(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】デジタルマイクロミラーデバイス及びスタティックリフレクタを用いたヘッドランプ
(51)【国際特許分類】
F21S 41/36 20180101AFI20250109BHJP
F21S 41/141 20180101ALI20250109BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20250109BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20250109BHJP
F21S 41/675 20180101ALI20250109BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20250109BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250109BHJP
【FI】
F21S41/36
F21S41/141
F21V7/00 590
F21V23/00 140
F21V23/00 117
F21S41/675
F21W102:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2022144456
(22)【出願日】2022-09-12
(62)【分割の表示】P 2019549455の分割
【原出願日】2018-03-07
【審査請求日】2022-09-26
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクラント アール バクタ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ ファリス
(72)【発明者】
【氏名】ステファン エイ シャウ
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-146271(JP,A)
【文献】特開2016-115582(JP,A)
【文献】特開2009-095876(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19907943(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/36
F21S 41/141
F21V 7/00
F21V 23/00
F21S 41/675
F21W 102/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドランプであって、
デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)
リフレクタであって、DMDと
、前記DMDの
或る側に配置される
固定スタティックリフレクタと、可動
スタティックリフレクタと、前記可動
スタティックリフレクタを第1の位置から第2の位置に移動させるように構成されるアクチュエータとを含む、前記DMDリフレクタと、
前記DMDリフレクタを照らすように配置される光源と、
を含む、ヘッドランプ。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドランプであって、
前記第1の位置において、前記
可動スタティックリフレクタが前記DMDを光曝露からブロックするように配置され、前記第2の位置において、前記
可動スタティックリフレクタが前記DMDを光に晒し得るように配置される、ヘッドランプ。
【請求項3】
請求項1に記載のヘッドランプであって、
制御回路要素であって、
前記DMDの温度を監視し、
前記DMDの温度が所定の限度未満であることに基づいて、前記
可動スタティックリフレクタを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるように前記アクチュエータをトリガする、
ように構成される、前記制御回路要素を更に含む、ヘッドランプ。
【請求項4】
請求項1に記載のヘッドランプであって、
制御回路要素であって、
前記ヘッドランプの外の光を監視し、
前記ヘッドランプの外の光の強度が所定の限度未満であることに基づいて、前記
可動スタティックリフレクタを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるように前記アクチュエータをトリガする、
ように構成される、前記制御回路要素を更に含む、ヘッドランプ。
【請求項5】
請求項1に記載のヘッドランプであって、
前記
固定スタティックリフレクタが、オン状態における前記DMDのミラーの角度と少なくとも同じ大きさのピッチ角度を有するスタティック反射性グレーティングを更に含む、ヘッドランプ。
【請求項6】
請求項1に記載のヘッドランプであって、
前記DMDが、左側端部と、前記左側端部の反対の右側端部とを有し、
前記
固定スタティックリフレクタが、前記DMDの左側端部に隣接する第1のスタティックリフレクタと、前記DMDの右側端部に隣接する第2のスタティックリフレクタとを含み、前記第1のスタティックリフレクタと前記第2のスタティックリフレクタとが、前記DMDの中央線に対して対称である、ヘッドランプ。
