(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】有機発光素子
(51)【国際特許分類】
H10K 50/85 20230101AFI20250109BHJP
C07C 211/56 20060101ALI20250109BHJP
C07D 213/38 20060101ALI20250109BHJP
C07D 213/74 20060101ALI20250109BHJP
C07D 333/36 20060101ALI20250109BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20250109BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20250109BHJP
H10K 50/80 20230101ALI20250109BHJP
H10K 50/858 20230101ALI20250109BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20250109BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
H10K50/85
C07C211/56 CSP
C07D213/38
C07D213/74
C07D333/36
C09K11/06 690
H10K50/10
H10K50/80
H10K50/858
H10K59/10
H10K85/60
(21)【出願番号】P 2021574793
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(86)【国際出願番号】 CN2020106307
(87)【国際公開番号】W WO2021036683
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】201910796199.6
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】孫 枋竹
(72)【発明者】
【氏名】金 佳科
(72)【発明者】
【氏名】張 勁源
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0082052(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0133880(US,A1)
【文献】特開2000-048959(JP,A)
【文献】特開2005-044791(JP,A)
【文献】特開2015-092485(JP,A)
【文献】特開平04-225940(JP,A)
【文献】特開平04-026659(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108821985(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108276300(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/85
C07C 211/56
C07D 213/38
C07D 213/74
C07D 333/36
C09K 11/06
H10K 50/10
H10K 50/80
H10K 50/858
H10K 59/10
H10K 85/60
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、第1電極と、1種以上の有機層膜を含む発光層と、第2電極とを含む有機発光素子において、前記
有機発光素子はキャッピング層をさらに備え、前記キャッピング層は第2電極上にあり、前記キャッピング層は第1キャッピング層及び第2キャッピング層を含み、前記第1キャッピング層の屈折率は1.8以上であり、前記第2キャッピング層の屈折率が1.7以下であり、第2キャッピング層が以下の一般式
4に示す構造を含む芳香族アミン化合物を含むことを特徴とする、有機発光素子。
【化1】
[一般式
4]
そのうち、Ar
1、Ar
2、Ar
3はそれぞれ、置換された、または置換されていないアリール基及び/またはヘテロアリール基により構成される基を示し、前記Ar
1、Ar
2、Ar
3の中の少なくとも1つは、少なくとも1つのトリフルオロメチル基と結合し、前記Ar
1、Ar
2、Ar
3の置換基は水素、重水素、置換可能なアルキル基、置換可能なシクロアルキル基、置換可能な複素環基、置換可能なアルケニル基、置換可能なシクロアルケニル基、置換可能なアルキニル基、置換可能なアルコキシル基、置換可能なアルキルチオ基、置換可能なアリールエーテル基、置換可能なアリールチオエーテル基、置換可能なアリール基、置換可能なヘテロアリール基、置換可能なカルボニル基、置換可能なカルボキシル基、置換可能なオキシカルボニル基、置換可能なカルバモイル基、置換可能なシリル基、置換可能なアルキルアミノ基、または置換可能なアリールアミノ基の中から選択される1種または複数である
、
そのうち、Ar
4
、Ar
5
はそれぞれ、置換された、または置換されていないアリール基及び/またはヘテロアリール基により構成される基を示し、前記Ar
4
、Ar
5
の置換基は水素、重水素、置換可能なアルキル基、置換可能なシクロアルキル基、置換可能な複素環基、置換可能なアルケニル基、置換可能なシクロアルケニル基、置換可能なアルキニル基、置換可能なアルコキシル基、置換可能なアルキルチオ基、置換可能なアリールエーテル基、置換可能なアリールチオエーテル基、置換可能なアリール基、置換可能なヘテロアリール基、置換可能なカルボニル基、置換可能なカルボキシル基、置換可能なオキシカルボニル基、置換可能なカルバモイル基、置換可能なシリル基、置換可能なアルキルアミノ基、または置換可能なアリールアミノ基の中から選択される1種または複数であり、n1~n4はそれぞれ0~5の整数であり、n5は2~5の整数であり、そのうち、n1、n2、n3、n4、n5は同時に0にならない。
【請求項2】
前記芳香族アミン化合物は以下の一般式5に示す通りであり、
【化2】
[一般式5]
n
6、n
7は0~5の整数であり、n
1、n
2、n
3、n
4、n
6、n
7は同時に0にならないことを特徴とする、
請求項
1に記載の有機発光素子。
【請求項3】
前記Ar
2は、縮合環またはスピロ環ではないアリール基またはヘテロアリール基から選択されることを特徴とする、請求項
1に記載の有機発光素子。
【請求項4】
n
1+n
2+n
3+n
4>4であることを特徴とする、請求項
1に記載の有機発光素子。
【請求項5】
前記Ar
2が、縮合環またはスピロ環ではないアリール基またはヘテロアリール基から選択されることを特徴とする、請求項
1に記載の有機発光素子。
【請求項6】
n
1+n
2>2であることを特徴とする、請求項
1に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記第1キャッピング層の屈折率は1.8以上であり、前記第2キャッピング層の屈折率が1.5~1.7であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記第1キャッピング層と前記第2キャッピング層の屈折率の差が0.3以上であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機発光素子、特にトリフルオロメチル基を含有する芳香族アミン化合物を応用し、光取出し効率が大幅に改善された有機発光素子に関し、本発明はさらに前記有機発光素子に用いる発光素子材料に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は自己発光の表示装置であり、軽量薄型、広視野角、低消費電力、高コントラストなどの特徴を有する。
【0003】
有機発光素子の発光原理は、電極から注入された正孔と電子が、発光層で再結合によって励起状態を経て基底状態に戻った時に光を発生させるというものである。該発光素子は、薄型で、しかも低駆動電圧で高輝度発光できることや、発光材料を選択することで多色発光ができるという特徴を持っており、そのために多くの注目を集めている。
【0004】
該研究については、コダック社のC.W.Tangらが高輝度で発光可能な有機薄膜素子を公開して以来、その応用について、既に多くの研究がなされている。有機薄膜発光素子は、携帯電話機のメインディスプレイなどに採用され、その実用化が着実に進んでいる。しかし、まだ多くの技術的課題があり、中でも素子の高効率化と低消費電力化が大きな課題である。
【0005】
有機発光層から発生した光が発射される方向により、有機発光素子は、ボトムエミッション有機発光素子とトップエミッション有機発光素子に分けることができる。ボトムエミッション有機発光素子では、光が基板側に発射され、有機発光層の上部に反射電極が形成され、有機発光層の下部に透明電極が形成される。このような情況では、有機発光素子がアクティブマトリクス素子である場合、薄膜トランジスタが形成されている部分が光を透さないため、発光面積が小さくなる。一方、トップエミッション有機素子では、透明電極が有機発光層の上部に形成され、反射電極が有機発光層の下部に形成されるため、光が基板側とは反対方向に発射され、これにより、光が透過する面積が増加し、輝度が向上する。
【0006】
トップエミッション有機発光素子の発光効率を上げるために、発光層の光を透過させる上部半透明金属電極上に有機キャッピング層を形成して、光学干渉距離を調節し、外光反射や表面プラズマのエネルギー移動により引き起こされる消光などを抑制するという方法が採用されている。
【0007】
しかし、キャッピング層に用いる有機化合物の屈折率の向上は非常に困難であるため、材料を増やしすぎないことを前提に、有機発光素子の発光効率をさらに向上させるために、ダブルキャッピング層構造が提案され、いくつかの研究成果も出ている。この技術では、高屈折率材料と発光層の間に低屈折率材料を挿入することで、第2の共鳴キャビティを形成する。これにより、最も簡単な有機発光素子構造の変化によって、発光効率がさらに高められるのである。
【0008】
従来技術では、トリフルオロメチル基を含まない芳香族化合物を低屈折率層材料として使用しているが、その屈折率は常に高すぎて、通常の高屈折率材料との屈折率の差が0.3以上に達することは難しい。
【0009】
低屈折層材料として、従来技術では通常、長鎖アルカンや無機フッ化物などが選択されてきたが、長鎖アルカンは高温で容易に分解されるので、蒸着方式を用いることが難しく、また無機フッ化物は、蒸着温度が高いという問題があった。
従来技術では、カルバゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体などを低屈折層材料とする案も提出されているが、上記の化合物は減衰係数が高いため、屈折率が1.7以上に達しており、その減衰係数と吸光係数には以下の式(A)に示す関係が見られる。(式中、α:吸光係数、k:減衰係数、ω:光周波数、c:光速)
【数1】
(A)
【0010】
式(A)に示すように、減衰係数と吸光係数は比例するので、吸光係数の高い材料は、その減衰係数も高い。そのため、上記のものはいずれも低屈折率材料には向かない。
【0011】
また、一部の従来技術では、ホウ素錯体化合物を低屈折層材料とする案が提示されているが、ホウ素錯体化合物は分解温度が低いので、蒸着過程で温度を制御することが難しく、かつ一部のホウ素錯体化合物は直接昇華型化合物であるため、一般的な蒸着方法を用いると目詰まりしやすいので、該問題を回避する特殊な蒸着手段が必要であり、蒸着工程の難度が増す。そのため、上記のホウ素錯体化合物は、低屈折率材料としては、使用上で多くの不都合がある。
【0012】
以上のように、従来技術では特定構造の長鎖アルカン、無機フッ化物、カルバゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ホウ素錯体化合物などを低屈折率材料として用いてきたが、耐熱性、目詰まり性など、蒸着特性に大きな欠陥があり、使用には適していなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の発光効率と色純度の問題を両方とも解決するために、上記の結果に基づいて深く研究した結果、本発明者は、トリフルオロメチル基を含む芳香族アミン化合物が低屈折率材料に適していることを発見した。また、トリフルオロメチル基を含む芳香族アミン化合物は、第2キャッピング層に用いた場合に良好な透明性を持つので、発光効率を向上させ、高色純度素子を得られることもわかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
よって、本発明では、下記の一般式1に示す構造を有する芳香族アミン化合物を提供している。
【化1】
[一般式1]
そのうち、Ar
1、Ar
2、Ar
3はそれぞれ、置換された、または置換されていないアリール基及び/またはヘテロアリール基により構成される基を示す。
前記Ar
1、Ar
2、Ar
3の中の少なくとも1つは、少なくとも1つのトリフルオロメチル基と結合する。前記Ar
1、Ar
2、Ar
3の置換基は水素、重水素、置換可能なアルキル基、置換可能なシクロアルキル基、置換可能な複素環基、置換可能なアルケニル基、置換可能なシクロアルケニル基、置換可能なアルキニル基、置換可能なアルコキシル基、置換可能なアルキルチオ基、置換可能なアリールエーテル基、置換可能なアリールチオエーテル基、置換可能なアリール基、置換可能なヘテロアリール基、置換可能なカルボニル基、置換可能なカルボキシル基、置換可能なオキシカルボニル基、置換可能なカルバモイル基、置換可能なシリル基、置換可能なアルキルアミノ基、または置換可能なアリールアミノ基の中から選択される1種または複数である。
【0015】
アミン構造を増やすことで、化合物の熱安定性を向上させることができるので、Ar1、Ar2、Ar3の置換基の中の少なくとも1つがアリールアミノ基によって置換されることが望ましい。
【0016】
ジアミン構造は昇華性能、熱安定性、化学安定性を総合した能力により優れているため、下記の一般式2に示すような芳香族アミン化合物が好ましく選択される。
【化2】
[一般式2]
そのうち、Ar
4、Ar
5はそれぞれ、置換された、または置換されていないアリール基及び/またはヘテロアリール基により構成される基を示す。前記Ar
4、Ar
5の置換基は水素、重水素、置換可能なアルキル基、置換可能なシクロアルキル基、置換可能な複素環基、置換可能なアルケニル基、置換可能なシクロアルケニル基、置換可能なアルキニル基、置換可能なアルコキシル基、置換可能なアルキルチオ基、置換可能なアリールエーテル基、置換可能なアリールチオエーテル基、置換可能なアリール基、置換可能なヘテロアリール基、置換可能なカルボニル基、置換可能なカルボキシル基、置換可能なオキシカルボニル基、置換可能なカルバモイル基、置換可能なシリル基、置換可能なアルキルアミノ基、または置換可能なアリールアミノ基の中から選択される1種または複数である。n
1、n
2はそれぞれ0~5の整数であり、そのうち、n
1またはn
2は同時に0ではない。
ジアミン構造の両側にトリフルオロメチル基を追加すると、屈折率が下がり、昇華温度が下がり、工程の安定性及び化学安定性が向上するなど、総合能力がさらに高くなるので、下記の一般式3に示す芳香族アミン化合物が好ましく選択される。
【化3】
[一般式3]
【0017】
n
3,n
4はそれぞれ0~5の整数であり、n
1,n
2,n
3,n
4は同時に0にはならない。
ジアミンの中間の各ベンゼン環にそれぞれトリフルオロメチル基を追加すると、屈折率が下がり、合成工程の難度が下がり、化学安定性が向上するなど、総合能力がさらに高くなるので、下記の一般式4に示す芳香族アミン化合物が好ましく選択される。
【化4】
[一般式4]
【0018】
n
5は0~5の整数であり、そのうちn
1、n
2、n
3、n
4、n
