複数の回線キー11と、LCDなどの画面表示装置からなる画面表示部13を備えている。回線キー11には、それぞれの発着信に関する回線状況を表示するための表示ランプ12が設けられており、相手先(電話番号およびメールアドレス)が予め個別に割り当てられている。相手先の電話番号は、電話システム1内の内線番号であってもよい。
したがって、例えば、電話端末10は、着信が通知された場合、当該着信の発信元と対応する相手先が割り当てられていれば、当該相手先と対応する回線キー11の表示ランプ12で着信表示し、当該回線キー11の操作に応じて、当該着信に応答して音声通話を確立するように構成してもよい。
【0018】
電話端末10は、ゲートウェイ30における自端末の利用者宛ての新着メールに関する到着状況を表示する際、当該相手先からの新着メールに関する到着状況については、当該相手先に対応する回線キー11の表示ランプ12で表示し、新着メールの到着表示中における回線キー11の操作に応じて、ゲートウェイ30から当該回線キー11と対応する相手先からの新着メールを取得し、画面表示部13で新着メールの内容を表示し、あるいは、新着メールの内容を音声に変換して受話器あるいはスピーカで音声出力するように構成されている。
【0019】
したがって、利用者は、相手先が割り当てられている回線キー11を押下するという極めて簡素な操作で、到着通知された当該相手先からの新着メールを電話端末10で確認できることになる。
これにより、音声通話の着信および応答と、新着メールの到着および内容確認とを、回線キー11と表示ランプ12という共通の利用者インターフェースで実現することができる。したがって、利用者は違和感なく新着メールの到着および内容確認に関するサービスを利用することができる。また、新着メールの到着および内容確認のための表示ランプや操作キーを新たに追加する必要がなくなり、既存の電話端末に対してソフトウェアの変更だけで導入することができる。
【0020】
また、回線キー11および表示ランプ12を、音声通話の着信および応答と、新着メールの到着および内容確認とで共用する際、これらが並列的に発生した場合、音声通話の着信および応答を優先すればよい。例えば、回線キー11と対応する相手先から着信があった場合、電話端末10が、当該回線キー11の表示ランプ12で着信表示し、着信表示中における当該回線キー11の押下に応じて着信応答して音声通話を確立する。また、着信がなく音声通話も行われていない、いわゆるアイドル状態である場合、電話端末10が、当該回線キー11と対応する相手先からの新着メールの到着状況を、当該回線キー11の表示ランプ12で表示する。
【0021】
この際、電話端末10が、表示ランプ12の表示色を切り替えてもよい。例えば、着信表示時には表示ランプ12を赤色で点滅させ、新着メールの到着表示時には青色で点滅させればよい。これにより、音声通話の着信と新着メールの到着とを、共通の表示ランプ12で、利用者にわかりやすく表示できる。
【0022】
また、音声通話の着信および応答と、新着メールの到着および内容確認とを連携させてもよい。例えば、電話端末10が、回線キー11に割り当てられている相手先からの着信が通知された場合、当該着信に応じて、当該回線キー11の押下による当該着信への応答操作に応じて、または、当該着信へ応答して音声通話を行っている際に当該回線キー11が押下された場合、当該相手先からのメールをゲートウェイ30から取得して表示するようにしてもよい。これにより、例えばメールで届いた資料を見ながら相手先と音声通話を行うことができ、より価値の高い音声通話を実現できる。
【0023】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図2を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1の動作について説明する。図2は、電話システムのメール処理動作を示すシーケンス図である。
図2に示すように、 ゲートウェイ30は、時刻T1にメール確認タイミングが到来した場合、通信回線L2からIP網NWを介してメールサーバ40に、予め設定されている利用者ごとに、対応するメールボックスに関するメール確認要求を通知する(ステップS100)。
【0024】
メールサーバ40は、ゲートウェイ30からのメール確認要求に応じて、指定されたメールボックスで新着メールを確認し、新着メールが到着している場合、新着メールありを示すメール確認応答を返送する(ステップS101)。
ゲートウェイ30は、メールサーバ40から新着メールありを示すメール確認応答が返送された場合、メールサーバ40に、対応するメールボックスに関するメール取得要求を通知する(ステップS102)。
【0025】
メールサーバ40は、ゲートウェイ30からのメール取得要求に応じて、指定されたメールボックスの新着メールを含むメール取得応答を返送する(ステップS103)。
ゲートウェイ30は、メールサーバ40から返送されたメール取得応答から着信メールを抽出して、対応するメールボックスに保存し(ステップS104)、次のメール確認タイミングの到来まで待機する。なお、メールサーバ40から返送されたメール取得応答に新着メールが含まれていない場合、ゲートウェイ30は、次のメール確認タイミングの到来まで待機する。
【0026】
