特許 7615823 モータおよび電動ポンプ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2025-01-08

(45)【発行日】2025-01-17

(54)【発明の名称】モータおよび電動ポンプ

(51)【国際特許分類】

   H02K 5/08 20060101AFI20250109BHJP

   H02K 11/215 20160101ALI20250109BHJP

   H02K 7/14 20060101ALI20250109BHJP

   F04C 15/00 20060101ALI20250109BHJP

   H02K 5/22 20060101ALI20250109BHJP

【ＦＩ】

H02K5/08

H02K11/215

H02K7/14 B

F04C15/00 K

F04C15/00 L

H02K5/22

【請求項の数】 10

(21)【出願番号】P 2021052839

(22)【出願日】2021-03-26

(65)【公開番号】P2022150292

(43)【公開日】2022-10-07

【審査請求日】2024-02-27

(73)【特許権者】

【識別番号】000220505

【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100109380

【弁理士】

【氏名又は名称】小西 恵

(74)【代理人】

【識別番号】100138689

【弁理士】

【氏名又は名称】梶原 慶

(74)【代理人】

【識別番号】100109036

【弁理士】

【氏名又は名称】永岡 重幸

(72)【発明者】

【氏名】橋本 幸子

(72)【発明者】

【氏名】村田 大輔

(72)【発明者】

【氏名】坂本 仁

【審査官】谿花 正由輝

(56)【参考文献】

【文献】特開２００８－２５２９９６（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｈ０２Ｋ ５／０８

Ｈ０２Ｋ １１／２１５

Ｈ０２Ｋ ７／１４

Ｆ０４Ｃ １５／００

Ｈ０２Ｋ ５／２２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

回転軸で回転可能なロータと、
前記ロータに対向するように配置されたコア、および当該コアの一部に導線が巻き回され当該導線の端部が前記コアから、前記回転軸が延びた軸方向の一方側に引き出されたコイルを有したステータと、
前記一方側にハウジング底部を有し、内部に前記ロータおよび前記ステータを収容し、前記導線の端部が通る第１貫通孔を当該ハウジング底部に有したハウジングと、
前記ハウジングに対して前記一方側に配置され、当該ハウジング側にケース底部を有し、前記第１貫通孔を通った前記導線の端部が通る第２貫通孔を当該ケース底部に有した絶縁ケースと、
前記導線に前記絶縁ケース内で接続される第１接続部と、このモータ外へと引き出されるリード線に前記絶縁ケース内で接続される第２接続部とを有し、前記絶縁ケースに固定された接続端子と、を備え、
前記一方側に対する他方側に突き出して前記第１貫通孔内に延び、且つ、前記第２貫通孔が内部を通る筒部を前記絶縁ケースが有するモータ。

【請求項2】

前記絶縁ケースが樹脂製であり、前記接続端子が前記絶縁ケースと一体成形された請求項１に記載のモータ。

【請求項3】

前記ロータの回転軸を回転自在に保持して前記ハウジング底部に固定された軸受を備え、
前記筒部は、前記軸受における前記一方側の端面よりも前記他方側まで突き出した請求項１に記載のモータ。

【請求項4】

前記第２接続部が前記ケース底部から前記一方側へと突き出した請求項１から３のいずれか１項に記載のモータ。

【請求項5】

前記第２接続部は、前記一方側へと突き出した端部に、前記ケース底部に沿って張り出した張り出し部を有する請求項４に記載のモータ。

【請求項6】

前記絶縁ケースは、前記一方側へと突き出した前記第２接続部を囲んで前記ケース底部から当該一方側へと当該第２接続部の途中まで突き出した台部を有する請求項４または５に記載のモータ。

【請求項7】

前記第１接続部が前記第２貫通孔の外側から内側へと突き出した請求項１から６のいずれか１項に記載のモータ。

【請求項8】

前記第１接続部は、前記第２貫通孔の内側へと突き出した端部が、前記一方側へと立ち上がる第１部分と、当該第１部分に続いて前記ケース底部に沿って延びた第２部分と、当該第２部分に続いて当該第２部分が延びた方向とは逆側に折り返した第３部分とを有する請求項７に記載のモータ。

【請求項9】

前記絶縁ケースは、前記ケース底部から前記一方側へと突き出した、前記リード線を当該絶縁ケース内で案内する案内突起を有する請求項１から８のいずれか１項に記載のモータ。

【請求項10】

請求項１から９のいずれか１項に記載のモータと、
前記モータによって駆動されるポンプ部と、を備える電動ポンプ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、モータおよび電動ポンプに関する。

