(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】衛星測位受信機
(51)【国際特許分類】
H04B 1/08 20060101AFI20250109BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20250109BHJP
G01S 19/37 20100101ALI20250109BHJP
H04B 5/48 20240101ALI20250109BHJP
【FI】
H04B1/08 Z
H01Q1/24 Z
G01S19/37
H04B5/48
(21)【出願番号】P 2023150273
(22)【出願日】2023-09-15
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512109194
【氏名又は名称】マイクロテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】池ノ上 佳嗣
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 優希
(72)【発明者】
【氏名】高桑 清一
(72)【発明者】
【氏名】原田 広
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-157528(JP,A)
【文献】特開2017-103709(JP,A)
【文献】特開2019-029385(JP,A)
【文献】特開2023-110193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/08
H01Q 1/24
H04B 5/48
G01S 19/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトムケースとこのボトムケースに装着されるトップケースとから構成される筐体と、
前記筐体の内部に収容される、方形をなす平板状のメイン基板と、
前記メイン基板の第1の面に重ねた状態で配置される測距衛星用アンテナユニットと、
前記メイン基板の辺に沿って垂直に配置される無線通信用の平面アンテナユニットと、
前記メイン基板の前記第1の面と反対側となる第2の面と前記ボトムケースとの間に収容され、前記メイン基板に電力を供給する板状をなすバッテリと、
前記バッテリを充電するための充電出力を生成する無線給電ユニットと
を備え、
前記無線給電ユニットは、平板状に構成された無線給電用コイルと、無線給電回路が実装された無線給電回路基板と、前記無線給電用コイルと無線給電回路基板との間を接続する導線とを有し、前記無線給電用コイルを前記ボトムケースの内部底面と前記バッテリとの間に配置すると共に、前記無線給電回路基板を前記ボトムケースの内壁面に沿って垂直に配置してなる、衛星測位受信機。
【請求項2】
前記ボトムケースは、前記ボトムケースの内部底面に前記無線給電用コイルの形状に対応して形成された凹状をなす第1の収容部を有する、請求項1に記載の衛星測位受信機。
【請求項3】
前記ボトムケースは、前記ボトムケースの内壁面に前記無線給電回路基板を垂直に配置するために形成された溝状をなす第2の収容部を有する、請求項1に記載の衛星測位受信機。
【請求項4】
前記無線給電ユニットは、前記無線給電回路基板を前記メイン基板に接続するための無線給電用ハーネスをさらに備える、請求項1に記載の衛星測位受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の一態様は、例えば土木工事等の建設現場や農場において作業位置を測定するために用いる衛星測位受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、土木工事等の建設現場において、移動しながら作業を行うブルドーザやショベルカー等の建設機械に、全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)を利用した衛星測位受信機(以後GNSS受信機と呼ぶ)を搭載し、このGNSS受信機により建設機械の作業位置をリアルタイムに測定するシステムが提案されている(例えば特許文献1を参照)。この種のシステムを用いることで、測定された建設機械の作業位置データをもとに、例えば工事の進捗状況をリアルタイムに管理することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年建設現場では、建設機械に加え作業者の作業位置を併せて管理したいというニーズが顕在化している。しかしながら、建設現場で使用される既存のGNSS受信機はサイズが大きく重量もあることから、作業者に携行させると作業者の負荷が増え、作業能率の低下を招きかねない。
【0005】
