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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/54 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B65B11/54
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021178133
(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公開番号】P2023067132
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】塚本 智貴
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-099703(JP,U)
【文献】特開平06-040417(JP,A)
【文献】特開2018-076180(JP,A)
【文献】特開平08-058715(JP,A)
【文献】米国特許第04329831(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 11/00
B65B 25/00
B65B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装シートで農作物を包装する包装装置であって、
昇降可能な第1昇降体と、
前記第1昇降体に昇降可能に設けられた第2昇降体と、
前記第2昇降体に設けられ、農作物を支持する支持体と、
前記第1昇降体に設けられ、前記支持体によって支持された農作物を保持する保持体と、
前記第2昇降体を前記第1昇降体に対して昇降させることにより、前記支持体を前記保持体に対して昇降させる昇降駆動手段とを備え、
農作物が包装シートを介して前記支持体上に載置される際における前記支持体の上下方向の位置は、前記昇降駆動手段により農作物に応じて調整可能である
ことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記支持体は、
農作物の大きさが大きい場合には、前記昇降駆動手段によって下位置に設定され、
農作物の大きさが小さい場合には、前記昇降駆動手段によって上位置に設定される
ことを特徴とする請求項記載の包装装置。
【請求項3】
前記支持体は、
農作物の個数が多い場合には、前記昇降駆動手段によって下位置に設定され、
農作物の個数が少ない場合には、前記昇降駆動手段によって上位置に設定される
ことを特徴とする請求項記載の包装装置。
【請求項4】
前記第1昇降体は、複数の案内部を有し、
前記第2昇降体は、前記案内部によって案内される複数の被案内部を有する
ことを特徴とする請求項ないしのいずれか一記載の包装装置。
【請求項5】
前記保持体が農作物を保持する保持体使用モードと、前記保持体が農作物を保持しない保持体不使用モードとに切り換え可能である
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装シートで農作物を包装する包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された包装装置が知られている。
【0003】
この従来の包装装置は、農作物を支持する支持体と、この支持体で支持された農作物を保持する前後の保持体である保持アームとを備えている。そして、前後の保持アームは、保持作用する上端部にゴムスポンジなどのクッション材を貼り付けてあり、また前後の支軸に外嵌した捻りバネにより保持方向に揺動付勢してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-25426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の包装装置では、支持体と保持体との位置関係が固定されているため、例えば大きさや個数等が異なる農作物に対応できないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、農作物に適切に対応できる包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装装置は、包装シートで農作物を包装する包装装置であって、農作物を支持する支持体と、前記支持体によって支持された農作物を保持する保持体とを備え、前記支持体及び前記保持体の少なくとも一方は、他方に対して昇降可能であるものである。
【0008】
