(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】推定装置、推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/90 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G01S13/90 127
(21)【出願番号】P 2022548307
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 JP2020034216
(87)【国際公開番号】W WO2022054186
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】平田 寛道
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝和
(72)【発明者】
【氏名】大野 翔平
(72)【発明者】
【氏名】赤川 奈緒
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/215819(WO,A1)
【文献】特開2011-209780(JP,A)
【文献】国際公開第2019/220574(WO,A1)
【文献】特許第7151876(JP,B2)
【文献】特許第7375915(JP,B2)
【文献】特許第7294529(JP,B2)
【文献】特許第7380847(JP,B2)
【文献】特許第7444268(JP,B2)
【文献】田中大地,生藤大典,宝珠山治,大野翔平,冨田英也,平田寛道,石井孝和,木村恒一,「衛星合成開口レーダ画像を用いたインフラ構造物の微小変位解析自動化技術の開発」,2020年01月14日,http://web.archive.org/web/20200114013956/http://www.fbi-award.jp/sentan/jusyou/2019/06.pdf
【文献】TANAKA, Taichi; IKEFUJI, Daisuke; HOSHUYAMA, Osamu,“MULTITEMPORAL SAR AND MAP FUSION FOR EXTRACTING PERSITENT SCATTERERS ON ROADS”,IGARSS 2019 - 2019 IEEE International Geoscience and Remote Sensing Symposium,2019年11月14日,pp. 182-185,https://ieeexplore.ieee.org/document/8899061,Electronic ISBN:978-1-5386-9154-0,DOI: 10.1109/IGARSS.2019.8899061
【文献】田中大地,宝珠山治,「クラスタリングによるPS抽出とガウス過程回帰を用いた非線形変位解析のための多時期干渉合成開口レーダ」,電子情報通信学会2020年総合大会講演論文集 通信1,一般社団法人電子情報通信学会,2020年03月03日,p. 175,ISSN:1349-1369
【文献】「都市部における複数の道路・ビル等の老朽化検査を可能にする衛星レーダを活用した2次元微小変位解析技術:NECの最先端技術 | NEC」,日本電気株式会社,2018年07月20日,https://jpn.nec.com/rd/technologies/201802/index.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 13/00-13/95
G01S 7/00-7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成開口レーダーによって地表面の高さの推移が測定された複数の測定地点のうち、地表面の高さの変化の推定値が得られていない測定地点である対象地点を選択する推定手段と、
前記対象地点の地理空間情報に基づく地表面の種類と、前記対象地点からの距離と、に基づく選択条件を決定する決定手段と、を備え、
前記推定手段は、前記対象地点における地表面の高さの推移の測定値と、前記選択条件を満たす前記測定地点における地表面の高さの推移の測定値とに基づいて、前記対象地点における地表面の高さの変化の推定値を推定する
推定装置。
【請求項2】
前記推定手段は、前記測定地点と前記対象地点とにおける、地表面の種類の類似性に基づく重みに基づいて、前記推定値を推定する
請求項1に記載の推定装置。
【請求項3】
前記推定手段は、前記測定地点と前記対象地点との距離にさらに基づく前記重みに基づいて、前記推定値を推定する
請求項2に記載の推定装置。
【請求項4】
前記推定手段は、前記選択条件を満たす前記測定地点から、当該測定地点における土地の変更履歴に基づいて前記測定地点を更に選択し、当該測定地点の前記測定値に基づいて前記推定値を推定する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の推定装置。
【請求項5】
前記推定手段は、前記対象地点の地表面が水面である場合、当該対象地点における前記推定値を推定せず、前記測定地点の地表面が水面である場合、当該測定地点の高さの変動の測定値を、前記対象地点における推定値の推定に使用しない
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の推定装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記地理空間情報において前記対象地点が建造物の領域に含まれる場合、前記建造物の領域に含まれる前記測定地点を選択するように前記選択条件を決定する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の推定装置。
【請求項7】
前記地理空間情報において前記対象地点が建造物の領域に含まれる場合、前記推定値の特徴に基づいて、前記対象地点を含む建造物の種類を判定する判定手段
を更に備える請求項1乃至6のいずれか1項に記載の推定装置。
【請求項8】
合成開口レーダーによって地表面の高さの推移が測定された複数の測定地点のうち、地表面の高さの変化の推定値が得られていない測定地点である対象地点を選択
し、
前記対象地点の地理空間情報に基づく地表面の種類と、前記対象地点からの距離と、に基づく選択条件を決定し、
前記対象地点における地表面の高さの推移の測定値と、前記選択条件を満たす前記測定地点における地表面の高さの推移の測定値とに基づいて、前記対象地点における地表面の高さの変化の推定値を推定する、
推定方法。
【請求項9】
合成開口レーダーによって地表面の高さの推移が測定された複数の測定地点のうち、地表面の高さの変化の推定値が得られていない測定地点である対象地点を選択する推定処理と、
前記対象地点の地理空間情報に基づく地表面の種類と、前記対象地点からの距離と、に基づく選択条件を決定する決定処理と、をコンピュータに実行させ、
前記推定処理は、前記対象地点における地表面の高さの推移の測定値と、前記選択条件を満たす前記測定地点における地表面の高さの推移の測定値とに基づいて、前記対象地点における地表面の高さの変化の推定値を推定する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定の結果からノイズ成分が除去された推定値を推定する技術に関し、特に、合成開口レーダーによって測定された結果から推定値を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば合成開口レーダーによって測定された地表面の高さの変動などの、センサによって測定された測定値には、一般に、ノイズが含まれる。
【0003】
測定の結果からノイズが除去された推定値を得る技術の1つが、特許文献1によって開示されている。特許文献1の技術では、同一の画像が得られるように配置された複数の赤外線撮像素子によって得られた画像信号の、同一の位置の画素の信号を加算平均する装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、レーザ光を反射する計測点までの距離を計測するレーザスキャニング装置の計測の結果として得られた、三次元座標が得られた点の集合である三次元点群データからノイズ除去を行う方法が開示されている。その方法は、三次元点群データに対して設定された二次元の矩形領域に対応する計測点により形成される曲面を、計測点を頂点とする三角形の集合に分割する。その方法は、全ての三角形の法線ベクトルを一つにまとめた合成法線ベクトルを求める。そして、その方法は、合成法線ベクトルが座標軸に一致するよう座標を変換した場合の座標軸方向の測定値の標準偏差が所定値を超える場合、それらの測定点の1つをノイズとして取り扱う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-233390号公報
【文献】特開2005-024370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、同時に複数のセンサにより撮像された複数の画像の同一の位置の画素の信号が加算平均される。また、特許文献2の技術は、同じタイミングで距離が計測された複数の計測点において、ノイズを特定する技術である。特許文献2の技術では、所定の計測点の計測値にノイズが含まれている場合に、その計測点の三次元座標を推定することはできない。さらに、特許文献1及び2の技術では、計測値等の変化を推定することはできない。従って、特許文献1及び2の技術を、例えば地表面の高さの推定に応用することはできない。特許文献1及び2の技術では、測定の対象の領域の性質の違いに応じて、対象の測定値の変化にばらつきが生じる場合に、精度のよい測定値の変化の推定ができない。
