(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】データ送信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/12 20220101AFI20250109BHJP
B66B 1/06 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H04L67/12
B66B1/06 Z
(21)【出願番号】P 2024027620
(22)【出願日】2024-02-27
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】勝部 俊介
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第4369253(JP,B2)
【文献】国際公開第2018/220781(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/12
B66B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パブリッシュ/サブスクライブ型の通信方式を用いて互いに通信可能な、ブローカーとして機能するサーバ装置と、1または複数の通信装置とを含むデータ送信システムであって、
前記通信装置は、
自装置と通信可能に接続されたエレベータ制御装置から、当該エレベータ制御装置が制御するエレベータの動作状況に関する動作情報を受信する受信部と、
前記受信部が前記動作情報を受信する度に当該受信した前記動作情報を所定の第1トピックで前記サーバ装置に対してパブリッシュを行う送信モードと、前記パブリッシュを行わない非送信モードとのいずれかに動作モードを切り替えるパブリッシュ部と、
前記送信モードに切り替わるとき、前記エレベータの識別情報に基づいて作成された第2トピックを前記サーバ装置に対してサブスクライブするサブスクライブ部とを備え、
前記サーバ装置は、
要求元装置から前記第2トピックで前記サーバ装置に対してパブリッシュされた、前記動作情報の送信継続要求を、前記サーバ装置に対して前記第2トピックをサブスクライブした前記通信装置へ送信する第1送信部を備え、
前記パブリッシュ部は、前記送信モード中に、
前記通信装置が前記送信継続要求を最後に受信してから所定期間が経過するまでに前記送信継続要求を受信した場合、前記送信モードを継続し、
前記通信装置が前記送信継続要求を最後に受信してから前記送信継続要求を受信せずに前記所定期間が経過した場合、前記非送信モードに切り替える、
データ送信システム。
【請求項2】
前記エレベータ制御装置は、当該エレベータ制御装置が制御するエレベータの動作状況に変化が生じる度に前記動作情報を前記通信装置に送信する、
請求項1に記載のデータ送信システム。
【請求項3】
前記要求元装置は、
前記データ送信システムの利用者の端末装置が利用可能な、指定されたエレベータの前記動作情報を提供するための機能を有し、
前記端末装置が前記機能を利用することにより前記要求元装置から前記端末装置へ前記動作情報が所定頻度で提供される間、指定されたエレベータの識別情報に基づいて作成された前記第2トピックで前記送信継続要求を前記サーバ装置に対してパブリッシュする、
請求項1に記載のデータ送信システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、
前記パブリッシュ部からパブリッシュされた前記動作情報を受信すると、当該受信した前記動作情報を、前記サーバ装置に対して前記第1トピックをサブスクライブした送信先装置へ送信する第2送信部を備え、
前記送信先装置は、
前記サーバ装置から前記動作情報を受信する度に、当該受信した前記動作情報を記憶装置に格納するための処理を実行し、
前記要求元装置は、
前記データ送信システムの利用者の端末装置が利用可能な、指定されたエレベータの前記動作情報を提供するための機能を有し、
前記端末装置が前記機能を利用中は、指定されたエレベータの前記動作情報を前記記憶装置から逐次取得し、当該取得した前記動作情報を前記端末装置に送信する、
請求項1に記載のデータ送信システム。
【請求項5】
前記要求元装置は、
前記データ送信システムの利用者の端末装置が利用可能な、指定されたエレベータの前記動作情報を提供するための機能を有し、
前記端末装置から前記機能が最後に利用されてから前記所定期間が経過した後に前記端末装置から前記機能が利用された場合、前記通信装置に対して前記動作情報の送信開始要求を送信するための処理を実行し、
前記パブリッシュ部は、前記通信装置が前記送信開始要求を受信すると、動作モードを前記送信モードに切り替える、
請求項1に記載のデータ送信システム。
【請求項6】
前記機能は、API(Application Programing Interface)により提供される、
請求項3から5のいずれか1項に記載のデータ送信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、エレベータの動作状況に関する動作情報を送信するためのデータ送信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エレベータを監視するシステムの一例が開示されている。特許文献1のシステムでは、エレベータかご内のインターホンからの呼び出しに応動して、特定の監視者の携帯電話へ接続すると共に、エレベータ乗り場に設置された監視カメラの映像データを監視者の携帯電話へ送信する。当該システムでは、監視対象の映像データの切り替え指令に応じて、携帯電話へ送信する映像データを切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1には、パブリッシュ/サブスクライブ型の通信方式を用いたエレベータに関する情報の送受信に関する技術については開示されていない。
【0005】
本発明の一態様は、パブリッシュ/サブスクライブ型の通信方式を用いてエレベータの動作状況に関する動作情報をパブリッシュする処理の継続可否の判断を、パブリッシュする側で簡易に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るデータ送信システムは、パブリッシュ/サブスクライブ型の通信方式を用いて互いに通信可能な、ブローカーとして機能するサーバ装置と、1または複数の通信装置とを含むデータ送信システムであって、前記通信装置は、自装置と通信可能に接続されたエレベータ制御装置から、当該エレベータ制御装置が制御するエレベータの動作状況に関する動作情報を受信する受信部と、前記受信部が前記動作情報を受信する度に当該受信した前記動作情報を所定の第1トピックで前記サーバ装置に対してパブリッシュを行う送信モードと、前記パブリッシュを行わない非送信モードとのいずれかに動作モードを切り替えるパブリッシュ部と、前記送信モードに切り替わるとき、前記エレベータの識別情報に基づいて作成された第2トピックを前記サーバ装置に対してサブスクライブするサブスクライブ部とを備え、前記サーバ装