(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】インジケータ
(51)【国際特許分類】
E05B 41/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
E05B41/00 D
(21)【出願番号】P 2022096769
(22)【出願日】2022-06-15
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000152169
【氏名又は名称】株式会社栃木屋
(74)【代理人】
【識別番号】110002882
【氏名又は名称】弁理士法人白浜国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺山 裕二
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-174136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0388641(US,A1)
【文献】特開2019-124002(JP,A)
【文献】特開2019-131992(JP,A)
【文献】特開2017-110455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把手を備えた扉を施錠する施錠装置の施錠状態を表示するインジケータであって、
前記把手から食み出す第1状態と前記把手に隠れる第2状態とに変位可能に設けられた表示部材と、
該表示部材を前記施錠装置の施錠状態で前記第1状態に変位させるとともに解錠状態で前記第2状態に変位させる操作手段と、
を備え
、
前記把手は、凹部を有し、
前記表示部材は、前記第1状態で前記凹部に食み出す構成としたことを特徴とするインジケータ。
【請求項2】
前記把手は、中途部が括れた括れ部を有し、該括れ部に前記凹部を形成したことを特徴とする請求項
1に記載のインジケータ。
【請求項3】
前記凹部は、湾曲形状に形成したことを特徴とする請求項
1に記載のインジケータ。
【請求項4】
前記表示部材は、前記把手から食み出す食み出し部を前記把手の前記凹部以外の部分と面一になるように形成したことを特徴とする請求項
1に記載のインジケータ。
【請求項5】
前記表示部材は、前記把手から食み出す食み出し部を凸状の湾曲形状に形成したことを特徴とする請求項1に記載のインジケータ。
【請求項6】
前記表示部材は、前記把手から食み出す食み出し部を凹凸状に形成したことを特徴とする請求項1に記載のインジケータ。
【請求項7】
前記表示部材は、前記把手から食み出す食み出し部を角状に形成したことを特徴とする請求項1に記載のインジケータ。
【請求項8】
前記操作手段は、前記表示部材の変位を前記施錠装置の施錠状態に連動させる連動部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のインジケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉を施錠する施錠装置の施錠状態を表示するインジケータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のインジケータとしては、従来、種々のものが提案されている。
【0003】
たとえば特許文献1には、扉の前面に開扉釦から離間してインジケータが設けられ、扉のロックの有無によって、荷受室に荷物が収納されていないときには「受け取りできます」と表示し、荷受室に荷物が収納されているときには「使用中」と表示するようにした宅配ボックスが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ラッチ錠取付ベースの正面にラッチ操作つまみの施錠状態又は解錠状態を表示するインジケータが設けられ、このインジケータは、ラッチ操作つまみが施錠されていることを表示する施錠表示部材とタッチ操作つまみが解錠されていることを表示する解錠表示部材とを有し、ラッチ操作つまみによる施錠又は解錠の操作により表示窓に施錠表示部材又は解錠表示部材を表示し、錠前ユニットの鍵による解錠の操作により表示窓に解錠表示部材を表示するようにした宅配ボックス用ラッチ錠が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-131992号公報
