(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】蓄電池管理装置及び蓄電池管理方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20250109BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20250109BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20250109BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20250109BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J3/32
H02J7/35 K
H02J13/00 301A
(21)【出願番号】P 2021015307
(22)【出願日】2021-02-02
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】507317502
【氏名又は名称】エリーパワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】大内 良孝
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-033273(JP,A)
【文献】特開2011-142779(JP,A)
【文献】特開2018-191434(JP,A)
【文献】特開2011-205871(JP,A)
【文献】特開2018-019485(JP,A)
【文献】特開2007-215290(JP,A)
【文献】特開2014-050275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/38
H02J 3/32
H02J 7/35
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を発電する発電装置と、負荷、系統電力及び前記発電装置に接続されて電力を蓄えることができる蓄電池と、前記蓄電池に接続されて前記蓄電池の残量、前記負荷の消費電力及び前記発電装置の発電量を含む電力情報を取得し、出力する管理手段と、を具備する複数の電力管理対象から出力される前記電力情報を取得して蓄積する電力情報取得部と、
前記電力管理対象毎の所在地における天気予報を含む天気予報情報を取得する天気情報取得部と、
前記電力情報取得部が取得した前記電力情報に基づいて、前記電力管理対象毎の所定期間における一定時間毎の消費電力を予測し、前記天気情報取得部が取得した前記天気予報情報に基づいて、前記電力管理対象毎の前記発電装置による発電量を予測し、前記電力管理対象毎において前記予測した消費電力と前記予測した発電量とに基づいて、前記所定期間の前記一定時間毎に前記系統電力なしで前記負荷を動作可能な前記蓄電池の電力を少なくとも含む確保電力を算出し、算出した前記確保電力に基づいて前記電力管理対象各々の前記蓄電池の蓄電電力から利用可能な電力量を算出する電力算出部と、
前記電力算出部が算出した前記利用可能な電力量を外部に提供可能な電力として外部に提示する提示部と、
を具備することを特徴とする蓄電池管理装置。
【請求項2】
前記天気情報取得部が取得した前記天気予報情報は、前記電力情報に関連付けて蓄積されて、前記電力算出部は、蓄積された前記天気予報情報と前記電力情報とに基づいて前記発電装置の発電量を予測することを特徴とする請求項1記載の蓄電池管理装置。
【請求項3】
前記提示部による前記利用可能な電力量の外部への提示は、前記利用可能な電力量の情報を外部に送信することを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の蓄電池管理装置。
【請求項4】
前記確保電力は、前記電力管理対象毎に前記系統電力なしで前記負荷を予測した消費電力で動作可能な前記蓄電池の電力と、前記電力管理対象毎に設定された任意電力との合計であることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の蓄電池管理装置。
【請求項5】
前記電力情報取得部は、少なくとも曜日に関連づけて前記電力情報を蓄積し、
前記電力算出部は、予測する曜日と一致する蓄積された前記電力情報に基づいて前記負荷の消費電力を予測することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の蓄電池管理装置。
【請求項6】
前記電力算出部は、前記電力情報と前記天気情報取得部が取得した前記天気予報情報とに基づいて前記負荷の消費電力を予測することを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の蓄電池管理装置。
【請求項7】
前記電力算出部は、前記電力管理対象毎に任意に設定された重み付けと、前記電力管理対象毎に算出された前記利用可能な電力量とに基づいて、複数の前記電力管理対象に対して外部に電力を提供する優先順位を決定し、前記提示部は前記利用可能な電力量と前記優先順位とを外部に提示することを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の蓄電池管理装置。
【請求項8】
前記提示部は、前記電力算出部の前記確保電力の算出により系統電力なしで前記負荷を動作させる前記蓄電池の残量が足りない場合はその旨を提示し、当該提示の後に、系統電力なしで前記負荷を動作させる前記蓄電池の残量が足りない他の電力管理対象の蓄電池に対して前記利用可能な電力量を提供可能である電力管理対象の蓄電池から電力を提供するよう制御することを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の蓄電池管理装置。
【請求項9】
電力を発電する発電装置と、
負荷、系統電力及び前記発電装置に接続されて電力を蓄えることができる蓄電池と、
