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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A47G25/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022010381
(22)【出願日】2022-01-26
(65)【公開番号】P2023109020
(43)【公開日】2023-08-07
【審査請求日】2024-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】梶田 秀之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 深雪
(72)【発明者】
【氏名】秋山 寿美江
(72)【発明者】
【氏名】板津呂 真夕
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-150030(JP,A)
【文献】特開2006-296902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準面の下に設けられ前記基準面側に向けて開口する収納部と、前記基準面と平行する仮想面に含まれる回転軸線周りに回転して前記収納部の開口を開閉する開閉板と、前記開閉板を回転可能に支持する支持軸部と、を備えた収納装置であって、
前記開閉板は、
少なくとも片面側に、収納物を脱落不能に保持する保持部材を有し、
前記支持軸部は、
前記仮想面に含まれる第1回転軸線の方向に互いに対向して前記開閉板に接離する一対の第1支持軸部と、前記仮想面で前記第1回転軸線に交差する第2回転軸線の方向に互いに対向して前記開閉板に接離する一対の第2支持軸部と、を含む構成とされ、
前記一対の第1支持軸部が前記開閉板に接触し、かつ、前記一対の第2支持軸部が前記開閉板から離間した状態において、前記一対の第1支持軸部で前記開閉板を前記第1回転軸線周りに回転可能に支持し、
前記一対の第2支持軸部が前記開閉板に接触し、かつ、前記一対の第1支持軸部が前記開閉板から離間した状態において、前記一対の第2支持軸部で前記開閉板を前記第2回転軸線周りに回転可能に支持することを特徴とする収納装置。
【請求項2】
請求項1に記載の収納装置であって、
窓開口部に組み付けられる引き戸式の障子の開閉に連動して前記開閉板を回転させることが可能な連動機構をさらに備え、
前記障子には、前記連動機構と係合可能な係合部が設けられ、
前記連動機構は、
前記係合部と係合可能に構成され前記係合部と係合した状態で前記障子の開閉動作によって作動される作動部と、
前記作動部から力を受けて前記一対の第1支持軸部及び前記一対の第2支持軸部を選択的に前記開閉板に接離させる軸接離部と、を有することを特徴とする収納装置。
【請求項3】
請求項2に記載の収納装置であって、
前記一対の第1支持軸部及び前記一対の第2支持軸部は、それぞれ、前記開閉板に接触する接触部を含む構成とされ、
前記一対の第1支持軸部における前記接触部は、前記第1回転軸線周りに回転可能に設けられ、
前記一対の第2支持軸部における前記接触部は、前記第2回転軸線周りに回転可能に設けられ、
前記連動機構は、
前記作動部から力を受けて前記一対の第1支持軸部のうち少なくとも一方における前記接触部と前記一対の第2支持軸部のうち少なくとも一方における前記接触部とを前記開閉板に対して選択的に回転させる軸回転部をさらに有することを特徴とする収納装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の収納装置であって、
前記連動機構は、前記障子の開閉に連動する連動状態と、前記障子の開閉に連動しない非連動状態と、に切り替え可能に構成され、
ユーザからの操作を受ける操作部をさらに備え、
前記操作部は、前記ユーザからの操作を受けると、前記連動機構を前記連動状態にすることを特徴とする収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
戸建て住宅、集合住宅等の建物において、庭、バルコニー等の屋外に出るときに外履きを履くのが一般的である。外履きを屋外に放置すると、風雨や紫外線に晒されて外履きの劣化が早まるため、なんらかの収納手段を用いて外履きを収納しておくことが望ましい。例えば、履物等の収納物の収納手段として、特許文献1に記載の技術が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3148188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の収納手段においては、ドアの開閉に連動して、履物が着脱位置と格納位置との間を移動するように構成されている。しかし、履物が着脱位置と格納位置との間を移動する間、ユーザが待たなければならず、ユーザの使い勝手を向上させる余地が未だあった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、ユーザの使い勝手の向上に寄与する収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願記載の収納装置は、基準面の下に設けられ前記基準面側に向けて開口する収納部と、前記基準面と平行する仮想面に含まれる回転軸線周りに回転して前記収納部の開口を開閉する開閉板と、前記開閉板を回転可能に支持する支持軸部と、を備えた収納装置であって、前記開閉板は、少なくとも片面側に、収納物を脱落不能に保持する保持部材を有し、前記支持軸部は、前記仮想面に含まれる前記第1回転軸線の方向に互いに対向して前記開閉板に接離する一対の第1支持軸部と、前記仮想面で前記第1回転軸線に交差する前記第2回転軸線の方向に互いに対向して前記開閉板に接離する一対の第2支持軸部と、を含む構成とされ、前記一対の第1支持軸部が前記開閉板に接触し、かつ、前記一対の第2支持軸部が前記開閉板から離間した状態において、前記一対の第1支持軸部で前記開閉板を前記第1回転軸線周りに回転可能に支持し、前記一対の第2支持軸部が前記開閉板に接触し、かつ、前記一対の第1支持軸部が前記開閉板から離間した状態において、前記一対の第2支持軸部で前記開閉板を前記第2回転軸線周りに回転可能に支持することを特徴とするものである。
また、前記収納装置において、窓開口部に組み付けられる引き戸式の障子の開閉に連動して前記開閉板を回転させることが可能な連動機構をさらに備え、前記障子には、前記連動機構と係合可能な係合部が設けられ、前記連動機構は、前記係合部と係合可能に構成され前記係合部と係合した状態で前記障子の開閉動作によって作動される作動部と、前記作動部から力を受けて前記一対の第1支持軸部及び前記一対の第2支持軸部を選択的に前記開閉板に接離させる軸接離部と、を有してもよい。
