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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】判定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20250109BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
A61B5/00 C
A61B5/11 100
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022550271
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2020035296
(87)【国際公開番号】W WO2022059144
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】大野 友嗣
(72)【発明者】
【氏名】細井 利憲
(72)【発明者】
【氏名】久保 雅洋
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/044619(WO,A1)
【文献】特開2013-220295(JP,A)
【文献】特開2018-139761(JP,A)
【文献】特開2017-018378(JP,A)
【文献】特開2017-118325(JP,A)
【文献】国際公開第2019/073927(WO,A1)
【文献】特開2004-110486(JP,A)
【文献】特開2017-202057(JP,A)
【文献】特開2009-187784(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0267103(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/06-5/398
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不穏状態を判定する際に用いる複数のデータに基づいてエラーの発生を検知する検知部と、
前記検知部がエラーを検知した場合に、不穏状態を判定する際に用いる複数のデータに基づいてエラーの原因を推定する推定部と、
前記推定部が推定した結果に応じた通知を行う通知部と、
を有し、
前記推定部は、自装置がデータを最後に取得した時刻と前記検知部が検知を行う時刻との差が許容範囲を超えているデータが不穏状態を判定する際に用いる複数のデータのうちの一部である場合、許容範囲を超えているデータを取得するセンサにエラーの原因があると推定し、不穏状態を判定する際に用いる複数のデータすべてについて許容範囲を超えている場合、不穏状態を判定する際に用いるデータを取得するセンサと判定装置との間に存在する装置間の接続状況を示す情報に基づいてエラーの原因を推定する
判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の判定装置であって、
前記推定部による推定の結果に応じて再起動指示を行う修正指示部を有する
判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の判定装置であって、
不穏状態を判定する際に用いるデータに基づいて判定される不穏の判定結果を示す情報に応じて、通知の重要性を示す指標である優先度を判断する優先度付け部を有し、
前記通知部は、前記優先度付け部が判断した優先度に応じた通知を行う
判定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の判定装置であって、
前記優先度付け部は、対象者の属性を示す属性情報に基づいて優先度を判断する
判定装置。
【請求項5】
コンピュータが、
不穏状態を判定する際に用いる複数のデータに基づいてエラーの発生を検知し、
エラーを検知した場合に、不穏状態を判定する際に用いる複数のデータに基づいてエラーの原因を推定し、
推定した結果に応じた通知を行い、
エラーの原因を推定する際、自装置がデータを最後に取得した時刻とエラーの発生を検知する時刻との差が許容範囲を超えているデータが不穏状態を判定する際に用いる複数のデータのうちの一部である場合、許容範囲を超えているデータを取得するセンサにエラーの原因があると推定し、不穏状態を判定する際に用いる複数のデータすべてについて許容範囲を超えている場合、不穏状態を判定する際に用いるデータを取得するセンサと判定装置との間に存在する装置間の接続状況を示す情報に基づいてエラーの原因を推定する
通知方法。
【請求項6】
コンピュータに、
不穏状態を判定する際に用いる複数のデータに基づいてエラーの発生を検知し、
エラーを検知した場合に、不穏状態を判定する際に用いる複数のデータに基づいてエラーの原因を推定し、
推定した結果に応じた通知を行う
処理を実現させ、
エラーの原因を推定する際、自装置がデータを最後に取得した時刻とエラーの発生を検知する時刻との差が許容範囲を超えているデータが不穏状態を判定する際に用いる複数のデータのうちの一部である場合、許容範囲を超えているデータを取得するセンサにエラーの原因があると推定し、不穏状態を判定する際に用いる複数のデータすべてについて許容範囲を超えている場合、不穏状態を判定する際に用いるデータを取得するセンサと判定装置との間に存在する装置間の接続状況を示す情報に基づいてエラーの原因を推定する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置、通知方法、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
患者が不穏状態になると、抜管、抜針、抜去や転倒、転落などのリスクが高まり、その結果として、患者にけがなどが生じるおそれがある。そこで、このようなリスク・おそれを低減させるため、不穏の予兆を判定する技術が知られている。
【0003】
不穏の予兆を判定する技術について記載された文献として、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1には、判定部と推定部とを備える生体情報処理システムが記載されている。特許文献1によると、判定部は、患者の生体情報の特徴量に基づいて、患者の容体が平常状態と比較して変化しているか否かを示す識別情報を判定する。そして、推定部は、判定部が判定した識別情報と、事前に学習された対処予測用パラメータとに基づいて、患者に対する対処情報を推定する。また、特許文献1には心拍数などが生体情報の一例として開示されており、患者が不穏状態である可能性を示す不穏スコアが識別情報の一例として開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2019/073927号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1などに記載されている技術の場合、システムのどこかにエラーが生じると、推定に必要な情報を取得することが出来なくなる。その結果、不穏状態の判定を行うことが出来なくなることがあった。
【0006】
上述したような不穏状態の判定を行うことが出来ない状態は、望ましい状態ではないため、早急に解消することが望ましい。
【0007】
そこで、本発明は、何らかの理由で不穏状態の判定を行うことが出来ない場合に、適切に対処することが可能な判定装置、通知方法、記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため本開示の一形態である判定装置は、
