(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10F 39/18 20250101AFI20250109BHJP
【FI】
H01L27/146 A
(21)【出願番号】P 2023536303
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 JP2021027368
(87)【国際公開番号】W WO2023002616
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】原口 能純
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/074252(WO,A1)
【文献】特開2008-103647(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0180745(US,A1)
【文献】特開2010-212288(JP,A)
【文献】特開2019-145875(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0015309(KR,A)
【文献】特開2018-198272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板に形成された画素回路とを備え、
前記画素回路は、
前記半導体基板に形成された第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域上に形成され、前記第1半導体領域とともにフォトダイオードを構成する第2導電型の第2半導体領域と、
平面視において、前記フォトダイオードを囲むように前記第2半導体領域と離間して前記半導体基板に形成された第2導電型の第3半導体領域と、
前記半導体基板の平面に垂直な方向から見て、前記第2半導体領域と前記第3半導体領域との間に形成され、前記第2半導体領域および前記第3半導体領域とともに、前記フォトダイオードに蓄積された電荷を排出するオーバーフロートランジスタを構成するゲート領域と、を有し、
前記フォトダイオードは、平面視において多角形状に形成され、
前記第3半導体領域は、平面視において、多角形状の前記フォトダイオードの一辺を除く他の辺を少なくとも囲む形態で形成され、
前記ゲート領域は、平面視において、少なくとも前記フォトダイオードの前記他の辺を囲む形態で、前記第2半導体領域と前記第3半導体領域との間に形成され、
前記画素回路は、前記フォトダイオードの電荷を転送する転送トランジスタと、前記転送トランジスタにより転送された電荷を蓄積する電荷蓄積部と、前記電荷蓄積部の電圧をリセットするリセットトランジスタと、前記電荷蓄積部に蓄えられた電荷に応じた信号を増幅する増幅トランジスタと、前記増幅トランジスタによって増幅された信号を信号線に出力するか否かを切り替える選択トランジスタとを更に有し、
前記転送トランジスタ、前記リセットトランジスタ、前記増幅トランジスタ、および前記選択トランジスタは、平面視において、前記フォトダイオードの前記一辺側の領域に形成され、
前記画素回路を複数有し、
複数の前記画素回路は、平面視において、前記半導体基板の平面における所定の方向である列方向と前記列方向に垂直な方向である行方向にそれぞれ並んで形成され、
前記行方向に隣り合う前記画素回路は、前記行方向において互いに共通する前記第3半導体領域を有し、
奇数行目の前記画素回路の前記転送トランジスタ、前記リセットトランジスタ、前記増幅トランジスタ、および前記選択トランジスタは、前記列方向の一方の側に配置され、
偶数行目の前記画素回路の前記転送トランジスタ、前記リセットトランジスタ、前記増幅トランジスタ、および前記選択トランジスタは、前記列方向の他方の側に配置され、
前記列方向において前記オーバーフロートランジスタが互いに隣接する2つの前記画素回路は、前記列方向において互いに共通する前記第3半導体領域を有する
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体基板と、
前記半導体基板に形成された画素回路とを備え、
前記画素回路は、
前記半導体基板に形成された第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域上に形成され、前記第1半導体領域とともにフォトダイオードを構成する第2導電型の第2半導体領域と、
平面視において、前記フォトダイオードを囲むように前記第2半導体領域と離間して前記半導体基板に形成された第2導電型の第3半導体領域と、
前記半導体基板の平面に垂直な方向から見て、前記第2半導体領域と前記第3半導体領域との間に形成され、前記第2半導体領域および前記第3半導体領域とともに、前記フォトダイオードに蓄積された電荷を排出するオーバーフロートランジスタを構成するゲート領域と、を有し、
前記フォトダイオードは、平面視において多角形状に形成され、
前記第3半導体領域は、平面視において、多角形状の前記フォトダイオードの一辺を除く他の辺を少なくとも囲む形態で形成され、
前記ゲート領域は、平面視において、少なくとも前記フォトダイオードの前記他の辺を囲む形態で、前記第2半導体領域と前記第3半導体領域との間に形成され、
前記画素回路は、前記フォトダイオードの電荷を転送する転送トランジスタと、前記転送トランジスタにより転送された電荷を蓄積する電荷蓄積部と、前記電荷蓄積部の電圧をリセットするリセットトランジスタと、前記電荷蓄積部に蓄えられた電荷に応じた信号を増幅する増幅トランジスタと、前記増幅トランジスタによって増幅された信号を信号線に出力するか否かを切り替える選択トランジスタとを更に有し、
前記転送トランジスタ、前記リセットトランジスタ、前記増幅トランジスタ、および前記選択トランジスタは、平面視において、前記フォトダイオードの前記一辺側の領域に形成され、
前記画素回路を複数有し、
複数の前記画素回路は、平面視において、前記半導体基板の平面における所定の方向である列方向と前記列方向に垂直な方向である行方向にそれぞれ並んで形成され、
