(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】コールドスタート電圧変換器を使用して環境発電するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20250109BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20250109BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H02J7/35 F
H02M3/00 H
H02M3/00 B
H02J7/00 303A
(21)【出願番号】P 2022532063
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2020083592
(87)【国際公開番号】W WO2021115799
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-09-22
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521508634
【氏名又は名称】イー-ピース エセ.ア.
【氏名又は名称原語表記】E-PEAS S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】デ ヴォス,ジュリエン
(72)【発明者】
【氏名】ゴッセ,ジェフロイ
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/179752(WO,A1)
【文献】特開2005-117824(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0309311(US,A1)
【文献】特開2016-073185(JP,A)
【文献】特開2014-060900(JP,A)
【文献】特開2008-054473(JP,A)
【文献】特開2007-221872(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0280554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/35
H02M 3/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールドスタート電圧変換器、メイン電圧変換器システム(20)、及び前記メイン電圧変換器システムを制御するためのコントローラ(40)を含む、パワーマネジメント集積回路を使用する環境発電のための方法において、前記コントローラは、前記コントローラの供給入力部における供給電圧(V
sup)が必要最小限の供給電圧(V
cs)以上である場合に作動可能であり、
・環境発電機(70)を前記メイン電圧変換器システムの入力部に結合するステップと、
・第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)を前記メイン電圧変換器システムの出力部に結合するステップと、
・前記環境発電機(70)又は別のエネルギー源を前記コールドスタート電圧変換器の入力部に結合するステップと、
・補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)、好ましくはキャパシタを前記コールドスタート電圧変換器の出力部に結合するステップと、
・前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)を、充電する時に前記コントローラのための電圧源として前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)を使用するために、前記コントローラの前記供給入力部に結合するステップと、
・前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)の補助電圧(V
c)を監視するステップ、及び前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)の充電レベルを表示する第1の貯蔵パラメータ(V
Batt1)を監視するステップと、
・前記補助電圧(V
c)が前記必要最小限の供給電圧(V
cs)以上の既定のスイッチング電圧(V
sw)に達成するまで、前記コールドスタート電圧変換器を作動することにより前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)を充電するステップと、
・前記補助電圧(V
c)が前記既定のスイッチング電圧(V
sw)に達した場合、前記メイン電圧変換器システムの作動を有効にするステップ、及び前記コールドスタート電圧変換器の作動を無効にするステップと、
・前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)の前記第1の貯蔵パラメータ(V
Batt1)が既定の上限貯蔵値(V
Batt1-up)より低い限り、前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)に前記環境発電機(70)からエネルギーを充電するために、前記メイン電圧変換器システム(20)を作動するステップ、
及び前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)の前記充電するステップの間に、前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)を前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)から電気的に分離して維持するステップと、
・前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)の前記補助電圧(V
c)を
a)目標値に等しく、又は別法として
b)下限閾値電圧(V
sup-min)と前記下限閾値電圧(V
sup-min)より高い上限閾値電圧(V
sup-max)との間の電圧範囲内に維持するステップとを含み、
前記目標値及び前記下限閾値電圧(V
sup-min)は、前記既定のスイッチング電圧(V
sw)以下で、前記必要最小限の供給電圧(V
cs)より高く、前記補助電圧を前記目標値に等しく、又は前記電圧範囲内に前記維持するステップは、前記メイン電圧変換器システムを作動するステップ、又は別法として前記補助エネルギー貯蔵装置(C1)に前記環境発電機(70)からエネルギーを再充電するために、前記コールドスタート電圧変換器を作動するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記補助電圧(V
c)を目標値に等しく前記維持するステップは、
前記補助電圧(V
c)を前記目標値に等しく維持するように、前記補助エネルギー貯蔵装置(C1)の充電の低減を補完し続けるステップを含み、
前記補助電圧(V
c)を下限閾値電圧(V
sup-min)から上限閾値(V
sup-max)内に前記維持するステップは、
前記補助電圧(V
c)が前記下限閾値電圧(V
sup-min)より低く降下する場合、前記補助電圧(V
c)が前記上限閾値電圧(V
sup-max)に達するまで、前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)に再充電するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記メイン電圧変換器システムは、前記補助電圧(V
c)が前記下限閾値電圧(V