【背景技術】

【0002】

従来、モータや電動ポンプにおいて、モータハウジング内にロータとステータが納められ、ステータのコイル線の端部がモータハウジング内からモータハウジング外へと引き出された構造が知られる。

【0003】

例えば特許文献１には、ロータとステータがハウジングに納められ、ステータコイルのリード線がハウジング内のクラスタブロックで導電端子に接続され、導電端子がハウジングから引き出されてインバータカバー内でケーブルに接続され、ケーブルがインバータカバー内でモータ駆動回路に接続された構造が示される。モータ駆動回路には、外部からモータの駆動電力が供給される導線が更に接続される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【文献】特開２０１４－０８８８７１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

特許文献１の構造によれば、外部からステータコイルまで駆動電力を供給するための電力ラインを形成するために多数の部品を経る必要があり、組み立て工数などが多くてコストが高い。
そこで、本発明は、電力ラインの部品数を抑制することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明に係るモータの一態様は、回転軸で回転可能なロータと、上記ロータに対向するように配置されたコア、および当該コアの一部に導線が巻き回され当該導線の端部が上記コアから、上記回転軸が延びた軸方向の一方側に引き出されたコイルを有したステータと、上記一方側にハウジング底部を有し、内部に上記ロータおよび上記ステータを収容し、上記導線の端部が通る第１貫通孔を当該ハウジング底部に有したハウジングと、上記ハウジングに対して上記一方側に配置され、当該ハウジング側にケース底部を有し、上記第１貫通孔を通った上記導線の端部が通る第２貫通孔を当該ケース底部に有した絶縁ケースと、上記導線に上記絶縁ケース内で接続される第１接続部と、このモータ外へと引き出されるリード線に上記絶縁ケース内で接続される第２接続部とを有し、上記絶縁ケースに固定された接続端子と、を備える。
また、本発明に係る電動ポンプの一態様は、上記モータと、上記モータによって駆動されるポンプ部と、を備える。

【発明の効果】

【0007】

本発明によれば、電力ラインの部品数を抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】図１は、オイルポンプの構造を概念的に示す図である。

【図2】図２は、ステータの構造を示す図である。

【図3】図３は、センサ部の内部を示す図である。

【図4】図４は、基板ケースの樹脂部分を除去して金属端子の全体構造を示した図である。

【図5】図５は、貫通孔近辺の構造を示す断面図である。

【図6】図６は、第１接続部の詳細構造を示す図である。

【図7】図７は、図６とは別の方向から第１接続部を示す図である。

【図8】図８は、第２接続部の詳細構造を示す図である。

【図9】図９は、第２接続部とリード線との位置関係を示す図である。

【図10】図１０は、第２接続部にリード線の端子部を掛けた状態を示す図である。

【図11】図１１は、第２接続部の第２部分が折り曲げられた状態を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下、添付の図面を参照しながら、本開示のモータおよび電動ポンプの実施形態を詳細に説明する。但し、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするため、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、先に説明した図に記載の要素については、後の図の説明において適宜に参照する場合がある。
図１は、オイルポンプの構造を概念的に示す図である。
オイルポンプ１００は、本発明の電動ポンプの一実施形態に相当する。
オイルポンプ１００は、モータ部１１０と、センサ部１２０と、ポンプ部１３０とを備える。
モータ部１１０は、電力の供給を受けて回転駆動力を生む。
センサ部１２０は、モータ部１１０の回転を検知する。
ポンプ部１３０は、モータ部１１０によって駆動され、オイルの吸入吐出を行う。
モータ部１１０とセンサ部１２０とを併せたものは、本発明のモータの一実施形態に相当し、ポンプ部１３０は、本発明にいうポンプ部の一例に相当する。
モータ部１１０は、モータハウジング１１１と、回転軸１１２と、ロータ１１３と、ステータ１１４と、軸受１１５とを備える。

【0010】

回転軸１１２は、モータ部１１０の回転駆動力を伝達する部材である。以下の説明では、方向の基準として回転軸１１２を用い、回転軸１１２に沿う方向を軸方向と称する場合がある。また、以下の説明では、図示の方向に関わらず、図１における上方側を軸方向一方側と称し、図１における下方側を軸方向他方側と称する場合がある。更に、以下の説明では、回転軸１１２の回転中心線に対して垂直に近接乖離する方向を径方向と称し、回転軸１１２に近い方を径方向内側と称し、回転軸１１２から遠い方を径方向外側と称する場合がある。

