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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】複合成形部品
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20250109BHJP
   G01P 1/02 20060101ALI20250109BHJP
   B29C 33/42 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B29C45/14
G01P1/02
B29C33/42
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022011926
(22)【出願日】2022-01-28
(65)【公開番号】P2023110456
(43)【公開日】2023-08-09
【審査請求日】2024-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】寺坂 元寿
(72)【発明者】
【氏名】小林 利成
(72)【発明者】
【氏名】山尾 萌
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 浩行
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-054298(JP,A)
【文献】特開2003-217709(JP,A)
【文献】特開2021-085740(JP,A)
【文献】特開2015-227026(JP,A)
【文献】特表2011-529420(JP,A)
【文献】国際公開第2003/098226(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/14
B29C 33/42
G01P 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品本体と、前記電子部品本体から延設されるリード線と、を有する内部部品と、
前記内部部品を覆う一次成形部と、
前記一次成形部を覆う二次成形部と、を備え、
前記リード線の少なくとも一部が、他部品と半田付けをされる半田付け部であり、
前記一次成形部は、前記半田付け部と対向する部分のうち少なくとも一部に前記リード線との間で隙間を形成する凹部を有し、
前記一次成形部は、前記リード線のうち前記一次成形部から露出する部分を載置する載置部を有し、
前記凹部は、前記載置部に形成され、
前記載置部は、前記凹部の内側に位置する部分と、前記部分よりも前記リード線の先端側に位置する先端側載置部と、を有し、
前記凹部の内側に位置する前記部分は、前記先端側載置部の載置面よりも細幅の載置面を有する、複合成形部品。
【請求項2】
請求項1に記載の複合成形部品であって、
前記リード線は一対のリード線を含み、
前記凹部は、前記二次成形部の長手方向と垂直な幅方向における外端に位置する、複合成形部品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の複合成形部品であって、
前記凹部は、前記半田付け部の中間部に対応する位置に形成される、複合成形部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合成形部品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、車輪の回転速度を計測する車輪速センサが搭載される。このような車輪速度センサとして、特許文献1に記載のような装置が知られている。特許文献1に記載の車輪速度センサは、検出素子部を含む検出ユニットと、検出ユニットを保持する部分であるホルダ部と、検出ユニットを覆うカバーとしての樹脂モールド部とを備える。樹脂モールド部の一端側には検出素子部が埋め込まれ、樹脂モールド部の他端側からはワイヤハーネスが延出している。
【0003】
射出成形等によって検出ユニットとホルダ部とが一体化された成形体が構成され、この成形体における検出ユニットの端子部に対してワイヤハーネスの出力電線部が半田付けされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-096828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここにおいて、半田付けのための熱がホルダ部に影響を与えることがある。
【0006】
そこで、半田付けの熱の影響が低減される複合成形部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の複合成形部品は、電子部品本体と、前記電子部品本体から延設されるリード線と、を有する内部部品と、前記内部部品を覆う一次成形部と、前記一次成形部を覆う二次成形部と、を備え、前記リード線の少なくとも一部が、他部品と半田付けをされる半田付け部であり、前記一次成形部は、前記半田付け部と対向する部分のうち少なくとも一部に前記リード線との間で隙間を形成する凹部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、半田付け工具の熱の影響が低減される複合成形部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、複合成形部品を示す斜視図である。
