IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水ハウス株式会社の特許一覧

特許7616249太陽光パネル枠材の固定補強金具及びその設置構造
<>
  • 特許-太陽光パネル枠材の固定補強金具及びその設置構造 図1
  • 特許-太陽光パネル枠材の固定補強金具及びその設置構造 図2
  • 特許-太陽光パネル枠材の固定補強金具及びその設置構造 図3
  • 特許-太陽光パネル枠材の固定補強金具及びその設置構造 図4
  • 特許-太陽光パネル枠材の固定補強金具及びその設置構造 図5
  • 特許-太陽光パネル枠材の固定補強金具及びその設置構造 図6
  • 特許-太陽光パネル枠材の固定補強金具及びその設置構造 図7
  • 特許-太陽光パネル枠材の固定補強金具及びその設置構造 図8
  • 特許-太陽光パネル枠材の固定補強金具及びその設置構造 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】太陽光パネル枠材の固定補強金具及びその設置構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20250109BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20250109BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20250109BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/10 U
H02S20/23 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023001619
(22)【出願日】2023-01-10
(65)【公開番号】P2024098241
(43)【公開日】2024-07-23
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】中松 保二
(72)【発明者】
【氏名】竹山 忠司
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 俊之
(72)【発明者】
【氏名】岩本 昌也
(72)【発明者】
【氏名】寺西 伸太郎
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-226908(JP,A)
【文献】特開2012-122490(JP,A)
【文献】特開2015-209676(JP,A)
【文献】中国実用新案第210482791(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
H02S 20/10
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネルを支持する長手棒状の枠材を屋根材に固定するための固定部材に加えて、さらに補強的に前記枠材を前記屋根材に固定をする金具であって、
締結部材を挿通する連結孔を具備し、屋根材と連結する連結部と、
前記枠材の上方から前記枠材を押さえて取り付けられる取付部と、
前記屋根材および前記枠材に非接触で、前記取付部と前記連結部とを繋ぎ、前記取付部から前記連結部へ伝搬される振動を緩衝する板バネ部と、
前記連結部の前記屋根材側の第1接触面および前記取付部の前記枠材側の第2接触面において、シート状の緩衝材と、を有することを特徴とする太陽光パネル枠材の固定補強金具。
【請求項2】
前記板バネ部は、山型形状であって、
前記連結部から立ち上がる第1斜面板と、
前記第1斜面板の端部から前記取付部に繋がる第2斜面板と、を有する山型板バネ部であることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル枠材の固定補強金具。
【請求項3】
前記板バネ部は、略コの字形状であって、
前記屋根材と平行する2枚の平行板と、
前記平行板同士の端部を繋ぐ接続板と、を有する平行型板バネ部であることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル枠材の固定補強金具。
