(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】オイル管理システム
(51)【国際特許分類】
F01M 11/10 20060101AFI20250109BHJP
B60K 6/46 20071001ALI20250109BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20250109BHJP
B60W 20/18 20160101ALI20250109BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20250109BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F01M11/10 B
B60K6/46 ZHV
B60W10/06 900
B60W20/18
F02D45/00 369
F02D29/02 L
(21)【出願番号】P 2022024978
(22)【出願日】2022-02-21
【審査請求日】2024-02-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】相羽 規芳
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-148123(JP,A)
【文献】特開2008-285011(JP,A)
【文献】特開2018-096258(JP,A)
【文献】特開2021-148051(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0025752(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0066259(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 11/10
B60W 10/00-20/50
F02D 20/00-45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの運転及び停止を検知するエンジン制御装置と、
車両の走行距離を計測するための走行距離計測装置と、
燃料タンク内の燃料量を計測するための燃料計測装置と、
予測燃料消費率、オイルの交換終了、及び前記オイルの交換距離を入力するための入力装置と、
車両制御装置と、
前記車両制御装置からの指示によりオイルの交換推奨を報知する交換報知装置と
を備えるオイル管理システムであって、
前記車両制御装置は、
前記燃料タンク内の燃料量の変化量に基づいて前記オイルの交換終了からの実燃料消費量を算出する実燃料消費量算出部と、
前記エンジンの運転及び停止、並びに、前記オイルの交換終了からの交換後走行距離によって前記エンジンを動力源とするエンジン走行距離を算出するエンジン走行距離算出部と、
前記エンジン走行距離及び前記実燃料消費量によって実燃料消費率を算出する実燃料消費率算出部と、
前記交換距離と前記予測燃料消費率によって前記交換距離を走行するのに必要な予測燃料消費量を算出する予測燃料消費量算出部と、
実燃料消費率が前記予測燃料消費率以下となった場合に予測燃料消費量が少なくなるように補正する補正部と、
前記実燃料消費量と前記予測燃料消費量とを比較する燃料消費量比較部と、
前記実燃料消費量が前記予測燃料消費量に到達した場合に、前記交換報知装置に前記オイルの交換推奨の報知を指示する交換推奨指示部と
を有する、オイル管理システム。
【請求項2】
前記エンジン制御装置は、前記エンジンの回転速度を検知可能であり、
前記車両制御装置には、予め第1期間と前記第1期間に連続する第2期間とが定められ、
前記第1期間開始時の前記回転速度と前記第1期間終了時の前記回転速度との差分が予め定められた第1回転速度以上となるように加速され、前記第2期間内の前記回転速度が前記第1期間終了時の前記回転速度以上に維持された場合に、前記補正部は、前記予測燃料消費量が少なくなるように補正する、請求項1に記載のオイル管理システム。
【請求項3】
前記エンジン制御装置は、前記エンジンのスロットル開度を検知可能であり、
前記車両制御装置には、予め第3期間と前記第3期間に連続する第4期間とが定められ、
前記第3期間内に前記スロットル開度が予め定められた開度以上となり、前記第4期間内の前記スロットル開度が前記予め定められた開度以上に維持された場合に、前記補正部は、前記予測燃料消費量が少なくなるように補正する、
請求項1又は2に記載のオイル管理システム。
【請求項4】
工場出荷時に設定される通常走行モードよりも加速応答性を高めた特別走行モードの選択を可能にする走行モード選択装置を備え、
