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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】水田作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20250109BHJP
   A01C 15/00 20060101ALI20250109BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01C15/00 G
A01C11/02 331D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022178171
(22)【出願日】2022-11-07
(65)【公開番号】P2024067824
(43)【公開日】2024-05-17
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】川上 修平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 学
(72)【発明者】
【氏名】飛田 秀平
(72)【発明者】
【氏名】池田 一生
(72)【発明者】
【氏名】阿部 匡良
(72)【発明者】
【氏名】小佐野 光
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-154394(JP,A)
【文献】特開2016-198004(JP,A)
【文献】特開2013-146219(JP,A)
【文献】特開2018-038324(JP,A)
【文献】特開2020-178631(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0356096(US,A1)
【文献】特開2021-023154(JP,A)
【文献】特開2022-124380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
A01C 15/00
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と可変施肥装置を備え、前記制御部により、所定の経路に沿って圃場を自動走行して圃場作業を行う水田作業機において、
前記所定の経路は、手動走行により圃場の外周の少なくとも一部に沿った、経路生成ティーチングの走行を行うことにより生成され、
前記制御部は、自動で、前記可変施肥装置のための可変施肥ティーチングを実行させることが出来、
前記手動走行による前記経路生成ティーチングの走行中は、前記制御部は前記可変施肥ティーチングを行わず、
前記可変施肥ティーチングは、前記経路生成ティーチングが終了後、前記生成された所定の経路に沿った自動走行が行われる前に、前記生成された所定の経路以外の可変施肥用の経路を用いて行われ、
前記可変施肥用の経路は、前記経路生成ティーチングの結果を利用して決定され、
前記圃場は四角形圃場であって、前記経路生成ティーチングはその圃場の3辺を用いて行われ、
前記経路生成ティーチングの終了後に、その終了した場所の隅(1d)から、圃場の対角線上の隅(1b)に向かって往路(I4)として斜めに走行しながら可変施肥自動ティーチングを行い、
前記対角線上の隅(1b)から前記隅(1d)に向かって復路(I5)として空走りを行い、
前記往路(I4)と前記復路(I5)は互いにずらし、同じ経路を走行させないことを特徴とする水田作業機。
【請求項2】
前記自動走行が行われる所定の経路は、3辺に沿って行われる前記経路生成ティーチングの最終の辺に平行な複数の直線状の経路であり、
前記自動走行は、前記複数の直線状の経路の内、前記最終の辺である3つ目の辺に隣接する内側の経路のさらに内側に隣接する経路(I4’)から開始され、
前記直線状の経路の内、前記経路生成ティーチングの最終の辺である3つ目の辺の内側に隣接する経路の、前記隅(1d)側の地点をポイント(P1)とし、
前記3つ目の辺の内側に隣接する経路のさらに内側に隣接する経路(I4’)のさらに内側に隣接する経路の、前記隅(1d)側の地点をポイント(P4)とし、
前記直線状の経路の内、前記経路生成ティーチングの1つ目の辺に隣接する経路の前記隅(1b)側の地点をポイント(P3)とし、
前記1つ目の辺に隣接する経路のさらに内側に隣接する経路の、前記隅(1b)側の地点をポイント(P2)とし、
前記ポイント(P1)からポイント(P2)を結ぶ往路の行程で可変施肥自動ティーチングを実施し、
旋回後、ポイント(P3)からポイント(P4)を結ぶ復路の行程で空走りさせて、ポイント(P4)へ戻って来た後、旋回して、前記3つ目の辺の内側に隣接する経路のさらに内側に隣接する経路(I4’)に移動する、請求項1記載の水田作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植機などの水田作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可変施肥が可能な田植機が知られている(特許文献1)。
【0003】
ところで、圃場の肥沃度に対して、一律に減肥するというのではなく、それぞれの田んぼの中での相対値で減肥率を決める関係上、田んぼに入って最初に、可変施肥ティーチングという行程があり、その田んぼの深さと肥沃度の平均値を出し、その数値から、田んぼの深さや肥沃度のバラツキを基準にして減肥率を決めることが行われている。その際、出来るだけ田んぼの外周や隅でない所での可変ティーチングが望ましい。
