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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021007245
(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公開番号】P2022111665
(43)【公開日】2022-08-01
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢野 豪之
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-156971(JP,A)
【文献】特開2003-021376(JP,A)
【文献】特開2013-164176(JP,A)
【文献】特開2013-036722(JP,A)
【文献】米国特許第06470880(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第104390250(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/04-7/06
F24F 13/08-13/32
F24C 15/16-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吸気する開口部を有するフード部と、
前記フード部との間に吸込み隙間を形成する整流板と、
前記整流板と前記フード部を磁着係止するための磁着部を備える第一係止部材と、
前記磁着部が突き当たる台座と固定係止部とを備える第二係止部材とを備え、
前記磁着部と前記台座が突き当たることにより前記整流板が前記フード部に磁着係止され、前記固定係止部は、この磁着係止された状態において前記整流板と前記フード部を固定係止し、
前記第二係止部材は、前記整流板と前記フード部が磁着係止された状態において前記フード部の水平方向から見たときに少なくとも前記第一係止部材の一部を隠す立ち上がり面を有する固定片を有し、
前記固定片が前記第一係止部材よりも水平方向の外側に設けられる
ことを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
前記第二係止部材は前記固定片と前記台座とから構成され、前記固定係止部が固定される前記固定片が前記台座に対して着脱可能に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のレンジフード。
【請求項3】
前記整流板と前記フード部が磁着係止された状態において、前記磁着部が突き当たる前記台座の天面部分に形成される受部は、前記整流板の底面よりも高い位置に位置する、
ことを特徴とする請求項1~2に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記第一係止部材は、
柱状係止部と、
前記柱状係止部の長手方向と交差する方向に形成され前記固定係止部の挿通軸が挿通する挿通孔と、
前記柱状係止部の先端に形成された前記磁着部から構成される、
ことを特徴とする請求項1~3に記載のレンジフード。
【請求項5】
前記固定係止部が前記挿通軸の脱落を防止する脱落防止片を備える、
ことを特徴とする請求項に記載のレンジフード。
【請求項6】
前記フード部と前記整流板の係止または非係止を検知する係止検知手段と、
前記挿通軸の前記挿通孔への挿通状態を検知する挿通検知部と、
所定のエラー報知を行うエラー報知手段と、を備え、
前記エラー報知手段は、前記係止検知手段が前記係止であることを検知し、前記挿通検知部が所定の条件を満たさない挿通状態であることを検知した場合に前記所定のエラー報知を行う、
ことを特徴とする請求項~5に記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
レンジフードには調理で発生した油煙の吸い込み効率を高めるためにフード下面に整流板が着脱可能に設けられている。油煙はフード下面のオイルパネルと整流板の隙間を通って吸込口に吸い込まれるためオイルパネルや整流板には油が付着する。このためフード下面にあるオイルパネルや整流板は定期的に清掃する必要があり、整流板の一端辺をフード部に片持ち支持して開放したり、整流板をフード部から取り外したりしてオイルパネル、整流板の清掃が行われている。定期的に発生する清掃を容易にするため整流板の開放着脱は簡易に行うことがき、かつ、不用意に開放または落下しないよう安全性が担保されることが求められている。