前記補正部は、前記特別走行モードが選択された場合に前記予測燃料消費量が少なくなるように補正する、請求項1から3のいずれか一項に記載のオイル管理システム。
【請求項5】
前記エンジンにより発電された電気を駆動用バッテリに充電するチャージモードの選択を可能にするチャージモード選択装置を備え、
前記補正部は、前記チャージモードが選択された場合に前記予測燃料消費量が少なくなるように補正する、請求項1から4のいずれか一項に記載のオイル管理システム。
【請求項6】
他車両の牽引を入力するための牽引入力装置を備え、
前記補正部は、前記牽引が入力された場合に前記予測燃料消費量が少なくなるように補正する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のオイル管理システム。
【請求項7】
前記入力装置は、フィルタの交換終了、及び前記フィルタの交換に至る前記オイルの設定交換回数が入力可能であって、
前記交換報知装置は、前記車両制御装置からの指示によってフィルタの交換推奨を報知可能であり、
前記車両制御装置は、
前記フィルタの交換終了及び前記オイルの交換終了に基づいて前記フィルタの交換終了からのオイルの実交換回数を数えるカウント部と、
前記実交換回数と前記設定交換回数を比較する交換回数比較部と、
前記実交換回数が前記設定交換回数に到達した場合に、前記交換報知装置に前記フィルタの交換推奨の報知を指示するフィルタ交換推奨指示部と
を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のオイル管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オイル管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンを動力源とする走行と、モータを動力源とする走行とが可能なハイブリッド車両におけるオイルの状態を管理する車両用オイル管理装置が記載されている。かかる車両用オイル管理装置は、ハイブリッド車両の走行距離を管理可能な走行距離管理部と、エンジンの運転開始と運転停止のタイミングを管理可能なエンジン管理部と、エンジン管理部によって管理されるエンジンの運転開始と運転停止のタイミングに基づいて、走行距離管理部によって管理される走行距離のうち、エンジンを動力源とする走行距離を管理可能なエンジン走行管理部とを備えている。
【0003】
特許文献1に開示された車両用オイル管理装置によれば、エンジンを動力源とする走行距離によってオイル交換の時期を判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車両を停車した状態でエンジンを動力源として発電することができる車両では、エンジンを運転してもエンジンを動力源とする走行距離が0となる場合があり、エンジンを動力源とする走行距離によってオイルの交換時期を判断するだけでは不十分である。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、オイルの交換推奨をより適切に報知することができるオイル管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るオイル管理システムは、エンジンの運転及び停止を検知するエンジン制御装置と、車両の走行距離を計測するための走行距離計測装置と、燃料タンク内の燃料量を計測するための燃料計測装置と、予測燃料消費率、オイルの交換終了、及び前記オイルの交換距離を入力するための入力装置と、車両制御装置と、前記車両制御装置からの指示によりオイルの交換推奨を報知する交換報知装置とを備えるオイル管理システムであって、前記車両制御装置は、前記燃料タンク内の燃料量の変化量に基づいて前記オイルの交換終了からの実燃料消費量を算出する実燃料消費量算出部と、前記エンジンの運転及び停止、並びに、前記オイルの交換終了からの交換後走行距離によって前記エンジンを動力源とするエンジン走行距離を算出するエンジン走行距離算出部と、前記エンジン走行距離及び前記実燃料消費量によって実燃料消費率を算出する実燃料消費率算出部と、前記交換距離と前記予測燃料消費率によって前記交換距離を走行するのに必要な予測燃料消費量を算出する予測燃料消費量算出部と、前記実燃料消費率が前記予測燃料消費率以下となった場合に前記予測燃料消費量が少なくなるように補正する補正部と、前記実燃料消費量と前記予測燃料消費量とを比較する燃料消費量比較部と、前記実燃料消費量が前記予測燃料消費量に到達した場合に、前記交換報知装置に前記オイルの交換推奨の報知を指示する交換推奨指示部とを有する。
【0008】