5は同時に0にはならない。
ジアミンの中間のベンゼン環がビフェニルである場合に、蒸着安定性及び光学性能が最適なバランスに達するので、下記の一般式5に示す芳香族アミン化合物が好ましく選択される。
【化5】
[一般式5]
【0019】
n6、n7は0~5の整数であり、そのうちn1、n2、n3、n4、n6、n7は同時に0にはならない。
【0020】
縮合環とスピロ環は屈折率を向上させるので、低屈折率材料には適さないため、前記一般式5中の前記Ar2は、縮合環またはスピロ環ではないアリール基またはヘテロアリール基から好ましく選択される。ここでの縮合環は、置換された、または置換されていない縮合環を指し、スピロ環は、置換された、または置換されていないスピロ環を指す。
【0021】
分子両端のトリフルオロメチル基の数が多いほど屈折率が低くなり、両端の4つのトリフルオロメチル基の総数が4より大きいときに、最適な光学効果を有する。そのため、前記一般式5に記載のn1+n2+n3+n4>4が望ましい。
【0022】
ヘテロアリール基を導入すると光の取出し効率が向上するため、好適には、前記一般式2では、Ar1、Ar4は窒素と直接連結するヘテロアリール基である。
【0023】
縮合環とスピロ環は屈折率を向上させるので、低屈折率材料には適さないため、前記一般式2中の前記Ar2は、縮合環またはスピロ環ではないアリール基またはヘテロアリール基から好ましく選択される。ここでの縮合環は、置換された、または置換されていない縮合環を指し、スピロ環は、置換された、または置換されていないスピロ環を指す。
【0024】
分子両端のトリフルオロメチル基の数が多いほど屈折率が低くなり、両端の2つのトリフルオロメチル基の総数が2より大きいときに、最適な光学効果を有する。そのため、前記一般式2に記載のn1+n2>2が望ましい。
【0025】
前記アルキル基は、好適にはC1~C20のアルキル基であり、より好適には、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基またはt-ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基の中の1種または複数である。前記アルキル基は、置換基があってもなくてもよい。
【0026】
前記シクロアルキルは、好適にはC3~C20のシクロアルキル基であり、より好適には、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、またはアダマンチル基などの飽和脂環式アルキル基の中の1種または複数である。前記シクロアルキル基は、置換基があってもなくてもよい。
【0027】
前記複素環基は、好適にはC2~C20の複素環基であり、より好適には、ピラン環、ピペリジン環、または環状アミドなど、環内に炭素以外の原子を有する脂肪族環の中の1種または複数である。前記複素環基は、置換基があってもなくてもよい。
【0028】
前記アルケニル基は、好適にはC2~C20のアルケニル基であり、より好適には、ビニル基、アリル基、またはブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基の中の1種または複数である。前記アルケニル基は、置換基があってもなくてもよい。
【0029】
前記シクロアルケニル基は、好適にはC3~C20のシクロアルケニル基であり、より好適には、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、またはシクロヘキセニル基などの二重結合を含む不飽和脂環式アルキル基の中の1種または複数である。前記シクロアルケニル基は、置換基があってもなくてもよい。
【0030】
前記アルキニル基は、好適にはC2~C20のアルキニル基であり、より好適には、エチニル基など三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基である。前記アルキニル基は、置換基があってもなくてもよい。
【0031】
前記アルコキシル基は、好適にはC1~C20のアルコキシル基であり、より好適には、メトキシ基、エトキシ基、またはプロポキシ基などがエーテル結合を介して結合している脂肪族炭化水素基の官能基の中の1種または複数である。前記脂肪族炭化水素基は、置換基があってもなくてもよい。
【0032】
前記アルキルチオ基は、アルコキシル基の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。好適にはC1~C20のアルキルチオ基であり、アルキルチオ基のアルキル基は、置換基があってもなくてもよい。
【0033】
前記アリールエーテル基は、好適にはC6~C40のアリールエーテル基であり、より好適には、フェノキシ基などがエーテル結合を介して結合している芳香族官能基である。アリールエーテル基は、置換基があってもなくてもよい。
【0034】
前記アリールチオエーテル基は、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。好適にはC6~C60のアリールチオエーテル基である。アリールチオエーテル基中の芳香族官能基は、置換基があってもなくてもよい。
【0035】
前記アリール基は、好適にはC6~C60のアリール基であり、より好適には、ペルフルオロフェニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ターフェニル基またはピレニル基などの芳香族官能基の中の1種または複数である。アリール基は、置換基があってもなくてもよい。
【0036】
前記ヘテロアリールは、好適にはC4~C60の芳香族複素環基であり、より好適には、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ピリジル基またはキノリニル基などの中の1種または複数である。芳香族複素環基は、置換基があってもなくてもよい。
【0037】
前記カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルアミノ基は、置換基を有してもよいし、置換基を有さなくてもよい。アルキルアミノ基の置換基の炭素数には特に制限はなく、通常は2以上60以下の範囲である。
【0038】
前記シリル基は、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルt-ブチルシリル基、トリフェニルシリル基など、ケイ素原子と結合する結合を有する官能基として表され、シリル基は、置換基があってもなくてもよい。シリル基の炭素数には特に制限はなく、通常1以上40以下の範囲である。
【0039】
前記アリールアミン基は、好適にはC6~C40のアリールアミン基であり、より好適には、アゾベンゼン基、アゾピリジン基、ピリジンアゾベンゼン基など、アミン結合を介して結合する芳香族官能基である。アリールアミン基は、置換基があってもなくてもよい。前記置換される情況において、置換基はそれぞれ、重水素、ハロゲン、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C3~C6の複素環基、C2~C6のアルケニル基、C4~C6のシクロアルケニル基、C2~C6のアルキニル基、C1~C6アルコキシル基、またはC1~C6のアルキルチオ基の1種または複数から独立して選択される。
【0040】
本発明が提供するトリフルオロメチル基を有する前記芳香族アミン化合物は、優れた薄膜安定性と屈折率を有するため、発光効率の向上と色純度の改善という問題を両方とも解決することができる。
【0041】
前記トリフルオロメチル基を有する芳香族アミン化合物は、特に限定されておらず、具体的には以下の例を挙げることができる。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【0042】
トリフルオロメチル基を含む上記の芳香族アミン化合物の合成は、既知の方法で行うことができる。例えばニッケルやパラジウムを用いたBuchwald-Hartwig反応や、銅を用いたUllman反応などであるが、これらの方法に限定されるわけではない。
【0043】
本発明はさらに有機発光素子材料を提供しており、前記有機発光素子材料は、前記任意の1項に記載の芳香族アミン化合物を含有する。本発明で得られる有機発光素子は、上記の芳香族アミン化合物を使用しているので、優れた薄膜安定性と屈折率を有しており、発光効率を向上させ、色純度を改善するという問題を両方とも解決することができる。
【0044】
本発明はさらに有機発光素子も提供しており、基板と、第1電極と、1種以上の有機層膜を含む発光層と、第2電極と、1層以上のキャッピング層とを含み、前記有機発光素子は、上記の有機発光素子材料を含む。
【0045】
本発明はさらに有機発光素子キャッピング層材料を提供しており、前記有機発光素子キャッピング層材料は、上記のいずれか1項に記載の芳香族アミン化合物を含む。
【0046】
本発明はさらに有機発光素子を提供しており、基板と、第1電極と、1種以上の有機層膜を含む発光層と、第2電極とを含み、前記発光素子はさらにキャッピング層を有する。前記キャッピング層は第2電極上にあり、前記キャッピング層は第1キャッピング層及び第2キャッピング層を含み、前記キャッピング層は上記の有機発光素子キャッピング層材料を含む。
【0047】
有機エレクトロルミネセンス素子の発光層部分の屈折率は通常1.7であり、屈折率が発光層を0.1以上超過する材料を第1キャッピング層とする場合、第1キャッピング層と空気との間の半鏡面は、下方反射陽極とよりうまく共鳴キャビティを形成できるため、前記第1キャッピング層の屈折率は1.8以上を選択する。前記第2キャッピング層の屈折率は1.5~1.7である。第1キャッピング層上にもう1つの共鳴キャビティを形成する必要があるため、第1キャッピング層と第2キャッピング層の屈折率に比較的大きな差が必要であり、差が0.3の時に半鏡面を形成することができるので、より好適には、前記第1キャッピング層の屈折率と前記第2キャッピング層の屈折率の差は0.3以上である。
【0048】
前記第1キャッピング層は、下記の無機化合物及び有機化合物の中の少なくとも1種により形成されており、そのうち、前記無機化合物は、SiOx、SiNy、Zns、ZnSe、ZrOまたはTiO2の中の1種または複数であり、前記x、yは、1~4の整数である。前記有機化合物は芳香族アミン誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体またはトリアゾール誘導体の中の1種または複数である。無機化合物は、有機化合物と比べて蒸着工程中により高い温度を必要とするため、第1キャッピング層材料は有機化合物であることが望ましい。
【0049】
本発明の第2キャッピング層は、第1電極と第2電極の間に位置できるばかりでなく、第2電極と第1キャッピング層の間に位置してもよく、また第2電極上に位置してもよい。
【0050】
第2電極上に第1キャッピング層を配置しているので、第2電極と有機発光層を有効に保護して、外部の湿気、酸素、汚染物の影響を受けることを回避でき、有機発光素子の寿命の低下を防止することがきる。トップエミッション発光素子はボトムエミッション発光素子より発光面を拡大できるという長所を有しており、キャッピング層と組み合せて使用することで、全体的に光取出し効率を向上させることができる。
【0051】
本発明の第2キャッピング層は、前記トリフルオロメチル基を含む芳香族アミン化合物を含むことによって、高い発光効率を実現することができる。トリフルオロメチル基を含む芳香族アミン化合物は、フッ素元素を持つため、屈折率が低い。さらに、蒸着薄膜の成膜性能が優れていることから、ガラスや金属など様々な底層にも安定した屈折率と減衰係数を持たせることができる。蒸着薄膜の成膜性能が低い材料の底層が変化すると、屈折率や減衰係数にも大きな変化が生じることが多い。高発光効率を最大化して、高い色純度を有するために、好適には、トリフルオロメチル基を含む芳香族アミン化合物を、20nm~120nmの厚さで積層する。より好適には、積層厚さは40nm~80nmである。また、発光効率を最大化できるという観点から、より好適には、積層厚さは50nm~70nmである。
【0052】
キャッピング層の形成方法は特に限定されておらず、電気抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタ、分子積層法、コーティング法、インクジェット法、スクレーパ法またはレーザー転写法などが挙げられ、特に制限はない。
【0053】
以下では、本発明の有機発光素子の実施形態について具体的に説明する。
【0054】
本発明の発光素子においては、用いられる基板は、好適にはナトリウムガラスまたは無アルカリガラスなどのガラス基板である。ガラス基板の厚さは、機械強度を保持するのに十分な厚さであればよいので、0.5mm以上で十分である。ガラスの材質については、ガラスから溶出するイオンが少なければ少ないほどよいので、無アルカリガラスが好ましい。また、市販されているSiO2などの防護コーティングを施したものも使用できる。また、第1電極が安定して機能していれば、基板が必ずしもガラスである必要はなく、例えばプラスチック基板上に陽極を形成してもよい。
【0055】
第1電極に使用する材料は、好適には高屈折率特性を有する金、銀、アルミニウムなどの金属、またはAPC系合金などの金属合金である。これらの金属または金属合金は、多層積層であってもよい。また、金属、金属合金またはそれらの積層体の上面及び/または下面に酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの透明導電性金属酸化物を積層することもできる。
【0056】
第2電極に使用する材料は、好適には光を透過させることができる半透明または透明膜を形成可能な材料である。例えば、銀、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムまたはこれらの金属の合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)または酸化亜鉛インジウム(IZO)などの透明導電性金属酸化物である。これらの金属、合金または金属酸化物も、多層積層であってよい。
【0057】
前記電極の形成方法は、電気抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタ、イオンプレーティングまたは接着剤塗布法などであってよく、特に制限はない。また、第1電極と第2電極は、使用する材料の仕事関数に基づいて、そのうちの一方が有機膜層に対して陽極作用を果たし、他方が負極作用を果たす。
【0058】
有機層は、発光層のみで構成できるほか、1)正孔輸送層/発光層、2)発光層/電子輸送層、3)正孔輸送層/発光層/電子輸送層、4)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層、5)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層などを積層してなる構造としてもよい。また、上記の各層は、それぞれ単層または多層のいずれであってもよい。1)~5)の構造を採用すると、陽極側電極は正孔輸入層または正孔輸送層と接合し、陰極側電極は電子輸入層または電子輸送層と接合する。
【0059】
