(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】体液検体中のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出方法および検出用キット
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20250109BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G01N33/53 N
G01N33/53 Q
G01N37/00 102
(21)【出願番号】P 2021514631
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2021010277
(87)【国際公開番号】W WO2021187398
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2020045080
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若山 翔
(72)【発明者】
【氏名】古志 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正照
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-515254(JP,A)
【文献】特開平03-025366(JP,A)
【文献】特開2000-266746(JP,A)
【文献】特開2001-281249(JP,A)
【文献】特開2012-225726(JP,A)
【文献】特開2008-107154(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103439502(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液検体中のスギアレルゲン特異的IgE抗体を検出する方法であって、
体液検体からIgG抗
体を除去する、除去工程;
前記除去工程で得られた抗体除去後の体液検体を、スギアレルゲンが固定化された領域およびスギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンが固定化された領域を含む反応槽が設けられた基板の当該反応槽に接触させ、アレルゲンとアレルゲン特異的IgE抗体との複合体を形成させる、反応工程;および
前記反応工程で得られたスギアレルゲンとスギアレルゲン特異的IgE抗体との複合体を検出する、検出工程;
を含む方法。
【請求項2】
前記基板上に固定化されたスギアレルゲン以外のアレルゲンが、エビ、カニ、大豆、落花生、ソバ、クルミ、牛乳、卵白、小麦、カモガヤ、イヌ、ネコおよびダニからなる群のアレルゲンから選択される少なくとも1種のアレルゲンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
同一反応槽中にスギアレルゲン及びスギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンが固定化された前記基板が、マイクロアレイである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記除去工程におけるIgG抗体の除去は、プロテインGが固定化された担体にIgG抗体を吸着して除去するものである、請求項
1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記検出工程におけるアレルゲンとアレルゲン特異的IgE抗体との複合体の検出は、蛍光色素で標識された抗IgE抗体を前記複合体と反応させ、複合体に結合した蛍光色素を検出する、請求項1~
4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記体液検体が血液、血清または血漿である、請求項1~
5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
スギアレルゲンが固定化された領域およびスギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンが固定化された領域を含む反応槽が設けられた基板を備えたアレルゲンマイクロアレイ、並びに、IgG抗
体と選択的に結合できるリガンドが固相化された担体を含む、体液検体中のスギアレルゲン特異的IgE抗体を検出するためのキット。
【請求項8】
前記IgG抗体と選択的に結合できるリガンドが固相化された担体が、プロテインGが固相化された担体である、請求項