sup-min)より低く降下した場合に、前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)に前記環境発電機(70)からエネルギーを再充電するように作動され、前記再充電するステップは、
i)前記メイン電圧変換器システムの前記出力部を前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)から離断するステップと、
ii)前記メイン電圧変換器システムの前記出力部を前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)に結合するステップ、及び前記補助電圧(V
c)が前記上限閾値電圧(V
sup-max)に達するまで、前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)に再充電するために、前記メイン電圧変換器システムを作動するステップと、
iii)前記補助電圧(V
c)が前記上限閾値電圧(V
sup-max)に達した場合、前記メイン電圧変換器システムの前記出力部を前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)から離断するステップ、及び前記メイン電圧変換器システムの前記出力部を前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)に結合するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1又は3に記載の方法において、
前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)は、
a)前記第1の貯蔵パラメータ(V
Batt1)が既定の下部貯蔵値(V
Batt1-min)より高く、
b)前記補助電圧(V
c)が前記下限閾値電圧(V
sup-min)より低く降下し、前記環境発電機がエネルギーを提供しない、又は前記補助電圧(V
c)が前記下限閾値電圧(V
sup-min)より高い値から既定の臨界閾値電圧(V
T-B)より低く降下する場合、但し、V
cs<V
T-B<V
sup-minであり、V
cs、V
T-B及びV
sup-minは、それぞれが前記必要最小限の供給電圧、前記臨界閾値電圧及び前記下限閾値電圧であり、前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)からエネルギーを再充電され、
前記再充電するステップは、
i)前記環境発電機(70)を前記メイン電圧変換器システムの前記入力部から離断するステップと、
ii)前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)を前記メイン電圧変換器システムの前記出力部から離断するステップと、
iii)前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)を前記メイン電圧変換器システムの前記入力部に結合するステップと、
iv)前記メイン電圧変換器システムの前記出力部を前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)に結合するステップ、及び前記補助電圧V
cが前記上限閾値電圧(V
sup-max)に達するまで、前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)に再充電するために前記メイン電圧変換器システムを作動するステップと、
v)前記補助電圧(V
c)が前記上限閾値電圧(V
sup-max)に達した場合、前記環境発電機を前記メイン電圧変換器システムの前記入力部に再結合するステップ、及び前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)を前記メイン電圧変換器システムの前記出力部に再結合するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法において、
・前記補助電圧(V
c)が、前記下限閾値電圧(V
sup-min)から前記必要最小限の供給電圧(V
cs)より低い値に低減した場合、前記既定のスイッチング電圧V
swに達するまで、前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)に再充電するために前記コールドスタート電圧変換器の作動を有効にするステップを更に含み、その後、前記コールドスタート電圧変換器の作動は無効にされ、前記メイン電圧変換器システムの作動は有効にされることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法において、
前記メイン電圧変換器システム(20)は、第1の電圧変換器(20a)及び第2の電圧変換器(20b)を含み、前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)に前記環境発電機(70)からエネルギーを前記充電するステップは、前記第1の電圧変換器(20a)を作動することによって実行され、前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)に前記環境発電機(70)からエネルギーを、又は前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)からエネルギーを前記再充電するステップは、前記第2の電圧変換器(20b)を作動することによって実行され、前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)を前記再充電するステップは、前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)を前記充電するステップと無関係に実行されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法において、
前記メイン電圧変換器システム(20)は、V
in>(V
out+Δ)である場合に降圧モードで作動し、V
in<(V
out-Δ)である場合に昇圧モードで作動し、V
in=V
out±Δである場合に降圧-昇圧モードで作動するように構成された降圧/昇圧電圧変換器を含み、但し、V
in及びV
outは、それぞれ前記メイン電圧変換器システム
の入力
電圧及び出力電圧であり、Δは、前記降圧/昇圧電圧変換器の作動パラメータであることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法において、
前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)は、前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)のエネルギー貯蔵容量の百倍を超え、好ましくは数千倍を超える前記エネルギー貯蔵容量を有することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法において、
・前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)を充電後、前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)の前記第1の貯蔵パラメータ(V
Batt1)が、前記上限貯蔵値(V
