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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】支援システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/00 20060101AFI20250109BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20250109BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20250109BHJP
   B60W 20/13 20160101ALI20250109BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20250109BHJP
   B60L 50/61 20190101ALI20250109BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20250109BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B60W10/00 900
B60K6/48 ZHV
B60W10/26 900
B60W20/13
B60W20/00
B60L50/61
B60L58/12
B60T17/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024501062
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2023002612
(87)【国際公開番号】W WO2023157608
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2024-07-23
(31)【優先権主張番号】P 2022021209
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】上平 真
(72)【発明者】
【氏名】冨田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】水井 俊文
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-185965(JP,A)
【文献】特開2019-170136(JP,A)
【文献】特開2013-154717(JP,A)
【文献】特開平7-194013(JP,A)
【文献】特開2014-113830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 20/50
B60L 50/61
B60L 58/12
B60T 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを運転した状態で走行するエンジン走行よりも前記エンジンを停止した状態で走行するEV走行を優先するEV優先モードが選択可能であって、
前記EV優先モードが選択されている場合であっても、駆動用バッテリの充電率が予め定められた充電閾値以下、又はユーザの要求出力が予め定められた出力閾値以上となった場合に前記エンジンを始動するハイブリッド自動車のEV走行の継続を支援する支援システムであって、
前記EV優先モードを選択するためのEV優先モード選択装置と、
前記充電率を検出する充電率検出装置と、
前記要求出力を検出する要求出力検出装置と、
表示制御装置と、
前記EV優先モードが選択された場合に、前記表示制御装置からの指示により、一列に並んだ複数のセグメントを表示する表示装置と、
を備え、
前記表示制御装置は、
前記充電率が前記複数のセグメントの点灯数に対応するように、前記駆動用バッテリの最大充電率から前記充電閾値に至る前記充電率が前記複数のセグメントに割り当てられ、前記充電率に対応する充電点灯数を決定した上で、EV走行中は充電点灯数を増加させないように制限する充電点灯数決定部と、
前記エンジンを停止した状態で出力可能な出力と前記要求出力との差分が前記複数のセグメントの点灯数に対応するように、前記出力可能な出力から前記出力閾値に至る前記要求出力が前記複数のセグメントに割り当てられ、前記差分に対応する出力点灯数を決定する出力点灯数決定部と、
前記EV優先モードが選択された場合に、前記充電点灯数、又は前記出力点灯数のうち、最も数が少ない数のセグメントを点灯するように前記表示装置に指示する点灯数指示部とを有する、支援システム。