また、本発明に係る包装装置は、包装シートで農作物を包装する包装装置であって、農作物を支持する支持体と、前記支持体によって支持された農作物を保持する保持体と、前記支持体及び前記保持体の少なくとも一方を他方に対して昇降させる昇降駆動手段とを備えるものである。
【0009】
さらに、本発明に係る包装装置は、包装シートで農作物を包装する包装装置であって、第1昇降体と、前記第1昇降体に昇降可能に設けられた第2昇降体と、前記第2昇降体に設けられ、農作物を支持する支持体と、前記第1昇降体に設けられ、前記支持体によって支持された農作物を保持する保持体と、前記第2昇降体を前記第1昇降体に対して昇降させることにより、前記支持体を前記保持体に対して昇降させる昇降駆動手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、農作物に適切に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係る包装装置の前面側斜視図である。
図2】同上包装装置の後面側斜視図である。
図3】同上包装装置内を示す前面図である。
図4】同上包装装置の要部の前面図(第1昇降体が上昇位置に位置した状態)である。
図5】同上包装装置の要部の前面図(第1昇降体が下降位置に位置した状態)である。
図6】同上包装装置の第1昇降駆動手段を示す図である。
図7】(a)は同上包装装置の要部の後面図(第2昇降体が下位置に位置した状態)であり、(b)は同上包装装置の要部の後面図(第2昇降体が上位置に位置した状態)である。
図8】同上包装装置の要部の左側面図である。
図9】同上包装装置の要部の斜視図である。
図10】同上包装装置の動作を説明するための説明図である。
図11図10に続く説明図である。
図12図11に続く説明図である。
図13図12に続く説明図である。
図14】(a)は図13に続く説明図であり、(b)は比較例の説明図である。
図15】(a)及び(b)は農作物の大きさが小さい場合の説明図である。
図16】(a)及び(b)は農作物の大きさが大きい場合の説明図である。
図17】(a)は農作物の個数が多い場合の説明図であり、(b)は農作物の個数が少ない場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施の形態について図1ないし図16を参照して説明する。
【0013】
図中の1は包装装置で、この包装装置1は、例えば所定寸法の矩形状の包装シートSを用いて、球状の農作物W、すなわち例えばレタスを包装するレタス包装機(野菜包装機)である。
【0014】
つまり、包装装置1は、作業者の手作業によって供給口2から内部に供給された農作物Wを包装シートSで包装し、この包装後の農作物Wを排出口3から外部に排出するものである。
【0015】
包装対象の農作物(被包装物)Wの外面全体を包んで覆う包装シートSは、例えばシートロール(図示せず)から所定寸法に切断されて得られるもので、合成樹脂製の透明なシート(フィルム)である。シートロールは、長い連続シートをロール状に巻いたもので、ロール設置台4に設置される。
【0016】
包装装置1は、図1及び図2に示すように、外形が略直方体をなす箱状の装置本体11を備えている。
【0017】
装置本体11の上板12には、矩形状の上側供給口13が形成されている。上板12の下方には、展開した包装シートSを載置状態に支持する水平状の支持板14が設けられている。支持板14には、上側供給口13と対向する円形状の下側供給口15が形成されているが、この下側供給口15の一部(外周側の部分)は、弾性変形可能な複数の弾性板である樹脂板16によって開閉可能に覆われている。なお、上側供給口13及び下側供給口15によって、作業者が手作業で農作物Wを上方から装置本体11内に供給するための供給口2が構成されている。
【0018】
装置本体11の後板18には、矩形状の排出口3が形成されている。この排出口3からは、包装シートSで包装された包装後の農作物Wが装置本体11外に排出される。なお、排出口3から排出された農作物(包装済み農作物)Wは、例えばコンベヤ等の搬送手段によって次の工程に向けて搬送される。また、例えば排出口3から排出された農作物Wが容器内に収納されるようにしてもよい。
【0019】
装置本体11の右板19には、矩形状の余剰部排出口20が形成されている。この余剰部排出口20からは、包装シートSの余剰部S1が装置本体11外に排出される。
【0020】
装置本体11には、例えば手動操作スイッチ21や設定パネル22等が設けられている。そして、手動操作スイッチ21は、作業者が操作する複数の操作部を有しているが、これら複数の操作部のうちの1つは、保持体34に対する支持体33の上下方向の位置(上下位置)を農作物Wに応じて、すなわち例えば農作物の大きさや個数等に応じて調整する際に、作業者が操作する上下位置調整用の操作部23である。
