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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】水生生物用水槽の濾過装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/04 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A01K63/04 A
A01K63/04 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022097395
(22)【出願日】2022-06-16
(65)【公開番号】P2023183729
(43)【公開日】2023-12-28
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】512057286
【氏名又は名称】株式会社ブックウエスト
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西本 和司
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-075685(JP,A)
【文献】登録実用新案第3175697(JP,U)
【文献】特開2017-169562(JP,A)
【文献】特開2022-067435(JP,A)
【文献】特開2007-275781(JP,A)
【文献】特開2000-050763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 63/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飼育水及び水生生物を収容した水槽の内部に設置して前記飼育水に対する濾過処理を行う水生生物用水槽の濾過装置において、通水性を有する多孔質スポンジにより形成した濾過ユニットと、ソイル類を収容する通水性を有するソイルケースと、前記濾過ユニット及び/又は前記ソイルケースに対して一面を対面させる多数の通水孔部を設けたフィルタプレート部を有するフィルタサポートと、前記水槽の背面部の内面に設置した通水性を有する多孔質スポンジにより形成した補助濾過ユニットと、前記フィルタプレート部の他面側の所定位置に流入部を臨ませるとともに、前記補助濾過ユニットの内部に補助流入部を臨ませたエアレーションユニットとを備え、前記多数の通水孔部の孔径を、前記流入部側の位置から離間する方向へ段階的に大きく形成してなることを特徴とする水生生物用水槽の濾過装置。
【請求項2】
前記ソイル類には、少なくとも、砂利,ソイル,濾材の一又は二以上を含むことを特徴とする請求項1記載の水生生物用水槽の濾過装置。
【請求項3】
前記濾過ユニット,前記ソイルケース,前記フィルタサポート及びエアレーションユニットは、前記水槽の内部の前記飼育水が、前記濾過ユニット及び/又は前記ソイルケース,前記フィルタサポート,エアレーションユニットの前記流入部の経路で流れ、当該エアレーションユニットの流出部から流出する循環経路を構成することを特徴とする請求項1記載の水生生物用水槽の濾過装置。
【請求項4】
前記補助流入部は、周面に多数の孔部を形成した筒状流入部を備えることを特徴とする請求項1記載の水生生物用水槽の濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飼育水及び水生生物を収容した水槽の内部に設置して当該飼育水に対する濾過処理を行う水生生物用水槽の濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金魚等の水生生物を飼育・鑑賞するための水槽は広く普及している。通常、この種の水槽の底面には、砂利やソイル等を敷き詰め、水質を改善するバクテリアの巣として機能させるとともに、水中に汚染物やゴミ等が漂うことを防止している。
【0003】
一方、水槽内の飼育水は、時間の経過により、水生生物の排泄物,水草の枯葉,様々なゴミ等に起因する汚染物が増加し、水生生物の生存に悪影響を与えるため、飼育水中の汚濁物を除去する各種濾過装置(フィルタ)も提案されており、既に、本出願人も、この種のフィルタを備えた水生生物用の水槽を特許文献1により提案した。
【0004】
