(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B60R11/02 A
(21)【出願番号】P 2021142685
(22)【出願日】2021-09-01
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】萩山 丈士
(72)【発明者】
【氏名】塚本 清宏
(72)【発明者】
【氏名】越智 孝司
(72)【発明者】
【氏名】梶原 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】河本 創
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-066401(JP,A)
【文献】特開2019-070544(JP,A)
【文献】特開2020-196319(JP,A)
【文献】特開2009-235863(JP,A)
【文献】特開2022-178438(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0251809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)に運転席(7)部を囲うキャビン(16)を備え、キャビン(16)の左右の前支柱(18L,18R)にサイドミラー(47L,47R)を取り付けるサイドミラー用ブラケット(46L,46R)を設け、左右の後支柱(20L,20R)にキャビン(16)を吊り上げるためのフック用係止具(60L,60R)を設け、左右のサイドミラー用ブラケット(46L,46R)には前基部ステー(53L,53R)を、左右のフック用係止具(60L,60R)には後基部ステー(63L,63R)をそれぞれ構成し、これら前基部ステー(53L,53R)と後基部ステー(63L,63R)との間に左右パイプフレーム(50L,50R)を設け、キャビン(16)に、表示灯ブラケット(41)を介して走行する車体(1)の状態を表示する状態表示灯(40)を設け、状態表示灯(40)はキャビンルーフ(22)よりも上方に突出する作業中姿勢と、キャビンルーフ(22)よりも上方に突出しない収納姿勢とに変更可能に設け、左右パイプフレーム(50L,50R)は、キャビン(16)ルーフ(22)上面よりも高位となり、かつ倒伏収納姿勢の状態表示灯(40)よりも外側に位置するよう設けることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
左右の後基部ステー(
63L,63R)間に亘って後部パイプフレーム(51)を設け、キャビン(16)のルーフ(22)後部に後方障害物センサ(67)を設け、後部パイプフレーム(51)は後方障害物センサ(67)よりも後方に設けた、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
後部パイプフレーム(51)はU状の端部を左右の後基部ステー(
63L,63R)に固定され、後ろ上がり傾斜状態に設けた、請求項2に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用トラクタ等の作業車両に関し、特に車両のキャビンルーフ上面に配設した通信制御ユニット等の保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
運転席を囲い、運転者が乗り込むキャビンのルーフに通信制御ユニットを搭載し、通信制御ユニットの上方を囲うガードを立設して、上方からカバーで覆うことで通信制御ユニットを保護できる作業車両が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように構成すると、ガード部材によって通信制御ユニットを保護し破損防止の効果がある。しかしながら、多機能化してきた近年の作業車両においては、ルーフの上に搭載される部品の数も多くなってきており、カバーをかける際にルーフを全体的に保護する必要が出てきた。
【0005】
本発明は、ルーフ上面に設ける通信制御ユニットをほこりや雨水から保護すべく覆う幌カバーの不測の干渉を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
【0007】
