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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】転舵制御方法及び転舵制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20250109BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B62D6/00
B60W30/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023523930
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 JP2021020489
(87)【国際公開番号】W WO2022249474
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】小林 隼也
(72)【発明者】
【氏名】高野 照久
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 康裕
(72)【発明者】
【氏名】山中 僚大
(72)【発明者】
【氏名】高藤 佳嗣
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-176909(JP,A)
【文献】特開2018-131167(JP,A)
【文献】特開2001-018821(JP,A)
【文献】特開2020-090145(JP,A)
【文献】国際公開第2020/066329(WO,A1)
【文献】特開2010-285028(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0032319(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B60W 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲に存在する障害物までの距離を検出する距離検出センサを備えた車両の転舵を制御する転舵制御方法であって、
前記距離検出センサで検出された前記車両から前記障害物までの距離を取得し、
前記車両の進行方向左側に存在する障害物までの距離が小さくなるほど、前記車両の進行に伴って車両が前記障害物から離れる方向へ移動する転舵方向の転舵角が大きくなるように第1目標転舵角を算出し、
前記車両の進行方向右側に存在する障害物までの距離が小さくなるほど、前記車両の進行に伴って車両が前記障害物から離れる方向へ移動する転舵方向の転舵角が大きくなるように第2目標転舵角を算出し、
前記第1目標転舵角と前記第2目標転舵角とを加算して最終転舵角を算出し、
前記最終転舵角に基づいて前記車両の転舵輪を制御することを特徴とする転舵制御方法。
【請求項2】
前記車両から前記障害物までの距離が、予め設定された転舵開始距離より大きい値から前記転舵開始距離以下の値へ変化した場合に、前記第1または第2目標転舵角の算出を開始することを特徴とする請求項1に記載の転舵制御方法。
【請求項3】
前記車両から前記障害物までの距離が、前記転舵開始距離より小さい値から前記転舵開始距離に変化した場合には、前記第1または第2目標転舵角を予め設定された最小転舵角に設定し、
前記車両から前記障害物までの距離が、前記転舵開始距離から、前記転舵開始距離より大きな値に設定された転舵終了距離まで変化する間、前記第1または第2目標転舵角を前記最小転舵角のまま維持することを特徴とする請求項2に記載の転舵制御方法。
【請求項4】
前記車両から前記障害物までの距離が、前記転舵終了距離よりも大きな値になった場合には、前記第1または第2目標転舵角を0に設定することを特徴とする請求項3に記載の転舵制御方法。
【請求項5】
前記車両から前記障害物までの距離が、予め設定された車両停止距離以下となった場合には、前記車両を停止することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の転舵制御方法。
【請求項6】
前記距離検出センサは、前記車両の進行方向左側に存在する障害物までの距離を検出する左方センサと、前記車両の進行方向右側に存在する障害物までの距離を検出する右方センサとから構成され、
前記第1目標転舵角は、前記左方センサによって検出された前記障害物までの距離のみに基づいて算出され、
前記第2目標転舵角は、前記右方センサによって検出された前記障害物までの距離のみに基づいて算出されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の転舵制御方法。
【請求項7】
前記左方センサと前記右方センサは、所定範囲内に音波を射出し、障害物で反射してきた反射波に基づいて、前記車両から前記障害物までの距離を検出するソナーであることを特徴とする請求項6に記載の転舵制御方法。
【請求項8】