正孔輸送層は、正孔輸送材料の1種または2種以上を積層または混合する方法、或いは正孔輸送材料と高分子接着剤の混合物を使用する方法によって形成される。正孔輸送材料は、電界が印加された電極の間で正極からの正孔を高効率に輸送する必要があるので、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送できることが望ましい。よって、正孔輸送材料が適切なイオンポテンシャルを有し、かつ正孔遷移率が大きく、さらには安定性に優れ、製造及び使用時にトラップになり得る不純物が生じにくいことが要求される。このような条件を満たす物質については特に限定はなく、例えば、4,4’-ジ(N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ)ビフェニル(TPD)、4,4’-ジ(N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ)ビフェニル(NPD)、4,4’-ジ(N,N-ジ(4-ビフェニル)アミノ)ビフェニル(TBDB)、ジ(N,N-ジフェニル-4-フェニルアミノ)-N,N-ジフェニル-4,4’-ジアミノ-1,1’-ビフェニル(TPD232)などのビフェニルアミン、4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、4,4’,4’’-トリス(1-ナフチル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(1-TNATA)などの星型トリアリ-ルアミンの材料群、カルバゾール骨格を有する材料などであってよく、その中では、カルバゾール類重合体が好ましく、具体的には、ジ(N-アリールカルバゾール)またはジ(N-アルキルカルバゾール)などのジカルバゾール誘導体、トリカルバゾール誘導体、テトラカルバゾール誘導体、トリフェニル系化合物、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラジン系化合物、ベンゾフラン誘導体、チオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、またはフラーレン誘導体などを列挙することができ、ポリマー系の中では、さらに側鎖に前記モノマーを有するポリカーボネートまたはスチレン誘導体、ポリチオフェン、ポリフェニルアミン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾール及びポリシランなどが好ましい。また、P型Si、P型SiCなどの無機化合物を使用することもできる。
【0060】
陽極と正孔輸送層の間に正孔注入層を設置してもよい。正孔注入層を設けることで、有機発光素子に低駆動電圧を実現させ、耐久寿命を延ばすことができる。正孔注入層は、通常、正孔輸送層材料のイオンポテンシャルより低い材料を使用することが好ましい。具体的には、例えば、上記TPD232のようなベンジジン誘導体や、星型トリアリールアミン材料群であってもよいし、またはフタロシアニン誘導体などを用いてもよい。また、正孔注入層は受容体化合物によって単独で構成され、または受容体化合物を別の正孔輸送層にドープして使用することが好ましい。受容体化合物は、例えば三塩化鉄(III)、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、塩化アンチモンなどの金属塩化物や、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ルテニウムなどの金属酸化物、トリス(4-ブロモフェニル)ヘキサクロルアンチモン酸アンモニウム(TBPAH)などの電荷移動錯体を挙げることができる。また、分子内にニトロ基、シアン基、ハロゲンまたはトリフルオロメチル基を有する有機化合物、キノン系化合物、酸無水物系化合物またはフラーレンなどでもよい。
【0061】
本発明では、発光層は単層、多層の中の任意の1種であってよく、それぞれ発光材料(ホスト材料、ドープ材料)を用いて形成することができ、ホスト材料とドープ材料の混合物でもよいし、ホスト材料だけでもよく、どちらでもよい。即ち、本発明の発光素子の各発光層では、ホスト材料だけ、またはドープ材料だけが発光してもよいし、ホスト材料とドープ材料が一緒に発光してもよい。電気エネルギーを効率よく利用し、高色純度の発光を得るという点から考えて、発光層はホスト材料とドープ材料が混合されて成ることが好ましい。また、ホスト材料とドープ材料は、それぞれ1種類でもよいし、複数の組み合わせでもよく、どちらでもよい。ドープ材料はホスト材料全体に添加してもよいし、一部分に添加してもよく、どちらでもよい。ドープ材料は積層してもよいし、分散させてもよく、どちらでもよい。ドープ材料は発光色を制御することができる。ドープ材料の量が多すぎると、濃度消光現象が発生するので、その使用量は、ホスト材料に対して、好適には20重量%以下、より好適には10重量%以下である。ドープ方法は、ホスト材料と共蒸着する方法でもよいし、予めホスト材料と混合した後、同時に蒸着する方法でもよい。
【0062】
発光材料としては、具体的には、従来から発光体として知られているアントラセン、ピレンなどの縮合環誘導体、トリス(8-キノリノール)アルミニウムなどの金属キレート類キノリノール化合物、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドールカルバゾール誘導体、ポリマー中のポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、及びポリチオフェン誘導体などを使用することができるが、特に限定はない。
【0063】
発光材料中に含まれるホスト材料については特別な限定はなく、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ベンゾフェナントレン、テトラセン、ペリレン、ベンゾ[9,10]フェナントレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの縮合芳香環を有する化合物またはその誘導体、N,N’-ジナフチル-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリス(8-キノリノール)アルミニウムなどの金属キレート系水酸基キノリン化合物、ピロロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドールカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体を使用することができ、ポリマーの中では、ポリフェニレンビニリデン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体などを使用することができるが、特に限定はない。
【0064】
また、ドープ材料に対しても特に限定はなく、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ベンゾフェナントレン、ペリレン、ベンゾ[9,10]フェナントレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの縮合芳香環を有する化合物またはその誘導体(例えば、2-(ベンゾチアゾール-2-イル)-9,10-ジフェニルアントラセンなど)、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9-シラフルオレン、9,9’-スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピリジン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどの複素芳香環を有する化合物またはその誘導体、ボラン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、アミノスチレン誘導体、ピロールメチン誘導体、ジケトピロロ[3,4~C]ピロール誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリゾールなどのゾール誘導体、芳香族アミン誘導体などを挙げることができる。
【0065】
また、発光層の中にリン光発光材料をドープすることもできる。リン光発光材料は室温でもリン光発光できる材料である。リン光発光材料をドーパントとする場合は、基本的に室温でリン光発光できなければならないが、特に限定はなく、好適には、インジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、プラチナ、オスミウム及びレニウムの中から選択される少なくとも1種の金属を含有する有機金属錯体化合物である。室温下で高いリン光発光効率を有するという点から考えると、インジウムまたは白金を有する有機金属錯体がより好ましい。リン光発光性ドーパントと組み合わせて使用するホスト材料としては、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、インドールカルバゾール誘導体や、ピリジン、ピリミジン、トリアジン骨格を有する窒素含有芳香族化合物誘導体、ポリアリールフェニル誘導体、スピロフルオレン誘導体、トルキセン、ベンゾ[9,10]フェナントレンなどの芳香族炭化水素化合物誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェンなどの酸素族元素を含む化合物、水酸基キノリンベリリウム錯体などの有機金属錯体が良好に使用されているが、基本的には使用するドーパントの三重項状態より大きく、電子と正孔をそれぞれの層輸送層から円滑に注入または搬送することさえできれば、特に限定されるものではない。また、2種以上の三重項状態の発光ドーパントを含むこともできるし、2種類以上のホスト材料を含むこともできる。また、1種類以上の三重項状態の発光ドーパントと1種類以上の蛍光発光ドーパントを含むこともできる。
【0066】
本発明において、電子輸送層は、電子が陰極から注入され、さらに電子を輸送する層である。電子輸送層は高い電子注入効率を有し、かつ注入した電子を効率的に輸送できることが望ましい。そのため、電子輸送層は、電子親和力及び電子遷移率が大きく、かつ安定性に優れ、製造及び使用時にトラップになり得る不純物が生成されにくい物質により構成することが望ましい。しかし、正孔と電子の輸送のバランスを考慮すると、電子輸送層が主に、陽極からの正孔と再結合せずに陰極側へ流れることを効率よく阻止する作用を発揮できれば、電子輸送能力がそれほど高くない材料で構成されていても、発光効率を改善する効果は、電子輸送能力が高い材料により構成される情況と同等になる。よって、本発明の電子輸送層には、正孔遷移を効率的に阻止できる正孔阻止層も、同等物として含まれるのである。
【0067】
電子輸送層に使用する電子輸送材料については特に限定はなく、ナフタレン、アントラセンなどの縮合芳香環誘導体、4,4’-ジ(ジフェニルビニル)ビフェニルを代表とするスチリル系芳香環誘導体、アントラキノン、ジフェノキノンなどのキノン誘導体、酸化リン誘導体、トリス(8-キノリノール)アルミニウムなどのヒドロキシキノリン錯体、ベンゾキノリノール錯体、ヒドロキシゾール錯体、アゾメチン錯体、シクロヘプタトリエンケトン金属錯体またはフラボノール金属錯体を挙げることができ、駆動電圧を下げ、効率的に発光できるという点から考えて、複素芳香環構造を有する化合物を使用することが望ましく、前記複素芳香環構造は、炭素、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンから選択される元素により構成され、かつ電子吸引性窒素を含む。
【0068】
電子吸引性窒素を含む複素芳香環は、高い求電子性を有する。電子吸引性窒素を有する電子輸送材料は、高い求電子性を有する陰極からの電子を受け取りやすく、それによって発光素子の駆動電圧を下げることがきる。また、発光層への電子供給が増大するので、発光層で再結合する確率が増加するため、発光効率が向上する。電子吸引性窒素を含む複素芳香環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、ピリミドピリミジン環、ベンゾキノリン環、フェナントロリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環またはフェナントロイミダゾール環などを挙げることができる。
【0069】
また、これらの複素芳香環構造を有する化合物としては、例えばベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン、トリビピリジンなどのオリゴピリジン誘導体を挙げることができる。前記誘導体が縮合芳香環骨格を有する場合は、ガラス転移温度が上昇し、かつ電子遷移率が増加し、発光素子の駆動電圧を下げる効果が増大するので好ましい。また、発光素子の耐久寿命が延び、合成が容易で、原料が容易に購入できるという点から考えて、前記縮合芳香環骨格はアントラセン骨格、ピレン骨格またはフェナントロリン骨格が望ましい。
【0070】
前記電子輸送材料は、単独で使用してもよいし、2種類以上の前記電子輸送材料を混合して使用してもよいし、また1種類以上のその他の電子輸送材料を前記電子輸送材料に混合して使用してもよい。また、ドナー性化合物を添加することもできる。ここでは、ドナー性化合物とは、電子注入障害を改善することによって電子が容易に陰極または電子注入層から電子輸送層に注入されるようにすることで、電子輸送層の電子伝導性を改善する化合物のことを指す。本発明のドナー性化合物の好適例としては、アルカリ金属、アルカリ金属を含む無機塩、アルカリ金属と有機物の錯体、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属を含む無機塩、またはアルカリ土類金属と有機物の錯体などを挙げることができる。アルカリ金属、またはアルカリ土類金属の好適な種類としては、仕事関数が低く、かつ電子輸送能力を改善する効果が大きいリチウム、ナトリウムまたはセシウムなどのアルカリ金属、またはマグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属を挙げることができる。
【0071】
本発明では、陰極と電子輸送層の間にも電子注入層を設置することができる。通常、電子注入層は、電子を陰極から電子輸送層へ注入することを助ける目的で挿入されており、挿入時には、電子吸引性窒素を含む複素芳香環構造の化合物を使用してもよいし、前記ドナー性化合物を含む層を使用してもよい。また、電子注入層内には、絶縁体や半導体の無機物を使用することもできる。これらの材料を使用することで、発光素子の短絡を有効に防止でき、しかも電子注入性を向上させることができるので好ましい。これらの絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲン化物、アルカリ土類金属カルコゲン化物、アルカリ金属ハロゲン化物及びアルカリ土類金属ハロゲン化物の中から選択される少なくとも1種の金属化合物を使用することが望ましい。また、有機物と金属の錯体も良好に使用することができる。
【0072】
発光素子を構成する前記各層の形成方法としては、電気抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタ、分子積層法またはコーティング法などを挙げることができるが、特に制限はない。但し、通常は、素子特性という点から考えて、電気抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が望ましい。
【0073】
有機層の厚さは発光物質の電気抵抗値によって異なるので、限定されていないが、好適には1~1000nmである。発光層、電子輸送層、正孔輸送層の膜厚はそれぞれ好適には1nm以上200nm以下であり、より好適には5nm以上100nm以下である。
【0074】
本発明の発光素子は、電気エネルギーを光に変換できる機能を有する。ここでは、電気エネルギーとして主に直流電流を使用しているが、パルス電流や交流電流を使用してもよい。電流値及び電圧値については特に制限はないが、素子の消費電力量や寿命を考慮すると、できるだけ低いエネルギーで最大の輝度が得られる方式を選択すべきである。
【0075】
本発明の発光素子は、例えばマトリクス及び/またはフィールド方式で表示される平面ディスプレイとして良好に用いることができる。
【0076】
