(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ホットメルト型接着剤および変色性ホットメルト型接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 133/06 20060101AFI20250109BHJP
C09J 153/00 20060101ALI20250109BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20250109BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20250109BHJP
E01F 9/512 20160101ALI20250109BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C09J133/06
C09J153/00
C09J11/08
C09J11/06
E01F9/512
B32B27/00 D
(21)【出願番号】P 2022147101
(22)【出願日】2022-09-15
【審査請求日】2024-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2021169319
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】窪田 育夫
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-106176(JP,A)
【文献】特開2012-202052(JP,A)
【文献】特開2019-138133(JP,A)
【文献】特開2001-026915(JP,A)
【文献】特開2017-203172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00-201/10
B32B1/00-43/00
E01F9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとアルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックを含むブロック共重合体(A)と、軟化点が130℃以上の粘着付与剤(B)と、軟化点が130℃未満の粘着付与剤(C)とを含み、
(A)、(B)、および(C)の合計100質量%中、ブロック共重合体(A)が40~70質量%、粘着付与剤(B)が5~45質量%含み、かつ、粘着付与剤(B)と粘着付与剤(C)の合計が30~60質量%である、軟化点が90℃以上の
道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤。
【請求項2】
さらに23℃で液状の可塑剤(D)を含む請求項1記載の
道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤。
【請求項3】
さらに合成ワックス(G)を含む請求項1記載の
道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤。
【請求項4】
前記ブロック重合体(A)中のアルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルの質量比率が10~55質量%である、請求項1記載の
道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の
道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤100質量%に対して、さらに発色剤(E)を0.003~3質量%を含み、かつ下記(1)または(2)を満たす
道路面表示材貼付け用変色性ホットメルト型接着剤。
(1)(A)、(B)、(C)、および(D)の酸価の総和が0.8mgKOH/g以上
(2)さらに酸性物質(F)を含み、(A)、(B)、(C)、(D)および(F)の酸価の総和が0.8mgKOH/g以上
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト型接着剤に関する。詳しくは、塗工時には熱溶融状態もしくは熱軟化状態で塗工し得るホットメルト型であって、使用時、即ち貼付時には路面上で加熱溶融させた後、路面表示材や誘導パネルを貼り合わせ、接着し得る接着剤に関する。さらに、本発明は、前記ホットメルト型接着剤を用いてなる接着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
道路、歩道、ビルや工場の床、電車のホームなどには、注意喚起や方向案内などの表示材や誘導パネルが貼り合わされていることがある。装着の方法としては、基材上に粘着剤層を積層した感圧式貼付シートタイプ(特許文献1)、更に基材上にホットメルト型接着剤を積層した積層物をホットメルト型接着剤が塗布されていない面から加熱を行い貼り合せる熱溶融タイプ(特許文献2)、更には主剤と硬化剤を用いた硬化型接着剤(特許文献3)も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6―280221号公報
【文献】特開2001-26915公報
【文献】特開2012-97561公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