また、前記収納装置において、前記一対の第1支持軸部及び前記一対の第2支持軸部は、それぞれ、前記開閉板に接触する接触部を含む構成とされ、前記一対の第1支持軸部における前記接触部は、前記第1回転軸線周りに回転可能に設けられ、前記一対の第2支持軸部における前記接触部は、前記第2回転軸線周りに回転可能に設けられ、前記連動機構は、前記作動部から力を受けて前記一対の第1支持軸部のうち少なくとも一方における前記接触部と前記一対の第2支持軸部のうち少なくとも一方における前記接触部とを前記開閉板に対して選択的に回転させる軸回転部をさらに有してもよい。
【0007】
また、前記収納装置において、前記連動機構は、前記障子の開閉に連動する連動状態と、前記障子の開閉に連動しない非連動状態と、に切り替え可能に構成され、ユーザからの操作を受ける操作部をさらに備え、前記操作部は、前記ユーザからの操作を受けると、前記連動機構を前記連動状態にしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの使い勝手の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における収納装置の全体を示す概略図である。
図2】開閉板が収納部の開口を閉じた状態を示す概略斜視図である。
図3A】第1支持軸部の内部構造を示す概略図である。
図3B】第2支持軸部の内部構造を示す概略図である。
図4A】開閉板の回転手順(1)を模式的に示す平面図である。
図4B】開閉板の回転手順(2)を模式的に示す平面図である。
図4C】開閉板の回転手順(3)を模式的に示す平面図である。
図5】本実施形態における連動機構を屋外側から視た概略斜視図である。
図6】係合部及びその周辺の構造を示す概略斜視図である。
図7】障子の下框及び下枠の構造を示す部分概略断面図である。
図8】作動部が係合部と係合していない状態を示す概略側面図である。
図9】作動部が係合部と係合した状態を示す概略側面図である。
図10】軸接離部及び軸回転部を示す概略正面図である。
図11】本実施形態における操作部の全体を示す概略図である。
図12】ユーザが屋内から屋外に出る場合における収納装置の各部の挙動を示す概略図である。
図13図12の連動機構の挙動を示す概略図である。
図14図12の開閉板に対する支持軸部の挙動を示す概略図である。
図15図12の開閉板が回転する過程を示す概略図である。
図16図12の開閉板の回転が完了するときの収納装置の一部の挙動を示す概略図である。
図17】ユーザが屋外から屋内に入る場合における収納装置の各部の挙動を示す概略図である。
図18図17の連動機構の挙動を示す概略図である。
図19図17の開閉板に対する支持軸部の挙動を示す概略図である。
図20図17の開閉板が回転する過程を示す概略図である。
図21図17の開閉板の回転が完了するときの収納装置の一部の挙動を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施形態の間で同一の構成要素には同一の符号を付し、それら構成要素について重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、本実施形態における収納装置Aの全体を示す概略図である。
【0012】
収納装置Aは、例えば、戸建て住宅、集合住宅等の建物で用いられるものであり、屋外に設置されるテラス、ベランダ、デッキ、濡縁その他の屋外床の下に設けられた収納スペースSに収納物Qを収納可能とするものである。収納物Qとして、例えば、履物、ガーデニング用品等の日用品が挙げられる。
【0013】
本実施形態において、収納スペースSは、引き戸9の障子90が閉じた状態で、障子90の屋外側に位置している。また、本実施形態において、引き戸9は、窓開口部に組み付けられた2枚建ての引き違い式掃き出し窓であり、障子90を含む構成とされている(図1参照)。なお、引き戸9は、例えば、引き分け式、片引き式、等の戸や窓でもよい。以下、説明の便宜上、開閉方向Dは、障子90が開閉する方向のことを指し、開方向を+D方向とし、閉方向を-D方向とする。また、ユーザが屋内から屋外に出るときのユーザの進行方向を+X方向とし、ユーザが屋外から屋内に入るときのユーザの進行方向を-X方向とする。
【0014】
本実施形態において、収納装置Aは、基準面Pの下に設けられ基準面P側に向けて開口する収納部10と、回転して収納部10の開口を開閉する開閉板11と、開閉板11を回転可能に支持する支持軸部4と、に加えて、引き戸9の下方に配された連動機構2と、屋内側において引き戸9の縦枠91又はその近傍に配された操作部3と、を備えている(図1参照)。以下、収納装置Aの各部の構成について順に説明する。
【0015】
-収納部-
図2は、開閉板11が収納部10の開口を閉じた状態を示す概略斜視図である。
【0016】
収納部10は、内部に収納スペースSを形成するものであり、無蓋箱状に形成されている(図1図2参照)。収納部10は、開閉板11が回転した場合に開閉板11と干渉しない程度の深さを有している。
【0017】
-開閉板-
開閉板11は、基準面Pと平行する仮想面γに含まれる回転軸線(第1回転軸線α,第2回転軸線β)周りに回転して収納部10の開口を開閉する。具体的には、開閉板11は、仮想面γに含まれる第1回転軸線α周りと、仮想面γで第1回転軸線αに交差する第2回転軸線β周りと、のいずれで回転しても収納部10の開口を開閉するように構成されている。
【0018】
開閉板11は、全体として、2本の対角線がそれぞれ第1回転軸線αの方向及び第2回転軸線βの方向に合致する略正方形板状に形成されている(図2参照)。以下、「開閉板11が収納部10の開口を閉じた状態」とは、少なくとも、開閉板11が仮想面γと略平行になる状態を指す。
【0019】
開閉板11は、略正方形板状の2枚の外板12,13との間に、四隅が面取りされた略正方形板状の中板14が挟まれた構造からなる(図2参照)。本実施形態において、開閉板11は、収納部10の開口を閉じた状態において、外板12又は外板13が基準面Pと略同じ高さになるように配されている。中板14において面取りによって形成された面のうち、第1回転軸線αを通る面を両端部15,17と称し、第2回転軸線βを通る面を両端部16,18と称す。
【0020】
開閉板11において、外板12,13によって形成された両面のうち片面側は、収納物Qが載置される載置面11aとなっている。収納物Qが載置面11a上に載置された状態で、開閉板11を第1回転軸線α周り又は第2回転軸線β周りに回転させると、載置面11aが収納スペースS側を向くとともに、載置面11a上の収納物Qが収納スペースS側に移動する。こうして、収納物Qが収納部10内の収納スペースSに収納される。
【0021】
