(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】精製装置
(51)【国際特許分類】
B03B 5/36 20060101AFI20250109BHJP
B01F 33/452 20220101ALI20250109BHJP
B01F 35/92 20220101ALI20250109BHJP
【FI】
B03B5/36
B01F33/452
B01F35/92
(21)【出願番号】P 2023570689
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2022040299
(87)【国際公開番号】W WO2023127276
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2021213667
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 将晶
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-61691(JP,A)
【文献】特開2020-176288(JP,A)
【文献】国際公開第2015/162680(WO,A1)
【文献】特開2013-190245(JP,A)
【文献】特表平6-506630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03B 5/36
B01F 33/452
B01F 35/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を精製する精製装置であって、
前記試料を収容する容器と、
前記容器の下方に配置され、前記容器に収容された前記試料を加熱する加熱装置と、
前記容器と前記加熱装置との間に配置され、前記容器に熱的に接続される第1の主面と、前記加熱装置に熱的に接続されかつ前記第1の主面と反対側の第2の主面とを有する伝熱板と、
前記第1の主面における前記容器の周辺に配置された封止部材と
、
前記第1の主面における前記容器の周辺において、前記第1の主面に重なるように配置された支持板とを備え
、
前記封止部材は、断熱性を有し、かつ前記第1の主面と前記支持板との隙間に配置される、精製装置。
【請求項2】
前記第1の主面は前記容器に接し、かつ/または、前記第2の主面は前記加熱装置に接している、請求項1に記載の精製装置。
【請求項3】
前記加熱装置は、恒温スターラであり、
前記容器の内部に設けられ、前記加熱装置からの磁力によって前記試料を撹拌する撹拌子をさらに備え、
前記伝熱板は、非磁性体である、請求項1に記載の精製装置。
【請求項4】
前記容器に設けられ、前記容器内の廃液を排出するための排出ポートをさらに備える、請求項1に記載の精製装置。
【請求項5】
前記容器は、第1の部材と第2の部材とに分割可能である、請求項1に記載の精製装置。
【請求項6】
前記試料に含まれる夾雑物を処理するための分解液を前記容器に導入するための第1ポートと、
前記試料を比重差によって分離するための重液を前記容器に導入するための第2ポートと、
前記重液の導入によって生じた上澄み液を前記容器の外部に排出するための排出部と、
前記第1ポートにおける前記分解液の導入および前記第2ポートにおける前記重液の導入を制御する制御装置とをさらに備える、請求項1に記載の精製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試料を精製する精製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試料を精製することによって成分を回収する技術が公知である。たとえば、非特許文献1には、水性堆積物を精製することによってマイクロプラスチックを回収する方法が開示されている。非特許文献1に開示されたマイクロプラスチックの回収方法においては、水性堆積物を収容する容器にスタンドパイプが取り付けられるとともに、ボール弁を介してスタンドパイプにフィルタホルダが取り付けられる。容器に収容された水性堆積物は、容器の下方に配置されたロータによって撹拌されながら分離液が導入されて分離され、その後、さらに分離液が追加されることによって液面が上昇し、マイクロプラスチックが回収可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「A novel, highly efficient method for the separation and quantification of plastic particles in sediments of aquatic environments」、[令和3年12月10日検索]、インターネット<URL:https://aslopubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.4319/lom.2012.10.524>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に開示されたマイクロプラスチックの回収方法によれば、水性堆積物からマイクロプラスチックを回収することが可能であるが、水性堆積物などの液体の処理中に容器とスタンドパイプとの間、あるいは、フィルタホルダを介して、処理中の液体が外部に漏れるおそれがある。容器から漏れた液体が容器の下方に配置されたロータ装置にかかると、ロータ装置に不具合が生じることによって試料精製の精度が低下するなどの不都合が生じるおそれがある。