【0007】
本開示の目的の1つは、測定値の変化に対象の領域に応じたばらつきがある場合であっても、変化の推定の精度を向上させることができる推定装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る推定装置は、合成開口レーダーによって地表面の高さの推移が測定された複数の測定地点のうち対象地点の地理空間情報に基づいて、選択条件を決定する決定手段と、前記対象地点における地表面の高さの推移の測定値と、前記選択条件を満たす前記測定地点における地表面の高さの推移の測定値とに基づいて、前記対象地点における地表面の高さの変化の推定値を推定する推定手段と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る推定方法は、合成開口レーダーによって地表面の高さの推移が測定された複数の測定地点のうち対象地点の地理空間情報に基づいて、選択条件を決定し、前記対象地点における地表面の高さの推移の測定値と、前記選択条件を満たす前記測定地点における地表面の高さの推移の測定値とに基づいて、前記対象地点における地表面の高さの変化の推定値を推定する。
【0010】
本開示の一態様に係る記憶媒体は、合成開口レーダーによって地表面の高さの推移が測定された複数の測定地点のうち対象地点の地理空間情報に基づいて、選択条件を決定する決定処理と、前記対象地点における地表面の高さの推移の測定値と、前記選択条件を満たす前記測定地点における地表面の高さの推移の測定値とに基づいて、前記対象地点における地表面の高さの変化の推定値を推定する推定処理と、をコンピュータに実行させるプログラムを記憶する。本開示の一態様は、上述のプログラムによっても実現される。
【発明の効果】
【0011】
本開示には、測定値の変化に対象の領域に応じたばらつきがある場合であっても、変化の推定の精度を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施形態に係る推定システムの構成の例を表すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1の実施形態に係る推定装置の動作の例を表すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本開示の第2の実施形態に係る推定システムの構成の例を表すブロック図である。
【
図4】
図4は、本開示の第2の実施形態に係る推定装置の動作の例を表すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本開示の第3の実施形態に係る推定装置の構成の例を表すブロック図である。
【
図6】
図6は、本開示の第3の実施形態に係る推定装置の動作の例を表すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に係る推定装置などの装置を実現できるコンピュータの構成の例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本開示の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
<<構成>>
図1は、本開示の第1の実施形態に係る推定システム1の構成の例を表すブロック図である。
図1に示す例では、推定システム1は、推定装置100と、測定データ記憶装置200と、地理空間情報記憶装置300と、出力先装置400とを含む。
【0015】
推定装置100は、決定部110と、推定部120と、出力部140と、測定データ取得部150と、地理空間情報取得部160とを含む。測定データ記憶装置200は、測定データ記憶部210と、第1入出力部220とを含む。地理空間情報記憶装置300は、地理空間情報記憶部310と、第2入出力部320を含む。
【0016】
推定装置100の決定部110は、合成開口レーダーによって地表面の高さの推移が測定された複数の測定地点のうち対象地点の、地理空間情報記憶装置300に格納されている地理空間情報に基づいて、選択条件を決定する。地理空間情報は、例えば、地表面の状態及びその地表面の地下の状態の少なくとも一方を表す情報である。地理空間情報は、例えば、測定地点の地質や建造物の有無に関連する。推定部120は、対象地点における地表面の高さの推移の測定値と、選択条件を満たす測定地点における地表面の高さの推移の測定値とに基づいて、対象地点における地表面の高さの変化の推定値を推定する。したがって、測定の対象の領域の地質や建造物の有無の違いに応じて、対象の測定値の変化にばらつきが生じる場合であっても、精度のよい測定値の変化の推定ができる。
【0017】
測定地点における地表面の高さの推移の測定値は、測定データとして、測定データ記憶装置200に格納されている。出力部140は、対象地点における地表面の高さの変化の推定値を、出力先装置400に出力する。
【0018】
以下、詳細に説明する。
【0019】
<<測定データ記憶部210>>
測定データ記憶部210は、測定データを記憶する。
【0020】
測定データは、例えば、合成開口レーダーによる、複数の地点における、地表面の高さの測定の結果の推移(以下、地表面の高さの推移と表記)を表すデータである。地表面の高さは、地表面の、あらかじめ定められた基準面からの高さであってよい。測定データの地表面の高さは、例えば、人工衛星や航空機などの飛翔体に搭載されたレーダーを合成開口レーダー(SAR;Synthetic Aperture Radar)として使用する観測によって得られた、地表面上の複数の測定地点における高さである。以下の説明では、このような観測を、合成開口レーダーによる観測と表記する。地表面の高さの推移を表すデータは、例えば、高さを表す値と、その高さが観測によって得られた時点を表すデータとの組み合わせを複数含むデータであってよい。時点を表すデータの単位は、適宜定められていてよい。例えば、時点を表すデータは、日付を表していてもよく、日付及び時刻を表していてもよい。時刻の単位も、適宜定められていてよい。
【0021】
地表面において、地表面の高さの推移が得られている地点を、測定地点と表記する。測定データは、複数の測定地点の、おのおのの測定地点の位置を表す位置データと、その測定地点における地表面の高さの推移を表すデータと、の組み合わせを含むデータであってよい。地表面上の地点(すなわち測定地点)の位置を表す情報は、例えば、緯度及び経度の情報であってよい。位置を表す情報は、地表面上の位置を特定できる他の情報であってもよい。以下では、地点の位置を表す情報を、地点情報と表記する。
【0022】
地表面上の測定地点における、地表面の高さの推移を表すデータを、以下では、高さ推移データと表記する。測定データに含まれる高さ推移データは、ノイズの除去などが行われていないデータである。測定データの高さ推移データには、ノイズなどが含まれている。
【0023】
言い換えると、測定データにおいて、高さ推移データは、その高さ推移データが表す高さの推移が測定された測定地点の地点情報と関連付けられていてよい。さらに言い換えると、測定データは、複数の測定地点の地点情報と、複数の測定地点の各々における高さ推移データとを含む。
【0024】
<<第1入出力部220>>
第1入出力部220は、測定データ記憶部210に格納されている測定データを読み出し、推定装置100に供給する。第1入出力部220は、例えば、推定装置100から測定データの要求を受け取ってよい。測定データの要求は、地表面における範囲を特定する情報を含んでいてよい。第1入出力部220は、受け取った要求に含まれる測定地点の測定データを、測定データ記憶部210から読み出し、読み出した測定データを推定装置100に供給してよい。
【0025】
<<地理空間情報記憶部310>>
地理空間情報記憶部310は、地理空間情報を記憶する。
【0026】
前述したように、本実施形態では、地理空間情報は、例えば、地表面の状態及びその地表面の地下の状態の少なくとも一方を表す情報である。地理空間情報は、いわゆる地理情報システム(Geographic Information System)から得られる情報の少なくともいずれかであってもよい。地理空間情報は、人工衛星や航空機などから観測によって得られたデータであってもよい。地理空間情報は、現地調査によって得られたデータであってもよい。地理空間情報は、計測や調査によって得られたデータに基づく分析の結果を表す情報であってもよい。地理空間情報は、計測や調査によって得られたデータに基づいて、人為的に定められた情報であってもよい。地理空間情報は、GIS(Geographic Information System)データと表記されることもある。
【0027】
地理空間情報は、あらかじめ、地理情報システムから取得され、地理空間情報記憶部310に格納されていてよい。複数の種類の地理空間情報が、地理空間情報記憶部310に格納されていてよい。地理空間情報は、地点情報(例えば緯度及び経度)によって特定される地点の、地理空間情報の値を特定できる形式で表されていてよい。地理空間情報の具体例については、後で詳細に説明する。