前記車両は、車外の運転者が操作する遠隔操作装置によって遠隔操作が可能であり、前記遠隔操作装置によって遠隔操作されている場合のみ、前記車両の転舵輪の制御を行うことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の転舵制御方法。
【請求項9】
車両の周囲に存在する障害物までの距離を検出する距離検出センサを備えた車両の転舵を制御する転舵制御装置であって、
前記転舵制御装置は、
前記距離検出センサで検出された前記車両から前記障害物までの距離を取得し、
前記車両の進行方向左側に存在する障害物までの距離が小さくなるほど、前記車両の進行に伴って車両が前記障害物から離れる方向へ移動する転舵方向の転舵角が大きくなるように第1目標転舵角を算出し、
前記車両の進行方向右側に存在する障害物までの距離が小さくなるほど、前記車両の進行に伴って車両が前記障害物から離れる方向へ移動する転舵方向の転舵角が大きくなるように第2目標転舵角を算出し、
前記第1目標転舵角と前記第2目標転舵角とを加算して最終転舵角を算出し、
前記最終転舵角に基づいて前記車両の転舵輪を制御することを特徴とする転舵制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周囲に存在する障害物までの距離を検出する距離検出センサを備えた車両の転舵を制御する転舵制御方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、外部操作によって駐車スペース内に車両を駐車できるようにした駐車支援機能付き車両として、特許文献1が開示されている。特許文献1に開示された駐車支援機能付き車両では、車両外部にいる車両使用者がスマートキーに設けられたスイッチで車両を移動させて駐車スペース内に移動させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-74296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の駐車支援機能付き車両では、車両の移動中に障害物を検出すると、車両を停止させていたので、車両を円滑に移動させることができないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は上記実情に鑑みて提案されたものであり、車両の移動中に障害物を検出した場合でも、障害物を回避しながら車両を円滑に移動させることのできる転舵制御方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る転舵制御方法及びその装置は、車両の進行方向左側に存在する障害物までの距離が小さくなるほど、車両の進行に伴って車両が障害物から離れる方向へ移動する転舵方向の転舵角が大きくなるように第1目標転舵角を算出する。一方、車両の進行方向右側に存在する障害物までの距離が小さくなるほど、車両の進行に伴って車両が障害物から離れる方向へ移動する転舵方向の転舵角が大きくなるように第2目標転舵角を算出する。そして、第1目標転舵角と第2目標転舵角とを加算して最終転舵角を算出し、最終転舵角に基づいて車両の転舵輪を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の移動中に障害物を検出した場合でも、障害物を回避しながら車両を円滑に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る転舵制御装置を搭載した車両の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る転舵制御装置を搭載した車両における距離検出センサの配置を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る転舵制御装置による第1目標転舵角の算出方法を説明するための図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る転舵制御装置による第2目標転舵角の算出方法を説明するための図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る転舵制御装置による転舵制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る転舵制御装置による第1目標転舵角の具体的な算出方法を説明するための図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る転舵制御装置による第2目標転舵角の具体的な算出方法を説明するための図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る転舵制御装置によって目標転舵角を算出する場合に使用するパラメータ値の具体例を示す図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る転舵制御装置によって行われる転舵制御の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した一実施形態について図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0010】