7に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液検体中のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出方法およびスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低侵襲かつ安全なアレルギー検査法として、患者から採取した体液検体中の特異的IgE抗体を体外で検出する方法が汎用されている。この方法では、各種アレルゲン、例えば、スギ、ダニまたは牛乳等のアレルゲン(アレルギー誘発物質)を固定化した担体を体液検体と接触させることで、アレルゲンと特異的IgE抗体との複合体を形成させ、次いで当該複合体を酵素、蛍光色素または放射性物質等で標識された抗IgE抗体を用いて検出することで、体液検体中の特異的IgE抗体を検出する。
【0003】
特異的IgE抗体を体外で検出する場合、体液検体中に特異的IgE抗体とアレルゲン特異性を同じくして共存する特異的IgE抗体以外の特異的抗体が存在し、特異的IgE抗体と競合してアレルゲンに結合する競合抗体として作用することが知られている。すなわち、体液検体とアレルゲン固定化担体とを接触させた際、上記競合抗体がアレルゲンと複合体を形成し、特異的IgE抗体とアレルゲンの複合体形成を阻害することで、特異的IgE抗体検出の感度と正確性を低下させる、という課題が存在する。この課題に対する解決方法として、上記競合抗体を特異的に吸着するリガンドを用いて、体液検体をアレルゲン固定化担体と接触させる前に、体液検体から上記競合抗体を予め除去する除去工程を導入する方法が報告されている(特許文献1、2)。特許文献2では、牛乳アレルゲンを固定化した96ウェルマイクロプレートを用いて、体液検体中の牛乳アレルゲン特異的IgE抗体を検出する際、除去工程の導入により検出値が向上し、共存する競合抗体による妨害を受けずに特異的IgE抗体を測定できると報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平3-25366号公報
【文献】特開2000-266746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、体液検体中に共存する競合抗体の除去による検出値向上の効果を期待して、スギアレルゲン特異的IgE抗体を検出するため、特許文献2に記載の方法を参考に、96ウェルマイクロプレートを用いた特異的IgE抗体の検出を実施した。具体的には、後述する比較例6のとおり、96ウェルマイクロプレートにスギアレルゲンを固定化し、競合抗体を予め除去した体液検体を接触させ、スギアレルゲンと特異的IgE抗体の複合体を検出した。その結果、特許文献2で報告されている牛乳アレルゲン特異的IgE抗体を検出する場合と異なり、本発明者らが実施したスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出では、除去工程による検出値の向上が確認されなかった。すなわち、除去工程の実施のみでは、96ウェルマイクロプレートを用いたスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出において、検出値を向上させることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を克服するために鋭意検討した結果、同一反応槽中にスギアレルゲンとスギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンが独立に固定化された基板を用い、かつ、競合抗体を予め除去した体液検体を当該基板と接触させることで、スギアレルゲン特異的IgE抗体の検出において検出値を向上させることができることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の(1)~(8)の態様により構成される。
(1)体液検体中のスギアレルゲン特異的IgE抗体を検出する方法であって、
体液検体からIgG抗体、IgM抗体、IgA抗体およびIgD抗体から成る群より選ばれる少なくとも1種の抗体を除去する、除去工程;
前記除去工程で得られた抗体除去後の体液検体を、スギアレルゲンが固定化された領域およびスギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンが固定化された領域を含む反応槽が設けられた基板の当該反応槽に接触させ、アレルゲンとアレルゲン特異的IgE抗体との複合体を形成させる、反応工程;および
前記反応工程で得られたスギアレルゲンとスギアレルゲン特異的IgE抗体との複合体を検出する、検出工程;
を含む方法。
(2)前記基板上に固定化されたスギアレルゲン以外のアレルゲンが、エビ、カニ、大豆、落花生、ソバ、クルミ、牛乳、卵白、小麦、カモガヤ、イヌ、ネコおよびダニからなる群のアレルゲンから選択される少なくとも1種のアレルゲンである、(1)に記載の方法。
