(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】起伏式防波装置
(51)【国際特許分類】
E02B 3/06 20060101AFI20250109BHJP
E02B 7/40 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
E02B3/06 301
E02B7/40
(21)【出願番号】P 2021111626
(22)【出願日】2021-07-05
【審査請求日】2024-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】591073337
【氏名又は名称】株式会社丸島アクアシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 忠男
(72)【発明者】
【氏名】半田 英明
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-159912(JP,A)
【文献】特開2012-207487(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0218735(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/04-3/14
E02B 7/20-7/54
E02B 8/02-8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底に設置されている敷き部材と、
前記敷き部材に対して略平行状態で倒れる倒伏位置と、前記敷き部材に対して起き上がる起立位置とに揺動可能であって、前記倒伏位置において、押し波方向の波力を受ける一端部と引き波方向の波力を受ける他端部とがそれぞれ前記敷き部材よりも上方に設定され、この各端部から前記敷き部材に接触する下面との間が、側面視で下向き略円弧状若しくは略台形状に形成されている扉体と、
前記扉体を押し波方向の波力に抗して起立位置に保持する第1の保持部材と、
前記扉体を引き波方向の波力に抗して起立位置に保持する第2の保持部材と、
前記一端部の下方に設けられ、流体の供給を受けて膨張することにより引き波方向の波力による前記扉体の起立を阻止する第1の袋体と、
前記他端部の下方に設けられ、流体の供給を受けて膨張することにより押し波方向の波力による前記扉体の起立を阻止する第2の袋体と、
前記第1の袋体および前記第2の袋体に流体を供給し、または前記第1の袋体および前記第2の袋体から流体を排出する流体給排設備と、
を備えることを特徴とする起伏式防波装置。
【請求項2】
前記第1の袋体および前記第2の袋体は、外周囲が閉じられた
気密構造であり、前記流体の供給を受けて上面が円弧状に突出するように膨張することを特徴とする請求項1に記載の起伏式防波装置。
【請求項3】
前記流体給排設備は、
前記第1の袋体および前記第2の袋体に給排される流体が流通する給排管と、
前記給排管に設置され、開方向に駆動されることにより前記第1の袋体および前記第2の袋体に流体を供給する供給弁と、
前記給排管に設置され、開方向に駆動されることにより前記第1の袋体および前記第2の袋体から流体を排出する排出弁と、
前記供給弁および排出弁の開閉動作を制御する制御装置と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の起伏式防波装置。
【請求項4】
地震を検知する地震計をさらに備え、
前記制御装置は、前記地震計により地震が検知された際に前記排出弁を開くことを特徴とする請求項3に記載の起伏式防波装置。
【請求項5】
前記流体給排設備は、バッテリを内蔵した非常用排出弁をさらに備え、
前記非常用排出弁は、前記制御装置から電気が供給されない場合に、前記バッテリから電気の供給を受けて開方向に駆動されることを特徴とする請求項3または4に記載の起伏式防波装置。
【請求項6】
前記保持部材は、弾性または可撓性を有するベルトであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の起伏式防波装置。
【請求項7】
水底に設置されている敷き部材と、
前記敷き部材に対して略平行状態で倒れる倒伏位置と、前記敷き部材に対して起き上がる起立位置とに揺動可能であって、前記倒伏位置において、押し波方向の波力を受ける一端部と引き波方向の波力を受ける他端部とがそれぞれ前記敷き部材よりも上方に設定され、この各端部から前記敷き部材に接触する下面との間が、側面視で下向き略円弧状若しくは略台形状に形成されている扉体と、
前記扉体を押し波方向の波力に抗して起立位置に保持する第1の保持部材と、
前記扉体を引き波方向の波力に抗して倒伏位置に保持する第2の保持部材と、
前記他端部の下方に設けられ、流体の供給を受けて膨張することにより押し波方向の波力による前記扉体の起立を阻止する袋体と、
前記袋体に流体を供給し、または前記袋体から流体を排出する流体給排設備と、