特許文献1記載の水生生物用の水槽は、飼育水の回復を含む水生生物の飼育環境の回復、改善のための作業が容易である水生生物用の水槽の提供を目的としたものであり、具体的には、本体容器、本体容器の内部に取り出し可能に配置されうる、通水性を有するソイル用のケースと、このケースを保持しうるスポンジ製の内枠と、水を濾過するためのフィルタと、このフィルタに接続されうる水循環装置とを備えており、内枠が、ケースが嵌着しうる、上下に貫通した窓部を有しているように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3175697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献1に記載される水生生物用の水槽は、次のような更なる改善すべき課題も残されていた。
【0007】
即ち、水槽内の飼育水は、ソイル用のケース及びスポンジ製の内枠を通過した後、フィルタを通過し、この後、フィルタの端部寄りに配した水循環装置の吸引口により吸水される。このため、ソイル用のケース及びスポンジ製の内枠を通過する飼育水、即ち、濾過される飼育水は、水循環装置の吸引口側に片寄る傾向があった。
【0008】
この結果、ソイル用のケース及びスポンジ製の内枠の位置によって、フィルタリング能力に片寄りを生じ、濾過性能が不均一になる課題が存在した。これにより、全体の濾過能力の低下を招くとともに、清掃や交換等に必要なメンテナンス期間が短くなり、ランニングコストの増加を招く難点があった。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した水生生物用水槽の濾過装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するため、飼育水及び水生生物を収容した水槽Aの内部に設置して飼育水Wに対する濾過処理を行う水生生物用水槽の濾過装置1を構成するに際して、通水性を有する多孔質スポンジSdにより形成した濾過ユニット2と、ソイル類Gを収容する通水性を有するソイルケース3と、濾過ユニット2及び/又はソイルケース3に対して一面4usを対面させる多数の通水孔部H(Hn,Hm,Hd)…を設けたフィルタプレート部4uを有するフィルタサポート4と、水槽Aの背面部Arの内面に設置した通水性を有する多孔質スポンジSrにより形成した補助濾過ユニット11と、フィルタプレート部4uの他面4ur側の所定位置に流入部5ifを臨ませるとともに、補助濾過ユニット11の内部に補助流入部5irを臨ませたエアレーションユニット5とを備え、多数の通水孔部H(Hn,Hm,Hd)…の孔径Dn,Dm,Ddを、流入部5if側の位置から離間する方向Fdへ段階的に大きく形成してなることを特徴とする。
【0011】
この場合、発明の好適な態様により、ソイル類Gには、少なくとも、砂利,ソイル,濾材の一又は二以上を含ませることができる。また、濾過ユニット2,ソイルケース3,フィルタサポート4及びエアレーションユニット5は、水槽Aの内部の飼育水Wが、濾過ユニット2及び/又はソイルケース3,フィルタサポート4,エアレーションユニット5の流入部5ifの経路で流れ、当該エアレーションユニット5の流出部5efから流出する循環経路Cを構成することができる。一方、補助流入部5irには、周面に多数の通水孔部Hr…を形成した筒状流入部5irp,5irqを設けることができる。
【発明の効果】
【0012】
このような構成を有する本発明に係る水生生物用水槽の濾過装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) 飼育水Wの、濾過ユニット2及び/又はソイルケース3のフィルタリング能力の片寄りを防止し、濾過性能の分散化、更には濾過性能の均一化を図り、全体のフィルタリング能力を向上させるとともに、清掃や交換等のメンテナンス期間をより長くすることにより、ランニングコストを削減することができる。
【0014】
(2) 水槽Aの背面部Arの内面には、通水性を有する多孔質スポンジSrにより形成した補助濾過ユニット11と、この補助濾過ユニット11の内部に、補助流入部5irを臨ませたエアレーションユニット5を設置したため、より濾過面積を広げることができる。これにより、全体の濾過性能(能力)を高めることができるとともに、例えば、水槽Aの背面エリアを黒色に配色できるなど、水槽Aに対する鑑賞効果をより高めることができる。
【0015】
(3) 好適な態様により、ソイル類Gに、少なくとも、砂利,ソイル,濾材の一又は二以上を含ませれば、砂利,ソイル,濾材を含む各種ソイル類Gを選択して任意に利用できるとともに、ソイルケース3に収容することにより、容易に新しいソイル類Gへの交換或いは他のソイル類Gへの変更を行うことができる。
【0016】
