(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】航走体検出装置、航走体検出システム及び航走体検出方法
(51)【国際特許分類】
G01S 17/58 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G01S17/58
(21)【出願番号】P 2023522049
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2021018818
(87)【国際公開番号】W WO2022244108
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】窪木 伸吾
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/105112(WO,A1)
【文献】特開2005-96674(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192530(WO,A1)
【文献】特開2020-8535(JP,A)
【文献】国際公開第2022/195675(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
17/00-17/95
G01S 7/00-7/42
13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上の物体及び前記物体の周辺の水面に照射されたレーザ光、及び前記レーザ光に対応する反射光に基づき、
前記物体および前記水面の3次元点群画像を作成する画像作成手段と、
前記3次元点群画像に基づき、前記物体の動き及び前記水面の波浪の動きを検出する動き検出手段と、
前記物体の動き及び前記波浪の動きに基づき、前記物体が航走体であるか否かを判別することにより前記航走体を検出する航走体検出手段と、
を備える航走体検出装置。
【請求項2】
前記動き検出手段は、前記反射光のドップラーシフト量に基づき前記物体の動き及び前記波浪の動きを検出することを特徴とする請求項1に記載の航走体検出装置。
【請求項3】
前記動き検出手段は、前記反射光に基づき前記物体及び前記水面の三次元モデルを生成して、前記三次元モデルの時間変化に基づき前記物体の動き及び前記波浪の動きを検出することを特徴とする請求項1に記載の航走体検出装置。
【請求項4】
前記航走体検出手段は、前記波浪の動きを示す第1速度ベクトル及び前記物体の動きを示す第2速度ベクトルを用いて、前記波浪の動きに対する前記物体の動きのずれ量に基づき前記物体が前記航走体であるか否かを判別することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の航走体検出装置。
【請求項5】
前記物体が前記航走体であると判別された場合、前記航走体が不審船であるか否かを判別することにより前記不審船を検出する不審船検出手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の航走体検出装置。
【請求項6】
前記不審船検出手段は、AIS情報を取得して、前記航走体の位置及び動きを前記AIS情報に含まれる個々の船舶の位置及び動きと比較することにより、前記航走体が前記不審船であるか否かを判別することを特徴とする請求項5に記載の航走体検出装置。
【請求項7】
前記不審船検出手段は、前記航走体の動きを予め設定された動きのパターンと比較することにより、前記航走体が前記不審船であるか否かを判別することを特徴とする請求項5に記載の航走体検出装置。
【請求項8】
前記航走体が前記不審船であると判別された場合、前記不審船の存在が報知されることを特徴とする請求項5から請求項7のうちのいずれか1項に記載の航走体検出装置。
【請求項9】
水上の物体及び前記物体の周辺の水面に照射されたレーザ光、及び前記レーザ光に対応する反射光に基づき、
前記物体および前記水面の3次元点群画像を作成する画像作成手段と、
前記3次元点群画像に基づき、前記物体の動き及び前記水面の波浪の動きを検出する動き検出手段と、
前記物体の動き及び前記波浪の動きに基づき、前記物体が航走体であるか否かを判別することにより前記航走体を検出する航走体検出手段と、
を備える航走体検出システム。
【請求項10】
画像作成手段が、水上の物体及び前記物体の周辺の水面に照射されたレーザ光、及び前記レーザ光に対応する反射光に基づき、前記物体および前記水面の3次元点群画像を作成し、
動き検出手段が、
前記3次元点群画像に基づき、前記物体の動き及び前記水面の波浪の動きを検出し、
航走体検出手段が、前記物体の動き及び前記波浪の動きに基づき、前記物体が航走体であるか否かを判別することにより前記航走体を検出する
航走体検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航走体を検出する航走体検出装置等に関する。特に、LiDAR(Light Detection and Ranging)用いて航走体を検出する航走体検出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、海上無人航走体に搭載されたレーザレーダを用いて、海上無人航走体の周囲における波浪の向き及び波浪の速度などを計測する技術が開示されている。
【0003】
なお、関連技術として、特許文献2及び特許文献3に記載の技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-058322号公報
【文献】特開2005-096674号公報
【文献】特開2009-031188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、海上無人航走体の周囲における波浪の向き及び波浪の速度などを計測するものであり、海上無人航走体の周囲における他の航走体(例えば不審船)を検出するものではない。このため、特許文献1に記載の技術を用いることにより、航走体を検出することができないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、航走体を検出することができる航走体検出装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の航走体検出装置は、水上の物体及び物体の周辺の水面に照射されたレーザ光、及びレーザ光に対応する反射光に基づき、物体の動き及び水面の波浪の動きを検出する動き検出手段と、物体の動き及び波浪の動きに基づき、物体が航走体であるか否かを判別することにより航走体を検出する航走体検出手段と、を備える。
【0008】
本発明の航走体検出システムは、水上の物体及び物体の周辺の水面に照射されたレーザ光、及びレーザ光に対応する反射光に基づき、物体の動き及び水面の波浪の動きを検出する動き検出手段と、物体の動き及び波浪の動きに基づき、物体が航走体であるか否かを判別することにより航走体を検出する航走体検出手段と、を備える。
【0009】