開閉板11は、載置面11a側に、収納物Qを脱落不能に保持する保持部材19を有している(図2参照)。保持部材19は、例えば、収納物Qを引き寄せるマグネットを用いて形成されている。従って、収納物Qが載置面11a上に載置された状態で開閉板11を第1回転軸線α周り又は第2回転軸線β周りに回転させたとしても、収納物Qが載置面11aを離れて収納スペースS内で落下する事態が防止される。収納物Qが収納スペースSに収納された状態で開閉板11を第1回転軸線α周り又は第2回転軸線β周りに再び回転させると、載置面11aが再び現れるとともに、載置面11a上の収納物Qが露出する。こうして、収納物Qが収納スペースSから取り出される。
【0022】
本実施形態において、開閉板11の下面側には、開閉板11を収納部10の開口を閉じた状態に維持するガイド部5が設けられている(図2参照)。ガイド部5は、板状に形成されており、開閉板11の一側縁と平行する回転軸周りに回転して開閉板11の下面側から退避可能に設けられている。ガイド部5の回転は、ガイド部規制部材50によって解除可能に規制されている。
【0023】
ガイド部規制部材50は、ガイド部5の回転軸に平行する揺動軸周りに揺動可能に設けられている。ガイド部規制部材50の上端部には、ガイド部5に干渉してガイド部5の回転を規制する規制リブ51が設けられている。規制リブ51は、図示しない付勢部材によって、ガイド部5に向かって付勢されている。ガイド部規制部材50は、開閉板11が収納部10の開口を閉じた状態で、規制リブ51でガイド部5の回転を規制した状態となっている。
【0024】
また、ガイド部規制部材50の上端部において規制リブ51の反対側は、接続部材70によって操作部3に接続されている。従って、接続部材70が操作部3側から引っ張られると、規制リブ51がガイド部5から退避し、ガイド部規制部材50がガイド部5の回転の規制を解除した状態となる。
【0025】
-支持軸部-
図3Aは、第1支持軸部40a,40bの内部構造を示す概略図である。図3Bは、第2支持軸部41a,41bの内部構造を示す概略図である。
【0026】
支持軸部4は、第1回転軸線αの方向に互いに対向して開閉板11に接離する一対の第1支持軸部40a,40bと、第2回転軸線βの方向に互いに対向して開閉板11に接離する一対の第2支持軸部41a,41bと、を含む構成とされている(図2図3A図3B参照)。本実施形態において、第1支持軸部40a,40bは、開閉板11における中板14の両端部15,17に接離し、第2支持軸部41a,41bは、開閉板11における中板14の両端部16,18に接離する。
【0027】
第1支持軸部40a,40b及び第2支持軸部41a,41bは、それぞれ、開閉板11に接触する接触部42と、接触部42に外嵌された内シリンダ部43と、内シリンダ部43を収容する外シリンダ部44と、を含む構成とされている(図3A図3B参照)。第1支持軸部40a,40b及び第2支持軸部41a,41bにおけるこれらの構成は、開閉板11に対する向きを除いて共通である。以下、説明の便宜上、これらの構成については、同一の符号を用いている。
【0028】
第1支持軸部40a,40bにおける接触部42は、第1回転軸線α上に配されており、第2支持軸部41a,41bにおける接触部42は、第2回転軸線β上に配されている。接触部42は、図示しない接触部付勢部材によって開閉板11側へ付勢されており、外力が加わっていない状態で、開閉板11に接触する。接触部42は、少なくとも開閉板11が収納部10の開口を閉じた状態で、開閉板11に接触した状態となっている。
【0029】
接触部42は、ボールベアリング、ローラベアリング等からなる軸受45,46を介して内シリンダ部43によって支持されている。内シリンダ部43の内壁面には、軸受45,46を保持する溝部47,48が形成されている。内シリンダ部43は、外シリンダ部44内で開閉板11に対する接離方向にスライド移動可能に支持されている。
【0030】
内シリンダ部43の外周面には、内シリンダ部43に力を伝達するための突起49が設けられている。突起49には、開閉板11側を向く内側面490と、内側面490の反対側の外側面491とが形成されている。外シリンダ部44には、内シリンダ部43の突起49を外方に突出させつつも内シリンダ部43のスライド移動を許容するスリット440が設けられている。外シリンダ部44は、図示しない構造体に固定されている。
【0031】
第1支持軸部40aにおける突起49の内側面490は、接続部材61によって、第1支持軸部40bにおける突起49の外側面491に接続されている。同様に、第2支持軸部41aにおける突起49の内側面490は、接続部材63によって、第2支持軸部41bにおける突起49の外側面491に接続されている。接続部材61,63は、例えば、金属製(ステンレス等)のワイヤ、ワイヤロープから形成されている。
【0032】
第1支持軸部40aにおいて、内シリンダ部43が突起49で開閉板11から離れる方向に外力を受けると、内シリンダ部43が開閉板11から離れる方向にスライド移動して、接触部42が開閉板11から離間する。第1支持軸部40aにおける内シリンダ部43が開閉板11から離れる方向にスライド移動すると、接続部材61を介して第1支持軸部40bにおける内シリンダ部43が開閉板11から離れる方向にスライド移動して、第1支持軸部40bにおける接触部42が開閉板11から離間する。
【0033】
また、第1支持軸部40aにおける内シリンダ部43が外力から解放されると、第1支持軸部40a,40bのそれぞれにおける接触部42が図示しない付勢部材の付勢力によって開閉板11に接触した状態に戻る。こうして、第1支持軸部40a,40bは、第1回転軸線αの方向に互いに対向して開閉板11に接離する。
【0034】
同様に、第2支持軸部41aにおいて、内シリンダ部43が突起49で開閉板11から離れる方向に外力を受けると、内シリンダ部43が開閉板11から離れる方向にスライド移動して、接触部42が開閉板11から離間する。第2支持軸部41aにおける内シリンダ部43が開閉板11から離れる方向にスライド移動すると、接続部材63を介して第2支持軸部41bにおける内シリンダ部43が開閉板11から離れる方向にスライド移動して、第2支持軸部41bにおける接触部42が開閉板11から離間する。
【0035】
また、第2支持軸部41aにおける内シリンダ部43が外力から解放されると、第2支持軸部41a,41bのそれぞれにおける接触部42が図示しない付勢部材の付勢力によって開閉板11に接触した状態に戻る。こうして、第2支持軸部41a,41bは、第2回転軸線βの方向に互いに対向して開閉板11に接離する。
【0036】
支持軸部4の第1支持軸部40a,40bが開閉板11に接触し、かつ、第2支持軸部41a,41bが開閉板11から離間すると、開閉板11が外力を受けて第1回転軸線α周りに回転可能な状態となる。こうして、支持軸部4は、第1支持軸部40a,40bで、開閉板11を第1回転軸線α周りに回転可能に支持する。
【0037】
