(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】消耗品の自動発注装置および自動発注方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/087 20230101AFI20250109BHJP
G16Y 10/45 20200101ALI20250109BHJP
【FI】
G06Q10/087
G16Y10/45
(21)【出願番号】P 2021116399
(22)【出願日】2021-07-14
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槻 将久
(72)【発明者】
【氏名】李 海妍
(72)【発明者】
【氏名】高木 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】大石 耕太
【審査官】田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-267509(JP,A)
【文献】特開2005-235000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
G16Y10/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設が有する廃棄ボックスに捨てられた容器包装の内容物に対応する消耗品の自動発注サービスを提供する自動発注装置であって、
前記廃棄ボックスの内部状況データ、又は、前記廃棄ボックス内に存在する容器包装の内容物の識別データが格納されたメモリと、
前記自動発注サービスの対象となる消耗品として事前に登録された発注対象品の自動発注処理を行うプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、前記自動発注処理において、
前記内部状況データ又は前記内容物の識別データに基づいて、前記発注対象品の容器包装が前記廃棄ボックス内に存在するか否かを判定し、
前記発注対象品の容器包装が前記廃棄ボックス内に存在すると判定された場合、前記内部状況データ又は前記内容物の識別データに基づいて、前記廃棄ボックス内に存在する前記発注対象品の容器包装の廃棄数を計算し、
前記廃棄数が、前記発注対象品の販売態様に応じて設定される上限閾値
であって、個別の包装容器に封入される消耗品に対して設定されるものと、個別の包装容器に封入され、かつ、全体として1つの包装に封入される消耗品に対して設定されるものとを含む上限閾値以上であるか否かを判定し、
前記廃棄数が前記
発注対象品の販売態様に応じて設定される上限閾値以上であると判定された場合、前記発注対象品の発注データを生成する
ことを特徴とする消耗品の自動発注装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動発注装置であって、
前記メモリには、前記施設が有し、未使用又は使用中の消耗品が保管される保管庫内に存在する消耗品の識別データが更に格納され、
前記プロセッサは、前記自動発注処理において、
前記消耗品の識別データに基づいて、前記発注対象品が前記保管庫内に存在するか否かを判定し、
前記発注対象品が前記保管庫内に存在すると判定された場合、前記消耗品の識別データに基づいて前記発注対象品の在庫数を計算し、
前記在庫数が、前記発注対象品の販売態様に応じて設定される下限閾値超であるか否かを判定し、
前記在庫数が前記
発注対象品の販売態様に応じて設定される下限閾値超であると判定された場合、前記発注データに基づく前記発注対象品の発注をキャンセルする
ことを特徴とする消耗品の自動発注装置。
【請求項3】
施設が有する保管庫に保管される消耗品の自動発注サービスを提供する自動発注装置であって、
前記保管庫内に存在する消耗品の識別データと、前記保管庫内に存在する消耗品の使用状況データと、が格納されたメモリと、
前記自動発注サービスの対象となる消耗品として事前に登録された発注対象品の自動発注処理を行うプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、前記自動発注処理において、
前記消耗品の識別データに基づいて、前記発注対象品が前記保管庫内に存在するか否かを判定し、
前記発注対象品が前記保管庫内に存在すると判定された場合、前記使用状況データに基づいて前記発注対象品の残量を計算し、
前記残量が、前記発注対象品の使用態様に応じて設定される下限閾値
であって、使用のたびに前記保管庫に戻される消耗品に対して設定される下限閾値以下であるか否かを判定し、
前記残量が前記
発注対象品の使用態様に応じて設定される下限閾値以下であると判定された場合、前記発注対象品の発注データを生成する
ことを特徴とする消耗品の自動発注装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の自動発注装置であって、
前記プロセッサは、前記自動発注処理において、
前記発注データを生成した場合、前記施設において前記自動発注サービスを利用するユーザの端末に前記発注データの送信報告を送信し、
前記送信報告の送信後の所定時間内に前記端末からキャンセル指示を受信した場合、前記発注データに基づく前記発注対象品の発注をキャンセルする
ことを特徴とする消耗品の自動発注装置。
【請求項5】
施設が有する廃棄ボックスに捨てられた容器包装の内容物に対応する消耗品の自動発注サービスを提供するためにコンピュータが実行する自動発注方法であって、
前記廃棄ボックスの内部状況データ又は、前記廃棄ボックス内に存在する容器包装の内容物の識別データを取得するステップと、
前記内部状況データ又は前記内容物の識別データに基づいて、前記自動発注サービスの対象となる消耗品として事前に登録された発注対象品の容器包装が前記廃棄ボックス内に存在するか否かを判定するステップと、
前記発注対象品の容器包装が前記廃棄ボックス内に存在すると判定された場合、前記内部状況データ又は前記内容物の識別データに基づいて、前記廃棄ボックス内に存在する前記発注対象品の容器包装の廃棄数を計算するステップと、
前記廃棄数が、前記発注対象品の販売態様に応じて設定される上限閾値
であって、個別の包装容器に封入される消耗品に対して設定されるものと、個別の包装容器に封入され、かつ、全体として1つの包装に封入される消耗品に対して設定されるものとを含む上限閾値以上であるか否かを判定するステップと、
前記廃棄数が前記
発注対象品の販売態様に応じて設定される上限閾値以上であると判定された場合、前記発注対象品の発注データを生成するステップと、