【0021】
また、設定パネル22も、作業者が操作する複数の操作部を有しているが、これら複数の操作部のうちの1つは、保持体34に関するモードを切り換える際に作業者が操作するモード切換用の操作部24である。つまり、作業者は、モード切換用の操作部24の操作により、保持体34が作動して支持体33上の農作物(単数の農作物)Wを保持する保持体使用モード(単数包装モード)と、保持体34が作動せず支持体33上の農作物(複数の農作物)Wを保持しない保持体不使用モード(複数包装モード)とに選択的に切り換え可能である。
【0022】
また、包装装置1は、図3に示すように、供給口2からの農作物Wを包装シートSを介して受け取りかつ包装後の農作物Wを排出口3側に送出する受取部25と、この受取部25によって受け取られた包装前の農作物W側に向かってスライドして熱溶着等の所定処理を行うスライド部26とを備えている。
【0023】
さらに、包装装置1は、包装シートSの余剰部S1が余剰部排出口20から排出されるように余剰部S1に対して圧縮空気を噴射する空気噴射部27と、シートロールから連続シートを支持板14上に引き出すシート引出部28と、このシート引出部28によって引き出された連続シートを切断して所定寸法の包装シートSを得るシート切断部29とを備えている。
【0024】
受取部25は、図4ないし図9等にも示すように、装置本体11の底部17に立設された案内体30と、この案内体30によって案内される昇降可能な第1昇降体31と、この第1昇降体31に昇降可能に設けられた第2昇降体32と、この第2昇降体32に左右方向の回動中心軸線(回動支点)L1を中心として回動可能に設けられ、農作物Wの下面を包装シートSを介して下方から載置状態に支持する支持体33と、第1昇降体31に前後方向の回動中心軸線(回動支点)L2を中心として回動可能に設けられ、支持体33によって支持された農作物Wの左右両側面を包装シートSを介して左右の両側方から保持(挟持)する左右1対の保持体(挟持体)34とを備えている。
【0025】
また、受取部25は、案内体30に対して第1昇降体31を昇降させる第1昇降駆動手段36と、第1昇降体31に対して第2昇降体32を昇降させる第2昇降駆動手段37と、第2昇降体32に対して支持体33を回動中心軸線L1を中心として回動させる第1回動駆動手段38と、第1昇降体31に対して左右の両保持体34を回動中心軸線L2を中心として回動(開閉)させる第2回動駆動手段39とを備えている。
【0026】
第1昇降体31を上下方向に案内する案内体30は、第1昇降体31の筒状部41を案内する上下方向長手状で丸棒状の第1案内部材51と、第1昇降体31のローラ部42を案内する上下方向長手状でコ字枠状の第2案内部材52とを有している。
【0027】
第1昇降駆動手段36は、モータ(駆動源)55と、このモータ55からの動力に基づいて回行する無端状のチェーン56とを有し、このチェーン56は互いに離間対向する上下のスプロケット57に掛け渡され、その張力が張力調整手段58で調整可能となっている。張力調整手段58は、支軸59を中心として回動可能なタイトナー60を有し、このタイトナー60の先端部に下側のスプロケット57が取り付けられている。タイトナー60の基端部には連結棒61が連結され、この連結棒61が調整バネ62で上方側に付勢されている。また、チェーン56の途中には、取付板63が取り付けられ、この取付板63には第1昇降体31の取付部43が取り付けられている。
【0028】
そして、第1昇降体31は、モータ55からの動力に基づくチェーン56の一方向への回行によって案内体30に対して上昇位置まで上昇し(図4参照)、モータ55からの動力に基づくチェーンの他方向への回行によって案内体30に対して農作物Wの大きさ(高さ)に応じた下降位置まで下降する(図5参照)。
【0029】
ここで、上昇位置は、農作物Wの大きさに拘わらず、予め決められた一定の位置である。他方、下降位置は、農作物Wの大きさに応じて決定される任意の位置(農作物の大きさに対応する対応下降位置)である。すなわち例えば、農作物Wを検知する検知手段であるセンサ(図示せず)からの情報に基づいて制御手段50がその大きさに応じた下降位置を決定する。なお、制御手段50は、例えばセンサやスイッチ等からの情報に基づいて各駆動源(モータ及びエアシリンダ等)を制御する。
【0030】
第2昇降体32は、図7等に示すように、第1昇降体31が有する複数(例えば左右2つ)の案内部44によって案内される昇降可能な複数の被案内部65を有し、この上下方向長手状で棒状の被案内部65の上端部が水平状のベース板部66に取り付けられている。
【0031】
