(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】タッチスクリーン
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20220101AFI20250109BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20250109BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G06F3/0488
G06F3/044
G06F3/041 580
(21)【出願番号】P 2023557919
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 JP2022038154
(87)【国際公開番号】W WO2023079921
(87)【国際公開日】2023-05-11
【審査請求日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2021179665
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 正博
(72)【発明者】
【氏名】渡 明弘
(72)【発明者】
【氏名】萩原 康嗣
(72)【発明者】
【氏名】内田 慶太郎
【審査官】三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-288881(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0038339(US,A1)
【文献】特開2006-031518(JP,A)
【文献】特表2012-533122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048- 3/04895
G06F 3/03
G06F 3/041- 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接する物体を静電容量によって検出する複数のセンサ電極と、
前記複数のセンサ電極と重なる位置に設けられた表示装置と、
前記複数のセンサ電極に接続され、各センサ電極と前記物体との間の静電容量を検出する検出部と、
前記検出部の出力に基づき、前記表示装置が表示する画像を制御するとともに、前記物体による入力内容を確定する制御部と
を含み、
前記制御部は
、
入力用の操作部を表すGUIボタンの画像と、前記GUIボタンへの操作による入力内容を表す入力内容表示部の画像とを前記表示装置に表示させ、前記検出部が検出する静電容量が第1閾値以上になると、前記複数のセンサ電極のうち最大の静電容量を検出したセンサ電極と重ならない位置に前記入力内容表示部の画像を移動させ
、
前記検出部が検出する静電容量が前記第1閾値未満の場合には、前記表示装置の中央に前記入力内容表示部を表示させ、
前記検出部が検出する静電容量が前記第1閾値以上の場合に、前記物体が前記表示装置の中央よりも一方側の外縁に近い場合には、前記入力内容表示部を前記表示装置の中央よりも前記一方側の外縁とは反対側の外縁に近い位置に表示させ、
前記検出部が検出する静電容量が前記第1閾値以上の場合に、前記物体が前記表示装置の中央よりも前記反対側の外縁に近い場合には、前記入力内容表示部を前記表示装置の中央よりも前記一方側の外縁に近い位置に表示させる、タッチスクリーン。
【請求項2】
近接する物体を静電容量によって検出する複数のセンサ電極と、
前記複数のセンサ電極と重なる位置に設けられた表示装置と、
前記複数のセンサ電極に接続され、各センサ電極と前記物体との間の静電容量を検出する検出部と、
前記検出部の出力に基づき、前記表示装置が表示する画像を制御するとともに、前記物体による入力内容を確定する制御部と
を含み、
前記制御部は、
入力用の操作部を表すGUIボタンの画像と、前記GUIボタンへの操作による入力内容を表す入力内容表示部の画像とを前記表示装置に表示させ、前記検出部が検出する静電容量が第1閾値以上になると、前記複数のセンサ電極のうち最大の静電容量を検出したセンサ電極と重ならない位置に前記入力内容表示部の画像を移動させ、
複数の前記GUIボタンの画像を縦横に並べて前記表示装置に表示させるとともに、前記入力内容表示部の画像を前記複数のGUIボタンの画像の間を含む位置に表示させ、
前記複数のGUIボタンの画像を縦方向に4行以上並べて前記表示装置に表示させ、
前記最大の静電容量を検出したセンサ電極が前記表示装置の表示領域の上半分の領域内に位置する場合には、前記入力内容表示部の画像を前記縦方向における中央より下のいずれか隣接する2つの行の間を含む位置に移動させ、
前記最大の静電容量を検出したセンサ電極が前記表示装置の表示領域の下半分の領域内に位置する場合には、前記入力内容表示部の画像を前記縦方向における中央より上のいずれか隣接する2つの行の間を含む位置に移動させる、タッチスクリーン。
【請求項3】
前記制御部は、
前記複数のGUIボタンの画像を縦方向に4行にわたって並べて前記表示装置に表示させ、
前記最大の静電容量を検出したセンサ電極が前記表示装置の表示領域の上半分の領域内に位置する場合には、前記入力内容表示部の画像を前記縦方向における上から3行目と4行目の前記GUIボタンの画像の間を含む位置に移動させ、
前記最大の静電容量を検出したセンサ電極が前記表示装置の表示領域の下半分の領域内に位置する場合には、前記入力内容表示部の画像を前記縦方向における上から1行目と2行目の前記GUIボタンの画像の間を含む位置に移動させる、請求項
2に記載のタッチスクリーン。
【請求項4】
前記複数のGUIボタンの画像の数と、前記複数のセンサ電極の数とは等しく、かつ、平面視でのサイズは等しく、
前記制御部は、各GUIボタンの画像の外縁の位置と、各センサ電極の外縁の位置とが一致するように、前記複数のGUIボタンの画像を前記表示装置に表示させる、請求項
3に記載のタッチスクリーン。
【請求項5】
前記センサ電極に近接する物体が接触可能なカバーをさらに含み、
前記制御部は、
前記物体が前記カバーに非接触の状態で入力を確定可能な静電容量に相当し前記第1閾値よりも大きい第2閾値を用い、
前記検出部が検出する静電容量が前記第2閾値以上になると、前記最大の静電容量を検出したセンサ電極に応じた前記GUIボタンへの入力を確定する、請求項1
ないし4のいずれか1項に記載のタッチスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画面に表示された文字入力領域に対する書込み操作によって、手書き文字入力が可能な携帯情報端末装置であって、前記画面において、前記文字入力領域が表示された場合に編集対象領域と重ならない領域を判定し、該領域内の所定位置に前記文字入力領域を表示することを特徴とする携帯情報端末装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-067673号公報
【文献】特開2010-152827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の携帯情報端末装置は、ペン等で手書き文字入力のための文字入力領域を編集中の領域と重ならないように表示するために、文字入力に必要な大きさより、大きな画面が必要だった。
【0005】
本発明では、画面のほとんどをGUI(Graphic User Interface)ボタンにしても、手等による操作による入力内容を表す入力内容表示部の画像を手等と重ならないように移動可能なタッチスクリーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態のタッチスクリーンは、近接する物体を静電容量によって検出する複数のセンサ電極と、前記複数のセンサ電極と重なる位置に設けられた表示装置と、前記複数のセンサ電極に接続され、各センサ電極と前記物体との間の静電容量を検出する検出部と、前記検出部の出力に基づき、前記表示装置が表示する画像を制御するとともに、前記物体による入力内容を確定する制御部とを含み、前記制御部は、入力用の操作部を表すGUIボタンの画像と、前記GUIボタンへの操作による入力内容を表す入力内容表示部の画像とを前記表示装置に表示させ、前記検出部が検出する静電容量が第1閾値以上になると、前記複数のセンサ電極のうち最大の静電容量を検出したセンサ電極と重ならない位置に前記入力内容表示部の画像を移動させる。
【発明の効果】
【0007】
GUIボタンへの手等による操作による入力内容を表す入力内容表示部の画像を手等と重ならないように移動可能なタッチスクリーンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1のタッチスクリーン100の外観斜視図である。
【
図2】位置入力装置130の構成の一例を示す図である。
【
図3】位置入力装置130において形成される静電容量を説明する図である。
【
図4A】実施形態1の表示装置120の表示を説明する図である。
【
図4B】実施形態1の表示装置120の表示を説明する図である。
【
図4C】実施形態1の表示装置120の表示を説明する図である。
【
図4D】実施形態1の表示装置120の表示を説明する図である。
【
図4E】実施形態1の表示装置120の表示を説明する図である。
【
図4F】実施形態1の表示装置120の表示を説明する図である。
【
図4G】実施形態1の表示装置120の表示を説明する図である。
【
図5】タッチスクリーン100の内部の構成を示す図である。
【
図6】制御装置140のハードウェア構成を示す図である。
【
図8】実施形態1の制御装置140が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
【