図2図2は、複合成形部品を示す斜視図である。
図3図3は、複合成形部品を示す側面図である。
図4図4は、複合成形部品を示す平面図である。
図5図5は、図4のV-V線断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示の複合成形部品は、次の通りである。
【0012】
(1)電子部品本体と、前記電子部品本体から延設されるリード線と、を有する内部部品と、前記内部部品を覆う一次成形部と、前記一次成形部を覆う二次成形部と、を備え、前記リード線の少なくとも一部が、他部品と半田付けをされる半田付け部であり、前記一次成形部は、前記半田付け部と対向する部分のうち少なくとも一部に前記リード線との間で隙間を形成する凹部を有する複合成形部品である。
【0013】
本開示によると、リード線との間で隙間を形成する凹部で、半田付け熱の影響を避けることができる。これにより、半田付けの熱の影響が低減される。
【0014】
(2)前記リード線は一対のリード線を含み、前記凹部は、前記二次成形部の長手方向と垂直な幅方向における外端に位置する。本開示によると、凹部が一次成形部の幅方向の外端に位置するので、凹部の形成が容易である。また、一次成形部の幅方向の外端は、半田付けに適した位置に対向する位置である。つまり、特に半田付けの熱が加わり易い位置に凹部が設けられる。したがって、このような凹部の配置により、半田付けの熱の加わりやすい部分での樹脂の溶融が回避される。
【0015】
(3)前記凹部は、前記半田付け部の中間部に対応する位置に形成される。本開示によると、半田付けの熱が付与され易い位置に凹部が位置するので、一次成形部の樹脂の溶融が回避される。
【0016】
(4)前記一次成形部は、前記リード線の先端部を載置する先端側載置部を有する。本開示によると、リード線が安定した状態で支持される。このため、リード線が半田付けされやすい。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の複合成形部品の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内におけるすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。
【0019】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる複合成形部品10について説明する。図1は、複合成形部品10を示す斜視図である。図2は、複合成形部品10を図1とは異なる方向から示す斜視図である。図3は、複合成形部品10を示す側面図である。なお、いずれの図においても、二次成形部40を仮想線で示している。
【0020】
<複合成形部品10について>
複合成形部品10は、内部部品20と、一次成形部30と、二次成形部40と、を備える。複合成形部品10は、例えば、車両のタイヤの回転速度の計測に用いられる。
【0021】
<内部部品20について>
内部部品20は、電子部品本体としての素子本体部21とリード線22とを有する。本実施形態においては、内部部品20は、間隔をあけて並列された2本のリード線22を有する。リード線22は長方形板状に形成されている。リード線22の先端部は、一次成形部30から露出している。リード線22のうち一次成形部30から露出した先端部の一部は半田付け部22aである。半田付け部22aは、導線端部3と半田付けをされる部分である。半田付け部22aに、被覆電線1の先端部である導線端部3が、半田4により固定される。導線端部3は、導線に被覆された絶縁被覆部2が皮剥ぎされて導線が露出した部分である。リード線22と導線端部3とが固定された後、内部部品20および一次成形部30は二次成形部40によりモールドされる。本実施形態では、素子本体部21は、扁平な直方体状に形成されている。素子本体部21の外周の一辺側部分から複数(ここでは2つ)のリード線22が延出している。リード線22の基端部は素子本体部21から厚み方向一方側に延出している。リード線22は、素子本体部21の主面に対して斜め姿勢で延びている。リード線22は、素子本体部21の主面に対して直交もしくは平行でもよい。
【0022】
素子本体部21は、例えば、磁気の物理量、または、それらの変化量を検出する。素子本体部21により検出された値は、制御部(図示省略)に伝達され、例えば、車輪の回転速度の計測に用いられる。素子本体部21は、例えば方形状に形成される。なお、以下の説明において、二次成形部40の長手方向とは、内部部品20が一次成形部30及び二次成形部40によって覆われている状態を想定し、直方体状をなす二次成形部40の各辺と平行な3つの方向において最も長い方向である。つまり、素子本体部21は、一次成形部30によって保持されており、素子本体部21及び一次成形部30が二次成形部40によって覆われている。素子本体部21は、二次成形部40内の長手方向一端寄りの部分内に埋っており、リード線22が二次成形部40の長手方向他端に向けて延びている。つまり、二次成形部40は、一端部内に素子本体部21を収容し、他端部内にリード線22を収容するため、一方向に長い形状に形成されている。二次成形部40の長手方向とは、素子本体部21を収容する部分とリード線22を収容する部分とを繋ぐ方向であると考えてもよい。図において、二次成形部40の長手方向を矢印Aで示している。
【0023】
<一次成形部30>
