(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】表皮材
(51)【国際特許分類】
B32B 3/30 20060101AFI20250109BHJP
B32B 33/00 20060101ALI20250109BHJP
B32B 3/06 20060101ALI20250109BHJP
D06N 7/00 20060101ALI20250109BHJP
B60R 13/02 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
B32B3/30
B32B33/00
B32B3/06
D06N7/00
B60R13/02 Z
(21)【出願番号】P 2023037973
(22)【出願日】2023-03-10
【審査請求日】2024-06-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000219668
【氏名又は名称】東海化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】川田 剛宏
(72)【発明者】
【氏名】坂下 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】小出 浩資
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康雄
【審査官】緒形 友美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/158653(WO,A1)
【文献】特開2017-065346(JP,A)
【文献】特開2017-081298(JP,A)
【文献】実開平06-029500(JP,U)
【文献】国際公開第2019/235094(WO,A1)
【文献】実開平02-148823(JP,U)
【文献】特開平02-252508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-41/00
D06N 7/00
B60R 13/00-13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料により形成され、表面が意匠面、裏面が固定面となり、前記固定面が基材に固定される表皮材であって、
前記意匠面には、所定の縫い目模様が形成されている一方、
前記固定面には、前記縫い目模様に沿っ
た所定の第1方向へ所定間隔をおいて凸部又は凹部が
複数形成されて
いると共に、各前記凸部又は各前記凹部の側面には、前記第1方向と交差する第2方向へ突出する突出凸部又は突出凹部がそれぞれ備えられており、
前記基材に形成された被係合部に
各前記凸部又は
各前記凹部を係合させることで前記基材に固定可能で、
各前記凸部は、前記固定面に一体形成されていると共に、
各前記凸部の先端には、前記被係合部への係合状態からの脱落を防止する抜け止め部が形成されていることを特徴とする表皮材。
【請求項2】
樹脂材料により形成され、表面が意匠面、裏面が固定面となり、前記固定面が基材に固定される表皮材であって、
前記意匠面には、所定の縫い目模様が形成されている一方、
前記固定面には、前記縫い目模様に沿った所定の第1方向へ延びる凸部又は凹部が形成されていると共に、前記凸部又は前記凹部の側面には、前記第1方向で所定の間隔をおいて、前記第1方向と交差する第2方向へ突出する複数の突出凸部又は突出凹部が備えられており、
前記基材に形成された被係合部に前記凸部又は前記凹部を係合させることで前記基材に固定可能で、
前記凸部は、前記固定面に一体形成されていると共に、前記凸部の先端には、前記被係合部への係合状態からの脱落を防止する抜け止め部が形成されていることを特徴とする表皮材。
【請求項3】
樹脂材料により形成され、表面が意匠面、裏面が固定面となり、前記固定面が基材に固定される表皮材であって、
前記意匠面には、所定の縫い目模様が形成されている一方、
