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特許7616583腫瘍治療におけるイソキノリン化合物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】腫瘍治療におけるイソキノリン化合物の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4375 20060101AFI20250109BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20250109BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20250109BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20250109BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20250109BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALN20250109BHJP
【FI】
A61K31/4375
A61P35/00
A61K9/20
A61K9/06
A61K9/08
A61P35/02
C12M1/34 Z
G01N33/53 M
G01N33/574 Z
C12Q1/68 ZNA
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2023526860
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 CN2021129066
(87)【国際公開番号】W WO2022095972
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】202011233335.X
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】524340608
【氏名又は名称】上海施江生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI SHIJIANG BIOTECHNOLOGY CO.,LTD
(73)【特許権者】
【識別番号】513059401
【氏名又は名称】同▲済▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】施裕豊
(72)【発明者】
【氏名】馬文江
(72)【発明者】
【氏名】江賜忠
(72)【発明者】
【氏名】呉長清
(72)【発明者】
【氏名】劉玉娥
(72)【発明者】
【氏名】劉文舉
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-7559(JP,A)
【文献】Chunming Gu et al.,"Identification of berberine as a novel drug for the treatment of multiple myeloma via targeting UHRF1",BMC Biology,2020年03月25日,Vol.18:33,p.1-17,DOI: 10.1186/s12915-020-00766-8
【文献】Fang Zheng et al.,"The enhancement of combination of berberine and metformin in inhibition of DNMT1 gene expression through interplay of SP1 and PDPK1",Journal of Cellular and Molecular Medicine,2018年,Vol.22,No.1,p.600-612,DOI: 10.1111/jcmm.13347
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
47/00-47/69
9/00-9/72
A61P 1/00-43/00
C12M 1/34
G01N 33/53
G01N 33/574
C12Q 1/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍の予防及び/又は治療に用いられる組成物又は製剤の調製のための、式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩の使用であって、
ここで、前記腫瘍はNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍を含み;及び/又は
前記腫瘍はNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍を含み;及び/又は
前記腫瘍はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍を含み;
【化1】
ここで、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、-COOH、-CHO、置換又は非置換のC1-C12アルキル基、置換又は非置換のC3-C12シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C12アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C12アルキルチオール基、置換又は非置換の3-12員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-12員ヘテロアリール基を表し;或いは、RとR、RとR、RとR、R10とR11、R11とR12、及びR12とR13は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換のC3-C12シクロアルキル環、置換又は非置換の3-12員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-12員ヘテロアリール環を形成し;
、R、R、R、R及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、-COOH、-CHO、置換又は非置換のC1-C12アルキル基、置換又は非置換のC3-C12シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C12アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C12アルキルチオール基、置換又は非置換の3-12員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-12員ヘテロアリール基を表し;
ここで、前記の任意の「置換」は、原子団上の1つ、2つ、3つ又は4つの水素原子が、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、C1-C8ハロゲン化アルキル基、C3-C8ハロゲン化シクロアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、-CN、カルボニル基、シアン基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、C1-C4カルボキシル基、C2-C8エステル基、C2-C4アシルアミノ基、C1-C8アルコキシル基、C1-C8アルキルチオール基、C3-C8シクロアルコキシル基、C3-C8シクロアルキルチオール基、C1-C8ハロゲン化アルコキシル基、C1-C8ハロゲン化アルキルチオール基、C6-C12アリール基、5-10員ヘテロアリール基、5-10員ヘテロシクロアルキル基及びピロリジン-2,5-ジケトン基から選択される置換基によって置換されることを指し;
前記のヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル環及びヘテロアリール環の複素環上には、それぞれ独立して、N、O及びSから選択される1つ~4つのヘテロ原子がある
ことを特徴とする使用。
【請求項2】
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C6アルキル基、置換又は非置換のC1-C6アルコキシル基、又は置換又は非置換のC1-C6アルキルチオール基を表し;
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C6アルキル基、置換又は非置換のC1-C6アルコキシル基、又は置換又は非置換のC1-C6アルキルチオール基を表し;或いは、RとRは、お互いに置換又は非置換の3員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の4員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の5員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の6員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の7員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の8員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の9員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の10員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の11員ヘテロシクロアルキル環、又は置換又は非置換の12員ヘテロシクロアルキル環を形成し;
、R、R、R、R及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、-COOH、-CHO、置換又は非置換のC1-C8アルキル基、置換又は非置換のC3-C10シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C8アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C8アルキルチオール基、置換又は非置換の3-10員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-10員ヘテロアリール基を表し;
10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又はR17-A-を表し;或いは、R10とR11及びR11とR12は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換の3員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の4員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の5員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の6員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の7員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の8員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の9員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の10員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の11員ヘテロシクロアルキル環、又は置換又は非置換の12員ヘテロシクロアルキル環を形成し;ここで、AはO又はSを指し;
13は、水素原子、置換又は非置換のC1-C6アルコキシル基、又は置換又は非置換のC1-C6アルキルチオール基を表し;及び/又は
17は、置換又は非置換のC1-C6アルキル基、C2-C4アルケニル基-C1-C4アルキル基-、C2-C8エステル基-C1-C4アルキル基-、ハロゲン化C1-C12アルキル基-、5-7員ヘテロシクロアルキル基-C1-C4アルキル基-、ピロリジン-2,5-ジケトン基-C1-C4アルキル基-、シアン基-C1-C4アルキル基-、C1-C4アルコキシル基-C2-C4アルキル基-、C2-C4アルキルチオール基-C1-C4アルキル基-、又は5-7員ヘテロアリール基-C1-C4アルキル基-を表す
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
は水素原子を表し;
とRは、お互いに置換又は非置換の
【化2】
を形成し;
は水素原子を指し;
、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を表し;
10、R11及びR12はそれぞれ独立して水素原子又はR17-A-を表し;或いは、R10とR11、及びR11とR12は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換の
【化3】
を形成し;
13は、水素原子を表し;
14は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を表し;
15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C4アルキル基、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C4アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C4アルキルチオール基、置換又は非置換の3-8員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-8員ヘテロアリール基を表し;
17は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ビニル基-メチル基-、アミルエステル基-メチル基-、ハロゲン化プロピル基、ハロゲン化デシル基、モルホリニル基-エチル基-、ピロリジン-2,5-ジケトン基-エチル基-、シアン基-メチル基-、メトキシ基-エチル基-、又はピリジン基-メチル基-を表し;
AはO又はSを指し;及び/又は
WはO又はSを指す
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記の式Iの化合物の構造は、次の式I-4に示され:
【化4】
ここで、AはO又はSを指し; WはO又はSを指し;
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、請求項1に記載の通りであり;
或いは、前記の式Iの化合物の構造は、次の式I-5に示され:
【化5】
ここで、AはO又はSを指し; WはO又はSを指し;
、R、R、R、R、R、R、R10、R13及びR14は、請求項1に記載の通りであり;
或いは、前記の式Iの化合物の構造は、次の式I-6に示され:
【化6】
ここで、AはO又はSを指し; WはO又はSを指し;
、R、R、R、R、R、R、R12、R13及びR14は、請求項1に記載の通りである
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項5】
請求項1に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩の構造は、
【化7】
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記腫瘍はヒトの腫瘍であり;
前記NNMT遺伝子はヒトのNNMT遺伝子であり;
前記発現は、タンパク質発現及び/又はmRNA発現を含み;
前記組成物は薬物の組成物であり;
前記組成物又は製剤は薬学的に許容される担体を更に含み;
前記組成物又は製剤の形態は固体、液体または半固体であり;及び/又は
前記組成物又は製剤の類型は経口剤、外用剤又は注射用製剤である
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項7】
前記のNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子の発現量E1と同一の細胞又は正常細胞中のNNMT遺伝子の発現量E0との間の比率(E1/E0)が<1.0となる腫瘍を指し、前記の同一の細胞は、NNMT遺伝子が正常に発現される類同な腫瘍細胞を指し;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルL1と同一の細胞又は正常細胞中のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルL0との間の比率(L1/L0)が>1.0となる腫瘍を指し、前記同一の細胞は、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位が正常にメチル化される類同な腫瘍細胞を指し;及び/又は
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルW1と同一の細胞又は正常細胞中のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルW0との間の比率(W1/W0)が>1.0となる腫瘍を指し、前記同一の細胞は、NNMT遺伝子領域DNA CpG部位が正常にメチル化される類同な腫瘍細胞を指す
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項8】
前記のNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子の発現量E1と同一の細胞又は正常細胞中のNNMT遺伝子の発現量E0との間の比率(E1/E0)が≦0.7となる腫瘍を指し、前記の同一の細胞は、NNMT遺伝子が正常に発現される類同な腫瘍細胞を指し;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルL1と同一の細胞又は正常細胞中のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルL0との間の比率(L1/L0)が≧2となる腫瘍を指し、前記同一の細胞は、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位が正常にメチル化される類同な腫瘍細胞を指し、;及び/又は
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルW1と同一の細胞又は正常細胞中のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルW0との間の比率(W1/W0)が≧2となる腫瘍を指し、前記同一の細胞は、NNMT遺伝子領域DNA CpG部位が正常にメチル化される類同な腫瘍細胞を指す
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項9】
前記のNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子の発現量E1と同一の細胞又は正常細胞中のNNMT遺伝子の発現量E0との間の比率(E1/E0)が≦0.4となる腫瘍を指し、前記の同一の細胞は、NNMT遺伝子が正常に発現される類同な腫瘍細胞を指し;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルL1と同一の細胞又は正常細胞中のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルL0との間の比率(L1/L0)が≧5となる腫瘍を指し、前記同一の細胞は、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位が正常にメチル化される類同な腫瘍細胞を指し;及び/又は
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルW1と同一の細胞又は正常細胞中のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルW0との間の比率(W1/W0)が≧5となる腫瘍を指し、前記同一の細胞は、NNMT遺伝子領域DNA CpG部位が正常にメチル化される類同な腫瘍細胞を指す
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項10】
前記のNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子の発現量E1と同一の細胞又は正常細胞中のNNMT遺伝子の発現量E0との間の比率(E1/E0)が≦0.1となる腫瘍を指し、前記の同一の細胞は、NNMT遺伝子が正常に発現される類同な腫瘍細胞を指し;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルL1と同一の細胞又は正常細胞中のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルL0との間の比率(L1/L0)が≧10となる腫瘍を指し、前記同一の細胞は、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位が正常にメチル化される類同な腫瘍細胞を指し;及び/又は
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルW1と同一の細胞又は正常細胞中のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルW0との間の比率(W1/W0)が≧10となる腫瘍を指し、前記同一の細胞は、NNMT遺伝子領域DNA CpG部位が正常にメチル化される類同な腫瘍細胞を指す
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項11】
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル(M%)が≧3%且つM1%以下となり、ここでM1が3~100の任意の正の整数である腫瘍を指し;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子領域のメチル化されるヌクレオチドの数目とNNMT遺伝子領域の全てのヌクレオチドの数目との間の比率を指し;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子プロモーター領域のヌクレオチド部位のメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域内のヌクレオチド部位のメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域内のヌクレオチド部位のメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域内のヌクレオチド部位のメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、ヒト第11染色体の114165695位と114165730位と114165769位と114165804位と114165938位と114166050位と114166066位の何れか2つの間の領域内(これらの2つの位自体を含む)のヌクレオチド部位のメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、ヒト第11染色体の114165695位、ヒト第11染色体の114165730位、ヒト第11染色体の114165769位、ヒト第11染色体の114165804位、ヒト第11染色体の114165938位、ヒト第11染色体の114166050位、ヒト第11染色体の114166066位又はこれらの組合せから選択される部位のヌクレオチドのメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、配列番号1ヌクレオチド配列の部位の第1161位と第1196位と第1235位と第1270位と第1404位と第1516位と第1532位の何れか2つの間の領域内(これらの2つの位自体を含む)のヌクレオチド部位のメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、配列番号1ヌクレオチド配列の部位の第1161位と第1196位と第1235位と第1270位と第1404位と第1516位と第1532位のうちの1つ又は複数の部位のヌクレオチドのメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベル(M%)が≧3%且つM2%以下となり、ここでM2が3~100の任意の正の整数である腫瘍を指し;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子領域のメチル化されるCpGヌクレオチドの数目とNNMT遺伝子領域の全てのヌクレオチドの数目との間の比率を指し;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子領域のメチル化されるCpGヌクレオチドの数目とNNMT遺伝子領域の全てのCpGヌクレオチドの数目との間の比率を指し;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子プロモーター領域のDNA CpG部位のメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193 bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、ヒト第11染色体の114165695位と114165730位と114165769位と114165804位と114165938位と114166050位と114166066位の何れか2つの間の領域内(これらの2つの位自体を含む)のDNA CpG部位のメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、ヒト第11染色体の114165695位、ヒト第11染色体の114165730位、ヒト第11染色体の114165769位、ヒト第11染色体の114165804位、ヒト第11染色体の114165938位、ヒト第11染色体の114166050位、ヒト第11染色体の114166066位又はこれらの組合せから選択される部位のメチル化レベルを含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、配列番号1ヌクレオチド配列の部位の第1161位と第1196位と第1235位と第1270位と第1404位と第1516位と第1532位の何れか2つの間の領域内(これらの2つの位自体を含む)のDNA CpG部位のメチル化レベルを含み;及び/又は
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、配列番号1配列の部位の第1161位、第1196位、第1235位、第1270位、第1404位、第1516位、第1532位又はこれらの組合せから選択される部位のメチル化レベルを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項12】
M1は5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、85、90、95又は100であり;
