(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、硬化物及び粘着シート
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20250109BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20250109BHJP
C09J 133/14 20060101ALI20250109BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20250109BHJP
C08G 18/71 20060101ALI20250109BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J4/02
C09J133/14
C09J7/38
C08G18/71 010
C08F290/06
(21)【出願番号】P 2023052554
(22)【出願日】2023-03-29
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上口 恭平
(72)【発明者】
【氏名】柏木 宏章
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-044183(JP,A)
【文献】特開2020-037689(JP,A)
【文献】特開2018-039999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(a1)
ポリエーテルポリオール、(a2)
直鎖状脂肪族ジイソシアネート及び/又は脂環式脂肪族ジイソシアネート、及び(a3-1)水酸基含有モノ(メタ)アクリレート又は(a3-2)イソシアネート基含有モノ(メタ)アクリレートの反応物であり、重量平均分子量が
50,000以上1
10,000以下であるウレタン(メタ)アクリレート(A)と、
(B)分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さない(メタ)アクリレートと、
(C)一級水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとを含み、
(B)成分がホモポリマーとした場合のガラス転移温度が-5℃未満である(メタ)アクリレート(b1)及び/又はホモポリマーとした場合のガラス転移温度が-5℃以上である(メタ)アクリレート(b2)を含み、
(b1)成分が、テトラデシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、イソオクチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、n-オクチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソノニルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、イソデシルメタクリレート、ノニルアクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、n-ラウリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2-エチルへキシルメタクリレート及び(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレートからなる群より選ばれる1種以上であり、
(b2)成分が、2-メトキシエチルメタクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、メチルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、n-ステアリルアクリレート、n-ステアリルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、3,3,5-トリメチルシクロへキシルアクリレート、ベンジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルアクリレート、エチルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、1-アダマンチルアクリレート及び1-アダマンチルメタクリレートからなる群より選ばれる1種以上であり、
(C)成分が、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上であり、
(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計を100質量%とした場合において、
(A)成分の固形分換算の含有量が、35質量%超55質量%以下であり、
(B)成分の固形分換算の含有量が、
40質量%以上55質量%以下であり、
(C)成分の固形分換算の含有量が、9質量%以上
15質量%
以下であり、
(B)成分を構成する(メタ)アクリレートの合計を100質量%とした場合において、
(b1)成分の固形分換算の含有量が、71質量%以上100質量%以下であり、
(b2)成分の固形分換算の含有量が、0質量%以上29質量%以下である、
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
【請求項2】
軟化点が90℃以上の樹脂を(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計100質量%に対して1質量%以上含まない、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の硬化物。
【請求項4】
請求項3に記載の硬化物を基材表面の少なくとも一つの面に有する、粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、硬化物及び粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フォルダブルデバイス(例えば、折り畳み可能な画像表示装置等)に適した特性を備える粘着剤組成物の開発が行われている。しかし、フォルダブルデバイスを折り曲げた時にデバイスを構成する各種の層に強い負荷がかかり、様々な課題を生じることが知られている。例えば、デバイスを折り畳んだ際に粘着剤組成物の層(本開示において、「粘着剤組成物の層」を「硬化物」ともいう。)に剥がれ等が発生する場合があり、折り畳んでも剥がれ等が発生しない硬化物が求められている。
【0003】
特許文献1には、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキルモノ(メタ)アクリレート、一級水酸基含有モノ(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(本開示において、「活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物」を「粘着剤組成物」ともいう。)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では耐折り曲げ性について検討されていなかった。
【0006】
本開示では、耐折り曲げ性が良好な活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、硬化物及び粘着シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討の結果、所定の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、その硬化物及びその硬化物を有する粘着シートによって、上記課題が解決されることを見出した。なお、本開示は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0008】
すなわち、本開示は、以下の項目に関する。
(項目1)
(A)(a1)ポリオール、(a2)脂肪族ポリイソシアネート、及び(a3-1)水酸基含有モノ(メタ)アクリレート又は(a3-2)イソシアネート基含有モノ(メタ)アクリレートの反応物であり、重量平均分子量が30,000以上150,000以下であるウレタン(メタ)アクリレート(A)と、
(B)分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さない(メタ)アクリレートと、
(C)一級水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとを含み、
(B)成分がホモポリマーとした場合のガラス転移温度が-5℃未満である(メタ)アクリレート(b1)及び/又はホモポリマーとした場合のガラス転移温度が-5℃以上である(メタ)アクリレート(b2)を含み、
(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計を100質量%とした場合において、
(A)成分の固形分換算の含有量が、35質量%超55質量%以下であり、
(B)成分の固形分換算の含有量が、30質量%以上55質量%以下であり、
