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特許7616653回転角度検出装置、モータ制御装置、電動アクチュエータ製品、電動パワーステアリング装置及び回転角度検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】回転角度検出装置、モータ制御装置、電動アクチュエータ製品、電動パワーステアリング装置及び回転角度検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/244 20060101AFI20250109BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20250109BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20250109BHJP
   H02P 29/00 20160101ALI20250109BHJP
【FI】
G01D5/244 B
G01D5/245 110L
G01B7/30 H
H02P29/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021112999
(22)【出願日】2021-07-07
(65)【公開番号】P2023009589
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2024-02-29
(73)【特許権者】
【識別番号】523207386
【氏名又は名称】NSKステアリング&コントロール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】南平 紘一
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-97257(JP,A)
【文献】特開2016-133376(JP,A)
【文献】特開2017-17860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12-5/252
H02P 6/00-6/34
H02K 11/00-11/40、
29/00-29/14
G01B 7/30
H02P 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相交流モータの回転軸に固定された磁石と、
前記磁石から発生した磁石磁界の方向を検出する磁気センサと、
前記磁気センサの検出信号に基づいて前記回転軸の回転角度を演算する回転角度演算部と、
前記多相交流モータに多相電流を出力する電力変換機の電源電流及び前記多相電流の少なくとも一方により前記磁気センサの位置に生じる電流磁界を算出する電流磁界算出部と、
前記磁石磁界の大きさに対する前記電流磁界の大きさの比と、前記磁石磁界の向きと前記電流磁界の向きとの間の差分である角度差の三角関数との積を角度補正量として算出する角度補正量算出部と、
前記角度補正量に基づいて前記回転角度を補正する回転角度補正部と、
を備えることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項2】
前記角度補正量算出部は、前記磁石磁界の向きを前記回転角度演算部が演算した前記回転角度から演算する、ことを特徴とする請求項に記載の回転角度検出装置。
【請求項3】
前記磁石の近傍の温度を測定する温度センサをさらに備え、
前記角度補正量算出部は、前記温度センサが測定した前記温度に応じて前記磁石磁界の大きさを算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転角度検出装置。
【請求項4】
前記磁石の近傍の温度を推定する温度推定部をさらに備え、
前記角度補正量算出部は、前記温度推定部が推定した前記温度に応じて前記磁石磁界の大きさを算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転角度検出装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の回転角度検出装置と、
前記回転角度補正部によって補正された前記回転角度に基づいて多相交流モータを駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とするモータ制御装置。
【請求項6】
請求項に記載のモータ制御装置と、
前記モータ制御装置によって制御される多相交流モータと、
を備えることを特徴とする電動アクチュエータ製品。
【請求項7】
請求項に記載のモータ制御装置と、
前記モータ制御装置によって制御される多相交流モータと、
を備え、前記多相交流モータによって車両の操舵系に操舵補助力を付与することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項8】
多相交流モータの回転軸に固定された磁石から発生した磁石磁界の方向を磁気センサで検出することにより前記回転軸の回転角度を検出する回転角度検出方法であって、
前記磁気センサの検出信号に基づいて前記回転角度を演算し、
前記多相交流モータに多相電流を出力する電力変換機の電源電流及び前記多相電流の少なくとも一方により前記磁気センサの位置に生じる電流磁界を算出し、
前記磁石磁界の大きさに対する前記電流磁界の大きさの比と、前記磁石磁界の向きと前記電流磁界の向きとの間の差分である角度差の三角関数との積を角度補正量として算出し、
前記角度補正量に基づいて前記回転角度を補正する、
ことを特徴とする回転角度検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転角度検出装置、モータ制御装置、電動アクチュエータ製品、電動パワーステアリング装置及び回転角度検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モータの回転軸の回転角の検出に磁気センサが用いられている。磁気センサは、モータの回転軸に固定された磁石に近接して配置され、磁石から発生した磁石磁界の方向が回転軸の回転に伴って変化するのを検出することで回転角を検出する。
