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特許7616538コンピューティングシステム用のブレインコンピュータインタフェース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】コンピューティングシステム用のブレインコンピュータインタフェース
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/212 20140101AFI20250109BHJP
   A63F 13/52 20140101ALI20250109BHJP
   A63F 13/54 20140101ALI20250109BHJP
   A63F 13/65 20140101ALI20250109BHJP
   A63F 13/70 20140101ALI20250109BHJP
【FI】
A63F13/212
A63F13/52
A63F13/54
A63F13/65
A63F13/70
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021549316
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 US2020023349
(87)【国際公開番号】W WO2020191042
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】62/821,839
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517160525
【氏名又は名称】バルブ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンビンダー、マイケル エス.
(72)【発明者】
【氏名】ボンド、スティーブン ジェイ.
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-296757(JP,A)
【文献】国際公開第2019/040665(WO,A1)
【文献】特開2011-010714(JP,A)
【文献】特開2014-183073(JP,A)
【文献】特開2012-235887(JP,A)
【文献】特開2014-174589(JP,A)
【文献】特表2016-526237(JP,A)
【文献】特表2009-512516(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0270170(US,A1)
【文献】特開2007-175443(JP,A)
【文献】特開2000-107466(JP,A)
【文献】特開2004-187706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98,9/24
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサと、
データ及び命令のうちの少なくとも一方を格納する少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体と、
前記少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体及び前記1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサに動作可能に連結された少なくとも1つのプロセッサと
を備えるビデオゲームデバイスであって、動作時には、前記少なくとも1つのプロセッサが、
ビデオゲームの諸機能を提供するユーザインタフェースを介してビデオゲームプレイヤーにゲームプレイを提供することであって、前記ゲームプレイは複数の個別構成要素を有する、提供することと、
前記ビデオゲームプレイヤーが前記ビデオゲームをプレイしている間に、前記1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサから前記ビデオゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを受信することと、
前記バイオフィードバック測定データを処理して、前記ビデオゲームの前記ゲームプレイ中に前記ビデオゲームプレイヤーの前記複数の個別構成要素に対する応答を判定することであって、前記バイオフィードバック測定データを前記処理することが、前記バイオフィードバック測定データを分析して前記ビデオゲームプレイヤーの1つ又は複数の生体的特性を決定することを含前記ビデオゲームプレイヤーの1つ又は複数の生体的特性が、前記ビデオゲームプレイヤーの感情喚起の状態を含み、前記複数の個別構成要素が、前記ビデオゲームの登場キャラクタ及び前記登場キャラクタの行動の少なくとも一方を含む、処理することと、
前記ビデオゲームプレイヤーの決定された前記1つ又は複数の生体的特性に少なくとも部分的に基づいて、前記ビデオゲームの前記ゲームプレイを調整することであって、前記ゲームプレイを前記調整することが、(i)音又は音楽の音量及び/又はタイプを調整すること、及び/又は(ii)前記ビデオゲームの色又は背景機能を調整することを含む、調整することと、
前記1つ又は複数の生体的特性に少なくとも部分的に基づいて、ユーザデバイスの特性を調整することと
を行う、ビデオゲームデバイス。
【請求項2】
前記バイオフィードバック測定データを処理するために、前記少なくとも1つのプロセッサが少なくとも1つの学習モデルを適用する、請求項1に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項3】
前記バイオフィードバック測定データを処理するために、前記少なくとも1つのプロセッサがフーリエ変換又はスペクトル密度解析のうちの少なくとも一方を適用する、請求項1または2に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの学習モデルが、前記複数の個別構成要素のうち、前記ビデオゲームプレイヤーに特定の認識状態を持たせる個別構成要素の特定のサブセットを決定するように訓練されている、請求項2に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項5】
前記複数の個別構成要素が、チャットメッセージ、武器、前記登場キャラクタの選択、前記登場キャラクタと関連付けられたイベント、又は別のビデオゲームプレイヤーの特徴のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項6】
前記1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサが、1つ又は複数の脳波検査(EEG)電極を含み、前記バイオフィードバック測定データがEEG信号を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項7】
前記1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサが、1つ又は複数の電極を含み、前記バイオフィードバック測定データが神経信号を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項8】
前記バイオフィードバック測定データが、神経信号、EEG信号、EMG信号、EOG信号、fNIR信号、血流を示す信号、機能的近赤外分光分析法(fNIR)分光信号、感圧抵抗器(FSR)信号、表情検出信号、瞳孔拡張表示信号、眼球運動信号、又はジェスチャモーション信号のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサが、決定された前記1つ又は複数の生体的特性に対する前記複数の個別構成要素の寄与の相対的な重み付けを決定する、請求項1から8のいずれか一項に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項10】
前記1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサのうちの少なくとも1つが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスに組み込まれる、請求項1から9のいずれか一項に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項11】
前記バイオフィードバック測定データを前記処理することが、前記バイオフィードバック測定データを分析して、消失したデータ及び/又は破損したデータがあるかどうかを判定することをさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項12】
データ及び命令のうちの少なくとも一方を格納する少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体と、
前記少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体に動作可能に連結された少なくとも1つのプロセッサと
を備えるビデオゲームシステムであって、動作時には、前記少なくとも1つのプロセッサが、
ビデオゲームの諸機能を提供するそれぞれのユーザインタフェースを介してビデオゲームプレイヤーの集団にゲームプレイを提供することと、
前記ビデオゲームプレイヤーに最も近い身体的バイオフィードバックセンサから、前記ビデオゲームプレイヤーが前記ビデオゲームをプレイしている間に、前記ビデオゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを受信することであって、前記バイオフィードバック測定データが複数の個別構成要素の表示中に取り込まれる、受信することと、
前記バイオフィードバック測定データを分析して、前記ビデオゲームプレイヤーの集団の全体的な情動又は印象に寄与する前記複数の個別構成要素のサブセットを決定することであって、前記バイオフィードバック測定データを分析することが、前記ビデオゲームプレイヤーの1つ又は複数の生体的特性を決定することを含前記ビデオゲームプレイヤーの1つ又は複数の生体的特性が、前記ビデオゲームプレイヤーの感情喚起の状態を含み、前記複数の個別構成要素が、前記ビデオゲームの登場キャラクタ及び前記登場キャラクタの行動の少なくとも一方を含む、分析することと、
前記ビデオゲームプレイヤーの決定された前記1つ又は複数の生体的特性に少なくとも部分的に基づいて、前記ビデオゲームを調整ことであって、前記ビデオゲームを前記調整することが、(i)音又は音楽の音量及び/又はタイプを調整すること、及び/又は(ii)前記ビデオゲームの色又は背景機能を調整することを含む、調整することと、
前記1つ又は複数の生体的特性に少なくとも部分的に基づいて、ユーザデバイスの特性を調整することと
を行う、ビデオゲームシステム。
【請求項13】
前記複数の個別構成要素が、チャットメッセージ、武器、前記登場キャラクタの選択、前記登場キャラクタと関連付けられたイベント、又は別のビデオゲームプレイヤーの特徴のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項12に記載のビデオゲームシステム。
【請求項14】
前記1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサが、1つ又は複数の脳波検査(EEG)電極を含み、前記バイオフィードバック測定データがEEG信号を含む、請求項12または13に記載のビデオゲームシステム。
【請求項15】
前記バイオフィードバック測定データを分析するために、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記複数の個別構成要素のうち、前記ビデオゲームプレイヤーの全体的な情動又は印象に寄与する個別構成要素を特定するように機能する少なくとも1つのモデルを実装する、請求項12から14のいずれか一項に記載のビデオゲームシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのプロセッサが、各ビデオゲームプレイヤーのクラス情報を受信し、前記バイオフィードバック測定データ及び前記クラス情報を分析して、前記ビデオゲームプレイヤーの様々なクラスがどのように前記ビデオゲームの前記複数の個別構成要素に違った応答をするかを判定する、請求項12から15のいずれか一項に記載のビデオゲームシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのプロセッサが、受信した前記バイオフィードバック測定データに基づいて、前記ビデオゲームについての前記ビデオゲームプレイヤーによる評価を推定する、請求項12から16のいずれか一項に記載のビデオゲームシステム。
【請求項18】
データ及び命令のうちの少なくとも一方を格納する少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体と、
前記少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体に動作可能に連結された少なくとも1つのプロセッサと
を備えるビデオゲームシステムであって、動作時には、前記少なくとも1つのプロセッサが、
ビデオゲームの諸機能を提供するそれぞれのユーザインタフェースを介してビデオゲームプレイヤーの集団にゲームプレイを提供することと、
前記ビデオゲームプレイヤーに最も近い身体的バイオフィードバックセンサから、前記ビデオゲームプレイヤーが前記ビデオゲームをプレイしている間に、前記ビデオゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを受信することであって、前記バイオフィードバック測定データが複数の個別構成要素の表示中に取り込まれる、受信することと、
前記バイオフィードバック測定データを分析して、前記ビデオゲームプレイヤーの集団の全体的な情動又は印象に寄与する前記複数の個別構成要素のサブセットを決定することであって、前記バイオフィードバック測定データを分析することが、前記ビデオゲームプレイヤーの1つ又は複数の生体的特性を決定することを含む、分析することと、
前記バイオフィードバック測定データの前記分析に応答して前記ビデオゲームを調整又は拡張することと、
前記1つ又は複数の生体的特性に少なくとも部分的に基づいて、ユーザデバイスの特性を調整することと、
信した前記バイオフィードバック測定データに基づいて、前記ビデオゲームプレイヤーの前記複数の個別構成要素に対する応答を判定し、前記判定された応答の経時的な変化に基づいて、前記ビデオゲームのライフサイクルを推定することと
を行う、ビデオゲームシステム。
【請求項19】
前記バイオフィードバック測定データを前記分析することが、消失したデータ及び/又は破損したデータがあるかどうかを判定することをさらに含む、請求項12から18のいずれか一項に記載のビデオゲームシステム。
【請求項20】
1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサと、
データ及び命令のうちの少なくとも一方を格納する少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体と、
前記少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体及び前記1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサに動作可能に連結された少なくとも1つのプロセッサと
を備えるビデオゲームデバイスであって、動作時には、前記少なくとも1つのプロセッサが、
ビデオゲームの諸機能を提供するユーザインタフェースを介してビデオゲームプレイヤーにゲームプレイを提供し、
前記ビデオゲームプレイヤーが前記ビデオゲームをプレイしている間に、前記1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサから前記ビデオゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを受信し、
前記バイオフィードバック測定データを処理して、前記ビデオゲームの前記ゲームプレイ中における前記ビデオゲームプレイヤーの内面的状態を判定し、
前記ビデオゲームプレイヤーの判定された前記内面的状態に少なくとも部分的に基づいて、前記ビデオゲームの前記ゲームプレイを調整
前記バイオフィードバック測定データを前記処理することが、前記バイオフィードバック測定データを分析して前記ビデオゲームプレイヤーの1つ又は複数の生体的特性を決定することを含み、前記ビデオゲームプレイヤーの1つ又は複数の生体的特性が、前記ビデオゲームプレイヤーの複数の個別構成要素に対する感情喚起の状態を含み、前記複数の個別構成要素が、前記ビデオゲームの登場キャラクタ及び前記登場キャラクタの行動の少なくとも一方を含み、
前記ゲームプレイを前記調整することが、前記ビデオゲームプレイヤーの決定された前記1つ又は複数の生体的特性に少なくとも部分的に基づいて、(i)音又は音楽の音量及び/又はタイプを調整すること、及び/又は(ii)前記ビデオゲームの色又は背景機能を調整することを含み、
動作時には、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記1つ又は複数の生体的特性に少なくとも部分的に基づいて、ユーザデバイスの特性を調整する、
ビデオゲームデバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つのプロセッサが、判定された前記内面的状態を利用して前記ビデオゲームプレイヤーが前記ビデオゲームのプレイをやめる可能性があると予測する、請求項20に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項22】
前記少なくとも1つのプロセッサが、判定された前記内面的状態を利用して、武器、前記登場キャラクタ、マップ、ゲームモード、チュートリアル、ゲームの更新データ、ユーザインタフェース、チームメイト、又はゲーム環境のうちの少なくとも1つに関する前記ビデオゲームプレイヤーの印象を判定する、請求項20または21に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項23】
前記バイオフィードバック測定データが、神経信号、EEG信号、EMG信号、EOG信号、fNIR信号、血流を示す信号、機能的近赤外分光分析法(fNIR)分光信号、感圧抵抗器(FSR)信号、表情検出信号、瞳孔拡張表示信号、眼球運動信号、又はジェスチャモーション信号のうちの少なくとも1つを含む、請求項20から22のいずれか一項に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項24】
前記1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサのうちの少なくとも1つが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスに組み込まれる、請求項20から23のいずれか一項に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項25】
前記ビデオゲームデバイスはさらに、前記1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサのうちの少なくとも1つを搭載するヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスを備える、請求項20から24のいずれか一項に記載のビデオゲームデバイス。
【請求項26】
前記バイオフィードバック測定データを前記処理することが、前記バイオフィードバック測定データを分析して、消失したデータ及び/又は破損したデータがあるかどうかを判定することをさらに含む、請求項20から25のいずれか一項に記載のビデオゲームデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して対話型ビデオゲームに関するものであり、より具体的には、限定しないものの、コンピューティングシステム用のブレインコンピュータインタフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、コンピュータゲーム産業は数十億ドル規模の産業である。そのような隆盛は、一つには、高速コンピューティングデバイス、高画質グラフィックス、及び質の高いゲームによるものかもしれない。今日のビデオゲームの多くは、ゲームプレイヤーがゲームとやり取りするのに使用可能な様々な異なる入力/出力デバイスを提供している。例えば、多くのビデオゲームでは、プレイヤーがキーボード及び/又はマウスを用いてやり取りできる。そのような入力/出力コントローラによって、ゲームプレイヤーはゲームとやり取りできるが、ゲームプレイヤーは自分がゲームに没入していると「感じる」ことはないかもしれない。したがって、多くのビデオゲームは、ゲームパッド、ジョイスティック、トラックボール、及びゲームパドルなどを用いて、ビデオゲームプレイヤーを没入させる方式を提供できるように再設計されている。一部のジョイスティック及び/又はパドルは、プレイしているビデオゲームと調和したあるタイプのデバイスに似ているように構成されている。例えば、一部の飛行シミュレーションゲームでは、ゲームプレイヤーには自分があたかも航空機のコックピットに座って飛行しているかのように見えるスロットルクアドラント、スロットルレベル、スロットルホイール、及びハンドヘルドスティックを提供するように、ジョイスティックが設計されているかもしれない。
【0003】
