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特許7616201表面に結合しているハロゲン化亜鉛及びカルボン酸亜鉛を含むコア-シェル型ナノ構造体
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  • 特許-表面に結合しているハロゲン化亜鉛及びカルボン酸亜鉛を含むコア-シェル型ナノ構造体 図1
  • 特許-表面に結合しているハロゲン化亜鉛及びカルボン酸亜鉛を含むコア-シェル型ナノ構造体 図2
  • 特許-表面に結合しているハロゲン化亜鉛及びカルボン酸亜鉛を含むコア-シェル型ナノ構造体 図3A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】表面に結合しているハロゲン化亜鉛及びカルボン酸亜鉛を含むコア-シェル型ナノ構造体
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/08 20060101AFI20250109BHJP
   C09K 11/88 20060101ALI20250109BHJP
   C09K 11/70 20060101ALI20250109BHJP
   C09K 11/02 20060101ALI20250109BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20250109BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20250109BHJP
   C01B 25/08 20060101ALI20250109BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20250109BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20250109BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20250109BHJP
   H10H 20/851 20250101ALN20250109BHJP
【FI】
C09K11/08 G ZNM
C09K11/88
C09K11/70
C09K11/08 A
C09K11/02 Z
B82Y20/00
B82Y40/00
C01B25/08 A
H05B33/14 Z
G02B5/20
G09F9/30 349A
H01L33/50
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2022501284
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2020041501
(87)【国際公開番号】W WO2021007475
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】62/872,912
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000186762
【氏名又は名称】昭栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】キム,ダエキョン
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ウェンジョウ
(72)【発明者】
【氏名】トゥ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,イーワ,アニー
(72)【発明者】
【氏名】バレラ,ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】イッペン,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ニューメイヤー,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】マ,ルイシン
【審査官】河村 明希乃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0083969(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0044586(US,A1)
【文献】国際公開第2018/178137(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/193445(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109628082(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0348577(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00-11/89
B82Y 20/00
B82Y 40/00
C01B 25/08
H05B 33/14
G02B 5/20
G09F 9/00-9/46
H01L 33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ結晶コアと、その表面に結合しているカルボン酸亜鉛及びハロゲン化亜鉛を有する少なくとも1つのシェルとを備え
前記ナノ結晶コアはInP又はCdSeを含み、
前記少なくとも1つのシェルはZnSeである、
ナノ構造体の集団。
【請求項2】
前記少なくとも1つのシェルの厚みは、0.9nm~1.1nmである、請求項1に記載のナノ構造体の集団
【請求項3】
前記ナノ構造体の直径は、3.6nm13.2nmである、請求項1又は2に記載のナノ構造体の集団
【請求項4】
InP/ZnSeコア-シェル型ナノ構造体である、請求項1~のいずれか一項に記載のナノ構造体の集団
【請求項5】
CdSe/ZnSeコア-シェル型ナノ構造体である、請求項1~のいずれか一項に記載のナノ構造体の集団
【請求項6】
発光スペクトルの半値全幅(FWHM)は、40nm未満である、請求項1~のいずれか一項に記載のナノ構造体の集団
【請求項7】
発光スペクトルのFWHMは、38~39nmである、請求項1~のいずれか一項に記載のナノ構造体の集団
【請求項8】
量子収率(QY%)は、80%を超える、請求項1~のいずれか一項に記載のナノ構造体の集団
【請求項9】
QY%は、85~88%である、請求項1~のいずれか一項に記載のナノ構造体の集団
【請求項10】
前記カルボン酸亜鉛は、酢酸亜鉛である、請求項1~のいずれか一項に記載のナノ構造体の集団
【請求項11】
前記カルボン酸亜鉛は、酢酸亜鉛二水和物である、請求項10に記載のナノ構造体の集団
【請求項12】
前記ハロゲン化亜鉛は、フッ化亜鉛である、請求項1~11のいずれか一項に記載のナノ構造体の集団
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のナノ構造体の集団の製造方法であって:
(a)不活性雰囲気下において、溶媒中のコア-シェル型ナノ構造体の集団をカルボン酸亜鉛及びハロゲン化亜鉛と混合することと;
(b)(a)の混合物の温度を81℃~385℃の間の温度まで昇温することと;
(c)その表面に結合しているカルボン酸亜鉛及びハロゲン化亜鉛を有するコア-シェル型ナノ構造体の集団を単離することと;
を含む方法。
【請求項14】
前記溶媒は、1-オクタデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン、エイコサン、オクタデカン、ヘキサデカン、テトラデカン、スクアレン、スクアラン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリオクチルアミン、トリオクチルホスフィン、若しくはジオクチルエーテル、又はこれらの組合せを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒は、1-オクタデセンを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
(a)における前記混合は、0℃~165℃の間の温度で行われる、請求項1315のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノ構造体の集団は、InP/ZnSeコア-シェル型ナノ構造体の集団である、請求項1316のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記カルボン酸亜鉛は、酢酸亜鉛である、請求項1317のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記酢酸亜鉛は、酢酸亜鉛二水和物の形態にある、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
記コシェル型ナノ構造体の集団は、
(d)不活性雰囲気下において、溶媒、配位子、及び塩化亜鉛を含む溶液にInPコアを72℃~165℃の温度で添加することと;
(e)(d)で得られた溶液に臭化亜鉛及び塩化ガリウムを添加することと;
(f)(e)で得られた溶液にセレン源を添加することと;
(g)(f)で得られた溶液を135℃~374℃の温度に加熱することと;
(h)(g)で得られた溶液を放冷することと;
により得られる、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
(d)における前記溶媒は、1-オクタデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン、エイコサン、オクタデカン、ヘキサデカン、テトラデカン、スクアレン、スクアラン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリオクチルアミン、トリオクチルホスフィン、若しくはジオクチルエーテル、又はこれらの組合せを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
(d)における前記溶媒は、1-オクタデセンを含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記配位子は、脂肪酸である、請求項2022のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記脂肪酸は、ラウリン酸である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ナノ構造体フィルムであって:
(a)請求項1~12のいずれか一項に記載のナノ構造体の集団の少なくとも1つの集団と;
(b)少なくとも1種の有機樹脂と;
を含む、ナノ構造体フィルム。
【請求項26】
前記ナノ構造体は、前記ナノ構造体フィルムを形成するマトリックスに埋め込まれている、請求項25に記載のナノ構造体フィルム。
【請求項27】
ナノ構造体成形品であって:
(a)第1導電層と;
(b)第2導電層と;
(c)前記第1導電層及び前記第2導電層の間のナノ構造体層と;
を備え、前記ナノ構造体層は、請求項1~12のいずれか一項に記載のナノ構造体の集団を含む、ナノ構造体成形品。
【請求項28】
請求項1~12のいずれか一項に記載のナノ構造体の集団を含む、ディスプレイデバイス。
【請求項29】
請求項1~12のいずれか一項に記載のナノ構造体の集団を含むフィルムを備える、請求項28に記載のディスプレイデバイス。
【請求項30】
前記ナノ構造体の集団は、前記フィルムを形成するマトリックスに埋め込まれている、請求項29に記載のディスプレイデバイス。
【請求項31】
前記フィルムは、導光板上に配置されている、請求項29又は30に記載のディスプレイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、ナノ構造体合成の分野にある。酢酸亜鉛及びフッ化亜鉛で表面処理された発光性の高いナノ構造体を提供する。ナノ構造体、ナノ構造体を含むフィルム、及びナノ構造体を含むデバイスの製造方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ZnSは、量子ドット(QD)発光ダイオードにおいて、シェルが安定であり、エネルギーレベルアラインメントが良好であり、且つコア及びシェルの間の格子不整合の程度がより小さいという理由から、Cdベースのコアを有するQDのシェル材料として広く使用されている。この10年間で、デバイスの性能は、シェルの組成及び厚みを変化させることにより向上してきた(例えば、Cd(コア)/ZnS(シェル))。その前途は有望に見えるが、カドミウムが有害物質と見なされているため、カドミウムQDを含むQLEDの商業化は厳しく制限されている。
【0003】
[0003] CdベースのII-VI族化合物の代替となりそうなものの中でも、InP QDは、可視領域全体でバンドギャップの調整が可能であり、スペクトル帯域幅も狭いことから、発光用途に最も有望な候補として提案されている。
【0004】
[0004] しかしながら、ZnSシェルは、コア/シェル間の格子不整合が大きく、格子歪みが大きく、InPコア内の正孔の閉じ込めが過度に強く、図1に示すように、ZnSシェルのHOMO準位が深いために、有機正孔輸送層からQDへの正孔注入障壁が高く、電子と比較して正孔の移動度が低いという理由から、InPコアに適合させることができなかった。
【0005】
[0005] これらの欠点を最小限に抑えることを試みて、格子不整合及び格子歪みを最小限にすることを目的としたInPコア及びZnSシェルのバッファ層として、ZnSe又は濃度勾配を有する(gradient)ZnSeSが使用されている。しかし、厚みのあるZnSeシェルを用いると、InP QDの量子収率(QY)は低下してしまう。これは、バッファ層にZnSe又は濃度勾配を有するZnSeSを用いても格子不整合及び格子歪みを最小限に抑えられないことを意味している。
【0006】
[0006] ナノ構造体フィルムの作製に使用した場合に、安定性を向上させると共に光学特性を向上させるコア-シェル型ナノ構造体組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
[0007] デバイスに使用した場合に外部量子効率(EQE)及び安定性が向上するInPコア-シェル型ナノ構造体組成物を提供する。その表面に結合しているカルボン酸亜鉛及びハロゲン化亜鉛を有するコア/シェル型ナノ構造体も提供する。
【0008】
[0008] ナノ結晶コアと、その表面に結合しているカルボン酸亜鉛及びハロゲン化亜鉛を有する少なくとも1つのシェルとを備えるナノ構造体の集団を提供する。幾つかの実施形態において、ナノ結晶コアは、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、AlCO、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0009】
[0009] 幾つかの実施形態において、ナノ結晶コアは、InPを含む。幾つかの実施形態において、ナノ結晶コアは、CdSeを含む。
【0010】
[0010] 幾つかの実施形態において、少なくとも1つのシェルはZnSeである。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのシェルの厚みは約1nmである。幾つかの実施形態において、ナノ構造体の直径は約4~12nmである。
【0011】