を備えることを特徴とする起伏式防波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起伏式防波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、敷き部材に対して略平行の倒伏位置から波力により略垂直の起立位置に起立可能な扉体と、この扉体を押し波方向または引き波方向の波力に抗して起立位置に保持するベルトとを備えた起伏式防波装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の起伏式防波装置によれば、津波等の過大な波の発生時に、押し波方向または引き波方向の波力を受けて扉体が起立するとともに、起立した扉体がベルトにより起立位置に保持されるので、この起立位置に保持された扉体の防波作用により波のエネルギーを吸収でき、津波等による被害を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の起伏式防波装置の扉体では、船の通過時に発生する波や高潮などによっても起立し、その際に扉体と船体が接触し、船体を損傷するおそれがあるという問題がある。
【0006】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、必要時にのみ扉体が起立可能な状態となる起伏式防波装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するためのものとして、本発明の一局面にかかる起伏式防波装置は、水底に設置されている敷き部材と、前記敷き部材に対して略平行状態で倒れる倒伏位置と、前記敷き部材に対して起き上がる起立位置とに揺動可能であって、前記倒伏位置において、押し波方向の波力を受ける一端部と引き波方向の波力を受ける他端部とがそれぞれ前記敷き部材よりも上方に設定され、この各端部から前記敷き部材に接触する下面との間が、側面視で下向き略円弧状若しくは略台形状に形成されている扉体と、前記扉体を押し波方向の波力に抗して起立位置に保持する第1の保持部材と、前記扉体を引き波方向の波力に抗して起立位置に保持する第2の保持部材と、前記一端部の下方に設けられ、流体の供給を受けて膨張することにより引き波方向の波力による前記扉体の起立を阻止する第1の袋体と、前記他端部の下方に設けられ、流体の供給を受けて膨張することにより押し波方向の波力による前記扉体の起立を阻止する第2の袋体と、前記第1の袋体および前記第2の袋体に流体を供給し、または前記第1の袋体および前記第2の袋体から流体を排出する流体給排設備と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
この構成によれば、扉体の一端部及び他端部の下方に設けられた第1の袋体および第2の袋体(以下、両袋体を総称して単に「袋体」と呼ぶことがある。)に流体を給排する流体給排設備を設けたので、必要に応じて扉体の起立を阻止し、または扉体を起立可能な状態とすることができる。例えば、地震が発生しておらず津波の心配がない場合には、袋体へ流体を供給し、当該流体の供給を受けて膨張した袋体によって扉体の一端部および他端部を支持することにより、船が通過する際に発生する波による扉体の起立を阻止することができる。一方、地震が発生して津波の心配がある場合には、袋体から流体を排出し、袋体による扉体の支持を解除することにより、扉体を起立可能な状態とすることができる。
【0009】
前記第1の袋体および前記第2の袋体は、外周囲が閉じられた気密構造であり、前記流体の供給を受けて上面が円弧状に突出するように膨張することが好ましい。
【0010】
この態様によれば、流体の供給を受けて円弧状に突出する袋体の上面に扉体の一端部及び他端部を支持させることにより、扉体の不用意な起立を適正に阻止することができる。
【0011】
前記流体給排設備は、前記第1の袋体および前記第2の袋体に給排される流体が流通する給排管と、前記給排管に設置され、開方向に駆動されることにより前記第1の袋体および前記第2の袋体に流体を供給する供給弁と、前記給排管に設置され、開方向に駆動されることにより前記第1の袋体および前記第2の袋体から流体を排出する排出弁と、前記供給弁および排出弁の開閉動作を制御する制御装置と、を備えることが好ましい。
【0012】
この態様によれば、供給弁及び排出弁が設けられた給排管に袋体が接続されているので、供給弁を開閉し、または排出弁を開閉することで、流体の給排出を適正に切り替えることができる。
【0013】
請求項3に記載の起伏式防波装置は、地震を検知する地震計をさらに備え、前記制御装置は、前記地震計により地震が検知された際に前記排出弁を開くことが好ましい。
【0014】
この態様によれば、地震の発生が検知されて津波の発生が想定される場合に、自動的に排出弁が開方向に駆動されるので、当該駆動に応じて袋体から流体が排出される結果、扉体を起立可能な状態とすることができる。
【0015】
前記流体給排設備は、バッテリを内蔵した非常用排出弁をさらに備え、前記非常用排出弁は、前記制御装置から電気が供給されない場合に、前記バッテリから電気の供給を受けて開方向に駆動されることが好ましい。
【0016】