前記蓄電池に接続されて前記蓄電池の残量、前記負荷の消費電力及び前記発電装置の発電量を含む電力情報を取得し、出力する管理手段と、を具備する複数の電力管理対象から出力される前記電力情報を取得し、
前記電力管理対象毎の所在地における天気予報を含む天気予報情報を取得し、
取得した前記電力情報に基づいて、前記電力管理対象毎の所定期間における一定時間毎の消費電力を予測し、
取得した前記天気予報情報に基づいて、前記電力管理対象毎の前記発電装置による発電量を予測し、
前記電力管理対象毎において前記予測した消費電力と前記予測した発電量とに基づいて、前記所定期間の前記一定時間毎に前記系統電力なしで前記負荷を動作可能な前記蓄電池の電力を少なくとも含む確保電力を算出し、
算出した前記確保電力に基づいて前記電力管理対象各々の前記蓄電池の蓄電電力から利用可能な電力量を算出し、
算出した前記利用可能な電力量を外部に提供可能な電力として外部に提示する
ことを特徴とする蓄電池管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電力管理対象の蓄電池の管理を行う蓄電池管理装置及び蓄電池管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
戸建て住宅などに設置された太陽光発電や蓄電池などの電力設備などを複数まとめて管理し、地域の発電・蓄電・需要をまとめて制御・管理することで、一つの発電所のように機能させる仮想発電所(VPP:バーチャルパワープラント)が知られている。
【0003】
VPPでは、電力需給が逼迫した際に、蓄電池を有する需要家側の蓄電池の電力を電気事業者、系統運用者などの商用電力を供給する系統電力側に提供したり、節電要求に対して需要家間で電力を融通したりすることで、逼迫した電力需給に対応するようにしている。
【0004】
また、停電などの有事に備えて蓄電されているバックアップ用途の蓄電池に蓄電している電力を系統電力への供給に活用するようにしたシステムが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-215290号公報
【文献】特開2018-191434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、事業継続計画(BCP)用途で蓄電された電力のため、有事以外での負荷への供給や他の需要家への電力供給などの利用は想定していない。このため、有事以外に蓄電された電力を有効に活用できるよう、事業継続計画(BCP)用途の蓄電池に蓄電された電力を系統電力に提供したいという要望があるものの、事業継続計画(BCP)用途の蓄電池に蓄電された電力を提供した際に、停電時などの有事の際に系統電力が供給されない状況が生ずると、事業継続計画(BCP)用途の蓄電池にもかかわらず、蓄電残量が不足し、負荷を動作させることができなくなってしまうことは避けなければならない。
【0007】
このため事業継続計画(BCP)用途で蓄電池を用いているユーザは、有事の際を想定して日常での蓄電池の充放電を嫌がるため、蓄電池に蓄電された電力を系統電力に供給することができない。
【0008】
また、蓄電された電力の減りを抑えるため、有事の際に負荷の動作を制限するなどの煩わしいモード変更の設定やモードを変更するための操作が必要になってしまうという問題がある一方で、有事の際であっても負荷の動作を制限することなく、平常時と同様に蓄電池によって負荷を動作させたいという要望がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、有事の際に負荷の動作を制限することなく負荷を動作させることができると共に、事業継続計画(BCP)用途の蓄電池に対しても蓄電された電力を有効利用することができる蓄電池管理装置及び蓄電池管理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の態様は、電力を発電する発電装置と、負荷、系統電力及び前記発電装置に接続されて電力を蓄えることができる蓄電池と、前記蓄電池に接続されて前記蓄電池の残量、前記負荷の消費電力及び前記発電装置の発電量を含む電力情報を取得し、出力する管理手段と、を具備する複数の電力管理対象から出力される前記電力情報を取得して蓄積する電力情報取得部と、前記電力管理対象毎の所在地における天気予報を含む天気予報情報を取得する天気情報取得部と、前記電力情報取得部が取得した前記電力情報に基づいて、前記電力管理対象毎の所定期間における一定時間毎の消費電力を予測し、前記天気情報取得部が取得した前記天気予報情報に基づいて、前記電力管理対象毎の前記発電装置による発電量を予測し、前記電力管理対象毎において前記予測した消費電力と前記予測した発電量とに基づいて、前記所定期間の前記一定時間毎に前記系統電力なしで前記負荷を動作可能な前記蓄電池の電力を少なくとも含む確保電力を算出し、算出した前記確保電力に基づいて前記電力管理対象各々の前記蓄電池の蓄電電力から利用可能な電力量を算出する電力算出部と、前記電力算出部が算出した前記利用可能な電力量を外部に提供可能な電力として外部に提示する提示部と、を具備することを特徴とする蓄電池管理装置にある。
【0011】
かかる態様では、負荷の消費電力を予測し、天気予報から発電装置の発電量を予測し、予測した消費電力と発電量とに基づいて系統電力なしで負荷を動作可能な確保電力を蓄電池に確保して蓄電池から使用可能な電力量を外部に提示することで、系統電力が供給されない有事の時や、ピークシフトなどの電力需要が高まった昼間などの時間に、負荷の動作を制限することなく負荷を動作させることができると共に、蓄電池の電力を外部に供給して有効利用することができる。
【0012】
ここで、前記天気情報取得部が取得した前記天気予報情報は、前記電力情報に関連付けて蓄積されて、前記電力算出部は、蓄積された前記天気予報情報と前記電力情報とに基づいて前記発電装置の発電量を予測することが好ましい。
【0013】
これによれば、発電装置の発電実績を蓄積して、蓄積された発電実績に基づいて発電量を予測することで、予測の精度を向上することができる。したがって、系統電力が供給されない又は使用しない状況で、蓄電池の確保電力が足りなくなるのを抑制して、信頼性を向上することができる。