M2は5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、85、90、95又は100であり;
NNMT遺伝子プロモーター領域のヌクレオチド配列は配列番号1に示され;
NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の951~2500位であり;
NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の951~1808位であり;及び/又は
NNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の1161~1532位である
ことを特徴とする請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記腫瘍は、肺癌、腎臓癌、乳癌、結腸癌、リンパ腫、白血病、膵臓癌、脳腫瘍、肝臓癌、前立腺癌又はこれらの組合せから選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項14】
前記肺癌は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌又はこれらの組合せから選択され;
前記結腸癌は結腸腺癌を含み;
前記リンパ腫は、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫又はこれらの組合せから選択され;
前記脳腫瘍は、膠芽細胞腫、神経膠細胞腫、脳髄芽細胞腫、神経芽細胞腫又はこれらの組合せから選択され;
前記腎臓癌は、腎臓透明細胞腺癌、腎臓癌Wilms又はこれらの組合せから選択され;及び/又は
前記白血病は、Tリンパ球性白血病、骨髄性白血病又はこれらの組合せから選択される
ことを特徴とする請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記リンパ腫は、びまん性大細胞型Bリンパ腫を含み;
前記脳髄芽細胞腫は小脳髄芽細胞腫を含み;
前記膠芽細胞腫は多形性膠芽細胞腫を含み;
前記腎臓癌の癌細胞は、腎臓癌Wilms細胞を含み;
前記Tリンパ球性白血病は急性Tリンパ球性白血病を含み;
前記骨髄性白血病はM4級AML急性骨髄性白血病を含み;及び/又は
前記骨髄性白血病はFAB M4級AML急性骨髄性白血病を含む
ことを特徴とする請求項14に記載の使用。
【請求項16】
請求項1に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩が腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するかどうかの判断を補助する方法であって、当該方法は、
正常細胞と比較して、腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の低発現又は未発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化が検出された場合、請求項1に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適すると決定付けられ、
正常細胞と比較して、腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の低メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の低メチル化が検出された場合、請求項1に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適しないと決定づけられる、方法。
【請求項17】
前記腫瘍はNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍を含み;
前記腫瘍はNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍を含み;
前記腫瘍はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍を含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位は、NNMT遺伝子プロモーター領域のヌクレオチド部位を含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位は、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域のヌクレオチド部位を含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位は、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域のヌクレオチド部位を含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位は、NNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域のヌクレオチド部位を含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位は、ヒト第11染色体の114165695位と114165730位と114165769位と114165804位と114165938位と114166050位と114166066位の何れか2つの間の領域内(これらの2つの位自体を含む)のヌクレオチド部位を含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位は、ヒト第11染色体の114165695位、ヒト第11染色体の114165730位、ヒト第11染色体の114165769位、ヒト第11染色体の114165804位、ヒト第11染色体の114165938位、ヒト第11染色体の114166050位、ヒト第11染色体の114166066位又はこれらの組合せから選択された部位を含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位は、配列番号1ヌクレオチド配列の部位の第1161位と第1196位と第1235位と第1270位と第1404位と第1516位と第1532位の何れか2つの間の領域内(これらの2つの位自体を含む)のヌクレオチド部位を含み;
前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位は、配列番号1ヌクレオチド配列の部位の第1161位と第1196位と第1235位と第1270位と第1404位と第1516位と第1532位のうちの1つ又は複数の部位を含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位は、NNMT遺伝子プロモーター領域のDNA CpG部位を含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位は、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域のDNA CpG部位を含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位は、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域のDNA CpG部位を含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位は、NNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域のDNA CpG部位を含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位は、ヒト第11染色体の114165695位と114165730位と114165769位と114165804位と114165938位と114166050位と114166066位の何れか2つの間の領域内(これらの2つの位自体を含む)のDNA CpG部位を含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位は、ヒト第11染色体の114165695位、ヒト第11染色体の114165730位、ヒト第11染色体の114165769位、ヒト第11染色体の114165804位、ヒト第11染色体の114165938位、ヒト第11染色体の114166050位、ヒト第11染色体の114166066位又はこれらの組合せから選択された部位を含み;
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位は、配列番号1ヌクレオチド配列の部位の第1161位と第1196位と第1235位と第1270位と第1404位と第1516位と第1532位の何れか2つの間の領域内(これらの2つの位自体を含む)のDNA CpG部位を含み;及び/又は
前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位は、配列番号1配列の部位の第1161位、第1196位、第1235位、第1270位、第1404位、第1516位、第1532位又はこれらの組合せから選択された部位を含む
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
NNMT遺伝子プロモーター領域のヌクレオチド配列は配列番号1に示され;
NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の951~2500位であり;
NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の951~1808位であり;及び/又は
NNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の1161~1532位である
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
検出キットを使用して随伴検出キットを製造する方法であって、
前記検出キットは、(i)NNMT遺伝子の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルを検出するために用いられる検出試剤を備え;
前記随伴検出キットは、請求項1に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩が腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するかどうかを判断するために用いられ;
前記随伴検出キットは取扱説明書又はラベルを更に備え、前記取扱説明書又はラベルには、
腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の低発現又は未発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化になると、請求項1に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するようになるという内容;及び/又は
腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の低メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の低メチル化になると、請求項1に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適しないようになるという内容が記載されている
随伴検出キットの製造方法。
【請求項20】
(i)NNMT遺伝子の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルを検出するために用いられる検出試剤と、
(ii)請求項1に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩とを備える
ことを特徴とする医療キット。
【請求項21】
(i)NNMT遺伝子の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルを検出するために用いられる検出モジュールと、
(ii)腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の低発現又は未発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化になると、請求項1に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩が腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するようになるという情報;及び/又は
腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の低メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の低メチル化になると、請求項1に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適しないようになるという情報を出力する出力モジュールとを備える
ことを特徴とする装置又はシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物の技術分野に関し、特に腫瘍治療におけるイソキノリン化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍は、人類の健康を重く危うくする一般的な病気として悪性腫瘍による死亡率にもずっと上昇傾向をもたらしている。腫瘍の異質性及び患者の個体差により、それの由来や病理学的特徴に応じて同一の治療法又は同一の薬物を単に用いれば、不適切な治療に起因する問題が現れやすくなり、患者の大事な治療時間と時機を遅らせる。そのため、患者の様々な状況に対して個性化の治療を採用する必要性は大いにあるらしい。生物学的技術の発展に伴い、腫瘍治療も精密な治療の時代に入っており、且つ腫瘍の関連遺伝子発現についての変化は次々と発見されており、関連遺伝子の転換は悪性腫瘍の発生に重要な役割を果たしている。細胞の特定の機能を上方調節して癌細胞の不死を促進する等のこういうバイオマーカーの発見と使用は、関連薬物の使用に精密な導引を提供し、腫瘍の個性化の治療を可能にして標的とする投薬を達成し、治療効果を大幅に改善する。
【0003】
そのため、腫瘍を精密に治療できる薬を開発するのは、本技術分野で急務となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、腫瘍の精密な治療を行うようにNNMT遺伝子の発現量、DNAメチル化酵素の発現量、UHRF1の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルにより本発明の化合物が腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するかどうかを判断するマーカーを提供することを目的とする。本発明の化合物は、NNMT遺伝子の低発現又は未発現、DNAメチル化酵素の高発現、UHRF1の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化がある腫瘍に対してより著しく優れた治療効果を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様は、式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩についての使用であって、組成物又は製剤を調製し、且つ前記組成物又は前記製剤は腫瘍の予防及び/又は治療に用いられることを特徴とするその使用。
【化1】
【0006】
ここで、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、-COOH、-CHO、置換又は非置換のC1-C12アルキル基、置換又は非置換のC3-C12シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C12アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C12アルキルチオール基、置換又は非置換の3-12員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-12員ヘテロアリール基を表し;或いは、RとR、RとR、RとR、R10とR11、R11とR12、及びR12とR13は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換のC3-C12シクロアルキル環、置換又は非置換の3-12員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-12員ヘテロアリール環を形成し;
、R、R、R、R及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、-COOH、-CHO、置換又は非置換のC1-C12アルキル基、置換又は非置換のC3-C12シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C12アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C12アルキルチオール基、置換又は非置換の3-12員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-12員ヘテロアリール基を表し;
ここで、前記の任意の「置換」は、原子団上の1つ又は複数(好ましくは、1つ、2つ、3つ又は4つ)の水素原子が、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、C1-C8ハロゲン化アルキル基、C3-C8ハロゲン化シクロアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、-CN、カルボニル基(=O)、シアン基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、C1-C4カルボキシル基、C2-C8エステル基、C2-C4アシルアミノ基、C1-C8アルコキシル基、C1-C8アルキルチオール基、C3-C8シクロアルコキシル基、C3-C8シクロアルキルチオール基、C1-C8ハロゲン化アルコキシル基、C1-C8ハロゲン化アルキルチオール基、C6-C12アリール基、5-10員ヘテロアリール基、5-10員ヘテロシクロアルキル基及びピロリジン-2,5-ジケトン基から選択される置換基によって置換されることを指し;
前記のヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル環及びヘテロアリール環の複素環上には、それぞれ独立して、N、O及びSから選択される1つ~4つ(好ましくは、1つ、2つ、3つ又は4つ)のヘテロ原子がある。
【0007】
別の好ましい例で、前記シクロアルキル環には1つ、2つ又は3つのC=C環式二重結合がある。
【0008】
別の好ましい例で、前記ヘテロシクロアルキル環には1つ、2つ又は3つのC=C環式二重結合がある。
【0009】
別の好ましい例で、前記「置換」は、原子団上の1つ又は複数(好ましくは、1つ、2つ、3つ又は4つ)の水素原子が、C1-C6アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、C1-C6ハロゲン化アルキル基、C3-C8ハロゲン化シクロアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、-CN、カルボニル基(=O)、シアン基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、C1-C4カルボキシル基、C2-C6エステル基、C2-C4アシルアミノ基、C1-C6アルコキシル基、C1-C6アルキルチオール基、C3-C6シクロアルコキシル基、C3-C6シクロアルキルチオール基、C1-C6ハロゲン化アルコキシル基、C1-C6ハロゲン化アルキルチオール基、C6-C12アリール基、5-10員ヘテロアリール基、5-10員ヘテロシクロアルキル基及びピロリジン-2,5-ジケトン基から選択される置換基によって置換されることを指す。
【0010】
別の好ましい例で、前記「置換」は、原子団上の1つ又は複数(好ましくは、1つ、2つ、3つ又は4つ)の水素原子が、C1-C4アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、C1-C4ハロゲン化アルキル基、C3-C8ハロゲン化シクロアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、-CN、カルボニル基(=O)、シアン基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、C1-C4カルボキシル基、C2-C6エステル基、C2-C4アシルアミノ基、C1-C4アルコキシル基、C1-C4アルキルチオール基、C3-C6シクロアルコキシル基、C3-C6シクロアルキルチオール基、C1-C4ハロゲン化アルコキシル基、C1-C4ハロゲン化アルキルチオール基、C6-C12アリール基、5-10員ヘテロアリール基、5-10員ヘテロシクロアルキル基及びピロリジン-2,5-ジケトン基から選択される置換基によって置換されることを指す。
【0011】
別の好ましい例で、前記「置換」は、原子団上の1つ又は複数(好ましくは、1つ、2つ、3つ又は4つ)の水素原子が、C1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、C2-C4アルキニル基、ハロゲン原子、C1-C4アルコキシル基、C1-C4カルボキシル基及びC2-C6エステル基から選択される置換基によって置換されることを指す。
【0012】
別の好ましい例で、前記のヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル環及びヘテロアリール環の複素環上には、それぞれ独立して、N、O及びSから選択される1つ~4つ(好ましくは、1つ、2つ、3つ又は4つ)のヘテロ原子がある。
【0013】
別の好ましい例で、RとR、RとR、RとR、R10とR11、R11とR12、及びR12とR13は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換のC3-C12シクロアルキル環、置換又は非置換の3-12員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-12員ヘテロアリール環を形成する。
【0014】
別の好ましい例で、RとRは、お互いに置換又は非置換のC3-C12シクロアルキル環、置換又は非置換の3-12員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-12員ヘテロアリール環を形成する。
【0015】
別の好ましい例で、RとRは、お互いに置換又は非置換のC3-C12シクロアルキル環、置換又は非置換の3-12員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-12員ヘテロアリール環を形成する。
【0016】
別の好ましい例で、RとRは、お互いに置換又は非置換のC3-C12シクロアルキル環、置換又は非置換の3-12員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-12員ヘテロアリール環を形成する。
【0017】
別の好ましい例で、R10とR11は、お互いに置換又は非置換のC3-C12シクロアルキル環、置換又は非置換の3-12員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-12員ヘテロアリール環を形成する。
【0018】
別の好ましい例で、R11とR12は、お互いに置換又は非置換のC3-C12シクロアルキル環、置換又は非置換の3-12員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-12員ヘテロアリール環を形成する。
【0019】
別の好ましい例で、R12とR13は、お互いに置換又は非置換のC3-C12シクロアルキル環、置換又は非置換の3-12員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-12員ヘテロアリール環を形成する。
【0020】
別の好ましい例で、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、-COOH、-CHO、置換又は非置換のC1-C8アルキル基、置換又は非置換のC3-C10シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C10アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C10アルキルチオール基、置換又は非置換の3-10員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-10員ヘテロアリール基を表し;或いは、RとR、RとR、RとR、R10とR11、R11とR12、及びR12とR13は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル環、置換又は非置換の3-10員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-10員ヘテロアリール環を形成する。
【0021】
別の好ましい例で、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、-COOH、-CHO、置換又は非置換のC1-C8アルキル基、置換又は非置換のC3-C10シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C8アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C8アルキルチオール基、置換又は非置換の3-10員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-10員ヘテロアリール基を表し;或いは、RとR、RとR、RとR、R10とR11、R11とR12、及びR12とR13は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル環、置換又は非置換の3-10員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-10員ヘテロアリール環を形成する。
【0022】
別の好ましい例で、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、-COOH、-CHO、置換又は非置換のC1-C6アルキル基、置換又は非置換のC3-C10シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C6アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C6アルキルチオール基、置換又は非置換の3-10員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-10員ヘテロアリール基を表し;或いは、RとR、RとR、RとR、R10とR11、R11とR12、及びR12とR13は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル環、置換又は非置換の3-10員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-10員ヘテロアリール環を形成する。