(3)同一反応槽中にスギアレルゲン及びスギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンが固定化された前記基板が、マイクロアレイである、(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記除去工程において、IgG抗体を体液検体から除去する、(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記除去工程におけるIgG抗体の除去は、プロテインGが固定化された担体にIgG抗体を吸着して除去するものである、(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記検出工程におけるアレルゲンとアレルゲン特異的IgE抗体との複合体の検出は、蛍光色素で標識された抗IgE抗体を前記複合体と反応させ、複合体に結合した蛍光色素を検出する、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7)前記体液検体が血液、血清または血漿である、(1)~(6)のいずれかに記載の方法。
(8)スギアレルゲンが固定化された領域およびスギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンが固定化された領域を含む反応槽が設けられた基板を備えたアレルゲンマイクロアレイ、および、IgG抗体、IgM抗体、IgA抗体およびIgD抗体から成る群より選ばれる少なくとも1種の抗体と選択的に結合できるリガンドが固相化された担体を含む、体液検体中のスギアレルゲン特異的IgE抗体を検出するためのキット。
(9)前記IgG抗体と選択的に結合できるリガンドが固相化された担体が、プロテインGが固相化された担体である、(8)に記載のキット。
【発明の効果】
【0008】
特異的IgG抗体、IgM抗体、IgA抗体またはIgD抗体を予め除去した体液検体を、同一反応槽中にスギアレルゲンとスギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンが独立に固定化された基板と接触させることで、スギアレルゲン特異的IgE抗体の検出において検出値を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の方法で用いる、反応槽を有する基板の例を示す図。
【
図2】本発明の方法で用いる、反応槽の外縁部に隔壁を設けた基板の例を示す図。
【
図3】実施例1で用いた、反応槽が設けられた基板の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いる体液検体としては、全血、血漿、血清、汗、尿、涙液、唾液、喀痰・気道分泌液、母乳、羊水、脳脊髄液、腹水、胸水、関節液、精液、膣分泌物等が挙げられるが、スギアレルゲン特異的IgE抗体を含む可能性の高い血液(全血)、血漿または血清が好ましい。
【0011】
体液検体からIgG抗体、IgM抗体、IgA抗体およびIgD抗体から成る群より選ばれる少なくとも1種の抗体を除去する除去工程は、体液検体中のIgG抗体、IgM抗体、IgA抗体およびIgD抗体から成る群より選ばれる少なくとも1種の抗体(以下、便宜的に「非IgE抗体」と呼ぶことがある)を吸着して除去する方法により行うことができる。特に、IgG抗体は体液検体中含有量が最も多い抗体であるため、スギアレルゲン特異的IgE抗体との競合を解消する上で、IgG抗体を吸着して除去する形態が好ましい。なお、IgG抗体に加えて他の3種類の非IgE抗体の少なくともいずれかを除去する形態も好ましい。
【0012】
抗体を吸着して除去する方法としては、アフィニティークロマトグラフィーやイオン交換クロマトグラフィー等のクロマトグラフィーが挙げられるが、所要時間の短さからアフィニティークロマトグラフィーが好ましい。アフィニティークロマトグラフィーを用いて体液検体中の非IgE抗体を吸着して除去するには、該非IgE抗体と選択的に結合できるリガンドが固定化された担体に体液検体を接触させればよい。具体的には、上記担体を充填したカラムに体液検体を通液し、遠心分離等により体液検体を担体から回収する方法、上記担体に体液検体を懸濁させ、当該懸濁液を遠心分離し体液検体を回収する方法、が挙げられるが、上記担体を充填したカラムを用いる方法が好ましい。
【0013】
上記アフィニティークロマトグラフィーにおいて、担体に固定化するリガンドとしては、抗IgG抗体、抗IgM抗体、抗IgA抗体、抗IgD抗体といった抗体の他、黄色ブドウ球菌由来のプロテインA、G群溶血性レンサ球菌由来のプロテインG、グラム陽性嫌気性球菌由来のプロテインL、ジャックフルーツ由来のジャカリン等の公知のリガンドを用いることができる。このうち、IgG抗体を除去する場合には、IgG抗体に対する選択性結合力が高く安価で入手が容易である点から、プロテインGを用いることが好ましい。
【0014】
上記アフィニティークロマトグラフィーに用いる担体の材質としては、樹脂、ガラス、金属、シリコンウェハ等のいずれを用いてもよいが、表面処理の容易性、量産性の観点から樹脂が好ましい。担体の材質となる樹脂としては、例えば、アガロース、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル等が挙げられるが、体液検体中成分との非特異吸着の少ないアガロースが好ましい。上記リガンドを固定化する担体の形態としては、粒子や基板等のいずれを用いてもよいが、比表面積が大きく上記リガンドの固定化量を多くできる点で粒子が好ましい。