【請求項2】
エンジンを運転した状態で走行するエンジン走行よりも前記エンジンを停止した状態で走行するEV走行を優先するEV優先モードが選択可能であって、
前記EV優先モードが選択されている場合であっても、駆動用バッテリの充電率が予め定められた充電閾値以下、又はユーザの要求出力が予め定められた出力閾値以上となった場合に前記エンジンを始動するハイブリッド自動車のEV走行の継続を支援する支援システムであって、
前記EV優先モードを選択するためのEV優先モード選択装置と、
前記充電率を検出する充電率検出装置と、
前記要求出力を検出する要求出力検出装置と、
表示制御装置と、
前記EV優先モードが選択された場合に、前記表示制御装置からの指示により、一列に並んだ複数のセグメントを表示する表示装置と、
前記エンジンにより発電された電気を駆動用バッテリに充電するチャージモードの選択を可能にするチャージモード選択装置と、を備え、
前記表示制御装置は、
前記充電率が前記複数のセグメントの点灯数に対応するように、前記駆動用バッテリの最大充電率から前記充電閾値に至る前記充電率が前記複数のセグメントに割り当てられ、前記充電率に対応する充電点灯数を決定する充電点灯数決定部と、
前記エンジンを停止した状態で出力可能な出力と前記要求出力との差分が前記複数のセグメントの点灯数に対応するように、前記出力可能な出力から前記出力閾値に至る前記要求出力が前記複数のセグメントに割り当てられ、前記差分に対応する出力点灯数を決定する出力点灯数決定部と、
前記EV優先モードが選択された場合に、前記充電点灯数、又は前記出力点灯数のうち、最も数が少ない数のセグメントを点灯するように前記表示装置に指示する点灯数指示部と
を有し、
前記複数のセグメントは、前記駆動用バッテリの充電率が予め定めた満充電率以上の場合に点灯する満充電表示用のセグメントを含み、
前記点灯数指示部は、前記チャージモードが選択された場合に、前記充電点灯数のセグメントを点灯するように前記表示装置に指示し、
チャージモードが選択され、エンジンの運転によって前記満充電率以上に充電された場合に、前記満充電表示用のセグメントを点灯する支援システム。
【請求項4】
エンジンを運転した状態で走行するエンジン走行よりも前記エンジンを停止した状態で走行するEV走行を優先するEV優先モードが選択可能であって、
前記EV優先モードが選択されている場合であっても、駆動用バッテリの充電率が予め定められた充電閾値以下、又はユーザの要求出力が予め定められた出力閾値以上となった場合に前記エンジンを始動するハイブリッド自動車のEV走行の継続を支援する支援システムであって、
前記EV優先モードを選択するためのEV優先モード選択装置と、
前記充電率を検出する充電率検出装置と、
前記要求出力を検出する要求出力検出装置と、
表示制御装置と、
前記EV優先モードが選択された場合に、前記表示制御装置からの指示により、一列に並んだ複数のセグメントを表示する表示装置と、を備え、
前記表示制御装置は、
前記充電率が前記複数のセグメントの点灯数に対応するように、前記駆動用バッテリの最大充電率から前記充電閾値に至る前記充電率が前記複数のセグメントに割り当てられ、前記充電率に対応する充電点灯数を決定する充電点灯数決定部と、
前記エンジンを停止した状態で出力可能な出力と前記要求出力との差分が前記複数のセグメントの点灯数に対応するように、前記出力可能な出力から前記出力閾値に至る前記要求出力が前記複数のセグメントに割り当てられ、前記差分に対応する出力点灯数を決定する出力点灯数決定部と、
前記EV優先モードが選択された場合に、前記充電点灯数、又は前記出力点灯数のうち、最も数が少ない数のセグメントを点灯するように前記表示装置に指示する点灯数指示部と、
を有し、
前記複数のセグメントは、前記駆動用バッテリの充電率が予め定めた満充電率以上の場合に点灯する満充電表示用のセグメントを含み、
外部電源によって前記満充電率以上に充電された場合に、前記満充電表示用のセグメントを点灯する支援システム。
【請求項5】
前記支援システムは、ブレーキブースタの負圧が予め定められた負圧閾値以下となった場合に、前記エンジンを始動する支援システムであって、
前記負圧を検出する負圧検出装置と、
前記負圧が前記複数のセグメントの点灯数に対応するように、前記ブレーキブースタに蓄えられる最大負圧から前記負圧閾値に至る前記負圧が前記複数のセグメントに割り当てられ、前記負圧に対応する負圧点灯数を決定した上で、エンジン走行中は、負圧点灯数を減少させないように制限する負圧点灯数決定部と、
を備え、