同様に、第2支持軸部41a,41bが開閉板11に接触し、かつ、第1支持軸部40a,40bが開閉板11から離間すると、開閉板11が外力を受けて第2回転軸線β周りに回転可能な状態となる。こうして、支持軸部4は、第2支持軸部41a,41bで、開閉板11に接触して開閉板11を第2回転軸線β周りに回転可能に支持する。
【0038】
このような支持軸部4によって、開閉板11を第1回転軸線α周り又は第2回転軸線β周りに回転させることを以って収納物Qを収納スペースSに対して手軽に収納及び取り出し可能な収納装置Aを実現することができ、ひいては、ユーザの使い勝手の向上に寄与することができる。
【0039】
さらには、このような支持軸部4を用いることにより、開閉板11を第1回転軸線α周り及び第2回転軸線β周りのいずれでも回転可能に支持することができる。すなわち、開閉板11を第1回転軸線α周りと第2回転軸線β周りとで交互に回転させることが可能となる。例えば、後に詳述する連動機構2等を用いて、第1支持軸部40a,40bにおける内シリンダ部43及び第2支持軸部41a,41bにおける内シリンダ部43に交互に外力を加えることにより、第1支持軸部40a,40b及び第2支持軸部41a,41bを開閉板11に交互に接触させ、ひいては、開閉板11を第1回転軸線α周りと第2回転軸線β周りとで交互に回転させることができる。
【0040】
図4A図4Cは、開閉板11の回転手順を模式的に示す平面図である。なお、図4A図4Cにおいて、図示の都合上、収納スペースSの図示を省略している。
【0041】
図4A図4Cに示すように、開閉板11を第1回転軸線α周りと第2回転軸線β周りとで交互に回転させることにより、収納物Qを収納スペースSに収納するときの収納物Qの向きに対して、再び収納スペースSから取り出すときの収納物Qの向きを変えることができる。これにより、例えば、収納物Qが履物である場合、図4Aに示すように、ユーザが屋外から屋内に入る際に開閉板11上で履物をユーザの進行方向(-X方向)のままに脱いだとしても、図4A及び図4Bに示すように開閉板11を回転させることにより、図4Cに示すように、履物を、ユーザが次に屋内から屋外に出る際にユーザの進行方向(+X方向)のままに履くことが可能な向きとすることができる。
【0042】
本実施形態において、第1支持軸部40a,40bにおける接触部42は、第1回転軸線α周りに回転可能に設けられており、第2支持軸部41a,41bにおける接触部42は、第2回転軸線β周りに回転可能に設けられている。第1支持軸部40aにおける接触部42の基端部は、ロッド部材64によって、回転部材65に連結されている。回転部材65は、ねじ歯車対等からなり、外力を受けて回転する。ロッド部材64が回転部材65から力を受けて回転すると、第1支持軸部40aにおける接触部42が第1回転軸線α周りに回転する。第1支持軸部40bにおける接触部42は、第1回転軸線α周りに回転可能な状態で接続部材66によって図示しない構造体に固定されている。
【0043】
同様に、第2支持軸部41aにおける接触部42の基端部は、ロッド部材67によって、回転部材68に連結されている。ロッド部材67が回転部材68から力を受けて回転すると、第2支持軸部41aにおける接触部42が第2回転軸線β周りに回転する。第2支持軸部41bにおける接触部42は、第2回転軸線β周りに回転可能な状態で接続部材69によって図示しない構造体に固定されている。
【0044】
ロッド部材64,67は、例えば、ステンレス等の金属材から形成されている。
【0045】
第1支持軸部40a,40bが第1回転軸線αの軸方向に互いに対向して開閉板11に接触し、かつ、第2支持軸部41a,41bが開閉板11から離間した状態において、第1支持軸部40aにおける接触部42を第1回転軸線α周りに回転させることにより、開閉板11を第1回転軸線α周りに確実に回転させることができる。同様に、第2支持軸部41a,41bが第2回転軸線βの軸方向に互いに対向して開閉板11に接触し、かつ、第1支持軸部40a,40bが開閉板11から離間した状態のとき、第2支持軸部41aにおける接触部42を第2回転軸線β周りに回転させることにより、開閉板11を第2回転軸線β周りに確実に回転させることができる。
【0046】
なお、開閉板11の形状は上記に限られず、例えば、全体として、平面視で正円板状又は正多角形板状に形成されていてもよい。
【0047】
また、開閉板11の外周側面には、収納スペースS内への水の侵入を阻止するパッキン等が設けられていてもよい。
【0048】
また、保持部材19は、開閉板11の両面側に設けられていてもよい。これにより、収納物Qが開閉板11の両面のうちいずれの面上に載置された場合であっても、開閉板11により収納物Qが収納スペースS内に落下する事態が防止される。
【0049】
また、保持部材19は、例えば、収納物Qに吸着可能な吸盤等を用いて形成されていてもよい。
【0050】
-連動機構-
図5は、本実施形態における連動機構2を屋外側から視た概略斜視図である。図6は、係合部93及びその周辺の構造を示す概略斜視図である。図7は、障子90の下框及び下枠92の構造を示す部分概略断面図である。
【0051】
連動機構2は、障子90の開閉に連動して開閉板11を回転可能なものであり、障子90の開閉に連動する連動状態と、障子90の開閉に連動しない非連動状態と、に切り替え可能に構成されている。
【0052】
障子90には、連動機構2と係合可能な係合部93が設けられている(図6参照)。本明細書において、「係合」とは、互いに機械的に係り合うことを指し、例えば、一方が他方を挟持する場合、互いに嵌合する場合、互いに結合する場合等を含むものとする。本実施形態において、係合部93は、連動機構2から挟持されることにより連動機構2と係合する。
【0053】
係合部93は、例えば、撓み変形に対して高い剛性を有する金属製(ステンレス等)のワイヤ、ワイヤロープから形成されており、連動機構2が挟持可能な程度の外径を有している。係合部93は、引き戸9の下枠92から縦枠91へ這っている。係合部93の始端部は、障子90の下框に接続部材94によって接続されている(図6図7参照)。本明細書において、「接続」とは、一方の部材の動きに伴い他方の部材の動きが生じ得るように互いに機械的に繋がることを指す。係合部93の終端部は、引き戸9の縦枠91に緩挿されている(図6参照)。従って、障子90が開閉方向Dに摺動されると、係合部93が連動機構2に対して開閉方向Dに摺動する。
【0054】
連動機構2は、作動部20と、軸接離部21と、軸回転部22と、を有している(図5参照)。以下、連動機構2の各部の構成について説明する。
【0055】
<作動部>
図8は、作動部20が係合部93と係合していない状態を示す概略側面図である。図9は、作動部20が係合部93と係合した状態を示す概略側面図である。
【0056】
