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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20250109BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20250109BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20250109BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F28F3/08 311
F28F3/00 311
F28D9/02
F28F3/04 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023162877
(22)【出願日】2023-09-26
【審査請求日】2024-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】佐川 賢太郎
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-002662(JP,A)
【文献】特開2002-250572(JP,A)
【文献】特開2013-088182(JP,A)
【文献】特開2006-194865(JP,A)
【文献】特開2005-207994(JP,A)
【文献】特開平11-125574(JP,A)
【文献】特開2007-192500(JP,A)
【文献】特開平05-196385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/08
F28F 3/00
F28D 9/02
F28F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金属板が積層され拡散接合によって接合された積層ブロック本体を含む熱交換器であって、
前記積層ブロック本体は、複数の第1金属板と、複数の第2金属板とを含み、前記複数の第1金属板と複数の第2金属板とが前記積層ブロック本体において交互に積層され、
前記複数の第1金属板のそれぞれには、第1外周部と、前記第1外周部に取り囲まれた第1隔壁と、前記第1隔壁から突出する複数の第1突起とが設けられ、
前記複数の第2金属板のそれぞれには、第2外周部と、前記第2外周部に取り囲まれた第2隔壁と、前記第2隔壁から突出する複数の第2突起とが設けられ、
前記複数の第1突起は、前記第1隔壁と前記第1外周部とによって取り囲まれた第1凹部に配置され、
前記複数の第2突起は、前記第2隔壁と前記第2外周部とによって取り囲まれた第2凹部に配置され、
前記複数の第1突起のいずれかと、前記複数の第2突起のいずれかとは、前記積層ブロック本体の積層方向において交互に重なり、
前記積層ブロック本体において交互に重なった、前記複数の第1突起のいずれか及び前記複数の第2突起のいずれかにおいて、前記第1突起には前記積層方向に貫通する第1貫通孔が形成され、前記第2突起には前記積層方向に貫通する第2貫通孔が形成され、
前記第1貫通孔は、前記複数の第1突起のいずれかが設けられた部分の前記第1隔壁に形成され、前記第2貫通孔は、前記複数の第2突起のいずれかが設けられた部分の前記第2隔壁に形成され、
前記積層ブロック本体において、前記第1貫通孔と、前記第2貫通孔とが前記積層方向に交互に繋がった第1通路が形成された
熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載された熱交換器であって、
前記積層ブロック本体を前記積層方向に挟み前記積層ブロック本体に拡散接合によって接合された、天井板と床板とをさらに備え、
前記天井板及び前記床板の少なくともいずれかには、前記積層方向に貫通し、前記第1通路に繋がった第2通路が形成されている
熱交換器。
【請求項3】
請求項1または2に記載された熱交換器であって、
前記複数の第1金属板のそれぞれは、前記複数の第1金属板のそれぞれにおいて、前記第1突起が占める単位面積当たりの面積が相対的に大きい第1領域と、前記第1突起が占める単位面積当たりの面積が相対的に小さい第2領域とを有し、
前記第2領域に配置された前記第1突起に前記第1貫通孔が形成されている
熱交換器。
【請求項4】
請求項1または2に記載された熱交換器であって、
前記複数の第2金属板のそれぞれは、前記複数の第2金属板のそれぞれにおいて、前記第2突起が占める単位面積当たりの面積が相対的に大きい第3領域と、前記第2突起が占める単位面積当たりの面積が相対的に小さい第4領域とを有し、
前記第4領域に配置された前記第2突起に前記第2貫通孔が形成されている
熱交換器。
【請求項5】
請求項1または2に記載された熱交換器であって、
前記複数の第1金属板のそれぞれは、前記複数の第1突起の間に形成された第1流路と、前記第1流路に連通する第1出入口ヘッダとを有し、
前記複数の第1突起は、前記第1出入口ヘッダに沿って配置された第1突起部を含み、前記第1突起部に前記第1貫通孔が形成された
熱交換器。
【請求項6】
請求項1または2に記載された熱交換器であって、
前記複数の第2金属板のそれぞれは、前記複数の第2突起の間に形成された第2流路と、前記第2流路に連通する第2出入口ヘッダとを有し、
前記複数の第2突起は、前記第2出入口ヘッダに沿って配置された第2突起部を含み、前記第2突起部に前記第2貫通孔が形成された
熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型の熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
流路が形成された複数の金属板を積層し、拡散接合によって接合した積層型の熱交換器がある。複数の金属板には、流体の流路を形成する突起が設けられている。突起は、流路を形成するだけでなく、拡散接合をする場合に金属板の厚さ方向に加わる圧力によって金属板の流路が押し潰されることを防ぐ柱状突起としても機能する(例えば、特許文献1参照)。さらに、突起は、流路を流れる流体の流体圧に対する耐圧構造物としても機能する。
【0003】