【文献】特開2019-124002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、いずれも施錠状態および解錠状態の表示を目視のみにより把握する構成であるため、施錠状態および解錠解錠が分かり難く、特に目の不自由な者にとっては尚更である。
【0007】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、目の不自由な者であっても施錠状態および解錠状態を容易に確認することができるようにしたインジケータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、把手を備えた扉を施錠する施錠装置の施錠状態を表示するインジケータであって、把手から食み出す第1状態と把手に隠れる第2状態とに変位可能に設けられた表示部材と、表示部材を施錠装置の施錠状態で第1状態に変位させるとともに解錠状態で第2状態に変位させる操作手段とを備え、前記把手は、凹部を有し、前記表示部材は、前記第1状態で前記凹部に食み出す構成としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るインジケータによれば、目の不自由な者であっても施錠状態および解錠状態を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
【
図1】本発明の第1実施形態に係るインジケータを備えた宅配ボックスを示す斜視図。
【
図2】同宅配ボックスの施錠装置を背面側から示す斜視図。
【
図6】同施錠装置のカバー下部を下方から示す平断面図。
【
図8】同施錠装置を一部省略して背面側から示す分解斜視図。
【
図9】同施錠装置の施錠ラッチおよびホールドラッチを示す分解斜視図。
【
図11】同施錠装置のホールドラッチの動作を説明するための断面図。
【
図12】同施錠装置のホールドラッチの動作を説明するための断面図。
【
図13】同施錠装置のホールドラッチの動作を説明するための断面図。
【
図14】同施錠装置の施錠ラッチの施錠動作を説明するための断面図。
【
図15】同施錠装置の施錠ラッチの施錠動作を説明するための断面図。
【
図16】同施錠装置の施錠ラッチの施錠動作を説明するための断面図。
【
図17】同施錠装置の施錠ラッチの施錠動作を説明するための断面図。
【
図18】同施錠装置の施錠ラッチの解錠動作を説明するための斜視図。
【
図19】同施錠装置の施錠ラッチの解錠動作を説明するための断面図。
【
図20】同施錠装置の施錠ラッチの解錠動作を説明するための斜視図。
【
図21】同施錠装置の施錠ラッチの解錠動作を説明するための断面図。
【
図22】同施錠装置の施錠ラッチの解錠動作を説明するための斜視図。
【
図23】同施錠装置の施錠ラッチの解錠動作を説明するための断面図。
【
図24】同施錠装置の施錠ラッチの非常解錠動作を説明するための断面図。
【
図25】同施錠装置の施錠ラッチの非常解錠動作を説明するための断面図。
【
図30】本発明の第2実施形態に係るインジケータを備えた宅配ボックスの施錠装置を背面側から示す分解斜視図。
【
図32】本発明の第3実施形態に係るに係るインジケータを示す概略図。
【
図33】本発明の第4実施形態に係るに係るインジケータを示す概略図。
【
図34】本発明の第5実施形態に係るに係るインジケータを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1中、符号1は、本発明に係るインジケータ101を備えた宅配ボックスを示している。
【0013】
この宅配ボックス1は、前面に開口部3を有する筐体4と、この筐体4の開口部3を開閉する扉5を備えている。
【0014】
扉5は、たとえば右側縁6が筐体4に図示しないヒンジによって回動自在に枢支されている。
【0015】
また、この扉5の自由端である左側縁7の近傍には施錠装置2が取付けられている。
【0016】
この施錠装置2は、扉5の表側(前面側)に設けられた把手部8と、
図2にも示すように、扉5の内側(後面側)に設けられた本体9とを有している。
【0017】
本体9は、施錠ラッチ10を備えていて、この施錠ラッチ10の先端部10aが筐体4の開口部3周縁に設けられた筐体係合部11に係合することにより、扉5を閉状態に施錠することができるようになっている。