不穏状態を判定する際に用いるデータに基づいて、エラーの原因を推定する推定部と、
前記推定部が推定した結果に応じた通知を行う通知部と、
を有する
という構成をとる。
【0009】
また、本開示の他の形態である通知方法は、
コンピュータが、
不穏状態を判定する際に用いるデータに基づいて、エラーの原因を推定し、
推定した結果に応じた通知を行う
通知方法。
【0010】
また、本開示の他の形態である記録媒体は、
コンピュータに、
不穏状態を判定する際に用いるデータに基づいて、エラーの原因を推定し、
前記特定した結果に応じた通知を行う、
処理を実現するためのプログラムを記録した記録媒体である。
【発明の効果】
【0011】
上述したような各構成によると、何らかの理由で不穏状態の判定を行うことが出来ない場合に、適切に対処することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の第1の実施形態における不穏判定システムの全体の構成例を示す図である。
図2図1で示すセンサ装置の構成例を示すブロック図である。
図3図1で示すベッド端末の構成例を示すブロック図である。
図4図1で示す不穏判定装置の構成例を示すブロック図である。
図5】記憶部に格納される情報の一例を示す図である。
図6】センシングデータに含まれるバイタルデータの一例を示す図である。
図7】スコア情報に含まれる不穏判定用スコアの一例を示す図である。
図8】スコア算出部の処理例を説明するための図である。
図9】不穏判定装置の動作例を示すフローチャートである。
図10】不穏判定装置の他の構成例を示すブロック図である。
図11】不穏判定装置の他の構成例を示すブロック図である。
図12】エラー発生状況の一例を説明するための図である。
図13】本開示の第2の実施形態における判定装置のハードウェア構成図である。
図14】判定装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態について、図1から図12までを参照して説明する。図1は、不穏判定システム100の全体の構成例を示す図である。図2は、センサ装置200の構成例を示すブロック図である。図3は、ベッド端末300の構成例を示すブロック図である。図4は、不穏判定装置400の構成例を示すブロック図である。図5は、記憶部440に格納される情報の一例を示す図である。図6は、センシングデータ442に含まれるバイタルデータの一例を示す図である。図7は、スコア情報444に含まれる不穏判定用スコアの一例を示す図である。図8は、スコア算出部455の処理例を説明するための図である。図9は、不穏判定装置400の動作例を示すフローチャートである。図10図11は、不穏判定装置400の他の構成例を示すブロック図である。図12は、エラー発生状況の一例を説明するための図である。
【0014】
本開示の第1の実施形態では、センサ装置200を用いて計測したデータに基づいて、患者の不穏状態を判定する不穏判定システム100について説明する。例えば、不穏判定システム100は、センサ装置200が計測したデータに基づいて、不穏判定用スコアを算出する。そして、不穏判定システム100は、算出した不穏判定用スコアに基づいて、患者の不穏状態を判定する。
【0015】
また、後述するように、不穏判定システム100は、不穏判定を行う不穏判定装置400におけるデータの受信状況などに応じて、不穏判定システム100において発生したエラーを検知するとともに、エラーの発生箇所を特定する。そして、不穏判定システム100は、特定結果に応じた処理を行う。例えば、不穏判定システム100は、特定したエラーの発生箇所に対してエラーを修正するための再起動指示を送信したり、エラーを特定した旨を外部端末などに対して通知したりする。これにより、何らかの理由で不穏判定システム100が不穏状態の判定を行うことが出来ない場合でも、適切に対処することが可能となる。
【0016】
なお、本実施形態において説明する不穏判定システム100は、例えば、急性期病院、回復期病院、介護施設、自宅での見守り、などの様々な場面で活用することが出来る。以下、本実施形態においては、不穏判定システム100を急性期病院や回復期病院などの病院で活用する場合について説明する。なお、不穏判定システム100は、上記例示した以外の不穏状態の判定が必要な状況で活用されても構わない。
【0017】
本実施形態において、不穏とは、患者に落ち着きがなく興奮している状態のことである。不穏は、せん妄などにより生じることがある。また、不穏状態は、患者の不穏に関する状態を示す。不穏状態は、例えば、患者が不穏であるか否か、患者に不穏の予兆があるか否かを示す。なお、不穏状態は、患者の不穏の可能性に関するその他の指標を含んでもよい。患者が不穏の場合、ベッド転落、挿管の抜去、奇声、暴力などの問題行動を起こす可能性がある。そのため、不穏状態は的確に判定することが望ましい。
【0018】
図1は、不穏判定システム100の構成例を示している。図1を参照すると、不穏判定システム100は、例えば、センサ装置200とベッド端末300と不穏判定装置400とを含んでいる。図1で示すように、センサ装置200とベッド端末300とは、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信や有線などを用いて、互いに通信可能なよう接続
されている。また、ベッド端末300と不穏判定装置400とは、Wi-Fi(登録商標)な
どの近距離無線通信や有線などを用いて、互いに通信可能なよう接続されている。ベッド端末300と不穏判定装置400とは、無線基地局などの中継装置を介して接続されても構わない。
【0019】
なお、不穏判定システム100が有するセンサ装置200の数、ベッド端末300の数、不穏判定装置400の数は、図1で例示する場合に限定されない。例えば、不穏判定システム100は、複数のセンサ装置200、ベッド端末300、不穏判定装置400を有することが出来る。
【0020】
センサ装置200は、対象者である患者のバイタルデータなどを計測する。図2は、センサ装置200の構成例を示している。図2を参照すると、センサ装置200は、例えば、センサ210と送受信部220とを含んでいる。例えば、センサ装置200は、ハードウェアにより上記各処理部を実現することが出来る。センサ装置200は、記憶装置に格納されたプログラムをCPUなどの演算装置が実行することで、上記各処理部を実現しても構わない。
【0021】
センサ210は、患者のバイタルデータなどを取得するセンサである。後述するように、センサ210が計測することで取得した時系列のデータは、例えば、患者の不穏判定を行う際などに用いることが出来る。例えば、センサ210は、心拍センサ、呼吸数センサ、血圧センサ、体温センサ、血中酸素飽和度センサなどのバイタルセンサのうちの少なくとも1つである。
【0022】
ここで、バイタルデータは、患者の生命活動に伴って変化する物理量である。例えば、バイタルデータは、患者の心拍数、呼吸数、血圧値、体温、皮膚温度、血流量、血中酸素飽和度などのうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
また、センサ210は、バイタルデータに加えて、または、バイタルデータの代わりに、体動データを計測することが出来る。例えば、センサ210は、体動データを計測するための構成として、加速度センサ、ジャイロセンサ(角速度センサ)、角度センサ、マイクロフォンなどの体動センサのうちの少なくとも1つを含むことが出来る。
【0024】