作動部20は、障子90における係合部93と係合可能に構成され係合部93と係合した状態で障子90の開閉動作によって作動されるものであり、一対の歯車20a,20bと、歯車20a,20bのうち歯車20bの軸部20dに連結された歯車20eと、を含む構成とされている(図5参照)。歯車20bの軸部20dは、軸接離部21を押圧可能に設けられている。歯車20eは、軸回転部22と噛合可能なはすば歯車である。
【0057】
歯車20a,20bは、ケーシング200によって、係合部93を挟持可能かつ開閉方向Dに往復移動可能に支持されている。ケーシング200は、歯車20aを支持する第1支持部201と、歯車20bを支持する第2支持部202と、第1支持部201及び第2支持部202を互いに接離可能に連結する連結部203と、から構成されている。
【0058】
第1支持部201は、図示しない構造体に固定されている。連結部203は、第2支持部202を第1支持部201から離す方向に付勢する付勢力を有している。換言すると、第2支持部202は、連結部203によって第1支持部201から離れる方向に付勢されている。連結部203は、例えば、伸縮可能な蛇腹状に形成されている。
【0059】
第1支持部201及び第2支持部202の上部には、それぞれ、歯車20a,20bの軸部20c,20dを開閉方向Dにガイドする長穴状のガイド穴204,205が形成されている。
【0060】
ケーシング200の内部には、接続部材71が通されている(図5図8図9参照)。接続部材71の始端部は、第2支持部202の内部に固定されており、接続部材71の終端部は、連結部203及び第1支持部201を経由して操作部3に接続されている(図6参照)。従って、接続部材71が操作部3側から引っ張られると、連結部203が第1支持部201に対する第2支持部202の接近を許容して、第2支持部202に支持された歯車20bが第1支持部201に支持された歯車20aと協働して障子90における係合部93を挟持する(図9参照)。こうして、作動部20は、障子90における係合部93と係合した状態となる。
【0061】
作動部20が障子90における係合部93と係合した状態で、係合部93が開閉方向Dに摺動すると、作動部20の歯車20a,20bが係合部93に連動して回転しながら開閉方向Dに移動する。歯車20bの回転に伴い、歯車20eも回転する。歯車20a,20bが開閉方向Dに移動すると、歯車20bの軸部20dに連結された歯車20eも開閉方向Dに移動する。こうして、作動部20は、障子90における係合部93と係合した状態で障子90の開閉動作によって作動される。換言すると、作動部20が障子90における係合部93と係合した状態で、連動機構2は、障子90の開閉に連動する連動状態となる。
【0062】
また、操作部3側からの接続部材71の引っ張りが解除されると、連結部203の付勢力によって第2支持部202が第1支持部201から離れ、第2支持部202に支持された歯車20bが第1支持部201に支持された歯車20aから離れることにより、障子90における係合部93と作動部20との係合が解除される(図8参照)。換言すると、障子90における係合部93と作動部20との係合が解除された状態で、連動機構2は、障子90の開閉に連動しない非連動状態となる。
【0063】
<軸接離部>
図10は、軸接離部21及び軸回転部22を示す概略正面図である。
【0064】
軸接離部21は、作動部20から力を受けて支持軸部4の第1支持軸部40a,40b及び第2支持軸部41a,41bを選択的に開閉板11に接離させるものであり、作動部20の歯車20bの軸部20dから押圧力を受ける一対の被押圧板23,24から構成されている(図5図10参照)。被押圧板23は、歯車20bの軸部20dに対して-D方向側に配されており、被押圧板24は、歯車20bの軸部20dに対して+D方向側に配されている。被押圧板23,24は、図示しない支持体によって、開閉方向Dに往復移動可能に支持されている。
【0065】
被押圧板23には、接続部材60の始端部が接続されている(図10参照)。接続部材60の終端部は、第1支持軸部40aにおける内シリンダ部43の突起49の外側面491に接続されている(図3A参照)。
【0066】
被押圧板23は、歯車20bの軸部20dからの押圧力によって、-D方向へ移動する。被押圧板23は、-D方向への移動に伴い、接続部材60を-D方向に引っ張る。接続部材60の引っ張りによって、第1支持軸部40a,40bのそれぞれにおいて、内シリンダ部43が突起49で開閉板11から離れる方向に外力を受けて、接触部42が開閉板11から離れる方向にスライド移動する。従って、軸接離部21は、歯車20bの軸部20dから被押圧板23で押圧力を受けると、第1支持軸部40a,40bを開閉板11から離間させる。
【0067】
同様に、被押圧板24には、接続部材62の始端部が接続されている(図10参照)。接続部材62の終端部は、第2支持軸部41aにおける内シリンダ部43の突起49に接続されている(図3B参照)。
【0068】
被押圧板24は、歯車20bの軸部20dからの押圧力によって、+D方向へ移動する。被押圧板24は、+D方向への移動に伴い、接続部材62を+D方向に引っ張る。接続部材62の引っ張りによって、第2支持軸部41a,41bのそれぞれにおいて、内シリンダ部43が突起49で開閉板11から離れる方向に外力を受けて、接触部42が開閉板11から離れる方向にスライド移動する。従って、軸接離部21は、歯車20bの軸部20dから被押圧板24で押圧力を受けると、第2支持軸部41a,41bを開閉板11から離間させる。
【0069】
上記説明したように、第1支持軸部40a,40b及び第2支持軸部41a,41bのそれぞれにおける接触部42が、外力が加わっていない状態で開閉板11に接触することから、軸接離部21が歯車20bの軸部20dから押圧力を受けていない状態で、第1支持軸部40a,40b及び第2支持軸部41a,41bは、開閉板11に接触した状態となっている。
【0070】
こうして、軸接離部21は、被押圧板23,24で作動部20から力を受けて、第1支持軸部40a,40b及び第2支持軸部41a,41bを選択的に開閉板11に接離させる。このような軸接離部21によって、支持軸部4が、第1支持軸部40a,40bが接触して第2支持軸部41a,41bが開閉板11から離間した状態と、第2支持軸部41a,41bが接触して第1支持軸部40a,40bが開閉板11から離間した状態と、で切り替わることから、開閉板11を、第1回転軸線α周りに回転可能な状態と第2回転軸線β周りに回転可能な状態とで切り替えることができる。
【0071】
接続部材60,62は、例えば、金属製(ステンレス等)のワイヤ、ワイヤロープから形成されている。
【0072】
<軸回転部>