この態様によれば、停電時に排出弁に電気が供給されなくなった場合でも、バッテリを内蔵した非常用排出弁が開方向に駆動されることで、扉体を起立可能な状態とすることができる。
【0017】
前記保持部材は、弾性または可撓性を有するベルトであることが好ましい。
【0018】
この態様によれば、扉体が起立する際の扉体本体に対する負担を軽減することができる。
【0019】
本発明の他の局面にかかる起伏式防波装置は、水底に設置されている敷き部材と、前記敷き部材に対して略平行状態で倒れる倒伏位置と、前記敷き部材に対して起き上がる起立位置とに揺動可能であって、前記倒伏位置において、押し波方向の波力を受ける一端部と引き波方向の波力を受ける他端部とがそれぞれ前記敷き部材よりも上方に設定され、この各端部から前記敷き部材に接触する下面との間が、側面視で下向き略円弧状若しくは略台形状に形成されている扉体と、前記扉体を押し波方向の波力に抗して起立位置に保持する第1の保持部材と、前記扉体を引き波方向の波力に抗して倒伏位置に保持する第2の保持部材と、前記他端部の下方に設けられ、流体の供給を受けて膨張することにより押し波方向の波力による前記扉体の起立を阻止する袋体と、前記袋体に流体を供給し、または前記袋体から流体を排出する流体給排設備と、を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
例えば、起伏式防波装置を河川の河口付近に設置する場合には、津波発生時に引き波を防ぐ必要性が低く、押し波のみを防ぐことが要求され得る。前記他の局面にかかる起伏式防波装置は、このような場合に有用である。すなわち、当該起伏式防波装置では、扉体の他端部であって押し波方向の波力を受ける側とは反対側の端部にのみ袋体が設置されているので、袋体の数を減らして構造を簡素化しつつ、津波発生時には前記袋体から流体を排出することで押し波方向の波力による扉体の起立を許容し、起立した扉体により波のエネルギーを吸収することができる。また、地震による津波が発生しない平常時には、前記他端部において流体の供給を受けて膨張する袋体と、引き波方向の波力に抗して扉体を倒伏位置に保持する第2の保持部材とにより、押し波方向の波力による扉体の起立と引き波方向の波力による扉体の起立との双方を適正に阻止することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、必要時にのみ扉体が起立可能な状態となる起伏式防波装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態の起伏式防波装置であって、平常時の斜視図である。
【
図5】前記起伏式防波装置にかかる給排気設備の回路図である。
【
図6】前記膨張時の空気袋であって、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【
図7】前記空気袋の機能を説明するための図であって、(a)は膨張した空気袋が扉体と接している状態を示す側面図、(b)は空気袋の収縮によって扉体の起立が可能になった状態を示す側面図である。
【
図8】前記起伏式防波装置の扉体が押し波により起立したときの状態を示す斜視図である。
【
図9】前記起伏式防波装置の扉体が押し波により起立したときの状態を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図10】前記起伏式防波装置の扉体が引き波により起立したときの状態を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図11】前記起伏式防波装置に係る敷き部材の機能を説明する図面であって、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【
図12】本発明の第2実施形態の平常時における起伏式防波装置であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図13】前記起伏式防波装置の扉体が押し波により起立したときの状態を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図14】本発明の第3実施形態の空気袋であって、(a)は膨張時の正面図、(b)は平面図、(c)は側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1~
図4は、本発明の第1実施形態にかかる起伏式防波装置の平常時(地震による押し波や引き波が無い時)の状態を表す図である。これら
図1~
図4に示すように、起伏式防波装置は、港湾の固定防波堤30で仕切られた出入口(水路)31に敷設された敷き部材12と、敷き部材12の上部に配置された扉体(ゲート)11と、扉体11の一端部11aの下方に設置された第1の空気袋40A(本発明における「第1の袋体」に相当)と、扉体11の他端部11bの下方に設置された第2の空気袋40B(本発明における「第2の袋体」に相当)と、第1、第2の空気袋40A,40Bに空気を給排する給排気設備20(本発明における「流体給排気設備」に相当)と、を備えている。第1,第2の空気袋40A,40Bと給排気設備20は、給排気設備20から延びる給排気ホース22と、給排気ホース22の先端部が接続される配管チャンバー25と、配管チャンバー25と空気袋40を接続する複数の可撓ホース23とにより接続されている。なお、以下では第1,第2の空気袋40A,40Bを総称して単に「空気袋40」と呼ぶことがある。