Batt1-up)より低く降下する場合、充電された前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)を維持するように、前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)に前記環境発電機(70)からエネルギーを再充電するために、前記メイン電圧変換器システム(20)を作動するステップ、及び前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)に前記再充電するステップの間に、前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)を前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)から電気的に分離して維持するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
環境発電のためのパワーマネジメント集積回路(1)において、
・環境発電機又は別の電源から入力電力を受領するための1つ又は複数の電力入力端子と、
・第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置と接続可能な第1の貯蔵装置端子(12)と、
・集積オンチップ・キャパシタ(C
int)又は補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置と接続可能な補助端子(9)と、
・前記1つ又は複数の電力入力端子の第1の電力入力端子(11)を通して入力電力を受領するように構成されたメイン電圧変換器システム(20)と、
・前記メイン電圧変換器システム(20)を制御するように構成されたコントローラ(40)において、前記コントローラは、前記コントローラ(40)の供給入力部における供給電圧(V
sup)が必要最小限の供給電圧(V
cs)以上である場合に作動可能である、コントローラ(40)と、
・コールドスタート電圧変換器(30)において、i)入力電力を前記補助端子(9)に、又は前記集積オンチップ・キャパシタ(C
int)に伝送し、ii)前記1つ又は複数の電力入力端子の前記第1の電力入力端子(11)を通して、又は第2の電力入力端子(8)を通して前記入力電力を受領し、iii)最小入力電圧が前記コールドスタート電圧変換器の入力部で入手可能である場合、及び前記コントローラのための前記供給電圧(V
sup)が、前記必要最小限の供給電圧(V
cs)より低い場合、作動を開始するように構成された、コールドスタート電圧変換器(30)とを含み、
前記パワーマネジメント集積回路は、
・内部ノードの補助電圧(V
aux)が前記補助端子(9)における電圧に対応し、又は前記集積オンチップ・キャパシタ(C
int)の電圧に対応するように、前記補助端子(9)又は前記集積オンチップ・キャパシタ(C
int)と電気的に接続した前記内部ノード(N
aux)において、前記内部ノード(N
aux)は、前記コントローラの前記入力部における前記供給電圧が、前記補助電圧(V
aux)に対応するように、前記コントローラの前記供給入力部と更に電気的に接続され、前記内部ノード(N
aux)は、前記補助電圧(V
aux)が前記第1の貯蔵装置端子(12)における電圧と無関係であるように、前記第1の貯蔵装置端子(12)から電気的に分離される、内部ノード(N
aux)と、
・前記コントローラ(40)と結合され、前記内部ノードの前記補助電圧(V
aux)を監視し、前記第1の貯蔵装置端子(12)における第1の貯蔵パラメータ(V
Batt1)を監視するように構成された、監視ユニット(45)とを含むことと、
前記コントローラ(40)は、
i)前記第1の貯蔵パラメータ(V
Batt1)が既定の上限貯蔵値(V
Batt1-up)より低い限り、第1の電力伝送経路(P-O1)を介して前記第1の貯蔵装置端子(12)に電力を伝送するために、前記メイン電圧変換器システム(20)を作動し、
ii)第2の電力伝送経路(P-O2)を介して前記補助端子(9)に若しくは前記集積オンチップ・キャパシタ(C
int)に電力を伝送するために、前記メイン電圧変換器システム(20)を作動し、又は別法として前記補助端子(9)に若しくは前記集積オンチップ・キャパシタ(C
int)に電力を伝送するために前記コールドスタート電圧変換器(30)の作動を有効にし、前記補助電圧(V
aux)をa)目標値に等しく、又はb)下限閾値電圧(V
sup-min)と前記下限閾値電圧(V
sup-min)より高い上限閾値電圧(V
sup-max)との間の電圧範囲内のいずれかに保持するように構成されることとを特徴とし、但し、前記目標値及び前記下限閾値電圧(V
sup-min)は、前記必要最小限の供給電圧(V
cs)より高い、パワーマネジメント集積回路(1)。
【請求項11】
請求項1
0に記載のパワーマネジメント集積回路において、
前記メイン電圧変換器システム(20)は、
・前記第1の電力伝送経路(P-O1)を介して前記第1の貯蔵装置端子(12)に結合された出力部、及び前記第1の電力入力端子(11)と接続された入力部を有する、第1の電圧変換器(20a)と、
・前記第2の電力伝送経路(P-O2)を介して前記集積オンチップ・キャパシタ(C
int)又は前記補助端子(9)に結合された出力部、及び前記第1の電力入力端子(11)、前記第1の貯蔵装置端子(12)、又は追加の電力入力端子のいずれか1つに接続された入力部を有する、第2の電圧変換器(20b)と、を含むことを特徴とする、パワーマネジメント集積回路。
【請求項12】
請求項10~
11のいずれか一項に記載のパワーマネジメント集積回路において、
前記メイン電圧変換器システム(20)は、V
in>(V
out+Δ)である場合に降圧モードで作動し、V
in<(V
out-Δ)である場合に昇圧モードで作動し、V
in=(V
out±Δ)である場合に降圧-昇圧モードで作動するように構成された降圧/昇圧電圧変換器を含むことを特徴とし、但し、V
in及びV
outは、それぞれ前記メイン電圧変換器システム(20)
の入力
電圧及び出力電圧であり、Δは、前記降圧/昇圧変換器の作動パラメータである、パワーマネジメント集積回路。
【請求項13】
請求項10~
12のいずれか一項に記載のパワーマネジメント集積回路(1)において、
前記メイン電圧変換器システム(20)は、前記コントローラ(40)によって制御され、前記メイン電圧変換器システム(20)が、選択された入力経路を介して入力電力を受領するように、複数の入力経路から1つの入力経路を選択するように構成された入力選択回路(22)を含み、前記メイン電圧変換器システムのための前記複数の入力経路は、少なくともi)前記第1の電力入力端子(11)を前記メイン電圧変換器システム(20)の入力部と電気的に接続する第1の入力経路(P-I1)、及びii)更なる電力入力端子(18)を前記メイン電圧変換器システム(20)の前記入力部と電気的に接続し、又は別法として前記第1の貯蔵装置端子(12)を前記メイン電圧変換器システムの前記入力部と電気的に接続する、第2の入力経路(P-I2)を含むことを特徴とする、パワーマネジメント集積回路(1)。
【請求項14】
請求項
13に記載のパワーマネジメント集積回路において、
前記コントローラ(40)は、前記第2の入力経路(P-I2)を選択し、前記第2の電力伝送経路(P-O2)を介して前記補助端子(9)に又は前記集積オンチップ・キャパシタ(C
int)に電力を伝送するために、前記メイン電圧変換器システム(20)を作動するように更に構成され、前記第2の入力経路(P-I2)を前記選択するステップは、2つの以下の条件のいずれかが起きた場合、すなわち
a)前記補助電圧(V
aux)が、前記下限閾値電圧(V
sup-min)より高い値から既定の臨界閾値電圧(V
T-B)に降下した場合、但しV
cs<V
T-B<V
sup-minであり、V
cs、V
T-B及びV
sup-minは、それぞれが前記必要最小限の供給電圧、前記臨界閾値電圧及び前記下限閾値電圧であり、又は
b)前記補助電圧(V
c)が、前記下限閾値電圧(V