軸回転部22は、作動部20から力を受けて第1支持軸部40a,40bのうち第1支持軸部40aにおける接触部42と第2支持軸部41a,41bのうち第2支持軸部41aにおける接触部42とを開閉板11に対して選択的に回転させるものであり、作動部20の歯車20eと噛合可能な一対のねじ歯車25,26から構成されている(図5図10参照)。ねじ歯車25は、歯車20eに対して+D方向側に配されており、ねじ歯車26は、歯車20eに対して-D方向側に配されている。ねじ歯車25,26は、図示しない支持体によって、歯車20bの軸部20dの軸方向に交差する回転軸周りに回転可能に軸支されている。
【0073】
ねじ歯車25は、回転部材65に図示しない連結部材を介して連結されている。上記説明したように、回転部材65は、ロッド部材64によって第1支持軸部40aにおける接触部42に連結されている(図3A参照)。
【0074】
ねじ歯車25は、歯車20eから噛合された状態で歯車20eの回転に従動して回転する。ねじ歯車25は、回転に伴い、ロッド部材64を回転させる。上記説明したように、ロッド部材64が回転すると、第1支持軸部40aにおける接触部42が第1回転軸線α周りに回転する。従って、軸回転部22は、ねじ歯車25で、第1支持軸部40aにおける接触部42を開閉板11に対して第1回転軸線α周りに回転させる。
【0075】
同様に、ねじ歯車26は、回転部材68に図示しない連結部材を介して連結されている。上記説明したように、回転部材68は、ロッド部材67によって第2支持軸部41aにおける接触部42に連結されている(図3B参照)。
【0076】
ねじ歯車26は、歯車20eから噛合された状態で歯車20eの回転に従動して回転する。ねじ歯車26は、回転に伴い、ロッド部材67を回転させる。上記説明したように、ロッド部材67が回転すると、第2支持軸部41aにおける接触部42が第2回転軸線β周りに回転する。従って、軸回転部22は、ねじ歯車26で、第2支持軸部41aにおける接触部42を開閉板11に対して第2回転軸線β周りに回転させる。
【0077】
こうして、軸回転部22は、ねじ歯車25,26で作動部20から力を受けて、第1支持軸部40aにおける接触部42と第2支持軸部41aにおける接触部42とを開閉板11に対して選択的に回転させる。このような軸回転部22によって、開閉板11を第1回転軸線α周りと第2回転軸線β周りとで、それぞれ確実に回転させることができる。
【0078】
なお、軸回転部22は、作動部20から力を受けて第1支持軸部40a,40bのそれぞれにおける接触部42と第2支持軸部41a,41bのそれぞれにおける接触部42とを開閉板11に対して選択的に回転させるように構成されていてもよい。
【0079】
<連動機構の小括>
上記説明した連動機構2の各構成の挙動をまとめると、次の通りである。まず、操作部3側からの接続部材71の引っ張りによって、作動部20が障子90における係合部93と係合した状態となる。すなわち、連動機構2が障子90の開閉に連動する連動状態となる。
【0080】
次に、作動部20が障子90における係合部93と係合した状態で障子90が+D方向に開かれると、作動部20の歯車20a,20bが障子90の開動作に伴い+D方向へ移動する。軸接離部21が、歯車20bの軸部20dから被押圧板24で押圧力を受けて、第2支持軸部41a,41bを開閉板11から離間させる。また、軸回転部22が、歯車20eからねじ歯車25で噛合されて、歯車20eの回転に伴い第1支持軸部40aにおける接触部42を開閉板11に対して回転させる。こうして、連動機構2は、障子90が開くのに連動して、開閉板11を第1回転軸線α周りに回転させる。
【0081】
一方で、作動部20が障子90における係合部93と係合した状態で障子90が-D方向に閉められると、作動部20の歯車20a,20bが障子90の閉動作に伴い-D方向へ移動する。軸接離部21が、歯車20bの軸部20dから被押圧板23で押圧力を受けて、第1支持軸部40a,40bを開閉板11から離間させる。また、軸回転部22が、歯車20eからねじ歯車26で噛合されて、歯車20eの回転に伴い第2支持軸部41aにおける接触部42を開閉板11に対して回転させる。こうして、連動機構2は、障子90が閉まるのに連動して、開閉板11を第2回転軸線β周りに回転させる。
【0082】
このような連動機構2を用いることにより、障子90の開閉に伴う摺動を利用して、開閉板11を第1回転軸線α周りと第2回転軸線β周りとで交互に回転させることができる。
【0083】
なお、連動機構2の構造は上記に限られず、要は、障子90が開閉する方向にかかわらず、障子90の開閉に伴う摺動(直線運動)を利用して開閉板11を回転することができる構造であればよく、例えばリンク機構を用いた構造であってもよいし、上記の連動機構2における歯車構造にカム構造を組み合わせた構造であってもよい。
【0084】
-操作部-
図11は、本実施形態における操作部3の全体を示す概略図である。
【0085】
操作部3は、ユーザからの操作を受けるものであり、ユーザからの操作を受けると、連動機構2を、障子90の開閉に連動する連動状態にするものである。操作部3は、押釦部30と、ロック部31と、を有している(図11参照)。
【0086】
押釦部30は、ユーザが押し操作可能に構成されており、屋内側において引き戸9の縦枠91に設けられている(図11参照)。押釦部30の裏面側には、接続部材70,71が引っ掛けられる接続部材引掛部300が上方に曲がるように突設されている。接続部材引掛部300は、例えば、先端部にテレスコピック構造等を用いて、ユーザからの押釦部30での押し操作に応じて、接続部材70,71を引っ張るように構成されている。
【0087】
ロック部31は、連動機構2を障子90の開閉に連動する連動状態に維持するものであり、接続部材71上に固定された凸部32と、凸部32に干渉可能に設けられた干渉部33と、から構成されている。凸部32は、連動機構2が障子90の開閉に連動しない非連動状態であるときに、干渉部33に対して連動機構2側に位置している。干渉部33は、付勢部材34によって接続部材71側へ付勢されており、付勢部材34が縮むと、接続部材71から退避する。
【0088】
ところで、上記説明したように、連動機構2の作動部20における第2支持部202が連結部203によって第1支持部201から離れる方向に付勢されていることから、第2支持部202に固定された接続部材71は、ケーシング200側から引っ張られている。ここで、接続部材71が操作部3側から引っ張られると、干渉部33が接続部材71上の凸部32から力を受けて、接続部材71から一時的に退避する。接続部材71からの干渉部33の退避によって、凸部32が干渉部33を乗り越えて操作部3側へ移動する。干渉部33が付勢部材34によって凸部32に干渉することにより、凸部32が操作部3側へ移動した状態に維持されるとともに、接続部材71が操作部3側から引っ張られた状態に維持されることから、作動部20が障子90における係合部93と係合した状態に維持される。こうして、ロック部31は、連動機構2を障子90の開閉に連動する連動状態に維持する。
【0089】