【0003】
このような整流板の開放着脱機構を備えるレンジフードとして、例えば、特許文献1には、整流板の開放着脱機構としてマグネット式のものが提案されている。具体的には、フード内面パネルを平滑に形成し一部を磁性材料で構成し、整流板の先端側には磁着部を形成し、整流板後端の基端部を軸にして回動することで整流板側の磁着部とフード内面側の磁性素材が磁着するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-115825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1にある整流板の開放着脱機構は、マグネット係止により整流板の開放を容易にするとともに、意図せず係止解除がされたとしても基端部がダンパー機構を備えることで勢いよく開いてしまうことを防ぐようにしている。しかしながら、このようなダンパー機構は経年劣化によりその本来機能を果たさなくなる可能性がある。レンジフードは製品寿命が比較的長い製品であるところ製品寿命にわたって安全性が担保される必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、長期にわたって安全性を担保することが可能であり、かつ整流板の開放着脱を容易に行うことができるレンジフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、空気を吸気する開口部を有するフード部20と、フード部20との間に吸込み隙間を形成する整流板40と、整流板40とフード部20を磁着係止するための磁着部53を備える第一係止部材50と、磁着部53が突き当たる台座64と固定係止部61とを備える第二係止部材60とを備え、磁着部53と台座64が突き当たることにより整流板40がフード部20に磁着係止され、固定係止部61は、この磁着係止された状態において整流板40とフード部20を固定係止し、第二係止部材60は、整流板40とフード部20が磁着係止された状態においてフード部20の水平方向から見たときに少なくとも第一係止部材50の一部を隠す立ち上がり面を有する固定片63を有し、固定片63が第一係止部材50よりも水平方向の外側に設けられる、レンジフード1が提供される。
これによれば、フード部20と整流板40が第一係止部材50の磁着係止の後に第二係止部材60により係止されるという二段階係止構造となっている。固定係止により長期にわたって安全性を担保することが可能であるとともに、第一係止部材50の磁着により固定係止前に仮固定を行うことができるので固定係止に両手を使ったり、工具を使ったりする場合であっても整流板40の開放着脱を容易に行うことが可能なレンジフードを提供することができる。
【0008】
さらに、第二係止部材60は固定片63と台座64とから構成され、固定係止部(パネルファスナー61)が固定される固定片63が台座64に対して着脱可能に設けられていることを特徴としてもよい。
これによれば、固定片63が台座64に対して着脱自在に設けられていることで部材の交換が容易となる。第二係止部材60に固定係止部61を固定(かしめる)すると固定係止部61に不具合があった場合に第二係止部材60全体を交換する必要があるが、本件発明では固定片63の交換のみで済むため作業性に優れている。
【0009】
さらに、整流板40とフード部20が磁着係止された状態において、磁着部53が突き当たる台座64の天面部分に形成される受部64aは、整流板40の底面よりも高い位置に位置することを特徴としてもよい。
これによれば、第一係止部材50が整流板40に直接突き当たるのではなく被磁着部(台座64)に突き当たることになる。第一係止部材50が整流板40に突き当たる場合、油だまりによって磁着効果が妨げられるおそれがあるが、油だまりが生じにくい被磁着部(台座64)に突き当たることにより所望の磁着効果を得ることができる。







【0010】
さらに、第一係止部材50は、柱状係止部51と、柱状係止部51の長手方向と交差する方向に形成され固定係止部(パネルファスナー61)の挿通軸61aが挿通する挿通孔52と、柱状係止部51の先端に形成された磁着部(マグネット53)から構成されることを特徴としてもよい。