なお、体動データは、患者の身体の動きに関する物理量である。例えば、体動データは、患者の腕、体、足など所定部位の加速度、角速度、角度、発声量などのうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
送受信部220は、アンテナなどを有している。送受信部220は、ベッド端末300との間でデータの送受信を行う。
【0026】
例えば、送受信部220は、ベッド端末300との間でBluetoothなどの省電力無線通
信を用いた通信を行う。例えば、送受信部220は、センサ210が取得したバイタルデータや体動データと、センサ装置200の識別情報と、を対応付けて、ベッド端末300に対して送信する。
【0027】
以上が、センサ装置200の構成例である。なお、センサ装置200は、一つの装置から構成されても構わないし、複数の装置から構成されても構わない。例えば、センサ装置200は、1つまたは複数のセンサ装置と、送受信部230としての機能を有する装置と、など複数の装置を互いに通信可能なよう接続することで実現しても構わない。また、センサ210は、患者に装着されていても構わないし、例えば、患者が滞在するベッドなどに備え付けられていても構わない。なお、センサ装置200が複数の装置から構成される場合、複数の装置それぞれに送受信部があってよい。
【0028】
ベッド端末300は、患者が滞在するベッド付近などの所定箇所などに予め設置されている情報処理装置である。例えば、ベッド端末300は、スマートフォンなどであり、画面表示機能を有する。ベッド端末300は、スマートフォン以外であっても構わない。なお、ベッド端末300は、患者が滞在するべき所定箇所、または患者が滞在するべき範囲を定める基準となる所定箇所に設置されている端末であり、ベッド付近に設置されたものに限られない。
【0029】
図3は、ベッド端末300の構成例を示している。図3を参照すると、ベッド端末300は、例えば、送受信部310と画面表示部320とを有している。例えば、ベッド端末300は、ハードウェアにより上記各処理部を実現することが出来る。ベッド端末300は、記憶装置に格納されたプログラムをCPUなどの演算装置が実行することで、上記各処理部を実現しても構わない。
【0030】
送受信部310は、アンテナなどを有しており、センサ装置200や不穏判定装置400との間でデータの送受信を行う。例えば、送受信部310は、センサ装置200が送信した体動データ、バイタルデータ、センサ装置200の識別情報などを受信する。そして、送受信部310は、センサ装置200から受信した体動データ、バイタルデータ、識別情報などを不穏判定装置400へと送信する。また、送受信部310は、不穏判定装置400から不穏の判定結果を示す情報を受信することが出来る。
【0031】
また、送受信部310は、センサ装置200との間の通信状況に応じた情報を不穏判定装置400へ対して送信することが出来る。例えば、センサ装置200との間に確立された省電力無線通信が切れた場合、送受信部310は、センサ装置200との間の通信が切れた旨を示す情報を不穏判定装置400へ対して送信することが出来る。
【0032】
画面表示部320は、送受信部310が受信したバイタルデータや体動データ、不穏判定や状態判定の結果を示す情報、などを画面表示する。例えば、画面表示部320は、受信した不穏の判定結果を示す情報などに基づいて、ベッド端末300に対応する患者が不穏である旨などを画面表示することが出来る。
【0033】
不穏判定装置400は、センサ装置200が有するセンサ210が取得したバイタルデータや体動データなどに基づく不穏判定を行う情報処理装置である。また、不穏判定装置400は、バイタルデータや体動データの状態や受信状況などに応じて、エラーの発生を検知するとともに、エラー発生箇所の特定を行う。不穏判定装置400は、例えば、ナースステーションなどの所定箇所に設置されている。例えば、不穏判定装置400は、医療従事者が使用するパーソナルコンピュータやタブレットなどの情報処理装置、病院内などに設置されたサーバ、あるいはクラウドサーバなどである。不穏判定装置400は、パーソナルコンピュータやタブレットなどの情報処理装置とサーバなどとを組み合わせたものであっても構わない。例えば、不穏判定装置400は、院内のオンプレミスサーバとスマートフォンとの組み合わせであり、オンプレミスサーバで体動データやバイタルデータに基づく判定を行い、医療従事者が使用するスマートフォンに結果の表示や通知を行う。なお、医療従事者は、例えば、医者や看護師等である。本開示における医療従事者は、医療に従事するものであればこれに限らない。
【0034】
図4は、不穏判定装置400の構成例を示している。図4を参照すると、不穏判定装置400は、主な構成要素として、例えば、操作入力部410と、画面表示部420と、通信I/F部430と、記憶部440と、演算処理部450と、を有している。なお、不穏判定装置400は、時刻を示す時計機能など一般的な機能を有している。
【0035】
操作入力部410は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなる。操作入力部410は、不穏判定装置400を操作する医療従事者の操作を検出して演算処理部450に出力する。
【0036】
画面表示部420は、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)などの画面表示装置からなる。画面表示部420は、演算処理部450からの指示に応じて、センシングデータ442、接続状況情報443、スコア情報444、結果情報445などの記憶部440に格納された各種情報を画面表示することが出来る。なお、画面表示部420は、演算処理部450などが設置された場所と離れた場所に設置されていてもよい。例えば、不穏判定装置400が有する各構成のうち、画面表示部420のみがナースステーションに設置されていてもよい。この場合、演算処理部450などはサーバ室など画面表示部420とは別の場所に設置されていて構わない。
【0037】
通信I/F部430は、データ通信回路からなる。通信I/F部430は、無線通信などにより接続されたベッド端末300や医療従事者が携帯する携帯端末などの外部装置との間でデータ通信を行う。
【0038】
記憶部440は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。図5は、記憶部440に格納される情報の一例を示している。図5で示すように、記憶部440は、演算処理部450における各種処理に必要な処理情報やプログラム446を記憶する。プログラム446は、演算処理部450に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現する。プログラム446は、通信I/F部430などのデータ入出力機能を介して外部装置や記録媒体から予め読み込まれ、記憶部440に保存されている。記憶部440で記憶される主な情報としては、例えば、不穏判定用モデル441、センシングデータ442、接続状況情報443、スコア情報444、結果情報445などがある。
【0039】
不穏判定用モデル441は、センサ210が取得したバイタルデータや体動データに基づいて不穏判定用スコアを算出するモデルである。例えば、不穏判定用モデル441は、バイタルデータや体動データに応じた情報を入力として、不穏判定用スコアを出力する。不穏判定用モデル441は、例えば、外部装置などにおいて、サポートベクターマシン(SVM)やニューラルネットワークなどを用いた機械学習を行うことにより予め生成された、学習済みモデルである。例えば、機械学習は、過去に計測したバイタルデータや体動データに対して不穏の有無をラベル付けしたデータを教師データとして用いることで行われている。不穏判定用モデル441は、通信I/F部430などを介して外部装置などから取得され、記憶部440に格納されている。