上記の機能を得るには、積層した金属板同士が確実に拡散接合によって接合されていなければならない。例えば、積層方向における金属板の外周同士が確実に拡散接合によって接合され、さらに、突起と、突起の上に位置する金属板とが確実に拡散接合によって接合されていなければならない。
【0004】
このため、このような熱交換器においては、拡散接合により一体化した金属板同士の接合状態を確認するためリークテストが行われる。リークテストの方法としては、ヘリウムガスを利用したヘリウム漏れ試験が知られており、真空外覆法(真空フード法)、真空容器法(ベルジャー法)等がある。これらのリークテストは、積層型の熱交換器のように高温側流路と低温側流路が交互に配置されている形態において、高温流路と低温流路とを区切る隔壁に孔が開いた場合にも適用され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-096581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の検出方法は、接合不良箇所が熱交換器の外部に露出している場合、または、積層方向において上下に積層された隔壁の間で孔が発生した場合に適用可能である。しかし、上記の検出方法では、熱交換器の内部に形成された突起と、突起の上に位置する金属板との接合が不十分であっても、それを検出することはできない。
【0007】
これは、突起が熱交換器の外部に露出していないことに加え、流路の一方の流出入口を閉塞して他方の流出入口から加圧もしくは減圧してリークを検出しようとしても、突起と、その上の隔壁との接合面の箇所と、この箇所以外の箇所とが同じ流体が流れる同じ流路となっているため、リークが発生しないからである。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、リークテストを利用した場合、積層型の熱交換器において検出できない同一流路内の接合の状態を検出可能にする熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る熱交換器は、複数の金属板が積層され拡散接合によって接合された積層ブロック本体を含む熱交換器である。
上記積層ブロック本体は、複数の第1金属板と、複数の第2金属板とを含み、上記複数の第1金属板と複数の第2金属板とが上記積層ブロック本体において交互に積層される。
上記複数の第1金属板のそれぞれには、第1隔壁と、上記第1隔壁から突出する複数の第1突起とが設けられる。
上記複数の第2金属板のそれぞれには、第2隔壁と、上記第2隔壁から突出する複数の第2突起とが設けられる。
上記複数の第1突起のいずれかと、上記複数の第2突起のいずれかとは、上記積層ブロック本体の積層方向において交互に重なる。
上記積層ブロック本体において交互に重なった、上記複数の第1突起のいずれか及び上記複数の第2突起のいずれかにおいて、上記第1突起には上記積層方向に貫通する第1貫通孔が形成され、上記第2突起には上記積層方向に貫通する第2貫通孔が形成される。
上記第1貫通孔は、上記複数の第1突起のいずれかが設けられた部分の上記第1隔壁に形成され、上記第2貫通孔は、上記複数の第2突起のいずれかが設けられた部分の上記第2隔壁に形成される。
上記積層ブロック本体において、上記第1貫通孔と、上記第2貫通孔とが上記積層方向に交互に繋がった第1通路が形成される。
【0010】
このような熱交換器によれば、リークテストを利用した場合、積層型の熱交換器において検出できない同一流路内の接合の状態を検出できる。
【0011】
上記熱交換器においては、上記積層ブロック本体を上記積層方向に挟み上記積層ブロック本体に拡散接合によって接合された、天井板と床板とをさらに備え、上記天井板及び上記床板の少なくともいずれかには、上記積層方向に貫通し、上記第1通路に繋がった第2通路が形成されてもよい。
【0012】
このような熱交換器によれば、リークテストを利用した場合、積層型の熱交換器において検出できない同一流路内の接合の状態をより確実に検出できる。
【0013】
上記熱交換器においては、上記複数の第1金属板のそれぞれは、上記複数の第1金属板のそれぞれにおいて、上記第1突起が占める単位面積当たりの面積が相対的に高い第1領域と、上記第1突起が占める単位面積当たりの面積が相対的に低い第2領域とを有し、上記第2領域に配置された上記第1突起に上記第1貫通孔が形成されてもよい。
【0014】
このような熱交換器によれば、リークテストを利用した場合、積層型の熱交換器において検出できない同一流路内の接合の状態をより確実に検出できる。
【0015】
上記熱交換器においては、上記複数の第2金属板のそれぞれは、上記複数の第2金属板のそれぞれにおいて、上記第2突起が占める単位面積当たりの面積が相対的に高い第3領域と、上記第2突起が占める単位面積当たりの面積が相対的に低い第4領域とを有し、上記第4領域に配置された上記第2突起に上記第2貫通孔が形成されてもよい。
【0016】
このような熱交換器によれば、リークテストを利用した場合、積層型の熱交換器において検出できない同一流路内の接合の状態をより確実に検出できる。
【0017】
上記熱交換器においては、上記第1金属板は、上記第1突起が配置される第1凹部と、上記第1凹部を取り囲む第1外周部とを有してもよい。
【0018】
このような熱交換器によれば、リークテストを利用した場合、積層型の熱交換器において検出できない同一流路内の接合の状態をより確実に検出できる。
【0019】
上記熱交換器においては、上記第2金属板は、上記第2突起が配置される第2凹部と、上記第2凹部を取り囲む第2外周部分とを有してもよい。
【0020】
このような熱交換器によれば、リークテストを利用した場合、積層型の熱交換器において検出できない同一流路内の接合の状態をより確実に検出できる。
【0021】
上記熱交換器においては、上記複数の第1金属板のそれぞれは、上記複数の第1突起の間に形成された第1流路と、上記第1流路に連通する第1出入口ヘッダとを有し、上記複数の第1突起は、上記第1出入口ヘッダに沿って配置された第1突起部を含み、上記第1突起部に上記第1貫通孔が形成されてもよい。
【0022】
このような熱交換器によれば、リークテストを利用した場合、積層型の熱交換器において検出できない同一流路内の接合の状態をより確実に検出できる。
【0023】
上記熱交換器においては、上記複数の第2金属板のそれぞれは、上記複数の第2突起の間に形成された第2流路と、上記第2流路に連通する第2出入口ヘッダとを有し、上記複数の第2突起は、上記第2出入口ヘッダに沿って配置された第2突起部を含み、上記第2突起部に上記第2貫通孔が形成されてもよい。