前記行方向に隣り合う前記画素回路は、前記行方向において互いに共通する前記第3半導体領域を有し、
前記半導体基板の平面において各前記画素回路を画成する画素境界線のうち、前記転送トランジスタ、前記リセットトランジスタ、前記増幅トランジスタ、および前記選択トランジスタが形成されている側の前記行方向の第1画素境界線から前記フォトダイオードの端部までの距離と、前記フォトダイオードを挟んで前記第1画素境界線と反対側の前記行方向の第2画素境界線から前記フォトダイオードの端部までの距離とが等しくなるように、各前記画素回路の前記第3半導体領域が前記第2画素境界線に接して形成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
半導体基板と、
前記半導体基板に形成された画素回路とを備え、
前記画素回路は、
前記半導体基板に形成された第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域上に形成され、前記第1半導体領域とともに多角形状のフォトダイオードを構成する第2導電型の第2半導体領域と、
平面視において、多角形状の前記フォトダイオードの一辺を除く他の辺を少なくとも囲むように形成されたゲート領域と、
平面視において、前記ゲート領域によって囲まれている前記フォトダイオードの前記他の辺のうち一辺に沿って、前記ゲート領域を挟んで前記第2半導体領域と離間して形成され、前記第2半導体領域および前記ゲート領域とともに、前記フォトダイオードに蓄積された電荷を排出するオーバーフロートランジスタを構成する第2導電型の第3半導体領域と、を有し、
前記画素回路を複数有し、
複数の前記画素回路は、平面視において、前記半導体基板の平面における所定の方向である列方向と前記列方向に垂直な方向である行方向にそれぞれ並んで形成され、
前記行方向に隣り合う前記画素回路は、前記行方向において互いに共通する前記ゲート領域を有する
ことを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、半導体基板に形成された固体撮像素子を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力施設の廃炉作業では、放射線量の高い環境下において施設内の状況を把握しながら作業を行うために、ロボットアームの先端等に撮像装置が取り付けられている。近年、放射線量の高い環境下において用いられる撮像装置として、従来の耐放射線性カメラに用いられている大型で画質の低い撮像管よりも、小型且つ軽量で、高画質の固体撮像素子を備えた耐放射線カメラが求められている。
【0003】
しかしながら、半導体基板に形成された固体撮像素子は、ガンマ線等の放射線によるトータルドーズ効果によって諸特性が劣化することが知られている。例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子の場合、光センサとなるフォトダイオードがガンマ線のトータルドーズ効果による電離作用によって暗電流が増大し、ホワイトアウトによる動作不具合を生じる。トータルドーズ効果によるホワイトアウトは、固体撮像素子、ひいてはカメラの寿命を短くする原因にもなる。例えば、撮像管の耐放射線性の指標である累積線量は、数メガGyであるが、固体撮像素子の累積線量は、数キロGy~100キロGyである。また、フォトダイオードを構成する半導体内で放射線の電離作用により発生した2次電子がフォトダイオード内に入り込むことにより、撮像画像に偽信号が生じて、砂嵐のような画像のS/N比が低下する。
このように、従来の固体撮像素子は、耐放射線性が高いとは言えなかった。
【0004】
一方で、固体撮像素子の耐放射線性を向上させるための技術が、特許文献1に開示されている。具体的に、特許文献1には、Pウェル上にNウェルを形成し、さらに層間絶縁酸化膜(Pre-Metal Dielectic:PMD)に接する表面部分にピニング層のP領域を形成したピンドフォトダイオード(PPD)を採用することにより、耐放射線性を向上させた固体撮像素子が開示されている。ここで、PPDは、STI(Shallow Trench Isolation)から成る素子分離酸化膜層で囲まれた構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-201164号公報
【文献】特開昭58-210662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術だけでは、ホワイトアウトの原因となるフォトダイオードの暗電流を抑制するために十分とは言えない。
【0007】
例えば、フォトダイオード周囲の素子分離酸化膜層(STI)に放射線が当たった場合、トータルドーズ効果によって固定正電荷が発生し、その固定正電荷の影響により、素子分離酸化膜層近傍のPウェル領域がN型に反転し、N型反転領域が形成される。このN型反転領域からフォトダイオードのN型拡散領域に暗電流が流れ込み、画像のホワイトアウトを引き起こす虞がある。
【0008】
この問題を解決するための一手法として、フォトダイオードの周辺を、素子分離酸化膜層ではなく、フォトダイオードをリセットするための電荷排出用トランジスタのゲートと電荷排出用トランジスタのドレインで囲むことが考えられる(特許文献2参照)。この手法によれば、電荷排出用トランジスタのドレインがフォトダイオード周辺のガードリングとして機能するとともに、フォトダイオードと素子分離酸化膜層が直接接することがないため、暗電流を抑制できる可能性がある。
【0009】
しかしながら、上述した構造を採用した場合であっても、電荷排出用トランジスタの周囲には必然的に素子分離酸化膜層が形成されるため、放射線のトータルドーズ効果によって発生した暗電流が半導体基板内を通ってフォトダイオードに流れ込むことにより、画像のホワイトアウトを引き起こす虞がある。