上記(1)の構成によれば、実燃料消費量と予測燃料消費量とを比較して、実燃料消費量が予測燃料消費量に到達した場合に、交換報知装置からオイルの交換推奨が報知される。よって、車両を停止した状態でエンジンを動力源として発電することができる車両であっても、オイルの交換推奨をより適切に報知することができる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記エンジン制御装置は、前記エンジンの回転速度を検知可能であり、前記車両制御装置には、予め第1期間と前記第1期間に連続する第2期間とが定められ、前記第1期間開始時の前記回転速度と前記第1期間終了時の前記回転速度との差分が予め定められた第1回転速度以上となるように加速され、前記第2期間内の前記回転速度が前記第1期間終了時の前記回転速度以上に維持された場合に、前記補正部は、前記予測燃料消費量が少なくなるように補正する。
【0010】
エンジンが低温低負荷条件で運転された後に、高温高負荷条件での運転が繰り返されるとエンジンの内部にスラッジが発生することが知られている。
【0011】
上記(2)の構成によれば、エンジンの内部にスラッジが発生するような高温高負荷条件が成立する場合(第1期間開始時の回転速度と第1期間終了時の回転速度との差分が予め定められた第1回転速度以上となるように加速され、第2期間内の回転速度が第1期間終了時の前記回転速度以上に維持される場合)に、予測燃料消費量が少なくなるように補正される。よって、オイルの交換時期にエンジンの運転状態が反映され、オイルの交換推奨の時期をより適切な時期に補正することができる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、前記エンジン制御装置は、前記エンジンのスロットル開度を検知可能であり、前記車両制御装置には、予め第3期間と前記第3期間に連続する第4期間とが定められ、前記第3期間内に前記スロットル開度が予め定められた開度以上となり、前記第4期間内の前記スロットル開度が前記予め定められた開度以上に維持された場合に、前記補正部は、前記予測燃料消費量が少なくなるように補正する。
【0013】
上記(3)の構成によれば、エンジンの内部にスラッジが発生するような高温高負荷条件が成立した場合(第3期間内にスロットル開度が予め定めた開度以上となり、第4期間内のスロットル開度が予め定められた開度以上に維持される場合)に、予測燃料消費量が少なくなるように補正される。よって、エンジンの運転状態がオイルの交換時期に反映され、オイルの交換推奨の時期をより適切な時期に補正することができる。
【0014】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)から(3)のいずれか一つの構成において、工場出荷時に設定される通常走行モードよりも加速応答性を高めた特別走行モードの選択を可能にする走行モード選択装置を備え、前記補正部は、前記特別走行モードが選択された場合に前記予測燃料消費量が少なくなるように補正する。
【0015】
上記(4)の構成によれば、特別走行モードが選択された場合にエンジンの内部にスラッジが発生するような高温高負荷条件が成立すると判断し、予測燃料消費量が少なくなるように補正される。よって、特別走行モード選択後のエンジンの運転状態がオイルの交換時期に反映され、オイルの交換推奨の時期をより適切な時期に補正することができる。
【0016】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)から(4)のいずれか一つの構成において、前記エンジンにより発電された電気を駆動用バッテリに充電するチャージモードの選択を可能にするチャージモード選択装置を備え、前記補正部は、前記チャージモードが選択された場合に前記予測燃料消費量が少なくなるように補正する。
【0017】
上記(5)の構成によれば、チャージモードが選択された場合にエンジンの内部にスラッジが発生するような高温高負荷条件が成立すると判断し、予測燃料消費量が少なくなるように補正される。よって、チャージモードの選択後のエンジンの運転状態がオイルの交換時期に反映され、オイルの交換推奨の時期をより適切な時期に補正することができる。
【0018】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)から(5)のいずれか一つの構成において、他車両の牽引を入力するための牽引入力装置を備え、前記補正部は、前記牽引が入力された場合に前記予測燃料消費量が少なくなるように補正する。
【0019】
上記(6)の構成によれば、牽引が入力された場合にエンジンの内部にスラッジが発生するような高温高負荷条件が成立すると判断し、予測燃料消費量が少なくなるように補正される。よって、牽引が入力された後のエンジンの運転状態がオイルの交換時期に反映され、オイルの交換推奨の時期をより適切な時期に補正することができる。