【0015】
上記担体は、GEヘルスケア社製等の市販品を購入して用いてもよいし、リガンド未固定の担体を購入し、所望のリガンドを固定化させて用いてもよい。例えば、下記実施例に記載するように、プロテインGを固定化した担体は市販もされているので、このような市販品を好ましく用いることができる。
【0016】
本発明では、反応工程において、抗体除去後の体液検体を、スギアレルゲンが固定化された領域およびスギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンが固定化された領域を含む反応槽が設けられた基板と接触させる。接触の条件は、体液検体中の抗体と、各固定化アレルゲンとの間で抗原抗体反応が起きる周知の条件でよく、例えば、体液検体またはその希釈物と各固定化アレルゲンとを室温~37℃で、1時間~4時間程度接触させることにより行うことができる。
【0017】
ここで用いる基板の一例を
図1に示す。基板1には、体液検体を接触させる領域である反応槽2が設けられる。反応槽2は、スギアレルゲンが固定化されたスギアレルゲン固定化領域3、スギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンが固定化されたスギアレルゲン以外のアレルゲン固定化領域4、の両領域を、相互に重ならずに区別されて含む。すなわち、本発明で用いる基板は、同一の反応槽内において、体液検体がスギアレルゲンおよびスギアレルゲン以外のアレルゲンの両アレルゲンに接触可能であるものである。
【0018】
したがって、スギアレルゲンが固定化された領域3のみを有する反応槽で構成される基板、および、スギアレルゲン以外のアレルゲンが固定化された領域4のみを有する反応槽で構成される基板は、本発明で用いる基板に該当しない。また、スギアレルゲンの固定化領域3と、スギアレルゲン以外のアレルゲンの固定化領域4とが、隔壁により相互に物理的に隔てられている反応槽からなる基板は、体液検体をスギアレルゲンおよびスギアレルゲン以外のアレルゲンの両アレルゲンと同一反応槽で接触させることができないため、本発明で用いる基板に該当しない。ここでいう隔壁とは、アレルゲン固定化領域間を物理的に隔てる、基板上に設けられた凸状の構造体を意味する。例えば、各ウェルに異なるアレルゲンを固定化したマルチウェルプレート等は、スギアレルゲンの固定化領域がスギ以外のアレルゲンの固定化領域と隔壁により物理的に隔てられており、本発明で用いる基板に該当しない。
【0019】
抗体除去後の体液検体の反応槽への添加は、体液検体が反応槽内に固定化された全てのアレルゲンに接触できるように実施すればよく、体液検体をリン酸緩衝生理食塩水等の緩衝液で希釈してから反応槽に添加してもよいし、体液検体を希釈することなく反応槽に添加してもよい。
【0020】
反応槽の内部には、体液検体が反応槽に固定化された全てのアレルゲンに接触できる限り、流路等の凹型の構造体を設けてもよい。また、
図2に示すように、反応工程中に体液検体が反応槽の外部へ漏出するのを抑止するため、反応槽の外縁部に隔壁5等の構造体を設けることで、上記反応槽をその外部と物理的に隔ててもよい。
【0021】
上記反応槽の内部および外縁部の加工方法としては、ドリルまたはレーザー等を用いて、基板を切削加工する方法、基板を成型する際に用いる金型を切削加工し射出成形、圧縮成形、真空成形を行う方法等が挙げられるが、品質の安定性や量産の容易さから、金型を切削加工する上記方法がより好ましい。
【0022】
上記反応槽を有する基板の具体的な形態としては、アレルゲンが2次元上に固定化されたアレルゲンマイクロアレイ、アレルゲンが微細な流路中に固定化されたマイクロ流路デバイス等が挙げられるが、体液検体が同一反応槽に固定化された全てのアレルゲンに接触することが容易な、アレルゲンマイクロアレイが好ましい。
【0023】
反応槽へのスギアレルゲンおよびスギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンの固定化は、点着装置を用いて微量のアレルゲン溶液を反応槽表面に点着させる方法、各アレルゲンを含むアレルゲン溶液を互いに混合しないように反応槽表面に接触させる方法等により行うことができる。
【0024】
反応槽への固定化アレルゲンの結合は、物理吸着であっても共有結合であってもよいが、基板洗浄時のアレルゲンの基板からの剥離や溶出を抑止する観点から共有結合が望ましい。
【0025】
アレルゲンを共有結合により反応槽に固定化する方法としては、アレルゲン表面に存在するアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基等の官能基を、反応槽の表面に存在する官能基に対して反応させて共有結合を形成させる方法を用いることができる。基板が後記する樹脂製の場合、反応槽の表面に存在する官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、イソチオシアネート基等が挙げられ、共有結合の様式としては、アミド結合、チオカルバミド結合、エーテル結合等のいずれであってもよいが、結合形成の容易さと強固さの観点からアミド結合が好ましい。アミド結合による結合は、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)のようなスクシンイミド化合物と、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドのようなカルボジイミド化合物とを用いる周知の方法により行うことができる(下記実施例参照)。