前記固定面には、前記縫い目模様に沿って凸部又は凹部が形成されていると共に、前記凸部又は前記凹部は、前記縫い目模様に沿った所定の第1方向に連続して交互に配置される第1凸部又は第1凹部と、第2凸部又は第2凹部とを含み、前記第1凸部又は前記第1凹部と、前記第2凸部又は前記第2凹部とは、前記第1方向と直交する第2方向の幅が異なっており、
前記基材に形成された被係合部に前記凸部又は前記凹部を係合させることで前記基材に固定可能で、
前記凸部は、前記固定面に一体形成されていると共に、前記凸部の先端には、前記被係合部への係合状態からの脱落を防止する抜け止め部が形成されていることを特徴とする表皮材。
【請求項4】
樹脂材料により形成され、表面が意匠面、裏面が固定面となり、前記固定面が基材に固定される表皮材であって、
前記意匠面には、所定の縫い目模様が形成されている一方、
前記固定面には、前記縫い目模様に沿って凸部又は凹部が形成されていると共に、前記凸部又は前記凹部は、前記縫い目模様に沿った所定の第1方向に所定間隔をおいて交互に複数配置される第1凸部又は第1凹部と、第2凸部又は第2凹部とを含み、各前記第1凸部又は各前記第1凹部と、各前記第2凸部又は各前記第2凹部とは、前記第1方向と直交する第2方向へ離間して配置されており、
前記基材に形成された被係合部に前記凸部又は前記凹部を係合させることで前記基材に固定可能で、
前記凸部は、前記固定面に一体形成されていると共に、前記凸部の先端には、前記被係合部への係合状態からの脱落を防止する抜け止め部が形成されていることを特徴とする表皮材。
【請求項5】
各前記第1凸部又は各前記第1凹部と、各前記第2凸部又は各前記第2凹部とは、同一形状であることを特徴とする請求項
4に記載の表皮材。
【請求項6】
各前記第1凸部又は各前記第1凹部と、各前記第2凸部又は各前記第2凹部とは、前記第2方向の幅が互いに異なっていることを特徴とする請求項
4に記載の表皮材。
【請求項7】
前記縫い目模様は、縫製により形成されていることを特徴とする請求項1
乃至4の何れかに記載の表皮材。
【請求項8】
前記意匠面には、前記凸部又は前記凹部と平行に配置される縫製目安線が形成されていることを特徴とする請求項
7に記載の表皮材。
【請求項9】
前記縫い目模様は、シボ成形により形成されていることを特徴とする請求項1
乃至4の何れかに記載の表皮材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表面に縫製等による縫い目模様が施され、基材に固定されることで自動車の内装材等として使用される表皮材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の内装材においては、意匠性を向上させるために、表面に縫製等による縫い目模様を施したものがある(例えば特許文献1)。この場合、内装材は、基材と、縫い目模様を施した表皮材とを別々に作製して、基材の表面に表皮材を固定することで形成される。
図9は、角部41に沿って縫い目模様であるアウトステッチ48が表れる内装材40の一部を示している。
図10は、角部41に直交する断面を拡大して示している。
内装材40は、角部41に合わせた内角部43を有する基材42と、基材42の表面に固定される表皮材44とからなる。表皮材44は、下側表皮45と上側表皮46とに分割されて、下側表皮45の上端部に上側表皮46の折り返し端部47を重ね合わせて、アウトステッチ48とインステッチ49とで縫製している。内角部43の表面には、下側表皮45と上側表皮46との縫製部分を位置決めするための合わせ溝50が形成されている。
よって、表皮材44を固定する際には、合わせ溝50と下側表皮45の上端部の内面とに接着剤を塗布して、目視でアウトステッチ48を合わせ溝50に合わせて接着する。その後、表皮材44の外周を基材42の裏側に折り返した状態で接着すれば、表皮材44が基材42に固定された内装材40が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の表皮材44は、目視でアウトステッチ48と合わせ溝50との位置を合わせて接着しているため、アウトステッチ48の位置決めが難しく、アウトステッチ48がずれたり蛇行したりすると接着のし直しが生じ、固定作業に時間がかかってしまう。
【0005】
