(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電子機器、及びガスケット
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20250109BHJP
H05K 5/06 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H05K5/02 L
H05K5/06 D
(21)【出願番号】P 2023532716
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2022008406
(87)【国際公開番号】W WO2023162265
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】312001937
【氏名又は名称】株式会社パトライト
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】冨本 昌男
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-046030(JP,A)
【文献】国際公開第2021/014497(WO,A1)
【文献】特開2007-092729(JP,A)
【文献】国際公開第2005/121612(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H05K 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に積層され、電子部品を収容する円柱状の積層ユニットを少なくとも1つ備えた積層体と、
前記積層ユニットのうち、前記第1方向の端部に設けられる端部積層ユニットに取り付けられ、天壁部と、前記天壁部の周縁から延びる側壁部と、を有する蓋部材と、
前記端部積層ユニットと前記蓋部材との間に取り付けられる環状のガスケットと、
を備え、
前記端部積層ユニットの外周面には、前記ガスケットが収容される環状の取付溝が形成され、
前記取付溝は、前記第1方向の前記蓋部材側の第1面、前記第1方向における前記第1面とは反対側の第2面、及び前記第1方向に沿って延び前記第1面及び第2面を連結する第3面と、を備え、
前記ガスケットは、
前記第1方向に延び、第1端部及び第2端部を有する基部と、
前記基部における、前記第1方向の前記端部積層ユニット側の第1端部において、径方向の内方及び外方にそれぞれ延びる、環状の第1突部と、
前記基部における、前記第1突部よりも前記第1方向の前記蓋部材側において、径方向の内方及び外方にそれぞれ延びる、少なくとも1つの環状の第2突部と、
を備え、
前記第1突部及び前記第2突部の径方向内方及び外方の端部が、それぞれ前記第3面及び前記側壁部に接するように構成され、
前記第1突部及び前記基部の第1端部の少なくとも一部が、前記取付溝の第2面に接するように構成され
ており、
前記第1突部の径方向の長さは、前記第2突部の径方向の長さよりも長く、
前記取付溝の前記第3面には、前記ガスケットの前記第1突部が収容され、径方向内方に延びる環状の凹部が形成されている、電子機器。
【請求項2】
第1方向に積層され、電子部品を収容する円柱状の積層ユニットを2以上有する積層体と、
第1方向に隣接する前記積層ユニットの間に設けられるガスケットと、
を備え、
前記第1方向に隣接する2以上の前記積層ユニットは、少なくとも、前記第1方向の一方側に配置される第1積層ユニットと、前記第1方向の他方側に配置される第2積層ユニットと、を備え、
前記第2積層ユニットの軸方向の端部から前記第1積層ユニット側に延びる環状の側壁部が設けられ、
前記第1積層ユニットの外周面には、前記ガスケットが収容される環状の取付溝が形成され、
前記取付溝は、前記第1方向の前記第2積層ユニット側の第1面、前記第1方向における前記第1面とは反対側の第2面、及び前記第1方向に沿って延び前記第1面及び第2面を連結する第3面と、を備え、
前記ガスケットは、
前記第1方向に延び、第1端部及び第2端部を有する基部と、
前記基部における、前記第1方向の前記第1積層ユニット側の前記第1端部において、径方向の内方及び外方にそれぞれ延びる環状の第1突部と、
前記基部における、前記第1突部よりも前記第2端部側において、径方向の内方及び外方にそれぞれ延びる、少なくとも1つの環状の第2突部と、
を備え、
前記第1突部及び前記第2突部の径方向内方及び外方の端部が、それぞれ前記第3面及び前記側壁部に接触するように構成され、
前記第1突部及び前記基部の第1端部の少なくとも一部が、前記取付溝の第2面に接するように構成されて
おり、
前記第1突部の径方向の長さは、前記第2突部の径方向の長さよりも長く、