本発明の航走体検出方法は、動き検出手段が、水上の物体及び物体の周辺の水面に照射されたレーザ光、及びレーザ光に対応する反射光に基づき、物体の動き及び水面の波浪の動きを検出し、航走体検出手段が、物体の動き及び波浪の動きに基づき、物体が航走体であるか否かを判別することにより航走体を検出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、航走体を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る航走体検出システムの要部を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る航走体検出システムにおける個々のLiDAR装置の要部を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る航走体検出装置の要部を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る航走体検出装置における動き検出部の要部を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る航走体検出装置の要部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る航走体検出装置の要部の他のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る航走体検出装置の要部の他のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る航走体検出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、対象領域内の水面及び物体にレーザ光が照射される状態の例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、波浪の動きに対応する速度ベクトル及び物体の動きに対応する速度ベクトルの例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、物体の動きに対応する速度ベクトルが波浪の動きに対応する速度ベクトルに対する平行成分及び垂直成分に分解された状態の例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係る他の航走体検出装置の要部を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係る他の航走体検出システムの要部を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る航走体検出システムの要部を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る航走体検出装置の要部を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る航走体検出装置における動き検出部の要部を示すブロック図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る航走体検出装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る航走体検出システムの要部を示すブロック図である。
図2は、第1実施形態に係る航走体検出システムにおける個々のLiDAR装置の要部を示すブロック図である。
図3は、第1実施形態に係る航走体検出装置の要部を示すブロック図である。
図1~
図3を参照して、第1実施形態に係る航走体検出システムについて説明する。
【0014】
図1に示す如く、航走体検出システム100は、N台のLiDAR装置1_1~1_Nを含む。ここで、Nは、1以上の整数である。換言すれば、航走体検出システム100は、少なくとも1台のLiDAR装置1を含む。具体的には、例えば、航走体検出システム100は、1台、2台又は3台のLiDAR装置1を含む。
【0015】
個々のLiDAR装置1は、航走体(例えば船舶、水上バイク、ゴムボート、潜水艦等)の検出の対象となる領域(以下「対象領域」という。)Aに向けてレーザ光を出射するように設置される。ここで、航走体は、動力を有する移動体である。航走体の中には、不審な航走体が含まれることもある。ここで、不審な航走体とは、本来、対象領域Aに存在してはいけない航走体をいう。以下の説明では、不審な航走体を、不審船を呼ぶことがある。通常、対象領域Aは、所定の海域における所定の領域である。個々のLiDAR装置1は、例えば、対象領域Aの周囲における陸地、対象領域Aの周囲を航行する船舶、対象領域Aの内部を航行する船舶、又は対象領域Aの上空を飛行する飛行体(より具体的には航空機、ドローン等)に設置される。なお、ドローン(Drone)とは、遠隔操縦や自律的飛行が可能な無人航空機であり、別名、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)、UAS(Unmanned Aerial System)とも呼ばれる。
【0016】
図2に示す如く、個々のLiDAR装置1は、出射部11及び受光部12を備える。出射部11は、対象領域Aに対してレーザ光を出射する。当該出射されたレーザ光は、対象領域A内の水上(例えば海上)の物体Oに照射される。また、当該出射されたレーザ光は、対象領域A内の水面(例えば海面)に照射される。換言すれば、当該出射されたレーザ光は、物体Oの周辺の水面(例えば海面)に照射される。当該照射されたレーザ光は、散乱光として反射される。受光部12は、当該反射された散乱光のうちの後方散乱光を受信する。以下、受光部12により受信される光を「反射光」ということがある。すなわち、受光部12により受信された反射光は、出射部11により出射されたレーザ光に対応するものである。
【0017】
なお、物体Oは、対象領域A内の水面(例えば海面)における浮遊物を含み得る。また、物体Oは、対象領域A内を航行する航走体を含み得る。
【0018】
ここで、個々のLiDAR装置1においては、出射部11によるレーザ光の出射方向が可変である。これにより、出射部11は、互いに異なる複数個の方向について、当該複数個の方向の各々にレーザ光を出射する。この結果、対象領域Aを走査するようにレーザ光が照射される。換言すれば、対象領域Aをスキャンするようにレーザ光が照射される。
【0019】
図1に示す如く、航走体検出システム100は、航走体検出装置2及び出力装置3を含む。
図3に示す如く、航走体検出装置2は、動き検出部21、航走体検出部22、不審船検出部23及び報知制御部24を備える。
【0020】
動き検出部21は、個々のLiDAR装置1により出射されたレーザ光及び個々のLiDAR装置1により受信された反射光に基づき、対象領域Aにおける波浪Wの動き及び対象領域Aにおける個々の物体Oの動きを検出する。
図4に示す如く、動き検出部21は、距離算出部31、三次元モデル生成部32及び速度ベクトル算出部33を含む。
【0021】
すなわち、動き検出部21は、個々のLiDAR装置1に関する情報、個々のLiDAR装置1により出射されたレーザ光に関する情報、及び個々のLiDAR装置1により受信された反射光に関する情報を取得する。以下、これらの情報を総称して「LiDAR情報」ということがある。LiDAR情報は、航走体検出装置2と個々のLiDAR装置1との通信により、個々のLiDAR装置1から取得される。
【0022】
距離算出部31は、LiDAR情報に含まれる所定の情報を用いて、個々のLiDAR装置1が設置された地点と、対応するLiDAR装置1により各方向に出射されたレーザ光が水面又は物体Oにより反射された地点との距離Dを算出する。距離Dの算出は、例えば、ToF(Time of Flight)方式又はFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によるものである。
【0023】
ToF方式を用いる場合、個々のLiDAR装置1は、パルス状のレーザ光を出射する。LiDAR情報は、レーザ光が出射されたタイミングを示す情報、及び反射光が受信されたタイミングを示す情報を含む。または、LiDAR情報は、レーザ光が出射されたタイミングと反射光が受信されたタイミングとの時間差を示す情報を含む。距離算出部31は、これらの情報を用いて、かかる光の往復伝搬時間に対応する片道伝搬距離を算出することにより、距離Dを算出する。