マトリクス方式とは、表示するための画素が格子状またはモザイク状などの二次元で配置され、画素の集合により文字や画像を表示することを指す。画素の形状や大きさは、用途によって決まる。例えば、コンピュータ、モニター、テレビの画像及び文字の表示においては、通常、辺長が300μm以下の四角形の画素を使用し、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合には、辺長がmmレベルの画素を用いる。単色表示の場合には、同色の画素を配列するだけでよいが、カラー表示の場合は、赤、緑、青の画素を配列して表示する。その場合、典型としては三角型と縞模様型がある。また、このマトリクスの駆動方法は、ドライブ・バイ・ワイヤ及びアクティブマトリクスのいずれであってもよい。ドライブ・バイ・ワイヤは構造が簡単であるが、操作特性を考慮した場合、アクティブマトリクスが優れている場合もあるため、用途に応じて柔軟に使用する必要がある。
【0077】
本発明におけるフィールド方式とは、パターンを形成し、そのパターンの配置により確定された領域を発光させることにより、予め確定された情報を表示する方式のことを指す。例えば、デジタルクロック、温度計の中の時刻、温度表示、音響設備、電子レンジなどの作動状態表示及び自動車のパネル表示などが挙げられる。しかも、前記マトリクス表示とフィールド表示は、同一のパネルにおいて共存可能である。
【0078】
本発明の発光素子は、好適には携帯型平面ディスプレイとして用いられ、従来のディスプレイより電力消費が低く、発光効率がより高いディスプレイを提供することができる。
【発明の効果】
【0079】
本発明で提供するトリフルオロメチル基を含む芳香族アミン化合物は、低い屈折率を有し、高い発光効率、高い色純度を実現することができる。さらに、蒸着薄膜の成膜性能が優れていることから、ガラスや金属など様々な底層にも安定した屈折率と減衰係数を持たせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0080】
以下の実施例を通して本発明について例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に挙げられるトリフルオロメチル基を含む芳香族アミン化合物及び合成方法に限定されるものではない。なお、実施例1-11、17-19は、現在は参考例であり、実施例12-16が本発明の実施例である。
【0081】
特に説明のない限り、実施例及び比較例で使用する材料及び方法は、当業者が常套的に知っているような手段で入手または使用される。
【0082】
トルエン、キシレン、メタノール、3-アミノピリジンなどは中国の製薬会社から購入し、4,4’-ジブロモビフェニル、3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などは鄭州海闊光電有限公司から購入し、各種パラジウム触媒などはAldrich社から購入したものである。
【0083】
1H-NMRスペクトルはJEOL(400MHz)核磁気共鳴計を用いて測定しており、HPLCスペクトルは島津のLC-20AD高効率液体クロマトグラフを用いて測定している。
【0084】
実施例及び比較例では、下記の化合物を合成及び/または使用している。
化合物[15]:4-トリフルオロメチルフェニル-ビス-(4,4’-ビフェニル)-アミン
化合物[16]:4-トリフルオロメチルフェニル-ビス-(4-(3-ピリジン)フェニル)-アミン
化合物[40]:3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル-ビス-(N-3-ピリジル-フェニル)アミノ-アミン
化合物[49]:4,4’-ビス(N-フェニル-(3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)フェニル))アミノ-ビフェニル
化合物[50]:4,4’-ビス(N-(3-ピリジル)-(3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)フェニル))アミノ-ビフェニル
化合物[67]:4,4’-ビス(N-(3-ピリジル)-(3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)フェニル))アミノ-ビ(2-ピリジン)
化合物[70]:1,4-ビス(N-(3-(2-5-ベンゾチオフェン))-(3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)フェニル))アミノ-ベンゼン
化合物[71]:1,4-ビス(N-(3-ピリジル)-(5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-フェニルカルボニルフェニル)フェニル))アミノ-ベンゼン
化合物[91]:1,4-ビス(N-(3-ピリジル)-(3-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-5-(3,5-ジアダマンフェニル)フェニル))アミノ-ベンゼン
化合物[93]:1,4-ビス(N-(3-ピリジル)-(3-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)ピレン))アミノ-ベンゼン
化合物[94]:1,4-ビス(N-(3-ピリジル)-(3-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-9,9’-スピロビフルオレン))アミノ-ベンゼン
化合物[99]:4,4’-ビス(N-ビス(3,5-ジ(トリフルオロメチル))フェニル)アミノ-2,2’-ビストリフルオロメチルビフェニル
化合物[102]:ビス(4-ビス(N-ビス(3,5-ジ(トリフルオロメチル))フェニル)アミノ-フェニル)-2,4-ビストリフルオロメチル-ベンゼン
化合物[105]:4,4’-ビス(N-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-(4-トリフルオロメチルフェニル))アミノ-2,2’-ビストリフルオロメチルビフェニル
化合物[113]:4,4’-ビス(N-(3-ピリジル)-(3,5-ジ(pトリフルオロメチルフェニル)フェニル))アミノ-ビフェニル
化合物[114]:4,4’-ビス(N-(3-ピリジル)-(3-(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)-5-(pトリフルオロメチル)フェニル))アミノ-ビフェニル
【0085】
実施例及び比較例には、以下の化合物も使用している。
BF3.Et2O:三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体
DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
NPD:(N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(1-ナフチル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン)
【化20】
F4-TCNQ(2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7’,8,8’-テトラシアノキノジメタン)
【化21】
BH:(9-(2-ナフチル)-10-(4-(1-ナフチル)フェニル)アントラセン)
【化22】
BD:(E-7-(4-(ジフェニルアミノ)スチレン)-N,N-ジフェニル-9,9’-ジメチルフルオレニル-2-アミン)
【化23】
Alq3:(トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)
【化24】
TBDB:(N,N,N’,N’-4(4-ビフェニル)ベンジジン)
【化25】
DZ1:[[[2,2’-[1,2-エチレンジ[(三価窒素)メチン]]ビス[4,6-ビス(t-ブチル)フェノール]](2-)]]テトラフルオロジボラン
【化26】
CZX:4,4’-ビス(N-(3-ピリジル)-(3,5-ジフェニルフェニル))アミノ-ビフェニル
【化27】
ZJF:4,4’-ビス(N-(4-ピリジル)-フェニル)アミノ-2,5-ビスビフェニルチオフェン
【化28】
LXY:ビス(N-フェニルカルバゾール)-2,5-ジフェニルチオフェン
【化29】
【0086】
本明細書に記載されている化合物について、本明細書にその化学式の命名及び構造式が併記されている場合、化合物の構造は、構造式を基準とする。
調製例1
【化30】
[15]
【0087】
窒素雰囲気下で、反応器に4-ブロモビフェニル4.66g(20.2mmol)、4-トリフルオロメチルアニリン1.48g(9.18mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.104mg(0.18mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.174mg(0.36mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド4.14 g(44.08 mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、3.2gの粗生成物を得た。粗生成物を、圧力3×10
-3Pa、温度220℃で昇華させて、2.5gの化合物[15](白色)を得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.50-7.30(m,8H),7.23-7.20(m,8H),6.50(d,4H),6.40(d,2H)
HPLC(純度=99.1%)
調製例2
【化31】
[16]
【0088】
窒素雰囲気下で、反応器に4-(3-ピリジン)ブロモベンゼン4.73g(20.2mmol)、4-トリフルオロメチルアニリン1.48g(9.18mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.104mg(0.18mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.174mg(0.36mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド4.14g(44.08mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、4.5gの粗生成物を得た。粗生成物を、圧力3×10
-3Pa、温度220℃で昇華させて、3.9gの化合物[16](白色)を得た。
1HNMR(CDCl
3):δ8.80(s,2H),8.60(d,2H),8.00(d,2H),7.44(dd,2H),7.20(m,6H),6.50(d,4H),6.40(d,2H)
HPLC(純度=99.3%)
調製例3
【化32】
【0089】
窒素雰囲気下で、反応器にN-(3-ピリジン)-フェニルアミン3.42g(20.1mmol)、4-ブロモクロロベンゼン3.84g(20.1mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.19mg(0.34mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.32mg(0.68mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.87g(40.32mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、5.1gの4-(N-(3-ピリジン)-フェニルアミノ)クロロベンゼンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ8.51(s,1H),8.25(d,1H),7.40(dd,1H),7.00(m,4H),6.61(m,1H),6.45-6.40(m,4H)
HPLC(純度=99.2%)
【化33】
[40]
【0090】
窒素雰囲気下で、反応器に4-(N-(3-ピリジン)-フェニルアミノ)クロロベンゼン2.82g(10.1mmol)、3,5-ジ(トリフルオロメチル)アニリン1.05g(4.59mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.052mg(0.09mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.087mg(0.18mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド2.12g(22.04mmol)、キシレン50mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、3.1gの粗生成物を得た。粗生成物を、圧力3×10
-3Pa、温度230℃で昇華させて、2.3gの化合物[40](白色)を得た。
1HNMR(CDCl
3):δ8.53(s,2H),8.25(d,2H),7.40(dd,2H),7.25(d,2H),7.00(m,5H),6.63(m,4H),6.45(d,4H),6.21(m,8H)
HPLC(純度=99.5%)
調製例4
化合物[49]の合成
【化34】
【0091】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸14.19g(55mmol)、3,5-ジブロモクロロベンゼン6.76g(25mmol)、炭酸カリウム15.20g(110mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.70g(1mmol)、DME125ml及び水55mlを入れ、撹拌還流して6時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、300mlの水で3回洗い、300mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを200mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させて、27.65gの3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)クロロベンゼンを得た。
1HNMR(DMSO):δ7.68(s,4H),7.61(s,2H),7.60(s,1H),7.48(s,2H)
HPLC(純度=98.7%)
【化35】
【0092】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)クロロベンゼン9.00g(16.8mmol)、フェニルピリジン1.87g(20.1mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.19mg(0.34mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.32mg(0.68mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.87g(40.32mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、5.1gのN-((3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)フェニル)-フェニル)アミンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.67(s,4H),7.61(s,2H),7.02-7.00(m,3H),6.63(m,3H),6.46(d,2H),5.23(s,1H)
HPLC(純度=99.3%)
【化36】
[49]
【0093】