また、GNSS受信機が内蔵するバッテリへの充電手段として、無線給電ユニットの内蔵が検討されている。しかし、無線給電ユニットを内蔵させるとGNSS受信機のさらなる大型化を招くことになり、その対策についても検討する必要がある。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、受信機の大型化を招くことなく無線給電ユニットの内蔵を可能にする技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためにこの発明に係る衛星測位受信機の一態様は、ボトムケースとこのボトムケースに装着されるトップケースとから構成される筐体と、前記筐体の内部に収容される、方形をなす平板状のメイン基板と、前記メイン基板の第1の面に重ねた状態で配置される測距衛星用アンテナユニットと、前記メイン基板の辺に沿って垂直に配置される無線通信用の平面アンテナユニットと、前記メイン基板の前記第1の面と反対側となる第2の面と前記ボトムケースとの間に収容され、前記メイン基板に電力を供給する板状をなすバッテリと、前記バッテリを充電するための充電出力を生成する無線給電ユニットとを備える。そして、前記無線給電ユニットは、平板状に構成された無線給電用コイルと、無線給電回路が実装された無線給電回路基板と、前記無線給電用コイルと無線給電回路基板との間を接続する導線とを有し、前記無線給電用コイルを前記ボトムケースの内部底面と前記バッテリとの間に配置すると共に、前記無線給電回路基板を前記ボトムケースの内壁面に沿って垂直に配置するようにしたものである。
【0008】
この発明の一態様によれば、無線給電ユニットは、無線給電用コイルと無線給電回路基板とに分離され、無線給電用コイルはボトムケース内の底面に水平に配置され、一方無線給電回路基板はボトムケースの内壁面に沿って垂直に配置される。このため、自由度の高い配置を行うことができ、これにより受信機のサイズの大型化を招くことなく無線給電ユニットを収容することができる。
【発明の効果】
【0009】
すなわちこの発明の一態様によれば、受信機の大型化を招くことなく無線給電ユニットの内蔵を可能にした技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態に係るGNSS受信機の外観の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したGNSS受信機のトップケースを取り外した状態を第1の方向から示した斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示したGNSS受信機のトップケースを取り外した状態を第1の方向とは反対方向の第2の方向から示した斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示したGNSS受信機の内部構成の一例を示す側面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示したGNSS受信機に収容される基板ユニットの構成の一例を示すもので、(a)は下面図、(b),(c)は長辺側から見た側面図、(d)は上面図、(e),(f)は短辺側から見た側面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示した基板ユニットを斜め上方から見たときの構成を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、LTE(登録商標)アンテナ基板の構成の一例を示す平面図である。
【
図8】
図8は、メイン基板とLTEアンテナ基板との間を電気的に接続するための構成の一例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、メイン基板にLTEアンテナ基板を取付ける直前の状態を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、メイン基板にLTEアンテナ基板を固定するための構造の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、GNSSアンテナユニットを上面側から見た構成を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、GNSSアンテナユニットを裏面側から見た構成を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、GNSSアンテナユニットの側面図である。
【
図14】
図14は、メイン基板とGNSSアンテナユニットとの間を電気的に接続するための構成の一例を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、メイン基板にGNSSアンテナユニットを固定した状態を上面側から見た斜視図である。
【
図16】
図16は、無線給電ユニットの構成の一例を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、無線給電ユニットの構成の一例を示す平面図である。
【
図18】
図18は、ボトムケースに無線給電ユニットを配置する直前の状態を示す斜視図である。
【
図19】
図19は、ボトムケースに無線給電ユニットを配置した状態を示す斜視図である。
【
図20】
図20は、ボトムケースに無線給電ユニットを配置した状態を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図21】
図21は、ボトムケースにバッテリパックを収容した状態を示す斜視図である。
【
図22】
図22は、ボトムケースにインナーホルダを装着する直前の状態を示す側面図である。
【
図23】