【0024】
FMCW方式を用いる場合、個々のLiDAR装置1は、出射されるレーザ光に対する周波数変調を実行することにより、チャープ状のレーザ光を出射する。また、個々のLiDAR装置1は、受信された反射光に対するコヒーレント検波を実行することにより、ビート信号を生成する。LiDAR情報は、生成されたビート信号に含まれる周波数成分を示す情報などを含む。距離算出部31は、これらの情報を用いて、FMCWに係る所定の数式に基づき距離Dを算出する。
【0025】
このほか、LiDAR情報を用いた距離Dの算出には、公知の種々の技術を用いることができる。これらの技術の詳細については説明を省略する。
【0026】
三次元モデル生成部32は、対象領域Aにおける水面及び物体Oの三次元モデルMを生成する。三次元モデルMの生成には、LiDAR情報に含まれる他の所定の情報、及び距離算出部31により算出された距離Dが用いられる。
【0027】
すなわち、LiDAR情報は、個々のLiDAR装置1の位置を示す情報、及び個々のLiDAR装置1によりレーザ光が出射される方向を示す情報を更に含む。三次元モデル生成部32は、これらの情報及び上記算出された距離Dを用いて、個々のLiDAR装置1により各方向に出射されたレーザ光が水面又は物体Oにより反射された地点の位置Pを算出する。三次元モデル生成部32は、対象領域Aに対応する仮想的な三次元空間において、個々の位置Pに対応する点をプロットする。これにより、対象領域Aのうちの少なくとも一部の領域(より具体的には、いずれかのLiDAR装置1から所定距離内の領域)における水面の位置及び形状、並びに対象領域Aにおける個々の物体Oの位置及び形状に対応する三次元点群モデルが生成される。三次元モデル生成部32は、当該生成された三次元点群モデルを三次元モデルMに用いる。すなわち、三次元モデルMは、点群により構成されている。
【0028】
ここで、LiDAR情報は、個々のLiDAR装置1により各方向に出射されたレーザ光に対応する反射光の輝度を示す情報を更に含む。換言すれば、LiDAR情報は、三次元モデルMにおける個々の点に対応する反射光の輝度を示す情報を含む。三次元モデル生成部32は、かかる輝度を所定の閾値と比較することにより、三次元モデルMにおける個々の点が水面に対応するものであるか物体Oに対応するものであるかを判別する。三次元モデル生成部32は、かかる判別の結果に基づき上記点群に含まれる複数個の点をグルーピングすることにより、三次元モデルMを水面に対応する三次元モデルM_1と個々の物体Oに対応する三次元モデルM_2とに分離する。換言すれば、三次元モデル生成部32は、水面に対応する三次元モデルM_1及び個々の物体Oに対応する三次元モデルM_2を含む三次元モデルMを生成する。
【0029】
通常、個々のLiDAR装置1により出射されたレーザ光は、対象領域A内の水面に斜めに入射される。このとき、鏡面反射が発生することより、後方散乱光の輝度が小さくなる。このため、水面に対応する反射光の輝度は、物体Oに対応する反射光の輝度に比して小さくなる傾向がある。したがって、かかる輝度を閾値と比較することにより、上記のように三次元モデルM_1,M_2の分離が可能となる。
【0030】
このほか、LiDAR情報及び距離Dを用いた三次元モデルMの生成には、公知の種々の技術を用いることができる。これらの技術についての詳細な説明は省略する。
【0031】
速度ベクトル算出部33は、対象領域Aにおける波浪Wの動きを示す速度ベクトル(以下「第1速度ベクトル」ということがある。)Vs、及び対象領域Aにおける個々の物体Oの動きを示す速度ベクトル(以下「第2速度ベクトル」ということがある。)Vtを算出する。速度ベクトルVs,Vtの算出には、LiDAR情報に含まれる他の所定の情報、及び三次元モデル生成部32により生成された三次元モデルMが用いられる。
【0032】
すなわち、LiDAR情報は、個々のLiDAR装置1により各方向に出射されたレーザ光に含まれる周波数成分を示す情報、及び対応する反射光に含まれる周波数成分を示す情報を更に含む。速度ベクトル算出部33は、これらの情報を用いて、個々のLiDAR装置1により各方向に出射されたレーザ光に対応する反射光におけるドップラーシフト量を算出する。ドップラーシフト量の算出には、ドップラーLiDARに係る公知の種々の技術を用いることができる。
【0033】
また、上記のとおり、LiDAR情報は、個々のLiDAR装置1によりレーザ光が出射される方向を示す情報を含む。換言すれば、LiDAR情報は、三次元モデルMに含まれる個々の点に対応するレーザ光について、いわゆる「視線方向」を示す情報を含む。速度ベクトル算出部33は、かかる情報及び上記算出されたドップラーシフト量を用いて、三次元モデルMに含まれる個々の点について、対応する視線方向に対する移動速度を示すベクトルVを算出する。
【0034】
速度ベクトル算出部33は、上記算出されたベクトルVを用いて、水面に対応する三次元モデルM_1を構成する点群について、対象領域Aにおける水平面に対応する仮想的な平面(以下「XY平面」という。)における移動速度を示すベクトルVsを算出する。具体的には、例えば、速度ベクトル算出部33は、三次元モデルM_1に含まれる複数個の点に対応する複数個のベクトルVについて、当該複数個のベクトルVの各々をXY平面に射影する。速度ベクトル算出部33は、当該射影されたベクトルの平均を算出することにより、ベクトルVsを算出する。このようにして、速度ベクトルVsが算出される。
【0035】
また、速度ベクトル算出部33は、上記算出されたベクトルVを用いて、個々の物体Oに対応する三次元モデルM_2を構成する点群について、XY平面における移動速度を示すベクトルVtを算出する。具体的には、例えば、速度ベクトル算出部33は、個々の三次元モデルM_2に含まれる複数個の点に対応する複数個のベクトルVについて、当該複数個のベクトルVの各々をXY平面に射影する。速度ベクトル算出部33は、当該射影されたベクトルの平均を算出することにより、ベクトルVtを算出する。このようにして、速度ベクトルVtが算出される。
【0036】
ここで、XY平面におけるベクトルVt,Vsの各々は、二次元のベクトルである。かかる二次元のベクトルを算出するためには、少なくとも、陸地又は船舶に設置された2台のLiDAR装置1、又は航空機に設置された1台のLiDAR装置1が用いられる。すなわち、この場合、航走体検出システム100は、少なくとも、陸地又は船舶に設置された2台のLiDAR装置1、又は航空機に設置された1台のLiDAR装置1を含む。
【0037】
これに対して、速度ベクトル算出部33は、対象領域Aに対応する仮想的な空間(以下「XYZ空間」という。)における速度ベクトルVs,Vtを算出するものであっても良い。この場合、XYZ空間におけるベクトルVt,Vsの各々は、三次元のベクトルである。かかる三次元のベクトルを算出するためには、少なくとも3台のLiDAR装置1が用いられる。すなわち、この場合、航走体検出システム100は、少なくとも3台のLiDAR装置1を含む。
【0038】
以下、速度ベクトル算出部33がXY平面における速度ベクトルVs,Vtを算出する場合の例を中心に説明する。
【0039】
航走体検出部22は、対象領域Aにおける個々の物体Oが航走体であるか否かを判別することにより、対象領域Aにおける航走体を検出する。かかる判別には、速度ベクトル算出部33により算出された速度ベクトルVs,Vtが用いられる。航走体検出部22による航走体の検出方法の具体例については、
図9~
図11を参照して後述する。
【0040】
不審船検出部23は、航走体検出部22により航走体が検出されたとき、当該検出された航走体が不審船であるか否かを判別する。
