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特許7616341ガスクロマトグラフを用いた空気測定方法及びガスクロマトグラフ分析システム
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  • 特許-ガスクロマトグラフを用いた空気測定方法及びガスクロマトグラフ分析システム 図1
  • 特許-ガスクロマトグラフを用いた空気測定方法及びガスクロマトグラフ分析システム 図2
  • 特許-ガスクロマトグラフを用いた空気測定方法及びガスクロマトグラフ分析システム 図3
  • 特許-ガスクロマトグラフを用いた空気測定方法及びガスクロマトグラフ分析システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】ガスクロマトグラフを用いた空気測定方法及びガスクロマトグラフ分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/04 20060101AFI20250109BHJP
   G01N 30/18 20060101ALI20250109BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G01N30/04 A
G01N30/18 Z
G01N30/88 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023500517
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 JP2021034722
(87)【国際公開番号】W WO2022176251
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2021025867
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003993
【氏名又は名称】弁理士法人野口新生特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 新士
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-204553(JP,A)
【文献】特開平11-118784(JP,A)
【文献】国際公開第2017/072893(WO,A1)
【文献】特開2009-210352(JP,A)
【文献】特開平10-206409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスクロマトグラフに空気を注入して測定する空気測定方法であって、
ピストンを内部において摺動させることによって一端からの流体の吸入及び吐出を行なうシリンジの前記一端から、ガスクロマトグラフによる空気中の所定成分の検出に干渉しない液を吸入して前記シリンジ内を前記液で満たす液吸入ステップと、
前記液吸入ステップの後、前記シリンジの前記一端から前記シリンジ内に所定量の空気を吸入する空気吸入ステップと、
前記空気吸入ステップの後、前記シリンジ内に吸入した前記所定量の空気の全量を前記ガスクロマトグラフへ注入する注入ステップと、
前記注入ステップで前記ガスクロマトグラフ内に注入した空気についての検出信号を取得し、取得した検出信号を前記ガスクロマトグラフへの空気の注入量と対応付けて記録する記録ステップと、を備えている、空気測定方法。
【請求項2】
前記液吸入ステップの前に、前記ガスクロマトグラフへの空気の複数の注入量を設定する設定ステップを備えており、
前記液吸入ステップにおいて前記シリンジ内を前記液で満たした後、前記設定ステップで設定された前記複数の注入量のそれぞれについて、前記空気吸入ステップ、前記注入ステップ、及び前記記録ステップを実行する、請求項1に記載の空気測定方法。
【請求項3】
前記液は水である、請求項1又は2に記載の空気測定方法。
【請求項4】
試料中の成分の分離及び検出を行なうガスクロマトグラフと、
ピストンを内部において摺動させることによって一端からの流体の吸入と吐出を行なうシリンジを有し、前記シリンジを用いて前記ガスクロマトグラフへ試料を注入するためのインジェクタと、
前記ガスクロマトグラフ及び前記インジェクタの動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記インジェクタによって前記ガスクロマトグラフへ空気を注入して測定する動作モードにおいて、空気中の所定成分の検出に干渉しない液を前記シリンジの前記一端から吸入して前記シリンジ内を前記液で満たした後で前記シリンジの前記一端から前記シリンジ内に所定量の空気を吸入させ、その後、前記シリンジ内に吸入した前記所定量の空気の全量を前記ガスクロマトグラフへ注入させるように構成されている、ガスクロマトグラフ分析システム。
【請求項5】
前記動作モードは、前記インジェクタによる前記ガスクロマトグラフへの空気の注入を複数回にわたって実行するモードであり、
前記制御部は、前記シリンジ内を前記液で満たした状態で、前記シリンジ内へ空気の吸入と前記ガスクロマトグラフへの空気の注入を繰り返すように構成されている、請求項4に記載のガスクロマトグラフ分析システム。
【請求項6】