図9】実施形態1の制御装置140が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
【
図10A】実施形態2の表示装置120Mの表示を説明する図である。
【
図10B】実施形態2の表示装置120Mの表示を説明する図である。
【
図10C】実施形態2の表示装置120Mの表示を説明する図である。
【
図10D】実施形態2の表示装置120Mの表示を説明する図である。
【
図10E】実施形態2の表示装置120Mの表示を説明する図である。
【
図10F】実施形態2の表示装置120Mの表示を説明する図である。
【
図10G】実施形態2の表示装置120Mの表示を説明する図である。
【
図10H】実施形態2の表示装置120Mの表示を説明する図である。
【
図11】実施形態2の制御装置140が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
【
図12】実施形態2の制御装置140が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
【
図13】実施形態2の制御装置140が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示のタッチスクリーンを適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態1>
<タッチスクリーン100>
図1は、実施形態1のタッチスクリーン100の外観斜視図である。
図1に示すタッチスクリーン100は、タッチ入力およびホバー入力による操作が可能な装置である。タッチ入力とは、タッチスクリーン100の操作面130Aに指や手等を接触させて(タッチして)行う入力方法であり、ホバー入力とは、操作面130Aに対して指や手等を近接させて非接触の状態で(操作面130Aから指や手等を浮かせた状態で)行う入力方法である。利用者の指や手は、操作体の一例であり、操作面130Aに近接する物体の一例である。以下では、利用者が操作面130Aに対して指先で操作を行うこととして説明するが、利用者は、指のうちの指先以外の部分や、手のうちの指以外の部分や、身体のうちの手以外の部分で操作することが可能である。
【0011】
タッチスクリーン100は、利用者の指先の操作による入力を受け付けて、操作内容に応じて、制御対象装置の動作を制御する。タッチスクリーン100は、制御対象装置を遠隔操作するものであってもよく、制御対象装置に一体的に設けられたものであってもよい。また、タッチスクリーン100は、携帯可能であってもよく、壁面等に固定的に設置可能であってもよい。ここでは、一例として、タッチスクリーン100が、入力が確定した内容を表すデータを制御対象装置のアプリケーションプログラムに引き渡す形態について説明する。
【0012】
図1に示すように、タッチスクリーン100は、筐体110、表示装置120、および位置入力装置130を備える。
【0013】
筐体110は、各種構成部品を収容および保持する箱状の部材である。表示装置120および位置入力装置130は、筐体110に保持されており、位置入力装置130は、表示装置120の上に配置されている。
図1に示す例では、筐体110は、直方体形状を有する。但し、筐体110は、直方体形状以外の形状であってもよい。また、例えば、タッチスクリーン100は、筐体110を有さず、所定の設置場所に埋め込まれるように設置されてもよい。
【0014】
表示装置120は、平板状且つ薄型の装置である。表示装置120は、位置入力装置130の下側に重ねて設けられている。表示装置120は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等である。表示装置120は、各種表示内容を表示する。表示装置120は、複数のGUI(Graphic User Interface)操作ボタンを並べて表示可能である。GUIボタンは、GUIによって表示装置120に表示される押しボタンの画像である。表示装置120に表示された表示内容は、位置入力装置130を透過して、タッチスクリーン100の上方から利用者によって視認可能である。
【0015】
位置入力装置130は、平板状且つ薄型の装置である。位置入力装置130は、筐体110の上面に設けられている。位置入力装置130は、操作面130Aを有する。操作面130Aは、位置入力装置130の最上面に位置する天板の表面であり、筐体110の上面から露出している。位置入力装置130は、利用者の指先による操作面130Aに対するタッチ入力(接触入力)およびホバー入力(非接触入力)が可能である。位置入力装置130には、静電容量式の位置入力装置が用いられる。
【0016】
<位置入力装置130の構成の一例>
図2は、位置入力装置130の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、位置入力装置130は、図中上方から(操作面130A側から)順に、天板136、センサ部130B、および基板135を備えて構成されている。
【0017】
天板136は、位置入力装置130の最上層(センサ部130Bの上側)に設けられる、透明且つ薄板状の部材である。すなわち、天板136の上面は、位置入力装置130の操作面130Aとなる。天板136は、利用者が指先等で接触可能なカバーの一例である。天板136は、薄板状のガラスの表面に対して、光透過性を有する加飾フィルムが貼付されて構成されている。加飾フィルムは、位置入力装置130の裏側に設けられる表示装置120が非表示のときに、位置入力装置130の表面に特定の表面模様(例えば、木目模様、金属模様等)を呈する。なお、加飾フィルムは、無くてもよい。また、天板136の上にさらに透明なプレートが設けられていてもよい。その場合には、天板136の上に設けられる透明なプレートがカバーの一例であり、プレートの上面が操作面になる。
【0018】
センサ部130Bは、天板136と基板135との間に設けられる。センサ部130Bは、ガラス板137の上面に、センサフィルム134(PET(Polyethyleneterephthalate)フィルム)が重ねて構成されている。センサフィルム134には、いずれも導線性を有する薄膜状の素材(例えば、銅箔、導電性高分子等)から形成される、センサ電極131A~131L、接近検出電極132、およびノイズ検出電極133が設けられている。なお、センサ電極131A~131Lを特に区別しない場合には、単にセンサ電極131と称す。また、接近検出電極132、ノイズ検出電極133が無くてもよい。
【0019】
また、ガラス板137の下面には、アクティブシールド電極ASが重ねて設けられている。アクティブシールド電極ASは、位置入力装置ドライバ150(
図4参照)によって駆動され、センサ電極131A~131Lおよび接近検出電極132からのグラウンドへの電流の流出を阻止することで、センサ電極131A~131Lおよび接近検出電極132によって検出可能な静電容量を増やすために設けられている。
【0020】
センサ電極131A~131Lは、複数のGUIボタンの各々に対応して設けられている。
図2に示す例では、センサ電極131A~131Lは、表示装置120にGUIボタンとして表示される複数のGUIボタンに対応して、4行×3列で配置されている。センサ電極131A~131Lの各々は、対応するGUIボタンに対するタッチ入力およびホバー入力を、静電容量の変化によって検知するために設けられている。センサ電極131A~131Lで検出可能な範囲は操作面130Aから一例として約3cm以内から約5cm以内である。センサ電極131A~131Lは、操作面130Aから約3cm以内から約5cm以内で指先が近接していることを検出可能である。指先が操作面130Aに近接している状態には、後述する近接操作が行われている状態と、ホバー入力又はタッチ入力が行われている状態とが含まれる。
【0021】
接近検出電極132は、センサフィルム134の比較的広範囲にわたって、センサ電極131A~131Lの隙間を埋める形状を有する。接近検出電極132は、操作面130Aに対する指先の接近を、静電容量の変化によって検出するために設けられている。接近検出電極132で指先を検出可能な範囲は、操作面130Aから一例として約10cm以内の範囲である。ここで、接近とは、接近検出電極132が指先を検出可能な範囲のうち、センサ電極131A~131Lで検出可能な近接の範囲よりも遠い位置に指先があることをいう。このため、一例としてセンサ電極131A~131Lで検出可能な範囲が操作面130Aから約5cm以内であるとすると、接近とは一例として、指先の位置が操作面130Aから約5cmよりも遠く、操作面130Aから約10cm以内の範囲にあることをいう。
【0022】
制御装置140は、センサ電極131A~131Lで検出される静電容量の最大値が第1閾値以上になると、操作面130Aに対して指先が近接して近接操作が行われたと判定する。近接操作とは、複数のGUIボタンの中からいずれかを選択するための操作であり、ホバー入力が可能になるほど操作面130Aに対して指先が十分に近づいていない状態での操作である。センサ電極131A~131Lで検出される静電容量の最大値が第1閾値以上になることにより、制御装置140は、近接操作で選択されているGUIボタンを識別することができる。
【0023】
また、制御装置140は、センサ電極131A~131Lで検出される静電容量の最大値が第1閾値よりも大きい第2閾値以上になると、ホバー入力が行われたと判定する。第2閾値は指先が天板136に非接触の状態で入力を確定可能な静電容量に相当する。また、タッチ入力が行われた場合にもセンサ電極131A~131Lで検出される静電容量の最大値は第2閾値以上になり、操作面130Aに対して非接触のタッチ入力が行われるときよりも大きい静電容量が検出されるが、制御装置140は、タッチ入力とホバー入力とを区別してもよく、区別しなくてもよい。タッチ入力とホバー入力とを区別する場合には、タッチ入力を判定するために第2閾値よりも大きい第3閾値を用いればよい。第1閾値及び第2閾値については