【0024】
このような熱交換器によれば、リークテストを利用した場合、積層型の熱交換器において検出できない同一流路内の接合の状態をより確実に検出できる。
【発明の効果】
【0025】
以上述べたように、本発明によれば、リークテストを利用した場合、積層型の熱交換器において検出できない同一流路内の接合の状態を検出可能にする熱交換器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態の熱交換器を示す模式的斜視図である。
図2】拡散接合される前の積層ブロック本体を形成する金属板を示す模式的斜視図である。
図3】図(a)は、拡散接合される前の天井板を形成する金属板を示す模式的斜視図であり、図(b)は、拡散接合される前の床板を形成する金属板を示す模式的斜視図である。
図4】拡散接合後に形成された熱交換器の断面の一例を示す模式的断面図である。
図5】本実施形態の作用の一例を示す模式的断面図である。
図6】積層ブロック本体の第1変形例に係る金属板の模式的平面図である。
図7】図(a)は、天井板の第1変形例に係る金属板の模式的平面図である。図(b)は、床板の第1変形例に係る金属板の模式的平面図である。
図8】積層ブロック本体の第2変形例に係る金属板の模式的平面図である。
図9】図(a)は、天井板の第2変形例に係る金属板の模式的平面図である。図(b)は、床板の第2変形例に係る金属板の模式的平面図である。
図10】積層ブロック本体の第3変形例に係る金属板の模式的平面図である。
図11】図(a)は、天井板の第3変形例に係る金属板の模式的平面図である。図(b)は、床板の第3変形例に係る金属板の模式的平面図である。
図12】積層ブロック本体の第4変形例に係る金属板の模式的平面図である。
図13】図(a)は、天井板の第4変形例に係る金属板の模式的平面図である。図(b)は、床板の第4変形例に係る金属板の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図面には、XYZ軸座標が導入される場合がある。また、同一の部材または同一の機能を有する部材には同一の符号を付す場合があり、その部材を説明した後には適宜説明を省略する場合がある。また、以下に示す各部材の形態は例示であり、この例に限らない。
【0028】
図1は、本実施形態の熱交換器を示す模式的斜視図である。図1に示す熱交換器1は、積層型の熱交換器であり、積層ブロック本体2と、天井板3と、床板4とを含む。
【0029】
積層ブロック本体2は、積層方向において天井板3と床板4とに挟まれる。積層ブロック本体2は、複数の金属板21(第1金属板)と、複数の金属板22(第2金属板)とを含む。積層ブロック本体2は、複数の金属板21と複数の金属板22とが交互に積層され拡散接合によって接合されたブロック体である。拡散接合としては、固相接合、熱間圧接、冷間圧接等があげられる。積層ブロック本体2において、高温流体と低温流体とが熱交換することから、金属板21及び金属板22を伝熱板と称してもよい。
【0030】
天井板3は、複数の金属板30が積層され拡散接合によって接合されたブロック体である。床板4は、複数の金属板40が積層され拡散接合によって接合されたブロック体である。天井板3と積層ブロック本体2とは拡散接合によって接合される。床板4と積層ブロック本体2とは拡散接合によって接合される。天井板3は、積層された複数の金属板30の厚さと同じ厚さを持つ一枚の金属板によって形成されてもよく、床板4は、積層された複数の金属板40の厚さと同じ厚みを持つ一枚の金属板によって形成されてもよい。
【0031】
熱交換器1は、天井板3側に形成された上面1uと、床板4側に形成された下面1dと、上面1uと下面1dとに連なる側面1wとを有する。上面1uには、出入口管53、出入口管54、出入口管55、及び、出入口管56が設けられる。例えば、熱交換器1を凝縮器として用いる場合、出入口管53は、低温流体(例えば水)の入口管となり、出入口管54は、低温流体の出口管となる。また、出入口管55は、高温流体(例えば冷媒)の出口管となり、出入口管56は、高温流体の入口管となる。
【0032】
熱交換器1の四隅には、天井板3と積層ブロック本体2とを積層方向に貫通する、ヘッダ23、ヘッダ24、ヘッダ25、及びヘッダ26が形成される。ヘッダ23は、出入口管53に連通する。ヘッダ24は、出入口管54に連通する。ヘッダ25は、出入口管55に連通する。ヘッダ26は、出入口管56に連通する。ヘッダ25とヘッダ26とは、金属板21に設けられた流路(後述)に繋がっている。ヘッダ23とヘッダ24とは、金属板22に設けられた流路(後述)に繋がっている。熱交換器1の上面1uには、上面1uから下面1dに向かって積層方向に延びた複数の通路60が設けられている。通路60の詳細については後述する。
【0033】
なお、本実施形態の図では、積層方向に積層した複数の金属板のそれぞれの境界に実線が描かれているが、拡散接合された熱交換器1では、このような実線は視認されることなく消滅することがある。また、図に示されるZ軸方向は、熱交換器1の積層方向に対応し、X軸方向は、Z軸方向に略直交し、出入口管55から出入口管53に向かう方向に対応し、Y軸方向は、Z軸方向及びX軸方向に略直交し、出入口管55から出入口管54に向かう方向に対応している。
【0034】
金属板21、22、30、40は、熱伝導率が高く、例えば、同じ材質の金属板である。これらの金属板は、例えば、アルミニウム、ステンレス、銅、アルミニウム合金、チタン、マグネシウム合金等である。
【0035】
図2(a)、(b)は、拡散接合される前の積層ブロック本体を形成する金属板を示す模式的斜視図である。図2(a)には、金属板21が示され、図2(b)には、金属板22が示される。
【0036】
図2(a)に示すように、金属板21は、平面形状が矩形状であり、金属板21には、隔壁211(第1隔壁)と、隔壁211から突出する複数の突起212(第1突起)と、隔壁211を取り囲む外周部(第1側壁部)213とが設けられる。上面視で突起212を視たときの形状は、例えば、円形である。金属板21において、隔壁211と外周部213とには段差があり、外周部213の板厚よりも隔壁211の板厚が薄く形成される。換言すれば、隔壁211と外周部213とによって金属板21には、凹部216が形成される。凹部216は、外周部213に取り囲まれる。