このような磁気センサは、電流磁界の影響を受けやすいという特性を有する。このため下記特許文献1には、磁気センサの周囲に流れる向き及び大きさが等しい電流を、磁気センサの中心に関して対称の位置に流すことにより、これらの電流により生じる磁界を相殺する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開特開2012-39737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、磁気センサの周囲に流れる電流の位置関係を、常に磁気センサの中心に関して対称にすることができるとは限らない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、多相交流モータの回転軸の回転角を磁気センサで検出する際に、多相交流モータに多相電流を出力する電力変換機の電源電流又は多相電流による磁界が検出精度に及ぼす影響を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一態様による回転角度検出装置は、多相交流モータの回転軸に固定された磁石と、磁石から発生した磁石磁界の方向を検出する磁気センサと、磁気センサの検出信号に基づいて回転軸の回転角度を演算する回転角度演算部と、多相交流モータに多相電流を出力する電力変換機の電源電流及び多相電流の少なくとも一方により磁気センサの位置に生じる電流磁界を算出する電流磁界算出部と、磁石磁界の大きさに対する電流磁界の大きさの比と、磁石磁界の向きと電流磁界の向きとの間の差分である角度差と、に基づいて角度補正量を算出する角度補正量算出部と、角度補正量に基づいて回転角度を補正する回転角度補正部と、を備える。
【0006】
本発明の他の一態様によるモータ制御装置は、上記の回転角度検出装置と、回転角度補正部によって補正された回転角度に基づいて多相交流モータを駆動する駆動部と、を備える。
本発明のさらに他の一態様による電動アクチュエータ製品は、モータ制御装置と、モータ制御装置によって制御される多相交流モータと、を備える。
本発明のさらに他の一態様による電動パワーステアリング装置は、モータ制御装置と、モータ制御装置によって制御される多相交流モータと、を備え、多相交流モータによって車両の操舵系に操舵補助力を付与する。
【0007】
本発明のさらに他の一態様によれば、多相交流モータの回転軸に固定された磁石から発生した磁石磁界の方向を磁気センサで検出することにより回転軸の回転角度を検出する回転角度検出方法が与えられる。回転角度検出方法では、磁気センサの検出信号に基づいて回転角度を演算し、多相交流モータに多相電流を出力する電力変換機の電源電流及び多相電流の少なくとも一方により磁気センサの位置に生じる電流磁界を算出し、磁石磁界の大きさに対する電流磁界の大きさの比と、磁石磁界の向きと電流磁界の向きとの間の差分である角度差と、に基づいて角度補正量を算出し、角度補正量に基づいて前記回転角度を補正する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多相交流モータの回転軸の回転角を磁気センサで検出する際に、多相交流モータに多相電流を出力する電力変換機の電源電流又は多相電流による磁界が検出精度に及ぼす影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の電動パワーステアリング装置の一例の概要を示す構成図である。
図2図1の制御装置の構成の概要を示す構成図である。
図3】モータの回転軸に固定された磁石と磁気センサの説明図である。
図4図1の制御装置の機能構成の一例のブロック図である。
図5図4の検出信号補正部の機能構成の一例のブロック図である。
図6】(a)~(c)は、それぞれ正弦信号及び余弦信号のオフセット誤差、振幅誤差、位相誤差の説明図である。
図7図1のパワー基板における磁気センサと、電源端子と、モータ出力端子のレイアウトの一例の概略図である。
図8】磁石磁界と、多相電流磁界と、これらの合成磁界の説明図である。
図9図4の回転角度補正部による処理の一例を説明するフローチャートである。
図10】(a)及び(b)は電流磁界の方向及び強さのシミュレーション結果の第1例の説明図であり、(c)は回転角度補正部が補正する前後の電流磁界による角度誤差を示す図であり、(d)は補正後の角度誤差の拡大図である。
図11】(a)及び(b)は電流磁界の方向及び強さのシミュレーション結果の第2例の説明図であり、(c)は回転角度補正部が補正する前後の電流磁界による角度誤差を示す図であり、(d)は補正後の角度誤差の拡大図である。
図12】(a)及び(b)は電流磁界の方向及び強さのシミュレーション結果の第3例の説明図であり、(c)は回転角度補正部が補正する前後の電流磁界による角度誤差を示す図であり、(d)は補正後の角度誤差の拡大図である。
図13】(a)及び(b)は電流磁界の方向及び強さのシミュレーション結果の第4例の説明図であり、(c)は回転角度補正部が補正する前後の電流磁界による角度誤差を示す図であり、(d)は補正後の角度誤差の拡大図である。
図14図4のモータ制御部の機能構成の一例のブロック図である。
図15図4の補正量設定部の機能構成の一例のブロック図である。
図16】補正量設定部による処理の一例のフローチャートである。
図17】ローパスフィルタ通過後のセンサ信号の補正前後の振幅のシミュレーション結果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構成、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
以下の説明では、電動パワーステアリング装置に操舵補助力を付与する3相交流モータの回転軸の回転角を検出する回転角度検出装置の例について説明するが、本発明は、電動パワーステアリング装置への適用に限定されるものではなく、さまざまな用途に使用される多相交流モータの回転軸の回転角を検出する回転角度検出装置や、多相交流モータのモータ制御装置、多相交流モータを備える電動アクチュエータ製品に広く適用できる。
【0012】
(構成)
図1は、実施形態の電動パワーステアリング装置の一例の概要を示す構成図である。ステアリングホイール(操向ハンドル)1のコラム軸(操舵軸)2は、減速機構を構成する減速ギア(ウォームギア)3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a、6bを経て、更にハブユニット7a、7bを介して操向車輪8L、8Rに連結されている。
【0013】
ピニオンラック機構5は、ユニバーサルジョイント4bから操舵力が伝達されるピニオンシャフトに連結されたピニオン5aと、このピニオン5aに噛合するラック5bとを有し、ピニオン5aに伝達された回転運動をラック5bで車幅方向の直進運動に変換する。
操舵軸2には、操向ハンドル1に加わる操舵トルクThを検出するトルクセンサ9が設けられており、操舵トルクThに応じて操向ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。
例えば、モータ20として多相交流モータを使用してよい。本実施形態では、モータ20としてA相、B相及びC相を有する3相交流モータを使用する例を説明する。
【0014】
制御装置10は、モータ20を駆動制御する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。制御装置10には、電源であるバッテリ11から電力が供給されると共に、イグニションキー12からイグニションキー信号IGNが入力される。
制御装置10は、トルクセンサ9で検出された操舵トルクThに基づいて、アシストマップ等を用いてアシスト指令の操舵補助指令値の演算を行い、演算された操舵補助指令値に基づいてモータ20に駆動電流を供給する。
【0015】
