(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20250109BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
H02G3/04 062
B60R16/02 623T
(21)【出願番号】P 2021039080
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山崎 浩一
【審査官】間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-103078(JP,U)
【文献】特開2019-205222(JP,A)
【文献】特開2013-169803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/00- 3/04
B60R 16/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にハーネスが通され、対向する第1物品及び第2物品の間の空間に少なくとも一部が配置されるプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体を前記第1物品に固定する固定部と、
前記固定部を基点とした前記プロテクタ本体の傾きを抑制する抑制部と
を備え
ており、
前記プロテクタ本体は、柱状の前記第1物品の上面に対向配置される第1ハーネス挿通部と、前記第1物品の側面に対向配置される第2ハーネス挿通部とを備え、
前記固定部は、前記第1ハーネス挿通部の裏面に配置され、
前記抑制部は、前記第2ハーネス挿通部の内側面に配置されているプロテクタ。
【請求項2】
前記第1ハーネス挿通部は、前記空間に配置される一対の腕部を備え、
前記第2ハーネス挿通部は、一対の前記腕部を連結する形状に形成され、
前記固定部は、前記腕部に配置されている
請求項
1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記プロテクタ本体は、柱状の前記第1物品を横断する形状に形成されている
請求項1
又は請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記抑制部は、複数設けられている
請求項1
から請求項3のいずれか一項に記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記抑制部は、先端を支点として基端を撓ませることによって前記プロテクタ本体の傾きを抑制する請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記抑制部は、曲げ反力によって前記プロテクタ本体に傾き抑制の負荷を付与するばね部である請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載のプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハーネスを保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、車載された電装品同士を電気接続するハーネスが搭載されている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両には、種々の物品が搭載されているので、ハーネスの経路上に車両の物品が存在してしまうこともあり得る。この場合、部品を迂回させつつハーネスを配策する必要がある。しかし、迂回経路の上壁が強度的に弱い箇所であると、上壁に荷重がかかった場合、ハーネスにも負荷がかかることがあり、これがハーネスの損傷に繋がる可能性があった。
【0005】
本開示の目的は、ハーネスを保護することができるプロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するプロテクタは、内部にハーネスが通され、対向する第1物品及び第2物品の間の空間に少なくとも一部が配置されるプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体を前記第1物品に固定する固定部と、前記固定部を基点とした前記プロテクタ本体の傾きを抑制する抑制部とを備えた。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ハーネスを保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、プロテクタの取付状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、プロテクタの取付状態を示す側面図である。
【
図6】
図6は、プロテクタを裏面側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、プロテクタを上面側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、プロテクタに荷重がかかったときの概要図である。