屋外の道路上で使用する場合、ポリメタクリル酸メチル製やポリ塩化ビニル製などの耐候性の良い表示材や誘導パネルが使用されている。路面表示材や誘導パネルを貼り合わせて接着し得る接着剤には、これらの素材に対して優れた接着強度を発現し、冷夏の冬場から高温の夏場までの1年を通じた環境下で、車両などが通過、制動又は方向転換した際でも、剥がれやズレが発生しない耐久性が求められている。
【0005】
しかし、特許文献1の感圧式貼付けシートタイプは、使用している粘着剤層が柔軟すぎる為、路面に貼り付け後、その上を車両が制動、方向転換するとズレが発生し、誘導パネルの役割を正確に果たせなくなる問題があった。
また、特許文献2は、道路表示材のホットメルト型接着剤が塗布されていない他面から加熱を行って接着させるが、表示材の厚さが0.3mmではホットメルトに直ぐに熱が伝わり容易に接着することができるが、表示材の厚さが2mmと厚く、更にホットメルト型接着剤が1mm厚くなると、路面に接しているホットメルト型接着面全体を均一に溶融し、接着させることが難しいことに加え、基材が透明でない素材が多く、見た目で接着状態を確認することができない。さらに、冬季では路面が零下になっており、非常に熱が伝わり難く、接着不良に非常になり易いという課題があった。
一方、特許文献3は、主剤と硬化剤を混ぜて、接着する硬化型タイプで、主剤と硬化剤を調合する為に、撹拌機などの専用の装置が必要な上、貼り付け後は硬化するまで時間が掛かる為、作業効率が良くなかった。また、引火性のアクリルモノマーを大量に含むアクリルシロップをラジカル重合により硬化させるため、環境面(臭気、健康)及び安全面(反応制御、火災の危険性)で問題があった。
【0006】
本発明は、道路面表示材や誘導パネルをアスファルト面やコンクリート面などの道路面へ貼り合わせて接着することができ、加熱により貼り合わせる際に、十分加熱されて活性化していることを色の消色によって確認でき、加熱不足による接着不良が発生し難いホットメルト型接着剤を提供することを目的とする。また、本発明は、貼り合わせた後に、夏場の高温や冬場の低温時でも、車両などが通過、制動又は方向転換した際に、剥がれやズレが発生しない貼付け構成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルのブロック共重合体に対して、軟化点が130℃以上の粘着付与剤、軟化点が130℃未満の粘着付与剤を用いることによって、課題を解決できるホットメルト型接着剤を見出した。
【0008】
即ち、本発明は以下の[1]~[6]に関する。
[1]アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとアルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとを含むブロック共重合体(A)と、軟化点が130℃以上の粘着付与剤(B)と、軟化点が130℃未満の粘着付与剤(C)とを含み、
(A)、(B)、および(C)の合計100質量%中、ブロック共重合体(A)が40~70質量%、粘着付与剤(B)が5~45質量%含み、かつ、粘着付与剤(B)と粘着付与剤(C)の合計が30~60質量%である、軟化点が90℃以上の道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤。
【0009】
[2]さらに23℃で液状の可塑剤(D)を含む[1]記載の道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤。
【0010】
[3]さらに合成ワックス(G)を含む[1]または[2]記載の道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤。
【0011】
[4]前記ブロック重合体(A)中のアルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルの質量比率が10~55質量%である、[1]~[3]いずれか記載の道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤。
【0012】
[5]前記ブロック共重合体(A)が、メタクリル酸メチルとアクリル酸n-ブチルとのブロック共重合体、メタクリル酸メチルとアクリル酸2-エチルヘキシルとのブロック共重合体、および、メタクリル酸メチルとアクリル酸n-ブチルおよびアクリル酸2-エチルへキシルとの共重合体の少なくともいずれか1つを含む、[1]~[4]いずれか記載の道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤。
【0013】
[6][1]~[5]いずれか記載の道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤100質量%に対して、さらに発色剤(E)を0.003~3質量%を含み、かつ下記(1)または(2)を満たす道路面表示材貼付け用変色性ホットメルト型接着剤。
(1)(A)、(B)、(C)、および(D)の酸価の総和が0.8mgKOH/g以上
(2)さらに酸性物質(F)を含み、(A)、(B)、(C)、(D)および(F)の酸価の総和が0.8mgKOH/g以上
【発明の効果】
【0014】