前記液は水である、請求項4又は5に記載のガスクロマトグラフ分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフを用いた空気測定方法及びガスクロマトグラフ分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフ分析システムは、容器に収容された液体試料をインジェクタによって採取して注入ポートへ注入し、注入ポートから注入された試料を気化させてキャリアガスとともに分離カラムへ導入し、分離カラムで分離された試料中の成分を検出器により検出するシステムである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ガスクロマトグラフに注入される試料の溶媒には酸素や窒素といった成分が僅かに溶存しており、そのような微量成分を定量するためには、それらの成分濃度とガスクロマトグラフの検出信号との関係を示す検量線を用意する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/072893号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
試料溶媒中に存在する酸素、窒素などの微量成分の検量線を作成するために、酸素ガス、窒素ガスの希釈ガスをガスクロマトグラフに注入して測定するという方法が考えられるが、空気のコンタミネーションによる影響によって高精度な検量線を作成することが難しい。そこで、空気を試料として用いて酸素や窒素の検出信号を取得するという方法が考えられる。その場合、インジェクタのシリンジで空気を計量しながら吸入して所定量の空気をガスクロマトグラフへ注入することになるが、単純にシリンジで空気を吸入してガスクロマトグラフへ注入するという通常の方法では、シリンジからガスクロマトグラフへ空気が精度よく注入されず、空気の正確な測定結果が得られないことがわかった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、ガスクロマトグラフによる空気の測定を正確に実行できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、シリンジ内を水などの液で満たした状態でシリンジ内に空気を吸入してガスクロマトグラフへ注入すると、ガスクロマトグラフへの空気注入量の精度が向上するという知見を得た。本発明は、このような知見に基づいてなされている。
【0008】
本発明に係る空気測定方法は、ガスクロマトグラフに空気を注入して測定する空気測定方法であって、ガスクロマトグラフによる空気中の所定成分の検出に干渉しない液をシリンジ内に吸入して前記シリンジ内を前記液で満たす液吸入ステップと、前記液吸入ステップの後、前記シリンジ内に所定量の空気を吸入する空気吸入ステップと、前記空気吸入ステップの後、前記シリンジ内に吸入した前記所定量の空気を前記ガスクロマトグラフへ注入する注入ステップと、前記注入ステップで前記ガスクロマトグラフ内に注入した空気についての検出信号を取得し、取得した検出信号を前記ガスクロマトグラフへの空気の注入量と対応付けて記録する記録ステップと、を備えている。
【0009】
本発明に係るガスクロマトグラフ分析システムは、試料中の成分の分離及び検出を行なうガスクロマトグラフと、シリンジを有し、前記シリンジを用いて前記ガスクロマトグラフへ試料を注入するためのインジェクタと、前記ガスクロマトグラフ及び前記インジェクタの動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記インジェクタによって前記ガスクロマトグラフへ空気を注入して測定する動作モードにおいて、空気中の所定成分の検出に干渉しない液を前記シリンジに吸入させて前記シリンジ内を前記液で満たした後で前記シリンジ内に所定量の空気を吸入させ、その後、前記シリンジ内に吸入した前記所定量の空気を前記ガスクロマトグラフへ注入させるように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る空気測定方法によれば、空気中の所定成分の検出に干渉しない液をシリンジ内に吸入し、シリンジ内が前記液で満たされた状態で所定量の空気をシリンジ内に吸入してガスクロマトグラフへ前記所定量の空気を注入するので、シリンジからガスクロマトグラフへの空気注入量の精度が向上し、ガスクロマトグラフによる空気の測定を正確に実行することができる。シリンジ内に吸入した空気をガスクロマトグラフの試料注入部へ注入する際、シリンジの内部が空気のみで満たされていると、試料注入部内の高い圧力によってシリンジ内の空気がピストン方向へ押され、シリンジ内の空気が圧縮されて所望の量の空気がシリンジから押し出されないという現象や、シリンジの内壁とピストンとの僅かな隙間を通じて空気がシリンジの外側へ漏れるという現象が発生すると考えられる。本発明のように先にシリンジ内を液で満たしておくことで、これらの問題の発生が抑制され、ガスクロマトグラフへの空気注入量の精度が向上する。
【0011】