【0023】
別の好ましい例で、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、-COOH、-CHO、置換又は非置換のC1-C4アルキル基、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C4アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C4アルキルチオール基、置換又は非置換の3-8員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-8員ヘテロアリール基を表し;或いは、RとR、RとR、RとR、R10とR11、R11とR12、及びR12とR13は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換のC3-C6シクロアルキル環、置換又は非置換の3-8員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-8員ヘテロアリール環を形成する。
【0024】
別の好ましい例で、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、-COOH、-CHO、置換又は非置換のC1-C4アルキル基、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C4アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C4アルキルチオール基、置換又は非置換の3-8員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-8員ヘテロアリール基を表し;或いは、RとR、RとR、RとR、R10とR11、R11とR12、及びR12とR13は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換のC3-C6シクロアルキル環、置換又は非置換の5-7員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換のC6-C12アリール環、又は置換又は非置換の3-8員ヘテロアリール環を形成する。
【0025】
別の好ましい例で、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C6アルキル基、置換又は非置換のC1-C6アルコキシル基、又は置換又は非置換のC1-C6アルキルチオール基を表し;或いは、RとR、RとR、RとR、R10とR11、R11とR12、及びR12とR13は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換のC3-C6シクロアルキル環、又は置換又は非置換の5-7員ヘテロシクロアルキル環を形成する。
【0026】
別の好ましい例で、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C6アルキル基、又は置換又は非置換のC1-C6アルコキシル基を表し;或いは、RとR、R10とR11及びR11とR12は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換のC3-C6シクロアルキル環、又は置換又は非置換の5-7員ヘテロシクロアルキル環を形成する。ここで、前記テロシクロアルキル環には1つ~3つの酸素原子がある。
【0027】
別の好ましい例で、前記テロシクロアルキル環は置換又は非置換の[1,3]ジオキサゾール(1,3-Dioxole)環である。
【0028】
別の好ましい例で、Rは水素原子を指す。
【0029】
別の好ましい例で、RとRは、お互いに置換又は非置換の3員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の4員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の5員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の6員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の7員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の8員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の9員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の10員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の11員ヘテロシクロアルキル環、又は置換又は非置換の12員ヘテロシクロアルキル環を形成する。
【0030】
別の好ましい例で、RとRは、お互いに置換又は非置換の[1,3]ジオキサゾール(1,3-Dioxole)環を形成する。
【0031】
本発明では、[1,3]ジオキサゾール環の構造式は次の通りである。
【化2】
【0032】
別の好ましい例で、RとRは、お互いに置換又は非置換の
【化3】
を形成し;
ここでAはO又はSを指し;
WはO又はSを指し;
15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C4アルキル基、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C4アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C4アルキルチオール基、置換又は非置換の3-8員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-8員ヘテロアリール基を表す。
【0033】
別の好ましい例で、AはO又はSを指す。
【0034】
別の好ましい例で、WはO又はSを指す。
【0035】
別の好ましい例で、RとRは、お互いに置換又は非置換の
【化4】
を形成し;ここでAはO又はSを指し;
15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C4アルキル基、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C4アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C4アルキルチオール基、置換又は非置換の3-8員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-8員ヘテロアリール基を表す。
【0036】
別の好ましい例で、RとR、RとR、RとR、R10とR11、R11とR12、及びR12とR13は、それぞれお互いに独立して、5-7員ヘテロシクロアルキル環、好ましくは
【化5】
を形成する。
【0037】
別の好ましい例で、RとRは、お互いに置換又は非置換の
【化6】
を形成する。
【0038】
別の好ましい例で、Rは水素原子を指す。
【0039】
別の好ましい例で、R、R、R、R、R及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、-COOH、-CHO、置換又は非置換のC1-C8アルキル基、置換又は非置換のC3-C10シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C8アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C8アルキルチオール基、置換又は非置換の3-10員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-10員ヘテロアリール基を表す。
【0040】
別の好ましい例で、R、R、R、R、R及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、-COOH、-CHO、置換又は非置換のC1-C6アルキル基、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C6アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C6アルキルチオール基、置換又は非置換の3-8員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-8員ヘテロアリール基を表す。
【0041】
別の好ましい例で、R、R、R、R、R及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アミノ基、-COOH、-CHO、置換又は非置換のC1-C4アルキル基、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C4アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C4アルキルチオール基、置換又は非置換の3-8員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-8員ヘテロアリール基を表す。
【0042】
別の好ましい例で、R、R、R、R、R及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を表す。
【0043】
別の好ましい例で、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C6アルコキシル基、又は置換又は非置換のC1-C6アルキルチオール基を表し;或いは、R10とR11及びR11とR12は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換の3員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の4員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の5員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の6員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の7員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の8員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の9員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の10員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の11員ヘテロシクロアルキル環、又は置換又は非置換の12員ヘテロシクロアルキル環を形成する。
【0044】
別の好ましい例で、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C4アルコキシル基、又は置換又は非置換のC1-C4アルキルチオール基を表し;或いは、R10とR11及びR11とR12は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換の3員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の4員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の5員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の6員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の7員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の8員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の9員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の10員ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換の11員ヘテロシクロアルキル環、又は置換又は非置換の12員ヘテロシクロアルキル環を形成する。
【0045】
別の好ましい例で、前記テロシクロアルキル環は置換又は非置換の[1,3]ジオキサゾール(1,3-Dioxole)環である。
【0046】
別の好ましい例で、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又はR17-A-を表し;
ここで、AはO又はSを指し;
17は、置換又は非置換のC1-C10アルキル基、C2-C4アルケニル基-C1-C4アルキル基-、C2-C8エステル基-C1-C4アルキル基-、ハロゲン化C1-C12アルキル基-、5-7員ヘテロシクロアルキル基-C1-C4アルキル基-、ピロリジン-2,5-ジケトン基-C1-C4アルキル基-、シアン基-C1-C4アルキル基-、C1-C4アルコキシル基-C2-C4アルキル基-、C2-C4アルキルチオール基-C1-C4アルキル基-、又は5-7員ヘテロアリール基-C1-C4アルキル基-を表す。
【0047】
別の好ましい例で、R17は、置換又は非置換のC3-C10アルキル基、C2-C4アルケニル基-C1-C4アルキル基-、C2-C8エステル基-C1-C4アルキル基-、ハロゲン化C1-C12アルキル基-、5-7員ヘテロシクロアルキル基-C1-C4アルキル基-、ピロリジン-2,5-ジケトン基-C1-C4アルキル基-、シアン基-C1-C4アルキル基-、C1-C4アルコキシル基-C2-C4アルキル基-、C2-C4アルキルチオール基-C1-C4アルキル基-、又は5-7員ヘテロアリール基-C1-C4アルキル基-を表す。
【0048】
別の好ましい例で、R17は、置換又は非置換のC1-C6アルキル基、C2-C4アルケニル基-C1-C4アルキル基-、C2-C8エステル基-C1-C4アルキル基-、ハロゲン化C1-C12アルキル基-、5-7員ヘテロシクロアルキル基-C1-C4アルキル基-、ピロリジン-2,5-ジケトン基-C1-C4アルキル基-、シアン基-C1-C4アルキル基-、C1-C4アルコキシル基-C2-C4アルキル基-、C2-C4アルキルチオール基-C1-C4アルキル基-、又は5-7員ヘテロアリール基-C1-C4アルキル基-を表す。
【0049】
別の好ましい例で、R17は、置換又は非置換のC3-C6アルキル基、C2-C4アルケニル基-C1-C4アルキル基-、C2-C8エステル基-C1-C4アルキル基-、ハロゲン化C1-C12アルキル基-、5-7員ヘテロシクロアルキル基-C1-C4アルキル基-、ピロリジン-2,5-ジケトン基-C1-C4アルキル基-、シアン基-C1-C4アルキル基-、C1-C4アルコキシル基-C2-C4アルキル基-、C2-C4アルキルチオール基-C1-C4アルキル基-、又は5-7員ヘテロアリール基-C1-C4アルキル基-を表す。
【0050】
別の好ましい例で、R17は、置換又は非置換のC1-C6アルキル基、C2-C4アルケニル基-C1-C2アルキル基-、又はC2-C8エステル基-C1-C2アルキル基-を表す。
【0051】
別の好ましい例で、R17は、置換又は非置換のC1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基-C1-C2アルキル基-、又はC2-C8エステル基-C1-C2アルキル基-を表す。
【0052】
別の好ましい例で、R17は、置換又は非置換のC1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基-C1-C2アルキル基-、又はC3-C7エステル基-C1-C2アルキル基-を表す。
【0053】
別の好ましい例で、R17は、置換又は非置換のC3-C6アルキル基、C2-C4アルケニル基-C1-C2アルキル基-、又はC2-C8エステル基-C1-C2アルキル基-を表す。
【0054】
別の好ましい例で、R17は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ビニル基-メチル基-、アミルエステル基-メチル基-、ハロゲン化プロピル基、ハロゲン化デシル基、モルホリニル基-エチル基-、ピロリジン-2,5-ジケトン基-エチル基-、シアン基-メチル基-、メトキシ基-エチル基-、又はピリジン基-メチル基-を表す。
【0055】
別の好ましい例で、アミルエステル基は-COOC(CHである。
【0056】
別の好ましい例で、前記ハロゲン化はモノハロゲン化、ジハロゲン化又はトリハロゲン化である。
【0057】
別の好ましい例で、前記プロピル基はN-プロピル基である。
【0058】
別の好ましい例で、前記デシル基はN-デシル基である。
【0059】
別の好ましい例で、前記ヘキシル基はN-ヘキシル基である。
【0060】
別の好ましい例で、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、又はブチルチオール基を表す。
【0061】
別の好ましい例で、R10とR11、及びR11とR12は、それぞれお互いに独立して、置換又は非置換の[1,3]ジオキサゾール(1,3-Dioxole)環を形成する。
【0062】
別の好ましい例で、R10とR11は、お互いに置換又は非置換の
【化7】
ここでAはO又はSを指し;
WはO又はSを指し;
15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C4アルキル基、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C4アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C4アルキルチオール基、置換又は非置換の3-8員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-8員ヘテロアリール基を表す。
【0063】
別の好ましい例で、R10とR11は、お互いに置換又は非置換の[1,3]ジオキサゾール(1,3-Dioxole)環を形成する。
【0064】
別の好ましい例で、R10とR11は、お互いに置換又は非置換の
【化8】
を形成し;ここでAはO又はSを指し;
15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C4アルキル基、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C4アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C4アルキルチオール基、置換又は非置換の3-8員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-8員ヘテロアリール基を表す。
【0065】
別の好ましい例で、R10とR11は、お互いに置換又は非置換の
【化9】
を形成する。
【0066】
別の好ましい例で、R11とR12は、お互いに置換又は非置換の[1,3]ジオキサゾール(1,3-Dioxole)環を形成する。
【0067】
別の好ましい例で、R11とR12は、お互いに置換又は非置換の
【化10】
を形成し;
ここでAはO又はSを指し;
WはO又はSを指し;
15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C4アルキル基、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C4アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C4アルキルチオール基、置換又は非置換の3-8員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-8員ヘテロアリール基を表す。
【0068】
別の好ましい例で、AはO又はSを指す。
【0069】
別の好ましい例で、WはO又はSを指す。
【0070】
別の好ましい例で、R11とR12は、お互いに置換又は非置換の
【化11】
を形成し;ここでAはO又はSを指し;
15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C4アルキル基、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキル基、置換又は非置換のC1-C4アルコキシル基、置換又は非置換のC1-C4アルキルチオール基、置換又は非置換の3-8員ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C12アリール基、又は置換又は非置換の3-8員ヘテロアリール基を表す。
【0071】
別の好ましい例で、R11とR12は、お互いに置換又は非置換の
【化12】
を形成する。
【0072】
別の好ましい例で、R13は、水素原子、置換又は非置換のC1-C6アルコキシル基、又は置換又は非置換のC1-C6アルキルチオール基を表す。
【0073】
別の好ましい例で、R13は、水素原子を表す。
【0074】
別の好ましい例で、R14は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を表す。
【0075】
別の好ましい例で、R14は、メチル基を表す。
【0076】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物の構造は、次の式I-1に示され;
【化13】
ここで、AはO又はSを指し;
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、上記のように定義されている。
【0077】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物の構造は、次の式I-2に示され;
【化14】
ここで、AはO又はSを指し;
、R、R、R、R、R、R、R10、R13及びR14は、上記のように定義されている。
【0078】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物の構造は、次の式I-3に示され;
【化15】
ここで、AはO又はSを指し;
、R、R、R、R、R、R、R12、R13及びR14は、上記のように定義されている。
【0079】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物の構造は、次の式I-4に示され;
【化16】
ここで、AはO又はSを指し;
WはO又はSを指し;
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、上記のように定義されている。
【0080】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物の構造は、次の式I-5に示され;
【化17】
ここで、AはO又はSを指し;
WはO又はSを指し;
、R、R、R、R、R、R、R10、R13及びR14は、上記のように定義されている。
【0081】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物の構造は、次の式I-6に示され;
【化18】
ここで、AはO又はSを指し;
WはO又はSを指し;
、R、R、R、R、R、R、R12、R13及びR14は、上記のように定義されている。
【0082】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物の構造は、次の式に示される。
【化19】
【0083】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物の構造は、次の式に示される。
【化20】
【0084】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物はベルベリン及びコプチシンを含む。
【0085】
別の好ましい例で、前記ベルベリンは塩化ベルベリン又は硫酸ベルベリンを含む。
【0086】
別の好ましい例で、前記コプチシンは塩化コプチシン又は硫酸コプチシンを含む。
【0087】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、塩酸、ガラクタル酸、D-グルクロン酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アスパラギン酸及びグルタミン酸の何れか又はそれらの組合せから選択される酸、好ましくは塩酸、臭化水素酸及び硫酸の何れか又はそれらの組合せから選択される酸が式Iの化合物と形成する塩である。
【0088】
別の好ましい例で、前記腫瘍はヒト由来の腫瘍である。
【0089】
別の好ましい例で、前記腫瘍はヒトの腫瘍である。
【0090】
別の好ましい例で、前記腫瘍はNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍を含む。
【0091】
別の好ましい例で、前記腫瘍はDNAメチル化酵素が高発現される腫瘍を含む。
【0092】
別の好ましい例で、前記DNAメチル化酵素は、DNMT1、DNMT3a、DNMT3b又はそれらの組合せから選択される。
【0093】
別の好ましい例で、前記腫瘍はDNMT1が高発現される腫瘍を含む。
【0094】
別の好ましい例で、前記腫瘍はDNMT3aが高発現される腫瘍を含む。
【0095】
別の好ましい例で、前記腫瘍はDNMT3bが高発現される腫瘍を含む。
【0096】
別の好ましい例で、前記腫瘍はUHRF1が高発現される腫瘍を含む。
【0097】
別の好ましい例で、前記腫瘍はNNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化がある腫瘍を含む。
【0098】
別の好ましい例で、前記腫瘍はNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍を含む。
【0099】
別の好ましい例で、前記腫瘍はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍を含む。
【0100】
別の好ましい例で、前記NNMT遺伝子はヒト由来のNNMT遺伝子である。
【0101】
別の好ましい例で、前記NNMT遺伝子はヒトのNNMT遺伝子である。
【0102】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍は、当該腫瘍から抽出された1μgのタンパク質に、それからより好ましくは5μg、10μg、100μg又は1000μgのタンパク質にNNMTタンパク質をNNMT抗体で検出できない腫瘍を指す。
【0103】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子の発現量が同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のNNMT遺伝子の発現量よりも小さくなる腫瘍を指す。
【0104】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍は、腫瘍細胞のNNMT遺伝子の発現量E1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のNNMT遺伝子の発現量E0との間の比率(E1/E0)が<1.0となる腫瘍を指す。