sup-min)より低く降下し、前記監視ユニットが、前記第1の
電力入力端子
(11)で入手可能な入力電力がないことを検出した場合に実行されることを特徴とする、パワーマネジメント集積回路。
【請求項15】
請求項10~
14のいずれか一項に記載のパワーマネジメント集積回路において、
前記コントローラは、
iii)前記補助電圧(V
c)が、前記下限閾値電圧(V
sup-min)から前記必要最小限の供給電圧(V
cs)より低い値に低減した場合、既定のスイッチング電圧V
swに達するまで、前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)を再充電するために、前記コールドスタート電圧変換器の作動を有効にし、その後、前記コールドスタート電圧変換器の作動は無効にされ、前記メイン電圧変換器システムの作動は有効にされるように更に構成され、好ましくは前記既定のスイッチング電圧(V
sw)は、前記目標値以上であり、又は別法として前記下限閾値電圧(V
sup-min)以上であることを特徴とする、パワーマネジメント集積回路。
【請求項16】
環境発電のためのシステム(100)において、
・請求項10~
15のいずれか一項に記載の集積回路(1)と、
・前記第1の電力入力端子(11)に結合された環境発電機(70)と、
・前記第1の貯蔵装置端子(12)に結合された第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)において、好ましくは前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)は、再充電可能な電池、キャパシタ又はスーパーキャパシタであり、好ましくは前記第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)は、1マイクロファラッド~100ファラッドのエネルギー貯蔵容量を有するスーパーキャパシタである、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)と、
・前記補助端子(9)に結合された補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)において、好ましくは前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置は、0.1ナノファラッド~100マイクロファラッドのエネルギー貯蔵容量を有するキャパシタである、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)と、を含むことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境発電のための方法及び装置に関する。より詳細には、本発明は、コールドスタート電圧変換器及びメイン電圧変換器システムを含む、パワーマネジメント集積回路(PMIC)を使用して再充電可能な貯蔵装置の充電を開始するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境発電機からエネルギーを抽出し、再充電可能なエネルギー貯蔵装置に充電するために電圧変換器を使用することは、当技術分野で周知である。再充電可能な貯蔵装置に貯蔵されたエネルギーは、次いで例えばアプリケーションロードのための電源として使用することができる。収穫されたエネルギーを電力供給されるアプリケーションロードは、例えば携帯機器、センサ、外部回路、無線送信機などのあらゆる種類のアプリケーションに可能である。
【0003】
種々の環境発電機は、例えば太陽電池(PV)、熱電発電機(TEG)、圧電エネルギー発電機及び電磁エネルギー源などのエネルギー源として使用することができる。再充電可能な貯蔵装置は、例えばリチウムイオン電池、スーパーキャパシタ又は従来のキャパシタなどの再充電可能な電池である。
【0004】
典型的には、環境発電のための集積回路は、昇圧、降圧若しくは昇圧降圧DC-DC電圧変換器などの1つ又は複数の電圧変換器を含む、メイン電圧変換器システムを含む。メイン電圧変換器システムの作動は、コントローラによって制御される。コントローラは一定の供給電圧、例えば2.5V、3.3V又は5Vの供給電圧を必要とする。
【0005】
しかし環境発電のためのPMICは、コントローラに電力供給するために内部電源を持たない。先行技術のPMICでは、コントローラは、PMICの出力端子に接続される再充電可能なエネルギー貯蔵装置から電力を受領する。一部の公知の実施形態では、PMICは、例えば再充電可能なエネルギー貯蔵装置の電圧をコントローラに必要な供給電圧に変換するための降圧変換器を含む。他の実施形態では、コントローラは、スイッチを通して貯蔵装置と同じ電圧に接続される。
【0006】
再充電可能なエネルギー貯蔵装置は最初に充電されていないので、PMICは、メイン電圧変換器システムに加えて、メイン電圧変換器システムを使用することなく環境発電機からエネルギーを獲得し始めるために、コールドスタート電圧変換器を含む。しかし例えばチャージポンプを含むコールドスタート電圧変換器は、コントローラによって調節されるメイン電圧変換器システムの効率に比べると効率が低い。概してコールドスタート電圧変換器は、再充電可能なエネルギー貯蔵装置が、メイン電圧変換器システムの作動を開始するために必要な供給電圧を提供するように十分に充電されるまで使用される。これらのコールドスタート電圧変換器は、コールドスタート電圧変換器の入力部における入力圧力が最小閾値より高い時に作動を開始するように構成された、セルフスタート電圧変換器である。AEM10940を基準に公知の、ベルギーのe-peas S.A.によって提供されるPMICは、例えば380mVまで低い入力電圧Vinで、少なくとも11マイクロワットの入力電力で、作動を開始するコールドスタート電圧変換器を含む。
【0007】
環境発電システムの問題の1つは、まず空の再充電可能な貯蔵装置で開始する時に、再充電可能な貯蔵装置にコールドスタート電圧変換器で充電するのに長時間掛ることである。その結果、アプリケーションロードが再充電可能な貯蔵装置から電力を受領して作動を開始できるまでにも長時間掛る。特に再充電可能な貯蔵装置がスーパーキャパシタである場合、完全に放電された時にゼロボルトであるので、スーパーキャパシタの充電時間は非常に長い可能性がある。しかし十分に長時間の間にアプリケーションロードに電力を供給する準備を整えるために、必要な充電レベルに再充電可能な電池を充電することも、かなり長時間掛る可能性がある。
【0008】
PMICの更なる問題は、再充電可能なエネルギー貯蔵装置に充電した後、アプリケーションロードは、その電圧がコントローラに必要な供給電圧に対応する閾値電圧より高いままである限り、再充電可能なエネルギー貯蔵装置から電力を受領することしかできないことである。例えば再充電可能な貯蔵装置は、まず4.5Vまで充電することができるが、この電圧がその後例えば2.5Vの供給電圧より低減すると、PMICは作動を停止する。このことは、外部ロードが例えば1.2Vの供給電圧しか必要としない場合であっても起きる。貯蔵装置としてキャパシタ又はスーパーキャパシタを使用する時、貯蔵装置内に貯蔵したエネルギーの全ては、ロードに供給するために使用することができず、アプリケーションの目標エネルギー自給を達成するためには過大な貯蔵装置が必要であり、目標エネルギー自給の期間は、環境発電が起きない。
【0009】
それ故に、環境発電のための集積回路を改良する余地がある。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、例えば再充電可能なエネルギー貯蔵装置と結合したアプリケーションロードが、再充電可能な貯蔵装置が最初に完全に空の状態であっても、より迅速に作動を開始できるように有効な方法で、環境発電し、再充電可能なエネルギー貯蔵装置の充電を開始するための方法及び装置を提供することである。