前記取付溝の前記第3面には、前記ガスケットの前記第1突部が収容され、径方向内方に延びる環状の凹部が形成されている、電子機器。
【請求項3】
2以上の前記第2突部が、前記第1方向に所定間隔をおいて形成されている、請求項1
または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記基部の前記
第1端部は、前記取付溝の前記第2面に接触可能な平坦面が形成されている、請求項1から
3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれかに記載の電子機器に取り付けられる前記ガスケットと、同一構成を有するガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水性能が要求される電子機器、及びガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、Xリングと称するガスケットが開示されている。このガスケットは断面がX字状に形成されており、その断面において、4つの突部が概ね90度おきに突出するように構成されている。そして、このガスケットは、止水性能が要求される2つの部材の間に配置されたときには、4つの突部によって、上下左右に均等な接触圧及び応力がガスケットに作用するため、高い止水性能を奏するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】"Xリング",[online],[2022年2月18日検索],インターネット <URL:https://www.sakura-seal.co.jp/category/1978440.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ガスケットは、隣接する突部の間に凹部が形成されているため、2つの部材の間で安定的に保持されないという問題がある。例えば、2つの部材を取り外したり、あるいは取り付けたりする場合、ガスケットといずれかの部材との間の摩擦抵抗によってガスケットが捻れる可能性があり、これによってガスケットが脱落するおそれもある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ガスケットを安定的に保持することができ、取付時あるいは取り外し時にガスケットが離脱するのを抑制することができる、電子機器、及びこれに取り付けられるガスケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の電子機器は、第1方向に積層され、電子部品を収容する円柱状の積層ユニットを少なくとも1つ備えた積層体と、前記積層ユニットのうち、前記第1方向の端部に設けられる端部積層ユニットに取り付けられ、天壁部と、前記天壁部の周縁から延びる側壁部と、を有する蓋部材と、前記端部積層ユニットと前記蓋部材との間に取り付けられる環状のガスケットと、を備え、前記端部積層ユニットの外周面には、前記ガスケットが収容される環状の取付溝が形成され、前記取付溝は、前記第1方向の前記蓋部材側の第1面、前記第1方向における前記第1面とは反対側の第2面、及び前記第1方向に沿って延び前記第1面及び第2面を連結する第3面と、を備え、前記ガスケットは、前記第1方向に延び、第1端部及び第2端部を有する基部と、前記基部における、前記第1方向の前記端部積層ユニット側の第1端部において、径方向の内方及び外方にそれぞれ延びる、環状の第1突部と、前記基部における、前記第1突部よりも前記第1方向の前記蓋部材側において、径方向の内方及び外方にそれぞれ延びる、少なくとも1つの環状の第2突部と、を備え、前記第1突部及び前記第2突部の径方向内方及び外方の端部が、それぞれ前記第3面及び前記側壁部に接するように構成され、前記第1突部及び前記基部の第1端部の少なくとも一部が、前記取付溝の第2面に接するように構成されている。
【0007】
本発明の第2の電子機器は、第1方向に積層され、電子部品を収容する円柱状の積層ユニットを2以上有する積層体と、第1方向に隣接する前記積層ユニットの間に設けられるガスケットと、を備え、前記第1方向に隣接する2以上の前記積層ユニットは、少なくとも、前記第1方向の一方側に配置される第1積層ユニットと、前記第1方向の他方側に配置される第2積層ユニットと、を備え、前記第2積層ユニットの軸方向の端部から前記第1積層ユニット側に延びる環状の側壁部が設けられ、前記第1積層ユニットの外周面には、前記ガスケットが収容される環状の取付溝が形成され、前記取付溝は、前記第1方向の前記第2積層ユニット側の第1面、前記第1方向における前記第1面とは反対側の第2面、及び前記第1方向に沿って延び前記第1面及び第2面を連結する第3面と、を備え、前記ガスケットは、前記第1方向に延び、第1端部及び第2端部を有する基部と、前記基部における、前記第1方向の前記積層ユニット側の前記第1端部において、径方向の内方及び外方にそれぞれ延びる環状の第1突部と、前記基部における、前記第1突部によりも前記第2端部側において、径方向の内方及び外方にそれぞれ延びる、少なくとも1つの環状の第2突部と、を備え、前記第1突部及び前記第2突部の径方向内方及び外方の端部が、それぞれ前記第3面及び前記側壁部に接触するように構成され、前記第1突部及び前記基部の第1端部の少なくとも一部が、前記取付溝の第2面に接するように構成されている。