【0105】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍は、某細胞(例えば、腫瘍細胞)のNNMT遺伝子の発現量E1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のNNMT遺伝子の発現量E0との間の比率(E1/E0)が≦1.0となり、好ましくは≦0.7となり、それからより好ましくは≦0.6、≦0.5、≦0.4、≦0.3、≦0.2、≦0.1、≦0.05、≦0.01、≦0.005、≦0.001、≦0.0001、≦0.00001、≦0.000001又は≦0.0000001となる腫瘍を指す。
【0106】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、NNMT遺伝子が正常に発現される細胞(類同な腫瘍細胞)を指す。
【0107】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、類同な細胞、それでもNNMT遺伝子が正常に発現される細胞を指す。
【0108】
別の好ましい例で、前記正常細胞はNNMT遺伝子が正常に発現される正常な組織細胞(例えば、腫瘍細胞由来細胞、腫瘍隣接細胞又は癌化膀胱組織細胞)を指す。
【0109】
別の好ましい例で、E0はNNMT遺伝子が正常に発現される細胞のNNMT遺伝子の発現量である。
【0110】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子が正常に発現される細胞は、式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩に不敏感である細胞を含む。
【0111】
別の好ましい例で、前記のDNAメチル化酵素が高発現される腫瘍は、当該腫瘍から抽出された20μgのタンパク質に、それからより好ましくは5μg、1μg、0.2μg、0.1μg又は0.05μgのタンパク質にDNAメチル化酵素をDNAメチル化酵素抗体で検出できる腫瘍を指す。
【0112】
別の好ましい例で、前記のDNAメチル化酵素が高発現される腫瘍は、腫瘍細胞のDNAメチル化酵素の発現量が同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のDNAメチル化酵素の発現量よりも大きくなる腫瘍を指す。
【0113】
別の好ましい例で、前記のDNAメチル化酵素が高発現される腫瘍は、腫瘍細胞のDNAメチル化酵素の発現量A1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のDNAメチル化酵素の発現量A0との間の比率(A1/A0)が>1.0となり、好ましくは≧1.2又は≧1.5となり、それからより好ましくは≧2、≧3、≧5、≧8、≧10、≧15、≧20、≧30又は≧50となる腫瘍を指す。
【0114】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、DNAメチル化酵素が正常に発現される細胞(類同な腫瘍細胞)を指す。
【0115】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、類同な細胞、それでもDNAメチル化酵素が正常に発現される細胞を指す。
【0116】
別の好ましい例で、前記の正常細胞はDNAメチル化酵素が正常に発現される正常な組織細胞(例えば、腫瘍細胞由来細胞、腫瘍隣接細胞又は癌化膀胱組織細胞)を指す。
【0117】
別の好ましい例で、A0はDNAメチル化酵素が正常に発現される細胞のDNAメチル化酵素の発現量である。
【0118】
別の好ましい例で、前記のDNAメチル化酵素が正常に発現される細胞はイソキノリン化合物に不敏感である細胞を含む。
【0119】
別の好ましい例で、前記のDNMT1が高発現される腫瘍は、当該腫瘍から抽出された20μgのタンパク質に、それからより好ましくは5μg、1μg、0.2μg、0.05μg又は0.01μgのタンパク質にDNMT1タンパク質をDNMT1抗体で検出できる腫瘍を指す。
【0120】
別の好ましい例で、前記のDNMT1が高発現される腫瘍は、腫瘍細胞のDNMT1の発現量が同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のDNMT1の発現量よりも大きくなる腫瘍を指す。
【0121】
別の好ましい例で、前記のDNMT1が高発現される腫瘍は、腫瘍細胞のDNMT1の発現量B1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のDNMT1の発現量B0との間の比率(B1/B0)が>1.0となり、好ましくは≧1.2又は≧1.5となり、それからより好ましくは≧2、≧3、≧5、≧8、≧10、≧15、≧20、≧30又は≧50となる腫瘍を指す。
【0122】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、DNMT1が正常に発現される細胞(類同な腫瘍細胞)を指す。
【0123】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、類同な細胞、それでもDNMT1が正常に発現される細胞を指す。
【0124】
別の好ましい例で、前記正常細胞はDNMT1が正常に発現される正常な組織細胞(例えば、腫瘍細胞由来細胞、腫瘍隣接細胞又は癌化膀胱組織細胞)を指す。
【0125】
別の好ましい例で、B0はDNMT1が正常に発現される細胞のDNMT1の発現量である。
【0126】
別の好ましい例で、前記のDNMT1が正常に発現される細胞はイソキノリン化合物に不敏感である細胞を含む。
【0127】
別の好ましい例で、前記のDNMT3aが高発現される腫瘍は、当該腫瘍から抽出された20μgのタンパク質に、それからより好ましくは5μg、1μg、0.2μg、0.05μg又は0.01μgのタンパク質にDNMT3aタンパク質をDNMT3a抗体で検出できる腫瘍を指す。
【0128】
別の好ましい例で、前記のDNMT3aが高発現される腫瘍は、腫瘍細胞のDNMT3aの発現量が同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のDNMT3aの発現量よりも大きくなる腫瘍を指す。
【0129】
別の好ましい例で、前記のDNMT3aが高発現される腫瘍は、腫瘍細胞のDNMT3aの発現量C1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のDNMT3aの発現量C0との間の比率(C1/C0)が>1.0となり、好ましくは≧1.2又は≧1.5となり、それからより好ましくは≧2、≧3、≧5、≧8、≧10、≧15、≧20、≧30又は≧50となる腫瘍を指す。
【0130】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、DNMT3aが正常に発現される細胞(類同な腫瘍細胞)を指す。
【0131】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、類同な細胞、それでもDNMT3aが正常に発現される細胞を指す。
【0132】
別の好ましい例で、前記正常細胞はDNMT3aが正常に発現される正常な組織細胞(例えば、腫瘍細胞由来細胞、腫瘍隣接細胞又は癌化膀胱組織細胞)を指す。
【0133】
別の好ましい例で、C0はDNMT3aが正常に発現される細胞のDNMT3aの発現量である。
【0134】
別の好ましい例で、前記のDNMT3aが正常に発現される細胞はイソキノリン化合物に不敏感である細胞を含む。
【0135】
別の好ましい例で、前記のDNMT3bが高発現される腫瘍は、当該腫瘍から抽出された20μgのタンパク質に、それからより好ましくは5μg、1μg、0.2μg、0.05μg又は0.01μgのタンパク質にDNMT3bタンパク質をDNMT3b抗体で検出できる腫瘍を指す。
【0136】
別の好ましい例で、前記のDNMT3bが高発現される腫瘍は、腫瘍細胞のDNMT3bの発現量が同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のDNMT3bの発現量よりも大きくなる腫瘍を指す。
【0137】
別の好ましい例で、前記のDNMT3bが高発現される腫瘍は、腫瘍細胞のDNMT3bの発現量D1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のDNMT3bの発現量D0との間の比率(D1/D0)が>1.0となり、好ましくは≧1.2又は≧1.5となり、それからより好ましくは≧2、≧3、≧5、≧8、≧10、≧15、≧20、≧30又は≧50となる腫瘍を指す。
【0138】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、DNMT3bが正常に発現される細胞(類同な腫瘍細胞)を指す。
【0139】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、類同な細胞、それでもDNMT3bが正常に発現される細胞を指す。
【0140】
別の好ましい例で、前記正常細胞はDNMT3bが正常に発現される正常な組織細胞(例えば、腫瘍細胞由来細胞、腫瘍隣接細胞又は癌化膀胱組織細胞)を指す。
【0141】
別の好ましい例で、D0はDNMT3bが正常に発現される細胞のDNMT3bの発現量である。
【0142】
別の好ましい例で、前記のDNMT3bが正常に発現される細胞はイソキノリン化合物に不敏感である細胞を含む。
【0143】
別の好ましい例で、前記のUHRF1が高発現される腫瘍は、当該腫瘍から抽出された20μgのタンパク質に、それからより好ましくは5μg、1μg、0.2μg、0.05μg又は0.01μgのタンパク質にUHRF1タンパク質をUHRF1抗体で検出できる腫瘍を指す。
【0144】
別の好ましい例で、前記のUHRF1が高発現される腫瘍は、腫瘍細胞のUHRF1の発現量が同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のUHRF1の発現量よりも大きくなる腫瘍を指す。
【0145】
別の好ましい例で、前記のUHRF1が高発現される腫瘍は、腫瘍細胞のUHRF1の発現量F1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のUHRF1の発現量F0との間の比率(F1/F0)が>1.0となり、好ましくは≧1.2又は≧1.5となり、それからより好ましくは≧2、≧3、≧5、≧8、≧10、≧15、≧20、≧30又は≧50となる腫瘍を指す。
【0146】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、UHRF1が正常に発現される細胞(類同な腫瘍細胞)を指す。
【0147】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、類同な細胞、それでもUHRF1が正常に発現される細胞を指す。
【0148】
別の好ましい例で、前記正常細胞はUHRF1が正常に発現される正常な組織細胞(例えば、腫瘍細胞由来細胞、腫瘍隣接細胞又は癌化膀胱組織細胞)を指す。
【0149】
別の好ましい例で、F0はUHRF1が正常に発現される細胞のUHRF1の発現量である。
【0150】
別の好ましい例で、前記のUHRF1が正常に発現される細胞はイソキノリン化合物に不敏感である細胞を含む。
【0151】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍は、某細胞(例えば、腫瘍細胞)のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルが同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルよりも大きくする腫瘍を指す。
【0152】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍は、某細胞(例えば、腫瘍細胞)のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルL1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルL0との間の比率(L1/L0)が>1.0となり、好ましくは≧1.2又は≧1.5となり、それからより好ましくは≧2、≧3、≧5、≧8、≧10、≧15、≧20、≧30又は≧50となる腫瘍を指す。
【0153】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍は、某細胞(例えば、腫瘍細胞)のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルが≧1%となり、好ましくは≧3%、≧5%、≧10%、≧15%又は≧20%となり、それからより好ましくは≧25%、≧30%、≧40%又は≧50%となる腫瘍を指す。
【0154】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位が正常にメチル化される細胞(類同な腫瘍細胞)を指す。
【0155】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、類同な細胞、それでもNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が正常にメチル化される細胞を指す。
【0156】
別の好ましい例で、前記正常細胞はNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が正常にメチル化される正常な組織細胞(例えば、腫瘍細胞由来細胞、腫瘍隣接細胞又は癌化膀胱組織細胞)を指す。
【0157】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が正常にメチル化される細胞は、式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩に不敏感である細胞を含む。
【0158】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍は、某細胞(例えば、腫瘍細胞)のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル(M%)が≧3%且つM1%以下となり、ここでM1が3~100の任意の正の整数である腫瘍を指す。
【0159】
別の好ましい例で、M1は5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、85、90、95又は100である。
【0160】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子領域領域のメチル化されるヌクレオチドの数とNNMT遺伝子領域の全てのヌクレオチドの数との間の比率を指す。
【0161】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子プロモーター領域のヌクレオチド部位のメチル化レベルを含む。
【0162】
別の好ましい例で、NNMT遺伝子プロモーター領域のヌクレオチド配列は配列番号1に示される。
【0163】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域内のヌクレオチド部位のメチル化レベルを含む。
【0164】
別の好ましい例で、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の951~2500位である。
【0165】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域内のヌクレオチド部位のメチル化レベルを含む。
【0166】
別の好ましい例で、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の951~1808位である。
【0167】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域内のヌクレオチド部位のメチル化レベルを含む。
【0168】
別の好ましい例で、NNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の1161~1532位である。
【0169】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、ヒト第11染色体の114165695位と114165730位と114165769位と114165804位と114165938位と114166050位と114166066位の何れか2つの間の領域内(これらの2つの位の自体を含む)のヌクレオチド部位のメチル化レベルを含む。
【0170】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、ヒト第11染色体の114165695位と114165730位と114165769位と114165804位と114165938位と114166050位と114166066位のうちの1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6又は7)の部位のヌクレオチドのメチル化レベルを含む。
【0171】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、ヒト第11染色体の114165695位、ヒト第11染色体の114165730位、ヒト第11染色体の114165769位、ヒト第11染色体の114165804位、ヒト第11染色体の114165938位、ヒト第11染色体の114166050位、ヒト第11染色体の114166066位又はこれらの組合せから選択される部位のヌクレオチドのメチル化レベルを含む。
【0172】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、配列番号1ヌクレオチド配列の部位の第1161位と第1196位と第1235位と第1270位と第1404位と第1516位と第1532位の何れか2つの間の領域内(これらの2つの位の自体を含む)のヌクレオチド部位のメチル化レベルを含む。
【0173】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルは、配列番号1ヌクレオチド配列の部位の第1161位と第1196位と第1235位と第1270位と第1404位と第1516位と第1532位のうちの1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6又は7)の部位のヌクレオチドのメチル化レベルを含む。
【0174】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、配列番号1ヌクレオチド配列の部位の第1161位、第1196位、第1235位、第1270位、第1404位、第1516位、第1532位又はこれらの組合せから選択される部位のヌクレオチドのメチル化レベルを含む。
【0175】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍は、某細胞(例えば、腫瘍細胞)のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルが同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルよりも大きくする腫瘍を指す。
【0176】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍は、某細胞(例えば、腫瘍細胞)のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルW1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルW0との間の比率(W1/W0)が>1.0となり、好ましくは≧1.2又は≧1.5となり、それからより好ましくは≧2、≧3、≧5、≧8、≧10、≧15、≧20、≧30又は≧50となる腫瘍を指す。
【0177】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍は、某細胞(例えば、腫瘍細胞)のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルが≧1%となり、好ましくは≧3%、≧5%、≧10%、≧15%又は≧20%となり、それからより好ましくは≧25%、≧30%、≧40%又は≧50%となる腫瘍を指す。
【0178】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、NNMT遺伝子領域DNA CpG部位が正常にメチル化される細胞(類同な腫瘍細胞)を指す。
【0179】
別の好ましい例で、前記の同一の細胞は、類同な細胞、それでもNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が正常にメチル化される細胞を指す。
【0180】
別の好ましい例で、前記正常細胞は、NNMT遺伝子領域DNA CpG部位が正常にメチル化される正常な組織細胞(例えば、腫瘍細胞由来細胞、腫瘍隣接細胞又は癌化膀胱組織細胞)を指す。
【0181】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が正常にメチル化される細胞は、式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩に不敏感である細胞を含む。
【0182】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍は、某細胞(例えば、腫瘍細胞)のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベル(M%)が≧3%且つM2%以下となり、ここでM2が3~100の任意の正の整数である腫瘍を指す。
【0183】
別の好ましい例で、M2は5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、85、90、95又は100である。
【0184】
別の好ましい例で、前記のCpG部位のメチル化レベルは、遺伝子領域領域のメチル化されるCpGヌクレオチドの数と当該遺伝子領域の全てのヌクレオチドの数との間の比率を指す。
【0185】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子領域領域のメチル化されるCpGヌクレオチドの数とNNMT遺伝子領域の全てのヌクレオチドの数との間の比率を指す。
【0186】
別の好ましい例で、前記のCpG部位のメチル化レベルは、遺伝子領域領域のメチル化されるCpGヌクレオチドの数と当該遺伝子領域の全てのCpGヌクレオチドの数との間の比率を指す。
【0187】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子領域領域のメチル化されるCpGヌクレオチドの数とNNMT遺伝子領域の全てのCpGヌクレオチドの数との間の比率を指す。
【0188】
別の好ましい例で、前記のDNA CpG部位のメチル化レベルは、某領域のDNAのメチル化されるCpG部位の数と当該領域DNAの全てのCpG部位の数との間の比率を指す。
【0189】
別の好ましい例で、前記のDNA CpG部位のメチル化レベルは、某領域のDNAのメチル化されるCpGヌクレオチドの数と当該領域DNAの全てのヌクレオチドの数との間の比率を指す。
【0190】
別の好ましい例で、前記のDNA CpG部位のメチル化レベルは、某領域のDNAのメチル化されるCpGヌクレオチドの数と当該領域DNAの全てのCpGヌクレオチドの数との間の比率を指す。
【0191】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子領域のDNAのメチル化されるCpG部位の数とNNMT遺伝子領域DNAの全てのCpG部位の数との間の比率を指す。
【0192】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子領域のDNAのメチル化されるCpGヌクレオチドの数とNNMT遺伝子領域DNAの全てのCpGヌクレオチドの数との間の比率を指す。
【0193】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子プロモーター領域のDNA CpG部位のメチル化レベルを含む。
【0194】
別の好ましい例で、NNMT遺伝子プロモーター領域のヌクレオチド配列は配列番号1に示される。
【0195】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを含む。
【0196】
別の好ましい例で、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の951~2500位である。
【0197】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを含む。
【0198】
別の好ましい例で、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の951~1808位である。
【0199】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを含む。
【0200】
別の好ましい例で、NNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の1161~1532位である。
【0201】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、ヒト第11染色体の114165695位と114165730位と114165769位と114165804位と114165938位と114166050位と114166066位の何れか2つの間の領域内(これらの2つの位の自体を含む)のDNA CpG部位のメチル化レベルを含む。
【0202】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、ヒト第11染色体の114165695位と114165730位と114165769位と114165804位と114165938位と114166050位と114166066位のうちの1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6又は7)の部位のメチル化レベルを含む。
【0203】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、ヒト第11染色体の114165695位、ヒト第11染色体の114165730位、ヒト第11染色体の114165769位、ヒト第11染色体の114165804位、ヒト第11染色体の114165938位、ヒト第11染色体の114166050位、ヒト第11染色体の114166066位又はこれらの組合せから選択される部位のメチル化レベルを含む。
【0204】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、配列番号1ヌクレオチド配列の部位の第1161位と第1196位と第1235位と第1270位と第1404位と第1516位と第1532位の何れか2つの間の領域内(これらの2つの位の自体を含む)のDNA CpG部位のメチル化レベルを含む。
【0205】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、配列番号1ヌクレオチド配列の部位の第1161位と第1196位と第1235位と第1270位と第1404位と第1516位と第1532位のうちの1つ又は複数(例えば、2、3、4、5、6又は7)の部位のメチル化レベルを含む。