【請求項7】
請求項1に記載のヘッドランプであって、
前記DMDが、第1の端部と、前記第1の端部の反対の第2の端部とを有し、
前記DMDの第1の端部が前記
固定スタティックリフレクタに隣接し、前記DMDの第2の端部が前記
固定スタティックリフレクタに隣接しない、ヘッドランプ。
【請求項8】
請求項1に記載のヘッドランプであって、
前記スタティックリフレクタに向けられる前記光源によって生成される光の強度を変調するように構成される制御回路要素を更に含む、ヘッドランプ。
【請求項9】
ランプリフレクタであって、
デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)と、
前記DMDの複数の側に配置されるスタティックリフレクタであって、スタティック反射性グレーティングを含み、前記スタティック反射性グレーティングのピッチ角度がオン状態における前記DMDのミラーの角度と少なくとも同じ大きさである、前記スタティックリフレクタと、
を含む、ランプリフレクタ。
【請求項10】
請求項9に記載のランプリフレクタであって、
前記スタティックリフレクタの一部が、前記DMDを光曝露からブロックする第1の位置から前記DMDを光に晒す第2の位置へ移動可能である、ランプリフレクタ。
【請求項11】
請求項10に記載のランプリフレクタであって、
移動可能である前記スタティックリフレクタの一部に結合されるアクチュエータであって、移動可能である前記スタティックリフレクタの一部を前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるように構成される、前記アクチュエータを更に含む、ランプリフレクタ。
【請求項12】
ヘッドランプであって、
空間光変調器と、前記空間光変調器の複数の側に配置されるスタティックリフレクタとを含むリフレクタモジュールであって、前記スタティックリフレクタが、前記空間光変調器を光曝露からブロックする第1の位置から前記空間光変調器を光に晒す第2の位置に移動可能である可動ス
タティックリフレクタを含む、前記リフレクタモジュールと、
前記リフレクタモジュールに向けて光を導くように配置される光源と、
前記空間光変調器からの光と前記スタティックリフレクタによって反射される光とを同じレンズシステムを介して投射するように構成される投射光学系と、
を含み、
前記可動スタティックリフレクタが、前記投射光学系に向けて前記光を導くように構成される、ヘッドランプ。
【請求項13】
請求項12に記載のヘッドランプであって、
前記
可動スタティックリフレクタに結合されるアクチュエータであって、前記
可動スタティックリフレクタを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるように構成される、前記アクチュエータを更に含む、ヘッドランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
グレアフリー前方照明は、車両の夜間運転安全性を改善するための重大な目標となっている。パターン化されたビームを用いる車両ヘッドランプが、視野を動的に照らすために提案されている。幾つかの応用例において、ヘッドランプビームパターンは、GPSレシーバからの位置又は交通データ、又は更には姿勢センサと共に、前方センサ、路上に位置するインジケータ又はビーコンを含む、種々のソースからのデータに基づいて修正され得る。ダイナミック・ビーム・アダプテーションを用いるヘッドランプシステムは、潜在的に、グレアのないハイビーム、歩行者顔マスキング、動物スポットライト、ターゲット着色、反射低減、車両姿勢相殺、適応性前方ビームステアリング、及び路上の投影情報など
の多数の応用例を可能にする。
【発明の概要】
【0002】
記載される例において、ヘッドランプは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)リフレクタと、光源と、投射光学系とを含む。DMDリフレクタは、DMDと、DMDの複数の側に配置されるスタティックリフレクタとを含む。光源は、DMDリフレクタを照らすように配置される。投射光学系は、DMDによって反射された光と、同じレンズシステムを介してスタティックリフレクタによって反射された光とを投射するように構成される。ヘッドランプは車両ヘッドランプであり得る。
【0003】
別の実施例において、ヘッドランプは、DMDリフレクタ及び光源を含む。DMDリフレクタは、DMD及びスタティックリフレクタを含む。スタティックリフレクタは、DMDの複数の側に配置される。スタティックリフレクタは、固定部分と、可動部分と、アクチュエータとを含む。アクチュエータは、可動部分を第1の位置から第2の位置に移動させるように構成される。光源は、DMDリフレクタを照らすように配置される。ヘッドランプは車両ヘッドランプであり得る。
【0004】
更なる実施例において、ランプリフレクタが、DMD及びスタティックリフレクタを含む。スタティックリフレクタは、DMDの複数の側に配置される。スタティックリフレクタは、スタティック反射性グレーティング(grating)を含む。スタティック反射性グレーティングの傾き角度は、少なくとも、DMDのミラーの傾き角度と同じ大きさである。