【0040】
なお、不穏判定用モデル441には、データの種類に応じた、複数種類のモデルが含まれても構わない。例えば、不穏判定用モデル441には、バイタルデータを入力するバイタルモデルと体動データを入力する体動モデルとが含まれても構わない。また、不穏判定用モデル441には、加速度や発声量などバイタルデータや体動データの種類に応じた複数のモデルが含まれていても構わない。不穏判定用モデル441は、上記例示した以外であっても構わない。
【0041】
また、不穏判定用モデル441が出力する不穏判定用スコアは、患者が不穏であるか否か、患者に不穏の予兆があるか否かを判定するための指標である。不穏判定用スコアは、例えば、0以上1以下の値である。不穏判定用スコアは、1に近いほど患者が不穏である、または、不穏の予兆があることを示しており、0に近いほど患者が不穏でない、または、不穏の予兆がないことを示している。不穏判定用スコアは、不穏である、または、不穏の予兆があることを示す1と不穏状態でない、または、不穏の予兆がないことを示す0との2値により表現される指標であっても構わない。不穏判定用スコアは、例えば、強い不穏が2、弱い不穏が1など、強弱の程度を表現する指標であっても構わない。
【0042】
また、不穏判定用モデル441に入力するデータは、バイタルデータや体動データそのものであっても構わないし、時系列のバイタルデータや体動データに対して平均化や微分処理などの特徴量化処理を行うことにより算出した各種特徴量であっても構わない。また、不穏判定用モデル441は、1種類のバイタルデータや体動データを入力するよう構成しても構わないし、複数種類のバイタルデータや体動データを入力するよう構成しても構わない。
【0043】
センシングデータ442には、センサ210が取得したデータが含まれている。例えば、センシングデータ442では、センサ装置200の識別情報ごとに、センサ210が取得したバイタルデータや体動データなどが格納されている。
【0044】
例えば、図6は、バイタルデータの一種である、心拍数の時系列データの一例を示している。図6の場合、x軸が時刻を示しており、y軸が心拍数を示している。
【0045】
接続状況情報443は、センサ装置200とベッド端末300との間の接続状況やベッド端末300と不穏判定装置400との間の接続状況など、センサ210が計測したデータを不穏判定装置400が取得するまでの間に存在する装置間の接続状況を示している。例えば、接続状況情報443は、センサ装置200とベッド端末300との間、ベッド端末300と不穏判定装置400との間が、通信可能なように接続されているか否かを示している。接続状況情報443は、例えば、ベッド端末300から受信した情報や、ベッド端末300との間の接続状況などに応じて更新される。
【0046】
スコア情報444には、患者が不穏であるか否か(または、患者の不穏の予兆があるか否か)を判定するための指標である不穏判定用スコアが含まれている。例えば、スコア情報444では、センサ装置200の識別情報と、不穏判定用スコアと、が対応づけられている。
【0047】
図7は、図6で示すバイタルデータに基づいてスコア算出部455が算出した不穏判定用スコアの一例を示している。図7の場合、x軸が時刻を示しており、y軸が不穏判定用スコアを示している。図7で示すように、不穏判定用スコアは、例えば、0以上1以下の値で表現される。不穏判定用スコアは、1に近いほど患者が不穏である、または、不穏の予兆があることを示しており、0に近いほど患者が不穏でない、または、不穏の予兆がないことを示している。
【0048】
結果情報445には、不穏状態判定部456がスコア情報444に基づいて判定した結果を示す情報などが含まれている。例えば、結果情報545では、センサ装置200の識別情報と、不穏判定の結果を示す情報と、が含まれている。
【0049】
演算処理部450は、MPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有する。演算処理部450は、記憶部440からプログラム446を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム446とを協働させて各種処理部を実現する。演算処理部550で実現される主な処理部としては、例えば、データ取得部451、エラー検知部452、エラー原因推定部453、修正指示部454、スコア算出部455、不穏状態判定部456、通知部457などがある。
【0050】
データ取得部451は、通信I/F部430を介して、ベッド端末300が送信した、体動データ、バイタルデータ、識別情報などを取得する。そして、データ取得部451は、取得した体動データやバイタルデータを、識別情報と対応付けて、センシングデータ442として記憶部440に格納する。
【0051】
不穏判定システム100は、センシングデータを用いて不穏判定を行う。しかしながら、何らかの理由でエラーが生じると、不穏状態を正確に判定することができない。そのため、不穏判定システム100は、以下に示すエラー検知部452、エラー原因推定部453、修正指示部454を備えることで、生じたエラーに対し適切に対処することが可能となる。
【0052】
エラー検知部452は、不穏判定に用いるデータを用いて、エラーの発生を検知する。つまり、エラー検知部452は、バイタルデータ(または体動データ)を用いて、エラーの発生を検知する。
【0053】
本実施形態の場合、エラー検知部452は、バイタルデータの取得状況やバイタルデータの状況などに基づいて、エラーの発生を検知する。例えば、エラー検知部452は、バイタルデータのうち少なくとも一つが正常に取得されなくなったとき、エラーが発生したと判断する。なお、正常に取得されなくなったとの判断は、例えば、データが取得された時刻を示すタイムスタンプやデータそのものなどのうちの少なくとも1つを用いて行うことが出来る。例えば、エラー検知部452は、タイムスタンプと現在時刻との比較、複数のバイタルデータのタイムスタンプの比較、バイタルデータと体動データのタイムスタンプの比較、データの確認などを行うことにより、正常にバイタルデータが取得されているか否か判断することが出来る。
【0054】
具体的には、例えば、エラー検知部452は、センシングデータ442に含まれる、最後のバイタルデータのタイムスタンプ(バイタルデータを最後に取得した時刻)と、検知を行う時刻と、の比較結果に基づいて、正常にバイタルデータが取得されているか否か判断することが出来る。例えば、エラー検知部452は、センシングデータ442に含まれる、最後のバイタルデータのタイムスタンプと、検知を行う時刻と、を比較する。そして、エラー検知部452は、タイムスタンプと検知を行う時刻との差が30秒以内など予め定められた許容範囲を超えた場合、正常にバイタルデータが取得されていないと判断してエラーの発生を検知する。
【0055】
また、エラー検知部452は、センシングデータ442に含まれるバイタルデータが所定の条件を満たしているかいないかの確認結果に基づいて、正常にバイタルデータが取得されているか否か判断することが出来る。例えば、エラー検知部452は、センシングデータ442に含まれるバイタルデータが所定の条件を満たしているかいないか確認する。そして、例えば、エラー検知部452は、所定の時間内のバイタルデータのうち50%以上が予め定められた範囲外の値を示している、心拍数の時間差と心拍数の時間の一致が90%未満である、所定の時間内に取得された心拍数のデータ数が心拍数から算出される理想的なデータ数の90%以内である、など所定の条件に基づいて、正常にバイタルデータが取得されていないと判断してエラーの発生を検知する。