を備えることを特徴とする消耗品の自動発注方法。
【請求項6】
請求項5に記載の自動発注方法であって、
前記施設が有し、未使用又は使用中の消耗品が保管される保管庫内に存在する消耗品の識別データを取得するステップと、
前記消耗品の識別データに基づいて、前記発注対象品が前記保管庫内に存在するか否かを判定ステップと、
前記発注対象品が前記保管庫内に存在すると判定された場合、前記消耗品の識別データに基づいて前記発注対象品の在庫数を計算するステップと、
前記在庫数が、前記発注対象品の販売態様に応じて設定される下限閾値超であるか否かを判定するステップと、
前記在庫数が前記
発注対象品の販売態様に応じて設定される下限閾値超であると判定された場合、前記発注データに基づく前記発注対象品の発注をキャンセルするステップと、
を更に備えることを特徴とする消耗品の自動発注方法。
【請求項7】
施設が有する保管庫に保管される消耗品の自動発注サービスを提供するためにコンピュータが実行する自動発注方法であって、
前記保管庫内に存在する消耗品の識別データと、前記保管庫内に存在する消耗品の使用状況データとを取得するステップと、
前記消耗品の識別データに基づいて、前記自動発注サービスの対象となる消耗品として事前に登録された発注対象品が前記保管庫内に存在するか否かを判定するステップと、
前記発注対象品が前記保管庫内に存在すると判定された場合、前記使用状況データに基づいて前記発注対象品の残量を計算するステップと、
前記残量が、前記発注対象品の使用態様に応じて設定される下限閾値
であって、であって、使用のたびに前記保管庫に戻される消耗品に対して設定される下限閾値以下であるか否かを判定するステップと、
前記残量が前記
発注対象品の使用態様に応じて設定される下限閾値以下であると判定された場合、前記発注対象品の発注データを生成するステップと、
を備えることを特徴とする消耗品の自動発注方法。
【請求項8】
請求項5~7の何れか1項に記載の自動発注方法であって、
前記発注データを生成した場合、前記施設において前記自動発注サービスを利用するユーザの端末に前記発注データの送信報告を送信するステップと、
前記送信報告の送信後の所定時間内に前記端末からキャンセル指示を受信した場合、前記発注データに基づく前記発注対象品の発注をキャンセルするステップと、
を更に備えることを特徴とする消耗品の自動発注方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住居、事業所などの施設において消耗される物品(以下、「消耗品」とも称す、)を自動的に発注する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-185726号公報は、ごみ収集システムを開示する。この従来のシステムは、家庭やオフィスのごみ箱に捨てられた容器包装を識別し、識別された容器包装の内容物に対応する商品を特定する。従来のシステムは、また、商品の消費者に新たな商品の購入を促すために、容器包装に基づいて特定された商品、又はこの商品に関連する商品の広告を、消費者の端末に通知する処理を行う。
【0003】
特開2006-039773号公報は、医療用物品の発注システムを開示する。この従来のシステムは、医療用物品の包装材に付された製品情報に基づいて新たな医療用物品を発注する。製品情報の読み取りは、包装材が開封されることで読み取り可能となるICタグを用いて行われる。医療用物品の発注は、包装材の開封時に、製品情報を読み取るタグリーダに接続されたコンピュータシステムによって行われる。つまり、製品情報の読み取りから医療用物品の発注までの一連の動作は、包装材の開封時に自動的に行われる。
【0004】
特開2018-041234号公報は、医療材料の発注システムを開示する。この従来のシステムは、ICタグが付された医療材料を収納する容器と、タグリーダに接続された端末と、医療材料を管理するサーバと、を備えている。タグリーダは、収納容器の開口部に取り付けられている。未使用の医療材料がここから取り出されると、ICタグの情報がタグリーダにより読み取られ、医療材料の在庫状況情報が更新される。在庫状況情報は、端末により把握される。端末は、在庫状況情報に基づいて、医療材料の補充が必要であるか否かを判定する。補充が必要であると判定された場合、端末は、サーバに医療材料の発注を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-185726号公報
【文献】特開2006-039773号公報
【文献】特開2018-041234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
消耗品の容器包装には様々な種類が存在する。例えば、素材や形状に基づいて容器包装を分類すると、ガラス瓶、アルミ缶、スチール缶、PETボトル、紙製容器包装、及びプラスチック製容器包装が例示される。ガラス瓶、アルミ缶、スチール缶及びPETボトルには、主として液体系の消耗品が封入される。紙製及びプラスチック製の容器包装には、主として固体系の消耗品が封入される。
【0007】
捨てられた容器包装の内容物に対応する消耗品の自動発注サービスを考える。自動発注サービスは、消耗品を発注するタイミングが重要である。この発注のタイミングとしては、容器包装が捨てられたタイミングが一般的である。しかしながら、この一般的なタイミングは、発注のタイミングとして適切でない場合もある。例えば、液体系の消耗品については、その残量が少なくなったタイミングで発注する方が、自動発注サービスを利用するユーザにとって有益である可能性が高い。
【0008】
また、消耗品は、個別包装品が全体として1つの包装(以下、「同梱用包装」とも称す。)に封入されて販売されることがある。そのため、個別包装に封入された消耗品を使い切ったタイミングで自動発注が行われると、施設が保有する消耗品の在庫が余剰となる可能性がある。このように、消耗品を適切なタイミングで発注するためには、この消耗品の廃棄態様だけでなく、使用態様や販売態様を考慮することが求められる。故に、上述した従来技術とは異なる観点から開発を行う必要があった。
【0009】
本発明の1つの目的は、施設において消費される消耗品の自動発注サービスを利用するユーザの利便性を向上することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、施設が有する廃棄ボックスに捨てられた容器包装の内容物に対応する消耗品の自動発注サービスを提供する自動発注装置である。