図4は、複合成形部品10を示す平面図である。また、図5は、図4のV-V線断面図である。一次成形部30は、内部部品20を覆う樹脂部である。一次成形部30は、内部部品20をインサート物として樹脂材料によって金型成形された部分である。一次成形部30に、内部部品20まで貫通する貫通孔部31と、環状リブ部32とが形成される。
【0024】
より具体的には、一次成形部30は、本体収容部37と、リード線基端部収容部38と、リード線露出部保持部39とを有する。本体収容部37は素子本体部21を覆っている。本体収容部37のうちリード線22が延出する側にリード線基端部収容部38が連続している。本体収容部37とリード線基端部収容部38とは直方体状をなしている。本体収容部37内にリード線22の基端部が埋っている。
【0025】
リード線露出部保持部39は、リード線基端部収容部38に対して本体収容部37とは反対側に延出している。リード線露出部保持部39は、載置部35と、隔壁部36とを有する。本実施形態では、リード線露出部保持部39は、2つのリード線22に応じて2つの載置部35を有する。
【0026】
より具体的には、2つの載置部35がリード線基端部収容部38に対して本体収容部37とは反対側に延出している。載置部35は、リード線22の一方面に沿って延びる載置面35fを有する。載置面35f上にリード線22が載置される。2つの載置面35fは、2つのリード線22のそれぞれの一方面に沿って並列状態で延びている。一次成形部30がこのような載置部35を有するので、リード線22が安定した状態で支持される。このため、リード線22が半田付けされるとき、半田付けの作業性が向上する。つまり、リード線22が半田付けされやすい。
【0027】
また、隔壁部36は、複数の載置面35fの間において、リード線基端部収容部38から延出する複数のリード線22間を仕切るように延出している。2本のリード線22が隔壁部36により隔離されるので、リード線22同士が接触することが防止される。
【0028】
一次成形部30のうち半田付け部22aと対向する部分のうち少なくとも一部にリード線22との間で隙間を形成する凹部34が形成されている。本実施形態では、上記載置部35に凹部34が形成されている。
【0029】
本実施形態においては、凹部34は、平面視において、無底である。凹部34が無底であることは必須ではなく、凹部34は半田付け部22aから離れて位置する底面を有していてもよい。一次成形部30とリード線22との間に凹部34により隙間が形成されるので、半田付けの熱の影響が避けられる。これにより、一次成形部30に対する半田付け工具の熱の影響が低減される。したがって、リード線22と導線端部3との半田付けが行われるとき、半田付け工具の熱が半田付け工具に近接する一次成形部30の樹脂に伝達することが防止され、一次成形部30の樹脂の溶融が回避される。
【0030】
仮に半田付け工具による熱の影響で一次成形部30の樹脂が溶融されると、溶融された樹脂が冷え固まって突起ができることがある。このような樹脂の突起により、内部部品20および一次成形部30が二次成形時の金型にセットされるときに、ガタつきが発生したりすることがある。また、内部部品20および一次成形部30が二次成形時の金型にセットされ得ないこともある。
【0031】
これに対し、凹部34が形成され、半田付け工具の熱による一次成形部30の溶融が回避されると、一次成形部30の樹脂の溶融が回避され、一次成形部30の精度が向上する。これにより、内部部品20および一次成形部30が二次成形時の金型に滞りなくセットされる。したがって、複合成形部品10の生産性が向上する。
【0032】
図4に示すように、凹部34は、例えば、平面視において矩形状に形成される。このため、一次成形部30を形成するための金型の制作が容易である。また、凹部34は、二次成形部40の長手方向(矢印A方向)(本実施形態においては、一次成形部30の長手方向)に垂直な幅方向(矢印B方向)における外端に位置する。つまり、凹部34が一次成形部30の外端に位置するので、凹部34の形成が容易である。すなわち、一次成形部30の形状が単純化される。また、一次成形部30の幅方向の外端は、半田付けに適した位置に対向する位置である。つまり、特に半田付け工具の熱が加わり易い位置に凹部34が設けられる。したがって、このような凹部34の配置により、半田付け工具の熱の加わりやすい部分での樹脂の溶融が回避される。凹部34の内側には、他の部分よりも細幅な載置面35fが存在している。このため、リード線22は、凹部34の内側で載置面35f上に載置される。これにより、リード線22が安定して支持される。
【0033】
凹部34は、例えば、半田付け部22aの中間部に対応する位置に形成される。さらに、凹部34は、半田付け部22aの中央部に対応する位置にあることが好ましい。半田付け部22aの中間部とは、リード線22の半田付けされる部分のうち二次成形部40の長手方向における両端部を除く部分である。また、半田付け部22aの中央部とは、リード線22の半田付けされる部分のうち二次成形部40の長手方向における中央部分である。なお、凹部34は、半田付け部22aの中央部のうちの少なくとも一部と重なっていればよい。凹部34は、一次成形部30のうちリード線22において半田付けされる面の裏面側と対向する位置に形成される。ここで、リード線22の長手方向中間部を中心として熱を付与して半田付け作業がなされることが想定される。このため、半田付け部22aの中間部は半田付け工具が近接しやすい位置と考えられ、半田付け部22aの中央部は半田付け工具が最も近接しやすい位置と考えられる。このような半田付け部22aの中間部(または中央部)に対応する位置に凹部34が設けられるので、半田付け工具の影響を最も受けやすい一次成形部30の所定部分の樹脂の溶融が回避される。