図4A乃至
図4Gを用いて後述する。
【0024】
ノイズ検出電極133は、センサフィルム134の外周に沿って延在する、細長い帯状の電極である。ノイズ検出電極133は、位置入力装置130に侵入したノイズを検出するために設けられている。
【0025】
基板135は、位置入力装置130の最下層(センサ部130Bの下側)に設けられる、薄板状の部材である。基板135の上面には、センサ部130Bが形成される。基板135としては、例えば、ガラス基板や、透明樹脂製の基板が用いられる。
【0026】
図3は、位置入力装置130において形成される静電容量を説明する図である。
図3には指先ではなく、手10を示す。
【0027】
図3に示すように、位置入力装置130において、各検出電極RX(すなわち、センサ電極131A~131L、接近検出電極132、およびノイズ検出電極133)と手10との間には、静電容量Crgが形成される。
【0028】
また、位置入力装置130において、各検出電極RXとアクティブシールド電極ASとの間には、静電容量Crsが形成される。
【0029】
また、位置入力装置130において、アクティブシールド電極ASとグラウンドとの間には、静電容量Csgが形成される。
【0030】
また、位置入力装置130において、各検出電極RXとグラウンドとの間には、寄生容量Crglが形成される。
【0031】
位置入力装置130は、検出電極RXと手10との間に形成される静電容量Crgを検出することにより、操作面130Aに対する手10の接近、ホバー入力、およびタッチ入力を検出することができる。
【0032】
ここで、位置入力装置130においては、接近検出電極132のCrg+接近検出電極132のCrglと、ノイズ検出電極133のCrg+ノイズ検出電極133のCrglとが等しくなるように、ノイズ検出電極133の、位置、電極幅、長さの設計が行われている。これにより、位置入力装置130は、接近検出電極132とノイズ検出電極133とが、互いに同相且つ同量のノイズを受けるように設計されている。このため、位置入力装置130は、接近検出電極132の変化量からノイズ検出電極133の出力を減算することによって、ノイズをより高精度に除去することができる。
【0033】
<表示装置120の表示>
図4A乃至
図4Gは、実施形態1の表示装置120の表示を説明する図である。
図4A乃至
図4Gの左側には、表示装置120、表示領域120A、位置入力装置130、及び操作面130Aを上面側から見た状態を示し、
図4A乃至
図4Gの右側には左側から見た断面を示す。断面には、センサ電極131、第1閾値TH1、第2閾値TH2、及び手10を追加して示す。表示領域120Aと操作面130Aのサイズは略等しく、一例として操作面130Aは、表示領域120Aの全体と重なっている。
【0034】
図4A乃至
図4Gには、数値入力用のGUIボタン401、及び、入力内容表示部402が表示領域120Aに表示されている状態を左側に示すとともに、操作面130Aに対する手10の指先FTの位置を右側に示す。第1閾値TH1及び第2閾値TH2は、制御装置140が操作面130Aに対する指先FTの位置をセンサ電極131の静電容量に基づいて判定する際に用いる閾値であり、
図4A乃至
図4Gでは、第1閾値TH1及び第2閾値TH2を視覚的に認識できるように、第1閾値TH1及び第2閾値TH2の静電容量に応じた操作面130Aからの距離の位置に示す。第2閾値TH2は第1閾値TH1よりも大きい静電容量を表すため、第2閾値TH2に相当する破線は第1閾値TH1に相当する破線よりも操作面130Aに近い。
【0035】
第1閾値TH1は、操作面130Aに対して近接操作が行われたかどうかを判定する際に用いられる。第2閾値TH2は、操作面130Aに対してホバー入力が行われたかどうかを判定する際に用いられる。
【0036】
<GUIボタン401>
数値入力用の複数のGUIボタン401は、数字の0~9、及び記号の*及び#の12個であり、4行(縦)×3列(横)で縦横に並べて、テンキーの配置で表示される。ここでは、表示装置120の表示領域120Aの表示に表示される12個のGUIボタン401について、1行目とは数字の1、2、3を表示する3個のGUIボタン401を含む行であり、2行目とは数字の4、5、6を表示する3個のGUIボタン401を含む行である。また、3行目とは数字の7、8、9を表示する3個のGUIボタン401を含む行であり、4行目とは*、0、#を表示する3個のGUIボタン401を含む行である。このように、12個のGUIボタン401は、縦方向に4行にわたって並べて表示される。
【0037】
また、12個のGUIボタン401について、1列目とは数字の1、4、7、及び記号の*を表示する4個のGUIボタン401を含む列であり、2列目とは数字の2、5、8、及び0を表示する4個のGUIボタン401を含む列であり、3列目とは数字の3、6、9、及び記号の#を表示する4個のGUIボタン401を含む列である。
【0038】
以下では、表示装置120の表示領域120Aの表示において、上下方向とは1行目から4行目が並べられる方向(数字の1、4、7、及び*が並べられる方向)であり、横方向とは各行が伸びる方向(数字の1、2、3が並べられる方向)である。上下方向は、縦方向と同義である。また、表示領域120Aの上半分とは、表示領域120Aの全体のうち、1行目及び2行目のGUIボタン401が表示される半分の領域をいい、表示領域120Aの下半分とは、表示領域120Aの全体のうち、3行目及び4行目のGUIボタン401が表示される半分の領域をいう。表示領域120Aの中心は、2行目の数字の5を表示するGUIボタン401と、3行目の数字の8を表示するGUIボタン401との間の中心である。
【0039】
12個のGUIボタン401の配置は、一例として
図2に示す12個のセンサ電極131(131A~131L)の配置にそれぞれ対応している。また、一例として、各GUIボタン401のサイズは、各センサ電極131のサイズに等しく、12個のGUIボタン401の外縁と、12個のセンサ電極131(131A~131L)の外縁とが一致するように、表示領域120Aに表示される。
【0040】
ここで、各GUIボタン401のサイズが各センサ電極131のサイズに等しいとは、面積が完全に同一ではなくても、縦方向及び横方向の長さが等しければよい。例えば、GUIボタン401は角が丸く縁取りされており、センサ電極131は縁取りされていないことにより、GUIボタン401とセンサ電極131の面積は微妙に異なるが、縦方向及び横方向の長さが等しいため、サイズが等しいことになる。
【0041】
また、12個のGUIボタン401の外縁と、12個のセンサ電極131(131A~131L)の外縁とが一致するとは、12個のGUIボタン401の外縁と、12個のセンサ電極131(131A~131L)の外縁とが完全に一致する場合に限らない。例えば、角が丸く縁取りされたGUIボタン401と、角が縁取りされていないセンサ電極131との四隅では外縁が一致しないが、四隅以外の四辺同士の位置が一致するため、12個のGUIボタン401の外縁と、12個のセンサ電極131(131A~131L)の外縁とが一致することになる。
【0042】
<第1閾値TH1及び第2閾値TH2>
次に、第1閾値TH1及び第2閾値TH2について説明する。以下では、第1閾値TH1に相当する破線の操作面130Aからの垂直方向の位置を第1閾値TH1の位置と称し、第2閾値TH2に相当する破線の操作面130Aからの垂直方向の位置を第2閾値TH2の位置と称す。
【0043】
指先FTが第1閾値TH1の位置よりも操作面130Aから離れているときには、すべてのセンサ電極131の静電容量は第1閾値TH1未満である。指先FTがいずれかのGUIボタン401を操作するために、いずれかのセンサ電極131の真上に位置し、第1閾値TH1の位置に到達すると、そのセンサ電極131の静電容量は第1閾値TH1に等しくなる。また、指先FTがいずれかのGUIボタン401を操作するために、いずれかのセンサ電極131の真上に位置し、第1閾値TH1の位置よりも操作面130Aに近くなると、そのセンサ電極131の静電容量は第1閾値TH1よりも大きくなる。なお、第1閾値TH1の位置は、一例として操作面130Aから約3cmである。
【0044】
第2閾値についても同様である。指先FTが第2閾値TH2の位置よりも操作面130Aから離れているときには、すべてのセンサ電極131の静電容量は第2閾値TH2未満である。指先FTがいずれかのGUIボタン401を操作するために、いずれかのセンサ電極131の真上に位置し、第2閾値TH2の位置に到達すると、そのセンサ電極131の静電容量は第2閾値TH2に等しくなる。また、指先FTがいずれかのGUIボタン401を操作するために、いずれかのセンサ電極131の真上に位置し、第2閾値TH2の位置よりも操作面130Aに近くなると、そのセンサ電極131の静電容量は第2閾値TH2よりも大きくなる。なお、第2閾値TH2の位置は、一例として操作面130Aから約1cmである。
【0045】
<入力内容表示部402>
入力内容表示部402は、GUIボタン401に対してタッチ入力又はホバー入力が行われ、入力が確定した入力内容を表示する表示部であり、GUIボタン401の画像の上側(手前側)に重ねて透過的に表示される。入力内容表示部402のサイズは、一例として、縦がGUIボタン401よりも短く、横が2個のGUIボタン401よりも少し長い程度である。
【0046】
<
図4A乃至
図4Gに示す動作の説明>
図4Aに示すように指先FTが第1閾値TH1の位置に到達していない初期状態では、入力内容表示部402は、2行目の3個のGUIボタン401と、3行目の3個のGUIボタン401との間を含む位置に表示される。2行目と3行目の間の位置は、表示領域120Aの中央の位置である。