そこで、本開示は、意匠面に施されたアウトステッチ等の縫い目模様を基材に対して容易に位置決めでき、基材への固定にかかる作業性に優れる表皮材を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の第1の構成は、樹脂材料により形成され、表面が意匠面、裏面が固定面となり、固定面が基材に固定される表皮材であって、
意匠面には、所定の縫い目模様が形成されている一方、
固定面には、縫い目模様に沿った所定の第1方向へ所定間隔をおいて凸部又は凹部が複数形成されていると共に、各凸部又は各凹部の側面には、第1方向と交差する第2方向へ突出する突出凸部又は突出凹部がそれぞれ備えられており、
基材に形成された被係合部に各凸部又は各凹部を係合させることで基材に固定可能で、
各凸部は、固定面に一体形成されていると共に、各凸部の先端には、被係合部への係合状態からの脱落を防止する抜け止め部が形成されていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本開示の第2の構成は、樹脂材料により形成され、表面が意匠面、裏面が固定面となり、固定面が基材に固定される表皮材であって、
意匠面には、所定の縫い目模様が形成されている一方、
固定面には、縫い目模様に沿った所定の第1方向へ延びる凸部又は凹部が形成されていると共に、凸部又は凹部の側面には、第1方向で所定の間隔をおいて、第1方向と交差する第2方向へ突出する複数の突出凸部又は突出凹部が備えられており、
基材に形成された被係合部に凸部又は凹部を係合させることで基材に固定可能で、
凸部は、固定面に一体形成されていると共に、凸部の先端には、被係合部への係合状態からの脱落を防止する抜け止め部が形成されていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本開示の第3の構成は、樹脂材料により形成され、表面が意匠面、裏面が固定面となり、固定面が基材に固定される表皮材であって、
意匠面には、所定の縫い目模様が形成されている一方、
固定面には、縫い目模様に沿って凸部又は凹部が形成されていると共に、凸部又は凹部は、前記縫い目模様に沿った所定の第1方向に連続して交互に配置される第1凸部又は第1凹部と、第2凸部又は第2凹部とを含み、第1凸部又は第1凹部と、第2凸部又は第2凹部とは、第1方向と直交する第2方向の幅が異なっており、
基材に形成された被係合部に凸部又は凹部を係合させることで基材に固定可能で、
凸部は、固定面に一体形成されていると共に、凸部の先端には、被係合部への係合状態からの脱落を防止する抜け止め部が形成されていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本開示の第4の構成は、樹脂材料により形成され、表面が意匠面、裏面が固定面となり、固定面が基材に固定される表皮材であって、
意匠面には、所定の縫い目模様が形成されている一方、
固定面には、縫い目模様に沿って凸部又は凹部が形成されていると共に、凸部又は凹部は、縫い目模様に沿った所定の第1方向に所定間隔をおいて交互に複数配置される第1凸部又は第1凹部と、第2凸部又は第2凹部とを含み、各第1凸部又は各第1凹部と、各第2凸部又は各第2凹部とは、第1方向と直交する第2方向へ離間して配置されており、
基材に形成された被係合部に凸部又は凹部を係合させることで基材に固定可能で、
凸部は、固定面に一体形成されていると共に、凸部の先端には、被係合部への係合状態からの脱落を防止する抜け止め部が形成されていることを特徴とする。
第4の構成の別の態様は、上記構成において、各第1凸部又は各第1凹部と、各第2凸部又は各第2凹部とは、同一形状であることを特徴とする。
第4の構成の別の態様は、上記構成において、各第1凸部又は各第1凹部と、各第2凸部又は各第2凹部とは、第2方向の幅が互いに異なっていることを特徴とする。
各構成の別の態様は、上記構成において、縫い目模様は、縫製により形成されていることを特徴とする。
各構成の別の態様は、上記構成において、意匠面には、凸部又は凹部と平行に配置される縫製目安線が形成されていることを特徴とする。