(C)成分の固形分換算の含有量が、9質量%以上20質量%未満であり、
(B)成分を構成する(メタ)アクリレートの合計を100質量%とした場合において、
(b1)成分の固形分換算の含有量が、71質量%以上100質量%以下であり、
(b2)成分の固形分換算の含有量が、0質量%以上29質量%以下である、
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
(項目2)
軟化点が90℃以上の樹脂を(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計100質量%に対して1質量%以上含まない、項目1に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
(項目3)
項目1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の硬化物。
(項目4)
項目3に記載の硬化物を基材表面の少なくとも一つの面に有する、粘着シート。
【発明の効果】
【0009】
本開示の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、硬化物及び粘着シートは、良好な耐折り曲げ性を示すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、数値αの下限としてA1、A2、A3等が例示され、数値αの上限としてB1、B2、B3等が例示される場合、数値αの範囲は、A1以上、A2以上、A3以上、B1以下、B2以下、B3以下、A1~B1、A1~B2、A1~B3、A2~B1、A2~B2、A2~B3、A3~B1、A3~B2、A3~B3等が例示される。なお、本開示において「~」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。以下では、本開示の構成要素や製造方法等について詳細に説明する。
【0011】
<(A)成分>
(A)成分は、(a1)ポリオール、(a2)脂肪族ポリイソシアネート、及び(a3-1)水酸基含有モノ(メタ)アクリレート又は(a3-2)イソシアネート基含有モノ(メタ)アクリレートの反応物であり、重量平均分子量が30,000以上150,000以下であるウレタン(メタ)アクリレートである。
【0012】
<(a1)成分>
(a1)成分としてポリオールを用いることで、本開示の硬化物は透明性や耐折り曲げ性に優れる。(a1)成分として、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、ポリ(メタ)アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリオレフィンポリオールが例示される。なお、本開示において(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを指す。
【0013】
ポリエーテルポリオールとして、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレングリコール等が例示される。
【0014】
ポリエーテルポリオールは、市販された製品であってもよい。当該製品として、ポリエーテルジオール(製品名「アデカポリエーテルP」、ADEKA(株)製)、ポリエーテルトリオール(製品名「アデカポリエーテルG」、ADEKA(株)製)、ポリエーテルテトラオール(製品名「アデカポリエーテルEDP」、ADEKA(株)製)、ポリエチレングリコール(製品名「ポリエチレングリコール#1,540」、ナカライテスク(株)製)、ジプロピレングリコール(製品名「ジプロピレングリコール」、純正化学(株)製)、ポリプロピレングリコール(製品名「ポリプロピレングリコール400」、キシダ化学(株)製)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(製品名「PTMG650」「PTMG1000」「PTMG2000」「PTMG3000」、三菱ケミカル(株)製)等が例示される。
【0015】
ポリエステルポリオールは、市販された製品であってもよい。当該製品として、高屈折率グレードのポリエステルポリオール(製品名「ポリライトRX-4800」、DIC(株)製)、高結晶性グレードのポリエステルポリオール(製品名「ポリライトOD-X-2523」「ポリライトOD-X-2547」、DIC(株)製)、透明グレードのポリエステルポリオール(製品名「ポリライトOD-X-2420」「ポリライトOD-X-2692」、DIC(株)製)、高接着性グレードのポリエステルポリオール(製品名「ポリライトOD-X-2108」、DIC(株)製)、ポリエステルポリオール(製品名「ETERNACOLL3000」、宇部興産(株)製)、ポリカプロラクトンポリオール(製品名「ポリライトOD-X-2155」、DIC(株)製)、ポリカプロラクトンジオール(製品名「プラクセル200」、(株)ダイセル製)、ポリカプロラクトントリオール(製品名「プラクセル300」、(株)ダイセル製)、ポリカプロラクトンテトラオール(製品名「プラクセル400」、(株)ダイセル製)等が例示される。
【0016】
ポリマーポリオールは、市販された製品であってもよい。当該製品として、ポリマーポリオール(製品名「シャープフロー」、三洋化成工業(株)製)、ポリマーポリオール(製品名「エクセノール」、AGC(株)製)等が例示される。
【0017】
ポリ(メタ)アクリルポリオールは、市販された製品であってもよい。当該製品として、アクリルポリオール(製品名「アクリルポリオール♯6000」、大成ファインケミカル(株)製)、アクリルポリオール(製品名「ETERAC7315-XS-60」、長興材料工業股分有限公司製)、アクリルポリオール(製品名「アクリルポリオールPC♯5984」、東栄化成(株)製)等が例示される。
【0018】
ポリカーボネートポリオールは、市販された製品であってもよい。当該製品として、ポリカーボネートジオール(製品名「ベネビオール」、三菱ケミカル(株)製)(製品名「ニッポラン」、東ソー(株)製)(製品名「デュラノールシリーズ」、旭化成(株)製)等が例示される。
【0019】
ヒマシ油系ポリオールは、市販された製品であってもよい。当該製品として、ヒマシ油系ポリオール(製品名「URIC Hシリーズ」、伊藤製油(株)製)、ヒマシ油系ポリオール(製品名「ヒマシ油系ポリオール HS CM-025P」「ヒマシ油系ポリオール HS CM-075P」、豊国製油(株)製)等が例示される。
【0020】
ポリオレフィンポリオールとして、水酸基含有ポリブタジエン、水素添加した水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水素添加した水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有塩素化ポリプロピレン、水酸基含有塩素化ポリエチレン等が例示される。
【0021】
ポリオレフィンポリオールは、市販された製品であってもよい。当該製品として、ポリブタジエンジオール(製品名「Poly bd R-45HT」「Poly bd R-15HT」、出光興産(株)製)(製品名「NISSO-PB B-1000」「NISSO-PB B-2000」「NISSO-PB G-1000」「NISSO-PB G-2000」、日本曹達(株)製)、水素添加ポリブタジエンジオール(製品名「NISSO-PB GI-1000」「NISSO-PB GI-2000」、日本曹達(株)製)等が例示される。
【0022】
(a1)成分の数平均分子量の上限として、13,000、12,000、11,000、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、900、800等が例示され、下限として、12,000、11,000、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、900、800、700等が例示される。(a1)成分の数平均分子量は、硬化物が粘着力と段差追従性に優れることから、好ましくは700以上13,000以下である。(a1)成分の数平均分子量が上記下限未満であると硬化物が硬くなる傾向にあり、上記上限超であると硬化物が柔らかくなる傾向にあることから、上記好ましい範囲内であると粘着力と段差追従性が良好となる傾向にある。本開示において、数平均分子量は、JIS K7252-1:2016に記載の方法で求めることができる。
【0023】
(a1)成分の水酸基数の上限として、3.0、2.8、2.5、2.3、2.0、1.8等が例示され、下限として、2.8、2.5、2.3、2.0、1.8、1.5等が例示される。(a1)成分の水酸基数は、硬化物が段差追従性と加工性に優れることから、好ましくは1.5以上3.0以下であり、より好ましくは1.8以上2.5以下である。本開示において、水酸基数はJIS K1557-1:2007に記載の方法で求めることができる。具体的には、水酸基数はアセチル化法で求めることができる。本開示において、「段差追従性」や「加工性」とは、特開2020-037689において記載されている内容と同一の意味である。
【0024】