【0004】
他方近時、ロボット田植機の研究開発が行われている。そのため、最初に圃場の形状や位置についての情報を獲得するため、手動で圃場の外周を走行して経路生成ティーチングを実施することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-023154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のように、可変施肥ティーチングを実行する位置、場所は、圃場の外周側や端よりも少し内側の方がその圃場の平均値を推定する上で適切であることが知られている。
【0007】
しかしながら、上述のような従来の技術では、経路生成ティーチングと、可変施肥ティーチングの実行タイミングについて何ら考慮されていないのが実情である。
【0008】
本発明では、従来の課題を考慮し、経路生成ティーチングと、可変施肥ティーチングの実行タイミングを適切に出来る水田作業機を提供することを目的とする。
【0009】
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明は、
制御部と可変施肥装置を備え、前記制御部により、所定の経路に沿って圃場を自動走行して圃場作業を行う水田作業機において、
前記所定の経路は、手動走行により圃場の外周の少なくとも一部に沿った、経路生成ティーチングの走行を行うことにより生成され、
前記制御部は、自動で、前記可変施肥装置のための可変施肥ティーチングを実行させることが出来、
前記手動走行による前記経路生成ティーチングの走行中は、前記制御部は前記可変施肥ティーチングを行わず、
前記可変施肥ティーチングは、前記経路生成ティーチングが終了後、前記生成された所定の経路に沿った自動走行が行われる前に、前記生成された所定の経路以外の可変施肥用の経路を用いて行われ、
前記可変施肥用の経路は、前記経路生成ティーチングの結果を利用して決定され、
前記圃場は四角形圃場であって、前記経路生成ティーチングはその圃場の3辺を用いて行われ、
前記経路生成ティーチングの終了後に、その終了した場所の隅(1d)から、圃場の対角線上の隅(1b)に向かって往路(I4)として斜めに走行しながら可変施肥自動ティーチングを行い、
前記対角線上の隅(1b)から前記隅(1d)に向かって復路(I5)として空走りを行い、
前記往路(I4)と前記復路(I5)は互いにずらし、同じ経路を走行させないことを特徴とする水田作業機である。
第2の本発明は、
前記自動走行が行われる所定の経路は、3辺に沿って行われる前記経路生成ティーチングの最終の辺に平行な複数の直線状の経路であり、
前記自動走行は、前記複数の直線状の経路の内、前記最終の辺である3つ目の辺に隣接する内側の経路のさらに内側に隣接する経路(I4’)から開始され、
前記直線状の経路の内、前記経路生成ティーチングの最終の辺である3つ目の辺の内側に隣接する経路の、前記隅(1d)側の地点をポイント(P1)とし、
前記3つ目の辺の内側に隣接する経路のさらに内側に隣接する経路(I4’)のさらに内側に隣接する経路の、前記隅(1d)側の地点をポイント(P4)とし、
前記直線状の経路の内、前記経路生成ティーチングの1つ目の辺に隣接する経路の前記隅(1b)側の地点をポイント(P3)とし、
前記1つ目の辺に隣接する経路のさらに内側に隣接する経路の、前記隅(1b)側の地点をポイント(P2)とし、
前記ポイント(P1)からポイント(P2)を結ぶ往路の行程で可変施肥自動ティーチングを実施し、
旋回後、ポイント(P3)からポイント(P4)を結ぶ復路の行程で空走りさせて、ポイント(P4)へ戻って来た後、旋回して、前記3つ目の辺の内側に隣接する経路のさらに内側に隣接する経路(I4’)に移動する、第1の本発明の水田作業機である。
本発明に関連する第1の発明は、
制御部と可変施肥装置を備え、前記制御部により、所定の経路に沿って圃場を自動走行して圃場作業を行う水田作業機において、
前記所定の経路は、手動走行により圃場の外周の少なくとも一部に沿った、経路生成ティーチングの走行を行うことにより生成され、
前記制御部は、自動で、前記可変施肥装置のための可変施肥ティーチングを実行させることが出来、
前記手動走行による前記経路生成ティーチングの走行中は、前記制御部は前記可変施肥ティーチングを行わない、水田作業機である。
【0011】
本発明に関連する第2の発明は、
前記可変施肥ティーチングは、前記経路生成ティーチングが終了後、前記生成された所定の経路に沿った自動走行が行われる前に、前記生成された所定の経路以外の可変施肥用の経路を用いて行われ、
前記可変施肥用の経路は、前記経路生成ティーチングの結果を利用して決定される、本発明に関連する第1の発明の水田作業機である。
【0012】
本発明に関連する第3の発明は、
前記圃場は四角形圃場であって、前記経路生成ティーチングはその圃場の3辺を用いて行われ、
前記制御部は機体を、前記圃場の出入口から前記経路生成ティーチングに使わない残る1辺に沿って空走りさせ、その到達した隅から前記3辺利用して前記経路生成ティーチングを実行させ、前記出入口まで戻って来たところから、前記圃場の対角線上に前記機体を走行させながら前記可変施肥ティーチングをさせ、その対角線上の到達した隅から、前記生成された所定の経路を利用して自動走行をさせる、本発明に関連する第2の発明の水田作業機である。
【0013】
本発明に関連する第4の発明は、
自動の前記可変施肥ティーチングは、前記生成された所定の経路のうちの予め決められた一部の経路の走行中に行われ、