【請求項4】
1本の前記枠材に対して、
請求項2に記載の太陽光パネル枠材の固定補強金具と、
請求項3に記載の太陽光パネル枠材の固定補強金具と、が設置されていることを特徴とする太陽光パネル枠材の固定補強金具の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルを支持する枠材を屋根材に固定するための固定部材に加えて、補強的に太陽光パネル枠材を屋根材に固定する金具及びその設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋根上に設置される太陽光パネルは、屋根に格子状の枠材が設けられ、枠材に太陽光パネルを嵌め込まれて支持されている。通常、枠材には、枠材と屋根材とを固定する固定するための固定部材が設置される。
【0003】
固定部材として、特許文献1に記載の屋根用固定装置は、直線状のレール溝を設けた板状の基台と、この基台上に設置された太陽光パネルの周縁部を押圧して当接固定するための板状の第1の押圧部材と、太陽電池モジュールの周縁部を電気的に導通させるための板状の第2の押圧部材と、押圧部材を固定するための締着部材であるボルト、ナットを備えており、太陽光パネルを屋根上に容易にかつ安定して作業性良好に設置できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-251037
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の屋根用固定装置の締結部材であるボルト、ナットのみで枠材を固定していても、風や雨などの外部的要因により太陽パネルが煽られたり、衝撃が加わったりすることで、太陽光パネルが振動し、当該振動が枠材および屋根用固定装置へ伝搬し、振動の伝搬が長年繰り返されることで、屋根用固定装置の締結部材であるボルトが緩まる可能性が生じていた。
【0006】
各個人が屋根上に登って太陽光パネルの設置状況を確認したり、ボルトを締め直したりすることは困難であり、業者に依頼してボルトを締め直しても、年月が経過すると再度ボルトが緩む可能性があるので、定期的に点検しなければならなかった。
【0007】
そこで本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、外部的要因により固定部材へ伝搬する振動によって固定部材の締結の緩みを防止するとともに、既存の固定部材に加えて後から補強的に枠材を屋根材に固定することが可能な太陽光パネル枠材の補強金具及びその設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、太陽光パネルを支持する長手棒状の枠材を屋根材に固定するための固定部材に加えて、さらに補強的に前記枠材を前記屋根材に固定をする金具であって、締結部材を挿通する連結孔を具備し、屋根材と連結する連結部と、前記枠材の上方から前記枠材を押さえて取り付けられる取付部と、前記屋根材および前記枠材に非接触で、前記取付部と前記連結部とを繋ぎ、前記取付部から前記連結部へ伝搬する振動を緩衝する板バネ部と、前記連結部の前記屋根材側の第1接触面および前記取付部の前記枠材側の第2接触面において、シート状の緩衝材と、を有することを特徴としたことにある。
【0009】
好ましくは、前記板バネ部は、山型形状であって、前記連結部から立ち上がる第1斜面板と、前記第1斜面板の端部から前記取付部に繋がる第2斜面板と、を有する山型板バネであることを特徴としたことにある。
【0010】
好ましくは、前記板バネ部は、略コの字形状であって、前記屋根材と平行する2枚の平行板と、前記平行板同士の端部を繋ぐ接続板と、を有する平行型板バネであることを特徴としたことにある。
【0011】
好ましくは、1本の前記枠材に対して、請求項2に記載の太陽光パネル枠材の固定補強金具と、請求項3に記載の太陽光パネル枠材の固定補強金具と、が設置されていることを特徴としたことにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る太陽光パネル枠材の固定補強金具よれば、屋根材と連結する連結部と、枠材の上方から枠材を押さえて取り付けられる取付部と、屋根材および枠材に非接触で、取付部と連結部とを繋ぎ、取付部から連結部へ伝わる振動を緩衝する板バネ部と、を具備するので、外部的要因により枠材から固定部材へ伝わる振動を抑えることができる。
