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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】清掃消毒システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20250109BHJP
   H05B 47/125 20200101ALI20250109BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20250109BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20250109BHJP
   A61L 2/08 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H04Q9/00 301C
H05B47/125
H05B47/19
A47L9/28 E
A61L2/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021076413
(22)【出願日】2021-04-28
(65)【公開番号】P2022170340
(43)【公開日】2022-11-10
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】箱家 貴之
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-214687(JP,A)
【文献】特開2019-175779(JP,A)
【文献】特開2021-007206(JP,A)
【文献】特開2015-205165(JP,A)
【文献】特開2007-037761(JP,A)
【文献】特開2021-029487(JP,A)
【文献】特開2007-159609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L9/22-9/32
A61L2/00-2/28
11/00-12/14
F24F3/00-3/167
7/00-7/10
9/00-12/00
110/00
120/00
130/00
140/00
H03J9/00-9/06
H04L12/28
12/44-12/46
H04Q9/00-9/16
H05B39/00-39/10
45/00-45/59
47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具の点灯状態を制御する端末器と、
前記照明器具が配置された室内空間の人を検知する画像センサと、
前記室内空間を消毒する消毒装置と、
前記室内空間を清掃する清掃ロボットと、
前記端末器、前記画像センサ、前記消毒装置、及び前記清掃ロボットと通信する管理装置と、
を備え、
前記管理装置は、前記画像センサによる人の検知結果に基づいて、前記端末器に前記照明器具の点灯状態を制御させ、前記消毒装置の動作を制御し、前記清掃ロボットの動作を制御する
ことを特徴とする清掃消毒システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記画像センサによる人の検知結果に基づいて人の密集度を判断し、前記密集度に基づいて前記清掃ロボットの清掃ルートを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃消毒システム。
【請求項3】
前記端末器、前記画像センサ、及び前記消毒装置は、前記室内空間の内部の複数のエリア毎に配置され、
前記管理装置は、
前記複数のエリア毎に前記密集度を判断し、
前記複数のエリアに含まれる特定エリアにおいて前記密集度が密集度閾値を超える時間が第1時間閾値を超えたとき、前記特定エリアに配置された前記消毒装置を作動させ、前記清掃ロボットに前記特定エリアを清掃させる
ことを特徴とする請求項2に記載の清掃消毒システム。
【請求項4】
前記管理装置は、
前記密集度が前記密集度閾値を超える時間が前記第1時間閾値より長い第2時間閾値を超えたエリアを、前記清掃ロボットによる清掃を優先する優先エリアとして特定し、
特定した前記優先エリアを優先した緊急清掃ルートとなるように前記清掃ルートを変更する
ことを特徴とする請求項3に記載の清掃消毒システム。
【請求項5】
前記画像センサは、人の検知結果に基づく人の在否情報及び人数情報の少なくとも一方を要求する信号を前記管理装置から受信したときに、前記在否情報及び前記人数情報の前記少なくとも一方を前記管理装置に送信する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の清掃消毒システム。