【
図9】
図9(a)は、抑制部が作用する前の概要図であり、
図9(b)は、抑制部が作用したときの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示のプロテクタは、内部にハーネスが通され、対向する第1物品及び第2物品の間の空間に少なくとも一部が配置されるプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体を前記第1物品に固定する固定部と、前記固定部を基点とした前記プロテクタ本体の傾きを抑制する抑制部とを備えている。
【0010】
本例の構成によれば、上方からプロテクタに荷重が付与された場合、プロテクタが固定部を基点に傾く可能性があるが、プロテクタに設けた抑制部によって、プロテクタの傾きを生じ難くすることが可能となる。ところで、仮にプロテクタが傾いてしまうと、プロテクタにおけるハーネスの通し箇所である開口部でハーネスが引っ張られて負荷がかかってしまう可能性があるが、本例の構成の場合、このような状況が生じ難い。よって、ハーネスを保護することが可能となる。
【0011】
[2]前記プロテクタ本体は、柱状の前記第1物品を横断する形状に形成されている。この構成によれば、第1物品の周囲のスペースを有効利用して、ハーネスの経路を確保することが可能となる。
【0012】
[3]前記抑制部は、複数設けられている。この構成によれば、上方からプロテクタに付与された荷重によってプロテクタが固定部を基点に傾く動きをとったとしても、複数設けた抑制部によって荷重が分散し、プロテクタに傾きを生じ難くすることが可能となる。
【0013】
[4]前記プロテクタ本体は、柱状の前記第1物品の上面に対向配置される第1ハーネス挿通部と、前記第1物品の側面に対向配置される第2ハーネス挿通部とを備えている。前記固定部は、前記第1ハーネス挿通部の裏面に配置されている。前記抑制部は、前記第2ハーネス挿通部の内側面に配置されている。この構成によれば、上方からプロテクタに付与された荷重によってプロテクタが固定部を基点に傾く動きをとったとしても、第1物品の側面に当接する抑制部によって、しっかりとプロテクタの位置を保持することが可能となる。
【0014】
[5]前記第1ハーネス挿通部は、前記空間に配置される一対の腕部を備えている。前記第2ハーネス挿通部は、一対の前記腕部を連結する形状に形成されている。前記固定部は、前記腕部に配置されている。この構成によれば、一対の腕部の中間点に障害物が存在していても、プロテクタでハーネスを迂回させて、迂回しない場合の本来の配策経路上に戻すことが可能となる。
【0015】
[6]前記抑制部は、先端を支点として基端を撓ませることによって前記プロテクタ本体の傾きを抑制する。この構成によれば、抑制部の形状を、抑制部の先端に部材が存在しない形状とすることが可能となる。よって、抑制部が撓んだ際に抑制部の先端が周囲の壁面等に干渉してしまう状況を生じ難くすることが可能となる。
【0016】
[7]前記抑制部は、曲げ反力によって前記プロテクタ本体に傾き抑制の負荷を付与するばね部である。この構成によれば、抑制部の構成を、ばね構造による簡素な構成とすることが可能となる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のプロテクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際とは異なる場合がある。
【0018】
図1に示すように、ワイヤハーネス1は、車両に設けられた電装品同士を電気接続する。電装品は、例えば、各種ECU、モータ、エンジンなどがある。ワイヤハーネス1は、ハーネス2と、ハーネス2を経路途中で内部に通して保護するプロテクタ3とを備えている。ハーネス2は、1本の電線、又は複数の電線のどちらでもよい。
【0019】
図3に示すように、プロテクタ3は、2つのハウジング4、5を組み付けることによって構成されている。本例の場合、プロテクタ3は、アッパー側のハウジング4とロア側のハウジング5とを組み付けることによって構成される。本例の場合、2つのハウジング4、5は、複数のスナップフィット部6を介して組み付け固定されている。プロテクタ3は、2つのハウジング4、5の内部空間がハーネス2を収納する箇所となる。
【0020】
図2に示すように、プロテクタ3は、内部にハーネス2が通されるプロテクタ本体9を備えている。プロテクタ本体9は、例えば、対向する第1物品10及び第2物品11の間の空間12に少なくとも一部が配置される。第1物品10は、例えば、車体左右方向に延びるクロスメンバであることが好ましい。第2物品11は、例えば、車内床面(カーペット等)であることが好ましい。空間12は、クロスメンバと車内床面との間の狭い隙間であることが好ましい。
【0021】