また、第2昇降体32は、ベース板部66に対して上下動可能なコ字枠部67を有し、このコ字枠部67には、支持体33が回動中心軸線L1を中心として回動可能に取り付けられている。そして、コ字枠部67は、農作物Wが支持体33に載置される際(支持体への農作物のセット時)における農作物Wへの衝撃を緩和するための緩衝手段である緩衝バネ68によって弾性的に支持され、この緩衝バネ68の内側のガイドピン69が筒状の緩衝ガイド部70内に摺動可能に挿入されている。
【0032】
第2昇降駆動手段37は、伸縮可能な流体圧シリンダである昇降シリンダ(駆動源)71を有している。つまり、第2昇降駆動手段37は、昇降シリンダ71のみで構成されている。昇降シリンダ71は、第1昇降体31に取り付けられたシリンダ本体72と、このシリンダ本体72内に対して出入りするロッド73とを有している。ロッド73の先端部は、第2昇降体32のベース板部66に取り付けられている。
【0033】
そして、第2昇降体32は、昇降シリンダ71の縮み動作によって第1昇降体31に対して下位置まで下降し(図7(a)参照)、昇降シリンダ71の伸び動作によって第1昇降体31に対して上位置まで上昇する(図7(b)参照)。
【0034】
つまり、包装装置1では、互いに大きさが異なる農作物Wに対応できるように、支持体33及び保持体34の少なくとも一方、すなわち例えば支持体33は、他方の保持体34に対して昇降可能となっている。
【0035】
そして、図7(a)に示すように、一の農作物である大きい農作物W(以下において、「WB」という場合がある)の場合、すなわち支持部91で支持される1個の農作物Wの大きさが大きい場合には、支持体33を支持した第2昇降体32は、第2昇降駆動手段37の昇降シリンダ71によって下位置に設定される。換言すると、大き目の農作物WBを支持する場合には、支持体33は、昇降シリンダ71の縮み動作によって保持体34に対して下降して下位置に設定される。
【0036】
また、図7(b)に示すように、一の農作物とは大きさが異なる他の農作物である小さい農作物W(以下において、「WS」という場合がある)の場合、すなわち支持部91で支持される1個の農作物Wの大きさが小さい場合には、支持体33を支持した第2昇降体32は、第2昇降駆動手段37の昇降シリンダ71によって上位置に設定される。換言すると、小さ目の農作物WSを支持する場合には、支持体33は、昇降シリンダ71の伸び動作によって保持体34に対して上昇して上位置に設定される。
【0037】
このように、包装装置1においては、互いに大きさが異なる農作物Wに対応できるように、支持体33は、保持体34に対して上位置及び下位置間で昇降可能である。つまり、支持体33の上下方向の位置(支持体を設けた第2昇降体の上下方向の位置)は、農作物Wに応じて調整可能である。なお、保持体34に対する支持体33の上下位置は、例えば手動操作スイッチ21の操作部23の操作によって切換可能となっている。
【0038】
保持体(挟持体)34は、図4図5等に示すように、第1昇降体31に対する回動中心軸線L2を中心とする回動により、開状態(農作物を挟持しない状態)及び閉状態(農作物を両側方から挟持する状態)になるものである。
【0039】
つまり、対をなす両保持体34は、回動中心軸線L2を中心とする回動に基づく互いに接近する方向への同期移動(閉動作)により閉状態となり、回動中心軸線L2を中心とする回動に基づく互いに離反する方向への同期移動(開動作)により開状態となる。なお、保持体34は、保持体使用モード時にのみ動作(作動)する。
【0040】
保持体34は、第1昇降体31に回動中心軸線L2を中心として回動可能に設けられたL字状のアーム部76と、このアーム部76の上端側の先端部に設けられ、保持体34の閉状態で農作物Wの側面に包装シートSを介して接触してその側面を保持する保持部77と、アーム部76の下端側の基端部に設けられ、保持体34の開状態で第2回動駆動手段39のローラ接触板85と接触するローラ部78とを有している。
【0041】
保持部77は、例えば矩形状の保持板79と、この保持板79の表面(少なくとも農作物と包装シートを介して接触する面)を覆うように当該保持板79に貼り付けられたスポンジ等のクッション材80とで構成されている。
【0042】
第2回動駆動手段39は、伸縮可能な流体圧シリンダである開閉シリンダ(駆動源)81を有している。開閉シリンダ81は、第1昇降体31に取り付けられたシリンダ本体82と、このシリンダ本体82内に対して出入りするロッド83とを有している。ロッド83の先端部には、付勢手段である閉じバネ84の付勢力に抗してローラ部78を持ち上げるローラ接触板85が取り付けられている。ローラ接触板85は、上下方向に延びるガイドピン86によって案内されて昇降する。
【0043】