請求項1に記載の発明は、走行車体1に運転席7部を囲うキャビン16を備え、キャビン16の左右の前支柱18L,18Rにサイドミラー47L,47Rを取り付けるサイドミラー用ブラケット46L,46Rを設け、左右の後支柱20L,20Rにキャビン16を吊り上げるためのフック用係止具60L,60Rを設け、左右のサイドミラー用ブラケット46L,46Rには前基部ステー53L,53Rを、左右のフック用係止具60L,60Rには後基部ステー63L,63Rをそれぞれ構成し、これら前基部ステー53L,53Rと後基部ステー63L,63Rとの間に左右パイプフレーム50L,50Rを設け、前記キャビン16に、表示灯ブラケット41を介して走行する車体1の状態を表示する状態表示灯40を設け、状態表示灯40はキャビンルーフ22よりも上方に突出する作業中姿勢と、キャビンルーフ22よりも上方に突出しない収納姿勢とに変更可能に設け、前記左右パイプフレーム50L,50Rは、キャビン16ルーフ22上面よりも高位となり、かつ前記倒伏収納姿勢の状態表示灯40よりも外側に位置するよう設ける。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、左右の後基部ステー63L
,63R間に亘って後部パイプフレーム51を設け、キャビン16のルーフ22後部に後
方障害物センサ67を設け、後部パイプフレーム51は後方障害物センサ67よりも後方
に設けた。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、後部パイプフレーム51は
U状の端部を前記左右の後基部ステー63L,63Rに固定され、後ろ上がり傾斜状態に
設ける。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によると、左右パイプフレーム50L,50Rは、キャビン16ルーフ22上面よりも高位となり、かつ前記倒伏収納姿勢の状態表示灯40よりも外側に位置するよう設けられる。したがって、上方から幌カバーを掛けると、ルーフ22全体を保護でき、ルーフ22近傍に設けられる状態表示灯40を保護することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によると、請求項1に記載の効果に加え、後部パイプフレーム51は、後方障害物センサ67を保護できる。
【0012】
請求項3に記載の発明によると、請求項2に記載の効果に加え、後部パイプフレーム51は左右を後支持ステーパイプフレーム51の縦状部51aを前記後基部ステー63L,63Rに固定し、後ろ上がり傾斜に設けるものであるから、幌カバーを掛けて撓んだ状態でも後方障害物センサ67を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態のトラクタの側面図である。
【
図3】同上トラクタのキャビンを前方上方からみた斜視図である。
【
図4】同上トラクタのキャビンを前方下方からみた斜視図である。
【
図5】同上トラクタのルーフを前方斜め上方からみた斜視図である。
【
図6】同上トラクタのルーフを後方斜め上方からみた斜視図である。
【
図7】同上トラクタのキャビン前方上方の側面図である。
【
図8】同上トラクタの車体右側の状態表示灯及びその支持構成を示す斜視図である。
【
図9】同上トラクタの車体左側の状態表示灯及びその支持構成を示す斜視図である。
【
図10】同上トラクタの測位ユニット・通信制御ユニット及び支持構成を斜め後方からみた斜視図である。
【
図11】同上トラクタのパイプフレーム装着状態のキャビンを前方上方からみた斜視図である。
【
図12】同上トラクタのパイプフレーム装着状態のキャビンの側面図である。
【
図13】同上トラクタのパイプフレーム装着状態のキャビンの平面図である。
【
図14】同上トラクタの前基部ステー及びその周辺の分解斜視図である。
【
図15】同上トラクタの後基部ステー及びその周辺の一部断面した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、符号L,Rについて、左右一対の構成部材を示すときに、車体1の左側はL,右側はRを付して表記することとし、場合によってL,Rを省略して表記し説明する。
【0015】
図1乃至