【0026】
スギアレルゲンの固定化領域が存在する反応槽の領域に固定化するスギアレルゲン以外のアレルゲンは、エビ、カニ、大豆、落花生、ソバ、クルミ、牛乳、卵白、小麦、カモガヤ、イヌ、ネコおよびダニからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらのうち、3種類以上、さらに好ましくは4種類以上のアレルゲンを固定化することが好ましい。各アレルゲンはGREER社製品等の市販品を購入し、リン酸緩衝生理食塩水等の緩衝液に溶かした後にアレルゲン溶液として用いてもよいし、所望のアレルゲンを含む溶液を調製することもできる。アレルゲン溶液の調製方法としては、例えば、アレルゲン原料を、ミキサーミル等を用いた粉砕処理、または、エーテル、アセトン、ヘキサン等の有機溶媒を用いて脱脂処理に付し、リン酸緩衝生理食塩水等の緩衝液中で攪拌してアレルゲンを抽出し、その遠心上清を適当なアレルゲン濃度に調製して用いることができる。
【0027】
本発明で用いる基板の材質としては、例えば、樹脂、ガラス、金属、シリコンウェハのいずれであってもよいが、表面処理の容易性、量産性の観点から樹脂が好ましい。
【0028】
基板の材質となる樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル等が挙げられ、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルが好ましい。このうち、ポリメタクリル酸エステルとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート(PEMA)またはポリプロピルメタクリレート等のポリメタクリル酸アルキル(PAMA)が挙げられるが、好ましくはPMMAである。
【0029】
本発明において、スギアレルゲン特異的IgE抗体の検出は、非IgE抗体を除去した後の体液検体を上記基板上の反応槽に接触させ、反応槽を洗浄して未結合物を除去した後、アレルゲンとアレルゲン特異的IgE抗体との複合体を検出すればよい。
【0030】
アレルゲンとアレルゲン特異的IgE抗体との複合体を検出する方法自体は周知であり、例えば、結合による屈折率差を検出原理とする表面プラズモン共鳴法、共振周波数差を検出原理とする水晶振動子マイクロバランス法等による検出法、蛍光物質(蛍光色素)や発色・発光物質を生成する酵素、放射性同位体元素等で標識された抗IgE抗体を用いる方法が挙げられる。これらの中でも、取り扱いの容易さと安全性から、蛍光物質で標識された抗IgE抗体を用いて検出する方法が好ましい。この場合、蛍光物質で標識された抗IgE抗体を前記複合体と反応させ、洗浄後、複合体に結合した蛍光色素を検出する。
【0031】
本発明の別の態様は、体液検体中のスギアレルゲン特異的IgE抗体を検出するためのキットであって、スギアレルゲンが固定化された領域およびスギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンが固定化された領域を含む反応槽が設けられた基板を備えたアレルゲンマイクロアレイ、並びにIgG抗体、IgM抗体、IgA抗体およびIgD抗体から成る群より選ばれる少なくとも1種の抗体と選択的に結合できるリガンドが固相化された担体(例えばIgG抗体と選択的に結合できるリガンドとしてプロテインGが固相化された担体)を構成品として含むキットである。当該基板は、上記した本発明のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出方法において用いる基板と同様であり、スギアレルゲンおよびスギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンが固定化された各領域を反応槽内に含む。これらの抗体と選択的に結合できるリガンド(例えば、プロテインG)が固相化された担体は、上記した本発明のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出方法における体液検体から当該抗体(例えば、IgG抗体)を除去する除去工程において用いる。
【0032】