(4) 好適な態様により、濾過ユニット2,ソイルケース3,フィルタサポート4及びエアレーションユニット5を設けるに際し、水槽Aの内部の飼育水Wが、濾過ユニット2及び/又はソイルケース3,フィルタサポート4,エアレーションユニット5の流入部5iの経路で流れ、エアレーションユニット5の流出部5efから流出する循環経路Cを構成するようにすれば、飼育水W中の汚濁物は、濾過ユニット2及び/又はソイルケース3とフィルタサポート4の組合わせによる面的な分散化により濾過できるため、効率的で効果の高いフィルタリングを行うことができる。しかも、市販のエアレーションユニット5をそのまま利用できるなど、イニシャルコストの削減にも寄与できる。
【0017】
(5) 好適な態様により、補助流入部5irに、周面に多数の通水孔部Hr…を形成した筒状流入部5rを設ければ、飼育水Wの流入部位を広く分散させることができるため、効率的でより効果の高いフィルタリングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の好適実施形態に係る濾過装置を備える水生生物用水槽の内部構造を示す断面正面図、
図2】同濾過装置を備える水生生物用水槽の内部構造を示す断面平面図、
図3】同濾過装置の詳細構造を含む作用説明図、
図4】同濾過装置に備えるフィルタサポートの平面図、
図5】同濾過装置に備える補助濾過ユニット及び補助流入部の断面側面図を用いた作用説明図、
図6】同濾過装置に備える補助濾過ユニット及び補助流入部の断面正面図を用いた作用説明図、
図7】同濾過装置の主要部品の断面正面図による分解図、
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
まず、本実施形態に係る濾過装置1の構成及び組付方法について、図1図7を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1及び図2中、Aは、濾過装置1を備える水生生物用水槽の全体を示す。濾過装置1は、図1に示すように、水槽Aの底面部Ad側に設置する主濾過部Ufと背面部Ar側に設置する補助濾過部Urを備える。
【0022】
主濾過部Ufは、主要部に、濾過ユニット2,ソイルケース3,フィルタサポート4及びエアレーションユニット5を備える。
【0023】
濾過ユニット2は、図2及び図7に示すように、内枠濾過部2iと外枠濾過部2oの組合わせにより構成する。内枠濾過部2i及び外枠濾過部2oは、それぞれ全体を多孔質スポンジSdにより一体形成するとともに、色は、黒色又は黒色に類似する色に配色することが望ましい。この多孔質スポンジSdは、素材として、ポリビニルアルコール(PVA)を使用したものであり、連続気泡を有する連続多孔質体(立体網目構造)からなる。特に、通水性(親水性,吸水性)に優れた特性を有し、空孔率は約90%,平均気孔径は約150μmである。
【0024】
外枠濾過部2oは、水槽Aの内面(内壁面)に沿った矩形枠状に形成する。なお、外枠濾過部2oの後端面と水槽Aの背面部Arの内面間には、後述する補助濾過ユニット11の設置スペースを確保する。また、内枠濾過部2iは、外枠濾過部2oの内縁に沿った矩形枠状に形成するとともに、内枠濾過部2iの内縁部の形状により、後述するソイルケース3の配置スペースを確保する。なお、実施形態は、外枠濾過部2oと内枠濾過部2iを別体に形成した例を示したが、外枠濾過部2oと内枠濾過部2iを同一素材で形成する場合には一体成形してもよいし、外枠濾過部2oと内枠濾過部2iを別体に形成する場合には、それぞれ異なる別素材或いは特性の異なる素材で形成してもよい。
【0025】
ソイルケース3は、図3に示すように、ソイル類Gを収容する通水性を有する容器状に構成する。この場合、ソイル類Gには、少なくとも、砂利,ソイル,濾材の一又は二以上を含ませることができる。これにより、砂利,ソイル,濾材を含む各種ソイル類Gを選択して任意に利用できるとともに、ソイルケース3に収容することにより、容易に新しいソイル類Gへの交換或いは他のソイル類Gへの変更を行うことができる。
【0026】
ソイルケース3の全体の形状は、上面を開放した直方体状に形成する。例示のソイルケース3は、合成樹脂素材により一体形成し、側面部及び底面部の全面には、図3に示すように、多数の小孔3h…を形成する。小孔3h…の大きさは、ソイル類Gをソイルケース3の内部に保持できる大きさを選定すればよく、その大きさは特定の大きさに限定されるものではない。ソイルケース3は、その他、通水性を有する金網等であってもよい。なお、3p…はソイルケース3の底面部から下方に突出した四本の脚部を示す。
【0027】
フィルタサポート4は、図1図2図4及び図7に示すように、合成樹脂素材により、内部に中空部21mを設けた偏平板状に形成する。したがって、例示のフィルタサポート4は、上下に離間したフィルタプレート部4uと下プレート部4dを有し、このフィルタプレート部4uと下プレート部4d間に中空部21mが設けられる。これにより、フィルタプレート部4uにおける、上面が一面4usとなり、下面(内面)が他面4urとなる。そして、フィルタプレート部4uの一面4usに、設置した内枠濾過部2iの下面が密接するとともに、ソイルケース3を設置した際には、ソイルケース3の底面に対して対面する。