図23は、ボトムケースにインナーホルダを装着した状態を示す斜視図である。
【
図24】
図24は、ファンクションノブの構成の一例を示す正面図である。
【
図25】
図25は、ファンクションノブをトップケースに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図26】
図26は、トップケースに基板ユニットを装着する直前の状態を示す斜視図である。
【
図27】
図27は、トップケースに基板ユニットを装着する直前の状態を示す側面図である。
【
図28】
図28は、トップケースに基板ユニットを装着した状態を示す側面図である。
【
図29】
図29は、バッテリパックと基板ユニットとの間を電気的に接続するための構成の一例を示す斜視図である。
【
図30】
図30は、トップケースをボトムケースに装着する直前の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0012】
[一実施形態]
(構成例)
(1)GNSS受信機の全体構成
図1は、この発明の一実施形態に係る衛星測位受信機として用いられるGNSS受信機の外観を示す斜視図である。
【0013】
一実施形態に係るGNSS受信機は、ボトムケース1にトップケース2を着脱可能に装着した略直方体により構成される。トップケース2の側面部には、USBコネクタ21の開口部と、ファンクションノブ22用の開口部が設けられている。USBコネクタ21およびファンクションノブ22はいずれも防水機能を有する。
【0014】
図2および
図3は、
図1に示したGNSS受信機のトップケース2を取り外した状態を、それぞれ第1の方向およびこの第1の方向とは反対方向となる第2の方向から示した斜視図、
図4は側面図である。
【0015】
図2、
図3および
図4に示すように、ボトムケース1にはバッテリパック5が収容され、その上にインナーホルダ3に支持される状態で基板ユニット4が配置される。なお、
図4には図示していないが、ボトムケース1内の上記バッテリパック5の下方には、無線給電ユニットが配置される。無線給電ユニットについては後述する。
【0016】
(2)基板ユニット4の構成
図5は、基板ユニット4の構成の一例を示すもので、(a)は下面図、(b),(c)は長辺側から見た側面図、(d)は上面図、(e),(f)は短辺側から見た側面図である。
【0017】
基板ユニット4は、メイン基板40を備える。メイン基板40には電子デバイス41が実装されている。電子デバイス41は、測位に必要なRTK(Real Time Kinematic)方式によりGNSS信号を処理して位置座標を求める測位処理回路や、位置座標データをネットワークを介して外部の管理装置へ送信する送信回路等を構成する。
【0018】
メイン基板40には、第1および第2の無線通信用アンテナとして機能するLTE(登録商標)(Long Term Evolution)メインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bと、測距衛星から送信されるGNSS信号を受信するためのGNSSアンテナユニット7とがそれぞれ装着される。GNSSアンテナユニット7は、周波数の異なる2種類のGNSS信号を受信するために、L1用アンテナ7aとL2用アンテナ7bとを備える。
【0019】
(3)LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bの構成とその装着
図6は、メイン基板40にLTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bが装着された状態を示す斜視図である。
【0020】
図6に示すようにLTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bは、それぞれメイン基板40の互いに直交する短辺および長辺に沿わせた状態で、メイン基板40の基板面に対し垂直に装着される。
【0021】
上記メイン基板40の両面には、上記LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bが装着される短辺および長辺に対応する領域に、例えば
図6に示すようにパターン禁止領域43が形成されている。パターン禁止領域43は、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bとメイン基板40との間の干渉を低減する。
【0022】
LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bは、例えば
図7に示すように、横長の長方形状をなすアンテナ基板60に、LTEアンテナ素子パターン61を形成した平面アンテナからなる。アンテナ基板60には、メイン基板40との間を電気的に接続するための長孔部62a,62bが穿設されており、これらの長孔部62a,62bには端子が形成されている。
【0023】
一方、メイン基板40の上記短辺および長辺には、例えば