【0014】
また、前記提示部による前記利用可能な電力量の外部への提示は、前記利用可能な電力量の情報を外部に送信することを含むことが好ましい。これによれば、通信機能のある機器、例えば、他の蓄電池管理装置などに使用可能な電力量を送る、ことができる。
【0015】
また、前記確保電力は、前記電力管理対象毎に前記系統電力なしで前記負荷を予測した消費電力で動作可能な前記蓄電池の電力と、前記電力管理対象毎に設定された任意電力との合計であることが好ましい。
【0016】
これによれば、電力管理対象毎に設定された任意電力を確保電力に含むことで、電力管理対象の要望に応じた確保電力を確保することができる。
【0017】
また、前記電力情報取得部は、少なくとも曜日に関連づけて前記電力情報を蓄積し、前記電力算出部は、予測する曜日と一致する蓄積された前記電力情報に基づいて前記負荷の消費電力を予測することが好ましい。
【0018】
これによれば、曜日によって異なる負荷の消費電力に基づいて、負荷の消費電力の予測精度を向上することができる。
【0019】
また、前記電力算出部は、前記電力情報と前記天気情報取得部が取得した前記天気予報情報とに基づいて前記負荷の消費電力を予測することが好ましい。これによれば、天気予報によって負荷の消費電力が異なるため、天気予報に基づいて負荷の消費電力を予測することで、予測精度を向上することができる。
【0020】
また、前記電力算出部は、前記電力管理対象毎に任意に設定された重み付けと、前記電力管理対象毎に算出された前記利用可能な電力量とに基づいて、複数の前記電力管理対象に対して外部に電力を提供する優先順位を決定し、前記提示部は前記利用可能な電力量と前記優先順位とを外部に提示することが好ましい。
【0021】
これによれば、電力管理対象の要望に合わせて、優先順位を付けて利用可能な電力量を提供することができる。
【0022】
また、前記提示部は、前記電力算出部の前記確保電力の算出により系統電力なしで前記負荷を動作させる前記蓄電池の残量が足りない場合はその旨を提示し、当該提示の後に、系統電力なしで前記負荷を動作させる前記蓄電池の残量が足りない他の電力管理対象の蓄電池に対して前記利用可能な電力量を提供可能である電力管理対象の蓄電池から電力を提供するよう制御することが好ましい。
【0023】
これによれば、系統電力なしで負荷を動作させる蓄電池の残量が足りない電力管理対象も負荷の動作を制限することなく通常通りに動作させることができ、利便性を向上することができる。
【0024】
また、本発明の他の態様は、電力を発電する発電装置と、負荷、系統電力及び前記発電装置に接続されて電力を蓄えることができる蓄電池と、前記蓄電池に接続されて前記蓄電池の残量、前記負荷の消費電力及び前記発電装置の発電量を含む電力情報を取得し、出力する管理手段と、を具備する複数の電力管理対象から出力される前記電力情報を取得し、前記電力管理対象毎の所在地における天気予報を含む天気予報情報を取得し、取得した前記電力情報に基づいて、前記電力管理対象毎の所定期間における一定時間毎の消費電力を予測し、取得した前記天気予報情報に基づいて、前記電力管理対象毎の前記発電装置による発電量を予測し、前記電力管理対象毎において前記予測した消費電力と前記予測した発電量とに基づいて、前記所定期間の前記一定時間毎に前記系統電力なしで前記負荷を動作可能な前記蓄電池の電力を少なくとも含む確保電力を算出し、算出した前記確保電力に基づいて前記電力管理対象各々の前記蓄電池の蓄電電力から利用可能な電力量を算出し、算出した前記利用可能な電力量を外部に提供可能な電力として外部に提示することを特徴とする蓄電池管理方法にある。
【0025】
かかる態様では、負荷の消費電力を予測し、天気予報から発電装置の発電量を予測し、予測した消費電力と発電量とに基づいて系統電力なしで負荷を動作可能な確保電力を蓄電池に確保して蓄電池から使用可能な電力量を外部に提示することで、系統電力が供給されない有事の時や、ピークシフトなどの電力需要が高まった昼間などの時間に、負荷の動作を制限することなく負荷を動作させることができると共に、蓄電池の電力を外部に供給して有効利用することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、負荷の消費電力を予測し、天気予報から発電装置の発電量を予測し、予測した消費電力と発電量とに基づいて系統電力なしで負荷を動作可能な確保電力を蓄電池に確保して外部に供給可能な電力を算出することで、有事の際に負荷の動作を制限することなく、蓄電池の蓄電電力のうち利用可能な電力を外部に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態1に係る蓄電池管理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る電源装置の概略構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る蓄電池管理装置の機能を説明するブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る時刻による太陽光発電装置の発電量と負荷の消費電力とを示すグラフである。
【
図5】本発明の実施形態1に係る時刻による蓄電池の充電率を示すグラフである。
【
図6】本発明の実施形態1に係る蓄電池管理方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0029】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る蓄電池管理システム1の概略構成を示す図である。
図2は、電力管理対象であるユーザの電源装置及び太陽光発電装置の概略構成を示す図である。
図3は、蓄電池管理装置の機能ブロック図である。
【0030】