各構成の別の態様は、上記構成において、縫い目模様は、シボ成形により形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、縫い目模様を目視することなく、凸部又は凹部を被係合部に係合させるだけで、縫い目模様を基材に対する適正位置へ容易に位置決めできる。よって、基材への固定にかかる作業性に優れたものとなる。また、縫い目模様の部分では接着剤が不要となるため、内装材の製造に係る工数が削減される上、廃棄等する際の表皮材と基材との分離も容易に行える。
特に、凸部又は凹部は、所定の第1方向へ所定間隔をおいて複数配置されているので、縫い目模様の部分が数カ所で位置決めされ、縫い目模様の位置ずれが抑制される。また、表皮材と基材との一体性も高まる。
一方、凸部又は凹部は、突出凸部又は突出凹部を備えたり、第1凸部又は第1凹部と第2凸部又は第2凹部とを第2方向の幅を異ならせて設けたり、複数の第1凸部又は第1凹部と複数の第2凸部又は第2凹部とを第2方向へ離間して配置したりするので、表皮材の位置ずれが効果的に防止され、表皮材と基材との係合状態での一体性がより高まる。
各構成の別の態様によれば、上記効果に加えて、縫い目模様を縫製により形成することで、意匠性の高い意匠面が得られる。
各構成の別の態様によれば、上記効果に加えて、意匠面には、凸部又は凹部と平行に配置される縫製目安線が形成されているので、縫製の位置の目安となって縫い目模様を施しやすくなる。
各構成の別の態様によれば、上記効果に加えて、縫い目模様をシボ成形により形成するので、縫い目模様が簡単に形成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】内装材の角部に直交する断面を拡大して示す図である。
【
図3】表皮材の説明図で、(A)はD2方向から見た側面図、(B)はA-A線拡大断面図である。
【
図10】従来の内装材の角部に直交する断面を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、
図9と同様に、角部2に沿ってアウトステッチ22が表れる自動車用の内装材1の一部を示している。
図2は、角部2に直交する断面を拡大して示している。
内装材1は、基材10と、基材10の表面に固定される表皮材20とからなる。
表皮材20は、ウレタン等の樹脂材料で射出成形(例えばRIM成形)により作製され、表面が意匠面20a、裏面が固定面20bとなるシート状である。意匠面20aにおいて、角部2に当たる位置には、溝状の縫製目安線21が、角部2が延びるD1方向へ直線状に形成されている。縫製目安線21の底部には、アウトステッチ22が、D1方向と平行に施されている。アウトステッチ22は、表皮材20の射出成形後に縫製目安線21に施される。
【0011】
図3にも示すように、表皮材20の固定面20bには、複数の凸部23,23・・が突出形成されている。各凸部23は、所定間隔をおいてD1方向へ直線状に配置されている。この配置位置は、アウトステッチ22からややずれた位置となっている。各凸部23は、D1方向の長さが、
図3のように平面状態とした表皮材20の面方向でD1方向と直交するD2方向の長さ(幅)よりも大きい平面視長方形状となっている。各凸部23の突出端には、根元側よりも幅が大きい丸棒状の抜け止め部24が一体に形成されている。
【0012】
基材10は、PPやABS等の樹脂材料で射出成形により作製され、
図4に示すように、角部2に合わせた内角部11を備えている。内角部11には、表皮材20の凸部23と同じ数となる複数の孔部12,12・・が形成されている。各孔部12は、基材10を厚み方向に貫通しており、表皮材20の各凸部23の間隔と同じ間隔をおいて、D1方向へ直線状に配置されている。
各孔部12は、抜け止め部24を除く凸部23の長さ及び幅よりもやや大きく形成されて、抜け止め部24の幅よりもやや小さく形成されている。
【0013】
以上の如く作製された表皮材20を基材10に固定する際、