入力デバイスを調整することで、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームに関与するようになり、したがってビデオゲームをよりいっそう楽しむ可能性が高くなる。こうして、ビデオゲームプレイヤーは、継続してゲームをプレイし、そのゲームを他の人と共有し、たぶん将来には類似したゲームを購入する可能性が高くなる。入力デバイスを調整してゲームプレイヤーの関与をもっと増やすというこの傾向は、無線コントローラの出現でよりいっそう明らかになっている。例えば、ある人気のビデオゲームでは、ゲームの入力コントローラは、無線方式のハンドヘルドコントローラであり、その中には、内蔵型の加速度計、赤外線検出器、又は同様のコンポーネントが含まれてよい。そのようなコンポーネントは、リモートセンサバー内の発光ダイオード(LED)に向けられたときに、3次元空間でのコントローラの位置を検知するのに用いられる。ゲームプレイヤーは次に、身体的ジェスチャや従来型のボタンを用いてゲームを制御し、ボウリング、仮想の楽器、又はボクシングゲームなどといったゲームをプレイする。
【0004】
しかしながら、これによってビデオゲームへの関与レベルが高くなったと感じるゲームプレイヤーは多いかもしれないが、ビデオゲームへの関与がまだ不十分だと感じるゲームプレイヤーも他にいるかもしれない。したがって、これらの考慮すべき事柄などについて、本開示が行われている。
【発明の概要】
【0005】
ビデオゲームデバイスが次のものを含んでいると要約されてよい。すなわち、ビデオゲームデバイスは、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサと、データ及び命令のうちの少なくとも一方を格納する少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体と、少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体及び1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサに動作可能に連結された少なくとも1つのプロセッサとを含み、動作時には、少なくとも1つのプロセッサは、ビデオゲームの諸機能を提供するユーザインタフェースを介してビデオゲームプレイヤーにゲームプレイを提供することであって、ゲームプレイは複数の個別構成要素を有する、提供することと、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームをプレイしている間に、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサからビデオゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを受信することと、バイオフィードバック測定データを処理して、ビデオゲームのゲームプレイ中にビデオゲームプレイヤーの複数の個別構成要素に対する応答を判定することと、ビデオゲームプレイヤーの判定された応答に少なくとも部分的に基づいて、ビデオゲームのゲームプレイを調整又は拡張することとを行う。
【0006】
バイオフィードバック測定データを処理するために、少なくとも1つのプロセッサは少なくとも1つの学習モデルを適用してよい。バイオフィードバック測定データを処理するために、少なくとも1つのプロセッサは、フーリエ変換又はスペクトル密度解析のうちの少なくとも一方を適用してよい。少なくとも1つの学習モデルは、複数の個別構成要素のうち、ビデオゲームプレイヤーに特定の認識状態を持たせる個別構成要素の特定のサブセットを決定するように訓練されているかもしれない。複数の個別構成要素は、ゲームの登場キャラクタ、チャットメッセージ、武器、登場キャラクタの選択、登場キャラクタの行動、登場キャラクタと関連付けられたイベント、又は別のビデオゲームプレイヤーの特徴のうちの少なくとも1つを含んでよい。1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサは、1つ又は複数の脳波検査(EEG)電極を含んでよく、バイオフィードバック測定データはEEG信号を含んでよい。1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサは、1つ又は複数の電極を含んでよく、バイオフィードバック測定データは神経信号を含んでよい。バイオフィードバック測定データは、神経信号、EEG信号、EMG信号、EOG信号、fNIR信号、血流を示す信号、機能的近赤外分光分析法(fNIR)分光信号、感圧抵抗器(FSR)信号、表情検出信号、瞳孔拡張表示信号、眼球運動信号、又はジェスチャモーション信号のうちの少なくとも1つを含んでよい。少なくとも1つのプロセッサは、判定された応答に対する各個別構成要素の寄与の相対的な重み付けを決定してよい。1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサのうちの少なくとも1つが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスに組み込まれてよい。
【0007】
ビデオゲームシステムが次のものを含んでいると要約されてよい。すなわち、ビデオゲームシステムは、データ及び命令のうちの少なくとも一方を格納する少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体と、少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体に動作可能に連結された少なくとも1つのプロセッサとを含み、動作時には、少なくとも1つのプロセッサは、ビデオゲームの諸機能を提供するそれぞれのユーザインタフェースを介してビデオゲームプレイヤーの集団にゲームプレイを提供することと、ビデオゲームプレイヤーに最も近い身体的バイオフィードバックセンサから、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームをプレイしている間に、ビデオゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを受信することであって、バイオフィードバック測定データは複数の個別構成要素の表示中に取り込まれる、受信することと、バイオフィードバック測定データを分析して、ビデオゲームプレイヤーの集団の全体的な情動又は印象に寄与する複数の個別構成要素のサブセットを決定することと、バイオフィードバック測定データの分析に応答してビデオゲームを調整又は拡張することとを行う。
【0008】
複数の個別構成要素は、ゲームの登場キャラクタ、チャットメッセージ、武器、登場キャラクタの選択、登場キャラクタの行動、登場キャラクタに関連付けられたイベント、又は別のビデオゲームプレイヤーの特徴のうちの少なくとも1つを含んでよい。1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサは、1つ又は複数の脳波検査(EEG)電極を含んでよく、バイオフィードバック測定データはEEG信号を含んでよい。バイオフィードバック測定データを分析するために、少なくとも1つのプロセッサは、複数の個別構成要素のうち、ビデオゲームプレイヤーの全体的な情動又は印象に寄与する個別構成要素を分離するように機能する少なくとも1つのモデルを実装してよい。少なくとも1つのプロセッサは、各ビデオゲームプレイヤーのクラス情報を受信してよく、バイオフィードバック測定データ及びクラス情報を分析して、ビデオゲームプレイヤーの様々なクラスがどのようにビデオゲームの各個別構成要素に対して違った応答をするかを判定してよい。少なくとも1つのプロセッサは、受信したバイオフィードバック測定データに基づいて、ビデオゲームについての見解を推定してよい。少なくとも1つのプロセッサは、受信したバイオフィードバック測定データに基づいて、ビデオゲームのライフサイクルを推定してよい。少なくとも1つのプロセッサは、受信したバイオフィードバック測定データに基づいて、ビデオゲームの異なる部分同士の類似性を判定してよい。
【0009】
ビデオゲームデバイスが次のものを含んでいると要約されてよい。すなわち、ビデオゲームデバイスは、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサと、データ及び命令のうちの少なくとも一方を格納する少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体と、少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体及び1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサに動作可能に連結された少なくとも1つのプロセッサとを含み、動作時には、少なくとも1つのプロセッサは、ビデオゲームの諸機能を提供するユーザインタフェースを介してビデオゲームプレイヤーにゲームプレイを提供し、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームをプレイしている間に、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサから、ビデオゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを受信し、バイオフィードバック測定データを処理して、ビデオゲームのゲームプレイ中におけるビデオゲームプレイヤーの内面的状態を判定し、ビデオゲームプレイヤーの判定された内面的状態に少なくとも部分的に基づいて、ビデオゲームのゲームプレイを調整又は拡張する。
【0010】
少なくとも1つのプロセッサは、判定された内面的状態を利用してビデオゲームプレイヤーがビデオゲームのプレイをやめる可能性があると予測してよい。少なくとも1つのプロセッサは、判定された内面的状態を利用して、武器、登場キャラクタ、マップ、ゲームモード、チュートリアル、ゲームの更新データ、ユーザインタフェース、チームメイト、又はゲーム環境のうちの少なくとも1つに関するビデオゲームプレイヤーの印象を判定してよい。バイオフィードバック測定データは、神経信号、EEG信号、EMG信号、EOG信号、fNIR信号、血流を示す信号、機能的近赤外分光分析法(fNIR)分光信号、感圧抵抗器(FSR)信号、表情検出信号、瞳孔拡張表示信号、眼球運動信号、又はジェスチャモーション信号のうちの少なくとも1つを含んでよい。1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサのうちの少なくとも1つが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスに組み込まれてよい。
【0011】
ビデオゲームデバイスはさらに、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサのうちの少なくとも1つを搭載するヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスを含んでよい。
【0012】
ビデオゲームデバイスが次のものを含んでいると要約されてよい。すなわち、ビデオゲームデバイスは、1つ又は複数の身体的神経刺激装置と、データ及び命令のうちの少なくとも一方を格納する少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体と、少なくとも1つの非一時的プロセッサ可読記憶媒体及び1つ又は複数の身体的神経刺激装置に動作可能に連結された少なくとも1つのプロセッサとを含み、動作時には、少なくとも1つのプロセッサは、ビデオゲームの諸機能を提供するユーザインタフェースを介してビデオゲームプレイヤーにゲームプレイを提供し、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームをプレイしている間に、1つ又は複数の身体的神経刺激装置を介してビデオゲームプレイヤーに神経刺激を与えて、ビデオゲームプレイヤーに拡張体験を提供する。
【0013】
神経刺激は、ビデオゲームプレイヤーの集中力の改善、ビデオゲームプレイヤーの記憶力の改善、ビデオゲームプレイヤーの学習能力の改善、ビデオゲームプレイヤーの感情喚起の変化、ビデオゲームプレイヤーの視覚認知の調整、又はビデオゲームプレイヤーの聴覚認知の調整のうちの少なくとも1つを提供してよい。1つ又は複数の身体的神経刺激装置は、非侵襲的神経刺激装置又は侵襲的神経刺激装置のうちの少なくとも一方を含んでよい。1つ又は複数の身体的神経刺激装置は、経頭蓋磁気刺激デバイス、経頭蓋電気刺激デバイス、微小電極ベースのデバイス、又は埋め込み型デバイスのうちの少なくとも1つを含んでよい。1つ又は複数の身体的神経刺激装置は、感覚系刺激又は運動系刺激のうちの少なくとも一方を与えるように機能してよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の非限定的で非網羅的な実施形態が、以下に挙げる図面を参照して説明される。これらの図面では、他に規定がない限り、様々な図を通じて同じ参照番号が同じ部分を指している。本開示の十分な理解のために、以下の詳細な説明が参照され、この説明は、以下の添付図面と関連付けて読まれることになる。
【0015】
図1】本開示の1つ又は複数の特徴を実装するのに好適な環境の1つの実施形態を例示する絵画的ブロック図を示している。
【0016】
図2図1の環境に用いるクライアントデバイスの1つの実施形態を示している。
【0017】
図3図1の環境に用いるネットワークデバイスの1つの実施形態を示している。
【0018】
図4】ゲームプレイヤーからのバイオフィードバック測定値を用いてビデオゲームのゲームプレイ状態を調整する処理について、1つの実施形態のフローチャートを示している。
【0019】
図5】ビデオゲームに用いるためにゲームプレイヤーからのバイオフィードバック測定データの分析を行う処理について、1つの実施形態のフローチャートを示している。
【0020】
図6】バイオフィードバック測定データのバイオフィードバックアプリケーションプログラミングインタフェース(API)にクエリを行うのに用いるクエリについて、非網羅的で非限定的な例の1つの実施形態を示している。
【0021】
図7】アリーナコンバットビデオゲームにおいてゲームプレイ状態の調整に用いるためのバイオフィードバック測定データを用いた、非網羅的で非限定的な例の1つの実施形態を示している。
【0022】
図8】宇宙ビデオゲームにおいてゲームプレイ状態を調整するのに用いるためのバイオフィードバック測定データを用いた、非網羅的で非限定的な例の1つの実施形態を示している。
【0023】
図9】ビデオゲームプレイヤーの注視位置の追跡に基づいて、ビデオゲームのゲームプレイを動的に調整又は拡張する処理について、1つの実施形態のフローチャートを示している。
【0024】
図10】ユーザインタフェースのユーザの近いうちに起こる動きを検出する処理について、1つの実施形態のフローチャートを示している。
【0025】
図11】ユーザインタフェースのユーザの近いうちに起こる動きを検出するように機能するモデルを更新又は訓練する処理について、1つの実施形態のフローチャートを示している。
【0026】
図12】本開示の1つ又は複数の特徴を実装するのに好適な環境の1つの実施形態を例示する絵画的ブロック図を示している。
【0027】
図13】バイオフィードバック測定データを分析することによって、ユーザインタフェースを操作するユーザの困難を改善するように、ユーザインタフェースを適合させる処理について、1つの実施形態のフローチャートを示している。
【0028】
図14】ビデオゲームデバイスを操作するユーザからのバイオフィードバック測定データの分析を行って、ビデオゲームのゲームプレイ中に複数の個別構成要素に対するユーザの応答を確認する処理について、1つの実施形態のフローチャートを示している。
【0029】
図15】ビデオゲームシステムを操作するユーザの集団からのバイオフィードバック測定データの分析を行って、ビデオゲームを調整又は拡張する処理について、1つの実施形態のフローチャートを示している。
【0030】
図16】ビデオゲームシステムを操作するユーザからのバイオフィードバック測定データの分析を行って、ユーザの内面的状態を確認し、ビデオゲームを調整又は拡張する処理について、1つの実施形態のフローチャートを示している。
【0031】
図17】ビデオゲームシステムのビデオゲームプレイ中に神経刺激をユーザに与えて、ユーザのゲーム体験を拡張する処理について、1つの実施形態のフローチャートを示している。
【0032】
図18】ユーザ(例えば、ビデオゲームプレイヤー)の脳に信号を誘導する、書き込む、あるいは発生させてユーザの体験を拡張する非限定的で例示的なメカニズムを示す説明図である。
【0033】
図19】本開示の各実施形態によるブレインコンピュータインタフェース(BCI)の様々な潜在的な特徴を示す説明図である。
【0034】
図20】ニューロン発火を生じさせる、感覚認知、内的認知、及び外的影響を含む入力を示す図である。
【0035】
図21】ビデオゲームプレイヤーに拡張体験を提供するように実装され得る本開示の様々な特徴を有するBCIを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで、本開示の1つ又は複数の実装形態が添付図面を参照してより十分に以下で説明される。これらの添付図面は本開示の一部を形成し、特定の例示的な実施形態を実例として示している。しかしながら、本開示の実装形態は、多くの異なる形で具現化されてよく、本明細書で説明される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分且つ完全になるように提供されており、本開示の範囲を当業者に十分に伝えることになる。とりわけ、1つ又は複数の実装形態が、方法又はデバイスとして具現化され得る。したがって、これらの実施形態は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、又はソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形を取ってもよい。したがって、以下の詳細な説明を限定的な意味に取るべきではない。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて、以下に挙げる用語は、文脈上特に明記されていない限り、本明細書において明確に関連した意味を持つ。本明細書で用いられる「1つの実施形態において」という語句は、必ずしも同じ実施形態を指してはいないが、同じ実施形態を指してもよい。さらに、本明細書で用いられる「別の実施形態において」という語句は、必ずしも異なる実施形態を指してはいないが、異なる実施形態を指してもよい。したがって、後述するように、様々な実施形態が本開示の範囲又は趣旨から逸脱せずに容易に組み合わされてよい。
【0038】
さらに、本明細書で用いられる場合、「or(又は)」という用語は、文脈上特に明記されていない限り、包括的「or」演算子であり、「and/or(及び/又は)」という用語と等価である。「~に基づいて」という用語は排他的ではなく、文脈上特に明記されていない限り、記述されていない他の要因に基づいていることも許容する。さらに、本明細書の全体を通じて、「a」、「an」、及び「the」の意味には、複数のものが含まれる。「in」の意味には、「in」及び「on」が含まれる。
【0039】
本明細書で用いられる場合、「バイオフィードバック」及び「生理的」という用語は、ゲームプレイヤーの特定の定量化できる身体機能の測定データを指す。そのようなバイオフィードバック測定データは通常、無意識又は不随意な身体機能の測定値とも呼ばれる。そのようなバイオフィードバック測定データには、限定されないが、血圧、心拍数、眼球運動、瞳孔拡張、皮膚温、汗腺活動、筋緊張、ニューロン活動、本明細書で論じられる他の測定データなどが含まれてよい。本明細書でさらに説明されるように、そのような測定データは、ゲームプレイヤーの感情喚起の状態又は感情状態に関する推論を行うのに使用可能である。感情喚起の状態には、感情状態だけではなく生理的状態も含まれることに留意されたい。さらに、本明細書で用いられる場合、感情喚起の状態にはさらに、生理学的測定に基づく熱中度、誘意性、及び/又は他のユーザ状態の判定が含まれる。本明細書で用いられる場合、ブレインコンピュータインタフェース(BCI)とは、ニューロン信号を外部システムにとって実行可能な入力に変換する伝達経路を指す。
【0040】
以下では、本開示のいくつかの態様についての基本的理解を提供するために、順を追って複数の実施形態を簡潔に説明する。この簡潔な説明は、広範囲にわたる概要を意図するものではない。また、重要な又は不可欠な要素の特定を意図するものでも、範囲の画定あるいは制限を意図するものでもない。その目的は、単に、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、いくつかの概念を簡単な形で示すことにすぎない。
【0041】
簡潔に述べると、様々な実施形態が、ビデオゲームプレイヤーに又はその近くに配置された1つ又は複数の身体センサを使用して、ビデオゲームのプレイ状態を動的に調整するか又は他の諸機能を提供するのに使用可能な、ゲームプレイヤーに関するバイオフィードバック測定データを取得することに向けて行われる。1つの実施形態では、こうした調整が実質的にリアルタイムに行われてよい。別の実施形態では、こうした調整が、次のゲームプレイに用いるために行われてよい。身体センサは、ゲームプレイヤーに接続されてよく、いくつか実装形態では、従来型の物理的ゲームコントローラに取って代わる且つ/又はそれ以外の場合は従来型の物理的ゲームコントローラを拡張することがある。別の実施形態では、身体センサをゲームプレイヤーに接続する必要はなく、代わりにゲームプレイヤーの近くに配置してもよい。そのような物理的に接続されていないセンサの非限定的な例には、ビデオカメラ、指標追跡システム、ゲームプレイヤーがその上に起立し得る重量/位置センサパッドなどが含まれる。これらのセンサは、心臓の活動、電気皮膚反応、体温、眼球運動、頭又は他の身体運動などの様々なバイオフィードバック測定データを収集するように、またそのような測定データをバイオフィードバックアプリケーションプログラミングインタフェース(API)に提供するように配置される。ビデオゲームプレイの前に及び/又はその間に、ビデオゲームは、ゲームプレイヤーの感情喚起の状態、感情状態、又は認識状態などに関する推論についてバイオフィードバックAPIにクエリを行ってよい。これについては、バイオフィードバック測定データに基づいてさらに後述される。次に、ビデオゲームは、このクエリに対する応答に基づいて、ビデオゲームプレイの状態を調整する。このように、ビデオゲームは、ゲームプレイヤーの現在の生理的状態が、ビデオゲームが提供しようとし得る体験のタイプ及び/又はレベルと一致しているかどうかを判定することができる。例えば、ゲームプレイヤーのストレス又は感情喚起の状態が所与の閾値を超えていると判定された場合、ビデオゲームはゲームプレイの状態を調整して、ゲームプレイヤーにくつろぐ且つ/又は疲れを癒やす機会を与えることができる。別の実施形態では、ゲームプレイヤーのストレス又は感情喚起の状態が別の閾値より低いと判定された場合、ビデオゲームはゲームプレイの状態を調整して、ゲームプレイヤーの興奮のレベルを高めることができる。