置は、要求元装置から前記第2トピックで前記サーバ装置に対してパブリッシュされた、前記動作情報の送信継続要求を、前記サーバ装置に対して前記第2トピックをサブスクライブした前記通信装置へ送信する第1送信部を備え、前記パブリッシュ部は、前記送信モード中に、前記通信装置が前記送信継続要求を最後に受信してから所定期間が経過するまでに前記送信継続要求を受信した場合、前記送信モードを継続し、前記通信装置が前記送信継続要求を最後に受信してから前記送信継続要求を受信せずに前記所定期間が経過した場合、前記非送信モードに切り替える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、パブリッシュ/サブスクライブ型の通信方式を用いてエレベータの動作状況に関する動作情報をパブリッシュする処理の継続可否の判断を、パブリッシュする側で簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るデータ送信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】初回のAPIの利用に基づくデータの流れの一例を示すシーケンスである。
【
図3】送信モードに切り替わった後の、2回目以降のAPIの利用に基づくデータの流れの一例を示すシーケンスである。
【
図4】APIの利用が所定期間なされなかった場合のデータの流れの一例を示すシーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態のデータ送信システム100について、以下に説明する。
【0010】
〔データ送信システムの概要〕
まず、
図1に基づき、データ送信システム100の概要について説明する。
図1は、データ送信システム100の構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
データ送信システム100は、エレベータ制御装置2から、エレベータ制御装置2が制御するエレベータ1の動作状況に関する動作情報を、端末装置9へと送信することが可能なシステムである。データ送信システム100が、端末装置9に対して、エレベータ1の動作情報を送信することにより、端末装置9の利用者は、エレベータ1の動作状況を把握できる。
【0012】
動作情報には、例えば、エレベータ1における異常発生状況、および、エレベータ1の運行状況等の情報が含まれている。運行状況を示す情報には、例えば、かごの位置、かご内の重量、および、ドアの開閉状況等の情報が含まれていてもよい。動作情報は、エレベータ1の識別情報と対応付けられている。エレベータ1の識別情報には、動作情報の他、例えばエレベータ1の機種名およびエレベータ1の設置情報等の、エレベータ1の詳細情報が対応付けられていてもよい。
【0013】
動作情報の取得対象となるエレベータ1は、1つでもあってもよいし、複数であってもよい。但し、端末装置9には、利用者が指定したエレベータ1の動作情報が送信されることが好ましい。
【0014】
データ送信システム100の利用者は、例えばエレベータ1に乗降する利用者である。データ送信システム100の利用者は、例えばエレベータ1の管理人であってもよい。また、データ送信システム100の利用者は、例えば、エレベータ1のメンテナンスを行う保守員であってもよい。この場合、端末装置9として、エレベータ1の動作状況を監視する監視装置が用いられてもよい。
【0015】
本実施形態では、
図1に示すように、データ送信システム100は、例えば、エレベータ1、エレベータ制御装置2、通信装置3、第1サーバ装置4、第2サーバ装置5、送信先装置6、記憶装置7、要求元装置8および端末装置9を備える。第1サーバ装置4、第2サーバ装置5、記憶装置7および要求元装置8は、同図に示すとおり、例えば仮想プライベートクラウド(VPC:Virtual Private Cloud)上に構築されてもよい。さらに、送信先装置6の一部または全部が当該仮想プライベートクラウド上に構築されてもよい。
【0016】
エレベータ制御装置2は、エレベータ1と通信可能に接続され、エレベータ1の動作を制御すると共に、エレベータ1の動作状況を監視する装置である。エレベータ制御装置2は、通信装置3と通信可能に接続され、エレベータ制御装置2が制御するエレベータ1の動作情報を通信装置3に送信する。エレベータ制御装置2は、動作情報と共に、エレベータ1の詳細情報を通信装置3に送信してもよい。
【0017】
エレベータ制御装置2は、エレベータ1の識別情報に対応付けて動作情報を生成し、以下に示す方法Aにより動作情報を通信装置3に送信する。さらに、エレベータ制御装置2は、以下に示す方法Bにより動作情報を通信装置3に送信できてもよい。なお、方法Bは、エレベータ制御装置2と通信装置3との通信方法として従来から採用されることが多い方法である。そのため、方法Bを採用する既存のシステムに対して方法Aを追加することによってデータ送信システム100が構築されてもよい。
【0018】
(方法A:プッシュ型)エレベータ制御装置2は、エレベータ1の動作状況に変化が生じる度に動作情報を通信装置3に送信する。この場合、エレベータ制御装置2は、エレベータ制御装置2と通信装置3とを接続する第1制御線101を介して、動作情報を生成する度に通信装置3に送信する。方法Aでは、通信装置3からエレベータ制御装置2に対して動作情報の送信要求はなされない。
【0019】
(方法B:プル型)エレベータ制御装置2は、通信装置3から動作情報の送信要求を受信したタイミングで、その送信要求に対する応答として動作情報を通信装置3に送信する。この場合、エレベータ制御装置2は、エレベータ制御装置2と通信装置3とを接続する第2制御線102を介して、動作情報を通信装置3に送信する。方法Bによるエレベータ制御装置2に対する送信要求を以下では「都度送信要求」と記載する。
【0020】
エレベータ1の動作状況は刻一刻と変化し得る。そのため、上記方法Aによる動作情報の送信頻度は、上記方法Bによる動作情報の送信頻度よりも高い。したがって、第1制御線101には、第2制御線102よりも高頻度に通信可能な通信規格を採用することが好ましい。例えば、第1制御線101はRS422であり、第2制御線102はRS232Cであってもよい。但し、第2制御線102に第1制御線101と同等の通信規格が採用されてもよい。
【0021】
通信装置3は、第1サーバ装置4および第2サーバ装置5のそれぞれと通信可能に接続され、第1サーバ装置4との間、および、第2サーバ装置5との間でのデータの送受信を行う装置である。通信装置3と、第1サーバ装置4および第2サーバ装置5のそれぞれとの通信には、例えばソラコム(登録商標)を使用できる。なお、通信装置3と第1サーバ装置4とを接続する通信ネットワークと、通信装置3と第2サーバ装置5とを接続する通信ネットワークとは、物理的に同一であってもよいし、物理的に分かれていてもよい。
【0022】