(a1)成分、(a2)成分、及び(a3-1)成分又は(a3-2)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(a1)成分の含有量(固形分換算)の上限として、98、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5質量%等が例示され、下限として、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、(a1)成分、(a2)成分、及び(a3-1)成分又は(a3-2)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(a1)成分の含有量(固形分換算)は、1~98質量%程度が好ましい。
【0025】
<(a2)成分>
(a2)成分は、脂肪族ポリイソシアネートである。(a2)成分として、脂肪族ジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネート、脂肪族テトライソシアネート等が例示される。
【0026】
(a2)成分として、直鎖状脂肪族ポリイソシアネート、分岐状脂肪族ポリイソシアネート、脂環式脂肪族ポリイソシアネート等が例示される。
【0027】
直鎖状脂肪族ジイソシアネートとして、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が例示される。
【0028】
分岐状脂肪族ジイソシアネートとして、2,6-ジイソシアナトヘキサン酸メチル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
【0029】
脂環式脂肪族ジイソシアネートとして、ジシクロヘキシルメタン4,4´-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサン-1,4-ジイルビス(メチレン)ジイソシアナート、1-メチルシクロヘキサン-2,4-ジイルジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が例示される。
【0030】
直鎖状脂肪族トリイソシアネートとして、リジントリイソシアネート等が例示される。
【0031】
(a2)成分は、硬化物が耐湿熱試験後の耐久性に優れ、段差追従性に優れることから、好ましくは脂肪族ジイソシアネートであり、より好ましくは直鎖状脂肪族ジイソシアネート及び/又は脂環式脂肪族ジイソシアネートである。本開示において、「耐湿熱試験後の耐久性」とは、特開2020-037689において記載されている内容と同一の意味である。
【0032】
(a2)成分のイソシアネート基のmol数(NCO(a2))と(a1)成分の水酸基のmol数(OH(a1))との比(NCO(a2)/OH(a1))の上限として、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6等が例示され、下限として、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5等が例示される。(a2)成分のイソシアネート基のmol数(NCO(a2))と(a1)成分の水酸基のmol数(OH(a1))との比(NCO(a2)/OH(a1))は、好ましくは0.5~2.0程度である。
【0033】
(a2)成分の分子量の上限として、1,000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、50、25等が例示され、下限として、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、50、25、10等が例示される。1つの実施形態において、(a2)成分の分子量は、好ましくは10~1,000である。本開示において、単に「分子量」と記載する場合、原子量基準で計算した値のことである。
【0034】
(a1)成分と(a2)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(a1)成分/(a2)成分])の上限として、99/1、95/5、90/10、85/15、80/20、75/25、70/30、65/35、60/40、55/45、50/50、45/55、40/60、35/65、30/70、25/75、20/80、15/85、10/90、5/95等が例示され、下限として、95/5、90/10、85/15、80/20、75/25、70/30、65/35、60/40、55/45、50/50、45/55、40/60、35/65、30/70、25/75、20/80、15/85、10/90、5/95、1/99等が例示される。1つの実施形態において、(a1)成分と(a2)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(a1)成分/(a2)成分])は、1/99~99/1程度が好ましい。
【0035】
(a1)成分、(a2)成分、及び(a3-1)成分又は(a3-2)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(a2)成分の含有量(固形分換算)の上限として、98、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5質量%等が例示され、下限として、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、(a1)成分、(a2)成分、及び(a3-1)成分又は(a3-2)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(a2)成分の含有量(固形分換算)は、1~98質量%程度が好ましい。
【0036】
<(a3-1)成分又は(a3-2)成分>
(a3-1)成分は、水酸基含有モノ(メタ)アクリレートであり、(a3-2)成分は、イソシアネート基含有モノ(メタ)アクリレートである。(a3-1)成分又は(a3-2)成分を用いることで、粘着剤組成物が硬化性に優れる。(a3-1)成分若しくは(a3-2)成分を含まず、又は(a3-1)成分若しくは(a3-2)成分の代替成分として例えば水酸基含有光重合開始剤を使用して粘着剤組成物を製造した場合、硬化不良が起こり、室温において硬化物が柔らかくなりすぎてしまう。そのような硬化物を含む基材等を裁断する場合、裁断機器の刃の表面に硬化物が付着しやすくなってしまうため(すなわち、加工性が悪くなってしまうため)、(a3-1)成分又は(a3-2)成分を含まない粘着剤組成物は好ましくない。(a3-1)成分若しくは(a3-2)成分の代替成分として例えば水酸基含有光重合開始剤を使用して粘着剤組成物を製造した場合、透明性も悪くなることから好ましくない。
【0037】
(a3-1)成分として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0038】
(a3-2)成分として、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0039】
(a3-1)成分又は(a3-2)成分は、粘着剤組成物が硬化性に優れることから、好ましくは炭素数5以上10以下の水酸基含有モノ(メタ)アクリレートであり、より好ましくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上である。
【0040】
(a3-1)成分又は(a3-2)成分の有する炭素数の数の上限として、60、50、40、30、20、10、9、8、7、5、4個等が例示され、下限として、50、40、30、20、10、9、8、7、5、4、3個等が例示される。1つの実施形態において、(a3-1)成分又は(a3-2)成分の有する炭素数の数は、好ましくは4~60程度である。
【0041】
(a3-1)成分又は(a3-2)成分の分子量の上限として、1,000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、50、25等が例示され、下限として、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、50、25、10等が例示される。1つの実施形態において、(a3-1)成分又は(a3-2)成分の分子量は、好ましくは10~1,000である。
【0042】
(a1)成分又は(a2)成分と(a3-1)成分又は(a3-2)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(a1)成分又は(a2)成分/(a3-1)成分又は(a3-2)成分])の上限として、99.9/0.1、99.5/0.5、99/1、95/5、90/10、85/15、80/20、75/25等が例示され、下限として、99.5/0.5、99/1、95/5、90/10、85/15、80/20、75/25、70/30等が例示される。1つの実施形態において、(a1)成分又は(a2)成分と(a3-1)成分又は(a3-2)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(a1)成分又は(a2)成分/(a3-1)成分又は(a3-2)成分])は、70/30~99.9/0.1程度が好ましい。
【0043】