【0011】

モータハウジング１１１は、モータ部１１０およびオイルポンプ１００の全体を支える構造体であり、例えば板金のプレス加工によって形成される。モータハウジング１１１は、本発明にいうハウジングの一例に相当し、内部にロータ１１３およびステータ１１４を収容する。モータハウジング１１１は、軸方向に延びた筒部１１１ａと、当該筒部１１１ａの軸方向一方側に位置した底部１１１ｂとを有する。言い換えるとモータハウジング１１１は軸方向一方側に底部１１１ｂ有し、モータハウジング１１１の底部１１１ｂが、本発明にいうハウジング底部の一例に相当する。モータハウジング１１１の筒部１１１ａの断面形状としては特に限定されない。筒部１１１ａの断面形状は、例えば、円形や楕円形の丸形であってもよいし、正方形や長方形の角形であってもよいし、三角形や五角形などといった他の多角形であってもよい。

【0012】

ロータ１１３は、回転軸１１２に固定され、例えば永久磁石が組み込まれ、回転磁場の作用によって回転軸１１２と共に回転する。言い換えると、ロータ１１３は回転軸１１２で回転可能である。

【0013】

ステータ１１４は、ロータ１１３に対向してモータハウジング１１１内に収容され回転磁場を発生する。なお、本実施形態では、ステータ１１４がロータ１１３の径方向外側に配置されたインナーロータ型の構造が示されるが、本発明のモータは、ステータ１１４がロータ１１３の径方向内側に配置されたアウターロータ型の構造を有してもよい。

【0014】

軸受１１５は、例えばボール軸受けであり、回転軸１１２を回転自在に保持する。軸受１１５はローラ軸受けや滑り軸受けなどであってもよい。軸受１１５は、ロータ１１３を挟んで軸方向一方側と軸方向他方側に配置され、軸方向一方側の軸受１１５は、例えばハウジング１１１の底部１１１ｂに固定される。また、軸方向他方側の軸受１１５は、例えばポンプ部１３０に保持される。
センサ部１２０は、基板ケース１２１とセンサ基板１２２を備える。

【0015】

基板ケース１２１は、本発明にいう絶縁ケースの一例に相当し、モータハウジング１１１に対し、軸方向一方側に配置される。基板ケース１２１は例えば樹脂製であり、モータハウジング１１１側に底部１２１ａを有する。

【0016】

基板ケース１２１には、ステータ１１４が有するコイルから引き出された導線の端部が導かれ、本実施形態では、基板ケース１２１が、モータ部１１０に対する配線の引き出しスペースとして用いられる。また、基板ケース１２１は、例えば内部にセンサ基板１２２を収容して保持する。

【0017】

センサ基板１２２は磁気センサを有し、例えば回転軸１１２の回転位置や回転速度を検出する。基板ケース１２１は、センサ基板１２２と共に、あるいはセンサ基板１２２に代えて、制御基板やインバータ基板を収容してもよい。

【0018】

ポンプ部１３０は、ポンプハウジング１３１と作動部１３２とを有する。モータハウジング１１１が底部１１１ｂを軸方向一方側に有するのに対し、ポンプ部１３０はモータハウジング１１１の軸方向他方側に配置される。このため、ポンプ部１３０と回転軸１１２などとの接合が容易であり、延いてはオイルポンプ１００の組み立てが容易である。
ポンプハウジング１３１は作動部１３２を収容してモータハウジング１１１に固定される。
作動部１３２は、回転軸１１２の駆動力によりポンプハウジング１３１内で回転することでオイルの吸入吐出を行う。

【0019】

ポンプ部１３０は、本発明にいうポンプ部の一例に相当する。本発明にいうポンプ部は、例えば軸受１１５の保持部分から切り離された構造など、図１に示すポンプ部１３０とは異なる構造を有してもよい。
図２は、ステータの構造を示す図である。

【0020】

ステータ１１４は、ロータ１１３に対向するように配置されたコア１４１、および当該コア１４１の一部に導線が巻き回され当該導線の端部１４３がコア１４１から軸方向一方側に引き出されたコイル１４２を有する。コイル１４２の導線が引き出された端部１４３は、柔軟であるため、重力に逆らった自立が困難であり、あるいは自立しても不安定である。本実施形態では一例として三相モータが採用されるので、コイル１４２は導線の端部１４３をＵＶＷの各相に対応して合計で３組有する。