【0028】
<<第2入出力部320>>
第2入出力部320は、地理空間情報記憶部310に格納されている地理空間情報から地理空間情報の値を抽出し、抽出した地理空間情報の値を推定装置100に供給する。第2入出力部320は、例えば、地点情報を含む、地理空間情報の値の要求を推定装置100から受け取ってよい。第2入出力部320は、受け取った要求の地点情報によって特定される地点の地理空間情報の値を、地理空間情報記憶部310に格納されている地理空間情報から抽出してよい。地理空間情報の値の要求は、複数の地点の地点情報を含んでいてよい。第2入出力部320は、地理空間情報の値の要求に含まれる、複数の地点の地点情報によって特定される地点の地理空間情報の値を、地理空間情報記憶部310に格納されている地理空間情報から抽出してよい。第2入出力部320は、抽出した、複数の地点の地理空間情報の値を、推定装置100に供給してよい。
【0029】
第2入出力部320は、あらかじめ定められている種類の地理空間情報の、地点情報によって特定される地点における値を抽出してよい。第2入出力部320は、地理空間情報記憶部310に格納されている全ての種類の地理空間情報の、地点情報によって特定される地点における値を抽出してもよい。地点情報によって特定される地点における値が存在しない地理空間情報が存在する場合、第2入出力部320は、その地理空間情報の値を抽出しなくてもよい。地点情報によって特定される地点における値が存在しない地理空間情報が存在する場合、第2入出力部320は、その地理空間情報の値を、値が存在しないことを表す値(例えば、0等)に設定してもよい。
【0030】
<<地理空間情報の詳細>>
地理空間情報は、例えば、地表面が区切られたメッシュごとの、状態を表す値によって表されていてもよい。この場合、第2入出力部320は、地点情報によって特定される位置が含まれるメッシュの中における状態を表す、地理空間情報の値を、地点情報によって特定される地点の地理空間情報の値として抽出する。メッシュのサイズや形状は、地理空間情報の種類ごとに定められていてよい。
【0031】
地理空間情報は、他の形式で表されていてもよい。地理空間情報は、例えば、状態が異なる領域の間の境界線と、境界線によって区切られる領域内における状態を表す値とによって表されていてよい。この場合、第2入出力部320は、地点情報によって特定される位置が含まれる領域内における状態を表す値を、地点情報によって特定される地点の地理空間情報の値として抽出する。地理空間情報の形式は、地理空間情報の種類ごとに定められていてよい。
【0032】
具体的な地理空間情報は、例えば、盛土造成地のタイプ、平均傾斜角度、平均降水量(例えば、平均年間降水量)、表層地質、急傾斜地指定、土砂災害警戒区域指定、液状化危険度、雨水浸透桝設置可否、地震時の揺れ易さ、排水困難低地、都市域土地利用、自然地形分類、人工地形分類、表層地質、河川敷、施設情報(工事の有無等)であってよい。本実施形態の地理空間情報は、必ずしもこれらの例に限られない。本実施形態の地理空間情報は、これらの例の一部を含んでいなくてもよい。
【0033】
盛土造成地のタイプは、盛土がなされた地表面の形状によって定まる、土の盛り方を表していてよい。盛土造成地のタイプは、例えば、谷や沢を盛土によって埋めた盛土である「谷埋め型盛土」や、傾斜地に行われた盛土である「腹付け型盛土」である。
【0034】
盛土造成地のタイプは、さらに、盛土の規模を表していてもよい。この場合、例えば、谷や沢を盛土によって埋めた盛土のうち、基準を満たす盛土(例えば、面積が3000平方メートル以上の盛土)のタイプは、「大規模谷埋め型盛土」であってよい。この場合、谷や沢を盛土によって埋めた盛土のうち、基準を満たさない盛土のタイプが、「谷埋め型盛土」であってよい。また、傾斜地に行われた盛土のうち、基準を満たす盛土(例えば、盛土をする前の地盤面(原地盤面とも呼ばれる)の水平面に対する角度が20度以上で、かつ、盛土の高さが5メートル以上である盛土)のタイプは、大規模腹付け型盛土であってよい。この場合、傾斜地に行われた盛土のうち、基準を満たさない盛土のタイプが、「腹付け型盛土」であってよい。
【0035】
盛土造成地のタイプの値は、例えば、「谷埋め型盛土」や「腹付け型盛土」などにあらかじめそれぞれ適宜割り振られた、互いに異なる数値のいずれか1つであってもよい。
【0036】
平均傾斜角度は、例えば、メッシュ単位で算出された、地表面の平均の傾斜角度のデータであってよい。平均傾斜角度の値は、算出された地表面の平均の傾斜角度であってよい。
【0037】
平均降水量は、例えば、メッシュ単位で算出された、地表面の平均の降水量のデータであってよい。平均降水量の値は、算出された地表面の平均の降水量であってよい。
【0038】
表層地質は、地表面の表層の地質(言い換えると、地質の種類)を表すデータであってよい。地質の種類は、あらかじめ定められていてよい。地質の種類の各々には、あらかじめ互いに異なる数値が割り当てられていてよい。表層地質の値は、地質にあらかじめそれぞれ適宜割り当てられている数値のいずれか1つであってよい。
【0039】
急傾斜地指定は、例えば自治体などによって、急傾斜地として指定されているか否かを表すデータであってよい。急傾斜地指定の値は、例えば、急傾斜地として指定されていることを表す数値、または、急傾斜地として指定されていないことを表す数値であってよい。これらの数値として、互いに異なる数値があらかじめ適宜決められていてよい。
【0040】
土砂災害警戒区域指定は、例えば自治体などによって、土砂災害警戒区域として指定されているか否かを表していてよい。土砂災害警戒区域指定の値は、例えば、土砂災害警戒区域として指定されていることを表す数値、又は、土砂災害警戒区域として指定されていないことを表す数値であってよい。これらの数値として、互いに異なる数値があらかじめ決められていてよい。
【0041】
液状化危険度は、例えば、土地が液状化する危険性の程度を表すデータであってよい。液状化危険度の値は、土地が液状化する危険性の程度を表す数値であってよい。液状化危険度の値は、それぞれ異なる程度を表す異なる複数の数値のいずれか1つであってよい。危険性の程度を表す数値は、あらかじめ適宜定められていてよい。
【0042】
雨水浸透桝設置可否は、例えば、地形、土質、地下水位に基づいて浸透施設の設置が可能か否かについて判断された結果を表す「浸透施設設置判断マップ」に基づく設置可否を表す情報であってよい。雨水浸透桝設置可否の値は、設置が可能であることを表す数値、又は、設置が可能でないことを表す数値であってよい。これらの数値として、互いに異なる数値があらかじめ適宜決められていてよい。
【0043】
地震時の揺れ易さは、例えば、地震が発生した場合の地表面の揺れ易さの程度を表すデータであってよい。地震時の揺れ易さの値は、地震が発生した場合の地表面の揺れ易さの程度を表す数値であってよい。地震時の揺れ易さの値は、地震が発生した場合の地表面の揺れ易さの程度を表す、複数の数値のいずれか1つであってよい。地表面の揺れ易さの程度を表す数値は、あらかじめ適宜定められていてよい。
【0044】
排水困難低地は、例えば、土地の標高や周囲との標高差等によって推定された、その土地が排水困難低地であるか否かを表していてよい。排水困難低地の値は、排水困難低地であることを表す数値、又は、排水困難低地でないことを表す数値であってよい。これらの数値は、あらかじめ適宜定められていてよい。
【0045】
都市域土地利用は、都市として指定されている地域における土地利用の種別であってよい。都市域土地利用における、土地利用の種別は、例えば衛星写真から判読されてもよい。あらかじめ定められた複数の種別から選択された土地利用の種別が、都市の地域に含まれる領域に対して設定されてよい。あらかじめ定められた複数の種別には、それぞれ、異なる数値があらかじめ適宜割り当てられていてよい。領域に対して設定される土地利用の種別の値は、その種別に割り当てられている数値であってよい。
【0046】
自然地形分類は、例えば、人間によって建造された建造物ではない場所における、地形の種別であってよい。自然地形分類として設定可能な、複数の地形の種別が、あらかじめ適宜定められていてよい。自然地形分類が設定される領域に対して、自然地形分類として設定可能な種別としてあらかじめ定められている複数の地形の種別から選択された地形の種別が設定されてよい。それらの複数の種別に対して、それぞれ異なる数値が割り当てられていてよい。領域に設定される自然地形分類における地形の値は、その領域に設定されている地形の種別に割り当てられている数値であってよい。
【0047】
人工地形分類は、例えば、人間が地形を改変した場所や人間によって建造された建造物である場所における、地形の種別であってよい。人工地形分類として設定可能な、複数の地形の種別が、あらかじめ適宜定められていてよい。人工地形分類が設定される領域に対して、人工地形分類として設定可能な種別としてあらかじめ定められている複数の地形の種別から選択された地形の種別が設定されてよい。それらの複数の種別に対して、それぞれ異なる数値が割り当てられていてよい。領域に設定される人工地形分類における地形の値は、その領域に設定されている地形の種別に割り当てられている数値であってよい。
【0048】