【0018】
すなわち、
図3および
図4に示すように、本体9は、扉5の内側に取付けられたベース12を有している。
【0019】
このベース12には、ベース12側を除き本体9の略外周を区画形成する箱状のカバー13がベース12に対して接離可能に支持されている。
【0020】
すなわち、
図5および
図6にも示すように、ベース12には、一対のガイド孔12a,12aが前後方向に貫通して設けられている。
【0021】
一方、カバー13の内側(ベース12側)上部には、ガイド孔12a,12aに前後方向にスライド自在に内嵌するガイドピン13a,13aが突設されれている。
【0022】
これらガイドピン13a,13aは、ガイド孔12a,12aに挿通した状態で、先端に螺子14,14が螺合され、この螺子14,14によりガイド孔12a,12aからの抜け止めがなされるようになっている。
【0023】
また、カバー13の下部両側には、ベース12に向けて延出する一対の内側ガイド片13b,13bが設けられ、これら内側ガイド片13b,13bの先端には外側に突出する外側ストッパ13c,13cが形成されている。
【0024】
一方、ベース12の下部両側には、内側ガイド片13b,13bがスライド可能に内嵌する外側ガイド片12b,12bが設けられ、これら外側ガイド片12b,12bの先端には内側に突出する内側ストッパ12c,12cが形成されている。
【0025】
そして、外側ストッパ13c,13cと内側ストッパ12c,12cとにより内側ガイド片13b,13bの外側ガイド片12b,12bからの抜け止めがなされるようになっている。
【0026】
これにより、カバー13がベース12に対して前後方向に接離することができるようになっている。
【0027】
また、
図3および
図4に戻り、カバー13の左側壁には、施錠ラッチ10の先端部10aが突没可能な開口13dが形成され、カバー13の右側壁には、施錠ラッチ10の後端部10bが突没可能な開口13eが形成されている。
【0028】
また、このカバー13の内側には、ベース12に取付けられた枠状のフレーム16が設けられている。
【0029】
このフレーム16は、扉5と平行で垂直方向に設けられる垂直板部16aと、この垂直板部16aの上縁から前方に水平に設けられる上水平板部16bと、垂直板部16aの下縁から前方に水平に設けられる下水平板部16cと、上水平板部16bの前縁から上方に延びベース12に固定される上固定部16dと、下水平板部16cの前縁から下方に延びベース12に固定される下固定部16eとを有している。
【0030】
このフレーム16の垂直板部16aのカバー13側には、たとえば円錐状の第1圧縮コイルばね17が前後方向に伸縮可能に固定されている。
【0031】
この第1圧縮コイルばね17の頂部である先端には、カバー13が固定され、これによりカバー13はベース12から離間する方向へ付勢されるようになっている。
【0032】
さらに、ベース12とフレーム16との間には上述の施錠ラッチ10が設けられている。
【0033】
この施錠ラッチ10は、下面がベース12に設けられたガイド板12d,12dによって、上面と後面がフレーム16によって、それぞれ水平方向にスライド自在にガイドされるようになっている。
【0034】
そして、先端部10aがカバー13の開口13dに対し突没可能、後端部10bがカバー13の開口13eに対し突没可能とされている。
【0035】
また、施錠ラッチ10は、
図7~
図9にも示すように、先端部10aが二股に分かれ、この二股部10c,10cの間に門型の隙間10dが形成されている。
【0036】
さらに、この施錠ラッチ10のベース12側には、隙間10dに連通する凹溝10eが施錠ラッチ10の長さ方向(左右方向)に沿って設けられている。
【0037】
この施錠ラッチ10の凹溝10eには、ホールドラッチ23がスライド可能に嵌合されていて、その頭部23aが施錠ラッチ10の隙間10dから突没でき、しかも、施錠ラッチ10の動作に関係なくカバー13の開口13dから突没できるようになっている。
【0038】
このホールドラッチ23は、一端がホールドラッチ23に取付けられ、他端がベース12に取り付けられた第1引張りコイルばね24によって、カバー13の開口13dから突出する方向に付勢されている。
【0039】