作業者が前記圃場の任意の場所で手動による可変施肥ティーチングを行う機能も備える、本発明に関連する第1の発明の水田作業機である。
【0014】
発明に関連する第5の発明は、
前記経路生成ティーチングが行われている際に、手動による前記可変施肥ティーチングが行われた場合、前記可変施肥ティーチングの結果データはリセットされる、本発明に関連する第4の発明の水田作業機である。
【0015】
本発明に関連する第6の発明は、
前記所定の経路は、前記圃場の中央部における往復経路と、その往復経路の周りを走行する内周経路を含み、
自動による前記可変施肥ティーチングの行われる前記予め決められた一部の経路は、前記往復経路の一部である、本発明に関連する第5の発明の水田作業機である。
【0016】
本発明に関連する第7の発明は、
自動による前記可変施肥ティーチングは、前記往復経路における2行程目で実行され、
田植開始から終了までで1度だけ行われる、本発明に関連する第6の発明の水田作業機である。
【発明の効果】
【0017】
第1の本発明により、ロボット自動走行をする際、可変施肥ティーチングが圃場の端などで行われない優れた効果を発揮する。さらに、可変施肥ティーチングに、経路生成ティーチングによって設定された経路以外の経路も利用できるので、圃場の平均肥沃度など測定の精度を増す経路を選択できる。さらに、可変施肥ティーチングにおいて、往路と復路が重ならないので圃場の荒れを抑制出来る。
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、可変施肥ティーチングの終了後、その場所から直ぐに直線往復自動走行に移動出来る。
本発明に関連する第1の発明により、ロボット自動走行をする際、可変施肥ティーチングが圃場の端などで行われない優れた効果を発揮する。
【0018】
本発明に関連する第2の発明により、可変施肥ティーチングに、経路生成ティーチングによって設定された経路以外の経路も利用できるので、圃場の平均肥沃度など測定の精度を増す経路を選択できる。
【0019】
本発明に関連する第3の発明により、可変施肥ティーチングによって圃場が荒れることを抑制できる。
【0020】
本発明に関連する第4の発明により、自動往復走行中に、可変ティーチングを行うことが可能となり便利さが増す。
【0021】
本発明に関連する第5の発明により、経路生成ティーチング中に可変施肥ティーチングが行われた場合は、圃場の端の可能性が高いのでそのようなデータをリセット出来る。
【0022】
本発明に関連する第6の発明により、可変施肥ティーチングが行われる経路は自動往復経路であり、可変施肥ティーチングが圃場の端で行われることを防止できる。
【0023】
本発明に関連する第7の発明により、可変施肥ティーチングが往復経路における2行程目で行われるので、圃場の端での可変施肥ティーチングを防止できるとともに、慣行施肥を行う工程を減らすことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明における実施の形態にかかる水田作業機の例である田植機の側面図
図2】同上田植機の制御部を中心とする構成図
図3】同上田植機の圃場における走行経路(その1)などを説明する図面
図4】同上田植機の圃場における走行経路(その2)などを説明する図面
図5】同上田植機の圃場における走行経路(その3)などを説明する図面
図6】同上田植機の圃場における走行経路(その3)の別の説明図面
図7】同上田植機の圃場における走行経路(その4)などを説明する図面
図8】田植機の圃場における従来の走行経路などを説明する図面
図9】同上田植機の圃場における走行経路などを説明する図面
図10】同上田植機の変形圃場における走行経路などを説明する図面
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明における実施の形態の水田作業機の左側面図であり、図2は本発明における実施の形態の水田作業機のブロック図である。以下では、水田作業機の進行方向を基準として、前後、左右、上下とする。
【0027】
本実施の形態の水田作業機はいわゆるロボット作業機であって、その車体100は、操縦装置240における手動操縦操作または自動操縦操作に応じて、左右一対の前輪221および後輪222を有する走行装置220で走行しながら、整地フロート261を有する整地装置260により圃場の整地を行って苗植付け装置230により圃場への苗植付けを行うとともに可変施肥装置250により圃場への施肥を行うための田植え機である。
【0028】
走行装置220ならびに苗植付け装置230、可変施肥装置250および整地装置260は、HSTである主変速装置300などを介して伝達されるエンジン210の動力により駆動される。
【0029】
コントローラー500は、上記のような車体100,エンジン210,走行装置220,苗植付け装置230、操縦装置240、主変速装置300などを制御するコンピュータである。記憶部500aは走行経路に関するデータなどを記憶する手段である。また、車体100にはGNSS600からの通信を受信できるGNSS装置を備える。また、400は圃場の肥沃度や深さや温度などを検出する肥沃度等センサーである。
【0030】
以下、圃場におけるロボット自動走行のための所定の経路を生成する経路生成ティーチングを行ったあと、その生成された経路を利用して自動走行を行う動作について、圃場が四角形の場合を例にとって説明する。
【0031】