【0005】
本開示は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、試料の精製中における液漏れによる不都合の発生を防止する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従う精製装置は、試料を収容する容器と、容器の下方に配置され、容器に収容された試料を加熱する加熱装置と、容器と加熱装置との間に配置され、容器に熱的に接続される第1の主面と、加熱装置に熱的に接続されかつ第1の主面と反対側の第2の主面とを有する伝熱板と、第1の主面における容器の周辺に配置された封止部材と、第1の主面における容器の周辺において、第1の主面に重なるように配置された支持板とを備え、封止部材は、断熱性を有し、かつ第1の主面と支持板との隙間に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、試料の精製中に容器からの液漏れが発生したとしても、伝熱板および封止部材によって液体が加熱装置にかかることを防ぐことができるため、液漏れによる不都合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る精製装置を模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態に係る精製器の構成を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る精製装置のハードウェア構成を説明するための図である。
【
図4】実施の形態に係る精製装置が実行する精製処理のフローチャートである。
【
図6】実施の形態に係る精製器の一部分を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一の符号を付して、その説明は原則的に繰り返さない。
【0010】
[精製装置の主な構成]
図1および
図2を参照しながら、実施の形態に係る精製装置1および精製装置1に含まれる精製器100の主な構成を説明する。
図1は、実施の形態に係る精製装置1を模式的に示す図である。
図2は、実施の形態に係る精製器100の構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、精製装置1は、混合試料を精製するための精製器100と、精製器100を制御する制御装置500とを備える。実施の形態に係る精製装置1は、制御装置500によって精製器100を制御することによって、混合試料を精製し、混合試料に含まれる回収対象となる成分を回収する。「精製」とは、混合物から純物質(成分)を取り出すことを含む。
【0012】
精製装置1によって精製される「混合試料」は、回収対象となる成分を含むものであればいずれのものでもよい。たとえば、「混合試料」としては、海中または海岸から収集される海水および砂、食品および化粧品などの加工品などが挙げられる。実施の形態においては、「混合試料」として、海中または海岸から収集される海水および砂が例示される。なお、以下では、「混合試料」を単に「試料」とも称する。
【0013】
精製装置1の回収対象となる「成分」は、精製装置1によって回収される成分であればいずれのものでもよい。たとえば、「成分」としては、5mm以下の大きさを有する微細なプラスチック粒子であるマイクロプラスチックが挙げられる。実施の形態においては、「成分」として、海中または海岸から収集される海水および砂に含まれるマイクロプラスチックが例示される。
【0014】
図1および
図2に示すように、精製器100は、試料を収容する容器50と、配管11~22と、ポンプ31~33と、電磁弁41~43と、ポート61~64と、スターラ71と、撹拌子72と、排出管80と、分解液リザーバ110と、重液リザーバ120と、リンス液リザーバ130と、廃液リザーバ140,150と、検出フィルタ210と、上澄み液リザーバ215と、ケース300とを備える。
【0015】
容器50は、第1の部材51と、第1の部材51の上方に位置する第2の部材52とを含み、第1の部材51と第2の部材52とに分割可能である。ユーザは、第1の部材51から第2の部材52を分離させることによって、第1の部材51の内部に試料を収容し、固定具(図示せず)などを用いて第2の部材52を第1の部材51に接続させることによって、容器50の内部に試料を収容することが可能である。実施の形態に係る容器50においては、第1の部材51が円形の底面を有する円柱状で構成されている。なお、第1の部材51の底面は、円形に限らず、多角形または楕円など、その他の形状を有していてもよい。
【0016】
配管11は、分解液リザーバ110と電磁弁41とを接続する。配管12は、電磁弁41とポンプ31とを接続する。配管13は、ポンプ31と容器50の外周部分に設けられたポート61とを接続する。このように、分解液リザーバ110と容器50のポート61とは、電磁弁41およびポンプ31を介して、配管11,12,13によって接続されている。
【0017】