(a1)成分、(a2)成分、及び(a3-1)成分又は(a3-2)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(a3-1)成分又は(a3-2)成分の含有量(固形分換算)の上限として、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5質量%等が例示され、下限として、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.1質量%等が例示される。1つの実施形態において、(a1)成分、(a2)成分、及び(a3-1)成分又は(a3-2)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(a3-1)成分又は(a3-2)成分の含有量(固形分換算)は、0.1~20質量%程度が好ましい。
【0044】
<その他(A)成分に配合可能な添加剤>
(A)成分には、必要に応じて、各種添加剤を含めてもよい。添加剤として、触媒、結晶核剤、結晶化促進剤、連鎖移動剤等が例示される。
【0045】
(A)成分は、(a1)成分と(a2)成分とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを製造し、次いでイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと(a3-1)成分を反応させることにより得てもよい。反応条件は、通常温度が70~85℃程度、時間が1~5時間程度である。イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと(a3-1)成分の使用比率は、前者のイソシアネート基のモル数(NCO)と後者の水酸基のモル数(OH)との比(NCO/OH)が通常0.25~1程度となる範囲であればよい。
【0046】
(A)成分は、(a1)成分と(a2)成分とを反応させて水酸基末端ウレタンプレポリマーを製造し、次いで水酸基末端ウレタンプレポリマーと(a3-2)成分を反応させることにより得てもよい。反応条件は、通常温度が70~85℃程度、時間が1~5時間程度である。水酸基末端ウレタンプレポリマーと(a3-2)成分の使用比率は、後者のイソシアネート基のモル数(NCO)と前者の水酸基のモル数(OH)との比(NCO/OH)が通常0.5~1程度となる範囲であればよい。
【0047】
(A)成分の重量平均分子量の上限として、150,000、140,000、130,000、120,000、110,000、100,000、90,000、80,000、70,000、60,000、50,000、40,000等が例示され、下限として、140,000、130,000、120,000、110,000、100,000、90,000、80,000、70,000、60,000、50,000、40,000、30,000等が例示される。(A)成分の重量平均分子量は、硬化物が粘着力、段差追従性及び耐折り曲げ性に優れることから、30,000以上150,000以下であり、好ましくは50,000以上110,000以下である。(A)成分の重量平均分子量が上記下限未満であると硬化物の粘着力が弱くなり、耐折り曲げ性も劣る傾向にあり、上記上限超であると粘着剤組成物の粘度が高くなり、製造が難しくなる傾向にある。本開示において、重量平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算値である。
【0048】
(A)成分の有する(メタ)アクリロイル基の数の上限として、15、10、8、6、4、2個等が例示され、下限として、10、8、6、4、2、1個等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分の有する(メタ)アクリロイル基の数は、好ましくは1~15個程度である。
【0049】
(A)成分の(メタ)アクリル当量(g/eq)の上限として、150,000、140,000、130,000、120,000、110,000、100,000、90,000、80,000、70,000、60,000、50,000、40,000、30,000、20,000、10,000等が例示され、下限として、140,000、130,000、120,000、110,000、100,000、90,000、80,000、70,000、60,000、50,000、40,000、30,000、20,000、10,000、5,000等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分の(メタ)アクリル当量(g/eq)は、好ましくは5,000~150,000程度である。本開示において(メタ)アクリル当量とは、(メタ)アクリル基1つあたりの重量平均分子量で示され、「重量平均分子量/官能基数」で算出することができる。
【0050】
(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(A)成分の含有量(固形分換算)の上限として、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36質量%等が例示され、下限として、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35質量%等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(A)成分の含有量(固形分換算)は、35質量%超55質量%以下である。(A)成分の含有量が55質量%を超えると硬化物の弾性率が高くなり、耐折り曲げ性が悪化することから好ましくない。(A)成分の量が少ない程耐折り曲げ性が良好な傾向にある。(A)成分の含有量が35質量%以下であると柔らかすぎてシートの加工や裁断性が悪くなることから好ましくない。
【0051】
<(B)成分>
(B)分子内にエチレン性不飽和二重結合を1つ有し、かつヒドロキシ基を有さない(メタ)アクリレートである。(B)成分はホモポリマーとした場合のガラス転移温度(本開示において、「Tg」ともいう。)が-5℃未満である(メタ)アクリレート(b1)及び/又はホモポリマーとした場合のガラス転移温度が-5℃以上である(メタ)アクリレート(b2)を含む。(b1)成分を本開示の粘着剤組成物に含めることで、貯蔵弾性率が低下し、折り曲げ性が良好となる。(b2)成分を本開示の粘着剤組成物に含めることで、粘着力が良好となる。なお、「ホモポリマーとした場合のガラス転移温度」は、Wiley-Interscienceの「ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)」に記載の値を採用する。
【0052】
(b1)成分として、テトラデシルメタクリレート(Tg:-72℃)、2-エチルヘキシルアクリレート(Tg:-70℃)、エトキシジエチレングリコールアクリレート(Tg:-70℃)、イソオクチルアクリレート(Tg:-70℃)、エチルカルビトールアクリレート(Tg:-67℃)、n-オクチルアクリレート(Tg:-65℃)、ラウリルメタクリレート(Tg:-65℃)、イソノニルアクリレート(Tg:-58℃)、n-ブチルアクリレート(Tg:-56℃)、2-メトキシエチルアクリレート(Tg:-50℃)、イソデシルメタクリレート(Tg:-41℃)、ノニルアクリレート(Tg:-37℃)、2-エトキシエチルメタクリレート(Tg:-31℃)、イソブチルアクリレート(Tg:-26℃)、n-ラウリルアクリレート(Tg:-23℃)、フェノキシエチルアクリレート(Tg:-22℃)、イソステアリルアクリレート(Tg:-18℃)、2-エチルへキシルメタクリレート(Tg:-10℃)、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート(Tg:-7℃)等が例示される。
【0053】
(b1)成分は、粘着力に優れることから、好ましくは2-エチルヘキシルアクリレート及び/又はn-オクチルアクリレートである。
【0054】
(b2)成分として、2-メトキシエチルメタクリレート(Tg:-2℃)、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート(Tg:2℃)、ベンジルアクリレート(Tg:6℃)、メチルアクリレート(Tg:8℃)、シクロへキシルアクリレート(Tg:15℃)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(Tg:16~24℃)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(Tg:18℃)、n-ブチルメタクリレート(Tg:20℃)、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(Tg:27℃)、n-ステアリルアクリレート(Tg:30℃)、n-ステアリルメタクリレート(Tg:38℃)、t-ブチルアクリレート(Tg:41℃)、グリシジルメタクリレート(Tg:46℃)、イソブチルメタクリレート(Tg:48℃)、3,3,5-トリメチルシクロへキシルアクリレート(Tg:52℃)、ベンジルメタクリレート(Tg:54℃)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(Tg:60℃)、グリシジルアクリレート(Tg:60℃)、エチルメタクリレート(Tg:65℃)、シクロへキシルメタクリレート(Tg:66℃)、イソボルニルアクリレート(Tg:97℃)、メチルメタクリレート(Tg:105℃)、t-ブチルメタクリレート(Tg:107℃)、ジシクロペンタニルアクリレート(Tg:120℃)、1-アダマンチルアクリレート(Tg:153℃)、1-アダマンチルメタクリレート(Tg:250℃)等が例示される。