窒素雰囲気下で、反応器にN-((3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)フェニル)-フェニル)アミン5.99g(10.1mmol)、4,4’-ジブロモビフェニル1.43g(4.59mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.052mg(0.09mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.087mg(0.18mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド2.12g(22.04mmol)、キシレン50mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、5.2gの粗生成物を得た。粗生成物を、圧力3×10
-3Pa、温度280℃で昇華させて、3.5gの化合物[49]を得た(白色)。
1HNMR(CDCl
3):δ7.67(s,8H),7.60(s,4H),7.23(d,4H),7.02-7.00(m,6H),6.63(m,6H),6.52-6.46(m,8H)
HPLC(純度=99.5%)
調製例5
化合物[50]の合成
【化37】
【0094】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸14.19g(55mmol)、3,5-ジブロモクロロベンゼン6.76g(25mmol)、炭酸カリウム15.20g(110mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.70g(1mmol)、DME125ml及び水55mlを入れ、撹拌還流して6時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、300mlの水で3回洗い、300mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを200mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させて、13.25gの3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)クロロベンゼンを得た。
1HNMR(DMSO):δ7.68(s,4H),7.61(s,2H),7.60(s,1H),7.48(s,2H)
HPLC(純度=98.7%)
【化38】
【0095】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)クロロベンゼン9.00g(16.8mmol)、3-アミノピリジン1.90g(20.1mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.19mg(0.34mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.32mg(0.68mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.87g(40.32mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、5.3gのN-((3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)フェニル)-(3-ピリジル))アミンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ8.55(s,1H),8.25(d,1H),7.67(s,4H),7.61(s,2H),7.50~7.23(m,2H),7.03(s,1H),6.65(s,2H),5.23(s,1H)
HPLC(純度=99.5%)
【化39】
[50]
【0096】
窒素雰囲気下で、反応器にN-((3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)フェニル)-(3-ピリジル))アミン6.00g(10.1mmol)、4,4’-ジブロモビフェニル1.43g(4.59mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.052mg(0.09mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.087mg(0.18mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド2.12g(22.04mmol)、キシレン50mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、5.1gの粗生成物を得た。粗生成物を、圧力3×10
-3Pa、温度280℃で昇華させて、2.7gの化合物[50](白色)を得た。
1HNMR(CDCl
3):δ8.54(s,2H),8.25(d,2H),7.66(s,8H),7.60(s,4H),7.40(s,2H),7.38~7.23(m,6H),7.03(s,2H),6.64(s,4H),6.50(d,4H)
HPLC(純度=99.7%)
調製例6
化合物[67]の合成
【化40】
【0097】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸14.19g(55mmol)、3,5-ジブロモクロロベンゼン6.76g(25mmol)、炭酸カリウム15.20g(110mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.70g(1mmol)、DME125ml及び水55mlを入れ、撹拌還流して6時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、300mlの水で3回洗い、300mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを200mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させて、27.65gの3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)クロロベンゼンを得た。
1HNMR(DMSO):δ7.68(s,4H),7.61(s,2H),7.60(s,1H),7.48(s,2H),HPLC(純度)=99.8%)
【化41】
【0098】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)クロロベンゼン9.00g(16.8mmol)、3-アミノピリジン1.90g(20.1mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.19mg(0.34mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.32mg(0.68mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.87g(40.32mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、5.3gのN-((3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)フェニル)-(3-ピリジル))アミンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ8.55(s,1H),8.25(d,1H),7.67(s,4H),7.61(s,2H),7.50~7.23(m,2H),7.03(s,1H),6.65(s,2H),5.23(s,1H)
HPLC(純度=99.5%)
【化42】
[67]
【0099】
窒素雰囲気下で、反応器にN-((3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)フェニル)-(3-ピリジル))アミン6.00g(10.1mmol)、4,4’-ジブロモ(3-ピリジン)1.43g(4.59mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.052mg(0.09mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.087mg(0.18mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド2.12g(22.04mmol)、キシレン50mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、4.3gの粗生成物を得た。粗生成物を、圧力3×10
-3Pa、温度290℃で昇華させて、2.4gの化合物[67]を得た(淡黄色)。
1HNMR(CDCl
3):δ8.54(s,2H),8.25(d,2H),7.66(s,8H),7.60(s,4H),7.40(s,2H),7.38~7.23(m,6H),7.03(s,2H),6.64(s,4H),6.50(d,4H)
HPLC(純度=99.1%)
調製例7
化合物[70]の合成
【化43】
【0100】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(トリフルオロメチル)アニリン13.75g(55mmol)、3,5-ジブロモクロロベンゼン6.76g(25mmol)、炭酸カリウム15.20g(110mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.70g(1mmol)、DME125 ml及び水55mlを入れ、撹拌、還流して6時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、300mlの水で3回洗い、300mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを200mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させて、27.45gの3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)アニリンを得た。
1HNMR(DMSO):δ7.67(s,4H),7.60(s,2H),7.07(s,1H),6.62(s,2H),5.2(s,1H)
HPLC(純度=99.1%)
【化44】
【0101】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)アニリン8.68g(16.8mmol)、5-フェニル-2ブロモチオフェン4.82g(20.1mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.19mg(0.34mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.32mg(0.68mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.87g(40.32mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過、乾燥させて、10.23gのN-((3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)フェニル)-2-(5-ベンゾチオフェン))アミンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.67(s,4H),7.61(s,2H),7.50~7.21(m,5H),7.05(s,1H),6.65(s,2H),6.60(d,1H),6.31(d,1H),5.21(s,1H)
HPLC(純度=99.5%)
【化45】
[70]
【0102】
窒素雰囲気下で、反応器にN-((3,5-ジ(3,5-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン)フェニル)-2-(5-ベンゾチオフェン))アミン6.87g(10.1mmol)、p-ジブロモベンゼン1.07g(4.59mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.052mg(0.09mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.087mg(0.18mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド2.12g(22.04mmol)、キシレン50mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、5.3gの粗生成物を得た。粗生成物を、圧力3×10
-3Pa、温度370℃で昇華させて、4.1gの化合物[70](淡黄色)を得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.67(s,8H),7.60(s,4H),7.50~7.21(m,10H),7.06(s,2H),6.65(s,4H),6.60(d,2H),6.31(d,2H),6.20(d,4H)
HPLC(純度=99.2%)
調製例8
化合物[71]の合成
【化46】
【0103】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸6.19g(24mmol)、3,5-ジブロモクロロベンゼン6.75g(25mmol)、炭酸カリウム3.4g(25mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.70g(1mmol)、DME60ml及び水25mlを加え、60℃で3時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、300mlの水で3回洗い、300mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを200mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させ、カラム(石油エーテル:トルエン=1:1)を通過させて、9.21gの5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ブロモクロロベンゼンを得た。
1HNMR(DMSO):δ7.67(s,2H),7.61-7.40(m,4H)
HPLC(純度=99.2%)
【化47】
【0104】
窒素雰囲気下で、反応器に5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ブロモクロロベンゼン9.21g(23.0mmol)、4-フェニルカルバモイルフェニルボロン酸5.20g(23.0mmol)、炭酸カリウム3.4g(25mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.70g(1mmol)、DME60ml及び水25mlを加え、還流して3時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、300mlの水で3回洗い、300mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを200mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させて、9.32gの5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-ビフェニルカルバモイルベンゼン)クロロベンゼンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.76-7.58(m,10H),7.46-7.34(m,5H)
HPLC(純度=99.1%)