[0011] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、InP/ZnSeコア-シェル型ナノ構造体である。
【0012】
[0012] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、Cd/ZnSeコア-シェル型ナノ構造体である。
【0013】
[0013] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体の発光スペクトルの半値全幅(FWHM)は40nm未満である。幾つかの実施形態において、ナノ構造体の発光スペクトルのFWHMは38~39nmである。
【0014】
[0014] 幾つかの実施形態において、ナノストラクションズ(nanostructions)の量子収率(QY%)は80%を超える。幾つかの実施形態において、ナノ構造体のQY%は、85~88%である。
【0015】
[0015] 幾つかの実施形態において、カルボン酸亜鉛は酢酸亜鉛である。幾つかの実施形態において、カルボン酸亜鉛は酢酸亜鉛二水和物である。幾つかの実施形態において、ハロゲン化亜鉛はフッ化亜鉛である。
【0016】
[0016] 本明細書に記載するナノ構造体を製造する方法であって:
(a)不活性雰囲気下において、溶媒中のコア-シェル型ナノ構造体をカルボン酸亜鉛及びハロゲン化亜鉛と混合することと;
(b)(a)の混合物の温度を約90℃~約350℃の間の温度まで昇温することと;
(c)その表面に結合している酢酸亜鉛及びフッ化亜鉛を有するコア-シェル型ナノ結晶を単離することと;
を含む方法も提供する。
【0017】
[0017] 幾つかの実施形態において、溶媒は、1-オクタデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン、エイコサン、オクタデカン、ヘキサデカン、テトラデカン、スクアレン、スクアラン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリオクチルアミン、トリオクチルホスフィン、若しくはジオクチルエーテル、又はこれらの組合せを含む。幾つかの実施形態において、溶媒は1-オクタデセンを含む。
【0018】
[0018] 幾つかの実施形態において、(a)の混合物の温度は約0℃~約150℃の間にある。
【0019】
[0019] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、InP/ZnSeコア-シェル型ナノ構造体である。
【0020】
[0020] 幾つかの実施形態において、カルボン酸亜鉛は酢酸亜鉛である。幾つかの実施形態において、酢酸亜鉛は酢酸亜鉛二水和物の形態にある。
【0021】
[0021] 幾つかの実施形態において、InP/Seコア/シェル型ナノ結晶は、
(d)不活性雰囲気下において、溶媒、配位子、及び塩化亜鉛を含む溶液にInPコアを約80℃~約150℃の温度で添加することと;
(e)(d)で得られた溶液に臭化亜鉛及び塩化ガリウムを添加することと;
(f)(e)で得られた溶液にセレン源を添加することと;
(g)(f)で得られた溶液を約150℃~約340℃の温度に加熱することと;
(h)(g)で得られた溶液を放冷することと;
により得られる。
【0022】
[0022] 幾つかの実施形態において、(d)の溶媒は、1-オクタデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン、エイコサン、オクタデカン、ヘキサデカン、テトラデカン、スクアレン、スクアラン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリオクチルアミン、トリオクチルホスフィン、若しくはジオクチルエーテル、又はこれらの組合せを含む。幾つかの実施形態において、(d)の溶媒は1-オクタデセンを含む。
【0023】
[0023] 幾つかの実施形態において、配位子は脂肪酸である。幾つかの実施形態において、脂肪酸はラウリン酸である。
【0024】
[0024] ナノ構造体フィルムであって:
(a)本明細書に記載するナノ構造体の少なくとも1つの集団と;
(b)少なくとも1種の有機樹脂と;
を含む、ナノ構造体フィルムも提供する。
【0025】
[0025] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、フィルムを形成するマトリックスに埋め込まれている。
【0026】
[0026] ナノ構造成体形品であって:
(a)第1導電層と;
(b)第2導電層と;
(c)第1導電層及び第2導電層の間のナノ構造体層と;
を備え、ナノ構造体層は、本明細書に記載するナノ構造体の集団を含む、ナノ構造体成形品も提供する。
【0027】
[0027] 本明細書に記載するナノ構造体を含むディスプレイデバイスも提供する。幾つかの実施形態において、ディスプレイデバイスは、ナノ構造体を含むフィルムを備える。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、フィルムを形成するマトリックスに埋め込まれている。幾つかの実施形態において、このフィルムは、導光板上に配置されている。
【0028】
[0028] 本明細書に援用し、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明を例示するものであり、その記載と一緒に、更に本発明の原理を説明すると共に、当業者が本発明を製造及び使用できるようにする役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】[0029]CdSeベースのQD及びInP/ZnSe/ZnS QD、有機正孔輸送層(HTL)、並びに無機電子輸送層(ETL)のエネルギー準位を図示した模式図である。
図2】[0030]HTL、CdSe/CdZnS QD、InP/ZnSe/ZnS QD、InP/ZnSe QD、及び表面処理されたInP/ZnSe QDのエネルギー準位を図示した模式図である。
図3A】[0031]デバイス中の様々なQDの電流密度対電圧及び輝度対電圧を表すグラフである。
図3B】[0032]デバイス中の様々なQDのEQE対輝度を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[0033] 他に定義されていない限り、本明細書において使用する全ての技術及び科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者が一般に理解しているものと同じ意味を有する。以下に示す定義は当該技術分野における定義を補足するものであり、本出願を対象としており、関連又は非関連事例、例えば、所有者が共通する任意の特許又は出願に帰属するものではない。本明細書に記載する方法及び材料と類似又は均等な任意の方法及び材料を試験の実施に使用することができるが、好ましい材料及び方法を本明細書に記載する。したがって、本明細書に使用する専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とするものであり、限定を意図するものではない。
【0031】
[0034] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないことを明らかに指示していない限り、複数の指示対象も包含する。したがって、例えば、「ナノ構造体(a nanostructure)」に言及している場合は、複数のそのようなナノ構造体も包含され、他も同様である。
【0032】
[0035] 本明細書において使用する「約」という用語は、所与の量の数値がその数値に対し±10%変動することを示す。例えば、「約100nm」は、90nmから110nmまでの範囲の大きさ(size)を包含し、境界値を含む。
【0033】
[0036] 「ナノ構造体」は、約500nm未満の寸法(dimension)を有する少なくとも1つの領域又は特性寸法(characteristic dimension)を有する構造体である。幾つかの実施形態において、ナノ構造体の寸法は、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満である。通常、この領域又は特性寸法は、構造体の最短軸に沿うものとなる。この種の構造体の例として、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノチューブ、枝分かれしたナノ構造体、ナノテトラポッド(nanotetrapod)、トライポッド(tripod)、バイポッド(bipod)、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、及び同種のものが挙げられる。ナノ構造体は、例えば、実質的に結晶性であるか、実質的に単結晶性であるか、多結晶性であるか、非晶性であるか、又はこれらの組合せとすることができる。幾つかの実施形態において、ナノ構造体の三次元のそれぞれの寸法は、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満である。
【0034】
[0037] ナノ構造体に関連して使用される「ヘテロ構造」という用語は、少なくとも2種の異なる及び/又は区別可能な形態(type)の材料を特徴とするナノ構造体を指す。通常、ナノ構造体の1つの領域は、第1の形態の材料を含み、その一方で、ナノ構造体の第2の領域は、第2の形態の材料を含む。特定の実施形態において、ナノ構造体は、第1材料のコアと、第2(又は第3等)材料の少なくとも1つのシェルとを備え、この異なる形態の材料が、例えば、ナノワイヤーの長軸に対し、枝分かれしたナノワイヤーの枝部(arm)の長軸に対し、又はナノ結晶の中心に対し、放射状に分布している。シェルは、シェルと見なされるように、又はナノ構造体がヘテロ構造と見なされるように、隣接する材料を完全に覆っていてもよいが、必ずしもそうである必要はなく;例えば、ある材料のコアが第2材料の小さい島で覆われていることを特徴とするナノ結晶は、ヘテロ構造体である。他の実施形態においては、異なる形態の材料が、ナノ構造体内の異なる位置に;例えば、ナノワイヤーの主(長)軸に沿って、又は枝分かれしたナノワイヤーの枝部の長軸に沿って分布している。ヘテロ構造体内の異なる領域は、全く異なる材料を含んでいてもよく、又はこの異なる領域は、異なるドーパントを含むか若しくは同一のドーパントを異なる濃度で含む基本材料(例えば、ケイ素)を含んでいてもよい。
【0035】
[0038] 本明細書において使用されるナノ構造体の「直径」とは、ナノ構造体の第1軸に対し垂直な断面の直径を指し、第1軸は、第2及び第3軸(この第2及び第3軸は、互いの長さが最も近い(most nearly equal))に対する長さの差が最も大きいものである。第1軸は必ずしもナノ構造体の最長軸である必要はなく;例えば、円盤形状のナノ構造体の場合、断面は、円盤の長手方向の短い軸に垂直な、実質的に円形の断面となるであろう。断面が円形でない場合、直径はその断面の長軸及び短軸の平均値である。ナノワイヤー等の細長い又はアスペクト比の高いナノ構造体の場合、直径は、ナノワイヤーの最長軸に対し垂直な断面で測定される。球状のナノ構造体の場合、直径は、一方の側から他の側へ、球の中心を通るように測定される。
【0036】
[0039] 「結晶性」又は「実質的に結晶性」という用語をナノ構造体に関連し使用する場合は、通常、ナノ構造体が、構造体の1又は複数の次元に亘り長距離秩序を示すことを指す。単結晶の秩序は、その結晶の境界を越えて存在することができないので、当業者は、「長距離秩序」という用語は、具体的なナノ構造体の絶対的なサイズに依存することになることを理解するであろう。この場合、「長距離秩序」は、ナノ構造体の寸法の少なくとも大部分に亘る実質的な秩序(substantial order)を意味することになる。幾つかの例において、ナノ構造体は、酸化物若しくは他の被覆を有していてもよく、又はコア及び少なくとも1つのシェルから構成されていてもよい。この種の例において、酸化物、シェル、又は他の被覆は、この種の秩序を示し得るが、必ずしもそうである必要はない(例えば、非晶性、多結晶性、又はそれ以外であってもよい)ことが理解されるであろう。この種の例において、「結晶性」、「実質的に結晶性」、「実質的に単結晶性」、又は「単結晶性」という語句は、ナノ構造体の中心のコア(被覆層又はシェルを除く)に言及するものである。本明細書において使用される「結晶性」又は「実質的に結晶性」は、構造が実質的な長距離秩序(例えば、ナノ構造体又はそのコアの少なくとも1つの軸の長さの少なくとも約80%に亘る秩序)を示す限り、様々な欠陥、積層不整、原子置換、及び同種のものを含む構造も包含することを意図している。更に、コアとナノ構造体の外面との間の界面又はコアと隣接するシェルとの間の界面又はシェルと隣接する第2のシェルとの間の界面は、非結晶性領域を含んでいてもよく、それどころか非晶性であってもよいことが理解されるであろう。このことは、ナノ構造体が、本明細書に定義する結晶性又は実質的な結晶性を有することを妨げない。
【0037】
[0040] ナノ構造体に関し使用される「単結晶性」という用語は、ナノ構造体が実質的に結晶性であり、且つ実質的に単一の結晶を含むことを表す。コア及び1又は複数のシェルを含むナノ構造ヘテロ構造体に関し使用する場合、「単結晶性」は、コアが実質的に結晶性であり、実質的に単結晶を構成することを表す。
【0038】
[0041] 「ナノ結晶」は、実質的に単結晶性であるナノ構造体である。したがって、ナノ結晶は、約500nm未満の寸法を有する少なくとも1つの領域又は特性寸法を有する。幾つかの実施形態において、ナノ結晶の寸法は、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満である。「ナノ結晶」という用語は、欠陥、積層不整、原子置換、及び同種のものを含む実質的に単結晶性であるナノ構造体に加えて、この種の欠陥、不整、又は置換を含まない実質的に単結晶性であるナノ構造体を包含することを意図している。コア及び1又は複数のシェルを備えるナノ結晶ヘテロ構造体の場合、ナノ結晶のコアは、通常、実質的に単結晶性であるが、シェルは、そうである必要はない。幾つかの実施形態において、ナノ結晶の三次元の寸法は、それぞれ、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満である。
【0039】
[0042] 「量子ドット」(又は「ドット」)という用語は、量子閉じ込め又は励起子閉じ込めを示すナノ結晶を指す。量子ドットは、材料特性が実質的に均質なものとすることができ、又は特定の実施形態においては、不均質なもの、例えば、コア及び少なくとも1つのシェルを含むものとすることができる。量子ドットの光学特性は、その粒子径(particle size)、化学的組成、及び/又は表面組成に影響を受ける可能性があり、当該技術分野において利用可能な適切な光学的試験により測定することができる。ナノ結晶のサイズを、目的に合わせて、例えば、約1nm~約15nmの範囲に調整することができれば、光学スペクトルの全範囲を光電子放出で網羅することが可能になり、多様な演色が可能になる。
【0040】
[0043] 「配位子」は、ナノ構造体の1又は複数のファセットと、例えば、ナノ構造体の表面との共有結合的、イオン的、ファンデルワールス的、又は他の分子的相互作用を介して、相互作用(弱い又は強い)することができる分子である。
【0041】
[0044] 「フォトルミネッセンス量子収率」(PLQY)は、例えば、ナノ構造体又はナノ構造体の集団が吸収する光子に対する、放出する光子の比である。当該技術分野において知られているように、量子収率は、通常、充分に特性評価された既知の量子収率値を有する基準試料を使用する比較法により決定される。