【請求項6】
前記画像センサは、検知した人数が変化したときに、人の検知結果に基づく人数情報を前記管理装置に送信する
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の清掃消毒システム。
【請求項7】
前記管理装置は、前記室内空間に人が存在することを示す在否情報を前記画像センサから受信したとき、前記在否情報を送信した前記画像センサに紐づく前記端末器に対し、前記端末器に接続された前記照明器具の制御信号を送信する
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の清掃消毒システム。
【請求項8】
前記管理装置は、前記清掃ルートと前記清掃ロボットの稼働状況とを記憶する
ことを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の清掃消毒システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、清掃消毒システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、撮像した画像データにより人の存否を判断する画像センサ装置を、照明器具及び制御装置とともに備える照明制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-29301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照明器具が配置された室内空間において人の密集度が高いことは、感染症の感染拡大の要因になり得る。このため、感染拡大を抑制する対策が求められる。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、室内空間における感染症の感染拡大の抑制に好適な清掃消毒システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る清掃消毒システムは、照明器具の点灯状態を制御する端末器と、該照明器具が配置された室内空間の人を検知する画像センサと、該室内空間を消毒する消毒装置と、該室内空間を清掃する清掃ロボットと、該端末器、該画像センサ、該消毒装置、及び該清掃ロボットと通信する管理装置と、を備え、該管理装置は、該画像センサによる人の検知結果に基づいて、該端末器に該照明器具の点灯状態を制御させ、該消毒装置の動作を制御し、該清掃ロボットの動作を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る清掃消毒システムでは、管理装置は、画像センサによる人の検知結果に基づく照明器具の点灯状態の制御だけでなく、当該検知結果に基づく消毒装置及び清掃ロボットの動作の制御も行う。これにより、室内空間における感染症の感染拡大の抑制に好適な清掃消毒システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る清掃消毒システムの回路ブロック図である。
図2】実施の形態1に係る管理装置の機能ブロック図である。
図3】実施の形態1に係る管理装置のハードウェア構成の一部を示す図である。
図4】実施の形態1に係る殺菌装置の作動例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る清掃ロボットの定期清掃ルートの一例を示す図である。
図6】実施の形態1に係る清掃ロボットの緊急清掃ルートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態に係る清掃消毒システムについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る清掃消毒システム1の回路ブロック図である。清掃消毒システム1は、管理装置10と、端末器20と、殺菌装置30と、画像センサ40と、清掃ロボット50とを備える。
【0011】
管理装置10は、清掃消毒システム1全体の状態監視及び設定を行う。端末器20には、複数の照明器具21が接続されている。複数の照明器具21は、建物等の室内空間100(例えば、図4参照)の天井に配置されている。端末器20は、照明器具21の動作を制御する。
【0012】
殺菌装置30は、例えば、殺菌ランプである。殺菌ランプは殺菌灯とも呼ばれる。殺菌装置30は、室内空間100を消毒する「消毒装置」の一例である。本開示に係る消毒装置は、室内空間100の殺菌、除菌、及びウィルスの不活性化等の消毒を行うものであればよく、殺菌装置30に代え、例えば、換気扇又は空気清浄機であってもよい。