【0041】
すなわち、不審船検出部23は、上記検出された航走体の位置を示す情報を取得する。具体的には、例えば、不審船検出部23は、所定の変換テーブルを用いて、上記仮想的な三次元空間における対応する三次元モデルM_2の位置を緯度及び経度に変換する。これにより、上記検出された航走体の位置を示す情報が取得される。
【0042】
また、不審船検出部23は、上記検出された航走体の動きを示す情報を取得する。具体的には、例えば、対応する速度ベクトルVtを示す情報を取得する。これにより、上記検出された航走体の動きを示す情報が取得される。
【0043】
また、不審船検出部23は、対象領域Aに対応する海域におけるAIS(Automatic Identification System)情報を取得する。AIS情報は、例えば、図示しないAIS受信機により受信される。当該取得されたAIS情報は、予め登録された個々の船舶の位置(緯度、経度等)を示す情報を含む。また、当該取得されたAIS情報は、予め登録された個々の船舶の動き(対地針路、対地船速、船首方位、回頭角速度等)を示す情報を含む。
【0044】
不審船検出部23は、これらの情報を用いて、上記検出された航走体の位置及び動きを、AIS情報に含まれる個々の船舶の位置及び動きと比較する。不審船検出部23は、上記検出された航走体の位置及び動きがAIS情報に含まれるいずれかの船舶の位置及び動きに対応している場合、上記検出された航走体が不審船でないと判別する。そうでない場合、不審船検出部23は、上記検出された航走体が不審船であると判別する。
【0045】
報知制御部24は、不審船検出部23により不審船が検出された場合、かかる不審船の存在を報知する制御を実行する。かかる報知には、出力装置3が用いられる。出力装置3は、例えば、表示装置、音声出力装置及び通信装置のうちの少なくとも一つを含む。表示装置は、例えば、ディスプレイを用いたものである。音声出力装置は、例えば、スピーカーを用いたものである。通信装置は、例えば、専用の送信機及び受信機を用いたものである。
【0046】
具体的には、例えば、報知制御部24は、不審船が存在することを示す画像を表示する制御を実行する。かかる画像の表示には、出力装置3のうちの表示装置が用いられる。かかる画像が表示されることにより、不審船の存在が人に報知される。なお、かかる画像は、対象領域Aにおける不審船の位置を示すものであっても良い。例えば、かかる画像は、対象領域Aを含む地図状又は海図状の画像に、不審船の位置を示す点状又はアイコン状の画像が重畳表示されるものであっても良い。または、例えば、かかる画像は、三次元モデルMにおいて、不審船に対応する三次元モデルM_2の色が他の部位の色と異なる色により表示されるものであっても良い。
【0047】
または、例えば、報知制御部24は、不審船が存在することを示す音声を出力する制御を実行する。かかる音声の出力には、出力装置3のうちの音声出力装置が用いられる。かかる音声が出力されることにより、不審船の存在が人に報知される。
【0048】
または、例えば、報知制御部24は、不審船が存在することを示す信号を送信する制御を実行する。かかる信号の送信には、出力装置3のうちの通信装置が用いられる。かかる信号が送信されることにより、不審船の存在が他のシステム(不図示)に報知される。かかる信号は、例えば、対象領域Aに対応する海域を監視するシステムに送信される。
【0049】
このようにして、航走体検出システム100の要部が構成されている。
【0050】
以下、出射部11を「出射手段」ということがある。また、受光部12を「受光手段」ということがある。また、動き検出部21を「動き検出手段」ということがある。また、航走体検出部22を「航走体検出手段」ということがある。また、不審船検出部23を「不審船検出手段」ということがある。また、報知制御部24を「報知制御手段」ということがある。
【0051】
次に、
図5~
図7を参照して、航走体検出装置2の要部のハードウェア構成について説明する。
【0052】
図5~
図7の各々に示す如く、航走体検出装置2は、コンピュータ41を用いたものである。
【0053】
図5に示す如く、コンピュータ41は、プロセッサ51及びメモリ52を備える。メモリ52は、コンピュータ41を動き検出部21、航走体検出部22、不審船検出部23及び報知制御部24として機能させるためのプログラムを記憶する。プロセッサ51は、メモリ52に記憶されたプログラムを読み出して実行する。これにより、動き検出部21の機能F1、航走体検出部22の機能F2、不審船検出部23の機能F3及び報知制御部24の機能F4が実現される。
【0054】
または、
図6に示す如く、コンピュータ41は、処理回路53を備える。処理回路53は、コンピュータ41を動き検出部21、航走体検出部22、不審船検出部23及び報知制御部24として機能させるための処理を実行する。これにより、機能F1~F4が実現される。
【0055】
または、
図7に示す如く、コンピュータ41は、プロセッサ51、メモリ52及び処理回路53を備える。この場合、機能F1~F4のうちの一部の機能がプロセッサ51及びメモリ52により実現されるとともに、機能F1~F4のうちの残余の機能が処理回路53により実現される。
【0056】
プロセッサ51は、1個以上のプロセッサにより構成されている。個々のプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はDSP(Digital Signal Processor)を用いたものである。
【0057】
メモリ52は、1個以上のメモリにより構成されている。個々のメモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、MO(Magneto Optical)ディスク又はミニディスクを用いたものである。
【0058】
処理回路53は、1個以上の処理回路により構成されている。個々の処理回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System on a Chip)又はシステムLSI(Large Scale Integration)を用いたものである。
【0059】
なお、プロセッサ51は、機能F1~F4の各々に対応する専用のプロセッサを含むものであっても良い。メモリ52は、機能F1~F4の各々に対応する専用のメモリを含むものであっても良い。処理回路53は、機能F1~F4の各々に対応する専用の処理回路を含むものであっても良い。
【0060】
次に、
図8に示すフローチャートを参照して、航走体検出装置2の動作について説明する。
【0061】
まず、動き検出部21は、対象領域Aにおける波浪Wの動きを検出するとともに、対象領域Aにおける個々の物体Oの動きを検出する(ステップST1)。動き検出部21による動きの検出方法の詳細については、既に説明したとおりである。このため、再度の説明は省略する。
【0062】
次いで、航走体検出部22は、個々の物体Oが航走体であるか否かを判別することにより、対象領域Aにおける航走体を検出する(ステップST2)。航走体検出部22による航走体の検出方法の詳細については、
図9~
図11を参照して後述する。
【0063】
次いで、不審船検出部23は、ステップST2にて航走体が検出された場合、当該検出された航走体が不審船であるか否かを判別することにより、対象領域Aにおける不審船を検出する(ステップST3)。不審船検出部23による不審船の検出方法の詳細については、既に説明したとおりである。このため、再度の説明は省略する。
【0064】
次いで、報知制御部24は、ステップST3にて不審船が検出された場合、不審船の存在を報知する制御を実行する(ステップST4)。かかる報知の詳細については、既に説明したとおりである。このため、再度の説明は省略する。