【0013】
本発明に係る太陽光パネル枠材の固定補強金具によれば、板バネ部は、山型形状であって、連結部から立ち上がる第1斜面板と、第1斜面板の端部から取付部に繋がる第2斜面板と、を有するので、枠材の左右方向の振動を優位に緩衝することができる。
【0014】
本発明に係る太陽光パネル枠材の固定補強金具によれば、板バネ部は、略コの字形状であって、それぞれ屋根材と平行する2枚の平行板と、平行板同士の端部を繋ぐ接続板と、を有するので、枠材の上下方向の振動を優位に緩衝することができる。
【0015】
本発明に係る太陽光パネル枠材の固定補強金具の設置構造によれば、1本の枠材に対して、板バネ部に山型板バネ部を用いた固定補強金具と、板バネ部に平行板バネ部を用いた固定補強金具を用いているので、上下方向および左右方向の振動だけでなく、斜め方向の振動も緩衝することができ、いずれの方向の振動にも緩衝することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る固定補強金具の第1実施形態の様子を示す概略斜視図である。
図2図1の固定補強金具を用いた様子を示す概略断面図である。
図3図1の固定補強金具を用いた実施例1の設置構造の様子を示す概略斜視図である。
図4図1の固定補強金具を用いた実施例2の設置構造の様子を示す概略斜視図である。
図5図1の固定補強金具を用いた実施例3の設置構造の様子を示す概略斜視図である。
図6】本発明に係る固定補強金具の第2実施形態の様子を示す概略斜視図である。
図7図6の固定補強金具を用いた様子を示す概略断面図である。
図8図6の固定補強金具を用いた実施例1の設置構造の様子を示す概略斜視図である。
図9図1および図6の固定補強金具を用いた実施例2の設置構造の様子を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照にしながら詳細に説明する。本明細書において、屋根材Rは、スレートなどの屋根表面の部材のみでなく、野地板などの屋根の下地や垂木なども含んだ屋根を構成する部材である。
【0018】
初めに、屋根上に太陽光パネルを設置する方法について説明を行う。太陽光パネルを設置する際は、図3に示すように、固定部材10を用いて、太陽光パネルを支持する縦枠材21および横枠材22からなる格子状の枠材20を屋根上に固定し、その枠材20上に、図示していない太陽光パネルが設けられる。
【0019】
枠材20は、図2図3に示すように、中が空洞であって、一方の凸部23と、他方の凸部24と、その間に凹部溝25を有した長手棒状のレールである。枠材20は、屋根に対して横方向に延びる横枠材22と、屋根に対して縦方向に延びる縦枠材21と、がある。屋根材Rを基盤にして、屋根材R上に固定部材10を用いて縦枠材21が設けられ、縦枠材21を基盤にして、縦枠材21上に横枠材22が設けられ、横枠材22を基盤にして、横枠材22上に太陽光パネルが設けられる。
【0020】
固定部材10は、図2に示すように、主に、基板11と、スライド金具12と、押え金具13と、を具備している。基板11は、基板11の両端部にあるフランジ11aに設けられた連結孔11bから屋根材Rに対してビスBが挿通され、屋根材Rに固定されている。そして、基板11のレール11c内に、レール11cの奥行方向に平行してスライド金具12が挿通され、スライド金具12上に縦枠材21が載置され、縦枠材21のフランジ部21a上に押え金具13が載置され、押え金具13上部からフランジ部21a及びスライド金具12が連通するようにビスBで固定されている。
【0021】
本発明に係る太陽光パネルの枠材20の固定補強金具100,200は、太陽光パネルを支持する枠材20を屋根材Rに固定するための固定部材10に加えて、後付けが可能で、補強的に枠材20を屋根材Rに固定をするための金具である。固定補強金具100,200は、屋根材Rに固定するための連結部30と、振動を緩衝する板バネ部40と、枠材20に取り付ける取付部50と、が連続して一体的に成形されている金具である。
【0022】