【0042】
[0045] 「ピーク発光波長(peak emission wavelength)」(PWL)は、光源の放射(radiometric emission)スペクトルが最大値に達する波長である。
【0043】
[0046] 本明細書において使用される「シェル」という用語は、シェル材料を堆積させる単回作業(single act)により得られる、コア上に堆積される材料又は既に堆積されている同一若しくは異なる組成を有するシェル上に堆積される材料を指す。シェルの正確な厚みは、材料に加えて前駆体の投入量及び転化率にも依存し、ナノメートル又は単層単位で報告することができる。本明細書において使用される「目標シェル厚(target shell thickness)」は、必要な前駆体の量を算出するために使用される、意図されているシェルの厚みを指す。本明細書において使用される「実際の(actual)シェル厚」は、合成後に実際に堆積した、当該技術分野において知られている方法により測定することができるシェル材料の量を指す。例を挙げると、実際のシェル厚は、シェル合成前後のナノ結晶の透過型電子顕微鏡観察(TEM)画像から求められる粒子の直径を比較することにより測定することができる。
【0044】
[0047] 本明細書において使用される「半値全幅」(FWHM)という用語は、ナノ粒子の粒子径分布の目安となる。ナノ粒子の発光スペクトルは、一般に、ガウス曲線形状を有する。ガウス曲線の幅はFWHMで定義され、粒子径分布に関する知見を与える。FWHMがより小さいことは、量子ドットナノ結晶の粒子径分布がより狭いことに相当する。FWHMはピーク発光波長にも依存する。
【0045】
[0048] 本明細書において使用される「半値半幅」(HWHM)という用語は、紫外-可視分光曲線から推測されるナノ粒子の粒子径分布の目安である。低エネルギー側の第1励起子吸収ピークのHWHMを、粒子径分布の好適な指標として使用することができ、より小さいHWHM値は、粒子径分布がより狭いことに相当する。
【0046】
ナノ構造体組成物
[0049] 幾つかの実施形態において、本開示は、酢酸亜鉛及びフッ化亜鉛で表面処理されたコア-シェル型ナノ構造体を含むナノ構造体組成物を提供する。
【0047】
[0050] 幾つかの実施形態において、本開示は、InP/ZnSeコア-シェル型ナノ構造体を含むナノ構造体組成物を提供する。幾つかの実施形態において、ZnSeシェルの厚みは、約0.01nm~約5nmの間にある。
【0048】
[0051] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体は量子ドットである。
【0049】
ナノ構造体コア
[0052] 本発明に使用するための量子ドット(又は他のナノ構造体)は、任意の好適な材料、好適には無機材料、より好適には無機導電性又は半導体材料から製造することができる。好適な半導体材料としては、第II-VI族、第III-V族、第IV-VI族、及び第IV族半導体を含む任意の種類の半導体が挙げられる。好適な半導体材料としては、これらに限定されるものではないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、AlCO、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0050】
[0053] 第II-VI族ナノ構造体の合成は、米国特許第6,225,198号、米国特許第6,322,901号、米国特許第6,207,229号、米国特許第6,607,829号、米国特許第6,861,155号、米国特許第7,060,243号、米国特許第7,125,605号、米国特許第7,374,824号、米国特許第7,566,476号、米国特許第8,101,234号、及び米国特許第8,158,193号、並びに米国特許出願公開第2011/0262752号及び米国特許出願公開第2011/0263062号に記載されている。幾つかの実施形態において、コアは、ZnO、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdO、CdSe、CdS、CdTe、HgO、HgSe、HgS、及びHgTeからなる群から選択される第II-VI族ナノ結晶である。幾つかの実施形態において、コアは、ZnSe、ZnS、CdSe、及びCdSからなる群から選択されるナノ結晶である。
【0051】
[0054] CdSe及びCdS量子ドット等の第II-VI族ナノ構造体は望ましい発光挙動を示すことができるが、カドミウムの毒性の問題により、この種のナノ構造体を使用することができる用途が限られる。したがって、好ましい発光特性を有するより毒性の低い代替品が非常に望ましい。一般には、第III-V族ナノ構造体、特にInPベースのナノ構造体は、その発光範囲が一致していることから、知られているカドミウムベースの材料の中で最も優れた代替品である。
【0052】
[0055] InPベースのナノ構造体の合成は、例えば、Xie,R.,et al.,“Colloidal InP nanocrystals as efficient emitters covering blue to near-infrared,”J.Am.Chem.Soc.129:15432-15433(2007);Micic,O.I.,et al.,“Core-shell quantum dots of lattice-matched ZnCdSe2 shells on InP cores:Experiment and theory,”J.Phys.Chem.B 104:12149-12156(2000);Liu,Z.,et al.,“Coreduction colloidal synthesis of III-V nanocrystals:The case of InP,”Angew.Chem.Int.Ed.Engl.47:3540-3542(2008);Li,L.et al.,“Economic synthesis of high quality InP nanocrystals using calcium phosphide as the phosphorus precursor,”Chem.Mater.20:2621-2623(2008);D.Battaglia and X.Peng,“Formation of high quality InP and InAs nanocrystals in a noncoordinating solvent,”Nano Letters 2:1027-1030 (2002);Kim,S.,et al.,“Highly luminescent InP/GaP/ZnS nanocrystals and their application to white light-emitting diodes,”J.Am.Chem.Soc.134:3804-3809(2012);Nann,T.,et al.,“Water splitting by visible light:A nanophotocathode for hydrogen production,”Angew.Chem.Int.Ed.49:1574-1577(2010);Borchert,H.,et al.,“Investigation of ZnS passivated InP nanocrystals by XPS,”Nano Letters 2:151-154(2002);L.Li and P.Reiss,“One-pot synthesis of highly luminescent InP/ZnS nanocrystals without precursor injection,”J.Am.Chem.Soc.130:11588-11589(2008);Hussain,S.,et al.“One-pot fabrication of high-quality InP/ZnS(core/shell)quantum dots and their application to cellular imaging,”Chemphyschem.10:1466-1470 (2009);Xu,S.,et al.,“Rapid synthesis of high-quality InP nanocrystals,”J.Am.Chem.Soc.128:1054-1055(2006);Micic,O.I.,et al.,“Size-dependent spectroscopy of InP quantum dots,”J.Phys.Chem.B 101:4904-4912(1997);Haubold,S.,et al.,“Strongly luminescent InP/ZnS core-shell nanoparticles,”Chemphyschem.5:331-334(2001);CrosGagneux,A.,et al.,“Surface chemistry of InP quantum dots:A comprehensive study,”J.Am.Chem.Soc.132:18147-18157(2010);Micic,O.I.,et al.,“Synthesis and characterization of InP,GaP,and GalnP2 quantum dots,”J. Phys.Chem.99:7754-7759(1995);Guzelian,A.A.,et al.,“Synthesis of size-selected,surface-passivated InP nanocrystals,”J. Phys.Chem.100:7212-7219(1996);Lucey,D.W.,et al.,“Monodispersed InP quantum dots prepared by colloidal chemistry in a non-coordinating solvent,” Chem.Mater.17:3754-3762(2005);Lim,J.,et al.,“InP@ZnSeS,core@composition gradient shell quantum dots with enhanced stability,”Chem.Mater.23:4459-4463(2011);及びZan,F.,et al.,“Experimental studies on blinking behavior of single InP/ZnS quantum dots:Effects of synthetic conditions and UV irradiation,”J.Phys.Chem.C 116:394-3950(2012)に記載されている。しかしながら、この種の試みにおいて、高い量子収率を有するInPナノ構造体の製造に関しては、ごく限られた成果しか得られていない。
【0053】
[0056] 幾つかの実施形態において、InPコアはドーピングされている。幾つかの実施形態において、ナノ結晶コアのドーパントは、1種又は複数種の遷移金属等の金属を含む。幾つかの実施形態において、ドーパントは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、及びこれらの組合せからなる群から選択される遷移金属である。幾つかの実施形態において、ドーパントは非金属を含む。幾つかの実施形態において、ドーパントは、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdSe、CdS、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、CuInS、CuInSe、AlN、AlP、AlAs、GaN、GaP、又はGaAsである。
【0054】
[0057] 幾つかの実施形態において、コアはシェルを堆積させる前に精製される。幾つかの実施形態において、コアは、コア溶液から析出物を除去するために濾過される。
【0055】
[0058] 幾つかの実施形態において、InPコアの直径は、量子閉じ込めを用いて決定される。量子ドット等のゼロ次元のナノ結晶における量子閉じ込めは、電子を結晶粒界(crystallite boundary)に空間的に閉じ込めることにより生じる。量子閉じ込めは、材料の直径が波動関数におけるド・ブロイ波長程度になると観測することができる。ナノ粒子の電子的及び光学的性質は、バルク材料のそれからは実質的に外れている。粒子は、閉じ込められた長さが粒子の波長よりも長い場合は、まるで自由であるかのように振る舞う。この状態にある間は、エネルギー状態が連続しているため、バンドギャップは元のエネルギーのままである。しかし、閉じ込められた長さが短くなり、特定の限界、通常はナノスケールに到達すると、エネルギースペクトルが離散的になる。その結果として、バンドギャップはサイズに依存するようになる。
【0056】
[0059] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体はカドミウムフリーである(free from cadmium)。本明細書において使用される「カドミウムフリー」という用語は、ナノ構造体のカドミウム含有量が重量で100ppm未満であることを意図している。特定有害物質使用制限指令(The Restriction of Hazardous Substances)(RoHS)における順守の定義(compliance definition)では、加工前の均質な前駆体材料(raw homogeneous precursor material)中のカドミウムが重量で0.01%(100ppm)を超えないことが要求されている。本発明のCdフリーのナノ構造体中のカドミウムの量は、前駆体材料中の微量金属濃度により制限される。Cdフリーのナノ構造体の前駆体材料中の微量金属(カドミウムを含む)濃度は、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)による分析により測定することができ、10億分の1(ppb)水準である。幾つかの実施形態において、「カドミウムフリーの」「ナノ構造体」は、カドミウムを約50ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満、又は約1ppm未満含む。
【0057】
シェル
[0060] シェルを作製するための例示的な材料としては、これらに限定されるものではないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、AlCO、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0058】
[0061] 幾つかの実施形態において、シェルは、亜鉛源、セレン源、硫黄源、テルル源、及びカドミウム源の少なくとも2種の混合物である。幾つかの実施形態において、シェルは、亜鉛源、セレン源、硫黄源、テルル源、及びカドミウム源のうちの2種の混合物である。幾つかの実施形態において、シェルは、亜鉛源、セレン源、硫黄源、テルル源、及びカドミウム源のうちの3種の混合物である。幾つかの実施形態において、シェルは、亜鉛及び硫黄;亜鉛及びセレン;亜鉛、硫黄、及びセレン;亜鉛及びテルル;亜鉛、テルル、及び硫黄;亜鉛、テルル、及びセレン;亜鉛、カドミウム、及び硫黄;亜鉛、カドミウム、及びセレン;カドミウム及び硫黄;カドミウム及びセレン;カドミウム、セレン、及び硫黄;カドミウム及び亜鉛;カドミウム、亜鉛、及び硫黄;カドミウム、亜鉛、及びセレン;又はカドミウム、亜鉛、硫黄、及びセレンの混合物である。幾つかの実施形態において、シェルは、亜鉛及びセレンの混合物である。幾つかの実施形態において、シェルは、亜鉛及び硫黄の混合物である。