図3において、経路生成ティーチングは、圃場1の出入口1aから、手動操舵によって苗植付け装置230を用いて苗を植付けながら、1つ目の行程I1を進む。一つ目の隅1bに至ると右方向へ方向転換し、2つ目の行程I2を進み、2つめの隅1cに至るとさらに右方向へ方向転換し、3つ目の行程I3を進み、3つ目の隅1dに至る。この3辺の手動走行によって圃場1の形状や位置情報を制御部500は獲得し記憶部500aに記憶する。このようにして経路生成ティーチングが終了する。
【0032】
このようにして生成される経路は、それらの外周行程I1、I2、I3から一つ内側の内周経路(図7の一点鎖線。ロボット枕地作業経路ともいう)と、その内周経路の更に内側の、圃場1の中央部における複数の平行な直線往復経路I4、I5、I6(図3)と、それらの経路を結ぶ旋回経路等となる。
【0033】
その後、原則として、経路生成ティーチングを終了した車体100はI3(図3)のすぐ内側の内周経路を一つ飛ばして、往復経路の一つ目の行程I4(図3)に移行して植付けをしながら自動走行していき、さらに旋回をして往復経路における2つ目の行程I5に移行して植付けをしながら自動走行していく。
【0034】
これを繰り返した後、外周行程の1つ目の行程I1(図3)の直ぐ内側の内周経路に移動し、さらに外周経路の2つ目の行程I2(図3)の直ぐ内側の内周経路に移動し、さらに、外周経路の3つ目の行程I3(図3)の直ぐ内側の内周経路に移動し、隅1dまで走行して自動走行を終了する。
【0035】
最後に、手動操舵によって、4角形の圃場1の4辺のうち、経路生成ティーチングで走行しなかった残る一辺1eを植付け走行して出入口1aまで戻る。
【0036】
次に、肥沃度等センサー400を用いて行う可変施肥ティーチングについて説明する。
【0037】
<経路生成ティーチング走行によって得られた所定の経路の自動走行中に可変施肥ティーチングを行うケース>
可変施肥装置250は可変施肥ティーチングによって得られた圃場1の肥沃度、深さ、温度などのデータを使用して、その後、自動的に可変施肥を実施するが、そのための準備としての可変施肥ティーチングを、図1における直線往復経路における1つ目の行程I4(図3)で自動走行しながら同時に可変施肥ティーチングを行う。すなわち、この行程I4(図3)においてその場所の肥沃度などをセンシングする。
【0038】
可変施肥ティーチングは圃場1の畦寄りの場所よりも、より圃場1の内側で行う方が、圃場1の全体の肥沃度などの推定が正確になる。上述の可変施肥ティーチングは行程I4(図3)を用いるので、その行程I4(図3)は外周経路の直ぐ内側の内周経路よりも、さらに、圃場1の内側に位置するので、可変施肥ティーチングを実施するに適切である。
【0039】
なお、その可変施肥ティーチングが終了するまでは、苗植付け作業において慣行の施肥量を施肥してく。従って、この慣行の施肥量を用いる行程はあまり長いことは望ましくない。例えば、図3のI6のように、かなり圃場1の中心に近いところまで来ないと可変施肥ティーチングを実施しないと、慣行の施肥量を用いる施肥行程が長すぎるということになる。もっとも、別の例としては、行程I4(図3)の一つ内側の行程I5(図3)でも構わない。あるいは行程I4(図3)と行程I5(図3)の2つの行程を利用して可変施肥ティーチングを実施してもよい。
【0040】
そのような可変施肥ティーチングをどの直進自動往復経路の行程で実施するかは、予め制御部500にプログラムしておく。上述したように経路生成ティーチングによって経路が生成されるので、可能である。
【0041】
さらには、行程I4(図3)の内のさらに、圃場1の畦近くの部分は省き、出来るだけ圃場1の中央部の肥沃度などをセンシングすることも出来る。制御部500は経路情報を持っているので可能である。また、自動旋回中には肥沃度のセンシングをさせないことは勿論である。旋回する場所は圃場1の畦に近いからである。
【0042】
なお、手動で可変施肥ティーチングを実行させることは出来るが、仮に経路生成ティーチングが行われているときに、手動による可変施肥ティーチングが行われてしまった場合は、その手動による可変施肥ティーチングの結果データはリセットされる。圃場の畦に近い場所での可変施肥ティーチングになってしまうからである。
【0043】
また、可変施肥ティーチングは何回も行われず、一回だけ行うことが望ましい。慣行の施肥量の用いかたが難しくなるからである。
【0044】
<経路生成ティーチング走行によって得られた所定の経路以外の経路で可変施肥ティーチングを行うケース>
a.出入口からスタートさせる経路生成ティーチングよりも先に出入口から可変施肥手動ティーチングをする場合について説明する。
【0045】
図4に示すように、出入口1aから先に手動による可変施肥手動ティーチングを実行する。すなわちまず、圃場1の対角線上を手動で車体100を空走りさせ(図4の点線I1)、復路の実線I2(図4)で出入口1aまで戻って来る行程で可変施肥手動ティーチングを行う。このように出入口1aに戻ってくるので、そこから上記のように経路生成ティーチングを実行する。
【0046】
b.出入口からスタートさせる経路生成ティーチングが終了した後、生成された所定の往復自動経路の自動走行前に、出入口から可変施肥手動又は自動ティーチングを行う。
【0047】
(その1) 図5に示すように、上述したとおり出入口1aからの経路生成ティーチングを経路I1、I2、I3に沿って行い、隅1dに至る。これによって、所定の自動往復経路が生成され、制御部500に格納される。そして、その経路生成ティーチングの終了後に、出入口1aの反対側のその隅1dから対角線上の隅1bに向かって斜めに往路I4(図5)で可変施肥自動ティーチングを行う。この場合、既に所定の経路が形成されているのでその斜めの往路I4(図5)の行き先の目標となる隅1bは制御部500で計算できるので、自動で可変施肥自動ティーチングが正確に可能となる。もちろん手動で斜め走行させてもよい。