図1に示す通り、プロテクタ本体9は、柱状の第1物品10を横断する形状に形成されている。本例の場合、プロテクタ本体9は、柱状の第1物品10の上面13に配置される第1ハーネス挿通部14と、第1物品10の側面に対向配置される第2ハーネス挿通部15とを備えている。本例の場合、第1ハーネス挿通部14は、空間12に配置される一対の腕部16である。第2ハーネス挿通部15は、一対の腕部16を連結する形状に形成されている。このように、プロテクタ本体9は、一対の腕部16が根元で連結された形状、いわゆる英文字略U字形状に形成されている。
【0022】
腕部16の各々の先端には、ハーネス2をプロテクタ本体9の内部に引き入れるための開口部17が形成されている。開口部17には、開口部17から露出するハーネス2の向きを案内するガイド部18が形成されている。ガイド部18は、例えば、開口部17の角から斜め方向に細長く延びたガイド片であることが好ましい。
【0023】
図4に示すように、プロテクタ3は、プロテクタ本体9を第1物品10(クロスメンバ)に固定する固定部21を備えている。固定部21は、第1ハーネス挿通部14(本例は、腕部16)の裏面25に配置されている。固定部21は、各々の腕部16に配置され、腕部16が2つの場合、プロテクタ本体9に2つ設けられている。
【0024】
固定部21は、本体22と、第1物品10(クロスメンバ)に係合される突片23とを備えている。本体22は、プロテクタ本体9(腕部16)の裏面25に配置され、例えば、断面矩形状に形成されている。突片23は、例えば、複数設けられ、2つ形成される場合、本体22を挟んで両側に対向するように配置されている。突片23は、根元が本体22に連結されるとともに、先端がプロテクタ本体9の裏面に向かうに従って開いていく形状に形成されている。
【0025】
図5に示すように、一対の固定部21は、腕部16の並び方向に延びる線L1に対し、同一線上に位置するように配置されている。プロテクタ本体9(腕部16)の裏面25には、固定部21の両側に一対の押込片24が形成されている。押込片24は、例えば、板ばね構造をとっている。押込片24は、プロテクタ3を第1物品10に取り付ける際、固定部21と協同してプロテクタ3を第1物品10に固定する。固定部21は、第1ハーネス挿通部14の裏面25に配置されている。
【0026】
図6及び
図7に示すように、プロテクタ3は、固定部21を基点としたプロテクタ本体9の傾きを抑制する抑制部27を備えている。抑制部27は、複数設けられ、本例の場合、2つ設けられている。この場合、抑制部27は、プロテクタ本体9の幅方向(
図6等のY軸方向)において並び配置されている。抑制部27は、第2ハーネス挿通部15の内側面28に配置されている。本例の場合、抑制部27は、曲げ反力によってプロテクタ本体9に傾き抑制の負荷を付与するばね部(ばね構造)であることが好ましい。
【0027】
次に、本実施形態のプロテクタ3の作用について説明する。
図2に示す通り、ワイヤハーネス1は、例えば、第1物品10に沿って配策される場合、車内の障害物(
図2参照)の存在によって配策経路が制限されることがある。この場合、障害物を迂回する経路をとらなければならない。このとき、迂回経路が第1物品10及び第2物品11の間の空間12をとらざるを得ない場合、第2物品11からの衝撃等からワイヤハーネス1を保護する必要があるため、第1物品10及び第2物品11の空間12において第1物品10にプロテクタ3を取り付け、このプロテクタ3にワイヤハーネス1を通すことで対処する。
【0028】
本例の場合、プロテクタ3は、プロテクタ本体9の裏面に形成された固定部21を、第1物品10の上面に形成された凹部29に取り付けることによって、第1物品10に固定される。第1物品10の凹部29は、例えば、固定部21の本体22の形状に合わせて、長穴であることが好ましい。固定部21及び凹部29の形状の組み合わせが断面矩形形状及び長穴あれば、固定部21が凹部29で回転せず、固定部21を凹部29にしっかりと固定するのに有利となる。
【0029】
図8に示すように、第2物品11の上面に荷重が加わると、その荷重がプロテクタ3に伝わり、プロテクタ3が固定部21を基点として同図の矢印A方向に傾く場合がある。例えば、第2物品11が車内の床面の場合、床面が踏まれると、プロテクタ3が固定部21を基点に傾いてしまう。仮に、プロテクタ3が傾くと、プロテクタ3の開口部17においてハーネス2が引っ張られてしまい、開口部17付近でワイヤハーネス1に過度に負荷がかかる。また、プロテクタ本体9の裏面が第1物品10に接触し、この接触を原因とする打音の発生にも繋がってしまう。
【0030】
一方、本例の場合、
図9(a)に示すように、プロテクタ3に抑制部27が設けられているので、プロテクタ3に上から荷重が加わったとしても、傾きの荷重に対する反力を抑制部27によってプロテクタ3に付与することが可能となる。よって、プロテクタ3に上から荷重が加わっても、プロテクタ3は初期位置を保持し易くなるので、前述した問題を生じ難くすることが可能となる。
【0031】
また、本例の構造の場合、