【0042】
1つの実施形態では、閾値は過去のバイオフィードバック測定データ及び/又は特定のゲームプレイヤーに関する推論に基づいてよい。別の実施形態では、閾値は現在のビデオゲームプレイに対する特定のゲームプレイヤーの分析に基づいてよい。さらに別の実施形態では、閾値は複数のゲームプレイヤーの統計解析に基づいてよい。
【0043】
1つの実施形態では、ビデオゲームがマルチプレイヤー型ビデオゲームとして構成されている場合、他のゲームプレイヤーからのバイオフィードバック測定データも取得され、ビデオゲームプレイの状態をさらに調整するのに用いられてよい。
【0044】
[例示的な動作環境]
【0045】
図1は、本開示の1つ又は複数の特徴が実施され得るシステムの1つの実施形態の概要を大まかに示すブロック図を示している。システム100は、図1に示すよりも少ない又は多くのコンポーネントを含んでよい。しかしながら、示されているコンポーネントは、例示的な実施形態を開示するのに十分である。図に示すように、システム100は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)/ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、すなわち(ネットワーク)105と、無線ネットワーク111と、クライアントデバイス101と、ゲームサーバデバイス(GSD)110と、バイオフィードバックセンサ120とを含む。
【0046】
クライアントデバイス101として利用可能なクライアントデバイスの1つの実施形態が、図2に関連して以下により詳細に説明される。しかしながら、簡潔に言うと、クライアントデバイス101は、ネットワーク111などといったネットワークを介してメッセージを送受信できる実質的にあらゆるモバイルコンピューティングデバイスを含んでよい。そのようなデバイスには、無線周波数(RF)デバイス、赤外線(IR)デバイス、携帯情報端末(PDA)、ゲームコンソール、ハンドヘルドコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、あるいは前述のデバイスのうちの1つ又は複数を組み合わせた一体型デバイスなどのポータブルデバイスなどが含まれる。クライアントデバイス101は、ネットワーク105などの有線通信媒体を用いて通常は接続する、パーソナルコンピュータ、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベース若しくはプログラム可能な消費者向け電子機器、又はネットワークPCなどといった実質的にあらゆるコンピューティングデバイスも含んでよい。したがって、1つの実施形態では、クライアントデバイス101が有線ネットワーク及び/又は無線ネットワークを介して動作するように構成されてよい。
【0047】
クライアントデバイス101は通常、性能及び機能に関して広範囲に及ぶ。例えば、ハンドヘルドデバイスが、テンキーパッド及びテキストしか表示できない数行のモノクロLCDディスプレイを有してよい。別の例では、ウェブ対応クライアントデバイスが、タッチセンサスクリーン、スタイラス、並びにテキスト及びグラフィックスの両方を表示できる数行のカラーLCDディスプレイを有してよい。
【0048】
ウェブ対応クライアントデバイスが、ウェブページ又はウェブベースのメッセージなどを受信し且つ送信するように構成されたブラウザアプリケーションを含んでよい。ブラウザアプリケーションは、無線アプリケーションプロトコルメッセージ(WAP)などを含む実質的にあらゆるウェブベースの言語を使用して、グラフィックス、テキスト、又はマルチメディアなどを受信して表示するように構成されてよい。1つの実施形態では、ブラウザアプリケーションは、ハンドヘルドデバイスマークアップ言語(HDML)、ワイヤレスマークアップ言語(WML)、WMLScript、JavaScript(登録商標)、標準汎用マークアップ言語(SGML)、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、又は拡張可能マークアップ言語(XML)などを用いて、情報を表示し送信することが可能である。
【0049】
クライアントデバイス101は、別のコンピューティングデバイスからコンテンツを受信するように構成された少なくとも1つのアプリケーションも含んでよい。このアプリケーションは、テキストコンテンツ、マルチメディア情報、又はビデオゲームなどのコンピュータアプリケーションへのコンポーネントなどを提供し且つ受信する機能を含んでよい。このアプリケーションはさらに、自己を識別する情報(タイプ、機能、又は名称などを含む)を提供してよい。1つの実施形態では、クライアントデバイス101は、電話番号、移動体識別番号(MIN)、電子シリアル番号(ESN)、モバイルデバイス識別子、ネットワークアドレス、又は他の識別子を含む様々なメカニズムのいずれかによって自己を一意に識別できる。この識別子は、別のコンピューティングデバイスに送信されるメッセージなどで提供されてよい。
【0050】
クライアントデバイス101は、電子メール、ショートメッセージサービス(SMS)、マルチメディアメッセージサービス(MMS)、インスタントメッセージング(IM)、インターネットリレーチャット(IRC)、Mardam-BeyのIRC(mIRC)、又はJabberなどによってメッセージを別のコンピューティングデバイスとの間で伝達するように構成されてもよい。しかしながら、本開示はこれらのメッセージプロトコルに限定されることはなく、実質的にあらゆる他のメッセージプロトコルを使用することができる。したがって、1つの実施形態では、クライアントデバイス101によって、チャットセッション又はメッセージング付きゲーミングセッションなどといった1つ又は複数のメッセージングセッションにユーザが参加することが可能になり得る。そのようなメッセージングセッションは、テキストを用いて通信が実現されるという点で、テキスト指向であってよい。しかしながら、限定されないが、オーディオ、グラフィックス、ビデオ、並びに/又はテキスト、オーディオ、グラフィックス及び/若しくはビデオの組み合わせを含む他の伝達メカニズムを使用するクライアントデバイス101を用いて、他のメッセージングセッションが生じてもよい。
【0051】
クライアントデバイス101は、様々なバイオフィードバックセンサ120から、メッセージ、画像、及び/又は他のバイオフィードバック測定データを受信するように構成されてよい。図1には、ユーザに接続されても接続されていなくてもよい可能な身体的バイオフィードバックセンサ120の非限定的で非網羅的な例が示されており、これらのセンサは、従来型の物理的ゲームコントローラに取って代わる且つ/又は別の方法で従来型の物理的ゲームコントローラを拡張する。したがって図示されているように、バイオフィードバックセンサ120は、ゲームコントローラ(センサ123)に、あるいはキーボード上の1つ又は複数のキー若しくはホイールなど(センサ124)に統合されてよい。1つの実施形態では、ゲームコントローラは、モジュール方式のセンサ及び/又はプラグ接続可能なセンサ(123)を含み得るモジュール方式のコンポーネント及び/又はプラグ接続可能なコンポーネントを含んでよい。
【0052】
同様に、バイオフィードバックセンサ120は、カメラ121、タッチパッド122、さらには(例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスに組み込まれる)ヘッドデバイス125を含んでよい。しかしながら、すでに言及したように、眼鏡、リストバンド、指センサアタッチメント、コンピュータマウスの内部若しくはコンピュータマウス上に統合されたセンサ、又は様々な音声パターンを測定するためのマイクなどを含む他のバイオフィードバックセンサ120も用いられてよい。したがって、様々な実施形態がゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを取得するように構成可能な実質的にあらゆるメカニズムを使用してよいことは、当業者には明らかなはずである。
【0053】
バイオフィードバックセンサ120は、ビデオゲームプレイ前、ビデオゲームプレイ後、及び/又はビデオゲームプレイ中のゲームプレイヤーの様々な測定データを収集するように配置されてよい。そのような測定データには、限定されないが、心拍数及び/又は心拍数変動、電気皮膚反応、体温、眼球運動や、頭、顔、手、若しくは他の身体運動、ジェスチャ、位置、表情、姿勢、又は顔の緊張などが含まれる。さらに、バイオフィードバックセンサ120は、血中酸素濃度、皮膚伝導度水準の他の形態、呼吸数、皮膚の張力、音声ストレスレベル、音声認識、血圧、脳波検査(EEG)の測定データ、筋電図検査(EMG)の測定データ、応答時間、電気眼球図記録(EOG)、血流(例えば、IRカメラによる)、機能的近赤外分光分析法(fNIR)分光法、又は感圧抵抗器(FSR)などを含む他の測定データを収集してよい。
【0054】
バイオフィードバックセンサ120は、これらの測定データをクライアントデバイス101に提供してよい。1つの実施形態では、これらの測定データは、様々な有線接続及び/又は無線接続のいずれかを介して、クライアントデバイス101に提供されてよい。したがって、バイオフィードバック測定データは、様々なケーブル又はワイヤなどを介して伝達されてよく、他の情報もゲームプレイのために様々なケーブル又はワイヤを用いて伝達されてよい。例えば、バイオフィードバック測定データは、USBケーブル又は同軸ケーブルなどを介して送信されてよく、マウス、キーボード、又はゲームコントローラなども、USBケーブル又は同軸ケーブルなどを用いてクライアントデバイス101に連結される。しかしながら、別の実施形態では、別の有線接続が使用されてよい。同様に、バイオフィードバックセンサ120は、様々な無線接続を用いてバイオフィードバック測定データを伝達してよい。さらに、様々な通信プロトコルのいずれかが、測定データを伝達するのに用いられてよい。したがって、本開示は、特定の有線通信若しくは無線通信のメカニズム及び/又は通信プロトコルに限定されるものと解釈されるべきではない。
【0055】
1つの実施形態では、クライアントデバイス101が、1つ又は複数の身体センサ120が使用できるかどうかを判定し、この身体センサ120からのバイオフィードバック測定データの受信を管理するように構成されたバイオフィードバックデバイスインタフェース(BFI)を含んでよい。BFIの1つの実施形態が、図2に関連して以下により詳細に説明される。しかしながら簡潔に言うと、BFIはさらに、受信したバイオフィードバック測定データにタイムスタンプを追加し、これらの測定データのうちの少なくとも一部をバッファに移し、且つ/又はこれらの測定データを、現在又は将来のビデオゲームプレイの状態を調整するのに用いるためにGSD110に転送してよい。受信したバイオフィードバック測定データをバッファに移すと、BFIは受信した測定データの品質分析を行い、分析結果に基づいてアラートメッセージを出すことが可能になり得る。
【0056】
無線ネットワーク111は、クライアントデバイス101とネットワーク105とを連結するように構成される。無線ネットワーク111は、インフラ指向の接続をクライアントデバイス101に提供するために、スタンドアローン型のアドホックネットワークなどをさらに重ね合わせ得る様々な無線サブネットワークのいずれかを含んでよい。そのようなサブネットワークは、メッシュネットワーク、無線LAN(WLAN)ネットワーク、又はセルラネットワークなどを含んでよい。
【0057】
無線ネットワーク111はさらに、ワイヤレス無線リンクなどで接続された端末、ゲートウェイ、又はルータなどによる自律システムを含んでよい。これらの接続装置は、自由に且つランダムに移動し、自らを任意に編成するように構成されてよく、その結果、無線ネットワーク111のトポロジが迅速に変化し得る。
【0058】
無線ネットワーク111はさらに、セルラシステム、WLAN、又は無線ルータ(WR)メッシュ向けなどの第2世代(2G)、第3世代(3G)、第4世代(4G)の無線アクセスを含む複数のアクセス技術を使用してよい。2G、2.5G、3G、4G、及び将来のアクセスネットワークなどのアクセス技術によって、様々な移動度を有するクライアントデバイス101などのクライアントデバイスの広いエリアカバレッジが可能になり得る。例えば、無線ネットワーク111は、移動体通信用グローバルシステム(GSM(登録商標))、汎用パケット無線サービス(GPRS)、拡張データGSM環境(EDGE)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))、又はBluetooth(登録商標)などといった無線ネットワークアクセスを通じた無線接続を可能にし得る。本質的には、無線ネットワーク111は、クライアントデバイス101と別のコンピューティングデバイス又はネットワークなどとの間を情報が移動し得る実質的にあらゆる無線通信メカニズムを含んでよい。
【0059】
ネットワーク105は、GSD110などのコンピューティングデバイスを他のコンピューティングデバイスに連結するように構成され、場合によっては無線ネットワーク111を通じてクライアントデバイス101に連結することも含む。しかしながら、図示したように、クライアントデバイス101も、ネットワーク105を通じてGSD110に接続されてよい。いずれにしても、ネットワーク105は、ある電子デバイスから別の電子デバイスに情報を伝達するのに、あらゆる形のコンピュータ可読媒体を使用することが可能である。また、ネットワーク105は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、直接的接続(ユニバーサルシリアルバス(USB)ポートを介するなど)、他の形態のコンピュータ可読媒体、又はこれらの任意の組み合わせに加えて、インターネットを含み得る。異なるアーキテクチャ及びプロトコルに基づくLANを含む相互に接続されたLANの集合では、ルータがLAN同士のリンクの役割を果たし、メッセージをあるところから別のところに送信することが可能になる。また、LAN同士の通信リンクには通常、ツイストペア線又は同軸ケーブルが含まれるが、ネットワーク同士の通信リンクには、アナログ電話回線、完全又は部分的な専用デジタル回線(T1、T2、T3、及びT4を含む)、サービス総合デジタル通信網(ISDN)、デジタル加入者回線(DSL)、無線リンク(衛星リンクを含む)、又は当業者には既知の他の通信リンクが利用されてよい。さらに、リモートコンピュータ及び他の関連する電子デバイスが、モデム及び一時的な電話リンクを介してLAN又はWANのいずれかにリモートで接続されることがある。本質的には、ネットワーク105は任意の通信方法を含み、この通信方法によって情報がコンピューティングデバイス間を移動し得る。
【0060】
GSD110の1つの実施形態が、図3に関連して以下により詳細に説明される。しかしながら、簡潔に言うと、GSD110は、ユーザが1つ又は複数のオンラインゲーム(マルチプレイヤーゲームに限定されず、シングルプレイヤーゲームも含む)に参加することを可能にするために、ネットワーク105に接続できるあらゆるコンピューティングデバイスを含んでよい。したがって、図1にはバイオフィードバックセンサ120を有する単一のクライアントデバイス101を示しているが、本開示はそのように限定されず、バイオフィードバックセンサを有する複数の同様なクライアントデバイスがシステム100に展開されてよい。
【0061】
したがって、GSD110は、1人又は複数のゲームプレイヤーから様々なバイオフィードバック測定データを受信し、受信した測定データを用いてビデオゲームの状態を調整するように構成される。GSD110は、バイオフィードバックを用いて、ゲームプレイの難易度及び/又はビデオゲームの他の側面をバイオフィードバック測定データに基づいて動的に調整してよい。例えば、1つの実施形態では、ユーザが過剰とされるストレスのレベルを体験していると判定された場合、ある閾値に基づいて、GSD110のビデオゲームは、判定されたストレスレベルを軽減できるように、別のゲームプレイを提供してよい。
【0062】
GSD110は、ビデオゲームがプレイされるたびに、ゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データに基づいて、ビデオゲームが特別な体験を提供することも可能にしてよい。例えば、1つの実施形態では、オブジェクトの色、又はゲームの登場キャラクタのサイズ、形、及び/若しくは行動などが、バイオフィードバック測定データに基づいて調整されてよい。すなわち、ゲームの背景に表示される背景の様々な局面が、バイオフィードバック測定データの分析結果に基づいて調整されてよい。
【0063】
1つの実施形態では、GSD110が特定のゲームプレイヤーを検出できるように、又は特定のゲームプレイヤー用に現在のゲームプレイを調整できるように、過去の測定値が格納され且つ分析されてよい。次に、そのような格納された測定値を用いて、ゲームプレイを特定のゲームプレイヤー用にカスタマイズし、判定されたトレンド判定などに基づいて特定のゲームプレイヤーによるゲームプレイの変化を識別してよい。1つの実施形態では、ゲームプレイヤーが以前のユーザプロファイルと現在も関連しているかどうか、すなわち、現在のゲームプレイヤーが以前にプレイした人物であるかどうかを判定するのに、過去の測定値がバイオフィードバック測定データの分析と共に用いられてよい。GSD110は、ゲームプレイヤーのゲームプレイ中の熱中度の判定又は過去のパターンなどに基づいて提供されるゲームプレイのタイプも調整してよい。
【0064】
GSD110はさらに、マルチプレイヤーゲームセッションを要求し得るゲームプレイヤーの生理的状態又は感情状態に全体的に又は部分的に基づいて、対戦相手を決めてよい。さらに他の実施形態では、GSD110は、受信したバイオフィードバック測定データに基づいて、ゲームプレイ説明書又はチュートリアルなどを動的に調整してよい。例えば、ゲームプレイヤーが退屈している、あるいは説明書又はチュートリアルなどに興味がないと判定されていると判定され得る場合、GSD110は、その資料の表示を速めたり飛ばしたりするなどを可能にしてよい。あるいは、ゲームプレイヤーが悩んでいる又は意志決定するのに困っていると、バイオフィードバック測定データに基づいて判定され得る場合、ゲームプレイヤーを支援するためにチュートリアル又は他のガイダンスが提供されてよい。
【0065】
しかしながら、GSD110は、バイオフィードバック測定データがどのように用いられ得るかに関するこれらの例に限定されることはなく、ゲームプレイ状態を調整するためにバイオフィードバック測定データを使用する他の方式も用いられてよい。例えば、バイオフィードバック測定データは、ゲームプレイの局面を直接的に制御するのに使用されてよい。そのような1つの非限定的な例が、図8に関連して以下により詳細に説明される。
【0066】
さらに他の実施形態では、GSD110は、ゲームプレイヤーの感情、生理的状態、及び/又はゲームプレイヤーの表情の他の側面をゲームの登場キャラクタに描写してよい。例えば、受信したゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データに基づいて、ゲームプレイヤーのアバターが、ゲームプレイヤーの心拍数で拍動する心臓を表示するように調整されてもよく、そのアバターがゲームプレイヤーの割合で呼吸する、又は汗をかく、又は表情や姿勢さえ示すように表されてもよい。したがって、GSD110は、ゲームプレイの状態を調整するために、様々な方式のいずれかでバイオフィードバック測定データを用いてよい。
【0067】
GSD110として動作し得るデバイスには、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、マルチプロセッサシステム、ビデオゲームコンソール、マイクロプロセッサベースの又はプログラム可能な消費者向け電子機器、ネットワークPC、及びサーバデバイスなどが含まれる。
【0068】
さらに、GSD110は単一のネットワークデバイスとして示されているが、本開示はそのように限定されない。例えば、GSD110と関連した諸機能のうちの1つ又は複数が、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、ピアツーピア型システム構造の全体に分散した複数の異なるネットワークデバイスなどに実装されてよい。したがって、図3に関連して後述されるように、ネットワークデバイス300が、ゲームの状態を調整するのにバイオフィードバック測定データを用いて、ゲームプレイを管理するように構成されてよい。しかしながら、他の構成も想定される。
【0069】