表層地質は、例えば、地表における土壌の種類を表していてよい。複数の土壌の種類が、あらかじめ適宜定められていてよい。そして、あらかじめ適宜定められている異なる数値が、それらの複数の土壌の種類に、それぞれ割り当てられていてよい。例えば調査の結果に基づく土壌の種類が、領域に対して設定されてよい。領域の表層地質の値は、その領域に設定されている土壌の種類に割り当てられている数値であってよい。
【0049】
具体的な地理空間情報は、建造物情報であってもよい。建造物情報は、例えば、個々の建造物の範囲を表していてよい。建造物情報の値は、例えば、個々の建造物に互いに異なる識別番号が割り当てられていてよい。建造物の範囲に含まれない地点の、建造物情報の値は、建造物ではないものを表す値(例えば、0等)であってもよい。
【0050】
<<測定データ取得部150>>
測定データ取得部150は、測定データ記憶装置200から、測定データを取得する。測定データ取得部150は、例えば、指定された範囲(以下、指定範囲と表記)の測定データの要求を、測定データ記憶装置200に送信してよい。指定範囲は、あらかじめ定められていてもよい。指定範囲は、推定装置100のユーザによって、例えば推定装置100のキーボードやマウスなどの入力部によって、指定されてもよい。入力部は、
図1では省略されている。測定データ取得部150は、指定された範囲の測定地点における測定データを、測定データ記憶装置200から受け取る。
【0051】
測定データ取得部150は、受け取った測定データを、推定部120に送出する。
【0052】
<<推定部120>>
推定部120は、指定領域の測定データを測定データ取得部150から受け取る。
【0053】
推定部120は、受け取った測定データにおいて、測定によって高さ推移データが得られている測定地点から、1つの測定地点を、対象地点として選択する。
【0054】
推定部120は、対象地点の地点情報を、決定部110に送出する。決定部110については後で詳細に説明する。推定部120は、対象地点の地点情報に基づいて決定された、測定地点を選択するための選択条件を、決定部110から受け取る。言い換えると、推定部120は、決定された選択条件を表す情報を、決定部110から受け取る。選択条件は、決定部110によって決定される。選択条件は、例えば、対象地点が選択条件を満たすように決定される。選択条件は、さらに、対象地点における地理空間情報の値に基づいて決定される。地理空間情報の値に関連する地理空間情報の種類は、あらかじめ定められていてよい。
【0055】
推定部120は、決定部110に選択条件を決定させるために地理空間情報の値を決定部110に送出する。この場合、推定部120は、対象範囲に含まれる測定地点の各々における地理空間情報の値を、地理空間情報取得部160を介して、地理空間情報記憶装置300から取得する。推定部120は、例えば、地理空間情報の種類を特定する情報と測定地点の地点情報とが指定された、地理空間情報の要求を、地理空間情報取得部160を介して、地理空間情報記憶装置300に送信する。言い換えると、推定部120は、地理空間情報の種類を特定する情報と測定地点の地点情報とを含む、地理空間情報の要求を、地理空間情報取得部160を介して地理空間情報記憶装置300に送信する。推定部120は、地理空間情報記憶装置300から、地理空間情報取得部160を介して、測定地点における地理空間情報の値を受け取る。具体的には、推定部120は、地理空間情報の要求を地理空間情報取得部160に送出してよい。地理空間情報取得部160は、地理空間情報の要求を受け取り、受け取った地理空間情報の要求を、地理空間情報記憶装置300に送信する。地理空間情報取得部160は、地理空間情報記憶装置300から、地理空間情報の値を受け取り、受け取った地理空間情報の値を推定部120に送出する。推定部120は、地理空間情報の値を地理空間情報取得部160から受信し、決定部110に出力する。
【0056】
推定部120が、対象地点の地点情報と共に、対象地点の地理空間情報の値を、決定部110に送出してもよい。決定部110は、対象地点の地点情報と、対象地点の地理空間情報の値とを、推定部120から受け取ってもよい。
【0057】
また、推定部120が、決定部110に地理空間情報の値を送出する代わりに、決定部110が、受け取った対象地点の地理空間情報が示す地点における地理空間情報の値を、地理空間情報取得部160を介して、地理空間情報記憶装置300から取得してよい。
【0058】
具体的には、決定部110が、地理空間情報の種類を特定する情報と対象地点の地点情報とが指定された、地理空間情報の要求を、地理空間情報取得部160に送信する。言い換えると、決定部110が、地理空間情報の種類を特定する情報と対象地点の地点情報とを含む、地理空間情報の要求を、地理空間情報取得部160に送信する。そして、地理空間情報取得部160が、受け取った地理空間情報の要求を、地理空間情報記憶装置300に送信する。地理空間情報取得部160は、対象地点における地理空間情報の値を、地理空間情報記憶装置300から受け取り、受け取った、対象地点における地理空間情報の値を、決定部110に送出する。そして、決定部110は、対象地点における地理空間情報の値を地理空間情報取得部160から受け取る。
【0059】
決定部110は、対象地点における地理空間情報の値に基づく選択条件を決定する。推定部120は、決定された選択条件を表す情報を、決定部110から受け取る。
【0060】
選択条件については、後で詳細に説明する。
【0061】
推定部120は、受け取った測定データにおいて、高さ推移データが得られている測定地点から、選択条件を満たす測定地点を選択する。推定部120は、選択した測定地点の高さ推移データと対象地点の高さ推移データとに基づいて、対象地点の推定変化推移データを推定する。推定変化推移データについては、後で詳細に説明する。対象地点が選択条件を満たすように、選択条件が決定されている場合、選択された測定地点に対象地点が含まれている。推定部120は、選択した測定地点の高さ推移データに基づく、対象地点の推定変化推移データを推定する。
【0062】
次に、対象地点の推定変化推移データの推定について、詳述する。推定部120は、まず、受け取った測定データに含まれる、複数の測定地点における高さ推移データから、それらの複数の測定地点における、高さの変化の推移を算出してよい。
【0063】
推定部120は、ある測定地点における地表面の高さの変化の推移として、前の時点の地表面の高さが得られている各時点における地表面の高さの、直前の時点における地表面の高さからの変化を算出してよい。以下、測定が行われた時点を、測定時点と表記する。この場合、ある測定時点における高さの変化は、例えば、その測定時点における地表面の高さから、その測定時点の直前の測定時点における地表面の高さを引いた値であってよい。推定部120は、ある測定時点における高さの変化として、その測定時点における地表面の高さの、その測定時点の直前の測定時点における地表面の高さからの、所定期間当たりの変化を算出してもよい。所定期間は、適宜定められていてよい。所定期間は、例えば、1か月であってもよい。所定期間は、例えば、1年であってもよい。この場合、推定部120は、例えば、その測定時点における地表面の高さから、その測定時点の直前の測定時点における地表面の高さを引いた値に、所定の時間間隔を表す値を掛け、さらに、その測定時点とその測定時点の直前の即手時点から期間を表す値で割ってよい。推定部120は、得られた値を、ある測定時点における高さの変化としてよい。以下の説明において、2つの時点において測定された地表目の高さの測定値の差、又は、その差から算出された所定の時間間隔当たりの変化を、高さの変化の測定値とも表記する。
【0064】
以下では、複数の測定地点における地表面の高さの変化の推移を表すデータを、変化データと表記する。ある測定地点における、地表面の高さの変化の推移を表すデータを、変化推移データと表記する。変化データは、複数の測定地点の高さ推移データを含む。
【0065】
ある測定地点における変化推移データは、その測定地点の、前の測定時点が存在する測定時点の各々における、地表面の高さの変化を表すデータを含む。変化推移データは、測定時点を表すデータと、その測定時点における地表面の高さの変化を表すデータとの、複数の組み合わせであってもよい。変化データは、例えば、複数の測定地点の、地点情報と変化推移データとの組み合わせを含んでいてよい。
【0066】
上述のように、変化推移データは、地表面の高さの変化の推移、すなわち、地表面の高さの測定値から算出された、地表面の高さの変化の時系列を表す。推定部120は、対象地点における変化推移データに含まれる、ある測定時点における地表面の高さの変化と、その測定時点と同じ測定時点における、選択された測定地点における地表面の高さの変化を特定する。推定部120は、例えば、対象地点における、ある測定時点における地表面の高さの変化と、その測定時点と同じ測定時点における地表面の高さの変化として特定された地表面の高さの変化と、の統計値を算出してよい。統計値は、例えば、平均値、中央値、中間値、又は、最頻値等であってよい。推定部120は、算出した統計値が、対象地点における地表面の高さの変化の推定値であると推定する。なお、指定領域に含まれる対象地点に、対象地点以外の、対象条件を満たす測定地点が存在しない場合、対象地点における地表面の高さの変化を、対象地点における地表面の高さの変化の推定値としてよい。推定部120は、対象地点における地表面の高さの変化の各々の推定値を、同様に推定する。推定部120は、対象地点における地表面の高さの変化の推定値の時系列が、対象地点における地表面の高さの変化の推移の推定値であると推定する。