前記点灯数指示部は、前記EV優先モードが選択された場合に、前記充電点灯数、前記負圧点灯数、又は前記出力点灯数のうち、最も数が少ない数のセグメントを点灯するように前記表示装置に指示する、請求項1に記載の支援システム。
【請求項6】
前記表示装置は、前記駆動用バッテリの充電率を表示するSOCメータを表示する、
請求項1、2、4又は5に記載の支援システム。
【請求項7】
前記EV優先モードが選択された場合であって、前記EV走行が可能な場合に、前記表示装置は、前記表示制御装置からの指示により、EV表示を点灯する一方、前記EV走行が不能な場合に、前記表示制御装置からの指示により、前記EV表示を消灯する、
請求項1、2又は4に記載の支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッド自動車のEV走行の継続を支援する支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内燃機関と、蓄電装置から電力の供給を受けて車両駆動力を発生させる駆動用モータとを動力源とする車両の車両用制御装置が開示されている。かかる車両用制御装置は、蓄電装置の残容量を検出するための検出部と、内燃機関を停止させた状態で駆動用モータを用いるモータ走行を優先するための第1モードと、残容量が第1閾値よりも低下した場合に、選択中の走行モードに関係なく内燃機関と駆動用モータとを用いたハイブリッド走行を強制的に優先するための第2モードとのうちのいずれか一つの走行モードを選択するための制御部とを含んでいる。
【0003】
また、特許文献1に開示された車両には、残容量を表示するための表示装置が設けられている。表示装置は、残容量の下限値から上限値までに対応した、点灯可能な複数のセグメントの各々の点灯の有無によって、残容量が複数の段階のうちのいずれの段階であるかを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5516027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ユーザの要求出力が予め定められた閾値(出力閾値)以上となった場合には蓄電装置の残容量に余裕があっても内燃機関が始動し、モータ走行(EV走行)を継続することができない。
【0006】
したがって、残容量の下限値から上限値までに対応した、点灯可能な複数のセグメントの各々の点灯の有無によって、残容量が複数の段階のうちのいずれの段階であるかを表示するだけではEV走行の継続を支援することができない(EV走行距離を延ばすことができない)。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、EV走行の継続を支援することができる支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る支援システムは、エンジンを運転した状態で走行するエンジン走行よりも前記エンジンを停止した状態で走行するEV走行を優先するEV優先モードが選択可能であって、前記EV優先モードが選択されている場合であっても、駆動用バッテリの充電率が予め定められた充電閾値以下、又はユーザの要求出力が予め定められた出力閾値以上となった場合に前記エンジンを始動するハイブリッド自動車のEV走行の継続を支援システムであって、前記EV優先モードを選択するためのEV優先モード選択装置と、前記充電率を検出する充電率検出装置と、前記要求出力を検出する要求出力検出装置と、表示制御装置と、前記EV優先モードが選択された場合に、前記表示制御装置からの指示により、一列に並んだ複数のセグメントを表示する表示装置と、を備え、前記表示制御装置は、前記充電率が前記複数のセグメントの点灯数に対応するように、前記駆動用バッテリの最大充電率から前記充電閾値に至る前記充電率が前記複数のセグメントに割り当てられ、前記充電率に対応する充電点灯数を決定する充電点灯数決定部と前記エンジンを停止した状態で出力可能な出力と前記要求出力との差分が前記複数のセグメントの点灯数に対応するように、前記出力可能な出力から前記出力閾値に至る前記要求出力が前記複数のセグメントに割り当てられ、前記差分に対応する出力点灯数を決定する出力点灯数決定部と、前記EV優先モードが選択された場合に、前記充電点灯数、又は前記出力点灯数のうち、最も数が少ない数のセグメントを点灯するように前記表示装置に指示する点灯数指示部とを有する。
【0009】