ロック部31の干渉部33は、接続部材72によってガイド部規制部材50に接続されている。従って、接続部材72がガイド部規制部材50側から引っ張られると、干渉部33が接続部材71から退避して、凸部32に対する干渉部33の干渉が解除されることから、接続部材71がケーシング200側へ戻る。上記説明したように、操作部3側からの接続部材71の引っ張りの解除によって、障子90における係合部93と作動部20との係合が解除される。こうして、連動機構2が、障子90の開閉に連動しない非連動状態に戻る。
【0090】
上記説明した操作部3の各構成の挙動をまとめると、次の通りである。まず、押釦部30がユーザからの操作を受けると、接続部材引掛部300の先端部が上方に伸びて接続部材70及び接続部材71を引っ張る。操作部3側からの接続部材71の引っ張りによって、連動機構2が障子90の開閉に連動する連動状態となる。このとき、操作部3側からの接続部材71の引っ張りに伴い、ロック部31の凸部32が操作部3側へ移動することにより、連動機構2が障子90の開閉に連動する連動状態に維持される。こうして、操作部3は、ユーザからの操作を受けると、連動機構2を障子90の開閉に連動する連動状態にする。
【0091】
上記説明した操作部3によって、ユーザの望みに応じて、連動機構2を障子90の開閉に連動する連動状態にすることができる。例えば、ユーザが換気等を目的として単に障子90を開けたい場合には、ユーザは、操作部3を操作せずに障子90を開けることにより、連動機構2が不必要に障子90の開閉に連動して開閉板11を回転する事態を回避することができる。
【0092】
接続部材70~72は、例えば、金属製(ステンレス等)のワイヤ、ワイヤロープから形成されている。
【0093】
-収納装置の使用例-
図12は、ユーザが屋内から屋外に出る場合における収納装置Aの各部の挙動を示す概略図である。図13は、図12の連動機構2の挙動を示す概略図である。図14は、図12の開閉板11に対する支持軸部4の挙動を示す概略図である。図15は、図12の開閉板11が回転する過程を示す概略図である。図16は、図12の開閉板11の回転が完了するときの収納装置Aの一部の挙動を示す概略図である。
【0094】
図17は、ユーザが屋外から屋内に入る場合における収納装置Aの各部の挙動を示す概略図である。図18は、図17の連動機構2の挙動を示す概略図である。図19は、図17の開閉板11に対する支持軸部4の挙動を示す概略図である。図20は、図17の開閉板11が回転する過程を示す概略図である。図21は、図17の開閉板11の回転が完了するときの収納装置Aの一部の挙動を示す概略図である。
【0095】
なお、図13及び図18において、図示の都合上、歯車20aの図示を省略している。また、図15及び図20において、図示の都合上、収納スペースSの図示を省略している。
【0096】
続いて、図12図21を用いて、上記説明した収納装置Aの具体的な使用例とともに、収納装置Aの各部による一連の動作について説明する。以下の使用例において、収納物Qを、スリッパ等の履物とする。
【0097】
<屋内から屋外に出る場合>
ユーザが屋内にいるときに、収納物Qは、収納スペースSに収納された状態となっている。ユーザは、屋内から屋外に出ようとするとき、まず、操作部3の押釦部30を押す。ユーザによる押釦部30での押し操作によって、図12の矢印(1)に示すように、接続部材70及び接続部材71が操作部3側から引っ張られる。このとき、操作部3側からの接続部材71の引っ張りによって、図12の矢印(2)に示すように、歯車20a,20bが障子90における係合部93を挟持して、作動部20が障子90における係合部93と係合した状態となる。すなわち、連動機構2が障子90の開閉に連動する連動状態となる。
【0098】
また、操作部3側からの接続部材71の引っ張りによって、図12の矢印(3)に示すように、ロック部31の凸部32が干渉部33を乗り越えて操作部3側へ移動して、連動機構2が障子90の開閉に連動する連動状態に維持される。
【0099】
次に、ユーザが障子90を+D方向に開くと、図13の矢印(4)に示すように、係合部93が+D方向に摺動する。図13の矢印(5)に示すように、作動部20の歯車20a,20bが係合部93に連動して+D方向へ移動する。図13の矢印(6)に示すように、軸接離部21が、歯車20bの軸部20dから被押圧板24で押圧力を受ける。このとき、図14の矢印(7)に示すように、軸接離部21が、接続部材62を介して第2支持軸部41aにおける内シリンダ部43を開閉板11から離れる方向にスライド移動させるとともに、図14の矢印(8)に示すように、接続部材63を介して第2支持軸部41bにおける内シリンダ部43を開閉板11から離れる方向にスライド移動させる。これにより、第2支持軸部41a,41bのそれぞれにおける接触部42が開閉板11から離間する。
【0100】
また、このとき、図13に示すように、軸回転部22が、歯車20eからねじ歯車25で噛合される。図13の矢印(9)に示すように、軸回転部22が、歯車20eの回転に従動して、図14の矢印(10)に示すように、第1支持軸部40aにおける接触部42を開閉板11に対して第1回転軸線α周りに回転させる。
【0101】
ところで、操作部3側からの接続部材70の引っ張りによって、図12の矢印(11)に示すように、ガイド部規制部材50がガイド部5の回転の規制を解除可能な状態となる。図12の矢印(12)に示すように、ガイド部5が開閉板11の回転に伴い回転して開閉板11から退避する。
【0102】
こうして、図12の矢印(13)に示すように、開閉板11が回転する。このとき、開閉板11は、第1回転軸線α周りに回転する。図15に示すように、開閉板11の回転に伴い、収納スペースS側において開閉板11の載置面11aで保持された収納物Qが露出する。
【0103】
さらに、図15の矢印(14)に示すように、開閉板11が、半回転してガイド部5に干渉する。図15の矢印(15)に示すように、ガイド部5が、開閉板11の下面と平行になるように回転して、ガイド部規制部材50に干渉する。ガイド部5による干渉と、ガイド部規制部材50に付勢する図示しない付勢部材の付勢力とによって、ガイド部規制部材50が、ガイド部5の回転を規制した状態に戻ろうとして、図15の矢印(16)に示すように、ガイド部5側に揺動する。図16の矢印(17)に示すように、ガイド部規制部材50の揺動によって、規制リブ51の基端部に接続された接続部材72がガイド部規制部材50側から引っ張られる。図16の矢印(18)に示すように、ガイド部規制部材50側からの接続部材72の引っ張りによって、凸部32に対する干渉部33の干渉が解除される。図16の矢印(19)に示すように、接続部材71がケーシング200側へ戻り、障子90における係合部93と作動部20との係合が解除される。すなわち、連動機構2が障子90の開閉に連動しない非連動状態に戻る。
【0104】