【0059】
[0062] 例示的なコア/シェル型発光性ナノ構造体としては、これらに限定されるものではないが、(コア/シェルとして表して)CdSe/ZnSe及びInP/ZnSeが挙げられる。
【0060】
[0063] 幾つかの実施形態において、シェルはZnSeを含む。シェルの厚みは、供給する前駆体の量を変化させることにより調整することができる。所与のシェル厚みを得るために、前駆体の少なくとも1種が、任意選択的に、成長反応が実質的に完了した後、予め定められた厚みのシェルが得られる量で供給される。幾つかの実施形態において、亜鉛源及びセレン源のモル比は、約0.01:1~約1:1.5、約0.01:1~約1:1.25、約0.01:1~約1:1、約0.01:1~約1:0.75、約0.01:1~約1:0.5、約0.01:1~約1:0.25、約0.01:1~約1:0.05、約0.05:1~約1:1.5、約0.05:1~約1:1.25、約0.05:1~約1:1、約0.05:1~約1:0.75、約0.05:1~約1:0.5、約0.05:1~約1:0.25、約0.25:1~約1:1.5、約0.25:1~約1:1.25、約0.25:1~約1:1、約0.25:1~約1:0.75、約0.25:1~約1:0.5、約0.5:1~約1:1.5、約0.5:1~約1:1.25、約0.5:1~約1:1、約0.5:1~約1:0.75、約0.75:1~約1:1.5、約0.75:1~約1:1.25、約0.75:1~約1:1、約1:1~約1:1.5、約1:1~約1:1.25、又は約1:1.25~約1:1.5の間にある。
【0061】
[0064] ZnSeシェル層の厚みは、供給される亜鉛及びセレン源の量を変化させることにより、及び/又は反応時間をより長く及び/又は温度をより高くすることにより、調整することができる。供給源の少なくとも1種は、任意選択的に、成長反応が実質的に完了したら、予め定められた厚みの層が得られる量で供給される。
【0062】
[0065] ZnSeの薄いシェルの厚みは当業者に知られている技法により測定することができる。幾つかの実施形態において、内側の薄いシェルの厚みは、内側の薄いシェルを追加する前後のナノ構造体の直径の平均値を比較することにより求めることができる。幾つかの実施形態において、内側の薄いシェルを追加する前後のナノ構造体の直径の平均値は、TEMで測定することができる。幾つかの実施形態において、ZnSeシェルの厚みは、約0.01nm~約0.35nm、約0.01nm~約0.3nm、約0.01nm~約0.25nm、約0.01nm~約0.2nm、約0.01nm~約0.1nm、約0.01nm~約0.05nm、約0.05nm~約0.35nm、約0.05nm~約0.3nm、約0.05nm~約0.25nm、約0.05nm~約0.2nm、約0.05nm~約0.1nm、約0.1nm~約0.35nm、約0.1nm~約0.3nm、約0.1nm~約0.25nm、約0.1nm~約0.2nm、約0.2nm~約0.35nm、約0.2nm~約0.3nm、約0.2nm~約0.25nm、約0.25nm~約0.35nm、約0.25nm~約0.3nm、又は約0.3nm~約0.35nmの間にある。
【0063】
[0066] 幾つかの実施形態において、亜鉛源は、ジアルキル亜鉛化合物である。幾つかの実施形態において、亜鉛源は、カルボン酸亜鉛である。幾つかの実施形態において、亜鉛源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、酢酸亜鉛、アセチルアセトナト亜鉛(zinc acetylacetonate)、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、シアン化亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、過塩素酸亜鉛、硫酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、又はこれらの混合物である。幾つかの実施形態において、亜鉛源は、オレイン酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、又はこれらの混合物である。幾つかの実施形態において、亜鉛源は、オレイン酸亜鉛である。
【0064】
[0067] 幾つかの実施形態において、セレン源は、アルキル置換されたセレン化尿素である。幾つかの実施形態において、セレン源は、ホスフィンセレニドである。幾つかの実施形態において、セレン源は、トリオクチルホスフィンセレニド、トリ(sec-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(tert-ブチル)ホスフィンセレニド、トリメチルホスフィンセレニド、トリフェニルホスフィンセレニド、ジフェニルホスフィンセレニド、フェニルホスフィンセレニド、トリシクロヘキシルホスフィンセレニド、シクロヘキシルホスフィンセレニド、1-オクタンセレノール、1-ドデカンセレノール、セレノフェノール、元素状セレン、セレン化水素、ビス(トリメチルシリル)セレニド、セレン化尿素、及びこれらの混合物から選択される。幾つかの実施形態において、セレン源は、トリ(n-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(sec-ブチル)ホスフィンセレニド、又はトリ(tert-ブチル)ホスフィンセレニドである。幾つかの実施形態において、セレン源は、トリオクチルホスフィンセレニドである。
【0065】
[0068] 幾つかの実施形態において、ZnSeシェルは、少なくとも1種のナノ構造体用配位子(nanostructure ligand)の存在下に合成される。配位子は、例えば、溶媒若しくはポリマー中でのナノ構造体の混和性を高め(ナノ構造体が凝集しないように、ナノ構造体が組成物全体に分布できるようにする)、ナノ構造体の量子収率を増加させ、及び/又はナノ構造体の発光を保持する(例えば、ナノ構造体がマトリックス中に組み込まれる場合)ことができる。幾つかの実施形態において、InPコア合成用及びシェル合成用の配位子は同一である。幾つかの実施形態において、コア合成用及びシェル合成用の配位子は異なる。合成後、ナノ構造体表面上にある任意の配位子を、他の望ましい性質を有する異なる配位子と交換することができる。配位子の例が、米国特許第7,572,395号、米国特許第8,143,703号、米国特許第8,425,803号、米国特許第8,563,133号、米国特許第8,916,064号、米国特許第9,005,480号、米国特許第9,139,770号、及び米国特許第9,169,435号並びに米国特許出願公開第2008/0118755号に開示されている。
【0066】
[0069] シェルの合成に適した配位子は当業者に知られている。幾つかの実施形態において、配位子は、ラウリン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸からなる群から選択される脂肪酸である。幾つかの実施形態において、配位子は、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、ジフェニルホスフィン(DPP)、トリフェニルホスフィンオキシド、及びトリブチルホスフィンオキシドから選択される有機ホスフィン又は有機ホスフィンオキシドである。幾つかの実施形態において、配位子は、ドデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサデシルアミン、ジオクチルアミン、及びオクタデシルアミンからなる群から選択されるアミンである。幾つかの実施形態において、配位子はオレイン酸である。
【0067】
ZnSeシェルを有するInPコアの製造-A法
[0070] 幾つかの実施形態において、本発明は、コア/シェル型InP/ZnSeナノ構造体の製造方法であって:
(a)In源、P源、亜鉛源、及びセレン源を混合することと;
(b)(a)の混合物の温度を約200℃~約350℃の間の温度まで昇温することと;
を含み、それによりナノ構造体を得る、方法に関する。
【0068】
[0071] 幾つかの実施形態において、コア/シェル型ナノ構造体は、溶媒の存在下に製造される。幾つかの実施形態において、溶媒は、1-オクタデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン、エイコサン、オクタデカン、ヘキサデカン、テトラデカン、スクアレン、スクアラン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリオクチルアミン、トリオクチルホスフィン、及びジオクチルエーテルからなる群から選択される。幾つかの実施形態において、溶媒は1-オクタデセンである。
【0069】
[0072] 幾つかの実施形態において、コア及びシェル前駆体は、(a)において、約0℃~約150℃、約0℃~約100℃、約0℃~約50℃、約0°~約30℃、約0℃~約20℃、約20℃~約150℃、約20℃~約100℃、約20℃~約50℃、約20°~約30℃、約30℃~約150℃、約30℃~約100℃、約30℃~約50℃、約50℃~約150℃、約50℃~約100℃、又は約100℃~約150℃の間の温度で混合される。幾つかの実施形態において、コア及びシェル前駆体は、(a)において、約20℃~約30℃の間の温度で混合される。
【0070】
[0073] 幾つかの実施形態において、亜鉛源は、塩化亜鉛である。
【0071】
[0074] 幾つかの実施形態において、セレン源は、セレン粉末である。
【0072】
[0075] 幾つかの実施形態において、混合物の温度は、(b)において、約200℃~約350℃、約200℃~約310℃、約200℃~約280℃、約200℃~約250℃、約200℃~約225℃、約225℃~約350℃、約225℃~約310℃、約225℃~約280℃、約225℃~約250℃、約250℃~約350℃、約250℃~約310℃、約250℃~約280℃、約280℃~約350℃、約280℃~約310℃、又は約310℃~約350℃の間の温度に昇温される。幾つかの実施形態において、混合物の温度は、(b)において、約280℃~約310℃の間の温度に昇温される。
【0073】
[0076] 幾つかの実施形態において、(b)において、温度を高温に到達させるための時間は、約2分間~約240分間、約2分間~約200分間、約2分間~約100分間、約2分間~約60分間、約2分間~約40分間、約5分間~約240分間、約5分間~約200分間、約5分間~約100分間、約5分間~約60分間、約5分間~約40分間、約10分間~約240分間、約10分間~約200分間、約10分間~約100分間、約10分間~約60分間、約10分間~約40分間、約40分間~約240分間、約40分間~約200分間、約40分間~約100分間、約40分間~約60分間、約60分間~約240分間、約60分間~約200分間、約60分間~約100分間、約100分間~約240分間、約100分間~約200分間、又は約200分間~約240分間の間にある。
【0074】
[0077] 幾つかの実施形態において、(b)において高温に達した後に、この温度は、約1分間~約240分間、約1分間~約90分間、約1分間~約60分間、約1分間~約30分間、約1分間~約15分間、約1分間~約5分間、約5分間~約240分間、約5分間~約90分間、約5分間~約60分間、約5分間~約30分間、約5分間~約15分間、約15分間~約240分間、約15分間~約90分間、約15分間~約60分間、約15分間~約30分間、約30分間~約240分間、約30分間~約90分間、約30分間~約60分間、約60分間~約240分間、約60分間~約90分間、又は約90分間~約240分間の間の時間維持される。
【0075】
[0078] 幾つかの実施形態において、反応の進行は、UV-可視分光法を用いて、混合物からの試料を試験することによるか又は混合物をその場で監視することにより監視される。幾つかの実施形態においては、(b)において混合物が高温に達したら、この温度を、混合物のUV-可視分光法によるピーク吸光度が、約350nm~約500nm、約350nm~約475nm、約350nm~約450nm、約350nm~約425nm、約350nm~約400nm、約350nm~約375nm、約375nm~約500nm、約375nm~約475nm、約375nm~約450nm、約375nm~約425nm、約375nm~約400nm、約400nm~約500nm、約400nm~約475nm、約400nm~約450nm、約400nm~約425nm、約425nm~約475nm、約425nm~約450nm、約450nm~約500nm、約450nm~約475nm、又は約475nm~約500nmの間になるまで維持する。幾つかの実施形態においては、(b)において混合物が高温に達したら、この温度を、混合物から採取した試料のUV-可視分光法によるピーク吸光度が約425nm~約450nmの間になるまで維持する。
【0076】
[0079] 幾つかの実施形態においては、追加のシェルは、シェル材料前駆体を反応混合物に添加した後、高温に維持することによって更に追加することにより、製造される。通常、追加のシェル前駆体は、その前のシェルの反応が実質的に完了したら(例えば、その前の前駆体の少なくとも1種が使い果たされるか又は反応物から除去されるか又はそれ以上成長が検出されなくなったら)、供給される。この更なる前駆体の追加により、追加のシェルが生成する。
【0077】
[0080] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、追加のシェル材料前駆体を添加して更なるシェルを付与する前に、冷却される。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、シェル材料前駆体を添加して更なるシェルを付与する前に、高温に維持される。
【0078】
InP/ZnSeコアシェル型ナノ構造体の製造-B法
[0081] 幾つかの実施形態において、本発明は、コア/シェル型InP/ZnSeナノ構造体の製造方法であって:
(a)亜鉛又はセレンシェル前駆体及び溶媒を混合することと;
(b)(a)の混合物の温度を約50℃~約250℃の間の温度に昇温、降温、又は維持することと;
(c)InPコア及び亜鉛又はセレンシェル前駆体を(b)の混合物に添加することと;
を含み、それによりInP/ZnSeナノ構造体を得る、方法に関する。
【0079】
[0082] 幾つかの実施形態において、コア/シェル型ナノ構造体は、溶媒の存在下に製造される。幾つかの実施形態において、溶媒は、1-オクタデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン、エイコサン、オクタデカン、ヘキサデカン、テトラデカン、スクアレン、スクアラン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリオクチルアミン、トリオクチルホスフィン、及びジオクチルエーテルからなる群から選択される。幾つかの実施形態において、溶媒は1-オクタデセンである。
【0080】
[0083] 幾つかの実施形態において、亜鉛/セレンシェル前駆体及び溶媒は、(a)において、約0℃~約150℃、約0℃~約100℃、約0℃~約50℃、約0℃~約30℃、約0℃~約20℃、約20℃~約150℃、約20℃~約100℃、約20℃~約50℃、約20℃~約30℃、約30℃~約150℃、約30℃~約100℃、約30℃~約50℃、約50℃~約150℃、約50℃~約100℃、又は約100℃~約150℃の間の温度で混合される。幾つかの実施形態において、亜鉛/セレンシェル源及び溶媒は、(a)において、約20℃~約30℃の間の温度で混合される。