前記自動発注装置は、メモリと、プロセッサと、を備える。前記メモリには、前記廃棄ボックスの内部状況データ、又は、前記廃棄ボックス内に存在する容器包装の内容物の識別データが格納される。前記プロセッサは、自動発注サービスの対象となる消耗品として事前に登録された発注対象品の自動発注処理を行う。
前記プロセッサは、前記自動発注処理において、
前記内部状況データ又は前記内容物の識別データに基づいて、前記発注対象品の容器包装が前記廃棄ボックス内に存在するか否かを判定し、
前記発注対象品の容器包装が前記廃棄ボックス内に存在すると判定された場合、前記内部状況データ又は前記内容物の識別データに基づいて、前記廃棄ボックス内に存在する前記発注対象品の容器包装の廃棄数を計算し、
前記廃棄数が、前記発注対象品の販売態様に応じて設定される上限閾値以上であるか否かを判定し、
前記廃棄数が前記上限閾値以上であると判定された場合、前記発注対象品の発注データを生成する。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において更に次の特徴を有する。
前記メモリには、前記施設が有し、未使用又は使用中の消耗品が保管される保管庫内に存在する消耗品の識別データが更に格納される。
前記プロセッサは、前記自動発注処理において、
前記消耗品の識別データに基づいて、前記発注対象品が前記保管庫内に存在するか否かを判定し、
前記発注対象品が前記保管庫内に存在すると判定された場合、前記消耗品の識別データに基づいて前記発注対象品の在庫数を計算し、
前記在庫数が、前記発注対象品の販売態様に応じて設定される下限閾値超であるか否かを判定し、
前記在庫数が前記下限閾値超であると判定された場合、前記発注データに基づく前記発注対象品の発注をキャンセルする。
【0012】
第3の発明は、施設が有する保管庫に保管される消耗品の自動発注サービスを提供する自動発注装置である。
前記自動発注装置は、メモリと、プロセッサと、を備える。前記メモリには、前記保管庫内に存在する消耗品の識別データと、前記保管庫内に存在する消耗品の使用状況データと、が格納される。前記プロセッサは、前記自動発注サービスの対象となる消耗品として事前に登録された発注対象品の自動発注処理を行う。
前記プロセッサは、前記自動発注処理において、
前記消耗品の識別データに基づいて、前記発注対象品が前記保管庫内に存在するか否かを判定し、
前記発注対象品が前記保管庫内に存在すると判定された場合、前記使用状況データに基づいて前記発注対象品の残量を計算し、
前記残量が、前記発注対象品の使用態様に応じて設定される下限閾値以下であるか否かを判定し、
前記残量が前記下限閾値以下であると判定された場合、前記発注対象品の発注データを生成する。
【0013】
第4の発明は、第1~3の発明の何れか1つにおいて更に次の特徴を有する。
前記プロセッサは、前記自動発注処理において、
前記発注データを生成した場合、前記施設において前記自動発注サービスを利用するユーザの端末に前記発注データの送信報告を送信し、
前記送信報告の送信後の所定時間内に前記端末からキャンセル指示を受信した場合、前記発注データに基づく前記発注対象品の発注をキャンセルする。
【0014】
第5の発明は、施設が有する廃棄ボックスに捨てられた容器包装の内容物に対応する消耗品の自動発注サービスを提供するためにコンピュータが実行する自動発注方法である。
前記自動発注方法は、
前記廃棄ボックスの内部状況データ又は、前記廃棄ボックス内に存在する容器包装の内容物の識別データを取得するステップと、
前記内部状況データ又は前記内容物の識別データに基づいて、前記自動発注サービスの対象となる消耗品として事前に登録された発注対象品の容器包装が前記廃棄ボックス内に存在するか否かを判定するステップと、
前記発注対象品の容器包装が前記廃棄ボックス内に存在すると判定された場合、前記内部状況データ又は前記内容物の識別データに基づいて、前記廃棄ボックス内に存在する前記発注対象品の容器包装の廃棄数を計算するステップと、
前記廃棄数が、前記発注対象品の販売態様に応じて設定される上限閾値以上であるか否かを判定するステップと、
前記廃棄数が前記上限閾値以上であると判定された場合、前記発注対象品の発注データを生成するステップと、
を備える。
【0015】
第6の発明は、第5の発明において更に次の特徴を有する。
前記自動発注方法は、
前記施設が有し、未使用又は使用中の消耗品が保管される保管庫内に存在する消耗品の識別データを取得するステップと、
前記消耗品の識別データに基づいて、前記発注対象品が前記保管庫内に存在するか否かを判定ステップと、
前記発注対象品が前記保管庫内に存在すると判定された場合、前記消耗品の識別データに基づいて前記発注対象品の在庫数を計算するステップと、
前記在庫数が、前記発注対象品の販売態様に応じて設定される下限閾値超であるか否かを判定するステップと、
前記在庫数が前記下限閾値超であると判定された場合、前記発注データに基づく前記発注対象品の発注をキャンセルするステップと、
を更に備える。
【0016】
第7の発明は、施設が有する保管庫に保管される消耗品の自動発注サービスを提供するためにコンピュータが実行する自動発注方法である。
前記自動発注方法は、
前記保管庫内に存在する消耗品の識別データと、前記保管庫内に存在する消耗品の使用状況データとを取得するステップと、
前記消耗品の識別データに基づいて、前記自動発注サービスの対象となる消耗品として事前に登録された発注対象品が前記保管庫内に存在するか否かを判定するステップと、
前記発注対象品が前記保管庫内に存在すると判定された場合、前記使用状況データに基づいて前記発注対象品の残量を計算するステップと、
前記残量が、前記発注対象品の使用態様に応じて設定される下限閾値以下であるか否かを判定するステップと、
前記残量が前記下限閾値以下であると判定された場合、前記発注対象品の発注データを生成するステップと、
を備える。
【0017】
第8の発明は、第5~7の発明の何れか1つにおいて更に次の特徴を有する。
前記自動発注方法は、
前記発注データを生成した場合、前記施設において前記自動発注サービスを利用するユーザの端末に前記発注データの送信報告を送信するステップと、
前記送信報告の送信後の所定時間内に前記端末からキャンセル指示を受信した場合、前記発注データに基づく前記発注対象品の発注をキャンセルするステップと、
を更に備える。
【発明の効果】
【0018】
第1又は5の発明によれば、廃棄ボックスに捨てられた発注対象品の容器包装の廃棄数が上限閾値以上であると判定された場合、この発注対象品の発注データが生成される。上限閾値は、この発注対象品の販売態様に応じて設定される。そのため、上限閾値を用いた判定によれば、発注対象品が個別包装されている場合に生じる不具合の発生を抑えることが可能となる。従って、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0019】