図2に示すように、表皮材20の各凸部23を、基材10の各孔部12へ順番に差し込む。すると、抜け止め部24が孔部12を弾性変形させて凸部23の貫通を許容し、抜け止め部24が基材10の裏面に突出した状態となる。よって、全ての凸部23を孔部12に差し込むと、表皮材20が各凸部23と各孔部12との係合によって固定される。この固定状態でアウトステッチ22は、蛇行することなくD1方向へ直線状に表れる。
そして、表皮材20の外周を基材10の端部で折り返して基材10に接着すると、基材10の表面に表皮材20が固定された内装材1が得られる。
【0014】
このように、上記形態の表皮材20は、意匠面20aに、アウトステッチ22(縫い目模様の一例)が形成されている一方、固定面20bには、アウトステッチ22に沿って複数の凸部23が形成されており、基材10に形成された孔部12(被係合部の一例)に凸部23を係合させることで基材10に固定可能となっている。
この構成によれば、アウトステッチ22を目視することなく、凸部23を孔部12に係合させるだけで、アウトステッチ22を基材10に対する適正位置へ容易に位置決めできる。よって、基材10への固定にかかる作業性に優れたものとなる。また、アウトステッチ22の部分では接着剤が不要となるため、内装材1の製造に係る工数が削減される上、廃棄等する際の表皮材20と基材10との分離も容易に行える。
【0015】
凸部23は、D1方向(第1方向の一例)へ所定間隔をおいて複数配置されている。
よって、アウトステッチ22の部分が数カ所で位置決めされ、アウトステッチ22の位置ずれが抑制される。また、表皮材20と基材10との一体性もより高まる。
縫い目模様は、アウトステッチ22により形成されている。
よって、意匠性の高い意匠面20aが得られる。
意匠面20aには、凸部23と平行に配置される縫製目安線21が形成されている。
よって、アウトステッチ22の位置の目安となってアウトステッチ22を施しやすくなる。
【0016】
このように、上記形態の内装材1は、樹脂材料により形成され、表面が意匠面20a、裏面が固定面20bとなる表皮材20と、表皮材20の固定面20bが固定される基材10とからなり、表皮材20の意匠面20aには、アウトステッチ22が形成され、固定面20bには、アウトステッチ22に沿って凸部23が形成されている一方、基材10には、凸部23が係合可能な孔部12が形成されており、凸部23を孔部12に係合させることで、表皮材20が基材10に固定されている。
また、上記形態の内装材1の製造方法は、表皮材20の意匠面20aに、アウトステッチ22を形成すると共に、固定面20bに、アウトステッチ22に沿った凸部23を形成する工程と、基材10に、凸部23が係合可能な孔部12を形成する工程と、凸部23を孔部12に係合させて、表皮材20を基材10に固定する工程と、を実行する。
【0017】
この内装材1及びその製造方法においても、アウトステッチ22を目視することなく、凸部23を孔部12に係合させるだけで、アウトステッチ22を基材10に対する適正位置へ容易に位置決めできる。よって、基材10への表皮材20の固定にかかる作業性に優れたものとなる。また、アウトステッチ22の部分では接着剤が不要となるため、内装材1の製造に係る工数が削減される上、廃棄等する際の表皮材20と基材10との分離も容易に行える。
【0018】
以下、本開示の変更例について説明する。
表皮材に設ける凸部の形状は、上記形態以外に適宜変更できる。抜け止め部は、上記形態のような丸棒状に限らず、返しのついた矢尻形状等としてもよい。但し、抜け止め部はなくてもよい。
凸部は、D1方向の長さを上記形態より短くしたり、或いは長くしたりしてもよい。
凸部は、固定面からの突出長さを上記形態より長くしたりしてもよい。
凸部は、上記形態のような平面視長方形状に限らず、平面視円形状や平面視十字状等の他の平面視形状であってもよい。
基材に設ける被係合部は、凸部に合わせて形成される。被係合部は、上記形態の孔部に限らず、凹部であってもよい。
【0019】
以下、凸部の変更例を具体的に列挙する。
なお、特に説明はしないが、凸部の形状の変更に伴い、基材に設ける孔部(又は凹部)も、変更例の凸部が係合する形状となる。
図5は、凸部23の側面に、D2方向へ突出する突出凸部25を一体形成して平面視T字状とした例を示している。よって、基材10の各孔部12も、突出凸部25に対応する突出孔部13を連結した平面視T字状となっている。