【0081】
[0084] 幾つかの実施形態において、(a)における混合は、少なくとも1種のナノ構造体用配位子を更に含む。配位子は、例えば、溶媒若しくはポリマー中でのナノ構造体の混和性を高め(ナノ構造体が凝集しないように、ナノ構造体が組成物全体に分布できるようにする)、ナノ構造体の量子収率を増加させ、及び/又はナノ構造体の発光を保持する(例えば、ナノ構造体がマトリックス中に組み込まれる場合)ことができる。幾つかの実施形態において、コア合成用及びシェル合成用の配位子は同一である。幾つかの実施形態において、コア合成用及びシェル合成用の配位子は異なる。合成後、ナノ構造体表面上にある任意の配位子を、他の望ましい性質を有する異なる配位子と交換することができる。配位子の例が、米国特許第7,572,395号、米国特許第8,143,703号、米国特許第8,425,803号、米国特許第8,563,133号、米国特許第8,916,064号、米国特許第9,005,480号、米国特許第9,139,770号、及び米国特許第9,169,435号並びに米国特許出願公開第2008/0118755号に開示されている。
【0082】
[0085] 幾つかの実施形態において、(a)において第1シェル前駆体及び溶媒と混合される配位子は、ラウリン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸からなる群から選択される脂肪酸である。幾つかの実施形態において、配位子は、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、ジフェニルホスフィン(DPP)、トリフェニルホスフィンオキシド、及びトリブチルホスフィンオキシドから選択される有機ホスフィン又は有機ホスフィンオキシドである。幾つかの実施形態において、配位子は、ドデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサデシルアミン、ジオクチルアミン、及びオクタデシルアミンからなる群から選択されるアミンである。幾つかの実施形態において、配位子はラウリン酸である。
【0083】
[0086] 幾つかの実施形態においては、(b)において、混合物の温度は、約50℃~約250℃、約50℃~約200℃、約50℃~約150℃、約50℃~約125℃、約50℃~約100℃、約50℃~約75℃、約75℃~約250℃、約75℃~約200℃、約75℃~約150℃、約75℃~約125℃、約75℃~約100℃、約100℃~約250℃、約100℃~約200℃、約100℃~約150℃、約100℃~約125℃、約125℃~約250℃、約125℃~約200℃、約125℃~約150℃、約150℃~約250℃、約150℃~約200℃、又は約200℃~約250℃の間の温度に昇温、降温、又は維持される。幾つかの実施形態においては、(b)において、混合物の温度は、約50℃~約150℃の間の温度に昇温、降温、又は維持される。
【0084】
[0087] 幾つかの実施形態においては、(b)において、この温度に達するまでの時間は、約2分間~約240分間、約2分間~約200分間、約2分間~約100分間、約2分間~約60分間、約2分間~約40分間、約5分間~約240分間、約5分間~約200分間、約5分間~約100分間、約5分間~約60分間、約5分間~約40分間、約10分間~約240分間、約10分間~約200分間、約10分間~約100分間、約10分間~約60分間、約10分間~約40分間、約40分間~約240分間、約40分間~約200分間、約40分間~約100分間、約40分間~約60分間、約60分間~約240分間、約60分間~約200分間、約60分間~約100分間、約100分間~約240分間、約100分間~約200分間、又は約200分間~約240分間の間にある。
【0085】
[0088] 幾つかの実施形態において、(c)における混合物の温度は、約50℃~約250℃、約50℃~約200℃、約50℃~約150℃、約50℃~約125℃、約50℃~約100℃、約50℃~約75℃、約75℃~約250℃、約75℃~約200℃、約75℃~約150℃、約75℃~約125℃、約75℃~約100℃、約100℃~約250℃、約100℃~約200℃、約100℃~約150℃、約100℃~約125℃、約125℃~約250℃、約125℃~約200℃、約125℃~約150℃、約150℃~約250℃、約150℃~約200℃、又は約200℃~約250℃の間にある。幾つかの実施形態において、(b)における混合物の温度は、約50℃~約150℃の間の温度に昇温される。
【0086】
[0089] 幾つかの実施形態においては、(c)において、この温度は、約2分間~約240分間、約2分間~約200分間、約2分間~約100分間、約2分間~約60分間、約2分間~約40分間、約5分間~約240分間、約5分間~約200分間、約5分間~約100分間、約5分間~約60分間、約5分間~約40分間、約10分間~約240分間、約10分間~約200分間、約10分間~約100分間、約10分間~約60分間、約10分間~約40分間、約40分間~約240分間、約40分間~約200分間、約40分間~約100分間、約40分間~約60分間、約60分間~約240分間、約60分間~約200分間、約60分間~約100分間、約100分間~約240分間、約100分間~約200分間、又は約200分間~約240分間の間維持される。
【0087】
[0090] 幾つかの実施形態において、反応の進行は、混合物からの試料をUV-可視分光法を用いて試験することにより監視される。幾つかの実施形態においては、(c)において、ナノ構造体コアを添加した後、この温度を、混合物から採取した試料のUV-可視分光法によるピーク吸光度が、約350nm~約500nm、約350nm~約475nm、約350nm~約450nm、約350nm~約425nm、約350nm~約400nm、約350nm~約375nm、約375nm~約500nm、約375nm~約475nm、約375nm~約450nm、約375nm~約425nm、約375nm~約400nm、約400nm~約500nm、約400nm~約475nm、約400nm~約450nm、約400nm~約425nm、約425nm~約475nm、約425nm~約450nm、約450nm~約500nm、約450nm~約475nm、又は約475nm~約500nmの間になるまで維持する。幾つかの実施形態においては、(c)において、ナノ構造体コアを添加した後、この温度を、混合物から採取した試料のUV-可視分光法によるピーク吸光度が約425nm~約450nmの間になるまで維持する。
【0088】
[0091] 幾つかの実施形態において、追加のシェルは、シェル前駆体を反応混合物に添加した後、高温に維持することによって更に追加することにより、製造される。通常、追加のシェル前駆体は、その前のシェルの反応が実質的に完了したら(例えば、その前の前駆体の少なくとも1種が使い果たされるか又は反応物から除去されるか又はそれ以上成長が検出されなくなったら)、供給される。この更なる前駆体の追加により、追加のシェルが生成する。
【0089】
[0092] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、追加のシェル前駆体を添加して更なるシェルを付与する前に冷却される。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、シェル前駆体を添加して更なるシェルを付与する前に高温に維持される。
【0090】
[0093] 幾つかの実施形態において、シェル層の作製に使用される亜鉛源は、ジアルキル亜鉛化合物である。幾つかの実施形態において、亜鉛源は、カルボン酸亜鉛である。幾つかの実施形態において、亜鉛源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、酢酸亜鉛、アセチルアセトナト亜鉛、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、シアン化亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、過塩素酸亜鉛、硫酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、又はこれらの混合物である。幾つかの実施形態において、亜鉛源は、オレイン酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、又はこれらの混合物である。幾つかの実施形態において、亜鉛源は、オレイン酸亜鉛である。
【0091】
[0094] 幾つかの実施形態において、少なくとも1つの外側のシェル層の作製に使用されるセレン源は、アルキル置換されたセレン化尿素である。幾つかの実施形態において、セレン源は、ホスフィンセレニドである。幾つかの実施形態において、セレン源は、トリオクチルホスフィンセレニド、トリ(sec-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(tert-ブチル)ホスフィンセレニド、トリメチルホスフィンセレニド、トリフェニルホスフィンセレニド、ジフェニルホスフィンセレニド、フェニルホスフィンセレニド、トリシクロヘキシルホスフィンセレニド、シクロヘキシルホスフィンセレニド、1-オクタンセレノール、1-ドデカンセレノール、セレノフェノール、元素状セレン、セレン化水素、ビス(トリメチルシリル)セレニド、セレン化尿素、及びこれらの混合物から選択される。幾つかの実施形態において、セレン源は、トリ(n-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(sec-ブチル)ホスフィンセレニド、又はトリ(tert-ブチル)ホスフィンセレニドである。幾つかの実施形態において、セレン源は、トリオクチルホスフィンセレニドである。
【0092】
[0095] 幾つかの実施形態において、各外側のシェル層は、少なくとも1種のナノ構造体用配位子の存在下に合成される。配位子は、例えば、溶媒若しくはポリマー中でのナノ構造体の混和性を高め(ナノ構造体が凝集しないように、ナノ構造体が組成物全体に分布できるようにする)、ナノ構造体の量子収率を増加させ、及び/又はナノ構造体の発光を保持する(例えば、ナノ構造体がマトリックス中に組み込まれる場合)ことができる。合成後、ナノ構造体表面上にある任意の配位子を、他の望ましい性質を有する異なる配位子と交換することができる。配位子の例が、米国特許第7,572,395号、米国特許第8,143,703号、米国特許第8,425,803号、米国特許第8,563,133号、米国特許第8,916,064号、米国特許第9,005,480号、米国特許第9,139,770号、及び米国特許第9,169,435号並びに米国特許出願公開第2008/0118755号に開示されている。
【0093】
[0096] 外側のシェル層の合成に適した配位子は当業者に知られている。幾つかの実施形態において、配位子は、ラウリン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸からなる群から選択される脂肪酸である。幾つかの実施形態において、配位子は、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、ジフェニルホスフィン(DPP)、トリフェニルホスフィンオキシド、及びトリブチルホスフィンオキシドから選択される有機ホスフィン又は有機ホスフィンオキシドである。幾つかの実施形態において、配位子は、ドデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサデシルアミン、ジオクチルアミン、及びオクタデシルアミンからなる群から選択されるアミンである。幾つかの実施形態において、配位子はラウリン酸である。
【0094】
[0097] ZnSeシェルをInPナノ構造体に添加して、所望の厚み及び直径に達したら、ナノ構造体を冷却することができる。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は室温に冷却される。幾つかの実施形態においては、ナノ構造体を含む反応混合物を希釈するために有機溶媒を添加する。
【0095】
[0098] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体を含む反応混合物を希釈するために使用される有機溶媒は、エタノール、ヘキサン、ペンタン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン(塩化メチレン)、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジノン、又はこれらの組合せである。幾つかの実施形態において、有機溶媒はトルエンである。
【0096】
[0099] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体は単離される。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、有機溶媒を用いて析出させることにより単離される。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、エタノールを用いてフロキュレーションさせることにより単離される。
【0097】
[0100] ナノ構造体のサイズは、当業者に知られている技法を用いて測定することができる。幾つかの実施形態において、ナノ構造体サイズは、TEMを用いて測定される。幾つかの実施形態において、ナノ構造体の直径の平均値は、1nm~15nmの間、1nm~10nmの間、1nm~9nmの間、1nm~8nmの間、1nm~7nmの間、1nm~6nmの間、1nm~5nmの間、5nm~15nmの間、5nm~10nmの間、5nm~9nmの間、5nm~8nmの間、5nm~7nmの間、5nm~6nmの間、6nm~15nmの間、6nm~10nmの間、6nm~9nmの間、6nm~8nmの間、6nm~7nmの間、7nm~15nmの間、7nm~10nmの間、7nm~9nmの間、7nm~8nmの間、8nm~15nmの間、8nm~10nmの間、8nm~9nmの間、9nm~15nmの間、9nm~10nmの間、又は10nm~15nmの間にある。幾つかの実施形態において、ナノ構造体の直径の平均値は6nm~7nmの間にある。
【0098】
ZnSeシェルを有するInPコアの製造-C法
[0101] 幾つかの実施形態において、本発明は、コア/シェル型InP/ZnSeナノ構造体の製造方法であって:
(a)不活性雰囲気下において、溶媒、配位子、及び塩化亜鉛を含む溶液に、InPコアを約80℃~約320℃の温度で添加することと;
(b)(a)で得られた溶液に臭化亜鉛及び塩化ガリウムを添加することと;
(c)(b)で得られた溶液にセレン源を添加することと;
(d)(c)で得られた溶液を約250℃~約320℃の温度に加熱することと;
(e)(d)で得られた溶液を放冷することと;
を含む方法に関する。
【0099】
[0102] 幾つかの実施形態において、(a)における溶液を、約80℃~140℃、90℃~140℃、100℃~140℃、110℃~140℃、120℃~140℃、130℃~140℃、80℃~130℃、90℃~130℃、100℃~130℃、110℃~130℃、120℃~130℃、80℃~110℃、90℃~110℃、100℃~110℃、又は約100℃の温度に加熱する。
【0100】