【0206】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、配列番号1配列の部位の第1161位、第1196位、第1235位、第1270位、第1404位、第1516位、第1532位又はこれらの組合せから選択される部位のメチル化レベルを含む。
【0207】
別の好ましい例で、前記腫瘍は、肺癌、腎臓癌、乳癌、結腸癌、リンパ腫、白血病、膵臓癌、脳腫瘍、肝臓癌、前立腺癌又はこれらの組合せから選択される。
【0208】
別の好ましい例で、前記肺癌は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌又はこれらの組合せから選択される。
【0209】
別の好ましい例で、前記結腸癌は結腸腺癌を含む。
【0210】
別の好ましい例で、前記リンパ腫は、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫又はこれらの組合せから選択される。
【0211】
別の好ましい例で、前記リンパ腫は、びまん性大細胞型Bリンパ腫を含む。
【0212】
別の好ましい例で、前記脳腫瘍は、膠芽細胞腫、神経膠細胞腫、脳髄芽細胞腫、神経芽細胞腫又はこれらの組合せから選択される。
【0213】
別の好ましい例で、前記脳髄芽細胞腫は小脳髄芽細胞腫を含む。
【0214】
別の好ましい例で、前記膠芽細胞腫は多形性膠芽細胞腫を含む。
【0215】
別の好ましい例で、前記脳腫瘍は、髄芽細胞腫を含む。
【0216】
別の好ましい例で、前記腎臓癌は、腎臓透明細胞腺癌、腎臓癌Wilms又はこれらの組合せから選択される。
【0217】
別の好ましい例で、前記腎臓癌は、腎臓透明細胞腺癌を含む。
【0218】
別の好ましい例で、前記腎臓癌は、腎臓癌Wilmsを含む。
【0219】
別の好ましい例で、前記腎臓癌の癌細胞は、腎臓癌Wilms細胞を含む。
【0220】
別の好ましい例で、前記白血病は、Tリンパ球性白血病、骨髄性白血病又はこれらの組合せから選択される。
【0221】
別の好ましい例で、前記Tリンパ球性白血病は急性Tリンパ球性白血病を含む。
【0222】
別の好ましい例で、前記骨髄性白血病はM4級AML急性骨髄性白血病を含む。
【0223】
別の好ましい例で、前記骨髄性白血病はFAB M4級AML急性骨髄性白血病を含む。
【0224】
別の好ましい例で、前記発現は、タンパク質発現及び/又はmRNA発現を含む。
【0225】
別の好ましい例で、前記組成物は薬物の組成物である。
【0226】
別の好ましい例で、前記組成物又は製剤は薬学的に許容される担体を更に含む。
【0227】
別の好ましい例で、前記発現はmRNA発現又はタンパク質発現である。
【0228】
別の好ましい例で、前記組成物又は製剤の形態は固体、液体または半固体である。
【0229】
別の好ましい例で、前記組成物又は製剤の類型は経口剤、外用剤又は注射用製剤である。
【0230】
別の好ましい例で、前記組成物又は製剤の類型は錠剤、注射剤、輸液剤、軟膏剤、ゲル剤、溶液剤、丸剤又は被膜剤である。
【0231】
本発明の第2態様は、本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するかどうかを判断するマーカーを提供し、前記マーカーは、NNMT遺伝子及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルを備える。
【0232】
別の好ましい例で、前記マーカーは、NNMT遺伝子の発現量、DNAメチル化酵素の発現量、UHRF1の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルを備える。
【0233】
別の好ましい例で、前記マーカーは、NNMT遺伝子、DNAメチル化酵素、UHRF1、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位及びNNMT遺伝子領域DNA CpG部位を含む。
【0234】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子プロモーター領域のDNA CpG部位のメチル化レベルを含める。
【0235】
別の好ましい例で、腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の低発現又は未発現、DNAメチル化酵素の高発現、UHRF1の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化になると、本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するようになる。
【0236】
別の好ましい例で、腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の高発現、DNAメチル化酵素の低発現、UHRF1の低発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の低メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の低メチル化になると、本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適しないようになる。
【0237】
別の好ましい例で、前記の本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適する意味は、腫瘍患者の腫瘍細胞が本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩に敏感である意味を含む。
【0238】
別の好ましい例で、前記の本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適しない意味は、腫瘍患者の腫瘍細胞が本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩に不敏感である意味を含む。
【0239】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍は、本発明の第1態様に記載される様な腫瘍である。
【0240】
別の好ましい例で、前記のDNAメチル化酵素(例えば、DNMT1)が高発現される腫瘍は、本発明の第1態様に記載される様な腫瘍である。
【0241】
別の好ましい例で、前記のUHRF1が高発現される腫瘍は、本発明の第1態様に記載される様な腫瘍である。
【0242】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍は、本発明の第1態様に記載される様な腫瘍である。
【0243】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍は、本発明の第1態様に記載される様な腫瘍である。
【0244】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子が高発現される腫瘍は、某細胞(例えば、腫瘍細胞)のNNMT遺伝子の発現量E1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のNNMT遺伝子の発現量E0との間の比率(E1/E0)が>1.0となり、好ましくは≧1.2又は≧1.5となり、それからより好ましくは≧2、≧3、≧5、≧8、≧10、≧15、≧20、≧30又は≧50となる腫瘍を指す。
【0245】
別の好ましい例で、前記のDNAメチル化酵素が低発現される腫瘍は、腫瘍細胞のDNAメチル化酵素の発現量A1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のDNAメチル化酵素の発現量A0との間の比率(A1/A0)が<1.0となり、好ましくは≦0.7となり、それからより好ましくは≦0.6、≦0.5、≦0.4、≦0.3、≦0.2、≦0.1、≦0.05、≦0.01、≦0.005、≦0.001、≦0.0001、≦0.00001、≦0.000001又は≦0.0000001となる腫瘍を指す。
【0246】
別の好ましい例で、前記のUHRF1が低発現される腫瘍は、腫瘍細胞のUHRF1の発現量F1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のUHRF1の発現量F0との間の比率(F1/F0)が<1.0となり、好ましくは≦0.7となり、それからより好ましくは≦0.6、≦0.5、≦0.4、≦0.3、≦0.2、≦0.1、≦0.05、≦0.01、≦0.005、≦0.001、≦0.0001、≦0.00001、≦0.000001又は≦0.0000001となる腫瘍を指す。
【0247】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が低メチル化される腫瘍は、某細胞(例えば、腫瘍細胞)のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルL1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルL0との間の比率(L1/L0)が<1.0となり、好ましくは≦0.7となり、それからより好ましくは≦0.6、≦0.5、≦0.4、≦0.3、≦0.2、≦0.1、≦0.05、≦0.01、≦0.005、≦0.001、≦0.0001、≦0.00001、≦0.000001又は≦0.0000001となる腫瘍を指す。
【0248】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が低メチル化される腫瘍は、某細胞(例えば、腫瘍細胞)のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルW1と同一の細胞又は正常細胞(例えば、癌化膀胱組織細胞)中のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルW0との間の比率(W1/W0)が<1.0となり、好ましくは≦0.7となり、それからより好ましくは≦0.6、≦0.5、≦0.4、≦0.3、≦0.2、≦0.1、≦0.05、≦0.01、≦0.005、≦0.001、≦0.0001、≦0.00001、≦0.000001又は≦0.0000001となる腫瘍を指す。
【0249】
本発明の第3態様は、検出キットを提供する。前記検出キットは、
(i)NNMT遺伝子の発現量及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルを検出するために用いられる検出試剤を備える。
【0250】
別の好ましい例で、前記検出キットは、
(i)NNMT遺伝子の発現量、DNAメチル化酵素の発現量、UHRF1の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルを検出するために用いられる検出試剤を備える。
【0251】
別の好ましい例で、前記検出キットの検出試料は腫瘍細胞を含む。
【0252】
別の好ましい例で、NNMT遺伝子発現は当該遺伝子のmRNA発現及び/又はタンパク質発現を指す。
【0253】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子プロモーター領域のDNA CpG部位のメチル化レベルを含む。
【0254】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを指す。
【0255】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを指す。
【0256】
別の好ましい例で、前記のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルは、NNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを指す。
【0257】
本発明の第4態様は、随伴検出キットを製造するために本発明の第3態様に記載の検出キットの使用を提供する。前記随伴検出キットは、本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するかどうかを判断するために用いられる。
【0258】
別の好ましい例で、前記随伴検出キットは取扱説明書又はラベルを更に備える。
【0259】
別の好ましい例で、前記取扱説明書又はラベルには、
腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の低発現又は未発現、DNAメチル化酵素の高発現、UHRF1の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化になると、本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するようになるという内容を記載する。
【0260】
別の好ましい例で、前記取扱説明書又はラベルには、腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の高発現、DNAメチル化酵素の低発現、UHRF1の低発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の低メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の低メチル化になると、本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適しないようになるという内容を記載する。
【0261】
別の好ましい例で、前記の本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適する意味は、本発明の第2態様に記載される様な意味である。
【0262】
別の好ましい例で、前記の本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適しない意味は、本発明の第2態様に記載される様な意味である。
【0263】
本発明の第5態様は、医療キットを提供する。前記医療キットは、
(i)NNMT遺伝子の発現量及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルを検出するために用いられる検出試剤と、
(ii)前記の本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩とを備える。
【0264】
別の好ましい例で、前記医療キットは、
(i)NNMT遺伝子の発現量、DNAメチル化酵素の発現量、UHRF1の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルを検出するために用いられる検出試剤と、
(ii)前記の本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩とを備える。
【0265】
別の好ましい例で、前記医療キットは取扱説明書又はラベルを更に備える。
【0266】
別の好ましい例で、前記取扱説明書又はラベルには、腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の低発現又は未発現、DNAメチル化酵素の高発現、UHRF1の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化になると、前記の本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するようになるという内容を記載する。
【0267】
別の好ましい例で、前記取扱説明書又はラベルには、腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の高発現、DNAメチル化酵素の低発現、UHRF1の低発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の低メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の低メチル化になると、前記の本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適しないようになるという内容を記載する。
【0268】
本発明の第6態様は、前記の本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩を治療対象に投薬するように腫瘍の予防及び/又は治療の方法を提供する。
【0269】
別の好ましい例で、前記腫瘍は本発明の第1態様に記載される様な腫瘍である。
【0270】
別の好ましい例で、前記対象の腫瘍はNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍を含む。
【0271】
別の好ましい例で、前記対象の腫瘍はDNAメチル化酵素が高発現される腫瘍を含む。
【0272】
別の好ましい例で、前記対象の腫瘍はUHRF1が高発現される腫瘍を含む。
【0273】
別の好ましい例で、前記対象の腫瘍はNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍を含む。
【0274】
別の好ましい例で、前記対象の腫瘍はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍を含む。
【0275】
本発明の第7態様は、装置又はシステムを提供する。前記装置又はシステムは、
(i)NNMT遺伝子の発現量、DNAメチル化酵素の発現量、UHRF1の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルを検出するために用いられる検出モジュールと、
(ii)出力モジュールとを備え、
前記出力モジュールは、
腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の低発現又は未発現、DNAメチル化酵素の高発現、UHRF1の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化になると、前記の本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するようになるという情報、及び/又は
腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の高発現、DNAメチル化酵素の低発現、UHRF1の低発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の低メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の低メチル化になると、前記の本発明の第1態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩がその腫瘍患者の予防及び/又は治療に適しないようになるという情報を出力する。
【0276】
別の好ましい例で、前記装置は、遺伝子検出器又はタンパク質検出器を備える。
【0277】
別の好ましい例で、前記装置又はシステムは試料供給モジュールを更に備える。
【0278】
別の好ましい例で、前記試料供給モジュールは腫瘍細胞抽出物を供給するために用いられる。
【0279】
別の好ましい例で、前記装置又はシステムは、データ処理モジュールを更に備える。
【0280】
別の好ましい例で、前記データ処理モジュールは、NNMT遺伝子の発現量、DNAメチル化酵素の発現量、UHRF1の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルを処理してそれらの数値範囲を得る。
【0281】
別の好ましい例で、前記データ処理モジュールは、NNMT遺伝子の発現量及び/又はNNMT遺伝子プロモーター領域のDNA CpG部位のメチル化レベルを処理してそれらの数値範囲を得る。
【0282】
別の好ましい例で、前記データ処理モジュールは、NNMT遺伝子の発現量及び/又はNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを処理してそれらの数値範囲を得る。
【0283】
別の好ましい例で、前記データ処理モジュールは、NNMT遺伝子の発現量及び/又はNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを処理してそれらの数値範囲を得る。
【0284】
別の好ましい例で、前記データ処理モジュールは、NNMT遺伝子の発現量及び/又はNNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを処理してそれらの数値範囲を得る。
【0285】
本発明の第8態様は、式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩を提供し;
【化21】
ここでR、R、R、R、R、R、R、R、R9、10、R11、R12、R13及びR14は本発明の第1態様に記載の通りである。
【0286】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物は本発明の第1態様に記載の通りである。
【0287】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物の構造は、次の式I-4に示され;
【化22】
ここで、AはO又はSを指し;
WはO又はSを指し;
、R、R、R、R、R、R、R12、R10、R11、R13及びR14は、本発明の第1態様にように定義されている。
【0288】
別の好ましい例で、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換のC1-C6アルキル基、置換又は非置換のC1-C6アルコキシル基、又は置換又は非置換のC1-C6アルキルチオール基を表す。
【0289】
別の好ましい例で、R、R、R、R、R及びR14はそれぞれ独立して、水素原子を表す。
【0290】
別の好ましい例で、R10は水素原子又はR17-A-を表し;
ここでAはO又はSを指し;
17は、置換又は非置換のC3-C6アルキル基、C2-C4アルケニル基-C1-C2アルキル基-、又はC2-C8エステル基-C1-C2アルキル基-を表す。
【0291】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物の構造は、次の式I-1に示され;
【化23】
ここでAはO又はSを指し;
、R、R、R、R、R、R、R12、R10、R11、R13及びR14は、本発明の第1態様にように定義されている。
【0292】
別の好ましい例で、R10は水素原子又はR17-A-を表し;
ここでAはO又はSを指し;
17は、置換又は非置換のC3-C6アルキル基、C2-C4アルケニル基-C1-C2アルキル基-、又はC2-C8エステル基-C1-C2アルキル基-を表す。
【0293】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物の構造は、次の式に示される。
【化24】
【0294】
別の好ましい例で、前記の式Iの化合物の構造は、次の式に示される。
【化25】
【0295】
本発明の第9態様は、薬物の組成物を提供する。前記組成物は、前記の本発明の第8態様に記載の式Iの化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む。
【0296】
本発明の範囲内において本発明の上記の技術的特徴は次の具体的な技術的特徴(例えば、実施例)と組み合わせられると、新しい又は好ましい技術的解決策を構成するようになると理解すべきである。全文の大きさに限りがあるから、ここでは繰り返しない。
【図面の簡単な説明】
【0297】
図1図1は、イソキノリン化合物に敏感である腫瘍細胞とそれに不敏感である腫瘍細胞のNNMT遺伝子発現パターンを示す。
図2図2は、イソキノリン化合物に敏感である腫瘍細胞とそれに不敏感である腫瘍細胞のNNMT遺伝子プロモーター領域のDNA CpG部位のメチル化レベルを示す。
図3図3は、イソキノリン化合物に敏感である腫瘍細胞とそれに不敏感である腫瘍細胞のNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを示す。
図4図4は、イソキノリン化合物に敏感である腫瘍細胞とそれに不敏感である腫瘍細胞のNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを示す。
図5図5は、イソキノリン化合物に敏感である腫瘍細胞とそれに不敏感である腫瘍細胞の特定のNNMT遺伝子領域、即ち、ヒト第11染色体の114165695位、114165730位、114165769位、114165804位、114165938位、114166050位及び114166066位のDNA CpG部位のメチル化状況を示し、ここで黒い点は関連部位のメチル化を示し、白い点は関連部位の非メチル化を示し、SSTは転写開始部位を指し、Chr11はGCF_000001405.25(GRCh37.p13)というヒトゲノムバージョンに従って定義されたヒト第11染色体を指す。
図6図6は、イソキノリン化合物に敏感である脳腫瘍細胞とそれに不敏感である脳腫瘍細胞のNNMT遺伝子発現パターンを示す。
図7図7は、イソキノリン化合物に敏感である脳腫瘍細胞とそれに不敏感である脳腫瘍細胞のNNMT遺伝子プロモーター領域のDNA CpG部位のメチル化レベルを示す。
図8図8は、イソキノリン化合物に敏感である脳腫瘍細胞とそれに不敏感である脳腫瘍細胞のNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを示す。
図9図9は、イソキノリン化合物に敏感である脳腫瘍細胞とそれに不敏感である脳腫瘍細胞のNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを示す。
図10図10は、腫瘍細胞中のNNMT発現とDNMT1、UHRF1、DNMT3a及びDNMT3bの発現との間の相関性を示す。
図11図11は、遺伝子導入法によってNCI-H82細胞のNNMTタンパク質を過剰発現し、及び/又はshRNA導入法によってNCI-H82細胞のDNMT1発現を下方調節した後の塩化ベルベリンに対する腫瘍細胞の感受性を示し、ここで担体(Vector)はNNMTタンパク質及びDNMT1を正常に発現したNCI-H82細胞であり、ov-NNMTは遺伝子導入法によってNNMTタンパク質を過剰発現したNCI-H82細胞であり、sh-DNMT1 #1はsh-DNMT1 #1に遺伝子を導入することでDNMT1発現を下方調節したNCI-H82細胞であり、sh-DNMT1 #2はsh-DNMT1 #2に遺伝子を導入することでDNMT1発現を下方調節したNCI-H82細胞であり、ov-NNMT/sh-DNMT1 #1は遺伝子導入法によってNNMTタンパク質を過剰発現すると同時にsh-DNMT1 #1に遺伝子を導入することでDNMT1発現を下方調節したNCI-H82細胞であり、ov-NNMT/sh-DNMT1 #2は遺伝子導入法によってNNMTタンパク質を過剰発現すると同時にsh-DNMT1 #2に遺伝子を導入することでDNMT1発現を下方調節したNCI-H82細胞である。
図12図12は、Western Blot実験によって検出された且つ正常なNCI-H82(担体)に比べてNNMTタンパク質が過剰発現されたNCI-H82(ov-NNMT)のNNMTタンパク質の含有量を示し、ここで担体はNNMTタンパク質を正常に発現したNCI-H82細胞であり、ov-NNMTは遺伝子導入法によってNNMTタンパク質を過剰発現したNCI-H82細胞である。
図13図13は、Western Blot実験によって検出された且つ正常なNCI-H82(shVector)に比べて両種のshRNA方法で腫瘍細胞のDNMT1発現が下方調節されたNCI-H82(sh-DNMT1 #1又はsh-DNMT1 #2)のDNMT1タンパク質の含有量を示し、ここでshVectorはNNMT1を正常に発現したNCI-H82細胞であり、sh-DNMT1 #1はsh-DNMT1 #1に遺伝子を導入することでDNMT1発現が下方調節されたNCI-H82細胞であり、sh-DNMT1 #2はsh-DNMT1 #2に遺伝子を導入することでDNMT1発現が下方調節されたNCI-H82細胞である。
