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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】車載アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20250109BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20250109BHJP
   H01Q 1/52 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H01Q1/22 A
H01Q1/32 Z
H01Q1/52
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023565750
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2021045007
(87)【国際公開番号】W WO2023105650
(87)【国際公開日】2023-06-15
【審査請求日】2024-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】関田 卓
(72)【発明者】
【氏名】中村 光範
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-009522(JP,A)
【文献】特開2010-130268(JP,A)
【文献】特開2020-075519(JP,A)
【文献】特開2008-078971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
H01Q 1/32
H01Q 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コックピットモジュール内の車載アンテナであって、
コックピットモジュール内のダクト下部に配置されたノイズ源となる車載器から一定以上の距離をとってダクト上部に配置され、
前記ダクトとは、当該車載アンテナよりも熱伝導率が高い金属ブラケットを介して設置されている、
車載アンテナ。
【請求項2】
左右のAピラーから一定以上の距離をとって配置した
請求項1に記載の車載アンテナ。
【請求項3】
波長に応じて前記コックピットモジュールとの距離をとった、
請求項1または2に記載の車載アンテナ。
【請求項4】
フロントウィンドウの下部に配置した、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の車載アンテナ。
【請求項5】
上部がガラス透過性であり、5G通信可能な、
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の車載アンテナ。
【請求項6】
前記金属ブラケットは、前記ダクトよりも熱伝導率が高い金属ブラケットである、
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の車載アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁波ノイズを低減できる車載アンテナが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、車両内に配索されるワイヤハーネスから発生する電磁波ノイズを低減するために、垂直偏波指向性を有する電磁波ノイズの受信を低減・除去する水平偏波受信アンテナと、水平偏波指向性を有する電磁波ノイズの受信を低減・除去する垂直偏波受信アンテナと、前記水平偏波受信アンテナと垂直偏波受信アンテナとに接続され、これら受信アンテナからの受信信号を選択あるいは合成する信号合成・選択手段とを備えた受信アンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-78971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1等の従来技術は、偏波方向の違いによるアンテナを組み合わせたものであり、ノイズの到来方向によっては依然としてノイズの影響を受ける、という問題がある。
【0006】
また、5G(5th generation mobile communication system)など、高周波の通信を行う場合に、熱を発生しやすいという問題が顕著になる。
【0007】
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、車内のノイズからの影響を低減させるとともに、発生する熱を適切に逃がし、良好な通信を行うことができる車載アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる車載アンテナ11は、コックピットモジュール10内の車載アンテナ11であって、コックピットモジュール10内のダクト12下部に配置されたノイズ源となる車載器13から一定以上の距離をとってダクト12上部に配置した車載アンテナ11である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車内のノイズからの影響を低減させるとともに、発生する熱を適切に逃がし、良好な通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、車両1の横方向から見た、車載アンテナ11の配置の一例を示す図である。
図2図2は、車両1の正面方向から見た、車載アンテナ11の配置の一例を示す図である。
図3図3は、特許文献1等の従来例における問題点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1.構成]
以下、図面を参照しながら、本開示の例示的な実施形態を説明する。
【0012】
本実施形態に係る車載アンテナ11の配置例について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、車両1の横方向から見た、車載アンテナ11の配置の一例を示す図であり、図2は、車両1の正面方向から見た、車載アンテナ11の配置の一例を示す図である。なお、図2では、コックピットモジュール10の上部ケースが図示されている。
【0013】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る車載アンテナ11は、コックピットモジュール10の内部にあって、エアコンなどのダクト12の上部に、ノイズ源となる車載器13から一定以上の距離をとって配置されている。車載アンテナ11は、車載用ラジオメディアや通信に用いるアンテナである。
【0014】
ノイズ源となる車載器13としては、特に限定されないが、例えば、ブロアモーターなどの電磁波ノイズ源となるアクチュエータや電装品あるいはハーネス等である。なお、ノイズ源となる車載器13とダクト12とは接触させないことが望ましい。
【0015】