【0048】
その可変施肥自動ティーチングは図5では往路I4にて可変施肥ティーチングを実行し、復路I5では空走りする。その往路I4と復路I5は互いにすらして同じ経路を走行させないことで圃場の荒れを防止できる。
【0049】
より具体的には、図6に示すように、経路生成ティーチングの終了地点の隅1dの1つの行程内側のポイントをP1とし、往復経路の内、経路生成ティーチングの1つ目の外周行程の直ぐ内側の内周経路の直ぐ内側の経路の隅1b側のポイントをP2とし、そのすぐ隣の内周経路の地点をP3とし、上記ポイントP1の隣りの隣りの地点をポイントP4とすると、ポイントP1とポイントP2を結ぶ行程で可変施肥自動ティーチングを実施し、旋回後、ポイントP3とポイントP4を結ぶ行程で空走りさせて、ポイントP4へ戻って来る。
【0050】
その後矢印のように旋回して自動往復路I4’に移動して走行することで、内周経路を一行程開けて、通常の往復自動直進走行が可能となる。このようにすることでポイントP2からP3への旋回やポイントP4から往復経路への旋回がスムーズになる。
【0051】
(その2) 図7に示すように、先に、出入口1aの反対側の隅1dへ空走りさせ(経路I1)、そこから、I2、I3、I4と通常の経路生成ティーチングを行い出入口1aまで到達させる。その経路生成ティーチングの終了後、生成された所定の経路の自動往復走行をさせる前に、出入口1aから可変施肥手動又は自動ティーチングを行う。これによって、可変施肥ティーチングの復路が省略できる。
【0052】
具体的には、図7に示すように、出入口1aから反対側へ手動で車体100を空走りさせ(I1)、そこから手動により、外周を3行程分手動で植付ながら経路生成ティーチングを行う(I2、I3、I4)。そして出入口1aに戻るのでそこから可変施肥ティーチングを行う。経路が生成されているので自動でティーチングが可能である。手動でも可能である。
【0053】
すなわち、出入口1aに戻った車体100を制御部500は対角線上の隅1cに向かって走行させる。詳細には、出入口1aの隣のポイントP1から、経路生成ティーチングの最初の行程I2の直ぐ内側の内周行程の直ぐ内側の往復行程I6のさらに直ぐ内側の往復行程I7の隅1c側のポイントP2に向かって斜めの行程I5を可変施肥自動ティーチングしながら走行させる。なお、既に経路生成ティーチングが終了しているので、その経路I5の行き先の目標P2は制御部で計算できるので、自動でこのような可変施肥自動ティーチングが可能となる。
【0054】
そして、対角線上のP2へ到達した後、その位置から旋回して自動往復行程I6に移動出来るので、内周を一行程(一点鎖線のロボット枕地作業経路)開けて、自動往復走行が可能となる。
【0055】
従って、このやり方によれば、可変施肥ティーチングのためには往路の一本経路で済み、圃場を荒らす程度が少なくなる。
【0056】
なお、上記実施例において、可変施肥ティーチングを自動で行ったが、手動で行ってもよい。
【0057】
以下、ロボット自動走行タイプではない、従来の手動による所定の可変施肥ティーチング方法と、ロボット自動走行タイプに適合させた例を説明する。
【0058】
図8は、その従来の所定の可変施肥ティーチングの作業を示す。即ち、空走りを含めた3行程目で可変施肥ティーチングの自動計測を始める。田植開始から、計測終了までは慣行施肥(減肥なし)で作業を行う。自動計測終了後は可変施肥を実行する。「手動計測開始」のボタンをタッチしなければ、そのまま自動計測を実行する。田植開始から田植終了の間に一度だけ可変ティーチングを実施する。
【0059】
図9は、その従来のロボット自動走行タイプではない所定の可変施肥ティーチングのやり方をロボット自動走行タイプに適合させた例である。
【0060】
即ち、圃場の形状、大きさをティーチングする経路生成ティーチングの行程では機体方向切り替え時にカウントを0にする。この経路生成ティーチングでは可変施肥ティーチングは行わない。空走りを含めた2行程目で可変ティーチングの自動計測を始める。田植開始から、計測終了までは慣行施肥(減肥なし)で作業を行う。自動計測終了後は可変施肥を実行する。「手動計測開始」のボタンをタッチしなければ、そのまま自動計測を実行する。
【0061】
さらに具体的に説明する。
【0062】
ロボット田植機は、経路生成のティーチング作業で、最初に周り3行程を植付する。その際、圃場の3辺がほぼ同じ距離で合った場合、上記従来の所定の可変施肥の自動ティーチングだと、3行程で開始してしまい、狙いとする圃場の端を避けた可変施肥ティーチングが実施できない。
【0063】
そこで、その所定の従来の可変施肥2行程目検出処理においてハンドル切操作時に前回の行程距離と今回の行程距離に0をセット(リセット)することで可変施肥の自動ティーチングの早期開始を回避する。
【0064】
さらに、具体的に説明する。
【0065】
可変施肥ティーチングでは作業の3行程目で圃場の作土深、SVFの平均値と標準偏差値を算出する。この可変施肥ティーチング作業は、自動で3行程目で検出して行う自動ティーチングと、作業者が任意の場所でティーチングの開始、終了を行う手動ティーチングの2つがある。その自動ティーチングは次のように行われる。なお自動ティーチングは、田植開始~田植終了の間に1度だけ行われる。
【0066】
1.2行程目検出