【0010】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、固体撮像素子の耐放射線性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の代表的な実施の形態に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板に形成された画素回路とを備え、前記画素回路は、前記半導体基板に形成された第1導電型の第1半導体領域と、前記第1半導体領域上に形成され、前記第1半導体領域とともにフォトダイオードを構成する第2導電型の第2半導体領域と、平面視において、前記フォトダイオードを囲むように前記第2半導体領域と離間して前記半導体基板に形成された第2導電型の第3半導体領域と、前記半導体基板の平面に垂直な方向から見て、前記第2半導体領域と前記第3半導体領域との間に形成され、前記第2半導体領域および前記第3半導体領域とともに、前記フォトダイオードに蓄積された電荷を排出するオーバーフロートランジスタを構成するゲート領域と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る半導体装置によれば、固体撮像素子の耐放射線性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置としての固体撮像素子を構成する一つの画素回路の構成を示す図である。
【
図2A】実施の形態1に係る半導体装置の画素回路のレイアウト構成を示す平面図である。
【
図2B】
図2Aに示す画素回路のB-B’部分の断面構造を模式的に示す図である。
【
図3A】実施の形態1に係る画素回路を複数配置した半導体装置のレイアウト構成を示す平面図である。
【
図3B】
図3Aに示す半導体装置のC-C’部分の断面構造を模式的に示す図である。
【
図4】実施の形態2に係る半導体装置のレイアウト構成を示す平面図である。
【
図5】実施の形態3に係る半導体装置の画素回路のレイアウト構成を示す平面図である。
【
図6】実施の形態3に係る半導体装置のレイアウト構成を示す平面図である。
【
図7】実施の形態4に係る半導体装置の画素回路のレイアウト構成を示す平面図である。
【
図8】実施の形態4に係る半導体装置のレイアウト構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0015】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る半導体装置(100,100A,100B)は、半導体基板(1)と、前記半導体基板に形成された画素回路(10,10B)とを備え、前記画素回路は、前記半導体基板に形成された第1導電型(P型)の第1半導体領域(2)と、前記第1半導体領域上に形成され、前記第1半導体領域とともにフォトダイオード(PPD)を構成する第2導電型(N型)の第2半導体領域(3)と、平面視において、前記フォトダイオードを囲むように前記第2半導体領域と離間して前記半導体基板に形成された第2導電型の第3半導体領域(6,7)と、前記半導体基板の平面に垂直な方向から見て、前記第2半導体領域と前記第3半導体領域との間に形成され、前記第2半導体領域および前記第3半導体領域とともに、前記フォトダイオードに蓄積された電荷を排出するオーバーフロートランジスタ(Mpdr)を構成するゲート領域(5)と、を有することを特徴とする。
【0016】
〔2〕上記〔1〕に記載の半導体装置(100,100A,100B)において、前記フォトダイオードは、平面視において多角形状に形成され、前記第3半導体領域は、平面視において、多角形状の前記フォトダイオードの一辺を除く他の辺を少なくとも囲む形態で形成され、前記ゲート領域は、平面視において、少なくとも前記フォトダイオードの前記他の辺を囲む形態で、前記第2半導体領域と前記第3半導体領域との間に形成されていてもよい。
【0017】
〔3〕上記〔2〕に記載の半導体装置(100,100A,100B)において、前記画素回路は、前記フォトダイオードの電荷を転送する転送トランジスタ(Mtg)と、前記転送トランジスタにより転送された電荷を蓄積する電荷蓄積部(FD)と、前記電荷蓄積部の電圧をリセットするリセットトランジスタ(Mfdr)と、前記電荷蓄積部に蓄えられた電荷に応じた信号を増幅する増幅トランジスタ(Mdrv)と、前記増幅トランジスタによって増幅された信号を信号線(OUT)に出力するか否かを切り替える選択トランジスタ(Msel)とを更に有し、前記転送トランジスタ、前記リセットトランジスタ、前記増幅トランジスタ、および前記選択トランジスタは、平面視において、前記フォトダイオードの前記一辺側の領域に形成されていてもよい。
【0018】
〔4〕上記〔3〕に記載の半導体装置(100,100A,100B)において、前記画素回路を複数有し、複数の前記画素回路は、平面視において、前記半導体基板の平面における所定の方向である列方向(Y軸方向)と前記列方向に垂直な方向である行方向(X軸方向)にそれぞれ並んで形成され、前記行方向に隣り合う前記画素回路は、前記行方向において互いに共通する前記第3半導体領域を有していてもよい。
【0019】
〔5〕上記〔4〕に記載の半導体装置(100,100B)において、奇数行目の前記画素回路の前記転送トランジスタ、前記リセットトランジスタ、前記増幅トランジスタ、および前記選択トランジスタは、前記列方向の一方の側に配置され、偶数行目の前記画素回路の前記転送トランジスタ、前記リセットトランジスタ、前記増幅トランジスタ、および前記選択トランジスタは、前記列方向の他方の側に配置され、前記列方向において前記オーバーフロートランジスタが互いに隣接する2つの前記画素回路は、前記列方向において互いに共通する前記第3半導体領域を有していてもよい。
【0020】
〔6〕上記〔4〕に記載の半導体装置(100A)において、各前記画素回路の前記転送トランジスタ、前記リセットトランジスタ、前記増幅トランジスタ、および前記選択トランジスタは、前記列方向の一方の側に配置され、前記行方向および前記列方向に隣り合う前記画素回路は、互いの前記フォトダイオード同士の距離が等しくなるように(L12=L13)、配置されていてもよい。
【0021】