[転舵制御装置を備えた車両の構成]
図1は、本実施形態に係る転舵制御装置を備えた車両の構成を示すブロック図である。図1に示すように、車両100は、転舵制御装置1と、距離検出センサ3と、転舵モータ5と、遠隔操作装置7を備えている。尚、車両100は、遠隔操作装置7によって車外にいる運転者が遠隔操作することが可能な車両である。
【0011】
距離検出センサ3は、車両100の周囲に存在する障害物までの距離を検出するセンサであり、左方センサLSと、右方センサRSから構成されている。左方センサLSは、車両100の進行方向左側に存在する障害物までの距離を検出するセンサであり、第1左方センサLS1と第2左方センサLS2から構成されている。また、右方センサRSは、車両100の進行方向右側に存在する障害物までの距離を検出するセンサであり、第1右方センサRS1と第2右方センサRS2から構成されている。
【0012】
図2に示すように、第1左方センサLS1は、車両100が前進したときに進行方向左側に存在する障害物を検知して、その障害物までの距離Dを検出するためのセンサである。また、第2左方センサLS2は、車両100が後退したときに進行方向左側に存在する障害物を検知して、その障害物までの距離Dを検出するためのセンサである。第2左方センサLS2は、車両100の右後部に設置されているが、車両100が後退しているときには、後方に進行する車両100の進行方向に対して左側の障害物を検知するので、左方センサとなる。
【0013】
さらに、第1右方センサRS1は、車両100が前進したときに進行方向右側に存在する障害物を検知して、その障害物までの距離Dを検出するためのセンサである。また、第2右方センサRS2は、車両100が後退したときに進行方向右側に存在する障害物を検知して、その障害物までの距離Dを検出するためのセンサである。第2右方センサRS2は、車両100の左後部に設置されているが、車両100が後退しているときには、後方に進行する車両100の進行方向に対して右側の障害物を検知するので、右方センサとなる。
【0014】
左方センサLSと右方センサRSはそれぞれソナーで構成され、それぞれ車両進行方向左側の所定範囲及び車両進行方向右側の所定範囲内の、重複しない異なる範囲内に音波を射出し、障害物で反射してきた反射波に基づいて、車両100から障害物までの距離を検出する。ただし、障害物までの距離を検出できれば、ソナー以外のセンサであってもよく、例えばカメラやレーザーレンジファインダであってもよい。但し、左方センサLS及び右方センサRSは車両100から障害物までの距離のみを検出できれば良く、車両100に対する障害物の位置(座標)までは検出できなくとも良い。このため、一般的に車両100から障害物までの距離のみを検出可能なソナーを用いることにより、障害物までの距離及び障害物の位置を検出可能なカメラやレーザーレンジファインダを用いた場合よりも安価に構成することができる。
【0015】
転舵制御装置1は、距離検出センサ3で検出された車両100から障害物までの距離に基づいて、障害物を回避するように車両100の転舵輪を制御する。転舵制御装置1は、車両100に搭載されており、障害物距離取得部11と、目標転舵角算出部13と、最終転舵角算出部15と、転舵制御部17を備えている。尚、転舵制御装置1の転舵制御は、車両100を駐車スペースに自動駐車させる場合の転舵輪の制御に適用してもよいし、遠隔操作装置7によって車外の運転者が遠隔操作で車両100を駐車させる場合の転舵輪の制御に適用してもよい。
【0016】
障害物距離取得部11は、距離検出センサ3で検出された車両100から障害物までの距離を取得する。具体的に、障害物距離取得部11は、車両100が前進しているときには、第1左方センサLS1から進行方向左側の障害物までの距離Dを取得し、第1右方センサRS1から進行方向右側の障害物までの距離Dを取得する。また、障害物距離取得部11は、車両100が後退しているときには、第2左方センサLS2から進行方向(後方に向かって)左側の障害物までの距離Dを取得し、第2右方センサRS2から進行方向(後方に向かって)右側の障害物までの距離Dを取得する。
【0017】
目標転舵角算出部13は、障害物距離取得部11で取得した障害物までの距離に基づいて、第1目標転舵角と第2目標転舵角を算出する。第1目標転舵角は、車両100の進行方向左側に存在する障害物を回避するための目標転舵角であり、車両100が前進しているときには右方向への転舵角になり、後退しているときには左方向への転舵角となる。また、第2目標転舵角は、車両100の進行方向右側に存在する障害物を回避するための目標転舵角であり、車両100が前進しているときには左方向への転舵角になり、後退しているときには右方向への転舵角となる。すなわち、第1目標転舵角及び第2目標転舵角はいずれも、車両の進行に伴って車両が障害物から離れる方向へ移動する転舵方向の転舵角である。そして、第1目標転舵角は、左方センサLSによって検出された障害物までの距離のみに基づいて算出され、第2目標転舵角は、右方センサRSによって検出された障害物までの距離のみに基づいて算出される。なお、第1目標転舵角及び第2目標転舵角はいずれか一方がプラスの値(転舵角が大きくなるほど絶対値が大きくなる正の値)として算出され、他方がマイナスの値(転舵角が大きくなるほど絶対値が大きくなる負の値)として算出される。