配管14は、重液リザーバ120と電磁弁42とを接続する。配管15は、電磁弁42とポンプ32とを接続する。配管16は、ポンプ32と容器50の外周部分に設けられたポート62とを接続する。このように、重液リザーバ120と容器50のポート62とは、電磁弁42およびポンプ32を介して、配管14,15,16によって接続されている。
【0018】
配管17は、リンス液リザーバ130と電磁弁41とを接続する。すなわち、電磁弁41は、配管11によって分解液リザーバ110に接続されている一方で、配管17によってリンス液リザーバ130にも接続されている。このように、リンス液リザーバ130と容器50のポート61とは、電磁弁41およびポンプ31を介して、配管17,12,13によって接続されている。
【0019】
配管18は、リンス液リザーバ130と電磁弁42とを接続する。すなわち、電磁弁42は、配管14によって重液リザーバ120に接続されている一方で、配管18によってリンス液リザーバ130にも接続されている。このように、リンス液リザーバ130と容器50のポート62とは、電磁弁42およびポンプ32を介して、配管18,15,16によって接続されている。
【0020】
配管19は、廃液リザーバ140と電磁弁43とを接続する。配管20は、電磁弁43とポンプ33とを接続する。配管21は、ポンプ33と容器50の外周部分に設けられたポート63とを接続する。このように、廃液リザーバ140と容器50のポート63とは、電磁弁43およびポンプ33を介して、配管19,20,21によって接続されている。
【0021】
配管22は、ポンプ33と容器50の外周部分に設けられたポート64とを接続する。すなわち、ポンプ33は、配管21によって容器50のポート63に接続されている一方で、配管22によって容器50のポート64にも接続されている。このように、廃液リザーバ140と容器50のポート64とは、電磁弁43およびポンプ33を介して、配管19,20,22によって接続されている。
【0022】
配管23は、廃液リザーバ150と電磁弁43とを接続する。すなわち、電磁弁43は、配管19によって廃液リザーバ140に接続されている一方で、配管23によって廃液リザーバ150にも接続されている。このように、廃液リザーバ150と容器50のポート63とは、電磁弁43およびポンプ33を介して、配管23,20,21によって接続されている。また、廃液リザーバ150と容器50のポート64とは、電磁弁43およびポンプ33を介して、配管23,20,22によって接続されている。
【0023】
分解液リザーバ110は、夾雑物を処理するための分解液を貯留する。「夾雑物」は、混合試料のうち、回収対象の成分以外の異物である。実施形態においては、「夾雑物」として、有機物の性質を有する有機夾雑物が例示される。「分解液」は、夾雑物を分解処理させるものであればいずれのものでもよい。実施形態においては、「分解液」は、有機夾雑物を分解する。たとえば、「分解液」としては、過酸化水素水(H2O2)、過酸化水素水(H2O2)と酸化鉄(II)(FeO)との混合物などの酸化剤が挙げられる。「混合試料」が海水および砂である場合、「有機夾雑物」としては、海水または砂に混じった木くずおよびプランクトンなどが挙げられる。
【0024】
重液リザーバ120は、比重差により試料を分離させるための重液を貯留する。「重液」は、比重差により試料を分離させるものであればいずれのものでもよい。実施形態においては、「重液」は、無機物の性質を有する無機夾雑物を比重差で沈降させる。たとえば、「重液」としては、塩化ナトリウム(NaCl)、ヨウ化ナトリウム(Nal)、塩化亜鉛(ZnCl2)などが挙げられる。「混合試料」が海水および砂である場合、「無機夾雑物」としては、砂、ガラス、および石などが挙げられる。「重液」の比重は、精製装置1の回収対象となる「成分」の比重よりも大きく、かつ、「無機夾雑物」の比重よりも小さく設定されている。たとえば、精製装置1の回収対象となる「成分」がマイクロプラスチックであり、「無機夾雑物」が砂、ガラス、および石などの場合、「重液」の比重は、マイクロプラスチックの比重よりも大きく、かつ、砂、ガラス、および石などの比重よりも小さく設定されればよい。具体的には、「重液」の比重は、約1.5~約1.7に設定されればよい。
【0025】
リンス液リザーバ130は、容器50内を洗浄するためのリンス液を貯留する。「リンス液」は、容器50内を洗浄するためのものであればいずれのものでもよい。たとえば、「リンス液」としては、水が挙げられる。なお、「リンス液」は、容器50内を洗浄する役割の他、容器50に導入される分解液を薄める役割を有する。
【0026】
廃液リザーバ140,150は、容器50から排出された重液、リンス液、および混合試料に含まれる海水などの廃液を貯留する。
【0027】
ポンプ31は、制御装置500の制御に基づき、分解液リザーバ110から吸い込んだ分解液またはリンス液リザーバ130から吸い込んだリンス液を、ポート61を介して容器50に導入する。
【0028】
ポンプ32は、制御装置500の制御に基づき、重液リザーバ120から吸い込んだ重液またはリンス液リザーバ130から吸い込んだリンス液を、ポート62を介して容器50に導入する。
【0029】
ポンプ33は、制御装置500の制御に基づき、ポート63またはポート64を介して容器50から吸い込んだ廃液を、廃液リザーバ140または廃液リザーバ150に排出する。