作業行程の判定は左後輪の回転センサーにて行う。昇降自動モード中に、ステアリングが直進の場合に左後輪の回転センサーの入力を検出すると、加算する。ステアリング直進でバックスイッチを検出中に左後輪の回転センサーの入力を検出すると、行程数検出用のパルスldspls_dc_KTを減算する。
【0067】
1-1.2行程目検出前
ステアリングを切った際に、(ロボット)ティーチングモードであればldspls_KTを0にリセットする。ステアリングを切った際に、ldspls_dc_KTが700(約7m)以上であれば前行程の距離としてldspls_dc_KT_sav= ldspls_dc_KTを保存し、|ldspls_dc_KT_sav-ldspls_dc_KT|<300(差分が約3m以内)であれば直線距離がほぼ同じとし、2行程終了と判断する。その後、ldspls_dc_KTは0にリセットする。
【0068】
1-2.2行程目検出後
ldspls_dc_KT>300になると、3行程目と判断し、ティーチングを開始する。タブレットの「手動計測開始」ボタンが「データ取得中」に変わる。(ティーチングの開始)タブレットの作業状態画面の「田植作業中」の表示が「基準データ計測中」に変わる。ldspls_dc_KT> ldspls_dc_KT_sav-300になると畦の手前と判断し、ティーチングを終了する。
【0069】
タブレットの「データ取得中」ボタンが「手動計測開始」に変わること。(ティーチングの終了)タブレットの作業状態画面の「基準データ計測中」の表示が「田植作業中」に変わる。
【0070】
2..実作業での確認行程
実作業での2行程目検出、ティーチングの確認を下記の手順で行う。
【0071】
植付部下げ操作を行い、約10m直進する。ステアリングを切って旋回し、隣接条を合わせる。再度、植付部下げ操作を行い、10m直進する。ステアリングを切って旋回し、隣接条を合わせる。再度、植付部下げ操作を行いし、約3m直進する。タブレットの「手動計測開始」ボタンが「データ取得中」に変わる。(ティーチングの開始)タブレットの作業状態画面の「田植作業中」の表示が「基準データ計測中」に変わる。その後、約4m直進するとティーチングが終了する。タブレットの「データ取得中」ボタンが「手動計測開始」に変わる。(ティーチングの終了)タブレットの作業状態画面の「基準データ計測中」の表示が「田植作業中」に変わる。
【0072】
さらに、別角度から説明する。
【0073】
正方形圃場のように、圃場の3辺がほぼ同じ距離であった場合、経路生成のティーチング完了後の初回のステアリング切操作時、その時点で2行程目と判断されてしまい、圃場の形状によって2行程目と判断される行程がズレてしまう問題がある。
【0074】
そこで、経路生成のティーチング完了後の初回のステアリング切操作時は2行程目検出を行わない。
【0075】
これによって、圃場形状によらず、同じ行程で2行程目検出(自動ティーチング)ができる。
【0076】
次に、ロボット田植機は、経路生成ティーチング後は1行程飛ばして(空けて)旋回して植付をする。その結果、自動ティーチングを実施する行程が、通常の可変施肥の作業よりも圃場の内側になってしまうため、可変施肥するエリアが少なくなってしまう問題がある。なお、可変ティーチング完了までは慣行施肥で施肥する。
【0077】
そこで、ハンドル切操作時に前回の行程距離は従来通り保持しておき経路生成のティーチング完了後の初回のステアリング切操作時を2行程目と判断する。
【0078】
これによって、初回の行程で可変自動ティーチングができる。
【0079】
次に、図10に示すような変形田の場合、ロボット走行は1行程飛ばしているため、前回の行程距離と今回の自動ティーチングで走行する行程距離の乖離が大きくなる。段々行程距離が短くなるような圃場形状の場合、端まで到達した場合に、通常の自動ティーチング完了距離(前行程-3m)に到達しない可能性が高まる。
【0080】
そこで、自動計測終了の条件にOR条件でハンドル切操作時を追加する。
【0081】
これによって、変形田でもハンドルを切る=圃場の端で旋回した時点で自動ティーチングを完了させる。
【0082】
次に、変形田の場合、ロボット走行は1行程飛ばしているため、前回の行程距離と今回の自動ティーチングで走行する行程距離の乖離が大きくなる。段々行程距離が短くなるような圃場形状の場合、端まで到達した場合に、通常の自動ティーチング完了距離(前行程-3m)に到達しない可能性が高まる。
【0083】
そこで、自動計測終了の条件にOR条件で植付部上げ時を追加する。
【0084】
これによって、変形田でも植付部を上げる=圃場の端で旋回した時点で自動ティーチングを完了させる。
【0085】
次に、変形田の場合、ロボット走行は1行程飛ばしているため、前回の行程距離と今回の自動ティーチングで走行する行程距離の乖離が大きくなる。段々行程距離が短くなるような圃場形状の場合、端まで到達した場合に、通常の自動ティーチング完了距離(前行程-3m)に到達しない可能性が高まる。
【0086】
そこで、自動計測終了の条件にOR条件でロータクラッチ切り時を追加する。
【0087】
これによって、変形田でもロータクラッチ切り=圃場の端で旋回した時点で自動ティーチングを完了させる。
【0088】
次に、可変施肥のティーチングは圃場の全体のデータの標準偏差、平均値を取りたいので、なるべく全体のデータが取れるように手動ティーチングの斜め走りがよいといわれる。
【0089】
従来の手法は、出入口から対辺に向かって手動ティーチングし、(以降慣行作業と同様)圃場を荒らさないように枕地を空走りでマーカを出しながら走行し、旋回後に植付作業を行うというものである。
【0090】