【0013】
画像センサ40は、室内空間100の人を検知するセンサである。より具体的には、画像センサ40は、例えば、室内空間100における人の在否、人数、及び人の位置を検知する。画像センサ40は、例えば、室内空間100の天井に配置されている。
【0014】
清掃消毒システム1によって備えられる端末器20、殺菌装置30、及び画像センサ40は、それぞれ、1つであってもよいし、複数であってもよい。本実施形態では、後述の図4等に示されるように、端末器20、殺菌装置30、及び画像センサ40の群が、室内空間100に間隔をあけて整列して配置されている。より詳細には、室内空間100の内部には、端末器20、殺菌装置30、及び画像センサ40の個々の群を中心とするエリアが複数形成されている。換言すると、端末器20、殺菌装置30、及び画像センサ40の群は、互いに紐づけられた状態で複数のエリア毎に配置されている。
【0015】
清掃ロボット50は、室内空間100の清掃を行う。具体的には、清掃ロボット50は、自立走行可能に構成され、例えば室内空間100の床面及び壁面の少なくとも一方の清掃を行う。清掃ロボット50は、例えば、ブラシを備えた吸引式、又はブラシを備えない吸引式のロボットである。また、清掃ロボット50は、例えば、消毒液噴霧器及び紫外線照射器の少なくとも一方を搭載していてもよい。
【0016】
管理装置10には、渡り配線で接続された通信線2を介して端末器20、殺菌装置30、及び画像センサ40が接続されている。管理装置10は、通信線2を介して端末器20、殺菌装置30、及び画像センサ40のそれぞれと通信を行う。より詳細には、管理装置10は、通信線2を介して接続された端末器20、殺菌装置30、及び画像センサ40との間で、伝送信号を送信及び受信する。伝送信号には、例えば、アドレスデータ及び制御データが含まれる。
【0017】
端末器20、殺菌装置30、及び画像センサ40には、固有のアドレスが割り当てられており、これらの機器は、それぞれに割り当てられたアドレスにより識別される。管理装置10は、端末器20と通信を行い、端末器20に照明器具の点灯状態を制御させる。また、管理装置10は、殺菌装置30の動作を制御する。
【0018】
また、管理装置10と清掃ロボット50とは、無線通信を利用してデータの送受信を行うワイヤレスLAN(Local Area Network)3を介して接続されている。ワイヤレスLANは、例えば、Wi-Fi(登録商標)である。清掃ロボット50には、固有のIP(Internet Protocol)アドレスが割り当てられている。清掃ロボット50は、割り当てられたIPアドレスにより識別される。管理装置10からの制御信号は、ワイヤレスLAN3を介して清掃ロボット50に送信される。これにより、清掃ロボット50の動作が管理装置10によって制御される。
【0019】
図2は、実施の形態1に係る管理装置10の機能ブロック図である。図3は、実施の形態1に係る管理装置10のハードウェア構成の一部を示す図である。図2に示されるように、管理装置10は、通信部11、制御部12、記憶部13、及び清掃ルート演算部14を備える。記憶部13は、図3におけるメモリに該当する。
【0020】
記憶部13は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。記憶部13には、管理装置10のソフトウェア、並びに、画像センサ40による人の検知結果に基づく各種情報、清掃ルート、及び、清掃ロボット50の稼働状況等が格納される。ここでいう各種情報は、人の在否情報、人数情報、及び密集度情報を含む。通信部11は、通信線2を介して端末器20、殺菌装置30、及び画像センサ40と制御データを送受信する。また、通信部11は、ワイヤレスLAN3を介して清掃ロボット50と制御信号を送受信する。
【0021】
制御部12は、画像センサ40による人の検知結果に基づいて、端末器20に照明器具21の点灯状態を制御させ、殺菌装置30の動作を制御し、清掃ロボット50の動作を制御する。清掃ルート演算部14は、制御部12からの密集度情報に基づいて清掃ロボット50の最適な清掃ルートを演算する。
【0022】
通信部11、制御部12、及び清掃ルート演算部14の各部の機能は、図3に示されるプロセッサ等の制御装置により実現される。制御装置は、専用のハードウェアであってもよい。また、制御装置は、メモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。CPUは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、又はDSPとも呼ばれる。