図示するように、本実施形態の蓄電池管理システム1は、VPPサーバ2と、天気情報サーバ3と、商用電源を供給する電気事業者又は系統運用者等の系統電力4と、蓄電池12を含む電源装置11を有する電力管理対象として、複数の需要家であるユーザ10と、蓄電池管理装置20と、を具備する。VPPサーバ2と天気情報サーバ3とユーザ10の電源装置11と蓄電池管理装置20とは、インターネット網、公衆電話回線網などのネットワークNを介して相互に接続されている。
【0031】
VPPサーバ2は、取引先からの電力調整依頼を受けて電力調整を行う統合サーバである。VPPサーバ2による電力調整は、取引先から翌日等の先の電力調整の予定を予め依頼として受け取る。このVPPサーバ2は、ユーザ10の電源装置11及び蓄電池管理装置20とネットワークNを介して接続されている。
【0032】
具体的には、VPPサーバ2は、取引先からの電力調整依頼を受けて、特定のユーザ10の電源装置11の蓄電池12から系統電力4に算出された利用可能な電力を供給するように電源装置11に指令を送信する。また、VPPサーバ2は、詳しくは後述する蓄電池管理装置20に提示された情報に基づいて、蓄電池12から系統電力4に電力を提供可能なユーザ10と蓄電池12から系統電力4に提供可能な電力とを選定する。
【0033】
このようなVPPサーバ2は、特に図示しないが、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、記憶手段の一例である読み出し及び書き込み可能なメモリ(RAM:Random Access Memory)、各種プログラムなど格納するための読み出し専用のメモリ(ROM:Read Only Memory)によって実現することができる。
【0034】
天気情報サーバ3は、住所毎や地域毎などの位置情報に対する天気予報を天気予報情報として提供する天気予報供給手段である。このような天気情報サーバ3は、特に図示しないが、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、記憶手段の一例である読み出し及び書き込み可能なメモリ(RAM:Random Access Memory)、各種プログラムなど格納するための読み出し専用のメモリ(ROM:Read Only Memory)によって実現することができる。また、天気情報サーバ3が提供する天気予報情報は、天気予報と気温の予報とを含むものであってもよい。
【0035】
需要家であるユーザ10の各々は、
図2に示すように、電源装置11と発電装置16と負荷17とを具備する。発電装置としては、燃料電池、水力発電装置、太陽光発電装置、風力発電装置等、電力を発電するものであれば適用可能であるが、本実施の形態では、太陽光発電装置16として説明する。
【0036】
太陽光発電装置16は、家屋の屋根や屋上などに設置されて太陽光を電力に変換、すなわち、太陽光の受光によって発電するものである。
【0037】
電源装置11は、太陽光発電装置16と系統電力4と負荷17とが接続されたものである。電源装置11は、蓄電池12と監視装置13と管理装置14と充放電装置15とを具備する。
【0038】
蓄電池12は、電力を充放電可能に構成されたものであり、単体又は複数の充放電可能な電池セル12Aで構成されている。このような蓄電池12を構成する電池セル12Aとしては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、鉛電池等を用いることができる。
【0039】
監視装置(CMU:Cell Monitor Unit)13は、蓄電池12の電池セル12A毎又は複数の電池セル12Aで構成された電池セル群毎に電圧、電流、温度等の状態を監視する。また、監視装置13は、電池セル12Aの電圧、電流、温度等の異常を検知し、異常の発生を管理装置14に伝える。
【0040】
充放電装置15は、太陽光発電装置16、系統電力4、蓄電池12及び負荷17の接続を制御して、蓄電池12の充電及び放電を制御する。
【0041】
管理装置(BMU:Battery Management Unit)14は、電源装置11の全体を制御する管理手段に相当する。管理装置14は、蓄電池12の充放電の状態、蓄電池12の充電率(残量とも称する)、蓄電池12に接続された負荷17の消費電力を検出する。また、管理装置14は、太陽光発電装置16の発電量を検出する。
【0042】
また、管理装置14は、監視装置13の動作制御、充放電装置15の動作制御などの電源装置11の各回路の制御全般を行う。例えば、管理装置14は、蓄電池12の残量が閾値よりも低下したことを検知したら、充放電装置15を制御して系統電力4又は太陽光発電装置16で蓄電池12を充電するように制御する。また、管理装置14は、太陽光発電装置16が発電していることを検知したら太陽光発電装置16で蓄電池12を充電し、太陽光発電装置16が発電していないときは系統電力4で蓄電池12を充電するように充放電装置15を制御する。また、管理装置14は、蓄電池12が満充電であることを検知したら、充放電装置15による蓄電池12の充電を停止する。つまりは、管理装置14は、系統電力4から蓄電池12への電力の供給又は停止を行わせるように充放電装置15を制御する。また、管理装置14は、VPPサーバ2からの指令に基づいて蓄電池12から系統電力4への電力の放電又は停止を行わせるように充放電装置15を制御する。
【0043】
蓄電池管理装置20は、ユーザ10の蓄電池12を管理する装置である。蓄電池管理装置20は、特に図示しないが、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、記憶手段の一例である読み出し及び書き込み可能なメモリ(RAM:Random Access Memory)、各種プログラムなど格納するための読み出し専用のメモリ(ROM:Read Only Memory)によって実現することができる。また、蓄電池管理装置20は、VPPサーバ2、天気情報サーバ3及びユーザ10の電源装置11とネットワークNを介して接続されている。
【0044】
本実施形態の蓄電池管理装置20は、
図3に示すように、電力情報取得部21と、天気情報取得部22と、電力算出部23と、提示部24と、データベース25と、を具備する。