【0021】

ステータ１１４は、モータ部１１０の組立てに際し、モータハウジング１１１に対し、例えば軸方向他方側から挿入される。ステータ１１４の挿入に際して導線の端部１４３は挿入の前方に位置し、ステータ１１４の挿入に伴って導線の端部１４３がモータハウジング１１１の底部１１１ｂ側へと向かう。そして、導線の端部１４３は、モータ部１１０側からセンサ部１２０側へと導かれる。

【0022】

モータハウジング１１１には、構造体としての強度確保などのため通常は金属材料が用いられる。このため、導線の端部１４３とモータハウジング１１１との絶縁が必要となる。
図３は、センサ部１２０の内部を示す図である。

【0023】

図３には、基板ケース１２１の軸方向一方側が開放された状態が示され、センサ部１２０の内部には、基板ケース１２１に収容されたセンサ基板１２２と、基板ケース１２１の底部１２１ａに埋め込まれた金属端子１２３が配備される。基板ケース１２１は、導線の端部１４３が通る貫通孔１２１ｂを底部１２１ａに有する。金属端子１２３および貫通孔１２１ｂは、モータのＵＶＷ各相に対応した３組が設けられる。

【0024】

金属端子１２３は本発明にいう接続端子の一例に相当し、導線の端部１４３と接続される。本実施形態ではインサート成形によって金属端子１２３が基板ケース１２１と一体成形されることで金属端子１２３が基板ケース１２１に固定される。言い換えると金属端子１２３は基板ケース１２１の底部１２１ａ内に埋め込まれて基板ケース１２１と一体化する。

【0025】

金属端子１２３は、スナップフィットによる固定方法や、樹脂の位置決め突起を端子の位置決め穴に入れて位置決め突起を溶かす固定方法がなどで基板ケース１２１に固定されてもよいが、金属端子１２３が基板ケース１２１と一体成形されることで部品数がより一層抑制されるとともに、金属端子１２３を基板ケース１２１に固定する作業も不要となる。
図４は、基板ケース１２１の樹脂部分を除去して金属端子１２３の全体構造を示した図である。

【0026】

図４では、基板ケース１２１の樹脂部分が除去されて図示されるためモータハウジング１１１の底部１１１ｂが見える。モータハウジング１１１は、導線の端部１４３が通る貫通孔１１１ｃを底部１１１ｂに有する。

【0027】

金属端子１２３は、一端に第１接続部１２３ａを有し、他端に第２接続部１２３ｂを有する。金属端子１２３は、第１接続部１２３ａと第２接続部１２３ｂとを除いた他の部分が基板ケース１２１の底部１２１ａ内に埋め込まれ、金属端子１２３の第１接続部１２３ａと第２接続部１２３ｂは、基板ケース１２１の底部１２１ａから基板ケース１２１の内部側に突き出す。第１接続部１２３ａと第２接続部１２３ｂの構造については後で詳述する。

【0028】

導線の端部１４３は、図３に示すようにモータハウジング１１１の底部１１１ｂに設けられた貫通孔１１１ｃおよび図４に示すように基板ケース１２１の底部１２１ａに設けられた貫通孔１２１ｂを貫通して基板ケース１２１内に到達する。即ち、モータハウジング１１１の貫通孔１１１ｃを通った導線の端部１４３が基板ケース１２１の貫通孔１２１ｂを通る。

【0029】

基板ケース１２１の貫通孔１２１ｂの方がモータハウジング１１１の貫通孔１１１ｃよりも開口が小さいので、導線の端部１４３は基板ケース１２１によってモータハウジング１１１から絶縁される。ここで貫通孔１１１ｃ、１２１ｂ近辺の構造について詳述する。
図５は、貫通孔１１１ｃ、１２１ｂ近辺の構造を示す断面図である。

【0030】

基板ケース１２１は、モータハウジング１１１側に突出してモータハウジング１１１の貫通孔１１１ｃ内に延びた筒部１２１ｃを有し、基板ケース１２１の貫通孔１２１ｂは筒部１２１ｃ内を通る。言い換えると、軸方向他方側に突き出してモータハウジング１１１の貫通孔１１１ｃ内に延び、且つ、基板ケース１２１の貫通孔１２１ｂが内部を通る筒部１２１ｃを基板ケース１２１が有する。このような筒部１２１ｃが設けられることで、導線の端部１４３がモータハウジング１１１に対して好適に絶縁されるとともに、絶縁のための別部材が不要となり部品数、工数、コストの更なる抑制となる。