[0103] 幾つかの実施形態において、溶媒は、1-オクタデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン、エイコサン、オクタデカン、ヘキサデカン、テトラデカン、スクアレン、スクアラン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリオクチルアミン、トリオクチルホスフィン、及びジオクチルエーテルからなる群から選択される。幾つかの実施形態において、溶媒は1-オクタデセンである。
【0101】
[0104] 幾つかの実施形態において、(a)において添加される配位子は、ラウリン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸からなる群から選択される脂肪酸である。幾つかの実施形態において、配位子は、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、ジフェニルホスフィン(DPP)、トリフェニルホスフィンオキシド、及びトリブチルホスフィンオキシドから選択される有機ホスフィン又は有機ホスフィンオキシドである。幾つかの実施形態において、配位子は、ドデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサデシルアミン、ジオクチルアミン、及びオクタデシルアミンからなる群から選択されるアミンである。幾つかの実施形態において、配位子はラウリン酸である。
【0102】
[0105] 幾つかの実施形態において、(a)におけるInP QD対塩化亜鉛のモル比は、1:0.5~1:4の範囲にある。他の実施形態において、InP QD対塩化亜鉛のモル比は、約1:1である。
【0103】
[0106] 幾つかの実施形態において、(b)におけるInP QD対臭化亜鉛のモル比は、1:0.5~1:4の範囲にある。他の実施形態において、In P QD対臭化亜鉛のモル比は、約1:0.6である。
【0104】
[0107] 幾つかの実施形態において、(b)におけるInP QD対塩化ガリウムのモル比は、1:0.5~1:4の範囲にある。他の実施形態において、InP QD対塩化ガリウムのモル比は、約1:0.7である。
【0105】
[0108] 幾つかの実施形態において、セレン源は、セレン化アルキル又はセレン粉末である。
【0106】
[0109] 幾つかの実施形態において、(d)における温度は、200℃~300℃に昇温される。他の実施形態において、溶液の温度は、210℃~300℃、220℃~300℃、230℃~300℃、240℃~300℃、250℃~300℃、260℃~300℃、270℃~300℃、280℃~300℃、290℃~300℃、210℃~290℃、220℃~290℃、230℃~290℃、240℃~290℃、250℃~290℃、260℃~290℃、270℃~290℃、280℃~290℃、210℃~280℃、220℃~280℃、230℃~280℃、240℃~280℃、250℃~280℃、260℃~280℃、270℃~280℃、210℃~270℃、220℃~270℃、230℃~270℃、240℃~270℃、250℃~270℃、260℃~270℃、210℃~260℃、220℃~260℃、230℃~260℃、240℃~260℃、又は約250℃に昇温される。昇温された温度は、約5分間~約5時間保持される。他の実施形態において、昇温された温度は、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、280、290、300、又は約120分間保持される。
【0107】
ナノ構造体の特性
[0110] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体は高いフォトルミネッセンス量子収率を示す。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約85%、約70%~約80%、約80%~約99%、約80%~約95%、約80%~約90%、約80%~約85%、約85%~約99%、約85%~約95%、約80%~約85%、約85%~約99%、約85%~約90%、約90%~約99%、約90%~約95%、又は約95%~約99%の間のフォトルミネッセンス量子収率を示す。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、約85%~約90%の間のフォトルミネッセンス量子収率を示す。一実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0108】
[0111] ナノ構造体のフォトルミネッセンススペクトルは、基本的にスペクトルの任意の所望の部分に広がり得る。幾つかの実施形態において、ナノ構造体のフォトルミネッセンススペクトルは、発光極大が、300nm~750nm、300nm~650nm、300nm~550nm、300nm~450nm、450nm~750nm、450nm~650nm、450nm~550nm、450nm~750nm、450nm~650nm、450nm~550nm、550nm~750nm、550nm~650nm、又は650nm~750nmの間にある。幾つかの実施形態において、ナノ構造体のフォトルミネッセンススペクトルは、発光極大が450nm~550nmの間にある。幾つかの実施形態において、ナノ構造体のフォトルミネッセンススペクトルの発光極大は、530nm~540nmの間にある。一実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0109】
[0112] ナノ構造体の粒子径分布は比較的狭くすることができる。幾つかの実施形態において、ナノ構造体の集団のフォトルミネッセンススペクトルの半値全幅は、10nm~60nm、10nm~40nm、10nm~30nm、10nm~20nm、20nm~60nm、20nm~40nm、20nm~30nm、30nm~60nm、30nm~40nm、又は40nm~60nmの間とすることができる。幾つかの実施形態において、ナノ構造体の集団のフォトルミネッセンススペクトルの半値全幅は、35nm~50nmの間とすることができる。一実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0110】
ナノ構造体の表面処理
[0113] ナノ構造体を、デバイスに使用した場合にEQE及び寿命を予期せぬほど向上させる、表面処理に付す。表面処理は、不活性雰囲気下に、カルボン酸亜鉛及びハロゲン化亜鉛を含む溶液を用いて高温で処理することを含む。幾つかの実施形態において、カルボン酸亜鉛は、酢酸亜鉛である。幾つかの実施形態において、ハロゲン化亜鉛は、フッ化亜鉛である。一実施形態において、酢酸亜鉛は、二水和物の形態にある。一実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0111】
[0114] 酢酸亜鉛対フッ化亜鉛のモル比は、1~5の範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、酢酸亜鉛対フッ化亜鉛のモル比は、2~5、3~5、4~5、2~4、3~5、4~5、2~4、又は2~3の範囲とすることができる。一実施形態において、酢酸亜鉛対フッ化亜鉛のモル比は、約2:3である。一実施形態において、酢酸亜鉛対InPコアのモル比は、4:1~35:1である。他の実施形態において、フッ化亜鉛対InPコアのモル比は、1:9~1:40である。他の実施形態において、酢酸亜鉛、フッ化亜鉛、及びInPコアのモル比は、約20:28:1である。
【0112】
[0115] 幾つかの実施形態においては、InPナノ結晶を含む溶液に、酢酸亜鉛二水和物及びフッ化亜鉛が添加される。添加温度は、0℃~100℃の範囲とすることができる。他の実施形態において、添加時点の溶液の温度は、10℃~100℃、20℃~100℃、30℃~100℃、40℃~100℃、50℃~100℃、60℃~100℃、70℃~100℃、80℃~100℃、90℃~100℃、0℃~90℃、10℃~90℃、20℃~90℃、30℃~90℃、40℃~90℃、50℃~90℃、60℃~90℃、70℃~90℃、80℃~90℃、0℃~80℃、10℃~80℃、20℃~80℃、30℃~80℃、40℃~80℃、50℃~80℃、60℃~80℃、70℃~80℃、0℃~70℃、10℃~70℃、20℃~70℃、30℃~70℃、40℃~70℃、50℃~70℃、60℃~70℃、0℃~60℃、10℃~60℃、20℃~60℃、30℃~60℃、40℃~60℃、50℃~60℃、0℃~50℃、10℃~50℃、20℃~50℃、30℃~50℃、40℃~50℃、0℃~40℃、10℃~40℃、20℃~40℃、30℃~40℃、0℃~30℃、10℃~30℃、20℃~30℃、0℃~20℃、10℃~20℃の範囲又は室温とすることができる。
【0113】
[0116] 次いで、反応温度は、200℃~300℃に昇温される。他の実施形態において、溶液の温度は、210℃~300℃、220℃~300℃、230℃~300℃、240℃~300℃、250℃~300℃、260℃~300℃、270℃~300℃、280℃~300℃、290℃~300℃、200℃~290℃、210℃~290℃、220℃~290℃、230℃~290℃、240℃~290℃、250℃~290℃、260℃~290℃、270℃~290℃、280℃~290℃、200℃~280℃、210℃~280℃、220℃~280℃、230℃~280℃、240℃~280℃、250℃~280℃、260℃~280℃、270℃~280℃、200℃~270℃、210℃~270℃、220℃~270℃、230℃~270℃、240℃~270℃、250℃~270℃、260℃~270℃、200℃~260℃、210℃~260℃、220℃~260℃、230℃~260℃、240℃~260℃、250℃~260℃、200℃~250℃、210℃~250℃、220℃~250℃、230℃~250℃、240℃~250℃、又は約250℃に昇温される。昇温された温度は1~5時間保持される。他の実施形態において、昇温された温度は、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、280、290、300、又は約120分間保持される。
【0114】
[0117] 次いで、反応物は、50℃~150℃に放冷される。他の実施形態において、反応物は、50℃~140℃、60℃~140℃、70℃~140℃、80℃~140℃、90℃~140℃、100℃~140℃、110℃~140℃、120℃~140℃、130℃~140℃、50℃~130℃、60℃~130℃、70℃~130℃、80℃~130℃、90℃~130℃、100℃~130℃、110℃~130℃、120℃~130℃、50℃~120℃、60℃~120℃、70℃~120℃、80℃~120℃、90℃~120℃、100℃~120℃、110℃~120℃、又は約100℃に放冷される。
【0115】
[0118] 反応物を冷却した後、配位子が添加される。幾つかの実施形態においては、TOPが添加される。次いで、酢酸亜鉛及びフッ化亜鉛をその表面上に有するコア-シェル型ナノ構造体を、ナノ構造体の単離に関し知られている任意の方法により単離することができる。一実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、析出及び/又は遠心分離により単離され、溶媒で洗浄される。一実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、エタノール等のアルコール及びヘキサンを添加することにより析出される。一実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0116】
ピーク発光波長
[0119] 幾つかの実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、ピーク発光波長(PWL)が、約400nm~約650nm、約400nm~約600nm、約400nm~約550nm、約400nm~約500nm、約400nm~約450nm、約450nm~約650nm、約450nm~約600nm、約450nm~約550nm、約450nm~約500nm、約500nm~約650nm、約500nm~約600nm、約500nm~約550nm、約550nm~約650nm、約550nm~約600nm、又は約600nm~約650nmの間にある光を放出する。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、約500nm~約550nmの間にPWLを有する光を放出する。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、約530nm~約540nmの間にPWLを有する光を放出する。一実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0117】
フィルム、デバイス、及び使用
[0120] コア-シェル型ナノ構造体の集団は、任意選択的に、フィルムを形成するマトリックス(例えば、有機ポリマー、ケイ素含有ポリマー、無機、ガラス状、及び/又は他のマトリックス)に埋め込むことができる。このフィルムは、ナノ構造を有するリン光体の製造に使用することができ、及び/又はデバイス、例えば、LED、バックライト、ダウンライト、若しくは他のディスプレイ若しくは照明ユニット若しくは光学フィルタに組み込むことができる。例示的なリン光体及び照明ユニットにおいては、例えば、所望の波長若しくはその付近に発光極大を有するナノ構造体の集団を組み込むことにより特定の色の光を生成するか、又は異なる発光極大を有する2種以上の異なるナノ構造体の集団を組み込むことにより広色域を生成することができる。様々な好適なマトリックスが当該技術分野において知られている。例えば、米国特許第7,068,898号並びに米国特許出願公開第2010/0276638号、米国特許出願公開第2007/0034833号、及び米国特許出願公開第2012/0113672号を参照されたい。例示的なナノ構造を有するリン光フィルム、LED、バックライトユニット等は、例えば、米国特許出願公開第2010/0276638号、米国特許出願公開第2012/0113672号、米国特許出願公開第2008/0237540号、米国特許出願公開第2010/0110728号、及び米国特許出願公開第2010/0155749号並びに米国特許第7,374,807号、米国特許第7,645,397号、米国特許第6,501,091号、及び米国特許第6,803,719号に記載されている。一実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0118】
[0121] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体フィルムは、ディスプレイデバイスの形成に使用される。本明細書において使用されるディスプレイデバイスとは、照光式ディスプレイ(lighting display)を有する任意のシステムを指す。この種のデバイスとしては、これらに限定されるものではないが、液晶ディスプレイ(LCD)を含むデバイス、テレビ受像機、コンピュータ、携帯電話、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDAs)、ゲーム機器、電子書籍表示装置(electronic reading device)、デジタルカメラ、及び同種のものが挙げられる。
【0119】
[0122] 幾つかの実施形態において、本開示は、ナノ構造体成形品であって:
(a)第1導電層と;
(b)第2導電層と;
(c)第1導電層及び第2導電層の間のナノ構造体層と;