通信装置3は、上記方法Aによりエレベータ制御装置2から受信した動作情報を、第1サーバ装置4に送信する。具体的には、通信装置3は、上記方法Aによりエレベータ制御装置2から受信した動作情報については、パブリッシュ/サブスクライブ型の通信方式に従って、所定のタイミングで第1サーバ装置4への送信を開始し、所定のタイミングで第1サーバ装置4への送信を停止する。つまり、通信装置3は、パブリッシュ/サブスクライブ型の通信方式に従って第1サーバ装置4と通信可能な装置である。パブリッシュ/サブスクライブ型の通信方式を以下では「第1通信方式」と記載する。第1通信方式で用いられるプロトコルは、例えばMQTT(Message Queuing Telemetry Transport)が好ましい。MQTTプロトコルを用いることにより、通信装置3から第1サーバ装置4へ動作情報を高頻度で送信できる。したがって、上記方法Aに従ってエレベータ制御装置2から通信装置3へ高頻度で送信された動作情報は、続けて、通信装置3から第1サーバ装置4へ高頻度で送信される。つまり、データ送信システム100では、動作情報を、エレベータ制御装置2から第1サーバ装置4まで通して高頻度で送信できる。
【0023】
一方、通信装置3は、上記方法Bによりエレベータ制御装置2から受信した動作情報を、第1通信方式と異なる第2通信方式に従って、第2サーバ装置5に送信してもよい。第2通信方式は、パブリッシュ/サブスクライブ型である必要はなく、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)をベースとしたプロトコルが用いられてもよいし、独自に規定されたプロトコルが用いられてもよい。なお、第2通信方式は、既存のエレベータ監視システムと通信装置3との通信方式として採用されることが多い方法である。
【0024】
なお、上記方法Bにおいて、エレベータ制御装置2が都度送信要求に対する応答として通信装置3に送信する対象となる動作情報は、通信装置3から都度送信要求を受信した時点の最新の動作情報であってもよいし、都度送信要求を受信した時点までに蓄積されている未送信の動作情報であってもよい。後者の場合、エレベータ制御装置2は、エレベータ1の動作状況に変化が生じる度に動作情報を生成し、エレベータ制御装置2の記憶部(不図示)に格納していてもよい。この場合、通信装置3は、第2サーバ装置5から都度送信要求を受信したときに、通信装置3の記憶部(不図示)にその時点で格納されている動作情報を、都度送信要求に対する応答として第2サーバ装置5に送信してもよい。
【0025】
また、通信装置3は、第2通信方式に従って第2サーバ装置5から動作情報の「送信開始要求」を受信する。送信開始要求の受信を契機として、通信装置3は、エレベータ制御装置2から動作情報を受信する度に、第1通信方式に従って第1サーバ装置4に動作情報を送信する。つまり、送信開始要求とは、第1サーバ装置4への動作情報のリアルタイム送信の開始要求である。また、通信装置3は、第1通信方式に従って第1サーバ装置4から動作情報の「送信継続要求」を受信する。通信装置3は、送信継続要求を継続的に受信している間は、エレベータ制御装置2から受信する動作情報を第1サーバ装置4に送信し続ける。つまり、送信継続要求とは、第1サーバ装置4への動作情報のリアルタイム送信の継続要求である。
【0026】
エレベータ制御装置2および通信装置3は、1つのエレベータ1に対してそれぞれ1つずつ設けられている。上述のように、データ送信システム100は、1つのエレベータ1を備えていても、複数のエレベータ1を備えていてもよい。データ送信システム100が複数のエレベータ1を備えている場合、各エレベータ1に対してエレベータ制御装置2および通信装置3が1組ずつ設けられている。
【0027】
第1サーバ装置4は、第1通信方式に従って通信装置3と通信可能な、ブローカーとして機能する装置である。データ送信システム100は、少なくとも、第1通信方式に従って互いに通信可能な、ブローカーとしての第1サーバ装置4と、通信装置3とを含むシステムであればよい。第1サーバ装置4は、第1通信方式に従って通信装置3から動作情報を受信している間、動作情報を受信する度に、受信した動作情報を送信先装置6に送信する。
【0028】
また、第1サーバ装置4は、第1通信方式に従って第2サーバ装置5および要求元装置8と通信可能に接続される装置である。第1サーバ装置4は、要求元装置8から受信した送信継続要求については、第1通信方式に従って通信装置3に送信する一方、要求元装置8から受信した送信開始要求については、第2通信方式に従って第2サーバ装置5に送信する。
【0029】
第1サーバ装置4はブローカーとして機能する。そのため、第1サーバ装置4が要求元装置8から受信した送信継続要求を通信装置3に送信できるように、通信装置3は、第1サーバ装置4に対してサブスクライブする。このサブスクライブについては、通信装置3のサブスクライブ部313の説明として後述する。
【0030】
第2サーバ装置5は、第1サーバ装置4から受信した動作情報の送信開始要求を、第2通信方式に従って通信装置3に送信する。また、第2サーバ装置5は、要求元装置8から動作情報の都度送信要求を受信した場合には、第2通信方式に従って、当該都度送信要求を通信装置3に送信し、その都度送信要求に対する応答として動作情報を受信してもよい。この場合、第2サーバ装置5は、受信した動作情報を記憶装置7に格納するための処理を実行する。本実施形態では、第2サーバ装置5は、記憶装置7に動作情報を直接格納しているが、中継装置を介して記憶装置7に動作情報を格納してもよい。
【0031】
送信先装置6は、第1サーバ装置4から動作情報を受信する度に、受信した動作情報を記憶装置7に格納するための処理を実行する装置である。本実施形態では、送信先装置6は、記憶装置7に動作情報を直接格納しているが、中継装置を介して記憶装置7に動作情報を格納してもよい。送信先装置6は、例えば、AWS IoT CoreなどのWebサービスプラットフォームとして提供される装置であってもよい。記憶装置7は、動作情報を格納する装置であり、例えばデータベースを備える。記憶装置7が備えるデータベースは、高頻度で送信されてくる動作情報を格納するために、例えばキーバリュー型などのNoSQLであってスケーラビリティに優れたものが好ましい。当該データベースおよび当該データベースに動作情報を格納する仕組みは、データベースクラウドサービスとして提供されるものであってもよい。
【0032】
上述したように、第1サーバ装置4はブローカーとして機能する。そのため、第1サーバ装置4が、通信装置3から受信した動作情報を送信先装置6に送信できるように、送信先装置6は、第1サーバ装置4に対して所定の第1トピックをサブスクライブする。第1トピックは、動作情報を受信するためのトピックであり、どのような値に設定されていてもよい。
【0033】
通信装置3は、送信開始要求を受信した後、第1サーバ装置4への動作情報の送信を開始する。そのため、第1サーバ装置4が動作情報を受信する度に送信先装置6に送信できるように、送信先装置6は、第1サーバ装置4による動作情報の受信開始前に、第1サーバ装置4に対して第1トピックをサブスクライブする。本実施形態では、送信先装置6は、端末装置9がAPI(Application Programing Interface)813を利用する(呼び出す)より以前に、第1サーバ装置4に対して第1トピックをサブスクライブする。