【0020】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)から(6)のいずれか一つの構成において、前記入力装置は、フィルタの交換終了、及び前記フィルタの交換に至る前記オイルの設定交換回数が入力可能であって、前記交換報知装置は、前記車両制御装置からの指示によってフィルタの交換推奨を報知可能であり、前記車両制御装置は、前記フィルタの交換終了及び前記オイルの交換終了に基づいて前記フィルタの交換終了からのオイルの実交換回数を数えるカウント部と、前記実交換回数と前記設定交換回数を比較する交換回数比較部と、前記実交換回数が前記設定交換回数となる場合に、前記交換報知装置に前記フィルタの交換推奨の報知を指示するフィルタ交換推奨指示部とを有する。
【0021】
上記(7)の構成によれば、オイルの実交換回数とオイルの設定交換回数とを比較して、オイルの実交換回数がオイルの設定交換回数に到達した場合に、交換報知装置からフィルタの交換推奨が報知される。よって、車両を停止した状態でエンジンを動力源として発電することができる車両であっても、エンジンの運転状態によってフィルタの交換推奨をより適切に報知することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、オイル交換の時期をより適切に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態1から3に係るオイル管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】
図1に示したオイル管理システムの動作を概略的に示すフローチャートである。
【
図3】実施形態2に係るオイル管理システムにおいて、補正部が予測燃料消費量を少なくなるように補正する条件を説明する図である。
【
図4】実施形態2に係るオイル管理システムの補正部の動作を概略的に示すフローチャートである。
【
図5】実施形態3に係るオイル管理システムにおいて、補正部が予測燃料消費量を少なくなるように補正する条件を説明するための図である。
【
図6】実施形態3に係るオイル管理システムの補正部の動作を概略的に示すフローチャートである。
【
図7】実施形態4に係るオイル管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図8】
図6に示したオイル管理システムの動作を概略的に示すフローチャートである。
【
図9】実施形態5に係るオイル管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図10】
図9に示したオイル管理システムの動作を概略的に示すフローチャートである。
【
図11】実施形態6に示すオイル管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図12】
図11に示したオイル管理システムの動作を概略的に示すフローチャートである。
【
図13】実施形態7に示すオイル管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図14】
図13に示したオイル管理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0025】
[実施形態1]
[実施形態1に係るオイル管理システムの構成]
実施形態1に係るオイル管理システムが搭載される車両は、モータ及びエンジンを動力源とするハイブリッド車両であって、エンジンを停止した走行(以下「EV走行」という)、エンジンを稼働した走行(以下「エンジン走行」という)のほか、エンジンを動力源とする発電が可能である。ハイブリッド車両は、例えば、外部電源によって外部充電可能又は駆動用バッテリからの外部給電が可能なプラグインハイブリッド車両(PHEV,PHV)であるが、ハイブリッド車両はプラグインハイブリッド車両に限られるものではない。
【0026】
図1に示すように、実施形態1に係るオイル管理システム1Aは、エンジン10の運転及び停止を検知するエンジン制御装置12と、車両の走行距離を計測するための走行距離計測装置14と、燃料タンクの燃料量を計測するための燃料計測装置16と、予測燃料消費率、オイルの交換終了、及びオイルの交換距離を入力するための入力装置18と、車両制御装置20と、車両制御装置20からの指示によってオイルの交換推奨を報知する交換報知装置22とを備える。これらエンジン制御装置12、走行距離計測装置14、燃料計測装置16及び入力装置18は、CAN(Controller Area Network)によって車両制御装置20に接続され、交換報知装置22はCANによって車両制御装置20に接続されている。