【0023】
制御装置が専用のハードウェアである場合、制御装置は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサであってもよい。また、制御装置は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)であってもよい。さらに、制御装置は、これらを組み合わせたものであってもよい。また、通信部11、制御部12、及び清掃ルート演算部14の各部の機能それぞれを、制御回路で実現してもよい。また、各部の機能をまとめて制御装置で実現してもよい。
【0024】
制御装置がCPUの場合、通信部11、制御部12、及び清掃ルート演算部14の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリに格納される。制御装置は、メモリに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、通信部11、制御部12、及び清掃ルート演算部14のそれぞれの機能を実現する。すなわち、メモリに格納されたプログラムは、通信部11、制御部12、記憶部13、及び清掃ルート演算部14の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
【0025】
ここで、メモリは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、又はDVD等であってもよい。RAMはRandom Access Memoryの略称である。ROMはRead Only Memoryの略称である。EPROMはErasable Programmable Read Only Memoryの略称である。EEPROMはElectrically Erasable Programmable Read-Only Memoryの略称である。
【0026】
なお、通信部11、制御部12、及び清掃ルート演算部14の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、通信部11及び清掃ルート演算部14については専用のハードウェアとしての制御装置でその機能を実現し、制御部12については制御装置がメモリに格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0027】
このように、制御装置は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0028】
制御信号は、例えば、清掃ロボット50を制御する信号である。これに限らず、制御信号は、端末器20の照明器具21を制御する信号であってもよい。また、制御信号は、殺菌装置30を制御する信号であってもよい。このように、制御信号には、清掃ロボット50、端末器20、殺菌装置30、及び画像センサ40との間で送受信されるあらゆる信号が含まれる。
【0029】
次に、図4図5、及び図6を参照して、管理装置10の制御部12による端末器20、殺菌装置30、及び清掃ロボット50の具体的な制御内容について説明する。
【0030】
画像センサ40は、人の検知結果に基づく人の在否情報及び人数情報の少なくとも一方を要求する信号を管理装置10から受信したときに、対応する在否情報及び人数情報の少なくとも一方を管理装置10に送信する。また、画像センサ40は、検知した人数が変化したときに、更新された人数情報を管理装置10に送信する。
【0031】
まず、制御部12は、人の在否情報に基づいて複数のエリア毎に端末器20を制御する。具体的には、制御部12は、室内空間100に人が存在することを示す在否情報を画像センサ40から受信したとき、当該在否情報を送信した画像センサ40に紐づく端末器20に対し、当該端末器20に接続された照明器具21の制御信号を送信する。より詳細には、制御部12は、当該端末器20の照明器具21の点灯状態を制御する。例えば、制御部12は、照明器具21を点灯させるように当該端末器20を制御する。
【0032】
次に、殺菌装置30及び清掃ロボット50の制御のために、制御部12は、画像センサ40による人の検知結果に基づいて人の密集度を判断する。密集度は、室内空間100の全体を対象として判断されてもよいが、以下の例では、上述の複数のエリア毎に判断される。
【0033】