【化48】
【0105】
窒素雰囲気下で、反応器に5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-フェニルカルバモイルベンゼン)クロロベンゼン8.45g(16.8mmol)、3-アミノピリジン1.90g(20.1mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.19mg(0.34mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.32mg(0.68mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.87g(40.32mmol)、キシレン100mlを入れ、加熱還流撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、8.41gのN-(5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-フェニルカルバモイルベンゼン)フェニル)-(3-ピリジル)アミンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ8.51(s,1H),8.22(d,1H),7.77-7.70(m,4H),7.65-7.57(m,5H),7.45-7.36(m,4H),7.25(d,1H),7.05(s,1H),6.65(s,2H),5.11(s,1H)
HPLC(純度=99.5%)
【化49】
[71]
【0106】
窒素雰囲気下で、反応器にN-(5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-フェニルカルバモイルベンゼン)フェニル)-(3-ピリジル))アミン5.68g(10.1mmol)、p-ジブロモベンゼン1.07g(4.59mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.052mg(0.09mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.087mg(0.18mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド2.12g(22.04mmol)、キシレン50mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、4.34gの粗生成物を得た。粗生成物を、圧力3×10
-3Pa、温度350℃で昇華させて、3.7gの化合物[71](淡黄色)を得た。
1HNMR(CDCl
3):δ8.52(s,2H),8.23(d,2H),7.77-7.71(m,8H),7.66-7.57(m,10H),7.45-7.35(m,8H),7.25(d,2H),7.05(s,2H),6.63(s,4H),6.20(d,4H)
HPLC(純度=98.9%)
調製例9
化合物[91]の合成
【化50】
【0107】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸6.19g(24mmol)、3,5-ジブロモクロロベンゼン6.75g(25mmol)、炭酸カリウム3.4g(25mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.70g(1mmol)、DME60ml及び水25mlを加え、60℃で3時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、300mlの水で3回洗い、300mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを200mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させ、カラム(石油エーテル:トルエン=1:1)を通過させて、9.21gの5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ブロモクロロベンゼンを得た。
1HNMR(DMSO):δ7.67(s,2H),7.61-7.40(m,4H)
HPLC(純度=99.2%)
【化51】
【0108】
窒素雰囲気下で、反応器に5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ブロモクロロベンゼン9.21g(23.0mmol)、3,5-ジアダマンチルフェニルボロン酸8.97g(23.0mmol)、炭酸カリウム3.4g(25mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.70g(1mmol)、DME60ml及び水25mlを加え、還流して3時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、300mlの水で3回洗い、300mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを200mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させて、12.41gの5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(3,5-ジアダマンチル)クロロベンゼンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.67(s,2H),7.60(s,2H),7.45(s,2H),7.30(s,3H),1.81(m,4H),1.56(m,8H),1.43(m,4H),1.41(m,6H),1.18(m,8H)
HPLC(純度=98.7%)
【化52】
【0109】
窒素雰囲気下で、反応器に5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(3,5-ジアダマンチル)クロロベンゼン11.22g(16.8mmol)、3-アミノピリジン1.90g(20.1mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.19mg(0.34mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.32mg(0.68mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.87g(40.32mmol)、キシレン100mlを入れ、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、11.21gのN-(5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(3,5-ジアダマンチル)フェニル)-(3-ピリジル)アミンを得た。
【0110】
1HNMR(CDCl
3):δ8.52(s,1H),8.23(d,1H),7.67(s,2H),7.60(s,1H),7.40(s,1H),7.30(m,4H),7.06(s,1H),6.64(s,2H),5.21(s,1H),1.81(m,4H),1.56(m,8H),1.43(m,4H),1.41(m,6H),1.18(m,8H)
HPLC(純度=99.1%)
【化53】
[91]
【0111】
窒素雰囲気下で、反応器にN-(5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(3,5-ジアダマンチル)フェニル)-(3-ピリジル))アミン7.33g(10.1mmol)、p-ジブロモベンゼン1.07g(4.59mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.052mg(0.09mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.087mg(0.18mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド2.12g(22.04mmol)、キシレン50mlを加え、加熱、還流、撹拌して8時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させ、10.45gの粗生成物を得た。粗生成物を、圧力3×10
-3Pa、温度390℃で昇華させて、7.3gの化合物[91](淡黄色)を得た。
δ8.52(s,2H),8.23(d,2H),7.67(s,4H),7.60(s,2H),7.40(s,2H),7.30(m,8H),7.06(s,2H),6.64(s,4H),6.20(d,4H),1.81(m,8H),1.56(m,16H),1.43(m,8H),1.41(m,12H),1.18(m,16H)
HPLC(純度=99.2%)
調製例10
化合物[93]の合成
【化54】
【0112】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸6.19g(24mmol)、3,5-ジブロモクロロベンゼン6.75g(25mmol)、炭酸カリウム3.4g(25mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.70g(1mmol)、DME60ml及び水25mlを加え、60℃で3時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、300mlの水で3回洗い、300mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを200mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させ、カラム(石油エーテル:トルエン=1:1)を通過させて、9.21gの5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ブロモクロロベンゼンを得た。
1HNMR(DMSO):δ7.67(s,2H),7.61-7.40(m,4H)
HPLC(純度=99.2%)
【化55】
【0113】
窒素雰囲気下で、反応器に5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ブロモクロロベンゼン9.21g(23.0mmol)、ピレンボロン酸5.66g(23.0mmol)、炭酸カリウム3.4g(25mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.70g(1mmol)、DME60ml及び水25mlを加え、還流して3時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、300mlの水で3回洗い、300mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを200mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させて、10.12gの5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ピレニルクロロベンゼンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ8.22(s,2H),8.00(d,2H),7.80(m,1H),7.71-7.67(m,6H),7.60-7.58(m,2H),7.45(s,2H)
HPLC(純度=99.3%)
【化56】
【0114】
窒素雰囲気下で、反応器に5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ピレニルクロロベンゼン8.80g(16.8mmol)、3-アミノピリジン1.90g(20.1mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.19mg(0.34mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.32mg(0.68mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.87 g(40.32mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、8.41gのN-(5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ピレニル)-(3-ピリジル)アミンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ8.53(s,1H),8.21(m,3H),8.00(d,2H),7.81(m,1H),7.71-7.67(m,6H),7.60(s,1H),7.41(m,1H),7.25(d,1H),7.06(s,1H),6.64(s,2H),5.21(s,H)
HPLC(純度=99.5%)
【化57】
[93]
【0115】
窒素雰囲気下で、反応器にN-(5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ピレニル)-(3-ピリジル))アミン5.88g(10.1mmol)、p-ジブロモベンゼン1.07g(4.59mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.052mg(0.09mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.087mg(0.18mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド2.12g(22.04mmol)、キシレン50mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させ、4.12gの粗生成物を得た。粗生成物を、圧力3×10
-3Pa、温度370℃で昇華させて、3.4gの化合物[93](黄色)を得た。
1HNMR(CDCl
3):δ8.53(s,1H),8.21(m,3H),8.00(d,2H),7.82(m,1H),7.71-7.67(m,6H),7.60(s,1H),7.40(m,1H),7.25(d,1H),7.06(s,1H),6.64(s,2H),6.21(d,4H)
HPLC(純度=99.1%)
調製例11
化合物[94]の合成
【化58】
【0116】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸6.19g(24mmol)、3,5-ジブロモクロロベンゼン6.75g(25mmol)、炭酸カリウム3.4g(25mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.70g(1mmol)、DME60ml及び水25mlを加え、60℃で3時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、300mlの水で3回洗い、300mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを200mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させ、カラム(石油エーテル:トルエン=1:1)を通過させて、9.21gの5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ブロモクロロベンゼンを得た。
1HNMR(DMSO):δ7.67(s,2H),7.61-7.40(m,4H)
HPLC(純度=99.2%)
【化59】
【0117】