図2は、図1の制御装置10の構成の概要を示す構成図である。制御装置10は、制御系の信号処理を行う制御基板13と、モータ20を駆動するためのインバータ回路等の駆動回路が形成されたパワー基板14と、温度センサ15を備える。なお、制御基板13とパワー基板14とを1枚の基板として形成してもよい。
制御基板13には、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)であるプロセッサ13aと、記憶装置13b等の周辺部品とを含んだ制御回路が形成される。
【0016】
記憶装置13bは、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリのような半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。
以下に説明する制御装置10の信号処理は、例えばプロセッサ13aが、記憶装置13bに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、制御基板13に、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエア(例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス)を搭載してもよい。
【0017】
パワー基板14には、駆動回路16と、電流センサ17及び18と、磁気センサ19が搭載されている。駆動回路16は、モータ20を駆動するためのインバータ回路を備えており、制御基板13から出力されるPWM(Pulse Width Modulation)信号に従って、バッテリ11から供給される直流電源からA相、B相及びC相の3相電流Ia、Ib、Icを生成して、駆動電流としてモータ20に供給する。
電流センサ17は、バッテリ11から駆動回路16に供給される直流の電源電流Ibatを検出して、検出信号を制御基板13に出力する。
【0018】
電流センサ18は、駆動回路16からモータ20に供給される3相電流Ia、Ib、Icを検出して、検出信号を制御基板13に出力する。
磁気センサ19は、モータ20の回転軸に固定された磁石から発生した磁石磁界Bmの方向を検出することにより、回転軸の回転角度に応じた正弦信号SIN0及び余弦信号COS0を含んだセンサ信号を制御基板13に出力する。
【0019】
図3は、モータ20の回転軸に固定された磁石と磁気センサ19の説明図である。磁石24は、例えばモータ20の回転軸21の出力端22と反対側の端部23に固定され、回転軸21の周方向に沿って配列された異なる磁極(S極及びN極)を有している。
磁気センサ19は、例えば磁場により電気抵抗が変化するMR(磁気抵抗:Magnetic Resistance)センサであってよい。磁気センサ19は磁石24に近接して対向配置され、磁石24から発生する磁束を検出することにより、モータ20の電気角θに応じた正弦信号SIN0=A×sinθ及び余弦信号COS0=A×cosθを生成する。
【0020】
図2を参照する。温度センサ15は、磁石24の付近に配置されて磁石24の近傍の温度Tpを測定し、測定信号を制御基板13に出力する。
図4は、制御装置10の機能構成の一例のブロック図である。制御装置10は、検出信号補正部30と、回転角度演算部31と、回転角度補正部32と、直線性補正部33と、原点補正部34と、モータ制御部35と、補正量設定部36を備える。
【0021】
検出信号補正部30は、補正量設定部36において演算された補正量データG1、Cs、Cc、G2に基づいて、磁気センサ19から出力されアナログディジタル変換器(図示せず)によってデジタル信号に変換された正弦信号SIN0及び余弦信号COS0を補正する。補正量データG1、Cs、Cc、G2は、それぞれ余弦信号COS0の振幅誤差を補正する第1ゲイン、正弦信号SIN0のオフセット誤差を補正する正弦オフセット補正値、余弦信号COS0のオフセット誤差を補正する余弦オフセット補正値、正弦信号SIN0と余弦信号COS0との間の位相誤差を補正するための第2ゲインである。
補正量設定部36による第1ゲインG1、正弦オフセット補正値Cs、余弦オフセット補正値Cc、第2ゲインG2の設定方法は後述する。
【0022】
図5は、検出信号補正部30の機能構成の一例のブロック図である。検出信号補正部30は、SINオフセット補正部40と、COSオフセット補正部41と、COSゲイン補正部42と、加算器43と、減算器44と、位相誤差補正部45を備える。
SINオフセット補正部40は、正弦信号SIN0から正弦オフセット補正値Csを減算することによって、正弦信号SIN0からオフセット誤差(図6(a)参照)を除去した正弦信号SIN1を算出する。
【0023】
COSオフセット補正部41は、余弦信号COS0から余弦オフセット補正値Ccを減算することによって、余弦信号COS0からオフセット誤差を除去する。COSゲイン補正部42は、オフセット誤差が除去された余弦信号COSに第1ゲインG1を乗算して得られる積を余弦信号COS1として算出することにより、正弦信号SIN1と余弦信号COS1の振幅を等しくする。これにより、正弦信号SIN0と余弦信号COS0との間の振幅誤差(図6(b)参照)が補正される。
【0024】
加算器43は、正弦信号SIN1と余弦信号COS1とを加算して得られる和を、和信号SA=(COS1+SIN1)として算出する。加算器43は、和信号SA=(COS1+SIN1)を回転角度演算部31と補正量設定部36へ出力する。
減算器44は正弦信号SIN1と余弦信号COS1との差分(COS1-SIN1)を演算する。減算器44は、差分(COS1-SIN1)を補正量設定部36へ出力する。
位相誤差補正部45は、差分(COS1-SIN1)に第2ゲインG2を乗算して得られる積を差信号SD=G2×(COS1-SIN1)として算出する。これにより、和信号SA及び差信号SDから、正弦信号SIN1と余弦信号COS1との間の位相誤差(図6(c)参照)の影響が除去される。位相誤差補正部45は、差信号SDを回転角度演算部31へ出力する。
【0025】
図4を参照する。回転角度演算部31は、和信号SA及び差信号SDに基づいて、モータ20の電気角の測定角度θ0を演算する。
回転角度補正部32は、3相電流Ia、Ib、Icと電源電流Ibatとが磁気センサ19の位置に発生させる磁界によって、回転角度演算部31が演算した測定角度θ0に生じる角度誤差を補正する。回転角度補正部32は、「電流磁界算出部」、「角度補正量算出部」及び「回転角度補正部」の一例である。
【0026】
以下、3相電流Ia、Ib、Icが磁気センサ19の位置に発生させる磁界を「多相電流磁界Bi」と表記し、電源電流Ibatが磁気センサ19の位置に発生させる磁界を「電源電流磁界Bp」と表記する。また、多相電流磁界Biと電源電流磁界Bpとを総称して「電流磁界」と表記することがある。