【0018】
目標転舵角算出部13は、車両100の進行方向左側に存在する障害物までの距離が小さくなるほど、車両100の進行に伴って障害物から離れる方向への転舵角が大きくなるように第1目標転舵角を算出する。また、目標転舵角算出部13は、車両100の進行方向右側に存在する障害物までの距離が小さくなるほど、車両100の進行に伴って障害物から離れる方向への転舵角が大きくなるように第2目標転舵角を算出する。
【0019】
例えば、車両100が前進しているときに進行方向左側に障害物が存在している場合には、「車両100の進行に伴って車両が障害物から離れる方向へ移動する転舵方向の転舵角」は右方向への転舵角となる。そこで、障害物までの距離が小さくなるほど、右方向への転舵角が大きくなるように第1目標転舵角を算出する。逆に、車両100が後退しているときに進行方向(後方に向かって)左側に障害物が存在している場合には、「車両100の進行に伴って車両が障害物から離れる方向へ移動する転舵方向の転舵角」は左方向への転舵角となる。そこで、障害物までの距離が小さくなるほど、左方向への転舵角が大きくなるように第1目標転舵角を算出する。
【0020】
ここで、図3を参照して、車両100の進行方向左側に存在する障害物を回避するための目標転舵角である第1目標転舵角θの算出方法を説明する。図3に示すように、目標転舵角算出部13は、障害物までの距離Dが、予め設定された転舵開始距離Dstartより大きい場合には、第1目標転舵角θを0に設定する。そして、障害物までの距離Dが、転舵開始距離Dstart以下になると、第1目標転舵角θの算出を開始する。すなわち、車両100の進行方向左側に存在する障害物が接近し、障害物までの距離Dが、予め設定された転舵開始距離Dstartより大きい値から転舵開始距離Dstart以下の値へ変化した場合に、第1目標転舵角θの算出を開始する。転舵開始距離Dstartは、障害物を回避するために車両100の転舵を開始する必要のある距離であり、予め実験やシミュレーションによって設定されている。
【0021】
まず、目標転舵角算出部13は、障害物までの距離Dが、転舵開始距離Dstartより大きい値から減少して転舵開始距離Dstartになると、第1目標転舵角θを最小転舵角θLminに設定する(L1)。最小転舵角θLminは、障害物を回避するための転舵を開始したときに設定される最小の転舵角であり、予め実験やシミュレーションによって設定される。
【0022】
その後、車両100の進行に伴い、障害物が接近して障害物までの距離Dが小さくなると、障害物までの距離Dが小さくなるほど、第1目標転舵角θは大きくなる(L2)。すなわち、目標転舵角算出部13は、障害物までの距離Dが小さくなるほど、車両100の進行に伴って障害物から離れる方向への転舵角が大きくなるように第1目標転舵角θを算出する。
【0023】
そして、障害物までの距離Dが最小転舵距離Dminになると、目標転舵角算出部13は、第1目標転舵角θを最大転舵角θLmaxに設定し、障害物までの距離Dがさらに小さくなっても最大転舵角θLmaxを維持する(L3)。ここで、最小転舵距離Dminは、障害物を転舵によって回避するために必要となる最小の距離であり、予め実験やシミュレーションによって設定される。また、最大転舵角θLmaxは、障害物を回避するために設定される最大の転舵角であり、予め実験やシミュレーションによって設定される。
【0024】
この後、車両100の進行に伴い、障害物が離れていき障害物までの距離Dが大きくなると、障害物までの距離Dが大きくなるほど、第1目標転舵角θは小さくなる(L4)。すなわち、目標転舵角算出部13は、障害物までの距離Dが大きくなるほど、車両100の進行に伴って障害物から離れる方向への転舵角が小さくなるように第1目標転舵角θを算出する。
【0025】
そして、障害物までの距離Dが転舵開始距離Dstartより小さい値から転舵開始距離Dstartに変化すると、目標転舵角算出部13は、第1目標転舵角θを最小転舵角θLminに設定する(L5)。
【0026】
この後、障害物までの距離Dが、転舵開始距離Dstartからさらに大きい値へ変化して転舵終了距離Dendまで変化する間、目標転舵角算出部13は、第1目標転舵角を最小転舵角θLminのまま維持する(L6)。転舵終了距離Dendは、障害物を回避するための転舵が不要になる距離であり、転舵開始距離Dstartより大きな値に設定され、予め実験やシミュレーションによって設定される。
【0027】
そして、障害物までの距離Dが転舵終了距離Dendよりも大きな値になった場合には、目標転舵角算出部13は、第1目標転舵角θを0に設定する(L7)。こうして、目標転舵角算出部13は、第1目標転舵角θを算出する。