その後、電話端末10は、時刻T2に、例えばゲートウェイ30を介して呼制御サーバ50からのメッセージに応じて着信が発生した場合(ステップS110)、当該着信の相手先(発信側)の電話番号が、回線キー11に割り当てられているか確認し、割り当てられている場合には、当該相手先と対応する回線キー11の表示ランプ12を、例えば赤色で点滅させることにより、着信表示を行う(ステップS111)。
これに応じて利用者が、例えばハンドセットや回線キー11で応答操作を行った場合(ステップS112)、電話端末10は、着信に応答して音声通話を開始する(ステップS113)。この後、利用者の終話操作または相手先からの終話通知に応じて、音声通話を終話する(ステップS114)。
【0027】
この後の時刻T3に、電話端末10は、ゲートウェイ30に、予め設定されている自端末の利用者と対応するメールボックスに関するメール確認要求を通知する(ステップS120)。
ゲートウェイ30は、電話端末10からのメール確認要求に応じて、指定されたメールボックスで新着メールを確認し、新着メールが到着している場合、新着メールありを示すメール確認応答を返送する(ステップS121)。
【0028】
電話端末10は、ゲートウェイ30から新着メールありを示すメール確認応答が返送された場合、新着メールの発信者が回線キー11に割り当てられているか確認し、割り当てられている場合には、当該相手先と対応する回線キー11の表示ランプ12を、例えば青色で点滅させることにより、新着メールの到着表示を行う(ステップS122)。
これに応じて利用者が、回線キー11を押下した場合(ステップS123)、電話端末10は、ゲートウェイ30に、対応するメールボックスに関するメール取得要求を通知する(ステップS124)。
【0029】
ゲートウェイ30は、電話端末10からのメール取得要求に応じて、指定されたメールボックスの新着メールを含むメール取得応答を返送する(ステップS125)。
電話端末10は、ゲートウェイ30から返送されたメール取得応答から新着メールを抽出し、画面表示部13で当該新着メールの内容を表示し、あるいは、当該新着メールの内容を音声に変換して受話器あるいはスピーカで音声出力する(ステップS126)。
【0030】
これにより、利用者は、電話端末10で表示ランプ12により新着メールありが表示されている際に、回線キー11を操作するだけで、その新着メールの内容を、操作した電話端末10で表示または音声出力により確認できる。また、音声通話の着信および応答と、新着メールの到着および内容確認とを、回線キー11と表示ランプ12という共通の利用者インターフェースで実現することができる。
【0031】
なお、音声通話の着信および応答と、新着メールの到着および内容確認とが、並列的に発生した場合、音声通話の着信および応答が優先される。例えば、新着メールの内容を音声出力している際に、新着メールの送信者と同一の相手先から着信があった場合、対応する回線キー11の表示ランプ12を、新着メールの到着を示す青色点滅表示から、着信表示を示す赤色点滅表示に切り替えて、例えば、メール読み上げ音声に話中着信音を重畳させて出力するなどの話中着信表示を行うことにより、利用者に着信を通知すればよい。また、この状態で、利用者がメール読み上げを中止した場合、話中着信表示を通常の着信表示に切り替えればよい。
【0032】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、ゲートウェイ30が、IP網NWのメールサーバ40から、予め設定されている利用者宛ての新着メールを受信して保存し、電話端末10が、ゲートウェイ30における自端末の利用者宛ての新着メールに関する到着状況を表示する際、相手先からの新着メールに関する到着状況を、当該相手先に対応する回線キー11の表示ランプ12で表示するようにしたものである。
さらには、当該新着メールの到着表示中における回線キー11の操作に応じて、ゲートウェイ30から当該新着メールを取得して表示または音声出力するように構成したものである。
【0033】
これにより、利用者は、電話端末10で表示ランプ12により新着メールありが表示されている際に、回線キー11を操作するだけで、その新着メールの内容が、操作した電話端末10で表示または音声出力されることになる。したがって、利用者は、新着メールありが表示されている電話端末10とは別のPCやスマートホンでメーラーを起動してメールサーバにアクセスし、新着メールを検索してその内容を確認する必要はない。新着メールありが表示されている電話端末10で回線キー11を押下するという極めて簡素な操作で、到着通知された新着メールを電話端末10で確認できることになる。このため、電話端末10に到着が通知された新着メールの内容を、極めて少ない作業負担で容易に閲覧することが可能となる。
【0034】
また、音声通話の着信および応答と、新着メールの到着および内容確認とを、回線キー11と表示ランプ12という共通の利用者インターフェースで実現することができる。これにより、新着メールの到着および内容確認のための表示ランプや操作キーを新たに追加する必要がなくなり、既存の電話端末に対してソフトウェアの変更だけで導入することができる。
【0035】
また、メールサーバ40によって、使用するメールプロトコルが異なるが、ゲートウェイ30が一般的に備えている公知の自動メール取得機能は、各種のプロトコルに対応することができる。したがって、このようなゲートウェイ30の自動メール取得機能を利用することにより、電話端末10がこれらプロトコルの相違に対応する必要がなくなり、電話端末10のソフトウェアを簡素化することが可能となる。