【0056】
例えば、以上のように、エラー検知部452は、タイムスタンプやセンシングデータ442に含まれるバイタルデータなどの計測値に基づいて、エラーの発生を検知する。
【0057】
なお、センシングデータ442には、上述したように、複数種類のデータが含まれることがある。つまり、センシングデータ442には、バイタルデータと体動データとが含まれたり、複数種類のバイタルデータ、複数種類の体動データが含まれたりすることがある。このように、センシングデータ442に複数種類のデータが含まれる場合、エラー検知部452は、複数種類のデータのうちのいずれか1つでも上述したような条件を満たした場合に、エラーの発生を検知することが出来る。
【0058】
エラー原因推定部453は、エラー検知部452がエラーを検知した場合に、当該エラーの原因を推定する。例えば、エラー原因推定部453は、バイタルデータの取得状況や接続状況情報443などに基づいて、エラーの原因を推定する。例えば、エラー原因推定部453は、バイタルデータのタイムスタンプや接続状況情報443などに基づいて、エラーの原因を推定する。なお、エラー原因推定部453は、エラー原因として、原因箇所を推定してもよい。つまり、エラー原因推定部453は、センシングデータ442に含まれるバイタルデータや体動データの状態、取得状況や接続状況情報443などに基づいて、エラーの発生箇所を特定することが出来る。また、エラー原因推定部453は、推定の結果に応じた処理を行うよう修正指示部454に指示する。
【0059】
具体的には、例えば、センシングデータ442に含まれるバイタルデータなどが所定の条件を満たしていることにより、エラー検知部452がエラーを検知したとする。この場合、エラー原因推定部453は、所定の条件を満たすデータを取得するセンサ210と患者の肌との接触不良などがエラーの原因であると推定する。また、エラー原因推定部453は、エラーの発生箇所として、センサ210を特定することが出来る。この場合、エラー原因推定部453は、特定したセンサ210もしくはベッド端末300に接触不良などのエラーが生じている旨を外部装置などに対して通知するよう、修正指示部454に指示することが出来る。
【0060】
また、エラー検知部452がタイムスタンプと検知を行う時刻との比較結果に基づいてエラーを検知したとする。この場合において、例えば、センシングデータ442に含まれる複数種類のデータのうちの一部の種類のみ、タイムスタンプと時刻との差が許容範囲を超えている場合、エラー原因推定部453は、タイムスタンプと時刻との差が許容範囲を超えているデータを取得するセンサ210に生じた接触不良や、センサ210の未装着などがエラーの原因であると推定する。また、エラー原因推定部453は、エラーの発生箇所として、センサ210を特定することが出来る。この場合、エラー原因推定部453は、特定したセンサ210もしくはベッド端末300に接触不良や未装着などのエラーが生じている旨を外部装置などに対して通知するよう、修正指示部454に指示することが出来る。
【0061】
また、センシングデータ442に含まれるすべてのデータにおいて、タイムスタンプと時刻との差が許容範囲を超えている場合、エラー原因推定部453は、接続状況情報443に基づいて、エラーの原因を推定したりエラー発生箇所を特定したりする。
【0062】
例えば、接続状況情報443に基づいて、ベッド端末300と不穏判定装置400とが通信可能なように接続されていないと判断される場合、エラー原因推定部453は、ベッド端末300に生じた電源オフやWi-Fiエラーなどがエラーの原因であると推定する。ま
た、エラー原因推定部453は、エラーの発生箇所として、ベッド端末300を特定することが出来る。この場合、エラー原因推定部453は、ベッド端末300にエラーが生じている旨を外部装置などに対して通知するよう、修正指示部454に指示することが出来る。なお、エラー原因推定部453は、上記通知とともに、ベッド端末300に対して、通信機能の再起動、もしくは端末自体の電源の再起動の指示を行うよう修正指示部454に対しても指示するよう構成してもよい。
【0063】
また、例えば、接続状況情報443に基づいて、ベッド端末300と不穏判定装置400とが接続されている一方でセンサ装置200とベッド端末300とが接続されていないと判断される場合、エラー原因推定部453は、患者が離床している、センサ装置200の電源がオフである、ベッド端末300にエラーが生じている、などがエラーの原因であると推定する。また、エラー原因推定部453は、エラーの発生箇所として、センサ装置200やベッド端末300を特定することが出来る。この場合、エラー原因推定部453は、患者の離床可能性がある旨、センサ装置200やベッド端末300にエラーが生じている可能性がある旨、などを外部装置などに対して通知するよう、修正指示部454に指示することが出来る。
【0064】
また、例えば、接続状況情報443に基づいて、ベッド端末300と不穏判定装置400とが接続されているとともに、センサ装置200とベッド端末300とも接続されていると判断される場合、エラー原因推定部453は、ベッド端末300にエラーが生じている、すべてのセンサ210が外れている、などがエラーの原因であると推定する。また、エラー原因推定部453は、エラーの発生箇所として、センサ210を有するセンサ装置200やベッド端末300を特定することが出来る。この場合、エラー原因推定部453は、ベッド端末300に対して、端末自体の電源の再起動指示を行うよう修正指示部454に対して指示することが出来る。また、エラー原因推定部453は、上記再起動指示とともに、センサ210が患者から外れている可能性がある旨などを外部装置などに対して通知するよう、修正指示部454に指示することが出来る。
【0065】
なお、不穏判定装置400自体がフリーズしているなどと判断される場合、エラー原因推定部453は、不穏判定装置400自体の再起動を指示するよう修正指示部454に対して指示しても構わない。
【0066】
例えば、以上のように、エラー原因推定部453は、センシングデータ442に含まれるバイタルデータや体動データの状態、取得状況や接続状況情報443などに基づいて、エラーの原因を推定する。また、エラー原因推定部453は、エラーの発生箇所を特定することが出来る。そして、エラー原因推定部453は、推定や特定の結果に応じた処理を行うよう修正指示部454に対して指示する。
【0067】
なお、エラー原因推定部453が行う推定処理は、上記例示した場合に限られない。エラー原因推定部453は、上記例示した以外の方法により、エラーの原因を推定したりエラー発生箇所の特定を行ったりしてもよい。また、エラー原因推定部453は、上記例示した以外の特定の結果に応じた処理を行うよう各処理部に指示しても構わない。また、例えば、計測する処理を行うセンサアプリの動作状況などを示す情報を、センサ装置200やベッド端末300から取得するよう構成することも出来る。この場合、エラー原因推定部453は、取得した情報に基づいて、エラーの原因を推定したり、発生箇所の特定などを行ったりしてもよい。
【0068】
修正指示部454は、エラー原因推定部453により推定されたエラーの原因に対応する修正指示を行う。例えば、修正指示部454は、修正指示として、外部装置などに対する通知、特定した発生箇所に対する再起動指示、などを行う。
【0069】