【0047】
図4Bに示すように、1行目の数字の1を表示するGUIボタン401の真上で指先FTが第1閾値TH1の位置に到達すると、近接操作が行われたことになり、入力内容表示部402は、3行目の3個のGUIボタン401と、4行目の3個のGUIボタン401との間を含む位置に移動する。
図4Bでは、数字の1のGUIボタン401に指先FTの位置を破線の楕円で示す。3行目の3個のGUIボタン401と、4行目の3個のGUIボタン401との間を含む位置は、縦方向における中央より下のいずれか隣接する2つの行の間を含む位置である。また、1行目の3個のGUIボタン401と、2行目の3個のGUIボタン401との間を含む位置は、縦方向における中央より上のいずれか隣接する2つの行の間を含む位置である。
【0048】
数字の1を表示するGUIボタン401の真上で指先FTが第1閾値TH1の位置に到達することは、12個のGUIボタン401の真上に配置される12個のセンサ電極131A~131Lのうち、数字の1を表示するGUIボタン401の真上に位置するセンサ電極131Aが静電容量の最大値を検出することに相当する。また、数字の1を表示するGUIボタン401の真上に位置するセンサ電極131Aは、平面視で表示領域120Aの上半分の領域内に位置する。入力内容表示部402が移動した3行目の3個のGUIボタン401と、4行目の3個のGUIボタン401との間を含む位置は、数字の1を表示するGUIボタン401の真上に位置するセンサ電極131Aと重ならない位置である。
【0049】
また、
図4Bに示すように、近接操作が行われると、数字の1を表示するGUIボタン401の外縁には、強調マーカ403が表示される。強調マーカ403は、指先FTによる近接操作によって選択されているGUIボタン401であることを強調するための表示であり、一例として黄色やオレンジ等の目立つ色でGUIボタン401の外縁を縁取りする枠状のマーカである。
【0050】
なお、ここでは、表示領域120Aが矩形状である形態について説明するが、表示領域120Aは矩形状以外の形状(例えば、円形、楕円形、矩形の一部が切り欠かれた形状等)であってもよい。このような場合には、近接操作が行われているGUIボタン401の真上に位置するセンサ電極131Aと重ならない位置に入力内容表示部402を移動させるために、指先FTが表示領域120Aの中央よりも一方側の外縁に近い場合には、入力内容表示部402を表示領域120Aの中央よりも一方側の外縁とは反対側の外縁に近い位置に表示させればよい。また、指先FTが表示領域120Aの中央よりも一方側の外縁とは反対側の外縁に近い場合には、入力内容表示部402を表示領域120Aの中央よりも一方側の外縁に近い位置に表示させればよい。中央よりも一方側は、中央よりも上側、右側、左側、下側等のあらゆる方向であってよい。
【0051】
図4Cに示すように、
図4Bに示す状態から指先FTがさらに操作面130Aに近づいて第2閾値TH2の位置に到達すると、入力内容表示部402が3行目の3個のGUIボタン401と4行目の3個のGUIボタン401との間を含む位置に移動した状態で、円環インジケータ404の描画が開始される。
図4Cに示す状態は、センサ電極131A~131Lで検出される静電容量の最大値が、数字の1を表示するGUIボタン401の真上にあるセンサ電極131Aによって検出され、センサ電極131の静電容量が第2閾値以上になって、ホバー入力が行われている状態である。なお、
図4Cでは、
図4Bにおいて指先FTの位置を示す破線の楕円を省略する。
【0052】
円環インジケータ404は、選択されているGUIボタン401の中央部において、GUIボタン401に重ねて表示される円環状のインジケータであり、ホバー入力又はタッチ入力の開始してからの経過時間(継続時間)と、ホバー入力又はタッチ入力が確定するまでの残り時間とを表す。円環インジケータ404は、ホバー入力又はタッチ入力が行われている間に平面視で12時の方向(最上部側)から時計回りに円環状に伸び進み、ホバー入力又はタッチ入力が確定すると円環状になるインジケータである。
図4Cでは、円環インジケータ404の円環が完成していない状態であり、ホバー入力による数字の1の入力が確定していない途中の状態である。
【0053】
図4Cの状態からホバー入力が継続されて、
図4Dに示すように、円環インジケータ404の円環が完成すると、ホバー入力による数字の1の入力が確定し、入力内容表示部402の一番左側に数字の1が表示される。このように、入力内容表示部402には、入力が確定した入力内容が表示される。入力が確定すると、強調マーカ403と円環インジケータ404は非表示になる。なお、
図4Dでは、
図4Bにおいて指先FTの位置を示す破線の楕円を省略する。
【0054】
図4Eは、1行目の数字の2を表示するGUIボタン401に対してホバー入力が行われ、入力が確定したことによって入力内容表示部402の一番左側に数字の2が追加された状態を示す。ホバー入力が1行目の数字の2を表示するGUIボタン401に対して行われているため、入力内容表示部402は、
図4B及び
図4Cと同様に、3行目の3個のGUIボタン401と、4行目の3個のGUIボタン401との間を含む位置に移動した状態になっている。数字の2を表示するGUIボタン401の真上に位置するセンサ電極131B(
図2参照)は、平面視で表示領域120Aの上半分の領域内に位置する。このときの入力内容表示部402の位置は、数字の2を表示するGUIボタン401の真上に位置するセンサ電極131Bと重ならない位置である。なお、
図4Eでは、強調マーカ403と円環インジケータ404を省略する。
【0055】
図4Fは、3行目の数字の8を表示するGUIボタン401に対してホバー入力が行われ、入力が確定したことによって入力内容表示部402の一番左側に数字の8が追加された状態を示す。ホバー入力が3行目の数字の8を表示するGUIボタン401に対して行われているため、入力内容表示部402は、1行目の3個のGUIボタン401と、2行目の3個のGUIボタン401との間を含む位置に移動している。数字の8を表示するGUIボタン401の真上に位置するセンサ電極131H(
図2参照)は、平面視で表示領域120Aの下半分の領域内に位置する。このときの入力内容表示部402の位置は、数字の8を表示するGUIボタン401の真上に位置するセンサ電極131Hと重ならない位置である。なお、
図4Fでは、強調マーカ403と円環インジケータ404を省略する。
【0056】
<タッチスクリーン100の内部の構成>
図5は、タッチスクリーン100の内部の構成を示す図である。
図5に示すように、タッチスクリーン100は、表示装置120、ディスプレイドライバ122、位置入力装置130、位置入力装置ドライバ150、および制御装置140を備える。これらは
図5では省略する筐体110(
図1参照)の内部に配置される。
【0057】
ディスプレイドライバ122は、制御装置140から供給された画像信号に応じて、表示装置120を駆動することにより、表示装置120に各種表示内容を表示させる駆動回路である。
【0058】
位置入力装置ドライバ150は、検出部の一例であり、位置入力装置130のセンサ電極131を駆動して、位置入力装置130における静電容量を検出する。位置入力装置ドライバ150は、位置入力装置130によって検出された静電容量の静電容量値(アナログ値)をカウント値(デジタル値)に変換し、カウント値を表す静電容量検出信号を、制御装置140へ出力する。
【0059】
制御装置140は、タッチスクリーン100の全体を制御する。例えば、制御装置140は、表示装置120による表示の制御、位置入力装置130による操作入力の制御、操作対象装置に対する操作信号の出力制御等を行う。制御装置140としては、例えば、マイコン等が用いられる。
【0060】
<制御装置140のハードウェア構成>
図6は、制御装置140のハードウェア構成を示す図である。
図6に示すように、制御装置140は、CPU(Central Processing Unit)601、ROM(Read Only Memory)602、RAM(Random Access Memory)603、および外部I/F(Interface)604を備える。各ハードウェアは、バス605を介して相互に接続されている。
【0061】
CPU601は、ROM602に記憶されている各種プログラムを実行することにより、制御装置140の動作を制御する。ROM602は、不揮発性メモリである。例えば、ROM602は、CPU601により実行されるプログラム、CPU601がプログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。RAM603は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の主記憶装置である。例えば、RAM603は、CPU601がプログラムを実行する際に利用する作業領域として機能する。外部I/F604は、外部(例えば、位置入力装置ドライバ150、ディスプレイドライバ122、タッチスクリーン100による操作対象の装置等)に対するデータの入出力を制御する。
【0062】
<制御装置140の機能構成>
図7は、制御装置140の機能構成を示す図である。
図7に示すように、制御装置140は、検出信号取得部141、操作検出部142、表示制御部143、確定部144、および出力部145を備える。
【0063】
図7に示す制御装置140の各機能は、例えば、制御装置140において、ROM602に記憶されたプログラムを、CPU601が実行することにより実現される。このプログラムは、予め制御装置140に導入された状態で提供されてもよく、外部から提供されて制御装置140に導入されるようにしてもよい。後者の場合、このプログラムは、外部記憶媒体(例えば、USBメモリ、メモリカード、CD-ROM等)によって提供されてもよく、ネットワーク(例えば、インターネット等)上のサーバからダウンロードすることによって提供されるようにしてもよい。