【0027】
エンジン制御装置12は、エンジン10を制御する制御装置であって、例えば、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、及び周辺回路等から構成されるプロセッサ(図示せず)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ(図示せず)のほか、及び入出力インタフェース(図示せず)によって構成される。
【0028】
走行距離計測装置14は、例えば、走行距離計(トリップメータ)や積算走行距離計(オドメータ)によって構成される。燃料計測装置16は、例えば、燃料計及び燃料計のアナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換器を含んで構成される。
【0029】
入力装置18は、例えば、メータ内に設けられたマルチインフォメーションディスプレイによって構成される。予測燃料消費率は、規定値であり、例えば、カタログ値(国土交通省審査値)が用いられる。オイルの交換終了は、オイル交換の際に入力される。オイルの交換距離は、規定値であり、例えば、カタログ値(メーカ推奨値)が用いられる。例えば、予測燃料消費率は1L/20km(0.05L/km)であり、オイルの交換距離は5,000kmである。
【0030】
車両制御装置20は、例えば、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、及び周辺回路等から構成されるプロセッサ(図示せず)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ(図示せず)、及び入出力インタフェース(図示せず)によって構成される。
【0031】
交換報知装置22は、例えば、上述したマルチインフォメーションディスプレイによって構成される。
【0032】
車両制御装置20は、実燃料消費量算出部24、エンジン走行距離算出部26、実燃料消費率算出部28、予測燃料消費量算出部30、補正部32A、燃料消費量比較部34、及び交換推奨指示部36を有する。
【0033】
実燃料消費量算出部24は、燃料計測装置16によって計測された燃料タンク内の燃料量の変化量に基づいてオイルの交換終了からの燃料消費量(以下「実燃料消費量」という)を算出する構成である。燃料タンク内の燃料量の変化量のうち減少量が燃料消費量であり、増加量が燃料供給量(給油量)である。
【0034】
エンジン走行距離算出部26は、エンジン制御装置12によって検知されたエンジン10の運転及び停止、並びに、オイルの交換終了(前回のオイル交換終了)からの走行距離(以下「交換後走行距離」という)によってエンジン10を動力源とする走行距離(以下「エンジン走行距離」という)を算出する構成である。エンジン走行距離は、交換後走行距離のうちエンジン10を動力源とする走行距離であり、エンジン10の運転検知によってエンジン走行距離が特定される。
【0035】
実燃料消費率算出部28は、エンジン走行距離算出部26で算出されたエンジン走行距離、及び実燃料消費量算出部24で算出された実燃料消費量によって実燃料消費率を算出する構成である。実燃料消費率は、実燃料消費量をエンジン走行距離で除算することにより求められる。
【0036】
予測燃料消費量算出部30は、入力装置18から入力された交換距離と予測燃料消費率によって交換走行距離を走行するのに必要な燃料消費量(以下「予測燃料消費量」という)を算出する構成である。予測燃料消費量は、交換距離に予測燃料消費率を乗算することにより求められる。例えば、上述した例(測燃料消費率が1L/20km(0.05L/km)であり、オイルの交換距離が5,000kmである場合)では、予測燃料消費量は250L(5,000km×0.05L/km)となる。
【0037】
補正部32Aは、実燃料消費率算出部28で算出された実燃料消費率が入力装置18から入力された予測燃料消費率以下となった場合に予測燃料消費量が少なくなるように補正する構成である。補正部32Aは、例えば、交換距離と実燃料消費率によって交換走行距離を走行するのに必要な燃料消費量が予測燃料消費量となるように補正する。この場合に、予測燃料消費量は交換距離に実燃料消費率を乗算することにより求められる。
【0038】
燃料消費量比較部34は、実燃料消費量算出部24で算出された実燃料消費量と入力装置18で入力された予測燃料消費量(補正部32Aで補正された予測燃料消費量)とを比較する構成である。
【0039】