【0028】
また、フィルタサポート4の平面は、図4に示すように形成する。即ち、フィルタプレート部4uの一面4usには、多数の通水孔部H(Hn,Hm,Hd)…を形成する。この場合、フィルタプレート部4uにおける図4中の左上側の角部Pa付近に、仮想線で示す後述のエアレーションユニット5の流入部5ifを設けるため、この角部Paから対角線に沿って三つのエリアZn,Zm,Zdに分け、各エリアZn,Zm,Zdに形成する通水孔部Hn…,Hm…,Hd…の各孔径Dn…,Dm…,Dd…をそれぞれ異ならせる。具体的には、流入部5if側の位置から離間する方向Fdへ段階的に孔径Dn…,Dm…,Dd…を大きくする。例示の場合、孔径Dn,Dm,Ddは、それぞれ2〔mm〕,3〔mm〕,4〔mm〕に選定した。図4中、一点鎖線Lnm,Lmdは、各エリアZn,Zm,Zdの境界を示している。
【0029】
例示したフィルタプレート部4uの形態は一例であり、エリアを区画する一点鎖線Lnm,Lmdの位置や数量,孔径Dn,Dm,Ddの大きさや数量は、次の条件、即ち、流入部5if側の位置から離間する方向Fdへ段階的に孔径Dn,Dm,Ddを大きく形成する条件、を除いて任意に選定することができる。なお、段階的とは漸次(グラデーション的に)大きくする場合を含む概念である。また、通水孔部Hn…,Hm…,Hd…の各形状は、円形に形成した例を示したが、三角や四角など、各種形状により実施可能である。したがって、「孔径」は「面積の大きさ」と同趣旨である。
【0030】
エアレーションユニット5は、図1に示すように、エアポンプ25,エアホース26,エアリフトパイプ27を備え、このエアリフトパイプ27の下端開口は、上述した流入部5ifとしてなる。このエアレーションユニット5は、エアレーションを行う機能を有すれば足りるため、市販品を利用することも可能である。そして、流入部5ifは、図3に示すように、フィルタプレート部4uに設けた貫通口4utを介してフィルタプレート部4uの他面4ur側に臨ませる。また、エアホース26の先端側は、エアリフトパイプ27の内部に臨ませ、先端のエア吐出口26sは、エアリフトパイプ27の下端近傍に位置させる。
【0031】
一方、補助濾過部Urは、主要部に、補助濾過ユニット11及び補助流入部5irを備える。補助濾過ユニット11は、図1図2及び図6図7に示すように、通水性を有する多孔質スポンジSrにより形成し、水槽Aの背面部Arの内面に重ねるように設置することができる。この場合、図1及び図2に示すように、例えば、背面部Arの内面における左右両側位置にフック部41,41を固定することにより、補助濾過ユニット11の左右を保持することが望ましい。
【0032】
この補助濾過ユニット11は、別途用意してもよいし、前述した外枠濾過部2oを形成した際における残り部分を利用することも可能である。例示は、この残り部分を利用した。具体的には、一枚の矩形のスポンジ材を用意し、中間部を矩形のカットラインにより切断することにより、外側の枠形ブロックを、前述した外枠濾過部2oとして利用し、他方、内側の矩形ブロックを補助濾過ユニット11として利用すればよい。そして、補助濾過ユニット11の内部には、図7に示すように、「山」形となる補助流入部埋設空間31を形成する。
【0033】
補助流入部5irは、図6に示すエアリフトパイプユニット32を備える。このエアリフトパイプユニット32は、鉛直方向に軸心を有し、前述したエアリフトパイプ27と同一に構成されるエアリフトパイプ本体部33、このエアリフトパイプ本体部33の下端開口33iに対して連通可能になるように左右方向の中央位置を直角に結合した水平パイプ部34と、この水平パイプ部34の左右の端部開口34m,34mに連通可能に結合した左右一対の筒状流入部5irp,5irqを備える。
【0034】
この場合、一方の筒状流入部5irp、即ち、図6に実線で示した右側の筒状流入部5irpは、端部開口34mから上方へ起立し、かつ上端を閉塞した筒体部35を備え、この筒体部35の周面35fに多数の通水孔部Hr…を形成した構成を有する。右側の筒状流入部5irpについて説明したが、左側の筒状流入部5irqも、右側の筒状流入部5irpに対して左右対称となる点を除いて右側の筒状流入部5irpと同様に構成することができる。
【0035】
したがって、主濾過部Uf及び補助濾過部Urは、次のように組付けることができる。以下、主濾過部Uf及び補助濾過部Urにおける主要部の組付手順について、図7及び各図を参照して説明する。