【0064】
検出信号取得部141は、位置入力装置ドライバ150から出力された静電容量検出信号を取得する。例えば、位置入力装置ドライバ150は、所定時間間隔で連続的に静電容量検出信号を出力する。これに応じて、検出信号取得部141は、静電容量検出信号を連続的に取得する。
【0065】
操作検出部142は、検出信号取得部141によって取得された静電容量検出信号(すなわち、位置入力装置130における静電容量)に基づいて、位置入力装置130の操作面130Aに対して行われる操作を検出する。ここで、操作検出部142は、公知の技術を利用することにより、位置入力装置130における静電容量の大きさや、静電容量の分布等に基づいて、操作面130Aに対する、近接操作とホバー入力を区別して検出可能であり、近接操作又はホバー入力が行われている位置が、いずれのセンサ電極131に対応する位置であるかを検出することができる。
【0066】
なお、上述したように、操作検出部142は、近接操作とホバー入力を区別可能であるとともに、さらにホバー入力とタッチ入力を区別可能で、かつ、タッチ入力が行われている位置を検出可能であってもよい。また、操作検出部142は、位置入力装置130における静電容量の大きさや、静電容量の分布等に基づいて、さらに操作面130Aに対する指先FTの接近を検出可能であってもよい。
【0067】
表示制御部143は、ディスプレイドライバ122に画像信号を供給することにより、表示装置120にGUIボタン401、入力内容表示部402、強調マーカ403、及び円環インジケータ404等の各種表示内容を表示させる。表示制御部143は、
図4A乃至
図4Gに示す表示の切替制御を行う。
【0068】
確定部144は、操作検出部142によって表示装置120に表示されているいずれかのGUIボタン401に対するホバー入力又はタッチ入力が検出された場合において、当該GUIボタン401に対して行われるホバー入力又はタッチ入力が所定時間継続した場合に、ホバー入力又はタッチ入力を確定する。ホバー入力又はタッチ入力が確定することにより、ホバー入力又はタッチ入力が行われたGUIボタン401の選択が確定する。
【0069】
なお、確定部144は、操作検出部142によって、いずれかのGUIボタン401に対するタッチ入力が検出された場合には、所定時間の継続を待たずに当該GUIボタン401の選択を直ちに確定してもよい。
【0070】
出力部145は、確定部144によっていずれかのGUIボタン401の選択が確定された場合、当該GUIボタン401に応じた制御信号を、操作対象装置に出力する。出力部145による制御信号の出力は、無線通信を介してもよく、有線通信を介してもよい。
【0071】
<制御装置140が実行する処理>
図8及び
図9は、制御装置140が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
図8に示すメインのフローを開始する際には、前提条件として、
図4Aに示すように、入力内容表示部402は、表示装置120の表示領域120Aの2行目と3行目の間に表示されていることとする。2行目と3行目の間の位置は、表示領域120Aの中央の位置である。
【0072】
<メインのフロー(
図8)>
制御装置140の操作検出部142は、処理を開始すると(START)、静電容量の最大値が第1閾値TH1以上で、かつ、静電容量の最大値を検出しているセンサ電極131の位置が表示領域120Aの上半分と重なる位置であるかどうかを判定する(ステップS1)。
【0073】
静電容量の最大値が第1閾値TH1以上で、かつ、静電容量の最大値を検出しているセンサ電極131の位置が表示領域120Aの上半分と重なる位置である(S1:Yes)と操作検出部142が判定すると、表示制御部143は、入力内容表示部402を3行目と4行目の間に表示するとともに、静電容量の最大値を検出しているセンサ電極131の下にあるGUIボタン401の外縁に強調マーカ403を表示する(ステップS2)。3行目と4行目の間の位置は、静電容量の最大値を検出しているセンサ電極131と重ならない位置である。
【0074】
制御装置140は、サブルーチン「入力判断」を呼び出し、利用者によって行われる入力の状態を判断する入力判断の処理を行う(ステップS3)。ステップS3の処理は、サブルーチン処理であり、
図4C及び
図4Dを用いて説明したように、入力を判断する処理である。入力判断の処理の詳細については
図9を用いて後述する。
【0075】
制御装置140は、ステップS3の処理を終えると、一連の処理を終了する(END)。
【0076】
制御装置140の操作検出部142は、ステップS1において、静電容量の最大値が第1閾値TH1以上で、かつ、静電容量の最大値を検出しているセンサ電極131の位置が表示領域120Aの上半分と重なる位置ではない(S1:No)と判定すると、静電容量の最大値が第1閾値TH1以上で、かつ、静電容量の最大値を検出しているセンサ電極131の位置が表示領域120Aの下半分と重なる位置であるかどうかを判定する(ステップS4)。
【0077】
静電容量の最大値が第1閾値TH1以上で、かつ、静電容量の最大値を検出しているセンサ電極131の位置が表示領域120Aの下半分と重なる位置である(S4:Yes)と操作検出部142が判定すると、表示制御部143は、入力内容表示部402を1行目と2行目の間に表示するするとともに、静電容量の最大値を検出しているセンサ電極131の下にあるGUIボタン401の外縁に強調マーカ403を表示する(ステップS5)。1行目と2行目の間の位置は、静電容量の最大値を検出しているセンサ電極131と重ならない位置である。
【0078】
ステップS4において、静電容量の最大値が第1閾値TH1以上で、かつ、静電容量の最大値を検出しているセンサ電極131の位置が表示領域120Aの下半分と重なる位置ではない(S4:No)と操作検出部142が判定すると、表示制御部143は、入力内容表示部402を2行目と3行目の間に表示する(ステップS6)。2行目と3行目の間の位置は、表示領域120Aの中央の位置である。制御装置140は、ステップS6の処理を終えると、フローをステップS1にリターンする。
【0079】
フローがステップS6に進行する場合は、すべてのセンサ電極131の静電容量のうちの最大値が第1閾値TH1未満である場合である。この場合、タッチスクリーン100の操作面130Aから指先FTが離れている状態である。
【0080】
<入力判断の処理(
図9)>
制御装置140の確定部144は、入力判断の処理を開始すると、静電容量の最大値が第2閾値TH2以上であるかどうかを判定する(ステップS11)。すなわち、確定部144は、ステップS1又はS4で静電容量の最大値が第1閾値TH1以上と判定したセンサ電極131の静電容量が第2閾値TH2以上であるかどうかを判定する。
【0081】
静電容量の最大値が第2閾値TH2以上である(S11:Yes)と確定部144が判定すると、表示制御部143は、円環インジケータ404を2π/n(rad)の角度分だけ描画する(ステップS11A)。nは、ステップS12~S15のループ処理の終了条件に用いられるnと同じ値である。
【0082】
次いで、表示制御部143は、値iをi=2からnまで1ずつ増大させながら、円環インジケータ404を描画するループ処理を行う(ステップS12~S15)。i=2,n,1は、値iをi=2からnまで1ずつ増大しながら行うことを意味する。
【0083】
値nは、円環インジケータ404を描画する際の分割数であり、値iは2からnまでの値をとる。円環インジケータ404は、ステップS12からS15のループ処理を繰り返すことにより、非表示の状態から円環の中心に対して2π/n(rad)ずつ描画される。
【0084】
確定部144は、静電容量の最大値が第2閾値TH2以上であり、かつ、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401が、前回と同一であるかどうかを判定する(ステップS13)。つまり、静電容量が最大値のセンサ電極131の位置が、ステップS11Aから、変わっていなければ、ステップS12からS15のループ処理を繰り返す。
【0085】
表示制御部143は、静電容量が最大のセンサ電極131の下に位置するGUIボタン401の上に重ねて円環インジケータ404をi×2π/n(rad)の角度分だけ描画する(ステップS14)。円環インジケータ404の描画は、一例として、円環の最上部から時計回りの方向で行う。
【0086】
また、ここではGUIボタン401とセンサ電極131とが1対1で対応するように配置される形態について説明するが、1つのGUIボタン401の表示領域に複数のセンサ電極131が含まれる場合においても同様に、ステップS13では、静電容量の最大値が第2閾値TH2以上であり、かつ、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401が、前回、円環インジケータ404を描画したGUIボタン401と同一であるかどうかを判定すればよい。この場合に、前回と同一のGUIボタン401であれば、センサ電極131が異なっていてもよい。例えば、1つのGUIボタン401の表示領域に2つのセンサ電極131があり、2つのうちの片方のセンサ電極131の静電容量が最大値になり、かつ、第2閾値TH2以上になった次の周期に、2つのうちの他方のセンサ電極131の静電容量が最大値になり、かつ、第2閾値TH2以上になった場合は、前回と同一のGUIボタン401と見なして、ステップS12からS15のループ処理を繰り返す。
【0087】