【0011】
本発明は、添付の独立請求項に定義されている。従属請求項は、好都合な実施形態を定義する。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、コールドスタート電圧変換器、メイン電圧変換器システム及びメイン電圧変換器システムを制御するためのコントローラを含む、パワーマネジメント集積回路PMICを使用して環境発電するための方法が提供される。コントローラは、コントローラの供給入力部における供給電圧Vsupが、必要最小限の供給電圧Vcs以上である場合に作動可能である。メイン電圧変換器システムは、例えば降圧/昇圧電圧変換器などの少なくとも1つのメイン電圧変換器を含むシステムとして解釈するべきである。
【0013】
本発明の第1の態様による方法は、
・環境発電機をメイン電圧変換器システムの入力部に結合するステップと、
・第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置をメイン電圧変換器システムの出力部に結合するステップと、
・環境発電機又は別のエネルギー源をコールドスタート電圧変換器の入力部に結合するステップと、
・補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置、好ましくはキャパシタをコールドスタート電圧変換器の出力部に結合するステップと、
・補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置を、充電した時に補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置をコントローラに専用の電圧源として使用するために、コントローラの供給入力部に結合するステップと、
・補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置の補助電圧Vcを監視するステップ、及び第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置の充電レベルを表示する第1の貯蔵パラメータVBatt1を監視するステップと、
・補助電圧Vcが、既定のスイッチング電圧Vswに達するまで、コールドスタート電圧変換器を作動することにより補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置を充電するステップと、但しVsw≧Vcsであり、
・補助電圧Vcが既定のスイッチング電圧Vswに達した場合、メイン電圧変換器システムの作動を有効にするステップ、及びコールドスタート電圧変換器の作動を無効にするステップと、
・第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置の第1の貯蔵パラメータVBatt1が既定の上限貯蔵値VBatt1-upより低い限り、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置に環境発電機からエネルギーを充電するために、メイン電圧変換器システムを作動するステップ、及び第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)の前記充電するステップの間に、前記補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置(C1)を第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置(BATT1)から電気的に分離して維持するステップと、
・補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置の補助電圧Vcを
a)目標値に等しく、又は別法として
b)下限閾値電圧(Vsup-min)と前記下限閾値電圧(Vsup-min)より高い上限閾値電圧(Vsup-max)との間の電圧範囲内に維持するステップとを含み、
前記目標値及び前記下限閾値電圧(Vsup-min)は、前記既定のスイッチング電圧(Vsw)以下で前記必要最小限の供給電圧(Vcs)より高く、補助電圧を目標値に等しく、又は一定電圧範囲内に前記維持するステップは、メイン電圧変換器システムを作動するステップ、又は別法として補助エネルギー貯蔵装置(C1)に環境発電機(70)からエネルギーを再充電するために、コールドスタート電圧変換器を作動するステップを含む。
【0014】
実施形態では、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1の補助電圧Vcを目標値に等しく維持するステップは、補助電圧Vcを目標値に等しく維持するように、補助エネルギー貯蔵装置の充電の低減を環境発電機からのエネルギーで補完し続けるステップを含む。
【0015】
実施形態では、目標値は、必要最小限の供給電圧Vcsより高く、既定のスイッチング電圧Vsw以下である。
【0016】
更なる実施形態では、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1の補助電圧Vcを下限閾値電圧Vsup-minと上限閾値電圧との間に画定された電圧範囲内に維持するステップは、補助電圧Vcが下限閾値電圧Vsup-minより低く降下する場合、補助電圧Vcが下限閾値電圧Vsup-minより高い上限閾値電圧Vsup-maxに達するまで、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置に環境発電機からエネルギーを再充電するステップを含む。実施形態では、下限閾値電圧Vsup-minは、必要最小限の供給電圧Vcsより高く、既定のスイッチング電圧Vsw以下である。
【0017】
好都合なことに、補助エネルギー貯蔵装置をコントローラの専用電圧源として使用すること、及び補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置を第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置から電気的に分離して維持することにより、メイン電圧変換器システムによって充電される第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置の電圧は、コントローラのための供給電圧と無関係のままである。それ故に例えば充電後に、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置の電圧が低減し、必要最小限の供給電圧Vcsより低く降下した場合であっても、メイン電圧変換器システムは、専用の補助エネルギー貯蔵装置のお陰で作動を続けることができる。
【0018】
好都合なことに、コントローラの専用供給電圧として補助エネルギー貯蔵装置を使用することにより、補助エネルギー貯蔵装置の充電容量は、メイン電圧変換器システムによって充電された第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置の充電容量よりはるかに小さいことが可能である。この方法で、補助エネルギー貯蔵装置をコールドスタート電圧変換器で充電し、コントローラを作動するために必要な供給電圧に達するために必要な時間は、非常に低減される。
【0019】
好都合なことに、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置、すなわちメイン貯蔵装置は、まずメイン変換器システムによって充電され、コールドスタート電圧変換器によって充電されない。これは、メイン電圧変換器システムのより高いエネルギー効率のお陰で第1の起動に結び付く。