ここで、図3は、特許文献1等の従来例における問題点を示す図である。特許文献1では、車両内の電磁波ノイズを低減するために、垂直偏波指向性を有する電磁波ノイズの受信を低減・除去する水平偏波受信アンテナと、水平偏波指向性を有する電磁波ノイズの受信を低減・除去する垂直偏波受信アンテナと、を備え、これら受信アンテナからの受信信号を選択あるいは合成している。
【0016】
しかしながら、図3に示すように、水平偏波アンテナは、水平偏波方向のノイズとともに、45°方向のノイズを拾ってしまい、垂直偏波アンテナは、垂直方向のノイズとともに、45°方向のノイズを拾ってしまう。したがって、45°方向など特定のノイズ到来方向のノイズによる影響を依然として受けるという問題がある。
【0017】
本実施形態では、図1および図2に図示したように、車載アンテナ11は、エアコンなどのダクト12の上部に、電磁波ノイズ源となる車載器13から一定以上の距離をとって配置されているので、電磁波ノイズの影響を低減させることができる。
【0018】
電磁波ノイズ低減の観点から、より具体的には、図1に示すように、ノイズ源となる車載器13は、ダクト12下部に配置されることが望ましい。車載アンテナ11と電磁波ノイズ源となる車載器13とは、ダクト12を間にはさんで配置することにより、すなわち、ノイズ発生源である車載器13はダクト12を介して車載アンテナ11設置面と対抗するダクトの面に設置することにより、電磁波ノイズの影響をより低減させることができる。
【0019】
なお、5Gなど高周波数のアンテナの場合、熱の発生が顕著になるが、ダクト12の上部に配置したことにより、ダクト12からの排熱を期待できる。なお、暖房時のエアコンダクト内の送風の温度も考慮して設置してもよい。
【0020】
ここで、車載アンテナ11は、ダクト12とは熱伝導可能に設置されていることが好ましい。例えば、図2に示すように、車載アンテナ11は、金属ブラケット14を介して、ダクト12上部に設置されていてもよい。これにより、車載アンテナ11に発生した熱は、金属ブラケット14を伝わって、ダクト12に移動することができる。
【0021】
また、金属ブラケット14を、車載アンテナ11よりも熱伝導率が高い熱伝導部材としてもよく、これにより、車載アンテナ11に発生した熱は、効率よく金属ブラケット14側に伝達される。さらに、金属ブラケット14は、ダクト12よりも熱伝導率が高い熱伝導部材としてもよく、これにより、ダクト12で発生した熱は、効率よく金属ブラケット14側に伝達される。
【0022】
ここで、通信品質の観点から、車載アンテナ11は、左右のAピラーの中央付近、例えば、左右のAピラー(フロントピラー)から一定以上の距離をとって配置することが望ましい。これにより、Aピラーの影響により通信品質の低下を抑えることが可能となる。
【0023】
また、車載アンテナ11は、波長に応じてコックピットモジュール10上部との距離をとって配置してもよい。例えば、5G通信では波長が短いため、なるべくコックピットモジュール10の上部に設置する。これにより、より良好な通信品質に寄与することができる。
【0024】
また、車載アンテナ11は、通信品質の観点から、上部にフードやルールなどの遮蔽物がないことが望ましい。具体的には、車載アンテナ11は、フロントウィンドウの下部に配置してもよい。また、車載アンテナ11が、5G通信可能で、上部がガラス透過性であってもよい。これにより、一層より良好な通信品質に寄与することができる。
【0025】
なお、コックピットモジュール10は、インストルメントパネルあるいはダッシュボードと呼ばれるものであってもよく、この場合、本実施形態において、「コックピットモジュール」を「インストルメントパネル」あるいは「ダッシュボード」に読み替えて適用してもよいものである。
【0026】
以上が、本実施形態の一例の説明を終える。なお、本実施形態で説明した配置例や要素は、任意に組み合わせて実施してもよいものである。
【0027】
[2.効果]
以上、詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0028】
本実施形態にかかる車載アンテナ11は、コックピットモジュール10内の車載アンテナ11であって、コックピットモジュール10内のダクト12上部に、ノイズ源となる車載器13から一定以上の距離をとって配置したものである。これにより、ノイズ源となる車載器13から一定以上の距離をとって配置したので、車内のノイズからの影響を低減させるとともに、ダクト12上部に配置したことにより、発生する熱を適切に逃がし、良好な通信を行うことができる。
【0029】
また、車載アンテナ11は、ダクト12とは熱伝導可能に設置されていてもよい。これにより、車載アンテナ11で発生した熱を効率よく逃がすことができる。
【0030】
また、車載アンテナ11は、ダクト12と金属14を介して設置されていてもよい。これにより、車載アンテナ11で発生した熱を効率よく逃がすとともに、電磁波ノイズの影響を金属遮蔽することができる。
【0031】
また、金属14は、車載アンテナ11よりも熱伝導率が高い金属ブラケット14であってもよい。これにより、車載アンテナ11に発生した熱は、効率よく金属ブラケット14に移行することができる。
【0032】
また、車載アンテナ11は、Aピラー中央付近に、左右のAピラーから一定以上の距離をとって配置してもよい。これにより、Aピラーによる通信品質の低下を防ぐことができる。
【0033】
また、車載アンテナ11は、波長に応じてコックピットモジュールとの距離をとって配置してもよい。5G通信など波長が短いほど、コックピットモジュール10の上部に設置することにより、より良好な通信品質に寄与することができる。
【0034】
また、車載アンテナ11は、フロントウィンドウの下部に配置してもよい。車載アンテナ11の上部にフードやルールなどの遮蔽物がないので、通信品質に寄与することができる。
【0035】
また、車載アンテナ11は、5G通信可能であり、上部がガラス透過性であってもよい。これにより、一層より良好な通信品質に寄与することができる。
【0036】
また、車載器13は、ダクト12下部に配置されてもよい。これにより、ダクト12上部の車載アンテナ11とは、ダクト12をはさんで対抗して配置されるので、電磁波ノイズの影響を一層低減することができる。
【0037】
金属ブラケット14は、ダクト12よりも熱伝導率が高い熱伝導部材としてもよく、これにより、ダクト12で発生した熱は、効率よく金属ブラケット14側に伝達される。
【0038】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0039】
上述の実施形態では、車両1には、電磁波ノイズ源となる1つの車載器13があることを想定して説明を行ったが、複数の車載器13を備えていてもよい。
【0040】
上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 車両
10 コックピットモジュール
11 車載アンテナ
12 ダクト
13 車載器
14 金属(ブラケット)
図1
図2
図3