【0067】
推定部120は、指定領域に含まれる測定地点における地表面の高さの変化の推定値を、その測定地点を対象地点として選択して上述の処理を行うことによって推定してよい。推定部120は、指定領域に含まれる測定地点の各々における地表面の高さの変化の推移の推定値を、同様に推定してよい。
【0068】
推定部120は、指定範囲内の測定地点の各々の、地表面の高さの変化の推定値の推移のデータである、推定変化推移データを生成する。推定変化推移データは、高さの変化の推定値が得られた各測定時点の、測定時点を表すデータと、地表面の高さの変化の推定値との組み合わせを含むデータであってよい。
【0069】
推定部120は、指定範囲内の測定地点の各々の、測定地点の位置を表す地点情報と地表面の高さの変化の推定値の推移のデータである推定変化推移データと、を含む、推定データを生成する。
【0070】
推定部120は、指定領域に含まれる測定地点の各々の、測定地点の位置を表す地点情報と地表面の高さの変化の推定値の推移を表す推定変化推移データとの組み合わせ(すなわち、上述の推定データ)を、出力部140に送出する。
【0071】
<<決定部110>>
決定部110は、推定部120から、対象地点の地点情報を受け取る。決定部110は、推定部120から、さらに、対象地点の地理空間情報の値を受け取ってもよい。決定部110は、地理空間情報取得部160を介して、地理空間情報記憶装置300から対象地点の地理空間情報の値を受け取ってもよい。以下では、推定部120は対象地点の地理空間情報の値を決定部110に送出するよう構成され、決定部110は対象地点の地理空間情報の値を推定部120から受け取るよう構成されている場合について説明する。決定部110は、対象地点の地点情報に基づく選択条件を決定してもよい。決定部110は、対象地点の地理空間情報の値に基づく、選択条件を決定してもよい。決定部110は、対象地点の地点情報と、対象地点の地理空間情報の値とに基づく、選択条件を決定してもよい。決定部110は、決定した選択条件、言い換えると、決定した選択条件を表す情報を、推定部120に送出する。
【0072】
<<選択条件の詳細>>
対象地点の地点情報に基づく選択条件(以下、第1選択条件と表記)は、例えば、対象地点の位置からの距離が所定距離以下であることであってよい。
【0073】
対象地点の地点情報と対象地点の地理空間情報とに基づく選択条件は、第1選択条件と、対象地点の地理空間情報とに基づく選択条件(以下、第2選択条件と表記)とを満たすことであってもよい。
【0074】
第2選択条件は、例えば、所定の種類の地理空間情報の値が、対象地点のその所定の種類の地理空間情報の値と同じであることであってもよい。
【0075】
第2選択条件は、例えば、所定の種類の地理空間情報の値が、対象地点のその所定の種類の地理空間情報の値と、所定の基準と比較して近いことであってもよい。この場合、所定の種類の地理空間情報の値に距離が定義できるのであれば、第2選択条件は、所定の種類の地理空間情報の値から、対象地点のその所定の種類の地理空間情報の値までの距離が、所定値よりも小さいことであってもよい。地理空間情報の値は、複数のカテゴリに分けられていてもよい。その場合、第2選択条件は、例えば、その地理空間情報の値が、対象地点のその地理空間情報の値が含まれるカテゴリに含まれることであってもよい。第2選択条件は、複数の種類の地理空間情報の値に関する条件であってもよい。
【0076】
具体的には、第2選択条件は、地理空間情報のうち、例えば、都市域土地利用の値が、対象地点の都市域土地利用の値と同じであることであってもよい。第2選択条件は、例えば、人工地形分類の値が、対象地点の人工地形分類の値と同じであることであってもよい。第2選択条件は、例えば、表層地質の値が、対象地点の表層地質の値と同じであることであってもよい。第2選択条件は、例えば、都市域土地利用の値、人工地形分類の値、及び、表層地質の値の少なくとも1つが、対象地点と共通であることであってもよい。
【0077】
第2選択条件は、例えば、地理空間情報のうち建造物情報の値が、対象地点の建造物情報の値と同じであることであってもよい。この場合、選択条件は、第2選択条件のみを満たすことであってよい。
【0078】
<<地理空間情報取得部160>>
地理空間情報取得部160は、地理空間情報記憶装置300から、地理空間情報の値を取得する。地理空間情報取得部160は、例えば、推定部120から、測定地点の地点情報が指定された(すなわち、測定地点の地点情報を含む)、地理空間情報の値の要求を受け取る。地理空間情報取得部160は、複数の測定地点の、地点情報を含む地理空間情報の値の複数の要求を、推定部120から受け取ってもよい。地理空間情報取得部160は、受け取った要求に指定された地点情報が表す地点における、所定の種類の地理空間情報を、地理空間情報記憶装置300から読み出す。具体的には、地理空間情報取得部160は、受け取った要求によって要求された、地理空間情報の値の要求を、地理空間情報記憶装置300に送信する。そして、地理空間情報取得部160は、受け取った要求に指定された地点情報が表す地点における、所定の種類の地理空間情報を、地理空間情報記憶装置300から受け取る。所定の種類は、地理空間情報の全ての種類のうち、あらかじめ定められている一部の種類であってもよい。所定の種類は、地理空間情報の全ての種類であってもよい。
【0079】
地理空間情報取得部160は、決定部110から、同様に、対象地点の地理空間情報の値の要求(例えば、対象地点の地点情報を含む、地理空間情報の値の要求)を受け取ってよい。地理空間情報取得部160は、同様に、対象地点の地点情報が表す地点における地理空間情報の値を、地理空間情報記憶装置300から読み出してよい。地理空間情報取得部160は、地理空間情報記憶装置300から読み出した、すなわち、地理空間情報記憶装置300から受け取った、対象地点の地点情報が表す地点における地理空間情報の値を、決定部110に送出する。
【0080】
<<出力部140>>
出力部140は、推定部120から、指定領域内の測定地点における地表面の高さの変化の推定値を受け取る。具体的には、出力部140は、推定部120から、指定領域内の測定地点における地表面の高さの変化の推定値を含む、上述の推定データを受け取る。出力部140は、受け取った、地表面の高さの変化の推定値を、出力先装置400に出力する。出力部140は、所定の測定時点における、地表面の高さの変化の推定値を、出力先装置400に出力してもよい。出力部140は、例えば、推定装置100のユーザによって指示された測定時点における、地表面の高さの変化の推定値を、出力先装置400に出力してもよい。出力部140は、推定データに含まれる、最も古い測定時点から最も新しい測定時点までの、各測定時点における地表面の高さの変化の推定値を、順に、出力先装置400に出力してもよい。出力部140は、推定データを出力先装置400に出力してもよい。後述のように出力先装置400がコンピュータである場合、出力部140は、出力先装置400から指示された測定時点における地表面の高さの変化の推定値を、出力先装置400に出力してもよい。
【0081】
<<出力先装置400>>
出力先装置400は、例えば、ディスプレイであってもよい。その場合、出力部140は、地表面の高さの変化の推定値を表すグラフなどの図形や文字情報を、出力先装置400に表示してよい。出力先装置400は、例えば、記憶装置であってもよい。その場合、出力部140は、地表面の高さの変化の推定値を表す情報を、出力先装置400に格納してよい。出力先装置400は、端末装置又はサーバ装置などのコンピュータであってもよい。その場合、出力部140は、地表面の高さの変化の推定値を表す情報を、出力先装置400に送信してよい。
【0082】
<<動作>>
次に、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0083】
図2は、本実施形態の推定装置100の動作の一例を表すフローチャートである。
【0084】
図2に示す例では、まず、推定部120が、測定データ取得部150が測定データ記憶装置200から取得した、測定データを受け取る(ステップS101)。推定部120は、測定データの指定範囲に含まれる測定地点における地理空間情報の値を、地理空間情報取得部160を介して、地理空間情報記憶装置300から取得する(ステップS102)。推定部120は、測定データの指定範囲に含まれる測定地点から、対象地点を選択する(ステップS103)。推定部120は、まだ対象地点として選択されていない測定地点の1つを、対象地点として選択してよい。
【0085】
次に、決定部110が、上述のように、選択条件を決定する(ステップS104)。
【0086】
推定部120は、選択条件を満たす測定地点を選択する(ステップS105)。推定部120は、選択した測定地点(すなわち、選択条件を満たす測定地点)における測定データから、対象地点における変化推移データの推定値(すなわち、上述の推定変化推移データ)を推定する(ステップS106)。なお、この動作の説明では、対象地点も、選択条件を満たす測定地点に含まれる。従って、言い換えると、推定部120は、対象地点の測定データと、選択条件を満たす測定地点の測定データとに基づく、対象地点の変化推移データの推定値を推定する。
【0087】