【0036】
まず、水槽A内の底面部Adの内面に外枠濾過部2oを設置する。次いで、フィルタサポート4を図7に示す矢印F1方向から外枠濾過部2o内に収容する。なお、このフィルタサポート4には、上下に分割されたエアリフトパイプ27の下部部分が固定されている。次いで、内枠濾過部2iを、図7に示す矢印F2方向から外枠濾過部2oの内側に収容する。この場合、内枠濾過部2iには、エアリフトパイプ27の下部部分が挿通する貫通孔が形成されている。
【0037】
また、ソイルケース3の内部には、図7に示す矢印F3に示すようにソイル類Gを収容する。この場合、ソイル類Gは、ソイルケース3の上端辺付近まで収容する。そして、ソイル類Gを収容したソイルケース3は、図7中の矢印F4方向から内枠濾過部2iの内側に収容するとともに、ソイルケース3の脚部3p…をフィルタサポート4のフィルタプレート部4uに設けた挿通孔4x…に挿通させ、脚部3p…の下端は、下プレート部4dの上面に当接させる。この後、エアリフトパイプ27の上部部分を下部部分に装着する。図1図3に、組付けられた主濾過部Ufを示す。
【0038】
一方、補助濾過部Urの補助濾過ユニット11を用意し、内部に形成した補助流入部埋設空間31に補助流入部5irを挿入して埋設する。そして、補助流入部5irを埋設した補助濾過ユニット11を、図7に示すように、矢印F5から水槽Aの背面部Arの内面に設置する。この場合、背面部Arに設けたフック41…に補助濾過ユニット11を挿入して保持する。
【0039】
なお、補助流入部5irのエアリフトパイプ本体部33の内部には、予め、前述したエアレーションユニット5のエアホース26から分岐した分岐ホース部36を収容し、この分岐ホース部36の下端に位置するエア吐出口36sを、図6に示すように、エアリフトパイプ本体部33の下端近傍に位置させる。5erは、エアリフトパイプ本体部33の上端に位置する流出部を示す。
【0040】
これにより、補助濾過ユニット11の内部に補助流入部5irを収容した図6に示す補助濾過部Urを組付けることができる。
【0041】
次に、本実施形態に係る濾過装置1の使用方法及び機能(作用)について、各図を参照して説明する。
【0042】
今、エアポンプ25を作動させた場合を想定する。エアポンプ25の作動により、発生したエアは、エアホース26に供給される。これにより、主濾過部Ufにおいて、エアは、図3に点線矢印Faで示すように、エアホース26を流通し、エア吐出口26sから吐出する。そして、吐出したエアは、エアリフトパイプ27の内部を上昇し、流出部5efから水槽A内に放出される。
【0043】
また、エアリフトパイプ27内のエアの上昇に伴い、エアリフトパイプ27内の飼育水Wも上方へ流動し、流出部5efから水槽Aの内部に放出される。この結果、フィルタサポート4における中空部21mの飼育水Wも、流入部5ifからエアリフトパイプ27内に流入する。
【0044】
これにより、水槽A内の飼育水Wは、濾過ユニット2(外枠濾過部2o,内枠濾過部2i)及びソイル類Gの内部を通過し、フィルタサポート4のフィルタプレート部4uの一面4usに至る。そして、飼育水Wは、フィルタプレート部4uに設けた多数の通水孔部H…(Hn…,Hm…,Hd…)を通り、フィルタサポート4の中空部21mに流入する。即ち、飼育水Wは、循環経路Cに沿って循環するとともに、濾過ユニット2(外枠濾過部2o,内枠濾過部2i)及びソイル類Gにより飼育水Wが濾過される。
【0045】
このように、主濾過部Ufでは、濾過ユニット2,ソイルケース3,フィルタサポート4及びエアレーションユニット5を設けるに際し、水槽Aの内部の飼育水Wが、濾過ユニット2及び/又はソイルケース3,フィルタサポート4,エアレーションユニット5の流入部5ifの経路で流れ、さらに、エアレーションユニット5の流出部5efから流出する循環経路Cを循環するため、飼育水W中の汚濁物は、濾過ユニット2及び/又はソイルケース3とフィルタサポート4の組合わせによる面的な分散化により濾過できるため、効率的で効果の高いフィルタリングを行うことができる。しかも、市販のエアレーションユニット5をそのまま利用できるなど、イニシャルコストの削減にも寄与できる。
【0046】