例えば別の実施形態では、クライアントデバイス101は、クライアントデバイス101がGSD110から独立して動作し得るように、GSD110のコンポーネントを含むように構成されてよい。すなわち、1つの実施形態では、クライアントデバイス101は、バイオフィードバック及びバイオフィードバックアプリケーションプログラミングインタフェース(API)などを有するゲームソフトウェアを含み、GSD110へのネットワーク接続を用いずに動作してよい。したがって、クライアントデバイス101は、バイオフィードバックセンサ及びユーザが楽しむための他の入力/出力デバイスに対するインタフェースを有する実質的にスタンドアローン型ゲームデバイスとして動作してよい。したがって、本開示は、これらの図に示される構成によって制約されることも、あるいは限定されることもない。
【0070】
図1には、1人のゲームプレイヤーと「単一セット」のバイオフィードバックセンサ120とを有する単一のクライアントデバイス101が示されているが、他の実施形態も想定される。例えば、1つの実施形態では、それぞれ自分専用のバイオフィードバックセンサを有する複数のゲームプレイヤーが、同じクライアントデバイス101を通じて、又はネットワークを介して共に接続された複数のクライアントデバイスを通じて、対話しながら同じビデオゲームを一緒にプレイするかもしれない。したがって、マルチプレイヤー構成が、複数のゲームプレイヤーが同じ又は異なるクライアントデバイスを使用するというようなバリエーションを含んでよい。したがって、図1は、シングルゲームプレイヤー用の構成に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0071】
[例示的なクライアントデバイス]
【0072】
図2は、本開示を実装するシステムに含まれ得るクライアントデバイス200の1つの実施形態を示している。クライアントデバイス200は、図2に示すよりもさらに多くの又は少ないコンポーネントを含んでよい。例えば、クライアントデバイス200は、スタンドアローン型ビデオゲームデバイスとして用いるために、縮小セットのコンポーネントで構成されてもよい。しかしながら、示されているコンポーネントは、例示的な実施形態を開示するのに十分である。クライアントデバイス200は、例えば、図1のクライアントデバイス101を表してよい。
【0073】
図2に示すように、クライアントデバイス200は、バス224を介して大容量メモリ230と通信する処理ユニット(CPU)222を含む。クライアントデバイス200は、電源226と、1つ又は複数のネットワークインタフェース250と、オーディオ入力を受信しオーディオ出力を供給するように構成され得るオーディオインタフェース252と、ディスプレイ254と、キーパッド256と、イルミネータ258と、入力/出力インタフェース260と、触感インタフェース262と、全地球測位システム(GPS)受信機264も含む。電源226は、クライアントデバイス200に電力を供給する。電力を供給するために、充電式又は非充電式のバッテリが用いられてよい。バッテリを補う且つ/又は充電するACアダプタ又は電源付きドッキングクレードルなどの外部電源からも、電力が供給されてよい。クライアントデバイス200は、カメラ又はスキャナなどを通じて画像入力を受信するように構成され得るグラフィカルインタフェース266も含んでよい。
【0074】
ネットワークインタフェース250は、クライアントデバイス200と1つ又は複数のネットワークとをつなぐ回路を含み、1つ又は複数の通信プロトコル及び通信技術と共に用いるように構成される。これらの通信プロトコル及び通信技術には、限定されないが、移動体通信用グローバルシステム(GSM)、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、SMS、汎用パケット無線サービス(GPRS)、WAP、超広帯域無線通信(UWB)、IEEE802.16ワールドワイドインターオペラビリティフォーマイクロウェーブアクセス(WiMAX)、SIP/RTP、Bluetooth、Wi-Fi(登録商標)、Zigbee(登録商標)、UMTS、HSDPA、WCDMA、WEDGE、又は様々な他の有線及び/若しくは無線通信プロトコルのいずれかが含まれる。ネットワークインタフェース250は、送受信機、送受信デバイス、又はネットワークインタフェースカード(NIC)として知られていることがある。
【0075】
オーディオインタフェース252は、人の声の音などのオーディオ信号を生成し且つ受信するように用意される。例えば、オーディオインタフェース252は、他の人との遠隔通信を可能にする且つ/又は何らかの行動に対してオーディオ確認応答を生成するために、スピーカ及びマイク(不図示)に連結されてよい。ディスプレイ254は、液晶ディスプレイ(LCD)、ガスプラズマディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、又はコンピューティングデバイスと共に用いられるあらゆる他のタイプのディスプレイでもよい。ディスプレイ254は、スタイラスなどの物又は人の手の指による入力を受信するように配置されたタッチセンサスクリーンも含んでよい。
【0076】
キーパッド256は、ユーザからの入力を受信するように配置された任意の入力デバイスを有してよい。例えば、キーパッド256は、プッシュボタン式数字ダイヤル又はキーボードを含んでよい。キーパッド256は、画像、ゲームプレイ、又はメッセージングセッションなどの選択及び送信と関連付けられたコマンドボタンも含んでよい。1つの実施形態では、キーパッド256は、限定されないが、圧力の大きさ、応答時間の長さ、発汗の量などを含む様々な測定データを取得するように配置された様々なバイオフィードバックセンサを含んでよい。
【0077】
イルミネータ258は、状態表示を提供してもよく且つ/又は光を照らしてもよい。イルミネータ258は、特定の期間の間又はイベントに応答して、有効を維持してよい。例えば、イルミネータ258が有効である場合、キーパッド256のボタンをバックライトで照らし、クライアントデバイスに電源が供給されている間、その状態を維持してよい。また、別のクライアントデバイスにダイヤル接続するなどの特定の行動が行われると、イルミネータ258は様々なパターンでこれらのボタンをバックライトで照らしてよい。イルミネータ258は、行動に応答して、クライアントデバイスの透明又は半透明のケースに配置された光源を照明させてもよい。
【0078】
クライアントデバイス200は、ヘッドセット又は他の入力若しくは出力デバイス(限定されないが、ジョイスティック又はマウスなどを含む)などの外部デバイスと通信する入力/出力インタフェース260も有する。図1に関連して上述したように、クライアントデバイス200は、入力/出力インタフェース260を通じて1つ又は複数のバイオフィードバックセンサと通信するように構成されてもよい。入力/出力インタフェース260は、USB、赤外線、又はBluetoothなどといった1つ又は複数の通信技術を利用できる。触感インタフェース262は、クライアントデバイスのユーザに触感フィードバックを与えるように配置される。例えば、触感インタフェースは、コンピューティングデバイスの別のユーザからの呼び出しが着信しているときに、クライアントデバイス200を特定の方式で振動させるように用いられてよい。
【0079】
GPS送受信機264は、地球の地表上にあるクライアントデバイス200の物理座標を測定できる。このGPS送受信機は通常、緯度及び経度の値として位置を出力する。GPS送受信機264は、他の地理的測位メカニズム(限定されないが、三角測量、補助GPS(AGPS)、E-OTD、CI、SAI、ETA、又はBSSなどを含む)も使用して、地球の地表上にあるクライアントデバイス200の物理位置をさらに測定することができる。別の状況下では、GPS送受信機264は、クライアントデバイス200の物理位置をミリメートル単位で測定することができ、他のケースでは、測定した物理位置は1メートルの範囲内又は大幅に離れた距離といった不正確な測定になり得ることを理解されたい。しかしながら1つの実施形態では、クライアントデバイス200は、他のコンポーネントを通じて、デバイスの地理的物理位置を確認するのに用いられ得る他の情報(例えば、MACアドレス、IPアドレス、又は他のネットワークアドレスを含む)を提供してよい。
【0080】
大容量メモリ230は、RAM232、ROM234、及び/又は他の記憶装置を含む。大容量メモリ230は、コンピュータ可読命令、データ構造体、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報を格納するコンピュータ記憶媒体の別の例を示している。大容量メモリ230は、クライアントデバイス200の低レベル動作を制御する基本入力/出力システム(「BIOS」)240を格納している。大容量メモリは、クライアントデバイス200の動作を制御するオペレーティングシステム241も格納している。このコンポーネントは、UNIX(登録商標)版又はLinux(登録商標)版などの汎用のオペレーティングシステム、あるいはWindows(登録商標) Mobile(登録商標)、Symbian(登録商標)オペレーティングシステム、さらには様々なビデオゲームコンソール用のオペレーティングシステムのいずれかといった専用のクライアント通信用オペレーティングシステムを含んでよいことが理解されるであろう。オペレーティングシステムは、Java(登録商標)アプリケーションプログラムを介したハードウェアコンポーネント及び/又はオペレーティングシステム動作の制御を可能にするJava仮想マシンモジュールを含んでも、これとインタフェースをとってもよい。
【0081】
メモリ230はさらに、1つ又は複数のデータストレージ244を含み、このデータストレージは、クライアントデバイス200がとりわけアプリケーション及び/又は他のデータを格納するのに利用され得る。例えば、データストレージ244は、クライアントデバイス200の様々な機能を説明する情報、及びデバイス識別子などを格納するのに用いられてもよい。この機能情報はさらに、通信の際にヘッダの一部として送信される又は要求に応じて送信されるなどを含む様々なイベントのいずれかに基づいて、別のデバイスに提供されてもよい。データストレージ244は、バイオフィードバックセンサから受信した1つ又は複数の測定データをバッファに移すのに用いられてもよい。
【0082】
1つの実施形態では、データストレージ244は、クッキー、コンピュータアプリケーションの一部、ユーザ設定、ゲームプレイデータ、メッセージングデータ、及び/又は他のデジタルコンテンツなども含んでよい。格納されたデータのうちの少なくとも一部は、任意的なハードディスクドライブ272、任意的なポータブル記憶媒体270、又はクライアントデバイス200内の他の記憶媒体(不図示)にも格納されてよい。
【0083】
アプリケーション242はコンピュータ実行可能命令を含んでよい。この命令は、クライアントデバイス200により実行されると、メッセージ(例えば、SMS、MMS、IMS、IM、電子メール、及び/又は他のメッセージ)、オーディオ、ビデオを送信、受信し、且つ/又はそれ以外の場合は処理し、別のクライアントデバイスの別のユーザとの遠隔通信を可能にする。アプリケーションプログラムの他の例には、カレンダ、ブラウザ、電子メールクライアント、IMアプリケーション、VOIPアプリケーション、連絡先マネージャ、タスクマネージャ、データベースプログラム、文書処理プログラム、セキュリティアプリケーション、表計算プログラム、及び検索プログラムなどが含まれる。アプリケーション242にはさらに、ブラウザ245、メッセンジャ243、ゲームクライアント248、及びバイオフィードバックデバイスインタフェース(BFI)249が含まれてよい。
【0084】
メッセンジャ243は、様々なメッセージング通信のいずれかを用いてメッセージングセッションを開始し且つ管理するように構成されてよい。このメッセージング通信には、限定されないが、電子メール、ショートメッセージサービス(SMS)、インスタントメッセージ(IM)、マルチメディアメッセージサービス(MMS)、インターネットリレーチャット(IRC)、mIRC、又はVOIPなどが含まれる。例えば、1つの実施形態では、メッセンジャ243は、AOLインスタントメッセンジャ、Yahoo!メッセンジャ、.NETメッセンジャサーバ、又はICQなどといったIMアプリケーションとして構成されてよい。1つの実施形態では、メッセンジャ243は、Elm、Pine、MH、Outlook、Eudora、Mac Mail、又はMozilla Thunderbirdなどのメールユーザエージェント(MUA)を含むように構成されてよい。別の実施形態では、メッセンジャ243は、様々なメッセージングプロトコルを統合して使用するように構成されたクライアントアプリケーションであってよい。さらに、メッセンジャ243は、複数のメッセージングセッションを同時に管理し、異なるメッセージングセッション及び/又は同じメッセージングセッションでユーザが複数の異なる他のユーザとコミュニケーションをとることを可能にするように構成されてよい。本明細書で用いられる場合、「アクティブメッセージングセッション」という用語は、メッセージングセッションの再開及び/又は再確立を必要とせずに、ユーザが別のユーザとコミュニケーションをとることができるメッセージングセッションを指す。したがって、メッセージングセッションをアクティブに維持するとは、メッセージングセッションが確立しており終了していない、又はそれ以外の場合はスリープモード又は他の休止モードに入っているためにメッセージをアクティブに送信する且つ/又は受信することができないことを示している。
【0085】
ブラウザ245は、グラフィックス、テキスト、及びマルチメディアなどを受信して表示し、実質的にあらゆるウェブベースの言語を使用するように構成された実質的にあらゆるクライアントアプリケーションを含んでよい。1つの実施形態では、ブラウザアプリケーションは、ハンドヘルドデバイスマークアップ言語(HDML)、ワイヤレスマークアップ言語(WML)、WMLScript、JavaScript、標準汎用マークアップ言語(SGML)、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、及び拡張可能マークアップ言語(XML)などを用いて、メッセージを表示し送信することが可能である。しかしながら、様々な他のウェブベースの言語のいずれかも用いられてよい。
【0086】
ゲームクライアント248は、ユーザがプレイする1つ又は複数のゲームを選択し、その1つ又は複数のゲームへのアクセスを登録し、且つ/又はその1つ又は複数のゲームをオンライン対話型プレイ用に起動することができるように構成されたゲームアプリケーションコンポーネントを表す。1つの実施形態では、ゲームクライアント248は、1つ又は複数のコンピュータゲームの登録、購入、そのコンピュータゲームへのアクセス、及び/又はプレイを可能にするために、ネットワークを介したGSD110などといったネットワークデバイスとの通信を確立してよい。
【0087】
ゲームクライアント248は、様々なユーザ入力デバイス(上述したものを含むが、それらに限定されない)を介して、コンピュータゲームを起動する指示をユーザから受信してよい。ゲームクライアント248は次に、クライアントデバイス200とGSD110と別のクライアントデバイスなどとの間で、ゲームデータの通信を可能にしてよい。
【0088】
1つの実施形態では、ゲームクライアント248はコンピュータゲームアプリケーションを表す。しかしながら、ゲームクライアント248はゲームアプリケーションに限定されることはなく、実質的にあらゆる対話型コンピュータアプリケーション又は他の対話型デジタルコンテンツも表してよい。したがって、本明細書ではバイオフィードバック測定データを使用してビデオゲームプレイの状態を調整すると説明されているが、本開示は、ビデオゲームプレイに限定されるものと解釈されるべきではなく、他のアプリケーションの状態も調整されてよい。例えば、表示又はチュートリアルなどが、バイオフィードバック測定データに基づいて調整されてよい。
【0089】
したがって、1つの実施形態では、ゲームエンジン248が、オンラインマルチユーザゲームプレイ及び/又はシングルゲームプレイヤー使用を可能にするのに使用できるクライアントコンポーネントを表す。そのようなコンピュータゲームの非網羅的で非限定的な例には、限定されないが、Valve Corporation(米国、ワシントン州ベルビュー)が開発したHalf-Life、Team Fortress、Portal、Counter-Strike、Left 4 Dead、及びDay of Defeatが含まれる。
【0090】
BFI249は、1つ又は複数のバイオフィードバックセンサの接続を検出し、そのようなセンサから受信した測定データを収集するように構成される。1つの実施形態では、BFI249は、バイオフィードバックセンサとの接続が検出されたことを示す情報をリモートネットワークデバイス及び/又はゲームクライアント248に提供してよい。BFI249はさらに、受信した測定データのうちの少なくとも一部をバッファに移してよい。別の実施形態では、BFI249は、その代わりとして、受信した測定データをバッファに移さずに実質的にリアルタイムでリモートネットワークデバイスに提供することを選択してよい。1つの実施形態では、BFI249は、ネットワークを介して測定データをリモートネットワークデバイスに伝達するのに利用可能なフォーマット及び/又はプロトコルに、測定データを変換してよい。別の実施形態では、クライアントデバイス200がスタンドアローン型のビデオゲームコンソールとして構成され得る場合などに、BFI249は、ネットワークを介して測定データを伝達しないことを選択してよい。1つの実施形態では、BFI249は、測定データを容易に関連づけできるように、受信した測定データにタイムスタンプを追加してもよい。さらに、BFI249は、測定データにセンサソース識別子を与えることで、測定データがそのセンサソースに基づいて区別できるようにしてよい。
【0091】
BFI249はさらに、受信した測定データに対して1つ又は複数の分析を行い、センサが誤った表示を示しているかどうか、又は接続が切れたかどうかなどを判定してよい。そのような判定は、受信した測定データの予測される値の範囲からの変化を所与のセンサが検出するために、受信した複数の測定データの経時的な比較に基づいてよい。例えば、センサ測定法が心拍数センサであることをBFI249が検出し、且つ測定データが、例えば、毎分2回又は毎秒100回もの心拍数を示した場合、BFI249はセンサ測定データが誤っていると判定してよい。しかしながら、BFI249が他の範囲値を用いてもよく、これらの例示的な範囲値の制約を受けないことが明らかなはずである。さらに、BFI249は、異なるセンサに対して異なる範囲値を用いてよい。1つの実施形態では、BFI249は、ゲームプレイヤーが一時的にセンサを調整しているという仮定の下で少なくとも一定の期間の間、ネットワークを介して、判定済みの誤った測定データを提供するかもしれない。しかしながら、別の実施形態では、センサが誤っていると一定の期間を超えて判定された場合、BFI249は、測定データの伝送を中止する且つ/又はリモートネットワークデバイスにメッセージを送信することを選択してよい。
【0092】
図1に関連して上述したように、クライアントデバイス200は、バイオフィードバックAPI及びゲームサーバコンポーネントなどを含んだ、ネットワークデバイス300の各コンポーネント(図3に関連して後述される)を含むように構成されてよい。そのような実施形態では、クライアントデバイス200は、ネットワークデバイス300と通信することなく、実質的にスタンドアローン型ゲームコンソールとして動作するかもしれない。そのような構成では、クライアントデバイス200は、スタンドアローン型ビデオゲームデバイスと呼ばれることがある。
【0093】
[例示的なネットワークデバイス]
【0094】
図3は、1つの実施形態によるネットワークデバイスの1つの実施形態を示している。ネットワークデバイス300は、示されているよりもさらに多くの又は少ないコンポーネントを含んでよい。しかしながら、示されているコンポーネントは、例示的な実施形態を開示するのに十分である。ネットワークデバイス300は、例えば、図1のGSD110を表してよい。
【0095】
ネットワークデバイス300は、処理ユニット312と、ビデオディスプレイアダプタ314と、大容量メモリとを含み、これら全てがバス322を介して互いに通信する。大容量メモリは概して、RAM316と、ROM332と、1つ又は複数の永続的大容量記憶デバイス(ハードディスクドライブ328など)と、テープ式ドライブ、光学式ドライブ、及び/又はフロッピーディスクドライブを表し得るリムーバブル記憶装置326とを含む。大容量メモリは、ネットワークデバイス300の動作を制御するオペレーティングシステム320を格納する。任意の汎用オペレーティングシステムが用いられてよい。基本入力/出力システム(「BIOS」)318も、ネットワークデバイス300の低レベル動作を制御するために提供される。図3に示すように、ネットワークデバイス300は、インターネット又はいくつかの他の通信ネットワークとも、ネットワークインタフェースユニット310を介して通信できる。ネットワークインタフェースユニットは、TCP/IPプロトコル、Wi-Fi、Zigbee、WCDMA、HSDPA、Bluetooth、WEDGE、EDGE、又はUMTSなどを含む様々な通信プロトコルと共に用いるように構成される。ネットワークインタフェースユニット310は、送受信機、送受信デバイス、又はネットワークインタフェースカード(NIC)として知られていることがある。
【0096】
上述した大容量メモリは、別のタイプのコンピュータ可読媒体、すなわちコンピュータ記憶媒体を示している。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造体、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報を記憶する任意の方法又は技術で実現される揮発性媒体、不揮発性媒体、リムーバブル媒体、及び非リムーバブル媒体を含んでよい。コンピュータ可読記憶媒体の例には、RAM、ROM、EEPROM、又はフラッシュメモリなどのメモリ装置、CD-ROM又はデジタル多用途ディスク(DVD)などの光学式記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、又は磁気ディスク記憶装置などの磁気記憶デバイス、あるいは所望の情報を格納するのに用いることができ且つコンピューティングデバイスがアクセスできる任意の他の媒体が含まれる。