対象範囲に含まれる測定地点に対象地点として選択されていない測定地点が存在する場合(ステップS107においてNO)、推定装置100の動作は、ステップS103に戻る。対象範囲に含まれるすべての測定地点が対象地点として選択された場合(ステップS106においてYES)、出力部140は、変化推移データの推定値(すなわち、上述の推定データ)を、出力先装置400に出力する(ステップS108)。
【0088】
<<効果>>
測定値の変化(すなわち、地表面の高さの変化の測定値)に対象に応じたばらつきがある場合であっても、変化(すなわち、地表面の高さの変化の推定値)の推定の精度を向上させることができるという効果がある。その理由は、推定部120が、測定地点のうち対象地点の地表面の高さの推移の測定値と、選択条件を満たす測定地点の地表面の高さの推移の測定値とに基づいて、対象地点の地表面の高さの変化の推定値を推定するからである。そして、決定部110が、対象地点の地理空間情報(例えば、所定の種類の地理空間情報の値)に基づいて、選択条件を決定するからである。
【0089】
<<第1の実施形態の第1の変形例>>
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。以下で説明する第1から第3の変形例に係る推定システム1は、第1の実施形態の推定システム1の構成と同じ構成を備える。以下では、第1の実施形態との相違点を説明する。
【0090】
本変形例では、推定部120は、測定地点と対象地点における、地理空間情報の類似性に基づく重みに基づいて、対象地点における地表面の高さの変化の推定値を推定してもよい。例えば、推定部120は、対象地点と測定地点との間の、地理空間情報の値の距離に応じた重みを決定してもよい。推定部120は、地理空間情報の値の距離が短いほど重みの値が小さくなるように、重みを決定してもよい。
【0091】
例えば、地理空間情報の値が複数のカテゴリに分類される場合、推定部120は、測定地点の地理空間情報の値が、対象地点の地理空間情報の値と同じである場合、重みの値を1に決定してよい。測定地点の地理空間情報の値が対象地点の地理空間情報の値と異なり、測定地点の地理空間情報の値のカテゴリが対象地点の地理空間情報の値のカテゴリと同じである場合、推定部120は、重みの値を0よりも大きく1よりも小さい値に決定してもよい。推定部120は、選択条件を満たさない測定地点の重みを決定しなくてよい。
【0092】
推定部120は、測定地点と対象地点との間の距離に応じた大きさの、測定地点についての重みを決定してもよい。推定部120は、例えば、距離の大小関係と重みの大小関係が逆転しないように、距離を重みに変換する関数によって、測定地点と対象地点との間の距離から、測定地点についての重みを決定してもよい。
【0093】
推定部120は、測定地点と対象地点との間の地理空間情報の類似性と、測定地点と対象地点との間の距離とに基づく重みを決定してもよい。この場合、推定部120は、測定地点と対象地点との間の地理空間情報の類似性に基づく重みと、測定地点と対象地点との間の距離とに基づく重みと、の積を、測定地点についての重みに決定してもよい。
【0094】
例えば、推定部120は、選択条件を満たす測定地点の地表面の高さの変化の測定値とその測定地点について決定した重みとの積を算出してよい。推定部120は、選択条件を満たす全ての測定地点について算出した上述の積の総和を算出してよい。推定部120は、選択情景を満たす測定地点の重みの総和を算出してよい。そして、推定部120は、上述の積の総和を上述の重みの総和で割った値を、対象地点における地表面の高さの変化の推定値としてもよい。
【0095】
<<第1の実施形態の第2の変形例>>
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。
【0096】
一般的に、人工衛星等の飛翔体に搭載したレーダーによって観測を行う場合、対象地点が水面であれば、アンテナから放射された電磁波は、波立った水面で鏡面反射し、たまたま測定時に法線方向と電磁波の方向が一致した水面上の点で反射した電磁波がアンテナの方向に戻る。水面の形状は、波の大きさや形によって様々に変化するので、移動するアンテナが、複数の時点において、同一の高さの同一の地点からの電磁波を受信することは無いとみなせる。したがって、測定地点が水面である場合、合成開口レーダーによって測定地点における水面の高さの推移の正確な測定値を得ることは困難である。そのような水面の高さの推移の測定値は、ノイズとみなせる。さらに、本開示では、建造物や地面の高さの推移は測定の対象であるが、水面は測定対象ではない。対象地点の地表面が水面である場合(例えば、対象地点の、地理空間情報の一種である自然地形分類の値が水面を表す場合)、推定部120は、対象地点の地表面の高さの変化の推定値を推定しなくてもよい。この場合、推定部120は、対象地点の地表面の高さの変化の推定値を、全て0に設定してもよい。また、対象地点の地表面の高さの推定値の算出に、地表面が水面である測定地点の地表面の高さの測定値を使用しなくてよい。
【0097】
<<第1の実施形態の第3の変形例>>
次に、第1の実施形態の第3の変形例について説明する。
【0098】
地理空間情報は、土地の変更履歴を含んでいてもよい。土地の変更履歴は、過去の複数の時点における、上述の地理空間情報のうち少なくともいずれかの地理空間情報の値によって表されていてよい。推定部120は、選択条件を満たす測定地点から、土地の変更履歴に基づいて測定地点を選択してもよい。具体的には、推定部120は、選択条件を満たす測定地点から、さらに、土地の変更履歴が対象地点の土地の変更履歴と同じ測定地点を選択してもよい。推定部120は、このように選択された測定地点の地表面の高さの推移の測定値に基づいて、対象地点の地表面の高さの変化の推移の推定値を推定してもよい。
【0099】
<<第1の実施形態の第4の変形例>>
推定装置100は、測定データ記憶装置200を含んでいてもよい。推定装置100は、地理空間情報記憶装置300を含んでいてもよい。推定装置100は、測定データ記憶装置200と地理空間情報記憶装置300とを含んでいてもよい。
【0100】
<<第1の実施形態の第5の変形例>>
測定データ記憶装置200に格納されている測定データは、高さ推移データに基づいてあらかじめ算出された変化推移データを更に含んでいてもよい。その場合、推定部120は、変化推移データを算出しなくてもよい。
【0101】
<<第1の実施形態の第6の変形例>>
第1の実施形態に、上述の第1から第5の変形例のいずれか2つ以上を組み合わせた変形を行うこともできる。
【0102】
<第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0103】
<<構成>>
図3は、本実施形態に係る推定システム2の構成の例を表すブロック図である。
【0104】
図3に示す推定システム2は、以下で説明する相違を除いて、第1の実施形態の推定システム1と同じである。本実施形態の測定データ記憶装置200は、第1の実施形態の測定データ記憶装置200と同じである。本実施形態の地理空間情報記憶装置300は、第1の実施形態の地理空間情報記憶装置300と同じである。第1の実施形態の推定システム1と比較すると、推定システム2は、推定装置100の代わりに推定装置101を含む。推定装置101は、第1の実施形態の推定装置100の各要素に加えて、判定部130を含む。本実施形態の推定装置101の判定部130以外の要素は、以下で説明する相違点を除いて、第1の実施形態の推定装置100の、同じ名称及び符号が付与されている要素と同じである。
【0105】
<<決定部110>>
本実施形態の決定部110によって決定される選択条件は、地理空間情報の一種である建造物情報の値が、対象地点の建造物情報の値と同じであることであってよい。本実施形態の決定部110は、上述の選択条件を決定してよい。
【0106】
<<推定部120>>
本実施形態の推定部120は、第1の実施形態の推定部120と同様に動作する。本実施形態の推定部120は、さらに、上述の推定データを、判定部130に送出する。本実施形態の推定部120は、更に、指定範囲内の測定地点における、地理空間情報の一種である建造物情報の値を、判定部130に送出してもよい。
【0107】
<<判定部130>>
判定部130は、推定データを推定部120から受け取る。判定部130は、さらに、指定範囲内の測定地点における建造物情報の値を、推定部120から受け取ってもよい。判定部130は、推定データに含まれる地点情報が示す地点における、地理空間情報の一種である建造物情報の値を、地理空間情報取得部160を介して、地理空間情報記憶装置300から受け取ってもよい。
【0108】
一般に、例えば航空写真によって地表面が建造物であるか否かを判定することはできるが、建物の種類を航空写真のみによって判定することは必ずしも容易ではない。建造物情報として範囲が得られている個々の建物の種類を得たい場合、例えば調査員が現地に赴いて建造物の種類を判定することは可能ではあるが、時間やコストが必要である。また、建造物の外見から建造物の種類を判断できない場合もある。判定部130は、測定地点が建造物である場合、地表面の高さの変化の推移の推定値に基づいて、測定地点を含む建造物の種類を推定してもよい。例えば、建造物が鉄筋コンクリートである場合、建造物が木造建築である場合と比較して、夏季と冬季とで温度の差による高さの変動(高さの季節変動と表記)が大きい。建造物が、鉄骨の骨組みとパネルの壁とによって建造された建造物である場合、木造建築や鉄筋コンクリートの建造物と比較して、更に高さの季節変動が大きい傾向がある。判定部130は、例えば、あらかじめ機械学習によって学習した、建造物の種類による高さの季節変動の大きさを判定する判定器によって、建造物の種類を判定してよい。この場合の機械学習の方法として、既存の機械学習の方法のいずれかが使用されてよい。なお、高さの変動は、必ずしも高さの季節変動に限られない。判定部130は、指定領域に含まれる、建造物である測定地点の各々の、建造物の種類を判定してよい。判定部130は、建造物ではない測定地点の建造物の種類として、建造物ではないことを表す情報を設定してもよい。