また、ホールドラッチ23の頭部23aは、前面側傾斜面23bと後面側傾斜面23cとを有する山型状に形成されていて、扉5を開くときには前面側傾斜面23bが筐体係合部11に係合することにより第1引張りコイルばね24の付勢力に抗して没入し、扉5を閉めるときには後面側傾斜面23cが筐体係合部11に係合することにより第1引張りコイルばね24の付勢力に抗して没入するようになっている。
【0040】
さらに、このホールドラッチ23には、ガイドレール23d,23dがホールドラッチ23の長さ方向(左右方向)に沿って設けられている。
【0041】
このホールドラッチ23のガイドレール23d,23dおよび施錠ラッチ10の凹溝10eには、補助部材26がスライド可能に嵌合されている。
【0042】
この補助部材26は、ガイドレール23d,23dおよび凹溝10eに嵌合する第1補助部材27と、この第1補助部材27に固定される第2補助部材28とを有している。
【0043】
また、施錠ラッチ10の凹溝10eには、一端が施錠ラッチ10に取付けられ、他端が第1補助部材27に取付けられた第2圧縮コイルばね29が設けられていて、施錠ラッチ10と第1補助部材27とを反対方向へ付勢するようになっている。
【0044】
さらに、この第2圧縮コイルばね29によって反対方向へ付勢される施錠ラッチ10および第1補助部材27は、第1補助部材27に設けられた第1当接部27aが施錠ラッチ10に設けられた衝止部10fに当接するようになっていて、これにより施錠ラッチ10の第1補助部材27に対する突出方向への移動が規制されるようになっている。
【0045】
さらに、第1補助部材27と第2補助部材28との間には、一端が第2補助部材28に取付けられるとともに他端がベース12に固定された第2引張りコイルばね30が設けられ、第2補助部材28を施錠ラッチ10の先端部10aが没入する方向へ付勢するようになっている。
【0046】
さらに、この第2補助部材28には、ベース12に設けられた衝止部12eに当接する第2当接部28aが設けられ、第2補助部材28の移動を規制するようになっている。
【0047】
さらに、施錠ラッチ10のベース12側には、カバー13の開口13eのベース12側に設けられた係合部13fに係合する第1ガイド部10gが設けられている。
【0048】
この第1ガイド部10gは、施錠ラッチ10の突没方向に平行な第1平行部10hと第2平行部10iを有している。
【0049】
第2平行部10iは、第1平行部10hよりベース12側かつ施錠ラッチ10の先端部10a側に設けられている。
【0050】
また、第1平行部10hと第2平行部10iとの間には傾斜部10jが第1平行部10hおよび第2平行部10iに連続して設けられている。
【0051】
第1補助部材27のベース12側には、カバー13の係合部13fに係合する第2ガイド部27bが設けられている。
【0052】
この第1補助部材27の第2ガイド部27bは、施錠ラッチ10の第2平行部10iと面一に設けられている。
【0053】
したがって、施錠ラッチ10に設けられた衝止部10fと第1補助部材27の第1当接部27aとは、施錠ラッチ10の第1平行部10hと第2平行部10iとの間隔だけ段差部31(
図5および
図6に示す。)が生じ、この段差部31により施錠ラッチ10の第1平行部10hおよび傾斜部10jと第1補助部材27の第1当接部27aとが施錠ラッチ10の移動に伴ってカバー13の係合部13fに同時に係合できるようになっている。
【0054】
すなわち、施錠ラッチ10の第2平行部10iにカバー13の係合部13fが係合すると、第1補助部材27の第1当接部27aとカバー13の係合部13fとの係合は解除され、施錠ラッチ10、第1補助部材27および第2補助部材28は、第2引張りコイルばね30の付勢力により施錠ラッチ10の先端部10aが没入する方向へ移動するようになっている。
【0055】
さらに、上述した把手部8(
図1に示す。)は、把手41、錠42、およびインジケータ101を備えている。
【0056】
このインジケータ101は、施錠装置2の施錠状態を表示するもので、
図10にも示すように、表示部材43を有している。
【0057】
把手41は、上下方向に長い略長円形に形成された前面板41aを有していて、この前面板41aの上下方向の略中央には括れ部41bが形成されている。
【0058】