なお、以下の説明では回転角度補正部32が、多相電流磁界Biにより生じる角度誤差と電源電流磁界Bpにより生じる角度誤差の両方を補正する例を示すが、回転角度補正部32は、多相電流磁界Biにより生じる角度誤差と電源電流磁界Bpにより生じる角度誤差のいずれか一方のみを補正してもよい。
【0027】
図7は、パワー基板14における磁気センサ19と、電源電流Ibatが入力される電源端子と、3相電流Ia、Ib、Icが出力されるモータ出力端子のレイアウトの一例の概略図である。図7においてX方向及びY方向は、パワー基板14に平行な方向であり互いに直交している。Z方向は、パワー基板14に対して垂直、且つモータ20の回転軸21に平行な方向である。
X方向及びY方向の向きは任意に設定してよい。本明細書では、モータ20の電気角が0[deg]であるときに磁石24の磁石磁界Bmの向きを、正のX方向に設定した場合の例について説明する。
【0028】
また、本明細書では、モータ20が第1系統のモータ巻線と第2系統のモータ巻線からなる1組の巻線対を有する2重巻線モータである場合について説明する。なお、回転角度補正部32には、二つの系統の3相電流Ia、Ib、Ic及び二つの系統の電源電流Ibatが入力される。
参照符号50a、50b及び50cは、第1系統の3相電流(A相電流Ia、B相電流Ib、C相電流Ic)をそれぞれ出力するモータ出力端子であり、参照符号51a、51b及び51cは、第2系統の3相電流を出力するモータ出力端子である。モータ出力端子50a~50cと51a~51cは、パワー基板14を垂直に貫くようにZ方向に延在して配置されている。以下、A相、B相及びC相のモータ出力端子を、それぞれ「A相端子」、「B相端子」及び「C相端子」と表記することがある。
【0029】
また、参照符号52p及び52mは、第1系統の電源電流Ibatが入力される電源端子であり、参照符号53は第1系統の電源電流Ibatに含まれるノイズを除去するためのコイルであり、参照符号53in及び53outは、コイル53の入力端子と出力端子である。
参照符号54p及び54mは、第2系統の電源電流が入力される電源端子であり、参照符号55は第2系統の電源電流に含まれるノイズを除去するためのコイルであり、参照符号55in及び55outは、コイル55の入力端子と出力端子である。
【0030】
電源端子52p、52m、54p及び54mと、入力端子53in及び55inと、出力端子53out及び55outもまた、パワー基板14を垂直に貫くようにZ方向に延在して配置されている。力行の場合、正の電源端子52p及び54pと出力端子53out及び55outでは、紙面の表から裏に向かう方向に電源電流が流れ、負の電源端子52m及び54mと入力端子53in及び55inでは、紙面の裏から表に向かう方向に電源電流が流れるものと定義した。回生時においては電源電流の方向は逆転する。
また、二つの系統の3相電流Ia、Ib、Icの符号は、紙面の表から裏に向かう電流方向の場合を正と定義した。
電源電流及び3相電流の方向及び符号の定義は、基板での実装状況に合わせて変更可能である。後述する式は、方向及び符号の定義に合わせて変更される。
【0031】
第1系統のA相端子50aと第2系統のA相端子51aとは、磁気センサ19の中心点Pcに関して点対称の位置に配置されている。B相端子50bとB相端子51b、C相端子50cとC相端子51c、正の電源端子52pと電源端子54p、負の電源端子52mと電源端子54m、入力端子53inと入力端子55in、出力端子53outと出力端子55outも同様である。
【0032】
このため、第1系統と第2系統の3相電流の大きさ及び方向が等しく、第1系統と第2系統の電源電流の大きさ及び方向が等しい場合には、第1系統の3相電流及び電源電流により磁気センサ19の中心点Pcに生じる電流磁界は、第2系統の3相電流及び電源電流により生じる電流磁界と相殺される。このため、3相電流及び電源電流による測定角度θ0の角度誤差は生じない。この場合には、回転角度補正部32による角度誤差の補正は不要である。
しかしながら、第1系統と第2系統のいずれか一方しか駆動しない場合や、第1系統と第2系統の負荷配分が異なる場合には、第1系統により生じる電流磁界と第2系統により生じる電流磁界とが相殺しなくなる。
このため、回転角度補正部32は、これらの場合に3相電流及び電源電流により測定角度θ0に生じる角度誤差を補正する。
【0033】
以下、第1系統の3相電流Ia、Ib、Ic及び電源電流Ibatにより生じる角度誤差の補正について説明するが、第2系統についても同様に角度誤差を補正できる。第1系統と第2系統の両方を異なる負荷配分で駆動する場合(すなわち第1系統と第2系統の電流が異なる場合)には、第1系統と第2系統のそれぞれについて電流磁界を算出し、第1系統の電流磁界と第2系統の電流磁界との合成電流磁界に基づいて、角度誤差の補正量を算出すればよい。
【0034】
まず、多相電流磁界Biによる角度誤差を補正する第1角度補正量θiの算出方法について説明する。中心点PcからA相端子50a、B相端子50b及びC相端子50cまでの距離をそれぞれ距離ra、rb、rcとし、中心点PcからA相端子50a、B相端子50b及びC相端子50cへ向かう方向とX軸とがなす角をそれぞれ角度θa、θb及びθcとする。
【0035】
図7に示すレイアウトの例では、A相端子50a、B相端子50b及びC相端子50cはX方向に直交するY方向に沿って配列されており、距離raと距離rbが等しく(ra=rb)、C相端子50cが中心点Pcを原点とするX軸上にあり(θc=0)、角度θaとθbは、大きさが等しく向きが反対である(θb=-θa)。すなわち、C相端子50cは、A相端子50aとB相端子50bとを結ぶ直線の中点にあり、A相端子50aとC相端子50cとの間の距離d1は、B相端子50bとC相端子50cとの間の距離d2と等しい。なお、正のX軸を基準として反時計回りの角度を正として説明する。
【0036】
回転角度補正部32は、次式(1)にしたがって多相電流磁界Biを算出する。
【数1】
上式(1)中、μは透磁率を示す。また、Bihは多相電流磁界Biの水平成分(図7のレイアウトではX軸成分)であり、Bivは多相電流磁界Biの垂直成分(図7のレイアウトではY軸成分)である。
【0037】
回転角度補正部32は、回転角度演算部31が算出した測定角度θ0に基づいてモータ20の回転軸の機械角度θmを算出する。
また、回転角度補正部32は、温度センサ15が検出した磁石24の近傍の温度Tpに基づいて、磁石24が磁気センサ19の中心点Pcの位置に生じる磁石磁界Bmの絶対値Btを算出する。例えば回転角度補正部32は、事前の磁場強度解析結果に基づいて次式(2)にしたがって絶対値Btを算出してもよい。
Bt=B20-K(Tp-20) … (2)
上式(2)中、B20は磁石24の近傍の温度Tpが20℃のときの磁場であり、Kは磁石24の温度係数である。
温度センサ15を用いて温度を検出する方法を示したが、これに替わり磁石24の近傍の温度を推定する温度推定部を具備してもよい。例えば、磁気センサ19が生成する正弦信号SIN0及び余弦信号COS0の大きさは、温度に対して比例的に変化する特性を利用する。基準温度における正弦信号SIN0及び余弦信号COS0の振幅(二乗和の平方根)と計測したときの正弦信号SIN0及び余弦信号COS0の振幅との比から、温度を推定してよい。一方の信号の振幅の変化を用いても良い。また、種々の温度推定手法を利用可能である。