【0005】
更に別の実施例において、ヘッドランプは、リフレクタモジュールと、光源と、投射光学系とを含む。リフレクタモジュールは、空間光変調器と、スタティックリフレクタと、光源と、投射光学系とを含む。スタティックリフレクタは、空間光変調器の複数の側に配置される。光源は、リフレクタモジュールを照らすように配置される。投射光学系は、空間光変調器からの光と、同じレンズシステムを介してスタティックリフレクタによって反射された光とを投射するように構成される。ヘッドランプは車両ヘッドランプであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】種々の実施例に従った車両ヘッドランプのブロック図を示す。
【0007】
【
図2】種々の実施例に従ったデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)及びスタティックリフレクタを含むヘッドランプリフレクタを示す。
【0008】
【
図3】種々の実施例に従ったDMDを有するヘッドランプリフレクタにおいて用いるのに適するスタティックリフレクタの詳細を示す。
【0009】
【
図4】種々の実施例に従ったデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)及びスタティックリフレクタを含むヘッドランプリフレクタを示す。
【0010】
【
図5A】種々の実施例に従ったDMD及び可動スタティックリフレクタを含むヘッドランプリフレクタを示す。
【
図5B】種々の実施例に従ったDMD及び可動スタティックリフレクタを含むヘッドランプリフレクタを示す。
【0011】
【
図6】種々の実施例に従ったスタティックリフレクタの可動部分の位置を制御するための方法のためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本記載において、「結合する」という用語は、間接的又は直接的な有線又はワイヤレス接続のいずれかを意味する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的接続を介するもの、又は他のデバイス及び接続を介する間接的接続を介するものとし得る。
【0013】
幾つかの車両ヘッドランプは、発光ダイオード(LED)のマトリックスを用いる、又はデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いる、ハイビームの画素レベル制御を提供する。DMDのより高い解像度は、DMDベースのヘッドランプがLEDマトリックスよりもはるかに微細なハイビームプロファイルの制御を提供することを可能にする。しかしながら、DMDは半導体デバイスであり、半導体技術の通常の制約を受ける。例えば、半導体デバイスと同様に、DMDが動作する温度範囲は限られている。DMDのこの制約に適応するために、従来のDMDベースのヘッドランプは、DMDの温度をレギュレートすることを試みる熱的制御システムを含み得、又はDMDの温度が動作仕様を超える場合にDMDの代わりに動作するための予備照明システムを含み得る。これらのオプションのいずれも、ヘッドランプに著しいコスト及び複雑度を付加し得る。また、従来のDMDベースのヘッドランプは、DMDハイビームシステムに加えて、専用のロービーム及び/又は中間ビーム光照明システムを含み得、これもヘッドランプにコスト及び複雑度を付加する。
【0014】
例示の実施例は、複雑な温度制御システム又は予備照明システムを用いることなく、DMDデバイスの特定された温度範囲を超えて動作可能な、DMDベースの車両ヘッドランプを含む。実施例はまた、専用のロービーム照明システムを含むことなく、ロービーム生成を可能にする。本願において記載されるヘッドランプは、DMDの複数の側に配置されるスタティックリフレクタを含む。スタティックリフレクタは、光を所望のパターンで反射するために適切なある角度で固定されたグレーティングを含み得る。幾つかの実施例において、スタティックリフレクタは複数のエリアに細分され、各エリアが、異なる光源(例えば、異なるLED)によって照明される。光源は、スタティックリフレクタを介して生成される照明パターンの制御を提供するように変調され得る。
【0015】
ヘッドランプの幾つかの実施例において、スタティックリフレクタの一部は可動である。第1の位置において、スタティックリフレクタの可動部分は、DMDの前方に位置する。そのため、第1の位置において、スタティックリフレクタの可動部分は、DMDの代わりに光を反射する(例えば、スタティックリフレクタの可動部分がハイビーム機能性を提供する)。第2の位置において、スタティックリフレクタの可動部分は、DMDが入射光を反射し得るように配置される(例えば、DMDがハイビーム機能性を提供する)。実施例は、温度、外部光条件、又はDMDのオペレーションに影響を及ぼし得るその他の環境要因に基づいてハイビーム機能性を提供するようにスタティックリフレクタの可動部分を配置し得る。
【0016】