図11において、トラクタを示すものであり、この走行車体1前部のボンネット2内部にディーゼルエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケース3内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪4及び後輪5に伝えるようにしている。エンジンEの後方に前輪4を操舵するステアリングハンドル6が装備され、更に、その後方には運転席7が設置されている。ミッションケース3の後上部には油圧シリンダケース8を備え、このシリンダケース8の左右両側には、油圧昇降機構の一部を構成するリフトアーム9が回動自在に取り付けられている。リフトアーム9は昇降用油圧シリンダ10の伸縮作動により上下動する。車体後部には、トップリンク11と左右のロアーリンク12からなる3点リンク機構を設け、同リンク機構にロータリ作業機Rを装着し、リフトロッド13を介してロアーリンク12をリフトアーム9に連結することにより、作業機Rを昇降可能に構成している。
【0016】
前記ハンドル6や運転席7等は、キャビン16によって覆われている。キャビン16は、例えば防振ゴム等の弾性部材を介して車体に固定されてあり、車体の振動がキャビン16に伝達されにくくしている。
【0017】
尚キャビン16は、フロア17と、フロア17左右前部に立設した前支柱18と、運転席7の後部左右に立設した後部支柱20と、左右フェンダ19中間部に立設する中間支柱62と、これら支柱上端同士を接続する上フレーム21とによって一体化した枠組み構成とし、ルーフ22で覆われている。
【0018】
前記キャビン16のルーフ22には、監視カメラ、障害物センサ、測位コントローラ、カメラコントローラ置等の運転支援に関する機器を備えている。以下これらの装着構成について詳述する。監視カメラ23はトラクタ車体の前方、後方及び側方を撮像し撮像データを取得し、また測位ユニットとしての測位コントローラ25は車体の位置を演算するための情報を、一方通信端末と通信を行う通信制御ユニットとしてのカメラコントローラ27を介して撮像情報を車体1に装備した制御部Cに送信出力するよう構成している。障害物センサ24は、例えば赤外線センサとされ、車体前後の障害物を検出しうる。通信制御ユニットとして本実施例ではカメラコントローラ27を一例として挙げるが、車体1各部のセンサ情報を演算制御するコントローラに代替してもよい。
【0019】
測位コントローラ25は、測位アンテナ(図示せず)、基地局(図示せず)情報受信アンテナ26、演算部(図示せず)、出力部(図示せず)を備えており、測位アンテナでGPS衛星等からの衛星信号を取得し、該衛星信号とアンテナ26で受信した基地局からの補正信号を演算部で処理することにより車体の位置情報や走行方位等を演算する。これら位置情報等は出力部にて制御部Cに送信されるものである。
【0020】
また、カメラコントローラ27は、監視カメラ23の撮像データを演算処理する演算部、その演算結果を送信する送信回路(図示せず)、複数(図例では2本)の通信アンテナ28を備えた構成である。撮像データの演算結果は、車体1に搭載した制御部Cに送信される。
【0021】
なお、前記制御部Cに送信される位置情報や撮像データ等は、図外管理サーバーに送信できる構成とし、この管理サーバーと通信可能に通信端末(例えば、携帯端末器)を設けることによって、この通信端末で車体1の情報を入手して車体状態を確認したり、あるいは車体1を遠隔操作できる構成とすることもできる。
【0022】
カメラコントローラ27を内装する筐体27a及び測位コントローラ25の演算部等を内装する筐体25aは、前記ルーフ22の前部側上方に配置される。すなわち、前記前部支柱18又は上フレーム21に固定したブラケット部材30L,30R間に架け渡すよう水平姿勢に支持された帯板状前部フレーム31を設け、該前部フレーム31の左右中間部に、カメラコントローラの筐体27aを前位置とし測位コントローラ25の筐体25aを後位置として前後に配置し固定支持してなる。なお、前部フレーム31は車体1の側面視において、フロントガラス38上端よりもやや前方に位置すべく架設状とされている。
【0023】
詳細には、前部フレーム31の左右中央部前壁に平面視コ字状の前方突出枠32fを、後壁に同じくコ字状でやや長尺の後方突出枠32rをそれぞれ固着し、前後の突出体32f,32rの上面に平板32aを固定することにより、前部フレーム31を前後に跨いで制御ユニット用ブラケット32を構成する。そして、この制御ユニット用ブラケット32の上面に、カメラコントローラ27の筐体27aを前位置に及び測位コントローラ25の筐体25aを後位置に前後配置して固着する。例えば筐体側に形成したフランジ部を制御ユニット用ブラケット32に重合して該重合箇所をボルト止めする。