【0109】
判定部130は、指定領域の建造物地図を、地理空間情報取得部160を介して、地理空間情報記憶装置300から取得してもよい。この場合、地理空間情報の1種類として、建造物地図が地理空間情報記憶装置300にあらかじめ格納されている。
【0110】
判定部130は、判定した、指定領域に含まれる測定地点の建造物の種類を表す情報を、出力部140に送出してよい。判定部130は、さらに、取得した建造物地図を表す情報を、出力部140に送出してもよい。
【0111】
<<出力部140>>
本実施形態の出力部140は、第1の実施形態の出力部140と同じ機能を備える。本実施形態の出力部140は、さらに、判定部130から、指定領域に含まれる測定地点の建造物の種類を表す情報を受け取る。本実施形態の出力部140は、さらに、判定部130から、建造物地図を表す情報を受け取ってもよい。出力部140は、受け取った、指定領域に含まれる測定地点の建造物の種類を表す情報を、出力先装置400に出力する。
【0112】
出力部140は、測定地点の位置に対応する建造物地図の位置に、測定地点の建造物の種類を表すマークを重畳してもよい。出力部140は、建造物の種類を表すマークが重畳された建造物地図を、出力先装置400に出力してもよい。
【0113】
出力部140は、建造物地図に含まれる建造物の種類を、建造物の領域に含まれる測定地点の、推定された建造物の種類に基づいて決定してもよい。出力部140は、建造物地図に含まれる建造物の領域の模様及び色の少なくとも何れかを、決定された建造物の種類に応じて変更してもよい。この場合、建造物の領域の模様及び色の少なくともいずれかは、建造物の種類ごとにあらかじめ定められていてよい。建造物の種類の決定方法は、あらかじめ適宜定められた方法であってよい。出力部140は、例えば、建造物に1つの測定地点のみが含まれる場合、その建造物の種類を、その測定地点について判定された建造物の種類に決定してよい。出力部140は、例えば、建造物に複数の測定地点が含まれる場合、その建造物の種類を、最も多くの測定地点について判定された建造物の種類に決定してもよい。建造物の領域に含まれる測定地点が存在しない場合、及び、最も多くの測定地点について判定された建造物の種類が複数存在する場合など、建造物の種類を決定できない場合、出力部140は、その建造物の領域の模様及び色を変更しなくてよい。
【0114】
<<動作>>
次に、本実施形態の推定装置101の動作について、図面を参照して詳細に説明する。
【0115】
図4は、本実施形態の推定装置101の動作の例を表すフローチャートである。本実施形態の推定装置101の、ステップS101からステップS107までの動作は、第1の実施形態の推定装置100の、ステップS101からステップS107までの動作と同じである。本実施形態の推定装置101は、ステップS107の動作の後、以下で説明する動作を行う。
【0116】
判定部130は、測定地点が建造物の領域に含まれる場合、測定地点の、上述の推定データに基づいて、測定地点を領域に含む建造物の種類を判定する(ステップS208)。判定部130は、いずれかの建造物の領域に含まれる測定地点の各々について、建造物の種類を判定してよい。
【0117】
出力部140は、測定データの推定値(すなわち、上述の推定データ)と、建造物の種類とを出力する(ステップS209)。
【0118】
<<効果>>
本実施形態には、第1の実施形態と同じ効果がある。その理由は、第1の実施形態の効果が生じる理由と同じである。
【0119】
本実施形態には、さらに、建造物の種類を知ることができるという効果がある。その理由は、判定部130が、建造物の領域に含まれる測定地点の推定データに基づいて、その建造物の種類を判定するからである。
【0120】
<<第2の実施形態の第1の変形例>>
第2の実施形態を、第1の実施形態の第1から第5の変形例のように変形することもできる。
【0121】
<<第2の実施形態の第2の変形例>>
本変形例の出力部140は、受け取った、指定領域に含まれる測定地点の建造物の種類を表す情報を、出力先装置400に出力し、推定データを出力しなくてもよい。本変形例の推定部120は、推定データを出力部140に送出しなくてよい。本変形例の出力部140は、推定データを推定部120から受け取らなくてよい。
【0122】
<第3の実施形態>
次に、本開示の第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0123】
<<構成>>
図5は、本実施形態に係る推定装置102の構成の例を表すブロック図である。
【0124】
図5に示す例では、本開示の一態様に係る推定装置102は、決定部110と、推定部120と、を備える。決定部110は、合成開口レーダーによって地表面の高さの推移が測定された複数の測定地点のうち対象地点の地理空間情報に基づいて、選択条件を決定する。決定部110は、第1の実施形態の決定部110と同様に、選択条件を決定してよい。推定部120は、前記対象地点における地表面の高さの推移の測定値と、前記選択条件を満たす前記測定地点における地表面の高さの推移の測定値とに基づいて、前記対象地点における地表面の高さの変化の推定値を推定する。推定部120は、第1の実施形態の推定部120と同様に、対象地点における地表面の高さの変化の推定値を推定してよい。
【0125】
<<動作>>
図6は、本実施形態に係る推定装置102の動作の例を表すフローチャートである。
【0126】
図6に示す例では、まず、決定部110が、対象地点の地理空間情報に基づいて、選択条件を決定する(ステップS301)。次に、推定部120が、対象地点における地表面の高さの推移の測定値と、選択条件を満たす測定地点における地表面の高さの推移の測定値とに基づいて、対象地点の地表面の高さの変化の推定値を推定する(ステップS302)。
【0127】
<<効果>>
本実施形態には、第1の実施形態と同じ効果がある。その理由は、第1の実施形態の効果が生じる理由と同じである。
【0128】
<<他の実施形態>>
上述の推定装置100、推定装置101、推定装置102、測定データ記憶装置200、及び、地理空間情報記憶装置300は、それぞれ、コンピュータによって実現することができる。そのコンピュータは、記憶媒体から読み出されたプログラムがロードされたメモリと、そのプログラムを実行するプロセッサとを含む。コンピュータは、互いに通信可能に接続された複数のコンピュータの組み合わせによって実現されていてもよい。推定装置100、推定装置101、推定装置102、測定データ記憶装置200、及び、地理空間情報記憶装置300は、それぞれ、専用のハードウェアによって実現することもできる。専用のハードウェアは、例えば、1つの回路、又は、互いに通信可能に接続された複数の回路によって実現されていてよい。推定装置100、推定装置101、推定装置102、測定データ記憶装置200、及び、地理空間情報記憶装置300は、前述のコンピュータと専用のハードウェアとの組み合わせによって実現することもできる。
【0129】
図7は、本開示の実施形態に係る推定装置などの装置を実現することができる、コンピュータ1000のハードウェア構成の一例を表す図である。
図7を参照すると、コンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、I/O(Input/Output)インタフェース1004とを含む。また、コンピュータ1000は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。メモリ1002と記憶装置1003は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどの記憶装置である。記憶媒体1005は、例えば、RAM、ハードディスクなどの記憶装置、ROM(Read Only Memory)、可搬記憶媒体である。記憶装置1003が記憶媒体1005であってもよい。プロセッサ1001は、メモリ1002と、記憶装置1003に対して、データやプログラムの読み出しと書き込みを行うことができる。プロセッサ1001は、I/Oインタフェース1004を介して、例えば、他の装置にアクセスすることができる。プロセッサ1001は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。記憶媒体1005には、コンピュータ1000を、上述の実施形態に係る装置として動作させるプログラムが格納されている。
【0130】
プロセッサ1001は、記憶媒体1005に格納されている、コンピュータ1000を、上述の実施形態に係る推定装置として動作させるプログラムを、メモリ1002にロードする。そして、プロセッサ1001が、メモリ1002にロードされたプログラムを実行することにより、コンピュータ1000は、上述の実施形態に係る推定装置として動作する。