保持体34を閉状態にするための閉じバネ84は、第1昇降体31と保持体34との間に架設されている。つまり、閉じバネ84は、その一端部が第1昇降体31のバネ取付部45に取り付けられ、かつ、その他端部が保持体34のバネ取付部46に取り付けられている。
【0044】
そして、保持体34は、開閉シリンダ81の伸び動作によって第1昇降体31に対して回動中心軸線L2を中心として回動して開状態となり(図4参照)、開閉シリンダ81の縮み動作によって閉じバネ84から付勢力(弾性復元力)を受け、この付勢力に基づいて第1昇降体31に対して回動中心軸線L2を中心として回動して閉状態となる(図5参照)。
【0045】
図5に示すように、保持体34が開状態から閉状態に切り換わると、支持体33上の農作物Wは、閉じバネ84の付勢力に基づいて、両保持体34の保持部(挟持部)77によって左右両側から挟持される。
【0046】
支持体(載置体)33は、図8等に示すように、第2昇降体32に対する回動中心軸線L1を中心とする回動により、第1状態(農作物を下方から支持する支持状態)及び第2状態(農作物を側方に送出する送出状態)になるものである。
【0047】
つまり、支持体33は、回動中心軸線L1を中心とする一方向(前方側)への回動により水平状の第1状態(農作物が載置される状態)となり、回動中心軸線L1を中心とする他方向(後方側)への回動により後下がりの傾斜状の第2状態(農作物が排出される状態)となる。なお、支持体33の回動角度θは、90度未満の角度で、例えば60度である。
【0048】
支持体33は、当該支持体33の第1状態では農作物Wの下面を包装シートSを介して載置状態に下方から支持するが、当該支持体33の第2状態では農作物Wをその自重により後方(側方)へ送出する皿状の支持部91と、この支持部91に下方に向かって突設された下方突出状の取付部92とを有している。つまり、支持体33は、第2昇降体32に回動中心軸線L1を中心として回動可能に取り付けられた取付部92と、この取付部92の上部に着脱可能に取り付けられ、農作物Wの下面側を支持する支持部91とを有している。
【0049】
取付部92は、取付具93によって支持部91の下面に着脱可能に取り付けられた取付板94を有している。取付板94の両端部からは、互いに離間対向する左右1対の対向板95が下方に向かって突出している。両対向板95の前後方向中央部には、左右方向に延びる円筒状の挿入筒96が設けられている。
【0050】
そして、挿入筒96にボルト97が挿入され、そのボルト97にナット98が螺合されることによって、取付部92が第2昇降体32のコ字枠部67に回動中心軸線L1を中心として回動可能に取り付けられている。このボルト97の軸部の軸芯を通る線が回動中心軸線L1である。
【0051】
また、取付部92の両対向板95の前端部には、回動シリンダ121のロッド123の先端部が取付手段100を介して回動可能に取り付けられている。取付手段100は、例えばボルト101、ナット102及びスペーサ103で構成されている。
【0052】
支持部91は、支持体33の第1状態では農作物Wを下方側から支持しかつ支持体33の第2状態では農作物Wを後方側に送出するもので、例えば平面視で十字状をなす皿状の支持板(受皿)105と、この支持板105の表面(少なくとも農作物と包装シートを介して接触する面)を覆うように当該支持板105に貼り付けられたスポンジ等のクッション材106とで構成されている。なお、支持板105は、取付具93によって取付板94の上面に着脱可能に取り付けられている。
【0053】
ここで、支持部91は、例えば平面視十字状のもので、農作物Wの下面の中央部を包装シートSを介して支持する矩形板状の中央支持部107と、この中央支持部107の前後左右の4つの端部(外縁部)に斜め上方に向かって突設され、農作物Wの下面のうちその中央部の周囲に位置する周囲部の4箇所を包装シートSを介して支持する矩形板状の周囲支持部108a,108bとを有している。
【0054】
前後1対の周囲支持部108aは、左右1対の周囲支持部108bよりも大きく形成されている。そして、前後1対の周囲支持部108aは、中央支持部107に対して傾斜状に位置する傾斜部分109と、中央支持部107と平行状に位置する先端部分110とで構成されている。左右1対の周囲支持部108bは、中央支持部107に対して傾斜状に位置する傾斜部分111のみで構成されている。なお、図8に示されるように、支持体33の第1状態では、中央支持部107は水平面に沿って位置する。他方、支持体33の第2状態では、前側の周囲支持部108aの傾斜部分109は鉛直面に沿って位置する。
【0055】