第2又は6の発明によれば、発注対象品の容器包装の廃棄状況に加えて、発注対象品の在庫状況が考慮される。従って、発注対象品が個別包装されている場合に生じる不具合の発生を確実に抑えることが可能となる。従って、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0020】
第3又は7の発明によれば、保管庫に存在する発注対象品の残量が下限閾値以下であると判定された場合に、この発注対象品の発注データが生成される。下限閾値は、消耗品の使用態様に応じて設定される。そのため、下限閾値を用いた判定によれば、消耗品の廃棄態様が消耗品の使用態様によって変わりうる場合においても、発注対象品の発注を適切に行うことが可能となる。従って、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0021】
第4又は8の発明によれば、発注対象品の発注データが生成された場合、発注データの送信報告の送信後から所定時間の間、ユーザからのキャンセルを受け付けることが可能となる。従って、発注対象品の発注のキャンセル、又は発注対象品に類似する別の消耗品への変更の機会をユーザに提供して、ユーザの利便性を更に向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】自動発注サービスの概要を説明する図である。
【
図2】実施形態に係る自動発注処理の基本的な流れを説明する図である。
【
図3】廃棄ボックスに個別包装が捨てられたときの問題点を説明する図である。
【
図4】実施形態に係る自動発注処理の第2の例を実施するための施設の構成例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る自動発注処理の第3の例を実施するための施設の構成例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る自動発注装置の第1の構成例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る自動発注装置の第2の構成例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る自動発注装置の第3の構成例を示す図である。
【
図9】自動発注処理の第1の処理例を示すフローチャートである。
【
図10】自動発注処理の第2の処理例を示すフローチャートである。
【
図11】自動発注処理の第3の処理例を示すフローチャートである。
【
図12】自動発注処理の第4の処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る消耗品の自動発注装置及び自動発注方法について説明する。尚、実施形態に係る自動発注方法は、実施形態に係る自動発注装置において行われるコンピュータ処理により実現される。また、各図において、同一又は相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化し又は省略する。
【0024】
1.自動発注サービス
実施形態に係る自動発注装置は、消耗品の自動発注サービスを提供する。
図1は、自動発注サービスの概要を説明する図である。
図1に示される管理システム100は、自動発注サービスに関連する構成として、施設1と、管理センタ2と、施設1において自動発注サービスを利用するユーザUSの端末(以下、「ユーザ端末」とも称す。)3と、を備えている。施設1、管理センタ2及びユーザ端末3は、ネットワーク4を介した通信によって各種データのやり取りを行う。尚、
図1には1箇所の施設1が描かれているが、管理システム100を構成する施設1の総数は2以上でもよい。
【0025】
施設1は、住居、事業所といった建物であり、ここではユーザUSによって直接的又は間接的に消耗品が消費される。施設1は、実施形態に係る自動発注装置11を備えている。自動発注装置11は、施設1で消費された消耗品の「自動発注処理」を行うコンピュータである。自動発注処理の詳細については後述される。施設1は、また、各種の消耗品(commodity)を保管する保管庫12を備えている。保管庫12としては、収納棚、物置、倉庫などが例示される。
図1に示される例では、消耗品C11及びC21が保管庫12に保管されている。消耗品C11と消耗品C21の違いは、例えば、消耗品が属する商品のカテゴリ(大分類)にある。
【0026】
施設1は、更に、消耗品C11及びC12が捨てられる廃棄ボックス13及び14を備えている。廃棄ボックス13及び14には、施設1で消費された消耗品の容器包装が捨てられる。廃棄ボックス13と廃棄ボックス14の違いは、自動発注サービスの対象となる消耗品(以下、「発注対象品」とも称す。)の容器包装が捨てられるか否かにある。発注対象品は、ユーザUSによって事前に登録されている。実施形態では、発注対象品の容器包装が廃棄ボックス14に捨てられ、これ以外の容器包装が廃棄ボックス13に捨てられる。
【0027】
ただし、発注対象品の容器包装は、廃棄ボックス13に捨てられてもよい。例えば、発注対象品の自動発注を希望しない場合、ユーザUSは、その容器包装を廃棄ボックス13に捨てる。つまり、ユーザUSは、発注対象品の自動発注を希望する場合に限り、その容器包装を廃棄ボックス14に捨てる。
【0028】
廃棄ボックス14には、タグリーダ15が設けられている。タグリーダ15は、近距離無線通信を用いて、廃棄ボックス14内に存在する容器包装の内容物の識別データを読み取る。識別データは、例えば、容器包装に付された識別タグ(例えば、RFIDタグ)に記録されている。識別データは、容器包装が廃棄ボックス14内に存在する場合にタグリーダ15によって読み取られる。識別データには、消耗品の製造業者、消耗品の種類といった消耗品に固有のデータが含まれる。識別データには、また、消耗品の販売態様(具体的には、同梱用包装で販売される消耗品であるか否か)に関するデータも含まれる。タグリーダ15により読み取られた識別データは、自動発注装置11に送信される。
【0029】
実施形態の別の例では、タグリーダ15の代わりに、廃棄ボックス14の内部状況を撮影するカメラが設けられる。カメラにより撮影された廃棄ボックス14の内部状況データは、自動発注装置11に送信される。カメラの設置箇所は、廃棄ボックス14の内部状況を撮影できる箇所であれば特に限定されない。カメラの設置箇所は、廃棄ボックス14から内容物(つまり、包装容器)を取り出して収集するための移動体(具体的には、廃棄物収集車)が有する廃棄物投入口の近傍でもよい。