【0037】
隔壁211に、複数の突起212を設けることで、隔壁211上の複数の突起212の間のそれぞれの部分(X-Y軸平面において隣り合う突起212の間の部分)が金属板21の流路215になる。換言すれば、流路215は、凹部216に形成される。
流路215は、例えば、ハーフエッチング加工によって形成される。隔壁211と、複数の突起212とは、例えば、積層ブロック本体2に含まれる複数の金属板21のそれぞれに設けられる。
【0038】
金属板21の四隅には、貫通孔231(第1開口部)、貫通孔241(第2開口部)、貫通孔251(第3開口部)、及び、貫通孔261(第4開口部)が設けられる(図2(a))。貫通孔251及び貫通孔261のそれぞれは、流路215に連通する出入口ヘッダとして機能する。また、金属板21においては、貫通孔231を囲むように、貫通孔231の流路215側に外周部213から連続して形成されたシール部2310が設けられる。貫通孔231と流路215との間にシール部2310が設けられることで、貫通孔231と流路215とが区画される。また、金属板21においては、貫通孔241を囲むように、貫通孔241の流路215側に外周部213から連続して形成されたシール部2410が設けられる。貫通孔241と流路215との間にシール部2410が設けられることで、貫通孔241と流路215とが区画される。
【0039】
また、図2(a)に示すように、金属板21においては、複数の突起212のいずれかにおいて、積層方向に貫通する貫通孔2121(第1貫通孔)が形成される。貫通孔2121は、複数の突起212のいずれかが設けられた部分の隔壁211にも形成される。すなわち、貫通孔2121は、金属板21を積層方向に貫通する。
【0040】
図2(b)に示すように、金属板22は、平面形状が矩形状であり、金属板22には、隔壁221(第2隔壁)と、隔壁221から突出する複数の突起222(第2突起)と、隔壁221を取り囲む外周部(第2側壁部)223とが設けられる。上面視で突起222を上面を視たときの形状は、例えば、円形である。金属板22において、隔壁221と外周部223とには段差があり、外周部223の板厚よりも隔壁221の板厚が薄く形成される。換言すれば、隔壁221と外周部223とによって金属板22には、凹部226が形成される。凹部226は、外周部223に取り囲まれる。
【0041】
隔壁221に、複数の突起222を設けることで、隔壁221上の複数の突起222の間のそれぞれの部分(X-Y軸平面において隣り合う突起222の間の部分)が金属板22の流路225になる。換言すれば、流路225は、凹部226に形成される。流路225は、例えば、ハーフエッチング加工によって形成される。隔壁221と、複数の突起222とは、例えば、積層ブロック本体2に含まれる複数の金属板22のそれぞれに設けられる。
【0042】
金属板22の四隅には、貫通孔232(第5開口部)、貫通孔242(第6開口部)、貫通孔252(第7開口部)、及び、貫通孔262(第8開口部)が設けられる(図2(b))。貫通孔232及び貫通孔242のそれぞれは、流路225に連通する出入口ヘッダとして機能する。金属板22においては、貫通孔252を囲むように、貫通孔252の流路225側に外周部223から連続して形成されたシール部2520が設けられる。貫通孔252と流路225との間にシール部2520が設けられることで、貫通孔252と流路225とが区画される。また、金属板22においては、貫通孔262を囲むように、貫通孔262の流路225側に外周部223から連続して形成されたシール部2620が設けられる。貫通孔262と流路225との間にシール部2620が設けられることで、貫通孔262と流路225とが区画される。
【0043】
また、図2(b)に示すように、金属板22においては、複数の突起222のいずれかにおいて、積層方向に貫通する貫通孔2221(第2貫通孔)が形成される。貫通孔2221は、複数の突起222のいずれかが設けられた部分の隔壁221にも形成される。すなわち、貫通孔2221は、金属板21を積層方向に貫通する。
【0044】
例えば、熱交換器1を凝縮器として用いる場合、金属板21においては、貫通孔261が高温流体の入口となり、貫通孔251が高温流体の出口となり、金属板22においては、貫通孔232が低温流体の入口となり、貫通孔242が低温流体の出口となる。
【0045】
複数の金属板21と複数の金属板22とが積層方向に交互に積層されることによって、金属板21に設けられた貫通孔231と、金属板22に設けられた貫通孔232とが積層方向に繋がって積層ブロック本体2におけるヘッダ23が形成される。また、金属板21に設けられた貫通孔241と、金属板22に設けられた貫通孔242とが積層方向に繋がって積層ブロック本体2におけるヘッダ24が形成される。また、金属板21に設けられた貫通孔251と、金属板22に設けられた貫通孔252とが積層方向に繋がって積層ブロック本体2におけるヘッダ25が形成される。また、金属板21に設けられた貫通孔261と、金属板22に設けられた貫通孔262とが積層方向に繋がって積層ブロック本体2におけるヘッダ26が形成される。
【0046】
図3(a)は、拡散接合される前の天井板を形成する金属板を示す模式的斜視図であり、図3(b)は、拡散接合される前の床板を形成する金属板を示す模式的斜視図である。
【0047】
図3(a)に示すように、金属板30は、平面形状が矩形状であり、金属板21または金属板22に設けられた突起に形成された貫通孔(第1貫通孔及び第2貫通孔)の位置に対応して、複数の貫通孔31が設けられている。
【0048】
金属板30の四隅には、貫通孔331、貫通孔341、貫通孔351、及び、貫通孔361が設けられる。複数の金属板30が積層されることによって、金属板30に設けられた貫通孔331が積層方向に繋がって天井板3におけるヘッダ23が形成される。また、金属板30に設けられた貫通孔341が積層方向に繋がって天井板3におけるヘッダ24が形成される。また、金属板30に設けられた貫通孔351が積層方向に繋がって天井板3におけるヘッダ25が形成される。また、金属板30に設けられた貫通孔361が積層方向に繋がって天井板3におけるヘッダ26が形成される。例えば、熱交換器1を凝縮器として用いる場合、貫通孔331が低温流体の入口となり、貫通孔341が低温流体の出口となり、貫通孔361が高温流体の入口となり、貫通孔351が高温流体の出口となる。ここで、例えば、低温流体は水、高温流体は気体と液体の間で相変化を起こす冷媒である。