【0030】
電磁弁41は、制御装置500の制御に基づき、分解液リザーバ110と容器50のポート61との間の経路(配管11,12,13を介した経路)と、リンス液リザーバ130と容器50のポート61との間の経路(配管17,12,13を介した経路)とで、ポート61に接続される経路を切り替える。
【0031】
電磁弁42は、制御装置500の制御に基づき、重液リザーバ120と容器50のポート62との間の経路(配管14,15,16を介した経路)と、リンス液リザーバ130と容器50のポート62との間の経路(配管18,15,16を介した経路)とで、ポート62に接続される経路を切り替える。
【0032】
電磁弁43は、制御装置500の制御に基づき、廃液リザーバ140と容器50のポート63,64との間の経路(配管19,20,21を介した経路または配管19,20,22を介した経路)と、廃液リザーバ150と容器50のポート63,64との間の経路(配管23,20,21を介した経路または配管23,20,22を介した経路)とで、ポート63,64に接続される経路を切り替える。
【0033】
ポート61は、「第1ポート」の一例である。ポート61は、ポンプ31によって吸い込まれた分解液リザーバ110内の分解液またはリンス液リザーバ130内のリンス液を容器50に導入する。ポート62は、「第2ポート」の一例である。ポート62は、ポンプ32によって吸い込まれた重液リザーバ120内の重液またはリンス液リザーバ130内のリンス液を容器50に導入する。ポート63,64は、「排出ポート」の一例である。ポート63,64は、ポンプ33によって吸い込まれた容器50内の廃液を廃液リザーバ140または廃液リザーバ150に排出する。
【0034】
ポート61~64の内部には、フィルタ(図示せず)が設けられており、試料に含まれる成分が容器50から排出されないようになっている。フィルタは、回収対象のマイクロプラスチックをトラップできる大きさの網目を有するメッシュである。たとえば、フィルタ(メッシュ)は、SUS(Steel Use Stainless)製の金網またはPTFE(polytetrafluoroethylene)(テフロン(登録商標))製のメンブレンフィルタである。マイクロプラスチックを回収対象とする場合、フィルタ(メッシュ)の網目の大きさは、0.1~5.0mmの粒子を通さない大きさが必要であり、約0.1mmが好ましい。
【0035】
スターラ71は、「加熱装置」の一例である。スターラ71は、たとえば、マグネティックス恒温スターラであり、容器50の下方に配置されている。スターラ71は、制御装置500の制御に基づき磁力を発生することによって、容器50内に設けられた撹拌子72を回転させる。撹拌子72は、スターラ71から受けた磁力によって回転または振動することによって、容器50内の試料を撹拌する。
【0036】
さらに、スターラ71は、制御装置500の制御に基づき容器50の下方から容器50に熱を加えることによって、容器50内の試料の温度を一定に保つ。スターラ71の温度は、約60℃~約70℃に設定されており、設定温度に従ってスターラ71によって加熱された容器50内の液体は、約50℃に保たれる。なお、実施の形態に係る精製装置1は、「加熱装置」としてスターラ71を用いているが、容器50内の試料を撹拌することなく、単に試料に対して熱を加える装置を「加熱装置」として用いてもよい。
【0037】
排出管80は、「排出部」の一例である。排出管80は、容器50の最上部に設けられた排出口55に接続されており、容器50からオーバーフローした試料の上澄み液を外部に排出する。
【0038】
検出フィルタ210は、排出管80から排出した試料の上澄み液を濾過することによって、上澄み液に含まれる回収対象の成分を回収する。検出フィルタ210を通過した上澄み液は、上澄み液リザーバ215によって回収される。検出フィルタ210は、回収対象のマイクロプラスチックをトラップできる大きさの網目を有するメッシュである。たとえば、検出フィルタ210(メッシュ)は、SUS製の金網またはPTFE製のメンブレンフィルタである。マイクロプラスチックを回収対象とする場合、検出フィルタ210(メッシュ)の網目の大きさは、0.1~5.0mmの粒子を通さない大きさが必要であり、約0.1mmが好ましい。
【0039】
ケース300は、容器50およびスターラ71を収容する。ケース300には、ポンプ31,32,33をそれぞれ配置するための開口部310,320,330が形成されている。
【0040】
制御装置500は、汎用コンピュータで実現されてもよいし、精製器100を制御するための専用コンピュータで実現されてもよい。制御装置500は、精製器100における、ポンプ31~33、電磁弁41~43、およびスターラ71を制御する。
【0041】
ポンプ31~33は、モータ(図示せず)と弁(図示せず)とを含む。制御装置500は、モータを制御する。モータは、制御装置500の制御に基づき、弁を開閉させる。これにより、ポンプ31~33は、各種の液体の吸込または吐出を行う。
【0042】
電磁弁41~43は、弁(図示せず)を含む。制御装置500は、弁を制御することによって、弁を開閉させる。これにより、電磁弁41~43は、各種の液体が通る経路を切り替える。
【0043】