なお、外部装置などに対する通知では、修正内容などを通知してもよいし、エラーの発生のみを通知してもよい。例えば、修正内容が一意に推定できない場合などにおいて、修正指示部454は、修正内容の候補を通知してもよい。また、エラー原因推定部453により発生箇所が特定されている場合、修正指示部454は、発生箇所を併せて通知することが出来る。また、修正指示部454は、エラーの種類などに応じて、通知先を制御してもよい。例えば、センサ210の接触不良などの場合、修正指示部454は、担当の医療従事者が携帯する携帯端末に対して通知を行う。一方、装置の再起動を行うようなシステム系のエラーの場合、修正指示部454は、システムを管理する管理装置などに対して、通知を行う。例えば、以上のように、修正指示部454は、エラーの種類などに応じた通知先の制御を行っても構わない。
【0070】
また、修正指示部454は、エラー原因推定部453からの指示に応じて、再起動指示をセンサ装置200やベッド端末300に対して送信することが出来る。具体的には、例えば、修正指示部454は、エラー原因推定部453から、再起動指示を送信する旨の指示を受ける。すると、修正指示部454は、再起動指示を送信する旨の指示にて指定されたセンサ装置200やベッド端末300に対して、再起動を指示する再起動指示を送信する。
【0071】
スコア算出部455と不穏状態判定部456とは、センシングデータ442に基づいて不穏状態を判定する処理を行う。例えば、スコア算出部455と不穏状態判定部456とは、エラー検知部452によりエラーが検知されていない間、不穏状態を判定する処理を行う。スコア算出部455と不穏状態判定部456とは、例えば、エラー検知部452によりエラーが検知されているもののセンシングデータ442に正常なデータが含まれている場合、センシングデータ442に含まれる正常なデータに基づく不穏状態の判定を続けても構わない。以下、スコア算出部455と不穏状態判定部456の処理例について説明する。なお、不穏判定の処理は、これに限らない。
【0072】
スコア算出部455は、不穏判定用モデル441を用いて不穏判定用スコアを算出する。
【0073】
例えば、スコア算出部455は、センシングデータ442を参照して、図6で示すような心拍数の時系列データを含むバイタルデータを取得する。また、スコア算出部455は、取得したデータを不穏判定用モデル441に入力して、図7で示すような各時刻における不穏判定用スコアを算出する。その後、スコア算出部455は、算出した不穏判定用スコアを示す情報をスコア情報444として記憶部440に格納する。
【0074】
なお、スコア算出部455は、時系列データそのものを不穏判定用モデル441に入力しても構わないし、時系列データに対して平均化や微分処理などの特徴量化処理を行うことにより算出した各種特徴量を不穏判定用モデル441に入力しても構わない。
【0075】
不穏状態判定部456は、スコア情報444に含まれる不穏判定用スコアに基づいて、患者の不穏状態を判定する。例えば、不穏状態判定部456は、患者の不穏状態として、患者が不穏であるか否か、または患者に不穏の予兆があるか否かを判定する。そして、不穏状態判定部456は、判定の結果を結果情報445として記憶部440に格納する。例えば、不穏状態判定部456は、患者が不穏であると判定した結果を示す情報を結果情報445として記憶部440に格納する。
【0076】
例えば、不穏状態判定部456は、不穏判定用スコアと比較するための判定閾値を予め有している。そして、不穏状態判定部456は、不穏判定用スコアと不穏判定閾値とに基づく判定を行う。例えば、不穏状態判定部456は、不穏判定用スコアが不穏判定閾値以上である場合、患者が不穏である、または、不穏の予兆があると判定する。一方、不穏状態判定部456は、不穏判定用スコアが不穏判定閾値未満である場合、患者が不穏でない、または、不穏の予兆がないと判定する。
【0077】
具体的には、例えば、図8で示す不穏判定用スコアの場合、図9で示すように、22:30から1:00少し前までの間、2:00少し前、不穏判定用スコアが判定閾値以上となっている。そのため、不穏状態判定部456は、上記時刻の間、患者が不穏であると判定する。
【0078】
なお、図9では、判定閾値が0.5である場合について例示している。しかしながら、判定閾値は0.5以外であっても構わない。判定閾値の値は、任意に設定して構わない。判定閾値は、例えば、後述する患者の属性情報等に応じて適宜決定されてもよい。
【0079】
通知部457は、不穏状態判定部554により患者が不穏であると判定された場合に、必要な出力を行う。
【0080】
例えば、不穏状態判定部554により患者が不穏であると判定された場合、通知部457は、患者が不穏状態である旨などを、センサ装置200の識別情報とともに、画面表示部420に画面表示する。また、通知部457は、患者が不穏状態である旨などと、センサ装置200の識別情報とを、当該患者に関連するベッド端末300や当該患者を担当している医療従事者が携帯している携帯端末などの外部装置に対して送信する。通知部457は、患者の入院する部屋の入り口のランプを点灯させるなど、上記例示した以外の通知を行っても構わない。
【0081】
なお、不穏判定装置400は、例えば、携帯端末の位置情報などに基づいて、エラーが発生している箇所や不穏状態にある患者に最も近い位置に滞在している医療従事者(携帯端末)を把握可能なよう構成しても構わない。このように不穏判定装置400を構成する場合、通知部457は、把握した医療従事者が携帯している携帯端末に対して、上述したような通知を行っても構わない。
【0082】
以上が、不穏判定システム100の構成例である。続いて、図9を参照して、不穏判定装置400の動作例について説明する。なお、図9に示す不穏判定装置400の動作の順序は一例であり、これに限定されない。
【0083】
図9は、不穏判定装置400の動作例を示すフローチャートである。図9を参照すると、データ取得部451は、通信I/F部430を介して、体動データ、バイタルデータ、センサ装置200の識別情報などを取得する(ステップS101)。
【0084】
エラー検知部452は、センシングデータ442に含まれるバイタルデータなどに基づいて、不穏判定システム100に発生したエラーを検知する(ステップS102)。例えば、エラー検知部452は、タイムスタンプと検知を行う時刻との比較結果や、センシングデータ442に含まれるデータの状態などに基づいて、エラーの発生を検知する。
【0085】
エラー検知部452がエラーの発生を検知した場合(ステップS102、Yes)、エラー原因推定部453は、エラー発生箇所を特定する(ステップS103)。例えば、エラー原因推定部453は、センシングデータ442に含まれるバイタルデータや体動データの状態、取得状況や接続状況情報443などに基づいて、エラーの発生箇所を特定する。
【0086】
また、特定した結果に基づいて再起動により修正可能な場合があると判断される場合(ステップS104、Yes)、エラー原因推定部453は、再起動指示を行うよう修正指示部454に対して指示する。これを受けて、修正指示部454は、センサ装置200やベッド端末300に対して、再起動指示を行う(ステップS105)。なお、修正指示部454による再起動指示とともに、所定の通知が行われても構わない。また、再起動による修正が難しいと判断される場合(ステップS104、No)、エラー原因推定部453は、修正指示部454に対してエラーの発生を通知するよう指示する。これを受けて、修正指示部454は、医療従事者が携帯する携帯端末などに対して、エラーの発生を通知する(ステップS106)。
【0087】