そして、この括れ部41bの両側には、湾曲形状の凹部41c,41cが形成されている。
【0059】
また、前面板41aの背面側すなわち扉5側には、側面板41dが設けられている。
【0060】
この側面板41dは、前面板41aの外周縁に沿って且つ外周縁から内方へずれて設けられている。
【0061】
したがって、前面板41aの外周縁は、側面板41dから張出すようになっていて、指で把持するための把持部41eを構成している。
【0062】
さらに、括れ部41bの側面板41dには、切欠き41f,41fが形成され、この切欠き41f,41fの一方から表示部材43が突没することができるようになっている。
【0063】
すなわち、表示部材43は、把手41の背面に突設された軸41gに回動可能に軸支され、把手41から食み出す第1状態と把手41の背面側に隠れる第2状態とに変位可能になっている。
【0064】
また、この表示部材43の把手41から食み出す食み出し部43bは、凸状の湾曲形状に形成されている。
【0065】
さらに、表示部材43は、連動部44(操作手段)によって施錠ラッチ10の突没動作に連動して変位するように構成されている。
【0066】
この連動部44は、表示部材43の変位を施錠装置2の施錠状態に連動させるもので、第3引張りコイルばね45および係合部材28bを有している。
【0067】
この第3引張りコイルばね45は、両端が把手41と表示部材43とに連結され、表示部材43を把手41から食み出す第1状態の方向に付勢するように構成されている。
【0068】
係合部材28bは、第2補助部材28に突設され、ベース12に設けられた透孔12gおよび扉5に設けられた透孔5bを介して表示部材43の回動先端部43aに係合するようになっている。
【0069】
そして、施錠ラッチ10の先端部10aの突状態で表示部材43を把手41から食み出す第1状態に変位させ、施錠ラッチ10の先端部10aの没状態で表示部材43を把手41の背面側に隠れる第2状態に変位させるようになっている。
【0070】
さらに、錠42は、把手41の上部に設けられた穴41h、扉5に設けられた穴5a、ベース12に設けられた穴12f、フレーム16に設けられた穴16fを挿通して、筐体4内の固定部材46によりベース12に固定されている。
【0071】
この錠42は、鍵Pによって回動操作される鍵操作部47と、この鍵操作部47の回動に伴って回動するカム部材48を有している。
【0072】
このカム部材48は、回動先端部48aがフレーム16に設けられた穴16gを介して施錠ラッチ10の当接部10kに当接し、鍵Pの解錠方向への回動操作により施錠ラッチ10を第2引張りコイルばね30の付勢力に抗して先端部10aが没入する方向へ移動させるようになっている。
【0073】
以上の構成において、先ず、宅配ボックス1の未使用状態では、
図11~
図13に示すように、扉5は解錠状態にあり、施錠ラッチ10の先端部10aはカバー13に対して没入状態にある。
【0074】
このとき、第2補助部材28の第2当接部28aによって表示部材43の回動先端部43aが第3引張りコイルばね45の付勢力に抗して回動され、これにより表示部材43は把手41に隠れる第2状態にある。
【0075】
したがって、表示部材43が把手41に隠れているため、物理的に解錠状態であることを目視でも触感でも容易に確認することができる。
【0076】
また、カバー13の係合部13fは、第1補助部材27の第2ガイド部27bに係合し、カバー13は、ベース12に対して接近した状態になっている。
【0077】
この施錠ラッチ10の解錠状態において、
図11に示すように、扉5の閉状態では、ホールドラッチ23は、第1引張りコイルばね24の付勢力によりカバー13から突出し、ホールドラッチ23の後面側傾斜部23cが筐体係合部11に接触しているため、扉5は閉状態に保持される。
【0078】
次いで、
図12に示すように、把手部8を引くと、ホールドラッチ23の前面側傾斜部23bが筐体係合部11に係合しつつ第1引張りコイルばね24の付勢力に抗してカバー13内方向へ没入する。
【0079】
次いで、
図13に示すように、さらに把手部8を引くと、ホールドラッチ23の頭部23aが筐体係合部11を乗り越え、開扉する。
【0080】
このとき、ホールドラッチ23は、第1引張りコイルばね24の付勢力によりカバー13から突出し、元の状態に復帰する。
【0081】