【0031】

また、筒部１２１ｃの突端(即ち軸方向他方側の端部)は、モータハウジング１１１に固定された軸受１１５における軸方向一方側の端面１１５ａよりも軸方向他方側まで突き出す。筒部１２１ｃがこのような位置まで突き出すことで、突き出しが短い場合に較べて導線の端部１４３がモータハウジング１１１に対してより好適に絶縁される。
以下、図３および図４を参照して説明を続ける。

【0032】

導線の端部１４３は、基板ケース１２１内で金属端子１２３の第１接続部１２３ａに固定されると共に、当該金属端子１２３と電気的に接続される。即ち、ステータ１１４の導線は基板ケース１２１内で第１接続部１２３ａに接続される。

【0033】

基板ケース１２１内には、基板ケース１２１外(即ちモータ部１１０およびセンサ部１２０からなるモータの外)へと引き出されるリード線１２４の一端が収容される。リード線１２４は、金属の線材を樹脂の被覆が覆った被覆線部１２４ａと、金属の線材と接続された端子部１２４ｂを有し、モータ部１１０に電力を供給する。リード線１２４の端子部１２４ｂは、金属端子１２３の第２接続部１２３ｂに固定されると共に、当該金属端子１２３と電気的に接続される。即ち、リード線１２４は基板ケース１２１内で第２接続部１２３ｂに接続される。

【0034】

金属端子１２３により導線の端部１４３とリード線１２４とが電気的に接続されるので、モータ部１１０に対する電力ラインを形成する部品数が抑制され、延いてはコストが抑制される。
図６は、第１接続部１２３ａの詳細構造を示す図であり、図７は、図６とは別の方向から第１接続部１２３ａを示す図である。
第１接続部１２３ａは、基板ケース１２１の貫通孔１２１ｂの外側から内側へと突き出した構造を有する。

【0035】

より詳細には、第１接続部１２３ａは、貫通孔１２１ｂの内側に突き出した端部が軸方向一方側へと立ち上がった第１部分１５１と、第１部分１５１に続いて基板ケース１２１の底部１２１ａに沿って延びた第２部分１５２と、当該第２部分１５２に続いて第２部分１５２が延びた方向とは逆側に折り返した第３部分１５３とを有する。

【0036】

導線の端部１４３は、基板ケース１２１内で第１接続部１２３ａの第２部分１５２と第３部分１５３とに挟まれてかしめられる。これにより、導線の端部１４３は第１接続部１２３ａに固定されると共に、第１接続部１２３ａと電気的に接続される。更に、導線の端部１４３は、ハンダ付けによって第１接続部１２３ａに強固に固定される。

【0037】

第１接続部１２３ａが貫通孔１２１ｂの内側に突き出すことで、貫通孔１２１ｂの延長上で導線の端部１４３が第１接続部１２３ａと接続されるので、端部１４３の引き回しなどが容易である。また、第２部分１５２および第３部分１５３が、軸方向一方側に立ち上がった第１部分１５１により貫通孔１２１ｂに対して軸方向一方側に保持されるので、導線の端部１４３を第１接続部１２３ａに接続するためのかしめ作業やハンダ付け作業などが容易である。
図８は、第２接続部１２３ｂの詳細構造を示す図であり、図９は、第２接続部１２３ｂとリード線１２４との位置関係を示す図である。

【0038】

第２接続部１２３ｂは基板ケース１２１の底部１２１ａから軸方向一方側へと板状に突き出し、基板ケース１２１は、第２接続部１２３ｂの周囲に、底部１２１ａから第２接続部１２３ｂを取り囲んで突出した台部１２１ｄを有する。言い換えると台部１２１ｄは、軸方向一方側へと突き出した第２接続部１２３ｂを囲んで基板ケース１２１の底部１２１ａから軸方向一方側へと第２接続部１２３ｂの途中まで突き出す。台部１２１ｄによって第２接続部１２３ｂが補強される。

【0039】

板状の第２接続部１２３ｂは、基板ケース１２１の底部１２１ａから突出した突出方向Ｈに広がると共に、基板ケース１２１の底部１２１ａに沿った延伸方向Ｗにも広がる。

【0040】

第２接続部１２３ｂは、延伸方向一方側から突き出して軸方向一方側へと延びた第１部分１６１と、第１部分１６１とは離れた延伸方向他方側から突き出した第３部分１６３とを有する。また、第２接続部１２３ｂは、軸方向一方側へと突き出した第１部分１６１の端部に、基板ケース１２１の底部１２１ａに沿って延伸方向他方側へと張り出した第２部分１６２を有する。第１部分１６１と第２部分１６２との境界部分にはＶ字溝１６４が設けられる。