【0020】
実施形態では、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置は、PMIC、例えば集積オンチップ・キャパシタの一部である。他の実施形態では、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置は、PMICの外部装置、例えば外部キャパシタ又は別の再充電可能なエネルギー貯蔵装置である。
【0021】
概してスイッチング閾値Vswは、Vcs<Vsw≦Vsup-max、より好ましくはVsup-min≦Vsw≦Vsup-maxであるように画定される。
【0022】
実施形態では、上限貯蔵値VBatt1-upは、達した時に充電される第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置に対応する。
【0023】
実施形態では、上限貯蔵値VBatt1-upに達した時に、再充電可能なエネルギー貯蔵装置は、アプリケーションロードに電力を提供するために使用することができる。他の実施形態では、上限貯蔵値VBatt1-upは、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置をフル充電した状況のパーセント値まで充電される第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置に対応し、パーセント値は70%~100%の範囲内の値である。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、環境発電のためのパワーマネジメント集積回路(PMIC)が提供される。環境発電のためのPMICは、環境発電機又は別の電源から入力電力を受領するための1つ又は複数の電力入力端子と、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置と接続可能な第1の電力出力端子と、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置又は集積オンチップ・キャパシタと接続可能な補助端子と、1つ又は複数の電力入力端子の第1の電力入力端子を通して入力電力を受領するためのメイン電圧変換器システムと、メイン電圧変換器システムを制御するように構成されたコントローラにおいて、コントローラは、コントローラの供給入力部における供給電圧Vsupが必要最小限の供給電圧Vcs以上であるある場合に作動可能である、コントローラと、コールドスタート電圧変換器とを含む。
【0025】
コールドスタート電圧変換器は、i)前記補助端子に又は集積オンチップ・キャパシタに入力電力を伝送し、ii)1つ又は複数の電力入力端子の第1の電力入力を通して、又は第2の電力入力端子を通して入力電力を受領し、iii)最小入力電圧がコールドスタート電圧変換器の入力部で入手可能である場合、及びコントローラのための供給電圧Vsupが必要最小限の供給電圧Vcsより低い場合、作動を開始するように構成される。
【0026】
概して本発明によるPMICは、メイン電圧変換器システムから第1の貯蔵装置端子に電力を伝送するための第1の電力伝送経路、及び/又はメイン電圧変換器システムから補助端子に若しくは集積オンチップ・キャパシタに電力を伝送するための第2の電力伝送経路を含む。
【0027】
本発明によるPMICは、内部ノードの補助電圧Vauxが補助端子おける電圧に対応し、又は集積オンチップ・キャパシタCintの電圧に対応するように、補助端子9又は集積オンチップ・キャパシタCintと電気的に接続した内部ノードにおいて、内部ノードNauxは、コントローラの入力部における供給電圧が補助電圧Vauxに対応するように、コントローラの供給入力部と更に電気的に接続される、内部ノードを含むことを特徴とする。内部ノードNauxは、補助電圧Vauxが第1の貯蔵装置端子における電圧と無関係であるように、第1の貯蔵装置端子から電気的に分離される。
【0028】
PMICは、コントローラと結合され、内部ノードの補助電圧Vauxを監視し、第1の貯蔵装置端子における第1の貯蔵パラメータVBatt1を監視するように構成された監視ユニットも含み、好ましくは第1の貯蔵パラメータVBatt1は、第1の貯蔵装置端子で感知した電圧に対応する。実施形態では、監視ユニットは、補助電圧を既定の供給閾値電圧と比較し、第1の貯蔵パラメータを既定の保存閾値と比較するための信号比較器を含む。
【0029】
本発明によるPMICのコントローラは、第1の貯蔵パラメータが既定の上限貯蔵値より低い限り、第1の電力伝送経路を介して第1の貯蔵装置端子に電力を伝送するために、メイン電圧変換器システムを作動するように構成される。
【0030】
実施形態では、コントローラは、第2の電力伝送経路を介して補助端子に又は集積オンチップ・キャパシタに電力を伝送するため、補助電圧Vauxを目標値に等しく維持するため、又は別法として補助電圧Vauxを下限閾値電圧Vsup-minと上限閾値電圧Vsup-maxとの間に画定された電圧範囲内に維持するために、メイン電圧変換器システムを作動するように更に構成され、但し、下限閾値電圧Vsup-minは、必要最小限の供給電圧Vcsより高い。他の実施形態では、コントローラは、前記補助電圧Vauxを目標値に等しく又は電圧範囲内に維持するように、補助端子に又は前記集積オンチップ・キャパシタに電力を伝送するために、コールドスタート電圧変換器の作動を有効にするように構成される。
【0031】
実施形態では、本発明によるPMICのコントローラは、補助電圧Vauxが、必要最小限の供給電圧Vcsより低い値から既定のスイッチング電圧Vswに増加した場合、但し、Vsw≧Vcsであり、コールドスタート電圧変換器の作動を無効にし、メイン電圧変換器システムの作動を有効にするように更に構成される。
【0032】
実施形態では、補助電圧が下限閾値電圧Vsup-minより低く降下した場合、コントローラは、補助電圧が上限閾値電圧Vsup-maxに増加するまで、補助端子に又は集積オンチップ・キャパシタに電力を伝送するために、メイン電圧変換器システムを作動させる。別法として、コントローラは、補助電圧Vauxを下限閾値電圧Vsup-minに等しく維持し続けるために、メイン電圧変換器システムを作動させる。
【0033】
実施形態では、PMICのメイン電圧変換器システムは、コントローラによって制御された入力選択回路を含む。入力選択は、メイン電圧変換器システムが選択された入力経路を介して入力電力を受領するように、複数の入力経路から1つの入力経路を選択するように構成される。メインコントローラのための複数の入力経路は、第1の入力端子をメイン電圧変換器システムの入力部と電気的に接続するように構成された少なくとも第1の入力経路を含む。
【0034】
実施形態では、メイン電圧変換器システムのための複数の入力経路は、第1の入力端子を通して入力電力を受領するために少なくとも第1の入力経路、及びPMICの更なる入力端子を通して入力電力を受領するように構成された第2の入力経路を含む。更なる実施形態では、第2の入力経路は、第1の出力端子からメイン電圧変換器システムの入力部に電力を伝送するためのPMICの内部経路である。
【0035】
第1及び第2の入力経路を含むこれらの実施形態では、コントローラは、以下の更なるステップ、すなわち、i)補助電圧が、下限閾値電圧より高い値から既定の臨界閾値電圧に降下した場合、但し、Vcs<VT-B<Vsup-minであり、Vcs、VT-B及びVsup-minは、それぞれが必要最小限の供給電圧、臨界閾値電圧及び下限閾値電圧であり、又は別法として、ii)補助電圧が下限閾値電圧より低く降下し、監視ユニットが、第1の入力端子で入手可能な入力電力がないことを検出した場合、補助電圧が上限閾値電圧に増加するまで、第2の入力経路を選択するステップ、第2の電力伝送経路を選択するステップ、及びメイン電圧変換器システムを作動するステップを実行するために、メイン電圧変換器システム及び入力選択回路を制御するように更に構成される。