【0065】
なお、ステップST2にて航走体が検出されなかった場合、ステップST3,ST4の処理はスキップされる。また、ステップST3にて不審船が検出されなかった場合、ステップST4の処理はスキップされる。
【0066】
次に、
図9~
図11を参照して、航走体検出部22による航走体の検出方法の詳細について説明する。
【0067】
図9は、対象領域Aに1個の物体Oが存在するとき、対象領域Aの水面及び物体Oにレーザ光が照射される状態の例を示している。
図9に示す例において、物体Oは、航走体(より具体的には船舶)である。
図10は、
図9に示す状態において、速度ベクトル算出部33により算出された速度ベクトルVs,Vtの例を示している。速度ベクトルVs,Vtの各々は、XY平面における二次元のベクトルである。速度ベクトルVsは、波浪Wの動きに対応している。速度ベクトルVtは、物体Oの動きに対応している。
【0068】
航走体検出部22は、速度ベクトルVtにおける速度ベクトルVsに対する平行成分Vtpを算出する。また、航走体検出部22は、速度ベクトルVtにおける速度ベクトルVsに対する垂直成分Vtvを算出する。換言すれば、航走体検出部22は、速度ベクトルVtを速度ベクトルVsに対する平行成分Vtp及び垂直成分Vtvに分離する。
図11は、当該分離された平行成分Vtp及び垂直成分Vtvの例を示している。
【0069】
このとき、航走体検出部22は、XY平面におけるX軸を、速度ベクトルVsに対して平行な軸に設定する。このため、平行成分Vtpは、速度ベクトルVtのうちのX成分Vtxである。また、垂直成分Vtvは、速度ベクトルVtのうちのY成分Vtyである。
【0070】
〈第1の判別方法〉
航走体検出部22は、以下の式(1)により、速度ベクトルVsに対する平行成分Vtpの差分を示す相対速度ベクトルVrpを算出する。
【0071】
Vrp=Vtp-Vs (1)
【0072】
次いで、航走体検出部22は、相対速度ベクトルVrpの大きさ|Vrp|を所定の閾値Th1と比較する。航走体検出部22は、以下の式(2)に示す条件(以下「第1条件」という。)が成立する場合、物体Oが航走体であると判別する。他方、第1条件が成立しない場合、航走体検出部22は、物体Oが航走体でないと判別する。
【0073】
|Vrp|>Th1 (2)
【0074】
すなわち、相対速度ベクトルVrpの大きさ|Vrp|は、X方向について、波浪Wの動きに対する物体Oの動きのずれ量に対応している。かかるずれ量が大きい場合、物体Oは、対象領域Aにおける波に逆らって移動している蓋然性が高い。この場合、物体Oは、動力を有する移動体、すなわち航走体である蓋然性が高いと考えられる。他方、かかるずれ量が小さい場合、物体Oは、対象領域Aにおける波に流されている物体、すなわち浮遊物である蓋然性が高いと考えられる。そこで、航走体検出部22は、上記のように|Vrp|を用いた閾値判定により、物体Oが航走体であるか否かを判別する。
【0075】
〈第2の判別方法〉
航走体検出部22は、垂直成分Vtvの大きさ|Vtv|を所定の閾値Th2と比較する。航走体検出部22は、以下の式(3)に示す条件(以下「第2条件」という。)が成立する場合、物体Oが航走体であると判別する。他方、第2条件が成立しない場合、航走体検出部22は、物体Oが航走体でないと判別する。
【0076】
|Vtv|>Th2 (3)
【0077】
すなわち、垂直成分Vtvの大きさ|Vtv|は、Y方向について、波浪Wの動きに対する物体Oの動きパターンのずれ量に対応している。かかるずれ量が大きい場合、物体Oは、動力を有する移動体、すなわち航走体である蓋然性が高いと考えられる。他方、かかるずれ量が小さい場合、物体Oは、対象領域Aにおける波に流されている物体、すなわち浮遊物である蓋然性が高いと考えられる。そこで、航走体検出部22は、上記のように|Vtv|を用いた閾値判定により、物体Oが航走体であるか否かを判別する。
【0078】
〈第3の判別方法〉
航走体検出部22は、上記式(1)により相対速度ベクトルVrpを算出する。
【0079】
次いで、航走体検出部22は、相対速度ベクトルVrpの大きさ|Vrp|を閾値Th1と比較するとともに、垂直成分Vtvの大きさ|Vtv|を閾値Th2と比較する。航走体検出部22は、第1条件及び第2条件のうちの少なくとも一方が成立する場合、物体Oが航走体であると判別する。他方、第1条件が成立せず、かつ、第2条件が成立しない場合、航走体検出部22は、物体Oが航走体でないと判別する。
【0080】
このように、相対速度ベクトルVrp及び垂直成分Vtvの両方を用いることにより、物体Oが航走体であるか否かの判別の精度を向上することができる。特に、物体Oが航走体であるとき、物体Oが航走体でないという誤判別の発生を抑制することができる。
【0081】
〈第4の判別方法〉
航走体検出部22は、上記式(1)により相対速度ベクトルVrpを算出する。
【0082】
次いで、航走体検出部22は、相対速度ベクトルVrpの大きさ|Vrp|について、所定時間分の積算値∫(|Vrp|)(dt)を算出する。航走体検出部22は、積算値∫(|Vrp|)(dt)を所定の閾値Th3と比較する。航走体検出部22は、以下の式(4)に示す条件(以下「第3条件」という。)が成立する場合、物体Oが航走体であると判別する。他方、第3条件が成立しない場合、航走体検出部22は、物体Oが航走体でないと判別する。
【0083】
∫(|Vrp|)(dt)>Th3 (4)
【0084】
このように、所定時間分の積算値∫(|Vrp|)(dt)を用いることにより、特定の時点における|Vrp|を用いる場合に比して、|Vrp|の時間変動による誤判別の発生を抑制することができる。
【0085】
〈第5の判別方法〉
航走体検出部22は、垂直成分Vtvの大きさ|Vtv|について、所定時間分の積算値∫(|Vtv|)(dt)を算出する。航走体検出部22は、積算値∫(|Vtv|)(dt)を所定の閾値Th4と比較する。航走体検出部22は、以下の式(5)に示す条件(以下「第4条件」という。)が成立する場合、物体Oが航走体であると判別する。他方、第4条件が成立しない場合、航走体検出部22は、物体Oが航走体でないと判別する。
【0086】
∫(|Vtv|)(dt)>Th4 (5)
【0087】
このように、所定時間分の積算値∫(|Vtv|)(dt)を用いることにより、特定の時点における|Vtv|を用いる場合に比して、|Vtv|の時間変動による誤判別の発生を抑制することができる。
【0088】
〈第6の判別方法〉
航走体検出部22は、上記式(1)により相対速度ベクトルVrpを算出する。
【0089】
次いで、航走体検出部22は、相対速度ベクトルVrpの大きさ|Vrp|について、所定時間分の積算値∫(|Vrp|)(dt)を算出する。また、航走体検出部22は、垂直成分Vtvの大きさ|Vtv|について、所定時間分の積算値∫(|Vtv|)(dt)を算出する。
【0090】
航走体検出部22は、積算値∫(|Vrp|)(dt)を閾値Th3と比較するとともに、積算値∫(|Vtv|)(dt)を閾値Th4と比較する。航走体検出部22は、第3条件及び第4条件のうちの少なくとも一方が成立する場合、物体Oが航走体であると判別する。他方、第3条件が成立せず、かつ、第4条件が成立しない場合、航走体検出部22は、物体Oが航走体でないと判別する。
【0091】
このように、相対速度ベクトルVrp及び垂直成分Vtvの両方を用いることにより、物体Oが航走体であるか否かの判別の精度を向上することができる。また、所定時間分の積算値∫(|Vrp|)(dt)を用いることにより、特定の時点における|Vrp|を用いる場合に比して、|Vrp|の時間変動による誤判別の発生を抑制することができる。さらに、所定時間分の積算値∫(|Vtv|)(dt)を用いることにより、特定の時点における|Vtv|を用いる場合に比して、|Vtv|の時間変動による誤判別の発生を抑制することができる。