これによれば、磁着部(マグネット53)の磁着によりに整流板40をフード部20に仮係止をしつつ、挿通孔52に固定係止部(パネルファスナー61)の挿通軸61aを挿通するという簡易な構成で係止状態を保つことができる。また、挿通孔52が柱状係止部51の長手方向と交差する方向に形成されている、すなわち、整流板40の着脱方向と挿通孔52の孔方向が交差(直交)しているので挿通軸61aの挿通が十分でない仮挿通の段階であっても十分な強度で整流板40の係止状態を保つことができる。
【0011】
さらに、ケーシング61cに挿通軸61aの脱落を防止する脱落防止片61dを備えることを特徴としてもよい。
これによれば、挿通軸61aの脱落が防止できる。レンジフード1はキッチンの高所に設置されるものであるところ、整流板40の着脱は頭上に手を伸ばして作業をすることになり手元が確認しづらい。特に工具を用いて作業を行う場合は部品の脱落が懸念される。本件発明ではケーシングに挿通軸61aの脱落を防止する脱落防止片61dを備えているので、ケーシング61cから挿通軸61aが脱落することがなく作業性に優れている。
【0012】
さらに、フード部20と整流板40の係止または非係止を検知する係止検知手段(近接センサ44)と、挿通軸61aの挿通孔52への挿通状態を検知する挿通検知部70と、所定のエラー報知を行うエラー報知手段(エラー報知部82)と、を備え、エラー報知手段(エラー報知部82)は、係止検知手段(近接センサ44)が係止であることを検知し、挿通検知部70が所定の条件を満たさない挿通状態であることを検知した場合に所定のエラー報知を行うことを特徴としてもよい。
これによれば、第二係止部材60による固定係止が十分でなかった場合に所定のエラー報知が行われるため使用者はその状態をすぐに察知することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、長期にわたって安全性を担保することが可能であり、かつ整流板の開放着脱を容易に行うことができるレンジフードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】レンジフードの斜視図
図2】レンジフードの下面斜視図 整流板開放状態
図3】レンジフードの下面斜視図 整流板取付状態
図4】整流板の前側係止機構の部分拡大図
図5】(A)レンジフードの側面図(B)H-H断面における断面図
図6】整流板の前側係止機構の部分拡大断面図
図7】整流板の取付工程を示す図
図8】第二実施例に係る前側係止機構の部分拡大断面図
図9】第二実施例に係るレンジフードのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る実施例について説明する。
【0016】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【0017】
<第1実施例>
以下、図1図9を参照して、本発明の実施形態に係るレンジフード1の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るレンジフード1の斜視図である。図2は、整流板40を開放状態としたレンジフード1の下面斜視図である。図3は、整流板40を取付状態としたレンジフード1の下面斜視図である。図4は、整流板の前側係止機構41aの部分拡大図である。図5は、(A)レンジフード1の側面図(B)およびH-H断面における断面図である。図6は、整流板の前側係止機構41aの部分拡大断面図である。図7は、整流板40の取付工程を示す遷移図である。図8は、第二実施例に係る前側係止機構41aの部分拡大断面図である。図9は、第二実施例に係るレンジフード1のブロック図である。
【0018】
以下の説明において、図1に示すようにレンジフード1の左右方向をX方向、レンジフード1の奥行方向をY方向、レンジフード1の鉛直方向をZ方向と称して便宜的に説明する。また、レンジフード1の左方向をX方向マイナス側、右方向をX方向プラス側として、レンジフード1の奥側をY方向プラス側、前側をY方向マイナス側として、レンジフード1の上方向をZ方向プラス側、下方向をZ方向マイナス側として説明する。
【0019】
図1を参照してレンジフード1の基本構成について説明する。レンジフード1は、図示しない加熱調理器の上方に設置され、調理で発生した油煙、ガス等を吸い込んで室外に排気するように構成されている。レンジフード1は図示しないファンケーシング等を収容する本体部4、本体部4の下部に配置されるフード2、フード2の下面側に配置されるオイルパネル30、オイルパネル30の下側に配置され、係止部41によってフード2に対して着脱可能に設けられている整流板40を備えている。係止部41は後述する前側係止機構41aと後側係止機構41bから構成されている。フード2とオイルパネル30が本実施例のフード部20を構成している。