【0034】
載置部35のうち凹部34よりも先端側の部分は先端側載置部35aである。先端側載置部35aは、リード線22の先端部を載置する。載置部35のうち凹部34よりも基端側の部分は、基端側載置部35bである。リード線22は、凹部34の前後で、先端側載置部35a及び基端側載置部35b上に載置支持されるので、リード線22が安定して支持される。このため、リード線22が半田付けされるとき、半田付けの作業性が向上する。つまり、リード線22が半田付けされやすい。また、基端側載置部35b上でリード線22の他方面側が露出しているので、半田付けによる熱が素子本体部21に伝わる前に放熱され易い。
【0035】
リード線22の先端部は先端側載置部35aから突出せずに、先端側載置部35a上に収まった状態で当該先端側載置部35a上に載置されていることが好ましい。これにより、リード線22の長さ誤差、内部部品20におけるリード線22の位置決め誤差等に拘らず、内部部品20と一次成形部30との集合物の外形状(特に、載置部35の先端側の外形状)が安定する。
【0036】
貫通孔部31は、内部部品20をインサートとして一次成形部30を金型成形する際の金型の位置決め部が挿入された痕である。貫通孔部31は、内部部品20の表面に達するまで貫通しており、貫通孔部31内には、内部部品20の表面の一部が露出している。本実施形態では、貫通孔部31は、リード線基端部収容部38に形成されている。貫通孔部31は、数に限定はされないが、本実施形態においては、第1貫通孔部31a、第2貫通孔部31b、および第3貫通孔部31cを含む。
【0037】
ここで、環状リブ部32について説明する。一次成形部30をインサート物として二次成形部40が金型成形される際、二次成形部40を成形するための加熱溶融した樹脂が金型装置内に注入される。加熱溶融した樹脂が一次成形部30の表面に接すると急に冷却して固化する。加熱溶融した樹脂は、環状リブ部32の先端部では、他の一次成形部30の表面に接した場合ほど急に冷却されない。このため、二次成形部40を形成するための加熱溶融樹脂は、環状リブ部32の先端部と溶け合うことが期待される。これにより、一次成形部30と二次成形部40との境界において、環状リブ部32に沿ってより完全な止水がなされることになる。かかる環状リブ部32は、メルトリブと呼ばれることもある。環状リブ部32と二次成形部40とが溶け合いやすいように、一次成形部30と二次成形部40とは同材料によって形成されていることが好ましい。
【0038】
このような環状リブ部32は、一次成形部30の位置決め箇所33を囲うように二次成形部40側に突出する。位置決め箇所33は、内部部品20および一次成形部30をインサートとして二次成形部40を金型成形する際に金型の位置決め部が嵌る凹みである。位置決め箇所33は、数に限定はされないが、本実施形態においては、位置決め箇所33は、第1位置決め箇所33a、第2位置決め箇所33b、および第3位置決め箇所33cを含む。また、環状リブ部32は、第1位置決め箇所33aを囲う第1環状リブ部32a、第2位置決め箇所33bを囲う第2環状リブ部32b、第3位置決め箇所33cを囲う第3環状リブ部32cを含む。図5に示すように、二次成形部40の長手方向(矢印A方向)において、第1環状リブ部32aとは異なる位置に、内部部品20の幅方向(リード線22の並列方向:矢印B方向)に沿って第2環状リブ部32bと第3環状リブ部32cとが並列して位置する。本実施形態では、第2環状リブ部32bと第3環状リブ部32cよりも素子本体部21側に第1貫通孔部31aが位置している。
【0039】
第1位置決め箇所33aは、例えば、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央に位置する。また、第2位置決め箇所33bと第3位置決め箇所33cとは、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央を挟んで位置する。また、第2位置決め箇所33bと第3位置決め箇所33cとは、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央からの距離が互いに同距離である。つまり、位置決め箇所33は、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央線を基準として対称に位置する。このため、内部部品20の幅方向(矢印B方向)において、二次成形部40の成形時の金型による一次成形部30の支持力の偏りが軽減される。なお、本実施形態においては、各位置決め箇所33を囲うように環状リブ部32が形成されるので、環状リブ部32もまた、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央線を基準として対称に位置することとなる。
【0040】
図5に示すように、二次成形部40の長手方向において、貫通孔部31の少なくとも一部と環状リブ部32の少なくとも一部が重なる。本実施形態においては、二次成形部40の長手方向(矢印A方向)に垂直な幅方向(矢印B方向)における第1環状リブ部32aの両側に第1貫通孔部31aと第2貫通孔部31bとが位置する。二次成形部40の長手方向(矢印A方向)に沿った座標における貫通孔部31の少なくとも一部の配置領域と、環状リブ部32の少なくとも一部の配置領域とが重なる。このような配置にすることで、複合成形部品10を二次成形部40の長手方向(矢印A方向)に短くできる。これにより、複合成形部品10の全体として、小型化が可能となる。