【0045】
電力情報取得部21は、各ユーザ10の電源装置11から単位時間当たりの蓄電池12の容量の変化、つまりは蓄電池の充電量(SOC)と、負荷17の消費電力と、太陽光発電装置16の発電量とを含む電力情報を取得する。電力情報取得部21が取得した各ユーザ10の電力情報は、ユーザ10の識別コード等と関連付けてデータベース25に稼働実績として蓄積される。また、電力情報取得部21が取得したユーザ10毎の電力情報は、曜日(七曜)、季節(気温)などの条件と関連付けてデータベース25に蓄積される。なお、データベース25に蓄積される電力情報は、日付と関連付けてデータベース25に蓄積することで、蓄積された日付から曜日や季節を把握することもできる。このように電力情報取得部21が取得してデータベース25に蓄積された電力情報は、電力算出部23によるユーザ10の所定期間における負荷17の消費電力の予測、太陽光発電装置16の発電量の予測などに使用される。
【0046】
天気情報取得部22は、天気情報サーバ3から各ユーザ10の住所や地域などの位置情報に対応した天気予報の情報(天気予報情報)を取得する。天気情報取得部22が取得するユーザ10の位置情報は、例えば、データベース25に予め登録されたものである。なお、天気情報取得部22は、ユーザ10の所在地、つまりは太陽光発電装置16の設置場所を把握し、ユーザ10の所在地の1時間毎や2時間毎などの一定期間毎又は1日を通した天気予報の情報を取得する。また、天気情報取得部22が天気情報サーバ3から取得する天気予報情報は、詳しくは後述する電力算出部23が系統電力なしで負荷を動作可能な残量を含む確保容量を算出して蓄電池12の蓄電電力のうち利用可能な電力を算出する時に同時に取得すれば良い。もちろん、天気情報取得部22が取得する天気予報情報は、一定時間毎に定期的に取得するようにしてもよい。ちなみに、天気情報取得部22が取得する天気予報情報は、電力算出部23が算出する系統電力なしで負荷を動作可能な所定期間の天気情報を少なくとも含むものである。例えば、電力算出部23が算出する所定期間が、翌日の24時間の場合には、天気情報取得部22が取得する天気予報情報は翌日の24時間を少なくとも含むものであればよい。
【0047】
また、天気情報取得部22は、取得した天気予報情報を電力情報に関連付けてデータベース25に蓄積してもよい。このように天気予報情報と電力情報とを関連付けて太陽光発電装置の発電実績として蓄積しておくことで、詳しくは後述する電力算出部23が太陽光発電装置16の発電量を予測する際に過去の実績から予測することができ、精度を向上することができる。
【0048】
電力算出部23は、データベース25に蓄積された電力情報取得部21が取得した電力情報から、各ユーザ10の所定期間の一定時間毎の負荷17による消費電力を予測する。電力算出部23が予測する負荷17の消費電力の所定期間とは、系統電力なしで負荷17を動作可能とする予め設定された期間であり、例えば、翌日の24時間、36時間などの一定期間である。この所定期間は、ユーザ10又は蓄電池管理装置20の管理者が任意で設定可能としてもよい。例えば、ユーザ10が夜間などの一定の時刻は電力を使用しない場合には、所定期間を短く設定してもよい。
【0049】
ここで、電力算出部23が予測する各ユーザ10の負荷17による消費電力は、負荷17の稼働実績を示すデータベース25に蓄積された電力情報に基づいて算出することができる。上述のように、データベース25には、例えば、負荷17の消費電力を含む電力情報と曜日(七曜)、季節とが関連付けて蓄積されているため、消費電力を予測する日と同じ曜日及び季節に該当する過去の稼働実績を示す電力情報から予測する所定期間の一定時間毎の消費電力を予測することができる。なお、ユーザ10の負荷17の消費電力は、曜日によって、すなわち、平日と休日とで異なる。また、ユーザ10の負荷17の消費電力は、季節によって使用する空調の種類(冷房、暖房)やその使用量によって異なる。このため、電力算出部23は、消費電力を予測する曜日、季節に一致する電力情報をデータベース25から過去の稼働実績として取得して、所定期間の負荷17の消費電力を予測することで、消費電力の予測の精度を向上することができる。つまり、稼働実績であるデータベース25に蓄積された電力情報が少ないと、予測する負荷17の消費電力の精度は低く、データベース25に蓄積された電力情報が十分にあると、予測する負荷17の消費電力の精度は高くなる。負荷17の消費電力を予測するのに必要な電力情報とは、例えば、全曜日(1週間分)の電力情報である。
【0050】
また、電力算出部23は、データベース25に蓄積された過去の電力情報と天気情報取得部22が取得した天気予報情報(気温、天候、風速等)とに基づいて負荷17の消費電力を予測することが好ましい。これは、例えば、気温によって空調の使用量が異なったり、天候(雨、雪、台風)や風の強い場合などによって自宅に滞在する時間が長くなるなど、負荷17の消費電力が異なるからである。このため、電力算出部23は、データベース25に蓄積された過去の電力情報と天気情報取得部22が取得した天気予報情報とに基づいて負荷17の消費電力を予測することで、負荷17の消費電力の予測精度を向上することができる。
【0051】
ここで、電力算出部23が予測した負荷17の消費電力の一例を
図4に示す。負荷17の消費電力は、ユーザ10の生活スタイルによって異なるため、電力算出部23は、ユーザ10毎に負荷17の稼働実績を示すデータベース25に蓄積された電力情報に基づいて、
図4に示すように所定期間の一定時間毎の負荷17の消費電力を予測する。
【0052】
また、電力算出部23は、少なくとも天気情報取得部22が取得した天気予報情報と、各ユーザ10の太陽光発電装置16の発電効率とに基づいて、各ユーザ10の所定期間の一定時間毎の太陽光発電装置16による発電量を予測する。太陽光発電装置16による発電量は、天気に基づく日射量と太陽光発電装置16(太陽光パネル)の発電効率によって異なる。このため、電力算出部23は、少なくとも天気情報取得部22が取得した各ユーザ10の位置情報に対する天気予報情報と、太陽光発電装置16の発電効率とに基づいて、