本実施形態では、密集度は、次の条件1、2及び3を利用して判断される。条件3において、特定時間は例えば1分であり、また、「同じ場所に滞在していること」には閾値未満の遅いスピードでの移動が含まれる。なお、条件3における滞在時間及び移動スピードに関しては、管理装置10が画像センサ40から送信される情報を蓄積して測定する。
条件1:1m当たり人数が1人以上であること
条件2:人が移動している状態で前後左右の人との距離が1m未満であること
条件3:複数の人が特定時間以上、同じ場所に滞在していること
【0034】
制御部12は、上記の条件1、2及び3の少なくとも1つが満たされる場合、密集度が密集度閾値より高いと判断する。以下の説明では、密集度が密集度閾値よりも高いことを、単に「密集度が高い」とも称する。
【0035】
制御部12は、密集度に基づいて殺菌装置30を制御するか否かを決定する。具体的には、制御部12は、室内空間100の複数のエリアに含まれる「特定エリア」において密集度が密集度閾値を超える時間が第1時間閾値を超えたとき、当該特定エリアに配置された殺菌装置30を作動させる。以下の説明では、「密集度が密集度閾値を超える時間が第1時間閾値を超えたこと」を、単に「密集度が瞬間的に超過した」とも称する。第1時間閾値は、密集度が瞬間的に超過したか否かを判断するために予め定められた値である。なお、密集度が瞬間的に超過したことの判断に用いられた画像センサ40に紐づく殺菌装置30が、当該特定エリアに配置された殺菌装置30として特定される。
【0036】
図4は、実施の形態1に係る殺菌装置30の作動例を示す図である。図4に示す一例では、室内空間100には、端末器20、殺菌装置30、及び画像センサ40の群を中心とする15のエリアが形成されている。図4に示す例では、群A及びBがそれぞれ配置された2つのエリアが上述の特定エリアに該当し、当該特定エリアにおいて、密集度が瞬間的に超過している。このため、制御部12は、これらの2つの特定エリアの殺菌装置30の作動を開始するように当該殺菌装置30に制御信号を送信する。なお、密集度が密集度閾値よりも高くなっても、その時間が第1時間閾値に満たなかった場合には、殺菌装置30の作動は行われない。
【0037】
管理装置10は、密集度に基づいて清掃ロボット50の清掃ルートを決定する。具体的には、本実施形態では、制御部12は、密集度情報を清掃ルート演算部14に受け渡し、清掃ロボット50の清掃ルートを最適化するように清掃ルート演算部14に指示する。最適化された清掃ルートは、例えばワイヤレスLAN3を介して清掃ロボット50に送信される。
【0038】
本実施形態では、密集度に基づく清掃ルートの最適化は、一例として次のように実行される。すなわち、まず、制御部12は、複数のエリア毎に、密集度が上述の瞬間的に超過したか、或いは一定時間超過したか否かを判断する。ここでいう「密集度が一定時間超過したか否か」は、密集度が上記密集度閾値を超える時間が第2時間閾値を超えたか否かに基づいて判断される。第2時間閾値は、第1時間閾値よりも長くなるように予め定められた値である。
【0039】
密集度が瞬間的に超過したエリアを含むが一定時間超過したエリアを含まない場合には、清掃ルート演算部14は、例えば次の図5に示される定期清掃ルートをそのまま使用する。すなわち、この場合には、清掃ルートの変更は行われない。一方、密集度が一定時間超過したエリアを含む場合には、制御部12は、清掃ルート演算部14に清掃ルートの再構築を指示する。それに伴い、清掃ルート演算部14は、例えば次の図6を参照して説明されるように緊急清掃ルートを作成する。
【0040】
図5は、実施の形態1に係る清掃ロボット50の定期清掃ルートの一例を示す図である。図5に示す例は、上述の図4に示す例と対応しており、群A及びBにおいて、殺菌装置30が作動している。定期清掃ルートは、清掃ロボット50の基本的な清掃ルートである。図5に示す定期清掃ルートの例では、清掃ロボット50は、室内空間100の一端に位置するエリアを始点とし、当該一端の反対側の端に位置するエリアを終端として、すべてのエリアを通過するように移動する。
【0041】
定期清掃ルートは、管理装置10からワイヤレスLAN3を介して清掃ロボット50に送信されている。清掃ロボット50は、この定期清掃ルートに従い、始点から終点までの各エリアの清掃を開始する。より詳細には、清掃ロボット50は、例えば、密集度が瞬間的に超過したエリアが生じた際に、当該清掃を開始する。或いは、清掃ロボット50は、例えば、スケジュール化された日時で稼働してもよい。また、定期清掃ルートは、日時によって変更されてもよい。
【0042】
図5に示す定期清掃ルートによれば、清掃ロボット50は、殺菌装置30が作動した群A及びBを清掃中に通過する。このように、清掃ロボット50は、密集度に基づいて殺菌装置30を作動させた特定エリアを、管理装置10からの指示に従って清掃する。