本発明により、道路面表示材や誘導パネルをアスファルト面やコンクリート面などの道路面へ安全に貼り合わせ得ることができ、屋外の冬場の温度の低い条件下でも、加熱により貼り合わせる際に、十分加熱されて活性化していることを色の消色によって確認することができ、さらに加熱不足による接着不良が発生し難いホットメルト接着剤を提供できるようなった。また、本発明により、貼り合わせた後に、夏場の高温や冬場の低温時でも、車両などが通過、制動又は方向転換した際に、剥がれやズレが発生しない貼付け構成物を提供できるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
【0016】
<ブロック共重合体(A)>
本発明のホットメルト型接着剤に含まれるブロック共重合体(A)は、アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとアルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとのブロック共重合体である。
ブロック共重合体(A)としては、前記アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルから形成されるハードセグメント(AS)と、前記アルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルから形成されるソフトセグメント(AH)とが、-AS-AH-AS-と結合したトリブロック重合体、-AS-AH-と結合したジブロック重合体などが挙げられる。トリブロック重合体とジブロック重合体を併用しても良い。
【0017】
ブロック共重合体(A)は、アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルの重合体部分(ハードセグメント)と炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルの重合体部分(ソフトセグメント)とに明確に分かれている為、それぞれの重合体部分(セグメント)を活用して耐熱接着力と低温接着力が両立できるホットメルト型接着剤を得ることができる。ハードセグメントによりホットメルト型接着剤の凝集力を高めることができ、また後述する粘着付与剤(B)(C)や、可塑剤(D)を併用することにより、ソフトセグメントに被着体への濡れ易さ、粘着力を付与することができる。
【0018】
ブロック共重合体(A)のハードセグメントを形成するためのアルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピルが挙げられる。60℃接着強度の達成に必要な60℃の凝集力を高める観点で、メタクリル酸メチルが好ましい。
【0019】
ブロック共重合体(A)のソフトセグメントを形成するための、アルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。60℃接着強度と-10℃接着強度の両立し易さの観点で、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル又はそれらの併用が好ましい。
【0020】
前記ブロック重合体(A)中のアルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルの質量比率は、10~55質量%が好ましい。アクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸メチルよりもガラス転移温度が低く、流動し易いことに加え、粘着付与剤とも相溶し易いことから、メタクリル酸アルキルエステルの比率が低く、アクリル酸アルキルエステルの比率が高ほど、被着体の界面に濡れ易くなり、接着強度も高くなる。上記範囲内にあることで、60℃接着強度の性能と加熱溶解の作業性の両立ができる。更に、アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルの質量比率が10~40質量%がより好ましい。
【0021】
ブロック共重合体(A)としては、クラリティLA2140E(MMA-BA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:20質量%) 、クラリティLA2250(MMA-BA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:30質量%)、クラリティLA2330(MMA-BA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:20質量%)、クラリティLA3320(MMA-BA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:15質量%)、クラリティLA3170(MMA-BA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:12質量%)、クラリティLA2270(MMA-BA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:40質量%)、クラリティLA4285(MMA-BA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:50質量%)、クラリティLA1892(MMA-BA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:52質量%)、クラリティLK9243(MMA-(BA-2EHA)/トリブロック共重合体、MMAの比率:17質量%)、クラリティKL-LK9333(MMA(BA-2EHA)/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:20質量%)以上、クラレ(株)製などが挙げられ、それぞれを単独で使用することもできるし、併用することも可能である。