【0030】
管理センタ2は、各種の消耗品の在庫管理を行う。管理センタ2は、サーバ21及び倉庫22を備えている。サーバ21は、倉庫22に保管されている各種の消耗品C11、C12、・・・Ck1、Ck2(kはk≧3の自然数)の在庫管理に関連する処理を行うコンピュータである。在庫管理に関連する処理には、倉庫22に保管される消耗品の入出荷の記録処理、消耗品の保管位置の設定処理、消耗品の配送処理と、が含まれる。在庫管理に関連する処理には、自動発注装置11が行う自動発注処理の一部の処理が含まれてもよい。この場合、サーバ21は、施設1から内容物の識別データ又は内部状況データを受け取って、発注対象品の発注データを生成する。
【0031】
図1に示される例では、消耗品C11、C12、・・・Ck1、Ck2が倉庫22に保管されている。消耗品Ck1と消耗品Ck2の違いは、同一のカテゴリ(大分類)に属する商品の階層(中分類又は小分類)にある。消耗品Ck1と消耗品Ck2の違いは、同一のカテゴリ(小分類)に属する商品の個数単位(包装種類)でもよい。
【0032】
ユーザ端末3は、ユーザUSのコンピュータである。ユーザ端末3は、施設1に備え付けのコンピュータでもよいし、ユーザUS個人が携帯する端末(例えば、タブレット、スマートフォン)でもよい。発注対象品の登録及びこの登録の解除は、ユーザ端末3を介して行われる。ユーザ端末3の識別データ(つまり、ユーザUSの識別データ)は、施設1の識別データ及び発注対象品の登録データと関連付けられ、自動発注装置11及びサーバ21で共有される。
【0033】
2.自動発注処理の概要
2-1.自動発注処理の第1の問題点
図2は、実施形態に係る自動発注処理の基本的な流れを説明する図である。
図2に示す施設1の構成例は、
図1で説明したとおりである。
図2に示される例では、
図1において保管庫12に保管されていた消耗品C11及びC21が消費され、それらの容器包装が廃棄ボックス13及び14に捨てられている。消耗品C21の容器包装は廃棄ボックス13に位置し、消耗品C11のそれは廃棄ボックス14に位置する。つまり、
図2に示される例では、消耗品C11が発注対象品に該当する。
【0034】
廃棄ボックス14に消耗品C11が捨てられると、その容器包装の内容物(つまり、消耗品C11)の識別データがタグリーダ15によって読み取られる。自動発注装置11は、この内容物の識別データと、発注対象品の登録データとを照合する。そして、両者が一致する場合、自動発注装置11は、消耗品C11の発注データを生成して外部(つまり、サーバ21)に送信する。そうすると、サーバ21は、この発注データに基づいて消耗品C11の発送処理を行う。これにより、保管庫12に消耗品C11が補充される。
【0035】
別の例では、カメラにより取得された廃棄ボックス14の内部状況データに基づいて、廃棄ボックス14内に存在する容器包装の内容物が特定される。内容物の特定は、例えば、容器包装の画像データを教師データとする機械学習を利用して行われる。自動発注装置11は、特定結果に基づいて、容器包装の内容物(つまり、消耗品C11)が発注対象品であるか否かを判定する。内容物が発注対象品であると判定された場合、自動発注装置11は、消耗品C11の発注データを生成する。これ以降の流れは、上述した例と同じである。
【0036】
ただし、上述した自動発注処理では、廃棄ボックス14に捨てられた消耗品C11の容器包装が個別包装であると不具合が生じる。
図3は、廃棄ボックス14に個別包装が捨てられたときの問題点を説明する図である。
図3に示される例では、消耗品C11の同梱用包装から取り出された消耗品C11_1が消費され、その個別包装が廃棄ボックス14に捨てられている。一方、保管庫12には同梱用包装に入った消耗品C11_2が残っている。
【0037】
消耗品C11の同梱用包装、消耗品C11_1及びC11_2の個別包装の全てが廃棄ボックス14に捨てられた場合は、消耗品C11の発注及び補充が行わることが望ましい。一方、消耗品C11の一部の個別包装が廃棄ボックス14に捨てられた場合、又は、消耗品C11の同梱用包装と、一部の個別包装とが廃棄ボックス14に捨てられた場合は、消耗品C11の発注及び補充が不要である可能性がある。特に、消耗品C11の一部の個別包装のみが捨てられた場合に消耗品C11の発注及び補充が行われると、保管庫12における消耗品C11の在庫が余剰となる可能性がある。
【0038】
2-2.第1の例
そこで、実施形態に係る自動発注処理の第1の例では、
図2に示した構成例において、発注対象品の販売態様に応じた上限廃棄数UTNが設定される。上限廃棄数UTNは、発注対象品の廃棄数の上限閾値であり、発注対象品の容器包装の区分(同梱用包装及び個別包装)に応じて設定される。上限廃棄数UTNの初期値は固定値である。同梱用包装の初期値は、個別包装のそれよりも小さい値に設定される。初期値は、ユーザUSの希望に応じて変更することも可能である。この場合、ユーザUSは、ユーザ端末3を操作して上限廃棄数UTNを設定する。
【0039】
第1の例では、廃棄ボックス14に捨てられた発注対象品の容器包装の廃棄数が上限廃棄数UTN以上であるか否かが判定される。そして、廃棄数が上限廃棄数UTN以上であると判定された場合に、発注対象品の発注データが生成される。このような上限廃棄数UTNが用いられることで、発注対象品が個別包装されている場合に生じる不具合の発生を抑えることが可能となる。また、上限廃棄数UTNの初期値が適切に設定され、又は、ユーザUSによりこの初期値が適切な値に変更されることで、発注対象品の発注及び補充をユーザUSの好みに沿ったタイミングで行うことが可能となる。
【0040】
2-3.第2の例
実施形態に係る自動発注処理の第2の例では、上限廃棄数UTNに加えて、発注対象品の販売態様に応じた下限在庫数LSNが設定される。下限在庫数LSNは、保管庫12に保管される発注対象品の在庫数の下限閾値であり、発注対象品の容器包装の区分に応じて設定される。上限廃棄数UTN同様、下限在庫数LSNの初期値は固定値であり、この初期値はユーザUSの希望に応じて変更することが可能である。
【0041】
第2の例では、第1の例同様、廃棄数が上限廃棄数UTN以上であると判定された場合、発注対象品の発注データが生成される。ここまでは、第1の例と同じである。ただし、第2の例では、廃棄数が上限廃棄数UTN以上であると判定された場合、更に、保管庫12に存在する発注対象品の在庫数SNが下限在庫数LSN超であるか否かが判定される。在庫数SNの計算は、内容物の識別データ又は内部状況データの把握を保管庫12において行うことにより行われる。
【0042】