上記(1)の構成によれば、EV優先モードが選択された場合に、充電点灯数、又は出力点灯数のうち、最も数が少ない数のセグメントを点灯するので、ユーザはセグメント点灯数(消灯数)を見ながら急激なアクセルペダル操作を避けて、ブレーキペダル操作よりも回生ブレーキ操作を優先することで、EV走行の継続を図ることができる(EV走行の継続支援)。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記エンジンにより発電された電気を駆動用バッテリに充電するチャージモードの選択を可能にするチャージモード選択装置を備え、前記点灯数指示部は、前記チャージモードが選択された場合に、前記充電点灯数のセグメントを点灯するように前記表示装置に指示する。
【0011】
上記(2)の構成によれば、チャージモードが選択された場合に、充電点灯数のセグメントを点灯することで、駆動用バッテリの充電率をユーザに視覚的に認識させることができる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、前記EV優先モードが選択された場合であって、前記EV走行が可能な場合に、前記表示装置は、前記表示制御装置からの指示により、EV表示を点灯する一方、前記EV走行が不能な場合に、前記表示制御装置からの指示により、前記EV表示を消灯する。
【0013】
上記(3)の構成によれば、EV表示の点灯によりEV走行が可能であることをユーザに認識させ、EV表示の消灯によりEV走行が不能であること(エンジン走行すること)をユーザに認識させることができる。また、EV表示の消灯により、エンジン走行からEV走行への復帰のためにエンジンにより発電された電気が駆動用バッテリに充電されていること、及び、回生ブレーキによって駆動用バッテリが充電されていることをユーザに認識させることができる。これにより、エンジン走行からEV走行に復帰するために、ユーザは急激なアクセルペダル操作を避けて、ブレーキペダル操作よりも回生ブレーキ操作を優先するように促すことができる。また、エンジン走行からEV走行に復帰するとEV表示が消灯から点灯に移行するので、ユーザはエンジン走行からEV走行に復帰するタイミングを視覚的に認識することができる。
【0014】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)から(3)のいずれか一つの構成において、前記複数のセグメントは、前記駆動用バッテリの充電率が予め定めた満充電率以上の場合に点灯する満充電表示用のセグメントを含む。
【0015】
上記(4)の構成によれば、駆動用バッテリの充電率が満充電率以上であるか否かをユーザに視覚的に認識させることができる。
【0016】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)から(5)のいずれか一つの構成において、前記支援システムは、ブレーキブースタの負圧が予め定められた負圧閾値以下となった場合に、前記エンジンを始動する支援システムであって、前記負圧を検出する負圧検出装置と、前記負圧が前記複数のセグメントの点灯数に対応するように、前記ブレーキブースタに蓄えられる最大負圧から前記負圧閾値に至る前記負圧が前記複数のセグメントに割り当てられ、前記負圧に対応する負圧点灯数を決定する負圧点灯数決定部と、を備え、前記点灯数指示部は、前記EV優先モードが選択された場合に、前記充電点灯数、前記負圧点灯数、又は前記出力点灯数のうち、最も数が少ない数のセグメントを点灯するように前記表示装置に指示する。
【0017】
上記(5)の構成によれば、EV優先モードが選択された場合に、充電点灯数、負圧点灯数又は出力点灯数のうち、最も数が少ない数のセグメントを点灯するので、ユーザはセグメント点灯数(消灯数)を見ながら急激なアクセルペダル操作を避けて、ブレーキペダル操作よりも回生ブレーキ操作を優先することで、EV走行の継続を図ることができる。
【0018】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)から(5)のいずれか一つの構成において、前記表示装置は、前記駆動用バッテリの充電率を表示するSOCメータを表示する。
【0019】
上記(6)の構成によれば、駆動用バッテリの充電率と、エンジンの始動までにどれくらいの余裕があるかをユーザに視覚的に認識させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、EV走行の継続を図ることができる(EV走行の継続支援)。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1及び2に係る支援システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2図1に示した表示装置に表示される画像の一例を示す図である。