本発明の体液検体中のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出キットには、上記以外の構成品として、蛍光物質(蛍光色素)や発色・発光物質を生成する酵素、放射性同位体元素等で標識された抗IgE抗体、標準試料、希釈液、洗浄液、反応停止液等を含むことができる。上記各構成試薬は、懸濁液、溶液、または凍結乾燥品の形態とすることができる。また、当該キットの測定・解析に必要な装置およびソフト、当該ソフトを導入したコンピューター、当該キットの使用方法やプロトコルを説明する仕様書等を含むことができる。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を示すが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0034】
実施例1
スギ、エビ、カニ、大豆、落花生およびソバアレルゲンを固定化したマイクロアレイを用いた、IgG抗体を除去したヒト血清検体のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出
(1)NHSエステル化PMMA製基板の作製
図3に示すような、反応槽(12.5mm×10mm×0.15mm)が設けられたポリメチルメタクリレート(PMMA)製の基板(75mm×25mm×1.0mm)を、10Nの水酸化ナトリウム水溶液に70℃で15時間浸漬した。次いで、純水、0.1N HCl水溶液、純水の順で洗浄した。基板表面のPMMAの側鎖を加水分解して、カルボキシル基を生成した。
【0035】
次いで、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)100mg、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)350mgを2-モルホリノエタンスルホン酸一水和物(MES)緩衝液(0.1N水酸化ナトリウムでpH5.0に調整)400mLに溶解させた。これらの混合溶液に上記加水分解後のPMMA製基板を浸漬し、マイクロスターラーで1時間撹拌し、NHSエステル化されたPMMA製基板を得た。
【0036】
(2)アレルゲン溶液の調製
スギアレルゲンは、0.2mg/mLのリン酸緩衝生理食塩水溶液として林原社より入手し、以降の工程にこのまま用いた。エビ、カニ、大豆、落花生、ソバの各アレルゲンは、凍結乾燥粉末としてGREER社より入手し、各凍結乾燥粉末を純水にてタンパク質濃度が1.0mg/mLとなるように溶解し、以降の工程にアレルゲン溶液として用いた。
【0037】
(3)アレルゲン固定化マイクロアレイの作製
(2)で調製したスギ、エビ、カニ、大豆、落花生、ソバの各アレルゲン溶液を、スポッティング用ロボット(日本レーザー電子(株)、GTMASStamp-2)を用いて、上記で作製したNHSエステル化PMMA樹脂基板の1つの反応槽内にそれぞれスポットした。次いで、その基板を、密閉したプラスチック容器に入れて、37℃、湿度100%の条件で一晩インキュベートし、各アレルゲンを反応槽表面に固定化した。インキュベーション後、リン酸緩衝生理食塩水(0.05% Tween20(商品名))で基板を洗浄した。以上のようにして、スギ、エビ、カニ、大豆、落花生およびソバの各アレルゲンが同一反応槽内にそれぞれ固定化されたマイクロアレイを得た。
【0038】
(4)ヒト血清からのIgG抗体の除去(除去工程)
ProteinG固定化担体の懸濁液(ProteinG Sepharose 4 Fast Flow)(GEヘルスケアライフサイエンス社)をスピンカラム(MoBiTec社製)に50μL分注後、遠心分離(1500G、1分間)により懸濁液の液体成分を担体から分離除去し、カラム上で担体を乾燥させた。
【0039】
以上のようにして調製したProteinG固定化担体カラムに、体液検体としてヒト血清20μLを滴下、浸透させ、室温で30分間静置し、プロテインGに検体中のIgG抗体を吸着させた。そのカラムを1.5mLエッペンドルフチューブに設置し、遠心分離(1500G、1分間)、により、ヒト血清をカラムから1.5mLエッペンドルフチューブへ移し、担体と分離し、IgG抗体を除去したヒト血清検体を得た。
【0040】
(5)アレルゲン固定化マイクロアレイへのヒト血清の接触(反応工程)
(4)で得たIgG抗体を除去したヒト血清検体をリン酸緩衝生理食塩水で3倍に希釈し、その希釈液50μLを、(3)で作製した基板の反応槽に滴下し、ギャップカバーグラス(松波硝子工業株式会社製:24mm×25mm、ギャップサイズ20μm)を被せて封止した。37℃で2時間反応させた後、ギャップカバーグラスを外し、リン酸緩衝生理食塩水(0.05% Tween20(商品名))で基板を洗浄した。
【0041】
(6)スギアレルゲン特異的IgE抗体の検出(検出工程)
Dylight-650色素標識抗ヒトIgEヤギポリクローナル抗体(Novus biologicals社製)1.0mg/mL溶液をウシ血清アルブミンを1重量%含むリン酸緩衝生理食塩水(0.05% Tween20(商品名))で1000倍希釈した希釈液50μLを、(5)でヒト血清と接触させた基板の反応槽に滴下し、ギャップカバーグラスを被せて室温で1時間反応させた。その後、ギャップカバーグラスを外し、リン酸緩衝生理食塩水(0.05% Tween20(商品名))で基板を洗浄した。
【0042】