【0008】
上記各電子機器において、前記第1突部の径方向の長さは、前記第2突部の径方向の長さよりも長く、前記取付溝の前記第3面には、前記ガスケットの前記第1突部が収容され、径方向内方に延びる環状の凹部を形成することができる。
【0009】
上記各電子機器においては、2以上の前記第2突部を、前記第1方向に所定間隔をおいて形成することができる。
【0010】
上記各電子機器において、前記基部の前記第2端部には、前記取付溝の前記第2面に接触可能な平坦面を形成することができる。
【0011】
本発明のガスケットは、上述したいずれかの電子機器に取り付けられる前記ガスケットと、同一構成を有している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガスケットを安定的に保持することができ、取付時あるいは取り外し時にガスケットが離脱するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る電子機器を信号灯に適用した一実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る電子機器を信号灯に適用した場合の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。この信号灯は、例えば、生産設備、プリンタ等の状態が変化する各種の装置に取り付けられ、状態の変化を信号によって報知するように構成されている。
図1は信号灯の側面図、
図2は
図1の信号灯の分解側面図、
図3は
図1の信号灯の分解斜視図、
図4は
図1の信号灯の分解断面図である。以下では、各図に示す方向にしたがって説明を行うが、本発明はこれらの方向に限定されずに構成することができる。
【0015】
<1.信号灯の概要>
図1~
図4に示すように、本実施形態に係る信号灯は、円筒状のベースユニット1と、ベースユニット1の上部に取り付けられる照明ユニット2と、照明ユニット2の上部に取り付けられる蓋部材3と、を備えている。また、ベースユニット1と照明ユニット2との間、及び照明ユニット2と蓋部材3との間には、それぞれ環状のガスケット4が設けられ、これらガスケット4によってベースユニット1及び照明ユニット2内への水などの侵入を防止するようにしている。
【0016】
照明ユニット2の外周面は着色された透光性の外壁部21によって構成されており、この外壁部21の内部にLED等の光源など、各種電子部品が収容されている。ベースユニット1の外周面は、円筒状の外壁部11で構成されており、この外壁部11の内部には、上述した生産設備から制御信号を受信し、この制御信号に基づいて、照明ユニット2の光源の点灯を制御するコントローラ、電源などの各種電子部品が収容されている。また、照明ユニット2及びベースユニット1には、後述するように、照明ユニット2をベースユニット1に取り付けた際に、両者を電気的に接続するコネクタ28(ベースユニット1のコネクタのみ表示)がそれぞれ設けられている。
【0017】
蓋部材3は、円板状の天壁部31と、この天壁部31の周縁から下方に延びる円筒状の側壁部32とを有している。照明ユニット2の外壁部21の上端部の外周面は、径方向内方に凹んでおり、この凹んだ部分に蓋部材3の側壁部32が嵌まるようになっている。これにより、蓋部材3の側壁部32の外周面と照明ユニット2の外周面は、面一になるように接続される。
【0018】
また、照明ユニット2の外壁部21の下端部は下方に突出している。ベースユニット1の外壁部11の上端部の外周面は、径方向内方に凹んでおり、この凹んだ部分に照明ユニット2の外壁部21の下端部が嵌まるようになっている。これにより、照明ユニット2の外周面とベースユニット1の外周面は、面一になるように接続される。
【0019】
<2.シール構造>
次に、ベースユニット1と照明ユニット2との間、及び照明ユニット2と蓋部材3との間にガスケット4を用いて形成されるシール構造について説明する。これら2つのシール構造は概ね同じであるため、以下では、照明ユニット2と蓋部材3との間のシール構造について、