更に初期接着性の観点で、クラリティLA140E、クラリティLA2250、クラリティLA2330、クラリティLA3320、クラリティLA3170、クラリティLA2270、クラリティLK9243及びクラリティLK9333が好ましい。
【0022】
前記(A)~(C)の合計100質量%中、ブロック共重合体(A)は40~70質量%含まれる。45~65質量%がより好ましい。40質量%未満では-10℃接着強度が低下して剥がれ易くなり、70質量%を超えると加熱溶融性が低下して作業性が悪くなる。
<粘着付与剤(B)>
粘着付与剤(B)は、軟化点130℃以上であれば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、キシレン樹脂、α-メチルスチレン樹脂、シクロペンタジエン- フェノール樹脂、脂肪族系、芳香族系等の石油樹脂、フェノール- 変性石油樹脂、ロジンエステル、重合ロジン、水添されたロジンエステル及び重合ロジン、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂、水添された脂肪族系及び芳香族系等の石油樹脂など、何れも使用することができる。軟化点の上限値は実用可能範囲であれば特に限定されないが、強いて設定するなら160℃である。
なお、軟化点はJIS K2207の環球法による軟化点測定方法に準拠して測定した値である。
【0023】
前記(A)~(C)の合計100質量%中、粘着付与剤(B)は、5~45質量%含まれる。10~40質量%がより好ましい。5質量%未満では、60℃での接着強度が低くなり、45質量%を超えると-10℃での接着強度が低くなる。
【0024】
<粘着付与剤(C)>
粘着付与剤(C)は、軟化点130℃未満であれば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、キシレン樹脂、α-メチルスチレン樹脂、シクロペンタジエン- フェノール樹脂、脂肪族系、芳香族系等の石油樹脂、フェノール- 変性石油樹脂、ロジンエステル、重合ロジン、水添されたロジンエステル及び重合ロジン、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂、水添された脂肪族系及び芳香族系等の石油樹脂など、何れも使用することができる。軟化点の下限値は実用可能範囲であれば特に限定されないが、強いて設定するなら70℃である。
【0025】
前記(A)~(C)の合計100質量%中、粘着付与剤(B)と粘着付与剤(C)の合計は、30質量%~60質量%含まれる。35質量%~55質量%がより好ましい。粘着付与剤(B)と粘着付与剤(C)の合計が、30質量%未満では、60℃接着強度が低くなり、60質量%を超えると-10℃接着強度が低くなる。
【0026】
≪道路面表示材貼付け用ホットメルト接着剤≫
本発明の道路面表示材貼付け用ホットメルト接着剤は、前述のアルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルとアルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルとのブロック共重合体(A)、軟化点が130℃以上の粘着付与剤(B)、および軟化点が130℃未満の粘着付与剤(C)を公知の方法で混合し、製造することができる。製造方法としては、特に限定されず、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、攪拌機を備えた溶解釜のいずれかを用いて加熱混合する方法が挙げられる。
【0027】
本発明の道路面表示材貼付け用ホットメルト接着剤は、軟化点が90℃以上である。軟化点の上限値は実用可能範囲であれば特に限定されないが、強いて設定するなら150℃である。軟化点が90℃以上であることで、60℃接着強度を向上することができる。
なお、軟化点はJIS K6863-1994に準拠して測定する。詳細は実施例の欄に記載する。
【0028】
本発明の道路面表示材貼付け用ホットメルト接着剤は、発明の目的を損なわない範囲で可塑剤(D)や合成ワックス(G)、添加剤等を配合してもよい。
【0029】
可塑剤(D)は、23℃で液状であれば、フタル酸エステル、イソフタル酸エステル、テレフタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、シクロヘキセンジカルボン酸エステル、リシノール酸エステル、ポリエステル系、酢酸エステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリエーテルエステル系、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アクリルポリマーのオリゴマーなど、何れも使用することができる。