図3】実施形態1に係る支援システムの動作を概略的に示すフローチャートである。
図4】実施形態2に係る支援システムの動作を概略的に示すフローチャートである。
図5】実施形態3及び4に係る支援システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図6】実施形態3に係る支援システムの動作を概略的に示すフローチャートである。
図7図5に示した表示装置に表示される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0023】
[実施形態1]
[ハイブリッド自動車の概要]
実施形態1に係る支援システムが搭載される自動車は、エンジン及びモータを動力源とするハイブリッド自動車であって、エンジンを運転状態で走行するエンジン走行とエンジンを停止した状態で走行するEV走行とが可能である。ハイブリッド自動車は、例えば、外部充電によって外部電源から充電可能、もしくは外部機器への外部給電可能なプラグインハイブリッド自動車(PHEV,PHV)であるが、プラグインハイブリッド自動車に限定されるものではない。
【0024】
また、実施形態1に係るハイブリッド自動車は、エンジン走行よりもEV走行を優先するEV優先モードを選択するEV優先モードが選択可能であって、EV優先モードが選択されている場合であっても、駆動用バッテリの充電率(SOC(State Of Charge))が予め定められた充電閾値以下、ブレーキブースタの負圧が予め定められた負圧閾値以下、又は、ユーザの要求出力が予め定められた出力閾値以上となった場合にエンジンを始動するように構成されている。
【0025】
また、実施形態1に係るハイブリッド自動車は、エンジンが始動した場合に、駆動用バッテリの充電率が予め定めたエンジン停止充電閾値以上、ブレーキブースタの負圧が予め定めたエンジン停止負圧閾値以上、及びユーザの要求出力が出力閾値以下となった場合にエンジンを停止するように構成されている。エンジン停止充電閾値は、駆動用バッテリの最大充電率以下であって充電閾値以上の範囲で任意に設定され、エンジン停止負圧閾値は、ブレーキブースタに蓄えられる最大負圧以下であって負圧閾値以上の範囲で任意に設定される。
【0026】
[支援システムの構成]
実施形態1に係る支援システム1Aは、EV走行の継続を支援するシステムであって、図1に示すように、EV優先モードを選択するためのEV優先モード選択装置10、駆動用バッテリの充電率を検出する充電率検出装置12、ブレーキブースタ14の負圧を検出する負圧検出装置16、ユーザの要求出力を検出する要求出力検出装置18、表示制御装置20、及びEV優先モードが選択された場合に、表示制御装置20からの指示により、一列に並んだ複数のセグメントSG1~SG3を表示する表示装置22を備えている。
【0027】
EV優先モード選択装置10は、例えば、セレクタレバー24と隣り合う位置に設けられたEVモードセレクタスイッチ26により構成され、EVプライオリティモードを選択することによって、EV優先モードが選択される。充電率検出装置12は、例えば、駆動用バッテリに設けられたバッテリマネージメントシステム(図示せず)によって構成される。負圧検出装置16は、例えば、ブレーキブースタ14に設けられた圧力センサ28によって構成される。要求出力検出装置18は、例えば、アクセルペダル30の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ32によって構成される。表示装置22は、例えば、メータ内に設けられたマルチインフォメーションディスプレイ34によって構成される。表示制御装置20は、例えば、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、及び周辺回路等から構成されるプロセッサ(図示せず)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Acsess Memory)等のメモリ(図示せず)、及び入出力インタフェース(図示せず)によって構成される。図2に示すように、表示装置22には、例えば、駆動用バッテリの充電率を表示するSOCメータSMが表示され、EV優先モードが選択された場合に、一列に並んだ複数のセグメントSG1~SG3がSOCメータSMと横並びに表示されるが、SOCメータSMの表示は必須ではなく任意である。また、一列に並んだ複数のセグメントSG1~SG3は、例えば、左右に並んだ3つのセグメントSG1~SG3で構成されるが、複数のセグメントSG1~SG3の数は3つに限られるものではない。