【0055】
(b2)成分は、粘着力に優れることから、好ましくはイソボルニルアクリレート及び/又はジシクロペンタニルアクリレートである。
【0056】
(B)成分の炭素数の上限として、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3個等が例示され、下限として、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2個等が例示される。1つの実施形態において、(B)成分の炭素数は、好ましくは6以上15以下である。
【0057】
(b1)成分のTgの上限として、-5、-10、-15、-20、-25、-30、-35、-40、-45、-50、-55、-60、-65℃等が例示され、下限として、-10、-15、-20、-25、-30、-35、-40、-45、-50、-55、-60、-65、-70℃等が例示される。1つの実施形態において、(b1)成分のTgは、-5℃未満であり、好ましくは-70℃以上-5℃未満程度である。
【0058】
(b2)成分のTgの上限として、250、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、0℃等が例示され、下限として、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、0、-5℃等が例示される。1つの実施形態において、(b2)成分のTgは、-5℃以上であり、好ましくは-5℃以上250℃以下程度である。
【0059】
(B)成分を構成する(メタ)アクリレートの合計100質量%(固形分換算)に占める(b1)成分の含有量(固形分換算)の上限として、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72質量%等が例示され、下限として、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71質量%等が例示される。1つの実施形態において、(B)成分を構成する(メタ)アクリレートの合計100質量%(固形分換算)に占める(b1)成分の含有量(固形分換算)は、71~100質量%である。
【0060】
(B)成分を構成する(メタ)アクリレートの合計100質量%(固形分換算)に占める(b2)成分の含有量(固形分換算)の上限として、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1質量%等が例示され、下限として、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、(B)成分を構成する(メタ)アクリレートの合計100質量%(固形分換算)に占める(b2)成分の含有量(固形分換算)は、0~29質量%である。(b2)成分の含有量(固形分換算)が29質量%超である場合、繰返し折り曲げた際に粘着面がはがれやすくなることから、好ましくない。(b2)成分の含有量(固形分換算)は多い程粘着力が良好となる。
【0061】
(A)成分と(B)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(A)成分/(B)成分])の上限として、70/30、65/35、60/40、55/45、50/50、45/55、40/60、35/65、30/70、25/75、20/80、15/85等が例示され、下限として、65/35、60/40、55/45、50/50、45/55、40/60、35/65、30/70、25/75、20/80、15/85、10/90等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分と(B)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(A)成分/(B)成分])は、ヘーズ値、貯蔵弾性率、ひずみの観点から、好ましくは40/60~65/35であり、より好ましくは40/60~55/45であり、さらにより好ましくは40/60~50/50である。
【0062】
(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(B)成分の含有量(固形分換算)の上限として、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31質量%等が例示され、下限として、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30質量%等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(B)成分の含有量(固形分換算)は、30~55質量%程度である。(B)成分の含有量が30質量%未満であると折り曲げ性が悪化することから好ましくない。(B)成分の含有量が55質量%超であると硬化不良を起こし、加工性が悪くなることから好ましくない。
【0063】
<(C)成分>
(C)成分は、一級水酸基含有モノ(メタ)アクリレートである。(C)成分を用いることで、粘着剤組成物が硬化性に優れ、硬化物が耐湿熱試験後の耐久性に優れる。(C)成分の代替物として水酸基を有しないモノ(メタ)アクリレートを用いた場合、耐湿熱試験後の耐久性や耐湿熱試験後のヘーズ値が劣る。また、(C)成分の代替物として二級水酸基含有モノ(メタ)アクリレートを用いた場合、耐湿熱試験後のヘーズ値が劣る。本開示において、「耐湿熱試験後のヘーズ値」とは、特開2020-037689において記載されている内容と同一の意味である。
【0064】
(C)成分として、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0065】
(C)成分は、粘着剤組成物が硬化性に優れ、硬化物が耐湿熱試験後の耐久性に優れることから、好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び/又は4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである。
【0066】
(A)成分と(C)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(A)成分/(C)成分])の上限として、90/10、85/15、80/20、75/25、70/30、65/35、60/40、55/45、50/50、45/55等が例示され、下限として、85/15、80/20、75/25、70/30、65/35、60/40、55/45、50/50、45/55、40/60等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分と(C)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(A)成分/(C)成分])は、40/60~80/20程度が好ましい。
【0067】
(B)成分と(C)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(B)成分/(C)成分])の上限として、95/5、90/10、85/15、80/20、75/25、70/30、65/35、60/40、55/45等が例示され、下限として、90/10、85/15、80/20、75/25、70/30、65/35、60/40、55/45、50/50等が例示される。1つの実施形態において、(B)成分と(C)成分との含有量比(質量比、固形分換算、[(B)成分/(C)成分])は、50/50~95/5程度が好ましい。
【0068】
(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(C)成分の含有量(固形分換算)の上限として、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10質量%等が例示され、下限として、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9質量%等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(C)成分の含有量(固形分換算)は、9質量%以上20質量%未満程度が好ましい。(C)成分の含有量が9質量%未満であると粘着力が低下することから好ましくない。(C)成分の含有量が20質量%以上であると他成分との相溶性が悪くなり、硬化物のb*値が高くなることから好ましくない。
【0069】
<(D)成分>
本開示の粘着剤組成物には、硬化物が硬化性に優れることから、ラジカル系光重合開始剤(以下、「(D)成分」ともいう。)を含有させることが好ましい。
【0070】
(D)成分として、アルキルフェノン型光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド型光重合開始剤、水素引き抜き型光重合開始剤、オキシムエステル型光重合開始剤等が例示される。