図4に示すように、各ユーザ10の所定期間の一定時間毎の太陽光発電装置16の日射量(発電量)を予測する。また、太陽光発電装置16の発電量は、太陽光パネルの汚れなどによる発電効率の経年劣化、太陽光パネルの角度及び方向、太陽の位置や日射時間を示す季節、日射量を示す天気(天気予報)によって異なる。このため、電力算出部23は、天気予報情報及び太陽光発電装置16の発電効率に加えて、太陽光パネルの経年劣化による発電低下率、太陽光パネルの角度及び方向、太陽の位置や日射時間を示す季節などに基づいて太陽光発電装置16の発電量を予測することが好ましい。このように、電力算出部23は、天気予報情報及び太陽光発電装置16の発電効率に加えて、太陽光パネルの経年劣化による発電低下率、太陽光パネルの角度及び方向、太陽の位置や日射時間を示す季節などに基づいて太陽光発電装置16の発電量を予測することで、発電量の予測の精度を向上することができる。ちなみに、太陽光発電装置16の発電量を予測する情報は、データベース25に蓄積されていれば良い。また、特定の日付又は季節における天気情報取得部22が取得した天気予報情報と、電力情報取得部21が取得した各ユーザ10の電力情報に含まれる太陽光発電装置16による発電量とを関連付けて発電実績としてデータベース25に蓄積し、この発電実績に基づいて所定期間の一定時間毎の太陽光発電装置16の天気予報情報に基づく発電量を予測することがさらに好ましい。このように、電力算出部23は、天気予報に基づく太陽光発電装置16の発電実績から太陽光発電装置16の発電量を予測することで、さらに発電量の予測精度を向上することができる。
【0053】
このように電力算出部23が算出した所定期間の一定時間毎の太陽光発電装置16による発電量は、太陽光発電装置16による蓄電池12への充電量として扱われる。
【0054】
電力算出部23は、ユーザ10毎に所定期間の一定時間毎に予測した負荷17の消費電力と太陽光発電装置16の発電量とに基づいて、ユーザ10毎に所定期間に一定時間毎に系統電力4なしで負荷17を動作可能な蓄電池12の電力を少なくとも含む確保電力を算出する。つまり、所定期間において一定時間毎に系統電力4なしで太陽光発電装置16のみで蓄電池12に充電を行った場合に、負荷17を動作可能な電力を確保電力として算出する。このような確保電力C3は、
図4及び下記表1に示すように、所定期間の一定時間毎に系統電力4なしで負荷17を動作可能な消費電力(C1)と、所定期間の一定時間毎に太陽光発電装置16による発電量(C2)、つまり、蓄電池12に充電する量との差分ΔC(C2-C1)により算出することができる。なお、所定期間とは、予め設定された期間であり、例えば、翌日の24時間、36時間などの一定期間である。また、一定時間とは、所定期間を一定の間隔で区切った時間であり、例えば、30分間、1時間、2時間などである。電力算出部23は、例えば、表1に示すように翌日の0:00から翌々日の0:00までの24時間において30分毎に系統電力4なしで負荷17を動作可能な消費電力C1と、太陽光発電装置16の発電による発電量C2との差分ΔCから、負荷17に蓄電池12から供給する確保電力C3を算出する。
【0055】
【0056】
表1及び
図4に示すように、6:00から6:30では負荷17の消費電力C1は2kwであるのに対し、太陽光発電装置16の発電量C2は1kwとなり、発電量C2は、負荷17の消費電力C1よりも小さい。したがって、太陽光発電装置16による発電だけでは、負荷17を動作させることができないため、負荷17を動作させるのに足りない差分ΔCの電力を蓄電池12から供給する。この負荷17を動作させるのに必要な蓄電池12の電力を確保電力C3と称する。したがって、確保電力C3は、消費電力C1と発電量C2との差分ΔC(C2-C1)の絶対値|ΔC|を蓄電池12から供給するために蓄電池12に確保しておく電力であり、確保電力C3は、差分|ΔC|を少なくとも含むものである。つまり、6:00から6:30までの確保電力C3は、少なくともΔCである-1kwの絶対値である1kwを含むものである。なお、確保電力C3は、実際の負荷17の消費電力が、予測した負荷17の消費電力C1よりも大きくなった場合にも対応できるように、系統電力4なしで負荷17を予測した消費電力で動作可能な蓄電池12の電力、つまり、消費電力C1と発電量C2との差分ΔCの絶対値|ΔC|よりも若干大きな電力として確保しておくことが好ましい。つまり、確保電力C3は、安全係数を考慮して、差分ΔCの絶対値|ΔC|と各ユーザ10に対して一律に設定された電力(余裕電力)との合計であることが好ましい。このように確保電力C3は、予測した負荷17の消費電力C1と太陽光発電装置16の発電量C2との差分ΔCの絶対値|ΔC|よりも余裕電力の分だけ大きく設定しておくことで、有事の際に実際の負荷17の消費電力C1が予測した負荷17の消費電力よりも大きくなった場合であっても、負荷17の動作を制限することなく、負荷17を通常通りに動作させることができる。ただし、確保電力C3に含まれる余裕電力を大きくし過ぎると、蓄電池12から外部の系統電力4に提供できる電力量が小さくなり、利用可能な電力量を外部に供給することで得られる対価が少なくなってしまう。このため、余裕電力は、差分ΔCの絶対値|ΔC|の20%以下とするのが好ましい。
【0057】
なお、電力算出部23が予測した負荷17の消費電力C1が、太陽光発電装置16の発電量C2よりも小さい場合には(C1<C2)、その差分ΔC(C2-C1)が蓄電池12に充電される。
【0058】
また、確保電力C3は、差分ΔCの絶対値|ΔC|に加えて、ユーザ10毎に設定された任意電力を含むものとしてもよい。このユーザ10毎に設定された任意電力とは、各ユーザ10の要望によって設定するものである。例えば、有事の際にも負荷17を確実に動作させたい要望のユーザ10に対しては、確保電力C3として差分ΔCの絶対値|ΔC|に加える任意電力を比較的大きくする。これに対して、有事の際には負荷17の使用を制限しても良いので蓄電池12の電力を系統電力に供給して、できるだけ対価を得たい要望のユーザ10に対しては、確保電力C3として差分ΔCの絶対値|ΔC|に加える任意電力を比較的小さく又はゼロ(0)にする。このように確保電力C3として、差分ΔCにユーザ10毎に任意に設定された任意電力を加えることで、ユーザ10の要望に合わせて、負荷17を確実に動作させるように安全性を高めることや、蓄電池12の電力を系統電力4に供給して対価を得やすくすることができる。