しかし、現在のロボットティーチング(経路生成)は出入口側から植付をしながら行う必要があり、従来の手法が適用できない。
【0091】
また、経路生成ティーチング開始前に可変施肥手動ティーチングを行う手法は出入口から対辺に向かって手動で往復する必要があり、作業者の負担となる。
【0092】
そこで、経路生成ティーチング完了時に可変施肥のティーチングを実行する往路(図5のI4参照)を決定する。
【0093】
これによって、経路生成ティーチングを行った際に、可変施肥のティーチングを行う経路も生成することで、斜め走りのティーチングも自動走行で行うことができる。この際、苗補給側の畦以外の3辺を植付しながらロボットのティーチングを行っているので、圃場外に経路を生成したり、異常な経路走行で可変施肥ティーチングを行う恐れもない。
【0094】
次に、上記のように、可変施肥のティーチングは圃場の全体のデータの標準偏差、平均値を取りたいので、なるべく全体のデータが取れるように手動ティーチングの斜め走りがよいとされている。
【0095】
従来の手法は、出入口から対辺に向かって手動ティーチングし、(以降慣行作業と同様)圃場を荒らさないように枕地を空走りでマーカを出しながら走行し、旋回後に植付作業を行うというものである。
【0096】
しかし、経路生成ティーチング(経路生成)は出入口側から植付をしながら行う必要があり、従来の手法が適用できない。
【0097】
また、経路生成ティーチング開始前に可変施肥手動ティーチングを行う手法は出入口から対辺に向かって手動で往復する必要があり、作業者の負担となる。
【0098】
そこで、経路生成ティーチングが完了時に、可変施肥のティーチング完了から初期作業位置に戻る復路(図5のI5参照)を生成しておく。
【0099】
これによって、経路生成ティーチングを行った際に、可変施肥のティーチングを行う経路も生成することで、斜め走りのティーチングも自動走行で行うことができる。この際、苗補給側の畦以外の3辺を植付しながら経路生成ティーチングを行っているので、圃場外に経路を生成したり、異常な経路走行で可変施肥ティーチングを行う恐れもない。
【0100】
次に、上述したように、可変施肥ティーチング経路を生成した場合、経路生成ティーチング完了後自動操舵が開始可能な状態で自動操舵を開始した時可変施肥のティーチングが完了していない場合、可変施肥のティーチングの上記往路(図5のI4参照)に沿って走行を行う。このように、可変施肥のティーチング走行を自動で実行してくれる。
【0101】
また、上述した例で、経路I4での走行完了により可変施肥のティーチングを終了した後は、上述したように、生成された可変施肥のティーチング完了から初期作業位置に戻る復路である経路(I5)に沿って走行する。
【0102】
このように、可変施肥のティーチング走行完了後、自動で初期作業位置に戻すことが出来る。
【0103】
なお、既に可変施肥ティーチングを完了していたら、自動操舵で再度ティーチング行程を走行する必要はない。従って、経路生成ティーチング完了後自動操舵が開始可能な状態で自動操舵を開始した時可変施肥のティーチングが完了している場合、従来のロボット田植機の走行経路に従って自動走行を行えばよい。
【0104】
次により詳細な走行の位置について一部重複しながら説明する。
【0105】
上述したように、図6に示すような可変施肥ティーチングを行う場合においては、可変施肥ティーチング往路の始点は枕地作業経路の最終経路の終点P1とする。これによって、可変施肥ティーチング往路を決めることができる
図6において、可変施肥ティーチング往路の終点は枕地作業経路に入る1本前の作業経路の苗補給側と反対側の終点P2とする。これによって、可変施肥ティーチングの往路を正確に決めることができる。
【0106】
このようにして、変施肥ティーチングの往路は点P1とP2を結んだ経路となる。
【0107】
次に、復路については、図6において、可変施肥ティーチング復路の始点は枕地作業経路の1本目の終点P3とする。可変施肥ティーチングの復路を決めることができる
また、可変施肥ティーチングの復路の終点は作業開始経路から1本次の作業経路の苗補給側の始点P4とする。これで可変施肥ティーチングの復路を決めることができる。
【0108】
このようにして可変施肥ティーチングの復路は点P3とP4を結んだ経路となる。このように往路と復路を異ならせることで次のような欠点を防止できる。
【0109】
すなわち、往路と復路が重複していると、同じ場所を2度走行して圃場を荒らしてしまう。また、往路から復路への旋回は同一の始点・終点に向かって機体を合わせると機体の旋回に無理が生じてしまう。更に、最終的には従来の作業開始位置に機体を合わせる必要があるので従来の作業開始位置を経路の点に用いてしまうと、復路の終点からの旋回が難しい。
【0110】
次に、上述したようなやり方だと、手動で走行する経路は少なくなるが圃場の真ん中を斜めに往復してしまうこととなり、圃場を荒らしてしまうのであまり望ましくない。
【0111】
そこで、図7に示すように、経路生成ティーチング完了時に可変施肥のティーチングを実行する往路(I5)を生成する。このようにすれば、斜め走り1本で済み荒らす心配が少なくなる。
【0112】
走行経路の位置については、可変施肥ティーチング経路の始点は枕地作業経路1本目の始点P1とする(図7参照)。これで、可変施肥ティーチングの往路を決めることができる。
【0113】
また、その可変施肥ティーチング経路の終点は新作業開始経路の次の作業経路の苗補給側と反対側の終点P2とする。これで可変施肥ティーチングの往路を決めることができる。
【0114】