【0097】
大容量メモリは、プログラムコード及びデータも格納する。1つの実施形態では、大容量メモリはデータストア356を含んでよい。データストア356は、限定されないが、ゲームプレイヤー設定、ゲームプレイ状態、及び/又は他のゲームプレイデータ、メッセージングデータ、並びにバイオフィードバック測定データなどを含むデータを格納するように構成され且つ配置された実質的にあらゆるコンポーネントを含む。データストア356は、コンピュータアプリケーション及びビデオゲームなどのデジタルコンテンツを格納し且つ管理するように構成され且つ配置された実質的にあらゆるコンポーネントも含む。こうして、データストア356は、データベース、ファイル、又はディレクトリなどを用いて実現されてよい。格納されたデータのうちの少なくとも一部が、ハードディスクドライブ328、ポータブルデバイス(CD-ROM/DVD-ROMドライブ326など)、又はネットワークデバイス300に含まれる他の記憶媒体(不図示)にも格納されてよく、あるいはさらに別のネットワークデバイスにリモートで格納されてもよい。
【0098】
1つ又は複数のアプリケーション350が、大容量メモリに読み込まれ、オペレーティングシステム320で動作する。アプリケーションプログラムの例には、トランスコーダ、スケジューラ、カレンダ、データベースプログラム、文書処理プログラム、HTTPプログラム、カスタマイズ可能なユーザインタフェースプログラム、IPSecアプリケーション、コンピュータゲーム、暗号化プログラム、セキュリティプログラム、VPNプログラム、SMSメッセージサーバ、IMメッセージサーバ、電子メールサーバ、及びアカウント管理などが含まれてよい。アプリケーション350は、ウェブサービス346、メッセージサーバ354、バイオフィードバック付きゲームサーバ(GSB)352、及びバイオフィードバックAPI(BAPI)353も含んでよい。
【0099】
ウェブサービス346は、ネットワークを介して別のコンピューティングデバイスにコンテンツを提供するように構成された様々なサービスのいずれかを表す。したがって、ウェブサービス346は、例えば、ウェブサーバ、メッセージングサーバ、ファイル転送プロトコル(FTP)サーバ、データベースサーバ、又はコンテンツサーバなどを含む。ウェブサービス346は、ネットワークを介し、様々なフォーマットのいずれかを用いてコンテンツを提供してよい。これらのフォーマットには、限定されないが、WAP、HDML、WML、SGML、HTML、XML、cHTML、又はxHTMLなどが含まれる。
【0100】
メッセージサーバ354は、メッセージユーザエージェント及び/又は他のメッセージサーバからのメッセージを管理するように、又はメッセージをメッセージアプリケーション(すなわち、互いのネットワークデバイス)に配信するように構成され且つ配置された実質的にあらゆるコンピューティングコンポーネント又はコンピューティングコンポーネント群を含んでよい。メッセージサーバ354は、特定のタイプのメッセージングに限定されることはない。したがって、メッセージサーバ354は、そのようなメッセージングサービスの機能を提供してよい。このメッセージングサービスには、限定されないが、電子メール、SMS、MMS、IM、IRC、mIRC、Jabber、VOIP、及び/又は1つ若しくは複数のメッセージングサービスの組み合わせが含まれる。
【0101】
GSB352は、図1のクライアントデバイス101などの1つ又は複数のクライアントデバイスから取得したバイオフィードバック情報を用いて、ビデオゲームの配信及びプレイを管理するように構成される。通常、GSB352は、クライアントデバイスにネットワークを介して、ゲームアプリケーションなどのアプリケーションに合ったコンポーネントを提供してよい。1つの実施形態では、提供される複数のコンポーネントのうちの少なくとも1つが、様々な暗号化メカニズムのいずれかを用いて暗号化される。例えば、1つの実施形態では、Crypto++、すなわち、暗号化技術のオープンソースクラスライブラリが、アプリケーションのコンポーネントを暗号化又は暗号解読を行う際に用いられる。しかしながら、実質的にあらゆる他の暗号化及び暗号解読メカニズムが用いられてよい。
【0102】
GSB352はさらに、アプリケーションにアクセスするための、クライアントデバイスからのリクエストを受信し且つ/又は認証してよい。GSB352は、コンピュータゲームなどのアプリケーションの購入を行い、そのアプリケーションのプレイの登録を可能にする、且つ/又はそのアプリケーションのダウンロードアクセスを可能にしてよい。
【0103】
GSB352はさらに、様々なデータ又はメッセージなどをクライアントデバイス同士で受信し且つ/又は提供することによって、マルチプレイヤーアプリケーションに参加しているクライアントデバイス同士の通信を可能にしてよい。
【0104】
GSB352は、1人又は複数のゲームプレイヤーの状態若しくは感情喚起に関する情報、及び/又はゲームプレイヤーに関する他の情報を求めて、バイオフィードバックAPI(BAPI)353にクエリを行ってよい。GSB352は次に、受信したクエリに対する応答に基づいて、ビデオゲームプレイの状態を調整してよい。GSB352がBAPI353に提示し得るクエリに関する非限定的で非網羅的な例が、図6に関連して後述される。ビデオゲームプレイが調整され得る可能な方式の非限定的で非網羅的な例が、図7図8に関連して後述される。1つの実施形態では、GSB352は概して、図5図6に関連して後述されるなどの処理を用いて、その各行動のうちの少なくとも一部を行ってよい。
【0105】
BAPI353は、受信したバイオフィードバック測定データから様々な分析を行い、GSB352からの様々なクエリに対する応答を提供するように構成される。1つの実施形態では、BAPI353は、データ分析の実行を可能にするために、受信したバイオフィードバック測定データを収集してデータストア356に格納すること、又は分析を行う期間にわたって収集され且つ分析された過去のデータを検査することなどを行ってよい。1つの実施形態では、BAPI353は、受信したバイオフィードバック測定データに対して少なくともいくつかの分析を実質的にリアルタイムで行ってよい。すなわち、BAPI353が測定データを受信するとすぐに、その測定データに対して少なくともいくつかの分析が行われる。
【0106】
すでに言及したように、BAPI353は、様々な異なるバイオフィードバックセンサからバイオフィードバック測定データ(限定されないが、図1に関連して上述されたものを含む)を受信してよい。1つの実施形態では、受信した測定データは、心拍数センサ又は電気皮膚センサなどといったセンサソースとして識別されてよい。
【0107】
すでに述べたように、BAPI353は、受信した測定データに対して分析を行ってよい。例えば、BAPI353は、「生の」バイオフィードバック測定データを受信し、その測定データに基づいて、その測定データから心拍数を確認してよい。別の実施形態では、BAPI353は、1つ又は複数の測定データを用いて、関連するゲームプレイヤーに関する他の生理的情報を確認してよい。例えば、BAPI353は、心臓センサの測定データから心拍数変動を計算してよい。同様に、BAPI353は、一定の期間にわたって心拍活動の標準偏差を計算し、心拍数の経時的な傾向を確認する且つ/又は他の心拍パターンを確認することがある。BAPI353は、心拍数データの周波数スペクトルを分析してよい(例えば、フーリエ変換又は同様の分析手法を用いて、心拍周期を様々な周波数に分解することを含む)。BAPI353は、様々な測定データを用いて、ゲームプレイヤーに関する他の生理的情報(限定されないが、呼吸数、リラックス度合い、又は闘争逃走反応データなどを含む)も確認してよい。
【0108】
BAPI353は、分析の結果を次のゲームプレイに用いるために格納するか、又はその結果を実質的にリアルタイムで確認して用いることがある。BAPI353はさらに、漸進的再較正活動などを含む様々な再較正活動を行ってよい。1つの実施形態では、再較正活動はセンサに対して行われてよく、且つ/又は経時的に生理的変化を説明するために行われてよい。
【0109】
同様に、BAPI353は、バイオフィードバック測定データに基づく過去のデータを用いて、特定のゲームプレイヤー又はプロファイルなどを、パターンマッチングなどを含む様々なメカニズムを通じて認識してよい。BAPI353はさらに、バイオフィードバック測定データの消失及び/若しくは破損、又はパターン変化などのような活動に基づいて、あるゲームプレイヤーがいつセンサから外れたか、且つ/又はいつ別のゲームプレイヤーに交代したかを認識してよい。
【0110】
BAPI353は、受信したバイオフィードバック測定データの分析から、特定のパターン又は状況なども検出するように構成されてよい。例えば、1つの実施形態では、BAPI353は、例えば、心拍数、血圧、及び/又は他の測定データの間の因果的コヒーレンスに基づいて、乗り物酔いの始まりを検出できるかもしれず且つ/又は予測することさえできるかもしれない。しかしながら、BAPI353はさらに、ビデオゲームプレイヤー及び/又はGSB352にアラートメッセージを送信してゲームプレイを中止するに値する深刻さがあるかもしれない他の状況を検出してよい。しかしながら、BAPI353はこれらの行動の制約を受けず、他の行動も行われてよい。
【0111】
上述したように、BAPI353はさらに、受信したバイオフィードバック測定データの分析に基づいて、ゲームプレイヤーの感情喚起の状態又は感情状態などに関する推論を行うように構成される。そのような推論は、受信した測定データに基づいて且つ/又はゲームプレイヤー及び/若しくは他のゲームプレイヤーに関する過去のデータに基づいて行われてよい。GSB352は、推論に部分的に基づいて、1人又は複数のゲームプレイヤーの状態又は感情喚起に関する情報、及び/又はこのゲームプレイヤーに関する他の情報についてBAPI353にクエリを行ってよい。
【0112】
1つの実施形態では、GSB352は、ゲームプレイヤーの感情喚起の状態に関する情報を求めてクエリ要求を送信してよい。それに応答して、BAPI353は、「満足している」、「悲しんでいる」、「ストレスを感じている」、「うそをついている」、「退屈している」、又は「興奮している」などといった定性的応答を提供してよい。しかしながら、別の実施形態では、この応答は0~10などといった満足のレベルを示す定量的応答であってもよい。しかしながら、本開示は、これらの値にも、さらにはこの例示的な範囲にも限定されることはなく、他の値及び/又は範囲が用いられてよいことは明らかである。例えば、満足のレベルを示す定量的応答が、レターグレードであってもよい。
【0113】
いずれにしても、図6は、GSB352がBAPI353に送信し得るクエリの非網羅的で非限定的な例の1つの実施形態を示している。例えば示されているように、GSB352は、ゲームプレイヤーが「フラストレーションを感じている」かどうかを確認しようとするクエリを送信してよい。同様に、GSB352は、ゲームプレイヤーが「退屈している」、「リラックスしている」、又は「ぼんやりしている」(ゲームプレイヤーがゲームプレイに集中していないことを示している)などの状態にあるかどうかを確認しようとするクエリを送信してもよい。GSB352は、ゲームプレイヤーが何らかの行動を「予測している」かどうかについてもクエリを行うことがある。そのような情報は、例えば、皮膚伝導度水準又は心拍数測定データなどに基づいてよい。
【0114】
GSB352は、「心拍数トレンドの確認」又は「SCLトレンドの確認」(皮膚伝導度水準について)などといった特定のバイオフィードバック情報を求めるクエリも送信してよい。GSB352はさらに、「プレイヤーが驚いた」などといったゲームプレイヤーの過去の状態に関する情報を求めるクエリを行ってよい。
【0115】
図6に示すように、GSB352は、他の情報と比較される、ゲームプレイヤーに関する情報を提供するクエリ要求も送信してよい。例えば、示されているように、GSB352は、ゲームプレイヤーの現在の状態と以前の状態との比較結果を取得するクエリを行ってよく、そのゲームプレイヤーと他のゲームプレイヤー、基準値、又は標準値などとの比較も行ってよい。図6は、実行可能なクエリの多数の例を提供しているが、他のクエリも行われてよいことは明らかなはずである。したがって、本開示はこれらの例の制約を受けない。
【0116】
いずれにしても、GSB352は次に、クエリの結果を用いて、様々な方式のいずれかでゲームプレイの状態を調整する。1つの実施形態では、本明細書で用いられるように、GSB352へのクエリの結果が次に、バイオフィードバック情報又は「生体的特性」と呼ばれ得る結果を提供してよい。ゲームプレイヤーのバイオフィードバックから取得されるそのような生体的特性を用いることは、従来型のゲームプレイを超えたより没入したゲームプレイ体験の提供に向けて行われる。例えば、ゲームプレイの状態は、アバターによるプレイヤーの感情状態の模倣を可能にすることによって調整されてよい。例えば、プレイヤーが満足していると判定された場合、プレイヤーのアバターも満足に見えるように調整されてよい。同様に、プレイヤーが怒っていると判定された場合、ゲーム状態は、プレイヤーが満足していると判定された場合とは異なるゲームプレイ体験のセットをプレイヤーに示すように調整されてよい。
【0117】
さらに、少なくとも1つの実施形態では、ゲームプレイヤーの感情喚起の状態などの生体的特性は、入力及び/又は入力/出力ユーザデバイスの特性を調整するのに用いられてよい。例えば、ジョイスティックの色又はジョイスティックの抵抗のレベルなどが、ゲームプレイヤーの感情喚起の状態の結果として調整されてよい。同様に、一部の他の入力/出力ユーザデバイスの色が心拍数に基づいて変化してよく、強度のレベル及び/又は色が心拍数、ストレスや退屈のレベル、又はゲームプレイヤーの感情喚起の状態を示す他の生体的特性に基づいて変化してよい。
【0118】
GSB352及びBAPI353はクライアントデバイス(図1のクライアントデバイス101など)から離れたネットワークデバイスの中に存在すものとして示されているが、本開示はそのように制約されないことに留意されたい。したがって、別の実施形態では、GSB352及び/又はBAPI353は、クライアントデバイスの中に、複数の異なるクライアントデバイスの中に、且つ/又は1つ又は複数の異なるネットワークデバイス全体にわたって存在してもよい。同様に、BAPI353は、本開示の範囲から逸脱することなく、GSB352の中に存在してもよい。
【0119】
[一般的な動作]
【0120】
本開示の特定の態様の動作が、ここで説明される。図4は、ゲームプレイヤーからのバイオフィードバック測定値を用いてビデオゲームのゲームプレイ状態を調整する処理について、1つの実施形態のフローチャートを示している。1つの実施形態では、図4の処理400が、図3のGSB352とBAPI353との組み合わせで実現されてよい。
【0121】
図4の処理400は開始ブロックの後に判定ブロック402で始まり、ここでは、バイオフィードバックセンサが接続されているかどうかの判定が行われる。そのような判定は、クライアントデバイス又はゲームサーバアプリケーションなどから受信されたフラグ又はスイッチなどに基づいてよい。別の実施形態では、判定が、1つ又は複数のバイオフィードバックセンサからバイオフィードバック測定データを受信することに基づいて行われてよく、測定値は期待される範囲内にあると判定される。例えば、バックグラウンドノイズ測定値を示しているように見える心拍数センサの測定データが受信された場合、センサが誤っている且つ/又はそれ以外の場合には接続されていないなどと判定されることがある。いずれにしても、ゲームプレイの状態を調整する目的のために、バイオフィードバックセンサが接続されていないと判定された場合は、処理はブロック420に進み、それ以外の場合、処理はブロック404に進む。
【0122】
ブロック420では、他のユーザ入力が受信される。そのような他のユーザ入力には、限定されないが、ジョイスティック、ゲームコントローラ、キーボード、マウス入力、又はオーディオ入力などが含まれてよい。そのような入力は通常、バイオフィードバック測定データの入力とは反対に、ゲームプレイヤーの身体部分による随意的活動又は意識的活動の結果とみなされる。次に処理はブロック422へと続き、ここでは、そのような他のユーザ入力に基づいて、ゲームプレイの状態が調整される。次に処理は判定ブロック416に進み、ここでは、ゲームプレイを続けるかどうかの判定が行われる。ゲームプレイを続ける場合、処理は判定ブロック402に戻る。それ以外の場合、処理はブロック418に進み、ここでゲームプレイが終了する。次に処理は呼び出し処理に戻り、他の行動を実行する。
【0123】
あるいは、判定ブロック402で、バイオフィードバックセンサが接続されていると判定された場合、処理はブロック404に進み、ここでは、1つ又は複数のバイオフィードバックセンサからバイオフィードバック測定データが受信される。1つの実施形態では、バイオフィードバックセンサを受信することは、測定値に対して品質分析を行うこと、測定値にタイムスタンプを追加すること、又はバイオフィードバックセンサのソースを識別することなどを含む。さらに、そのようなバイオフィードバック測定データを受信することは、上述したように、ネットワークを介して測定値をバイオフィードバックAPIに送信することを含んでよい。次に処理はブロック406に進む。ここでは、ブロック420に関連して説明した随意的又は意識的なユーザ入力を含む他のユーザ入力が受信される。ブロック406及び408は異なる順序で行われても、たとえ同時に行われてもよいことに留意されたい。
【0124】
次に処理はブロック408へと続く。このブロックは、図5に関連して以下により詳細に説明される。しかしながら簡潔に言うと、バイオフィードバック測定データに対して分析を行い、過去のデータを生成する、且つ/又は他の分析を行い、ゲームプレイヤーの感情喚起の状態又は他の生体的特性を確認する。1つの実施形態では、バイオフィードバック測定データを受信すると、ブロック408が実質的にリアルタイムで行われてよい。
【0125】
処理はブロック410へと続き、ここでは、前、間、及び/又は後に、ゲームアプリケーション(又は、他の対話型アプリケーション)によってクエリが行われてよい。そのようなクエリには、限定されないが、図6に関連して上述したものが含まれてよい。
【0126】
次にブロック411へと続き、ジョイスティック入力、ゲームコントローラ入力、キーボード入力、オーディオ入力、又はマウス入力などのような他のユーザ入力に基づいて、ゲームプレイの状態が調整される。次に処理はブロック412に進み、ゲームプレイヤーの生体的特性を取得するクエリの結果に基づいて、ゲームプレイの状態が調整されてよい。ゲームプレイ状態の調整例には、限定されないが、ゲーム内の対戦相手のタイプ及び/又は数を調整すること、ゲームのペース又はテンポを調整すること、ゲームイベントの制限時間を増やす/減らすこと、格闘、難問、又は他の挑戦課題の難易度を調整すること、ゲーム内の必需品、パワーアップアイテム、及び/又は他の側面のアイテムの入手可能性を調整すること、音、音楽、及び/又は他のオーディオ機能の音量及び/又はタイプを調整すること、ゲームの背景機能を含むゲームの色又は他の側面を調整すること、ゲーム内のライティング、気象効果、及び/又は他の環境的側面を調整すること、ゲーム内の様々な登場キャラクタの対話を調整すること(場合によっては、ゲームプレイヤーを表すアバターを調整することを含む)、ゲームのヒント、提案を提供する又は禁止すること、あるいはアプリケーションの外観又は機能を調整することなどが含まれる。例えば、1つの実施形態では、ユーザインタフェースが様々な生体的特性に基づいて調整されてよい。同様に、チュートリアル又は説明書なども、表示を飛ばす、又は表示速度を下げる/上げるなどによって調整されてよい。クエリから結果として得られる生体的特性に基づいて、ゲーム状態を調整する他の方式が用いられてよいことは、当業者にとって明らかなはずである。次に処理は判定ブロック416へと続き、ここでは上述したように、ゲームプレイを続けるかどうかの判定が行われる。
【0127】
図5は、ビデオゲームに用いるためにゲームプレイヤーからのバイオフィードバック測定データの分析を行う処理について、1つの実施形態のフローチャートを示している。1つの実施形態では、図5の処理500が図3のBAPI353に実装されてよい。
【0128】
処理500は開始ブロックの後にブロック502で始まり、ここではバイオフィードバック測定データが受信される。ブロック504へと続き、随意的又は意識的なユーザ入力などの他のユーザ入力が受信される。少なくとも1つの実施形態では、バイオフィードバック測定データの分析が、随意的又は意識的なユーザ入力から取得される情報を用いても、その情報で補完されてもよい。例えば、ユーザが特定のコマンド又はテキストなどをキーボードにタイプしている場合、そのテキスト又はコマンドが、心拍数変動などの解釈を補完するのに用いられてよい。同様に、ブロック506に進むと、バイオフィードバック測定データの分析をさらに支援するために、他のゲーム状態データが選択的に受信され且つ使用されてよい。例えば、そのようなゲーム状態データは、ゲームがゲームプレイヤーに非常に難しい挑戦課題などを提示していることを示しているかもしれない。しかしながら、心拍数測定データは安静時の標準的な成人男性の心拍数であると判定されるかもしれない。
【0129】