【0092】
次に、航走体検出システム100の変形例について説明する。
【0093】
不審船検出部23による不審船の検出方法は、上記の具体例(すなわちAIS情報を用いる例)に限定されるものではない。例えば、不審船検出部23は、航走体検出部22により検出された航走体が不審船であるか否かを判別するにあたり、以下のような方法を用いるものであっても良い。
【0094】
すなわち、不審船検出部23には、対象領域Aに対応する海域における過去に検出された不審船の位置及び動きのパターンであって、1個以上のパターンを示す情報が予め記憶されている。不審船検出部23は、航走体検出部22により検出された航走体の位置及び動きを個々のパターンと比較する。換言すれば、不審船検出部23には、航走体検出部22により検出された航走体の位置及び動きを予め設定された所定のパターンと比較する。不審船検出部23は、航走体検出部22により検出された航走体の位置及び動きがいずれかのパターンに該当する場合、当該検出された航走体が不審船であると判別する。そうでない場合、不審船検出部23は、当該検出された航走体が不審船でないと判別する。
【0095】
次に、航走体検出システム100の他の変形例について説明する。
【0096】
個々のLiDAR装置1は、対象領域Aの周囲における水中(例えば海中)又は対象領域Aの内部における水中(例えば海中)に設置されるものであっても良い。すなわち、個々のLiDAR装置1は、水中LiDARを用いたものであっても良い。この場合、水中に設けられた出射部11によりレーザ光が出射されて、水中に設けられた受光部12により反射光が受信される。このとき、出射されるレーザ光の周波数は、水中LiDAR用の周波数に設定されるのが好適である。
【0097】
次に、航走体検出システム100を用いることによる効果について説明する。
【0098】
上記のとおり、航走体検出装置2において、動き検出部21は、水上の物体O及び物体Oの周辺の水面に照射されたレーザ光、及びレーザ光に対応する反射光に基づき、物体Oの動き及び水面の波浪Wの動きを検出する。航走体検出部22は、物体Oの動き及び波浪Wの動きに基づき、物体Oが航走体であるか否かを判別することにより航走体を検出する。これにより、対象領域Aにおける航走体を検出することができる。
【0099】
特に、LiDAR装置1を用いることにより、可視光カメラを用いる場合に比して、周囲の明るさによらずに航走体を検出することができる。また、通常、LiDAR装置1を用いて物体Oを検出可能な距離は、可視光カメラにより物体Oを検出可能な距離に比して長い。このため、特に対象領域Aが広いとき、可視光カメラを用いる場合に比して、かかる装置の設置台数を低減することができる。また、LiDAR装置1を用いることにより、航走体(特に不審船)を検出するために有人の船舶がパトロールをする場合に比して、人件費を低減することができる。
【0100】
また、動き検出部21は、反射光のドップラーシフト量に基づき物体Oの動き及び波浪Wの動きを検出する。これにより、ドップラーLiDARに関する技術を用いて、物体Oの動き及び波浪Wの動きを検出することができる。
【0101】
また、航走体検出部22は、波浪Wの動きを示す第1速度ベクトルVs及び物体Oの動きを示す第2速度ベクトルVtを用いて、波浪Wの動きに対する物体Oの動きのずれ量に基づき物体Oが航走体であるか否かを判別する。速度ベクトルVs,Vtを用いることにより、例えば、
図9~
図11を参照して説明した方法に基づき、物体Oが航走体であるか否かを判別することができる。
【0102】
また、不審船検出部23は、物体Oが航走体であると判別された場合、航走体が不審船であるか否かを判別することにより不審船を検出する。これにより、対象領域Aにおける不審船を検出することができる。
【0103】
また、不審船検出部23は、AIS情報を取得して、航走体の位置及び動きをAIS情報に含まれる個々の船舶の位置及び動きと比較することにより、航走体が不審船であるか否かを判別する。AIS情報を用いることにより、上記のとおり、航走体が不審船であるか否かを判別することができる。
【0104】
また、不審船検出部23は、航走体の動きを予め設定された動きのパターンと比較することにより、航走体が不審船であるか否かを判別する。かかるパターンを用いることにより、上記のとおり、航走体が不審船であるか否かを判別することができる。特に、AIS情報を取得することができない場合であっても、航走体が不審船であるか否かを判別することができる。
【0105】
また、報知制御部24は、航走体が不審船であると判別された場合、不審船の存在を報知する制御を実行する。これにより、対象領域Aにおける不審船の存在を人又は他のシステムに知らせることができる。
【0106】
また、レーザ光は、水中に設けられた出射部11により出射されて、反射光は、水中に設けられた受光部12により受信される。これにより、航走体を検出するにあたり、水中LiDARを用いることができる。
【0107】
次に、
図12を参照して、航走体検出装置2の変形例について説明する。また、
図13を参照して、航走体検出システム100の他の変形例について説明する。
【0108】
図12に示す如く、航走体検出装置2は、動き検出部21及び航走体検出部22を備えるものであっても良い。換言すれば、動き検出部21及び航走体検出部22により、航走体検出装置2の要部が構成されているものであっても良い。この場合、不審船検出部23及び報知制御部24は、航走体検出装置2の外部に設けられるものであっても良い。すなわち、
図12に示す航走体検出装置2の具体的な一例が、
図3に示す航走体検出装置2であるといえる。
【0109】
図13に示す如く、航走体検出システム100は、動き検出部21及び航走体検出部22を備えるものであっても良い。換言すれば、動き検出部21及び航走体検出部22により、航走体検出システム100の要部が構成されているものであっても良い。この場合、不審船検出部23及び報知制御部24は、航走体検出システム100の外部に設けられるものであっても良い。また、LiDAR装置1_1~1_N及び出力装置3は、航走体検出システム100の外部に設けられるものであっても良い。すなわち、
図13に示す航走体検出システム100の具体的な一例が、
図1に示す航走体検出システム100であるといえる。
【0110】
これらの場合であっても、上記のような効果を奏することができる。すなわち、動き検出部21は、水上の物体O及び物体Oの周辺の水面に照射されたレーザ光、及びレーザ光に対応する反射光に基づき、物体Oの動き及び水面の波浪Wの動きを検出する。航走体検出部22は、物体Oの動き及び波浪Wの動きに基づき、物体Oが航走体であるか否かを判別することにより航走体を検出する。これにより、航走体を検出することができる。
【0111】
なお、航走体検出システム100は、動き検出部21及び航走体検出部22に加えて、不審船検出部23を備えるものであっても良い。また、航走体検出システム100は、報知制御部24を更に備えるものであっても良い。航走体検出システム100の各部は、独立した装置により構成されているものであっても良い。これらの装置は、地理的に又はネットワーク的に分散されたものであっても良い。例えば、これらの装置は、エッジコンピュータ及びクラウドコンピュータを含むものであっても良い。
【0112】
[第2実施形態]
図14は、第2実施形態に係る航走体検出システムの要部を示すブロック図である。
図15は、第2実施形態に係る航走体検出装置の要部を示すブロック図である。