図14図14は、NCI-H82腫瘍に対する塩化ベルベリンの阻害効果を示し、ここでNCI-H82はNNMTタンパク質を正常に発現した細胞である。
図15図15は、NNMTタンパク質を過剰発現するとともにDNMT1を低発現する(ov-NNMT/sh-DNMT1)NCI-H82腫瘍に対する塩化ベルベリンの阻害効果を示し、ここでov-NNMT/sh-DNMT1はNNMTタンパク質を過剰発現するとともにDNMT1を低発現するNCI-H82細胞である。
【発明を実施するための形態】
【0298】
本発明者は、長期的かつ深い研究を行った結果として、NNMT遺伝子の低発現(又は未発現)、DNAメチル化酵素の高発現、UHRF1の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化がある腫瘍細胞に対して本発明の化合物が明らかな阻害効果を有することを初めて予期せず見出した。NNMT遺伝子の発現量、DNAメチル化酵素の発現量、UHRF1の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子プロモーター領域のDNA CpG部位のメチル化レベルは、本発明の化合物が腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するかどうかを判断するマーカーとしての機能を果たす。本発明者は、これに基づいて本発明を成し遂げる。
【0299】
用語
本明細書で使われたように、「含む」、「備える」及び「有する」という用語は、互換的に使用される可能性があり、且つ閉鎖された定義に、半閉鎖され及び開放された定義も有する。言い換えれば、前記用語は「...によって構成する」、「基本的に... よって構成する」という意味を含む。
【0300】
本明細書で使われたように、「DNA CpG部位の高メチル化がある」と「DNA CpG部位を高メチル化する」と「DNA CpG部位が高メチル化される」は互いに互換的に使用される可能性がある。
【0301】
本明細書で使われたように、「DNA CpG部位の低メチル化がある」と「DNA CpG部位を低メチル化する」と「DNA CpG部位が低メチル化される」は互換的に使用される可能性がある。
【0302】
本明細書で使われたように、「IC50」及び「IC50」という用語は、互換的に使用される可能性があり、半阻害濃度(50% inhibiting concentration)を表し、即ち50%の阻害効果を達成する時の阻害剤の濃度を意味する。
【0303】
本明細書で使われたように、「DNA CpG部位のメチル化」と「CpGヌクレオチドのメチル化」と「CpGのメチル化」は互換的に使用される可能性がある。
【0304】
本明細書で使われたように、「P/S」という用語は、関連する培地にペニシリン(Penicillin)及びストレプトマイシン(Streptomycin)を加えることを指す。
【0305】
本明細書で使われたように、「某細胞」という用語は、単一細胞(例えば、単一の癌細胞)又は複数の類同な細胞を含む一群の細胞(例えば、腫瘍組織)を指す。
【0306】
本明細書で使われたように、「本発明の化合物が腫瘍患者に適する」は、腫瘍患者の腫瘍が本発明の化合物に敏感であることなどを意味する。
【0307】
本明細書で使われたように、「本発明の化合物が腫瘍患者に適しない」は、腫瘍患者の腫瘍が本発明の化合物に不敏感であることなどを意味する。
【0308】
本明細書で使われたように、「NNMT遺伝子の発現量、DNAメチル化酵素の発現量、UHRF1の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベル」は、NNMT遺伝子の発現量とDNAメチル化酵素の発現量とUHRF1の発現量とNNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベルとNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルのうちの一種又は多種を指す。
【0309】
本明細書で使われたように、「NNMT遺伝子の低発現又は未発現、DNAメチル化酵素の高発現、UHRF1の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化」は、NNMT遺伝子の低発現又は未発現とDNAメチル化酵素の高発現とUHRF1の高発現とNNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化とNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化のうちの一種又は多種を指す。
【0310】
本明細書で使われたように、「NNMT遺伝子の高発現、DNAメチル化酵素の低発現、UHRF1の低発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の低メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の低メチル化」は、NNMT遺伝子の高発現とDNAメチル化酵素の低発現とUHRF1の低発現とNNMT遺伝子のヌクレオチド部位の低メチル化とNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の低メチル化のうちの一種又は多種を指す。
【0311】
本明細書で使われたように、「NNMT」という用語の英語名はNicotinamide N-Methyltransferaseである。
【0312】
本明細書で使われたように、「bp」という用語はbase pairを指し、塩基対を意味する。
【0313】
本明細書で使われたように、「SST」という用語は、転写開始部位を指す。
【0314】
本明細書で使われたように、「Chr11」という用語は、GCF_000001405.25(GRCh37.p13)というヒトゲノムバージョンに従って定義されたヒト第11染色体を指す。
【0315】
本明細書で使われたように、「ヒト第11染色体」という用語は、GCF_000001405.25(GRCh37.p13)というヒトゲノムバージョンに従って定義されたヒト第11染色体を指す。
【0316】
本明細書で使われたように、「転写開始部位の前」及び「転写開始部位の後ろ」という用語は転写開始部位の自身を含まない。
【0317】
本明細書で使われたように、「ヒト第11染色体の114165695位」はヒト第11染色体の第114165695位にあるヌクレオチドを指し;「ヒト第11染色体の114165730位」はヒト第11染色体の第114165730位にあるヌクレオチドを指し;「ヒト第11染色体の114165769位」はヒト第11染色体の第114165769位にあるヌクレオチドを指し;「ヒト第11染色体の114165804位」はヒト第11染色体の第114165804位にあるヌクレオチドを指し;「ヒト第11染色体の114165938位」はヒト第11染色体の第114165938位にあるヌクレオチドを指し;「ヒト第11染色体の114166050位」はヒト第11染色体の第114166050位にあるヌクレオチドを指し;「ヒト第11染色体の114166066位」はヒト第11染色体の第114166066位にあるヌクレオチドを指す。
【0318】
本明細書で使われたように、遺伝子発現は、当該遺伝子のタンパク質発現及び/又は当該遺伝子のmRNA発現等を含む。
【0319】
本明細書で使われたように、「DNMT3a」という用語は、DNAメチルトランスフェラーゼ3a(DNA methyltransferase 3a)を指す。
【0320】
本明細書で使われたように、「DNMT3b」という用語は、DNAメチルトランスフェラーゼ3b(DNA methyltransferase 3b)を指す。
【0321】
本明細書で使われたように、「DNMT1」という用語は、DNAメチルトランスフェラーゼ1(DNA methyltransferase1)を指す。
【0322】
本明細書で使われたように、「UHRF1」という用語は、PHD及びリングフィンガードメインを含むユビキチン系類似のタウタンパク質1を指す。
【0323】
当業者が本発明の化合物上の置換基及び置換形態を選択することでは化学的に安定な化合物を製造でき、且つ当該技術分野に既存の技術と以下に記載の方法では前記化合物を合成できると理解すべきである。1つ以上(複数)の置換基によって置換された場合は、これらの置換基が安定な構造を生成する限り、同じ炭素上又は異なる炭素上に位置できることを理解すべきである。
【0324】
本明細書で使われたように、「置換」又は「置換された」という用語は、原子団上の水素原子が非水素原子基で置換されるが、それらの結合価を満たす必要があり、且つ置換により化学的に安定な化合物、即ち、環化や脱離などの変換を自発的に行われない化合物を生成することを指す。
【0325】
本明細書で使われたように、「R」、「R1」及び「R」は同じ意味を有し、互換的に使用される可能性があり、他の類同な定義も同じ意味を有する。
本明細書で使われたように、
【化26】
は原子団の結合部位を表す。
【0326】
本明細書で使われたように、「アルキル基」という用語は、炭素原子のみを含む直鎖(即ち、分枝無し)、又は分枝飽和の炭化水素基、又は直鎖と分枝鎖との組合せの原子団を指す。アルキル基の前に炭素数で限定されること(例えば、C1-C6アルキル基)は、前記アルキル基が1つ~6つの炭素原子を有することを指し、例えば、C1-C4アルキル基は、1つ~4つの炭素原子を含むアルキル基を指す。これらのアルキル基の代表例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、又は類同な原子団を含むが、これらに限定されない。
【0327】
本明細書で使われたように、「C2-C4アルケニル基」という用語は、1つ又は複数の二重結合を有する2つ~4つの炭素原子の直鎖、又は分岐アルケン分子が二重結合に結合する1つの水素原子を失って形成されるヒドロカルビル基を指す。それらの代表例は、ビニル基(CH=CH-)、(C(CH3)=CH-)、又は類同な原子団を含む。
【0328】
本明細書で使われたように、「C2-C4アルキニル基」という用語は、1つ又は複数の三重結合を有する2つ~4つの炭素原子の直鎖、又は分岐アルケン分子が三重結合に結合する1つの水素原子を失って形成されるヒドロカルビル基を指す。それらの代表例は、エチニル基(CH≡CH-)、(H3C-C≡CH-)、又は類同な原子団を含む。
【0329】
本発明において、「ハロゲン原子」は、F、Cl、Br又はIを指す。
【0330】
本発明において、「ハロゲン化」は、ハロゲン原子で置き換えられることを指す。
【0331】
本明細書で使われたように、「ハロゲン化アルキル基」という用語は、アルキル基の1つ又は複数(好ましくは、1つ、2つ、3つ又は4つ)の水素原子がハロゲン原子で置換されるものを指す。前記のアルキル基及びハロゲン原子は上記に定義の通りである。ハロゲン化アルキル基の前に炭素数で限定されること(例えば、C1-C8ハロゲン化アルキル基)は、前記ハロゲン化アルキル基が1つ~8つの炭素原子を有することを指し、例えば、C1-C6ハロゲン化アルキル基は、1つ~6つの炭素原子を含むハロゲン化アルキル基を指す。これらのハロゲン化アルキル基の代表例は、-CF、-CHF、モノフッ化イソプロピル基、ジフッ化ブチル基又は類同な原子団を含むが、これらに限定されない。
【0332】
本明細書で使われたように、「シクロアルキル環」という用語は、飽和又は部分的に飽和した単環、二環又は多環(縮合環、架橋環又はスピロ環)の環系を指す。某シクロアルキル環の前に炭素数で限定されること(例えば、C3-C12)は、前記シクロアルキル環が3つ~12個の環上炭素原子を有することを指す。幾つかの好ましい実施例では、「C3-C8シクロアルキル環」という用語は、3つ~8つの環上炭素原子を有する飽和又は部分的に飽和したモノシクロアルキル環又はジシクロアルキル環を指し、シクロプロピル環、シクロブチル環、シクロアミル環、シクロヘプチル環又は類同な環を含む。「スピロシクロアルキル環」は、単環間で1つの炭素原子(スピロ原子と呼ばれる)を共用する二環又は多環を指し、こういう環は1つ又は複数の二重結合を含む可能性があるが、いずれの環にも完全な共役π電子系がない。「縮合シクロアルキル環」は、系内の各環が系内の他の環と共用し隣接する1対の炭素原子の全炭素原子の二環又は多環を指し、ここで1つ又は複数の環は、1つ又は複数の二重結合を含む可能性があるが、いずれの環にも完全な共役π電子系がない。「架橋シクロアルキル環」は、任意の2つの環が直接連結されていない2つの炭素原子を共用する全炭素原子の多環を指し、こういう環は1つ又は複数の二重結合を含む可能性があるが、いずれの環にも完全な共役π電子系がない。これらのシクロアルキル環の代表例は、シクロプロピル環、シクロブチル環、シクロアミル環、シクロヘプチル環又は類同な環を含むが、これらに限定されない。
【0333】
本明細書で使われたように、「シクロアルキル基」という用語は、飽和又は部分的に飽和した単環、二環又は多環(縮合環、架橋環又はスピロ環)の環状原子団を指す。シクロアルキル基の前に炭素数で限定されること (例えば、C3-C12)は、前記シクロアルキル基が3つ~12個の環上炭素原子を有することを指し、幾つかの好ましい実施例では、「C3-C8シクロアルキル基」という用語は、3つ~8つの環上炭素原子を有する飽和又は部分的に飽和したモノシクロアルキル基又はジシクロアルキル基を指し、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロアミル基、シクロヘプチル基又は類同な原子団を含む。「スピロシクロアルキル基」は、単環間で1つの炭素原子(スピロ原子と呼ばれる)を共用する二環又は多環原子団を指し、こういう原子団は1つ又は複数の二重結合を含む可能性があるが、いずれの原子団にも完全な共役π電子系がない。「縮合シクロアルキル基」は、系内の各環が系内の他の環と共用し隣接する1対の炭素原子の全炭素原子の二環又は多環原子団を指し、ここで1つ又は複数の環は、1つ又は複数の二重結合を含む可能性があるが、いずれの環にも完全な共役π電子系がない。「架橋シクロアルキル基」は、任意の2つの環が直接連結されていない2つの炭素原子を共用する全炭素原子の多環原子団を指し、こういう原子団は1つ又は複数の二重結合を含む可能性があるが、いずれの環にも完全な共役π電子系がない。これらのシクロアルキル基の代表例は、
【化27】
を含むが、これらに限定されない。
【0334】
本明細書で使われたように、「ハロゲン化シクロアルキル基」という用語は、シクロアルキル基の1つ又は複数(好ましくは、1つ、2つ、3つ又は4つ)の水素原子がハロゲン原子で置換されるものを指す。前記のシクロアルキル基及びハロゲン原子は上記に定義の通りである。シクロアルキル基の前に炭素数で限定されること(例えば、C3-C8ハロゲン化シクロアルキル基)は、前記シクロアルキル基が3つ~8つの環上炭素原子を有することを指し、例えば、C3-C8ハロゲン化シクロアルキル基は、3つ~8つの環上炭素原子を含むハロゲン化シクロアルキル基を指す。これらのハロゲン化シクロアルキル基の代表例は、モノフッ化シクロプロピル基、モノ塩素化シクロブチル基、モノフッ化シクロアミル基、ジフッ化シクロヘプチル基又は類同な原子団を含むが、これらに限定されない。
【0335】
「アルコキシル基」という用語は、R-O-原子団を指し、ここでRはアルキル基を指す。アルキル基は上記に定義の通りである。アルコキシル基の前に炭素数で限定されること(例えば、C1-C8アルコキシル基)は、前記アルコキシル基中のアルキル基が1つ~8つの炭素原子を有することを指す。これらのアルコキシル基の代表例は、メトキシ基、エトキシル基、N-プロポキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基又は類同な原子団を含むが、これらに限定されない。
【0336】
本明細書で使われたように、「アルキルチオール基」という用語は、R-S-原子団を指し、ここでRはアルキル基を指す。アルキル基は上記に定義の通りである。アルキルチオール基の前に炭素数で限定されること(例えば、C1-C8アルコキシル基)は、前記アルキルチオール基中のアルキル基が1つ~8つの炭素原子を有することを指す。これらのアルキルチオール基の代表例は、メチルチオ基、エチルチオ基、N-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、t-ブチルチオール基又は類同な原子団を含むが、これらに限定されない。
【0337】
「シクロアルコキシル基」という用語は、R-O-原子団を指し、ここでRはシクロアルキル基を指す。シクロアルキル基は上記に定義の通りである。シクロアルコキシル基の前に炭素数で限定されること(例えば、C3-C8シクロアルコキシル基)は、前記シクロアルコキシル基中のシクロアルキル基が3つ~8つの炭素原子を有することを指す。これらのシクロアルコキシル基の代表例は、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基又は類同な原子団を含むが、これらに限定されない。
【0338】
「シクロアルキルチオール基」という用語は、R-S-原子団を指し、ここでRはシクロアルキル基を指す。シクロアルキル基は上記に定義の通りである。シクロアルキルチオール基の前に炭素数で限定されること(例えば、C3-C8シクロアルコキシル基)は、前記シクロアルキルチオール基中のシクロアルキル基が3つ~8つの炭素原子を有することを指す。これらのシクロアルキルチオール基の代表例は、シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオール基又は類同な原子団を含むが、これらに限定されない。
【0339】
本明細書で使われたように、「ハロゲン化アルコキシル基」という用語は、ハロゲン化アルキル基-O-を指す。前記ハロゲン化アルキル基は上記に定義の通りである。例えば、C1-C6ハロゲン化アルコキシル基は、1つ~6つの炭素原子を有するハロゲン化アルコキシル基を指す。これらのハロゲン化アルコキシル基の代表例は、モノフッ化メトキシ基、モノフッ化エトキシル基、ジフッ化ブトキシ基又は類同な原子団を含むが、これらに限定されない。
【0340】
本明細書で使われたように、「ハロゲン化アルキルチオール基」という用語は、ハロゲン化アルキル基-S-を指す。前記ハロゲン化アルキル基は上記に定義の通りである。例えば、C1-C6ハロゲン化アルキルチオール基は、1つ~6つの炭素原子を有するハロゲン化アルキルチオール基を指す。これらのハロゲン化アルキルチオール基の代表例は、モノフッ化メチルチオ基、モノフッ化エチルチオ基、ジフッ化ブチルチオール基又は類同な原子団を含むが、これらに限定されない。
【0341】
「ヘテロシクロアルキル環」という用語は、「ヘテロ環」とも呼ばれ、完全飽和又は部分不飽和の環(3~7員単環、7~11員二環又は8~16員三環を含むが、これらに限定されない)を指し、ここで少なくとも1つのヘテロ原子は少なくとも1つの炭素原子を有する環に存在する。ヘテロ環を前に限定する員数は、ヘテロシクロアルキル環の環原子の個数を指す。例えば、3-16員ヘテロ環は、3つ~16個の環原子を有するヘテロ環を指す。ヘテロ原子を有する各ヘテロ環には1つ又は複数の(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つ)ヘテロ原子が存在する可能性があり、それらのヘテロ原子は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子から選択され、ここで、窒素原子又は硫黄原子は酸化される可能性があり、窒素原子も四級化される可能性がある。ヘテロ環は、環又は環系分子の任意のヘテロ原子又は炭素原子の残基に結合する可能性がある。これらの単環ヘテロシクロアルキル環の代表例は、アゼチジニル環やオキセタン環やイミダゾリン環やイミダゾリドン環やテトラヒドロフラニル環やピペリジニル環やピペラジニル環や2-オキシピペラジニル環や2-オキシピペリジニル環や4-ピペリジノン環やテトラヒドロピラニル環やモルホリン環やチオモルホリン環やチオモルホリンスルホキシド環やチオモルホリンスルホン環や1,3-ジオキサン環やテトラヒドロ-1,1-ジオキシチオフェン環等を含むが、これらに限定されない。多環ヘテロシクロアルキル環は、スピロ環、縮合環及び架橋環のヘテロ環を含む。関連するスピロ環、縮合環及び架橋環のヘテロ環は、随意に単結合で他の環と連結するか、環上の任意の二つ以上の原子を介して他のシクロアルキル環及びヘテロ環と更に縮環する。
【0342】
「ヘテロシクロアルキル基」という用語は、完全飽和又は部分不飽和の環状原子団(3~7員単環、7~11員二環又は8~16員三環を含むが、これらに限定されない)を指し、ここで少なくとも1つのヘテロ原子は少なくとも1つの炭素原子を有する環に存在する。ヘテロシクロアルキル基を前に限定する員数は、ヘテロシクロアルキル基の環原子の個数を指す。例えば、3-16員ヘテロシクロアルキル基は、3つ~16個の環原子を有するヘテロシクロアルキル基を指す。ヘテロ原子を有する各ヘテロ環には1つ又は複数の(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つ)ヘテロ原子が存在する可能性があり、それらのヘテロ原子は、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子から選択され、ここで、窒素原子又は硫黄原子は酸化される可能性があり、窒素原子も四級化される可能性がある。ヘテロシクロアルキル基は、環又は環系分子の任意のヘテロ原子又は炭素原子の残基に結合する可能性がある。これらの単環ヘテロシクロアルキル基の代表例は、アゼチジニル基やオキセタン基やイミダゾリン基やイミダゾリドン基やテトラヒドロフラニル基やピペリジニル基やピペラジニル基や2-オキシピペラジニル基や2-オキシピペリジニル基や4-ピペリジノン基やテトラヒドロピラニル基やモルホリン基やチオモルホリン基やチオモルホリンスルホキシド基やチオモルホリンスルホン基や1,3-ジオキサン基やテトラヒドロ-1,1-ジオキシチオフェン基等を含むが、これらに限定されない。多環ヘテロシクロアルキル基は、スピロ環、縮合環及び架橋環の複素環基を含む。関連するスピロ環、縮合環及び架橋環のヘテロシクロアルキル基は、随意に単結合で他の原子団と連結するか、環上の任意の二つ以上の原子を介して他のシクロアルキル環及びヘテロ環と更に縮環する。
【0343】
「アリール環」という用語は、共役π電子系を有する全炭素原子の単環又は縮合多環(隣接する一対の炭素原子を共有する環)を指し、芳香族環状炭化水素化合物である。アリール環の前に炭素数で限定されること(例えば、C6-C12アリール基)は、前記アリール環が6つ~12個の環上炭素原子を有することを指す。これらのアリール環の代表例は、フェニル環やナフトイル環等を含む。アリール環は、他の炭素環(飽和環又は不飽和環を含む)に縮合できるが、窒素原子や酸素原子や硫黄原子等のヘテロ原子を含まれない上に、主鎖を結ぶ点は、共役π電子系の環上の炭素原子上にある必要がある。これらのアリール環の代表例は、フェニル環、ナフトイル環又は類同な環を含む。
【0344】
「アリール基」という用語は、共役π電子系を有する全炭素原子の単環式又は縮合多環式(隣接する一対の炭素原子を共有する環)の原子団を指し、芳香族環状炭化水素化合物の原子団である。アリール基の前に炭素数で限定されること(例えば、C6-C12アリール基)は、前記アリール基が6つ~12個の環上炭素原子を有することを指す。これらのアリール基の代表例は、フェニル基やナフトイル基等を含む。アリール基は、他の環状原子団(飽和環又は不飽和環を含む)に縮合できるが、窒素原子や酸素原子や硫黄原子等のヘテロ原子を含まれない上に、主鎖を結ぶ点は、共役π電子系の環上の炭素原子上にある必要がある。これらのアリール基の代表例は、
【化28】
を含むが、これらに限定されない。
【0345】
「ヘテロアリール環」という用語は、1つ又は複数の (好ましくは、1つ、2つ、3つ又は4つ)ヘテロ原子を有する芳香族複素環を指す。当該環は、単環(単環式)、又は縮合され又は共有結合された多環(二環式、三環式又は多環式)となり、且つヘテロ原子を含む各複素環が酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からそれぞれ独立して選択された1つ又は複数 (例えば、1つ、2つ、3つ又は4つ)のヘテロ原子を有する可能性がある。ヘテロアリール環を前に限定する員数は、ヘテロアリール環の環原子の個数を指す。例えば、5-12員ヘテロアリール環は、5つ~12個の環原子を有するヘテロアリール環を指す。これらのヘテロアリール環の代表例は、ピロリル環やピラゾール環やイミダゾール環やオキサゾール環やイソオキサゾール環やチアゾール環やチアジアゾール環やイソチアゾール環やフラン環やピリジン環やピラジン環やピリミジン環やピラジン環やトリアジン環やトリアゾール環やテトラゾリル環等を含むが、これらに限定されない。
【0346】
「ヘテロアリール基」という用語は、1つ又は複数(好ましくは、1つ、2つ、3つ又は4つ)のヘテロ原子を有する芳香族複素環系の原子団を指す。当該原子団は、単環(単環式)、又は縮合され又は共有結合された多環(二環式、三環式又は多環式)となり、且つヘテロ原子を含む各複素環が酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からそれぞれ独立して選択された1つ又は複数(例えば、1つ、2つ、3つ又は4つ)のヘテロ原子を有する可能性がある。ヘテロアリール基を前に限定する員数は、ヘテロアリール基の環原子の数を指す。例えば、5-12員ヘテロアリール基は、5つ~12個の環原子を有するヘテロアリール基を指す。これらのヘテロアリール基の代表例は、ピロリル基やピラゾール基やイミダゾール基やオキサゾール基やイソオキサゾール基やチアゾール基やチアジアゾール基やイソチアゾール基やフラン基やピリジン基やピラジン基やピリミジン基やピラジン基やトリアジン基やトリアゾール基やテトラゾリル基等を含むが、これらに限定されない。
【0347】
本明細書で使われたように、「カルボキシル基」という用語は、-COOHの原子団或-アルキル基-COOHの原子団を指し、ここでアルキル基は上記に定義の通りである。例えば、「C-Cカルボキシル基」は-C-Cアルキル基-COOHの原子団を指す。これらのカルボキシル基の代表例は、-COOH、-CHCOOH、-CCOOH又は類同な原子団を含むが、これらに限定されない。
【0348】
本明細書で使われたように、「エステル基」という用語は、R-C(O)-O-の原子団或-C(O)-O-Rの原子団を指し、ここでアルキル基(R)は上記に定義の通りである。例えば、「C-Cエステル基」は-C-Cアルキル基-C(O)-O-の原子団又は-C(O)-O-C-Cアルキル基の原子団を指す。これらのエステル基の代表例は、CHCOO-、CCOO-、CCOO-、(CHCHCOO-、-COOCH、-COOC、-COOC、-COOC(CH又は類同な原子団を含むが、これらに限定されない。
【0349】
本明細書で使われたように、「アシルアミノ基」という用語は、R-C(O)-N-の原子団或-C(O)-N-Rの原子団を指し、ここでアルキル基(R)は上記に定義の通りである。例えば、「C-Cアシルアミノ基」は-C-Cアルキル基-C(O)-N-の原子団又は-C(O)-N-C-Cアルキル基の原子団を指す。これらのアシルアミノ基の代表例は、CHCO-N-、CCO-N-、CCO-N-、(CHCHCO-N-、-CO-N-CH、-CO-N-C、-CO-N-C又は類同な原子団を含むが、これらに限定されない。
【0350】
本明細書で使われたように、「アミノ基」は単独又は他の置換基の一部として-NHを表す。