【0059】
そして、電力算出部23は、算出した確保電力C3に基づいて、蓄電池12が外部に提供可能な電力量を算出する。すなわち、電力算出部23は、蓄電池12の全容量から確保電力C3を減算し、減算した残量を利用可能な電力として算出する。
【0060】
ここで、
図4及び表1に示すように、6:00から6:30では、負荷17の消費電力C1が2kw、太陽光発電装置16の発電量C2が1kwであるため、差分ΔCは-1kwとなり、例えば、蓄電池の確保電力C3を差分ΔCの絶対値である1kwとする。これにより、例えば、蓄電池の充電量(SOC)が100kwの場合、確保電力C3は1kwとなり、利用可能な電力量は99kw、すなわち、SOCの99%となる。しかしながら、その後の6:30から7:00では、負荷17の消費電力C1は3kw、太陽光発電装置16の発電量C2は1kwとなり、太陽光発電装置16の発電量C2が、負荷17の消費電力C1を下回るため、6:00から6:30に蓄電池12のSOCの99%の電力を外部の系統電力4に提供してしまうと、6:30から7:00に蓄電池12の残量が無くなり、負荷17を動作させることができなくなってしまう。したがって、電力算出部23は、所定期間、例えば、24時間の全体を通して負荷17を動作させることができるように、所定期間において最終的な利用可能な電力量を算出する。ここで、所定期間において系統電力4なしで太陽光発電装置16による充電だけで負荷17を使用した場合の時刻と蓄電池12の充電率(SOC)との関係を
図5のグラフに示す。
図5に示すように、時刻の経過と共に負荷17を使用したことで蓄電池12の充電率は徐々に下がっていき、確保電力C3だけ充電率は下がる。そして、所定期間において最終的に残ったSOCが電力量C4となる。また、天候が雨や曇りで日射量が少ない場合や負荷17の消費電力C1が大きい場合には、
図5中に点線で示すように蓄電池12の充電率の低下率は大きくなり、電力量C4よりも少ない電力量C4Aとなる。また、日射量が大きい場合や負荷17の消費電力C1が小さい場合には、
図5中に一点鎖線で示すように蓄電池12の充電率の低下率は小さくなり、電力量C4よりも大きな電力量C4Bとなる。
【0061】
このように、電力算出部23は、所定期間において系統電力4なしで太陽光発電装置16の発電のみで負荷17を動作可能な電力を蓄電池12に確保電力C3として確保しつつ、蓄電池12の電力量C4を外部の系統電力4に供給できる利用可能な電力量として算出する。
【0062】
このように電力算出部23が算出したユーザ10毎の利用可能な電力量C4は、提示部24によって外部、本実施形態では、VPPサーバ2に提示される。本実施形態の提示部24は、例えば、データベース25に蓄積されたユーザ10の識別コードとユーザ10の電力量C4とを関連付けたデータをVPPサーバ2が参照可能なように提示するようにしてもよい。つまり、VPPサーバ2は、蓄電池管理装置20から必要な情報を、ネットワークNを介して取得する。もちろん、提示部24は、ユーザ10の識別コードと電力量C4とを関連付けたデータを、予め設定された時刻にVPPサーバ2にネットワークNを介して送信するようにしてもよい。つまり、提示部24が算出された利用可能な電力を外部に提示するとは、外部から参照可能なように提示することも、この利用可能な電力を外部に送信して提示することも含むものである。
【0063】
そして、VPPサーバ2は、取引先からの電力調整依頼を受けて電力調整を行う場合には、蓄電池管理装置20から提示されたユーザ10の識別コードと電力量C4とに基づいて、ユーザ10の管理装置14に蓄電池12から外部の系統電力4に電力を供給するように指令を送信する。
【0064】
なお、電力算出部23が電力量C4を算出するタイミングは、VPPサーバ2からの照会タイミングと同時に行えば良い。例えば、VPPサーバ2は、取引先からの電力調整依頼を受けた場合、蓄電池12から外部の系統電力4に利用可能な電力量を供給可能か否かを蓄電池管理装置20に照会する。このVPPサーバ2から電力調整の可否を照会されるタイミングに合わせて、天気予報情報を取得して所定期間における利用可能な電力量C4を算出すれば、最新の天気予報に適した利用可能な電力量C4を算出してVPPサーバ2に提示することができる。したがって、利用可能な電力量C4を予測する精度を向上して、負荷17の動作が制限されることなく、利用可能な電力量C4を外部に供給することができる。
【0065】
このように蓄電池管理装置20は、有事の際に負荷17の動作を制限することなく、負荷17を通常通りに動作させることができると共に蓄電池12の電力量C4を系統電力4に供給することができる。したがって、有事の際に負荷17の動作を制限する設定やモード変更を行う必要がなく、煩雑な操作を不要として、蓄電池12の電力量C4を外部に供給して対価を得ることができる。また、利用可能な電力量C4は、ユーザ10の地理情報に合った天気予報によって算出されるため、精度の高い予測を行うことができる。したがって、有事の際に蓄電池12の残量不足が生じ難く、負荷17を通常通りに動作させることができ、利便性を向上することができる。
【0066】
ここで、本実施形態の蓄電池管理方法について
図6を参照して説明する。なお、
図6は、蓄電池管理方法を説明するフローチャートである。
【0067】
各ユーザ10の蓄電池12の電力量C4の算出は、
図6に示すように、まずステップS1で、電力情報取得部21がユーザ10の管理装置14から電力情報を取得してデータベース25に蓄積する。
【0068】