「“3D Gene”(登録商標)Scanner」(東レ株式会社)に基板をセットし、励起光635nm、レーザー出力100%、PMT30に設定した状態で、スギアレルゲン固定化領域を蛍光検出した。その蛍光強度を表1に示した。ここで検出される蛍光は、スギアレルゲンとスギアレルゲン特異的IgE抗体の複合体に結合した標識抗体に含まれる蛍光色素に由来するものあり、アレルゲン固定化マイクロアレイに対するスギアレルゲン特異的IgE抗体の結合量が多いほど高い検出値を示す。
【0043】
比較例1
実施例1の対照実験として、実施例1の(4)において、血清検体からのIgG抗体の除去工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ヒト血清検体のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出を実施した。蛍光強度の測定結果を表1に示した。
【0044】
実施例2
スギ、クルミ、牛乳、卵白および小麦アレルゲンを固定化したマイクロアレイを用いた、IgG抗体を除去したヒト血清検体のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出
実施例1の(2)、(3)において、スギアレルゲン以外のアレルゲンとして、クルミ、牛乳、卵白および小麦のアレルゲン(GREER社)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ヒト血清検体のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出を実施した。蛍光強度の測定結果を表1に示した。
【0045】
比較例2
実施例2の対照実験として、実施例2において、血清検体からのIgG抗体の除去工程を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして、ヒト血清検体のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出を実施した。蛍光強度の測定結果を表1に示した。
【0046】
実施例3
スギ、カモガヤ、イヌ、ネコおよびダニアレルゲンを固定化したマイクロアレイを用いた、IgG抗体を除去したヒト血清検体のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出
実施例1の(2)、(3)において、スギアレルゲン以外のアレルゲンとして、カモガヤ、イヌ、ネコおよびダニのアレルゲン(GREER社)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ヒト血清検体のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出を実施した。蛍光強度の測定結果を表1に示した。
【0047】
比較例3
実施例3の対照実験として、実施例3において、血清検体からのIgG抗体の除去工程を行わなかったこと以外は、実施例3と同様にして、ヒト血清検体のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出を実施した。蛍光強度の測定結果を表1に示した。
【0048】
比較例4
スギアレルゲンを固定化したマイクロアレイを用いた、IgG抗体を除去したヒト血清検体のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出
実施例1の(2)、(3)において、スギアレルゲン以外のアレルゲンを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ヒト血清検体のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出を実施した。蛍光強度の測定結果を表1に示した。
【0049】
比較例5
比較例4の対照実験として、比較例4において、血清検体からのIgG抗体の除去工程を行わなかったこと以外は、比較例4と同様にして、ヒト血清検体のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出を実施した。蛍光強度の測定結果を表1に示した。
【0050】
【0051】
実施例1~3のIgG抗体の除去を実施したヒト血清を用いた場合、その蛍光強度検出値は、対応する比較例1~3のIgG抗体の除去が未実施のヒト血清を用いた場合と比較して、高値を示した。スギアレルゲンとスギアレルゲン特異的IgE抗体との複合体形成を阻害する阻害物質であるIgG抗体をヒト血清から除去した結果、マイクロアレイに固定化されたスギアレルゲンに対するスギアレルゲン特異的IgE抗体の結合の効率が改善した結果と推察される。
【0052】
一方、スギアレルゲンのみを固定化した基板を使用し、IgG抗体の除去を実施したヒト血清を用いた比較例4では、IgG抗体の除去が未実施のヒト血清を用いた比較例5と比較して高値を示さなかった。ヒト血清からIgG抗体を除去しても、スギアレルゲンに対するスギアレルゲン特異的IgE抗体の結合効率は改善しないことが判明した。