【0038】
回転角度補正部32は、次式(3)に従って磁石磁界Bmを算出する。
【数2】
【0039】
図8に、磁石磁界Bmと、多相電流磁界Biと、これらの合成磁界Bmiを示す。磁気センサ19が生成する正弦信号SIN0と余弦信号COS0は、合成磁界Bmiのベクトルの向きを示す信号となる。このため、回転角度補正部32は、合成磁界Bmiのベクトルの向きを磁石磁界Bmのベクトルの方向へ補正するための第1角度補正量θiを算出する。
第1角度補正量θiを導出する計算式は次式(4)により与えられる。
【0040】
【数3】
【0041】
多相電流磁界Biは、磁石磁界Bmに比べて非常に小さいため(|Bi|<<|Bm|)、上式(4)の分数の分母を|Bm|で近似し、tan-1xの近似式(x-x/3+x/5-x/7…)の第1項まで計算すると、第1角度補正量θiの近似式(5)が得られる。
【数4】
回転角度補正部32は、近似式(5)に基づいて第1角度補正量θiを算出する。
近似式(5)を正弦関数を用いて表記したが、余弦関数を用いて表記してもよい。後述する近似式(7)および近似式(8)についても同様である。
【0042】
次に、電源電流磁界Bpによる角度誤差を補正する第2角度補正量θpの算出方法について説明する。図7を参照する。中心点Pcから負の電源端子52m及び正の電源端子52pまでの距離をそれぞれ距離rd及びreとし、中心点Pcから電源端子52m及び電源端子52pへ向かう方向とY軸とがなす角をそれぞれ角度θd及びθeとする。
また、中心点Pcからコイル53の入力端子53inと出力端子53outまでの距離をそれぞれ距離rf及びrgとし、中心点Pcから入力端子53inと出力端子53outへ向かう方向とY軸とがなす角をそれぞれ角度θf及びθgとする。
【0043】
図7に示すレイアウトの例では、電源端子52m及び電源端子52pはX方向に沿って配列されており、電源端子52mと電源端子52pとを結ぶ直線の中点は、中心点Pcを原点とするY軸上にある(rd=re、θd=-θe)。したがって、Y軸と電源端子52mと電源端子52pとの間の距離d3とd4は等しい(d3=d4)
また、入力端子53inと出力端子53outはY方向に沿って配列されており、X軸から入力端子53inと出力端子53outまでの距離はそれぞれ距離df及びdgであり、Y軸から入力端子53inと出力端子53outまでの距離はd5である。したがって、rf=(df+d5-2、rg=(dg+d5-2、θf=tan-1(d5/df)、θg=tan-1(d5/dg)となる。なお、正のY軸を基準として反時計回りの角度を正としている。
【0044】
回転角度補正部32は、次式(6)にしたがって電源電流磁界Bpを算出する。
【数5】
上式(6)中、Bphは電源電流磁界Bpの水平成分(図7のレイアウトではX軸成分)であり、Bpvは電源電流磁界Bpの垂直成分(図7のレイアウトではY軸成分)である。電源電流Ibatは電源端子52pに流れる電流として表記している。具体的には、力行時の電源電流Ibatは正であり、回生時の電源電流Ibatは負である。
【0045】
回転角度補正部32は、第1角度補正量θiの近似式(5)と同様の近似式(7)に基づいて第2角度補正量θpを算出する。
【数6】
多相電流磁界Biによる角度誤差を補正する第1角度補正量θi及び電源電流磁界Bpによる角度誤差を補正する第2角度補正量θpをそれそれ個別に説明したが、多相電流磁界Bi及び電源電流磁界Bpによる角度誤差を補正する第3角度補正量θipは、近似式(8)によって算出する。
【数7】
回転角度補正部32は、第1角度補正量θiと第2角度補正量θpを加算することによって測定角度θ0を補正し、補正済回転角度θc0=θ0+θi+θpを算出してもよい。また、角度誤差に対して、多相電流磁界Biと電源電流磁界Bpの一方が無視できるほど影響が小さい場合には、他方の電流磁界による角度誤差のみを補正するようにしてもよい。
第1系統の多相電流磁界Bi及び電源電流磁界Bpによる角度誤差を補正について説明したが、第2系統に電流が流れる場合も同様にして角度補正量を求めることができる。具体的には、中心点Pcにおける二つの多相電流磁界Bi及び二つの電源電流磁界Bpの計四つの電流磁界から合成磁界を算出し、式(8)と同様な近似式を用いて第3角度補正量θipを求める。
【0046】
図9は、回転角度補正部32による処理の一例を説明するフローチャートである。
ステップS1において回転角度演算部31は、モータ20の電気角の測定角度θ0を演算する。
ステップS2において温度センサ15は、磁石24の近傍の温度Tpを測定する。
ステップS3において回転角度補正部32は、磁石24が磁気センサ19の中心点Pcの位置に生じる磁石磁界Bmを演算する。
ステップS4において回転角度補正部32は、3相電流Ia、Ib、Icが磁気センサ19の中心点Pcの位置に生じる多相電流磁界Biを演算する。
【0047】
ステップS5において回転角度補正部32は、電源電流Ibatが磁気センサ19の中心点Pcの位置に生じる電源電流磁界Bpを演算する。
ステップS6において回転角度補正部32は、多相電流磁界Bi及び電源電流磁界Bpの合成磁界による角度誤差を補正する第3角度補正量θipを演算する。
ステップS7において回転角度補正部32は、第3角度補正量θipによって測定角度θ0を補正し、補正済回転角度θc0=θ0+θipを算出する。その後に処理は終了する。
【0048】
回転角度補正部32による補正の効果のシミュレーション結果を図10(a)~10(d)、図11(a)~11(d)、図12(a)~図12(d)、図13(a)~図13(d)に示す。なお、モータの極対数は6極対である。また、これらのシミュレーションにおいては、全て1系統のみを駆動した。
図10(a)~10(d)は、d軸電流と電源電流Ibatがそれぞれ70[A]及び52.5[A]である場合のシミュレーション結果を示す。
【0049】
図11(a)~11(d)は、q軸電流と電源電流Ibatがそれぞれ70[A]及び52.5[A]である場合のシミュレーション結果を示す。
図12(a)~12(d)は、d軸電流、q軸電流及び電源電流Ibatがそれぞれ18.12[A]、67.61及び52.5[A]である場合のシミュレーション結果を示す。
図13(a)~13(d)は、d軸電流、q軸電流及び電源電流Ibatがそれぞれ35[A]、60.62及び52.5[A]である場合のシミュレーション結果を示す。
【0050】
各図において横軸はモータ20の機械角度[deg]を示す。図10(a)~図13(a)と図10(b)~図13(b)は、それぞれの機械角度における電流磁界の方向及び磁石磁界の大きさに対する電流磁界の大きさの比を示し、図10(c)~図13(c)の破線は、回転角度補正部32による補正前の測定角度θ0に含まれる角度誤差の大きさを示し、実線は補正済回転角度θc0に含まれる角度誤差の大きさを示し、図10(d)~図13(d)は、補正済回転角度θc0に含まれる角度誤差の拡大図である。