図9(b)に示すように、ばね構造の抑制部27の先端を第1物品10に常時接触させておき、プロテクタ3に傾きの荷重が付与された際には、抑制部27の先端を支点にして抑制部27の基端を撓ませることによって、傾きの荷重に対する反力を付与する。この構造の場合、抑制部27の先端に部材形状が存在しないので、抑制部27が撓んだ際に、抑制部27の先端が意図せずにプロテクタ3の内面に接触せずに済む。このように、本例の構造の場合、抑制部27の撓みスペースを広くとることが可能となるので、その点でも効果が高い。
【0032】
また、本例の場合、プロテクタ3に抑制部27を設ける構造をとっている。すなわち、荷重が付与された際に傾こうとする動きをとる部材(プロテクタ3)に、傾きを抑制する部材(抑制部27)を設けている。このため、プロテクタ3の抑制部27を設けるという簡素な構成によって、プロテクタ3の傾きを抑制することが可能となる。このように、抑制部27を一体に備えたプロテクタ3を提供することが可能となる。
【0033】
上記実施形態のプロテクタ3によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)プロテクタ3は、プロテクタ本体9、固定部21、及び、抑制部27を備えている。プロテクタ本体9は、内部にハーネス2が通され、対向する第1物品10及び第2物品11の間の空間12に少なくとも一部が配置される。固定部21は、プロテクタ本体9を第1物品10に固定する。抑制部27は、固定部21を基点としたプロテクタ本体9の傾きを抑制する。
【0034】
本例の構成によれば、上方からプロテクタ3に荷重が付与された場合、プロテクタ3が固定部21を基点に傾く可能性があるが、プロテクタ3に設けた抑制部27によって、プロテクタ3の傾きを生じ難くすることが可能となる。ところで、仮にプロテクタ3が傾いてしまうと、プロテクタ3におけるハーネス2の通し箇所である開口部17でハーネス2が引っ張られて負荷がかかってしまう可能性があるが、本例の構成の場合、このような状況が生じ難い。よって、ハーネス2を保護することができる。
【0035】
(2)プロテクタ3を傾きし難くしたので、プロテクタ3が傾いて第1物品10に接触する状況を生じ難くすることが可能となる。よって、プロテクタ3が傾いて第1物品10に接触することで発生する打音を生じ難くすることができる。
【0036】
(3)プロテクタ本体9は、柱状の第1物品10を横断する形状に形成されている。この構成によれば、第1物品10の周囲のスペースを有効利用して、ハーネス2の経路を確保することができる。
【0037】
(4)抑制部27は、複数設けられている。この構成によれば、上方からプロテクタ3に付与された荷重によってプロテクタ3が固定部21を基点に傾く動きをとったとしても、複数設けた抑制部27によって荷重が分散し、プロテクタ3に傾きを生じ難くすることができる。
【0038】
(5)プロテクタ本体9は、柱状の第1物品10の上面に対向配置される第1ハーネス挿通部14と、第1物品10の側面に対向配置される第2ハーネス挿通部15とを備えている。固定部21は、第1ハーネス挿通部14の裏面25に配置されている。抑制部27は、第2ハーネス挿通部15の内側面28に配置されている。この構成によれば、上方からプロテクタ3に付与された荷重によってプロテクタ3が固定部21を基点に傾く動きをとったとしても、第1物品10の側面に当接する抑制部27によって、しっかりとプロテクタ3の位置を保持することができる。
【0039】
(6)前記第1ハーネス挿通部14は、空間12に配置される一対の腕部16を備えている。第2ハーネス挿通部15は、一対の腕部16を連結する形状に形成されている。固定部21は、腕部16に配置されている。この構成によれば、一対の腕部16の中間地点に障害物が存在していても、プロテクタ3でハーネス2を迂回させて、迂回しない場合の本来の配策経路上に戻すことができる。
【0040】
(7)抑制部27は、先端を支点として基端を撓ませることによってプロテクタ本体9の傾きを抑制する。この構成によれば、抑制部27の形状を、抑制部27の先端に部材が存在しない形状とすることが可能となる。よって、抑制部27が撓んだ際に抑制部27の先端が周囲の壁面等(例えば、プロテクタ3の内面等)に干渉してしまう状況を生じ難くすることができる。
【0041】
(8)抑制部27は、曲げ反力によってプロテクタ本体9に傾き抑制の負荷を付与するばね部である。この構成によれば、抑制部27の構成を、ばね構造による簡素な構成とすることができる。
【0042】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・固定部21は、例えば、第1物品10に設けられた突起を、プロテクタ3に設けられた凹部に挿し込んで固定する構造でもよい。
【0043】
・固定部21は、挿し込み式のクリップに限定されず、第1物品10にプロテクタ3を固定できる形状のものであればよい。
・抑制部27は、プロテクタ3の内側面28に配置されることに限らず、例えば、プロテクタ本体9の裏面25に配置されてもよい。