【0351】
本明細書で使われたように、「ニトロ基」は単独又は他の置換基の一部として-NOを表す。
【0352】
本明細書で使われたように、「シアン基」は単独又は他の置換基の一部として-CNを表す。
【0353】
本明細書で使われたように、「ヒドロキシル基」は単独又は他の置換基の一部として-OHを表す。
【0354】
本明細書で使われたように、「メルカプト基」は単独又は他の置換基の一部として-SHを表す。
【0355】
本明細書で、全ての置換基は、「置換していた」と明示的に記載されない限り、置換していないものを意味する。「置換」という用語は、特定の置換基が特定の原子団上において1つ又は複数の水素原子を置換することを指す。特定の置換基は、上記に説明された置換基、又は各実施例に現れる置換基である。好ましくは、前記「置換」は、環又は原子団上の1つ又は複数(好ましくは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ又は8つ)の水素原子が、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C8ハロゲン化アルキル基、C3-C8ハロゲン化シクロアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、-CN、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、C1-C4カルボキシル基、C2-C4エステル基、C2-C4アシルアミノ基、C1-C8アルコキシル基、C1-C8アルキルチオール基、C1-C8ハロゲン化アルコキシル基、C1-C8ハロゲン化アルキルチオール基、C6-C12アリール基、5-10員ヘテロアリール基及び5-10員ヘテロシクロアルキル基から選択される置換基によって置換されることを指す。特に明記されていない限り、任意に置換を行う原子団は、当該原子団の任意の置換可能な部位に特定の群から選択される置換基を備える可能性があり、且つ前記置換基は各部位に同一となるか異なる可能性がある。
【0356】
本発明において、「予防」は、疾患、及び/又はそれに伴う症状の発症を予防するか、対象を保護して罹病を防ぐ方法を指す。本明細書において使用される「予防」は、疾患及び/又はそれに付随する症状の発症を遅延させ、並びに対象の罹病のリスクを低減することも指す。
【0357】
本発明に記載の「治療」は、疾患の進行を遅延させて終結させるか、疾患を排除することを意味するが、100%の抑制、排除及び逆転を必要としない。幾つかの実施形態では、本発明の化合物が存在しない場合に観察されるレベルに比べて、本発明の化合物の作用下で腫瘍及びそれの合併症を少なくとも約10%、30%、50%、80%、又は100%などで軽減、阻害及び/又は逆転するようになる。
【0358】
化合物
本明細書で使われたように、「本発明の化合物」、「本発明のイソキノリン化合物」、「本発明の式Iの化合物」、又は「式Iの化合物」は、互換的に使用される可能性があり、式Iの結構を備える化合物、又はそれの光学異性体又はラセミ体、又はそれの溶媒和物、又はそれの薬学的に許容される塩を指す。この用語は、上記成分の混合物も含むと理解すべきである。
【化29】
【0359】
具体的に、前記の式Iの化合物は、本発明の第1態様にように定義されている。
【0360】
本発明の研究によると、本発明の化合物は、NNMT遺伝子の低発現又は未発現、DNAメチル化酵素の高発現、UHRF1の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化がある腫瘍細胞に対してより明らかな阻害効果を有する。NNMT遺伝子の低発現、DNAメチル化酵素の高発現、UHRF1の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化がある腫瘍細胞は、本発明の化合物に敏感である。
【0361】
本発明の式Iの化合物は、陽イオンの状態で酸と薬学的に許容される塩を形成する可能性がある。
【0362】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物と酸によって形成される且つ薬物として使用に適する塩を指す。薬学的に許容される塩は無機塩と有機塩を含む。好ましい塩の一種は、本発明の化合物と酸によって形成された塩であり、こういう塩の形成に適する酸は、塩酸や臭化水素酸やフッ化水素酸や硫酸や硝酸やリン酸等の無機酸、ギ酸や酢酸やプロピオン酸やシュウ酸やマロン酸やコハク酸やフマル酸やマレイン酸や乳酸やリンゴ酸や酒石酸やクエン酸やピクリン酸やメタンスルホン酸やベンゼンスルホン酸やベンゼンスルホン酸等の有機酸、及びアスパラギン酸やグルタミン酸等の酸性アミノ酸を含が、これらに限定されない。
【0363】
本発明は、式Iに示されたような化合物をそれらの薬学的に許容される塩に常法で変換する可能性がある。例えば、対応する酸の溶液を上記化合物の溶液に加えて、全部の塩類化後溶媒を除去すると、本発明の化合物の対応する塩を獲得できるようになる。
【0364】
本発明の好ましい例で、前記の式Iの化合物の構造は、次の式I-1に示され;
【化30】
ここでAはO又はSを指し;
、R、R、R、R、R、R、R12、R10、R11、R13及びR14は、本発明の第1態様にように定義されている;
10は水素原子又はR17-A-を表し;
ここでAはO又はSを指し;
17は、置換又は非置換のC3-C6アルキル基、C2-C4アルケニル基-C1-C2アルキル基-、又はC2-C8エステル基-C1-C2アルキル基-を表す。
【0365】
本発明の好ましい化合物は、
【化31】
から選択される。
【0366】
代表例として、本発明の好ましい化合物は、
【化32】
から選択される。
【0367】
別の好ましい例で、前記ベルベリンは塩化ベルベリン又は硫酸ベルベリンを含む。
【0368】
NNMT遺伝子
本発明において、NNMTの英語名はNicotinamide N-Methyltransferaseである。データベースが異なれば、NNMT遺伝子の識別番号も異なる。例えば、HGNC:7861; Entrez Gene:4837; Ensembl:ENSG00000166741; OMIM:600008; UniProtKB:P40261。
【0369】
GCF_000001405.25(GRCh37.p13)というヒトゲノムバージョンによると、NNMT遺伝子領域は、ヒト第11染色体の第114,128,528位のbpから第114,184,258位のbpまでに位置し、全長が55,731bpとなるDNA配列である。当該領域はNNMT遺伝子プロモーター領域、NNMT遺伝子エクソン領域及びNNMT遺伝子イントロン領域を含み、且つNNMT遺伝子転写開始部位は第114,166,535位のbpである。
【0370】
NNMT遺伝子プロモーター領域は、ヒト第11染色体の第114,164,535位のbpから第114,167,034位のbpまでのヌクレオチド配列、即ちNNMT遺伝子の転写開始部位の前2000bp([]の内部分)から転写開始部位自身及び後ろ499bp(下線部分)までの配列である。NNMT遺伝子プロモーター領域は、全長が2500bpとなり、そのヌクレオチド配列が次の配列番号1に示される。
【0371】
配列番号1:
[TATCCAAGAGCTATCAGCACTCCCATGTTTATTGTAGCACTGTTCACAATAGCCAAGATTTGGAAGTACTCTAAGTGTCCATTAGCAGATGAATGGATAAAGACAATGTGGTAATACACATAATGGAGTACTATTCAGTCATAAAGAAGAATTAGATCCTGTCATTTGCAATAACATGGATGGAACTGGAGGTCATAATGTTGAGTGAAATAAACCAGGCACAGAAAGACAAACTTTGCATGTTCTCACTTATTTATGGGAGCTAAAAACTAAAATAACTGAACTCACAGAGATAGAGAGTAGAAGGATGGTTACGAGAGGATGGGAAGGGTAGCGAGGTGGGTAGGGGGGATGTGGGGATCATTAATGGGTATAAAAAATAGTTAGAGGCCAGGCGCAGTGGCTCACGCCTGTAATCCCAGCACTTTGGGAGGCCGAGGTAGGCGGAACACCTGAGGAGTTCAAGACCAGCCTGGCCAATATGATGAAACCCCGTCTCTACTAAAAATACAAAAATTAGCTGGGCGTGATGGTGTGCACCTGTAGTCCCAGCTGCTTGGGAGGCTGAGGCAGGAGAATCGCTGGAACCCAAGAGGTGAAGGTTGCAGTGAGCTGAGATCGCGTCACTGCACTCCAGCCTGGGTGACAGAGTGAGACTCCACATCAAAAAAAAAAAAAAAAAGTTAGAAAGATTGAATAAGACCTAATATTTGCTAGCACAACAGGGTGAATATAGTAAAAAATAATTTATTTGTACCTTCAAAAATAACTAGACAAGTATAATTGGGTTGTTTGTAACACACAAAAAATAAGTACTTGAAGTGGTGGATACCCCATTTACCCTGATGTGATTATTTTGTATTGCAGGCCTCTATCAGAATATCTCATGTAACCCATAAATATATACACCTACTCTGTACCCACAAAAAGTTTTTAAAAAGAAAAATAAATAGCAACCGAAAAAAAAAGAGAGGGAGAAAAGAAAAAAGAAAAAAAAATCAAGTGCCTGGCTGGGTAGAATAAATTCTAAGGCCACAATGTTACTGACCATGGGTTTTTTGGCTCTCAGTGTATAGAAATTGACACAAGGCCAATAGTCTTCCCAAACATGCTTTACTGGAACTTACGCCCTGGCATAAGGGCCACAACAAAAGAGAGAGCGAATTCTCTGGCTTGCTGACTCCTTGGAAAAAACCGGTAGGGATTTTTTTATTAGGCAAAGCACAGGAATTGACGTCAGAGGCAGGATGTGCTGCTGGGCAAAGCATACGAGAAGTGGGGTATGCAGGTCAGCATTACTTGGTTGCAATGGTTATCTTGAGGAATGGGCCAACTGGTGGTCTGGCCAGTGGCAACAAGGCTGTAAATCAATTATTCAGCATTCCTTCCCAAGGTGGGACACCCGGCAACATTGTTTATCTCCTAAGGCCAGTTCCTGGAATTAAGTGAAAGGATGACTAATGGACATGTTGTCAGTGAGGTAGTGGTGTGGGTTTTGTGACCAGTGGGAATGCACGAAAGAATGCTTTAGCGGGGAGTGAGCTGAAGCCAAGCCCCATCCCTACTCTGTCTCAAAGTGAGTTCAGAAAAGGGGATTTAAAGAATTCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGAGACAGAGTCTTGCTCTGTCGCCCAGGCTGGAGTGCAGTGGCGCCATCTTGGCTCACTGCAAGCTCCGCCCCCCGGGTTCATGCCATTCTCCTGCCTCAGCCTCCCAAGTAGCTGGGACTGCAGGTGCCTACCACCAAGCCCAGCTAATTTTTTGTATTTTTTTTTTAGTAGAGACGGGGTTTCACCATGTTAGCCAGGATGGTCTCGATCTCCTGACCTCGTGATCTGCCCGCCTTAGCCTCCCAAAGTGCTGGGATTACAGGCATGAGCCTCCGCCCCCGGCCTTAAATAATTCTTAAAGGAAGTAAAGTTAACTTTGAAAGAACTATCAGGATTTGGATTGACTGAAAGGAGTGGGGAAGCTTAGG]GAGGAGGTGCTTGCCAGACACTGGGTCATGGCAGTGGTCGGTGAAGCTGCAGTTGCCTAGGGCAGGGATGGAGAGAGAGTCTGGGCATGAGGAGAGGGTCTCGGGATGTTTGGCTGGACTAGATTTTACAGAAAGCCTTATCCAGGCTTTTAAAATTACTCTTTCCAGACTTCATCTGAGACTCCTTCTTCAGCCAACATTCCTTAGCCCTGAATACATTTCCTATCCTCATCTTTCCCTTCTTTTTTTTCCTTTCTTTTACATGTTTAAATTTAAACCATTCTTCGTGACCCCTTTTCTTGGGAGATTCATGGCAAGAACGAGAAGAATGATGGTGCTTGTTAGGGGATGTCCTGTCTCTCTGAACTTTGGGGTCCTATGCATTAAATAATTTTCCTGACGAGCTCAAGTGCTCCCTCTGGTCTACAATCCCTGGCGGCTGGCCTTCATCCCTTGGGCAAGCATTGCATACAGCTCATGGCCCTCCCTCTACCATACCC
【0372】
本発明において、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の951-2500位である。
【0373】
本発明において、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の951-1808位である。
【0374】
本発明において、NNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の1161-1532位である。
【0375】
本発明において、ヒト第11染色体の114165695位、114165730位、114165769位、114165804位、114165938位、114166050位及び114166066位に対応する配列番号1のヌクレオチド配列の部位は、それぞれ表1に示される。
【表1】
【0376】
DNAメチル化(DNA methylation)
DNAメチル化(DNA methylation)は、DNA配列を変更せずに遺伝子発現を変えるDNAの化学修飾の形式である。多くの研究によると、DNAメチル化は、クロマチン構造、DNA形態、DNA安定性及びDNAとタンパク質との相互作用様式を変化させ、遺伝子発現を調節する可能性がある。
【0377】
DNAメチル化は、最初に発見もされ、最も深く研究もされた後成的遺伝の調節機製の1つである。広義のDNAメチル化は、DNA配列上の特定の塩基が、DNAメチルトランスフェラーゼ1(DNA methyltransferase1)の触媒作用下でS-アデノシルメチオニン(S-adenosyl methionine)をメチル供与体として共有結合を介して1つのメチル基を獲得するという化学修飾プロセスを指す。このDNAメチル化の修飾は、シトシンのC-5位やアデニンのN-6位やグアニンのN-7位等の部位に生じる可能性がある。一般的な研究にかかるDNAメチル化は、主にCpGジヌクレオチド中のシトシン上の第5位の炭素原子がメチル化されるプロセスを指す。その生成物は5-メチルシトシン(5-mC)と呼ばれ、植物や動物などの真核生物のDNAメチル化の主な形態となる。DNAメチル化は、比較的安定した修飾状態として、DNAメチルトランスフェラーゼの作用下でDNA複製プロセスにつれて新生の世代DNAに遺伝できるため、重要な後成的遺伝の調節機製となる。
【0378】
DNAメチル化反応は2つの類型に分けられる。第1類は、2本の非メチル化鎖を有するDNAがメチル化され、デノボメチル化(denovo methylation)と呼ばれる。第2類は、1本のメチル化鎖を有する二鎖DNAに他の非メチル化鎖をメチル化し、維持メチル化(maintenance methylation)と呼ばれる。
【0379】
典型的に、DNAメチル化はDNACpG部位のメチル化である。CpGジヌクレオチドはヒトゲノムに非常に不均一に分布し、ゲノムにあるいくつかのセグメントにはCpGが通常の確率以上に保たれる。主に遺伝子のプロモーター(promotor)及びエクソン領域に位置するCpG部位の濃縮領域(CpGアイランドとも呼ばれる)、CpGジヌクレオチドを濃縮する一部の領域であり、その中に遺伝子のプロモーターの60%以上がCpGアイランドを含む。ここで、CpGはシトシン(C)-リン酸(p)-グアニン(G)の略語である。
【0380】
細胞内遺伝子発現は、シグナル伝達経路、転写因子及び後成的遺伝修飾による様々な調節を受ける。DNAメチル化修飾は、後成的遺伝修飾が遺伝子発現を調節するための重要な方法である。特定の遺伝子領域におけるDNAメチル化レベルは、何時も当該遺伝子の発現レベルに影響を与える。後成的遺伝修飾のDNAメチル化修飾は、シグナル伝達経路や転写因子による遺伝子発現の調節に比べて、遺伝子発現に対する影響がより安定しており、且つ細胞外環境の影響を受けにくくなる。DNAメチル化修飾は、既存の技術で容易に検出できるため、理想的なバイオマーカーとなる。
【0381】
使用
本発明は、腫瘍の予防及び/又は治療における本発明の化合物の使用を提供する。
【0382】
腫瘍
本発明の研究によると、本発明の化合物は腫瘍の予防及び/又は治療に用いられる。
【0383】
本発明において、「腫瘍」、「癌症」、「癌」及び「腫瘤」は互換的に使用される可能性がある。
【0384】
本発明の好ましい例で、本発明に記載の「腫瘍」は、NNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍を含む。代表例として、本発明に記載のNNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍は、本発明の第1態様に記載の通りである。
【0385】
本発明の好ましい例で、本発明に記載の「腫瘍」は、DNAメチル化酵素が高発現される腫瘍を含む。代表例として、本発明に記載のDNAメチル化酵素が高発現される腫瘍は、本発明の第1態様に記載の通りである。
【0386】
本発明に記載のDNAメチル化酵素は、DNMT1、DNMT3a、DNMT3b又はそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。好ましくは、本発明に記載のDNAメチル化酵素はDNMT1を含む。
【0387】
本発明の好ましい例で、本発明に記載の「腫瘍」は、DNMT1が高発現される腫瘍を含む。代表例として、本発明に記載のDNMT1が高発現される腫瘍は、本発明の第1態様に記載の通りである。
【0388】
本発明の好ましい例で、本発明に記載の「腫瘍」は、DNMT3aが高発現される腫瘍を含む。代表例として、本発明に記載のDNMT3aが高発現される腫瘍は、本発明の第1態様に記載の通りである。
【0389】
本発明の好ましい例で、本発明に記載の「腫瘍」は、DNMT3bが高発現される腫瘍を含む。代表例として、本発明に記載のDNMT3bが高発現される腫瘍は、本発明の第1態様に記載の通りである。
【0390】
本発明の好ましい例で、本発明に記載の「腫瘍」は、UHRF1(PHD及びリングフィンガードメインを含むユビキチン系類似のタウタンパク質1)が高発現される腫瘍を含む。代表例として、本発明に記載のUHRF1が高発現される腫瘍は、本発明の第1態様に記載の通りである。
【0391】
本発明の好ましい例で、本発明に記載の「腫瘍」は、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍を含む。代表例として、本発明に記載のNNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍は、本発明の第1態様に記載の通りである。
【0392】
本発明の好ましい例で、本発明に記載の「腫瘍」は、NNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍を含む。代表例として、本発明に記載のNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍は、本発明の第1態様に記載の通りである。
【0393】
より詳細な例として、本発明に記載の腫瘍は、本発明の第1態様に記載の通りである。
【0394】
本発明においては、様々な腫瘍細胞株に対応する代表的な腫瘍の類型を次に表2に示す。
【表2】
【0395】
マーカー
本発明は、本発明の化合物が腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するかどうかを判断するマーカーを提供し、前記マーカーは、NNMT遺伝子の発現量、DNAメチル化酵素の発現量、UHRF1の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位のメチル化レベルを備える。
【0396】
1つの実施状態で、NNMT遺伝子の発現量、DNAメチル化酵素の発現量、UHRF1の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子プロモーター領域のDNA CpG部位のメチル化レベルは、本発明の化合物が腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するかどうかを判断するマーカーとしての機能を果たす。その方法は、
腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の低発現又は未発現、DNAメチル化酵素の高発現、UHRF1の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の高メチル化になると、本発明の化合物が腫瘍患者の予防及び/又は治療に適すること、及び/又は
腫瘍患者の腫瘍細胞において、NNMT遺伝子の高発現、DNAメチル化酵素の低発現、UHRF1の低発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の低メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位の低メチル化になると、本発明の化合物が腫瘍患者の予防及び/又は治療に適しないようになることを含むが、これらに限定されない。
【0397】
具体的に、NNMT遺伝子が低発現又は未発現される腫瘍、DNAメチル化酵素(例えば、DNMT1)が高発現される腫瘍、UHRF1が高発現される腫瘍、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位が高メチル化される腫瘍及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍は、本発明の第1態様に記載の通りである。
【0398】
具体的に、NNMT遺伝子が高発現される腫瘍、DNAメチル化酵素(例えば、DNMT1)が低発現される腫瘍、UHRF1が低発現される腫瘍、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位が低メチル化される腫瘍及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が低メチル化される腫瘍は、本発明の第2態様に記載の通りである。
【0399】
本発明は、前記マーカー(又はそれの発現量)又は検出試剤の使用を更に提供し、それらは検出キットを製造するために用いられる。前記検出キットは本発明の化合物が腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するかどうかを判断するために用いられる。
【0400】
組成物又は製剤、活性成分の組合せ及び医療キット、並びに投薬方法
好ましくは、本発明に記載の組成物は薬物組成物であり、本発明に記載の組成物は薬学的に許容される担体を含む可能性がある。
【0401】
本明細書で使われたように、「薬学的に許容される担体」は、ヒト又は動物の利用に適する且つ純度が足りて毒性が十分に低くなる必要がある1つ又は複数の相容性の固体、半固体、液体及びゲル充填剤を指す。「相容性」は、それぞれ薬物組成物中の各成分と薬物の活性成分を混合し、且つそれらをお互いに混合すると、薬効が著しく低下しないようになることを指す。
【0402】
本発明において、薬学的に許容される担体は、特に制限せず、当該分野で常用される材料から選択されるか、従来の方法で調製され、又は市場から購入されて獲得できると理解すべきである。薬学的に許容される担体の一部は、繊維素及びその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル・セルロース、カルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム等)やゼラチンやタルクや固体潤滑剤(例えば、ステアリン酸、及びステアリン酸マグネシウム)や硫酸カルシウムや植物油(例えば、大豆油、ゴマ油、落花生油、オリーブ油等)や多価アルコール(例えば、プロピレン・グリコール、グリセリン、マンニトール、ソルビトール等)や乳化剤(例えば、トゥイーン)や湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)や緩衝剤やキレート剤や増粘剤やpH調整剤や浸透促進剤や着色料や香料や安定剤や酸化防止剤や防腐剤や静菌剤やヒートフリー原水等を含む。
【0403】
本発明の好ましい例で、前記組成物又は製剤の形態は固体、液体または半固体である。
【0404】
本発明の好ましい例で、前記組成物又は製剤の類型は経口剤、外用剤又は注射用製剤である。
【0405】
それらの代表例として、前記組成物又は製剤の類型は錠剤、注射剤、輸液剤、軟膏剤、ゲル剤、溶液剤、丸剤又は被膜剤である。
【0406】
薬物製剤は投薬方式と一致すべきである。本発明の薬剤も、他の相乗的治療用の薬剤(使用前、使用中、又は使用後)と共に用いられる。薬物の組成物又は製剤を使う場合は、安全かつ有効な量の薬物が治療対象(例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物)に投薬される。前記の安全かつ有効な量は、通常、少なくとも約体重の10μg/kg、大抵の場合、約体重の8mg/kg未満、好ましくは約体重の10μg/kg~約体重の1mg/kgである。勿論、具体的な投薬量は、投薬経路や患者の健康状態等の条件を考える必要があるが、これらの条件は熟練した医師が考えに入れられるものである。
【0407】
本発明は、以下の主な有益な効果を有する。
【0408】
本発明は、本発明の化合物を精密に投薬するためのバイオマーカーを提供し、且つこれらのバイオマーカーが抗腫瘍薬に敏感な腫瘍患者を有効的に識別できると、その治療効果を改善し、抗腫瘍薬に不敏感な腫瘍を有する患者にこれらの薬物を投薬することを免れてこれらの薬物の精密な適用を遂げるようにする。
【0409】
一連の研究をすると、本発明は、NNMT遺伝子の発現量、DNAメチル化酵素の発現量、UHRF1の発現量、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位のメチル化レベル及び/又はNNMT遺伝子プロモーター領域のDNA CpG部位のメチル化レベルは、本発明の化合物が腫瘍患者の予防及び/又は治療に適するかどうかを判断するマーカーとしての機能を果たすことを初めて予期せず見出す。
【0410】
NNMT遺伝子の低発現又は未発現、DNAメチル化酵素の高発現、UHRF1の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍は、本発明の化合物に高く敏感であり、即ち、本発明の化合物は、NNMT遺伝子の低発現又は未発現、DNAメチル化酵素の高発現、UHRF1の高発現、NNMT遺伝子のヌクレオチド部位の高メチル化、及び/又はNNMT遺伝子領域DNA CpG部位が高メチル化される腫瘍に対して優れた治療効果を有する。その上、DNA CpG部位のメチル化レベルの検出方法は、高い完備性、安定性及び信頼性を備えるため、分子マーカーの開発に適する。
【0411】
本発明は、次に特定の実施例と相まってさらに説明される。これらの実施形態は、本発明の範囲を限定せずに本発明対する説明のみを目的とすると理解すべきである。次の実施例で、具体的な条件を明示しない実験方法は、通常一般的な条件に従うか、製造業者の推奨事項に応ずる。特に明記されていない限り、百分比と割合は重量で計算される。