を備え、ナノ構造体層は、ナノ結晶コア及びその表面に結合している酢酸亜鉛及びフッ化亜鉛を有する少なくとも1つのシェルを備えるナノ構造体の集団を含む、ナノ構造体成形品を提供する。幾つかの実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0120】
[0123] 幾つかの実施形態において、本開示は、ナノ構造体フィルムであって:
(a)少なくとも1つのナノ構造体の集団であって、ナノ構造体は、コアと、その表面に結合しているカルボン酸亜鉛及びハロゲン化亜鉛を有する少なくとも1つのシェルとを備える、ナノ構造体の集団と;
(b)少なくとも1種の有機樹脂と;
を含む、ナノ構造体フィルムを提供する。
【0121】
[0124] 幾つかの実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0122】
[0125] 幾つかの実施形態において、コア/シェル型ナノ構造体は、マトリックス中に埋め込まれている。本明細書において使用される「埋め込まれている」という用語は、ナノ構造体が、マトリックスの構成要素の大部分を構成するマトリックス材料に囲まれている(enclosed)又は包まれている(encased)ことを表すために使用される。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、マトリックス材料全体に均一に分布している。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、用途に固有の(application-specific)一様分布関数に従い分布している。
【0123】
[0126] マトリックス材料は、ナノ構造体を収容することが可能な任意の好適な、母材となる(host)マトリックス材料とすることができる。好適なマトリックス材料は、ナノ構造体及びナノ構造体フィルムをデバイスに適用する際に使用される、周囲のパッケージ材料又は層と化学的及び光学的に適合性を有するものとすることができる。好適なマトリックス材料は、一次及び二次光の両方に対し透明であり、それにより一次及び二次光をマトリックス材料を透過させる、非黄変性光学材料を含むことができる。マトリックス材料は、ポリマー並びに有機及び無機酸化物を含むことができる。マトリックス材料に使用するのに好適なポリマーは、この種の目的に使用することができる技術分野の当業者に知られている任意のポリマーとすることができる。ポリマーは、実質的に半透明又は実質的に透明なものとすることができる。マトリックス材料としては、これらに限定されるものではないが、エポキシ、アクリレート、ノルボルネン、ポリエチレン、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ尿素、ポリウレタン、シリコーン及びシリコーン誘導体(これらに限定されるものではないが、アミノシリコーン(AMS)、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、シルセスキオキサン、フッ素系シリコーン、ビニル及びヒドリドで置換されたシリコーンが挙げられる);これらに限定されるものではないが、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びラウリルメタクリレート等のモノマーから形成されるアクリル系ポリマー及びコポリマー;ポリスチレン、アミノポリスチレン(APS)、及びポリ(アクリロニトリルエチレンスチレン)(AES)等のスチレン系ポリマー;ジビニルベンゼン等の二官能性モノマーで架橋されたポリマー;配位子材料の架橋に適した架橋剤、アミン配位子(例えば、アミン配位子であるAPS又ポリエチレンイミン)と結合してエポキシを形成するエポキシド、並びに同種のものを挙げることができる。
【0124】
[0127] 幾つかの実施形態において、マトリックス材料は、ナノ構造体フィルムの光変換効率を向上することができる、TiOマイクロビーズ、ZnSマイクロビーズ、又はガラスマイクロビーズ等の散乱性マイクロビーズを含む。幾つかの実施形態において、マトリックス材料は、遮光要素を含むことができる。
【0125】
[0128] 幾つかの実施形態において、マトリックス材料は、酸素透過性及び透湿性が低く、光及び化学安定性を示し、好ましい屈折率を示し、且つナノ構造体の外面に付着し、それによりナノ構造体を保護するための気密性封止材となるものとすることができる。他の実施形態において、マトリックス材料は、ロールツーロール方式の処理が容易になるように、UV又は熱硬化方法により硬化可能なものとすることができる。
【0126】
[0129] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体フィルムは、ナノ構造体をポリマー(例えば、フォトレジスト)中で混合し、ナノ構造体-ポリマー混合物を基板上にキャスティングすることによるか、ナノ構造体をモノマーと混合し、これらを一緒に重合することによるか、ナノ構造体をゾル-ゲル中で混合することにより酸化物を形成することによるか、又は当業者に知られている他の任意の方法により、形成することができる。
【0127】
[0130] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体フィルムの形成は、フィルム押出プロセスを含むことができる。フィルム押出プロセスは、マトリックス材料及びコア-シェル型ナノ構造体の均質な混合物を形成することと、この均質な混合物を、押出機への供給を行う、頂部に取り付けられたホッパに導入することと、を含むことができる。幾つかの実施形態において、均質な混合物は、ペレット形態とすることができる。フィルム押出プロセスは、スロットダイからナノ構造体フィルムを押出すことと、押出されたナノ構造体フィルムをチルロールを通過させることと、を更に含むことができる。幾つかの実施形態において、押出されたナノ構造体フィルムの厚みは、約75μm未満、例えば、約70μm~約40μm、約65μm~約40μm、約60μm~約40μm、又は約50μm~約40μmの範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、ナノ構造体フィルムの厚みは、約10μm未満である。幾つかの実施形態において、ナノ構造体フィルムの形成は、任意選択的に、フィルム押出プロセスに続く第2プロセスを含むことができる。この第2プロセスは、ナノ構造体フィルム層の上面にテクスチャを付与するための、共押出、熱成形、真空成形、プラズマ処理、成形、及び/又はエンボス加工等のプロセスを含むことができる。ナノ構造体フィルムの上面にテクスチャを付与することにより、例えば、ナノ構造体フィルムの規定された光拡散特性(optical diffusion property)及び/又は規定された発光角度分布特性(angular optical emission property)の改善を助けることができる。
【0128】
[0131] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体組成物は、ナノ構造体成形品を形成するために使用される。幾つかの実施形態において、ナノ構造体成形品は、液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)である。幾つかの実施形態において、ナノ構造体組成物は、照明デバイスの発光層を形成するために使用される。照明デバイスは、フレキシブルエレクトロニクス、タッチスクリーン、モニター、テレビ受像機、携帯電話、及び他の任意の高解像度ディスプレイ等の幅広い用途に用いることができる。幾つかの実施形態において、照明デバイスは、発光ダイオード又は液晶ディスプレイである。幾つかの実施形態において、照明デバイスは、量子ドット発光ダイオード(QLED)である。QLEDの例は、米国特許出願公開第15/824,701号に記載されており、当該明細書全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。幾つかの実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0129】
[0132] 幾つかの実施形態において、本開示は、発光ダイオードであって:
(a)第1導電層と;
(b)第2導電層と;
(c)第1導電層及び第2導電層の間の発光層と;
を備え、発光層は、(i)ナノ結晶コアと、その表面に結合している酢酸亜鉛及びフッ化亜鉛とを備える少なくとも1つのナノ構造体の集団を含む、発光ダイオードを提供する。
【0130】
[0133] 幾つかの実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0131】
[0134] 幾つかの実施形態において、発光層は、ナノ構造体フィルムである。
【0132】
[0135] 幾つかの実施形態において、発光ダイオードは、第1導電層と、第2導電層と、発光層とを備え、発光層は、第1導電層及び第2導電層の間に配置されている。幾つかの実施形態において、発光層は薄いフィルムである。
【0133】
[0136] 幾つかの実施形態において、発光ダイオードは、第1導電層及び第2導電層の間に、正孔注入層、正孔輸送層、及び電子輸送層等の追加の層を備える。幾つかの実施形態において、正孔注入層、正孔輸送層、及び電子輸送層は、薄いフィルムである。幾つかの実施形態において、この層は基板上に積層されている。
【0134】
[0137] 電圧を第1導電層及び第2導電層に印加すると、第1導電層に注入された正孔は、正孔注入層及び/又は正孔輸送層を介して発光層に移動し、第2導電層から注入された電子は、電子輸送層を介して発光層に移動する。正孔及び電子は発光層で再結合し、励起子を生成する。幾つかの実施形態において、正孔輸送層は、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(4,4’-(N-(4-sec-ブチルフェニル)ジフェニルアミン)](TFB)を含む。
【0135】
[0138] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体フィルムは、ガラス上量子ドット(quantum dot on glass)LCDディスプレイデバイスに組み込まれる。LCDディスプレイデバイスは、中間基材又はバリア層を必要とすることなく、導光板(LGP)上に直接形成されたナノ構造体フィルムを含むことができる。幾つかの実施形態において、ナノ構造体フィルムは薄いフィルムとすることができる。幾つかの実施形態において、ナノ構造体フィルムの厚みは、500μm以下、100μm以下、又は50μm以下とすることができる。幾つかの実施形態において、ナノ構造体フィルムは、約15μm以下の厚みを有する薄いフィルムである。幾つかの実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0136】
[0139] LGPは、少なくとも上面を含む1又は複数の面を有する、ガラスを備える光共振器を含むことができる。ガラスは湿気及び空気を含む不純物に対し非常に高い耐性を付与する。更にガラスは、薄肉でも構造的な剛性を維持する基板として形成することができる。したがって、LGPは、充分なバリア性及び構造特性を有する基板を提供するために、ガラス表面上の少なくとも一部に形成することができる。
【0137】
[0140] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体フィルムは、LGP上に形成することができる。幾つかの実施形態において、ナノ構造体フィルムは、樹脂等のマトリックス材料に埋め込まれたナノ構造体の集団を含む。ナノ構造体フィルムは、ウェットコーティング、塗装(painting)、スピンコーティング、又はスクリーン印刷等の当該技術分野において知られている任意の方法により、LGP上に形成することができる。ナノ構造体フィルムを堆積させた後に、樹脂を硬化させることができる。幾つかの実施形態においては、1又は複数のナノ構造体フィルムの樹脂を部分的に硬化させ、更に処理してから、最終硬化させることができる。ナノ構造体フィルムは、1層として又は別々の層として堆積させることができ、別々の層は様々な特性を有することができる。ナノ構造体フィルムの幅及び高さは、ディスプレイデバイスの視認パネル(viewing panel)のサイズに応じて、任意の所望の寸法を有することができる。例えば、ナノ構造体フィルムは、時計及び電話等の小型ディスプレイデバイスの実施形態においては比較的小さい表面積を有することができ、又はナノ構造体フィルムは、TV及びコンピュータのモニター等の大型ディスプレイデバイスの実施形態においては大きい表面積を有することができる。
【0138】
[0141] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体フィルム上に、光学的に透明な基板が、真空蒸着、蒸着、又は同種のもの等の当該技術分野において知られている任意の方法により形成される。光学的に透明な基板は、その下の層及び/又はナノ構造体フィルムの構造体を、環境に対し密封(environmental sealing)するように構成することができる。幾つかの実施形態においては、光学的に透明な基板内に遮光要素が含まれてもよい。幾つかの実施形態においては、遮光要素は、基板及びナノ構造体フィルムの間に配置されている第2偏光フィルタ内に含まれていてもよい。幾つかの実施形態において、遮光要素は、例えば、第1の光(例えば、青色光、UV光、又はUV光及び青色光の組合せ)を反射しながら、第2の光を透過させることができるダイクロイックフィルタとすることができる。遮光要素は、赤色及び緑色サブ画素から未変換のUV光を除去し、及び/又は青色サブ画素からUV光を除去するための、特定のUV光を遮蔽する構成要素を含むことができる。
【0139】
[0142] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、ディスプレイデバイスに、「オンチップ(on-chip)」配置により組み込まれる。本明細書において使用される「オンチップ」とは、ナノ構造体をLEDカップ内に配置することを指す。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、LEDカップに充填するために樹脂又は流体に溶解される。
【0140】
[0143] 幾つかの実施形態において、ナノ構造体は、ディスプレイデバイスに、「ニアチップ(near-chip)」配置により組み込まれる。本明細書において使用される「ニアチップ」とは、LEDアセンブリの最上面に、出射光がナノ構造体フィルムを通過するようにナノ構造体を塗工することを指す。
【0141】
[0144] 幾つかの実施形態において、本発明は、ディスプレイデバイスであって:
(a)第1光を放出するディスプレイパネルと;
(b)第1光をディスプレイパネルに供給するように構成されたバックライトユニットと;
(c)色変換層を備える少なくとも1つの画素領域を含むカラーフィルタと;
を備える、ディスプレイデバイスを提供する。
【0142】
[0145] 幾つかの実施形態において、カラーフィルタは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の画素領域を有する。幾つかの実施形態においては、青色光がカラーフィルタに入射すると、赤色光、白色光、緑色光、及び/又は青色光が、それぞれ、画素領域を介して放出されることができる。幾つかの実施形態において、カラーフィルタは、米国特許出願第2017/153366号に記載されており、その全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0143】