【0020】
図2~3を参照してフード2と整流板40の基本構成について説明する。フード2は、薄型に形成され、天面、操作スイッチ81を有する側面、加熱調理機の方向に凹状の下面を有する。フード2の下面には開口部を有するオイルパネル30が装着される。オイルパネル30はフード2の下面内縁に沿うようにその外縁部が形成されるとともに空気の流れの下流方向に傾斜する傾斜部30aが形成されている。オイルパネル30の開口部には油捕集部材7が設けられ油煙の吸込口を構成している。吸込口の下流には回転フィルタ5が配され、この回転フィルタ5が図示しないモーターによって高速回転することで油を油捕集部材7の方向に飛ばして吸込口を通過する油煙から油を捕集する。油捕集部材7は油捕集部材押さえ7aを操作することによってオイルパネル30から着脱自在に構成されており、回転フィルタ5もワンタッチユニット6を操作することによって着脱自在に構成されている。
【0021】
オイルパネル30は、整流板40を係止する機構として前側(Y方向マイナス側)に第一係止部材50を備え、後側(Y方向プラス側)に吊金具32を備えている。整流板40には、オイルパネル30の機構に対応するように前側に第二係止部材60が設けられ、後側に引掛部材43が設けられている。第一係止部材50と第二係止部材60が前側係止機構41aを構成し、吊金具32と引掛部材43が後側係止機構41bを構成する。前側係止機構41aと後側係止機構41bにより整流板40をオイルパネル30に係止する係止部41を構成する。また、整流板40には整流板40とオイルパネル30が係止状態であるか非係止状態であるかを検知する係止検知手段としての近接センサ44が設けられている。図3のように整流板40がオイルパネル30に対して係止状態になると、整流板40とオイルパネル30の間には空気の吸込みを増速させる隙間31が形成されることになる。
【0022】
図4を参照して前側係止機構41aの構成を説明する。なお、本図は部材構造をわかりやすくするために第一係止部材50が取り付けられるオイルパネル30は省略している。前側係止機構41aの一方を構成する第一係止部材50は、柱状係止部51と柱状係止部51の先端に設けられたマグネット53(磁着部)から構成されている。柱状係止部51は円柱状の胴部51aと胴部51aと連続して形成されたテーパー状の頭部51bからなり、胴部51aには後述する挿通孔52が設けられている。マグネット53(磁着部)は頭部51bの先端に設けられ、頭部51bの先端の水平断面形状と略同一の円形に形成されている。
【0023】
前側係止機構41aの他方を構成する第二係止部材60は、Y方向に断面ハット状の台座64(被磁着部)と台座64(被磁着部)に対して固定される固定片63と固定片63に備えられるパネルファスナー61(固定係止部)から構成されている。台座64(被磁着部)は断面ハット状の箱体部材であり、断面ハット状の鍔部が整流板40に固定されている。台座64(被磁着部)は隙間31方向(X方向プラス側)に開口を有し、天面部分が第一係止部材50のマグネット53(磁着部)の受部64aとして機能している。固定片63はX方向断面で略L字型(断面略逆L字型)に形成され、台座64(被磁着部)の開口に差し込まれてリベット等で接合される底面63aと底面63aからZ方向プラス側に立ち上がる立ち上がり面63bを有する。立ち上がり面63bには穴に対応する位置に固定係止部(パネルファスナー61)がかしめられている。固定係止部(パネルファスナー61)に不具合が生じて交換する場合は、リベットはずし用の治具等で台座64(被磁着部)と固定片63の接合を解くだけで交換対応が可能となる。なお、本実施例では磁性体であるマグネット53(磁着部)がオイルパネル30側の第一係止部材50に形成されているが、台座64(被磁着部)側を磁性体で構成して磁着する構成としてもよい。
【0024】
図5~6を参照して前側係止機構41の係止構成を説明する。図5は第一係止部材50のマグネット53(磁着部)が第二係止部材60の台座64(被磁着部)に当接して整流板40がオイルパネル30に仮固定されている状態の断面図、図6はレンジフード正面視で右側に位置する前側係止機構41の部分拡大断面図である。パネルファスナー61(固定係止部)は挿通軸61a、軸頭部61b、挿通軸61aを収容するケーシング61cから構成されており、ケーシング61cには軸頭部61bが脱落することを防止する脱落防止片61dが設けられている。軸頭部61bを挿通孔52方向にねじ込み固定することで前側係止機構41は固定係止状態となる。