〔7〕上記〔4〕に記載の半導体装置(100B)において、前記半導体基板の平面において各前記画素回路を画成する画素境界線のうち、前記転送トランジスタ、前記リセットトランジスタ、前記増幅トランジスタ、および前記選択トランジスタが形成されている側の前記行方向の第1画素境界線(A)から前記フォトダイオードの端部までの距離(Lp1)と、前記フォトダイオードを挟んで前記第1画素境界線と反対側の前記行方向の第2画素境界線(A’)から前記フォトダイオードの端部までの距離(Lp2)とが等しくなるように、各前記画素回路の前記第3半導体領域が前記第2画素境界線に接して形成されていてもよい。
【0022】
〔8〕本発明の代表的な別の実施の形態に係る半導体装置(100C)は、半導体基板(1)と、前記半導体基板に形成された画素回路(10C)とを備え、前記画素回路は、前記半導体基板に形成された第1導電型の第1半導体領域(2)と、前記第1半導体領域上に形成され、前記第1半導体領域とともに多角形状のフォトダイオード(PPD)を構成する第2導電型の第2半導体領域(3)と、平面視において、多角形状の前記フォトダイオードの一辺を除く他の辺を少なくとも囲むように形成されたゲート領域(5)と、平面視において、前記ゲート領域によって囲まれている前記フォトダイオードの前記他の辺のうち一辺に沿って、前記ゲート領域を挟んで前記第2半導体領域と離間して形成され、前記第2半導体領域および前記ゲート領域とともに、前記フォトダイオードに蓄積された電荷を排出するオーバーフロートランジスタ(Mpdr)を構成する第2導電型の第3半導体領域(6C,7C)と、を有することを特徴とする。
【0023】
〔9〕上記〔8〕に記載の半導体装置において、前記画素回路(10C)を複数有し、複数の前記画素回路は、平面視において、前記半導体基板の平面における所定の方向である列方向(Y軸方向)と前記列方向に垂直な方向である行方向(X軸方向)にそれぞれ並んで形成され、前記行方向に隣り合う前記画素回路は、前記行方向において互いに共通する前記ゲート領域を有していてもよい。
【0024】
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
また、本明細書において、一例として、第1導電型をP型とし、第2導電型をN型として説明するが、これに限定されるものではない。
【0025】
≪実施の形態1≫
図1は、実施の形態1に係る半導体装置としての固体撮像素子を構成する一つの画素回路の構成を示す図である。
【0026】
実施の形態1に係る半導体装置100は、例えば、固体撮像素子としてのCMOSイメージセンサであり、例えば、公知のCMOSLSI製造技術を用いて、シリコンなどの単一半導体基板に形成されている。
【0027】
半導体装置100は、半導体基板に形成された複数の画素回路10を有している。
画素回路10は、例えば、APS(Active Pixel Sen sor)とも称される4つのトランジスタを有する4トランジスタ型画素回路に、オーバーフロートランジスタMpdrを更に追加した5トランジスタ型画素回路である。具体的に、画素回路10は、フォトダイオードPPDと、転送トランジスタMtgと、電荷蓄積部FDと、リセットトランジスタMfdrと、増幅トランジスタMdrvと、選択トランジスタMselと、オーバーフロートランジスタMpdrとを有する。
【0028】
フォトダイオードPPDは、後述するように、例えば、埋め込み型フォトダイオード(Pinned Photodiode)である。フォトダイオードPPDにおいて、アノード電極がグラウンド電位GNDに接続され、カソード電極が転送トランジスタMtgに接続されている。
【0029】
転送トランジスタMtgは、フォトダイオードPPDの電荷を転送するための素子である。転送トランジスタMtgは、例えば、第2導電型(N型)のMOSトランジスタである。
【0030】
転送トランジスタMtgにおいて、ソース電極はフォトダイオードPPDのカソード電極に接続され、ドレイン電極は、増幅トランジスタMdrvのゲート電極およびリセットトランジスタMfdrのソース電極に接続されている。転送トランジスタMtgのゲート電極には、2値の信号φTGが入力される。転送トランジスタMtgのオン/オフは、信号φTGによって切り替えられる。
【0031】
電荷蓄積部(Floating Diffusion)FDは、転送トランジスタMtgにより転送された電荷を蓄積する。電荷蓄積部FDは、転送トランジスタMtgのドレイン電極、増幅トランジスタMdrvのゲート電極、およびリセットトランジスタMfdrのソース電極が共通に接続されるノードに形成される。電荷蓄積部FDは、例えば、上記ノードに存在する寄生容量や浮遊容量によって実現されている。
【0032】
リセットトランジスタMfdrは、電荷蓄積部FDの電圧をリセットする電荷排出用素子である。リセットトランジスタ(電荷排出用トランジスタ)Mfdrは、例えば、第2導電型(Nチャネル型)のMOSトランジスタである。リセットトランジスタMfdrのソース電極は、電荷蓄積部FDに接続され、リセットトランジスタMfdrのドレイン電極は、電源電圧VRRに接続されている。リセットトランジスタMfdrのゲート電極には、2値の信号φFDRが入力される。リセットトランジスタMfdrのオン/オフは、信号φFDRによって切り替えられる。
【0033】
増幅トランジスタMdrvは、電荷蓄積部FDに蓄えられた電荷に応じた信号を増幅する素子である。増幅トランジスタMdrvは、例えば、第2導電型(Nチャネル型)のMOSトランジスタであり、ソースフォロア回路を構成する。
【0034】
増幅トランジスタMdrvのドレイン電極は、電源電圧VDDに接続され、増幅トランジスタのゲート電極は、電荷蓄積部FDに接続されている。増幅トランジスタMdrvのソース電極は、選択トランジスタMselを介して出力信号線OUTに接続されている。
【0035】
選択トランジスタMselは、増幅トランジスタMdrvによって増幅された信号を出力信号線OUTに出力するか否かを切り替える素子である。選択トランジスタMselは、例えば、第2導電型(Nチャネル型)のMOSトランジスタである。
【0036】
選択トランジスタMselのドレイン電極は、増幅トランジスタMdrvのソース電極に接続され、選択トランジスタMselのソース電極は、出力信号線OUTに接続されている。選択トランジスタMselのゲート電極には、信号φSELが入力される。選択トランジスタMselのオン/オフは、信号φSELによって切り替えられる。