【0036】
実施形態では、メイン電圧変換器システムは、第1の電圧変換器及び第2の電圧変換器を含む。第1の電圧変換器は、第1の電力伝送経路を通して第1の貯蔵装置端子に結合された出力部、及び第1の電力入力端子と接続された入力部を有する。第2の電圧変換器は、第2の電力伝送経路を通して集積オンチップ・キャパシタに又は補助端子に結合された出力部、及び第1の電力入力端子、第1の貯蔵装置端子、又は追加の電力入力端子のいずれか1つに接続された入力部を有する。好都合なことに、2つの電圧変換器は独立して作動することができる。実施形態では、電圧変換器システムの2つの電圧変換器は、同時に作動することができる。
【0037】
実施形態では、パワーマネジメント集積回路は、第2の再充電可能なエネルギー貯蔵装置と接続可能な第2の貯蔵装置端子、及びメイン電圧変換器システムから第2の貯蔵装置端子に電力を伝送するための第3の電力伝送経路を含み、コントローラは、第1の貯蔵パラメータVBatt1が既定の上限貯蔵値VBatt1-upに達した場合、第1の電力入力端子から第2の貯蔵装置端子に電力を伝送するために、メイン電圧変換器システムを作動するように構成される。
【0038】
実施形態では、本発明によるパワーマネジメント集積回路のコントローラは、補助電圧Vauxが必要最小限の供給電圧Vcsより低い値から必要最小限の供給電圧Vcs以上の既定のスイッチング電圧Vswに増加した場合、コールドスタート電圧変換器の作動を無効にし、メイン電圧変換器システムの作動を有効にするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明のこれらの態様及び更なる態様は、例として、添付図面を参照してより詳しく説明される。
【0040】
【
図1】
図1は、本開示による環境発電システムを概略的に表す。
【
図2】
図2は、本発明による方法を使用して、再充電可能なエネルギー貯蔵装置に充電するための起動プロセスを示す。
【
図3a】
図3aは、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置を接続するための補助端子を有する、本発明によるパワーマネジメント集積回路の実施形態を概略的に示す。
【
図3b】
図3bは、集積オンチップ・キャパシタを有する、本発明によるパワーマネジメント集積回路の実施形態を概略的に示す。
【
図3c】
図3cは、パワーマネジメント集積回路の実施形態を概略的に示し、コールドスタート電圧変換器及びメイン電圧変換器システムは、補助端子及び貯蔵装置端子のそれぞれに電力を伝送するために使用される。
【
図4】
図4は、第1の電力入力端子及び第2の電力入力端子を有する、本発明によるパワーマネジメント集積回路の実施形態を概略的に示す。
【
図5】
図5は、本発明によるパワーマネジメント集積回路を含む、環境発電システムの例を概略的に示す。
【
図6】
図6は、環境発電システムの第1の例を概略的に示し、PMICのメイン電圧変換器システムは降圧/昇圧電圧変換器を含む。
【
図7】
図7は、環境発電システムの第2の例を概略的に示し、PMICのメイン電圧変換器システムは降圧/昇圧電圧変換器を含む。
【
図8】
図8は、環境発電システムの例を概略的に示し、PMICのメイン電圧変換器システムは入力選択回路を含み、PMICは追加の入力端子、及び追加の入力端子を入力選択回路と接続させる第2の入力経路を含む。
【
図9】
図9は、環境発電システムの例を概略的に示し、PMICのメイン電圧変換器システムは入力選択回路を含み、PMICは、第1の貯蔵装置端子を入力選択回路と接続させる第2の入力経路を含む。
【
図10】
図10は、第1及び第2の貯蔵装置端子を含む、パワーマネジメント集積回路の例を概略的に示す。
【
図11】
図11は、第1及び第2の再充電可能なエネルギー貯蔵装置を含む、環境発電システムの例を概略的に示す。
【
図12】
図12は、パワーマネジメント・システムの第1の実施形態を概略的に示し、メイン電圧変換器システムは、第1の電圧変換器及び第2の電圧変換器を含む。
【
図13】
図13は、パワーマネジメント集積回路の第2の実施形態を示し、電圧変換器システムは、2つの電圧変換器を含む。
【
図14】
図14は、パワーマネジメント集積回路の第3の実施形態を示し、電圧変換器システムは2つの電圧変換器を含み、第1の電圧変換器は入力選択回路を含む。
【
図15】
図15は、パワーマネジメント集積回路の第4の実施形態を示し、電圧変換器システムは2つの電圧変換器を含み、PMICの第1の出力端子は第1の電圧変換器の入力部と接続される。
【0041】
図面の図は、一定の縮尺で描かれておらず、比例しない。概して同一の構成要素は、図面では同じ参照番号によって示されている。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示は、本開示の例示であり、限定として解釈されるべきではない特定の実施形態に関して記載される。本開示は、具体的に示され及び/又は記載されたものによって限定されず、代替形態又は修正実施形態は、本開示の教示全体を鑑みて開発することができることが当業者によって認識されよう。記載された図は、概略に過ぎず限定ではない。
【0043】
動詞「含む」並びにそれぞれの活用形の使用は、述べられたもの以外の要素の存在を除外しない。要素に先行する冠詞「a」、「an」又は「the」の使用は、複数のそのような要素の存在を除外しない。
【0044】
更に説明及び特許請求の範囲における用語第1、第2、及び同種のものは、類似要素の間で区別するために使用され、必ずしも時間的、空間的、順位付け、又はあらゆる他の手法での順序を説明するために使用されない。そのように使用された用語は、適切な状況下で相互に交換可能であり、本明細書に記載された本開示の実施形態は、本明細書に記載され又は例示された以外の順序で作動できることを理解されたい。
【0045】
本明細書を通して「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」の言及は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造又は特性が、本開示の1つ又は複数の実施形態に含まれることを意味する。こうして本明細書を通して様々な場所における語句「一実施形態では(in one embodiment)」又は「一実施形態では(in an embodiment)」の表記は、必ずしも全てが同じ実施形態を指さないが、そうであることもある。更に特定の特徴、構造又は特性は、1つ又は複数の実施形態で、本開示から当業者には明らかであるはずであるように、あらゆる適切な手法で組み合わされてもよい。
【0046】
本開示による方法では、エネルギーは環境発電機から獲得され、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置に充電するために使用される。方法は環境発電のためのシステムを使用する。
【0047】
図1では、環境発電のためのシステム100の例が概略的に示されている。システム100は、メイン電圧変換器システム20及びメイン電圧変換器システムを制御するためのコントローラ40を含む、パワーマネジメント集積回路(PMIC)1を有する。環境発電機70は、環境発電機からPMICに入力電圧V