第1回動駆動手段38は、伸縮可能な流体圧シリンダである回動シリンダ(駆動源)121を有している。つまり、第1回動駆動手段38は、回動シリンダ121のみで構成されている。回動シリンダ121は、第2昇降体32のシリンダ取付部124に取り付けられたシリンダ本体122と、このシリンダ本体122内に対して出入りするロッド123とを有している。ロッド123の先端部は、取付手段100を介して支持体33の取付部92に取り付けられている。
【0056】
そして、支持体33は、回動シリンダ121の縮み動作によって第2昇降体32に対して回動中心軸線L1を中心として回動して第1状態(支持状態)となり、回動シリンダ121の伸び動作によって第2昇降体32に対して回動中心軸線L1を中心として回動して第2状態(送出状態)となる。
【0057】
図8の2点鎖線で示すように、支持体33が所定高さに位置した回動中心軸線L1を中心に回動して第1状態から第2状態に切り換わると、その支持体33上の農作物Wは、搬送体126の搬送部127上に送出(排出)され、その後、農作物Wは、その傾斜状の搬送部127によって排出口3に向けて搬送される。
【0058】
支持体33からの農作物Wを受け取って排出口3に向けて搬送する搬送体126の搬送部127は、例えば後下がりの傾斜状の搬送板128と、この搬送板128の上面を覆うように当該搬送板128に貼り付けられたスポンジ等のクッション材129とで構成されている。
【0059】
ここで、図8に示すように、支持体33の回動中心軸線(回動支点)L1は、支持体33の第1状態において、側面視で支持部91の中央支持部107の中心点(受皿の中心部)Pよりも反送出側、つまり水平姿勢の中央支持部107の前後方向中心位置よりも前方側にずれて位置する。換言すると、回動中心軸線L1は、支持体33の第1状態における側面視で、支持部91によって載置状態に支持された球状の農作物Wの中心部(重心位置)Oを通る鉛直方向の線Aよりも前方側(反送出側)に位置する。
【0060】
より具体的には、回動中心軸線L1は、支持体33の第1状態における側面視で、水平姿勢の中央支持部107の反送出側部分(前側部分)107aの下方に位置する。
【0061】
そして、中心点Pと回動中心軸線L1との間の距離(中心点Pの真下位置からのずれ量)aは、例えば20mmである(図14参照)。また、中心点Pと回動中心軸線L1とは、支持体33の第2状態における側面視で、同じ高さ(略同じ高さを含む)に位置する。
【0062】
なお、図9においては、支持体33のクッション材106及び保持体34のクッション材80の図示が省略されている。その図9に図示した3つのシリンダ(昇降シリンダ71、開閉シリンダ81及び回動シリンダ121)は、例えばエアシリンダである。図5図7図15図16及び図17では、包装シートSの図示が省略されている。
【0063】
また、図12に示すように、スライド部26は、例えばスライダ131、挟持板132、切断刃133及びヒータ134を有するとともに、羽根や樹脂板ガイド等も有している。図13に示すように、空気噴射部27は、例えば移動フレーム136、この移動フレーム136に取り付けられたエアノズル137等を有している。
【0064】
次に、包装装置1の作用等を説明する。
【0065】
図10に示すように、包装シートSが支持板14上に載置された状態で、作業者は、農作物Wで樹脂板16を押し下げて一旦弾性変形させつつ、農作物Wを供給口2から包装装置1内に供給して支持体33上に載置する。
【0066】
すると、図11に示すように、農作物Wは、その略全体(上面中央部を除く部分)が包装シートSで包装された状態となって、支持体33の支持部91上に包装シートSを介して載置される。こうして、1個の農作物Wが、第1状態の支持体33の支持部91上にセットされる。
【0067】
そして、両保持体34が閉動作により開状態から閉状態となって農作物Wの左右側面を両側方から挟持した後、第1昇降体31がこれと一体的に昇降する第2昇降体32及び支持体33等とともに上昇位置から下降位置(対応下降位置)まで下降して停止する。その結果、第1状態の支持体33の支持部91上に載置された農作物Wは、その大きさに応じた包装位置に停止する。
【0068】
その後、図12に示すように、スライド部26が包装位置に停止した農作物W側に向かってスライドして進行し、農作物Wの上方近傍位置において包装シートSの上側の所定部分を前後左右から挟持した状態で熱溶着及び切断を行う。その結果、包装位置に停止した農作物Wは、その全体が包装シートSで包装された状態となって包装完了となる。
【0069】
その後、図13に示すように、空気噴射部27による圧縮空気によって、包装シートSの余剰部(余剰フィルム)S1が吹き飛ばされて余剰部排出口20から包装装置1外へ排出される。また、両保持体34が開動作により閉状態から開状態に戻り、当該両保持体34による農作物Wの挟持が解除される。