【0028】
[表示制御装置20の詳細構成]
図1に示すように、表示制御装置20は、充電点灯数決定部36、負圧点灯数決定部38、出力点灯数決定部40、及び点灯数指示部42を有している。
【0029】
複数のセグメントSG1~SG3には、駆動用バッテリの最大充電率からエンジンが始動する充電閾値に至る充電率が割り当てられ、充電点灯数決定部36は、駆動用バッテリの充電率に対応する点灯数(以下「充電点灯数という」を決定する。
【0030】
また、複数のセグメントSG1~SG3には、ブレーキブースタ14に蓄えられる最大負圧からエンジンが始動する負圧閾値に至る負圧が割り当てられ、負圧点灯数決定部38は、ブレーキブースタ14の負圧に対応する点灯数(以下「負圧点灯数」という)を決定する。
【0031】
また、複数のセグメントSG1~SG3には、エンジンを停止した状態で出力可能な出力からエンジンが始動する出力閾値に至る要求出力が割り当てられ、出力点灯数決定部40は、エンジンを停止した状態で出力可能な出力と要求出力との差分に対応する点灯数(以下「出力点灯数」という)を決定する。
【0032】
点灯数指示部42は、EV優先モード選択装置10によってEV優先モードが選択された場合に、充電点灯数決定部36で決定された充電点灯数、負圧点灯数決定部38で決定された負圧点灯数、又は出力点灯数決定部40で決定された出力点灯数のうち、最も数が少ない数のセグメントSG1~SG3を点灯するように表示装置22に指示する。
【0033】
[支援システム1Aの動作]
図3に示すように、実施形態1に係る支援システム1Aでは、EV優先モード選択装置10によってEV優先モードが選択(EV優先モードON)される(ステップS11:Yes)と、表示制御装置20からの指示により、表示装置22に一列に並んだ複数のセグメントSG1~SG3を表示する(ステップS12)。
【0034】
次に、充電点灯数決定部36が、充電率検出部で検出された駆動用バッテリの充電率に基づいて、駆動用バッテリの充電率に対応する充電点灯数を決定するステップS13)。次に、負圧点灯数決定部38が、負圧検出装置16で検出されたブレーキブースタ14の負圧に基づいて、ブレーキブースタ14の負圧に対応する負圧点灯数を決定する(ステップS14)。次に、出力点灯数決定部40が、要求出力検出装置18で検出されたユーザの要求出力に基づいて、エンジンを停止した状態で出力可能な出力とユーザの要求出力の差分を算出し、この差分に対応する出力点灯数を決定する(ステップS15)。
【0035】
次に、点灯数指示部42が、充電点灯数決定部36で決定された充電点灯数、負圧点灯数決定部38で決定された負圧点灯数、又は出力点灯決定部で決定された出力点灯数のうち、最も数が少ない数のセグメントSG1~SG3を点灯するように表示装置22に指示する(ステップS16)。これにより、表示装置22は、点灯数指示部42(表示制御装置20)に指示された数のセグメントSG1~SG3を点灯する。以下、EV優先モード選択装置10によってEV優先モードが解消(EV優先モードがOFF)されるまで、ステップS13からステップS17を繰り返す。
【0036】
一方、EV優先モード選択装置10によってEV優先モードが解消(EV優先モードがOFF)される(ステップS17:Yes)と、表示制御装置20からの指示により、表示装置22に表示された複数のセグメントSG1~SG4は再びEV優先モードが選択されるまで非表示となる(ステップS18)。
【0037】
尚、実施形態1に係る支援システム1Aでは、EV優先モードが選択された場合であって、EV走行が可能な場合には、回生ブレーキ操作によって駆動用バッテリが充電されることがあるが、EV走行中は、充電点灯数決定部36が充電点灯数を増加させないように制限してもよい。また、EV優先モードが選択された場合であって、EV走行が不能な場合(エンジン走行する)には、アクセルペダル操作によって駆動用バッテリに充電された電気が消費されることがあるが、エンジン走行中は、充電点灯数決定部36が充電点灯数を減少させないように制限してもよい。同様に、ブレーキペダル操作によってブレーキブースタ14の負圧が消費されたりすることがあるが、エンジン走行中は、負圧点灯数決定部38が負圧点灯数を減少させないように制限してもよい。
【0038】
[支援システム1Aの効果]
実施形態1に係る支援システム1Aによれば、EV優先モードが選択された場合に、充電点灯数、負圧点灯数、又は出力点灯数のうち、最も少ない数のセグメントSG1~SG3を点灯するので、ユーザはセグメント点灯数(消灯数)を見ながら急激なアクセルペダル操作を避けて、ブレーキペダル操作よりも回生ブレーキ操作を優先することで、EV走行の継続を図ることができる(EV走行の継続支援)。