【0071】
アルキルフェノン型光重合開始剤として、ベンジルジメチルケタール(例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等)、α-ヒドロキシアルキルフェノン(例えば、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン等)、α-アミノアルキルフェノン(例えば、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン等)等が例示される。
【0072】
アシルホスフィンオキサイド型光重合開始剤として、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド等が例示される。
【0073】
水素引き抜き型光重合開始剤として、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等が例示される。
【0074】
オキシムエステル型光重合開始剤として、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等が例示される。
【0075】
(D)成分は、粘着剤組成物が硬化性に優れることから、好ましくはα-ヒドロキシアルキルフェノン型光重合開始剤及び/又はアシルホスフィンオキサイド型光重合開始剤である。
【0076】
(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(D)成分の含有量(固形分換算)の上限として、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1.5、1、0.5、0.2質量%等が例示され、下限として、9、8、7、6、5、4、3、2、1.5、1、0.5、0.2、0.1質量%等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の総量100質量%(固形分換算)に占める(D)成分の含有量(固形分換算)は、好ましくは0.1質量%以上3質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上2質量%以下であり、さらにより好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下である。
【0077】
<その他配合可能な添加剤>
本開示の粘着剤組成物には、必要に応じて、各種添加剤を含めてよい。添加剤として、表面調整剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、無機フィラー、シランカップリング剤、コロイダルシリカ、消泡剤、湿潤剤、防錆剤、可塑剤、連鎖移動剤、光増感剤等が例示される。
【0078】
本開示の粘着剤組成物には、(E)成分として軟化点が90℃以上の樹脂を含んでもよい。(E)成分を本開示の粘着剤組成物に含めた場合、硬化物の粘着力は良好となる一方で、含有量が多すぎる場合硬化物の耐折り曲げ性に悪影響を与えることから、固形分換算の(E)成分の含有量(質量%)は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計を100質量%とした場合において、好ましくは10質量%未満であり、より好ましくは1質量%未満であり、さらにより好ましくは0質量%である。(E)成分として、水酸基含有石油樹脂、不均化ロジン樹脂、水素化ロジン樹脂等が例示される。本開示において、軟化点はJIS K-2351に基づく環球法によって測定される。(E)成分の軟化点(℃)の上限として、150、140、130、120、110、100等が例示され、下限として140、130、120、110、100、90等が例示される。
【0079】
本開示の粘着剤組成物には、(F)成分としてカップリング剤を含んでもよい。(F)成分を本開示の粘着剤組成物に含めることで、基材との密着性が良好となる。特に、基材がガラスである場合の密着性が良好となることから、(F)成分として無機質材料と化学結合する反応基及び有機質材料と化学結合する反応基を有するカップリング剤が好ましい。そのようなカップリング剤として、シランカップリング剤等が例示される。(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計を100質量%とした場合の固形分換算の(F)成分の含有量(質量%)の上限として、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1質量%等が例示され、下限として、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計を100質量%とした場合の固形分換算の(F)成分の含有量(質量%)は0~10質量%等が好ましい。
【0080】
本開示の粘着剤組成物には、溶媒を含んでもよい。溶媒として、ケトン溶媒、芳香族溶媒、アルコール溶媒、グリコール溶媒、グリコールエーテル溶媒、エステル溶媒、石油系溶媒、ハロアルカン溶媒、アミド溶媒等が例示される。
【0081】
ケトン溶媒として、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が例示される。
【0082】
芳香族溶媒として、トルエン、キシレン等が例示される。
【0083】
アルコール溶媒として、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が例示される。
【0084】
グリコール溶媒として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が例示される。
【0085】
グリコールエーテル溶媒として、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル等が例示される。
【0086】
エステル溶媒として、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が例示される。
【0087】
石油系溶媒として、T-SOL 100(ENEOS(株)製)、T-SOL 150(ENEOS(株)製)等が例示される。
【0088】
ハロアルカン溶媒として、クロロホルム等が例示される。
【0089】
アミド溶媒として、ジメチルホルムアミド等が例示される。
【0090】
本開示の粘着剤組成物は、溶媒を含有せずとも使用できる。よって、本開示の粘着剤組成物には、コスト及び環境への影響を抑制できるという観点から、好ましくは溶媒を含有しない。
【0091】
本開示の粘着剤組成物の粘度(mPa・s/25℃)の上限として、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、500、300等が例示され、下限として、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、500、300、100等が例示される。本開示の粘着剤組成物の粘度(mPa・s/25℃)は、粘着剤組成物がハンドリング性に優れることから、好ましくは100以上10,000以下であり、より好ましくは300以上8,000以下であり、さらにより好ましくは500以上7,000以下である。本開示において粘度はE型粘度計(製品名「TVE-10」、東機産業(株)製)による測定値(5分)である。
【0092】
本開示の粘着剤組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分並びに必要に応じて(D)成分、(E)成分、(F)成分及びその他配合可能な添加剤を混合することで得られる。混合する順番は、特に限定されないが、順次混合してもよいし、すべてを一度に混合してもよい。
【0093】
<硬化物>
粘着剤組成物に紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化した物もまた本開示の1つである。粘着剤組成物に溶媒を含む場合、紫外線照射を行う前に、乾燥処理を行うことが考えられる。粘着剤組成物を各種基材に塗工し、粘着剤組成物の層を形成した後、当該層へ紫外線を照射することにより硬化物を得てもよい。
【0094】
紫外線光源として、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置が例示される。該装置における、紫外線の照射強度及び積算光量、並びに搬送速度等の条件は通常、照射強度が80mW/cm2以上160mW/cm2以下、搬送速度が3m/分以上50m/分以下、積算光量が100mJ/cm2以上3,000mJ/cm2以下である。
【0095】
粘着剤組成物の塗工方法として、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等が例示される。
【0096】
塗工量は、通常乾燥後の質量が1g/m2以上1,000g/m2以下、好ましくは3g/m2以上500g/m2以下になる範囲である。
【0097】
本開示の硬化物の厚みは、特に限定されないが、硬化物が段差追従性を好適に発揮し、また、気泡も生じ難いことから、好ましくは乾燥後塗膜が10μm以上1,000μm以下であり、より好ましくは25μm以上500μm以下である。
【0098】