図16は、第2実施形態に係る航走体検出装置における動き検出部の要部を示すブロック図である。
図14~
図16を参照して、第2実施形態に係る航走体検出システムについて説明する。なお、
図14~
図16において、
図1、
図3及び
図4に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
【0113】
図14に示す如く、航走体検出システム100aは、LiDAR装置1_1~1_N、航走体検出装置2a及び出力装置3を含む。
図15に示す如く、航走体検出装置2aは、動き検出部21a、航走体検出部22、不審船検出部23及び報知制御部24を備える。
図16に示す如く、動き検出部21aは、距離算出部31、三次元モデル生成部32及び速度ベクトル算出部33aを含む。以下、動き検出部21aを「動き検出手段」ということがある。
【0114】
第1実施形態に係る航走体検出装置2における速度ベクトル算出部33は、個々のLiDAR装置1により受信された反射光におけるドップラーシフト量に基づき速度ベクトルVt,Vsを算出するものであった。これに対して、速度ベクトル算出部33aは、三次元モデルMの時間変化に基づき速度ベクトルVt,Vsを算出する。
【0115】
すなわち、個々のLiDAR装置1による対象領域Aのスキャンが所定時間毎に実行される。これにより、所定時間毎に三次元モデルMが生成される。換言すれば、連続する複数個の時点に対応する複数個の三次元モデルMが生成される。各時点に対応する三次元モデルMは、水面に対応する三次元モデルM_1を含み、かつ、個々の物体Oに対応する三次元モデルM_2を含み得る。
【0116】
速度ベクトル算出部33aは、各時点に対応する三次元モデルM_1について、波浪Wのうちの個々の波に対応する部位(又は波浪Wのうちの選択された少なくとも1個の波に対応する部位)の位置を検出する。速度ベクトル算出部33aは、当該検出された位置の時間変化に基づき、波浪Wの動きを示す速度ベクトルVsを算出する。なお、当該検出された位置の時間変化が波毎に異なる場合、これらの平均に基づき速度ベクトルVsが算出されるものであっても良い。
【0117】
また、速度ベクトル算出部33aは、各時刻に対応する三次元モデルMについて、個々の物体Oに対応する三次元モデルM_2の位置を検出する。速度ベクトル算出部33aは、当該検出された位置の時間変化に基づき、個々の物体Oの動きを示す速度ベクトルVtを算出する。
【0118】
このようにして、対象領域Aにおける波浪Wの動きが検出されるとともに、対象領域Aにおける個々の物体Oの動きが検出される。
【0119】
航走体検出装置2aの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて
図5~
図7を参照して説明したものと同様である。このため、詳細な説明は省略する。すなわち、航走体検出装置2aは、動き検出部21aの機能F1a、航走体検出部22の機能F2、不審船検出部23の機能F3及び報知制御部24の機能F4を有する。機能F1a,F2,F3,F4の各々は、プロセッサ51及びメモリ52により実現されるものであっても良く、又は処理回路53により実現されるものであっても良い。
【0120】
次に、
図17に示すフローチャートを参照して、航走体検出装置2aの動作について説明する。なお、
図17において、
図8に示すステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
【0121】
まず、動き検出部21aは、対象領域Aにおける波浪Wの動きを検出するとともに、対象領域Aにおける個々の物体Oの動きを検出する(ステップST1a)。動き検出部21aによる動きの検出方法の詳細については、既に説明したとおりである。このため、再度の説明は省略する。次いで、ステップST2~ST4の処理が順次実行される。
【0122】
次に、航走体検出システム100aを用いることによる効果について説明する。
【0123】
航走体検出システム100aは、第1実施形態に係る航走体検出システム100が奏する効果と同様の効果を奏する。すなわち、航走体検出システム100aを用いることにより、対象領域Aにおける航走体を検出することができる。また、当該検出された航走体が不審船であるか否かを判別することにより、対象領域Aにおける不審船を検出することができる。
【0124】
次に、航走体検出装置2aの変形例について説明する。また、航走体検出システム100aの変形例について説明する。
【0125】
航走体検出装置2aは、第1実施形態にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。例えば、
図12を参照して説明した例と同様に、動き検出部21a及び航走体検出部22により航走体検出装置2aの要部が構成されているものであっても良い。
【0126】
航走体検出システム100aは、第1実施形態にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。例えば、
図13を参照して説明した例と同様に、動き検出部21a及び航走体検出部22により航走体検出システム100aの要部が構成されているものであっても良い。これに加えて、航走体検出システム100aは、不審船検出部23を含むものであっても良い。また、航走体検出システム100aは、報知制御部24を更に含むものであっても良い。
【0127】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0128】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0129】
[付記]
[付記1]
水上の物体及び前記物体の周辺の水面に照射されたレーザ光、及び前記レーザ光に対応する反射光に基づき、前記物体の動き及び前記水面の波浪の動きを検出する動き検出手段と、
前記物体の動き及び前記波浪の動きに基づき、前記物体が航走体であるか否かを判別することにより前記航走体を検出する航走体検出手段と、
を備える航走体検出装置。
[付記2]
前記動き検出手段は、前記反射光のドップラーシフト量に基づき前記物体の動き及び前記波浪の動きを検出することを特徴とする付記1に記載の航走体検出装置。
[付記3]
前記動き検出手段は、前記反射光に基づき前記物体及び前記水面の三次元モデルを生成して、前記三次元モデルの時間変化に基づき前記物体の動き及び前記波浪の動きを検出することを特徴とする付記1に記載の航走体検出装置。
[付記4]
前記航走体検出手段は、前記波浪の動きを示す第1速度ベクトル及び前記物体の動きを示す第2速度ベクトルを用いて、前記波浪の動きに対する前記物体の動きのずれ量に基づき前記物体が前記航走体であるか否かを判別することを特徴とする付記1から付記3のうちのいずれか一つに記載の航走体検出装置。
[付記5]
前記物体が前記航走体であると判別された場合、前記航走体が不審船であるか否かを判別することにより前記不審船を検出する不審船検出手段を備えることを特徴とする付記1から付記4のうちのいずれか一つに記載の航走体検出装置。
[付記6]
前記不審船検出手段は、AIS情報を取得して、前記航走体の位置及び動きを前記AIS情報に含まれる個々の船舶の位置及び動きと比較することにより、前記航走体が前記不審船であるか否かを判別することを特徴とする付記5に記載の航走体検出装置。
[付記7]
前記不審船検出手段は、前記航走体の動きを予め設定された動きのパターンと比較することにより、前記航走体が前記不審船であるか否かを判別することを特徴とする付記5に記載の航走体検出装置。
[付記8]
前記航走体が前記不審船であると判別された場合、前記不審船の存在が報知されることを特徴とする付記5から付記7のうちのいずれか一つに記載の航走体検出装置。