【0025】
起伏式防波装置は、津波の発生の有無に応じて扉体11の起立を許容または阻止することが可能である。例えば、地震が発生しておらず津波の心配がない場合には、空気袋40へ空気を供給し、当該空気の供給を受けて膨張した空気袋40によって扉体11を支持する。これにより、船舶34が通過する際に発生する波による扉体11の不用意な起立を阻止することができる。一方、地震が発生して津波の心配がある場合には、空気袋40から空気を排出し、空気袋40による扉体11の支持を解除する。これにより、扉体11の起立を許容して津波による被害を軽減することができる。
【0026】
扉体11は、
図1等を参照すれば、平面視では、出入口31等の幅方向に延在する略長方形状である。出入口31等の幅が広い場合には、
図1及び
図8に示したようにその幅をカバーできるように、横並び状で複数台(本例では2台)が配列されることになる。この場合、隣り合う扉体11の間には、扉体11の横方向移動を規制するガイド板14が設けられている。
【0027】
扉体11は、空気袋40の収縮時(空気袋40が収縮した状態)には、敷き部材12に対して略平行状態で倒れる倒伏位置〔
図4参照〕と、敷き部材12に対して略垂直状態で起き上がる起立位置〔
図9(b)、
図10(b)参照〕とに揺動可能となっている。一方、空気袋40の膨張時(空気袋40が膨張した状態)には、扉体11は起立位置に起立することができず、倒伏位置に保持される。
【0028】
扉体11は、空気袋40の膨張時の倒伏位置において、押し波方向aの波力を受ける一端部11aと、引き波方向bの波力を受ける他端部11bとが、それぞれ敷き部材12よりも上方に設定されている。そして、少なくとも各端部11a,11bから敷き部材12に接触する下面11dとの間が、側面視で略円弧状に形成されている。具体的には、一端部11aと他端部11bとの間の下面11dが側面視で下向き略円弧状に形成され、上面11cがフラット状に形成されている(略三日月形状)。
【0029】
扉体11は、ステンレス鋼板等の上下面11c,11dと両側面11e,11fとを組み合わせて溶接することで中空状に形成され、この中空部内に適量の液体が充填されている。これにより、扉体11に浮力が生じないので、敷き部材12の上部に倒伏位置で設置することが可能となる。
【0030】
ここで、
図11は、扉体11と敷き部材12との関係を明確にし、その他の部材の記載を省略したものである。
【0031】
敷き部材12は、
図11(a)によれば、略円弧状のステンレス鋼板等の上面12aと、水底33に固定された下面12bと、側面12dとからなる鋼材等を組み合わせて溶接され、密閉された状態で設置されており、内部には液体等が充填され、浮遊しないようになっている。また、敷き部材12には、給排気ホース22および可撓ホース23が貫通する貫通穴12cが設けられている。
【0032】
敷き部材12は、
図1のように、水底33に形成した凹部33aの底に設置され、この敷き部材12の上部に設置した扉体11は、倒伏位置の扉体11の上面11cが水底33よりも上方に大きく突出しないように設定されており、船舶34の航行等に支障を生じさせないようになっている。
【0033】
敷き部材12は一個の扉体11に対して複数台設置されている。本実施形態においては
図2、
図3、
図11(a)に示すように、扉体11の一端から順に、第1の敷き部材12Aと、第2の敷き部材12Bと、第3の敷き部材12Cと、第4の敷き部材12Dの4台の敷き部材12が設置されている。
【0034】
敷き部材12における扉体11の下面11dに対向する上面12aは、側面視で上向き略円弧状に形成されており、また、敷き部材12の下面12bは略水平な長方形状の面である。
【0035】
これにより、扉体11の各端部11a,11bの下面11dと敷き部材12の上面12aとの間に、扉体11の一端部(若しくは他端部11b)11aと水平面Kとの間の波力が流入するための隙間(仰角)fに加えて、この水平面Kと敷き部材12の上面12aとの間にも、波力が流入するための隙間(仰角)fが自然に形成されるようになる〔
図11(b)参照〕。
【0036】
扉体11に対しては、複数本(本例では幅方向に所定の間隔を隔てて4本)の、可撓性を有する第1の固定ベルト4が設けられている。この第1の固定ベルト4は、敷き部材12における押し波方向aの上流側の端部の近傍に一端4aが連結され、扉体11の下面11dに沿って延在して、他端4bが扉体11の他端部11bに連結されている。
【0037】
扉体11の他端部11bは、第1の固定ベルト4により、揺動可能になるように支持される。第1の固定ベルト4は、扉体11が押し波方向aからの波力を受けて転動し、敷き部材12に接する他端部11bを支点として倒伏位置から起立位置に起き上がる程度の長さとする〔
図9(b)参照〕。
【0038】
各第1の固定ベルト4と同じ位置(