【0131】
プロセッサ1001は、記憶媒体1005に格納されている、コンピュータ1000を、上述の実施形態に係る測定データ記憶装置として動作させるプログラムを、メモリ1002にロードする。そして、プロセッサ1001が、メモリ1002にロードされたプログラムを実行することにより、コンピュータ1000は、上述の実施形態に係る測定データ記憶装置として動作する。
【0132】
プロセッサ1001は、記憶媒体1005に格納されている、コンピュータ1000を、上述の実施形態に係る地理空間情報記憶装置として動作させるプログラムを、メモリ1002にロードする。そして、プロセッサ1001が、メモリ1002にロードされたプログラムを実行することにより、コンピュータ1000は、上述の実施形態に係る地理空間情報記憶装置として動作する。
【0133】
決定部110、推定部120、判定部130、出力部140、測定データ取得部150、及び、地理空間情報取得部160は、例えば、メモリ1002にロードされたプログラムを実行するプロセッサ1001により実現することができる。第1入出力部220、及び、第2入出力部320は、例えば、メモリ1002にロードされたプログラムを実行するプロセッサ1001により実現することができる。また、測定データ記憶部210、及び、地理空間情報記憶部310は、コンピュータ1000が含むメモリ1002やハードディスク装置等の記憶装置1003により実現することができる。決定部110、推定部120、判定部130、出力部140、測定データ取得部150、地理空間情報取得部160、第1入出力部220、及び、第2入出力部320の一部又は全部を、各部の機能を実現する専用の回路によって実現することもできる。測定データ記憶部210、及び、地理空間情報記憶部310の一部又は全部を、各部の機能を実現する専用の回路によって実現することもできる。
【0134】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0135】
(付記1)
合成開口レーダーによって地表面の高さの推移が測定された複数の測定地点のうち対象地点の地理空間情報に基づいて、選択条件を決定する決定手段と、
前記対象地点における地表面の高さの推移の測定値と、前記選択条件を満たす前記測定地点における地表面の高さの推移の測定値とに基づいて、前記対象地点における地表面の高さの変化の推定値を推定する推定手段と、
を備える推定装置。
【0136】
(付記2)
前記決定手段は、前記対象地点の地理空間情報に基づく地表面の種類と、前記対象地点からの距離と、に基づく前記選択条件を決定する
付記1に記載の推定装置。
【0137】
(付記3)
前記推定手段は、前記測定地点と前記対象地点とにおける、地表面の種類の類似性に基づく重みに基づいて、前記推定値を推定する
付記1又は2のいずれか1項に記載の推定装置。
【0138】
(付記4)
前記推定手段は、前記測定地点と前記対象地点との距離にさらに基づく前記重みに基づいて、前記推定値を推定する
付記3に記載の推定装置。
【0139】
(付記5)
前記推定手段は、前記選択条件を満たす前記測定地点から、当該測定地点における土地の変更履歴に基づいて前記測定地点を更に選択し、当該測定地点の前記測定値に基づいて前記推定値を推定する
付記1乃至4のいずれか1項に記載の推定装置。
【0140】
(付記6)
前記推定手段は、前記対象地点の地表面が水面である場合、当該対象地点における前記推定値を推定せず、前記測定地点の地表面が水面である場合、当該測定地点の高さの変動の測定値を、前記対象地点における推定値の推定に使用しない
付記1乃至5のいずれか1項に記載の推定装置。
【0141】
(付記7)
前記決定手段は、前記地理空間情報において前記対象地点が建造物の領域に含まれる場合、前記建造物の領域に含まれる前記測定地点を選択するように前記選択条件を決定する
付記1乃至6のいずれか1項に記載の推定装置。
【0142】
(付記8)
前記地理空間情報において前記対象地点が建造物の領域に含まれる場合、前記推定値の特徴に基づいて、前記対象地点を含む建造物の種類を判定する判定手段
を更に備える付記1乃至7のいずれか1項に記載の推定装置。
【0143】
(付記9)
合成開口レーダーによって地表面の高さの推移が測定された複数の測定地点のうち対象地点の地理空間情報に基づいて、選択条件を決定し、
前記対象地点における地表面の高さの推移の測定値と、前記選択条件を満たす前記測定地点における地表面の高さの推移の測定値とに基づいて、前記対象地点における地表面の高さの変化の推定値を推定する、
推定方法。
【0144】
(付記10)
前記対象地点の地理空間情報に基づく地表面の種類と、前記対象地点からの距離と、に基づく前記選択条件を決定する
付記9に記載の推定方法。
【0145】
(付記11)
前記測定地点と前記対象地点とにおける、地表面の種類の類似性に基づく重みに基づいて、前記推定値を推定する
付記9又は10のいずれか1項に記載の推定方法。
【0146】
(付記12)
前記測定地点と前記対象地点との距離にさらに基づく前記重みに基づいて、前記推定値を推定する
付記11に記載の推定方法。
【0147】
(付記13)
前記選択条件を満たす前記測定地点から、当該測定地点における土地の変更履歴に基づいて前記測定地点を更に選択し、当該測定地点の前記測定値に基づいて前記推定値を推定する
付記9乃至12のいずれか1項に記載の推定方法。
【0148】
(付記14)
前記対象地点の地表面が水面である場合、当該対象地点における前記推定値を推定せず、前記測定地点の地表面が水面である場合、当該測定地点の高さの変動の測定値を、前記対象地点における推定値の推定に使用しない
付記9乃至13のいずれか1項に記載の推定方法。
【0149】
(付記15)
前記地理空間情報において前記対象地点が建造物の領域に含まれる場合、前記建造物の領域に含まれる前記測定地点を選択するように前記選択条件を決定する
付記9乃至14のいずれか1項に記載の推定方法。
【0150】
(付記16)
前記地理空間情報において前記対象地点が建造物の領域に含まれる場合、前記推定値の特徴に基づいて、前記対象地点を含む建造物の種類を判定する
付記9乃至15のいずれか1項に記載の推定方法。
【0151】
(付記17)
合成開口レーダーによって地表面の高さの推移が測定された複数の測定地点のうち対象地点の地理空間情報に基づいて、選択条件を決定する決定処理と、
前記対象地点における地表面の高さの推移の測定値と、前記選択条件を満たす前記測定地点における地表面の高さの推移の測定値とに基づいて、前記対象地点における地表面の高さの変化の推定値を推定する推定処理と、
をコンピュータに実行させるプログラムを記憶する記憶媒体。
【0152】
(付記18)
前記決定処理は、前記対象地点の地理空間情報に基づく地表面の種類と、前記対象地点からの距離と、に基づく前記選択条件を決定する
付記17に記載の記憶媒体。
【0153】
(付記19)
前記推定処理は、前記測定地点と前記対象地点とにおける、地表面の種類の類似性に基づく重みに基づいて、前記推定値を推定する
付記17又は18のいずれか1項に記載の記憶媒体。
【0154】
(付記20)
前記推定処理は、前記測定地点と前記対象地点との距離にさらに基づく前記重みに基づいて、前記推定値を推定する
付記19に記載の記憶媒体。
【0155】
(付記21)
前記推定処理は、前記選択条件を満たす前記測定地点から、当該測定地点における土地の変更履歴に基づいて前記測定地点を更に選択し、当該測定地点の前記測定値に基づいて前記推定値を推定する
付記17乃至20のいずれか1項に記載の記憶媒体。
【0156】
(付記22)
前記推定処理は、前記対象地点の地表面が水面である場合、当該対象地点における前記推定値を推定せず、前記測定地点の地表面が水面である場合、当該測定地点の高さの変動の測定値を、前記対象地点における推定値の推定に使用しない
付記17乃至21のいずれか1項に記載の記憶媒体。
【0157】
(付記23)
前記決定処理は、前記地理空間情報において前記対象地点が建造物の領域に含まれる場合、前記建造物の領域に含まれる前記測定地点を選択するように前記選択条件を決定する
付記17乃至22のいずれか1項に記載の記憶媒体。
【0158】
(付記24)
前記プログラムは、
前記地理空間情報において前記対象地点が建造物の領域に含まれる場合、前記推定値の特徴に基づいて、前記対象地点を含む建造物の種類を判定する判定処理
を更にコンピュータに実行させる付記17乃至23のいずれか1項に記載の記憶媒体。
【0159】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0160】
1 推定システム
2 推定システム
100 推定装置
101 推定装置
102 推定装置
110 決定部
120 推定部
130 判定部
140 出力部
150 測定データ取得部
160 地理空間情報取得部
200 測定データ記憶装置
210 測定データ記憶部
220 第1入出力部
300 地理空間情報記憶装置
310 地理空間情報記憶部
320 第2入出力部
400 出力先装置
1000 コンピュータ
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 記憶装置
1004 I/Oインタフェース
1005 記憶媒体