【0070】
その後、図14(a)に示すように、包装シートSで包装された包装後の農作物Wは、第1昇降体31が下降位置に停止した状態(第2昇降体32も停止状態)のまま、支持体33が第2昇降体32に対して回動中心軸線L1を中心として回動角度θ(例えば60度)だけ回動することによって、支持体33の支持部91上から送出され、搬送部127上を滑落して排出口3から包装装置1外へ排出される。
【0071】
つまり、第1回動駆動手段38の回動シリンダ121の伸び動作のみに基づいて、中心点Pに対して距離aだけ反送出側(排出口側である送出側とは反対側)にずれた回動中心軸線L1を中心として支持体33が回動して傾斜状の第2状態になると、包装後の農作物Wは、支持部91上から搬送部127上へと滑り降りるようにスムーズに送出されて移載される。すなわち例えば、農作物Wは、支持部91上から搬送部127上に乗り移り、その搬送部127の上面上を滑って排出口3から排出される。
【0072】
これに対し、図14(b)に示す比較例の場合、すなわち中心点Pの真下に回動中心軸線(真下回動支点)L1´が位置する場合には、その回動中心軸線L1´を中心として支持体33が回動して傾斜状の第2状態になると、包装後の農作物Wは、放り投げられる形で放出され、農作物Wの送出側の端部が下向きになって落下して搬送部127の上面に当接し、その結果、例えば図示の如く農作物Wは搬送部127上で転がって排出される。このため、当該比較例の場合には、農作物Wが衝撃を受けやすく損傷するおそれがある。
【0073】
したがって、上記包装装置1によれば、図14(b)に示す比較例のような場合とは異なり、支持体33の回動中心軸線L1は、当該支持体33の第1状態において側面視で支持部91の中心点Pよりも反送出側に位置するため、その支持部91からの送出の際に農作物Wが衝撃を受けにくく、包装後の農作物Wの損傷を適切に防止できる。
【0074】
また、支持体33の第2状態において、当該第2状態の支持体33上の送出前の農作物Wの上端位置が比較例における上端位置に比べて低いため(図14参照)、下降位置に停止した第1昇降体31をそれ以上下降させることなく、送出時における農作物Wとスライド部26との干渉を回避でき、よって、包装後の農作物Wの損傷をより適切に防止できるとともに、第1昇降体31の下降動作の省略によりモータ等の耐久性の向上も図ることができる。
【0075】
さらに、支持体33の支持部91は、農作物Wの下面の中央部を支持する中央支持部107と、農作物Wの下面のうち中央部の周囲に位置する周囲部を支持する複数(例えば4つ)の周囲支持部108a,108bとを有し、支持体33の回動中心軸線L1が第1状態において側面視で中央支持部107の中心点Pよりも反送出側に位置するため、包装後の農作物Wの損傷を効果的に防止できる。
【0076】
さらに、包装後の農作物Wは、第1回動駆動手段38の回動シリンダ121の伸び動作のみに基づく支持体33の回動によって、当該支持体33から送出されるため、例えばモータ駆動で下降する支持体の一部を当接部材に当てることでその支持体を回動させて農作物を送出する構成等に比べて、モータ等の耐久性の向上を図ることができる。
【0077】
また、受取部25は、第2昇降体32を第1昇降体31に対して昇降させることにより支持体33を保持体34に対して昇降させる昇降駆動手段である第2昇降駆動手段37を備え、この第2昇降駆動手段37の昇降シリンダ71の伸縮で支持体33が保持体34に対して昇降可能であるため、例えば図15図16の如く大きさが異なる農作物Wに適切に対応できる。
【0078】
すなわち、例えば図15(a)に示すように、小さい農作物WSの場合、作業者は、下側供給口15から所定距離以上離れた下位置の支持体33に対して小さい農作物WSをセットしにくく、またセットできたとしても、保持体34が小さい農作物WSの上側を保持するため、小さい農作物WSが損傷するおそれがあり、またセンサがその小さい農作物WSを検知しないおそれもある。
【0079】
しかし、図15(b)に示すように、支持体33の位置を上位置に変更すれば、そのような問題はなく、小さい農作物WSを支持体33に対して容易にセットでき、かつ、保持体34で小さい農作物WSの両側面を適切に保持でき、小さい農作物WSの損傷防止を図ることができ、センサも小さい農作物WSを検知できる。
【0080】
また、例えば図16(a)に示すように、大きい農作物WBの場合、作業者は、上位置の支持体33に対して容易にセットできるものの、保持体34が大きい農作物WBの下側を保持するため、大きい農作物WBが損傷するおそれがあり、また保持体34で大きい農作物WBを上方に押し上げてしまうおそれもある。
【0081】