【0024】
そして、制御ユニット用ブラケット32の左右に、保護フレームとしての、アンテナガード33L,33Rを備える。すなわち、丸棒をコ型に成形し、前側脚部33Lf,33Rfのそれぞれ下端は、前記前部フレーム31の上端部から前方に突出状態に固定される小型受部34L,34Rに挿通してナット等によって固定される。一方アンテナガード33L,33Rの後側脚部33Lr,33Rrはキャビンルーフ22の上面に接近して接触しうるように設けられ、その下端部には緩衝用ゴム35を設ける。具体的には筒状ゴム35L,35Rを前記後側脚部33Lr,33Rr下端から穿かせる構成とし、このように構成すると、アンテナガード33L,33Rが車体振動や外力によって押圧されてキャビンルーフ22に接触してもこの上面を損傷しない。アンテナガード33L,33Rは測位コントローラ25のアンテナ26高さ、及びカメラコントローラ27の通信アンテナ28,28高さと同等かそれ以上の高さに設定される。測位コントローラ25の筐体25a及びカメラコントローラ27の筐体27aの左右幅よりもやや広く、かつアンテナ26,28,28よりもやや高く位置される状態となって筐体25a,27a及びアンテナ26,28,28をガードできる。
【0025】
側面視において、アンテナガード33L,33Rは測位コントローラ25のアンテナ26、及びカメラコントローラ27の通信アンテナ28,28位置と重複する位置関係となっており、車体を風雨から護るよう覆う幌部材を被せるときや取り外しのときにアンテナ26をガードでき、不測に干渉して破損する恐れが少ない。
【0026】
前記測位コントローラ25及びカメラコントローラ27は前後に接近して配置されるものであるから、ハーネス類36を束ねて前部フレーム31の後壁面に沿わせるなどしてまとめることができ、配策作業の容易化や仕上げのまとまり度を向上できる。
【0027】
前記前部フレーム31の前側には車体1の前方を撮像できる前方カメラ23fを配置している。すなわち、前部フレーム31の前側で左右中央部には一対からなるカメラブラケット37を設け、カメラ本体を上下に撮像角度調整可能に設けている。したがって、前方カメラ23fは、上方にある制御ユニット用ブラケット32及びカメラコントローラ27にて保護できる。なお測位ユニットとしての測位コントローラ25と通信制御ユニットとしてのカメラコントローラ27とは前後入れ替えて配置することも可能であるが、測位コントローラ25を前位置に配置する場合は、制御ユニット用ブラケット32及び測位コントローラ25にて保護できる。
【0028】
前記制御ユニット用ブラケット32の後端側において、キャビンルーフ22との間隙を一定に保つように、前後の突出体32f,32rの上面に平板32aを固定するものであるが、該ブラケット32の前部フレーム31との接点付近を中心に前後揺動する恐れがあるためルーフ22への接触に伴う損傷防止処理を施している。すなわち、制御ユニット用ブラケット32の後端側下方に緩衝材38を設けてなる。このように構成すると、キャビン16のルーフ22から伝達される振動を抑制でき、ルーフ22との接触による損傷を防止する。
【0029】
次いで、走行車体1を自律走行できるよう構成した場合に、この自律走行中の状況を表示する状態表示灯40の設置構成について説明する。状態表示灯40は、積層状で異なる警告色を点灯できる構成となっており、自律走行中の車体1状況を各種点灯方法によって、例えば通常作業走行を緑色点灯、異常有りを赤色点灯、障害物検出を黄色点灯、機体停止で点滅することで区別表示できる構成であり、キャビン16の前部左右に配置している。すなわち、キャビン16の前部支柱18に表示灯ブラケット41に支持座ブラケット42を固着し、この支持座ブラケット42に、上記状態表示灯40は、起立状態に固定して設けられる。そして、支持座プレート42に固定された状態表示灯40は、運転席7に着座するオペレータの頭部位置に対して前部支柱18を挟んで反対側に位置すべく配置されるもので、オペレータの各種操作による通常走行において、表示灯40はオペレータの視野の妨げになることなく前部支柱18に隠れることができる。
【0030】