窒素雰囲気下で、反応器に5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-ブロモクロロベンゼン9.21g(23.0mmol)、9,9’-スピロビフルオレンボロン酸8.28g(23.0mmol)、炭酸カリウム3.4g(25mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.70g(1mmol)、DME60ml及び水25mlを加え、還流して3時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、300mlの水で3回洗い、300mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを200mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させて、11.21gの5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-9,9’-スピロビフルオレンクロロベンゼンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.90-7.72(m,5H),7.67-7.45(m,8H),7.38-7.28(m,4H),7.19-7.16(m,4H)
HPLC(純度=99.2%)
【化60】
【0118】
窒素雰囲気下で、反応器に5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-9,9’-スピロビフルオレンクロロベンゼン10.72g(16.8mmol)、3-アミノピリジン1.90g(20.1mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.19mg(0.34 mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.32mg(0.68mol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.87g(40.32mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、9.38gのN-(5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-9,9’-スピロビフルオレン)-(3-ピリジル)アミンを得る。
1HNMR(CDCl
3):δ8.53(s,1H),8.23(d,1H),7.90-7.72(m,5H),7.67-7.45(m,5H),7.38-7.28(m,6H),7.19-7.16(m,4H),7.06(s,1H),6.64(s,2H),5.12(s,1H)
HPLC(純度=99.7%)
【化61】
[94]
【0119】
窒素雰囲気下で、反応器にN-(5-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-3-9,9’-スピロビフルオレン)-(3-ピリジル))アミン7.04g(10.1mmol)、p-ジブロモベンゼン1.07g(4.59mol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.052mg(0.09mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.087mg(0.18mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド2.12 g(22.04mmol)、キシレン50mlを加え、加熱、還流、撹拌し、4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、濾過し、乾燥させて、5.29gの粗生成物を得た。粗生成物を、圧力3×10
-3Pa、温度380℃で昇華させて、2.3gの化合物[94](黄色)を得た。
1HNMR(CDCl
3):δ8.53(s,1H),8.23(d,1H),7.90-7.72(m,5H),7.67-7.45(m,5H),7.38-7.28(m,6H),7.19-7.16(m,4H),7.06(s,1H),6.64(s,2H),6.20(d,4H)
HPLC(純度=99.5%)
調製例12
【化62】
【0120】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(トリフルオロメチル)アニリン3.85g(16.8mmol)、3,5-ジ(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン4.88g(16.8mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.19mg(0.34mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.32mg(0.68mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.87g(40.32mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、100mlのメタノールで3回洗い、乾燥させて、7.1gのビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.02(s,2H),6.40(s,4H),4.00(s,1H)
HPLC(純度=99.9%)
【化63】
【0121】
窒素雰囲気下で、反応器にビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミン7.10g(16.1mmol)、4-ブロモ-2-トリフルオロメチルクロロベンゼン4.13 g(16.1mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.18mg(0.33mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.31mg(0.66mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.70g(38.64mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、100mlのメタノールで3回洗い、乾燥させて、9.2gの4-ビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ-2-トリフルオロメチルクロロベンゼンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.01(s,2H),6.95(s,1H),6.65(s,4H),6.55(s,1H),6.40(s,1H)
HPLC(純度=99.1%)
【化64】
【0122】
窒素雰囲気下で、反応器に4-ビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ-2-トリフルオロメチルクロロベンゼン4.6g(7.4mmol)、ビスピナコラートジボロン1.89g(7.4mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.09mg(0.16mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.15mg(0.31mmol)、酢酸カリウム1.90g(19.31mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、100mlのメタノールで3回洗い、乾燥させて、5.0gの4-ビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ-2-トリフルオロメチルフェニルピナコールエステルを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.01(s,2H),6.91(s,1H),6.72(s,1H),6.64(s,4H),6.54(s,1H),1.26(s,12H)
HPLC(純度=99.5%)
【化65】
[99]
【0123】
窒素雰囲気下で、反応器に4-ビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ-2-トリフルオロメチルクロロベンゼン4.35g(7.0mmol)、4-ビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ-2-トリフルオロメチルフェニルピナコールエステル5.00g(7.0mmol)、炭酸カリウム1.33g(9.8mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.49g(0.7mmol)、DME24ml及び水10mlを加え、60℃で3時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、100mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを20mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させ、カラム(石油エーテル:ジクロロメタン=1:1)を通過させて、8.12gの化合物[99](ピンク)を得た。
1HNMR(DMSO):δ7.12(s,2H),7.00(s,4H),6.72(s,2H),6.65(s,8H),6.55(s,2H)
HPLC(純度=99.9%)
調製例13
【化66】
【0124】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(トリフルオロメチル)アニリン3.85g(16.8mmol)、3,5-ジ(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン4.88g(16.8mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.19mg(0.34mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.32mg(0.68mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.87g(40.32mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、100mlのメタノールで3回洗い、乾燥させて、7.1gのビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.02(s,2H),6.40(s,4H),4.00(s,1H)
HPLC(純度=99.9%)
【化67】
【0125】
窒素雰囲気下で、反応器にビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミン7.10g(16.1mmol)、4-ブロモクロロベンゼン3.04g(16.1mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.18mg(0.33mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.31mg(0.66mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.70g(38.64mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、100mlのメタノールで3回洗い、乾燥させて、8.81gの4-ビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ-クロロベンゼンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.01(s,4H),6.65(s,4H),6.40(s,2H)
HPLC(純度=99.1%)
【化68】
【0126】
窒素雰囲気下で、反応器に4-ビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ-2-トリフルオロメチルクロロベンゼン8.15g(14.8mmol)、ビスピナコラートジボロン3.78g(14.8mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.18mg(0.32mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.3mg(0.62mmol)、酢酸カリウム3.80g(38.62mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、100mlのメタノールで3回洗い、乾燥させて、9.13gの4-ビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ-フェニルピナコールエステルを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.01(s,4H),6.64(s,4H),6.54(s,2H),1.26(s,12H)
HPLC(純度=99.5%)
【化69】
[102]
【0127】
窒素雰囲気下で、反応器に4-ビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ-2-トリフルオロメチルフェニルピナコールエステル9.02g(14.0mmol)、2,5-ビストリフルオロメチル-1,4-ジブロモベンゼン2.60g(7.0mmol)、炭酸カリウム1.33g(9.8mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.49g(0.7mmol)、DME24ml及び水10mlを加え、60℃で3時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、100 mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを20mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させ、カラム(石油エーテル:ジクロロメタン=1:1)を通過させて、12.31gの化合物[102](白色)を得た。
1HNMR(DMSO):δ7.63(s,2H),7.23(d,4H),7.00(s,4H),6.65(s,8H),6.52(d,4H)
HPLC(純度=99.7%)
調製例14
【化70】
【0128】
窒素雰囲気下で、反応器に3,5-ジ(トリフルオロメチル)アニリン3.85g(16.8mmol)、4-トリフルオロメチルブロモベンゼン3.76g(16.8mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.19mg(0.34mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.32mg(0.68mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.87g(40.32mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、100mlのメタノールで3回洗い、乾燥させて、6.21gのN-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-(4-トリフルオロメチルフェニル)アミンを得た。
1HNMR(CDCl3):δ7.21(s,2H),7.02(s,1H),6.64(s,2H),6.38(s,2H),4.00(s,1H)
HPLC(純度=99.1%)
【0129】
【化71】