【0028】
次に、図4を参照して、車両100の進行方向右側に存在する障害物を回避するための目標転舵角である第2目標転舵角θの算出方法を説明する。尚、図3では、第1目標転舵角θをプラスの値で示し、図4では、第2目標転舵角θをマイナスの値で示す。
【0029】
図4に示すように、目標転舵角算出部13は、障害物までの距離Dが、予め設定された転舵開始距離Dstartより大きい場合には、第1目標転舵角θを0に設定する。そして、障害物までの距離Dが、転舵開始距離Dstart以下になると、第2目標転舵角θの算出を開始する。すなわち、車両100の進行方向右側に存在する障害物が接近し、障害物までの距離Dが、予め設定された転舵開始距離Dstartより大きい値から転舵開始距離Dstart以下の値へ変化した場合に、第2目標転舵角θの算出を開始する。
【0030】
まず、目標転舵角算出部13は、障害物までの距離Dが、転舵開始距離Dstartより大きい値から減少して転舵開始距離Dstartになると、第2目標転舵角θを最小転舵角θRminに設定する(R1)。最小転舵角θRminは、最小転舵角θLminと同様に、障害物を回避するための転舵を開始したときに設定される最小の転舵角であり、予め実験やシミュレーションによって設定される。
【0031】
その後、車両100の進行に伴い、障害物が接近して障害物までの距離Dが小さくなると、障害物までの距離Dが小さくなるほど、第2目標転舵角θはマイナスなので小さくなる(絶対値は大きくなる)(R2)。すなわち、目標転舵角算出部13は、障害物までの距離Dが小さくなるほど、車両100の進行に伴って障害物から離れる方向への転舵角が大きくなるように第2目標転舵角θを算出する。
【0032】
そして、障害物までの距離Dが最小転舵距離Dminになると、目標転舵角算出部13は、第2目標転舵角θを最大転舵角θRmaxに設定し、障害物までの距離Dがさらに小さくなっても最大転舵角θRmaxを維持する(R3)。ここで、最大転舵角θRmaxは、最大転舵角θLmaxと同様に、障害物を回避するために設定される最大の転舵角であり、予め実験やシミュレーションによって設定される。
【0033】
この後、車両100の進行に伴い、障害物が離れていき障害物までの距離Dが大きくなると、障害物までの距離Dが大きくなるほど、第2目標転舵角θはマイナスなので大きくなる(絶対値は小さくなる)(R4)。すなわち、目標転舵角算出部13は、障害物までの距離Dが大きくなるほど、車両100の進行に伴って障害物から離れる方向への転舵角が小さくなるように第2目標転舵角θを算出する。
【0034】
そして、障害物までの距離Dが転舵開始距離Dstartより小さい値から転舵開始距離Dstartに変化すると、目標転舵角算出部13は、第2目標転舵角θを最小転舵角θRminに設定する(R5)。
【0035】
この後、障害物までの距離Dが、転舵開始距離Dstartからさらに大きい値へ変化して転舵終了距離Dendまで変化する間、目標転舵角算出部13は、第2目標転舵角θを最小転舵角θRminのまま維持する(R6)。
【0036】
そして、障害物までの距離Dが転舵終了距離Dendよりも大きな値になった場合には、目標転舵角算出部13は、第2目標転舵角θを0に設定する(R7)。こうして、目標転舵角算出部13は、第2目標転舵角θを算出する。
【0037】
尚、目標転舵角算出部13は、障害物までの距離D、Dが、予め設定された車両停止距離以下となった場合には、車両100を停止する。車両停止距離は、転舵によって障害物を回避することが困難になるような短い距離であり、最小転舵距離Dminよりも小さい値に設定され、予め実験やシミュレーションによって設定される。
【0038】
最終転舵角算出部15は、目標転舵角算出部13で算出された第1目標転舵角と第2目標転舵角とを加算して最終転舵角を算出する。すなわち、最終転舵角θは、式(1)によって算出される。
最終転舵角θ=第1目標転舵角θ+第2目標転舵角θ(1)
【0039】
尚、第1目標転舵角と第2目標転舵角は、反対方向への転舵角になるので、加算することによって互いに相殺された値が算出される。例えば、図3で説明した第1目標転舵角θはプラスの値であり、第2目標転舵角θはマイナスの値なので、加算してプラスになれば、最終転舵角θは右方向への転舵角となり、マイナスになれば左方向への転舵角となる。
【0040】
また、従来では、障害物までの距離が所定値以下となった場合に、障害物までの距離が増大するように転舵角を制御していた。しかし、このような転舵制御では、車両の左右に障害物が存在すると、障害物を回避するために左右に転舵を繰り返すことになるため、車両を円滑な軌道で移動させることができなかった。これに対して、最終転舵角算出部15は、左側の障害物を回避するための転舵角と、右側の障害物を回避するための転舵角を加算して最終転舵角を算出する。そのため、車両の左右に障害物が存在しても、左右に転舵を繰り返すことはなく、車両を円滑な軌道で移動させることができる。
【0041】