【0041】
本実施形態において、第1貫通孔部31aおよび第2貫通孔部31bは、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央を挟んで位置する。第1貫通孔部31aと第2貫通孔部31bとは、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央からの距離が互いに同距離である。このような第1貫通孔部31a、および、第2貫通孔部31bの位置により、一次成形部30の成形時に金型による内部部品20の支持力の偏りが軽減される。
【0042】
また、第3貫通孔部31cは、二次成形部40の長手方向(矢印A方向)において、第1貫通孔部31aおよび第2貫通孔部31bとは異なる位置に位置する。本実施形態では、第3貫通孔部31cは、第1貫通孔部31aおよび第2貫通孔部31bよりもリード線22の先端側に位置する。第3貫通孔部31cは、例えば、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央に位置する。つまり、貫通孔部31は、内部部品20の幅方向(矢印B方向)の中央線を挟んで対称に位置する。このため、内部部品20の幅方向(矢印B方向)において、一次成形部30の成形時の金型による内部部品20の支持力の偏りが軽減される。
【0043】
また、図1および図4に示すように、第1貫通孔部31a、第2貫通孔部31b、および第3貫通孔部31cが、リード線22の一部を一次成形部30から露出させる位置に貫通する。このような第1貫通孔部31a、第2貫通孔部31b、および第3貫通孔部31cの配置により、一次成形部30の成形時にリード線22が金型の位置決め部により安定的に支持される。なお、第3貫通孔部31cは、2つのリード線22の間隔よりも幅広な孔であり、2つのリード線22の内向き部分が露出している。このような第3貫通孔部31cの位置と形状とにより、一次成形部30の成形時にリード線22が金型の位置決めピンにより安定的に支持される。
【0044】
以上のように構成された複合成形部品10によると、リード線22の少なくとも一部が、他部品(導線端部3)と半田付けをされる半田付け部22aであり、一次成形部30は、半田付け部22aと対向する部分のうち少なくとも一部にリード線22との間で隙間を形成する凹部34を有する。このため、リード線22との間で隙間を形成する凹部34の存在により、半田付け工具の熱の影響を避けることができる。これにより、一次成形部30に対する半田付け工具の熱の影響が低減される。
【0045】
また、凹部34は、二次成形部40の長手方向(図4における矢印A方向)と垂直な幅方向(図4の矢印B方向)における外端に位置するので、凹部34の形成が容易である。また、一次成形部30の幅方向の外端は、半田付けに適した位置に対向する位置である。つまり、一次成形部30には、特に半田付け工具の熱が加わり易い位置に凹部34が設けられる。したがって、このような凹部34の配置により、半田付け工具の熱の加わりやすい部分での樹脂の溶融が回避される。
【0046】
また、凹部34は、半田付け部22aの中間部に対応する位置に形成される。このため、半田付け工具の熱による一次成形部30の樹脂の溶融が回避される。
【0047】
また、一次成形部30は、リード線22の先端部を載置する先端側載置部35aを有する。このため、リード線22が安定した状態で支持される。このため、リード線22が半田付けされるとき、半田付けの作業性が向上する。つまり、リード線22が半田付けされやすい。
【0048】
[その他]
上述の実施形態においては、凹部34は平面視で矩形状に形成されるが、凹部34は平面視で矩形状に形成されることに限定されない。凹部34が平面視で曲線により囲まれる形状であっても、多角状であってもよい。少なくとも一部にリード線22との間で隙間を形成する凹部であれば、この発明の範囲に含まれる。また、平面視で無底の凹部34が採用されるが、これに限定されない。少なくとも一部にリード線22との間で隙間を形成する凹部であれば、平面視において有底の凹部であっても、この発明の範囲に含まれる。
【0049】
実施形態1及びその変形例として説明された各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わされ得る。
【符号の説明】
【0050】
1 被覆電線
2 絶縁被覆部
3 導線端部
4 半田
10 複合成形部品
20 内部部品
21 素子本体部
22 リード線
22a 半田付け部
30 一次成形部
31 貫通孔部
31a 第1貫通孔部
31b 第2貫通孔部
31c 第3貫通孔部
32 環状リブ部
32a 第1環状リブ部
32b 第2環状リブ部
32c 第3環状リブ部
33 位置決め箇所
33a 第1位置決め箇所
33b 第2位置決め箇所
33c 第3位置決め箇所
34 凹部
35 載置部
35a 先端側載置部
35b 基端側載置部
35f 載置面
36 隔壁部
37 本体収容部
38 リード線基端部収容部
39 リード線露出部保持部
40 二次成形部
50 金型
51a,51b,51c 位置決め部
52a,52b 凹部
53a,53b 突出部
A,B 矢印
図1
図2
図3
図4
図5