【0034】
要求元装置8は、端末装置9が利用可能な、指定されたエレベータ1の動作情報を提供するための機能を有する。本実施形態では、要求元装置8は例えばWebサーバであり、当該機能はAPI813により提供されている。API813は、端末装置9において実行されるWebブラウザまたはアプリケーションソフトウェア(以下では、これらを単に「端末側ソフトウェア」と記載する)が利用可能であって、記憶装置7に記憶されているエレベータ1の動作情報を取得して端末装置9へ送信するためのソフトウェアインターフェースである。要求元装置8は、端末装置9がAPI813を利用中は、指定されたエレベータ1の動作情報を記憶装置7から逐次取得し、当該取得した動作情報を端末装置9に送信する。「端末装置9がAPI813を利用中」とは、利用者が指定したエレベータ1の動作情報を取得するために、API813を利用可能な端末側ソフトウェアを端末装置9において実行中である状態を指す。
【0035】
要求元装置8は、端末装置9からAPI813が最後に利用されてから所定期間が経過した後に端末装置9からAPI813が利用された場合、動作情報の送信開始要求を第1サーバ装置4に送信するための処理を実行する。すなわち、要求元装置8は、端末装置9がAPI813の利用を開始するときに、送信開始要求を第1サーバ装置4に送信する。本実施形態では、要求元装置8は、送信開始要求を直接、第1サーバ装置4に送信するが、中継装置を介して第1サーバ装置4に送信開始要求を送信してもよい。
【0036】
またこのとき、要求元装置8は、動作情報の取得対象となるエレベータ1を指定する指定情報(例えば、エレベータ1の識別情報)を受信する。そのため、要求元装置8は、受信した指定情報を含めて、送信開始要求を第1サーバ装置4に送信する。これにより、第1サーバ装置4は、送信開始要求を、指定されたエレベータ1に対して設けられた通信装置3に対して送信でき、当該通信装置3から動作情報を受信できる。
【0037】
また、要求元装置8は、端末装置9がAPI813を利用している間、送信継続要求を第1サーバ装置4に送信する。第1サーバ装置4は、送信継続要求についても、指定されたエレベータ1に対して設けられた通信装置3に対して送信するため、送信継続要求と共に、エレベータ1指定情報を、通信装置3に送信する。
【0038】
第1サーバ装置4は、第1通信方式に従って通信装置3とデータの送受信を行う。そのため、要求元装置8は、エレベータ1の識別情報に基づいて第2トピックを作成し、送信継続要求を、作成した第2トピックで第1サーバ装置4に対してパブリッシュする。これにより、第1サーバ装置4は、指定されたエレベータ1に対して設けられた通信装置3であって第2トピックをサブスクライブしている通信装置3に対して、送信継続要求を送信できる。
【0039】
端末装置9は、利用者の入力操作を受け付け可能であり、かつ、エレベータ制御装置2が送信した動作情報を、利用者に対して通知可能な装置である。端末装置9は、エレベータ制御装置2が送信した詳細情報を、利用者に対して通知可能な装置であってもよい。本実施形態では、端末装置9は、各種情報を表示する表示装置として機能する。また、端末装置9は、利用者の入力操作を受け付け可能な入力装置としても機能する。端末装置9は、利用者の入力操作として、利用者が動作状況を把握したいエレベータ1の動作情報を取得するための操作を受け付け可能である。また、端末装置9は、利用者の入力操作として、動作情報の取得対象とするエレベータ1を指定する操作を受け付け可能である。
【0040】
端末装置9は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等であってよいが、これに限られない。端末装置9は、少なくとも、通信機能と、各種情報を表示する機能と、入力操作を受け付ける機能とを備えていればよい。また、端末装置9は、1つであっても複数であってもよい。
【0041】
端末装置9は、API813を利用することにより、要求元装置8に、指定されたエレベータ1の動作情報の送信開始要求および送信継続要求を発行させると共に、当該動作情報を要求元装置8から受信できる。端末装置9は、API813の利用を開始するときに、動作情報の取得対象とするエレベータ1を指定する入力操作を受け付ける。これにより、端末装置9は、API813の利用時に上記指定情報を要求元装置8に送信できる。端末装置9は、API813を利用することにより、要求元装置8に、動作情報の都度送信要求を発行させると共に、指定されたエレベータ1の動作情報を要求元装置8から受信してもよい。
【0042】
端末装置9がAPI813を最初に利用したときに、要求元装置8が送信開始要求を第1サーバ装置4に送信し、その後、端末装置9がAPI813を利用する度に、要求元装置8が送信継続要求を第1サーバ装置4に送信する。また、端末装置9は、API813の初回の利用後において、API813を利用する度に、要求元装置8が記憶装置7から取得した動作情報を受信し、表示する。端末装置9は、例えば、上述の端末側ソフトウェアの実行中に、所定頻度で(例えば10秒に1回)API813を利用する。
【0043】
なお、API813は、端末装置9からの要求に応じて受動的に動作情報を端末装置9に提供する形態に限らず、能動的に動作情報を端末装置9に提供する形態であってもよい。例えば、端末装置9が要求元装置8に対して第1トピックをサブスクライブし、要求元装置8が記憶装置7に対して第1トピックをサブスクライブする状況において、記憶装置7の動作情報の格納状態に変化が生じた場合(記憶装置7に新たな動作情報が格納された場合)、要求元装置8は、端末装置9に対して、記憶装置7に格納された動作情報をパブリッシュする態様であってもよい。
【0044】
<送信開始要求の送信方法>
上述のように、本実施形態においては、第1サーバ装置4は、送信開始要求について、第2サーバ装置5を介して第2通信方式で通信装置3に送信する構成としたが、第2サーバ装置5を介さずに第1通信方式で通信装置3に直接送信してもよい。ただしこの場合、例えば、通信装置3が、第1サーバ装置4からの送信開始要求の受信を監視するために、通信装置3と第1サーバ装置4との間の通信セッションを常時接続し、第1通信方式に従ってサブスクライブしておく必要が生じる。
【0045】
そのため、上記通信セッションの常時接続に耐えうる程度の第1サーバ装置4の処理性能が要求される。しかも、通信装置3の数の分だけ上記通信セッションを有効にしておく必要があり、一般には、第1サーバ装置4に接続される通信装置3は多数に及ぶため、上記通信セッションの常時多数接続のためには高性能な第1サーバ装置4が求められる。さらに、動作情報のリアルタイム送信が必要になる時間は限定的である場合が多い一方で、上記通信セッションを常時接続しておくことは、余分な通信負荷を発生させることになる。
【0046】
そこで、本実施形態では、送信開始要求については、第2サーバ装置5を介して第2通信方式に従って通信装置3に送信することにより、第1サーバ装置4の処理負荷および通信負荷の抑制を実現している。