転舵制御部17は、最終転舵角算出部15で算出された最終転舵角に基づいて、車両100の転舵輪の転舵角を制御する。転舵制御部17は、転舵モータ5に最終転舵角を出力して車両100の転舵輪の転舵角が最終転舵角になるように制御する。尚、転舵制御部17は、遠隔操作装置7によって遠隔操作されている場合のみ、車両100の転舵輪の制御を行うようにしてもよい。
【0042】
転舵モータ5は、車両100の転舵輪を転舵させるためのアクチュエータであり、転舵制御部17から最終転舵角を取得すると、車両100の転舵輪を転舵させて最終転舵角に設定する。
【0043】
遠隔操作装置7は、車外の運転者が操作することによって、車両100を遠隔操作するための装置である。例えば、車両100のスマートキーに前進と後退のスイッチを設け、車外の運転者がそのスイッチを操作することによって、車両100を前進あるいは後退させて駐車スペースに駐車させる。
【0044】
尚、転舵制御装置1は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、CPUを含む汎用の電子回路とメモリ等の周辺機器から構成されたコントローラであり、転舵制御処理を実行するためのコンピュータプログラムがインストールされている。転舵制御装置1の各機能は、1または複数の処理回路によって実装することができる。処理回路は、例えば電気回路を含むプログラムされた処理装置を含み、また実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置も含んでいる。
【0045】
[転舵制御処理]
次に、本実施形態に係る転舵制御装置1によって実行される転舵制御処理を説明する。図5は、本実施形態に係る転舵制御装置1による転舵制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0046】
図5に示すように、ステップS10において、障害物距離取得部11は、距離検出センサ3で検出された車両100から障害物までの距離を取得する。このとき、車両100が前進しているときには、第1左方センサLS1と第1右方センサRS1から車両100の進行方向の左右に存在する障害物までの距離を取得する。また、車両100が後退しているときには、第2左方センサLS2と第2右方センサRS2から車両100の進行方向の左右に存在する障害物までの距離を取得する。
【0047】
ステップS20において、目標転舵角算出部13は、ステップS10で取得した障害物までの距離に基づいて、第1目標転舵角と第2目標転舵角を算出する。第1目標転舵角は車両100の進行方向左側に存在する障害物を回避するための目標転舵角であり、第2目標転舵角は車両100の進行方向右側に存在する障害物を回避するための目標転舵角である。
【0048】
ステップS30において、最終転舵角算出部15は、ステップS20で算出した第1目標転舵角と第2目標転舵角とを加算して最終転舵角を算出する。
【0049】
ここで、図6~9を参照して、具体的な目標転舵角及び最終転舵角の算出方法を説明する。図6は、第1目標転舵角の具体的な算出方法を示す図であり、図7は、第2目標転舵角の具体的な算出方法を示す図である。図6、7では、各パラメータが、図8に示すように設定されている。すなわち、転舵開始距離Dstartが1.5m、転舵終了距離Dendが2.0m、最小転舵距離Dminが0.5mに設定されている。また、最小転舵角θLmin、θRminがそれぞれ10deg、-10deg、最大転舵角θLmax、θRmaxがそれぞれ60deg、-60degに設定されている。尚、ここでは転舵角を用いて説明しているが、実際に車両を制御する場合には、ハンドル角や操舵角を用いて制御してもよい。
【0050】
図9は、転舵制御を実行したときの具体的な数値を示す図であり、図9を参照して、時刻の経過にしたがって、最終転舵角がどのように算出されるのかを説明する。まず、時刻t1では、障害物が検出されていないので、第1目標転舵角θと第2目標転舵角θは0になるので、最終転舵角θも0となる。
【0051】
時刻t2において、障害物までの距離Dが1.7mと検出されるが、図6に示すように、2.0m以上から減少して転舵開始距離Dstartより大きいので、第1目標転舵角θは0のままとなる。一方、第2目標転舵角θも0のままなので、最終転舵角θも0となる。
【0052】
時刻t3において、障害物までの距離Dが、転舵開始距離Dstartの1.5mまで減少したので、図6に示すように、第1目標転舵角θは最小転舵角θLminの10degに設定される。一方、第2目標転舵角θは0のままなので、最終転舵角θは10degになる。
【0053】
時刻t4において、障害物までの距離Dが1.2mに減少するので、障害物までの距離が小さくなるほど、障害物から離れる方向への転舵角が大きくなるように算出され、図6に示すように、第1目標転舵角θは25degに設定される。一方、障害物までの距離Dは1.7mと検出されるが、図7に示すように、2.0m以上から減少して転舵開始距離Dstartより大きいので、第2目標転舵角θは0のままとなる。したがって、最終転舵角θは、第1目標転舵角θの25degと第2目標転舵角θの0を加算して25degに設定される。