交換推奨指示部36は、実燃料消費量が予測燃料消費量に到達した場合(燃料消費量比較部34で比較された実燃料消費量が予測燃料消費量と同じになった場合)に、交換報知装置22にオイルの交換推奨の報知を指示する構成である。
【0040】
[オイル管理システム1Aの動作]
図2に示すように、実施形態1に係るオイル管理システム1Aでは、入力装置18から予測燃料消費率、オイルの交換距離を入力する(ステップS1)(準備工程)。
【0041】
実施形態1に係るオイル管理システム1Aでは、まず、実燃料消費量算出部24が、燃料計測装置16で計測された燃料タンクの燃料量の変化量に基づいて実燃料消費量を算出する(ステップS2)。次に、エンジン走行距離算出部26が、エンジン制御装置12で検知されたエンジン10の運転及び停止、走行距離計測装置14で計測された交換後走行距離によってエンジン走行距離を算出する(ステップS3)。
【0042】
次に、実燃料消費率算出部28が、エンジン走行距離算出部26で算出されたエンジン走行距離、及び実燃料消費量算出部24で算出された実燃料消費量によって実燃料消費率を算出する(ステップS4)。次に、予測燃料消費量算出部30が、入力装置18から入力された予測燃料消費率とオイルの交換距離とによって予測燃料消費量を算出する(ステップS5)。
【0043】
実燃料消費率算出部28で算出された実燃料消費率が入力装置18から入力された予測燃料消費率以下となった場合(ステップS6:Yes)に、補正部32Aが、予測燃料消費量が少なくなるように補正する(ステップS7)。次に、燃料消費量比較部34が、実燃料消費量算出部で算出された実燃料消費量と入力装置18で入力された予測燃料消費量(補正部32Aで補正された予測燃料消費量)とを比較する(ステップS8)。
【0044】
実燃料消費量が予測燃消費量に到達すると(ステップS8:Yes)、交換推奨指示部36が交換報知装置22にオイルの交換推奨の報知を指示し、交換報知装置22がオイルの交換推奨を報知する(ステップS9)。
【0045】
オイルの交換作業を実施し(ステップS10)、入力装置18からオイルの交換終了を入力する(ステップS11)と、一連の動作が終了する(オイルの交換終了)。以下、この一連の動作を繰り返す。
【0046】
[オイル管理システム1Aの効果]
実施形態1に係るオイル管理システム1Aによれば、実燃料消費量と予測燃料消費量とを比較して、実燃料消費量が予測燃料消費量に到達した場合に、交換報知装置22からオイルの交換推奨が報知される。よって、車両を停車した状態でエンジン10を動力源として発電することができる車両であっても、エンジン10の運転状態によってオイルの交換推奨をより適切に報知することができる。
【0047】
[実施形態2]
[実施形態2に係るオイル管理システムの構成]
実施形態2に係るオイル管理システム1Bでは、エンジン制御装置12はエンジン10の回転速度を検知可能である。そして、車両制御装置20には、
図3に示すように、予め第1期間と第1期間に連続する第2期間とが定められ、第1期間開始時の回転速度と第1期間終了時の回転速度との差分が予め定められた第1回転速度以上となるように加速され、第2期間内の回転速度が第1期間終了時の回転速度以上に維持された場合に、補正部32Bは、予測燃料消費量が少なくなるように補正する。例えば、第1期間は10秒間、第2期間は3分間であり、第1回転速度は3500rpmである。この場合には、10秒間に3500rpm以上加速され、その後3分間、加速後の回転速度以上に維持された場合に、補正部32Bは、予測燃料消費量が少なくなるように補正する。補正量は予め定められるが、条件によって任意に定めることができる。その他の構成は、実施形態1に係るオイル管理システム1Aの構成と同じである。
【0048】
[オイル管理システムの動作]
実施形態2に係るオイル管理システム1Bでは、車両のエンジン走行中に、
図4に示すように、第1回転速度以上の加速があり(ステップS21:Yes)、その加速に要する期間が第1期間内であって(ステップS22:Yes)、第1期間終了時の回転速度以上の回転速度が第2期間を超えて維持された場合(ステップS23:Yes)に、補正部32Bは、予測燃料消費量が少なくなるように補正する(ステップS24)。その他の動作は、実施形態1に係るオイル管理システム1Aの動作と同じである。
【0049】
よって、オイルの交換時期にエンジン10の運転状態が反映され、オイルの交換推奨の時期をより適切な時期に補正することができる。
【0050】
[実施形態3]
[実施形態3に係るオイル管理システムの構成]
実施形態3に係るオイル管理システム1Cでは、エンジン制御装置12はエンジン10のスロットル開度を検知可能である。そして、車両制御装置20には、