スターラ71は、モータ(図示せず)と、磁石(図示せず)、ヒータ(図示せず)とを含む。制御装置500は、モータを制御する。モータは、制御装置500の制御に基づき、磁石を回転させる。これにより、磁石の磁力によって、容器50内の撹拌子72が回転する。さらに、制御装置500は、ヒータ(図示せず)を作動することによって、容器50に一定の熱を加える。
【0044】
[精製装置のハードウェア構成]
図3を参照しながら、実施の形態に係る精製装置1のハードウェア構成を説明する。
図3は、実施の形態に係る精製装置1のハードウェア構成を説明するための図である。
図3に示すように、制御装置500は、主なハードウェア要素として、演算装置501と、メモリ502と、通信装置503と、表示装置504と、入力装置505と、データ読取装置506と、ストレージ510とを備える。
【0045】
演算装置501は、ストレージ510に記憶されたプログラム(たとえば、制御プログラム511およびOS(Operating System)513)を読み出し、読み出したプログラムをメモリ502に展開して実行するコンピュータである。たとえば、演算装置501は、制御プログラム511を実行することによって、精製器100を制御するための精製処理(
図4で後述する)を実行する。演算装置501は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはMPU(Multi Processing Unit)などで構成される。なお、演算装置501は、演算回路(Processing Circuitry)で構成されてもよい。
【0046】
メモリ502は、演算装置501が任意のプログラムを実行するにあたって、プログラムコードやワークメモリなどを一時的に格納する記憶領域を提供する。メモリ502は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性メモリ、あるいは、ROM(Read Only Memory)またはフラッシュメモリなどの不揮発性メモリで構成される。
【0047】
通信装置503は、ネットワーク(図示せず)を介して、他の装置との間でデータを送受信する。通信装置503は、たとえば、イーサネット(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)などの任意の通信方式に対応する。
【0048】
表示装置504は、たとえば、LCD(Liquid Crystal Display)などで構成され、プログラムの設計画面および異常時のアラート画面などを表示する。
【0049】
入力装置505は、たとえば、キーボードまたはマウスなどで構成され、プログラムの設計時に、ユーザによって設計情報などの入力に用いられる。入力装置505は、演算装置501による精製処理の実行を開始するためのスタートスイッチを含んでいてもよい。
【0050】
データ読取装置506は、記録媒体507に格納されているデータを読み出す。記録媒体507は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、またはUSB(Universal Serial Bus)メモリなど、各種のデータを記録することができるものであればいずれのものであってもよい。
【0051】
ストレージ510は、精製処理などに必要な各種のデータを格納する記憶領域を提供する。ストレージ510は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリデバイスで構成される。ストレージ510は、制御プログラム511と、制御用データ512と、OS513とを格納する。
【0052】
制御プログラム511は、精製処理の内容が記述されたプログラムであり、演算装置501によって実行される。制御プログラム511は、入力装置505を用いてユーザによって設計されてもよいし、データ読取装置506によって記録媒体507から読み取られてもよいし、通信装置503によってサーバなどの他の装置からネットワークを介して取得されてもよい。
【0053】
制御用データ512は、演算装置501が制御プログラム511を実行する際に用いるデータである。たとえば、制御用データ512は、ポンプ31~33、電磁弁41~43、およびスターラ71を制御するための設定値などのデータを含む。制御用データ512は、入力装置505を用いてユーザによって入力されてもよいし、データ読取装置506によって記録媒体507から読み取られてもよいし、通信装置503によってサーバなどの他の装置からネットワークを介して取得されてもよい。
【0054】
OS513は、演算装置501によって各種の処理を実行するための基本的な機能を提供する。
【0055】
[試料の精製処理]
次に、
図4を参照しながら、精製装置1が実行する試料の精製処理を説明する。
図4は、実施の形態に係る精製装置1が実行する精製処理のフローチャートである。
図4に示す各ステップは、制御装置500の演算装置501が、OS513および制御プログラム511を実行することによって実現される。なお、図中において、「S」は「STEP」の略称として用いられる。
【0056】
準備として、ユーザは、精製装置1の容器50に試料を導入する。たとえば、ユーザは、第2の部材から第1の部材を分離させることによって容器50を開放し、容器50の内部に試料を投入する。その後、ユーザは、制御装置500の入力装置505を用いて開始操作を行うことによって、制御装置500による精製器100の制御を開始する。