【0037】
オーバーフロートランジスタMpdrは、フォトダイオードPPDに蓄積された電荷を排出する素子である。オーバーフロートランジスタMpdrは、例えば、第2導電型(Nチャネル型)のMOSトランジスタである。
【0038】
オーバーフロートランジスタMpdrは、電源電圧VRRとフォトダイオードPPDのカソード電極との間に接続されている。具体的には、オーバーフロートランジスタMpdrのドレイン電極は、電源電圧VRRに接続され、オーバーフロートランジスタMpdrのソース電極は、フォトダイオードPPDのカソード電極に接続されている。オーバーフロートランジスタMpdrのゲート電極には、2値の信号φPDRが入力される。オーバーフロートランジスタMpdrのオン/オフは、信号φPDRによって切り替えられる。
【0039】
ここで、電源電圧VDDは、ソースフォロワ回路(増幅トランジスタMdrv)の電源であり、電源電圧VRRは、電荷蓄積部FDおよびフォトダイオードPPDをリセットするための電源である。電源電圧VDDと電源電圧VRRとを分けることにより、画素の動作条件を最適化することが可能となる。なお、電荷蓄積部FDをリセットするための電源電圧とフォトダイオードPPDをリセットするための電源電圧とを分けてもよい。また、本実施の形態では電源電圧VDDと電源電圧VRRと分ける場合を例示するが、これに限られず、電源電圧VDDと電源電圧VRRとを共通化してもよい。
【0040】
フォトダイオードPPDは、受光した光信号に応じて電荷を蓄積する。転送トランジスタMtgは、信号φTGがイネーブル状態になった場合にオンし、フォトダイオードPPDによって蓄積された電荷を電荷蓄積部FDに転送する。増幅トランジスタMdrvは、電荷蓄積部FDに蓄えられた電荷に応じた信号を増幅してノードN1に出力する。選択トランジスタMselは、信号φSELがイネーブル状態になった場合にオンし、ノードN1の信号を出力信号線OUTに出力する。リセットトランジスタMfdrは、信号φFDRがイネーブル状態になった場合にオンし、電源電圧VRRと電荷蓄積部FDとを接続する。これにより、電荷蓄積部FDに蓄積された電子が電源電圧VRRに排出され、電荷蓄積部FDがリセットされる。
【0041】
オーバーフロートランジスタMpdrは、信号φPDRがイネーブル状態となった場合にオンし、フォトダイオードの空乏化電圧より高い電源電圧VRRと電荷が蓄積されているフォトダイオードPPDのカソード電極とを接続する。これにより、フォトダイオードPPDに蓄積された電子が電源電圧VRRに排出され、フォトダイオードPPDがリセットされる。このように、オーバーフロートランジスタMpdrは、フォトダイオードPPDの電子シャッタとして機能させることができる。
【0042】
図2Aは、実施の形態1に係る半導体装置100の画素回路10のレイアウト構成を示す平面図である。
【0043】
図2Bは、
図2Aに示す画素回路10のB-B’部分の断面構造を模式的に示す図である。
【0044】
図2Aおよび
図2Bにおいて、X軸,Y軸,およびZ軸から成る3次元空間に半導体基板1が配置され、半導体基板1の平面がX-Y平面と平行であるとする。また、B点とB’点を結ぶ線分がX軸と平行であるとする。
図2Aには、半導体装置100を構成する半導体基板1の平面(XY平面)に垂直な方向から見た画素回路10のレイアウト構成が示されている。なお、
図2Aおよび
図2Bにおいて、回路素子同士を接続する配線層のうち最上位の配線層の表示が省略されている。
【0045】
例えば、シリコンにB(ボロン)がドープされたP型基板である半導体基板1に、第1導電型(P型)の第1半導体領域としてのPウェル2が形成されている。Pウェル2は、P型基板1に低濃度のP型不純物をドーピングすることによって形成される。
【0046】
Pウェル2上には、第2導電型(N型)の第2半導体領域としてのNウェル3が形成されている。Pウェル2とNウェル3とによって、PN接合型のフォトダイオードが形成されている。
【0047】
本実施の形態では、更に、Nウェル3上に、Pウェル2よりもP型不純物濃度の高いP型半導体層(P+領域)としてのピニング層4が形成されている。ピニング層4は、例えば、P型基板1の表面にP型不純物をドーピングすることにより形成される。ピニング層4を形成することにより、上記フォトダイオードは、埋め込み型フォトダイオードPPDとなる。
本実施の形態では、埋め込み型フォトダイオードPPDを単に、「フォトダイオードPPD」とも称する。
【0048】
図2Aに示すように、半導体基板1の平面に垂直な方向(Z軸の正側)から見た平面視において、第2導電型(N型)の第3半導体領域としてのNウェル6およびN拡散領域7が、フォトダイオードPPDを囲むようにNウェル3と離間して形成されている。
【0049】
より具体的には、フォトダイオードPPDは、平面視において、例えば、多角形状に形成されている。ここで、多角形状とは、三つ以上の角を持つ形状を言い、三角形状、矩形状(四角形状)、五角形状、六角形状等を例示することができる。本実施の形態では、一例として、フォトダイオードPPDが矩形状に形成されているものとして説明するが、これに限定されるものではない。
【0050】
Nウェル6は、平面視において、多角形状のフォトダイオードPPDの一辺を除く他の辺を少なくとも囲む形態で形成されている。例えば、本実施の形態のようにフォトダイオードPPDが矩形状の場合、フォトダイオードPPDの四辺のうち少なくとも三辺を囲む形態で、Nウェル6が形成される。
【0051】
Nウェル6上には、Nウェル6よりもN型不純物濃度の高いN型拡散領域(N++領域)7が、平面視においてNウェル6に重なるように形成されている。ここで、Nウェル6およびN型拡散領域7は、例えば、1つの画素回路10の領域を画成する画素境界線Aに接するように延在している。
【0052】
なお、本実施の形態では、第3半導体領域としてNウェル6およびN拡散領域7が形成される場合を例示しているが、これに限られず、第3半導体領域として、少なくともN拡散領域7が形成されていればよい。