図5及び
図6を参照しつつ説明する。
図5はシール構造の拡大した分解図、
図6は蓋部材の断面図、
図7は照明ユニットの側面図、
図8はガスケットの断面図である。
【0020】
まず、蓋部材3の側壁部32について説明する。
図5及び
図6に示すように、蓋部材3の側壁部32は、天壁部31から下方に延びる第1部位321、第1部位321から下方に延びる第2部位322、及び第2部位322から下方に延びる第3部位323を備えている。これらの部位321~323の肉厚は、第1部位321、第2部位322、及び第3部位323の順に薄くなっている。また、各部位321~323の外周面は連続している。したがって、側壁部32の内壁面においては、第1部位321と第2部位322の間に第1段部324、第2部位322と第3部位323との間に第2段部325が形成されている。また、第2段部325と第2部位322の内壁面との間には斜めに延びるテーパ面326が形成されている。
【0021】
また、
図6に示すように、第1部位321の内壁面には、第1段部324から上方に延びる複数の凹部33が、周方向に所定間隔をおいて形成されている。本実施形態では、一例として4個の凹部33が形成されている。各凹部33は、周方向の一方側に上下方向に延びる第1縁部331を有し、周方向の他方側に、上方に行くにしたがって第1縁部331から離れるように延びる第2縁部332を有している。
【0022】
次に、照明ユニット2の外壁部21について説明する。
図5及び
図7に示すように、外壁部21は、円筒状の本体部22と、この本体部22の上端面から上方に延びる第1延在部23と、この第1延在部23の上面から上方に延びる第2延在部24と、を備えている。本体部22の上端の外縁には、断面矩形状の切り欠き部221が環状に形成されており、この切り欠き部221に、蓋部材3の第3部位323が嵌まるようになっている。
【0023】
第1延在部23は、本体部22の上端面の外縁よりも径方向内方から上方に延びている。また、第1延在部23の外周面の下端部には、ガスケット4が取り付けられる環状の取付溝25が形成されている。取付溝25は、本体部22の上端面と連続する下面252(第2面)と、この下面252と対向し、下面252よりも上方に位置する上面251(第1面)と、上面251と下面252とを連結し、上下方向に延びる側面253(第3面)とを有しており、これら上面251、下面252、及び側面253によって囲まれる空間が取付溝25を形成している。また、側面253の下端部には、径方向内方に凹む環状の凹部254が形成されている。この凹部254の下面は、下面252と連続している。
【0024】
第2延在部24の外周面には、蓋部材3の第1部位321に形成された凹部33に嵌まる複数の係合部26が形成されている。本実施形態では4個の係合部26が形成されており、これら係合部26は、周方向に所定間隔をおいて形成されている。各係合部26は、第2延在部24の上端から下方に延びるように形成されている。具体的には、各係合部26は、周方向の一方側で下方に延びる第1縁部261、周方向の他方側で下方に延びる第2縁部262、及び第1縁部261と第2縁部262の下端部同士を連結する下縁部263を有している。第1縁部261の長さは第2縁部262の長さよりも長くなっており、これによって、下縁部263は第1縁部261から第2縁部262に向かって上方に傾斜している。また、各係合部26の周方向の幅は、蓋部材3の凹部33の周方向の幅よりも狭くなっている。
【0025】
次に、ガスケット4について説明する。
図8に示すように、ガスケット4は、上下方向に延びる環状の基部41を有している。そして、この基部41には、径方向外方及び内方にそれぞれ延びる3つの突部、つまり下突部(第1突部)42、中突部(第2突部)43、及び上突部(第2突部)44が連結されている。3つの突部42~44は、上下方向に所定間隔をおいて配置されており、断面においては基部41を挟んで径方向内方及び外方に対称となるように形成されている。下突部42は、基部41の下端部に形成されており、基部41の下端部とともに、ガスケット4の下端部に平坦な下端面を形成している。そして、ガスケット4の下端面は、取付溝25の下面に接するとともに、下突部42において径方向内方に延びる部分が、取付溝25の凹部254に嵌まっている。より詳細には、下突部42の径方向内方の端部は、凹部254の径方向内方の奥端面に接するように構成されている。中突部43及び上突部44は、径方向の長さが同じであるが、下突部42よりも短くなっており、これらの径方向内方の部分は、取付溝25の側面253に接するように構成されている。また、これら3つの突部42~44の径方向外方の端部は、蓋部材3の第2部位322の内壁面に接するように構成されている。