【0054】
時刻t5において、障害物までの距離Dは1.2mのまま変化しないので、第1目標転舵角θは25degのまま変化しない。一方、障害物までの距離Dは、転舵開始距離Dstartの1.5mまで減少したので、図7に示すように、第2目標転舵角θは最小転舵角θRminの-10degに設定される。したがって、最終転舵角θは、第1目標転舵角θの25degと第2目標転舵角θの-10degを加算して15degに設定される。
【0055】
時刻t6において、障害物までの距離Dが0.8mに減少するので、障害物までの距離が小さくなるほど、障害物から離れる方向への転舵角が大きくなるように算出され、図6に示すように、第1目標転舵角θは45degに設定される。一方、障害物までの距離Dは1.2mに減少するので、障害物までの距離が小さくなるほど、障害物から離れる方向への転舵角が大きくなるように算出され、図7に示すように、第2目標転舵角θは-25degに設定される。したがって、最終転舵角θは、第1目標転舵角θの45degと第2目標転舵角θの-25degを加算して20degに設定される。
【0056】
時刻t7において、障害物までの距離Dが0.4mに減少すると、図6に示すように、最小転舵距離Dminの0.5mより小さくなるので、第1目標転舵角θは最大転舵角θLmaxの60degに設定される。一方、障害物までの距離Dは、0.8mに減少するので、障害物までの距離が小さくなるほど、障害物から離れる方向への転舵角が大きくなるように算出され、図7に示すように、第2目標転舵角θは-45degに設定される。したがって、最終転舵角θは、第1目標転舵角θの60degと第2目標転舵角θの-45degを加算して15degに設定される。
【0057】
時刻t8において、障害物までの距離Dが0.2mに減少するが、図6に示すように、最小転舵距離Dminの0.5mよりも小さいので、第1目標転舵角θは最大転舵角θLmaxの60degのまま変化しない。尚、車両停止距離が0.2mに設定されている場合には、車両100を停止させてもよい。一方、障害物までの距離Dは0.4mに減少し、図7に示すように、最小転舵距離Dminの0.5mより小さくなるので、第2目標転舵角θは最大転舵角θLmaxの-60degに設定される。したがって、最終転舵角θは、第1目標転舵角θの60degと第2目標転舵角θの-60degを加算して0に設定される。
【0058】
時刻t9において、障害物までの距離Dが0.8mに増加するので、障害物までの距離が大きくなるほど、障害物から離れる方向への転舵角が小さくなるように算出され、図6に示すように、第1目標転舵角θは45degに設定される。一方、障害物までの距離Dは、0.4mのまま変化しないので、図7に示すように、第2目標転舵角θは-60degのまま変化しない。したがって、最終転舵角θは、第1目標転舵角θの45degと第2目標転舵角θの-60degを加算して-15degに設定される。
【0059】
時刻t10において、障害物までの距離Dが1.2mに増加するので、障害物までの距離が大きくなるほど、障害物から離れる方向への転舵角が小さくなるように算出され、図6に示すように、第1目標転舵角θは25degに設定される。一方、障害物までの距離Dは0.8mに増加するので、障害物までの距離が大きくなるほど、障害物から離れる方向への転舵角が小さくなるように算出され、図7に示すように、第2目標転舵角θは-45degに設定される。したがって、最終転舵角θは、第1目標転舵角θの25degと第2目標転舵角θの-45degを加算して-20degに設定される。
【0060】
時刻t11において、障害物までの距離Dは1.2mのまま変化しないので、図6に示すように、第1目標転舵角θは25degのまま変化しない。一方、障害物までの距離Dは、1.7mまで増加して、転舵開始距離Dstartの1.5mより小さい値から転舵開始距離Dstartより大きい値へ変化している。そのため、図7に示すように、第2目標転舵角θは最小転舵角θRminの-10degに設定され、-10degのまま維持されている。したがって、最終転舵角θは、第1目標転舵角θの25degと第2目標転舵角θの-10degを加算して15degに設定される。
【0061】
時刻t12において、障害物までの距離Dは、1.7mまで増加して、転舵開始距離Dstartの1.5mより小さい値から転舵開始距離Dstartより大きい値へ変化している。そのため、図6に示すように、第1目標転舵角θは最小転舵角θLminの10degに設定され、10degのまま維持されている。一方、障害物までの距離Dは、転舵終了距離Dendの2.0mを超えたので、検知されなくなり、第2目標転舵角θは0に設定される。したがって、最終転舵角θは、第1目標転舵角θの10degと第2目標転舵角θの0degを加算して10degに設定される。
【0062】
このようにして、ステップS20で第1目標転舵角θと第2目標転舵角θが算出され、ステップS30で最終転舵角θが算出される。
【0063】