図4は、実施形態に係る自動発注処理の第2の例を実施するための施設1の構成例を示す図である。
図4に示される例は、
図2に示した構成例に、タグリーダ16が更に追加されたものである。タグリーダ16は、近距離無線通信を用いて、保管庫12内に存在する容器包装の内容物の識別データを読み取る。タグリーダ16の基本的な機能はタグリーダ15のそれと同じである。タグリーダ16の代わりにカメラが用いられてもよい。この場合は、カメラにより保管庫12の内部状況データが取得される。カメラの設置箇所は、保管庫12の内部状況を撮影できる箇所であれば特に限定されない。
【0043】
第2の例では、タグリーダ16により読み取った内容物の識別データ、又は、カメラにより取得された保管庫12の内部状況データに基づいて、在庫数SNが計算される。そして、在庫数SNが下限在庫数LSN超であると判定された場合、発注データに基づいた発注がキャンセルされる。このように、第2の例によれば、発注対象品の容器包装の廃棄状況に加えて発注対象品の在庫状況が考慮される。従って、発注対象品が個別包装されている場合に生じる不具合の発生を確実に抑えることが可能となる。また、下限在庫数LSNの初期値が適切に設定され、又は、ユーザUSによりこの初期値が適切な値に変更されることで、発注対象品の発注及び補充をユーザUSの好みに沿ったタイミングで行うことが可能となる。
【0044】
2-4.自動発注処理の第2の問題点
上述した第1及び第2の例は、消耗品の廃棄態様が消耗品の販売態様によって変わりうることに着目した改良例である。ここで、消耗品の廃棄態様に影響する因子としては、消耗品の使用態様も考えられる。例えば、液体系の消耗品の場合、使用のたびに消耗品の容器包装が捨てられることは稀である。つまり、液体系の消耗品の場合、使用のたびに消耗品が容器包装に入った状態で保管庫12に戻される。液体系の消耗品に限られず、容器包装に入った状態で保管庫12に戻される消耗品は、その残量が少なくなったタイミングで発注及び補充をすることが望ましい。
【0045】
2-5.第3の例
そこで、実施形態に係る自動発注処理の第3の例では、第1の例で説明した識別データに加えて、消耗品の使用態様(具体的には、使い切り型の消耗品に該当するか否か)に関するデータが識別タグに記録される。第3の例では、また、第1の例で説明した上限廃棄数UTNではなく、発注対象品の使用態様に応じた下限残量LSAが設定される。下限残量LSAは、保管庫12に保管される発注対象品の残量の下限閾値である。上限廃棄数UTN同様、下限残量LSAの初期値は固定値であり、この初期値はユーザUSの希望に応じて変更することが可能である。
【0046】
第3の例では、タグリーダ16により読み取った内容物の識別データ、又は、カメラにより取得された内部状況データに基づいて発注対象品が保管庫12に存在するか否かが判定される。そして、発注対象品が保管庫12に存在すると判定された場合は、この発注対象品が使用のたびに保管庫12に出し入れされる属性の消耗品であるか否か(つまり、繰り返し使用型の消耗品に該当するか否か)が判定される。尚、この属性判定は、識別データ又は内部状況データと、発注対象品の登録データとの照合により行われる。そして、発注対象品が繰り返し使用型の消耗品に該当すると判定された場合、この発注対象品の残量SAが計算される。残量SAの計算は、発注対象品の使用状況データの把握を保管庫12において行うことにより行われる。
【0047】
図5は、実施形態に係る自動発注処理の第3の例を実施するための施設1の構成例を示す図である。
図5に示される例は、
図4に示した構成例に、重量センサ17が更に追加されたものである。重量センサ17は、保管庫12内に存在する発注対象品が入った容器包装の重量を計測する。識別データによれば、未使用状態の発注対象品が入った容器包装の重量が把握できる。そのため、例えば、識別データに基づいて把握された容器包装を含む発注対象品の全体の重量と、重量センサ17により計測されたそれ(つまり、使用状況データ)との差分を、残量SAとして計算することができる。容器包装の内容物が外部から認識可能である場合、重量センサ17の代わりにカメラが用いられてもよい。この場合は、カメラが取得した画像データに基づいて使用状況データが計算される。
【0048】
第3の例では、また、残量SAが下限残量LSA以下であるか否かが判定される。そして、残量SAが下限残量LSA以下であると判定された場合に、発注対象品の発注データが生成される。このように、第3の例によれば、消耗品の廃棄態様が消耗品の使用態様によって変わりうる場合においても、発注対象品の発注及び補充を適切なタイミングで行うことが可能となる。また、下限残量LSAの初期値が適切に設定され、又は、ユーザUSにより初期値が適切な値に変更されることで、発注対象品の発注及び補充をユーザUSの好みに沿ったタイミングで行うことが可能となる。
【0049】
以下、上述した自動発注処理の第1~第3の改良例を実現するための自動発注装置の構成例について説明する。
【0050】
3.自動発注装置の構成例
図6は、実施形態に係る自動発注装置の第1の構成例を示す図である。
図6は、上述した第1の改良例を実現するための構成例である。
図7は、実施形態に係る自動発注装置の第2の構成例を示す図である。
図7は、上述した第2の改良例を実現するための構成例である。
図8は、実施形態に係る自動発注装置の第3の構成例を示す図である。
図8は、上述した第3の改良例を実現するための構成例である。
【0051】
図6~8に示されるように、自動発注装置11は、プロセッサ11Aと、メモリ11Bと、データベース11Cと、を備えている。
【0052】
プロセッサ11Aは、CPUを含む。メモリ11Bには、プロセッサ11Aによる処理に必要な各種データが格納される。メモリ11Bとしては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD、SSDなどが例示される。プロセッサ11Aがコンピュータプログラムを実行することによって、自動発注装置11よる各種機能が実現される。このコンピュータプログラムは、メモリ11Bに格納されている。ただし、コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。コンピュータプログラムは、外部(例えば、サーバ21)からネットワーク経由で提供されてもよい。
【0053】