【0036】
また、ゲートウェイ30における新着メールの到着有無を、電話端末10から定期的に確認するようにしたので、ゲートウェイ30が用いるメールプロトコルが一般的なものであっても、本発明を実現することができる。なお、ゲートウェイ30が用いるメールプロトコルがIMAPなどのように、新着メールの到着を、逐次、プッシュ通知で通知するプロトコルである場合、例えば、図2のステップS100およびステップS120を省くことができ、電話端末10の処理負担を削減できる。
【0037】
[第1の実施の形態の変形例]
図3図5を参照して、本発明の第1の実施の形態変形例について説明する。図3図5は、第1の実施の形態にかかる電話システムのメール処理動作の他の例を示すシーケンス図である。
【0038】
図2のシーケンスでは、音声通話の終了後に、新着メールがあるかを確認し、新着メールがある場合には、表示ランプが点滅している回線キーを押下することにより、新着メールの内容を確認する場合を説明した。新着メールの内容を確認するタイミングとしては他のタイミングを採用することができる。
【0039】
例えば、図3に示すように、回線キー11に割り当てられた相手先からの着信があった場合、当該着信へ応答して音声通話を行っている際に、表示ランプが点滅している回線キー11が押下された場合に、当該相手先からのメールをゲートウェイ30から取得して表示するようにしてもよい。このようなシーケンスにより、例えば、メールで届いた資料を見ながら相手先と音声通話を行うことができ、より価値の高い音声通話を実現できる。
【0040】
また、図4に示すように、回線キー11に割り当てられた相手先からの着信があった場合、表示ランプが点滅している回線キー11が押下されなくても、当該着信への応答操作に応じて、自動的に、当該相手先からのメールをゲートウェイ30から取得して表示するようにしてもよい。さらには、図5に示すように、当該着信への応答操作を待たずに、当該着信に応じて、当該相手先からのメールをゲートウェイ30から取得して表示するようにしてもよい。
【0041】
[第2の実施の形態]
次に、図6を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる電話システム1について説明する。図6は、第2の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
【0042】
図1では、IP網NWに接続されている呼制御サーバ50が、IP網NWおよびゲートウェイ30を介して各電話端末10の呼制御を行う場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。本実施の形態では、電話システム1に電話制御装置20を設けて、各電話端末10の呼制御を電話制御装置20で行う構成について説明する。
【0043】
[電話制御装置]
電話制御装置20は、全体として呼制御を行うサーバ装置からなり、例えばSIP(Session Initiation Protocol)などの呼制御プロトコルに基づいて、ゲートウェイ30を介してIP網NWとの間で呼制御メッセージをやり取りするとともに、通信回線L1を介して電話端末10との間で呼制御メッセージをやり取りすることにより、各電話端末10をIP網NWに交換接続するように構成されている。
【0044】
本実施の形態では、電話制御装置20が、通信回線L1を介してゲートウェイ30に定期的にアクセスして、ゲートウェイ30との間でメール処理動作を行うように構成されている。したがって、これにより、電話端末10がIP電話端末ではない、専用の内線電話端末(ボタン電話機)である場合であっても、前述した第1の実施の形態のメール処理動作を本実施の形態でも同様に実行することができ、同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
図7は、第2の実施の形態にかかる電話システムのメール処理動作を示すシーケンス図である。本実施の形態では、電話制御装置20が備えられているため、図2におけるゲートウェイ30との間のメール確認、メール取得の処理は、電話制御装置20とゲートウェイ30との間で実行され(ステップS220、S221、S226、S227)、電話端末10の表示ランプ点滅は、電話制御装置20の指示に基づいて実行され、電話端末10では、電話制御装置20から通知された新着メールの内容が表示される(ステップS222、S223、S224、S225、S228、S229)。尚、図7においては図示されていないが、電話制御装置20は、電話端末10への着信処理や着信応答処理を行うので、第2の実施の形態においても、図3図5で説明したような、新着メールの内容を確認するタイミングを変更することは可能である。
【0046】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…電話システム、10…電話端末、11…回線キー、12…表示ランプ、13…画面表示部、20…電話制御装置、30…ゲートウェイ、40…メールサーバ、50…呼制御サーバ、NW…IP網、L1,L2…通信回線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7