ステップS40において、転舵制御部17は、ステップS30で算出された最終転舵角に基づいて、車両100の転舵輪を制御する。具体的に、転舵制御部17は、最終転舵角を転舵モータ5に出力して車両100の転舵輪が最終転舵角になるように制御する。こうして、転舵輪が制御されると、本実施形態に係る転舵制御処理を終了する。
【0064】
[実施形態の効果]
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る転舵制御装置1では、車両の進行方向左側に存在する障害物までの距離が小さくなるほど、車両の進行に伴って車両が障害物から離れる方向へ移動する転舵方向の転舵角が大きくなるように第1目標転舵角を算出する。一方、車両の進行方向右側に存在する障害物までの距離が小さくなるほど、車両の進行に伴って車両が障害物から離れる方向へ移動する転舵方向の転舵角が大きくなるように第2目標転舵角を算出する。そして、第1目標転舵角と第2目標転舵角とを加算して最終転舵角を算出し、最終転舵角に基づいて車両の転舵輪を制御する。これにより、車両の移動中に障害物を検出した場合でも、障害物を回避しながら車両を円滑に移動させることができる。特に、右方向への転舵角と左方向への転舵角を加算して最終転舵角を算出するので、車両の左右に障害物が存在しても、左右に転舵を繰り返すことなく、車両を円滑な軌道で移動させることができる。
【0065】
また、本実施形態に係る転舵制御装置1では、車両から障害物までの距離が、予め設定された転舵開始距離より大きい値から転舵開始距離以下の値へ変化した場合に、第1または第2目標転舵角の算出を開始する。これにより、障害物を回避するために転舵を開始する必要のあるタイミングになると、目標転舵角の算出を開始することができる。
【0066】
さらに、本実施形態に係る転舵制御装置1では、車両から障害物までの距離が、転舵開始距離より小さい値から転舵開始距離に変化した場合には、第1または第2目標転舵角を予め設定された最小転舵角に設定する。そして、車両から障害物までの距離が、転舵開始距離から、転舵開始距離より大きな値に設定された転舵終了距離まで変化する間、第1または第2目標転舵角を最小転舵角のまま維持する。これにより、転舵開始距離から転舵終了距離までの間、目標転舵角が減少することがなくなり、車両を障害物から確実に回避させることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る転舵制御装置1では、車両から障害物までの距離が、転舵終了距離よりも大きな値になった場合には、第1または第2目標転舵角を0に設定する。これにより、車両が障害物から十分に離れた時点で、障害物を回避するための転舵を終了させることができる。
【0068】
さらに、本実施形態に係る転舵制御装置1では、車両から障害物までの距離が、予め設定された車両停止距離以下となった場合には、車両を停止する。これにより、車両が障害物に接触することを防止することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る転舵制御装置1では、距離検出センサ3は、車両の進行方向左側に存在する障害物までの距離を検出する左方センサLSと、車両の進行方向右側に存在する障害物までの距離を検出する右方センサRSとから構成される。そして、第1目標転舵角は、左方センサLSによって検出された障害物までの距離のみに基づいて算出され、第2目標転舵角は、右方センサRSによって検出された障害物までの距離のみに基づいて算出される。これにより、障害物までの距離のみに基づいて転舵制御を実行するので、障害物の位置などを求める必要がなくなり、複雑な演算を行うことなく簡単な演算を実行するだけで障害物を回避するための転舵制御を実行することができる。
【0070】
さらに、本実施形態に係る転舵制御装置1では、左方センサと右方センサは、所定範囲内に音波を射出し、障害物で反射してきた反射波に基づいて、車両から障害物までの距離を検出するソナーで構成されている。これにより、安価な構成を用いて、障害物を回避するための転舵制御を実行することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る転舵制御装置1では、車両100が、車外の運転者が操作する遠隔操作装置7によって遠隔操作が可能であり、遠隔操作装置7によって遠隔操作されている場合のみ、車両100の転舵輪の制御を行うようにする。これにより、遠隔操作で車両を移動させる場合の制御に、本実施形態の転舵制御を適用することができる。
【0072】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0073】
1 転舵制御装置
3 距離検出センサ
5 転舵モータ
7 遠隔操作装置
11 障害物距離取得部
13 目標転舵角算出部
15 最終転舵角算出部
17 転舵制御部
100 車両
LS 左方センサ
RS 右方センサ
LS1 第1左方センサ
LS2 第2左方センサ
RS1 第1右方センサ
RS2 第2右方センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9