【0047】
<データ送信システムの目的>
本実施形態のデータ送信システム100は、第1通信方式に従って互いに通信可能な第1サーバ装置4および通信装置3と、第1制御線101とを備えている。通信装置3が動作情報の送信開始要求を受信した後であって、送信継続要求を継続的に受信している間においては、通信装置3は、エレベータ1の動作状況が変化する度に動作情報を第1サーバ装置4に送信する。そして、第1サーバ装置4は、動作情報を受信する度に記憶装置7に格納する。これにより、データ送信システム100では、端末装置9が、API813を利用する端末側ソフトウェアが実行されている期間においては、記憶装置7に格納された動作情報を逐次取得でき、利用者が、刻一刻と変化し得るエレベータ1の動作状況をリアルタイムに視認できるようにしている。このようなデータ送信システム100を実現する具体的な機能および処理の一例について、以下に説明する。
【0048】
〔データ送信システムの詳細〕
以下では、
図1に基づき、主として、通信装置3、第1サーバ装置4および要求元装置8の具体的な構成の一例について説明する。
【0049】
<通信装置>
図1に示すように、通信装置3は、例えば、第1制御部31および第2制御部32を備える。第1制御部31は、例えば、受信部311、パブリッシュ部312およびサブスクライブ部313を備える。第2制御部32は、例えば、送受信部321を備える。
【0050】
受信部311は、エレベータ制御装置2から動作情報を受信する。受信部311は、利用者により指定されたエレベータ1の動作状況が変化する度に、第1制御線101を介して、エレベータ制御装置2から動作情報を受信する。
【0051】
パブリッシュ部312は、第1通信方式に従って第1サーバ装置4とのデータの送受信を制御するものであり、受信部311が動作情報を受信する度に当該受信した動作情報を所定の第1トピックで第1サーバ装置4に対してパブリッシュを行う送信モードと、当該パブリッシュを行わない非送信モードとのいずれかに動作モードを切り替える。本実施形態では、パブリッシュ部312は、通信装置3(の第2制御部32の送受信部321)が動作情報の送信開始要求を受信すると、動作モードを送信モードに切り替える。これにより、パブリッシュ部312は、送信開始要求を受信したタイミングで、第1サーバ装置4に動作情報をパブリッシュできる。
【0052】
また、パブリッシュ部312は、送信モード中に、通信装置3が動作情報の送信継続要求を最後に受信してから所定期間が経過するまでに送信継続要求を受信した場合、送信モードを継続する。一方、パブリッシュ部312は、通信装置3が送信継続要求を最後に受信してから送信継続要求を受信せずに所定期間が経過した場合、非送信モードに切り替える。所定期間は、継続的な送信継続要求の受信間隔よりも長ければよい。当該受信間隔は、端末装置9がAPI813を利用する間隔と同等の時間であってもよい。
【0053】
パブリッシュ部312が送信継続要求の受信状況により動作モードを切り替えることにより、第1通信方式に従って動作情報をパブリッシュする処理の継続可否の判断を、パブリッシュする側で簡易に行うことができる。また、第1サーバ装置4はブローカーとして機能するため、通信装置3を監視して動作情報を能動的に取得できない。そのため、通信装置3が、送信継続要求の受信状況を監視することにより(すなわち、第1サーバ装置4を監視することにより)、第1サーバ装置4に対する動作情報の送信可否を判断している。
【0054】
サブスクライブ部313は、第1通信方式に従って第1サーバ装置4とのデータの送受信を制御するものであり、動作モードが送信モードに切り替わるとき、エレベータ1の識別情報に基づいて作成された第2トピックを第1サーバ装置4に対してサブスクライブする。第2トピックは、第1制御部31により、エレベータ1を識別できるように作成されていればよい。
【0055】
上述したように、要求元装置8は、送信継続要求を、指定されたエレベータ1の識別情報に基づいて作成した第2トピックで第1サーバ装置4に対してパブリッシュする。そのため、通信装置3が接続されたエレベータ1を識別できる第2トピックを、第1サーバ装置4に対してサブスクライブしておくことにより、第1サーバ装置4は、指定されたエレベータ1に接続された通信装置3に対して、送信継続要求を送信できる。
【0056】
送受信部321は、第2サーバ装置5から送信開始要求を受信し、送信開始要求を受信したことを示す信号を、第1制御部31に送信する。これにより、送受信部321が送信開始要求を受信したタイミングで、パブリッシュ部312は、動作モードを送信モードに切り替え、動作情報を第1サーバ装置4に対してパブリッシュするとともに、サブスクライブ部313は、第2トピックを第1サーバ装置4に対してサブスクライブする。
【0057】
<第1サーバ装置>
図1に示すように、ブローカーとして機能する第1サーバ装置4は、例えば、サーバ制御部41を備える。サーバ制御部41は、第1サーバ装置4の動作を制御するものであり、例えば、第1送信部411、第2送信部412およびサーバ送信部413を備える。
【0058】
第1送信部411は、要求元装置8から第2トピックで第1サーバ装置4に対してパブリッシュされた送信継続要求を、第1サーバ装置4に対して第2トピックをサブスクライブした通信装置3へ送信する。これにより、第1サーバ装置4は、指定されたエレベータ1に接続された通信装置3に対して、送信継続要求を送信できる。
【0059】
第2送信部412は、パブリッシュ部312からパブリッシュされた動作情報を受信すると、当該受信した動作情報を、第1サーバ装置4に対して第1トピックをサブスクライブした送信先装置6へ送信する。これにより、送信先装置6は、第1サーバ装置4が受信した、指定されたエレベータ1の動作情報を、記憶装置7に格納できる。そのため、要求元装置8は、記憶装置7から当該動作情報を取得し、端末装置9へ送信できる。
【0060】
サーバ送信部413は、要求元装置8から受信した送信開始要求を、第2サーバ装置5に送信する。これにより、第1サーバ装置4は、第2サーバ装置5を介して(第2通信方式に従って)、送信開始要求を通信装置3に送信できる。
【0061】
<要求元装置>
図1に示すように、要求元装置8は、例えば、要求元制御部81を備える。要求元制御部81は、要求元装置8の動作を制御するものであり、要求元送信部811、要求元パブリッシュ部812およびAPI813を備える。
【0062】
要求元送信部811は、上述したように、端末装置9からAPI813が最後に利用されてから所定期間が経過した後に端末装置9からAPI813が利用された場合に、送信開始要求を第1サーバ装置4に送信する。本実施形態では、要求元送信部811は、API813が所定期間利用されていない状態においてAPI813が利用されたときに、動作情報の取得対象とするエレベータ1を指定する指定情報を含めて、送信開始要求を第1サーバ装置4に送信する。
【0063】