図8に示すように突状の端子部42a,42bが設けられている。これらの端子部42a,42bは、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bをメイン基板40に装着する際に、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bの長孔部62a,62bに挿入される。この挿入により、長孔部62a,62bに設けられた端子と、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bの端子部42a,42bとの間が電気的に接続される。そして、上記長孔部62a,62bに設けられた端子と、メイン基板40に設けられた端子部42a,42bとの間は、はんだ付けされる。これにより上記電気的な接続状態は補強される。
【0024】
また、メイン基板40の短辺および長辺には、それぞれ切欠部44a,44bが設けられている。これらの切欠部44a,44bは、上記LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bをメイン基板40に固定する際に、接着剤を注入するために用いられる。
【0025】
図9は、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bをメイン基板40に装着する直前の状態を、また
図10は装着した状態をそれぞれ示す。
図9および
図10に示すように、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bをメイン基板40にそれぞれ装着する際には、先ずLTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bの長孔部62a,62bを、それぞれメイン基板40の端子部42a,42bに挿入することにより、両者間の電気的な接続を行う。そして、メイン基板40の切欠部44a,44bに接着剤を注入する。かくして、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bはメイン基板40に固定される。
【0026】
(4)GNSSアンテナユニット7の構成とその装着
図11はGNSSアンテナユニット7を斜め上方から、また
図12はGNSSアンテナユニット7を裏面側からそれぞれ見た斜視図、
図13はGNSSアンテナユニット7の側面図である。
【0027】
GNSSアンテナユニット7は、L1用アンテナ7aをL2用アンテナ7b上に重ねて配置したものとなっている。L1用アンテナ7aおよびL2用アンテナ7bは、いずれも基板にアンテナ素子パターンを形成した平面アンテナからなる。L2用アンテナ7bは長方形をなし、その短辺方向および長辺方向のサイズはトップケース2の内部のサイズに対応するように設定される。その理由は、GNSS受信機のサイズの範囲で可能な限り高い受信感度を得るためと、トップケース2の補強およびがたつき防止のためである。
【0028】
L2用アンテナ7bの裏面側には、高周波回路基板70が装着される。この高周波回路基板70には、低雑音増幅器(Low Noise Amplifier:LNA)71を含む高周波回路が設けられている。この高周波回路はシールドケースに収容される。また、上記高周波回路基板70には、給電ピン72,72が突設されている。この給電ピン72,72は、L1用アンテナ7aをL2用アンテナ7bに重ねた状態でこれらのアンテナ7a,7bの基板を貫通する。これにより高周波回路基板70からL1用アンテナ7aおよびL2用アンテナ7bへの給電が行われる。
【0029】
また、上記高周波回路基板70およびメイン基板40にはそれぞれ接続端子が設けられている。これらの接続端子は、GNSSアンテナユニット7をメイン基板40に装着する際に、高周波ケーブル74により接続される。
【0030】
さらに、L2用アンテナ7bの基板の裏面側には、一対の面実装タップ73,73が、例えばはんだ付けにより実装されている。これに対しメイン基板40には、上記面実装タップ73,73と対応する位置に一対の勘合穴45,45が設けられている。上記面実装タップ73,73は、GNSSアンテナユニット7をメイン基板40に装着する際に、上記勘合穴45,45に勘合される。
【0031】
図14はGNSSアンテナユニット7をメイン基板40に装着する直前の状態を、また
図15は装着後の状態をそれぞれ示す斜視図である。
図14および
図15に示すように、GNSSアンテナユニット7をメイン基板40に装着する際には、L2用アンテナ7bの裏面に設けられた高周波回路基板70とメイン基板40との間を高周波ケーブル74により接続した後、面実装タップ73,73を勘合穴45,45に勘合し、しかる後面実装タップ73,73にバインドネジ75をねじ込むことにより固定される。
【0032】
(5)無線給電ユニット8の構成と装着
無線給電ユニット8は、例えば
図16および
図17に示すように、Qi基板80とQiコイル81とから構成され、これらの間を導線(ハーネス)82により接続したものとなっている。
【0033】
Qiコイル81は薄型コイルからなり、ボトムケース1内の底面にQiコイル81の形状に対応して形成された凹状の収容部に水平に配置される。一方、Qi基板80は長方形をなす回路基板からなり、ボトムケース1の内壁に形成された溝状の収容部に垂直に装着される。
【0034】
図18は、無線給電ユニット8をボトムケース1に装着する直前の状態を、また
図19および