【0057】
制御装置500による精製器100の制御が開始すると、
図4に示すように、制御装置500は、ポンプ33および電磁弁43を制御することによって、配管20~23およびポート63,64を介して、容器50内の廃液を廃液リザーバ150に排出する(S1)。なお、試料に含まれる回収対象となるマイクロプラスチックなどは、ポート63,64の内部に設けられたフィルタによって外部に排出されず、容器50内に残る。
【0058】
次に、制御装置500は、排出側のポンプ33を停止し、ポンプ31および電磁弁41を制御することによって、配管11~13およびポート61を介して、分解液リザーバ110内の分解液を容器50に導入する(S2)。
【0059】
次に、制御装置500は、スターラ71を制御することによって、容器50に一定の熱を加えながら容器50内に設けられた撹拌子72を回転させて試料を撹拌する(S3)。容器50の温度と、撹拌子72の回転速度および回転時間は、ユーザによって予め設定されている。このようにして試料が撹拌されることによって、酸化剤による酸化処理が行われ、試料に含まれる有機夾雑物が分解される。なお、試料の撹拌時においては、必ずしも加熱は必要ないが、加熱によって試料の温度を一定温度に保つことによって酸化処理による分解が促進し易くなる。
【0060】
次に、制御装置500は、ポンプ33および電磁弁43を制御することによって、配管20~23およびポート63,64を介して、有機夾雑物が分解された後の試料に含まれる容器50内の廃液を廃液リザーバ150に排出する(S4)。なお、試料に含まれる回収対象となるマイクロプラスチックなどは、ポート63,64の内部に設けられたフィルタによって外部に排出されず、容器50内に残る。
【0061】
次に、制御装置500は、排出側のポンプ33を停止し、ポンプ31および電磁弁41を制御することによって、配管17,12,13およびポート61を介して、リンス液リザーバ130内のリンス液を容器50に導入し、容器50内を洗浄する(S5)。このとき、制御装置500は、ポンプ31の吸込量を制御することによって、ユーザによって予め設定された量のリンス液を容器50に導入する。
【0062】
次に、制御装置500は、ポンプ33および電磁弁43を制御することによって、配管20~23およびポート63,64を介して、リンス液が導入された後の容器50内の廃液を廃液リザーバ150に排出する(S6)。これにより、リンス液によって容器50内が洗浄される。なお、試料に含まれる回収対象となるマイクロプラスチックなどは、ポート63,64の内部に設けられたフィルタによって外部に排出されず、容器50内に残る。なお、その後、制御装置500は、所定期間(たとえば、1日間)に亘って試料をそのまま放置することによって試料を乾燥させてもよい。
【0063】
次に、制御装置500は、ポンプ32および電磁弁42を制御することによって、配管14~16およびポート62を介して、重液リザーバ120の重液を容器50に導入する(S7)。このとき、制御装置500は、ポンプ32の吸込量を制御することによって、ユーザによって予め設定された量の重液を容器50に導入する。
【0064】
その後、制御装置500は、所定期間(たとえば、1~3時間)に亘って試料をそのまま放置する(S8)。このようにして重液が容器50内の試料に導入されて放置されると、試料に含まれる無機夾雑物が比重差によって容器50の底付近に沈降する。
【0065】
次に、制御装置500は、再びポンプ32および電磁弁42を制御することによって、配管14~16およびポート62を介して、重液リザーバ120の重液を容器50に再び導入する(S9)。このとき、制御装置500は、ポンプ32の吸込量を制御することによって、ユーザによって予め設定された量の重液を容器50に導入する。このようにして重液が容器50内の試料に再び導入されると、比重分離された試料の液面が容器50内を徐々に上昇し、やがて試料の上澄み液が容器50の排出口55に到達する。そして、試料の上澄み液は、排出口55および排出管80を介して外部に排出される。
【0066】
排出管80を介して排出された試料の上澄み液は、検出フィルタ210によって濾過され、廃液のみが上澄み液リザーバ215によって回収される。検出フィルタ210には、重液よりも比重の軽い成分であるマイクロプラスチックが残る。
【0067】
試料の精製によってマイクロプラスチックが回収された後、制御装置500は、後処理として容器50を洗浄する。具体的には、制御装置500は、ポンプ33および電磁弁43を制御することによって、配管19~22およびポート63,64を介して、マイクロプラスチックが回収された後の容器50内の廃液を廃液リザーバ140に排出する(S10)。
【0068】
次に、制御装置500は、排出側のポンプ33を停止し、ポンプ32および電磁弁42を制御することによって、配管18,15,16およびポート62を介して、リンス液リザーバ130内のリンス液を容器50に導入し、容器50内を洗浄する(S11)。このとき、制御装置500は、ポンプ32の吸込量を制御することによって、ユーザによって予め設定された量のリンス液を容器50に導入する。
【0069】