図6に示される第1の構成例では、メモリ11Bに格納される各種データに識別データIDC_15及び発注データORDが含まれる。識別データIDC_15は、タグリーダ15によって読み取られた包装容器の内容物のデータ(例えば、RFIDデータ)である。タグリーダ15の代わりにカメラが廃棄ボックス14に設けられる場合は、識別データIDC_15の代わりに廃棄ボックス14の内部状況データがメモリ11Bに格納される。発注データORDは、識別データIDC_15又は内部状況データに基づいて計算された発注対象品の廃棄数が、上限廃棄数UTN以上であると判定された場合に生成されるデータである。
【0054】
図7に示される第2の構成例では、メモリ11Bに格納される各種データに識別データIDC_15、IDC_16及び発注データORDが含まれる。識別データIDC_16は、タグリーダ16によって読み取られた包装容器の内容物のデータである。タグリーダ16の代わりにカメラが保管庫12に設けられる場合は、識別データIDC_16の代わりに保管庫12の内部状況データがメモリ11Bに格納される。識別データIDC_15及び発注データORDについては、
図6に示した第1の構成例と共通する。
【0055】
図8に示される第3の構成例では、メモリ11Bに格納される各種データに識別データIDC_16、重量データWTC及び発注データORDが含まれる。重量データWTCは、重量センサ17によって計測された発注対象品が入った容器包装の重量のデータである。重量センサ17の代わりにカメラが保管庫12に設けられる場合は、重量データWTCの代わりに発注対象品の使用状況データがメモリ11Bに格納される。識別データIDC_16及び発注データORDについては、
図7に示した第2の構成例と共通する。
【0056】
図6に示される第1の構成例では、データベース11Cに発注対象品のデータOBCが登録されている。データOBCの登録は、ユーザUSにより行われる。データベース11Cには、また、発注対象品の上限廃棄数UTNのデータOButnが登録されている。データベース11Cには、更に、発注対象品の補充間隔のデータOBitvが登録されている。補充間隔とは、発注対象品の発注が行われてから、この発注対象品が施設1に届けられるまでの見込み時間である。
【0057】
上限廃棄数UTN同様、補充間隔の初期値は固定値であり、この初期値はユーザUSの希望に応じて変更することが可能である。補充間隔の初期値は、発注対象品ごとに設定される。発注対象品ごとに初期値が設定されることで、発注対象品の補充をユーザUSの好みに沿ったタイミングで行うことが可能となる。ユーザUSのスケジュールデータを利用可能な場合、ユーザUSが施設1に滞在する時間帯に発注対象品の補充の時間帯を合わせるための調整が行われてもよい。ユーザUSが施設1に不在の時間帯を避ける調整が行われてもよい。
【0058】
図7に示される第2の構成例では、データベース11Cに発注対象品のデータOBC、上限廃棄数UTNのデータOButn、下限在庫数LSNのデータOBlsn及び補充間隔のデータOBitvが登録されている。つまり、第2の構成例では、第1の構成例で説明したデータに加えて、下限在庫数LSNのデータOBlsnがデータベース11Cに登録されている。
【0059】
図8に示される第3の構成例では、データベース11Cに発注対象品のデータOBC、下限残量LSAのデータOBlsa及び補充間隔のデータOBitvが登録されている。つまり、第3の構成例では、第1の構成例で説明した上限廃棄数UTNのデータOButnの代わりに、下限残量LSAのデータOBlsaがデータベース11Cに登録されている。
【0060】
尚、自動発注装置11が行う自動発注処理の一部の処理をサーバ21の在庫管理に関連する処理として行う場合は、プロセッサ11A、メモリ11B及びデータベース11Cといった自動発注装置11の構成を、サーバ21が備える構成として読み替えればよい。この場合は、自動発注装置11は、内容物の識別データIDC_15、内部状況データ等をサーバ21に送信する機能のみを有していればよい。
【0061】
4.自動発注処理の例
次に、
図9~12を参照しながら、実施形態に係る自動発注装置11(プロセッサ11A)により行われる自動発注処理の流れを説明する。
【0062】
4-1.第1の処理例
図9は、自動発注処理の第1の処理例を示すフローチャートである。
図9に示されるルーチンは、上述した第1の改良例に対応している。
【0063】
図9に示されるルーチンでは、まず、識別データIDC_15が取得される(ステップS11)。既に説明したように、識別データIDC_15は、タグリーダ15によって読み取られた包装容器の内容物のデータである。タグリーダ15の代わりにカメラが廃棄ボックス14に設けられる場合は、識別データIDC_15の代わりに廃棄ボックス14の内部状況データが取得される。
【0064】
ステップS11の処理に続いて、注文対象品の容器包装が廃棄ボックス14内に存在するか否かが判定される(ステップS12)。ステップS12の処理では、具体的に、ステップS11で取得された識別データIDC_15に、データベース11Cに登録された発注対象品のデータ(つまり、データOBC)と一致するデータが含まれているか否かが判定される。識別データIDC_15にデータOBCと一致するデータが含まれていないと判定された場合、
図9のルーチンの処理が終了する。
【0065】
ステップS12の判定結果が肯定的な場合、廃棄数TNi(iは1≦i≦k)が計算される(ステップS13)。廃棄数TNiは、廃棄ボックス14内に存在する発注対象品(以下、「発注品Ci_14」とも称す。)の容器包装の総数である。廃棄数TNiは、識別データIDC_15に基づいて、発注品Ci_14ごとに計算される。タグリーダ15の代わりにカメラが廃棄ボックス14に設けられる場合は、廃棄ボックス14の内部状況データに基づいて廃棄数TNiが計算される。
【0066】
ステップS13の処理に続いて、廃棄数TNiが上限廃棄数UTN以上であるか否かが判定される(ステップS14)。既に説明したように、上限廃棄数UTNは発注対象品の容器包装の区分に応じて設定される上限閾値であり、そのデータOButnはデータベース11Cに登録されている。廃棄数TNiが上限廃棄数UTN未満であると判定された場合、
図9のルーチンの処理が終了する。
【0067】
ステップS14の判定結果が肯定的な場合、発注品Ci_14の発注データORD_Ciが生成され、サーバ21に送信される(ステップS15)。尚、発注データORD_Ciには、施設1及び発注品Ciを特定するためのデータと、この発注品Ciの補充間隔のデータOBitvとが含まれる。また、
図9のルーチンの処理は、サーバ21の在庫管理に関連する処理として実行されてもよい。この場合、ステップS15の処理では、発注データORD_Ciの生成のみが行われる。
【0068】
4-2.第2の処理例
図10は、自動発注処理の第2の処理例を示すフローチャートである。