図1、
図8のように幅方向にずらせることも可。)に、可撓性を有する第1の引き止めベルト6(本発明における「第1の保持部材」に相当)が設けられている。この第1の引き止めベルト6は、その一端6aが、敷き部材12における押し波方向aの上流側の端部に設置された第1のターンドラム6cを介して敷き部材12に固定されており、他端6bが扉体11の一端部11aに連結されている。
【0039】
第1の引き止めベルト6は、扉体11が押し波方向aからの波力を受けて転動し、起立位置に起き上がった時に、扉体11を押し波方向aの波力に抗して起立位置に保持する程度の長さとする。
【0040】
なお、第1の固定ベルト4の一端4aを敷き部材12に連結し、第1の引き止めベルト6の一端6aを、第1のターンドラム6cを介して敷き部材12に固定しているが、それぞれを水底に設置したアンカーブロックに連結することもできる。次述する第2の固定ベルト5の一端5aと第2の引き止めベルト7の一端7aも同様である。
【0041】
扉体11に対しては、第1の固定ベルト4と重ならないように、複数本(本例では幅方向に所定の間隔を隔てて2本)の、可撓性を有する第2の固定ベルト5が設けられ、この第2の固定ベルト5は、敷き部材12における引き波方向bの上流側の端部の近傍に一端5aが連結され、扉体11の下面11dに沿って延在して、他端5bが扉体11の一端部11aに連結されている。
【0042】
扉体11の一端部11aは、第2の固定ベルト5により、揺動可能になるように支持される。第2の固定ベルト5は、扉体11が引き波方向bからの波力を受けて転動し、敷き部材12に接する一端部11aを支点として倒伏位置から起立位置に起き上がる程度の長さとする〔
図10(b)参照〕。
【0043】
各第2の固定ベルト5と同じ位置(
図1、
図8のように幅方向にずらせることも可。)に、可撓性を有する第2の引き止めベルト7(本発明における「第2の保持部材」に相当)が設けられている。この第2の引き止めベルト7は、その一端7aが、敷き部材12における引き波の方向bの上流側の端部に設置された第2のターンドラム7cを介して敷き部材12に固定されており、他端7bが扉体11の他端部11bに連結されている。
【0044】
第2の引き止めベルト7は、扉体11が引き波方向bからの波力を受けて転動し、起立位置に起き上がった時に、扉体11を引き波方向bの波力に抗して起立位置に保持する程度の長さとする。
【0045】
第1、第2引き止めベルト6,7に代えて、扉体11を押し波方向aの波力に抗して起立位置に保持するとともに、扉体11を引き波方向bの波力に抗して起立位置に保持するように、扉体11に対してストッパ部材を設けることも可能である。
【0046】
図3および
図4等に示すように、扉体11の一端部11aの下方に位置する第1の空気袋40Aは、1つの扉体11に対し2つずつ設置されている。具体的に、第1の空気袋40Aは、第1の敷き部材12Aと第2の敷き部材12Bとの間の水底、および第3の敷き部材12Cと第4の敷き部材12Dとの間の水底に各1台ずつ設置されている。
【0047】
また、扉体11の他端部11bの下方に位置する第2の空気袋40Bは、1つの扉体11に対し2つずつ設置されている。具体的に、第2の空気袋40Bは、第1の敷き部材12Aと第2の敷き部材12Bとの間の水底、および第3の敷き部材12Cと第4の敷き部材12Dとの間の水底に各1台ずつ設置されている。
【0048】
第1の空気袋40Aは、扉体11を一端部11aから支えるストッパの役割を果たし、第2の空気袋40Bは、扉体11を他端部11bから支えるストッパの役割を果たす。これら第1,2の空気袋40A,40Bは、扉体11の必要時以外の起立を阻止するものである。
【0049】
空気袋40は、
図6を参照すれば、外周囲が全て閉じられた球体の
気密構造となっており、合成繊維で補強されたゴムなどの可撓性膜材により構成されている。本実施形態においては膨張時に球体となるものを用いる。また、空気袋40は、その強度条件として、最低限0.15MPaの内部圧力に耐えられるものを用いることが望ましい。
【0050】
膨張した空気袋40の直径φ〔
図6(a)参照〕は、扉体11の幅T〔
図3参照〕の約1/10倍程度であることが望ましい。例えば、扉体11の幅Tが13mであるとき、空気袋40の直径φは約1.3m程度に設定される。このとき、膨張した空気袋40と扉体11との接触幅Cは約1000mm程度であることが望ましい。
【0051】
空気袋40は、底面が正方形である四角錐体の台座41に設置されており、可撓ホース23に接続されている。この台座41は、上面から見て中央部分に空気袋40が入り込むことができる窪み41aを有している。
【0052】
可撓ホースは台座41の内部を通って、台座41外部に設置された配管チャンバー25に接続されている。
【0053】
空気袋40の内部に空気が供給されて空気袋40が膨張すると、円弧状に突出する空気袋40の上面により扉体11の一端部11a及び他端部11bが支持され、各端部11a、11bの下方移動が規制される。これにより扉体11の不用意な起立、例えば船舶34による波を受けて扉体11が起立することが阻止される。