次に、制御装置500は、ポンプ33および電磁弁43を制御することによって、配管19~22およびポート63,64を介して、リンス液が導入された後の容器50内の廃液を廃液リザーバ140に排出する(S12)。これにより、リンス液によって容器50内が洗浄される。
【0070】
以上のように、実施の形態に係る精製装置1によれば、制御装置500は、適切なタイミングおよび適切な時間に亘って自動的に、容器50に収容された試料に対して分解液および重液を導入し、また、容器50から廃液を排出する。このため、ユーザは、自ら、容器50に分解液および重液を導入し、また、容器50から廃液を排出する必要がない。これにより、ユーザの手間が掛かることも、ユーザの技量に応じてマイクロプラスチックの回収精度にばらつきが生じるおそれもなく、ユーザは、手間を掛けることなく精度良く試料を精製することができる。
【0071】
さらに、実施の形態に係る精製装置1によれば、制御装置500は、マイクロプラスチックを回収した後、使用した容器50を自動的に洗浄する。このため、ユーザは、自ら、容器50を洗浄する必要がない。
【0072】
[支持部の構成]
上述したように、試料の精製中においては、容器50の下方に配置されたスターラ71によって容器50内の試料が撹拌されながら、試料に熱が加えられる。ここで、試料の精製中において、処理中の液体が容器50から外部に漏れるおそれがあることも考慮しなければならない。たとえば、
図2に示すように、容器50は、第1の部材51と第2の部材52とに分割可能であるが、第1の部材51と第2の部材52との接続部分から液漏れが生じたり、あるいは、廃液を排出するためのポート63,64から液漏れが生じたりすることもあり得る。容器50から漏れた液体が容器50の下方に設置されたスターラ71にかかると、スターラ71に不具合が生じることによって試料精製の精度が低下するなどの不都合が生じるおそれがある。
【0073】
そこで、実施の形態に係る精製装置1は、上述したような液漏れによる不都合が生じることを防止するように構成されている。以下、
図5および
図6を参照しながら、実施の形態に係る精製装置1における液漏れ防止について説明する。
【0074】
図5は、実施の形態に係る精製器100の断面図である。
図6は、実施の形態に係る精製器100の一部分を拡大した断面図である。なお、
図5においては、
図2に示す精製器100を上下方向(たとえば、鉛直方向)に切断した場合の断面図が示されている。また、
図6においては、
図5に示す破線部Sの拡大図が示されている。
【0075】
図5および
図6に示すように、精製装置1の精製器100は、支持部90をさらに備える。支持部90は、ケース300の内部に設けられ、伝熱板91と、支持板92と、封止部材93とを含む。
【0076】
伝熱板91は、容器50の底面とスターラ71の上面との間に配置されており、伝熱板91の第1の主面91A(たとえば、表面)は容器50の底面に熱的に接続する一方で、伝熱板91の第2の主面91B(たとえば、裏面)はスターラ71の上面に熱的に接続している。具体的には、第1の主面91Aは容器50の底面に接し、かつ/または、第2の主面91Bはスターラ71の上面に接している。伝熱板91は、たとえば、アルミニウムなど、伝熱性能を有する非磁性体で構成されている。これにより、スターラ71からの磁力が伝熱板91を介して容器50内の撹拌子72に伝わることによって撹拌子72が回転するとともに、スターラ71からの熱によって容器50内の試料が効率よく加熱される。
【0077】
支持板92は、伝熱板91の第1の主面91Aよりも上方に配置されており、伝熱板91の第1の主面91Aにおける容器50の周辺において、第1の主面91Aに重なるように配置されている。具体的には、支持板92は、容器50の底面を囲むように形成された開口部92Aを有する。開口部92Aの面積は、容器50の底面の面積よりも大きい。
図2に示すように、実施の形態に係る容器50の底面(第1の部材51の底面)は、円で構成されているが、開口部92Aは、容器50の底面(第1の部材51の底面)よりも大きい面積を有する円で構成されている。
【0078】
容器50は、開口部92Aの概ね中心部分に配置され、開口部92Aを介して伝熱板91の第1の主面91A上に設置される。なお、開口部92Aは、円形に限らず、多角形または楕円など、その他の形状を有していてもよい。さらに、開口部92Aは、第1の部材51の底面の形状に合わせて形成されてもよい。たとえば、第1の部材51の底面が四角形で構成される場合、開口部92Aは、第1の部材51の底面よりも面積の大きい四角形で構成されてもよい。
【0079】
支持板92は、たとえば、SUS(Steel Use Stainless)など、比較的、熱伝導率が低い材料で構成されており、アルミニウムである伝熱板91よりも熱伝導率が低い。
【0080】
封止部材93は、伝熱板91の第1の主面91Aにおける容器50の周辺に配置されている。具体的には、
図6に示すように、封止部材93は、第1の主面91Aと支持板92との隙間に介在するように配置されている。実施の形態に係る支持板92の開口部92Aは円形であるため、第1の主面91Aと支持板92との隙間も環状に構成される。すなわち、封止部材93は、第1の主面91Aと支持板92との隙間において、環状に配置される。封止部材93は、たとえば、シリコンなど、断熱性を有する材料で構成されている。