図10に示されるルーチンは、上述した第2の改良例に対応している。
【0069】
図10に示されるルーチンでは、まず、ステップS11~S14の処理が行われる。ステップS11~S14の処理については、
図9で説明したとおりである。
【0070】
ステップS14の判定結果が肯定的な場合、識別データIDC_16が取得される(ステップS21)。既に説明したように、識別データIDC_16は、タグリーダ16によって読み取られた包装容器の内容物のデータである。タグリーダ16の代わりにカメラが保管庫12に設けられる場合は、識別データIDC_16の代わりに保管庫12の内部状況データが取得される。
【0071】
ステップS21の処理に続いて、在庫数SNiが計算される(ステップS22)。在庫数SNiは、保管庫12内に存在する発注対象品(以下、「発注品Ci_12」とも称す。)の総数である。在庫数SNiは、識別データIDC_16に基づいて、発注品Ci_12ごとに計算される。タグリーダ16の代わりにカメラが保管庫12に設けられる場合は、保管庫12の内部状況データに基づいて在庫数SNiが計算される。
【0072】
ステップS22の処理に続いて、在庫数SNiが下限在庫数LSN以下であるか否かが判定される(ステップS23)。既に説明したように、下限在庫数LSNは保管庫12に保管される発注対象品の在庫数の下限閾値であり、そのデータOBlsnはデータベース11Cに登録されている。在庫数SNiが下限在庫数LSN以下であると判定された場合、ステップS15の処理が行われる。ステップS15の処理については、
図9で説明したとおりである。一方、在庫数SNiが下限在庫数LSN超であると判定された場合、
図10のルーチンの処理が終了する。つまり、この場合は、発注データORD_Ciに基づく発注が行われない。
【0073】
4-3.第3の処理例
図11は、自動発注処理の第3の処理例を示すフローチャートである。
図11に示されるルーチンは、上述した第3の改良例に対応している。
【0074】
図11に示されるルーチンでは、まず、識別データIDC_16が取得される(ステップS31)。ステップS31の処理の内容は、
図10のステップS21のそれと同じである。
【0075】
ステップS31の処理に続いて、注文対象品の容器包装が保管庫12内に存在するか否かが判定される(ステップS32)。ステップS32の処理では、具体的に、ステップS31で取得された識別データIDC_16に、データベース11Cに登録された発注対象品のデータ(つまり、データOBC)と一致するデータが含まれているか否かが判定される。識別データIDC_16にデータOBCと一致するデータが含まれていないと判定された場合、
図11のルーチンの処理が終了する。
【0076】
ステップS32の判定結果が肯定的な場合、発注品Ci_12が使い切り型の消耗品に該当するか否かが判定される(ステップS33)。ステップS33の処理では、具体的に、ステップS31で取得された識別データIDC_16に基づいて、発注品Ci_12が使い切り型の消耗品に該当するか否かが判定される。発注品Ci_12が使い切り型の消耗品に該当すると判定された場合、
図11のルーチンの処理が終了する。
【0077】
ステップS33の判定結果が否定的な場合、残量SAiが計算される(ステップS34)。残量SAiは、発注品Ci_12の容器包装内に残る発注対象品の量であり、発注品Ci_12の使用状況データに基づいて計算される。使用状況データは、例えば、重量センサ17により計測された発注品Ci_12の容器包装を含む全体の重量である。残量SAiは、計測されたこの全体の重量と、識別データIDC_16に基づいて把握された発注品Ci_12のそれとの差として計算される。
【0078】
ステップS34の処理に続いて、残量SAiが下限残量LSA以下であるか否かが判定される(ステップS35)。既に説明したように、下限残量LSAは発注対象品の残量の下限閾値であり、そのデータOBlsaはデータベース11Cに登録されている。残量SAiが下限残量LSA超であると判定された場合、
図11のルーチンの処理が終了する。
【0079】
ステップS35の判定結果が肯定的な場合、発注品Ci_14の発注データORD_Ciが生成され、サーバ21に送信される(ステップS36)。ステップS36の処理の内容は、
図9のステップS15のそれと同じである。尚、
図11のルーチンの処理は、サーバ21の在庫管理に関連する処理として実行されてもよい。この場合、ステップS36の処理では、発注データORD_Ciの生成のみが行われる。
【0080】
4-4.第4の処理例
図12は、自動発注処理の第4の処理例を示すフローチャートである。尚、
図12に示されるルーチンは、
図9~11で説明した処理例において発注データORD_Ciがサーバ21に送信された場合に実行される。
【0081】
図12に示されるルーチンでは、まず、発注データORD_Ciの送信報告がユーザ端末3に送信される(ステップS41)。ステップS41の処理では、例えば、発注データORD_Ciに含まれる一部又は全部のデータがユーザ端末3に送信される。別の例では、発注データORD_Ciに基づく発注のキャンセルが可能な期間のデータがユーザ端末3に送信される。この期間は、補充間隔のデータOBitvに基づいて計算される。
【0082】
ステップS41の処理に続いて、ユーザ端末3から発注のキャンセル指示を受信したか否かが判定される(ステップS42)。ステップS42の処理は、補充間隔のデータOBitvに基づいて計算した所定時間、繰り返し実行される。そして、ステップS42の判定の結果が肯定的な場合、発注のキャンセル指示をサーバ21に対して送信する(ステップS43)。尚、
図12のルーチンの処理は、サーバ21の在庫管理に関連する処理として実行されてもよい。この場合、ステップS43の処理では、発注データORD_Ciの削除が行われる。
【符号の説明】
【0083】
1 施設
2 管理センタ
3 ユーザ端末
11 自動発注装置
11A プロセッサ
11B メモリ
11C データベース
12 保管庫
13,14 廃棄ボックス
15,16 タグリーダ
17 重量センサ
21 サーバ
22 倉庫
C11、C12、C21、C22、Ck1、Ck2 消耗品
Ci 発注品
US ユーザ
LSA 下限残量
LSN 下限在庫数
UTN 上限廃棄数
TNi 廃棄数
SAi 残量
SNi 在庫数
IDC_15,IDC_16 識別データ
OBC 発注対象品のデータ
OBitv 補充間隔のデータ
OBlsa 下限残量のデータ
OBlsn 下限在庫数のデータ
OButn 上限廃棄数のデータ
ORD,ORD_Ci 発注データ
WTC 重量データ