枠材20と屋根材Rとの固定力を高めるために、固定部材10を後から追加することも考えられるが、一度、固定部材10を用いて枠材20を屋根材Rに設置した後は、図2に示すように、固定部材10は、枠材20と屋根材Rとの間に挟まれるように枠材20を屋根材Rに固定しているため、固定部材10を後から追加しようとしても、固定されている枠材20を無理に持ち上げてできる隙間に固定部材10を入れることになる。枠材20を無理に持ち上げようとすると、既に設置されている他の固定部材10に負荷が掛かり、結果的に固定力が低下することとなる。
【0023】
一方で、固定補強金具100,200は、枠材20の上方から押さえつけるように固定するため、既存の固定部材10に負担を掛けることなく、後付けで補強的に枠材20を屋根材Rに固定することができる。
【0024】
[第1実施形態]
図1図2に示すように、第1実施形態に係る固定補強金具100は、連結部30と、板バネ部40として山型板バネ部41と、取付部50と、を有しており、さらに、屋根材Rおよび枠材20との接する面には、緩衝材60が設けられている。
【0025】
(連結部30について)
連結部30は、固定補強金具100を屋根材Rに連結させて固定するための板であり、連結部30の中央付近に連結孔30aが2以上設けられている。締結部材であるビスBが連結孔30aを通じて屋根材Rに挿通することで、固定補強金具100を屋根材Rに連結させて固定している。連結部30は、一端部において山型板バネ部41の第1斜面板41aに接続されている。
【0026】
(山型板バネ部41について)
第1実施形態に係る固定補強金具100の板バネ部40は、薄板の山型形状であって、連結部30から所定の角度で立ち上がる第1斜面板41aと、第1斜面板41aの端部から取付部50に繋がる第2斜面板41bと、を有した山型板バネ部41である。第1斜面板41aと第2斜面板41bとの接合部において変曲点41cが形成されている。
【0027】
変曲点41cでは、第1斜面板41aと第2斜面板41bとが一定の角度θを保つように山型板バネ部41が形成されている。例えば、角度θは45度となるように設計されていた場合、角度θが45度以上開くか、45度以下に閉じようとすると、45度を保つように復元力としての弾性力が第1斜面板41aおよび第2斜面板41bに対して働く。
【0028】
固定補強金具100は、連結部30において屋根材Rに固定されているので、山型板バネ部41が一定の角度に保とうとする弾性力が、第1斜面板41aおよび第2斜面板41bに働くことになり、縦枠材21が左右方向に動く方向に対して逆方向に弾性力が作用し、縦枠材21から伝搬される左右方向の振動を緩衝している。
【0029】
縦枠材21から伝搬される振動を山型板バネ部41が緩衝することで、縦枠材21から固定部材10および屋根材Rに振動が伝わらないようにして、基板11を固定するビスBに負荷がかからなくなり、ビスBが緩まないように作用している。
【0030】
また、山型板バネ部41は、屋根材Rおよび縦枠材21に対して非接触としている。非接触にすることで、縦枠材21から伝搬される振動エネルギーが屋根材Rおよび縦枠材21に作用することなく、屋根材山型板バネ部41によって弾性エネルギーに変換されて系内に閉じ込められ、振動を緩衝し、縦枠材21から固定部材10および屋根材Rに振動が伝わらないようにして、基板11を固定するビスBにかかる負担を軽減することできる。
【0031】
山型板バネ部41の素材はステンレスなどの耐水性の高い金属で構成されているのが好ましい。素材、長さ、および厚さ等は、枠材20の振動の振幅や振動数等に応じて最適な厚さ等となるように適宜変更可能である。
【0032】
(取付部50について)
図2に示すように、第2斜面板41bの端部には取付部50が設けられており、取付部50は、固定補強金具100を縦枠材21に取り付けられるために用いられる。本実施形態において、取付部50は、略L字形状であって、縦枠材21の凹部溝25を形成する一方の凸部23に対して引掛けるようにして取り付けられている。引掛けるようにして取付けしなくとも、構造上可能であれば、取付部50及び縦枠材21に係止孔を設けて、ビスとボルトなどの締結部材を用いて固定補強金具100を枠材20に取り付けてもよい。
【0033】