しかし、図16(b)に示すように、支持体33の位置を下位置に変更すれば、そのような問題はなく、保持体34で大きい農作物WBの両側面を適切に保持でき、大きい農作物WBの損傷防止を図ることができ、かつ、保持体34で大きい農作物WBを上方に押し上げることもなく、その農作物WBを包装シートSで適切に包装できる。
【0082】
このように、包装装置1では支持体33と保持体34との位置関係を変更できるため、大きさが異なる農作物W(WS,WB)に適切に対応することができる。
【0083】
また、この包装装置1では、図17に示すように、1枚の包装シートSで包装される個数が異なる農作物Wにも適切に対応することができる。
【0084】
この図17の場合、保持体不使用モードに設定されている。また、図17に示す支持部91´は、平面視十字状の支持部91とは異なり、例えば円形の底部91aと、逆截頭円錐状の側部91bとを有する、通常の皿状のものである。つまり、包装装置1を用いて、1枚の包装シートSで複数個の農作物Wを包装する処理を行う場合には、保持体使用モードから保持体不使用モードに切り換え、かつ、支持部91を支持部91´に交換する。
【0085】
そして、図17(a)に示すように、支持体33は、農作物Wの個数が所定数(1段の最大数で例えば4個)を超える場合、すなわち例えば通常の皿状の支持部91´で支持される農作物Wの個数が5個(1段目が最大の4個、2段目が1個)の場合には、2段に積み重なるため第2昇降駆動手段37によって下位置に設定される。
【0086】
また、図17(b)に示すように、支持体33は、農作物Wの個数が所定数(1段の最大数で例えば4個)以下の場合、すなわち例えば通常の皿状の支持部91´で支持される農作物Wの個数が4個(2個や3個でもよい)の場合には、第2昇降駆動手段37によって上位置に設定される。
【0087】
したがって、このように農作物Wの個数に応じて支持体33の上下位置を調整できるため、個数が異なる農作物Wに適切に対応することができる。
【0088】
なお、包装対象の被包装物である農作物は、レタス(球状の野菜)には限定されず、例えばキャベツ、メロン、リンゴ等でもよく、その形状等も任意である。
【0089】
また、駆動源であるシリンダは、例えば流体圧シリンダであるエアシリンダには限定されず、例えば油圧シリンダ等でもよく、またシリンダに代えてモータ等の駆動源を用いてもよい。
【0090】
さらに、農作物との接触部分(支持部、保持部、搬送部等)は、農作物への衝撃緩和のために、弾性部材であるクッション材を有することが好ましいが、例えば農作物の種類等によってはクッション材は不要である。
【0091】
また、支持体の回動支点(回動中心軸)は、当該支持体の第1状態における側面視で、中央支持部の反送出側部分の下方に位置する構成には限定されず、例えば複数の周囲支持部のうち反送出側に位置する周囲支持部の下方に位置する構成や、支持部の反送出側の端部(支持部の前端部)の下方に位置する構成等でもよい。
【0092】
さらに、支持体が保持体に対して昇降可能な構成には限定されず、例えば保持体が支持体に対して昇降可能な構成でもよく、例えば支持体及び保持体がそれぞれ他方に対して昇降可能な構成等でもよい。
【0093】
また、農作物の大きさ又は個数に応じて支持体(第2昇降体)が上位置及び下位置(2箇所の位置)のみに設定(調整)される構成には限定されず、例えば3箇所以上の有段階の位置(無段階の任意位置でもよい)に設定(調整)可能な構成等でもよい。
【0094】
さらに、例えば農作物の大きさや個数を検知する検知手段からの情報に基づいて制御手段が昇降駆動手段を制御して支持体と保持体との位置関係を変更する構成等でもよい。すなわち例えば制御手段が農作物の大きさや個数に関する情報に基づいて昇降駆動手段を制御することにより、支持体が保持体に対して昇降する構成等でもよい。
【0095】
また、農作物の大きさや個数に応じて支持体の上下方向の位置(上下位置)が調整可能な構成には限定されず、例えば農作物の種類や形状等に応じて支持体の上下位置を調整できるようにしてもよい。
【0096】
なお、上記では農作物を包装する包装装置について説明したが、包装装置以外の各種装置に適用でき、例えば物品等の搬送物を搬送(送出)する搬送装置等にも適用可能である。また、農作物を保持する保持体は必ずしも必要なものではなく、保持体を有しない構成でもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 包装装置
31 第1昇降体
32 第2昇降体
33 支持体
34 保持体
37 昇降駆動手段である第2昇降駆動手段
44 案内部
65 被案内部
S 包装シート
W 農作物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17