【0026】
基部41の上端部は、上突部44から上方に突出しており、その上端面は平坦に形成されている。また、ガスケット4の上下方向の長さは、取付溝25の上下方向の長さよりもやや短くなっている。
【0027】
ガスケット4を構成する材料としては、公知のガスケット4として採用される材料であればよく、例えば、シリコンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴムフッ素ゴム等により形成することができる。
【0028】
以上、照明ユニット2と蓋部材3との間のシール構造について説明したが、同様の構成が、照明ユニット2とベースユニット1との間のシール構造にも形成されている。すなわち、照明ユニット2の外壁部21の下端部は、下方に突出しており、この下端部が、蓋部材3の側壁部32と同様に構成されている。また、ベースユニット1の外壁部11の上端部は、照明ユニット2の外壁部21の上端部と同様に構成されている。そして、照明ユニット2の外壁部21の下端部と、ベースユニット1の外壁部11の上端部との間にガスケット4が配置され、シール構造を構成している。
【0029】
<3.照明ユニットに対する蓋部材の取り付け及び取り外し>
最初に、照明ユニットに対する蓋部材の取り付けについて、
図9~
図12を参照しつつ説明する。まず、
図9に示すように、ガスケット4を押し広げながら取付溝25に取り付け、下突部42の下端面が、取付溝25の下面252に接し、下突部42の径方向内方の部分が凹部254に嵌まるように配置する。このとき、ガスケット4の弾性力により、上突部44及び中突部43の径方向内方の端部が取付溝25の側面253に押しつけられ、下突部42の径方向内方の端部が凹部254の奥端面に押しつけられる。
【0030】
次に、蓋部材3を上方から照明ユニット2の上端部に取り付ける。このとき、蓋部材3の側壁部32の凹部33と、照明ユニット2の係合部26との周方向の位置が一致するように位置合わせを行う。続いて、蓋部材3を照明ユニット2に向かって下方に移動する。この過程においては、
図10~
図12に示すように、蓋部材3の側壁部32が上突部44、中突部43、及び下突部42の順に接していく。そして、
図12に示すように、蓋部材3の側壁部32の下端部、つまり第3部位323が、照明ユニット2の切り欠き部221に嵌まるときには、テーパ面326が下突部42の径方向外方の端部に接する。これに続いて、蓋部材3を周方向に回転させると、係合部26の下縁部263が、蓋部材3の凹部33の第2縁部332に沿って移動し、両者が係合する。こうして、蓋部材3の取付作業が完了する。
【0031】
続いて、照明ユニット2からの蓋部材3の取り外しについて、説明する。まず、蓋部材3を上記取付とは周方向の反対側に回転させる。これにより、照明ユニット2の係合部26と、蓋部材3の凹部33との係合状態が解除される。次に、蓋部材3を照明ユニット2から上方に移動させる。このとき、まず、テーパ面326と下突部42の接触が解除され、さらに蓋部材3を上方に移動すると、中突部43及び上突部44の順に、側壁部32との接触が解除される。こうして、蓋部材3が照明ユニット2から取り外される。
【0032】
<4.特徴>
以上のように構成された信号灯によれば、次の効果を得ることができる。
【0033】
(1)3つの突部42~44がそれぞれ、基部41から径方向内方及び外方に突出しているため、例えば、各突部42~44が径方向外方から蓋部材3の側壁部32によって押圧されると、その力は水平方向に各突部42~44の径方向内方の部分に伝達され、取付溝25の側面253に押しつけられる。したがって、各突部42~44において、径方向内方及び外方の端部に均一に力を作用させることができる。その結果、止水性能を向上することができる。
【0034】
(2)ガスケット4の外周面及び内周面の全体が、蓋部材3の側壁部32及び照明ユニット2の取付溝25に接しておらず、3つの突部42~44のみが接するように構成されている。したがって、接触圧が分散せず、確実に止水を行うことができる。また、蓋部材3との接触面積が小さいため、蓋部材3の取り付け及び取り外し時の摩擦抵抗を低減することができる。したがって、取付時及び取り外し時の作業の負荷を低減することができる。
【0035】
(3)下突部42の下端面が平坦であり、取付溝25の下面252に接しているため、ガスケット4を安定的に取付溝25に保持することができる。
【0036】