さらに、固定補強金具100は、取付部50が縦枠材21に対して屋根材R方向に付勢するように屋根材Rに固定されている。上から縦枠材21を押さえつけるようにして固定補強金具100を固定することで、上下方向に縦枠材21が振動するのを防ぎ、ビスBに負荷が掛からなくなり、基板11を固定するビスBが緩まないように作用している。
【0034】
(緩衝材60について)
図1図2に示すように、連結部30の屋根材R側の第1接触面31に第1緩衝材61と、取付部50の枠材20側の第2接触面51に第2緩衝材62が設けられている。第1緩衝材61および第2緩衝材62は、シート状のゴム製のものが好適に用いられ、主に、板バネ部40が緩衝する振動の振幅よりも小さい振幅の微振動を緩衝している。
【0035】
振動が伝わる順番は、縦枠材21に接している第1緩衝材61、取付部50、山型板バネ部41、連結部30、第2緩衝材62である。初めに、縦枠材21から伝搬される振幅の小さい微振動を第1緩衝材61が緩衝し、続いて振幅の大きい振動を山型板バネ部41が緩衝し、まだ緩衝しきれていない振動を第2緩衝材が緩衝する。したがって、振幅が異なる複数の振動が複合された複雑な振動であっても第1緩衝材61、山型板バネ部41および第2緩衝材62が、緩衝することができ、縦枠材21から屋根材Rに微振動が伝わらないようにして、基板11を固定するビスBにかかる負担を軽減することできる。
【0036】
第1緩衝材61は、縦枠材21から固定補強金具100へ最初に振動が伝わる部分であるので、緩衝作用が強い素材や厚さ等になるように設計され、第2緩衝材62は、縦枠材21から固定補強金具100へ最後に振動が伝わる部分であるので、緩衝作用は強くなくてもよいが、ビスBを挿通した屋根材Rの連結孔11bから屋根材Rの内部へ水が浸入することを防ぐために、水密性が高くなるように設計されている。
【0037】
このように、第1接触面31に用いる第1緩衝材61および第2接触面51で用いる第2緩衝材62の素材の種類または厚さ等は、目的、用途、振動の振幅、または振動の振動数に応じて適宜変更可能である。
【0038】
(実施例1)
固定補強金具100を使用する際は、図3の設置構造110に示すように、縦枠材21に対して一定の間隔で固定補強金具100が取り付けられている。本実施例においては、縦枠材21の左側の一方の凸部23に対して固定補強金具100が取り付けられている。固定補強金具100を取り付けることで、縦枠材21が左右方向に振動しても、山型板バネ部41は縦枠材21が左右方向に動く方向と逆方向に弾性力が働くので、縦枠材21の振動を緩衝することができ、ビスBに負荷が掛からなくなり、基板11を固定するビスBが緩まないように作用することができる。
【0039】
左側の一方の凸部23に対して固定補強金具100が取り付けてられていなくとも、右側の他方の凸部24に対して取り付けられていてもよいし、縦枠材21に対して固定補強金具100が取り付けてられていなくとも、横枠材22に対しても取り付けてもよい。横枠材22に対して固定補強金具100を取り付けることで、横枠材22から縦枠材21に伝搬される振動を緩衝することができ、縦枠材21から固定部材10および屋根材Rに振動が伝わりにくくなり、ビスBに負荷が掛からなくなり、基板11を固定するビスBが緩まないように作用することができる。
【0040】
(実施例2)
図4の設置構造120に示すように、固定補強金具100は、1本の縦枠材21の左側の一方の凸部23および右側の他方の凸部24の両方向から凸部23,24に引掛けられるようにして固定補強金具100を設置してもよい。本実施例の場合、左右の固定補強金具100は上下にずれて固定されている。左右両方向から縦枠材21に対して固定補強金具100を取り付けることで、実施例1の場合と比較して、左右の振動に対して均等に緩衝することができる。
【0041】
(実施例3)
図5の設置構造130に示すように、縦枠材21の左右から凸部23,24に引掛けられるようにして固定補強金具100を設置されており、左右の固定補強金具100が対面するように設置されている。また、左右の固定補強金具100は、縦枠材21において、隣接する固定部材10同士の真ん中となる位置に設置されている。隣接する固定部材10同士の真ん中付近は振動の振幅が大きくなるポイントであるため、真ん中付近に設置することで、実施例2の場合と比較して、さらに左右の振動に対して均等に緩衝することができる。