したがって、ブロック508に進むと、受信したバイオフィードバック測定データに対して第1の分析を行い、消失したデータ及び/又は破損したデータがあるかどうかを判定してよい。1つの実施形態では、そのような判定は、バイオフィードバックセンサが誤っていること、又はゲームプレイヤーがセンサの位置を変えたことなどを示しているかもしれない。1つの実施形態では、測定データが破損しているか、あるいは誤っていると第1の期間で判定されたが、第2の期間では破損も誤りも確認されなかった場合、受信した測定データを「滑らかにする」ために補間法が行われてよい。別の実施形態では、破損している/誤っている測定データに関連したセンサは、破損として記録されるか、あるいは破損と識別されてよい。どちらの場合も、1つの実施形態では、記録されたセンサの測定データは無視されてよい。さらに別の実施形態では、最近のこれまでの状況からみて正しいと分かっている最近のデータが、破損している/誤っている又は消失しているなどと判定されたデータを置き換えて、例えば、センサの再調整の間及び/又は他のデータ変動の間の期間を「埋める」のに用いられてよい。
【0130】
次に処理はブロック510に進み、ここでは、ゲームプレイヤーの感情喚起の状態及び/又は他の生体的特性を確認するために、受信したバイオフィードバック測定データに対して、部分的に他の受信したデータを用いて第2の分析が行われる。ブロック510では、こうした情報の組み合わせを用いて、ゲームプレイヤーが退屈している、又はぼんやりしているなどと判定されてよい。いずれにしても、ブロック502、504、506、及び508は、別の順序で行われても、たとえ同時に行われてもよいことに留意されたい。
【0131】
本明細書で説明したように、統計解析又はパターンマッチングなどの実行を含む、ゲームプレイヤーの生体的特性及び/又は他の生理的特性の推論に、様々なメカニズムが用いられてよい。1つの実施形態では、1人又は複数のゲームプレイヤーに関する過去の情報は、ゲームプレイヤーの感情喚起の状態を含む、ゲームプレイヤーの様々な生体的特性を推論する分析の実行を支援するのに用いられてよい。
【0132】
次に処理はブロック512に進み、ここでは、1つの実施形態において、推論、測定データ、及び/又は他のデータのうちの少なくとも一部が、ユーザプロファイルの更新に用いられてよい。次に処理はブロック514に進み、ここでは、推論、バイオフィードバック測定データ、及び/又は他のデータに基づく選択された優先事情が識別されてよい。例えば、1つの実施形態では、ゲームプレイヤーの測定データが、ゲームプレイヤーの具合が悪いと推論するのに使用できると判定され得る場合、そのような事情は、さらなる行動のために識別されるかもしれない。したがって、処理は次に判定ブロック516に進み、ここでは、任意のそのような優先事情が識別されるかどうかの判定が行われる。優先事情が識別されるならば、処理はブロック520に進み、ここでは、ゲームプレイヤー又は管理者などにアラートが送信されてよい。1つの実施形態では、ゲームプレイが終了するかもしれない。次に処理は判定ブロック518に進む。
【0133】
しかしながら、優先事情が識別されない場合、処理は判定ブロック518に進み、ここでは、受信したバイオフィードバック測定データに対して分析を続けて行うかの判定が行われる。分析を続ける場合、処理はブロック502に戻り、それ以外の場合、処理は呼び出し処理に戻ってよい。
【0134】
ゲームプレイの状態を調整するのにバイオフィードバック測定データを用いることを説明するいくつかの可能な使用事例を次に説明する。しかしながら、本開示はこれらの使用事例の制約を受けず、他の使用事例も用いられてよいことに留意されたい。
【0135】
上述したように、図6は、バイオフィードバック測定データのバイオフィードバックアプリケーションプログラミングインタフェース(API)にクエリを行うのに用いるクエリについての非網羅的で非限定的な例の1つの実施形態を示している。本開示は、図6に示されているこれらのクエリ例に限定されることはなく、他のクエリ例も用いられてよいことに留意されたい。しかしながら、示されているように、限定されないが、プレイヤーの感情喚起レベル及び/又は感情レベルの判定を含む様々な異なるクエリが行われてよい。1つの実施形態では、感情喚起に関する特定のクエリには、プレイヤーが「満足しているか」、「悲しんでいるか」、「フラストレーションを感じているか」、「元気なのか」、「(ゲームプレイに)熱中しているか」、「退屈しているか」、「リラックスしているか」、又は「ぼんやりしているか」ということも含まれてよい。プレイヤーが何らかの行動を予測していると判定されるのか、驚いているのか、又は驚いたのかなどに関するクエリも行われてよい。同様に、例えば、心拍数トレンド、SCLトレンド、又は何らかの他の信号トレンドを含む特定のバイオフィードバックが取得されてもよい。実施形態によっては、トレンドが判定される期間がクエリと共に設けられてよい。
【0136】
クエリがこれらの例に限定されることはなく、他のクエリが当該プレイヤー及び/又は別のプレイヤーに関する比較情報を含んでもよい。1つの実施形態では、任意のクエリが生成されてよい。例えば、特定の公式、方程式、又はバイオフィードバック測定データの組み合わせなどが提示されてよい。
【0137】
図7は、アリーナコンバットビデオゲームにおいてゲームプレイ状態の調整に用いるためのバイオフィードバック測定データを用いた、非網羅的で非限定的な例の1つの実施形態を示している。
【0138】
示されているように、図7の処理700は開始ブロックの後にブロック702で始まり、ここでは、格闘シナリオを提供するように構成されたコンピュータゲームが実行される。コンピュータゲームを実行すると、プレイヤーが格闘競技場に配置される。すなわち、1つの実施形態では、プレイヤーをコンピュータゲームに表すのに、アバター又はメカニズムが使用されてよい。プレイヤーは、1つ又は複数のバイオフィードバックセンサ(上述したものなど)を使用している。
【0139】
こうして、処理はブロック704に進み、ここでは、BAPIがプレイヤーのバイオフィードバック測定データの基準数値を設定することを要求するリクエストが、コンピュータゲーム中に行われてよい。1つの実施形態では、バイオフィードバック測定データは、心拍数基準値、皮膚伝導度水準、又は他のバイオフィードバック測定データを含んでよく、これらは次に、プレイヤーの感情喚起又は生体的特性の基準状態を確認するのに分析されてよい。
【0140】
処理は次にブロック706に進み、ここでは、敵がプレイヤーと対戦するために競技場に導入される。1つの実施形態では、敵の選択は、判定された感情喚起の基準状態に基づいている。1つの実施形態では、基準値は、このプレイヤーがこのゲーム又は類似したゲームを以前にプレイしていることを示すユーザプロファイルとこのプレイヤーが関連しているかどうかを検出するのに用いられてよい。ユーザプロファイルに基づいて、敵も、プレイヤーを退屈させる又はフラストレーションを感じさせることなく、プレイヤーを十分に刺激するように決定されたレベルで選択されてよい。
【0141】
処理は次にブロック708に進み、ここでは、プレイヤーと与えられたゲーム上の敵との間で格闘が展開される。格闘が展開されると、様々なバイオフィードバック測定データが収集され、記録され、且つ/又は分析される。
【0142】
1つの実施形態では、処理は次に判定ブロック710に進み、ここでは、格闘の決着がついたかどうかの判定が行われる。すなわち、プレイヤー又はゲーム上の敵のいずれかが勝ったかということである。格闘の決着がついた場合、処理は判定ブロック712に進んでよく、それ以外の場合、処理はブロック708に戻ってよい。
【0143】
判定ブロック712では、プレイヤーがゲーム上の敵を負かしたかどうかの判定を行うことができる。敵を負かした場合、処理はブロック714に進み、それ以外の場合、処理はブロック722に進む。
【0144】
別の実施形態では、同じ格闘の間に判定ができるように、判定ブロック710が取り除かれてよいことに留意されたい。すなわち、判定ブロック710が取り除かれた状態で、判定ブロック712が調整されてよく、こうすることで、プレイヤーがゲーム上の敵を負かした(すなわちゲーム上の敵に勝った)かどうかの判定が行われる。このように、ゲーム状態に対する変更が同じゲーム格闘を動的に調整してよい。
【0145】
いずれにしても、ブロック722では、ブロック708の格闘中に取得したバイオフィードバック測定データを分析するために、クエリがBAPIに提供されてよい。1つの実施形態では、この分析には、ブロック708における感情喚起の状態と、ブロック704でプレイヤーの基準値から判定された感情喚起の状態との比較が含まれてよい。
【0146】
次に処理は判定ブロック724に進み、ここでは、格闘中のプレイヤーの感情喚起の状態が低いかどうかの判定が行われる。そのような判定は、ブロック722における比較から得た差異が、定められた閾値を超えているかどうかに基づいてよい。別の実施形態では、何らかの信頼水準内で、大幅にプレイヤーの感情が喚起されていると統計的に判定できるかどうかを判定するために、統計解析が行われてよい。いずれにしても、プレイヤーの感情が喚起されていると判定された場合、処理はブロック728に進み、ここでは、前の敵と力のレベル又は難易度が同様である別の敵がゲームに導入されてよい。次に処理は、ブロック708に戻る。
【0147】
しかしながら、感情喚起の状態が統計的に有意ではないと判定されたか又は何らかの閾値より低い場合、処理はブロック726に進み、ここでは、前の敵より力が弱い敵が導入される。次に処理は、ブロック708に戻る。
【0148】
しかしながら、判定ブロック712において、プレイヤーが敗れた又は敗れそうだと判定された場合、処理はブロック714に進み、ここでは、ブロック722と実質的に同様のクエリが行われる。続いて、判定ブロック716では、プレイヤーの感情喚起の状態が低いかどうかという、判定ブロック724の判定と実質的に同様の判定が行われる。感情喚起の状態が低い場合、処理は718に進み、それ以外の場合、処理はブロック720に進む。
【0149】
ブロック718では、前の敵より力が強い敵が導入される。次に処理は、ブロック708に戻る。ブロック720では、前の敵と同様の力を有する敵が導入されてよい。次に処理は、ここでもブロック708に戻る。
【0150】
明らかであるが、処理700は、同じ格闘が行われている間に、敵の力の動的な調整を行うように調整され、敵の交代には、例えば、単に現在の敵の力を高める又は現在の敵からある程度の力を取り除くこと、あるいは追加の敵を導入する且つ/又は取り除くことなどを含むいくつかの形態がとられてよい。
【0151】
図8は、ゲームプレイ状態の調整に用いるためにバイオフィードバック測定データを用いる別の非網羅的で非限定的な例について、別の実施形態を示している。図8の処理800では、示されているゲームは宇宙ビデオゲームである。この例示的なゲームでは、プレイヤーは、自分の空気消費量を制御しようとすることによって、酸素量を節約しようとすることを要求される。例えばこのゲームでは、プレイヤーが5分などの一定の期間の後で救出されることになっている状況に導入されてよい。しかしながら、プレイヤーの宇宙服には、例えば、毎秒1単位の酸素にあたる所定の「標準的な」消費率で消費した場合に、6分相当の酸素が含まれている。プレイヤーは次に、プレイヤーのバイオフィードバック測定データに基づいて調整され得る様々な状況に導入される。したがって、1つの実施形態では、プレイヤーのバイオフィードバック測定データに基づいて、ゲームをもっと複雑にする又は簡単にするようにゲーム状態を調整し、プレイヤーが行う必要がある活動をもっと導入したり、その活動の数を減らしたりすることができる。ゲームプレイ中には、プレイヤーはさらに、自分の酸素消費量を管理することが期待されている。したがって、1つの実施形態では、プレイヤーは、敵との格闘、難問の解決、又は他の課題などといったビデオゲーム内のストレスの多い様々な任務に取り組んでいる間、生理的感情喚起のレベル(これは、ビデオゲームのアバターによる酸素消費量に関連づけられてよい)を低く維持しようとすることによって、自分の空気消費量を制御するよう要求される。
【0152】
示されているように、この例では次に、処理800は開始ブロックの後にブロック804で始まり、ここでは、例えば、ゲームの時間、酸素レベル、及び消費率などを含む、様々なゲーム変数が設定されてよい。次にブロック806に進むと、指示又は同様の情報などがプレイヤーに表示されてよい。指示などを表示している間、プレイヤーの基準値を確認するために、様々なバイオフィードバック測定データが受信され且つ分析されてよい。例えば、1つの実施形態では、バイオフィードバック測定データは、プレイヤーの心拍数測定データを含んでよい。
【0153】
処理はブロック808へと続き、ここでは、ある期間のプレイヤーの平均心拍数を確認するために、BAPIがクエリを受けてよい。図8に示すように、1つの期間は30秒である。しかしながら、明らかなはずであるが、ここでのゲームの期間及び他のパラメータは単に説明するためのものであり、他の値が用いられてもよい。いずれにしても、クエリの結果は次に、基準心拍数として用いられてよい。
【0154】
処理は次にブロック812に進み、ここでは、ゲームプレイが始まってよい。ブロック814へと続き、プレイヤーは、プレイの様々なゲーム状態に導入される。これらのゲーム状態には、プレイヤーを移動させる、格闘させる、プレイヤーに音楽を演奏させる、且つ/又はそれ以外の場合はアイテムを修理させる、又は他のプレイヤーと会話させるなどが含まれてよい。ブロック816に進むと、ゲームプレイ中に、ゲームが追加の心拍数測定データを収集するために追加のクエリ要求を行う。次に、直近の10秒間のゲームプレイなどのある期間にわたって、平均心拍数が求められてよい。ブロック818へと続き、例えば、バイオフィードバック測定データに基づいて判定されたプレイヤーが酸素を消費する割合に基づいて、酸素の消費率がさらに求められてよい。1つの実施形態では、酸素消費量は、プレイヤーの平均の基準心拍数に対するプレイヤーの現在の心拍数の比率から導出されてもよく、あるいは推論されてもよい。
【0155】
ブロック820へと続き、ゲームプレイの時間が減らされる。ブロック822へと続き、残っている酸素の量が、求めたプレイヤーの消費率に基づいて判定される。判定ブロック824へと移動し、酸素がまだ残っているかどうかの判定が行われてよい。まだ残っている場合、処理は判定ブロック828に進み、それ以外の場合、処理はブロック826に進む。
【0156】
ブロック826では、プレイヤーの登場キャラクタは酸素を使い果たしたので、窒息で死亡したと判定される。次にゲームは終了し、呼び出し処理に戻ってよい。あるいは、判定ブロック828では、ゲームの残り時間がなくなったかどうかの判定が行われる。残り時間がなくなった場合、ブロック830においてゲームが終了したと判定され、プレイヤーの登場キャラクタは生き延びたと判定される。次に処理は戻る。しかしながら、まだ時間がある場合、処理はブロック814に戻り、ゲームを続ける。
【0157】
フローチャート図の各ブロック及びフローチャート図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令で実現できることが理解されるであろう。これらのプログラム命令は、ある機械を作り出すためにプロセッサに提供されてよく、その結果、プロセッサで実行する命令によって、フローチャートの1つ又は複数のブロックで指定された行動を実現する手段が生まれることになる。コンピュータプログラム命令は、プロセッサにより実行され、一連の動作段階をプロセッサに行わせて、コンピュータ実装処理を作り出してよく、これにより、命令はプロセッサで実行されて、フローチャートの1つ又は複数のブロックで指定された行動を実現する各段階を提供する。
【0158】
したがって、フローチャート図の各ブロックは、指定の行動を実行する手段の組み合わせ、指定の行動を実行する段階の組み合わせ、及び指定の行動を実行するプログラム命令手段をサポートする。フローチャート図の各ブロック及びフローチャート図の各ブロックの組み合わせは、指定の行動又は段階を行う専用ハードウェアベースのシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実現できることも理解されるであろう。
【0159】
上記のゲーム例から分かるように、バイオフィードバック測定データは、ゲームプレイの状態を調整する様々な方式に用いられてよい。しかしながら、方式のバリエーションは上述したものに限定されることはない。例えば、上記のゲームに対するバリエーションでは、バイオフィードバック測定データは、ゲームへの入力を制御するのに用いられてよい。例えば、大型の生き物がゲームプレイヤーの登場キャラクタを見つけ出そうとしている場合、プレイヤーは自分の位置を生き物に気づかれないように、ストレスレベルを維持するか又は下げることが期待されてよい。類似したゲームでは、プレイヤーは、手錠又は他の拘束具から抜け出す又は鍵の掛かったドアを打ち破って危機を脱するために、急激な生理的感情喚起を示すことが必要とされ得る。
【0160】
別のゲームシナリオでは、ユーザにクッキーを与える小妖精の登場キャラクタが、プレイヤーが平静なときだけ現れ、ユーザが平静ではないと判定された場合は近づかないことがある。クッキー(又は他の報酬)を切望するプレイヤーは、小妖精の登場キャラクタを引き寄せるために、平静の状態を実現しなければならない。さらに別のゲームシナリオでは、森林冒険において、プレイヤーが特定の生理的な感情喚起の状態にあると判定されると、緑の木々が生い茂り、晴れ渡った天候になることがある。プレイヤーがこの状態から逸脱すると、空が暗くなることがあり、木々が枯れる且つ/若しくは黒くなることがあり、並びに/又は様々な色、音楽、及び/若しくは他の音が変化することがある。こうして、ゲーム内の様々な背景的側面が、プレイヤーのバイオフィードバック測定データに基づいて動的に調整され得る。
【0161】
同様に、プレイヤーからのバイオフィードバック測定データに基づいて、プレイヤー以外の様々な登場キャラクタが対話を選択する、又は自分の表示を変えることなどを行ってよく、例えば、ユーザの推論される感情喚起の状態又は他の生体的特性に対して直接的にコメントすることが含まれる。
【0162】
さらに他の例では、ユーザのアバターが、目に見える心臓、脳、又は他の身体部分を示すことがあり、これらの身体部分はバイオフィードバック測定データに基づいて調整されてよい。例えば、心臓は色を変えて、退屈、怒り、又は満足などを示してよい。同様に、心臓は、プレイヤーの心拍数と一致するように拍動してよい。さらに別の実施形態では、アバターの心拍数は、プレイヤーの心拍数よりわずかに遅くなるように、つまり、プレイヤーが平静になるよう誘導しようとするために調整されてよい。アバターの表情も、推論されるプレイヤーの感情喚起の状態の結果として変化してよく、例えば、笑顔を示す、顔をしかめる、又は怒りを表すなどの変化が含まれる。
【0163】
さらに、ユーザインタフェースデバイス又は画面表示なども、プレイヤーの推論される感情喚起の状態に基づいて調整されてよい。こうして、プレイヤーがストレスを感じていると判定された場合、ユーザインタフェースは、プレイヤーが体験しているゲームプレイの問題に対する解決策にプレイヤーを導くためにヘルプ機能を表示してよい。バイオフィードバック測定データがゲームプレイの状態を調整し得る複数の他の方式がまだある。したがって、すでに言及したように、本開示は上述したことに限定されることはない。
【0164】
図9は、ビデオゲームに用いるための注視位置を示す、ゲームプレイヤーからのバイオフィードバック測定データの分析を行い、バイオフィードバック測定データの分析に応答して、そのようなビデオゲームを調整又は拡張する処理の1つの実施形態について、フローチャートを示している。1つの実施形態では、処理900が、図2及び図3のそれぞれのデバイス200及び300(概して、「ビデオゲームデバイス」と呼ばれる)の一方又は両方などの、1つ又は複数のコンピューティングデバイスの中で行われてよい。
【0165】
処理900は開始ブロックの後にブロック902で始まり、ここでは、ビデオゲームデバイスは、ビデオゲームの諸機能を提供するユーザインタフェースを介してビデオゲームプレイヤーにゲームプレイを提供する。904では、ビデオゲームデバイスは、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサから、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームをプレイしている間にビデオゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを受信する。1つ又は複数のバイオフィードバックセンサは、プレイヤーがビデオゲームをプレイする間に、ビデオゲームプレイヤーの両眼の一方又は両方の指標追跡を行うように機能してよい。1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサは、ヘッドマウントデバイス(例えば、ヘッドマウントディスプレイデバイス)に連結された1つ又は複数の光センサ(例えば、IRセンサ、ビデオカメラ)などの、少なくとも1つの光センサを含んでよい。少なくとも一部の実装形態では、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサは、少なくとも1つの赤外光源と少なくとも1つの赤外線センサとを含んでよい。
【0166】
906では、ビデオゲームデバイスは、バイオフィードバック測定データを処理して、ビデオゲームのゲームプレイ中に、ビデオゲームプレイヤーの注視点を追跡する。一例として、バイオフィードバック測定データは、ユーザがビデオゲームをプレイするときにビデオゲームプレイヤーが見ている、ビデオゲームデバイスのディスプレイ上の位置を判定するのに用いられてよい。
【0167】
本明細書で説明したように、注視位置を判定するのに様々なメカニズムが用いられてよく、例えば、統計解析やパターンマッチングを行うこと、1つ又は複数のモデルを用いることなどが含まれる。1つの実施形態では、1人又は複数のゲームプレイヤーに関する過去の情報が、注視位置機能の実行を支援するのに用いられてよい。
【0168】