本開示の硬化物の23℃及び1Hzにおける貯蔵弾性率の上限として、150、140、130、120、110、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、40、30、20kPa等が例示され、下限として、140、130、120、110、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、40、30、20、10kPa等が例示される。1つの実施形態として、本開示の硬化物の23℃及び1Hzにおける貯蔵弾性率は、低いほど室温環境(23℃)での繰り返し硬化物を曲げた際の耐久性(本開示において「耐繰り返し屈曲性」ともいう。)が良好となることから、好ましくは150kPa未満であり、より好ましくは80kPa未満である。また、本開示の硬化物の-15℃及び1Hzにおける貯蔵弾性率の上限として、400、350、300、250、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110等が例示され、下限として、350、300、250、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100等が例示される。1つの実施形態として、本開示の硬化物の-15℃及び1Hzにおける貯蔵弾性率が、低いほど低温環境(-15℃)での繰り返し硬化物を曲げた際の耐久性(本開示において「耐繰り返し屈曲性」ともいう。)が良好となることから、好ましくは400kPa未満であり、より好ましくは250kPa未満である。
【0099】
本開示の硬化物の23℃におけるひずみ試験の数値の上限として1000、900、800、700、600、500、400、300、200等が例示され、下限として900、800、700、600、500、400、300、200、100等が例示される。1つの実施形態において、本開示の硬化物の23℃におけるひずみ試験の数値は好ましくは100以上1000以下であり、より好ましくは200以上900以下であり、さらにより好ましくは300以上800以下である。本開示の硬化物の-15℃におけるひずみ試験の数値の上限として1000、900、800、700、600、500、400、300、200、100等が例示され、下限として900、800、700、600、500、400、300、200、100、50等が例示される。1つの実施形態において、本開示の硬化物の-15℃におけるひずみ試験の数値は好ましくは50以上1000以下であり、より好ましくは100以上700以下であり、さらにより好ましくは100以上500以下である。数値が下限値以上であることで、硬化物を繰り返し曲げた際に発生するひずみに耐えることができ、上限値以下であることで、硬化物を裁断する際に刃への硬化物の付着を低減でき、加工性も良好となる。
【0100】
<成形物>
粘着剤組成物の適用例として、各種公知の物品の基材間への塗工が例示される。
【0101】
当該物品として、テレビ等の家電製品の本体及びそのリモコン、携帯電話、スマートフォン、タブレット又はパソコン等の情報端末の筐体及びディスプレイ等が例示される。
【0102】
本開示の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は光学用途に好適であり、光学用透明粘着剤(OCA)として使用することが好ましい。例えば、デジタル表示装置における多層構造の表示パネルに適用できる。また、本開示の硬化物は耐折り曲げ性に優れることから、特にフォルダブルデバイス向けに使用することが考えられる。
【0103】
<適用可能な基材>
本開示の粘着剤組成物を塗工する基材として、ガラス基材、プラスチック基材、紙基材、布基材、ゴムシート基材、発泡体シート基材、金属基材等が例示される。プラスチック基材として、熱可塑性プラスチック基材、熱硬化性プラスチック基材等が例示される。熱可塑性プラスチック基材として、汎用プラスチック基材、エンジニアリングプラスチック基材等が例示される。汎用プラスチック基材として、オレフィン系、ポリエステル系、アクリル系、ビニル系、ポリスチレン系等が例示される。オレフィン系として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン等が例示される。ポリエステル系として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)等が例示される。アクリル系として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が例示される。ビニル系として、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等が例示される。ポリスチレン系として、ポリスチレン(PS)樹脂、スチレン・アクリロニトリル(AS)樹脂、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル(ABS)樹脂等が例示される。エンジニアリングプラスチック基材として、汎用エンプラ、スーパーエンプラ等が例示される。汎用エンプラとして、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン)等が例示される。スーパーエンプラとして、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が例示される。熱硬化性プラスチック基材として、ポリイミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が例示される。その他のプラスチック基材として、トリアセチルセルロース樹脂等が例示される。紙基材として、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が例示される。布基材として、各種の繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が例示される。ゴムシート基材として、天然ゴム、ブチルゴム等が例示される。発泡体シート基材として、発泡ポリウレタン、発泡ポリクロロプレンゴム等が例示される。金属基材として、アルミニウム箔、銅箔等が例示される。また、基材は、表面処理(コロナ放電等)がなされているものであってよい。また、基材の片面あるいは両面に、本開示の粘着剤組成物の層との間にその他の層(例えば易接着層、アンカー層等)が設けられたものであってよい。基材は、好ましくは光学用に用いられる基材である。光学用基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム、ガラス、スズドープ酸化インジウムフィルム、ITOフィルム、透明導電フィルム等が例示される。なお、基材の厚みは、特に限定されず、通常、30~300μm程度であればよい。
【0104】
具体的には、本開示の硬化物と光学用基材との組合せとして、
(1)基材、本開示の硬化物、透明導電膜(本開示において、「ITO」ともいう。)
(2)基材、本開示の硬化物、液晶ディスプレイ
等が例示される。
【実施例】
【0105】
以下に、製造例、比較製造例、実施例、比較例、評価例及び比較評価例を挙げて本開示をさらに具体的に説明するが、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明で、部および%は質量基準である。
【0106】
本実施例において重量平均分子量(Mw)は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
(GPC測定条件)
機種 :製品名「HLC-8220GPC」(東ソー(株)製)
カラム :製品名「TSKgel G1000H」「TSKgel G2000H」(東ソー(株)製)
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量 :0.6mL/分
測定温度:40℃
検出器 :示差屈折率検出器(RI:Refractive Index Detector)
標準 :単分散ポリスチレン
試料 :樹脂から固形分換算で0.2%濃度のテトラヒドロフラン溶液を調製し、該溶液をマイクロフィルターでろ過して得た20μLの溶液
【0107】
各製造例中、ウレタンプレポリマーのNCO測定方法は、以下のとおりである。
測定装置本体:電位差自動滴定装置(製品名「AT-400」、京都電子工業(株)製)
測定手順:
1:秤量瓶にサンプル0.500g以上1.000g以下程度秤量する。
2:0.15mol/Lのジブチルアミンのトルエン溶液を10mL注入する。
3:サンプルを入れた秤量瓶を超音波洗浄機に入れ、サンプルを完全に溶解する。
4:サンプルが完全に溶解しているのを確認し、15分間放置する(直射日光、熱の掛らない所)。
5:15分後、秤量瓶にイソプロピルアルコールを100mL加える。スターラーピースを秤量瓶に入れる。
6:0.1mol/Lの塩酸溶液(f=1.00)を用いて滴定を行い、NCO価を求める。
測定するサンプル量を自動滴定装置にインプット後、測定する。測定差が0.30以内であれば可とする。0.30以上であれば、再度1個測定し、0.30以内を確認する。
【0108】