【0039】
[実施形態2]
[支援システムの構成]
実施形態2に係る支援システム1B(図1参照)では、EV優先モードが選択された場合であって、EV走行が可能な場合に、表示装置22は、表示制御装置20からの指示により、EV表示EGを点灯する一方、EV走行が不能な場合に、表示制御装置20からの指示により、EV表示EGを消灯する。図2に示すように、EV表示EGは、例えば、「EV」の文字を縁取ったものであり、EV表示EGを点灯した場合にEVの文字を塗りつぶして光るように構成される。また、実施形態2に係る支援システム1Bは、EV優先モードモードが選択された場合であって、EV走行が可能な場合に、表示装置22は、表示制御装置20からの指示により、「EV走行中」の文字を表示する一方、EV走行が不能な場合に、表示制御装置20からの指示により、「待機中」の文字を表示してもよい。また、実施形態2に係る支援システム1Bは、EV優先モードモードが選択された場合であって、EV走行が可能な場合に、表示装置22は、表示制御装置20からの指示により、一列に並んだ複数のセグメントSG1~SG3の点灯色を一の点灯色(例えば、緑色)とする一方、EV走行が不能な場合に、表示制御装置20からの指示により、一列に並んだ複数のセグメントSG1~SG3の点灯色を他の一の点灯色(例えば、橙色)としてもよい。他の構成は、実施形態1に係る支援システム1Aと同じである。
【0040】
[支援システム1Bの動作]
図4に示すように、実施形態2に係る支援システム1Bでは、EV優先モード選択装置10によってEV優先モードが選択(EV優先モードON)される(ステップS21:Yes)と、表示制御装置20からの指示により、表示装置22にEV表示EGを表示する(ステップS22)。
【0041】
次に、EV走行が可能であるか否かが判断される(ステップS23)。そして、EV走行が可能である(ステップS23:Yes)、すなわち、駆動用バッテリの充電率が充電閾値超、ブレーキブースタ14の負圧が負圧閾値超、及びユーザの要求出力が出力閾値未満の場合に、EV表示EGを点灯する(ステップS24)。一方、EV走行が不能である(ステップS23:No)、すなわち、駆動バッテリの充電率が充電閾値以下、ブレーキブースタ14の負圧が負圧閾値以下、又はユーザの要求出力が出力閾値以上の場合、EV表示EGを消灯する(ステップS25)。以下、EV優先モード選択装置10によってEV優先モードが解消(EV優先モードがOFF)されるまで、ステップS23からステップS26を繰り返す。
【0042】
一方、EV優先モード選択装置10によってEV優先モードが解消(EV優先モードがOFF)される(ステップS26:Yes)と、表示制御装置20からの指示により、表示装置22に表示されたEV表示EGは再びEV優先モードが選択されるまで非表示となる(ステップS27)。他の動作は、実施形態1に係る支援システム1Aと同じである。
【0043】
[支援システム1Bの効果]
実施形態2に係る支援システム1Bによれば、EV表示EGの点灯によりEV走行が可能であることをユーザに認識させ、EV表示EGの消灯によりEV走行が不能であること(エンジン走行をすること)をユーザに認識させることができる。また、EV表示EGの消灯により、エンジン走行からEV走行への復帰のためにエンジンにより発電された電気が駆動用バッテリに充電されていること、及び、回生ブレーキによって駆動用バッテリが充電されていることをユーザに認識させることができる。これにより、エンジン走行からEV走行に復帰するために、ユーザは急激なアクセルペダル操作を避けて、ブレーキペダル操作よりも回生ブレーキ操作を優先するように促すことができる。また、エンジン走行からEV走行に復帰するとEV表示EGが消灯から点灯に移行するので、ユーザはエンジン走行からEV走行に復帰するタイミングを視覚的に認識することができる。
【0044】
[実施形態3]
[支援システムの構成]
図5に示すように、実施形態3に係る支援システム1Cは、エンジンにより発電された電気を駆動用バッテリに充電するチャージモードの選択を可能にするチャージモード選択装置44を備えている。チャージモード選択装置44は、例えば、セレクタレバー24と隣り合う位置に設けられたEVモードセレクタスイッチ26により構成される。また、実施形態3に係る支援システム1Cでは、点灯数指示部42は、チャージモード選択装置44でチャージモードが選択された場合に、充電点灯数決定部36が決定した充電点灯数のセグメントSG1~SG3を点灯するように表示装置22に指示する。他の構成は、実施形態1又は2に係る支援システム1A又は1Bと同じである。