【0041】

第２接続部１２３ｂに接続されるリード線１２４の端子部１２４ｂは長方形状の長孔１２４ｃを有し、端子部１２４ｂは長孔１２４ｃが第２接続部１２３ｂの第１部分１６１と第３部分１６３に跨がるように第２接続部１２３ｂに掛けられる。これにより、第２接続部１２３ｂに対するリード線１２４の向きと位置が決まる。第２接続部１２３ｂにリード線１２４の端子部１２４ｂが掛けられて一時的に保持されることにより，その後のハンダ付け作業などが容易となる。

【0042】

基板ケース１２１には、底部１２１ａから軸方向一方側へと突き出した案内突起１２１ｅが設けられる。案内突起１２１ｅがリード線１２４を基板ケース１２１内で案内することで、基板ケース１２１内でのリード線１２４の引き回しルートが安定すると共に、第２接続部１２３ｂや端子部１２４ｂに対する他のリード線１２４の接触などが抑制される。
図１０および図１１は、第２接続部１２３ｂにリード線１２４の端子部１２４ｂを接続する手順を示す図である。
図１０には、第２接続部１２３ｂにリード線１２４の端子部１２４ｂを掛けた状態が示される。

【0043】

上述したように、リード線１２４の端子部１２４ｂは、第２接続部１２３ｂの第１部分１６１と第３部分１６３に跨がるように掛かり、その結果、第２接続部１２３ｂの第２部分１６２は、リード線１２４の端子部１２４ｂを軸方向一方側に貫通してリード線１２４の端子部１２４ｂから突き出た状態となる。

【0044】

上述した台部１２１ｄは、リード線１２４の端子部１２４ｂが第２接続部１２３ｂに掛けられる際に、端子部１２４ｂが基板ケース１２１の底部１２１ａ側へと落ち込むことを防ぐので、第２接続部１２３ｂに端子部１２４ｂを掛ける作業が容易である。第２接続部１２３ｂに掛かった端子部１２４ｂは底部１２１ａから離れた位置に支持されるので、その後のハンダ付け作業などが容易である。
図１０に示すようにリード線１２４の端子部１２４ｂが第２接続部１２３ｂに掛けられた後、第２接続部１２３ｂの第２部分１６２が折り曲げられる。
図１１には、第２接続部１２３ｂの第２部分１６２が折り曲げられた状態が示される。

【0045】

リード線１２４の端子部１２４ｂから突き出た第２部分１６２は、Ｖ字溝１６４の箇所を折り線として折り曲げられる。その後のハンダ付け作業によって、端子部１２４ｂが第２接続部１２３ｂに固定されると共にリード線１２４が第２接続部１２３ｂに電気的に接続される。第２部分１６２の折り曲げにより端子部１２４ｂの抜け止めとなるのでハンダ付け作業などが容易である。

【0046】

なお、ここでは、本発明のモータおよび電動ポンプにおける使用方法の一例としてオイルポンプが挙げられるが、本発明のモータおよび電動ポンプの使用方法は上記に限定されない。本発明の電動ポンプは、水や空気などを吸入吐出するポンプに使用可能であり、本発明のモータは、パワーステアリング装置やコンプレッサなど広範囲に使用可能である。

【0047】

上述した実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

【符号の説明】

【0048】

１００ ：オイルポンプ
１１０ ：モータ部
１１１ ：モータハウジング
１１１ａ ：筒部
１１１ｂ ：底部
１１１ｃ ：貫通孔
１１２ ：回転軸
１１３ ：ロータ
１１４ ：ステータ
１１５ ：軸受
１２０ ：センサ部
１２１ ：基板ケース
１２１ａ ：底部
１２１ｂ ：貫通孔
１２１ｃ ：筒部
１２１ｄ ：台部
１２１ｅ ：案内突起
１２２ ：センサ基板
１２３ ：金属端子
１２３ａ ：第１接続部
１２３ｂ ：第２接続部
１２４ ：リード線
１５１ ：第１接続部の第１部分
１５２ ：第１接続部の第２部分
１５３ ：第１接続部の第３部分
１６１ ：第２接続部の第１部分
１６２ ：第２接続部の第２部分
１６３ ：第２接続部の第３部分
１３０ ：ポンプ部
１３１ ：ポンプハウジング
１３２ ：作動部
１４１ ：コア
１４２ ：コイル
１４３ ：導線の端部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】