可変施肥ティーチング経路はこのような点P1、P2を結んだ経路とする。復路は必要なくなる。
【0115】
図7に示すように、そのような可変施肥ティーチングの経路生成を行った場合、作業開始経路は従来のティーチング最終経路から1本飛ばした作業経路ではなく、ティーチング初回経路から1本飛ばした作業経路とする。
【0116】
これによって、斜め1本走りで可変施肥ティーチングを実行した後、隣接の作業経路から自動ロボット走行が可能となる。以降、従来のロボット自動走行と同様の作業ができ、最後の手動植え付け行程も出入口に向かって真っすぐ植付ながら出る経路を生成することができる(図7参照)。
【0117】
なお、可変施肥ティーチング往路と自動走行作業開始経路が重複していると、同じ場所を2度走行して圃場を荒らしてしまう。また、可変施肥ティーチング往路から作業開始位置への旋回は同一の始点・終点に向かって機体を合わせると機体の旋回に無理が生じてしまう。
【0118】
そこで、図7に示すように、可変施肥ティーチングの経路と自動ロボット走行の作業開始経路は互いに交差しないように生成されることが望ましい。
【0119】
次に、別の例について説明する。
【0120】
本来、可変施肥の「田植開始」とロボット田植機の「ティーチング開始」は別々で管理されている。ロボット田植機の機能に着目するとタブレットアプリ側の管理としては、ロボットの走行経路をタブレット上に描写するためロボットの「ティーチング開始」を認識した時点から作業データ計測を始めている。これとは別に、可変施肥の機能に着目するとタブレット操作、あるいは本機側で「田植開始」操作を行うと今から新規の圃場で可変施肥作業を行うとして1圃場毎の作業データ計測を始めている。
【0121】
これが、ロボット田植機と可変施肥の両方の機能を持った機種の場合、ロボットの「ティーチング開始」をしても可変施肥の「田植開始」操作を行わないと1圃場毎のデータが記録されないが、「開始」操作が2つあると作業者が操作を忘れてしまう可能性がある。
【0122】
そこで、可変施肥を有するロボット田植機の構成で、可変施肥の「田植開始」~「田植終了」の間以外、つまり可変施肥の作業を開始していない(タブレットでデータ収集していない)状態で、ロボット田植機の”自動モード”がティーチング(圃場形状教示)状態になった場合、強制的に「田植開始」状態にする。
【0123】
このようにすることで、ロボットティーチング開始=新規圃場での作業開始と考え、可変施肥の田植開始を行うことで、煩雑な作業を減らすことで操作忘れを防止する。
【0124】
すなわち、本機側「田植開始」の開始条件としては、以下の条件のいずれかのパターンを満たすときとする。
【0125】
(パターン1)
以下の条件を全て満足するとき。
【0126】
1.可変モード判定が本機モード(1)
2.モニタの緑ボタン(植付開始)押下
【0127】
(パターン2)
以下の条件を全て満足するとき。
【0128】
1.圃場データ収集完了判定が待機(0)
2.自動モードがティーチング(3)
なお、上記ケースの場合だと、操作忘れ防止のために「田植開始」操作をしたらロボットティーチングを開始したらいいように思われるが可変施肥の「田植開始」は1圃場毎のデータ計測開始のタイミングとなるので、ある程度はどのタイミングで実行されても問題ないが、ロボットの「ティーチング」は任意の場所から開始する必要がある。
【0129】
そこで、「田植開始」操作を実行してもロボットのティーチングは勝手に開始しない構成とする。
【0130】
これによって、意図しないタイミングでロボットティーチングが開始しないようにする。
【0131】
また、信号を規制すると、タブレット側が「田植開始」を認識できない。上記の場合タブレット側が本機側の操作を受け付けない「本機モード」時においても本機からの「田植開始」信号は受け付ける構成とする。
【0132】
これにより、モード判定が本機側の操作しか受け付けない本機モードでもタブレット側はロボットのティーチングを開始することで、1圃場毎の作業データを計測することができる。
【0133】
次に、別の例について説明する。
【0134】
GNSSのセンサーにより位置情報を取得し施肥量を電動で調節する機能と苗タンクが横移動した回数を検知するセンサーを有する田植機において、苗タンクの横移動回数と設定株間と横送り回数から計算した測定値とGNSSセンサーで取得した距離の差分をスリップ量として施肥量を調節する。これによって、施肥量を適正に出来環境にやさしい。
【0135】
GNSSのセンサーにより位置情報を取得し施肥量を電動で調節する機能を有する田植機において、GNSSセンサーによる走行距離が基準距離になった場合に施肥量をロール回転数から換算し目標施肥量と差がある場合に差の量に比例して施肥量の調整を行う。これによって、目標施肥量が実現できる。
【0136】
設定するダイヤルはハンドルより下にある。これによって操作しやすい場所に配置できる。あるいは、設定するモニタがハンドル前にある。これによって、操作しやすい場所に配置できる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、経路生成ティーチングと可変施肥ティーチングの実行タイミングを適切に出来る水田作業機を実現できるので、田植機などに最適である。
【符号の説明】
【0138】
1 圃場
100 車体
230 苗植付け装置
250 可変施肥装置
400 肥沃度などセンサー
500 制御部(コントローラ)
500a 記憶部
600 GNSS
I1~I7 走行経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10