【0025】
なお、柱状係止部51の胴部51aに形成された挿通孔52は、柱状係止部51の長手方向と交差する方向に形成されている。すなわちX方向に挿通軸61aが挿通可能に構成されおり、挿通軸を、工具等を用いてねじ込むことで固定係止される。また、台座64(被磁着部)の底面から受部64aまでの高さは整流板の外周立ち上がり縁部40aと同じ程度の高さL1に構成されている。このため整流板40に生じやすい油だまりにマグネットが当接することがない。また、柱状係止部51のテーパー面を形成する頭部51bの領域L2は、図5の断面視においてフード2の下端面2aと対応する位置から形成されている。これにより柱状係止部51による吸込流の抵抗を減らすようにしている。
【0026】
<整流板40の取付工程>
図7は、整流板40の取付工程を示す図である。図7(A)~図7(D)を用いて整流板40が取り外された状態から取り付け状態になるまでを説明する。取り付け工程は、図7(A)→図7(B)→図7(C)→図7(D)の順に行われて係止固定され、係止固定された状態から取り外す工程は、取り付け工程とは逆の順序で行われる。以下に整流板の取り付け工程の説明を行う。
【0027】
図7(A)は、整流板40がオイルパネル30から取り外されてレンジフード1と整流板40が分離された状態となっている。整流板40をオイルパネル30に取り付けるには、まず、整流板40を矢印方向に動かして後側係止機構41bの引掛部材43をオイルパネル30の吊金具に引っ掛けて後側係止機構41bでの片持ち係止状態とする。
【0028】
図7(B)は、後側係止機構41bでの係止により整流板40がオイルパネル30に対して片持ち係止状態となっている。片持ち係止状態から整流板40の前側を左右の手で保持しながら矢印方向に押し上げることによって前側係止機構41aを構成する第二係止部材60を第一係止部材50の方向に近づけてそれぞれの係止部材が係止可能な位置に移動させる。
【0029】
図7(C)は、後側係止機構41bでの係止と前側係止機構41aのそれぞれの係止機構が係止可能な位置に移動しており、整流板40がオイルパネル30に対して仮係止状態となっている。この状態では前側係止機構41aを構成する第二係止部材60の台座64(被磁着部)と第一係止部材50のマグネット53(磁着部)が当接して磁着している。この磁着された状態においては整流板40を手で押さえることをしなくとも仮係止状態が維持される。
【0030】
図7(D)は、整流板40とオイルパネル30の仮係止状態から固定係止状態とするための手順である。先ず、仮係止状態において第一係止部材50の柱状係止部51に形成された挿通孔に第二係止部材60の固定係止部(パネルファスナー61)の挿通軸61aを挿通する。仮係止状態では整流板40から手を放して左右片方ずつ固定係止部(パネルファスナー61)の作業を行うことも可能であるし、両手で前側係止機構41aを保持しながら固定係止部(パネルファスナー61)の仮締め作業を行うことも可能である。次に、工具を用いて固定係止部(パネルファスナー61)の本締めを行い、整流板40をオイルパネル30に対して固定係止状態とする。
【0031】
以上のような工程を経て整流板40がオイルパネル30に取り付けられる。すなわち、第一段階の係止として整流板40とオイルパネル30が磁着係止され、第二段階の係止として整流板とオイルパネルがパネルファスナー61により固定係止される。これにより、固定係止により長期にわたって安全性を担保することが可能であるとともに、第一係止部材50の磁着により固定係止前に仮固定を行うことができるので固定係止に両手を使ったり、工具を使ったりする場合であっても整流板の開放着脱を容易に行うことが可能なレンジフードを提供することができる。なお、本実施例では、係止部41を構成する後側係止機構41bが基端部を軸にして回動するように構成しているが、前側係止機構41aによる磁着係止を後側に配して三点支持、四点支持等にすることも本発明の範囲で適宜変更可能である。また、本実施例では、整流板40がオイルパネル30に取り付けられる形態を説明したが、言うまでもなく、整流板40がフード部20を構成するフード2に直接取付られる形態であってもよい。
【0032】