【0042】
[第2実施形態]
図6図7に示すように、第2実施形態に係る固定補強金具200の板バネ部40は、平行型板バネ部42である。固定補強金具200は、連結部30と、平行型板バネ部42と、取付部50と、が連続して一体的に成形され、連結部30の屋根材R側の面および取付部50の枠材20側の面には、緩衝材60が設けられている。連結部30、取付部50および緩衝材60は、第1実施形態に係る固定補強金具100と同一であり、板バネ部40においてのみ異なる。
【0043】
(平行型板バネ部42について)
平行型板バネ部42は、図6図7に示すように、側面視略コの字形状であって、屋根材Rと平行する2枚の平行板42aと、平行板42a同士の端部を繋ぐ接続板42bと、を有している。
【0044】
図7に示すように、2枚の平行板42aは、上方に位置する上方平行板42cおよび下方に位置する下方平行板42dである。上方平行板42cと接続板42bとの接合部において第1変曲点42eが形成され、下方平行板42dと接続板42bとの接合部において第2変曲点42fが形成されている。そして、上方平行板42cの接続板42bと接合されていない端部には、取付部50が接続されており、下方平行板42dの接続板42bと接合されていない端部には、連結部30の端部に繋がる立上り板32が接合されている。
【0045】
接続板42bは、平行板42aと比べて、長さが短く剛性が高くなるように形成されている。振動が取付部50から伝搬された場合、第1変曲点42e及び第2変曲点42fでは接続板42bと平行板42aとの角度を直角に保つように復元力としての弾性力が上方平行板42cおよび下方平行板42dに働くことで、縦枠材21が上下方向に動いても、その方向と逆方向に弾性力が作用し縦枠材21から伝搬される上下方向の振動を緩衝している。
【0046】
縦枠材21から伝搬される振動を平行板バネ部42が緩衝することで、縦枠材21から固定部材10および屋根材Rに振動が伝わらないようにして、ビスBに負荷が掛からなくなり、基板11を固定するビスBが緩まないように作用している。
【0047】
さらに、固定補強金具200は、第1実施形態のときと同様に、縦枠材21に対して屋根材R方向に付勢するように屋根材Rに固定されている。上から縦枠材21を押さえつけるようにして固定補強金具200を固定することで、上下方向に縦枠材21が振動するのをさらに防ぎ、ビスBに負荷が掛からなくなり、基板11を固定するビスBが緩まないように作用している。
【0048】
また、平行型板バネ部42は、第1実施形態のときと同様に、屋根材Rおよび縦枠材21に対して非接触としている。非接触にすることで、縦枠材21から伝搬される振動エネルギーが屋根材Rおよび縦枠材21に作用することなく、屋根材山型板バネ部41によって弾性エネルギーに変換されて系内に閉じ込められ、振動を緩衝し、縦枠材21から固定部材10および屋根材Rに振動が伝わらないようにして、基板11を固定するビスBにかかる負担を軽減することできる。
【0049】
平行板42aの横の長さ、奥行方向の長さ、厚さ、または接続板42bの縦の長さ等は、振動の振幅や振動数に応じて適宜変更可能である。また、本実施形態において、接続板42bは直線の板状であったが、湾曲した形状であってもよい。
【0050】
(実施例1)
固定補強金具200を使用する際は、図8の設置構造210に示すように、縦枠材21に対して一定の間隔で固定補強金具200が取り付けられている。本実施例においては、縦枠材21の左側の一方の凸部23に対して固定補強金具200が取り付けられている。固定補強金具200を取り付けることで、縦枠材21が左右方向に振動しても、固定補強金具200は縦枠材21が上下方向に動く方向と逆方向に弾性力が働くので、縦枠材21の振動を緩衝することができ、ビスBに負荷が掛からなくなり、基板11を固定するビスBが緩まないように作用することができる。
【0051】
左側の一方の凸部23に対して固定補強金具200が取り付けてられていなくとも、右側の他方の凸部24にのみ固定補強金具200が取り付けられていてもよいし、縦枠材21だけでなく、横枠材22に対して取り付けてもよい。横枠材22に対しても固定補強金具200を取り付けることで、横枠材22から縦枠材21に伝搬される振動を緩衝することができ、縦枠材21から固定部材10および屋根材Rに振動が伝わらないようになり、ビスBに負荷が掛からなくなり、基板11を固定するビスBが緩まないように作用することができる。