本発明に係るガスクロマトグラフ分析システムによれば、インジェクタによってガスクロマトグラフへ空気を注入して測定する動作モードにおいて、空気中の所定成分の検出に干渉しない液をシリンジに吸入させて前記シリンジ内を前記液で満たした後で前記シリンジ内に所定量の空気を吸入させ、その後、前記シリンジ内に吸入した前記所定量の空気を前記ガスクロマトグラフへ注入させるので、シリンジからガスクロマトグラフへの空気注入量の精度が向上し、ガスクロマトグラフによる空気の測定を正確に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ガスクロマトグラフ分析システムの一実施例を示す概略構成図である。
図2】同実施例における空気測定動作の一例を示すフローチャートである。
図3】シリンジ内を水で満たさずに空気を注入した場合の測定データの一例であり、(A)は各設定注入量と酸素のピーク面積値との関係を示す表、(B)は(A)の表に基づいて作成された注入量とピーク面積値との相関グラフ(検量線)である。
図4】シリンジ内を水で満たした状態で空気を注入した場合の測定データの一例であり、(A)は各設定注入量と酸素のピーク面積値との関係を示す表、(B)は(A)の表に基づいて作成された注入量とピーク面積値との相関グラフ(検量線)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る空気測定方法及びガスクロマトグラフ分析システムの一実施例について説明する。
【0014】
図1に示されているように、ガスクロマトグラフ分析システム1は、ガスクロマトグラフ2、インジェクタ4、及び制御部6を備えている。
【0015】
ガスクロマトグラフ2は、分離カラム8、試料注入部12及び検出器14を備えている。試料注入部12の上部に注入ポート10が設けられており、分析すべき試料が注入ポート10を介して試料注入部12内に注入される。試料注入部12の内部は高温・高圧になっており、試料注入部12に注入された試料は、試料注入部12に供給されるキャリアガスとともに分離カラム8へ導かれるようになっている。分離カラム8に導かれた試料中の成分は分離カラム8において時間的に分離され、分離された成分が順次分離カラム8から溶出して検出器14へ導入される。検出器14では、分離カラム8から溶出した各成分の濃度に応じた検出信号が得られる。
【0016】
インジェクタ4は、注入ポート10を介してガスクロマトグラフ2の試料注入部12へ試料を注入する装置であり、主として、シリンジ16及び駆動部20を備えている。シリンジ16はピストン18を内部において摺動させることによって流体の吸入及び吐出を行なうものである。駆動部20は、シリンジ16のピストン18を駆動するためのものであって、モータ等の駆動機構を備えている。シリンジ16は、0.5μL以下の流体の計量及び注入を行なうことが可能なマイクロシリンジである。インジェクタ4には、空気中の酸素や窒素などの成分のガスクロマトグラフ2による検出に干渉しない液である水を収容した容器22が配置されており、シリンジ16内に水を吸入することができるようになっている。なお、水には酸素や窒素などが微量に溶存しているが、その溶存濃度はppmオーダーであるために無視することができる。空気を吸入する前にシリンジ16内に吸入する液は、酸素や窒素などの成分をガスクロマトグラフ2で測定する際に影響を与えない程度にしか酸素や窒素を含んでいない液であればよく、必ずしも水である必要はない。
【0017】
制御部6は、ガスクロマトグラフ2及びインジェクタ4の動作を制御するためのコンピュータ装置である。制御部6は、インジェクタ4によってガスクロマトグラフ2に空気を注入する動作を含む動作モード、例えば、空気を用いた酸素及び/又は窒素の検量線の作成モードにおいて、シリンジ16への空気の吸入を、シリンジ16内を水で満たした状態で実行するように構成されている。
【0018】
ガスクロマトグラフ分析システム1における空気の測定動作の一例について、図1とともに図2のフローチャートを用いて説明する。
【0019】
まず、ユーザが、ガスクロマトグラフ2への空気の注入量を制御部6に設定する(ステップ101)。検量線を作成する場合には、このステップにおいて複数の注入量を設定することができる。空気注入量の設定が完了すると、インジェクタ4がシリンジ16に容器22から水を吸入させてシリンジ16内を水で満たす(ステップ102)。
【0020】
その後、インジェクタ4は、ガスクロマトグラフ2への注入量として設定された量の空気をシリンジ16に吸入させる(ステップ103)。複数の空気注入量が設定されている場合には、設定された空気注入量のうち最も小さい量の空気をシリンジ16に吸入させるようにしてもよい。シリンジ16内に所定量の空気を吸入した後、シリンジ16の先端を注入ポート10へ挿入し、シリンジ16内に吸入した所定量の空気を試料注入部12へ注入する(ステップ104)。このとき、試料注入部12内の高い圧力によってシリンジ16内の空気は、空気よりも圧縮率の低い水によって押し出されるため、空気の圧縮の影響を受けずに正確な量の空気が試料注入部12へ注入されることになる。また、空気を試料注入部12へ注入する際、シリンジ12の先端にまで達した水の一部がディスクリミネーションによって意図せず試料注入部12へ注入されることもあり得るが、水に溶存する酸素や窒素の濃度はppmオーダーであるため、酸素や窒素の測定への影響は無視することができる。
【0021】