図20(a),(b)は無線給電ユニット8をボトムケース1に装着した状態をそれぞれ示す図である。これらの図に示すように、無線給電ユニット8をボトムケース1に装着する際には、先ずQiコイル81をボトムケース1内の底面に設けられた凹状の収容部に収容し、Qi基板80をボトムケース1内の内壁に設けられた溝状の収容部に差し込むことにより装着する。この場合、ボトムケース1の凹状の収容部に対する上記Qiコイル81の固定は、例えばQiコイル81またはボトムケース1の凹状収容部に接着剤を塗布することにより行われる。
【0035】
無線給電ユニット8は、図示しない外部無線充電ユニットの送電用コイルから発生した電磁界をQiコイル81で受けて起電力を発生し、発生した上記起電力をもとにQi基板80が充電電流を生成する。生成された充電電流は、Qi基板80からQiハーネス83を介してメイン基板40に送られ、メイン基板40の制御の下、バッテリハーネス51を介してバッテリパック5に供給される。
【0036】
(6)バッテリパック5の収容
図21は、バッテリパック5をボトムケース1に収容した状態を示す斜視図である。
【0037】
バッテリパック5は、板状をなす薄型の形状を有する。バッテリパック5は、ボトムケース1の上記Qiコイル81上に重ねて配置される。バッテリパック5から引き出されるバッテリハーネス51は、バッテリパック5の短辺側から引き出される。このように構成することで、ボトムケース1の短辺方向のサイズを可能な限りバッテリパック5の短辺方向のサイズに近づけることができ、これによりボトムケース1を小型化することができる。
【0038】
(7)インナーホルダ3の装着
インナーホルダ3は、ボトムケース1に装着される。
【0039】
図22は、インナーホルダ3をボトムケース1に装着する直前の状態を示す側面図である。
図22に示すように、インナーホルダ3はQi基板80の内側に配置される。そして、インナーホルダ3は、その短辺側の二辺においてそれぞれボトムケース1にセルフタップネジ31,31によりネジ止め固定される。
図23は、ボトムケース1にインナーホルダ3を装着した状態を示す斜視図である。
【0040】
(8)ファンクションノブ22の装着
ファンクションノブ22は、GNSS受信機の動作モードを設定するためのスイッチ部22aを有する。ファンクションノブ22は、スイッチ部22aを例えば
図24に示すように半透明で樹脂製の筐体22bにより支持する。筐体22bを半透明とした理由は、スイッチ部22aが備えるLEDランプの発光をGNSS受信機の外部へ透過させるためである。
【0041】
ファンクションノブ22は、トップケース2の内壁面に装着される。すなわち、トップケース2の側面にはファンクションノブ用の開口窓が設けられており、ファンクションノブ22はこの開口窓からスイッチ部22aを露出させた状態でトップケース2の内壁面に配置される。また、そのときの位置決めは、トップケース2の上記開口窓の周辺部に形成された複数の突出部に、ファンクションノブ22の筐体22bに設けられた位置決め穴22cを挿入することにより行われる。ファンクションノブ22のトップケース2への固定は、ファンクションノブ22の筐体22bに防水性接着剤を塗布することにより行われる。
【0042】
(9)トップケース2への基板ユニット4の収容
基板ユニット4は、トップケース2内に収容される。
図26は基板ユニット4をトップケース2内に収容する直前の状態を示す斜視図、
図27はその側面図である。
【0043】
図26および
図27に示すように、基板ユニット4はUSBコネクタ21がトップケース2の側面に設けられた開口部に対向するように収容される。その収容作業は、トップケース2の内壁面に形成された案内用傾斜部24により基板ユニット4を滑らせ、トップケース2の内壁面に形成された位置決め用の溝部23にメイン基板40の長辺部を挿着することにより行われる。
図28は、基板ユニット4をトップケース2内に収容した状態を示す側面図である。
【0044】
(10)ボトムケース1へのトップケース2の装着
ボトムケース1にトップケース2を装着する際には、例えば
図29に示すように、先ずボトムケース1に収容されているバッテリパック5から引き出されたバッテリハーネス51のコネクタと、Qi基板80から引き出されているQiハーネス83のコネクタを、メイン基板40に設けられた受電端子46のコネクタにそれぞれ接続する。
【0045】
次に、例えば
図30に示すようにボトムケース1の端辺部に、トップケース2の端辺部を嵌め込むことにより、トップケース2をボトムケース1に装着し合体する。
図1に合体後の状態を示す。
【0046】
(作用・効果)
以上述べたように一実施形態で係わるGNSS受信機によれば、以下のような作用効果が奏せられる。
【0047】
(1)LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bは、それぞれメイン基板40の互いに直交する短辺および長辺に沿わせた状態で、メイン基板40の基板面に対し垂直に装着される。このため、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bを、メイン基板40に並べて水平に配置する場合に比べ、GNSS受信機の水平方向のサイズを小型化することができる。
【0048】