(4)特に、下突部42の径方向の長さが、上突部44及び下突部43よりも長いため、この効果が大きくなる。例えば、蓋部材3を取り付けるとき、側壁部32がガスケット4に接しながら下方に移動する際に、側壁部32との摩擦によってガスケット4が下方に捻れたり、取付溝25から離脱するのを防止することができる。一方、蓋部材3を取り外すとき、側壁部32がガスケット4に接しながら上方に移動する際には、下突部42の径方向内方の部分が取付溝25の凹部254に嵌まっているため、側壁部32との摩擦でガスケット4が捻れたり、ガスケット4が上方に引き上げられて取付溝25から離脱するのを防止することができる。
【0037】
(5)ガスケット4の基部41の上端面が平坦であるため、蓋部材3を取り外すときには、仮にガスケット4が上方に引き上げられても、基部41の上端面が取付溝25の上面251に接するため、ガスケット4が捻れるのを防止することができる。
【0038】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下に説明する変形例は適宜組み合わせ可能である。また、以下の変形例は、後述する第2実施形態においても適宜適用することができる。
【0039】
<5-1>
上記実施形態では、ガスケット4に3つの突部42~44を設けているが、突部42~44の数は特には限定されず、下突部42に加え、これよりも上方に少なくとも1つの突部が設けられていればよい。また、各突部42~44の径方向の長さは特には限定されず、例えば、取付溝25や側壁部32の形状に合わせて適宜設定することができる。したがって、例えば、取付溝25の側面253に凹部254が形成されていなくてもよく、この場合には、下突部42の径方向の長さを他の突部の径方向の長さと同じにすることができる。
【0040】
また、基部41の上端部が上突部44から突出していなくてもよく、最も上方にある突部の上面が平坦であってもよい。
【0041】
例えば、
図13に示すようなガスケット4を用いたシール構造であってもよい。
図13に示す例では、ガスケット8に下突部42及び上突部43の2つの突部が設けられている。また、これら2つの突部42,43は径方向の長さが同じである。そのため、取付溝25には上記実施形態で示した凹部254は形成されていない。また、基部41の上端は上突部43から突出しておらず、上突部43の上面と連続している。ガスケット4がこのような構造であっても、少なくとも上述した特徴の(1)~(3)を得ることができる。
【0042】
<5-2>
上記実施形態では、蓋部材3を取り付ける際、照明ユニット2に対して蓋部材3を下方に向けて軸方向に移動させた後、周方向に回転させているが、蓋部材3を軸方向に移動させるだけで、照明ユニット2に取り付けるようにしてもよい。この場合、蓋部材3の凹部33と、照明ユニット2の係合部26は設けなくてもよい。
【0043】
<5-3>
蓋部材3の側壁部32の形状は特には限定されず、少なくともガスケット4の突部42~44に接するように形成されていればよい。同様に、照明ユニット2の延在部23,24の形状も特には限定されず、少なくとも取付溝25が形成され、ガスケット4の突部42~44が側面253に接し、下突部42の下端面が下面252に接するように構成されていればよい。
【0044】
<5-4>
上記実施形態では、蓋部材3と照明ユニット2の間、及び照明ユニット2とベースユニット1との間にシール構造が形成されているが、例えば上記<5-1>、<5-3>に記載のようにシール構造が形成されていれば、必ずしも同一でなくてもよい。また、蓋部材3と照明ユニット2の間、及び照明ユニット2とベースユニット1との間のいずれか一方にのみ上記シール構造が形成されていてもよく、他方には、本発明以外のシール構造が設けられていてもよい。
【0045】
<5-5>
上記実施形態では、照明ユニット2とベースユニット1を1つずつ設けているが、これらの数は特には限定されない。例えば、複数の照明ユニット2を積層することもできる。この場合、隣接する積層ユニットの間に上記シール構造を設けることができる。
【0046】
<5-6>
上記実施形態では、本発明の電子機器を信号灯に適用したが、少なくとも1つの積層ユニットを有する積層体と、積層ユニットの1つに取り付けられる蓋部材との間に上記シール構造を設けたり、あるいは、複数の積層ユニットを有する積層体において、隣接する積層ユニットの間に上記シール構造を設けることができる。この場合、積層ユニットは、照明用の光源ではなく、例えば、スピーカなどの音源、無線などの通信装置、センサなど、止水性能が必要な各種の電子機器が収容されたものとすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ベースユニット(積層ユニット)
2 照明ユニット(積層ユニット)
25 取付溝
3 蓋部材
31 天壁部
32 側壁部
4 ガスケット
41 基部
42 下突部(第1突部)
43 中突部(第2突部)
44 上突部(第2突部)