可塑剤(D)を配合する場合、前記(A)~(C)の合計100質量%に対して、可塑剤(D)は、1~30質量%が好ましい。この範囲にあることで、耐熱性と低温性の両立ができる上に、溶融粘度を下げることができるため加熱溶融性が向上する。1~25質量%がより好ましい。
【0030】
本発明の道路面表示材貼付け用ホットメルト接着剤は、加熱溶解性や60℃接着強度の向上等の目的で、発明の目的を損なわない範囲で、さらに合成ワックス(G)を含有することができる。合成ワックス(G)としては、脂肪酸アミド系化合物、アルキレン脂肪酸アミド系化合物及び脂肪酸エステル系化合物が挙げられる。
【0031】
脂肪酸アミド系の合成ワックスとしては、例えば、
ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、及びヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪族モノカルボン酸アミド、
N-オレイルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、及びN-ステアリルオレイン酸アミド、N‐ヒドロキシエチル-12-ヒドロキシステアリン酸アミド等のN-置換脂肪族モノカルボン酸アミド等が挙げられる。
【0032】
ビス脂肪酸アミド系の合成ワックスとしては、例えば、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等のアルキレン脂肪族モノカルボン酸アミド、
N,N’-エチレン-ビス-オレイルアミド、N,N’-エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’-エチレン-ビス-ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ヘキサメチレン-ビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-メチレンビスステアリン酸アミド並びに、N,N’-キシリレン-ビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミド等のN,N’-置換脂肪族モノカルボン酸アミド等が挙げられる。
【0033】
脂肪酸エステル系の合成ワックスは、アルコールに1つ以上の脂肪酸がエステル結合をしたものであり、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0034】
グリセリン脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノジグリセライド、ベヘニン酸モノグリセリライド、ベヘニン酸モノジグリセライド、カプリル酸モノジグリセライド、カプリル酸トリグリセライド、グリセリンモノ12-ヒドロキシステアレート、オレイン酸モノグリセライド、オレイン酸モノジグリセライド、ラウリル酸モノグリセライド、ラウリル酸モノジグリセライド、ステアリン酸オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸オレイン酸モノジグリセライド、コハク酸脂肪酸モノグリセライド、クエン酸脂肪酸モノグリセライド、ジアセチル酒石酸脂肪酸モノグリセライド、ジグリセリンモノミリステート、テトラグリセリンステアレート、デカグリセリンラウリレート、デカグリセリンステアレート、デカグリセリンオレート、ポリグリセリンポリリシノレート等が挙げられる。
なお、「・・・酸モノジグリセライド」とは、「・・・酸モノグリセライド」と「・・・酸ジグリセライド」とを含有する組成物を意味する。
中でもステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノジグリセライド、ベヘニン酸モノグリセリライド、ベヘニン酸モノジグリセライド、グリセリンモノ12-ヒドロキシステアレート、コハク酸脂肪酸モノグリセライド、クエン酸脂肪酸モノグリセライドが好ましい。これらは融点が60℃以上であることから、粘度低下に加えて耐熱性の低下が起こり難いため、好ましい。
【0035】
これらの合成ワックスは、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
合成ワックス(G)を配合する場合、前記(A)~(D)の合計100質量%に対して、合成ワックス(G)は、1~25質量%が好ましい。この範囲にあることで、低温性を維持したままで耐熱の向上ができる上に、溶融粘度をさらに下げることができるため加熱溶融性が向上する。1~20質量%がより好ましい。
【0036】
本発明の道路面表示材貼付け用ホットメルト接着剤に発明の目的を損なわない範囲で配合しても良い添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、消臭剤、香料が挙げられる。
【0037】
上記の酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0038】