【0049】
図3(b)に示すように、金属板40は、平面形状が矩形状であり、金属板21または金属板22に設けられた突起に形成された貫通穴(第1貫通穴及び第2貫通穴)の位置に対応して、複数の貫通孔41が設けられている。
【0050】
本実施形態において、複数の金属板21(図2(a))と、複数の金属板22(図2(b))とを積層方向において交互に積層した場合、積層ブロック本体2の積層方向において金属板21に設けられた突起212のいずれかと、金属板22に設けられた突起222のいずれかとは交互に重なる。例えば、1枚当たりの金属板21に設けられた複数の突起212のうち、貫通孔251及び貫通孔261の周辺に配置された突起212以外の突起212と、1枚当たりの金属板22に設けられた複数の突起222のうち、貫通孔232及び貫通孔243に沿って配置された突起222とが積層方向において交互に重なる。
【0051】
図4は、拡散接合後に形成された熱交換器の断面の一例を示す模式的断面図である。図4には、図2(a)に示すA1-A2線に沿った位置、図2(b)に示すB1-B2線に沿った位置、図3(a)に示すC1-C2線に沿った位置、図3(b)に示すD1-D2線に沿った位置のそれぞれの位置に対応した断面が示されている。
【0052】
上述のように、複数の金属板21と複数の金属板22とが交互に積層され拡散接合によって接合されて積層ブロック本体2が形成される。また、複数の金属板30が積層され拡散接合によって接合されて天井板3が形成される。また、複数の金属板40が積層され拡散接合によって接合されて床板4が形成される。また、天井板3と積層ブロック本体2とは拡散接合によって接合され、床板4と積層ブロック本体2とは拡散接合によって接合される。
【0053】
また、金属板21に設けられた突起212の上面は、金属板21の上に配置された金属板22の隔壁221と接合して、金属板21には、流路215が形成される。金属板22に設けられた突起222の上面は、金属板22の上に配置された金属板21の隔壁211と接合、または、金属板30と接合して、金属板22には、流路225が形成される。
【0054】
ここで、金属板21に設けた突起212と、金属板22に設けた突起222とが交互に重なった場合、突起212に設けた貫通孔2121と、突起222に設けた貫通孔2221とが積層方向において交互に繋がって通路62(第1通路)が形成される。すなわち、積層ブロック本体2には、積層方向に貫通する通路62が形成される。
【0055】
また、複数の金属板40を積層した場合、金属板40に設けた貫通孔41が積層方向において連通して通路64が形成される。すなわち、床板4には、積層方向に貫通する通路64が形成される。また、複数の金属板30を積層した場合、金属板30に設けた貫通孔31が積層方向において連通して通路63が形成される。すなわち、天井板3には、積層方向に貫通する通路63が形成される。なお、通路63と通路64とをまとめて第2通路とする。
【0056】
通路62と通路64、及び、通路62と通路63とは、積層方向おいて互いに繋がって、熱交換器1において下面1dから上面1uに貫通する通路60が形成される。通路60は、熱交換器1の外部に開放される。なお、天井板3に設けた通路63及び床板4に設けた通路64のいずれかは略してもよい。通路62と通路64、または、通路62と通路63とが積層方向おいて互いに繋がっていればよい。
【0057】
図5は、本実施形態の作用の一例を示す模式的断面図である。図5では、金属板21に設けられた複数の突起212の上面のどれかと、その突起212の上に配置された金属板22の隔壁221との間に拡散接合の接合不良がある状態が示されている。例えば、図5では、接合不良箇所を破線100で囲んでいる。本実施形態では、熱交換器1の通路60を接合不良検出通路として利用する。
【0058】
例えば、熱交換器1の通路60に、接合不良検出用ガスとしてHe(ヘリウム)ガスが流入した場合、金属板21に設けられた突起212と、その突起212の上に配置された金属板22の隔壁221とが拡散接合で接合されて通路60と流路215がつながっていなければ、例えば、出入口管55を閉塞して出入口管56から真空引きしても、通路60から流路215にHeガスが流入することはない。
【0059】
但し、図5に示すにように、金属板21に設けられた突起212と、その突起212の上に配置された隔壁221との間に接合不良箇所100があり通路60と流路215がつながっている場合、例えば、出入口管55を閉塞し、出入口管56から真空引きして、出入口管56と貫通穴261と連通した流路215を真空にすることで、Heガスが通路60から接合不良箇所100を通じて流路215に流入する。流路215に流入したHeガスは、金属板21の貫通孔261を介して出入口管56にまで流れる。
【0060】
換言すれば、熱交換器1の通路60にHeガスを流入させたとき、真空引きしている出入口管56から流出するHeガスが検出されれば、熱交換器1において、突起と、その突起の上に配置された金属板の隔壁とが接合不良を起こしていると判断できる。
【0061】
このように、熱交換器1によれば、接合不良を起こしている突起の接合部分(突起と、その突起の上に配置された金属板の隔壁との接合部分)と、この接合部分以外の流路とが同じ流体が流れる流路となっている熱交換器であっても、この接合部分の接合不良を検出することができる。
【0062】
(第1変形例)
突起に形成する貫通孔については、複数の突起のうち、特定の突起に設けてもよい。
【0063】
例えば、熱交換器1の使用時、金属板21と、その上の金属板22とに挟まれることによって形成された流路215(凹部216)、または、金属板22と、その上の金属板21とに挟まれることによって形成された流路225(凹部226)には、流体によって上下方向に広がろうとする圧力がかかる。
【0064】