【0081】
上述したような構成を備える精製器100によれば、容器50とスターラ71との間に伝熱板91が介在するため、試料の精製中に容器50から液体が漏れたとしても、液体がスターラ71にかかることを伝熱板91によって防ぐことができる。さらに、伝熱板91と支持板92との隙間に断熱性を有する封止部材93が設けられているため、試料の精製中に容器50から液体が漏れたとしても、封止部材93によって伝熱板91と支持板92との隙間に液体が入り込むことを防止することができる。すなわち、容器50から漏れた液体は、開口部92Aにおいて、伝熱板91の第1の主面91A上に留まる。さらに、封止部材93は、断熱性を有するため、スターラ71によって加熱された伝熱板91の熱が支持板92に伝わり難くなるため、容器50に対して効率よく伝熱させることができる。
【0082】
[態様]
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0083】
(第1項) 一態様に係る精製装置は、試料を収容する容器と、容器の下方に配置され、容器に収容された試料を加熱する加熱装置と、容器と加熱装置との間に配置され、容器に熱的に接続される第1の主面と、加熱装置に熱的に接続されかつ第1の主面と反対側の第2の主面とを有する伝熱板と、第1の主面における容器の周辺に配置された封止部材とを備える。
【0084】
第1項に記載の精製装置によれば、試料の精製中に容器から液体が漏れたとしても、液体が加熱装置にかかることを伝熱板および封止部材によって防ぐことができるため、液漏れによる不都合の発生を防止することができる。
【0085】
(第2項) 第1の主面は容器に接し、かつ/または、第2の主面は前記加熱装置に接している。
【0086】
第2項に記載の精製装置によれば、伝熱板を介して加熱装置によって容器に収容された試料を効率的に加熱することができる。
【0087】
(第3項) 精製装置は、第1の主面における容器の周辺において、第1の主面に重なるように配置された支持板をさらに備える。封止部材は、第1の主面と支持板との隙間に配置されている。
【0088】
第3項に記載の精製装置によれば、試料の精製中に容器から液体が漏れたとしても、封止部材によって伝熱板と支持板との隙間に液体が入り込むことを防止することができる。
【0089】
(第4項) 精製装置において、封止部材は、断熱性を有する。
第4項に記載の精製装置によれば、試料の精製中に容器から液体が漏れたとしても、断熱性を有する封止部材によって支持板に伝熱することを防ぐことができる。
【0090】
(第5項) 精製装置において、加熱装置は、恒温スターラである。精製装置は、容器の内部に設けられ、加熱装置からの磁力によって試料を撹拌する撹拌子をさらに備える。伝熱板は、非磁性体である。
【0091】
第5項に記載の精製装置によれば、加熱装置によって伝熱板を介して容器内の撹拌子を回転させることによって、容器内の試料を撹拌することができる。
【0092】
(第6項) 精製装置は、容器に設けられ、容器内の廃液を排出するための排出ポートをさらに備える。
【0093】
第6項に記載の精製装置によれば、ポートから排出された液体が漏れたとしても、液体が加熱装置にかかることを伝熱板によって防ぐことができる。
【0094】
(第7項) 精製装置において、容器は、第1の部材と第2の部材とに分割可能である。
【0095】
第7項に記載の精製装置によれば、容器の分割可能な部分から液体が漏れたとしても、液体が加熱装置にかかることを伝熱板によって防ぐことができる。
【0096】
(第8項) 精製装置は、試料に含まれる夾雑物を処理するための分解液を容器に導入するための第1ポートと、試料を比重差によって分離するための重液を容器に導入するための第2ポートと、重液の導入によって生じた上澄み液を容器の外部に排出するための排出部と、第1ポートにおける分解液の導入および第2ポートにおける重液の導入を制御する制御装置とをさらに備える。
【0097】
第8項に記載の精製装置によれば、制御装置によって自動で試料を精製する精製装置において、試料の精製中に容器から液体が漏れたとしても、液体が加熱装置にかかることを伝熱板および封止部材によって防ぐことができる。
【0098】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0099】
1 精製装置、11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23 配管、31,32,33 ポンプ、41,42,43 電磁弁、50 容器、51 第1の部材、52 第2の部材、55 排出口、61,62,63,64 ポート、71 スターラ、72 撹拌子、80 排出管、90 支持部、91 伝熱板、91A 第1の主面、91B 第2の主面、92 支持板、92A,310,320,330 開口部、93 封止部材、100 精製器、110 分解液リザーバ、120 重液リザーバ、130 リンス液リザーバ、140,150 廃液リザーバ、210 検出フィルタ、215 上澄み液リザーバ、300 ケース、500 制御装置、501 演算装置、502 メモリ、503 通信装置、504 表示装置、505 入力装置、506 装置、507 記録媒体、510 ストレージ、511 制御プログラム、512 制御用データ。