扉5を閉じるときは、ホールドラッチ23は、逆の動作が行われる。
【0082】
したがって、施錠ラッチ10の解錠状態においては、扉5の開閉が自由に行え、しかも、扉5は、閉状態または開状態に保持することができる。
【0083】
次いで、施錠する場合は、先ず、
図14に示すように、施錠ラッチ10の後端部10bを第2引張りコイルばね30の付勢力に抗して押す。
【0084】
次いで、
図15に示すように、施錠ラッチ10の後端部10bをカバー13内まで押込むと、カバー13の係合部13fは、第1補助部材27の第2ガイド部27bとの係合が解除され、施錠ラッチ10の第1ガイド部10gの第1平行部10hに係合するとともに第1補助部材27の第1当接部27aに係合し、カバー13はベース12に対して離間した状態となる。
【0085】
これにより施錠ラッチ10が施錠状態となる。
【0086】
この状態では、施錠ラッチ10の先端部10aは、第2圧縮コイルばね29の付勢力によりカバー13に対して突出状態になるが、施錠ラッチ10の後端部10bはカバー13の係合部13fに係合していないため、第2圧縮コイルばね29の付勢力に抗してカバー13内に没入可能である。
【0087】
すなわち、施錠ラッチ10の先端部10aは、カバー13に対して突没可能な状態になる。
【0088】
このとき、ホールドラッチ23もカバー13に対して突没可能な状態である。
【0089】
また、この状態では、第2補助部材28の係合部材28bは施錠ラッチ10の突没に連動し、これに伴って表示部材43の回動先端部43aが第3引張りコイルばね45の付勢力に抗しつつ回動されることにより表示部材43は把手41から食み出す第1状態と把手41に隠れる第2状態とに変位する。
【0090】
また、逆に、表示部材43を手指で押すと、表示部材43は、施錠ラッチ10の突出状態にもかかわらず、把手41に隠れる第2状態に変位させることができる。
【0091】
次いで、
図16に示すように、把手部8を押して扉5を閉めると、施錠ラッチ10の先端部10aおよびホールドラッチ23の頭部23aが筐体係合部11に係合し、カバー13の内側方向へ没入する。
【0092】
次いで、
図17に示すように、さらに把手部8を押して扉5の左側縁7が筐体係合部11に係合すると、施錠ラッチ10の先端部10aおよびホールドラッチ23の頭部23aが筐体係合部11に筐体4の内側から係合し、扉5の施錠が完了する。
【0093】
このとき、施錠ラッチ10が突出状態になり、表示部材43は把手41から食み出した第1状態になるため、施錠状態であることを物理的に目視でも触感でも容易に確認することができる。
【0094】
次に、解錠する場合は、
図18および
図19に示すように、錠42の鍵操作部47に鍵Pを差し込んで回すと、カム部材48が回動し、施錠ラッチ10を第2圧縮コイルばね29の付勢力に抗して先端部10aが没入する方向へ移動させる。
【0095】
すると、施錠ラッチ10は、
図20および
図21に示すように、先端部10aがカバー13に対して没入する方向へ移動する。
【0096】
この移動に伴って、カバー13の係合部13fは、施錠ラッチ10の第1平行部10hおよび傾斜部10jと係合する。
【0097】
このとき、第1補助部材27の第1当接部27aはカバー13の係合部13fに係合している。
【0098】
また、カバー13は、ベース12に徐々に接近する。
【0099】
さらに、鍵Pを回すと、
図22および
図23に示すように、カバー13の係合部13fが施錠ラッチ10の第2平行部10iに係合する。
【0100】
すると、カバー13の係合部13fと第1補助部材27の第1当接部27aとの係合が解除され、カバー13の係合部13fは、第1補助部材27の第2ガイド部27bに係合する。
【0101】
このとき、カバー13は、ベース12に接近した状態となる。
【0102】
これにより、施錠ラッチ10が第1補助部材27とともに、第2引張りコイルばね30の付勢力によりカバー13の開口13dから没入する方向へ移動し、扉5の解錠が完了する。
【0103】
このとき、表示部材43が把手41に隠れる第2状態になるため、解錠状態であることが物理的に目視でも触感でも容易に確認することができる。
【0104】
次に、筐体4の内部から解錠する場合は、
図24に示すように、カバー13をベース12方向(扉5方向)へ押すと、カバー13は、ベース12に接近した状態となる。