【0043】
密集度が瞬間的に超過したことに伴う殺菌装置30の作動は、例えば、予め設定された時間だけ行われてもよい。このような例に代え、清掃ロボット50は、当該殺菌装置30が作動している特定エリアを清掃した後、当該特定エリアの清掃が終了したことを示す制御信号を管理装置10に送信してもよい。そして、それに伴い、管理装置10は、殺菌装置30の作動を停止してもよい。或いは、管理装置10は、当該制御信号を清掃ロボット50から受け取ってから一定時間経過した後に殺菌装置30の作動を停止してもよい。
【0044】
また、終点まで稼働した後に、清掃ロボット50は、清掃完了を示す制御信号を管理装置10に送信し、清掃を停止してもよい。或いは、終点まで稼働した後、清掃ロボット50は、始点から終点までの区間を折り返して逆順で清掃を継続してもよいし、又は、次の清掃ルートを要求する制御信号を管理装置10に送信してもよい。
【0045】
次に、図6は、実施の形態1に係る清掃ロボット50の緊急清掃ルートの一例を示す図である。緊急清掃ルートは、密集度が一定時間超過したエリアが生じた場合に選択される。清掃ルート演算部14は、密集度が一定時間超過したエリアを、清掃ロボット50による清掃を優先する「優先エリア」として特定する。図6に示す一例では、群Cが配置されたエリアが当該優先エリアに該当する。なお、図6において、群Bが配置されたエリアは、図4に示す例と同様に、密集度が瞬間的に超過したエリアに該当する。
【0046】
そして、清掃ルート演算部14は、特定した優先ルートを優先した緊急清掃ルートとなるように清掃ルートを変更する。より詳細には、図6に示す例では、定期清掃ルートに従って清掃を行っている清掃ロボット50が位置Pにある時に、群Cが配置されたエリアにおいて密集度の一定時間超過が生じている。このような場合には、制御部12は、密集度情報を清掃ルート演算部14に受け渡し、緊急清掃ルートの作成を清掃ルート演算部14に指示する。清掃ルート演算部14は、図6に示すように、人の密集が生じていない群D及びEが配置されたエリアの清掃を省略し、群Cが配置されたエリアに最短で向かう清掃ルートを緊急清掃ルートとして作成する。
【0047】
作成された緊急清掃ルートは、ワイヤレスLAN3を介して清掃ロボット50に送信される。清掃ロボット50は、受け取った緊急清掃ルートに従って清掃を継続する。なお、図6に示す例とは異なり、清掃ロボット50が定期清掃ルートによる清掃を行っていない時に密集度が一定時間超過したエリアが生じた場合においても、清掃ルート演算部14は、同様に、当該エリアを優先した緊急清掃ルートを作成してもよい。そして、清掃ロボット50は、作成された緊急清掃ルートに従う清掃を速やかに開始してもよい。
【0048】
ここで、優先エリアの特定について補足する。上述の条件1~3の何れか1つが満たされるエリアが複数生じる場合がある。この場合には、該当する条件1~3の何れかの条件に関係する人数が多い方のエリアが優先されてもよい。例えば、条件1に関し、1m当たりの人数が2人のエリアと3人のエリアとが存在する場合、3人のエリアが優先される。また、複数のエリアにおいて条件1~3の何れか1つが共通して満たされ、かつ、その条件に関係する人数が同じ場合には、条件1~3のうちの当てはまる条件の数が多い方のエリアが優先される。さらに、条件1~3のうちの当てはまる条件の数が同じで、各条件に関係する人数も同じエリアが複数存在する場合には、清掃ロボット50の現在位置から近い順で優先されてもよい。密集度が一定時間超過したエリアが複数存在する場合には、以上説明した優先順位に従って当該複数のエリアの清掃が順番に行われるように、緊急清掃ルートが生成されてもよい。
【0049】
また、群Cが配置されたエリアでは、殺菌装置30の作動は、密集度の瞬間的な超過が生じた際に開始されている。ただし、このように開始された殺菌装置30の作動がその後に密集度の一定時間超過が生じた時に既に終了している場合には、制御部12は、密集度の一定時間超過の発生を受けて殺菌装置30の作動を再度開始するように当該殺菌装置30を制御してもよい。
【0050】
密集度の一定時間超過の発生を受けて開始された殺菌装置30の作動は、例えば、予め設定された時間だけ行われてもよい。或いは、清掃ロボット50は、当該殺菌装置30が作動している優先エリアを清掃した後、当該優先エリアの清掃が終了したことを示す制御信号を管理装置10に送信してもよい。そして、それに伴い、管理装置10は、殺菌装置30の作動を停止してもよい。或いは、管理装置10は、当該制御信号を清掃ロボット50から受け取ってから一定時間経過した後に殺菌装置30の作動を停止してもよい。