これらのシミュレーション結果から、補正前の測定角度θ0に含まれる角度誤差に比べて、補正済回転角度θc0に含まれる角度誤差を非常に小さくすることができるのが分かる。
【0051】
図4を参照する。直線性補正部33は、予め作成及び記憶した直線性補正データに基づいて、補正済回転角度θc0の直線性を補正して補正済回転角度θc1として出力する。直線性補正データは、例えば、回転角度補正部32から出力される補正済回転角度θc0の値と、良好な直線性を有する補正済回転角度θc1の値とを対応付けた補正マップデータであってよい。
原点補正部34は、予め作成及び記憶した直線性補正データに基づいて、補正済回転角度θc1とモータ20の回転軸21との間の位相ずれを補正して補正済回転角度θc2として出力する。直線性補正データとして、例えば補正済回転角度θc1と回転軸21との間の位相のずれ量を測定して利用してもよい。原点補正部34は、補正済回転角度θc2をモータ制御部35へ出力する。
本実施形態では、直線性補正部33の後段に原点補正部34を設けたが、これに代えて、原点補正部34の後段に直線性補正部33を設けてもよい。
【0052】
モータ制御部35には、原点補正部34が算出した補正済回転角度θc2と、トルクセンサ9が検出した操舵トルクThの検出値と、電流センサ18が検出した3相電流Ia、Ib及びIcの検出値が入力される。
モータ制御部35は、補正済回転角度θc2と、操舵トルクThと、3相電流Ia、Ib及びIcとに基づいて、駆動回路16を介してモータ20を駆動するための制御信号であるPWM信号を生成する。モータ制御部35は、第1系統及び第2系統を駆動するが、下記説明では1系統に対して説明する。第2系統においても同様の構成が採用できる。
【0053】
図14は、モータ制御部35の機能構成の一例のブロック図である。モータ制御部35は、微分器60と、電流指令値演算部61と、3相/2相変換部62と、減算器63及び64と、PI(比例積分)制御部65及び66と、2相/3相変換部67と、PWM制御部68とを備える。
微分器60は、補正済回転角度θc2を微分することにより、モータ20の回転速度(すなわち回転軸21の回転角速度)ωを算出する。
【0054】
電流指令値演算部61は、操舵トルクTh及び回転速度ωを用いて、d軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを算出する。
3相/2相変換部62は、補正済回転角度θc2を用いて3相電流Ia、Ib及びIcを2相の電流であるd軸モータ電流Idm及びq軸モータ電流Iqmに変換する。
減算器63は、d軸電流指令値Idrefとフィードバックされているd軸モータ電流値Idmとの偏差Id(=Idref-Idm)を演算する。減算器64は、q軸電流指令値Iqrefとフィードバックされているq軸モータ電流値Iqmとの偏差Iq(=Iqref-Iqm)を演算する。
【0055】
PI制御部65は、偏差Idに基づいてd軸電圧指令値Vdrefを求める。同様に、PI制御部66は、偏差Iqに基づいてq軸電圧指令値Vqrefを求める。
2相/3相変換部67は、補正済回転角度θc2を用いて、d軸電圧指令値Vdref及びq軸電圧指令値Vqrefからなる2相の電圧を、例えば空間ベクトル変調(空間ベクトル変換)により、3相の電圧(A相電圧指令値Varef、B相電圧指令値Vbref及びC相電圧指令値Vcref)に変換する。
PWM制御部68は、A相電圧指令値Varef、B相電圧指令値Vbref及びC相電圧指令値Vcrefに基づいて、PWM制御により駆動回路16を制御する制御信号(PWM信号)を生成する。
【0056】
図4を参照する。補正量設定部36は、磁気センサ19から出力された正弦信号SIN0及び余弦信号COS0のピーク値に基づいて、余弦信号COS0の振幅誤差を補正する第1ゲインG1と、正弦信号SIN0のオフセット誤差を補正する正弦オフセット補正値Csと、余弦信号COS0のオフセット誤差を補正する余弦オフセット補正値Ccを算出する。
【0057】
具体的には、補正量設定部36は、余弦信号COS0のピーク値である最大値max(COS0)と最小値min(COS0)とを取得する。また、正弦信号SIN0のピーク値である最大値max(SIN0)と最小値min(SIN0)を取得する。
補正量設定部36は、余弦信号COS0の振幅Ax=(max(COS0)-min(COS0))/2と正弦信号SIN0の振幅Ay=(max(SIN0)-min(SIN0))/2とを算出する。
【0058】
補正量設定部36は、振幅Axに対する振幅Ayの比(Ay/Ax)を第1ゲインG1として算出する。
さらに補正量設定部36は、正弦オフセット補正値Cs=(max(SIN0)+min(SIN0))/2と、余弦オフセット補正値Cc=(max(COS0)+min(COS0))/2を算出する。
【0059】
次に補正量設定部36は、振幅誤差及びオフセット誤差が補正された余弦信号COS1と、オフセット誤差が補正された正弦信号SIN1の和(COS1+SIN1)のピーク値と、差分(COS1-SIN1)のピーク値に基づいて、余弦信号COS0と正弦信号SIN0との間の位相誤差を補正する第2ゲインG2を算出する。
具体的には、和(COS1+SIN1)のピーク値である最大値max(COS1+SIN1)と最小値min(COS1+SIN1)とを取得する。また差分(COS1-SIN1)のピーク値である最大値max(COS1-SIN1)と最小値min(COS1-SIN1)とを取得する。
【0060】
補正量設定部36は、差分(COS1-SIN1)の振幅を和(COS1+SIN1)の振幅に合わせる比((max(COS1+SIN1)-min(COS1+SIN1))/(max(COS1-SIN1)-min(COS1-SIN1)))を、第2ゲインG2として算出する。
補正量設定部36は、以上のように正弦信号SIN0、余弦信号COS0、和(COS1+SIN1)及び差分(COS1-SIN1)のピーク値に基づいて第1ゲインG1、正弦オフセット補正値Cs、余弦オフセット補正値Cc、第2ゲインG2を算出するが、これらの補正量データG1、Cs、Cc、G2を精度よく算出するには、正確なピーク値を検出することが必要となる。
【0061】
しかし、単純にこれらの信号の前回値と今回値とを比較するピークホールド(すなわちピーク値を記憶する処理)では、ノイズの影響によって正確なピーク値を検出できないことがある。
信号に含まれるノイズは、ローパスフィルタによるフィルタ処理で除去することができるが、フィルタ処理によって信号の振幅が減衰するため、正確なピーク値を検出できなくなる。
【0062】
そこで、補正量設定部36は、正弦信号SIN0、余弦信号COS0、和(COS1+SIN1)及び差分(COS1-SIN1)に、ローパスフィルタによるフィルタ処理を施す。さらに、ローパスフィルタの既知の周波数特性とモータ20の回転速度ωとに基づいて、ローパスフィルタのゲインを演算する。