制御装置140は、静電容量の最大値が第2閾値TH2以上であり、かつ、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401が、ステップS12からS15のループ処理において円環インジケータ404を描画したGUIボタン401が前回と同一である(S13:Yes)と確定部144が判定すると、ステップS12からS15のループ処理を繰り返す。制御装置140は、ステップS12からS15のループ処理を繰り返して円環インジケータ404の描画が完了すると、円環インジケータ404と強調マーカ403を非表示に切り替える。
【0088】
制御装置140の確定部144は、ステップS12からS15のループ処理を繰り返して円環インジケータ404の描画が完了すると、入力内容表示部402に入力が確定した数字を追加する(ステップS16)。入力が確定した数字は、静電容量の最大値が検出されたセンサ電極131の下で表示されるGUIボタン401が表す数字である。例えば、
図4D乃至
図4Gに示したように、入力内容表示部402に数字が追加される。
【0089】
制御装置140は、入力が確定した数字をアプリケーションプログラムに引き渡す(ステップS17)。この結果、アプリケーションプログラムは、受け取った数字に応じた処理を行う。
【0090】
なお、制御装置140は、ステップS13において、静電容量の最大値が第2閾値TH2以上であり、かつ、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401が、ステップS12からS15のループ処理において円環インジケータ404を描画したGUIボタン401が前回と同一であるという条件を満たさない(S13:No)と確定部144が判定すると、フローをステップS1にリターンする。
【0091】
以上のように、入力用の操作部を表すGUIボタン401の画像と、GUIボタン401への操作による入力内容を表す入力内容表示部402の画像とを表示装置120に表示させ、位置入力装置ドライバ150が検出する静電容量が第1閾値TH1以上になると、複数のセンサ電極131のうち最大の静電容量を検出したセンサ電極131と重ならない位置に入力内容表示部402の画像を移動させる。このため、指先FTとは重ならないように移動した入力内容表示部402で入力済みの内容を確認することができる。
【0092】
したがって、GUIボタン401への手等による操作による入力内容を表す入力内容表示部402の画像を手等と重ならないように移動可能なタッチスクリーン100を提供することができる。
【0093】
また、制御装置140は、指先FTが天板136に非接触の状態で入力を確定可能な静電容量に相当し、第1閾値TH1よりも大きい第2閾値TH2を用い、位置入力装置ドライバ150が検出する静電容量が第2閾値TH2以上になると、最大の静電容量を検出したセンサ電極131に応じたGUIボタン401への入力を確定する。このため、非接触のホバー入力で確実に入力を確定できるタッチスクリーン100を提供することができる。
【0094】
また、制御装置140は、位置入力装置ドライバ150が検出する静電容量が第1閾値TH1未満の場合には、表示装置120の中央に入力内容表示部402を表示させ、第1閾値TH1以上の場合に、指先FTが表示装置120の中央よりも上側に近い場合には、入力内容表示部402を表示装置120の中央よりも下側に表示させ、指先FTが表示装置120の中央よりも下側に近い場合には、入力内容表示部402を表示装置120の中央よりも上側に表示させる。このため、手10で隠れない位置に入力内容表示部402を表示可能なタッチスクリーン100を提供することができる。
【0095】
制御装置140は、複数のGUIボタン401の画像を縦横に並べて表示装置120に表示させるとともに、入力内容表示部402の画像を複数のGUIボタン401の画像の間を含む位置に表示させる。このため、入力内容表示部402によってGUIボタン401が完全に隠れることがなく、入力内容表示部402による入力内容の表示と、入力内容表示部402の奥側(背面側)に表示されるGUIボタン401の表示とを両立可能なタッチスクリーン100を提供することができる。
【0096】
また、複数のGUIボタン401の画像は縦方向に4行にわたって並べて表示装置120に表示されている。最大の静電容量を検出したセンサ電極131が表示装置120の表示領域120Aの上半分の領域内に位置する場合には、入力内容表示部402の画像を3行目と4行目のGUIボタン401の画像の間を含む位置に移動させる。また、最大の静電容量を検出したセンサ電極131が表示装置120の表示領域120Aの下半分の領域内に位置する場合には、入力内容表示部402の画像を1行目と2行目のGUIボタン401の画像の間を含む位置に移動させる。このため、例えば
図4A乃至
図4Gに示すテンキーのように縦方向に4行にわたって表示される入力画面において、入力内容表示部402の画像を手10等と重ならないように移動可能なタッチスクリーン100を提供することができる。
【0097】
また、複数のGUIボタン401の画像の数と、複数のセンサ電極131の数とは等しく、かつ、平面視でのサイズは等しく、各GUIボタン401の画像の外縁の位置と、各センサ電極131の外縁の位置とが一致するように、複数のGUIボタン401の画像を表示装置120に表示させるので、各GUIボタン401への入力を高精度に検出可能なタッチスクリーン100を提供することができる。
【0098】
<実施形態2>
図10A乃至
図10Hは、実施形態2の表示装置120Mの表示を説明する図である。実施形態2のタッチスクリーンは、実施形態1のタッチスクリーン100の表示装置120及び位置入力装置130を表示装置120M及び位置入力装置130Mにそれぞれ置き換えた構成を有する。その他の構成は実施形態1のタッチスクリーン100と同様であるため、ここでは相違点を中心に説明する。
【0099】
図10A乃至
図10Hの左側には、表示装置120M、表示領域120MA、位置入力装置130M、及び操作面130MAを上面側から見た状態を示し、
図10A乃至
図10Hの右側には左側から見た断面を示す。断面には、センサ電極131、第1閾値TH1、第2閾値TH2、及び手10を追加して示す。表示領域120MAと操作面130MAのサイズは略等しく、一例として操作面130MAは、表示領域120MAの全体と重なっている。
【0100】
表示装置120Mは、表示領域120MAに4行(縦)×4列(横)の形式でGUIボタン401を表示する点が実施形態1と異なる。これに応じて、位置入力装置130Mには、センサ電極131が4行(縦)×4列(横)の形式で配置され、接近検出電極132は、4行×4列で配置される16個のセンサ電極131の隙間を埋める形状を有することとする。
【0101】
図10Aに示すように、実施形態2の表示装置120Mの表示領域120MAには、アルファベット入力用の15個のGUIボタン401が表示される。15個のGUIボタン401は、表示上はフリック入力画面の配置になっており、1行目から3行目の1列目から3列目については、1行目の1列目は@、/、:、1行目の2列目はa、b、c、・・・、3行目の3列目はw、x、y、zをそれぞれ入力するためのGUIボタン401が表示される。アルファベットのa~zを入力するためのGUIボタン401は8個である。
【0102】
また、4行目の1列目から3列目については、大文字と小文字を入れ替えるためのA/aキー、アポストロフィー(')、クォーテーションマーク(")等の記号等を入力するためのキーを表すGUIボタン401が表示される。また、4列目については、1行目にバックスペースキー、2行目にスペース(空白)キー、3行目及び4行目にはエンターキーが表示される。エンターキーのGUIボタン401のみ、他の14個のGUIボタン401の約2倍のサイズになっている。このように、15個のGUIボタン401は、縦方向に4行にわたって並べて表示される。表示領域120MAの中心は、2行目の2列目及び3列目の2個のGUIボタン401と、3行目の2列目及び3列目の2個のGUIボタン401との間の中心である。
【0103】
エンターキー以外の14個のGUIボタン401の配置は、実施形態1と同様に、14個のセンサ電極131の配置にそれぞれ対応し、各GUIボタン401のサイズは、各センサ電極131のサイズに等しく、GUIボタン401の外縁はセンサ電極131の外縁と一致する。エンターキーのGUIボタン401は、16個のセンサ電極131のうちの3行目及び4行目の4列目の2個のセンサ電極131の配置に対応し、GUIボタン401のサイズはセンサ電極131のサイズに等しく、GUIボタン401の外縁はセンサ電極131の外縁と一致する。
【0104】
15個のGUIボタン401は、上述のように表示上はフリック入力画面の配置であるが、入力方法はトグル入力に類似した方法である。以下で説明する。
【0105】
<
図10A乃至
図10Hに示す動作の説明>
図10Aに示すように指先FTが第1閾値TH1の位置に到達していない初期状態では、入力内容表示部402は、2行目と3行目のGUIボタン401の間を含む位置に表示される。これは、
図4Aに示す状態と同様である。
【0106】
図10Bに示すように、1行目の2列目のGUIボタン401の真上で指先FTが第1閾値TH1の位置に到達すると、近接操作が行われたことになり、入力内容表示部402は、3行目の3個のGUIボタン401と、4行目の3個のGUIボタン401との間を含む位置に移動する。また、近接操作が行われることにより、1行目の2列目のGUIボタン401の外縁には、強調マーカ403が表示される。
図10Bでは、1行目の2列目のGUIボタン401に指先FTの位置を破線の楕円で示す。
図10Bに示す状態は、
図4Bに示す状態と同様である。
【0107】