上記のフェノール系酸化防止剤は、自動酸化の連鎖成長過程で生じるROO・(パーオキシラジカル)に水素を供与して安定化し、自身はオルト位置換基によって保護された安定なフェノキシラジカルとなって連鎖反応を停止するラジカルトラップ剤としての機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。特に、フェノール系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤よりラジカルトラップ反応の速いラクトン系酸化防止剤やビタミンE系酸化防止剤等とを併用することにより、より優れたものとなる。また、上記のリン系酸化防止剤は、過酸化物、ROOHを非ラジカル的に分解し、自動酸化過程の連鎖反応を停止する機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。
【0039】
上記の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの通常使用されるものが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0040】
上記の光安定剤としては、ヒンダードアミン系の通常使用されるものが挙げられる。
【0041】
≪道路面表示材貼付け用変色性ホットメルト接着剤≫
本願の道路面表示材貼付け用ホットメルト接着剤に発色剤(E)および必要に応じて酸性物質(F)を配合することで、道路面表示材貼付け用変色性ホットメルト接着剤を製造することができる。
変色性道路面表示材貼付け用ホットメルト接着剤は、(A)、(B)、(C)、および(D)の酸価の総和が0.8mgKOH/g以上、または、(A)、(B)、(C)、(D)および(F)の酸価の総和が0.8mgKOH/g以上であることが好ましい。酸価を0.8mgKOH/g以上にすることで、常温時の発色が良好となり、加熱溶融状態を目視で確認できる。
酸価は、JIS K-0070に準拠して、中和滴定法にて測定した値である。詳細は実施例の欄に記載する。
【0042】
発色剤(E)は、カラーフォーマーと言われるラクトン構造を有するものが好ましく、酸と併用することで、常温で固化すると発色する。酸の量を調整することで、溶融まで加熱すると消色させることができる。3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタライド、3、6-ビス(ジエチルアミノ)フルオラン-γ-(4’-ニトロ)-アニリノラクタム、2-N,N-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフルオラン、N,N-ジメチル-4-(2-(-オクチルオキシ)フェニル)-6-フェニルピリジン-4-イル)-ベンゼンアミンなど、何れも使用することができる。
道路面表示材貼付け用ホットメルト接着剤100質量%に対して、発色剤(E)は、0.01~3質量%以下が好ましい。この範囲にあることで、道路面表示材貼付け用変色性ホットメルト接着剤を120℃以上に加熱した際、発色から無色又は発色から異なる色への変化を短時間かつ目視で確認できる。
【0043】
<酸性物質(F)>
酸性物質(F)は、(A)、(B)、(C)、(D)および(F)の酸価の総和が0.8mgKOH/g以上となるように適宜配合される。酸性物質(F)としては、クエン酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、尿酸等の有機酸、無水酢酸等の酸無水物、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等を使用することができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の実施形態は斯かる実施例に制限されるものではない。なお、実施例における「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表し、空欄は配合していないことを意味する。
また、使用した材料の軟化点、酸価の測定方法は以下の通りである。
【0045】
<軟化点>
JIS K6863-1994に準拠して環球法にて測定した。具体的には、株式会社メイテック社製の環球式自動軟化点試験機ASP-MG4を用いて測定した。
【0046】
<酸価>
JIS K-0070に準拠して、中和滴定法にて測定した。具体的には、試料を溶剤に溶かし、指示薬としてフェノールフタレインを加え、水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して酸価を求めた。
【0047】
<道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤の製造>
[実施例1]
撹拌機を備えたビーカーに、クリスタレックス5140(20部)とハリタックPH(30部)とを計り取り、それら材料が170℃以上にならないようにマントルヒーターで加熱溶解し、混合した。そこに、計り取ったクラリティLA2250(50部)を徐々に加え、溶解させた後、減圧しながら混合し、実施例1の道路面表示材貼付け用ホットメルト接着剤を得た。
【0048】
[実施例2~23、比較例1~8]
表1、2の組成にしたがって、実施例1と同様の方法で、実施例2~23、比較例1~8の道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤を得た。
【0049】
<道路面表示材貼付け用変色性ホットメルト型接着剤の製造>
[実施例24]