また、エラー検知部452がエラーの発生を検知していない場合、(ステップS102、No)、不穏判定装置400は不穏判定を行う(ステップS107)。不穏判定装置400による不穏判定は、例えば、スコア算出部455と不穏状態判定部456とを用いて行われる。なお、不穏判定装置400による不穏判定は、記載の例に限らない。
【0088】
以上が、不穏判定装置400の動作例である。
【0089】
このように、不穏判定装置400は、エラー検知部452とエラー原因推定部453と修正指示部454とを有している。このような構成によると、エラー原因推定部453は、エラー検知部452がエラー発生を検知した際に、エラー発生箇所の特定を行うことが出来る。その結果、エラー原因推定部453による特定の結果に応じて、修正指示部454による再起動指示を行ったり、所定の通知を行ったりすることが出来る。これにより、例えば、エラーにより不穏状態の判定を行うことが出来ない場合が生じたとしても、迅速に適切な対応を行うことが可能となる。
【0090】
なお、不穏判定装置400の構成は、図4を参照して説明した場合に限定されない。例えば、図10は、不穏判定装置400の他の構成例を示している。図10を参照すると、不穏判定装置400の演算処理部450は、例えば、優先度付け部458を有することが出来る。
【0091】
優先度付け部458は、スコア情報444が示す不穏判定用スコアなどの不穏状態の判定結果に応じて、通知の優先度付けを行う。通知部457は、例えば、優先度付け部458が行った優先度付けの結果に応じた通知内容や通知方法で通知を行うことが出来る。
【0092】
ここで、優先度は、例えば、通知の重要性、必要性、緊急性等を示す指標である。優先度は、優先度が高いほど、通知の重要性、必要性、緊急性等が高いことを示す。例えば、医療従事者などにエラーの発生を早急に認識させる必要がある場合、当該エラーの通知の重要性、必要性、緊急性等が高いとされ、優先度は高くなる。
【0093】
例えば、優先度付け部458は、前日までや1時間前までなどの過去の不穏判定用スコアに基づいて優先度付けをすることが出来る。例えば、優先度付け部458は、過去の不穏判定用スコアを参照する。そして、優先度付け部458は、過去の不穏スコアに応じた優先度付けを行う。例えば、優先度付け部458は、過去の不穏判定用スコアが高くなれば高くなるほど、優先度が高いと判断する。優先度付け部458は、過去の不穏判定用スコアが予め定められた過去閾値(任意の値で構わない)を超えているか否かに基づいて優先度付けを行ってもよい。例えば、過去の不穏判定用スコアが過去閾値を超えている場合、優先度付け部458は、優先度が高いと判断する。この場合、修正指示部454は、エラーの発生をより強く通知することが出来る。例えば、修正指示部454は、通知音を鳴らす、通知音を大きくする、通知音を変える、複数個所に通知する、などのうちの少なくとも1つの方法を採用して、より強い通知を実現する。一方、過去の不穏判定用スコアが過去閾値以下である場合、優先度付け部458は、優先度が低いと判断する。この場合、修正指示部454は、エラーを弱く通知することが出来る。例えば、修正指示部454は、音を鳴らさない、音を小さくする、などのうちの少なくとも1つの方法を採用して、弱い通知を実現する。なお、過去の不穏スコアが存在しない場合、優先度付け部458は、中間の優先度であると判断する(または、優先度の判断を行わない)ことが出来る。この場合、修正指示部454は、静かな音を鳴らすなど、強い通知と弱い通知の中間の方法を採用してもよい。また、過去閾値は、1つであっても構わないし、異なる複数の値を含んでいてもよい。過去閾値に複数の値が含まれる場合、優先度付け部458は、段階的な優先度の判断を行うことが出来る。このようにして、優先度の反映された通知を行うことで、不穏判定装置400は、通知を受け取る医療従事者などに通知の重要性等を素早く認識させることができる。そして、医療従事者などは、エラーの発生に対し、より迅速に適切な対応を行うことが可能となる。
【0094】
また、図11は、不穏判定装置400の他の構成例を示している。図11を参照すると、不穏判定装置400の演算処理部450は、例えば、優先度付け部458に加えて、または、優先度付け部458の代わりに、属性情報取得部459を有することが出来る。
【0095】
属性情報取得部459は、対象者である患者の属性情報を取得する。例えば、属性情報取得部459は、外部装置などから対象者のカルテ情報を取得して、年齢、性別、まひ状態、などの属性情報を取得する。
【0096】
属性情報取得部459が取得した属性情報は、例えば、判定閾値の調整を行う際、などに活用することが出来る。また、属性情報取得部459が取得した属性情報は、優先度付け部458が優先度の判断を行う際に活用することが出来る。例えば、優先度付け部458は、属性情報が示す処方薬、自由記述欄、病名、年齢、性別などに基づいて、不穏の発生可能性が高いか否か判断する。そして、優先度付け部458は、不穏の発生可能性が高いと判断される場合に優先度が高いと判断する。また、優先度付け部458は、不穏の発生可能性が低いと判断される場合に、優先度が低いと判断する。例えば、以上のように、優先度付け部458は、属性情報に基づいて通知方法の判断を行っても構わない。なお、優先度付け部458は、過去の不穏判定用スコアと属性情報とを組み合わせて優先度の判断を行ってもよい。
【0097】
また、上述したように、不穏判定システム100には、複数のセンサ装置200、ベッド端末300などが含まれる。そのため、図12で示すように、同時期に複数の箇所でエラーが発生することがある。
【0098】
このように、同時期に複数の箇所でエラーが発生した場合、優先度付け部458が判断した優先度に基づいて、修正指示部454は、医療従事者が携帯する携帯端末に対して通知を行う順番を調整したり、修正の順番を示す情報を作成して通知に含めたりすることが出来る。つまり、優先度付け部458は、同時期に複数の箇所でエラーが発生した場合、当該複数の箇所に対応する通知の優先度付けを行うことが出来る。また、修正指示部454は、優先度付け部458が判断した優先度に応じて、例えば通知内容や通知方法を決定する。例えば、修正指示部454は、優先度付け部458が判断した優先度に応じた通知内容や通知方法で通知を行うことが出来る。なお、優先度付け部458は、上述した場合と同様に、過去の不穏判定用スコア(平均値や最大値など)の高い順や、属性情報に基づいて判断される不穏の発生可能性が高い順などに基づいて優先度の判断を行ってよい。なお、この場合における優先度は、通知の順番を示す情報であってもよい。また修正指示部454は、修正の順番を示す情報などを作成して通知に含めることが出来る。
【0099】
なお、図4図10図11では、1台の情報処理装置により不穏判定装置400としての機能を実現する場合について例示した。しかしながら、不穏判定装置400としての機能は、例えば、ネットワークを介して接続された複数台の情報処理装置により実現されても構わない。
【0100】
[第2の実施形態]
次に、図13図14を参照して、本開示の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、判定装置500の構成の概要について説明する。
【0101】
図13は、判定装置500のハードウェア構成例を示している。図13を参照すると、判定装置500は、一例として、以下のようなハードウェア構成を有している。
・CPU(Central Processing Unit)501(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)502(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)503(記憶装置)