図1は、種々の実施例に従った車両ヘッドランプ100のブロック図を示す。ヘッドランプ100は、光源102と、リフレクタ106と、投射光学系112とを含む。光源102は、リフレクタ106上に光を投射する一つ又は複数のLED104を含む。光源102の幾つかの実施例が、LED以外に又はLEDに加えて、光生成デバイスを含み得る。光源102は、LED104への制御信号をスイッチングする(例えば、パルス幅変調する)ことによって、又はLED104に提供される駆動電流を変更することによって、一つ又は複数のLED104の出力強度を制御する変調回路要素を含み得る。例えば、変調回路要素は、各LED104の各々の各出射強度の個別の制御を提供し得る。
【0017】
光源102によって生成された光は、リフレクタ106上に投影される。リフレクタ106は、DMD108及びスタティックリフレクタ110を含む。DMD108は、ヘッドランプ100において用いるのに適する空間光変調器の一例である。ヘッドランプ100の幾つかの実施例では、DMD108の代わりに、LCOS(Liquid crystal on silicon)デバイス、液晶ディスプレイ(LCD)デバイス、又はその他の空間光変調技術を用い得る。従って、本明細書に記載される実施例は、DMD、LCOS、LCDなどを含む種々の空間変調技術を用いるヘッドランプを包含する。
【0018】
リフレクタ106にスタティックリフレクタ110を含めることにより、多数の利点が提供される。スタティックリフレクタ110は、リフレクタ106の能動エリアを増加させ、これにより、DMD108のエリアを増加させることなく、エタンデュが増大される。スタティックリフレクタ110を用いて、光源102のサイズを増大させる(例えば、光源102に含まれるLED104の数を増大させる)ことによって、より広い視野及びより高い輝度が提供され得る。スタティックリフレクタ110は、DMDの少なくとも二つの側部に近接して配置され得る。スタティックリフレクタ110の実施例は、平坦ミラー、湾曲ミラー、及び/又は光源102から受け取った光を反射するフレネル要素を含み得る。
【0019】
リフレクタ106によって反射された光は、投射光学系112に向けられる。投射光学系112は、リフレクタ106によって反射された光を捕捉し、捕捉された光をヘッドランプ100から離れて、例えば道路上に、投射する、任意のレンズ又はレンズシステムであり得る。車両ヘッドランプ100の実施例において、投射光学系112の単一のアッセンブリ(例えば、単一のレンズシステム)が、DMD108とスタティックリフレクタ110の両方から反射光を受け取り、反射光をヘッドランプ100から離れて投射する。このように、実施例は、従来のように異なるリフレクタのための別個の投影光学系ではなく、DMD108及びスタティックリフレクタ110の両方に対して単一セットの投影光学系112を用いる。
【0020】
図2は、DMD108、並びに、スタティックリフレクタ202、204、及び206を含む、ヘッドランプリフレクタ200を示す。ヘッドランプリフレクタ200はリフレクタ106の一実施例であり、スタティックリフレクタ202、204、及び206は、スタティックリフレクタ110の実施例である。DMD108の左右に配置されるスタティックリフレクタ202、206のエリアは、ほぼ等しい。従って、スタティックリフレクタ202及び206の配置は、DMD108に対して対称であると説明することができる。幾つかの実施例において、スタティックリフレクタ202、204、及び206は、モノリシックユニットとして提供され得る。他の実施例において、スタティックリフレクタ202、204、及び206、及び/又はそれらのサブ部分は、別個のユニットとして提供され得る。
【0021】
DMD108は、マイクロミラーを介して入射光を変調することによって視野の適応性ビームステアリング及びシェーピングを提供する。スタティックリフレクタ202、204、及び/又は206に向けられる光源102の光出力を変調することによって、制限されたビーム適合が、スタティックリフレクタ202、204、及び206を用いて提供され得る。例えば、スタティックリフレクタ202のエリア214が第1のLEDによって照らされ得、スタティックリフレクタ202のエリア216が第2のLEDによって照らされ得、第1のLEDの光出力は、制限されたビーム適合を提供するために、強度及び/又は変調において第2のLEDの光出力とは異なり得る。
【0022】
光源102は、異なる方向からリフレクタ200の異なる部分へ光を向け得る。例えば、
図2において、光212が第1の方向からスタティックリフレクタ202に向けられ、光210が第2の方向からスタティックリフレクタ204及びDMD108に向けられ、光208が第3の方向からスタティックリフレクタ206に向けられる。スタティックリフレクタ202、204、及び206とDMD108の反射の角度は、光208、210、及び210を投射光学系112に向けるように選択され得る。
【0023】