しかも、主濾過部Ufは、基本的な構成として、通水性を有する多孔質スポンジSdにより形成した濾過ユニット2と、ソイル類Gを収容する通水性を有するソイルケース3と、濾過ユニット2及び/又はソイルケース3に対して一面4usを対面させる多数の通水孔部H(Hn,Hm,Hd)…を設けたフィルタプレート部4uを有するフィルタサポート4と、フィルタプレート部4uの他面4ur側の所定位置に流入部5ifを臨ませたエアレーションユニット5とを備え、多数の通水孔部H(Hn,Hm,Hd)…の孔径Dn,Dm,Ddを、流入部5if側の位置から離間する方向Fdへ段階的に大きく形成してなるため、流入部5if側に近い位置ほど流速が速くなり、流入部5if側の位置から離間するに従って流入部5ifに向かう流速が遅くなる。しかし、各通水孔部Hn…,Hm…,Hd…の孔径Dn…,Dm…,Dd…は、段階的に大きくなるため、フィルタプレート部4uの通水孔部Hn…,Hm…,Hd…を通過する飼育水Wの流速(流量)は均一化される。
【0047】
これにより、飼育水Wの、濾過ユニット2及び/又はソイルケース3のフィルタリング能力の片寄りを防止し、濾過性能の分散化、更には濾過性能の均一化を図り、全体のフィルタリング能力を向上させるとともに、清掃や交換等のメンテナンス期間をより長くすることにより、ランニングコストを削減することができる。
【0048】
他方、エアポンプ25の作動により、補助濾過部Urでは、発生したエアが、エアホース26から分岐した分岐ホース部36を通り、図5及び図6に示すように、エア吐出口36sからから吐出する。そして、吐出したエアは、点線矢印Faで示すように、エアリフトパイプ本体部33の内部を上昇し、流出部5erから水槽Aの内部に放出される。また、エアリフトパイプ本体部33の内部の飼育水Wも上方へ流動し、流出部5erから水槽Aの内部に放出されるとともに、水平パイプ部34,筒状流入部5irp,5irqの内部の飼育水Wは、エアリフトパイプ本体部33の内部に流入する。
【0049】
これにより、水槽A内の飼育水Wは、補助濾過ユニット11を通り、各通水孔部Hr…から筒状流入部5irp,5irqの内部に流入する。即ち、飼育水Wは、補助的に構成される図5に示す循環経路Crに沿って循環するとともに、補助濾過ユニット11により飼育水Wが濾過される。
【0050】
このように、水槽Aの背面部Arの内面に、通水性を有する多孔質スポンジSrにより形成した補助濾過ユニット11と、この補助濾過ユニット11の内部に、補助流入部5irを臨ませたエアレーションユニット5を設置すれば、より濾過面積を広げることができるため、全体の濾過性能(能力)を高めることができるとともに、例えば、水槽Aの背面エリアを黒色に配色できるなど、水槽Aに対する鑑賞効果をより高めることができる。
【0051】
また、補助流入部5irには、周面に多数の通水孔部Hr…を形成した筒状流入部5rを設ければ、飼育水Wの流入部位を広く分散させることができるため、効率的でより効果の高いフィルタリングを行うことができる。
【0052】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0053】
例えば、水槽Aの形状は任意であり、水槽Aの形状に応じて濾過ユニット2や補助濾過ユニット11の形状(外郭形状等)を任意の形状により実施することができる。なお、実施形態で挙げた多孔質スポンジSdは、一例であり、同様の機能を有する各種物性の多孔質スポンジSdを利用可能である。同様に、ソイル類Gとして、砂利,ソイル,濾材の一又は二以上を含ませることが望ましいが、他のソイル類の適用を排除するものではない。また、補助濾過ユニット11及び補助流入部5irは、水槽Aの左右の側面部に設ける場合を排除するものではない。特に、補助濾過部Urは、主濾過部Ufに対して異なる形態(構造及び原理)により実施した場合を示したが、補助濾過部Urも、主濾過部Ufと同様のフィルタサポート4を設けるなどにより、主濾過部Ufと同様に構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る濾過装置は、飼育水及び水生生物を収容する家庭用及び業務用を含む各種の水槽に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1:濾過装置,2:濾過ユニット,3:ソイルケース,4:フィルタサポート,4u:フィルタプレート部,4us:フィルタプレート部の一面,4ur:フィルタプレート部の他面,5:エアレーションユニット,5if:流入部,5ef:流出部,5r:筒状流入部,5ir:補助流入部,11:補助濾過ユニット,A:水槽,Ar:水槽の背面部,W:飼育水,Sd:多孔質スポンジ,G:ソイル類,H(Hn,Hm,Hd)…:通水孔部,Hr…:通水孔部,Fd:流入部側の位置から離間する方向,Dn:孔径,Dm:孔径,Dd:孔径,C:循環経路
図1
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図5
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図7