・RAM503にロードされるプログラム群504
・プログラム群504を格納する記憶装置505
・情報処理装置外部の記録媒体510の読み書きを行うドライブ装置506
・情報処理装置外部の通信ネットワーク511と接続する通信インタフェース507
・データの入出力を行う入出力インタフェース508
・各構成要素を接続するバス509
【0102】
また、判定装置500は、プログラム群504をCPU501が取得して当該CPU501が実行することで、図14に示す推定部521、通知部522としての機能を実現することが出来る。なお、プログラム群504は、例えば、予め記憶装置505やROM502に格納されており、必要に応じてCPU501がRAM503などにロードして実行する。また、プログラム群504は、通信ネットワーク511を介してCPU501に供給されてもよいし、予め記録媒体510に格納されており、ドライブ装置506が該プログラムを読み出してCPU501に供給してもよい。
【0103】
なお、図13は、判定装置500のハードウェア構成例を示している。判定装置500のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、判定装置500は、ドライブ装置506を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。
【0104】
推定部521は、不穏状態を判定する際に用いるデータに基づいて、エラーの原因を推定する。
【0105】
通知部522は、推定部521が推定した結果に応じた通知を行う。
【0106】
このように、判定装置500は、推定部521と通知部522とを有している。このような構成によると、通知部522は、不穏状態を判定する際に用いるデータに基づいて推定部521が推定した結果に応じた通知を行うことが出来る。その結果、エラーにより不穏状態の判定を行うことが出来ない場合が生じたとしても、迅速に適切な対応を行うことが可能となる。
【0107】
なお、上述した判定装置500は、当該判定装置500に所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、判定装置500に、不穏状態を判定する際に用いるデータに基づいて、エラーの原因を推定する推定部521と、推定部521が特定した結果に応じた通知を行う通知部522と、を実現するためのプログラムである。
【0108】
また、上述した判定装置500による実現される通知方法は、判定装置が、不穏状態を判定する際に用いるデータに基づいて、エラーの原因を推定し、推定した結果に応じた通知を行う、という方法である。
【0109】
上述した構成を有する、プログラム(または記録媒体)、または、通知方法、の発明であっても、上述した判定装置500と同様の作用・効果を有するために、上述した本発明の目的を達成することが出来る。なお、本発明は、対象者の計測データをもとにエラーを判定する他の装置にも適用してもよい。
【0110】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における判定装置などの概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0111】
(付記1)
不穏状態を判定する際に用いるデータに基づいて、エラーの原因を推定する推定部と、
前記推定部が推定した結果に応じた通知を行う通知部と、
を有する
判定装置。
(付記2)
付記1に記載の判定装置であって、
前記推定部は、不穏状態を判定する際に用いるデータの状態に基づいてエラーの原因を推定する
判定装置。
(付記3)
付記1または付記2に記載の判定装置であって、
前記推定部は、不穏状態を判定する際に用いるデータが所定の条件を満たす状態である場合、条件を満たすデータを取得するセンサにエラーの原因があると推定する
判定装置。
(付記4)
付記1から付記3までのいずれか1項に記載の判定装置であって、
前記推定部は、不穏状態を判定する際に用いるデータの取得状況に基づいてエラーの原因を推定する
判定装置。
(付記5)
付記1から付記4までのいずれか1項に記載の判定装置であって、
前記推定部は、不穏状態を判定する際に用いるデータを取得した時刻を示す情報に基づいてエラーの原因を推定する
判定装置。
(付記6)
付記1から付記5までのいずれか1項に記載の判定装置であって、
前記推定部は、不穏状態を判定する際に用いるデータを取得するセンサと判定装置との間に存在する装置間の接続状況を示す情報に基づいてエラーの原因を推定する
判定装置。
(付記7)
付記1から付記6までのいずれか1項に記載の判定装置であって、
前記推定部による推定の結果に応じて再起動指示を行う修正指示部を有する
判定装置。
(付記8)
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の判定装置であって、 不穏状態を判定する際に用いるデータに基づいて判定される不穏の判定結果を示す情報に応じて、通知の重要性を示す指標である優先度を判断する優先度付け部を有し、
前記通知部は、前記優先度付け部が判断した優先度に応じた通知を行う
判定装置。
(付記9)
付記8に記載の判定装置であって、
前記優先度付け部は、対象者の属性を示す属性情報に基づいて優先度を判断する
判定装置。
(付記10)
付記1から付記9までのいずれか1項に記載の判定装置であって、
不穏状態を判定する際に用いるデータに基づいてエラーの発生を検知する検知部を有し、前記推定部は、前記検知部によるエラーの発生の検知に応じて、エラーの原因を推定する
判定装置。
(付記11)
コンピュータが、
不穏状態を判定する際に用いるデータに基づいて、エラーの原因を推定し、
推定した結果に応じた通知を行う
通知方法。
(付記12)
コンピュータに、
不穏状態を判定する際に用いるデータに基づいて、エラーの原因を推定し、
前記推定した結果に応じた通知を行う、
処理を実現するためのプログラムを記録した記録媒体
【0112】
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていたりする。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0113】
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることが出来る。
【符号の説明】
【0114】
100 不穏判定システム
200 センサ装置
210 センサ
220 送受信部
300 ベッド端末
310 送受信部
320 画面表示部
400 不穏判定装置
410 操作入力部
420 画面表示部
430 通信I/F部
440 記憶部
441 不穏判定用モデル
442 センシングデータ
443 接続状況情報
444 スコア情報
445 結果情報
446 プログラム
450 演算処理部
451 データ取得部
452 エラー検知部
453 エラー原因推定部
454 修正指示部
455 スコア算出部
456 不穏状態判定部
457 通知部
458 優先度付け部
459 属性情報取得部
500 判定装置
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 プログラム群
505 記憶装置
506 ドライブ装置
507 通信インタフェース
508 入出力インタフェース
509 バス
510 記録媒体
511 通信ネットワーク
521 推定部
522 通知部

図1
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