【0054】
具体的に、押し波方向aの波が発生した場合には、扉体11の他端部11bの下方に膨張状態で設置された第2の空気袋40Bが扉体11を下から支えることにより、扉体11の他端部11bが下方に移動することが規制される。これにより、扉体11が押し波方向aに十分に傾くことができず、扉体11が起立できない状態となる。
【0055】
一方、引き波方向bの波が発生した場合には、扉体11の一端部11aの下方に膨張状態で設置された第1の空気袋40Aが扉体11を下から支えることにより、扉体11の一端部11aが下方に移動することが規制される。これにより、扉体11が引き波方向bに十分に傾くことができず、扉体11が起立できない状態となる。
【0056】
一方、地震が発生し、津波の心配がある場合には、後述する制御装置27の制御により空気袋40内部の空気を排気し、扉体11の起立を許容することができる。
【0057】
この場合、空気袋40は膨張していないので、扉体11の起立が空気袋40により阻止されることがなく、津波による被害を軽減するという扉体11本来の目的を達成することができる。
【0058】
次に、給排気設備の詳細、つまり空気袋40への空気の供給機構および空気袋40からの空気の排出機構について詳細に説明する。
【0059】
給排気設備20は、
図2を参照すれば、扉体11から離れた高台に設置されている。また給排気設備20は、
図5を参照すれば、空気の吐出を行うコンプレッサ21aと、空気の圧力を安定させるエアレシーバタンク21bと、コンプレッサ21aから吐出された空気が流通する給気ホース21と、給気ホース21の途中に設けられたエアレシーバタンク21b、減圧弁21cおよび給気弁21dと、給気ホース21から分岐した排気ホース24と、排気ホース24の途中に設けられた排気弁24aおよび非常用排気弁24bと、排気ホース24の下流端に接続された排気口24cと、空気の給排を制御する制御装置27と、制御装置27に接続され、地震による震度を検知する地震計28と、を備えている。なお、給気弁21dは本発明における「供給弁」に相当し、排気弁24aは本発明における「排出弁」に相当し、非常用排気弁24bは本発明における「非常用排出弁」に相当する。
【0060】
給気ホース21は、コンプレッサ21aから給排気ホース22までの間を延びるように配置されている。給気ホース21における給気弁21dと減圧弁21cとの間には、減圧弁21cによる減圧後の空気の圧力を測定する圧力計21eが設けられ、給気弁21dと交点Aとの間には、空気供給後の空気袋40の内圧を測定する圧力計21fが設けられている。
【0061】
排気ホース24は交点Aから延びて二手に分岐しており、一方の分岐は排気弁24aを経由して排気口24cに接続されており、他方の分岐は非常用排気弁24bを経由して排気口24cに接続されている。非常用排気弁24bには、停電時に非常用排気弁24bに電気を供給するバッテリが備えられている。
【0062】
制御装置27は、コンプレッサ21aと、エアレシーバタンク21bと、減圧弁21cと、給気弁21dと、圧力計21e、21fと、排気弁24aと、非常用排気弁24bと、地震計28と電気的に接続されている。制御装置27は、それぞれの設備に対して電気の供給および遠隔操作を行い、圧力計21e、21fや地震計28からのデータの受信を行う。
【0063】
次に、制御装置27による空気袋40の空気の給排機構を、地震による津波が発生していない平常時、地震発生時、停電時の3つの場合に分けて説明する。
【0064】
<平常時>
平常時として、地震による津波が発生しておらず、船舶34による波が発生する可能性がある場合を想定する。この場合、制御装置27は、下記に示す手順によって空気袋40を膨張させ、扉体11の起立を阻止する。
【0065】
制御装置27はコンプレッサ21aを駆動し、空気を吐出する。吐出された空気はエアレシーバタンク21bに溜められる。エアレシーバタンク21bに溜められた空気は、減圧弁21cにより一定の圧力まで減圧される。
【0066】
減圧弁21cによる減圧後の圧力は、制御装置27で減圧弁21cを遠隔操作することにより制御される。減圧後の圧力は、減圧弁21cと給気弁21dとの間に設置された圧力計21eにより測定され、制御装置27に送信される。
【0067】
制御装置27は、排気弁24a、非常用排気弁24bを閉じた状態で給気弁21dを開方向に駆動することにより、空気袋40への空気の供給を開始する。すなわち、給気弁21dが開弁されて、排気弁24aおよび非常用排気弁24bが閉弁されることにより、減圧弁21cにより減圧された空気が、給排気ホース22及び可撓ホース23を経由して空気袋40に供給され、空気袋40が膨張する。
【0068】
制御装置27は、給気弁21dと交点Aとの間に設置された圧力計21fによる圧力の測定値を受信し、この測定値の変動により空気袋40への空気の供給の完了を確認する。圧力計21fの圧力が一定の値(減圧弁21cによる減圧後に圧力計21eが測定した値)を示していれば、空気袋40への空気の供給が完了したことを意味する。
【0069】