次に、ステップS2で、所定期間の負荷17の消費電力C1の予測に必要な電力情報が蓄積されたか判別し、ステップS2で予測に必要な電力情報が蓄積されていない場合には(ステップS2:No)、予測に必要な電力情報が蓄積されるまでステップS1からステップS2を繰り返し行う。ここで、予測に必要な電力情報とは、例えば、全曜日毎(1週間分)の負荷17の電力消費量である。
【0069】
ステップS2で、予測に必要な電力情報が蓄積された場合には(ステップS2:Yes)、ステップS3で、天気情報取得部22が、天気情報サーバ3から各ユーザ10の地理情報に合った天気予報情報を取得する。
【0070】
ステップS4で、太陽光発電装置16による発電量の予測に必要な天気予報情報が取得されたか判別し、ステップS4で予測に必要な天気予報情報が取得されない場合には(ステップS4:No)、予測に必要な天気予報情報が取得できるまでステップS3からステップS4を繰り返し行う。なお、予測に必要な天気予報情報が取得できない場合には(ステップS4:No)、蓄電池管理装置20の管理者等にエラー表示等で示すようにしてもよい。
【0071】
ステップS4で、予測に必要な天気予報情報が取得できた場合には(ステップS4:Yes)、ステップS5で、電力算出部23が、データベース25に蓄積された電力情報と予測した発電量とに基づいて、系統電力4なしで負荷17を動作可能な電力を少なくとも含む確保電力C3と、電力量C4とを算出する。
【0072】
その後、ステップS6で、電力算出部23が算出した利用可能な電力量C4を、提示部24がユーザ10の識別コード等と共に外部、例えば、VPPサーバ2に提示する。
【0073】
VPPサーバ2は、蓄電池管理装置20に提示された電力量C4に基づいて、ユーザ10の電源装置11に蓄電池12の電力を外部の系統電力4に供給するように指令を送信する。
【0074】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
【0075】
例えば、上述した実施形態1の蓄電池管理装置20では、有事の際に所定期間に系統電力4なしで、負荷17を動作可能な電力を確保電力C3として算出し、確保電力C3から蓄電池12の外部に提供可能な電力量C4を算出するようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、ピークシフトによって、昼間は系統電力4から蓄電池12に充電を行わず、夜間に系統電力4から蓄電池12に充電を行う場合にも本発明を適用することができる。すなわち、昼間は、系統電力4から蓄電池12への充電を行わせずに、太陽光発電装置16による蓄電池12への充電のみで予測した負荷17の消費電力C1を賄える蓄電池12の確保電力C3を算出し、蓄電池12の外部の系統電力に供給可能な利用可能な電力量C4を算出する。そして、夜間は、系統電力4によって蓄電池12に充電を行う。これにより、系統電力4を消費する時間帯をずらして、電力需要ピーク時における系統電力4の電力消費を抑えることができると共に、電力需要ピーク時に蓄電池12の蓄電電力のうち利用可能な電力を系統電力4に供給することができる。
【0076】
また、蓄電池管理装置20は、複数のユーザ10に対して、蓄電池12の電力量C4を外部に供給する優先順位を決定し、利用可能な電力量C4と優先順位とを外部に提示するようにしてもよい。例えば、電力量C4が大きいユーザ10の優先順位を高くし、電力量C4が小さいユーザの優先順位を低くし、電力量C4の大きなユーザ10から優先的に外部に電力を供給するように提示してもよい。ただし、電力量C4が小さくても積極的に外部に電力を供給して対価を受け取りたいユーザ10や、利用可能な電力量C4が大きくても蓄電池12に電力量C4をできるだけ残して外部に電力を供給したくないユーザ10などが存在する。このため、例えば、ユーザ10の要望に合わせて管理者は、予めユーザ10毎に外部に供給するための重み付けを任意に設定しておく。電力算出部23は、ユーザ10毎の外部に供給可能な利用可能な電力量C4と、ユーザ10毎に任意に設定された重み付けとに基づいて、複数のユーザ10に対して電力を外部に供給する優先順位を決定し、提示部24は、ユーザ10毎の利用可能な電力量C4と優先順位とを外部に提示してもよい。
【0077】
また、各ユーザ10が、複数の蓄電池12を具備するものであってもよい。このようにユーザ10が複数の蓄電池12を具備する場合には、各蓄電池12の確保電力C3の総計を「確保電力」とすればよい。
【0078】
また、蓄電池管理装置20の提示部24は、電力算出部23の確保電力C3の算出により、系統電力4なしで負荷17を動作させる蓄電池12の残量が足りない場合はその旨を外部、例えば、他の電力管理対象である他のユーザ10に提示する。具体的には、系統電力4なしで負荷17を動作させる蓄電池12の残量が足りない旨を、利用可能な電力量を提供可能な他のユーザ10の蓄電池12の管理手段である管理装置14に提示する。そして、この提示の後、利用可能な電力量を提供可能な他のユーザ10の蓄電池12の管理装置14は、当該蓄電池12から、系統電力なしで負荷17を動作させる蓄電池12の残量が足りないユーザ10の蓄電池12に提供するように制御する。これにより有事の際に特定のユーザグループ内のユーザ10同士で、足りない電力を電力量C4で賄うことができるため、負荷17の動作を制限することがなく、利便性を向上することができる。なお、ユーザ10が複数の電源装置11を有する場合、ユーザ10の複数の電源装置11の間で、上述した電力のやりとりを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 蓄電池管理システム
2 VPPサーバ
3 天気情報サーバ(天気予報供給手段)
4 系統電力
10 ユーザ(電力管理対象)
11 電源装置
12 蓄電池
12A 電池セル
13 監視装置
14 管理装置
15 充放電装置
16 太陽光発電装置
17 負荷
20 蓄電池管理装置
21 電力情報取得部
22 天気情報取得部
23 電力算出部
24 提示部
25 データベース
C1 消費電力
C2 発電量
C3 確保電力
C4、C4A、C4B 利用可能な電力量
N ネットワーク