【0053】
更に、平面視において、第2半導体領域としてのNウェル3と第3半導体領域としてのNウェル6およびN型拡散領域7との間のPウェル2上に、ゲート領域5が形成されている。ゲート領域5は、例えば、ゲート酸化膜(例えば、SiO2)と、ゲート酸化膜上に形成された電極(例えば、ポリシリコン等)とから形成されたMOS(Metal-Oxside-Semiconductor)構造のゲート部である。具体的には、ゲート領域5は、平面視において、少なくともフォトダイオードPPDのNウェル3の三辺を囲む形態で、Nウェル3とNウェル6との間に形成されている。
【0054】
ここで、Nウェル3をソース電極、Nウェル6およびN型拡散領域7をドレイン電極、ゲート領域5をゲート電極としたオーバーフロートランジスタMpdrが構成されている。
【0055】
図2Aに示すように、平面視において、矩形状のフォトダイオードPPDの上記一辺(上記三辺以外の辺)側の領域には、オーバーフロートランジスタMpdr以外の画素回路10を構成する回路素子が形成されている。すなわち、フォトダイオードPPDのY軸負側の一辺側の領域には、転送トランジスタMtg、電荷蓄積部FD、リセットトランジスタMfdr、増幅トランジスタMdrv、および選択トランジスタMselが形成されている。
【0056】
更に、
図2Bに示すように、半導体基板1の表面上には、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、SiO
2等の透明の絶縁膜であるPMD(PMD:Pre Metal Dielectric)8が形成されている。
【0057】
上述したように、実施の形態1に係る半導体装置100における画素回路10は、フォトダイオードPPDに接続される転送トランジスタMtgと、ピニング層4をグラウンド電位に接続するためのコンタクト部(P++)を除くフォトダイオードPPDの周囲をオーバーフロートランジスタMpdrによって取り囲む構造を有している。これにより、画素境界線AのX軸方向および画素境界線AのY軸正方向には、素子分離酸化膜層(STI)が形成されない。
【0058】
次に、
図2Aおよび
図2Bに示した画素回路10を半導体基板1に複数配置する場合の配置例について説明する。
【0059】
図3Aは、実施の形態1に係る画素回路10を複数配置した半導体装置100のレイアウト構成を示す平面図である。
【0060】
図3Bは、
図3Aに示す半導体装置100のC-C’部分の断面構造を模式的に示す図である。
【0061】
図3Aおよび
図3Bにおいて、
図2Aおよび
図2Bと同様に、X軸,Y軸,およびZ軸から成る3次元空間に半導体基板1が配置され、半導体基板1の平面がX-Y平面と平行であるとする。なお、
図3Aおよび
図3Bにおいて、回路素子同士を接続する配線層のうち最上位の配線層の表示が省略されている。
図3Aに示す半導体基板1の平面において、所定の方向であるY軸方向を列方向、X軸方向を行方向とする。
【0062】
図3Aに示すように、半導体装置100において、複数の画素回路10は、半導体基板において行方向および列方向にそれぞれ並んで形成されている。具体的には、例えば、
図3AのY軸正側の最上位の行を1行目とした場合に、奇数行目の画素回路10において、転送トランジスタMtg、リセットトランジスタMfdr、増幅トランジスタMdrv、および選択トランジスタMselは、列方向の一方の側(Y軸方向の正側)に配置されている。また、偶数行目の画素回路10において、転送トランジスタMtg、リセットトランジスタMfdr、増幅トランジスタMdrv、および選択トランジスタMselは、列方向の他方の側(Y軸方向の負側)に配置されている。
【0063】
行方向(X軸方向)に隣り合う画素回路10のオーバーフロートランジスタMpdrは、行方向において互いに共通するドレイン電極(第3半導体領域としてのNウェル6およびN型拡散領域7)を有している。
【0064】
ここで、
図3Aに示すように、行方向(X軸方向)に隣り合うフォトダイオードPPD間の距離が等しくなるように、行方向のNウェル6およびN型拡散領域7の範囲を調整することが好ましい。これにより、水平方向の画素の解像度を均一にすることができる。
【0065】
また、
図3Bに示すように、オーバーフロートランジスタMpdrが列方向(Y軸方向)に互いに隣接する2つの画素回路10において、列方向において互いに共通する第3半導体領域(Nウェル6およびN型拡散領域7)を有している。例えば、1行目の画素回路10と2行目の画素回路とは、Y軸方向において、オーバーフロートランジスタMpdrのドレイン電極が共通し、3行目の画素回路10と4行目の画素回路とは、Y軸方向において、オーバーフロートランジスタMpdrのドレイン電極が共通している。
【0066】
図3Aに示すように複数の画素回路10を配置することにより、各画素回路10の矩形状に形成されたフォトダイオードPPDの四辺の内、転送トランジスタMtg、リセットトランジスタMfdr、増幅トランジスタMdrv、および選択トランジスタMselが形成されている一辺以外の三辺の周囲の領域において、各画素回路10のオーバーフロートランジスタMpdrのドレイン電極としてのNウェル6およびN型拡散領域7が共通になる。すなわち、フォトダイオードPPDの四辺のうち三辺側の領域において、STI等の素子分離酸化膜層が形成されない。
【0067】
以上、実施の形態1に係る半導体装置100によれば、オーバーフロートランジスタMpdrのドレイン電極としてのNウェル6およびN型拡散領域7がフォトダイオードPPDの周囲を囲むように形成されているので、従来の固体撮像素子に比べて、フォトダイオードPPDの周囲の領域に形成される素子分離酸化膜層を大幅に削減することができる。
【0068】
具体的には、
図3Aに示したように、半導体基板1上の行方向および列方向に画素回路10を複数並べて配置した場合において、行方向(X軸方向)に隣り合う画素回路10のオーバーフロートランジスタMpdrは、行方向において互いに共通するドレイン電極(Nウェル6およびN型拡散領域7)を有している。