[0146] 幾つかの実施形態において、各画素領域は、色変換層を含む。幾つかの実施形態において、色変換層は、入射光を第1色の光に変換するように構成された、本明細書に記載するナノ構造体を含む。幾つかの実施形態において、色変換層は、入射光を青色光に変換するように構成された、本明細書に記載するナノ構造体を含む。
【0144】
[0147] 幾つかの実施形態において、ディスプレイデバイスは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10種の色変換層を備える。幾つかの実施形態において、ディスプレイデバイスは、本明細書に記載するナノ構造体を含む1種の色変換層を備える。幾つかの実施形態において、ディスプレイデバイスは、本明細書に記載するナノ構造体を含む2種の色変換層を備える。幾つかの実施形態において、ディスプレイデバイスは、本明細書に記載するナノ構造体を含む3種の色変換層を備える。幾つかの実施形態において、ディスプレイデバイスは、本明細書に記載するナノ構造体を含む4種の色変換層を備える。幾つかの実施形態において、ディスプレイデバイスは、少なくとも1種の赤色変換層、少なくとも1種の緑色変換層、及び少なくとも1種の青色変換層を備える。
【0145】
[0148] 幾つかの実施形態において、色変換層の厚みは、約3μm~約10μm、約3μm~約8μm、約3μm~約6μm、約6μm~約10μm、約6μm~約8μm、又は約8μm~約10μmの間にある。幾つかの実施形態において、色変換層の厚みは、約3μm~約10μmの間にある。
【0146】
[0149] ナノ構造体の色変換層は、当該技術分野において知られている任意の好適な方法により堆積させることができ、これらに限定されるものではないが、塗装、スプレーコーティング、溶媒噴霧、ウェットコーティング、接着剤コーティング、スピンコーティング、テープコーティング(tape-coating)、ロールコーティング、流し塗り、インクジェット印刷、フォトレジストによるパターン形成、ドロップキャスト、ブレードコーティング、ミストデポジション、又はこれらの組合せが挙げられる。幾つかの実施形態において、ナノ構造体の色変換層は、フォトレジストのパターン形成により堆積される。幾つかの実施形態において、ナノ構体の色変換層は、インクジェット印刷により堆積される。
【0147】
[0150] コア-シェル型ナノ構造体は、撮像又は標識、例えば、生体撮像又は生体標識に使用することができる。したがって、結果として得られるナノ構造体は、任意選択的に、これらに限定されるものではないが、ペプチド又はタンパク質(例えば、抗体又は抗体領域、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、又は他の結合若しくは認識分子)、リガンド(例えば、ビオチン)、ポリヌクレオチド(例えば、短鎖オリゴヌクレオチド又はより長鎖の核酸)、炭水化物、脂質(例えば、リン脂質又はその他のミセル)等の生体分子に共有結合的又は非共有結合的に結合する。1個又は複数個のナノ構造体を、所与の用途のために、所望に応じて、各生体分子に結合させることができる。この種のナノ構造体で標識された生体分子は、例えば、in vitro、in vivo、及びin celluloで、例えば、結合又は化学反応の調査に、並びに細胞成分、細胞、及び生物標識に用途が見出されている。一実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0148】
[0151] この方法により得られるコア-シェル型ナノ構造体もまた、本発明の特徴である。したがって、実施形態の一分類は、コア-シェル型ナノ構造体の集団を提供する。幾つかの実施形態において、ナノ構造体は量子ドットである。一実施形態において、コア-シェル型ナノ構造体は、InP/ZnSeである。
【0149】
インクジェット印刷
[0152] ナノ構造体の有機溶媒中の分散液を用いる薄いフィルムの形成は、多くの場合、スピンコーティング等の塗工技法を用いて達成される。しかしながら、これらの塗工技法は、一般に、大面積の薄いフィルムの形成には適しておらず、堆積した層にパターン形成する手段を提供するものではなく、したがって、使用が限られている。インクジェット印刷では、大規模及び低コストで薄いフィルムを正確なパターンで配置することが可能である。インクジェット印刷はまた、ナノ構造体層を正確にパターン形成することも可能であり、ディスプレイの画素の印刷が可能であり、光パターニングが不要である。したがって、インクジェット印刷は、産業用途、特にディスプレイ用途に非常に魅力的である。
【0150】
[0153] インクジェット印刷に慣用されている溶媒は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(DPMA)、ポリグリシジルメタクリレート(PGMA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAC)、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)である。揮発性溶媒も、速やかに乾燥することから、インクジェット印刷によく使用される。揮発性溶媒としては、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、及びテトラヒドロフランが挙げられる。従来のナノ構造体は、一般に、これらの溶媒に溶解させることができない。しかし、ポリ(アルキレンオキシド)配位子を含むナノ構造体は親水性が増大しているため、これらの溶媒への溶解性を増大させることができる。
【0151】
[0154] 幾つかの実施形態において、インクジェット印刷に使用される本明細書に記載するナノ構造体は、DPMA、PGMA、EDGAC、PGMEA、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ヘキサデカン、ウンデカン、デカン、ドデカン、キシレン、トルエン、ベンゼン、オクタデカン、テトラデカン、ブチルエーテル、又はこれらの組合せから選択される溶媒に分散される。幾つかの実施形態において、インクジェット印刷に使用される本明細書に記載するポリ(アルキレンオキシド)配位子を含むナノ構造体は、DPMA、PGMA、EDGAC、PGMEA、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、又はこれらの組合せから選択される溶媒に分散される。
【0152】
[0155] インクジェット印刷又はマイクロディスペンシングに適用するためには、ナノ構造体を含むインクジェット組成物を、好適な溶媒に溶解させることが必要である。溶媒は、ナノ構造体組成物を分散させることが可能なものでなければならず、且つ選択された印刷ヘッドに悪影響を与えるものであってはならない。
【0153】
[0156] 幾つかの実施形態において、インクジェット組成物は、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、補助剤、着色剤、染料、顔料、増感剤、安定剤、及び阻害剤等の1種又は複数種の追加の成分を更に含む。
【0154】
[0157] 幾つかの実施形態において、本明細書に記載するナノ構造体組成物は、インクジェット組成物の重量で約0.01%~約20%を構成する。幾つかの実施形態において、ポリ(アルキレンオキシド)配位子を含むナノ構造体は、インクジェット組成物の重量で、約0.01%~約20%、約0.01%~約15%、約0.01%~約10%、約0.01%~約5%、約0.01%~約2%、約0.01%~約1%、約0.01%~約0.1%、約0.01%~約0.05%、約0.05%~約20%、約0.05%~約15%、約0.05%~約10%、約0.05%~約5%、約0.05%~約2%、約0.05%~約1%、約0.05%~約0.1%、約0.1%~約20%、約0.1%~約15%、約0.1%~約10%、約0.1%~約5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1%、約0.5%~約20%、約0.5%~約15%、約0.5%~約10%、約0.5%~約5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約1%、約1%~約20%、約1%~約15%、約1%~約10%、約1%~約5%、約1%~約2%、約2%~約20%、約2%~約15%、約2%~約10%、約2%~約5%、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約10%~約20%、約10%~約15%、又は約15%~20%を構成する。
【0155】
[0158] 幾つかの実施形態において、本明細書に記載するナノ構造体又はナノ構造体組成物を含むインクジェット組成物は、電子デバイスの形成に使用される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載するナノ構造体又はナノ構造体組成物のインクジェット組成物は、ナノ構造体フィルム、ディスプレイデバイス、照明デバイス、バックライトユニット、カラーフィルタ、面発光装置、電極、磁気記憶装置、及び電池からなる群から選択される電子デバイスの形成に使用される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載するナノ構造体組成物を含むインクジェット組成物は、発光デバイスの形成に使用される。
【実施例
【0156】
[0159] 以下に示す実施例は、本明細書に記載する製品及び方法を例示するものであり、非限定的なものである。本分野において通常遭遇する、本開示を鑑みて当業者に明らかな様々な条件、配合、及び他のパラメータの好適な修正及び適応は、本発明の主旨及び範囲に包含される。
【0157】
実施例1
InP/ZnSe緑色発光ナノ構造体の作製
[0160] 以下に示すプロセスを用いてInP/ZnSe緑色発光ナノ構造体を作製した。
【0158】
[0161] オレイン酸亜鉛28.2895グラム及びラウリン酸8.0631グラムを秤量する。
【0159】
[0162] オレイン酸亜鉛及びラウリン酸を3頚丸底フラスコに加え、1-オクタデセン(ODE)79.65mL及びスターラーバーをフラスコに加える。
【0160】
[0163] ラバーセプタム、熱電対を備える熱電対用アダプタ、及びシュレンク用アダプタをフラスコに取り付け、フラスコをシュレンクラインに接続する。
【0161】
[0164] 溶液を室温で激しく撹拌しながら慎重に脱気する。
【0162】
[0165] フラスコをシュレンクラインからの窒素気流下に置く。
【0163】
[0166] フラスコを下げて加熱マントルに入れ、溶液を窒素気流下で約90℃に加熱する。
【0164】
[0167] 無色透明な溶液が得られたら、フラスコを激しく撹拌しながら数分間慎重に真空引きする。
【0165】
[0168] フラスコを窒素気流下に置き、溶液を110℃に加熱する。
【0166】
[0169] 溶液が110℃に達したら、グローブボックスでバイアルに秤量しておいた塩化亜鉛150mgを加える。
【0167】
[0170] 溶液の温度が110℃で安定したら、InPコア4.13mL(150mg、InPコア1.02mmolに相当)を加え、コアを溶液で10分間エッチングする。
【0168】
[0171] 10分後、ラバーセプタムを外し、グローブボックス内で秤量しておいたZnBr150mg及びGaCl300mgを素早く加え、直ぐにラバーセプタムを戻す。
【0169】
[0172] 1.92MのTOP中TOPSe1.73mLをラバーセプタムを通して注入し、溶液を270℃に加熱する。
【0170】
[0173] 温度が270℃に達したら直ぐに、Se粉末325.94mgを、ODE20mlと一緒に、シリンジポンプを用いて送液する。
【0171】
[0174] 温度を310℃に昇温し、この温度を20分間保持する。
【0172】
[0175] 20分後、温度コントローラからの加熱を停止し、フラスコの下の加熱マントルを取り除き、フラスコを冷却する。
【0173】
実施例2
InP/ZnSe緑色発光ナノ構造体の表面処理
[0176] 実施例1で得られた反応混合物を室温に冷却した後、ラバーセプタムを素早く外し、酢酸亜鉛二水和物4.36グラム及びフッ化亜鉛3グラムをフラスコに加えた。ラバーセプタムを素早く戻した。
【0174】
[0177] フラスコを加熱マントルに戻して250℃に加熱した。この温度を2時間保持した。
【0175】
[0178] 2時間後、フラスコを100℃まで放冷した。
【0176】
[0179] フラスコが約100℃まで冷却されたら、グローブボックス内で準備しておいたTOP34mLをシリンジで加えた。
【0177】
[0180] 次いでフラスコを慎重に真空引きし、フラスコをシュレンク接続用アダプタで密閉し、フラスコを数個のテフロン(登録商標)製ボトルと一緒にグローブボックスに移した。
【0178】
[0181] 溶解しなかった材料を、室温下に5000rpmで30分間遠心分離することにより沈殿させた。透明な溶液にヘキサン及びEtOHを加え、懸濁液を4000rpmで15分間遠心分離した。これを3回繰り返すことにより、精製された表面処理されたInP/ZnSeナノ構造体を得た。
【0179】
実施例3
表面処理されたInP/ZnSe緑色発光ナノ構造体の特性評価
[0182] 表面処理されたコア/シェル型ナノ構造体を試験するためにQLEDデバイスを作製した。デバイスは、ITOコートされたガラス基板、PEDOT-PSS含有正孔注入層(HIL)、正孔輸送層、無水オクタン中ナノ構造体層、ETL層(ZnMgO)、及びカソード層(アルミニウム)から構成されるものとした。表1に、ナノ構造体層中に、表面処理条件1を用いたInP/ZnSe/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSeを含むデバイス、及び表面処理条件2を用いたInP/ZnSeを含むデバイスの試験結果を示す。
【0180】
【表1】
【0181】
[0183] 表1から分かるように、InP/ZnSeコア-シェル型ナノ構造体のQY及びFWHMは58.5%及び53.8nmであり、これは、InP/ZnSe/ZnSコア-シェル型ナノ構造体で観測された、それぞれ90.8%及び36.4nmよりも低かった。しかし、InP/ZnSeコア-シェル型ナノ構造体を酢酸亜鉛二水和物及びフッ化亜鉛で2時間表面処理すると、QYは85.1%に回復し、FWHMは37.9nmに狭幅化した。表面処理を10時間(処理条件2)まで延長すると、QYが88.2%に増大し、FWHMが39.3nmに狭幅化した。
【0182】
[0184] 様々な実施形態を上に説明してきたが、これらは例示のみを目的として提示されたものであり、限定するものではないことを理解すべきである。関連する技術分野の当業者には、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなくその中で形態及び詳細の様々な変更を行うことが可能であることが明らかであろう。したがって、その広さ及び範囲は、上に記載した例示的な実施形態のいずれかによって限定されるべきではなく、以下に示す特許請求の範囲及びその均等物にのみ従って定義されるべきである。
【0183】
[0185] 本明細書に述べたあらゆる特許及び特許出願は、本発明が関連する技術分野の当業者の技術水準を示すものであり、個々の刊行物、特許、又は特許出願がそれぞれ具体的に且つ個別に本明細書に援用されるかのように参照により本明細書に援用する。
図1
図2
図3A
図3B