なお、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bはメイン基板40に対し垂直に配置されるため、GNSS受信機の高さ方向のサイズが大きくなることが懸念される。しかし、メイン基板40には高さのある電子デバイス41やGNSSアンテナユニット7が実装される。このため、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bの短辺方向のサイズを上記各部品の高さの範囲内に設定すれば、上記LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bを垂直配置することによるGNSS受信機の高さ方向のサイズの大型化は生じない。
【0049】
また、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bは、上記したようにメイン基板40に対し垂直に配置され、かつアンテナ6a,6b同士が互いに直交する位置関係となるように配置される。さらに、メイン基板40の上記LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bと対向する領域には、パターン禁止領域43が形成される。このため、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bとメイン基板40との間の干渉およびアンテナ6a,6b相互間の干渉は抑えられる。その結果、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bのアンテナ利得は維持される。
【0050】
すなわち、一実施形態に係るGNSS受信機によれば、干渉の抑制によりLTE無線通信の品質を高く維持しつつ、受信機の筐体サイズを小型化することができる。
【0051】
さらに、メイン基板40とLTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bとの間の電気的接続は、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bに設けた長孔部62a,62bを、メイン基板40に突設した端子部42a,42bに挿入することにより行われる。このため、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bとメイン基板40とを接続するためのコネクタを不要にして、アンテナ6a,6bの装着に必要なスペースをさらに小さくすることができる。
【0052】
(2)GNSSアンテナユニット7を、L1用アンテナ7aをL2用アンテナ7bの上面に重ねて配置した構造とし、さらにこのGNSSアンテナユニット7をメイン基板40の表面側に重ねて配置している。このため、基板ユニット4、延いてはGNSS受信機の水平方向のサイズを小型化することができる。
【0053】
また、LNA71等の高周波回路は、L2用アンテナ基板上ではなく、専用の高周波回路基板70に実装され、この高周波回路基板70がL2用アンテナ7bの基板の裏面側に接着により装着されるようになっている。これにより、LNA71等の高周波回路をL2用アンテナ7bの基板に直接形成する場合に比べ、GNSSアンテナユニット7の設計上の自由度を高めることができる。
【0054】
しかも、上記高周波回路基板70とL1用アンテナ7aおよびL2用アンテナ7bとの間の電気的接続は、上記高周波回路基板70とL1用アンテナ7aおよびL2用アンテナ7bとの間を貫通する給電ピン72により行われる構造となっている。このため、高周波回路基板70とL1用アンテナ7aおよびL2用アンテナ7bとの間を接続するためのコネクタを不要にすることができ、これによりGNSSアンテナユニット7の高さ方向の小型化を図ることができる。すなわち、GNSSアンテナユニット7の小型化を維持した上で、設計上の自由度を高めることができる。
【0055】
さらに、GNSSアンテナユニット7をメイン基板40に実装する際には、L2用アンテナ7bの基板面に設けられた面実装タップ73,73に対し、メイン基板40側からバインドネジ75,75を螺着することにより、GNSSアンテナユニット7をメイン基板40に固定するようにしている。このため、GNSSアンテナユニット7にはネジ止めのためのネジ穴を設ける必要がなくなり、これによりL2用アンテナへの悪影響を防止しつつ、メイン基板40に対しGNSSアンテナユニット7を実装することができる。
【0056】
また、上記したようにLNA71等の高周波回路を専用の高周波回路基板70に形成すると共に、この高周波回路基板70とメイン基板40との間の接続を高周波ケーブル74により行っている。これにより、例えば、将来他の周波数帯域のGNSS信号(例えばL5)を受信するために、外付けの測距衛星用アンテナを使用する必要性が生じた場合でも、この外付けのGNSSアンテナへの高周波回路基板70の接続切替を容易に行うことが可能となる。
【0057】
(3)無線給電ユニット8を、Qi基板80とQiコイル81とに分離してこれらをハーネス82により接続した構成とし、このうちQiコイル81をボトムケース1内の底面に形成された凹状の収容部に水平状態に収容し、Qi基板80をボトムケース1の内壁に形成された溝状の収容部に策込むことにより垂直に配置するようにしている。
【0058】