【実施例
【0412】
様々なイソキノリン化合物(ベルベリン、塩化ベルベリン、メチル化コプチシン、塩化コプチシン、化合物BBR-A1、化合物BBR-A2及び化合物BBR-A5)の構造式は次の通りである。
【化33】
【0413】
DNMT3aは、DNAメチルトランスフェラーゼ3a、NCBI entrez gene:1788;Uniprotkb/Swiss-port:Q9Y6K1を指す。
【0414】
DNMT3bは、DNAメチルトランスフェラーゼ3b、NCBI entrez gene:1789;Uniprotkb/Swiss-port:Q9UBC3を指す。
【0415】
DNMT1は、DNAメチルトランスフェラーゼ1、NCBI entrez gene:1786;Uniprotkb/Swiss-port:P26358を指す。
【0416】
UHRF1はPHD及びリングフィンガードメインを含むユビキチン系類似のタウタンパク質1、NCBI entrez gene:29128;Uniprotkb/Swiss-port:Q96T88を指す。
【0417】
NNMT遺伝子の英語名はNicotinamide N-Methyltransferaseである。
【0418】
NNMT遺伝子のプロモーター領域のヌクレオチド配列は配列番号1に示される。
【0419】
NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の951~2500位である。
【0420】
NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の951~1808位である。
【0421】
NNMT遺伝子の転写開始部位の前840bpから転写開始部位の前469bpまでの領域は、配列番号1に示されたヌクレオチド配列の1161~1532位である。
【0422】
実施例1
化合物1の調製
【化34】
【0423】
コプチシン/ベルベリン(12.0g,35.6mmol)を100mLの単孔式瓶に加える同時に油ポンプで真空を作り、反応液を190-210℃までに2時間ゆっくりと加熱すると、固体が黄色から暗赤色に変えるようになる。原料とするコプチシンの変換の完了TLCに至って反応を追跡し監視する (DCM:MeOH=10:1)。反応粗生成物が室温まで冷却され、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液DCM:MeOH=20:1)で純化され、暗赤色粉末の化合物1(重量が8.2g、収率が79%)を得る。
【0424】
化合物1
H NMR(400MHz,CD3OD):δ 9.26(s,1H),8.02 (s,1H),7.52(d,J=8.0Hz,1H),7.43(s,1H),6.88(d,J=8.0Hz,1H),6.83(s,1H),6.03(s,2H),4.60(t,J=6.0Hz,2H),3.87(s,3H),3.35(t,J=6.0Hz,2H),3.14-3.11(m,2H)。
【0425】
実施例2
化合物BBR-A1の調製
【化35】
【0426】
化合物1(200mg,0.62mmol)と1-臭化プロピル(305mg,2.48mmol,4.0eq) をDMF(3mL)に溶解し、80℃までに加熱するとともに12時間攪拌する。原料とする化合物1の変換の完了TLCに至って反応を監視する(DCM:MeOH=10:1)。減圧で溶媒を留去して得られた反応粗生成物が、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液DCM:MeOH=20:1)で純化され、黄色固体の化合物BBR-A1(124mg,55%)を得る。
【0427】
化合物BBR-A1
H NMR(400MHz,CD3OD):δ 9.68(s,1H),8.70 (s,1H),8.10(d,J=8.0Hz,1H),8.00(d,J=8.0 Hz,1H),7.66(s,1H),6.96(s,1H),6.11(s,2H),4.94(t,J=6.0Hz,2H),4.37(t,J=6.0Hz,2H),4.10(s,3H),3.25(t,J=8.0Hz,2H),1.97-1.93(m,2H),1.13(t,J=7.2Hz,3H)。
ESI-MS(m/z):理論値C2222NO,[M]+364.4,観測値:364.0。
【0428】
実施例3
化合物BBR-A2の調製
【化36】
【0429】
化合物1(200mg,0.62mmol)と臭化アリル(300mg,2.48mmol,4.0equiv)を DMF(3mL)に溶解し、80℃までに加熱するとともに12時間攪拌する。原料とする化合物1の変換の完了に至って反応を監視する(DCM:MeOH=10:1)。減圧で溶媒を留去して得られた反応粗生成物が、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液DCM:MeOH=20:1)で純化され、黄色固体の化合物BBR-A2(121mg,54%)を得る。
【0430】
化合物BBR-A2
H NMR(400MHz,CD3OD):δ 9.72(s,1H),8.71(s,1H),8.11(d,J=8.0Hz,1H),8.01(d,J=8.0Hz,1H),7.67(s,1H),6.97(s,1H),6.26-6.19(m,1H),6.11(s,2H),5.44(d,J=16.0Hz,1H),5.28(d,J=16.0Hz,1H),4.96-4.84(m,4H),4.11(s,3H),3.28-3.24(m,2H)。
ESI-MS(m/z):理論値C2220NO,[M]+362.4,観測値:362.0。
【0431】
実施例4
化合物BBR-A5の調製
【化37】
【0432】
化合物1(200mg,0.62mmol)とブロモ酢酸tert-ブチル(484mg,2.48mmol,4.0equiv)をDMF(3mL)に溶解し、80℃までに加熱するとともに12時間攪拌する。原料とする化合物1の変換の完了に至って反応を監視する(DCM:MeOH=10:1)。減圧で溶媒を留去して得られた反応粗生成物が、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液DCM:MeOH=20:1)で純化され、黄色固体の化合物BBR-A5(175mg,65%)を得る。
【0433】
化合物BBR-A5
H NMR(400MHz,CD3OD):δ 9.97(s,1H),8.71 (s,1H),8.12(d,J=8.0Hz,1H),8.00(d,J=8.0Hz,1H),7.67(s,1H),6.99(s,1H),6.11(s,2H),5.03(s,2H),4.96-4.93(m,2H),4.10(s,3H),3.29-3.26(m,2H),1.46(s,9H)。
ESI-MS(m/z):理論値C2526NO,[M]+436.5,観測値:436.0。
【0434】
実施例5
細胞活性検出試剤を用いて様々な腫瘍細胞株を対するイソキノリン化合物の阻害効果を検出する。
【0435】
実験的背景:Promega CellTiter-Gloキットで細胞活力を検出し、このキットは細胞内のATP含有量を直接測定することで、細胞の活性を反映する。本実験はイソキノリン化合物が様々な腫瘍細胞株の活性を抑えるIC50値を検出する。
【0436】
実験方法及び結果:様々な腫瘍細胞は10%FBSを有する培地(P/Sを加える)で培養され、3時間又は一晩継代培養後、段階希釈された様々なイソキノリン化合物を添加し、3日間培養後に半阻害濃度IC50を測定する。各腫瘍細胞株の名称、由来及び培養条件は次の通りである。
10%ウシ胎児血清を有するRPMI1640培地+P/Sで培養された細胞株NCI-H82(ATCC、番号HTB-175);
10%ウシ胎児血清を有するMcCoy’s 5a培地+P/Sで培養された細胞株G-401(ATCC、番号CRL-1441);
10%ウシ胎児血清を有するLeibovitz’s L-15培地+P/Sで培養された細胞株MDA-MB-453(ATCC、番号HTB-131);
10%ウシ胎児血清を有するLeibovitz’s L-15培地+P/Sで培養された細胞株SW48(ATCC、番号CCL-231);
10%ウシ胎児血清を有するIMDM培地+P/Sで培養された細胞株CFPAC-1(ATCC、番号CRL-1918);
10%ウシ胎児血清を有するRPMI1640培地+P/Sで培養された細胞株786-O(ATCC、番号CRL-1932);
10%ウシ胎児血清を有するDMEM培地+P/Sで培養された細胞株GB-1(JCRB、番号IFO50489);
10%ウシ胎児血清を有するEMEM培地+P/Sで培養された細胞株SF126(JCRB、番号IFO50286)。
【0437】
実験結果を下記表3に示す。
【表3】
注:IC50は半阻害濃度(50% inhibiting concentration)、即ち50%の阻害効果を達成する時の阻害剤の濃度である。
【0438】
表3からわかったように、様々な細胞に対してイソキノリン化合物の感受性を検出することにより、NCI-H82(ヒト小細胞肺癌細胞)やG-401(ヒト腎臓癌Wilms細胞)やMDA-MB-453(乳癌細胞)やSW48(ヒト結腸腺癌細胞)は、イソキノリン化合物(IC50が低い)に敏感であるが、GB-1(ヒト脳膠芽細胞腫細胞)やCFPAC-1(ヒト膵臓癌細胞)やSF-126(ヒト脳腫瘍細胞)や786-O(腎臓透明細胞腺癌細胞)は、イソキノリン化合物(IC50値が高い)に不敏感であると発見した。
【0439】
実施例6
RT-qPCRで遺伝子発現分析実験を行うことでイソキノリン化合物に敏感である4例の腫瘍細胞株とそれに不敏感である4例の腫瘍細胞株に対してNNMT遺伝子のmRNA転写レベルを検出すし、それぞれこれらの腫瘍細胞株のNNMT遺伝子発現パターンを測定する。実験結果を図1に示す。
【0440】
図1からわかったように、RT-qPCRで遺伝子発現分析実験を行うことでイソキノリン化合物に敏感である4例の腫瘍細胞株(NCI-H82、G-401、MDA-MB-453、SW48)とそれに不敏感である4例の腫瘍細胞株(786-O、CFPAC-1、GB-1及びSF-126)に対してNNMT遺伝子のmRNA転写レベルを検出する場合は、NNMT遺伝子が敏感な細胞(NCI-H82、G-401、MDA-MB-453及びSW48)において低発現され、不敏感な細胞(786-O、CFPAC-1、GB-1及びSF-126)において高発現されていたと発見した。
【0441】
そのため、図1から得られる結論は、NNMT遺伝子が高発現される腫瘍細胞株に比べて、NNMT遺伝子を低発現する腫瘍細胞株に対するイソキノリン化合物の阻害効果が明らかに強まり、即ち腫瘍細胞中のNNMT遺伝子の発現はイソキノリン化合物に対する感受性と逆相関する。
【0442】
実施例7
イソキノリン化合物に敏感である4例の腫瘍細胞株(NCI-H82、G-401、MDA-MB-453及びSW48)とそれに不敏感である4例の腫瘍細胞株(786-O、CFPAC-1、GB-1及びSF-126)のNNMT遺伝子のプロモーター領域、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域及びNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域に対しては、亜硫酸水素塩で配列決定を行って関連する領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを検出する。ゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理して、メチル化されなくなったシトシンが脱アミノ化されてウラシルになるが、メチル化されたシトシンが脱アミノ化されなくなるため、亜硫酸水素塩で処理された配列決定試料を処理された配列決定試料と比較することで、メチル化部位を発見するようになる。実験結果を図2図3及び図4に示す。
【0443】
図2(NNMT遺伝子のプロモーター領域)、図3(NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域)及び図4(NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域)に示されたように、イソキノリン化合物は、NNMT遺伝子のプロモーター領域、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域及びNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域にDNA CpG部位が高メチル化される腫瘍細胞に対して強い阻害効果を有するが、NNMT遺伝子のプロモーター領域、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域及びNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域にDNA CpG部位が低メチル化される腫瘍細胞に対して弱い阻害効果を有する。これは、腫瘍細胞におけるNNMT遺伝子のプロモーター領域、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域及びNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルがイソキノリン化合物に対するそれの感受性と正相関することを示す。
【0444】
実施例8
本実験には、イソキノリン化合物に敏感である3例の腫瘍細胞株(NCI-H82、G-401及びSW48)とそれに不敏感である3例の腫瘍細胞株(786-O、CFPAC-1及びSF-126)のNNMT遺伝子の転写開始部位の前840bp(ヒト第11染色体の第114165695位)から転写開始部位の前469bp(ヒト第11染色体の第114166066位)までの領域内の特定のDNA CpG部位のメチル化を研究する。
【0445】
先ず、ゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理して、メチル化されなくなったシトシンが脱アミノ化されてウラシルになるが、メチル化されたシトシンが脱アミノ化されなくなるため、亜硫酸水素塩で処理された配列決定試料を処理された配列決定試料と比較することで、メチル化部位を発見するようになる。次に、この領域に対してPCR増幅及び配列決定分析をプライマーで行ってこのDNA領域内のCpG部位のメチル化レベルを検出する。
【0446】
分析によると、イソキノリン化合物に敏感である腫瘍細胞株(NCI-H82、G-401及びSW48)に7つのCpG部位(ヒト第11染色体の114165695位と114165730位と114165769位と114165804位と114165938位と114166050位と114166066位)がほとんどすべてメチル化されているが、イソキノリン化合物に不敏感である腫瘍細胞株(786-O、CFPAC-1及びSF-126)にこれらの7つのCpG部位がすべてメチル化されないと発見した。関連する部位のメチル化状態を図5に示す。
【0447】
ヒト第11染色体の114165695位と114165730位と114165769位と114165804位と114165938位と114166050位と114166066位に対応する配列番号1のヌクレオチド配列の部位は、それぞれ次に示される。
【表4】
【0448】
実施例9
細胞活性検出試剤を用いて様々な腫瘍細胞株を対するイソキノリン化合物の阻害効果を検出する。
【0449】
実験的背景:Promega CellTiter-Gloキットで細胞活力を検出し、このキットは細胞内のATP含有量を直接測定することで、細胞の活性を反映する。本実験はイソキノリン化合物が様々な腫瘍細胞株の活性を抑えるIC50値を検出する。
【0450】
実験方法及び結果:様々な腫瘍細胞は10%FBSを有する培地(P/Sを加える)で培養され、3時間又は一晩継代培養後、段階希釈された様々なイソキノリン化合物を添加し、3日間培養後に半阻害濃度IC50を測定する。各腫瘍細胞株の名称、由来及び培養条件は次の通りである。
20%ウシ胎児血清を有するEMEM培地+P/Sで培養された細胞株D341 Med (ATCC、番号HTB-187);
10%ウシ胎児血清及び2mMグルタミンを有するRPMI1640培地+P/Sで培養された細胞株Kelly (ECACC、番号92110411);
10%ウシ胎児血清を有するLeibovitz’s L-15培地+P/Sで培養された細胞株NB-1 (ATCC、番号HTB-131)。
【0451】
実験結果を下記表5に示す。
【表5】
注:IC50は半阻害濃度(50% inhibiting concentration)、即ち50%の阻害効果を達成する時の阻害剤の濃度である。
【0452】
表5からわかったように、様々な細胞に対してイソキノリン化合物の感受性を検出することにより、D341 Med(小脳髄芽細胞腫)やKelly(神経芽細胞腫)やNB-1(神経芽細胞腫)は、イソキノリン化合物(IC50が低い)に敏感であるが、GB-1(ヒト脳膠芽細胞腫細胞)やSF-126(ヒト脳腫瘍細胞)は、イソキノリン化合物(IC50値が高い)に不敏感であると発見した。
【0453】
実施例10
RT-qPCRで遺伝子発現分析実験を行うことでイソキノリン化合物に敏感である3例の腫瘍細胞株(D341 Med、Kelly及びNB-1)とそれに不敏感である2例の腫瘍細胞株(GB-1及びSF-126)に対してNNMT遺伝子のmRNA転写レベルを検出すし、それぞれこれらの腫瘍細胞株のNNMT遺伝子発現パターンを測定する。実験結果を図6に示す。
【0454】
図6からわかったように、RT-qPCRで遺伝子発現分析実験を行うことでイソキノリン化合物に敏感である3例の腫瘍細胞株(D341 Med、Kelly、NB-1)とそれに不敏感である2例の腫瘍細胞株(GB-1、SF126)に対してNNMT遺伝子のmRNA転写レベルを検出する場合は、NNMT遺伝子が敏感な細胞(D341 Med、Kelly、NB-1)において低発現され、不敏感な細胞 (GB-1、SF126)において高発現されていたと発見した。
【0455】
そのため、図6から得られる結論は、NNMT遺伝子が高発現される腫瘍細胞株に比べて、NNMT遺伝子が低発現される腫瘍細胞株に対するイソキノリン化合物の阻害効果が明らかに強まり、即ち腫瘍細胞中のNNMT遺伝子の発現はイソキノリン化合物に対する感受性と逆相関する。
【0456】
実施例11
イソキノリン化合物に敏感である3例の腫瘍細胞株(D341 Med、Kelly及びNB-1)とそれに不敏感である2例の腫瘍細胞株(GB-1、SF126)のNNMT遺伝子のプロモーター領域、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域及びNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域に対しては、亜硫酸水素塩で配列決定を行って関連する領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルを検出する。ゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理して、メチル化されなくなったシトシンが脱アミノ化されてウラシルになるが、メチル化されたシトシンが脱アミノ化されなくなるため、亜硫酸水素塩で処理された配列決定試料を処理された配列決定試料と比較することで、メチル化部位を発見するようになる。実験結果を図7図8及び図9に示す。
【0457】
図7(NNMT遺伝子のプロモーター領域)、図8(NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域)及び図9(NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域)に示されたように、イソキノリン化合物は、NNMT遺伝子のプロモーター領域、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域及びNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域にDNA CpG部位が高メチル化される腫瘍細胞に対して強い阻害効果を有するが、NNMT遺伝子のプロモーター領域、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域及びNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域にDNA CpG部位が低メチル化される腫瘍細胞に対して弱い阻害効果を有する。これは、腫瘍細胞におけるNNMT遺伝子のプロモーター領域、NNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の後ろ499bpまでの領域及びNNMT遺伝子の転写開始部位の前1050bpから転写開始部位の前193bpまでの領域内のDNA CpG部位のメチル化レベルがイソキノリン化合物に対するそれの感受性と正相関することを示す。
【0458】
実施例12
細胞DNAのメチル化レベルは、DNMT3a、DNMT3b及びDNMT1というDNAメチル化酵素で維持され、且つDNMT3a及びDNMT3bはDNAに対してデノボメチル化を行うが、DNMT1はタンパク質UHRF1(PHD及びリングフィンガードメインを含むユビキチン系類似のタウタンパク質1)の助力でメチル化されたDNAを複製し維持する。本実施例は、腫瘍中のNNMT発現とDNMT1、UHRF1、DNMT3a及びDNMT3b発現との相関性を検出する。
【0459】
実験方法及び結果:公開データベース(Cancer Cell Line Encyclopedia、CCLE、合計1019株の細胞)から様々な細胞中のNNMT遺伝子、DNMT1、UHRF1、DNMT3a及びDNMT3bの発現データを獲得し、次にこれらの細胞中のNNMT発現とDNMT1、UHRF1、DNMT3a及びDNMT3b発現との相関性、並びに各細胞のNNMT遺伝子の発現量とDNMT1、UHRF1、DNMT3a及びDNMT3bの発現量との相関性を生物情報学の方法で分析する。実験結果を図10に示す。
【0460】
図10からわかったように、各細胞のNNMTの発現は、DNAメチル化酵素及びUHRF1の発現と逆相関する。
【0461】
実施例13
関連する細胞のNNMT発現量は、イソキノリン化合物に対するそれの感受性と著しく逆相関するが、それのDNMT1遺伝子の発現量は、イソキノリン化合物に対するそれの感受性と著しく正相関すると、イソキノリン化合物に対する細胞の感受性におけるNNMT及びDNMT1の作用を更に検出する。
【0462】
実験方法及び結果:ウイルスベクターを介してNNMT遺伝子をNCI-H82細胞に導入してNCI-H82細胞にNNMTタンパク質を過剰発現させる。shRNA導入法によってNCI-H82細胞のDNMT1発現を下方調節し、且つ細胞内ATPを検出することでNNMTタンパク質の過剰発現及び/又はDNMT1の下方調節を検出した後、イソキノリン化合物(塩化ベルベリン)に対する細胞の感受性は変化する。実験結果を図11に示す。ベクター(Vector)は、空のウイルスを導入したNCI-H82細胞の対照群である。
【0463】
図11からわかったように、イソキノリン化合物に敏感であるNCI-H82細胞のNNMTタンパク質(図のov-NNMT)を単独に過剰発現するか、DNMT1遺伝子を標的とする2つの異なるshRNAを用いてNCI-H82細胞のDNMT1発現を下方調節する(図中、sh-DNMT1 #1はDNMT1遺伝子を標的とするshRNAであり、それに対応するDNA配列はGATCCGGCCCAATGAGACTGACATCAATT CAAGAGATTGATGTCAGTCTCATTGGGCTTTTTG(配列番号2)であり;sh-DNMT1 #1はDNMT1遺伝子を標的とする他のshRNAであり、それに対応するDNA配列はGATCCGGGATGAGTCCATCAAGGAAGATTCAAGAGATCTTCCTTGATGGACTCATCCTTTTTTG(配列番号3))と、NCI-H82細胞は、塩化ベルベリンに対する感受性が低下するようになる。NCI-H82細胞においてNNMTタンパク質を過剰発現すると同時にDNMT1発現を下方調節する(図中のov-NNMT/sh-DNMT1 #1及びov-NNMT/sh-DNMT1 #2)場合は、塩化ベルベリンに対するNCI-H82細胞の感受性がより著しく低下するようになる。
【0464】
同時に、Western Blot実験の検測結果は、正常なNCI-H82(Vector)と対照して過剰発現されたNNMTタンパク質のNCI-H82(ov-NNMT)のNNMTタンパク質の含有量を図12に示す。Western Blot実験の検測結果は、正常なNCI-H82(shVector)と対照して両種のshRNAで下方調節された腫瘍細胞のDNMT1発現のNCI-H82(sh-DNMT1 #1又はsh-DNMT1 #2の-DNMT1)のDNMT1タンパク質の含有量を図13に示す。
【0465】
そのため、本実施例は、NCI-H82細胞のNNMTタンパク質を過剰発現し、且つNCI-H82細胞のDNMT1発現を下方調節することで、腫瘍細胞のNNMT発現量がイソキノリン化合物に対するそれの感受性と著しく逆相関するが、DNMT1遺伝子の発現量が酸化的リン酸化経路の阻害剤に対するそれの感受性と著しく正相関することを更に検証する。
【0466】
実施例14
イソキノリン化合物に敏感である細胞が体内でイソキノリン化合物に対する感受性を依然として維持するかどうかを検証するために、敏感な細胞(NCI-H82)を接種したマウス皮下腫瘍に対する有効性を塩化ベルベリンで検出する。
【0467】
実験方法及び結果:5x10個のNCI-H82細胞、及びNNMTタンパク質が過剰発現され且つDNMT1が低発現された5x10個のNCI-H82細胞(即ちov-NNMT/sh-DNMT1、NNMTタンパク質を過剰発現し、DNMT1発現量を下方調節する方法は実施例13で言及される)をヌードマウスの皮下に接種し、様々な担癌マウスを設ける。各グループの担癌マウスの腹腔内に塩化ベルベリンを10mg/kg/日の投薬量で注射し、マウスの腫瘍サイズの経時的な変化を測定し且つ実験の終了に各群のマウスの腫瘍を解剖して写真撮影すると、これらの腫瘍に対する塩化ベルベリンの阻害効果を検出する。対照群には、同じ腹腔内注射で溶媒を与える。腫瘍体積算出方法は、腫瘍体積=1/2の長さ×幅である。実験結果を図14及び図15に示す。
【0468】
図14及び図15からわかったように、塩化ベルベリンは、NCI-H82の接種されたヌードマウスの皮下腫瘍を著しく抑えるが、ov-NNMT/sh-DNMT1の接種されたヌードマウスの皮下腫瘍に対する阻害効果は、NCI-H82の接種されたヌードマウスの皮下腫瘍に対する阻害効果よりも低下する。これは、塩化ベルベリン等のイソキノリン化合物がNNMTの低発現された腫瘍に対してより強い阻害効果を有し、つまり、NNMTの低発現された腫瘍が塩化ベルベリン等のイソキノリン化合物に対する強い感受性を有し、NNMTの高発現された且つDNMT1の低発現された腫瘍が塩化ベルベリン等のイソキノリン化合物に対する弱い感受性を有することを示す。
【0469】
本出願に参考文献として引用された上文に記載の全部の文献は、それぞれ参考文献として引用されるものを指す。その上、さらに、当業者が本文を読んだ後、本発明に対して様々な修正又は修正を行われ、且つこれによる等価な形態も本出願の請求項の範囲に入ると理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
図13
図14
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【配列表】
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