【0105】
すると、
図25に示すように、カバー13の係合部13fと第1補助部材27の第1当接部27aとの係合が解除され、カバー13の係合部13fは、施錠ラッチ10の第2平行部10iおよび第1補助部材27の第2ガイド部27bに係合すると同時に、施錠ラッチ10は第1補助部材27とともに、第2引張りコイルばね30の付勢力により、一気に後退する。
【0106】
すなわち、施錠ラッチ10は、先端部10aが開口13dから没入する方向へ移動し、扉5の解錠が完了する。
【0107】
したがって、児童などが筐体4内に閉じ込められた場合、手足でカバー13を押すことにより筐体4内から脱出することができる。
【0108】
すなわち、非常時に筐体4の内側から容易に解錠して扉5を開放することができる。
【0109】
以上の構成によれば、把手41から食み出す第1状態と把手41に隠れる第2状態とに変位可能に設けられた表示部材43を連動部44により施錠装置2の施錠状態で第1状態に変位させるとともに解錠状態で第2状態に変位させるようにしたので、施錠状態および解錠状態を表示部材43の物理的変位によって目視でも触感でも容易に確認することができる。
【0110】
したがって、目の不自由な者であっても施錠状態および解錠状態を容易に確認することができる。
【0111】
また、把手41は、中途部が括れた括れ部41bで形成された凹部41cに表示部材43を食み出すようにしたので、施錠時は括れ部41bが太くなったように認識され、すなわち把手41の面積が広くなったように認識されるとともに食み出し部43bの形状が変化するので、施錠状態をさらに容易に把握することができる。
【0112】
しかも、湾曲形状の凹部41cの輪郭に凸状湾曲形状の表示部材43の輪郭が木の葉状に重なり、徐々に拡大しながら把手41から食み出すようになるので、意匠的にも優れた効果を奏する。
【0113】
<変形例>
なお、インジケータ101は、上記第1実施形態では、
図10に示すように、表示部材43を括れ部41bの一方の凹部41cから食み出すように構成したが、表示部材43を対称的に設け、両方の凹部41c,41cから対称的に食み出すように構成してもよい。
【0114】
また、インジケータ101は、表示部材43の把手41から食み出す食み出し部43bを、上記第1実施形態では、
図10に示すように、凸状の湾曲形状に形成したが、
図26に示すように、把手41の凹部41c以外の部分と面一になるように形成してもよく、
図27に示すように、凹凸状に形成してもよく、
図28に示すように、角状に形成してもよい。
【0115】
さらに、把手41は、
図29に示すように、凹部41cを設けなくても良い。
【0116】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0117】
本第2実施形態では、施錠装置2は、第1実施形態の第1補助部材27および第2補助部材28を用いない構成となっている。
【0118】
すなわち、
図30および
図31に示すように、ホールドラッチ23は、第1引張りコイルばね24によって突出する方向へ付勢され、施錠ラッチ10は、第2引張りコイルばね30によって没入する方向へ付勢されるように構成されている。
【0119】
また、表示部材43の回動先端部43aが係合する連動部44の係合部材28bが施錠ラッチ10に設けられ、これにより施錠ラッチ10に表示部材43が連動するようになっている。
【0120】
なお、カバー13は、ベース12に螺子121によって固定されている。
【0121】
しかして、鍵Pの施錠操作によって錠42の鍵操作部47が回動操作されると、カム部材48の回動先端部48aが施錠ラッチ10の当接部10mに当接し、施錠ラッチ10の先端部10aが第2引張りコイルばね30の付勢力に抗して突出する方向へ移動する。
【0122】
このとき、施錠ラッチ10の係合部材28bに係合している表示部材43の回動先端部43aは、第3引張りコイルばね45の付勢力により表示部材43の食み出し部43bが把手41から食み出す方向へ回動する。
【0123】
逆に、鍵Pの解錠操作により、施錠ラッチ10の先端部10aが第2引張りコイルばね30の付勢力により没入する方向へ移動する。
【0124】
このとき、施錠ラッチ10の係合部材28bに係合している表示部材43の回動先端部43aは、第3引張りコイルばね45の付勢力に抗して表示部材43の食み出し部43bが把手41に隠れる方向へ回動する。