これによれば、行方向において隣り合う画素回路10間に素子分離酸化膜層を形成する必要がないので、フォトダイオードPPDの周囲の領域に形成される素子分離酸化膜層を削減することができる。また、固体撮像素子を形成するために必要な半導体基板1のチップ面積を削減することも可能となり、半導体装置100のコストを削減することが可能となる。
【0069】
また、上述したように、オーバーフロートランジスタMpdrが列方向(Y軸方向)に互いに隣接する2つの画素回路10において、列方向において互いに共通するNウェル6およびN型拡散領域7を有している。
これによれば、列方向において画素回路10間に形成される素子分離酸化膜層を減らすことができる。また、固体撮像素子を形成するために必要な半導体基板1のチップ面積を削減することも可能となり、半導体装置100のコストを更に削減することが可能となる。
【0070】
このように、本実施の形態に係る半導体装置1によれば、フォトダイオードPPDの周囲の領域に形成される素子分離酸化膜層を大幅に削減することができるので、フォトダイオードに流れる暗電流を大幅に減らすことが可能となる。これにより、従来の固体撮像素子に比べて、より効果的に放射線のトータルドーズ効果に起因するホワイトアウトを抑制することが可能となり、耐放射線性を向上させることができる。
【0071】
≪実施の形態2≫
図4は、実施の形態2に係る半導体装置100Aのレイアウト構成を示す平面図である。
【0072】
図4において、実施の形態1と同様に、X軸,Y軸,およびZ軸から成る3次元空間に半導体基板1が配置され、半導体基板1の平面がX-Y平面と平行であるとする。なお、
図4において、回路素子同士を接続する配線層のうち最上位の配線層の表示が省略されている。
図4において、Y軸方向を列方向、X軸方向を行方向とする。
【0073】
図4に示すように、実施の形態2に係る半導体装置100Aは、半導体基板1に各画素回路10が同一の向きとなるように配置される点において、実施の形態1に係る半導体装置100と相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る半導体装置100と同様である。
【0074】
具体的には、半導体装置100Aにおいて、各画素回路10の転送トランジスタMtg、リセットトランジスタMfdr、増幅トランジスタMdrv、および選択トランジスタMselは、列方向の一方の側(Y軸方向の正側)に配置されている。
【0075】
行方向(X軸方向)に隣り合う画素回路10のオーバーフロートランジスタMpdrは、行方向において互いに共通するドレイン電極(第3半導体領域としてのNウェル6およびN型拡散領域7)を有している。
【0076】
また、行方向(X軸方向)および列方向(Y軸方向)に隣り合う画素回路10は、互いのフォトダイオードPPD同士の距離が等しくなるように、配置されている。例えば、
図4に示すように、画素回路10_1の中心部P1から行方向(X軸方向)に画素回路10_1と隣り合う画素回路10_2の中心部P2までの距離L12は、画素回路10_1の中心部P1から列方向(Y軸方向)に画素回路10_1と隣り合う画素回路10_3の中心部P3までの距離L13と等しい(L12=L13)。
【0077】
以上、実施の形態2に係る半導体装置100Aによれば、行方向(X軸方向)のみならず、列方向(Y軸方向)にも各画素回路10を均等に配置することができるので、撮像した画像の水平方向の解像度と垂直方向の解像度を均一にすることができる。
【0078】
また、実施の形態1に係る半導体装置100と同様に、行方向(X軸方向)に隣り合う画素回路10のオーバーフロートランジスタMpdrは、行方向において互いに共通するドレイン電極(Nウェル6およびN型拡散領域7)を有しているので、矩形状のフォトダイオードPPDの四辺のうち二辺分の素子分離酸化膜層を削減することができる。これにより、放射線のトータルドーズ効果によるホワイトアウトを抑制しつつ、半導体装置100Aのコストを削減することが可能となる。
【0079】
≪実施の形態3≫
図5は、実施の形態3に係る半導体装置100Bの画素回路10Bのレイアウト構成を示す平面図である。
【0080】
図6は、実施の形態3に係る半導体装置100Bのレイアウト構成を示す平面図である。
【0081】
図5および
図6において、実施の形態1と同様に、X軸,Y軸,およびZ軸から成る3次元空間に半導体基板1が配置され、半導体基板1の平面がX-Y平面と平行であるとする。なお、
図5および
図6において、回路素子同士を接続する配線層のうち最上位の配線層の表示が省略されている。
図6において、Y軸方向を列方向、X軸方向を行方向とする。
【0082】
図5に示すように、実施の形態3に係る半導体装置100Bは、半導体基板1の平面において、各画素回路10BのNウェル6およびN型拡散領域7がX軸方向およびY軸方向に拡張されている点において、実施の形態1に係る半導体装置100と相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る半導体装置100と同様である。
【0083】
具体的には、
図5および
図6に示すように、半導体基板1の平面において各画素回路10Bを画成する画素境界線のうち、転送トランジスタMtg、リセットトランジスタMfdr、増幅トランジスタMdrv、および選択トランジスタMselが形成されている側の行方向の第1画素境界線AからフォトダイオードPPDの端部までの距離Lp1と、フォトダイオードPPDを挟んで第1画素境界線Aと反対側の行方向の第2画素境界線A’からフォトダイオードPPDの端部までの距離Lp2とが等しくなるように、各画素回路10の第3半導体領域(Nウェル6およびN型拡散領域7)が第2画素境界線A’に接して形成されている。
これによれば、列方向(Y軸方向)に各画素回路10Bを均等に配置することができるので、撮像した画像の垂直方向の解像度を均一にすることができる。
【0084】
また、
図6に示すように、行方向(X軸方向)においても各画素回路10BのフォトダイオードPPD間の距離が等しくなるように、各画素回路10BのNウェル6およびN型拡散領域7を行方向に延長する。