表示灯ブラケット41は前部支柱16に溶接等によって固定されるが、この表示灯ブラケット41に対して支持座ブラケット42は角度変更調整自在に設けている。すなわち、表示灯ブラケット41に対して着脱自在に2か所でボルト43・ナット44の組み合わせで締結するが、2か所のうち一方43a,44aは、他方43b,44bを中心に、表示灯ブラケット41に形成する円弧状ガイド孔41aに沿って任意に位置変更して締結できる構成としている。したがって、支持座プレート42及び状態表示灯40とは一体的に後方に倒伏すべく角度変更可能であり、起立した作業中姿勢と倒伏した収納姿勢に切換えできる(
図7)。そして、起立した作業中姿勢ではキャビンルーフ22よりも上方に突出し、倒伏する収納姿勢ではキャビンルーフ22よりも上方に突出しないよう支持座ブラケット42の高さおよび状態表示灯40の回動角度を設定(設計)している。これによって納屋収納等の非走行時には収納姿勢としておくことにより、収納納屋の省スペース化が図れ、さらに車体全体にカバーを掛ける場合に状態表示灯40が起立状態であると負荷が掛かって破損し易いが倒伏する収納姿勢では負荷を軽減できて破損を防止できる。
【0031】
収納姿勢の状態表示灯40は、キャビンドア39の上端よりも上方に、かつキャビンルーフ22よりも下位に位置すべく設定している(
図7)。したがって、状態表示灯40を収納姿勢としてもキャビンドア39を開閉でき、昇降に支障がない。
【0032】
なお、前記のように、支持座ブラケット42は、表示灯ブラケット41に対して着脱自在にボルト43・ナット44で締結する2か所のうち一方43a,44aは、他方43b,44bを中心に、表示灯ブラケット41に形成する円弧状ガイド孔41aに沿って任意に位置変更して締結できる構成とするから、1本のボルト43bを緩めることで簡単に姿勢変更できる。
【0033】
前記支持座ブラケットは左右に配置され、左右支持座ブラケット42L,42Rの各下部外面に、カメラブラケット45L,45Rを介して監視カメラ23の一である側方カメラ23s,23sを配置している。カメラブラケット45L,45Rに対して側方カメラ23s,23sを上下角度調整自在に設けている。
【0034】
前記キャビン16の前部支柱18において、前記表示灯40を支持する表示灯ブラケット41よりも下位にサイドミラー用ブラケット46を設け、このブラケット45の前端部に縦軸回りに回動調節自在にサイドミラー47を有するステー48を装着している。
【0035】
前記状態表示灯40は、起立姿勢の該状態表示灯40上端が前記アンテナガード33高さよりも下位にあり、起立姿勢の該状態表示灯40全体がサイドミラー47よりも機体内側に位置する関係に設定している。このように構成すると、車体にカバーを掛けるとき、アンテナガード33とサイドミラー47とで分散して受けることができ、状態表示灯40が作業中姿勢の起立姿勢であっても該状態表示灯40に掛かる負荷を低減できる。
【0036】
また、前記側方カメラ23sはキャビン16の前部支柱18に固定されるサイドミラー47よりも車体1内側でかつ状態表示灯40よりも下方に設けられることとなり、側方カメラ23sを状態表示灯40とサイドミラー47で保護できる。
【0037】
前記測位コントローラ25の演算部等を内装する筐体25aやアンテナ26、及び前記カメラコントローラ27の演算部等を収容する筐体27aや通信アンテナ28をほこりや雨水から保護すべく車体全体を覆う幌シートの干渉を回避するために設ける左右のパイプフレーム50L,50R、及び後部のパイプフレーム51の構成について、
図12から
図15に基づき説明する。
【0038】
前記のように、キャビン16の左右の前支柱18L,18Rにサイドミラー47L,47Rを取り付けるサイドミラー用ブラケット46L,46Rを設ける。サイドミラー用ブラケット46L,46Lに、縦回動支点回りに回動可能にミラーステー48L,48Rを延設し、この、ミラーステー48L,48Rの先端側にサイドミラー47L,47Rを吊持状に支持している。上記サイドミラー用ブラケット46L,46Rの縦状平板部46aL,46aRに、パイプ挿通用円筒52を固着したL型部材の前基部ステー53L,53Rを固定して設ける。詳細には前基部ステー53L,53Rの縦板部と対向させてなる内ステー54をもって該縦状平板部46aL,46aRを狭持状に固定する構成である。すなわち、前基部ステー53L,53Rの縦板部と対向する内ステー54とをチューブ55と小ボルト56によって間隔を一定に配置させると共に、両者はノブボルト57によってサイドミラー用ブラケット46L,46Rを貫通しつつ狭持状に締結する構成としている。パイプ挿通用円筒52には縦姿勢のパイプ材を貫通させることができる。