<第2実施例>
図8を参照し、本実施例のレンジフード1について説明する。なお、重複記載を避けるため、同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略し、第1実施例と異なる部分を中心に説明する。図8は、本実施例のレンジフード1の前側係止機構41の係止構成を示す拡大断面図である。第一係止部材50のマグネット53(磁着部)が第二係止部材60の台座64(被磁着部)に当接して整流板40がオイルパネル30に仮固定されている状態となっている。
【0033】
第一係止部材50の柱状係止部51には胴部51aのX方向に挿通孔52が形成されるとともにZ方向に検知用貫通孔51cが形成されている。検知用貫通孔51cは柱状係止部51の胴部51aの基端部から頭部51bの先端まで貫通する貫通孔として構成されている。また、検知用貫通孔51cは胴部51aに形成された挿通孔52と接続されており、挿通孔52を通過した固定係止部(パネルファスナー61)の挿通軸61aが出没可能に構成されている。
【0034】
次に、柱状係止部51の胴部51aの基端部が設置される部分について説明する。柱状係止部51の胴部51aの基端部はオイルパネル30に設置される。オイルパネル30とフード2の間には空間Sが形成されるが、本実施例ではこの空間Sに挿通検知部70が配されている。挿通検知部70は挿通センサ71および挿通センサ基盤71aから構成され、挿通検知部70はレンジフード制御部100に対して検知信号を送信可能に構成されている。挿通検知部70の挿通センサ71aは、フォトセンサで構成されており、検知用貫通孔51cの基端部と対応する位置に設けられている。これにより、挿通検知部70が検知用貫通孔51cに出没する挿通軸61aを検知可能に構成されている。なお、挿通センサ71aを構成するのはフォトセンサに限らず、近接センサ、位置センサ、接触式センサ、イメージセンサ、超音波センサ、マイクロ波センサ、過電流式変位センサ、CCDカメラなど物体の有無を検知することが可能な検知手段であればよい。
【0035】
図9を参照し、本実施例にかかわるレンジフード1の制御部の説明を行う。RH制御部80は、本体部4の内部に設けられ、操作スイッチ81、近接センサ44、挿通検知部70からの信号にもとづいてファンや回転フィルタ5の運転制御を行う。RH制御部80は、ファンや回転フィルタ5の運転を制御するためのプログラムを記憶し、そのプログラムに従って命令を実行するマイクロコントローラである。操作スイッチ81は、押下操作されることにより風量切換信号を送信する。近接センサ44は、整流板40がオイルパネル30から離間したときに信号を送信し、この信号を受けたRH制御部80は、ファンや回転フィルタ5の運転制御を停止するとともに、エラー報知部82に対してエラー報知を行うように指令を行う。エラー報知部82はこの指令を受けて所定のエラー報知、例えば、音、光、映像等でエラーが発生したことを示す報知を行う。
【0036】
挿通検知部70は、検知用貫通孔51cに出没する挿通軸61aを検知し、検知信号をRH制御部80に送信する。RH制御部80は、近接センサ44からの信号が、整流板40がオイルパネル30から離間したことを示すものでなく、挿通検知部70からの信号が、挿通軸61aの挿通深さが所定の位置まで達したことを示すものでない場合に、エラー報知部82に対してエラー報知を行うように指令を行う。つまり、整流板40がオイルパネル30に取り付けられた状態で、固定係止部(パネルファスナー61)による十分な固定係止がされなかった場合にエラー報知が行われる。このように構成することで、使用者はその状態をすぐに察知することができるし、十分な固定係止を行うように促すことができる。なお、本実施例では整流板40がオイルパネル30に取り付けられた状態であり、ファンへの手指侵入のおそれがないことからエラー報知のみする構成としているが、エラー報知だけでなくファンや回転フィルタ5の運転制御を停止するように構成してもよい。
【0037】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0038】
1 レンジフード
2 フード
4 本体部
30 オイルパネル
40 整流板
41 係止部
41a 前側係止機構
41b 後側係止機構
50 第一係止部材
60 第二係止部材
61 パネルファスナー(固定係止部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9