【0053】
スギアレルゲンとスギアレルゲン以外の1種類以上のアレルゲンが固定化された基板を使用した実施例1、2、3でのみ、IgG抗体除去によるスギアレルゲン特異的IgE抗体の結合効率の改善が見られたことから、反応槽にヒト血清を接触させた際に、反応槽中にスギアレルゲンと共存するスギアレルゲン以外の固定化アレルゲンが、IgG抗体除去と協奏してスギアレルゲンに対するスギアレルゲン特異的IgE抗体の結合効率を改善させたと推察される。
【0054】
特異的IgG抗体の競合による妨害を受けずにスギアレルゲン特異的IgE抗体を検出するためには、スギアレルゲンとスギアレルゲン以外のアレルゲンが共存して固定化された反応槽を用いる必要があることが分かった。
【0055】
比較例6
スギアレルゲン固定化96ウェルマイクロプレートを用いた、IgG抗体を除去したヒト血清検体のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出
(1)スギアレルゲン溶液の調製
スギアレルゲンは、0.2mg/mLのリン酸緩衝生理食塩水溶液として林原社より入手し、リン酸緩衝生理食塩水にて10倍に希釈し、終濃度0.02mg/mLのスギアレルゲン溶液として調製した。
【0056】
(2)スギアレルゲンの固定化96ウェルマイクロプレートの作製
ポリスチレン製96ウェルマイクロプレート(WATSON社製)に対し、(1)で調製したスギアレルゲン溶液を1ウェル当たり50μL添加し、4℃で16時間静置した。ウェル内の溶液を捨て、同一ウェルに1重量%ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝生理食塩水を200μL添加し、室温で2.5時間静置した。同一ウェルをリン酸緩衝生理食塩水(0.05% Tween20(商品名))で洗浄した。以上のようにして、スギアレルゲンが各ウェルに固定化されたマイクロプレートを得た。
【0057】
(3)スギアレルゲン固定化マイクロプレートへのヒト血清の接触
実施例1の(4)と同様にして、IgG抗体を除去したヒト血清検体を調製した。
【0058】
このヒト血清検体を、ウシ血清アルブミンを1重量%含むリン酸緩衝生理食塩水で3倍希釈し、その希釈液を、スギアレルゲンを固定化したマイクロプレートのウェルに1ウェル当たり50μL添加し、37℃で2時間静置した。同一ウェルをリン酸緩衝生理食塩水(0.05% Tween20(商品名))で洗浄した。
【0059】
(4)スギアレルゲン特異的IgE抗体の検出
西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgEヤギポリクローナル抗体(SouthernBiotech社製)1.0mg/mL溶液を、ウシ血清アルブミンを1重量%含むリン酸緩衝生理食塩水(0.05% Tween20(商品名))で5000倍希釈し、その希釈液50μLを、スギアレルゲンを固定化したウェルに添加し、37℃で1時間静置した。同一ウェルをリン酸緩衝生理食塩水(0.05% Tween20(商品名))で洗浄した。TMB One Component HRP Microwell Substrate(コスモバイオ社)を同一ウェルに50μL添加し、室温で15分間静置した。1mol/mL硫酸水溶液を同一ウェルに50μL添加し、プレートリーダー(モレキュラーデバイス社製)にて450nm波長の吸光度を測定した。その結果を表2に示した。
【0060】
比較例7
比較例6の対照実験として、比較例6の(3)において、血清検体からのIgG抗体の除去を行わなかったこと以外は、比較例6と同様にして、スギアレルゲン固定化96ウェルマイクロプレートを用いて、ヒト血清のスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出を実施した。その結果を表2に示した。
【0061】
【0062】
表2は、比較例6、比較例7で実施した、スギアレルゲン固定化96ウェルマイクロプレートによるスギアレルゲン特異的IgE抗体の検出結果を示したものである。ここで検出される吸光は、スギアレルゲンとスギアレルゲン特異的IgE抗体の複合体に結合した標識抗体に含まれる、西洋ワサビペルオキシダーゼにより酸化されたTMB基質に由来するものであり、スギアレルゲン固定化96ウェルマイクロプレートに対するスギアレルゲン特異的IgE抗体の結合量が多いほど高い検出値を示す。
【0063】
スギアレルゲンのみを固定化したマイクロアレイを用いた比較例4、5と同様に、スギアレルゲンのみを固定化した96ウェルマイクロプレートを用いた比較例6、7においても、IgG抗体の除去を実施したヒト血清を用いた比較例6は、IgG抗体の除去が未実施のヒト血清を用いた比較例7と比較して高値を示さなかった。96ウェルマイクロプレートを用いた場合も、ヒト血清からIgG抗体を除去しても、スギアレルゲンに対するスギアレルゲン特異的IgE抗体の結合効率は改善しないことが判明した。
【符号の説明】
【0064】
1 基板
2 反応槽
3 スギアレルゲンの固定化領域
4 スギアレルゲン以外のアレルゲンの固定化領域
5 隔壁