撹拌機を備えたビーカーに、クリスタレックス5140(25部)とハリタックPH(13部)とアデカスタブFP600(25部)を計り取り、それら材料が170℃以上にならないようにマントルヒーターで加熱溶解し、混合した。そこに、計り取ったクラリティLA2250(50部)を徐々に加え、溶解させた後、クエン酸(0.5部)を加え、最後に3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタライド(0.01部)を添加して、減圧しながら混合し、実施例24の道路面表示材貼付け用変色性ホットメルト接着剤を得た。
【0050】
[実施例25~27、比較例9~11]
表3の組成にしたがって、実施例22と同様の方法で、実施例23~26、比較例9~11の道路面表示材貼付け用変色性ホットメルト接着剤を得た。
【0051】
<合成ワックス(G)を含有する道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤の製造>
[実施例29]
撹拌機を備えたビーカーに、クリスタレックス5140(17部)とハリタックPH(10部)とクリスタレックスF100(7部)とアデカスタブFP600(11部)を計り取り、それら材料が170℃以上にならないようにマントルヒーターで加熱溶解し、混合した。そこに、計り取ったクラリティLA2250(55部)を徐々に加え、溶解させた後、ITOWAX J420(10部)を添加して、減圧しながら混合し、実施例29の道路面表示材貼付け用変色性ホットメルト接着剤を得た。
【0052】
[実施例30~35]
表4の組成にしたがって、実施例29と同様の方法で、実施例30~35の道路面表示材貼付け用ホットメルト型接着剤を得た。
【0053】
表1~4に記載の略語を以下に示す。
[ブロック共重合体(A)]
(A1)メタクリル酸メチルの質量比率が30質量%のメタクリル酸メチルとアクリル酸n-ブチルのトリブロック共重合体(クラレ製、製品名:クラリティLA2250、酸価なし)
(A2)メタクリル酸メチルの質量比率が20質量%のメタクリル酸メチルとアクリル酸n-ブチルのトリブロック共重合体(クラレ製、製品名:クラリティLA2140E、酸価なし)
(A3)メタクリル酸メチルの質量比率が15質量%のメタクリル酸メチルとアクリル酸n-ブチルのトリブロック共重合体(クラレ製、製品名:クラリティLA3320、酸価なし)
(A4)メタクリル酸メチルの質量比率が17質量%のメタクリル酸メチルとアクリル酸n-ブチル/アクリル酸2-エチルへキシルの混合とのトリブロック共重合体(クラレ社製、製品名:クラリティLK9243、酸価なし)
(A5)メタクリル酸メチルの質量比率が10質量%のメタクリル酸メチルとアクリル酸n-ブチルのトリブロック共重合体(クラレ社製、製品名:クラリティLA2114、190℃粘度:1700mPa・s、酸価なし)
(A6)メタクリル酸メチルの質量比率が52質量%のメタクリル酸メチルとアクリル酸n-ブチルのトリブロック共重合体(クラレ製、製品名:クラリティLA1892、酸価なし)
[その他の共重合体(X)]
(X1)ポリメタクリル酸メチル(三菱ケミカル社製、製品名:アクリペットSV001、酸価なし)
(X2)エチレン酢酸ビニル共重合体(東ソー製、製品名:ウルトラセン720、酢酸ビニル量28%、酸価なし)
(X3)スチレンの割合が19質量%のスチレンのハードセグメントとイソプレンのソフトセグメントからなるハードセグメント-ソフトセグメント-ハードセグメントのトリブロック共重合体(クレイトン製、製品名:クレイトンD-1160、酸価なし)
[粘着付与剤(B)]
(B1)重合ロジン(荒川化学工業社製、製品名:パインクリスタルKR140、軟化点140℃、酸価145mgKOH/g)
(B2)α-メチルスチレン樹脂(イーストマンケミカル社製、製品名:クリスタレックス5140、軟化点140℃、酸価なし)
(B3)テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、製品名:YSポリスターT130、軟化点130℃、酸価なし)
(B4)芳香族系モノマーの共重合体(イーストマンケミカル社製、製品名:エンデックス155、軟化点155℃、酸価なし)
[粘着付与剤(C)]
(C1)水添ロジンエステル(ハリマ化成社製、製品名:ハリタックPH、軟化点97℃、酸価16mgKOH/g)
(C2)水添ロジン(日成林産化工社製、製品名:RHR-301、軟化点80℃、酸価170mgKOH/g)
(C3)変性ロジン(ハリマ製社製、製品名:ハリタックKF125、軟化点125℃、酸価18mgKOH/g)
(C4)ロジンエステル(荒川化学工業社製、製品名:ペンセルGA100、軟化点100℃、酸価18mgKOH/g)
(C5)α-メチルスチレン樹脂(イーストマンケミカル社製、製品名:クリスタレックスF100、軟化点100℃、酸価なし)
(C6)α-メチルスチレン樹脂(イーストマンケミカル社製、製品名:クリスタレックス3085、軟化点85℃、酸価なし)
(C7)石油系粘着付与剤、脂肪族系炭化水素樹脂(日本ゼオン社製、製品名:クイントンA100、軟化点100℃、酸価なし)
(C8)石油系粘着付与剤、脂肪族/芳香族共重合体(日本ゼオン社製、製品名:クイントンG115、軟化点115℃、酸価なし)
(C9)テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、製品名:YSポリスターT115、軟化点112℃、酸価なし)
[可塑剤(D)]