そして、ローパスフィルタでフィルタ処理が施された正弦信号SIN0、余弦信号COS0、和(COS1+SIN1)及び差分(COS1-SIN1)を、ローパスフィルタのゲインによって補正し、補正した信号のピーク値である補正済ピーク値を検出する。
【0063】
これに代えて、ローパスフィルタでフィルタ処理が施された正弦信号SIN0、余弦信号COS0、和(COS1+SIN1)及び差分(COS1-SIN1)のピーク値を検出した後に、ローパスフィルタのゲインでピーク値を補正して補正済ピーク値を取得してもよい。
これにより、正弦信号SIN0、余弦信号COS0、和(COS1+SIN1)及び差分(COS1-SIN1)に含まれるノイズを除去するとともに、これらの振幅を維持することができる。
補正量設定部36は、このように取得した補正済ピーク値に基づいて、補正量データG1、Cs、Cc、G2を算出する。
【0064】
図15は、補正量設定部36の機能構成の一例のブロック図である。補正量設定部36は、ローパスフィルタ70、71、72、73及び75と、角度差分算出部74と、ゲイン算出部76と、振幅補正部77と、ピークホールド部78と、実施判断部79と、補正量算出部80を備える。なお、図面においてローパスフィルタを「LPF」と表記する。
なお、ゲイン算出部76と、振幅補正部77とピークホールド部78は「ピーク値取得部」の一例である。
【0065】
ローパスフィルタ70、71、72及び73は、正弦信号SIN0、余弦信号COS0、和(COS1+SIN1)及び差分(COS1-SIN1)にそれぞれフィルタ処理を施す。
ローパスフィルタ70、71、72、73及び75として、例えば、1次のLPFや、2次のバターワースフィルタ、4点の移動平均フィルタを採用してよい。ローパスフィルタ70、71、72、73及び75の周波数特性は、上記信号に強いノイズが含まれる周波数に応じて適宜設定すればよい。例えば、ローパスフィルタ70、71、72、73及び75の周波数特性は、1000[Hz]の成分を含む高周波成分を十分に減衰できるように設定してよい。
【0066】
以下、本明細書では、ローパスフィルタ70、71、72、73及び75として4点の移動平均フィルタを採用した場合の例を説明する。
角度差分算出部74は、測定角度θ0の単位時間当たりの変化を算出する(すなわち微分する)ことにより、モータ20の回転速度ωを算出する。ローパスフィルタ75は、回転速度ωにフィルタ処理を施す。フィルタ処理が施された回転速度ωはゲイン算出部76に入力される。本実施形態では、角度差分算出部74の後段にローパスフィルタ75を設けたが、これに代えて、角度差分算出部74の前段にローパスフィルタ75を設けてもよい。
【0067】
ゲイン算出部76は、ローパスフィルタ75によるフィルタ処理が施された後の回転速度ωに基づいて、モータ20の回転速度が速度ωであるときのローパスフィルタ75のゲインG3を算出する。
例えば4点の移動平均は、遅延器のz-nを用いると次式(9)で与えられる。
H(z)=(1+z-1+z-2+z-3)/4 …(9)
これを双一次変換により逆z変換すると次式(10)が得られる。
【数8】
式(10)中においてTsは単位[s]のサンプリング周期であり、sはラプラス作用素である。
【0068】
次にゲイン特性を求めるために式(10)のラプラス作用素sにjωを代入すると、次式(11)が得られる(jは虚数単位である)。
【数9】
【0069】
上式(11)の実部と虚部の2乗和の平方根を算出してゲイン特性を求めると、次式(12)が得られる。
【数10】
【0070】
上式(12)は、平方根の演算を含んでおり処理負荷を大きくなる虞がある。そこで、近似式(1+a)≒1+naを利用することにより、上式(12)を次式(13)のように近似してもよい。
【数11】
ゲイン算出部76は、回転速度ωと、上式(13)又は(12)のいずれか一方に基づいて、ゲイン|G(ω)|を算出する。
【0071】
振幅補正部77は、ローパスフィルタ70、71、72及び73によるフィルタ処理が施された正弦信号SIN0、余弦信号COS0、和(COS1+SIN1)及び差分(COS1-SIN1)をゲイン|G(ω)|で除算することにより、これらの信号を補正する。
ピークホールド部78は、ローパスフィルタ70、71、72及び73でフィルタ処理され、ゲイン|G(ω)|で補正された後の正弦信号SIN0、余弦信号COS0、和(COS1+SIN1)及び差分(COS1-SIN1)のピークホールドを行うことによりこれらの信号のピーク値(最大値、最小値)を取得する。
【0072】
補正量算出部80は、ピークホールド部78が取得したピーク値に基づいて、補正量データG1、Cs、Cc、G2を算出する。
なお、補正量算出部80は、検出信号補正部30から出力される和信号SA及び差信号SDの急激な変動を抑制するために、補正量データG1、Cs、Cc、G2の変化速度を制限するレートリミッタを備えてもよい。すなわち、補正量算出部80は、補正量データG1、Cs、Cc、G2を徐変させてもよい。
【0073】
実施判断部79は、回転速度ωが所定の閾値範囲内にあるか否かに応じて、検出信号補正部30による正弦信号SIN0、余弦信号COS0の補正を行うか否かを判断する。
例えば、回転速度ωが低い状態(停止状態を含む)で補正量データG1、Cs、Cc、G2の設定を行うと、最大値と最小値のピークを検知するのに長時間を要するため、その間の温度変化による誤差が発生する。このため実施判断部79は、回転速度ωが下限値未満である場合に検出信号補正部30による補正を禁止してよい。例えば下限値は回路の温度上昇の速さと温度-誤差(オフセット、ゲイン、位相)特性に基づいて設定してよい。
【0074】
また例えば、回転速度ωが高い状態では、サンプリング時のピーク検知の誤差が大きい。このため実施判断部79は、回転速度ωが上限値を超える場合に検出信号補正部30による補正を禁止してよい。例えば上下限値は、許容角度誤差、サンプリング周期からシミュレーションにより設定してもよい。
実施判断部79が検出信号補正部30による補正を禁止する場合に、ピークホールド部78は記憶したピーク値(すなわちピークホールド値)をリセットする。また、補正量算出部80は、第1ゲイン及び第2ゲインの値を「1」にリセットし、正弦オフセット補正値及び余弦オフセット補正値の値を「0」にリセットする。これにより、正弦信号SIN0が余弦信号COS0が補正されなくなる。
【0075】
図16は、補正量設定部36による処理の一例のフローチャートである。
ステップS10において角度差分算出部74は、モータ20の回転速度ωを算出する。
ステップS11において実施判断部79は、回転速度ωが所定の閾値範囲内であるか否かを判断する。
回転速度ωが所定の閾値範囲内である場合(ステップS11:Y)には、実施判断部79は検出信号補正部30による補正を行うと判断して処理はステップS13へ進む。回転速度ωが所定の閾値範囲内でない場合(ステップS11:N)には、実施判断部79は検出信号補正部30による補正を禁止すると判断して処理はステップS12へ進む。