<製造例1:(A-1)成分の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備える反応装置に、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(製品名「アデカポリエーテルP-2000」(本開示において、「PPG2000」ともいう。)、ADEKA(株)製)884部、イソホロンジイソシアネート(本開示において、「IPDI」ともいう。)106部、2-エチルヘキシルアクリレート(本開示において、「2EHA」ともいう。)333部及びオクチル酸第一錫0.4部を加え、80℃まで昇温して3時間保温した後、中間体であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの2EHA溶液を得た。続いて、4-ヒドロキシブチルアクリレート(本開示において、「4HBA」ともいう。)10部を加え、80℃で2時間保温し、NCO測定にて反応完結を確認することにより、重量平均分子量が55,000、アクリロイル基の平均個数が2、アクリル当量が27,500のポリウレタンアクリレート(A-1)(本開示において、「(A-1)成分」ともいう。)の2EHA溶液を得た。
【0109】
<実施例1:粘着剤組成物(1)の作製>
(A-1)成分を37部、(B)成分として2-EHAを53部、(C)成分として4HBAを10部、(D)成分として1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン(製品名「Omnirad 184」(本開示において、「Omni 184」ともいう。)、IGM Resins社製)を1部混合することにより、粘着剤組成物(1)を得た。
【0110】
<実施例2~6及び比較例1~6:粘着剤組成物(2)~(6)及び粘着剤組成物(C1)~(C6)>
表1に記載するように成分を変更した以外は実施例1と同様にして実施した。
【0111】
<性能評価(1):粘着力>
粘着剤組成物(1)~(6)及び(C1)~(C6)のそれぞれを、75μm厚の重剥離処理ポリエステルフィルム(製品名「SP-PET-03-75BU」、パナック(株)製)上に、硬化後の粘着層の膜厚が50μmとなるよう塗布し、粘着剤組成物塗布層に38μm厚の軽剥離処理ポリエステルフィルム(製品名「SP-PET-01-38BU」、パナック(株)製)の剥離処理面を貼り合わせる。次いで、得られた塗工フィルムを、大気中、高圧水銀灯(100mW/cm2、2,000mJ/cm2)で紫外線を照射することで、粘着層を含む積層フィルム(軽剥離処理ポリエステルフィルム/粘着層/重剥離処理ポリエステルフィルム)を作製した。次に、軽剥離処理ポリエステルフィルムを剥がし、これに代えて50μm厚のポリエステルフィルム(製品名「コスモシャインA-4300」、東洋紡(株)製)を2kgローラーで貼り合わせ、2時間静置した。次いで、このものから2.5cm×10cmの試験片を切り取り、重剥離処理ポリエステルフィルムを剥がすことによって、片面粘着シート(コスモシャインA-4300/粘着層)を作製した。ガラス板(2.5cm×12cm×2mm)の上に片面粘着シート(粘着層/コスモシャインA-4300)(2.5cm×10cm×150μm)を重ね、2kgローラーで密着させることにより、積層体(コスモシャインA-4300(50μm厚)/粘着層(50μm厚)/ガラス板(2mm厚))(積層体(1)~(6)及び(C1)~(C6))を作製した。積層体(1)~(6)及び(C1)~(C6)を25℃及び湿度50%の条件下で24時間静置した。該片面粘着シート(粘着層/コスモシャインA-4300)をガラス板から180°方向に300mm/minの速度で剥離することによって、粘着力(N/25mm)を測定し、下記基準で評価した。測定には、市販の機械(製品名「テンシロン万能材料試験機」、AND(株)製)を用いた。
〇:5N超
×:5N以下
【0112】
<性能評価(2):全光線透過率>
積層体(1)~(6)及び(C1)~(C6)の全光線透過率(%)を、市販の測定機(製品名「ヘーズ・透過率計 HM-150」、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K 7361-1:1997に記載のシングルビーム法に準拠し測定し、下記基準で評価した。
〇:90%超
×:90%以下
【0113】
<性能評価(3):ヘーズ値>
積層体(1)~(6)及び(C1)~(C6)のヘーズ値を、市販の測定機(製品名「ヘーズ・透過率計 HM-150」、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K 7136:2000に準拠し測定し、下記基準で評価した。
〇:0.15%未満
△:0.15%以上0.3%未満
×:0.3%以上
【0114】
<性能評価(4):色度b*値>
積層体(1)~(6)及び(C1)~(C6)について、JIS Z8781-4:2013に準拠し、CIE1976L*a*b*表色系におけるb*を測定し、下記基準で評価した。
〇:0.4%未満
×:0.4%以上
【0115】
<性能評価(5):ガラス転移温度>
粘着剤組成物(1)~(6)及び(C1)~(C6)について測定器(製品名「MCR302」、アントンパール社製)を用いて測定した。損失弾性率(G’’)/貯蔵弾性率(G’)は損失正接として表わされ、損失正接のピークトップ時の温度をガラス転移温度とした。ガラス転移温度を下記基準で評価した。
〇:-40℃未満
△:-40℃以上-30℃未満
×:-30℃以上
【0116】
<性能評価(6):貯蔵弾性率>
粘着剤組成物(1)~(6)及び(C1)~(C6)のそれぞれを、75μm厚の重剥離処理ポリエステルフィルム(製品名「SP-PET-03-75BU」、三井化学東セロ(株)製)上に、硬化後の硬化物の膜厚が50μmとなるよう塗布し、粘着剤組成物塗布層に38μm厚の軽剥離処理ポリエステルフィルム(製品名「SP-PET-01-38BU」、三井化学東セロ(株)製)の剥離処理面を貼り合わせる。次いで、得られた塗工フィルムを、大気中、高圧水銀灯(100mW/cm2、2,000mJ/cm2)で紫外線を照射することで、硬化物を含む積層体(軽剥離処理ポリエステルフィルム/硬化物/重剥離処理ポリエステルフィルム)を作製した。次に、該積層体から1cm×1cmの試験片を切り取った。次に、該試験片より軽剥離処理ポリエステルフィルムと重剥離処理ポリエステルフィルムを剥がし、硬化物(1)~(6)及び(C1)~(C6)を得た。50μmの硬化物を20回積層し厚さ1mmのサンプルを得た。8mmΦになるようにサンプルを打ち抜き、測定サンプル(1)~(6)及び(C1)~(C6)を得た。
測定サンプル(1)~(6)及び(C1)~(C6)を、市販の測定機(製品名「MCR302」、アントンパール社製)にかけ、その動的粘弾性を以下の条件で測定した。そして、測定結果より、-15℃及び1Hzにおける貯蔵弾性率と23℃及び1Hzにおける貯蔵弾性率を測定し、下記基準で評価した。
(測定条件)
変形モード:ねじり
測定周波数:1Hz
歪:0.01~1%AUTO設定
昇温速度:3℃/分
測定温度:‐80~100℃
形状:パラレルプレート 8.0mmφ
(-15℃及び1Hzにおける貯蔵弾性率)
〇:250kPa未満
△:250kPa以上400kPa未満
×:400kPa以上
(23℃及び1Hzにおける貯蔵弾性率)
〇:80kPa未満
△:80kPa以上150kPa未満
×:150kPa以上
【0117】
<性能評価(7):ひずみ試験>
硬化物(1)~(6)及び(C1)~(C6)について測定器(製品名「MCR302」、アントンパール社製)を用いて測定した。
<クリープ試験>
硬化物に対し40kPaのせん断応力を-15℃又は23℃で10分間与える。10分後の硬化物のひずみ量を下記基準で評価した。
(-15℃のひずみ)
〇:100以上500以下
△:50以上100未満、又は500超1000以下
×:50未満、又は1000超
(23℃のひずみ)
〇:300以上800以下
△:100以上300未満、又は800超1000以下
×:100未満、又は1000超
【0118】
【0119】
表1中の用語の意味は下記のとおりである。
表中の各成分の含有量に関する数値は、固形分換算である。
UA:製造例1で得たポリウレタンアクリレート
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート(製品名「アクリル酸2-エチルヘキシル」、三菱ケミカル(株)製)
NOAA:ノルマルオクチルアクリレート(製品名「NOAA」、大阪有機化学工業(株)製)
FA-513AS:ジシクロペンタニルアクリレ-ト(製品名「FA-513AS」、昭和電工マテリアルズ(株)製)
4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート(製品名「4-HBA」、大阪有機化学工業(株)製)
Omni 184:1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン(製品名「Omnirad 184」、IGM Resins社製)
KE-100:超淡色ロジンエステル(製品名「パインクリスタル KE-100」、荒川化学工業(株)製)
カップリング剤:3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(製品名「KBM-502」、 信越化学工業(株))