【0051】
以上説明した清掃消毒システム1では、管理装置10は、画像センサ40による人の検知結果に基づく照明器具21の点灯状態の制御だけでなく、当該検知結果に基づく殺菌装置30及び清掃ロボット50の動作の制御も行う。これにより、室内空間100における感染症の感染拡大の抑制に好適な清掃消毒システム1を得ることができる。
【0052】
また、管理装置10は、画像センサ40による人の検知結果に基づいて人の密集度を判断し、密集度に基づいて清掃ロボット50の清掃ルートを決定する。より具体的には、管理装置10は、複数のエリア毎に密集度を判断する。そして、管理装置10は、複数のエリアに含まれる特定エリアにおいて密集度が密集度閾値を超える時間が第1時間閾値を超えたとき、当該特定エリアに配置された殺菌装置30を作動させ、さらに、清掃ロボット50に当該特定エリアを清掃させる。これにより、感染拡大を効果的に抑制できる。
【0053】
さらに、管理装置10は、密集度が密集度閾値を超える時間が第1時間閾値より長い第2時間閾値を超えたエリアを、清掃ロボット50による清掃を優先する優先エリアとして特定する。そして、管理装置10は、特定した優先エリアを優先した緊急清掃ルートとなるように清掃ルートを変更する。これにより、真に清掃を必要とするエリアを速やかに清掃できるようになるので、感染拡大をさらに効果的に抑制できる。
【0054】
上述した実施の形態1に係る清掃消毒システム1は、次のような構成を備えていてもよい。
【0055】
管理装置10は、清掃ロボット50が清掃中に実際に移動したルートを記憶部13に蓄積してもよい。そして、清掃ロボット50の清掃ルートの最適化のために、管理装置10は、蓄積されたルートから時間帯、曜日、及び季節毎の各エリアの密集度及び利用頻度を把握し、時間帯、曜日、及び季節に応じた最適な清掃ルートの学習を行ってもよい。
【0056】
また、管理装置10は、密集度が瞬間的に超過していないエリアの情報を清掃ルート演算部14へ受け渡し、清掃ロボット50の清掃ルートから除外するように指示してもよい。このようにして、清掃ロボット50の稼働が効率化されてもよい。
【0057】
また、管理装置10は、密集度の瞬間的な超過及び一定時間超過をそれぞれ判断するための第1時間閾値及び第2時間閾値をエリア毎に設定してもよい。
【0058】
また、清掃ロボット50の数は、1台に限られない。すなわち、清掃消毒システム1は、定期清掃ルート用の清掃ロボットと、緊急清掃ルート用のロボットとを個別に備え、これらの清掃ロボットを同時に運用してもよい。
【0059】
また、清掃ロボット50は、カメラを搭載していてもよい。そして、当該カメラが、画像センサ40とともに密集度の判断のために用いられてもよい。
【0060】
また、清掃ルート上において密集度が高い状態が継続されている場合、清掃ロボット50は、例えばスピーカを用いて密集の解消を促すアナウンスを実施してもよい。また、清掃ロボット50は、密集度が改善されるまでルート移動を停止し、密集度が高い場所の清掃時間を長くする等の手法によって清掃を強化してもよい。
【0061】
また、清掃ルート上において人の移動及び滞在が少ないエリアが予め把握されている場合には、管理装置10は、当該エリアを予め清掃ロボット50のルートから外してもよい。そして、管理装置10は、そのようなエリアについては、殺菌装置30等の消毒装置による消毒を行うようにしてもよい。
【0062】
また、管理装置10は、画像センサ40から送信される情報を蓄積及び分析し、密集度が高くなるエリアの推定を行ってもよい。そして、管理装置10は、このように推定したエリアを重点的に清掃するように清掃ルートを設定してもよい。
【0063】
また、清掃消毒システム1は、殺菌装置30等の消毒装置の作動、及び清掃ロボット50による清掃のうちの少なくとも一方を、ロスナイ(登録商標)等の熱交換形換気機器、及び空調設備の少なくとも一方と連動して実行してもよい。
【0064】
なお、本実施の形態及び変形例で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 清掃消毒システム、 2 通信線、 10 管理装置、 11 通信部、 12 制御部、 13 記憶部、 14 清掃ルート演算部、 20 端末器、 21 照明器具、 30 殺菌装置、 40 画像センサ、 50 清掃ロボット、 100 室内空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6