要求元パブリッシュ部812は、送信継続要求を、指定されたエレベータ1の識別情報に基づいて作成された第2トピックで、第1サーバ装置4に対してパブリッシュする。本実施形態では、要求元パブリッシュ部812は、端末装置9によるAPI813の初回の利用後に、端末装置9によりAPI813が利用される度に、送信継続要求を第2トピックで第1サーバ装置4に対してパブリッシュする。すなわち、要求元パブリッシュ部812は、端末装置9がAPI813を利用することにより要求元装置8から端末装置9へ動作情報が所定頻度で提供される間、第2トピックで送信継続要求を第1サーバ装置4に対してパブリッシュする。第2トピックは、要求元制御部81により、指定されたエレベータ1を識別できるように作成されていればよい。所定頻度は、API813の利用頻度に相当する。API813が能動的に動作情報を端末装置9に提供する場合、所定頻度は、記憶装置7に変化が生じる頻度に対応して定められてもよい。
【0064】
API813は、上述したように、指定されたエレベータ1の動作情報を提供するための機能の一例である。端末装置9がAPI813を利用することにより、要求元送信部811は、動作情報の取得対象とするエレベータ1を指定して、送信開始要求を第1サーバ装置4に送信できる。また、要求元パブリッシュ部812もまた、動作情報の取得対象とするエレベータ1を指定して、送信継続要求を第1サーバ装置4に送信できる。この送信に基づいて、指定されたエレベータ1の動作情報が記憶装置7に格納される。そのため、要求元装置8は、端末装置9がAPI813を利用している間、指定されたエレベータ1の動作情報を記憶装置7から逐次取得し、当該取得した動作情報を端末装置9に送信できる。
【0065】
〔シーケンス〕
続いて、
図2~
図4に基づき、各装置間におけるデータの流れについて説明する。
図2は、初回のAPI813の利用に基づくデータの流れの一例を示すシーケンスである。
図3は、送信モードに切り替わった後の、2回目以降のAPI813の利用に基づくデータの流れの一例を示すシーケンスである。
図4は、API813の利用が所定期間なされなかった場合のデータの流れの一例を示すシーケンスである。
【0066】
図3は、
図2のシーケンス後のシーケンスの一例を示しており、
図4は、
図3のシーケンス後のシーケンスの一例を示している。また、
図2~
図4において、動作情報は、エレベータ1の動作状況に変化が生じる度に、第1制御線101を介して、エレベータ制御装置2から通信装置3に送信されているものとする。
【0067】
本実施形態では、
図2に示すように、送信先装置6は、端末装置9によりAPI813が利用される前の時点において、第1サーバ装置4に対して第1トピックをサブスクライブしている(S1)。これにより、通信装置3が、第2サーバ装置5から送信開始要求を受信し、動作情報を第1サーバ装置4に対してパブリッシュしたタイミングで、第1サーバ装置4は送信先装置6に動作情報を送信できる。
【0068】
端末装置9は、利用者が動作状況を把握したいエレベータ1の動作情報を取得するための入力操作を受け付ける。端末装置9は、この入力操作を受け付けると、要求元装置8のAPI813を利用する(S2)。このとき、端末装置9は、要求元装置8に、利用者が指定したエレベータ1の指定情報を併せて送信する。
【0069】
要求元装置8では、要求元送信部811が、指定情報を含む送信開始要求を第1サーバ装置4に送信する(S3)。第1サーバ装置4では、サーバ送信部413が、要求元装置8から受信した送信開始要求を、第2サーバ装置5に送信する(S4)。第2サーバ装置5は、第1サーバ装置4から受信した送信開始要求を、通信装置3に送信する(S5)。
【0070】
通信装置3では、送受信部321が、第2サーバ装置5から送信開始要求を受信する。この受信により、パブリッシュ部312は、動作モードを、非送信モードから送信モードに切り替える(S6)。そして、パブリッシュ部312は、エレベータ制御装置2から受信した動作情報を、第1トピックで第1サーバ装置4に対してパブリッシュする(S8)。パブリッシュ部312は、エレベータ制御装置2から動作情報を受信する度に、第1トピックで第1サーバ装置4に対してパブリッシュする。
【0071】
また、通信装置3では、送受信部321による送信開始要求の受信により、サブスクライブ部313が、通信装置3が接続されたエレベータ1の識別情報に基づいて作成された第2トピックを、第1サーバ装置4に対してサブスクライブする(S7)。S7の処理は、S5において通信装置3が送信開始要求を受信した後であれば、S6の処理前またはS6の処理と同時に行われてもよいし、S8の処理の開始時または開始後に行われてもよい。
【0072】
S1において、送信先装置6が第1サーバ装置4に対して第1トピックをサブスクライブしている。そのため、第1サーバ装置4では、第2送信部412が、通信装置3からパブリッシュされた、指定されたエレベータ1の動作情報を、送信先装置6に送信する(S9)。第2送信部412は、通信装置3から動作情報を受信する度に、送信先装置6に送信する。そして、送信先装置6は、第1サーバ装置4から動作情報を受信する度に、記憶装置7に格納する(S10)。
【0073】
続いて、
図3に示すように、端末装置9は、API813の初回の利用に続いてAPI813を利用する(S11)。要求元装置8では、要求元パブリッシュ部812が、送信継続要求を、エレベータ1の識別情報に基づいて作成された第2トピックで第1サーバ装置4に対してパブリッシュする(S12)。これにより、第1サーバ装置4は、当該第2トピックと同一の第2トピックをサブスクライブした通信装置3に、要求元装置8がパブリッシュした送信継続要求を送信できる。
【0074】
図2のS7において、通信装置3から第1サーバ装置4へ、エレベータ1の識別情報に基づいて作成された第2トピックがサブスクライブされている。そのため、第1サーバ装置4では、第1送信部411が、指定されたエレベータ1の識別情報に基づいて作成された第2トピックをサブスクライブした通信装置3に、要求元装置8がパブリッシュした送信継続要求を送信する(S13)。
【0075】
また、要求元装置8では、要求元制御部81が、S11でのAPI813の利用に応じて、指定されたエレベータ1の動作情報を記憶装置7から逐次取得し(S14)、端末装置9に送信する(S15)。記憶装置7には、
図2のS10以降、エレベータ1の動作状況に変更が生じる度に生成される動作情報が格納されている。そのため、端末装置9は、要求元装置8から動作情報を逐次受信することにより、エレベータ1の動作状況をリアルタイムに利用者に通知できる。
【0076】
通信装置3では、
図2のS5において送受信部321が送信開始要求を受信した後、第1制御部31が計時を開始する。そして、パブリッシュ部312は、送信開始要求の受信後、所定期間が経過するまでに送信継続要求を受信するかを判定する。パブリッシュ部312は、所定期間が経過するまでに、S13において送信された送信継続要求を受信したと判定した場合、送信モードを継続する。そのため、パブリッシュ部312は、エレベータ制御装置2から動作情報を受信する度に、第1トピックで第1サーバ装置4に対してパブリッシュし続ける(S16)。第1制御部31による計時は、パブリッシュ部312による送信継続要求の受信、または、所定期間の経過によりリセットされる。