【0052】
(実施例2)
また、図9の設置構造220に示すように、第1実施形態に係る固定補強金具100と、第2実施形態に係る固定補強金具200と、を併せて設けてもよい。本実施例においては、縦枠材21の右側に固定補強金具100が設けられ、左側に固定補強金具200が設けられている。これら2つはそれぞれ左右方向および上下方向の振動を優位に緩衝するため、両方の固定補強金具100,200を同時に用いることで、左右方向および上下方向の振動が合わさった斜め方向の振動に対しても優位に緩衝することができる。
【0053】
また、図4図5に示した第1実施形態に係る固定補強金具100の実施例2,3のときと同様に、固定補強金具200を左右両方向から縦枠材21に設けてもよい。
【0054】
<第一の特徴>
本実施形態の第一の特徴の固定補強金具は、太陽光パネルを支持する長手棒状の枠材を屋根材に固定するための固定部材に加えて、さらに補強的に前記枠材を前記屋根材に固定をする金具であって、締結部材を挿通する連結孔を具備し、屋根材と連結する連結部と、前記枠材の上方から前記枠材を押さえて取り付けられる取付部と、前記屋根材および前記枠材に非接触で、前記取付部と前記連結部とを繋ぎ、前記取付部から前記連結部へ伝搬される振動を緩衝する板バネ部と、前記連結部の前記屋根材側の第1接触面および前記取付部の前記枠材側の第2接触面において、シート状の緩衝材と、を有することを特徴としている。
【0055】
第一の特徴によれば、枠材と屋根材との間に固定される板バネ部を有するので、枠材の振動を緩衝することができ、既存の固定部材のネジが緩むことがなくなる。また。板バネ部は屋根材および枠材に対して非接触であるので、枠材から板バネ部へ伝わる振動エネルギーが屋根材および枠材に伝わることなく系内に閉じ込められ、振動を緩衝し、固定部材に加えて補強的に枠材を屋根材に固定している。
【0056】
<第二の特徴>
本実施形態の第三の特徴の固定補強金具は、前記板バネ部は、山型形状であって、前記連結部から立ち上がる第1斜面板と、前記第1斜面板の端部から前記取付部に繋がる第2斜面板と、を有する山型板バネ部であることを特徴としている。
【0057】
第二の特徴によれば、板バネ部は、山型板バネ部であるので、枠材が左右方向に動く方向と逆方向に弾性力が作用し、枠材から伝搬される左右方向の振動を緩衝することができる。
【0058】
<第三の特徴>
本実施形態の第三の特徴の固定補強金具は、前記板バネ部は、略コの字形状であって、前記屋根材と平行する2枚の平行板と、前記平行板同士の端部を繋ぐ接続板と、を有する平行型板バネ部であることを特徴としている。
【0059】
第三の特徴によれば、板バネ部は、平行型板バネ部であるので、枠材が上下方向に動く方向と逆方向に弾性力が作用し、枠材から伝搬される上下方向の振動を緩衝することができる。
【0060】
<第四の特徴>
本実施形態の第四の特徴の固定補強金具の設置構造は、1本の前記枠材に対して、請求項2に記載の太陽光パネル枠材の固定補強金具と、請求項3に記載の太陽光パネル枠材の固定補強金具と、が設置されていることを特徴としている。
【0061】
第四の特徴によれば、1本の枠材に対して、板バネ部に山型板バネ部を用いた固定補強金具と、板バネ部に平行板バネ部を用いた固定補強金具を用いているので、上下方向および左右方向の振動だけでなく、斜め方向の振動も緩衝することができ、いずれの方向の振動にも緩衝することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 固定部材
11 基板
12 スライド金具
13 押え金具
20 枠材
23 一方の凸部
24 他方の凸部
25 凹部溝
100 固定補強金具
30 連結部
40 板バネ部
41 山型板バネ部
50 取付部
60 緩衝材
61 第1緩衝材
62 第2緩衝材
200 固定補強金具
42 平行型板バネ部
R 屋根材
B ビス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9