【0039】
一方キャビン16の左右の後支柱20L,20Rにはキャビン16を吊り上げるためのフック用係止具60L,60Rを備える。このフック用係止具60L,60Rは、図外フックを係止しうる切欠き60aを形成し適当強度の厚さを有した平板部材を後支柱20L,20Rの上端近傍において横側方に張出状に溶接固定される構成としている。この左右フック用係止具60L,60Rに、それぞれ前後2か所にパイプ挿通用円筒61及び62を設けた後基部ステー63L,63Rを固定して設ける。すなわち、後基部ステー63L,63Rは、上下複数(図例では3枚)のプレート部材を適宜間隔離れて枠組み形成し、前側のパイプ挿通用円筒61は、プレート部材を上下に貫通状に固定して設けられ、縦姿勢のパイプ材を挿通できる構成である。同様に、後側に設けられるパイプ挿通用円筒62も、縦姿勢のパイプ材を挿通できる構成である。
【0040】
上記の後基部ステー63L,63Rをフック用係止具60L,60Rに重合させてノブボルト64締結する構成である。65は位置決めピンである。円筒61,62は前記円筒52同様に、縦姿勢のパイプ材を貫通させることができる。
【0041】
前記前基部ステー53L,53Rの円筒52と後基部ステー63L,63Rの前側パイプ挿通用円筒61との間に側面視逆U状の左右パイプフレーム50L,50Rが装着される。その縦状部50a,50bを前記前基部ステー53Lの円筒52と後基部ステー63L,63Rの前側パイプ挿通用円筒61に上方から挿通している。各縦状部50a,50bには鍔部50c,50dを有してパイプ挿通位置決めを構成している。
【0042】
前記ルーフ22の後部は、後支柱20よりも後方に張り出すように形成されて意匠的向上を図っており、またエアコンユニット装着空間を形成するようになっている。このルーフ22の後端張り出し部22aの下面側に、カメラブラケット65によって後方向きで下向角度調整可能に後方監視カメラ23rを装着し、センサブラケット66を利用して後方障害物センサ67を装着する。なお、後方障害物センサ67の後面は前記ナンバープレート装着用座板68で囲われる。後方障害物センサ67や後方監視カメラ23rよりも上方に位置する構成となって、監視カメラ23rによる撮像を妨げることなく障害物センサ67を配置できる。
【0043】
ところで前記後部パイプフレーム51は、平面視においてルーフ後縁に略沿うよう形成され、前記左右の後基部ステー63L,63Rの後側に設ける円筒62に挿通する状態で、ルーフ22後上方に位置し、その後縁は平面視において前記後方障害物センサ67より後方に位置している。さらに、後部パイプフレーム51は側面視において後方に至るほど上位となるよう傾斜姿勢(
図12角度α)に設けられる。したがって、後部パイプフレーム51は、後方障害物センサ67や後方監視カメラ23rを保護できる。またこの後部パイプフレーム51は左右をパイプフレーム51の縦状部51aを前記後基部ステー63L,63Rの後側パイプ挿通用円筒62L,62Rに上方から挿通して固定し、後ろ上がり傾斜に設けるものであるから、幌カバーを掛けて撓んだ状態でも後方障害物センサ67や後方監視カメラ23rを保護できる。なお縦状部51aには鍔部51bを有してパイプ挿通位置決めを構成している。
【0044】
前記左右のパイプフレーム50L,50R及び後部のパイプフレーム51の縦状部50a,50b及び51a各下端部に、割ピン用挿通孔50e及び51eを設ける。このように構成すると、割ピン挿通使用によって不測の抜けを防止できる。
【0045】
上記実施例では、通信制御ユニットの例として測位コントローラ25又はカメラコントローラ27としたが、ルーフ22上面に配置するいかなる制御ユニット等にも応用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 走行車体
7 運転席
16 キャビン
18 前支柱
20 後支柱
40 状態表示灯
41 表示灯ブラケット
46 サイドミラー用ブラケット
47 サイドミラー
50 左右パイプフレーム
51 後部パイプフレーム
53 前基部ステー
60 フック用係止具
63 後基部ステー
67 後方障害物センサ