図5に示すように、予め第3期間と第3期間に連続する第4期間とが定められ、第3期間内にスロットル開度が予め定められた開度以上となり、第4期間内のスロットル開度が予め定められた開度以上に維持された場合に、補正部32Cは、予測燃料消費量が少なくなるように補正する。例えば、第3期間は10秒間、第4期間は5秒間であり、予め定められたスロットル開度は90%である。この場合には、10秒間以内にスロットル開度が90%以上となり、その後5秒間スロットル開度が90%以上に維持された場合に、補正部32Bは、予備燃料消費量が少なくなるように補正する。補正量は予め定められるが、補正量は、条件によって任意に定めることができる。その他の構成は、実施形態1又は2に係るオイル管理システム1A,1Bの構成と同じである。
【0051】
[オイル管理システムの動作]
実施形態3に係るオイル管理システム1Cでは、
図6に示すように、第3期間内にスロットル開度が予め定められた開度以上となり(ステップS31:Yes)、予め定められたスロットル開度以上の開度が第5期間を超えて維持された場合(ステップS32:Yes)に、補正部32Cは、予測燃料消費量が少なくなるように補正する(ステップS33)。その他の動作は、実施形態1又は2に係るオイル管理システム1A,1Bの動作と同じである。
【0052】
よって、エンジン10の運転状態がオイルの交換時期に反映され、オイルの交換推奨の時期をより適切な時期に補正することができる。
【0053】
[実施形態4]
[実施形態4に係るオイル管理システムの構成]
実施形態4に係るオイル管理システム1Dは、
図7に示すように、工場出荷時に設定される通常走行モードモードよりも加速応答性を高めた特別走行モードの選択を可能にする走行モード選択装置38を備えている。走行モード選択装置38は、例えば、セレクタレバーの近傍に設けられたドライブモードセレクタによって構成される。通常走行モードは、例えば、ノーマルモードと称される走行モードであり、特別走行モードは、例えば、パワーモード、又はターマックモードと称される走行モードである。パワーモード、又はターマックモードは、ノーマルモードよりも加速応答性が高められた走行モードである。パワーモードは、力強く応答性の高い加速感を最大限に発揮するモードであり、ターマックモードは、乾燥舗装路での走行に適した走行モードであり、俊敏な挙動による運転の楽しさを提供するモードである。
【0054】
補正部32Dは、特別走行モードが選択された場合に予測燃料消費量が少なくなるように補正する。補正量は予め定められるが、条件によって任意に定めることができる。例えば、特別走行モード分の燃料が少なくなるように補正する。その他の構成は、実施形態1から3に係るオイル管理システム1A,1B,1Cの構成と同じである。
【0055】
[オイル管理システム1Dの動作]
実施形態4に係るオイル管理システム1Dでは、
図8に示すように、走行モード選択装置38で特別走行モードが選択された場合(ステップS41)に、補正部32Dは、予測燃料消費用が少なくなるように補正する(ステップS42)。その他の動作は、実施形態1から3に係るオイル管理システム1A,1B,1Cの動作と同じである。
【0056】
よって、特別走行モード選択後のエンジンの運転状態がオイルの交換時期に反映され、オイルの交換推奨の時期をより適切な時期に補正することができる。
【0057】
[実施形態5]
[実施形態5に係るオイル管理システムの構成]
実施形態5に係るオイル管理システム1Eは、
図9に示すように、エンジン10により発電された電気を駆動用バッテリに充電するチャージモードの選択を可能にするチャージモード選択装置40を備えている。チャージモード選択装置40は、例えば、セレクタレバーの近傍に設けられたEVモードセレクタスイッチによって構成される。チャージモードは、例えば、バッテリチャージモードと称されるモードである。
【0058】
補正部32Eは、チャージモードが選択された場合に予測燃料消費量が少なくなるように補正する。補正量は予め定められるが、条件によって任意に定めることができる。例えば、チャージモードの分燃料が少なくなるように補正する。その他の構成は、実施形態1から4に係るオイル管理システム1A,1B,1C,1Dの構成と同じである。
【0059】
[オイル管理システム1Eの動作]
実施形態5に係るオイル管理システム1Eでは、
図10に示すように、チャージモード選択装置40でチャージモードが選択された場合(ステップS51:Yes)に、補正部32Eは、予測燃料消費用が少なくなるように補正する(ステップS52)。その他の動作は、実施形態1から4に係るオイル管理システム1A,1B,1C,1Dの動作と同じである。
【0060】