908では、ビデオゲームデバイスは、ビデオゲームプレイヤーの追跡した注視点に少なくとも部分的に基づいて、ビデオゲームのゲームプレイを動的に調整又は拡張する。一例として、ビデオゲームデバイスは、ビデオゲームプレイヤーが現在注視していない領域に、登場キャラクタ又は他のオブジェクトを出現させてよく、こうすることで、ビデオゲームプレイヤーにとって驚きの要素が生まれてよい。別の例として、ビデオゲームデバイスは、ビデオゲームプレイヤーが現在注視している領域に、登場キャラクタ又は他のオブジェクトを出現させてよく、こうすることで、そのようなオブジェクトをビデオゲームプレイヤーが移動しようとする経路に出現させてよい。
【0169】
少なくとも一部の実装形態では、ビデオゲームデバイスは、追跡した注視位置に基づいて、ヒント又は他の手助けをビデオゲームプレイヤーに提示させてよい。例えば、ビデオゲームプレイヤーが長時間にわたってドアや壁を凝視している場合、ビデオゲームデバイスは視覚通知及び/又は可聴通知をビデオゲームプレイヤーに与え、ビデオゲームが上達する方法に関するヒントを提供してよい。例えば、ビデオゲームデバイスは、追跡した注視位置に基づいてプレイヤーが道に迷ったと認識すると、マップ又は移動方向をプレイヤーに提供してよい。
【0170】
別の例として、ビデオゲームデバイスは、追跡した注視位置に基づいて、チュートリアルをビデオゲームプレイヤーに提示させてよい。例えば、ビデオゲームプレイヤーは、ビデオゲームプレイヤーが手助けを必要としていることを示すと判定されるパターンでディスプレイを注視していることがある。そのようなパターンの検出に応答して、ビデオゲームデバイスは、ビデオゲームプレイヤーにチュートリアル又は他の手助けを与え、プレイヤーがビデオゲームをプレイする方法又はビデオゲームが上達する方法を学習する手助けをしてよい。
【0171】
図10は、ビデオゲームに用いるために、ゲームプレイヤーからのバイオフィードバック測定データの分析を行い、バイオフィードバック測定データの分析に応答してビデオゲームプレイヤーの次の動きを判定する処理の1つの実施形態について、フローチャートを示している。処理1000は、例えば、1つの実施形態では、図2及び図3のそれぞれのデバイス200及び300の一方又は両方の中で行われてよい。
【0172】
処理1000は開始ブロックの後にブロック1002で始まり、ここでは、ビデオゲームデバイスは、ビデオゲームの諸機能を提供するユーザインタフェースを介してビデオゲームプレイヤーにゲームプレイを提供する。1004では、ビデオゲームデバイスは、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサから、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームをプレイしている間にビデオゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを受信する。1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサは、1つ又は複数の脳波検査(EEG)電極を含んでよく、バイオフィードバック測定データはEEG信号を含んでよい。さらに又は代替的に、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサは、1つ又は複数の電極を含んでよく、バイオフィードバック測定データは神経信号を含んでよい。そのようなケースでは、1つ又は複数の電極は、ビデオゲームプレイヤーの首、背中、胸、肩、腕、手首、手などに配置可能であってよい。非限定的な例として、バイオフィードバック測定データは、神経信号、EEG信号、EMG信号、EOG信号、fNIR信号、血流を示す(例えば、IRカメラからの)信号、機能的近赤外分光分析法(fNIR)分光信号、感圧抵抗器(FSR)信号、表情検出信号、瞳孔拡張表示信号、眼球運動信号、ジェスチャモーション信号などのうちの1つ又は複数を含んでよい。
【0173】
1006では、ビデオゲームデバイスは、バイオフィードバック測定データを分析し、ビデオゲームのゲームプレイ中にビデオゲームプレイヤーの次の動き又は近いうちに起こる動きを判定する。この分析には、1つ又は複数のニューラルネットワークを利用する1つ又は複数のモデルなどの、1つ又は複数の学習済み若しくは訓練済みのモデルを利用することが含まれてよい。さらに又は代替的に、この分析には、フーリエ変換、スペクトル密度解析などといった、データの検知を行う1つ又は複数の他の信号処理手法を用いることが含まれてよい。例えば、ビデオゲームデバイスは、受信したバイオフィードバック測定データに基づいて、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームデバイスの入力デバイス(マウス、キーボード、ハンドヘルドコントローラなど)に入力を提供しようとしていると判定してよい。この入力は、入力デバイスのボタン、キー、ホイール、トリガ、又は他の入力を作動してよい。次の動きは、入力デバイス(例えば、コントローラ)を物理的に動かすことであってもよい。いくつかの実装形態では、次の動きは、腕を動かす、脚を動かす、ジェスチャを行う、起立する、着席する、表情を変える、注視位置を変える、又はあらゆる他の身体的動きといった、ビデオゲームプレイヤーの身体的動きであってよい。
【0174】
1008では、ビデオゲームデバイスは、ビデオゲームプレイヤーの判定された次の動きによって生じる行動を開始する。少なくとも一部の実装形態では、ビデオゲームデバイスは、その行動をビデオゲームプレイヤーが次の動きを開始するより前に開始してよく、これにより、次の動きがビデオゲームデバイスにより予測される。例えば、ビデオゲームデバイスは、バイオフィードバック信号(例えば、神経信号、EEG信号)を分析して、ビデオゲームプレイヤーがマウスボタンをクリックしようとしていると判定してよい。そのような判定に応答して、ビデオゲームデバイスは、ビデオゲームプレイヤーが実際にマウスボタンをクリックする前にマウスクリックを開始してよく、これにより、以前に可能だったよりもはるかに速い反応時間をユーザに提供できる。別の例として、ビデオゲームデバイスは、バイオフィードバック信号に基づいて、ビデオゲームプレイヤーが移動しようとしていることを検出してよく、ビデオゲームデバイスはオブジェクト(例えば、ゲームプレイヤーに対応する登場キャラクタ、仮想の武器)をビデオゲームプレイヤーが実際に移動する前に移動させてよい。そのような機能によって、ビデオゲームプレイヤーが移動すると決めてから実際の動きが発生するまでに生じる遅延が減少する。
【0175】
少なくとも一部の実装形態では、ビデオゲームデバイスは、ビデオゲームプレイヤーが決めた次の動きを実際に実行したかどうかについてのインジケーションを受信してよい。例えば、ビデオゲームデバイスは、プレイヤーがマウスボタンを実際にクリックしたかどうかについてのインジケーションを受信してよい。ビデオゲームプレイヤーが次の動きを行わなかったというインジケーションの受信に応答して、ビデオゲームデバイスは、開始した行動(例えば、マウスクリック、登場キャラクタの動きなど)を調整するか又は元に戻し、間違って予測した動きの影響を「取り消す」又は最小限に抑えてよい。
【0176】
図10の処理1000はビデオゲームの文脈で説明されているが、本開示はそのように限定されないことを理解されたい。概して、本明細書で論じられる諸機能は、多数のアプリケーション、例えば、ユーザがコンピューティングデバイスのユーザインタフェースとやり取りする様々なアプリケーションなどに用いられてよい。
【0177】
図11は、ユーザからのバイオフィードバック測定データの分析を行い、ユーザの動きを予測するように機能するモデルを更新又は訓練する処理について、1つの実施形態のフローチャートを示している。処理1100は、例えば、図2及び図3のそれぞれのデバイス200及び300などのコンピューティングデバイスにより行われてよい。
【0178】
処理1100は開始ブロックの後にブロック1102で始まり、ここでは、コンピューティングデバイスがユーザインタフェースをユーザに提供する。ユーザインタフェースは、マウス、キーボード、コントローラ、マイク、ビデオカメラなどといった1つ又は複数の入力デバイスを含んでよい。
【0179】
1104では、コンピューティングデバイスは、ユーザがユーザインタフェースとやり取りしている間に、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサからユーザのバイオフィードバック測定データを受信する。上述したように、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサは、EEG信号を取得する1つ又は複数のEEG電極又は神経信号を測定する1つ又は複数の電極を含んでよい。1つ又は複数の電極は、ビデオゲームプレイヤーの首、背中、胸、肩、腕、手首、手などに配置可能であってよい。概して、バイオフィードバック測定データは、神経信号、EEG信号、EMG信号、EOG信号、fNIR信号、血流を示す(例えば、IRカメラからの)信号、機能的近赤外分光分析法(fNIR)分光信号、感圧抵抗器(FSR)信号、表情検出信号、瞳孔拡張表示信号、眼球運動信号、ジェスチャモーション信号などのうちの1つ又は複数を含んでよい。
【0180】
1106では、コンピューティングデバイスは、1つ又は複数の学習済みモデルに基づいてバイオフィードバック測定データを分析し、ユーザによる少なくとも1つの入力デバイスとのやり取りを予測してよい。学習済み又は訓練済みのモデルには、例えば、1つ又は複数のニューラルネットワークを利用する1つ又は複数のモデルが含まれてよい。上述したように、さらに又は代替的に、この分析には、フーリエ変換、スペクトル密度解析などの、データの検知を行う1つ又は複数の他の信号処理手法を用いることが含まれてよい。例えば、ビデオゲームデバイスは、受信したバイオフィードバック測定データに基づいて、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームデバイスの入力デバイス(マウス、キーボード、ハンドヘルドコントローラなど)に入力を提供しようとしていると判定してよい。この入力は、入力デバイスのボタン、キー、ホイール、トリガ、又は他の入力を作動してよい。次の動きも、入力デバイス(例えば、コントローラ)を物理的に動かすことであってよい。いくつかの実装形態では、次の動きは、腕を動かす、脚を動かす、ジェスチャを行う、起立する、着席する、表情を変える、注視位置を変える、又はあらゆる他の身体的動きといった、ビデオゲームプレイヤーの身体的動きであってよい。
【0181】
1108では、コンピューティングデバイスは、予測したようにユーザが少なくとも1つの入力デバイスと実際にやり取りしたかどうかを検出してよい。例えば、コンピューティングデバイスは、ユーザがマウスクリックを実際に実行したかどうかを、コンピューティングデバイスがそのように予測した場合に判定してよい。
【0182】
1110では、コンピューティングデバイスは、予測したようにユーザが少なくとも1つの入力デバイスと実際にやり取りしたかどうかを検出したことに基づいて、学習済みモデルを更新してよい。言い換えれば、コンピューティングデバイスは、フィードバックを利用して、教師あり学習プロセスに用いられ得る新たなラベル付きサンプルを提供し、当該ユーザ又は他のユーザの将来の動きを予測するモデルの能力を更新する(例えば、調整する、訓練する、再訓練する)又は別の方法で向上させてよい。
【0183】
図12は、本明細書で説明される複数の処理のいずれかといった、本開示の1つ又は複数の特徴が実施され得るシステム1200の1つの実施形態の概要を大まかに示す概略図を示している。システム1200は、図12に示すよりも少ない又は多くのコンポーネントを含んでよい。図12に示すように、システム1200は、ユーザ1202により操作されるクライアントコンピューティングデバイス1204を含む。クライアントコンピューティングデバイスは、図1のクライアントデバイス101と同様であっても、全く同じであってもよい。図12には示していないが、システム1200は、図1のシステム100に示すように、1つ又は複数の有線ネットワーク若しくは無線ネットワーク、1つ又は複数のゲームサーバデバイスなども含んでよいことを理解されたい。
【0184】
クライアントデバイス1204は、様々なバイオフィードバックセンサ1208から、メッセージ、信号、画像、及び/又は他のバイオフィードバック測定データを受信するように構成されてよい。図12には、ユーザ1202に接続されても接続されていなくてもよい可能な身体的バイオフィードバックセンサ1208の非限定的で非網羅的な例が示されており、これらのセンサは、従来型の物理的ゲームコントローラに取って代わる且つ/又は別の方法で従来型の物理的ゲームコントローラを拡張する。示されている実施形態では、バイオフィードバックセンサ1208は、ヘッドマウント式バイオフィードバックセンサ1208cを含み、このセンサはEEG信号又は他の信号を測定するのに用いられてよい。より一般的には、ヘッドマウント式バイオフィードバックセンサ1208cは、神経信号を直接的に測定するよう機能してよく、この神経信号は次に、感情、決意、意思、考え、何か他のもの、又はこれらの任意の組み合わせといった意味を持つ又は役に立つ何かに変換され得る。システム1200は、代替的に又はさらに、センサ1208a又は1208bを含んでよく、このセンサは、ユーザ1202の背中、肩、腕、手首、手、指などに配置可能な1つ又は複数の電極を含んでよく、ユーザの動きを予測するために神経信号を測定するように機能してよい。バイオフィードバックセンサ1208は、ゲームコントローラに、あるいはキーボード上の1つ又は複数のキー若しくはホイールなどに統合されてよい。1つの実施形態では、ゲームコントローラが、モジュール方式のセンサ及び/又はプラグ接続可能なセンサを含み得るモジュール方式のコンポーネント及び/又はプラグ接続可能なコンポーネントを含んでよい。
【0185】
バイオフィードバックセンサ1208は、カメラ、タッチパッド、又はヘッドデバイス(例えば、HMDデバイスに統合されたセンサ)を含んでよい。しかしながら、すでに言及したように、眼鏡、リストバンド、指センサアタッチメント、コンピュータマウスの内部若しくはコンピュータマウス上に統合されたセンサ、又は様々な音声パターンを測定するためのマイクなどを含む他のバイオフィードバックセンサ1208も用いられてよい。したがって、様々な実施形態がゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを取得するように構成可能な実質的にあらゆるメカニズムを使用してよいことは、当業者には明らかなはずである。
【0186】
バイオフィードバックセンサ1208は、コンピューティングデバイス(例えば、ビデオゲームプレイ)とやり取りする前、やり取りした後、及び/又はやり取りしている間のユーザの様々な測定データを収集するように配置されてよい。そのような測定データには、限定されないが、神経信号、EEG信号、心拍数及び/又は心拍数変動、電気皮膚反応、体温、眼球運動や、頭、顔、手、若しくは他の身体運動、ジェスチャ、位置、表情、又は姿勢などが含まれる。さらに、バイオフィードバックセンサ1208は、血中酸素濃度、皮膚伝導度水準の他の形態、呼吸数、皮膚の張力、音声ストレスレベル、音声認識、血圧、EEGの測定データ、筋電図検査(EMG)の測定データ、応答時間、電気眼球図記録(EOG)、血流(例えば、IRカメラによる)、fMRI、機能的近赤外分光分析法(fNIR)分光法、又は感圧抵抗器(FSR)などを含む他の測定データを収集してよい。
【0187】
バイオフィードバックセンサ1208は、これらの測定データをクライアントデバイス1204に提供してよい。1つの実施形態では、これらの測定データは、様々な有線接続及び/又は無線接続のいずれかを介して、クライアントデバイス1204に提供されてよい。したがって、バイオフィードバック測定データは、様々なケーブル又はワイヤなどを介して伝達されてよく、他の情報も(例えば、ゲームプレイのために)様々なケーブル又はワイヤを用いて伝達されてよい。例えば、バイオフィードバック測定データは、USBケーブル又は同軸ケーブルなどを介して送信されてよく、マウス、キーボード、又はゲームコントローラなども、USBケーブル又は同軸ケーブルなどを用いてクライアントデバイス1204に連結される。しかしながら、別の実施形態では、別の有線接続が使用されてよい。同様に、バイオフィードバックセンサ1208は、様々な無線接続を用いてバイオフィードバック測定データを伝達してよい。さらに、様々な通信プロトコルのいずれかが、測定データを伝達するのに用いられてよい。したがって、本開示は、特定の有線通信若しくは無線通信のメカニズム及び/又は通信プロトコルに限定されるものと解釈されるべきではない。
【0188】
図13は、ユーザインタフェースを操作するユーザからのバイオフィードバック測定データの分析を行い、ユーザの困難又は他の問題を改善する処理の1つの実施形態について、フローチャートを示している。処理1300は、例えば、図2及び図3のそれぞれのデバイス200及び300などのコンピューティングデバイスにより行われてよい。
【0189】
処理1300は開始ブロックの後にブロック1302で始まり、ここでは、コンピューティングデバイスがユーザインタフェースをユーザに提供する。ユーザインタフェースは、マウス、キーボード、コントローラ、マイク、ビデオカメラなどといった1つ又は複数の入力デバイスを含んでよい。1304では、コンピューティングデバイスは、ユーザがユーザインタフェースとやり取りしている間に、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサからユーザのバイオフィードバック測定データを受信する。上述したように、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサは、例えば、本明細書の他の箇所で論じられた複数のバイオフィードバックセンサのいずれかを含んでよい。
【0190】
1306では、コンピューティングデバイスは、受信したバイオフィードバック測定データを分析して、ユーザがユーザインタフェース又は意思決定に困っているかどうかを判定する。例えば、コンピューティングデバイスは、受信したバイオフィードバック測定データを分析して、ユーザがオブジェクトの選択に悩んでいる、フラストレーションを感じている、困っているなどと判定してよい。
【0191】
1308では、ユーザがそのように困っているとの判定に応答して、コンピューティングデバイスは、ユーザの困難を改善するようにユーザインタフェースを適合させる。例えばビデオゲームでは、コンピューティングデバイスは、バイオフィードバック測定データに基づいて、ユーザがゲームのプレイ方法を学習しているときにフラストレーションを感じていると判定することがあり、この判定に応答してユーザにガイダンスを提供してよい。別の例として、コンピューティングデバイスは、ユーザの注視位置に基づいて、ビデオゲーム内の武器などのオブジェクトを選択するのにユーザが困っていると判定することがある。そのような判定に応答して、コンピューティングデバイスは、選択するオブジェクトに関する提案をユーザに提供してよい。
【0192】
少なくとも一部の実装形態では、コンピューティングデバイスは、1つ又は複数の入力デバイスからのデータを単独で又はバイオフィードバックセンサと共に利用して、ユーザがどのようにスキルを獲得しようとしているのか(例えば、ビデオゲームをプレイするスキルの獲得、ソフトウェアプログラムを操作するスキルの獲得など)を判定してよい。コンピューティングデバイスは、入力デバイスデータ及び/又はバイオフィードバックデータを用いて、いつユーザが困っているかを判定してよく、ユーザを支援するようにユーザインタフェースを適合させてよい。一例として、ビデオゲームでは、コンピューティングデバイスは、ユーザが特定のスキルに困っていると判定することがあり、ユーザを支援するために訓練又はチュートリアルを提供してよい。別の例として、コンピューティングデバイスは、ユーザ入力及び/又はバイオフィードバック測定データに基づいて、ユーザがユーザインタフェースに困惑している(例えば、ユーザインタフェースの複雑さに困惑している)と判定することがあり、そのような判定に応答してユーザインタフェースを簡単にしてよい。
【0193】
図14は、ビデオゲームデバイスを操作するユーザからのバイオフィードバック測定データの分析を行って、ビデオゲームのゲームプレイ中における複数の個別構成要素に対するユーザの応答を確認する処理1400について、1つの実施形態のフローチャートを示している。処理1400は、例えば、図2及び図3のそれぞれのデバイス200及び300などのコンピューティングデバイスにより行われてよい。
【0194】
処理1400は1402で始まり、ここでは、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサに動作可能に連結された少なくとも1つのプロセッサが、ビデオゲームの諸機能を提供するユーザインタフェースを介して、ビデオゲームプレイヤーにゲームプレイを提供する。このゲームプレイは、複数の個別構成要素を含んでよい。非限定的な例として、複数の個別構成要素は、ゲームの登場キャラクタ、チャットメッセージ、武器、登場キャラクタの選択、登場キャラクタの行動、登場キャラクタと関連づけられたイベント、別のビデオゲームプレイヤーの特徴、オーディオ(例えば、音楽、声、音響効果)、又は他の個別構成要素のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0195】