このとき、複数の突起のうち、特に、隔壁上で疎らに配置された突起、または、隔壁に対し占有面積の小さい突起(X-Y平面に平行な平面で切断した断面積が小さい突起)と、それらの上の隔壁との接合部分については、流体によって上下方向に広がろうとする圧力がかかったとしても、強固な接合を維持することが求められる。これらの突起は、隔壁上で密に配置された突起、または、隔壁に対し占有面積の大きい突起(X-Y平面に平行な平面で切断した断面積が大きい突起)に比べて、1個当たりにかかる圧力(上下方向に広がろうとする圧力)が大きくなり、接合状態が不充分であると、その圧力によって容易に接合部分が剥がれたり、または、経時劣化によって接合部分が剥がれたりするからである。仮に、接合部分が剥がれると、その圧力に対して突起が隔壁を保持する力がなくなるため、流路が上下方向に広がり、金属板21または金属板22が変形する場合がある。
【0065】
このように、隔壁上で疎らに配置された突起、または、隔壁に対し占有面積の小さい突起と、それらの上の隔壁との接合部分については、上下方向に広がろうとする圧力がかかったとしても、接合が剥がれない程度の充分な耐圧性があることが必要とされる。
【0066】
図6(a)、(b)は、積層ブロック本体の第1変形例に係る金属板の模式的平面図である。図6(a)には、複数の金属板21のうちの1つの金属板21が示されている。図6(b)には、複数の金属板22のうちの1つの金属板22が示されている。図7(a)は、天井板の第1変形例に係る金属板の模式的平面図である。図7(b)は、床板の第1変形例に係る金属板の模式的平面図である。
【0067】
図6(a)に示すように、金属板21は、上面視で金属板21を視た場合、金属板21において突起212が単位面積当たりに占める面積(単位面積当たりに占める面積とは、凹部216における単位面積当たりに占める面積を意味する。)が相対的に大きい第1領域(凹部216における破線101で囲む領域)と、金属板21において突起212が単位面積あたりに占める面積が相対的に小さい第2領域(凹部216における破線101で囲む領域外の領域であって破線102で囲まれた領域)とを有する。例えば、破線S1で囲む領域と、破線S2で囲む領域との面積は等しいとする。破線S1で囲む領域における突起212が占める面積は、破線S2で囲む領域における突起212が占める面積よりも大きいことが分かる。
【0068】
金属板21においては、第1領域に配置された複数の突起212には、貫通孔2121を設けず、第2領域に配置された複数の突起212のいずれかに貫通孔2121が形成されている。
【0069】
第2領域に配置された複数の突起212は、外周部213付近またはシール部2310、2410付近に配置され、第1領域に配置された複数の突起212に比べて突起212が単位面積当たりに占める面積が相対的に小さい。これにより、第2領域に配置された複数の突起212の1個当りには、第1領域に配置された複数の突起212の1個当りに比べて、上述した上下方向に広がろうとする圧力が強くかかる。従って、第2領域に配置された複数の突起212のいずれかについては、その上の金属板22と充分に接合しているかを第1領域に配置された複数の突起212より優先的に検出する必要がある。
【0070】
例えば、第2領域に配置された複数の突起212のいずれかに貫通孔2121を持たせる。これにより、第2領域に配置された複数の突起212のいずれかと、その上の金属板22との接合状態をリークテストによって確実に検出することができる。
【0071】
また、図6(b)に示すように、金属板22は、上面視で金属板22を視た場合、金属板22において突起222が単位面積当たりに占める面積が相対的に大きい第3領域(凹部226における破線103で囲む領域)と、金属板22において突起222が単位面積当たりに占める面積が相対的に小さい第4領域(凹部226における破線103で囲む領域外であって破線104で囲まれた領域)とを有する。
【0072】
金属板22おいては、第3領域に配置された複数の突起222には、貫通孔2221を設けず、第4領域に配置された複数の突起222のいずれかに貫通孔2221が形成されている。
【0073】
第4領域に配置された複数の突起222は、外周部223付近、貫通孔232,242、またはシール部2520、2620付近に配置され、第3領域に配置された複数の突起222に比べて突起222が単位面積当たりに占める面積が相対的に小さい。これにより、第4領域に配置された複数の突起222の1個当りには、第3領域に配置された複数の突起222の1個当りに比べて、上述した上下方向に広がろうとする圧力が強くかかる。従って、第4領域に配置された複数の突起222のいずれかについては、その上の金属板22と充分に接合しているかを第3領域に配置された複数の突起222より優先的に検出する必要がある。
【0074】
例えば、第4領域に配置された複数の突起222のいずれかに貫通孔2221を持たせる。これにより、第4領域に配置された複数の突起222のいずれかと、その上の金属板21との接合状態をリークテストによって確実に検出することができる。
【0075】
なお、第1変形例に係る金属板21及び第1変形例に係る金属板22に応じて、天井板3を形成する金属板30に設けられる貫通孔31の配置が変更され(図7(a))、床板4を形成する金属板40に設けられる貫通孔41の配置が変更される(図7(b))。
【0076】
(第2変形例)
図8(a)、(b)は、積層ブロック本体の第2変形例に係る金属板の模式的平面図である。図8(a)には、複数の金属板21のうちの1つの金属板21が示されている。図8(b)には、複数の金属板22のうちの1つの金属板22が示されている。図9(a)は、天井板の第2変形例に係る金属板の模式的平面図である。図9(b)は、床板の第2変形例に係る金属板の模式的平面図である。
【0077】
金属板21においては、上面視で突起を視た場合の突起の面積(X-Y軸平面における突起の面積)が他の突起より相対的に小さくなった突起を凹部216に配置する場合がある。例えば、図8(a)に示すように、破線105で囲む領域に配置された複数の突起212aのそれぞれの面積は、破線106で囲む領域に配置された複数の突起212のそれぞれの面積に比べて小さい。すなわち、破線105で囲む領域に配置された複数の突起212aは、破線106で囲む領域に配置された複数の突起212に比べて突起212aが単位面積当たりに占める面積が相対的に小さくなるように配置されている。
【0078】