窒素雰囲気下で、反応器にビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミン6.00g(16.1mmol)、4-ブロモ-2-トリフルオロメチルクロロベンゼン4.13g(16.1mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.18mg(0.33mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.31mg(0.66mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド3.70g(38.64mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、100mlのメタノールで3回洗い、乾燥させて、8.24gの4-((N-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-(4-トリフルオロメチルフェニル))アミノ-2-トリフルオロメチルクロロベンゼンを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.21(s,2H),7.01(s,1H),6.95(s,1H),6.65(s,2H),6.55(s,1H),6.40(s,3H)
HPLC(純度=99.0%)
【化72】
【0130】
窒素雰囲気下で、反応器に4-ビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ-2-トリフルオロメチルクロロベンゼン4.11g(7.4mmol)、ビスピナコラートジボロン1.89g(7.4mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.09mg(0.16mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルジフェニル0.15mg(0.31mmol)、酢酸カリウム1.90g(19.31mmol)、キシレン100mlを加え、加熱、還流、撹拌して4時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100mlの水で3回洗い、100mlのメタノールで3回洗い、乾燥させて、4.50gの4-((N-(3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)-(4-トリフルオロメチルフェニル))アミノ-2-トリフルオロメチルフェニルピナコールエステルを得た。
1HNMR(CDCl
3):δ7.21(s,2H),7.01(s,1H),6.91(s,1H),6.72(s,1H),6.64(s,2H),6.54(s,1H),6.38(s,2H),1.26(s,12H)
HPLC(純度=98.8%)
【化73】
[105]
【0131】
窒素雰囲気下で、反応器に4-ビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ-2-トリフルオロメチルクロロベンゼン3.85g(7.0mmol)、4-ビス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ-2-トリフルオロメチルフェニルピナコールエステル4.50g(7.0mmol)、炭酸カリウム1.33g(9.8mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.49g(0.7mmol)、DME24ml及び水10mlを加え、60℃で3時間反応させた。室温まで冷却し、回転蒸発させ、100 mlの水で3回洗い、100mlのメタノールで3回洗い、濾過し、濾過ケークを20mlのメタノールで1回リンスし、濾過し、真空乾燥させ、カラム(石油エーテル:ジクロロメタン=1:1)を通過させて、7.01gの化合物[105](白色)を得た。
1HNMR(DMSO):δ7.21(s,4H),7.12(s,2H),7.00(s,2H),6.72(s,2H),6.65(s,4H),6.55(s,2H),6.38(s,4H)
HPLC(純度=99.9%)
実施例1
【0132】
(1)屈折率測定
無アルカリガラス基板(旭硝子株式会社、AN100)に20分間のUVオゾン洗浄処理を行い、さらに真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が1×10-3Paを超える真空度条件になるまで排気し、電気抵抗加熱蒸着法により化合物[15]を約50nmの薄膜に蒸着調製した。蒸着速度は0.1nm/sである。
【0133】
上記で調製した薄膜試料の屈折率と減衰係数の測定は、東レリサーチセンター.Inc.で行い、計器は楕円偏光スペクトル(J.A.Woollam社のM-2000)を用いた。
【0134】
化合物[15]の460nmにおける屈折率は1.67であった。
同様の手法で測定したTBDBの460nmにおける屈折率は2.06であった。
【0135】
(2)有機発光素子の調製及び評価
無アルカリガラスは、イソプロピルアルコールで15分の超音波洗浄を行った後、大気中で30分、UVオゾン洗浄処理を行った。スパッタ法を利用して、無アルカリガラス上に、100nmの銀(Ag)と10nmのITOを用いて順次成膜し、反射陽極を形成した。反射陽極を10分間UVオゾン洗浄処理した後、真空蒸着法により、陽極上に正孔注入層(NPD及びF4-TCNQ(重量比97:3)、50nm)、正孔輸送層(NPD、80nm)、青色発光層(BH及びBD(重量比97:3、20nm)、電子輸送層(Alq3、35nm)、電子注入層(LiF、1nm)を順に積層蒸着した後、Mg及びAg(重量比10:1、15nm)を共蒸着して半透明陰極を作成した。その後、半透明陰極上に、膜厚10nmの化合物[15]-第2キャッピング層と膜厚50nmの化合物[TBDB]-第1キャッピング層を順に蒸着した。最後に、乾燥窒素雰囲気のグローブボックス内で、エポキシ樹脂接着剤を用いて無アルカリガラス製の封止板を封止して、発光素子を作成した。
【0136】
上記の発光素子に、室温、大気中において10mA/cm2の直流電流を加え、分光放射輝度計(CS1000、コニカミノルタ株式会社)を用いて封止板からの発光の輝度と色純度を測定した。測定値は、発光効率が3.4cd/A、色純度がCIE(x,y)=(0.135、0.048)であった。
実施例2
【0137】
第2キャッピング層が化合物[16]である以外は、実施例1と同じである。
【0138】
化合物[16]の屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例3
【0139】
第2キャッピング層が化合物[40]である以外は、実施例1と同じである。
【0140】
化合物[40]の屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例4
【0141】
第2キャッピング層が化合物[49]である以外は、実施例1と同じである。
【0142】
化合物[49]の屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例5
【0143】
第2キャッピング層が化合物[50]である以外は、実施例1と同じである。
【0144】
化合物[50]の屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例6
【0145】
第2キャッピング層が化合物[67]である以外は、実施例1と同じである。
【0146】
化合物[67]の屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例7
【0147】
第2キャッピング層が化合物[70]である以外は、実施例1と同じである。
【0148】
化合物[70]の屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例8
【0149】
第2キャッピング層が化合物[71]である以外は、実施例1と同じである。
【0150】
化合物[71]の屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例9
【0151】
第2キャッピング層が化合物[91]である以外は、実施例1と同じである。
【0152】
化合物[91]の屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例10
【0153】
第2キャッピング層が化合物[93]である以外は、実施例1と同じである。
【0154】
化合物[93]の屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例11
【0155】
第2キャッピング層が化合物[94]である以外は、実施例1と同じである。
【0156】
化合物[94]の屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例12
【0157】
第2キャッピング層が化合物[99]である以外は、実施例1と同じである。
【0158】
化合物[94]の屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例13
【0159】
第2キャッピング層が化合物[102]である以外は、実施例1と同じである。
【0160】
化合物[94]の屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例14
【0161】
第2キャッピング層が化合物[105]である以外は、実施例1と同じである。
【0162】
化合物[94]の屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例15
【0163】
第2キャッピング層が化合物[99]、第1キャッピング層が化合物ZJFである以外は、実施例1と同じである。
【0164】
有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例16
【0165】
第2キャッピング層が化合物[99]、第1キャッピング層が化合物LXYである以外は、実施例1と同じである。
【0166】
有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例17
【0167】
第2キャッピング層が化合物TBDB、第1キャッピング層が化合物[99]である以外は、実施例1と同じである。
【0168】
有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例18
【0169】
第2キャッピング層が化合物[50]、第1キャッピング層が化合物[91]である以外は、実施例1と同じである。
【0170】
有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
実施例19
【0171】
第2キャッピング層が化合物[50]、第1キャッピング層がない以外は、実施例1と同じである。
【0172】
有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
比較例1
【0173】
第2キャッピング層がTBDB、第1キャッピング層がない以外は、実施例1と同じである。
【0174】
有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
比較例2
【0175】
第2キャッピング層がTBDB、第1キャッピング層がNPDである以外は、実施例1と同じである。
【0176】
化合物NPDの屈折率を測定し、有機発光素子に対する評価を行った。評価結果は表1の通りである。
比較例3
【0177】
第2キャッピング層がTBDB、第1キャッピング層がAlq3である以外は、実施例1と同じである。
【0178】
化合物Alq3の屈折率を測定し、有機発光素子を評価した。評価結果は表1の通りである。
比較例4
【0179】
第2キャッピング層がDZ1である以外は、実施例1と同じである。
【0180】
化合物DZ1の屈折率を測定し、有機発光素子を評価した。評価結果は表1の通りである。
比較例5
【0181】
第2キャッピング層がDZ1である以外は、実施例1と同じである。
【0182】
化合物DZ1の屈折率を測定し、有機発光素子を評価した。評価結果は表1の通りである。
比較例6
【0183】
第2キャッピング層がCZX、第1キャッピング層がTBDBである以外は、実施例1と同じである。
【0184】
化合物CZXの屈折率を測定し、有機発光素子を評価した。評価結果は表1の通りである。
【0185】
【0186】
表中のn1(460)は、第2キャッピング層の屈折率が波長460nmであるときの屈折率である。n2(460)は、第1キャッピング層の屈折率が波長460nmであるときの屈折率である。
【0187】
上記の表1に示すように、比較例1は現在一般的に用いられている技術であり、比較例1と較べて、実施例1~実施例16の発光素子は、いずれも高い色純度を保持しながら発光効率を向上させることができる。そのうち、実施例2と実施例3の比較から、アミンで置換した化合物[40]の方が熱安定性がさらに高く、屈折率が近い場合は、アミンで置換した化合物[40]の方が発光効率がより高いことがわかる。実施例4と実施例5の比較から、ヘテロ原子がある実施例5と、ヘテロ原子がなく、構造が近い実施例4を較べると、屈折率が近い状況において、ヘテロ原子がある実施例5の方が発光効率がより高いことがわかる。実施例9、実施例10、実施例7の比較から、トリフルオロメチル基の数が同じ場合には、縮合環またはスピロ環を取り込んだ実施例9、実施例10の化合物の方が屈折率は高いが、発光効率がやや低下していることがわかる。実施例13では屈折率が1.7を下回る2種類の材料を使用し、比較例2、3では屈折率が1.8を上回る2種類の材料を使用しているが、発光効率はいずれも通常の技術から改善されていない。比較例6、実施例14、実施例12の三つの例を比べると、トリフルオロメチル基が多いほど屈折率が低くなり、光学的性能全体がより向上していることがわかる。実施例19は屈折率が1.7を下回るキャッピング層材料だけを使用しており、発光効率は通常の技術から改善されていない。比較例4はホウ素錯体化合物DZ1を使用しており、比較例1と較べると、高い色純度を保持すると同時に発光効率が顕著に向上しており、実施例5と較べると、実施例5に近い発光効率まで到達することができる。しかし、前記化合物は、蒸着の際に目詰まり現象が発生しやすいため、そのデバイスのパフォーマンスは不安定である。比較例5は、比較例4と全く同じ材料を全く同じ条件で使って行った第二次実験であり、その発光効率は比較例4に比べていくらか減弱している。これは、目詰まり後に蒸着された第2キャッピング層の膜厚のコントロールが不安定で、共鳴キャビティが性能を発揮できないためである。品質保証の観点と工業生産の観点から見て、目詰り性能は不良率を増加させ、生産コストを引き上げる。比較例6はトリフルオロメチル基を含まない化合物CZXを使用しており、その化合物の屈折率は1.83で、発光層との差は小さく、第1キャッピング層材料の屈折率との差は0.3を下回っており、その発光効率は通常の技術よりも明らかに低い。
【0188】
本明細書で言及されるすべての特許文献、非特許文献は、いずれも引用により本明細書に組み込まれる。本明細書で言及される「複数」は、1種類以上のすべての状況を含んでおり、即ち、「1種または複数」は、1種類、2種類、3種類、....などを含む。本明細書において、ある数値範囲に対してそれぞれ上限と下限が記載されている場合、または、上限と下限を組み合わせた方式である数値範囲が記載されている場合、そこに記載されている各上限と各下限は、任意に組み合わせて新たな数値範囲とすることができ、これは、直接明記されている組み合わせから成る数値範囲の記載形式と同じと見なされるものとする。本発明の主旨を逸脱しない状況において、当業者は本発明を変更及び改良することができるが、これらも本発明の範囲内に含まれる。