[付記9]
前記レーザ光は、水中に設けられた出射手段により出射されて、
前記反射光は、水中に設けられた受光手段により受信される
ことを特徴とする付記1から付記8のうちのいずれか一つに記載の航走体検出装置。
[付記10]
水上の物体及び前記物体の周辺の水面に照射されたレーザ光、及び前記レーザ光に対応する反射光に基づき、前記物体の動き及び前記水面の波浪の動きを検出する動き検出手段と、
前記物体の動き及び前記波浪の動きに基づき、前記物体が航走体であるか否かを判別することにより前記航走体を検出する航走体検出手段と、
を備える航走体検出システム。
[付記11]
前記動き検出手段は、前記反射光のドップラーシフト量に基づき前記物体の動き及び前記波浪の動きを検出することを特徴とする付記10に記載の航走体検出システム。
[付記12]
前記動き検出手段は、前記反射光に基づき前記物体及び前記水面の三次元モデルを生成して、前記三次元モデルの時間変化に基づき前記物体の動き及び前記波浪の動きを検出することを特徴とする付記10に記載の航走体検出システム。
[付記13]
前記航走体検出手段は、前記波浪の動きを示す第1速度ベクトル及び前記物体の動きを示す第2速度ベクトルを用いて、前記波浪の動きに対する前記物体の動きのずれ量に基づき前記物体が前記航走体であるか否かを判別することを特徴とする付記10から付記12のうちのいずれか一つに記載の航走体検出システム。
[付記14]
前記物体が前記航走体であると判別された場合、前記航走体が不審船であるか否かを判別することにより前記不審船を検出する不審船検出手段を備えることを特徴とする付記10から付記13のうちのいずれか一つに記載の航走体検出システム。
[付記15]
前記不審船検出手段は、AIS情報を取得して、前記航走体の位置及び動きを前記AIS情報に含まれる個々の船舶の位置及び動きと比較することにより、前記航走体が前記不審船であるか否かを判別することを特徴とする付記14に記載の航走体検出システム。
[付記16]
前記不審船検出手段は、前記航走体の動きを予め設定された動きのパターンと比較することにより、前記航走体が前記不審船であるか否かを判別することを特徴とする付記14に記載の航走体検出システム。
[付記17]
前記航走体が前記不審船であると判別された場合、前記不審船の存在が報知されることを特徴とする付記14から付記16のうちのいずれか一つに記載の航走体検出システム。
[付記18]
前記レーザ光は、水中に設けられた出射手段により出射されて、
前記反射光は、水中に設けられた受光手段により受信される
ことを特徴とする付記10から付記17のうちのいずれか一つに記載の航走体検出システム。
[付記19]
動き検出手段が、水上の物体及び前記物体の周辺の水面に照射されたレーザ光、及び前記レーザ光に対応する反射光に基づき、前記物体の動き及び前記水面の波浪の動きを検出し、
航走体検出手段が、前記物体の動き及び前記波浪の動きに基づき、前記物体が航走体であるか否かを判別することにより前記航走体を検出する
航走体検出方法。
[付記20]
前記動き検出手段は、前記反射光のドップラーシフト量に基づき前記物体の動き及び前記波浪の動きを検出することを特徴とする付記19に記載の航走体検出方法。
[付記21]
前記動き検出手段は、前記反射光に基づき前記物体及び前記水面の三次元モデルを生成して、前記三次元モデルの時間変化に基づき前記物体の動き及び前記波浪の動きを検出することを特徴とする付記19に記載の航走体検出方法。
[付記22]
前記航走体検出手段は、前記波浪の動きを示す第1速度ベクトル及び前記物体の動きを示す第2速度ベクトルを用いて、前記波浪の動きに対する前記物体の動きのずれ量に基づき前記物体が前記航走体であるか否かを判別することを特徴とする付記19から付記20のうちのいずれか一つに記載の航走体検出方法。
[付記23]
不審船検出手段が、前記物体が前記航走体であると判別された場合、前記航走体が不審船であるか否かを判別することにより前記不審船を検出することを特徴とする付記19から付記22のうちのいずれか一つに記載の航走体検出方法。
[付記24]
前記不審船検出手段は、AIS情報を取得して、前記航走体の位置及び動きを前記AIS情報に含まれる個々の船舶の位置及び動きと比較することにより、前記航走体が前記不審船であるか否かを判別することを特徴とする付記23に記載の航走体検出方法。
[付記25]
前記不審船検出手段は、前記航走体の動きを予め設定された動きのパターンと比較することにより、前記航走体が前記不審船であるか否かを判別することを特徴とする付記23に記載の航走体検出方法。
[付記26]
前記航走体が前記不審船であると判別された場合、前記不審船の存在が報知されることを特徴とする付記23から付記25のうちのいずれか一つに記載の航走体検出方法。
[付記27]
水中に設けられた出射手段が、前記レーザ光を出射し、
水中に設けられた受光手段が、前記反射光を受信する
ことを特徴とする付記19から付記26のうちのいずれか一つに記載の航走体検出方法。
[付記28]
コンピュータを、
水上の物体及び前記物体の周辺の水面に照射されたレーザ光、及び前記レーザ光に対応する反射光に基づき、前記物体の動き及び前記水面の波浪の動きを検出する動き検出手段と、
前記物体の動き及び前記波浪の動きに基づき、前記物体が航走体であるか否かを判別することにより前記航走体を検出する航走体検出手段と、
として機能させるためのプログラムを記録した記録媒体。
[付記29]
前記動き検出手段は、前記反射光のドップラーシフト量に基づき前記物体の動き及び前記波浪の動きを検出することを特徴とする付記28に記載の記録媒体。
[付記30]
前記動き検出手段は、前記反射光に基づき前記物体及び前記水面の三次元モデルを生成して、前記三次元モデルの時間変化に基づき前記物体の動き及び前記波浪の動きを検出することを特徴とする付記28に記載の記録媒体。
[付記31]
前記航走体検出手段は、前記波浪の動きを示す第1速度ベクトル及び前記物体の動きを示す第2速度ベクトルを用いて、前記波浪の動きに対する前記物体の動きのずれ量に基づき前記物体が前記航走体であるか否かを判別することを特徴とする付記28から付記30のうちのいずれか一つに記載の記録媒体。
[付記32]
前記プログラムは、前記コンピュータを、前記物体が前記航走体であると判別された場合、前記航走体が不審船であるか否かを判別することにより前記不審船を検出する不審船検出手段として機能させることを特徴とする付記28から付記31のうちのいずれか一つに記載の記録媒体。
[付記33]
前記不審船検出手段は、AIS情報を取得して、前記航走体の位置及び動きを前記AIS情報に含まれる個々の船舶の位置及び動きと比較することにより、前記航走体が前記不審船であるか否かを判別することを特徴とする付記32に記載の記録媒体。
[付記34]
前記不審船検出手段は、前記航走体の動きを予め設定された動きのパターンと比較することにより、前記航走体が前記不審船であるか否かを判別することを特徴とする付記32に記載の記録媒体。
[付記35]
前記プログラムは、前記コンピュータを、前記航走体が前記不審船であると判別された場合、前記不審船の存在を報知する制御を実行する報知制御部として機能させることを特徴とする付記32から付記34のうちのいずれか一つに記載の記録媒体。
【符号の説明】
【0130】
1 LiDAR装置
2,2a 航走体検出装置
3 出力装置
11 出射部
12 受光部
21,21a 動き検出部
22 航走体検出部
23 不審船検出部
24 報知制御部
31 距離算出部
32 三次元モデル生成部
33,33a 速度ベクトル算出部
41 コンピュータ
51 プロセッサ
52 メモリ
53 処理回路
100,100a 航走体検出システム