これにより、破線105で囲む領域に配置された複数の突起212aの1個当りには、破線106で囲む領域に配置された複数の突起212の1個当りに比べて、上述した上下方向に広がろうとする圧力が強くかかる。従って、破線105で囲む領域に配置された複数の突起212aのいずれかについては、その上の金属板22と充分に接合しているかを破線106で囲む領域に配置された複数の突起212より優先的に検出する必要がある。
【0079】
例えば、破線105で囲む領域に配置された複数の突起212aのいずれかに貫通孔2121を持たせる。これにより、破線105で囲む領域に配置された複数の突起212aのいずれかと、その上の金属板22との接合状態をリークテストによって確実に検出することができる。
【0080】
また、金属板22においては、上面視で突起を視た場合の突起の面積(X-Y軸平面における突起の面積)が他の突起より相対的に小さくなった突起を凹部226に配置する場合がある。例えば、図8(b)に示すように、破線107で囲む領域に配置された複数の突起222aのそれぞれの面積は、破線108で囲む領域に配置された複数の突起222のそれぞれの面積に比べて小さい。すなわち、破線107で囲む領域に配置された複数の突起222aは、破線108で囲む領域に配置された複数の突起222に比べて突起222aが単位面積当たりに占める面積が相対的に小さくなるように配置されている。
【0081】
これにより、破線107で囲む領域に配置された複数の突起222aの1個当りには、破線108で囲む領域に配置された複数の突起222の1個当りに比べて、上述した上下方向に広がろうとする圧力が強くかかる。従って、破線107で囲む領域に配置された複数の突起222aのいずれかについては、その上の金属板21と充分に接合しているかを破線108で囲む領域に配置された複数の突起222より優先的に検出する必要がある。
【0082】
例えば、破線106で囲む領域に配置された複数の突起222aのいずれかに貫通孔2221を持たせる。これにより、破線106で囲む領域に配置された複数の突起222aのいずれかと、その上の金属板21との接合状態をリークテストによって確実に検出することができる。
【0083】
なお、第2変形例に係る金属板21及び第2変形例に係る金属板22に応じて、天井板3を形成する金属板30に設けられる貫通孔31の配置が変更され(図9(a))、床板4を形成する金属板40に設けられる貫通孔41の配置が変更される(図9(b))。
【0084】
(第3変形例)
図10(a)、(b)は、積層ブロック本体の第3変形例に係る金属板の模式的平面図である。図10(a)には、複数の金属板21のうちの1つの金属板21が示されている。図10(b)には、複数の金属板22のうちの1つの金属板22が示されている。図11(a)は、天井板の第3変形例に係る金属板の模式的平面図である。図11(b)は、床板の第3変形例に係る金属板の模式的平面図である。
【0085】
図10(a)に示すように、金属板21において、複数の突起212は、貫通孔251に沿って配置された突起212bと、貫通孔261に沿って配置された複数の突起212cとを含む。突起212bは、貫通孔251の内周に沿うように外周が切り欠かれ、上面視で視たとき、突起212bの平面形状が円の一部が円弧上に凹んだ形状になっている。複数の突起212cのそれぞれは、貫通孔261の内周に沿うように外周が切り欠かれ、上面視したとき、それぞれの平面形状が円の一部が円弧上に凹んだ形状になっている。
【0086】
金属板21においては、突起212cに貫通孔2121が形成されている。また、複数の突起212cのいずれかに貫通孔2121が形成されている。また、図10(b)に示す金属板22のシール部2520には、突起212bに設けた貫通孔2121と積層方向に重なる貫通孔2221が設けられる。また、金属板22のシール部2620には、突起212cに設けた貫通孔2121と積層方向に重なる貫通孔2221が設けられる。
【0087】
突起212bまたは複数の突起212cのそれぞれの面積は、破線101で囲む領域に配置された複数の突起212のそれぞれの面積に比べて小さい。すなわち、突起212bまたは複数の突起212cのそれぞれは、破線101で囲む領域に配置された複数の突起212に比べて突起が単位面積当たりに占める面積が相対的に小さくなるように配置されている。
【0088】
これにより、突起212bまたは複数の突起212cのそれぞれの1個当りには、破線101で囲む領域に配置された複数の突起212の1個当りに比べて、上述した上下方向に広がろうとする圧力が強くかかる。従って、突起212bまたは複数の突起212cのいずれかについては、その上の金属板22と充分に接合しているかを破線101で囲む領域に配置された複数の突起212より優先的に検出する必要がある。
【0089】
従って、突起212bまたは複数の突起212cのいずれかに貫通孔2121を持たせる。これにより、突起212bまたは複数の突起212cのいずれかにと、その上の金属板22との接合状態をリークテストによって確実に検出することができる。
【0090】
また、図10(b)に示すように、金属板22において、複数の突起222は、貫通孔232に沿って配置された複数の突起222bと、貫通孔242に沿って配置された複数の突起222cとを含む。複数の突起222bのそれぞれは、貫通孔232の内周に沿うように外周が切り欠かれ、上面視で視たとき、それぞれの平面形状が円の一部が円弧上に凹んだ形状になっている。複数の突起222cのそれぞれは、貫通孔242の内周に沿うように外周が切り欠かれ、上面視したとき、それぞれの平面形状が円の一部が円弧上に凹んだ形状になっている。
【0091】
金属板22においては、複数の突起222cのいずれかに貫通孔2221が形成されている。また、複数の突起222cのいずれかに貫通孔2221が形成されている。また、図10(a)に示す金属板21のシール部2310には、突起222bに設けた貫通孔2221と積層方向に重なる貫通孔2121が設けられる。また、金属板21のシール部2410には、突起222cに設けた貫通孔2221と積層方向に重なる貫通孔2121が設けられる。
【0092】
複数の突起222bのそれぞれまたは複数の突起222cのそれぞれの面積は、破線103で囲む領域に配置された複数の突起222のそれぞれの面積に比べて小さい。すなわち、複数の突起222bのそれぞれまたは複数の突起222cのそれぞれは、破線103で囲む領域に配置された複数の突起212に比べて突起が単位面積当たりに占める面積が相対的に小さくなるように配置されている。