図5は、各凸部23及び突出凸部25を各孔部12及び突出孔部13にそれぞれ係合させた部分における、基材10の面方向での断面を拡大して示している。以下の変更例も同じである。
このように、凸部23に、D1方向と直交するD2方向(第2方向の一例)へ突出する突出凸部25を設けることで、表皮材20の位置ずれが効果的に防止され、表皮材20と基材10との係合状態での一体性がより高まる。
なお、突出凸部25の突出方向は、D1方向と交差する方向であれば、直交するD2方向に限らず、D1方向に対して傾斜させる方向としてもよい。これは突出凸部25を備える他の変更例においても同様である。また、突出凸部25の突出方向は、
図5の例と逆にしてもよいし、凸部23ごとに互い違いとなるように突出させてもよい。
【0020】
図6は、凸部を、上記形態よりもD1方向へ長く延びる板状凸部30とした例を示している。この板状凸部30の側面には、
図5と同じ突出凸部25を、D1方向へ所定間隔をおいて複数箇所に一体形成している。
このように、凸部を、D1方向へ延びる板状凸部30とすると共に、D1方向で所定の間隔をおいて、D1方向と直交するD2方向へ突出する複数の突出凸部25を備えるものとしても、表皮材20の位置ずれが効果的に防止され、表皮材20と基材10との係合状態での一体性がより高まる。
なお、
図6においても、突出凸部25の突出方向は逆にしてもよい。また、板状凸部30を挟んで突出凸部25が互い違いに突出するようにしてもよい。
【0021】
図7は、凸部を、D1方向へ延びる板状凸部30Aとすると共に、板状凸部30Aを、D2方向の幅が互いに異なる複数の第1凸部31と複数の第2凸部32とを交互に配置して連続させた形状とした例を示している。
このように、凸部を、D1方向に連続して交互に配置される第1凸部31と第2凸部32とを含む板状凸部30Aとして、第1凸部31と第2凸部32とのD2方向の幅を異ならせるものとしても、表皮材20の位置ずれが効果的に防止され、表皮材20と基材10との係合状態での一体性がより高まる。
なお、
図7では、第1凸部31と第2凸部32とを、D2方向の幅の中心がD1方向の一直線上に揃うように配置しているが、第1凸部31と第2凸部32とは、当該中心が互いにずれるように配置してもよい。中心のずれ方は、交互でもよいしランダムでもよい。
【0022】
図8は、第1凸部31と第2凸部32とを同じ形状として、D1方向に分離させると共に、D2方向へ互い違いにずれるように配置した例を示している。
このように、凸部を、D1方向に所定間隔をおいて交互に複数配置される第1凸部31と第2凸部32とを含むものとして、第1凸部31と第2凸部32とを、D2方向へ離間して配置するものとしても、表皮材20の位置ずれが効果的に防止され、表皮材20と基材10との係合状態での一体性がより高まる。
なお、第1凸部31と第2凸部32とのD2方向の幅は、
図7のように互いに異ならせてもよい。
【0023】
上記形態及び各変更例では、表皮材に凸部を、基材に孔部又は凹部を形成しているが、これを逆にして、基材の表面に凸部を設け、表皮材の固定面に、凸部が係合する凹部を形成してもよい。
上記形態及び各変更例において、アウトステッチの形態は適宜変更できる。但し、縫い目模様は、アウトステッチのような縫製に限らない。縫い目模様は、例えばシボ成形(シボ加工)により形成してもよいし、意匠面に印刷したものであってもよい。何れの場合も縫い目模様が表皮材の成形と同時に簡単に形成可能となる。
縫い目模様は、複数線あってもよい。
縫製目安線も、上記形態の溝状に限らず、線状としてもよい。縫製目安線はなくしてもよい。
表皮材及び基材の形状も適宜変更できる。内装材の角部でなく平面部に縫製等の縫い目模様が現れるものであっても本開示は適用できる。
【符号の説明】
【0024】
1・・内装材、2・・角部、10・・基材、11・・内角部、12・・孔部、13・・突出孔部、20・・表皮材、20a・・意匠面、20b・・固定面、21・・縫製目安線、22・・アウトステッチ、23・・凸部、24・・抜け止め部、25・・突出凸部、30,30A・・板状凸部、31・・第1凸部、32・・第2凸部。