【0044】
・抑制部27は、プロテクタ3の裏面25と内側面28との両方に配置されてもよい。
・抑制部27の配置場所は、適宜自由に設定できる。
・抑制部27は、複数設けられることに限らず、例えば1つとしてもよい。
【0045】
・抑制部27は、ばね部(板ばね)に限定されず、プロテクタ3に対して傾きの反力を付与できる形状のものであればよい。
・第1ハーネス挿通部14及び第2ハーネス挿通部15の形状は、断面扁平形状に限らず、例えば、断面円状や断面四角形状などの他の形状に変更してもよい。
【0046】
・プロテクタ本体9の形状は、英文字U字形状に限定されない。例えば、英文字L字形状などの他の形状に変更してもよい。
・プロテクタ本体9の形状は、例えば、腕部16を1つのみ有する形状としてもよい。
【0047】
・第1物品10は、クロスメンバに限定されず、例えば車体フレームなど、他の部材としてもよい。
・第2物品11は、車内床面に限定されず、例えば、車両利用者の荷重がかかる部材であればよい。
【0048】
・プロテクタ3が配置される空間12は、第1物品10及び第2物品11の間の隙間に限定されず、車両の2つの部材間に生じる隙間であればよい。
・プロテクタ3のハウジング構造は、2つのハウジング4、5を組み付ける構造に限定されない。例えば、3つ以上のハウジング部材から構成されてもよいし、ハウジング部材を1つのみとしてもよい。
【0049】
・ハーネス2は、1本の電線に限らず、複数の電線を束ねた電線群でもよい。また、ハーネス2は、周囲が被覆材に覆われた電線でもよい。
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0050】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)内部にハーネスが通される第1腕部と、前記第1腕部と対向するように配置され、内部に前記ハーネスが通される第2腕部と、前記第1腕部及び前記第2腕部を連結する形状に形成され、内部に前記ハーネスが通される連結部とを備えるプロテクタ。なお、第1腕部及び第2腕部が第1ハーネス挿通部に相当し、連結部が第2ハーネス挿通部に相当する。
【0051】
ところで、ハーネスを配策する経路上に障害物が存在してしまう場合がある。このとき、ハーネスの経路を変更したり、障害物の配置位置を変更したりするなど、大掛かりな設計変更が必要となってしまう可能性があった。
【0052】
一方、本例の構成によれば、ハーネスを配策する経路上に障害物が存在する場合、第1腕部、第2腕部及び連結部で障害物を囲むようにプロテクタを配置して、プロテクタ内をハーネスの経路とする。これにより、障害物を避けるような迂回経路を設けることが可能となるので、ハーネス経路の配策自由度を向上することが可能となる。
【0053】
(ロ)前記技術的思想(イ)において、物品に固定される固定部を備えるプロテクタ。この構成によれば、プロテクタを固定部によって物品に固定することが可能となるので、プロテクタを所定の取り付け位置で位置保持することが可能となる。
【0054】
(ハ)前記技術的思想(ロ)において、前記固定部は、前記第1腕部及び前記第2腕部の各々の裏面に配置されているプロテクタ。この構成によれば、第1腕部の裏面の固定部と、第2腕部の裏面の固定部との2つによって、プロテクタを物品にしっかりと固定することが可能となる。
【0055】
(ニ)前記技術的思想(イ)から(ハ)において、前記連結部は、前記第1腕部及び前記第2腕部が延在する平面に対して交差する平面に延在するプロテクタ。この構成によれば、物品の上面及び側面に沿わせて、プロテクタを配置することが可能となる。よって、収納スペースが限られる場合であっても、プロテクタを配置することが可能となる。
【0056】
(ホ)前記技術的思想(イ)から(ニ)において、前記第1腕部及び前記第2腕部は、隙間に配置可能となるように横断面矩形状(縦断面形状)に形成されているプロテクタ。この構成によれば、プロテクタを薄い形状とすることが可能となる。よって、収納スペースが限られる場合であっても、プロテクタを配置することが可能となる。
【0057】
(へ)前記技術的思想(イ)から(ホ)において、前記第1腕部及び前記第2腕部の各々の開口部には、前記ハーネスを前記開口部に通すことを案内するガイド部が設けられているプロテクタ。この構成によれば、ハーネスをガイド部によってプロテクタの内部に通し易くすることが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1 ワイヤハーネス
2 ハーネス
3 プロテクタ
4 ハウジング
5 ハウジング
6 スナップフィット部
9 プロテクタ本体
10 第1物品
11 第2物品
12 空間
13 上面
14 第1ハーネス挿通部
15 第2ハーネス挿通部
16 腕部
17 開口部
18 ガイド部
21 固定部
22 本体
23 突片
24 押込片
25 裏面
27 抑制部(ばね部)
28 内側面
29 凹部
L1 線