【0077】
第1サーバ装置4では、第2送信部412が、指定されたエレベータ1の動作情報を通信装置3から受信する度に、送信先装置6に送信する(S17)。そして、送信先装置6は、第1サーバ装置4から動作情報を受信する度に、記憶装置7に格納する(S18)。
【0078】
一方、パブリッシュ部312は、
図2のS5において送信開始要求を受信してから所定期間が経過したと判定した場合、動作モードを送信モードから非送信モードに切り替える。非送信モード中、通信装置3は、エレベータ1の動作状況が変化する度にエレベータ制御装置2から動作情報を受信していても、第1サーバ装置4に動作情報をパブリッシュしない。すなわち、通信装置3は、非送信モードへの切り替えにより、第1サーバ装置4への動作情報の送信を停止する。
【0079】
端末装置9が前回のAPI813の利用に続けてAPI813を利用している場合(S21)、要求元装置8は、送信継続要求を、エレベータ1の識別情報に基づいて作成された第2トピックで第1サーバ装置4に対してパブリッシュする(S22)。第1サーバ装置4は、当該第2トピックと同一の第2トピックをサブスクライブした通信装置3に、要求元装置8がパブリッシュした送信継続要求を送信する(S23)。
【0080】
また、要求元装置8では、要求元制御部81が、S21でのAPI813の利用に応じて、指定されたエレベータ1の動作情報を記憶装置7から逐次取得し(S24)、端末装置9に送信する(S25)。記憶装置7には、
図2のS10以降、エレベータ1の動作状況に変更が生じる度に生成される動作情報が、引き続き格納されている。そのため、要求元装置8は、エレベータ1の最新の動作状況を示す動作情報を、引き続き端末装置9に送信できる。そのため、端末装置9は、エレベータ1の動作状況をリアルタイムに利用者に通知できる。
【0081】
通信装置3では、S13において送信継続要求を受信した後、第1制御部31が再度計時を開始する。そして、パブリッシュ部312は、この送信継続要求の受信後、所定期間内に次の送信継続要求を受信するかを判定する。すなわち、パブリッシュ部312は、送信継続要求を最後に受信してから所定期間が経過するまでに送信継続要求を受信するかを判定する。パブリッシュ部312は、所定期間が経過するまでに、S23において送信された送信継続要求を受信したと判定した場合、送信モードを継続する。そのため、パブリッシュ部312は、エレベータ制御装置2から動作情報を受信する度に、第1トピックで第1サーバ装置4に対してパブリッシュし続ける(S26)。
【0082】
第1サーバ装置4では、第2送信部412が、指定されたエレベータ1の動作情報を通信装置3から受信する度に、送信先装置6に送信する(S27)。そして、送信先装置6は、第1サーバ装置4から動作情報を受信する度に、記憶装置7に格納する(S28)。
【0083】
その後も同様に、端末装置9によりAPI813が利用されると(S31)、要求元装置8の要求元パブリッシュ部812が、送信継続要求を第2トピックでパブリッシュする(S32)。その後、第1サーバ装置4の第1送信部411が、当該送信継続要求を、当該第2トピックと同一の第2トピックをサブスクライブした通信装置3に送信する(S33)。また、要求元装置8は、記憶装置7から動作情報を引き続き取得し(S34)、端末装置9に送信する(S35)。
【0084】
パブリッシュ部312は、S23において送信継続要求を受信した後、所定期間が経過するまでに、S33において送信された送信継続要求を受信したと判定した場合、送信モードを継続する。そのため、パブリッシュ部312は、エレベータ制御装置2から動作情報を受信する度に、第1トピックで第1サーバ装置4に対してパブリッシュし続ける(S36)。そして、第1サーバ装置4の第2送信部412が、通信装置3からパブリッシュされた動作情報を送信先装置6に送信し(S37)、送信先装置6が記憶装置7に格納し続ける(S38)。
図4に示すS41~S48についても同様である。
【0085】
このように、パブリッシュ部312は、送信継続要求を受信してから所定期間が経過するまでに次の送信継続要求を受信している間(すなわち、送信継続要求を継続的に受信している間)は、動作情報を第1サーバ装置4にパブリッシュし続ける。そのため、要求元装置8は、端末装置9がAPI813を継続的に利用している間は、エレベータ1の最新の動作状況を示す動作情報を、端末装置9に送信できる。
【0086】
一方、パブリッシュ部312が、送信継続要求を最後に受信してから送信継続要求を受信せずに所定期間が経過したと判定した場合、動作モードを送信モードから非送信モードに切り替える。
図4に示すように、パブリッシュ部312は、S43において送信継続要求を受信した後、所定期間が経過するまでに次の送信継続要求を受信しなかったと判定した場合、動作モードを送信モードから非送信モードに切り替える(S51)。
【0087】
上述のように、エレベータ制御装置2は、エレベータ制御装置2が制御するエレベータ1の動作状況に変化が生じる度に、動作情報を通信装置3に送信している。しかし、通信装置3では、パブリッシュ部312は、非送信モードに切り替えた後については、動作情報を受信していても、第1サーバ装置4に動作情報をパブリッシュしない。すなわち、通信装置3は、非送信モードへの切り替えにより、第1サーバ装置4への動作情報の送信を停止する。
【0088】
従って、通信装置3は、送信開始要求を受信した後、送信継続要求を継続的に受信している間のみ、第1サーバ装置4に動作情報を送信できる。つまり、API813が継続的に利用されている間のみ、第1サーバ装置4に動作情報を送信できる。そのため、API813が利用されている間は、端末装置9は、エレベータ1の動作状況をリアルタイムに利用者に通知できる。一方で、API813が利用されていない状況においては、通信装置3と第1サーバ装置4との間で第1通信方式に従う通信セッションを確立しないため余分な通信負荷を抑制できる。
【0089】
複数の端末装置9において共通のエレベータ1が指定された場合、いずれかの端末装置9がAPI813を利用すると、要求元装置8は、当該エレベータ1の動作情報についての送信開始要求を第1サーバ装置4に送信する。この送信に基づいて、通信装置3は、動作モードを送信モードに切り替えることができる。
【0090】
上述したように、通信装置3は、送信継続要求を受信してから所定期間が経過するまでに次の送信継続要求を受信した場合、送信モードを継続する。要求元装置8は、いずれかの端末装置9がAPI813を利用している場合には、送信継続要求を第1サーバ装置4に送信する。そのため、いずれかの端末装置9がAPI813を利用している間は、通信装置3は送信モードを継続し、動作情報を第1サーバ装置4に対してパブリッシュし続ける。
【0091】