1行目の2列目のGUIボタン401の真上で指先FTが第1閾値TH1の位置に到達することは、1行目の2列目のGUIボタン401の真上に位置するセンサ電極131が静電容量の最大値を検出することに相当する。また、1行目の2列目のGUIボタン401の真上に位置するセンサ電極131は、平面視で表示領域120MAの上半分の領域内に位置する。入力内容表示部402が移動した3行目の3個のGUIボタン401と、4行目の3個のGUIボタン401との間を含む位置は、1行目の2列目のGUIボタン401の真上に位置するセンサ電極131と重ならない位置である。
【0108】
図10Cに示すように、
図10Bに示す状態から指先FTがさらに操作面130MAに近づいて第2閾値TH2の位置に到達すると、入力内容表示部402が3行目のGUIボタン401と4行目のGUIボタン401との間を含む位置に移動した状態で、円環インジケータ404の描画が開始される。
図10Cに示す状態は、すべてのセンサ電極131で検出される静電容量の最大値が、1行目の2列目のGUIボタン401の真上にあるセンサ電極131によって検出され、センサ電極131の静電容量が第2閾値以上になって、ホバー入力が行われている状態である。
図10Cに示す状態は、
図4Cに示す状態と同様である。なお、
図10Cでは、
図10Bにおいて指先FTの位置を示す破線の楕円を省略する。
【0109】
図10Cの状態からホバー入力が継続されて、
図10Dに示すように、円環インジケータ404の円環が完成すると、アルファベットのaの入力が確定し、入力内容表示部402の一番左側にアルファベットのaが表示される。このように、入力内容表示部402には、入力が確定した入力内容が表示される。入力が確定すると、強調マーカ403と円環インジケータ404は非表示になる。
図10Dに示す状態は、
図4Dに示す状態と同様である。なお、
図10Dでは、
図10Bにおいて指先FTの位置を示す破線の楕円を省略する。
【0110】
図10Eは、2行目の3列目のGUIボタン401に対してホバー入力が行われ、入力が確定したことによって入力内容表示部402の一番左側にアルファベットのmが追加された状態を示す。ホバー入力が2行目の3列目のGUIボタン401に対して行われているため、入力内容表示部402は、
図10B及び
図10Cと同様に、3行目のGUIボタン401と、4行目のGUIボタン401との間を含む位置に移動した状態になっている。2行目の3列目のGUIボタン401の真上に位置する2行目の3列目のセンサ電極131は、平面視で表示領域120MAの上半分の領域内に位置する。このときの入力内容表示部402の位置は、2行目の3列目のセンサ電極131Bと重ならない位置である。なお、
図10Eでは、強調マーカ403と円環インジケータ404を省略する。
【0111】
図10Fは、3行目の2列目のGUIボタン401に対してホバー入力が行われ、入力が確定する前の状態で、3行目の2列目のGUIボタン401の表示に含まれるアルファベットのt、u、vのうちの最初のアルファベットのtが入力内容表示部402の一番左側に表示された状態を示す。この状態は、トグル入力に類似した入力を行っている途中の状態であり、アルファベットのtの入力は未だ確定していない。ホバー入力が3行目の2列目のGUIボタン401に対して行われているため、入力内容表示部402は、1行目のGUIボタン401と、2行目のGUIボタン401との間を含む位置に移動している。3行目の2列目のGUIボタン401の真上に位置する3行目の2列目のセンサ電極131Hは、平面視で表示領域120MAの下半分の領域内に位置する。このときの入力内容表示部402の位置は、3行目の2列目のセンサ電極131と重ならない位置である。
【0112】
図10Gは、
図10Fに示す状態から引き続き3行目の2列目のGUIボタン401に対してホバー入力が行われている状態を示す。ホバー入力が継続されることにより、3行目の2列目のGUIボタン401の表示に含まれるアルファベットのt、u、vのうちの2番目のuが入力内容表示部402の一番右側に表示された状態を示す。
【0113】
図10Hは、
図10Gに示す状態から引き続き3行目の2列目のGUIボタン401に対してホバー入力が行われている状態を示す。ホバー入力が継続されることにより、3行目の2列目のGUIボタン401の表示に含まれるアルファベットのt、u、vのうちの3番目のvが入力内容表示部402の一番右側に表示された状態を示す。
【0114】
実施形態2では、
図10Fから
図10Gに示すように、トグル入力に類似した入力を行っている途中で、ホバー入力の位置が他のセンサ電極131の位置に変わるか、又は、ホバー入力が行われなくなると、その時点でGUIボタン401の最後(最も右)に表示されている文字の入力が確定したことになる。
【0115】
<制御装置140が実行する処理>
図11乃至
図13は、実施形態2の制御装置140が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。実施形態2では、
図11に示すメインのフローを開始する際に、入力内容表示部402は表示されていないこととする。
【0116】
<メインのフロー(
図11)>
制御装置140は、
図10Aに示すように、入力内容表示部402を表示装置120の表示領域120Aの2行目と3行目の間に表示させる(ステップS0)。制御装置140は、ステップS0の処理を終えると、
図8に示すステップS1~S5と同様の処理を行う。このため、ここではステップS1~S5の説明を省略する。ステップS3のサブルーチン「入力判断」の内容については、
図12及び
図13を用いて以下で説明する。
【0117】
<入力判断の処理(
図12及び
図13)>
実施形態2では、制御装置140は、まず、実施形態1のステップS11~S15と同様のステップS31~S35を実行する。
【0118】
制御装置140の確定部144は、入力判断の処理を開始すると、静電容量の最大値が第2閾値TH2以上であるかどうかを判定する(ステップS31)。すなわち、確定部144は、ステップS1又はS4で静電容量の最大値が第1閾値TH1以上と判定したセンサ電極131の静電容量が第2閾値TH2以上であるかどうかを判定する。
【0119】
静電容量の最大値が第2閾値TH2以上である(S31:Yes)と確定部144が判定すると、制御装置140は、静電容量が最大のセンサ電極に対応するGUIボタン上に円環インジケータ404を2π/nの角度分だけ描画する(ステップS31A)。その後、値iをi=2からnまで1ずつ増大させながら、円環インジケータ404を描画するループ処理を行う(ステップS32~S35)。i=2,n,1は、値iをi=2からnまで1ずつ増大しながら行うことを意味する。
【0120】
値nは、円環インジケータ404を描画する際の分割数であり、値iは2からnまでの値をとる。円環インジケータ404は、ステップS32からS35のループ処理を繰り返すことにより、非表示の状態から円環の中心に対して2π/n(rad)ずつ描画される。
【0121】
確定部144は、静電容量の最大値が第2閾値TH2以上であり、かつ、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401が、前回と同一であるかどうかを判定する(ステップS33)。つまり、静電容量が最大値のセンサの電極の位置が、ステップS31Aから、変わっていなければ、ステップS32からS35のループ処理を繰り返す。
【0122】
表示制御部143は、静電容量が最大のセンサ電極131の下に位置するGUIボタン401の上に重ねて円環インジケータ404をi×2π/n(rad)の角度分だけ描画する(ステップS34)。円環インジケータ404の描画は、一例として、円環の最上部から時計回りの方向で行う。
【0123】
静電容量の最大値が第2閾値TH2以上であり、かつ、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401が、前回、円環インジケータ404を描画したGUIボタン401と同一である(S33:Yes)と確定部144が判定すると、制御装置140は、ステップS32からS35のループ処理を繰り返す。制御装置140は、ステップS32からS35のループ処理を繰り返して円環インジケータ404の描画が完了すると、円環インジケータ404と強調マーカ403を非表示に切り替える。
【0124】
なお、制御装置140は、ステップS33において、静電容量の最大値が第2閾値TH2以上であり、かつ、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401が、前回、円環インジケータ404を描画したGUIボタン401と同一であるという条件を満たさない(S33:No)と確定部144が判定すると、フローをステップS1にリターンする。
【0125】
確定部144は、ステップS32~S35のループ処理が完了すると、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401がバックスペースキーであるかどうかを判定する(ステップS36)。
【0126】
確定部144は、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401がバックスペースキーである(S36:Yes)と判定すると、入力内容表示部402に1文字以上の文字列があるかどうかを判定する(ステップS37)。
【0127】
確定部144は、入力内容表示部402に1文字以上の文字列がある(S37:Yes)と判定すると、入力内容表示部402に表示されている最後(最も右)の文字を1つ削除する(ステップS38)。制御装置140は、ステップS38の処理を終えると、フローをステップS1にリターンする。
【0128】
また、確定部144は、ステップS37において、入力内容表示部402に1文字以上の文字列がない(S37:No)と判定した場合にもフローをステップS1にリターンする。