【0125】
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0126】
本第3実施形態では、
図32に示すように、インジケータ101は、表示部材43の変位を施錠装置2の施錠状態に連動させる連動部(操作手段)102を備え、この連動部102は、施錠ラッチ10の施錠状態をたとえば機械的や光学的などで検出する施錠ラッチ検出部103と、この施錠ラッチ検出部103の検出結果にもとづいて表示部材43を変位させる駆動モータなどの表示駆動部104とを有した構成となっている。
【0127】
<第4実施形態>
以下、本発明の第4実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0128】
本第4実施形態では、
図33に示すように、インジケータ101は、表示部材43の変位を施錠装置2の施錠状態に応じて操作するための表示操作部(操作手段)105を備え、この表示操作部105は、施錠ラッチ10の施錠状態と解錠状態を手動で入力操作する手動操作部106と、この手動操作部106の入力結果にもとづいて表示部材43を変位させる駆動モータなどの表示駆動部107とを有した構成となっている。
【0129】
<第5実施形態>
以下、本発明の第5実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0130】
本第5実施形態では、
図34に示すように、施錠装置2は電子錠111を備え、この電子錠111は、施錠および解錠するための数字入力ボタンなどの施錠操作部112と、この施錠操作部112からの入力にもとづいて施錠ラッチ10を突没駆動する施錠駆動部113とを有した構成となっている。
【0131】
また、インジケータ101は、表示部材43の変位を施錠装置2の施錠状態に連動させる連動部(操作手段)114を備え、この連動部114は、施錠操作部112からの入力にもとづいて表示部材43を変位させる駆動モータなどの表示駆動部115を有した構成となっている。
【0132】
以上第2~第5実施形態のように構成しても第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0133】
なお、上述の実施形態では、インジケータ101を施錠装置2とともに宅配ボックス1に適用したが、本発明は宅配ボックス1に限定されることは無く、たとえばトイレ、トラック荷台、冷蔵庫、コンテナなどに施錠装置2とともに適用しても良いことは勿論である。
【0134】
以上に記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
【0135】
すなわち、本発明は、把手を備えた扉を施錠する施錠装置の施錠状態を表示するインジケータであって、把手から食み出す第1状態と把手に隠れる第2状態とに変位可能に設けられた表示部材と、表示部材を施錠装置の施錠状態で第1状態に変位させるとともに解錠状態で第2状態に変位させる操作手段とを備え、前記把手は、凹部を有し、前記表示部材は、前記第1状態で前記凹部に食み出す構成としたことを特徴とするものである。
【0136】
上記発明は、少なくとも下記実施形態を含むことができる。該実施形態は、分離して又は互いに組み合わせて採択することができる。
【0138】
(2)把手は、中途部が括れた括れ部を有し、この括れ部に凹部を形成する。
【0139】
(3)凹部は、湾曲形状に形成する。
【0140】
(4)表示部材は、把手から食み出す食み出し部を把手の凹部以外の部分と面一になるように形成する。
【0141】
(5)表示部材は、把手から食み出す食み出し部を凸状の湾曲形状に形成する。
【0142】
(6)表示部材は、把手から食み出す食み出し部を凹凸状に形成する。
【0143】
(7)表示部材は、把手から食み出す食み出し部を角状に形成する。
【0144】
(8)操作手段は、表示部材の変位を施錠装置の施錠状態に連動させる連動部を備える。
【符号の説明】
【0145】
2 施錠装置
5 扉
41 把手
41b 括れ部
41c 凹部
43 表示部材
43b 食み出し部
44 操作手段(連動部)
101 インジケータ
102 操作手段(連動部)
105 操作手段(表示操作部)
114 操作手段(連動部)