【0045】
[支援システム1Cの動作]
図6に示すように、実施形態3に係る支援システム1Cでは、チャージモード選択装置44によってチャージモードが選択(チャージモードON)される(ステップA31:Yes)と、表示制御装置20からの指示により、表示装置22に一列に並んだ複数のセグメントSG1~SG3を表示する(ステップS32:Yes)。
【0046】
次に、充電点灯数決定部36が、充電率検出部で検出された駆動用バッテリの充電率に基づいて、駆動用バッテリの充電率に対応する充電点灯数を決定する(ステップS33)。次に、点灯数指示部42が、充電点灯数決定部36で決定された充電点灯数を点灯するように表示装置22に指示する(ステップS34)。これにより、表示装置22は、点灯数指示部42(表示制御装置20)に指示された数のセグメントSG1~SG3を点灯する。以下、チャージモード選択装置44によってチャージモードが解消(チャージモードがOFF)されるステップS35:Yes)まで、ステップS33からステップS35を繰り返す。
【0047】
一方、チャージモード選択装置44によってチャージモードが解消(チャージモードがOFF)されると、表示制御装置20からの指示により、表示装置22に表示された複数のセグメントSG1~SG3は再びチャージモードが選択されるまで非表示となる。他の動作は、実施形態1又は2に係る支援システム1A又は1Bと同じである。
【0048】
[支援システム1Cの効果]
実施形態3に係る支援システム1Cによれば、チャージモードが選択された場合に、充電点灯数のセグメントSG1~SG3を点灯するので、駆動用バッテリの充電率をユーザに視覚的に認識させることができる。
【0049】
[実施形態4]
[支援システムの構成]
図7に示すように、実施形態4に係る支援システム1D(図5参照)では、複数のセグメントSG1~SG4は、左右に一列に並んだ4つのセグメントSG1~SG4によって構成され、駆動用バッテリの充電率が予め定めた満充電率以上の場合に点灯する満充電表示用のセグメントSG4を含む。満充電率は、満充電とされる充電率であり、最大充電率以下であって、左右に並んだ4つのセグメントSG1~SG4のうち左側から3つのセグメントSG1~SG3に充電率が割り当てられる場合に、少なくとも3つ目のセグメントSG3に割り当てられる最低充電率以上の充電率が設定される。満充電表示用のセグメントSG4は、左右に一列に並んだ4つのセグメントSG1~SG4で構成される場合に、右側から1つ目のセグメントSG4である。他の構成については、実施形態1から3に係る支援システム1A,1B,1Cのいずれかの構成と同じである。
【0050】
[支援システム1Dの動作]
実施形態4に係る支援システム1Dでは、例えば、チャージモード選択装置44によってチャージモードが選択され、エンジンの運転によって充電率検出装置12で検出された駆動用バッテリの充電率が満充電以上となった場合に、表示制御装置20からの指示により、満充電表示用のセグメントSG4が点灯する。
【0051】
また、例えば、ハイブリッド自動車がプラグインハイブリッド自動車である場合に、外部充電によって外部電源から駆動用バッテリが充電され、充電率検出装置12で検出された駆動用バッテリの充電率が満充電以上となった場合に、表示制御装置20からの指示により、満充電表示用のセグメントSG4が点灯する。他の動作については、実施形態1から3に係る支援システム1A,1B,1Cのいずれかの動作と同じである。
【0052】
[支援システム1Dの効果]
実施形態に4に係る支援システム1Dによれば、駆動用バッテリの充電率が満充電率以上であるか否かをユーザに視覚的に認識させることができる。
【符号の説明】
【0053】
1A,1B,1C,1D 支援システム
10 EV優先モード選択装置
12 充電率検出装置
14 ブレーキブースタ
16 負圧検出装置
18 要求出力検出装置
20 表示制御装置
22 表示装置
24 セレクタレバー
26 EVモードセレクタスイッチ
28 圧力センサ
30 アクセルペダル
32 アクセルペダルポジションセンサ
34 マルチインフォメーションディスプレイ
36 充電点灯数決定部
38 負圧点灯数決定部
40 出力点灯数決定部
42 点灯数指示部
44 チャージモード選択装置
SG1~SG3,SG4 セグメント
SM SOCメータ
EG EV表示
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7