よって、チャージモードの選択後のエンジン10の運転状態がオイルの交換時期に反映され、オイルの交換推奨の時期をより適切な時期に補正することができる。
【0061】
[実施形態6]
[実施形態6に係るオイル管理システムの構成]
実施形態6に係るオイル管理システム1Fは、
図11に示すように他車両の牽引を入力するための牽引入力装置42を備えている。牽引入力装置42は、例えば、運転席に設けられた牽引スイッチによって構成される。
【0062】
補正部32Fは、牽引が入力された場合(ステップS61:Yes)に予測燃料消費量が少なくなるように補正する(ステップS62)。補正量は予め定められるが、条件によって任意に定めることができる。例えば、牽引の分燃料が少なくなるように補正する。その他の構成は、実施形態1から5に係るオイル管理システム1A,1B,1C,1D,1Eの構成と同じである。
【0063】
[オイル管理システム1Fの動作]
実施形態6に係るオイル管理システム1Fでは、
図12に示すように、牽引入力装置42から牽引が入力された場合に、補正部32Fは、予測燃料消費用が少なくなるように補正する。その他の動作は、実施形態1から5に係るオイル管理システム1A,1B,1C,1D,1Eの動作と同じである。
【0064】
よって、牽引が入力された後のエンジン10の運転状態がオイルの交換時期に反映され、オイルの交換推奨の時期をより適切な時期に補正することができる。
【0065】
[実施形態7]
[実施形態7に係るオイル管理システムの構成]
図13に示すように、実施形態7に係るオイル管理システム1Gでは、入力装置18は、フィルタの交換終了、及びフィルタの交換に至るオイルの交換回数(以下「設定交換回数」という)が入力可能であって、交換報知装置22は、車両制御装置20からの指示によってフィルタの交換推奨を報知可能である。
【0066】
車両制御装置20は、カウント部44、交換回数比較部46、及びフィルタ交換推奨指示部48を有する。カウント部44は、入力装置18から入力されたフィルタの交換終了、及びオイルの交換終了に基づいてフィルタの交換終了からのオイルの交換回数(以下「実交換回数」という)を数える構成である。交換回数比較部46は、カウント部44で数えられた実交換回数と入力装置18から入力された設定交換回数を比較する構成である。フィルタ交換推奨指示部48は、実交換回数が設定交換回数に到達した場合に、交換報知装置22にフィルタの交換推奨の報知を指示する構成である。その他の構成は、実施形態1から6に係るオイル管理システム1A,1B,1C,1D,1E,1Fの構成と同じである。
【0067】
[オイル管理システム1Gの動作]
図14に示すように、実施形態7に係るオイル管理システム1Gでは、入力装置18からフィルタの交換に至るオイルの設定交換回数を入力する(ステップS71)(準備工程)。
【0068】
実施形態7に係るオイル管理システム1Gでは、入力装置18からオイルの交換終了を入力する(ステップS72:Yes)と、カウント部44で実交換回数にオイル交換回数(1回)を加算する(ステップS73)。次に、交換回数比較部46が、カウント部44で数えられた実交換回数と入力装置18で入力された設定交換回数とを比較する(ステップS74)。
【0069】
実交換回数が設定交換数に到達すると(ステップS74:Yes)、フィルタ交換推奨指示部48が交換報知装置22にフィルタの交換推奨の報知を指示し、交換報知装置22がフィルタの交換推奨を報知する(ステップS75)。
【0070】
オイルの交換作業を実施し(ステップS76)、入力装置18からフィルタの交換終了を入力する(ステップS77)と、一連の動作が終了する(フィルタの交換終了)。以下、この一連の動作を終了する。その他の動作は、実施形態1から6に係るオイル管理システム1A,1B,1C,1D,1E,1Fの動作と同じである。
【0071】
[オイル管理システム1Gの効果]
実施形態7に係るオイル管理システム1Gによれば、車両を停止した状態でエンジン10を動力源として発電することができる車両であっても、エンジン10の運転状態によってフィルタの交換推奨をより適切に報知することができる。
【符号の説明】
【0072】
1A~1G オイル管理システム
10 エンジン
12 エンジン制御装置
14 走行距離計測装置
16 燃料計測装置
18 入力装置
20 車両制御装置
22 交換報知装置
24 実燃料消費量算出部
26 エンジン走行距離算出部
28 実燃料消費率算出部
30 予測燃料消費量算出部
32A~32F 補正部
34 燃料消費量比較部
36 交換推奨指示部
38 走行モード選択装置
40 チャージモード選択装置
42 牽引入力装置
44 カウント部
46 交換回数比較部
48 フィルタ交換推奨指示部