【0093】
これにより、複数の突起222bのそれぞれまたは複数の突起222cのそれぞれの1個当りには、破線103で囲む領域に配置された複数の突起222の1個当りに比べて、上述した上下方向に広がろうとする圧力が強くかかる。従って、複数の突起222bのいずれかまたは複数の突起222cのいずれかについては、その上の金属板21と充分に接合しているかを破線103で囲む領域に配置された複数の突起222より優先的に検出する必要がある。
【0094】
従って、複数の突起222bのいずれかまたは複数の突起222cのいずれかに貫通孔2221を持たせる。これにより、複数の突起222bのいずれかまたは複数の突起222cのいずれかにと、その上の金属板21との接合状態をリークテストによって確実に検出することができる。
【0095】
なお、第3変形例に係る金属板21及び第3変形例に係る金属板22に応じて、天井板3を形成する金属板30に設けられる貫通孔31の配置が変更され(図11(a))、床板4を形成する金属板40に設けられる貫通孔41の配置が変更される(図11(b))。
【0096】
また、本実施形態では、突起212bまたは突起212cを総称して第1突起部とする。また、貫通孔251または貫通孔261を総称して第1出入口ヘッダとする。また、突起222bまたは突起222cを総称して第2突起部とする。また、貫通孔232または貫通孔242を総称して第2出入口ヘッダとする。
【0097】
(第4変形例)
複数の金属板21と複数の金属板22とを交互に積層して拡散接合するときには、加圧治具を用いる。例えば、複数の金属板21と複数の金属板22とを交互に積層した積層体を形成し、この積層体を上下から一対の加圧ブロックで挟み、一対の加圧ブロックによって積層体を上下方向に加圧しながら拡散接合を行う。
【0098】
一対の加圧ブロックによって積層体を加圧しているとき、一対の加圧ブロックに完全な平行状態を維持することは難しく、平行から若干ずれる場合がある。従って、拡散接合時の加圧力は、積層体の外周に比べ、中央部が弱くなる場合がある。すなわち、複数の金属板21のそれぞれの中央部と、複数の金属板22のそれぞれの中央部とに配置された突起には、拡散接合時に外周部に配置された突起に比べて加圧力が弱くなる。従って、中央部に配置された突起と、その上の隔壁との接合状態は、外周部に配置された突起と、その上の隔壁との接合状態に比べ不十分な場合があり、中央部に配置された突起については、その上の隔壁と充分に接合しているかを優先的に検出する必要がある。
【0099】
図12(a)、(b)は、積層ブロック本体の第4変形例に係る金属板の模式的平面図である。図12(a)には、複数の金属板21のうちの1つの金属板21が示されている。図12(b)には、複数の金属板22のうちの1つの金属板22が示されている。図13(a)は、天井板の第4変形例に係る金属板の模式的平面図である。図13(b)は、床板の第4変形例に係る金属板の模式的平面図である。
【0100】
図12(a)に示すように、金属板21においては、破線109で囲む金属板21の中央部に配置された複数の突起212のいずれかに貫通孔2121が形成されている。これにより、破線109で囲む金属板21の中央部に配置された複数の突起212のいずれかと、その上の金属板22との接合状態をリークテストによって確実に検出することができる。
【0101】
また、図12(b)に示すように、金属板22においては、破線110で囲む金属板22の中央部に配置された複数の突起222のいずれかに貫通孔2221が形成されている。これにより、破線110で囲む金属板22の中央部に配置された複数の突起222のいずれかと、その上の金属板21との接合状態をリークテストによって確実に検出することができる。
【0102】
なお、第4変形例に係る金属板21及び第4変形例に係る金属板22に応じて、天井板3を形成する金属板30に設けられる貫通孔31の配置が変更され(図13(a))、床板4を形成する金属板40に設けられる貫通孔41の配置が変更される(図13(b))。
【0103】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。各実施形態は、独立の形態とは限らず、技術的に可能な限り複合することができる。
【符号の説明】
【0104】
1…熱交換器
1u…上面
1d…下面
1w…側面
2…積層ブロック本体
3…天井板
4…床板
21…金属板(第1金属板)
22…金属板(第2金属板)
23、24、25、26…ヘッダ
30、40…金属板
31、41、231、232、241、242、251、252、261、262、331、341、351、361…貫通孔
53、54、55、56…出入口管
60…通路
62…通路(第1通路)
63…通路(第2通路)
64…通路(第2通路)
100…接合不良箇所
211…隔壁(第1隔壁)
212…突起(第1突起)
212a、212b、212c…突起
213…外周部(第1外周部)
215…流路(第1流路)
216…凹部(第1凹部)
221…隔壁(第2隔壁)
222…突起(第2突起)
222a、222b、222c…突起
223…外周部(第2外周部)
225…流路(第2流路)
226…凹部(第2凹部)
2121…貫通孔(第1貫通孔)
2221…貫通孔(第2貫通孔)
2310、2410、2520、2620…シール部
【要約】
【課題】積層型の熱交換器において検出できない同一流路内の接合の状態を検出可能にする熱交換器の提供。
【解決手段】熱交換器は、拡散接合によって接合され複数の第1金属板と複数の第2金属板とが交互に積層される。複数の第1金属板には、第1隔壁と、複数の第1突起とが設けられる。複数の第2金属板には、第2隔壁と、複数の第2突起とが設けられる。複数の第1突起のいずれかと、複数の第2突起のいずれかとは、積層方向において交互に重なる。複数の第1突起のいずれか及び複数の第2突起のいずれかにおいて、第1突起には第1貫通孔が形成され、第2突起には第2貫通孔が形成される。第1貫通孔は、第1突起が設けられた部分の第1隔壁に形成され、第2貫通孔は、第2突起が設けられた部分の第2隔壁に形成される。第1貫通孔と第2貫通孔とが積層方向に繋がった第1通路が形成される。
【選択図】図1
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