ユーザは、障子90を開けた後に、開閉板11上に露出した収納物Qである履物を履くことができる。
【0105】
このようにして、障子90を開ける動作によって、収納物Qを収納スペースSから手軽に取り出すことができる。
【0106】
上記の収納装置Aの各部による一連の動作は、極めて短い時間、例えば数秒程度で完了する。
【0107】
<屋外から屋内に入る場合>
ユーザは、屋外から屋内に入ろうとするとき、まず、開閉板11の載置面11a上で収納物Qである履物をユーザの進行方向(-X方向)のままに脱ぐ。ユーザは、障子90を開けて屋内に入る。
【0108】
続いて、ユーザは、操作部3の押釦部30を押す。ユーザによる押釦部30での押し操作によって、図17の矢印(1)に示すように、接続部材70及び接続部材71が操作部3側から引っ張られる。このとき、操作部3側からの接続部材71の引っ張りによって、図17の矢印(2)に示すように、歯車20a,20bが障子90における係合部93を挟持して、作動部20が障子90における係合部93と係合した状態となる。すなわち、連動機構2が障子90の開閉に連動する連動状態となる。
【0109】
また、操作部3側からの接続部材71の引っ張りによって、図17の矢印(3)に示すように、ロック部31の凸部32が干渉部33を乗り越えて操作部3側へ移動して、連動機構2が障子90の開閉に連動する連動状態に維持される。
【0110】
次に、ユーザが障子90を-D方向に閉めると、図18の矢印(4)に示すように、係合部93が-D方向に摺動する。図18の矢印(5)に示すように、作動部20の歯車20a,20bが係合部93に連動して-D方向へ移動する。図18の矢印(6)に示すように、軸接離部21が、歯車20bの軸部20dから被押圧板23で押圧力を受ける。このとき、図19の矢印(7)に示すように、軸接離部21が、接続部材60を介して第1支持軸部40aにおける内シリンダ部43を開閉板11から離れる方向にスライド移動させるとともに、図19の矢印(8)に示すように、接続部材63を介して第1支持軸部40bにおける内シリンダ部43を開閉板11から離れる方向にスライド移動させる。これにより、第1支持軸部40a,40bのそれぞれにおける接触部42が開閉板11から離間する。
【0111】
また、このとき、図18に示すように、軸回転部22が、歯車20eからねじ歯車26で噛合される。図18の矢印(9)に示すように、軸回転部22が、歯車20eの回転に従動して、図19の矢印(10)に示すように、第2支持軸部41aにおける接触部42を開閉板11に対して第2回転軸線β周りに回転させる。
【0112】
上記説明した、ユーザが屋内から屋外に出る場合と同様に、操作部3側からの接続部材70の引っ張りによって、図17の矢印(11)に示すように、ガイド部規制部材50がガイド部5の回転の規制を解除可能な状態となる。図17の矢印(12)に示すように、ガイド部5が開閉板11の回転に伴い回転して開閉板11から退避する。
【0113】
こうして、図17の矢印(13)に示すように、開閉板11が回転する。このとき、開閉板11は、第2回転軸線β周りに回転する。図20に示すように、開閉板11の回転に伴い、開閉板11の載置面11a上に載置された収納物Qが収納スペースSに収納される。
【0114】
さらに、図20の矢印(14)に示すように、開閉板11が、半回転してガイド部5に干渉する。図20の矢印(15)に示すように、ガイド部5が、開閉板11の下面と平行になるように回転して、ガイド部規制部材50に干渉する。ガイド部5による干渉と、ガイド部規制部材50に付勢する図示しない付勢部材の付勢力とによって、ガイド部規制部材50が、ガイド部5の回転を規制した状態に戻ろうとして、図20の矢印(16)に示すように、ガイド部5側に揺動する。図21の矢印(17)に示すように、ガイド部規制部材50の揺動によって、規制リブ51の基端部に接続された接続部材72がガイド部規制部材50側から引っ張られる。図21の矢印(18)に示すように、ガイド部規制部材50側からの接続部材72の引っ張りによって、凸部32に対する干渉部33の干渉が解除される。図21の矢印(19)に示すように、接続部材71がケーシング200側へ戻り、障子90における係合部93と作動部20との係合が解除される。すなわち、連動機構2が障子90の開閉に連動しない非連動状態に戻る。
【0115】
このようにして、障子90を閉める動作によって、収納物Qを収納スペースSに手軽に収納することができる。
【0116】
上記説明した、ユーザが屋内から屋外に出る場合と同様に、上記の収納装置Aの各部による一連の動作は、極めて短い時間、例えば数秒程度で完了する。
【0117】
<再び屋内から屋外に出る場合>
ユーザは、屋外から屋内に入った後に再び屋内から屋外に出ようとするとき、上記説明した手順で収納物Qを収納スペースSから取り出す。このとき、第2回転軸線β周りに回転した開閉板11によって収納された収納物Qが、第1回転軸線α周りに回転する開閉板11によって再び露出する。すなわち、開閉板11は、図4A図4Cに示すように、第1回転軸線α周りと第2回転軸線β周りとで交互に回転される。これにより、ユーザが屋外から屋内に入るときに開閉板11上でユーザの進行方向(-X方向)のままに脱いだ履物が、ユーザが再び屋内から屋外に出るときにユーザの進行方向(+X方向)のままに履くことが可能な向きとなる。
【0118】
上記説明した収納装置Aによって、ユーザが収納物Qを収納スペースSから手軽に取り出すことができ、ひいては、ユーザの使い勝手の向上に寄与することができる。
【0119】
また、上記説明したように、電気的な回路を用いずに、機械的構成のみで収納装置Aを実現することができる。
【0120】
上記の実施形態及び実施例はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態及び実施例のみにより解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0121】
A 収納装置
10 収納部
11 開閉板
19 保持部材
2 連動機構
20 作動部
20a,20b,20e 歯車
20c,20d 軸部
21 軸接離部
23,24 被押圧板
22 軸回転部
25,26 ねじ歯車
3 操作部
30 押釦部
31 ロック部
4 支持軸部
40a,40b 第1支持軸部
41a,41b 第2支持軸部
42 接触部
43 内シリンダ部
44 外シリンダ部
5 ガイド部
50 ガイド部規制部材
51 規制リブ
9 引き戸
90 障子
91 縦枠
92 下枠
93 係合部
D 開閉方向
P 基準面
Q 収納物
S 収納スペース
α 第1回転軸線
β 第2回転軸線
γ 仮想面
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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