これにより、無線給電ユニット8の配置上の自由度が高められ、ボトムケース1に対しコンパクトに収容することが可能となる。特に、Qi基板80をボトムケース1の内壁面に沿わせて垂直に配置したことにより、Qi基板80をQiコイル81と共にボトムケース1に水平に配置する場合に比べ、ボトムケース1、つまりGNSS受信機の幅方向のサイズを小型化することができる。
【0059】
(4)バッテリパック5のバッテリハーネス51を、バッテリパック5の短辺から引き出すようにしている。これにより、ボトムケース1の短辺方向のサイズをバッテリパック5の短辺方向のサイズに合わせて設定することが可能となり、これにより例えばバッテリハーネス51をバッテリパック5の長辺側から引き出す場合に比べ、ボトムケース1の短辺方向のサイズを小型化することができる。
【0060】
(5)無線給電ユニット8およびバッテリパック5をボトムケース1に収容すると共に、基板ユニット4をトップケース2内に収容し、この状態でトップケース2をボトムケース1に装着する構造となっている。このため、すべてのユニットをボトムケース1に装着した状態でトップケース2を被せる場合に比べ、GNSS受信機の組み立てを容易に行うことができ、また各ユニットの装着の位置ずれが発生し難くなって、構造的な信頼性の高いGNSS受信機を提供することが可能となる。
【0061】
[その他の実施形態]
前記一実施形態では、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bを、メイン基板40の短辺および長辺に隣接する状態でL型に配置するようにしたが、メイン基板40の長辺におけるLTEサブアンテナ6bの配置位置を調整することで、LTEメインアンテナ6aとLTEサブアンテナ6bとが離間する状態に配置するようにしてもよい。このようにすると、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6b相互間の干渉のさらなる低減が期待できる。
【0062】
また、前記一実施形態では、無線通信用アンテナユニットとしてLTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bを用いた場合を例にとって説明したが、5G対応のアンテナを用いてもよい。さらに、GNSS用アンテナユニットとしてL1用アンテナ7aとL2用アンテナ7bを用いた場合を例にとって説明したが、L5用アンテナを追加することも可能である。
【0063】
その他、LTEメインアンテナ6aおよびLTEサブアンテナ6bの構成、GNSSアンテナユニットの構成とメイン基板40への装着構造および電気的な接続手段、無線給電ユニット8の構成とボトムケース1への装着構造等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施可能である。
【0064】
以上、この発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点においてこの発明の例示に過ぎない。この発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、この発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0065】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…ボトムケース
2…トップケース
3…インナーホルダ
4…基板ユニット
5…バッテリパック
6a…LTEメインアンテナ
6b…LTEサブアンテナ
7…GNSSアンテナユニット
7a…L1用アンテナ
7b…L2用アンテナ
8…無線給電ユニット
21…USBコネクタ
22…ファンクションノブ
22a…スイッチ部
22b…ファンクションノブの筐体
22c…位置決め穴
23…位置決め用の溝部
24…案内用傾斜部
31…セルフタップネジ
40…メイン基板
41…電子デバイス
42a,42b…突状の端子部
43…パターン禁止領域
44a,44b…切欠部
45…勘合穴
46…受電端子
51…バッテリハーネス
60…アンテナ基板
61…LTEアンテナ素子パターン
62a,62b…長孔部
70…高周波回路基板
71…低雑音増幅器(LNA)
72a,72b…給電ピン
73a,73b…面実装タップ
74…高周波ケーブル
75…バインドネジ
80…Qi基板
81…Qiコイル
82…ハーネス
83…Qiハーネス
【要約】
【課題】この発明の課題は、受信機の大型化を招くことなく無線給電ユニットの内蔵を可能にすることである。
【解決手段】この発明の一態様は、ボトムケースとトップケースとから構成される筐体と、筐体の内部に収容される方形をなす平板状のメイン基板と、メイン基板の第1の面に重ねた状態で配置される測距衛星用アンテナユニットと、メイン基板の辺に沿って垂直に配置される無線通信用の平面アンテナユニットと、メイン基板の第1の面と反対側となる第2の面とボトムケースとの間に収容されるバッテリと、バッテリを充電するための無線給電ユニットとを備え、無線給電ユニットは、平板状に構成された無線給電用コイルと無線給電回路基板との間を導線により接続し、無線給電用コイルをボトムケースの内部底面とバッテリとの間に配置し、無線給電回路基板をボトムケース内壁面に垂直に配置する。
【選択図】
図19