【0076】
ステップS12においてピークホールド部78は記憶したピーク値(すなわちピークホールド値)をリセットする。また、補正量算出部80は、第1ゲインG1及び第2ゲインG2の値を「1」にリセットし、正弦オフセット補正値Cs及び余弦オフセット補正値Ccの値を「0」にリセットする。その後に処理はステップS10へ戻る。
ステップS13においてピークホールド部78は、ローパスフィルタでフィルタ処理され、ローパスフィルタのゲインで除算した後の正弦信号SIN0、余弦信号COS0、和(COS1+SIN1)及び差分(COS1-SIN1)のピークホールドを行ってピークホールド値を更新する。
【0077】
ステップS14において補正量算出部80は、モータ20の電気角の1周分の正弦信号SIN0、余弦信号COS0が補正量設定部36に入力されたか否かを判断する。1周分の信号が入力された場合(ステップS14:Y)に処理はステップS15へ進む。まだ1周分の信号が入力されていない場合(ステップS14:N)に処理はステップS10へ戻る。
ステップS15において補正量算出部80は、ピークホールド部78に記憶されたピーク値に基づいて補正量データG1、Cs、Cc、G2を算出する。またピークホールド部78は、記憶しているピークホールド値をリセットする。その後に処理は終了する。
【0078】
図17は、ローパスフィルタ70と振幅補正部77による正弦信号SIN0の補正のシミュレーション結果の説明図である。破線は、ローパスフィルタ70によるフィルタ処理前の正弦信号SIN0の振幅を「1」としたときのフィルタ処理後の正弦信号SIN0の振幅の値を示し、実線は、振幅補正部77によって補正された後の振幅の値を示す。
図17に示すように、振幅補正部77の補正により、ローパスフィルタ70によるフィルタ処理前の振幅の値が維持されていることが分かる。
【0079】
(実施形態の効果)
(1)実施形態の回転角度検出装置は、モータ20の回転軸21に固定された磁石24と、磁石24から発生した磁石磁界の方向を検出する磁気センサ19と、磁気センサ19の検出信号に基づいて回転軸21の回転角度を演算する回転角度演算部31と、モータ20に多相電流を出力する電力変換機の電源電流及び多相電流の少なくとも一方により磁気センサの位置に生じる電流磁界を算出し、磁石磁界の大きさに対する電流磁界の大きさの比と、磁石磁界の向きと電流磁界の向きとの間の差分である角度差と、に基づいて角度補正量を算出し、角度補正量に基づいて回転角度を補正する回転角度補正部32と、を備える。
これにより、モータ20の回転軸21の回転角を磁気センサ19で検出する際に、モータ20に多相電流を出力する電力変換機の電源電流又は多相電流による磁界が検出精度に及ぼす影響を抑制できる。
【0080】
(2)回転角度補正部32は、磁石磁界の大きさに対する電流磁界の大きさの比と角度差の三角関数との積を角度補正量として算出してもよい。
これにより、角度補正量を正確に算出できる。
回転角度補正部32は、磁石磁界の向きを回転角度演算部31が演算した前記回転角度から演算してもよい。これにより磁石磁界の向きを算出できる。
(3)磁石24の近傍の温度を測定する温度センサ15又は磁石24の近傍の温度を推定する温度推定部をさらに備えてもよい。回転角度補正部32は、温度センサ15が測定した温度又は温度推定部が推定した温度に応じて磁石磁界の大きさを算出してもよい。
これにより、磁石24の温度特性に応じて磁石磁界を算出できる。
【0081】
(4)また、実施形態の回転角度検出装置は、モータ20の回転軸21などの回転体の回転に応じて正弦信号及び余弦信号を含んだセンサ信号を出力する磁気センサ19と、磁気センサ19から出力されるセンサ信号が入力されるローパスフィルタ70~73と、ローパスフィルタ70~73によりフィルタ処理され、且つローパスフィルタ70~73のゲインにより補正されたセンサ信号のピーク値を取得するピークホールド部78と、取得したピーク値に応じてセンサ信号を補正するための補正量を算出する補正量算出部80と、この補正量に基づいてセンサから出力されるセンサ信号を補正する検出信号補正部30と、検出信号補正部30により補正されたセンサ信号に基づいて回転体の回転角度を算出する回転角度演算部31と、を備える。
これにより、センサ信号に含まれるノイズを除去するとともに、これらの振幅を維持することができるので正確なピーク値に基づいて補正量を算出できる。
【0082】
(5)ゲイン算出部76は、回転角度θ0の時間変化量に基づいてローパスフィルタ70~73のゲインを算出してよい。
これにより、ローパスフィルタ70~73の周波数特性に応じてゲインを算出できる。
(6)回転角度の時間変化量が所定の閾値範囲外である場合、補正量に基づくセンサ信号の補正を行わないと判断する実施判断部79を設けてもよい。
これにより例えば、回転速度が低い状態(停止状態を含む)で補正量の設定を行った場合に、最大値と最小値のピークを検知するのに長時間を要することにより、その間の温度変化による誤差が発生するのを回避できる。また、回転速度が高い状態において、サンプリング時のピーク検知の誤差が生じるのを回避できる。
【0083】
(7)補正量算出部80は、ピーク値に応じた補正量の変化速度を制限してもよい。
これにより、検出信号補正部30によって補正された後のセンサ信号の急変を抑制できる。
(8)検出信号補正部30は、補正量に基づいてセンサ信号のオフセット誤差、振幅誤差及び位相誤差の少なくとも1つを補正してもよい。
これにより、正弦信号及び余弦信号に基づいて演算される回転角度の直線性誤差の1次成分及び2次成分に、それぞれ影響を与える誤差を補正できる。
【符号の説明】
【0084】
1…ステアリングホイール、2…コラム軸、3…減速ギア、4a、4b…ユニバーサルジョイント、5…ピニオンラック機構、5a…ピニオン、5b…ラック、6a、6b…タイロッド、7a、7b…ハブユニット、8L、8R…操向車輪、9…トルクセンサ、10…制御装置、11…バッテリ、12…イグニションキー、13…制御基板、13a…プロセッサ、13b…記憶装置、14…パワー基板、15…温度センサ、16…駆動回路、17、18…電流センサ、19…磁気センサ、20…モータ、21…回転軸、24…磁石、30…検出信号補正部、31…回転角度演算部、32…回転角度補正部、33…直線性補正部、34…原点補正部、35…モータ制御部、36…補正量設定部、40…SINオフセット補正部、41…COSオフセット補正部、42…COSゲイン補正部、43…加算器、44、63、64…減算器、45…位相誤差補正部、60…微分器、61…電流指令値演算部、62…3相/2相変換部、65、66…PI制御部、67…2相/3相変換部、68…PWM制御部、70、71、72、73、75…ローパスフィルタ、74…角度差分算出部、76…ゲイン算出部、77…振幅補正部、78…ピークホールド部、79…実施判断部、80…補正量算出部
図1
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