一方、いずれの端末装置9もAPI813を利用しなくなった場合、要求元装置8は、送信継続要求を第1サーバ装置4に送信しなくなる。すなわち、いずれの利用者も指定したエレベータ1の動作情報を閲覧していないと認められる場合、要求元装置8は、送信継続要求を第1サーバ装置4に送信しなくなる。そのため、いずれの端末装置9もAPI813を利用しなくなったことにより、通信装置3が、第1サーバ装置4から送信継続要求を最後に受信してから所定期間が経過するまでに送信継続要求を受信しなかった場合には、非送信モードに切り替える。通信装置3は、非送信モードへの切り替えにより、指定された動作情報の第1サーバ装置4への送信を停止する。
【0092】
このように、複数の利用者が指定したエレベータ1の動作状況を閲覧しようとしている場合、通信装置3は、切り替えた送信モードを継続する。これにより、複数の端末装置9の少なくともいずれかは、エレベータ1の動作状況をリアルタイムに利用者に通知できる。そして、いずれの利用者も指定したエレベータ1の動作状況を閲覧しなくなった状態になって初めて、通信装置3は、非送信モードに切り替え、第1サーバ装置4への動作情報の送信を停止する。
【0093】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るデータ送信システムは、パブリッシュ/サブスクライブ型の通信方式を用いて互いに通信可能な、ブローカーとして機能するサーバ装置と、1または複数の通信装置とを含むデータ送信システムであって、前記通信装置は、自装置と通信可能に接続されたエレベータ制御装置から、当該エレベータ制御装置が制御するエレベータの動作状況に関する動作情報を受信する受信部と、前記受信部が前記動作情報を受信する度に当該受信した前記動作情報を所定の第1トピックで前記サーバ装置に対してパブリッシュを行う送信モードと、前記パブリッシュを行わない非送信モードとのいずれかに動作モードを切り替えるパブリッシュ部と、前記送信モードに切り替わるとき、前記エレベータの識別情報に基づいて作成された第2トピックを前記サーバ装置に対してサブスクライブするサブスクライブ部とを備え、前記サーバ装置は、要求元装置から前記第2トピックで前記サーバ装置に対してパブリッシュされた、前記動作情報の送信継続要求を、前記サーバ装置に対して前記第2トピックをサブスクライブした前記通信装置へ送信する第1送信部を備え、前記パブリッシュ部は、前記送信モード中に、前記通信装置が前記送信継続要求を最後に受信してから所定期間が経過するまでに前記送信継続要求を受信した場合、前記送信モードを継続し、前記通信装置が前記送信継続要求を最後に受信してから前記送信継続要求を受信せずに前記所定期間が経過した場合、前記非送信モードに切り替える。
【0094】
本発明の態様2に係るデータ送信システムは、態様1において、前記エレベータ制御装置は、当該エレベータ制御装置が制御するエレベータの動作状況に変化が生じる度に前記動作情報を前記通信装置に送信する。
【0095】
本発明の態様3に係るデータ送信システムは、態様1または2において、前記要求元装置は、前記データ送信システムの利用者の端末装置が利用可能な、指定されたエレベータの前記動作情報を提供するための機能を有し、前記端末装置が前記機能を利用することにより前記要求元装置から前記端末装置へ前記動作情報が所定頻度で提供される間、指定されたエレベータの識別情報に基づいて作成された前記第2トピックで前記送信継続要求を前記サーバ装置に対してパブリッシュする。
【0096】
本発明の態様4に係るデータ送信システムは、態様1から3のいずれかにおいて、前記サーバ装置は、前記パブリッシュ部からパブリッシュされた前記動作情報を受信すると、当該受信した前記動作情報を、前記サーバ装置に対して前記第1トピックをサブスクライブした送信先装置へ送信する第2送信部を備え、前記送信先装置は、前記サーバ装置から前記動作情報を受信する度に、当該受信した前記動作情報を記憶装置に格納するための処理を実行し、前記要求元装置は、前記データ送信システムの利用者の端末装置が利用可能な、指定されたエレベータの前記動作情報を提供するための機能を有し、前記端末装置が前記機能を利用中は、指定されたエレベータの前記動作情報を前記記憶装置から逐次取得し、当該取得した前記動作情報を前記端末装置に送信する。
【0097】
本発明の態様5に係るデータ送信システムは、態様1から4のいずれかにおいて、前記要求元装置は、前記データ送信システムの利用者の端末装置が利用可能な、指定されたエレベータの前記動作情報を提供するための機能を有し、前記端末装置から前記機能が最後に利用されてから前記所定期間が経過した後に前記端末装置から前記機能が利用された場合、前記通信装置に対して前記動作情報の送信開始要求を送信するための処理を実行し、前記パブリッシュ部は、前記通信装置が前記送信開始要求を受信すると、動作モードを前記送信モードに切り替える。
【0098】
本発明の態様6に係るデータ送信システムは、態様3から5のいずれかにおいて、前記機能は、API(Application Programing Interface)により提供される。
【0099】
〔ソフトウェアによる実現例〕
データ送信システム100の各装置(記憶装置7を除く)(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に、第1制御部31、第2制御部32、サーバ制御部41および要求元制御部81に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0100】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0101】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0102】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0103】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0104】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
1 エレベータ
2 エレベータ制御装置
3 通信装置
4 第1サーバ装置(サーバ装置)
6 送信先装置
7 記憶装置
8 要求元装置
9 端末装置
100 データ送信システム
311 受信部
312 パブリッシュ部
313 サブスクライブ部
411 第1送信部
412 第2送信部
813 API(機能)
【要約】
【課題】エレベータの動作状況に関する動作情報をパブリッシュする処理の継続可否の判断を、パブリッシュする側で簡易に行う。
【解決手段】データ送信システム(100)は、ブローカーとして機能する第1サーバ装置(4)と通信装置(3)とを含む。通信装置のパブリッシュ部(312)は、送信モード中に、通信装置が、要求元装置(8)から第2トピックで第1サーバ装置に対してパブリッシュされた送信継続要求を最後に受信してから、所定期間が経過するまでに送信継続要求を受信した場合、送信モードを継続する一方、通信装置が送信継続要求を最後に受信してから送信継続要求を受信せずに所定期間が経過した場合、非送信モードに切り替える。
【選択図】
図1