1404では、少なくとも1つのプロセッサは、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサから、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームをプレイしている間にビデオゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを受信する。1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサは、1つ又は複数の脳波検査(EEG)電極を含んでよく、バイオフィードバック測定データはEEG信号を含む。1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサは、1つ又は複数の電極を含んでよく、バイオフィードバック測定データは神経信号を含む。少なくとも一部の実装形態では、バイオフィードバック測定データは、神経信号、EEG信号、EMG信号、EOG信号、fNIR信号、血流を示す信号、機能的近赤外分光分析法(fNIR)分光信号、感圧抵抗器(FSR)信号、表情検出信号、瞳孔拡張表示信号、眼球運動信号、ジェスチャモーション信号などのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0196】
1406では、少なくとも1つのプロセッサは、バイオフィードバック測定データを処理して、ビデオゲームのゲームプレイ中の、複数の個別構成要素に対するビデオゲームプレイヤーの応答を判定してよい。少なくとも一部の実装形態では、少なくとも1つのプロセッサは、バイオフィードバック測定データを処理するのに少なくとも1つの学習モデル(例えば、深層学習モデル)を適用してよい。少なくとも1つの学習モデルは、複数の個別構成要素のうち、ビデオゲームプレイヤーに特定の認識状態を持たせる個別構成要素の特定のサブセットを決定するように訓練されているかもしれない。少なくとも一部の実装形態では、少なくとも1つのプロセッサは、判定された応答に対する各個別構成要素の寄与の相対的な重み付けを決定する。少なくとも一部の実装形態では、この分析には、フーリエ変換、スペクトル密度解析などといった、データの検知を行う1つ又は複数の他の信号処理手法を用いることが含まれてよい。
【0197】
1408では、少なくとも1つのプロセッサは、本明細書の他の箇所で論じたように、ビデオゲームプレイヤーの判定された応答に少なくとも部分的に基づいて、ビデオゲームのゲームプレイを調整する又は拡張する。
【0198】
図15は、ビデオゲームシステムを操作するユーザの集団からのバイオフィードバック測定データの分析を行って、ビデオゲームを調整又は拡張する処理1500について、1つの実施形態のフローチャートを示している。処理1500は、例えば、図2及び図3のそれぞれのデバイス200及び300などのコンピューティングデバイスにより行われてよい。
【0199】
処理1500は1502で始まり、ここでは、ビデオゲームシステムの少なくとも1つのプロセッサが、ビデオゲームの諸機能を提供するそれぞれのユーザインタフェースを介して、ビデオゲームプレイヤーの集団にゲームプレイを提供する。
【0200】
1504では、少なくとも1つのプロセッサは、ビデオゲームプレイヤーに最も近い身体的バイオフィードバックセンサから、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームをプレイしている間に、ビデオゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを受信する。バイオフィードバック測定データは、ビデオゲームの複数の個別構成要素が表示されている間に取り込まれてよい。複数の個別構成要素は、ゲームの登場キャラクタ、チャットメッセージ、武器、登場キャラクタの選択、登場キャラクタの行動、登場キャラクタと関連付けられたイベント、別のビデオゲームプレイヤーの特徴、又は他のコンポーネントのうちの少なくとも1つを含んでよい。例えば、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサは、1つ又は複数の脳波検査(EEG)電極を含んでよく、バイオフィードバック測定データはEEG信号を含んでよい。
【0201】
1506では、少なくとも1つのプロセッサは、バイオフィードバック測定データを分析して、ビデオゲームプレイヤーの集団の全体的な情動又は印象に寄与する複数の個別構成要素のサブセットを決定する。少なくとも一部の実装形態では、バイオフィードバック測定データを分析するために、少なくとも1つのプロセッサは、複数の個別構成要素のうち、ビデオゲームプレイヤーの全体的な情動又は印象に寄与する個別構成要素を分離するように機能する、少なくとも1つのモデル(例えば、深層学習モデル)又は他の信号処理手法を実装してよい。少なくとも1つのプロセッサは、各ビデオゲームプレイヤーのクラス情報を受信してよく、バイオフィードバック測定データ及びクラス情報を分析して、ビデオゲームプレイヤーの様々なクラスがどのようにビデオゲームの各個別構成要素に対して違った応答をするかを判定してよい。少なくとも一部の実装形態では、少なくとも1つのプロセッサは、受信したバイオフィードバック測定データに基づいてビデオゲームについての見解を推定し、受信したバイオフィードバック測定データに基づいてビデオゲームのライフサイクルを推定する、又は受信したバイオフィードバック測定データに基づいてビデオゲームの異なる部分同士の類似性を判定してよい。
【0202】
1508では、少なくとも1つのプロセッサは、バイオフィードバック測定データの分析に応答して、ビデオゲームを調整又は拡張する。
【0203】
図16は、ビデオゲームシステムを操作するユーザからのバイオフィードバック測定データの分析を行って、ユーザの内面的状態を確認し、ビデオゲームを調整又は拡張する処理1600について、1つの実施形態のフローチャートを示している。処理1600は、例えば、図2及び図3のそれぞれのデバイス200及び300などのコンピューティングデバイスにより行われてよい。
【0204】
処理1600は1602で始まり、ここでは、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサに連結された少なくとも1つのプロセッサが、ビデオゲームの諸機能を提供するユーザインタフェースを介して、ビデオゲームプレイヤーにゲームプレイを提供する。
【0205】
1604では、少なくとも1つのプロセッサは、1つ又は複数の身体的バイオフィードバックセンサから、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームをプレイしている間にビデオゲームプレイヤーのバイオフィードバック測定データを受信する。バイオフィードバック測定データは、例えば、神経信号、EEG信号、EMG信号、EOG信号、fNIR信号、血流を示す信号、機能的近赤外分光分析法(fNIR)分光信号、感圧抵抗器(FSR)信号、表情検出信号、瞳孔拡張表示信号、眼球運動信号、ジェスチャモーション信号、又は他の測定データのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0206】
1606では、少なくとも1つのプロセッサは、バイオフィードバック測定データを処理して、ビデオゲームのゲームプレイ中のビデオゲームプレイヤーの内面的状態を判定する。少なくとも一部の実装形態では、少なくとも1つのプロセッサは、判定された内面的状態を利用して、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームのあるセッションをプレイするのをやめる、又はビデオゲームをプレイするのを完全にやめる可能性があると予測する。別の例として、少なくとも1つのプロセッサは、判定された内面的状態を利用して、武器、登場キャラクタ、マップ、ゲームモード、チュートリアル、ゲームの更新データ、ユーザインタフェース、チームメイト、ゲーム環境のうちの少なくとも1つに関するビデオゲームプレイヤーの印象、又はビデオゲームの別のオブジェクト、インタフェース、若しくは他の特徴に関するプレイヤーの印象を判定してよい。
【0207】
1608では、少なくとも1つのプロセッサは、ビデオゲームプレイヤーの判定された内面的状態に少なくとも部分的に基づいて、ビデオゲームのゲームプレイを調整する又は拡張する。
【0208】
図17は、ビデオゲームシステムのビデオゲームプレイ中に神経刺激をユーザに与えて、ユーザのゲーム体験を拡張する処理1700について、1つの実施形態のフローチャートを示している。処理1700は、例えば、図2及び図3のそれぞれのデバイス200及び300などのコンピューティングデバイスにより行われてよい。後述する図18図21はさらに、本開示の1つ又は複数の実装形態の詳細を提供する。
【0209】
処理1700は1702で始まり、ここでは、1つ又は複数の身体的神経刺激装置に連結された少なくとも1つのプロセッサが、ビデオゲームの諸機能を提供するユーザインタフェースを介して、ビデオゲームプレイヤーにゲームプレイを提供する。
【0210】
1704では、少なくとも1つのプロセッサは、ビデオゲームプレイヤーがビデオゲームをプレイしている間に、1つ又は複数の身体的神経刺激装置を介してビデオゲームプレイヤーに神経刺激を与え、ビデオゲームプレイヤーに拡張体験を提供する。神経刺激は、ビデオゲームプレイヤーの集中力の改善、ビデオゲームプレイヤーの記憶力の改善、ビデオゲームプレイヤーの学習能力の改善、ビデオゲームプレイヤーの感情喚起の変化、ビデオゲームプレイヤーの視覚認知の調整、ビデオゲームプレイヤーの聴覚認知の調整、又はビデオゲームプレイヤー向けの現象を拡張する他の体験のうちの少なくとも1つを提供してよい。
【0211】
1つ又は複数の身体的神経刺激装置は、非侵襲的神経刺激装置又は侵襲的神経刺激装置のうちの少なくとも一方を含んでよい。身体的神経刺激装置の非限定的な例には、経頭蓋磁気刺激デバイス、経頭蓋電気刺激デバイス、微小電極ベースのデバイス、埋め込み型デバイス、又は他の刺激装置のうちの少なくとも1つが含まれる。1つ又は複数の身体的神経刺激装置は、感覚系刺激、運動系刺激、又は他のタイプの刺激のうちの少なくとも1つを与えるように機能してよい。
【0212】
図18は、ユーザ1804(例えば、ビデオゲームプレイヤー)の脳1802に信号を誘導する、書き込む、あるいは発生させてユーザの体験を拡張する非限定的で例示的なメカニズムを示す説明図(1800)である。このメカニズムは、EEG1806又はMEG1806などの1つ又は複数の非侵襲的手法を含んでよい。さらに又は代替的に、皮質脳波検査法(eCoG)1810、立体脳波検査法(SEEG)1812、又は皮質内インプラント1814などの、侵襲的手法が用いられてもよい。これらの手法又は他の手法が、ユーザ1804の頭蓋骨の内側又は外側から、脳活動を検出する又は誘導するのに用いられてよい。本明細書の他の箇所で論じたように、収集されたデータは、様々な信号処理手法、機械学習(例えば、深層学習)、時間対空間情報の分析などを用いて処理されてよい。
【0213】
本明細書で論じた技術を利用して、ゲームプレイヤーの様々な内面的状態が測定されてよく、この内面的状態には、学習、驚き/珍しさ、興奮、くつろぎ、情動(プラス又はマイナスの感情)、注目度、熱中度、退屈度、学習能力、ゲーム内の刺激に対する応答、及び他の内面的状態が含まれる。
【0214】
上述したように、本開示の特徴の多くは、プレイテストの向上に役立ち得る。従来型のプレイテスト手法では、直接観察、質疑応答、アンケート調査、ゲーム指標、使いやすさなどに重点が置かれる。そのような手法の潜在的な欠点とは、人々が正当化する、言い訳を作り出す、作り話をするということである。さらなる欠点には、プレイテスト者は記録できることしか測定できないこと、一瞬一瞬の洞察が欠如していること、及び大きいサンプルサイズという非現実性が含まれる。
【0215】
図19は、本開示の各実施形態によるブレインコンピュータインタフェース(BCI)1902の様々な潜在的な特徴を示す説明図(1900)である。示されているBCI1902は、以下の非限定的特徴、すなわち、一瞬一瞬の洞察1904、より客観的なデータ1906、規模を拡大したプレイテスト1908、新たなデータ1910、時間変化量1912、及び信号の収束1914のうちの1つ又は複数を提供する。一瞬一瞬の洞察1904は、プレイヤーの感情状態のリアルタイムでの理解を一瞬一瞬で(例えば、1秒ごとに)行う。これにより、本システムはゲームプレイの各個別構成要素に対する応答を取得できる。一例として、本システムは、プレイヤーが特定の敵、チャットメッセージ、銃弾の発砲、登場キャラクタの死、登場キャラクタの殺害、登場キャラクタの選択、アートアセットなどにどう反応するかを理解することができる。本システムは、取得した洞察を利用して、どのコンポーネントが全体の印象に結びつくかを判定することもできる。有利には、このデータは、プレイヤーの体験を妨げることなく、リアルタイムで取得され得る。
【0216】
より客観的なデータ1906を取得することで、内的感覚がプレイヤーによって解釈されないため、応答においては歪みのない創造性及び正当化が行われ、記憶違い及び作り話も回避できる。
【0217】
規模を拡大したプレイテスト1908は、内的テストを通じて取得され得るはるかに大きいデータセットを提供し、全体的な情動又は印象に寄与する各個別構成要素のより効果的な分離も可能にする。上述したように、そのような分離は、機械学習、フーリエ変換、スペクトル密度解析などの様々な手法を用いて実現され得る。さらに、本システムは、ユーザの集団からデータを連続的に収集できるので、プレイヤーの体験を向上させるために新たな情報が学習され且つ用いられ得る。
【0218】
本明細書で論じられるように、新たなデータ1910は、プレイヤーの行動の背後にある論理的根拠の推論を可能にする。新たなデータは、全体の感情のより正確な測定データ、個々の感情のより粒度の細かい測定データ、及びゲームプレイコンポーネントのより粒度の細かい測定データも可能にする。答えられ得るいくつかの例示的な推論又は質問には、いつプレイヤーが(セッションを又は永久に)やめようとしているかの予測、フォーラムでの応答が全体のプレイヤーベースの感情と相関があるかどうかの確認、新たな特徴の印象についての理解、最新情報のどの部分をプレイヤーが楽しむかの確認、ゲームのインタフェースについてプレイヤーがどう感じるかの確認、どのプレイヤーがチームメイトとして好適であるか又は有害であるかの確認、ゲームプレイのどの局面に最も満足度が高く、また最も満足度が低いかの確認、チュートリアルがどう役立ったかの確認、又は他の評価基準が含まれる。
【0219】
時間変化量1912は、経時的に応答を比較するのに用いられてよい。例えば、応答は、更新による応答の変化を確認するために、更新の前後に比較されてよい。時間変化量1912は、経時的な応答の変化に基づいて、感情を評価する又はゲームのライフサイクルを推定するのにも用いられてよい。
【0220】
信号の収束1914には、BCI及び生理学的センサから取得されるデータと他のデータソースとを組み合わせることを含んでよく、これにより、ある現象がなぜ発生しようとしているのかを本システムが確認できてよい。そのような信号の収束1914は、プレイヤーの定着率、熱中度、プレイタイムなどと関連づけられてよい。
【0221】
本明細書で論じられる諸機能を利用すると、ゲームプレイは、プレイヤーの体験を向上させるように適合する、調整される、又は拡張されてよい。例えばゲームは、適応型の敵又は対戦相手、チームメイト、報酬、武器、難易度、他のユーザとのペアリングなどを設定できるように設計されてよい。適応型の敵に関して、プレイヤーがどのタイプの敵との対戦を好む又は嫌うのか、どのタイプの敵が難敵であるか、どのタイプの敵が当該プレイヤーには退屈に感じるかをゲームが判定してよく、これに応じてゲームが敵を選択しても設計してもよく、この敵は人が制御する敵(対戦相手)でも、人工知能(AI)が制御する敵でもよい。これらの敵の1つ又は複数の特性(例えば、難易度)が、例えば、ゲームプレイ中のバイオフィードバックに基づいて動的に調整されてよい。別の例として、プレイヤーが特定の認識状態(例えば、リラックスしている、集中している)のときだけ、敵と交戦(例えば「敵を殺害」)できてよい。同様の適応型手法が、チームメイト(例えば、人のチームメイト、AIのチームメイト)を選択する又は調整するのに用いられてよい。報酬に関しては、本システムは、特定のプレイヤー又はプレイヤーの集団にどの報酬が好まれるか又は嫌われるかを判定してよく、そのような判定に基づいて報酬を用意してよい。
【0222】
図20は、ニューロン発火2002を引き起こす入力を示す図(2000)である。本明細書で論じられるように、ニューロンは、感覚認知2006、内的認知2004、又は外的影響2008によって発火してよい(例えば、電気信号を作り出してよい)。
【0223】
図21は、プレイヤーに拡張体験を提供するのに用いられ得る1つ又は複数の様々な機能2104~2112を提供するBCI2102を示す図(2100)である。示されている例では、BCI2102は、以下の例示的な機能、すなわち、神経系人工装具2104、制限意思(restricted intent)2106、拡張認知2108、拡張認識2110、及びシミュレーテッドリアリティ2112のうちの1つ又は複数を提供してよい。
【0224】
神経系人工装具2104には、感覚系代替品又は運動系代替品が含まれてよい。視覚及び動きがニューロンの発火によって生成される。少なくとも一部の実装形態では、適切なニューロンを定められた方式で発火させることによって、プレイヤーの視覚機能又は運動機能を置き換える又は補うために、各手法が用いられてよい。制限意思2106は、プレイヤーが自分の考えでゲームプレイを制御するのを可能にするのに用いられてよく、これにより、ゲームパッド、キーボード、又はマウスのうちの1つ又は複数が置き換えられてよい。拡張認知2108は、様々な非従来型の運動処理機能及び感覚処理機能を提供するのに用いられてよい。例えば、拡張認知は、プレイヤーが赤外線を見ること、コントラスト感度を高めること、又は他の空間情報(例えば、反響定位など)にアクセスできることを可能にするのに用いられてよい。
【0225】
拡張認識2110は、注意力の集中又は学習能力の向上などの、様々な改善を提供するのに用いられてよい。例えば、何か(例えば、日光)の処理に集中したニューロンの活性化又は支配を低下させて、脳が他の仕事(例えば、ゲームプレイ、学習など)に集中することを可能にするために、脳の特定の領域が刺激されてよい。
【0226】
前述の詳細な説明では、デバイス及び/又は処理の様々な実装形態をブロック図、概略図、及び例を用いて説明してきた。そのようなブロック図、概略図、及び例が1つ又は複数の機能及び/又はオペレーションを含む限りにおいて、そのようなブロック図、フローチャート、又は例に含まれる各機能及び/又はオペレーションが、幅広いハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの実質的にあらゆる組み合わせによって、個別に且つ/又は集合的に実現されてよいことが当業者によって理解されるであろう。1つの実装形態では、本主題は特定用途向け集積回路(ASIC)によって実現されてよい。しかしながら、本明細書に開示された実装形態は全体的に又は部分的に、1つ又は複数のコンピュータで動作する1つ又は複数のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ又は複数のコンピュータシステムで動作する1つ又は複数のプログラムとして)、1つ又は複数のコントローラ(例えば、マイクロコントローラ)で動作する1つ又は複数のプログラムとして、1つ又は複数のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)で動作する1つ又は複数のプログラムとして、ファームウェアとして、又はこれらの実質的にあらゆる組み合わせとして、標準的な集積回路で等価的に実現できること、また、回路の設計並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードの記述が本開示を踏まえると当業者の技能の範囲に十分含まれることを、当業者であれば認識するであろう。
【0227】
当業者であれば、本明細書で述べられた方法又はアルゴリズムの多くが、追加の動作を用いてもよく、一部の動作を省略してもよく、且つ/又は指定されたものとは異なる順序で各動作を実行してもよいことを認識するであろう。
【0228】
さらに、当業者であれば、本明細書で教示された各メカニズムをプログラム製品として様々な形で配布できること、また、実際に配布を行うのに用いられる特定のタイプの信号担持媒体に関係なく、例示的な実装形態が等しく適用されることを理解するであろう。信号担持媒体の例には、限定されないが、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、CD-ROM、デジタルテープ、及びコンピュータメモリなどの記録可能型媒体が含まれる。
【0229】
上述した様々な実装形態は、さらなる実装形態を提供するために組み合わされてよい。それらの実装形態が本明細書における特定の教示及び定義と矛盾しない限り、2019年3月21日に出願された米国仮特許出願第62/821,839号、2018年12月14日に出願された米国非仮特許出願第16/220,432号、2016年12月5日に出願された米国非仮特許出願第15/369,625号、及び2009年7月10日に出願された米国非仮特許出願第12/501,284号を含む、本明細書で参照される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び非特許文献の全てがその全体の参照により本明細書に組み込まれる。必要に応じて、各実装形態の態様を調整し、様々な特許、アプリケーション、及び公表文献のシステム、回路、及び概念を使用して、そのうえにさらなる実装形態を提供することができる。
【0230】
上述した説明を踏まえると、これらの変更及び他の変更を各実装形態に施すことができる。一般に、以下の特許請求の範囲では、用いられる用語が、本明細書及び特許請求の範囲において開示される特定の実装形態に特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、そのような請求が対象とする均等物の全範囲と共に全ての実行可能な実装形態を含むものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されることはない。
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