(D1)リン酸エステル(アデカ社製、製品名:アデカスタブFP600、酸価0.1mgKOH/g)
(D2)アジピン酸系ポリエステル(ジェイ・プラス製、製品名:D623、酸価1.0mgKOH/g)
(D3)フタル酸エステル(ジェイ・プラス製、製品名:DOP、酸価0.02mgKOH/g)
(D4)エポキシ化植物油(アデカ製、製品名:アデカサイザーO-130P、酸価0.3mgKOH/g)
(D5)グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、製品名:リケマールPL012、酸価3.0mgKOH/g)
[発色剤(E)]
(E1)3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタライド(酸性領域で青色に変色)
[酸性物質(F)]
(F1)クエン酸
[合成ワックス(G)]
(G1)N-ヒドロキシエチル-12-ヒドロキシステアリン酸アミド(伊藤製油社製、製品名:ITOWAX J420、融点105℃)
(G2)N,N’-キシリレン-ビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミド(伊藤製油社製、製品名:ITOWAX J700、融点125℃)
(G3)モノステアリン酸グリセリン(理研ビタミン社製、製品名:リケマールS-100A、融点63~68)
(G4)モノラウリン酸グリセリン(理研ビタミン社製、製品名:リケマールM300、融点約57℃)
[その他ワックス(G’)]
(G’1)カルナバワックス(トーヨーケム社製、融点80~86℃)
【0054】
<軟化点>
道路面表示材貼付け用変色性ホットメルト型接着剤の軟化点は、JIS K6863-1994に準拠して測定した。具体的には、メイテック社製環球式自動軟化点試験機ASP-MG4を用いて測定した。
【0055】
<試験片の作製>
[実施例1~35、比較例1~11]
得られたホットメルト接着剤を、150℃熱プレス機で膜厚1mmフィルムを作製し、更に縦30mm×横30mmと縦100mm×横100mmに断裁して試験片を作製した。
<加熱時の発色の変化評価>
ホットプレートの上にSUS板を載せ、150℃に温調し、上記作製した試験片をホットプレート上のSUS板上に載せた時の、加熱溶融前後色の変化を目視で評価した。
〇:加熱溶融前後の色変化が直ぐに明確に分かる:良
△:加熱溶融前後の色変化が20秒以内で分かる:実用可能
×:加熱溶融前後の色変化が20秒以内で全く分からない、或いは加熱前に発色していない:実用不可
【0056】
<加熱溶解性の評価>
150℃に温調したホットプレートの上に、上記作製した縦30mm×横30mmの試験片を載せ20秒放置し、試験片の形状の変化にて溶解を評価した。
◎:5秒に達するまでに、試験片が溶融し、形状が広がった:優良
〇:5秒以上10秒以内に、試験片が溶解し、形状が広がった:良
△:10秒以上20秒以内で、試験片が溶解し、形状が広がった:実用可能
×:20秒後でも、試験片が溶解せず、形状に変化が見られなかった:実用不可
【0057】
<接着強度測定用貼り合わせ物の作製>
JISコンクリート平板のケレン処理面上にエポキシ系プライマーを塗布硬化後、上記で作製した縦100mm×横100mmの試験片を載せ、ドライアーで60秒加熱した後、ポリ塩化ビニル(PVC)シートを手で貼り合わせた。なお、JISコンクリート平板はTP技研社製(300×300×60mm)のケレン処理品を、PVCシートは市販の400μmのPVCシートを縦100mm横100mmに断裁して使用した。
【0058】
<初期接着強度評価>
市販の速乾性エポキシ樹脂で引張試験器付属の縦40mm横40mmの銅製付着子を得られた貼り合わせ物のPVCシート上に取り付け、1時間放置した。コンクリートカッターで銅製付着子の廻りにコンクリート平板に達するまで切り込みを入れ、引張試験器の測定部のシャフトを銅製付着子に接続して、23℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定を行った。接着力評価には、サンコーテクノ社製簡易型引張試験器テクノテスターRT-1000LD(II)を使用した。
〇:2.0kN以上/(40mm×40mm):良
△:1.5以上2.0kN未満/(40mm×40mm):実用可能
×:1.5kN未満/(40mm×40mm):実用不可
【0059】
<-10℃接着強度評価>
上記初期接着強度評価で用いたのと同じ、銅製付着子を取り付けた貼り合わせ物及び試験器を使用した。銅製付着子を取り付けた貼り合わせ物を-10℃の冷凍庫で2時間温調した後、同条件にて測定を行った。
〇:2.0kN以上/(40mm×40mm):良
△:1.5以上2.0kN未満/(40mm×40mm):実用可能
×:1.5kN未満/(40mm×40mm):実用不可
【0060】
<60℃接着強度評価>
上記初期接着強度評価と同じ、銅製付着子を取り付けた貼り合わせ物及び試験器を使用した。銅製付着子を取り付けた貼り合わせ物を60℃のオーブン内で2時間温調した後、同条件にて測定を行った。
〇:1.0kN以上/(40mm×40mm):良
△:0.5以上1.0kN未満/(40mm×40mm):実用可能
×:0.5kN未満/(40mm×40mm):実用不可
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】