【0129】
また、確定部144は、ステップS36において、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401がバックスペースキーではない(S36:No)と判定すると、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401が大文字と小文字を切り替えるA/aキーであるかどうかを判定する(ステップS39)。
【0130】
確定部144は、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401が大文字と小文字を切り替えるA/aキーである(S39:Yes)と判定すると、アルファベットのa~zを入力するための8個のGUIボタン401に表示するアルファベットのa~zを大文字のアルファベットのA~Zに切り替える(ステップS40)。8個のGUIボタンの表示が変わると、次にアルファベットを入力する際の大文字/小文字が切り替わる。制御装置140は、ステップS40の処理を終えると、フローをステップS1にリターンする。
【0131】
確定部144は、ステップS39において、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401が大文字と小文字を切り替えるA/aキーではない(S39:No)と判定すると、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401がスペースキーであるかどうかを判定する(ステップS41)。
【0132】
確定部144は、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401がスペースキーである(S41:Yes)と判定すると、入力内容表示部402の最後(最も右)にスペースを1つ追加する(ステップS42)。制御装置140は、ステップS42の処理を終えると、フローをステップS1にリターンする。
【0133】
確定部144は、ステップS41において、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401がスペースキーではない(S41:No)と判定すると、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401がエンターキーであるかどうかを判定する(ステップS43)。
【0134】
確定部144は、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401がエンターキーである(S43:Yes)と判定すると、入力内容表示部402の表示内容をアプリケーションプログラムに引き渡す(ステップS44)。この結果、アプリケーションプログラムは、受け取った文字列に応じた処理を行う。制御装置140は、ステップS44の処理を終えると一連の処理を終了する(END)。
【0135】
確定部144は、ステップS43において、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401がエンターキーではない(S43:No)と判定すると、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401の表示に含まれるアルファベットのうちの最初のアルファベットを入力内容表示部402の最後(最も右)に追加する(ステップS45)。ステップS45で入力内容表示部402に表示されるアルファベットは仮確定の状態である。仮確定とは、確定する可能性があるが、アルファベットが変更される可能性がある状態である。例えば、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131が3行目の2列目のセンサ電極131である場合には、
図10Fに示すように3行目の2列目のGUIボタン401に表示されるアルファベットのt、u、vのうちのtが入力内容表示部402の最後(最も右)に表示される。
【0136】
仮確定状態のアルファベットを入力内容表示部402の最後(最も右)に追加すると、表示制御部143は、静電容量が最大のセンサ電極131の下にあるGUIボタン401の上に重ねて円環インジケータ404を2π/n(rad)の角度分だけ描画する(ステップS46)。nは、ステップS47~S50のループ処理の終了条件に用いられるnと同じ値である。
【0137】
次いで、制御装置140は、値iをi=2からnまで1ずつ増大させながら、円環インジケータ404を描画するループ処理を行う(ステップS47~S50)。i=2,n,1は、値iをi=2からnまで1ずつ増大しながら行うことを意味する。
【0138】
表示制御部143は、静電容量が最大のセンサ電極131の下に位置するGUIボタン401の上に重ねて円環インジケータ404をi×2π/n(rad)の角度分だけ描画する(ステップS49)。円環インジケータ404の描画は、一例として、円環の最上部から時計回りの方向で行う。
【0139】
確定部144は、静電容量の最大値が第2閾値TH2以上であり、かつ、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401が、前回、円環インジケータ404を描画したGUIボタン401と同一であるかどうかを判定する(ステップS48)。
【0140】
静電容量の最大値が第2閾値TH2以上であり、かつ、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401が、前回と同一である(S48:Yes)と確定部144が判定すると、制御装置140は、ステップS47からS50のループ処理を繰り返す。つまり、静電容量が最大値のセンサ電極の位置が、ステップS31Aから、変わっていなければ、ステップS47からS50のループ処理を繰り返す。制御装置140は、ステップS47からS50のループ処理を繰り返して円環インジケータ404の描画が完了すると、円環インジケータ404を非表示に切り替える。
【0141】
確定部144は、ステップS47からS50のループ処理を繰り返して円環インジケータ404の描画が完了すると、入力内容表示部402の最後(最も右)の文字を選択されているGUIボタン401の次のアルファベットに変更する(ステップS51)。例えば、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131が3行目の2列目のセンサ電極131であり、フローがステップS51に進行した時点で入力内容表示部402の最後(最も右)に
図10Fに示すようにアルファベットのtが表示されている場合には、ステップS51の処理により、
図10Gに示すようにアルファベットのuが表示されることになる。ステップS51の処理を終えると、制御装置140は、フローをステップS46にリターンする。その後にフローが再びステップS51に進むと、入力内容表示部402の最後(最も右)に
図10Hに示すようにアルファベットのvが表示されることになる。
【0142】
ホバー入力が保持されることによってステップS46からS51の処理が繰り返されることにより、トグル入力のように入力内容表示部402の最後(最も右)に表示されるアルファベットが切り替わることになる。
【0143】
また、確定部144は、ステップS48において、静電容量の最大値が第2閾値TH2以上であり、かつ、静電容量の最大値を検出するセンサ電極131の下にあるGUIボタン401が、前回、円環インジケータ404を描画したGUIボタン401と同一ではない(S48:No)と判定すると、その時点で入力内容表示部402の最後(最も右)に表示されている文字が確定したと判定し、フローをステップS1にリターンする。
【0144】
以上のように、入力用の操作部を表すGUIボタン401の画像と、GUIボタン401への操作による入力内容を表す入力内容表示部402の画像とを表示装置120Mに表示させ、位置入力装置ドライバ150が検出する静電容量が第1閾値TH1以上になると、複数のセンサ電極131のうち最大の静電容量を検出したセンサ電極131と重ならない位置に入力内容表示部402の画像を移動させる。このため、操作しているGUIボタン401と指先FTが重なって指先FTの下に表示されるGUIボタン401が見えなくても、指先FTとは重ならないように移動した入力内容表示部402で入力内容を確認することができる。
【0145】
したがって、GUIボタン401への手等による操作による入力内容を表す入力内容表示部402の画像を手等と重ならないように移動可能な実施形態2のタッチスクリーンを提供することができる。
【0146】
以上、本発明の例示的な実施形態のタッチスクリーンについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0147】
なお、本国際出願は、2021年11月2日に出願した日本国特許出願2021-179665に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は本国際出願にここでの参照により援用されるものとする。
【符号の説明】
【0148】
10 手
100 タッチスクリーン
110 筐体
120、120M 表示装置
120A、120MA 表示領域
122 ディスプレイドライバ
130、130M 位置入力装置
130A、130MA 操作面
130B センサ部
131 センサ電極
131A~131L センサ電極
132 接近検出電極
133 ノイズ検出電極
134 センサフィルム
135 基板
136 天板
137 ガラス板
140 制御装置
141 検出信号取得部
142 操作検出部
143 表示制御部
144 確定部
145 出力部
150 位置入力装置ドライバ
401 GUIボタン
402 入力内容表示部
403 強調マーカ
404 円環インジケータ