これによれば、行方向(X軸方向)に各画素回路10Bを均等に配置することができるので、撮像した画像の水平方向の解像度を均一にすることができる。更に、列方向と行方向のフォトダイオードPPD間の距離を等しくすることにより、水平方向と垂直方向との間の解像度を均一にすることができる。
【0085】
以上、実施の形態3に係る半導体装置100Bによれば、実施の形態1に係る半導体装置100と同様に耐放射線性を向上させることができるとともに、画像の解像度を均一にすることが可能となる。
【0086】
≪実施の形態4≫
図7は、実施の形態4に係る半導体装置100Cの画素回路10Cのレイアウト構成を示す平面図である。
【0087】
図7において、実施の形態1と同様に、X軸,Y軸,およびZ軸から成る3次元空間に半導体基板1が配置され、半導体基板1の平面がX-Y平面と平行であるとする。なお、
図7において、回路素子同士を接続する配線層のうち最上位の配線層の表示が省略されている。
【0088】
実施の形態4に係る半導体装置100Cは、半導体基板1の平面において、各画素回路10の第3半導体領域としてのNウェル6およびN型拡散領域7が、矩形状のフォトダイオードPPDの四辺のうち一辺側にのみ形成される点において、実施の形態1に係る半導体装置100と相違し、その他の点においては、実施の形態1に係る半導体装置100と同様である。
【0089】
実施の形態4に係る画素回路10Cにおいて、オーバーフロートランジスタMpdrのゲート電極となるゲート領域5Cは、多角形状のフォトダイオードの一辺を除く他の辺を少なくとも囲むように形成されている。例えば、
図7に示すように、ゲート領域5Cは、平面視で矩形状のフォトダイオードPPDの四辺のうち少なくとも三辺を囲むように形成されている。
【0090】
また、平面視において、オーバーフロートランジスタMpdrのドレイン電極となる第3半導体領域(Nウェル6CおよびN型拡散領域7C)が、ゲート領域5Cによって囲まれているフォトダイオードPPDの他の辺(三辺)のうち一辺に沿って、ゲート領域5Cを挟んでNウェル3と離間して形成されている。例えば、Nウェル6CおよびN型拡散領域7Cは、フォトダイオードPPDのY軸方向正側の一辺に沿って、ゲート領域5Cを挟んでNウェル3と離間して形成されている。
【0091】
図8は、実施の形態4に係る半導体装置100Cのレイアウト構成を示す平面図である。
図8において、Y軸方向を列方向、X軸方向を行方向とする。
【0092】
図8に示すように、画素回路10Cは、平面視において、半導体基板1の列方向(Y方向)と行方向(X方向)にそれぞれ並んで形成されている。行方向に隣り合う画素回路10Cは、行方向において互いに共通するゲート領域5Cを有している。
【0093】
また、
図8におけるY軸正方向の最上位の行を1行目としたとき、奇数行目の画素回路10において、転送トランジスタMtg、リセットトランジスタMfdr、増幅トランジスタMdrv、および選択トランジスタMselは、列方向の一方の側(Y軸方向の正側)に配置されている。偶数行目の画素回路10において、転送トランジスタMtg、リセットトランジスタMfdr、増幅トランジスタMdrv、および選択トランジスタMselは、列方向の他方の側(Y軸方向の負側)に配置されている。
【0094】
図8に示すように、列方向(Y軸方向)にオーバーフロートランジスタMpdrのドレイン電極が隣り合う画素回路10Cは、列行方向において互いに共通する第3半導体領域(Nウェル6およびN型拡散領域7)を有している。
【0095】
以上、実施の形態4に係る半導体装置100Cによれば、行方向に隣り合う画素回路10Cが行方向において互いに共通するゲート領域5Cを有しているので、フォトダイオードの四辺のうち二辺分の素子分離酸化膜層を削減することができる。これにより、従来の固体撮像素子に比べて、放射線のトータルドーズ効果によるホワイトアウトを抑制することが可能となる。
【0096】
また、行方向においてオーバーフロートランジスタMpdrのドレイン電極を構成するNウェル6およびN型拡散領域7が形成されないので、フォトダイオードPPDの面積を大きくすることができる。これにより、各画素の開口を拡大することができるので、フォトダイオードの電荷の蓄積容量の増大と光感度の向上が期待できる。
【0097】
なお、実施の形態4に係る半導体装置100Cにおいて、垂直方向(Y方向)および水平方向(X方向)の画素の解像度を均一にするために、実施の形態3の半導体装置100Bのように、各画素回路10を拡張してもよい。例えば、フォトダイオードPPDを水平方向に拡張し、あるいは、オーバーフロートランジスタMpdrのゲート電極となるゲート領域5Cを水平方向に拡張すればよい。また、実施の形態2の半導体装置100Aのように、各画素回路10Cの向きを統一して、各画素回路10のフォトダイオードPPD間の距離を均等にしてもよい。
【0098】
≪実施の形態の拡張≫
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0099】
例えば、第1導電型をN型とし、第2導電型をP型として、各トランジスタを形成してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…半導体基板、2…第1半導体領域(Pウェル)、3…第2半導体領域(Nウェル)、4…ピニング層、5,5C…ゲート領域、6,6C…第3半導体領域(Nウェル)、7,7C…第3半導体領域(N型拡散領域)、10,10_1~10_3,10B,10C…画素回路、100,100A,100B,100C…半導体装置、A…第1画素境界線、A’…第2画素境界線、FD…電荷蓄積部、GND…グラウンド電位、L12…距離、L13…距離、Lp…距離、Lp1…距離、Lp2…距離、Mdrv…増幅トランジスタ、Mfdr…リセットトランジスタ、Mpdr…オーバーフロートランジスタ、Msel…選択トランジスタ、Mtg…転送トランジスタ、N1…ノード、OUT…出力信号線、P1~P3…フォトダイオードPPDの中心部、PPD…埋め込み型フォトダイオード(フォトダイオード)、VDD…電源電圧、VRR…電源電圧、φFDR…信号、φPDR…信号、φSEL…信号、φTG…信号。