図3は、種々の実施例に従ったDMD108を有するヘッドランプリフレクタ106において用いるのに適するスタティックリフレクタ110の実施例の詳細を示す。スタティックリフレクタ110は、反射性グレーティング302を含む。幾つかの実施例において、反射性グレーティング302のピッチ角度(θg)は、「オン」状態のDMD108のミラーの角度とほぼ同じであるか又はそれよりも大きくし得る。グレーティングピッチ(Pg)(例えば、グレーティング頂点間の距離)は、DMD108におけるミラーのピッチより大きくし得る。種々の実施例において、反射性グレーティング302のピッチ及び角度は、均一であってもよく、又はスタティックリフレクタ110にわたって変化してもよい。スタティックリフレクタ110の幾つかの実施例において、反射性グレーティング302又は反射性材料が、DMD108と共平面であってもよく、又はDMD108に対応する平面からオフセットされた平面に配置されてもよい。種々の実施例において、反射性グレーティング302又は反射性材料が、ガラス基板のいずれかの側に配置されてもよく、又はガラス基板に埋め込まれてもよい。
【0024】
車両用ヘッドライトを実装するためにヘッドランプリフレクタ200の実施例を用いると、左右のヘッドランプビームの重なりが、スタティックリフレクタ202、204、及び206からのビームを、視野に応じて、ヘッドランプから或る距離でDMD108によって生成される画像とオーバーラップさせ得る。この重なりは、路上の有効アドレス指定可能な解像度を減少させ得る。
図4は、スタティックリフレクタの重なりを低減し得、DMD108の有効性を劣化させ得るヘッドランプリフレクタ400を示す。ヘッドランプリフレクタ400は、DMD108と、スタティックリフレクタ402及び404とを含む。ヘッドランプリフレクタ400はリフレクタ106の一実施例であり、スタティックリフレクタ402及び404は、スタティックリフレクタ110の一実施例である。スタティックリフレクタ402はDMD108の一方の側に配置され、スタティックリフレクタ404はDMD108の下方に配置される。リフレクタ400には、DMD108の一方の側部に近接したスタティックリフレクタがない。従って、スタティックリフレクタ402及び404の配置は、DMD108に対して非対称であると説明することができる。幾つかの実施例において、スタティックリフレクタ402及び404は、モノリシックユニットとして提供され得る。他の実施例において、スタティックリフレクタ402及び404は、別個のユニットとして提供され得る。
【0025】
DMD108は、マイクロミラーを介して入射光を変調することによって、視野の適応性ビームステアリング及びシェーピングを提供する。スタティックリフレクタ402及び404に向けられる光源102の光出力を変調することによって、スタティックリフレクタ402及び404を用いて、制限されたビーム適合が提供され得る。
【0026】
図5A及び
図5Bは、種々の実施例に従った、可動スタティックリフレクタを含むヘッドランプリフレクタ500を示す。ヘッドランプリフレクタ500は、DMD108と、固定スタティックリフレクタ502、504、506と、可動スタティックリフレクタ508と、アクチュエータ510とを含む。ヘッドランプリフレクタ500はリフレクタ106の一実施例であり、スタティックリフレクタ502、504、506、及び508は、スタティックリフレクタ110の一実施例である。リフレクタ500の図示される実施例において、DMD108の左右に配置されるスタティックリフレクタ502及び506のエリアがほぼ等しいという点で、DMD108に対して対称のスタティックリフレクタの配置が示されている。幾つかの実施例において、スタティックリフレクタのDMD108に対する関係は(例えば、
図4に示されるように)非対称であってもよい。
【0027】
スタティックリフレクタ508は可動である。
図5Aにおいて、スタティックリフレクタ508は、光源102によって生成された光を反射するためのDMD108の使用を可能にするように配置される。
図5Bにおいて、スタティックリフレクタ508は、DMD108の使用をディセーブルし、光源102によって生成された光をスタティックリフレクタ508が反射することを可能にするように配置される。スタティックリフレクタ508は、アクチュエータ510に結合される。アクチュエータ510は、スタティックリフレクタ508を少なくとも二つの位置間で移動させ得る、電磁又はその他のデバイスであり得る。アクチュエータは可動リフレクタ制御回路要素512に結合される。可動リフレクタ制御回路要素512は、温度及び/又は外部照明などの環境条件を監視し、環境条件の測定値に基づいてアクチュエータ510を制御する。可動リフレクタ制御回路要素512又はその一部は、リフレクタ500及びヘッドランプ100から離れて配置され得る。例えば、可動リフレクタ制御回路要素512は、リフレクタ500に及び/又はヘッドランプ100に配置される温度センサ514及び/又は照明センサ516などのセンサを含むか又はセンサに結合され得る一方、センサの出力で処理する回路要素(例えば、デジタイザー、マイクロコントローラ等)は、ヘッドランプ100の外に(例えば、エンジンルーム、車両内等において)配置される。
【0028】
幾つかの実施例において、可動リフレクタ制御回路要素512は、DMD108の温度又はDMD108近くの温度を測定するために温度センサ514を適用する。測定された温度が、所定の温度閾値(例えば、摂氏105度)を超えない場合、可動リフレクタ制御回路要素512は、アクチュエータ510にスタティックリフレクタ508を