制御装置27は、空気袋40への空気の供給が完了したことを確認した後、コンプレッサ21aの動作を停止する。また、制御装置27は給気弁21dを閉弁状態に維持し、空気袋40に充填された空気の圧力を保持する。この時、空気袋40内部と、可撓ホース23内部と、給排気ホース22内部と、給気ホース21内部のうち交点Aから給気弁21dまでの部分と、排気ホース24内部のうち交点Aから排気弁24aまでの部分と、は互いに連通しているので、これらの内圧は全て均一である。
【0070】
制御装置27は、圧力計21fによる空気袋40内圧の測定値を常に受信しており、この測定値の減少により、空気袋40内の空気漏れの有無を確認する。空気漏れが発生し、圧力計21fによる測定値が一定以下の値となった場合、制御装置27は上記と同様の手順で再度空気袋40に空気を充填する。
【0071】
制御装置27が上記のように動作することにより、空気袋40が膨張し、
図7(a)のように扉体11を下から支え、扉体11の起立が阻止される。
【0072】
これにより、船舶34が通過する際に発生する波により扉体11が起立しないので、扉体11と船舶34が接触することによる船舶34の損傷を阻止することができる。
【0073】
<地震発生時>
地震発生時においては、地震による津波が発生し、津波発生のおそれがある場合を想定する。
【0074】
この場合、制御装置27は、排気弁24aを自動的に開方向に駆動し、空気袋40に充填されている空気を排気し、扉体11の起立を許容する。
【0075】
具体的に、地震の発生は制御装置27に接続された地震計28により検知される。地震計28は、一定以上の震度の地震が発生したことを検知した際、その地震のデータを制御装置27に送信する。
【0076】
地震計28から地震のデータを受信した制御装置27は、排気弁24aを開方向に駆動する。同時に、大気圧よりも圧力が大きい空気袋40内部の空気は、排気ホース24を通じて自然に外気へ押し出される。その結果、
図7(b)のように空気袋40が収縮し、空気袋40による扉体11の支持が解除される。
【0077】
地震による津波が発生した場合には、制御装置27が上記のように動作し、扉体11の起立を許容する。これにより、津波による被害を軽減することができる。
【0078】
<停電時>
停電時においては、地震により停電が発生し、制御装置27が排気弁24aに電気を供給することができず、排気弁24aを開方向に駆動することが不可能な場合を想定する。
【0079】
この場合、非常用排気弁24bに内蔵されたバッテリは、制御装置27から電気を供給されなくなったことを検知し、自動的に非常用排気弁24bに電気を供給する。非常用排気弁24bは、前記バッテリから電気を供給された場合、自動的に開方向に駆動されるようになっている。
【0080】
非常用排気弁24bがこのように動作することにより、停電の影響で排気弁24aを開方向に駆動することが不可能な場合であっても、自動的に空気袋40から空気が排出され、扉体11の起立が許容される。
【0081】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、第1実施形態との差異を中心に説明する。第1実施形態においては起伏式防波装置を港湾等、押し波および引き波の両方を防ぐ必要がある場所に設置する場合について説明したが、本実施形態では起伏式防波装置を河川の河口等、引き波を防ぐ必要性が低い場所に設置する場合について説明する。
【0082】
この場合、
図2~
図4および
図12、
図13を参照すると、第1の固定ベルト4、第2の固定ベルト5および第1の引き止めベルト6については第1実施形態と同様であるが、第2の引き止めベルト7については第1実施形態と異なる。
【0083】
すなわち、第2実施形態においては、各第2の固定ベルト5と同じ位置に、可撓性を有するストッパーベルト8が設けられている。このストッパーベルト8は、その一端8aが、敷き部材12における引き波方向bの上流側の端部の近傍に連結され、他端8bが扉体11の他端部11bに一直線に連結されている。
【0084】
ストッパーベルト8は、扉体11を倒伏位置に維持した状態で左方向に回転させず、引き波方向bの波力に抗して倒伏位置に保持する程度の長さとする。
【0085】
また、第2実施形態においては扉体11の一端部11aの下方に第1の空気袋40Aが設けられておらず、扉体11の他端部11bの下方に第2の空気袋40Bが設置されているのみである。
【0086】
第2実施形態における起伏式防波装置では、第1実施形態と比較して、空気袋40の数を減らして構造を簡素化することができる。また、地震による津波が発生しない平常時には、他端部11bにおいて流体の供給を受けて膨張する第2の空気袋40Bと、引き波方向bの波力に抗して扉体11を倒伏位置に保持するストッパーベルト8とにより、押し波方向aの波力による扉体11の起立と引き波方向bの波力による扉体11の起立との双方を適正に阻止することができる。
【0087】
なお、第2実施形態では、第1実施形態の場合とは異なり、第2のターンドラム7cを設置しなかったが、敷き部材12や水底33に第2のターンドラム7cを設置し、ストッパーベルト8の一端8aをこの第2のターンドラム7cに連結してもよい。