シリンジ16から試料注入部12に所定量の空気が注入されると、注入された空気はキャリアガスと混合され、酸素及び窒素が希釈された状態で分離カラム8に導入されて互いに分離され、検出器14においてその濃度に応じた検出信号が得られる。制御部6は、検出器14において得られた検出信号をガスクロマトグラフ2への空気注入量と対応付けて記録する(ステップ105)。
【0022】
複数の空気注入量が設定されている場合は、シリンジ16内に水が満たされた状態で、各設定値についてステップ103~105を繰り返し実行する(ステップ106)。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、各設定値についてステップ102~105を繰り返し実行することもできる。
【0023】
図3は、シリンジ16内を水で満たさずにガスクロマトグラフ2へ空気を注入して得られた各注入量(設定値)での酸素のピーク面積値データであり、図4は、シリンジ16内を水で満たした状態でガスクロマトグラフ2へ空気を注入して得られた各注入量(設定値)での酸素のピーク面積値データである。
【0024】
図3及び図4における各注入量でのピーク面積値を比較すれば、シリンジ16内を水で満たした状態でガスクログラフへ空気を注入した場合の方が、シリンジ16内を水で満たさずにガスクロマトグラフ2へ空気を注入した場合よりも大きくなっていることがわかる。
【0025】
図4の測定では、注入量として設定された量の空気のみを水で満たされたシリンジ16内に吸入してガスクロマトグラフ2へ注入しているため、設定値以上の空気がガスクロマトグラフ2へ注入されることはない。すなわち、図4の各注入量でのピーク面積値は、本来のピーク面積値よりも大きくなることはない。したがって、図4の各ピーク面積値よりも小さい図3の各ピーク面積値は、本来のピーク面積値との誤差が図4の各ピーク面積値よりも大きく精度が低いということになる。このことから、シリンジ16内を水で満たした状態でガスクロマトグラフ2への空気注入を実行するようにすれば、ガスクロマトグラフ2による空気の測定を高精度に実行できるようになることがわかる。
【0026】
なお、以上において説明した実施例は本発明に係る空気測定方法及びガスクロマトグラフ分析システムの実施形態の一例を示したに過ぎない。本発明に係る空気測定方法及びガスクロマトグラフ分析システムの実施形態は以下に示すとおりである。
【0027】
本発明に係る空気測定方法の一実施形態では、ガスクロマトグラフに空気を注入して測定する空気測定方法であって、ガスクロマトグラフによる空気中の所定成分の検出に干渉しない液をシリンジ内に吸入して前記シリンジ内を前記液で満たす液吸入ステップと、前記液吸入ステップの後、前記シリンジ内に所定量の空気を吸入する空気吸入ステップと、前記空気吸入ステップの後、前記シリンジ内に吸入した前記所定量の空気を前記ガスクロマトグラフへ注入する注入ステップと、前記注入ステップで前記ガスクロマトグラフ内に注入した空気についての検出信号を取得し、取得した検出信号を前記ガスクロマトグラフへの空気の注入量と対応付けて記録する記録ステップと、を備えている。
【0028】
上記空気測定方法の一実施形態の第1態様では、前記液吸入ステップの前に、前記ガスクロマトグラフへの空気の複数の注入量を設定する設定ステップを備えており、前記液吸入ステップにおいて前記シリンジ内を前記液で満たした後、前記設定ステップで設定された前記複数の注入量のそれぞれについて、前記吸気吸入ステップ、前記注入ステップ、及び前記記録ステップを実行する。このような態様により、液吸入ステップの繰返しを省略して空気の複数の注入量での測定に要する時間の短縮を図ることができる。
【0029】
上記空気測定方法の一実施形態の第2態様では、前記液として水を使用する。
【0030】
本発明に係るガスクロマトグラフ分析システムの一実施形態では、試料中の成分の分離及び検出を行なうガスクロマトグラフと、シリンジを有し、前記シリンジを用いて前記ガスクロマトグラフへ試料を注入するためのインジェクタと、前記ガスクロマトグラフ及び前記インジェクタの動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記インジェクタによって前記ガスクロマトグラフへ空気を注入して測定する動作モードにおいて、空気中の所定成分の検出に干渉しない液を前記シリンジに吸入して前記シリンジ内を前記液で満たした後で前記シリンジ内に所定量の空気を吸入させ、その後、前記シリンジ内に吸入した前記所定量の空気を前記ガスクロマトグラフへ注入させるように構成されている。
【0031】
上記ガスクロマトグラフ分析システムの一実施形態の第1態様では、前記動作モードは、前記インジェクタによる前記ガスクロマトグラフへの空気の注入を複数回にわたって実行するモードであり、前記制御部は、前記シリンジ内を前記液で満たした状態で、前記シリンジ内へ空気の吸入と前記ガスクロマトグラフへの空気の注入を繰り返すように構成されている。このような態様により、シリンジ内への液の吸入動作の繰返しを省略して複数回にわたる空気の注入に要する時間の短縮を図ることができる。
【0032】
上記ガスクロマトグラフ分析システムの一実施形態の第2態様では、前記液は水である。
【符号の説明】
【0033】
1 ガスクロマトグラフ分析システム
2 ガスクロマトグラフ
4 インジェクタ
6 制御部
8 分離カラム
10 注入ポート
12 試料注入部
14 検出器
16 シリンジ
18 ピストン
20 制御部
22 容器(水)
図1
図2
図3
図4