図5Aに示すように位置決めさせるように、アクチュエータ510に対する制御をアサートし得る。DMD108の温度又はDMD108近くの温度が、砂漠での運転など高い周囲温度において起こり得るように所定の温度閾値を超える場合、可動リフレクタ制御回路要素512は、アクチュエータ510にスタティックリフレクタ508を
図5Bに示すように位置決めさせるように、アクチュエータ510に対する制御をアサートし得る。同様に、照明レベルが所定の照明閾値を超えない場合、可動リフレクタ制御回路要素512は、アクチュエータ510にスタティックリフレクタ508を
図5Aに示すように位置決めさせるように、アクチュエータ510に対する制御をアサートし得る。照明レベルが(高い太陽光を呈する昼光条件の場合のように)所定の照明閾値を超える場合、可動リフレクタ制御回路要素512は、アクチュエータ510にスタティックリフレクタ508を
図5Bに示すように位置決めさせるように、アクチュエータ510に対する制御をアサートし得る。
【0029】
ヘッドランプ500の幾つかの実施例において、スタティックリフレクタ508の初期設定位置は、
図5Bに示すようなものであり得、スタティックリフレクタ508はDMD108を覆っている。例えば、スタティックリフレクタ508に結合されるばねが、スタティックリフレクタ508を
図5AにあるようにDMD108から離れて移動させるためアクチュエータ510によって加えられる力がない場合にDMD108を覆うようにスタティックリフレクタ508を配置し得る。DMD108及び関連する回路要素は、スタティックリフレクタ508がDMD108を覆うように配置されている間、電源切断され得る。
【0030】
図6は、種々の実施例に従ったスタティックリフレクタの可動部分の位置を制御するための方法600のフローチャートを示す。便宜上順次示されているが、示されている行為の少なくとも幾つかが、異なる順で実施され得、及び/又は並列に実施され得る。また、いくつかの実装が、示された行為のうちのいくつかのみを実施し得る。幾つかの実装において、方法600のオペレーションの少なくとも幾つかが、ヘッドランプ500によって実装され得る。
【0031】
ブロック602において、ヘッドランプ500に配置される温度センサ514は、DMD108の温度を測定しているか、又はDMD108に近接するヘッドランプ500の温度を測定している。
【0032】
ブロック604において、可動リフレクタ制御回路要素512は、温度センサ514の出力を温度閾値と比較する。温度閾値は、DMD108が光を反射し得るようにスタティックリフレクタ508が配置され得る温度又はそれよりも低い温度を表す。例えば、105℃未満の温度ではスタティックリフレクタ508が、DMD108に光を反射させ得るように配置され得、一方、105℃以上の温度ではスタティックリフレクタ508が、DMD108を覆い、DMD108の代わりに光を反射するように配置され得る。
【0033】
ブロック604において、温度センサ514によって測定された温度が温度閾値未満でない場合、ブロック606において、可動リフレクタ制御回路要素512は、アクチュエータ510に、スタティックリフレクタ508を
図5Bに示すようにDMD108を覆うように位置決めさせるように、アクチュエータ510に対する制御をアサートする。
【0034】
ブロック604において、温度センサ514によって測定された温度が温度閾値未満である場合、ブロック608において、ヘッドランプ500内に又はヘッドランプ500に近接して配置される照明センサ516は、ヘッドランプ500の外の照明の強度を測定する。
【0035】
ブロック610において、可動リフレクタ制御回路要素512は、照明センサ516の出力を照明閾値と比較する。照明閾値は、DMD108が光を反射し得るようにスタティックリフレクタ508が配置され得る照度又はそれよりも低い照度を表す。例えば、100,000ルクス未満の照度では、スタティックリフレクタ508がDMDが光を反射し得るように配置され得、一方、100,000ルクス以上の照度では、スタティックリフレクタ508が、DMD108を覆い、DMD108の代わりに光を反射するように配置され得る。
【0036】
ブロック610において、照明センサ516によって測定された照明が照明閾値未満にない場合、ブロック606において、可動リフレクタ制御回路要素512は、アクチュエータ510に、
図5Bに示すようにDMD108を覆うようにスタティックリフレクタ508を位置決めさせるように、アクチュエータ510に対する制御をアサートする。
【0037】
ブロック610において、照明センサ516によって測定された照明が照明閾値未満である場合、ブロック612において、可動リフレクタ制御回路要素512は、アクチュエータ510に、
図5Aに示すようにDMD108を覆わないようにスタティックリフレクタ508を位置決めさせるように、アクチュエータ510に対する制御をアサートする。
【0038】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。