【0088】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、第1及び第2実施形態との差異を中心に説明する。第1及び第2実施形態では、空気袋40として外周囲が全て閉じられた
気密構造であって膨張時に球状となるものを用いる場合について説明したが、第3実施形態においては、外周囲が完全には閉じられていない
気密構造であって、膨張時にドーム形状となる空気袋40aを用いる場合について、
図14を参照しながら説明する。
【0089】
空気袋40aは、側面視した際に略半円状で、正面視した際にドーム形状となるように設計されており、底面は存在しない。
【0090】
空気袋40aの周囲には挟着部40bが設けられている。挟着部40bは、空気袋40aの空気漏れを阻止するシールゴム48と密着した状態で、後述する挟着具45により挟着される。シールゴム48は、空気袋40aと同様の合成繊維で補強された可撓性膜材である。
【0091】
この空気袋40aは、底面が長方形の四角錐体である台座41bの上面の周囲に設けられた固定部42に固定されている。固定部42は、空気袋40aを台座41aに固定するためのものである。
【0092】
台座41bの上面の固定部42以外の部分には凹凸面41cが形成されており、側面視した際に、この凹凸面41cの表面積と、空気袋40aの表面積とが略等しくなるようになっている。このように構成することで、空気袋40aを収縮する際に空気袋40aの内側と台座41bの上面とがより密着することになり、その結果、漂流物が空気袋40aに引っ掛かる頻度を低減することができ、空気袋40aの損傷を阻止することができる。
【0093】
台座41aの上面の中央部には穴23aが設けられており、この穴23aには可撓ホース23が接続されている。可撓ホース23は台座41aの内部を通って、台座41aの外部に延びている。
【0094】
挟着具45は、
図14(c)を参照すると、上面に凸部46aが設けられたベースプレート46と、凸部46aに対応する凹部47aが設けられたクランピングバー47と、ベースプレート46とクランピングバー47と固定部42を貫通するボルト49と、ボルト49に螺合されるナット49aから構成されている。
【0095】
このような構成にすることで、外周囲が完全には閉じられていない空気袋40aを、空気漏れを防ぎつつ、台座41aに固定することができる。
【0096】
また、第3実施形態における空気袋40aは、第1および第2実施形態で用いた球形状の空気袋40に比して扉体11との接触面積が大きく、安定して扉体11を支えることができる。
【0097】
上述した実施の形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は上述した実施の形態に限定されない。
【0098】
例えば、扉体11の内部には、液体に代えて固体(鉄塊等)を充填することも可能である。
【0099】
敷き部材12に貫通穴12cを設けて給排気ホース22および可撓ホース23を通す構成としたが、貫通穴12cでなくてもよく、例えば下面12bに窪みを設けてその部分に給排気ホース22および可撓ホース23を通してもよい。
【0100】
また、貫通穴12cや窪みを設けなくとも、給排気ホース22および可撓ホース23を水底33に埋め込んでも良い。
【0101】
敷き部材12の形状として、上面12aと下面12bとの間を中空にし、その間に給排気ホース22および可撓ホース23を通しても良い。
【0102】
本実施形態で用いた各ベルト4~8は、例えば、補強されたゴム製のものであることが好ましいが、可撓性を有する金属製のものであってもよい。
【0103】
空気袋40は、必ずしも合成繊維で補強されたゴムなどの可撓性膜材である必要はなく、柔軟で気密性が保たれる素材であれば、その他の材料が採用可能である。
【0104】
さらに、空気袋40に供給される媒体は必ずしも空気である必要はなく、空気袋40を膨張させて扉体11の起立を阻止できるものであれば、水などその他の流体が採用可能である。
【0105】
本実施形態においては地震計28を制御装置27に接続することにより地震の発生を検知し、排気弁24aを開方向に駆動していたが、津波発生の危険性を判断するものであれば地震計28以外のものでもよく、例えば緊急地震速報や大津波警報を受信した際に、排気弁24aが開方向に駆動される構成にすることもできる。
【0106】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0107】
6 第1の引き止めベルト(第1の保持部材)
7 第2の引き止めベルト(第2の保持部材)
8 ストッパーベルト(第2の保持部材)
11 扉体
11a 一端部
11b 他端部
11c 上面
11d 下面
12 敷き部材
20 給排気設備(流体給排設備)
21 給気ホース
21d 給気弁(供給弁)
22 給排気ホース
24 排気ホース
24a 排気弁(排出弁)
24b 非常用排気弁(非常用排出弁)
27 制御装置
28 地震計
40A 第1の空気袋(第1の袋体)
40B 第2の空気袋(第2の袋体)
a 押し波方向
b 引き波方向