inで電力を供給するために、第1の電力入力端子11に結合される。PMIC1は、電力を出力することができ、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1に環境発電機からエネルギーを充電することができるように、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1に結合される少なくとも電力出力端子12を含む。この例では、アプリケーションロード90は、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1に結合される。
図1に示されたPMICは、メイン電圧変換器システムが作動できない時、すなわちコントローラに電力供給するために入手可能な供給電力がない時に使用される、コールドスタート電圧変換器30を更に含む。実際に、コントローラは、コントローラの供給入力部における供給電圧V
supが必要最小限の供給電圧V
cs以上である場合に作動可能である。
【0048】
メイン電圧変換器システム20は、貯蔵装置に充電するために環境発電機などのエネルギー源から受領した入力電力を出力電力に変換器するためのシステムとして解釈するべきである。典型的には、メイン電圧変換器システムは、1つ又は複数の電圧変換器を含み、様々な電圧変換器システムの詳述された実施形態は、以下に更に記載される。当技術分野で公知の電圧変換器の例は、DC-DC昇圧変換器、DC-DC降圧変換器又はDC-DC降圧/昇圧変換器である。
【0049】
第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1は、例えば再充電可能な電池、キャパシタ又はスーパーキャパシタである。
【0050】
本発明による環境発電のための方法は、環境発電機70をメイン電圧変換器システムの入力部に結合するステップと、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1をメイン電圧変換器システムの出力部に結合するステップと、環境発電機70又は別のエネルギー源をコールドスタート電圧変換器の入力部に結合するステップと、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1をコールドスタート電圧変換器の出力部に結合するステップと、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1が充電された時に、コントローラのための電圧源として使用されるように、コントローラの供給入力部に結合するステップとを含む。補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1をコントローラの供給入力部に結合するステップにより、供給電圧Vsupは、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置の補助電圧Vcに対応する。
【0051】
本発明による方法は、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1の補助電圧Vcを監視するステップと、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1の充電レベルを表示する第1の貯蔵パラメータVBatt1を監視するステップと、補助電圧Vcが、既定のスイッチング電圧Vswに達するまで、コールドスタート電圧変換器を作動することにより、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1を充電するステップと、但し、Vsw≧Vcsであり、補助電圧Vcが既定のスイッチング電圧Vswに達した場合、メイン電圧変換器システムの作動を有効にするステップ、及びコールドスタート電圧変換器の作動を無効にするステップと、パラメータVBatt1が既定の上限貯蔵値VBatt1-upより低い限り、メイン電圧変換器システムを作動するステップにより、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1を充電するステップとを更に含む。
【0052】
この上限貯蔵値VBatt1-upは、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1が充電されたことを表示する閾値として解釈するべきである。
【0053】
実施形態では、第1の貯蔵パラメータVBatt1は、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1の電圧に対応する。他の実施形態では、第1の貯蔵パラメータVBatt1は、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1を充電する工程の間に、例えば累積された充電を計測する充電カウンタによって獲得された累積充電に対応する。
【0054】
実施形態では、補助エネルギー貯蔵装置C1の補助電圧Vcは、目標値に等しく維持される。目標値は、例えばコントローラを作動するための適切な電圧値に対応する既定の電圧値である。実施形態では、目標値は、コントローラを作動するための適切な又は最適な供給電圧値である。補助電圧Vcを目標値に等しく維持するために、メイン電圧変換器システム又はコールドスタート電圧変換器は、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1に環境発電機70からエネルギーを再充電するために使用される。
【0055】
補助電圧Vcのこの維持は、例えば上限貯蔵値VBatt1-upが達成されるまで第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1を充電する期間、及びその後のあらゆる期間も実行される。
【0056】
実施形態では、補助エネルギー貯蔵装置C1の充電の低減は、補助電圧Vcが目標値に等しく維持されるように引き続き補完される。
【0057】
他の実施形態では、メイン電圧変換器システム又は別法としてコールドスタート電圧変換器は、補助エネルギー貯蔵装置C1の補助電圧Vcを下限閾値電圧Vsup-minと上限閾値電圧Vsup-maxとの間に画定された電圧範囲内に維持するために作動され、Vcs<Vsup-min<Vsup-maxである。概してVcs<Vsw≦Vsup-maxであり、より好ましくはVsup-min≦Vsw≦Vsup-maxである。換言すると、下限閾値電圧Vsup-minは既定のスイッチング電圧Vsw以下であり、必要最小限の供給電圧Vcsより高い。
【0058】
実施形態では、下限閾値電圧Vsup-min及び上限閾値電圧Vsup-maxによって画定された電圧範囲は、コントローラを作動するための供給電圧として最適である電圧の範囲に対応する。
【0059】
これらの実施形態では、補助電圧Vcは既定の電圧範囲内に維持され、補助電圧Vcが下限閾値電圧Vsup-minより低く降下した場合、方法は、補助電圧Vcが下限閾値電圧Vsup-minより高い上限閾値電圧Vsup-maxに達するまで、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1に環境発電機からエネルギーを再充電するステップを提供する。
【0060】
図2では、本開示の方法による第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置を充電するための工程の例が概略的に例示されている。第1の貯蔵パラメータV
Batt1の変形、この例では電圧V
Batt1、及び補助V
cが時間の関数として示されており、補助エネルギー貯蔵装置C1の補助電圧を下限閾値電圧V
sup-minと上限閾値電圧V
sup-maxとの間に保ちながら、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1を充電することを例示する。まず補助電圧V
cは下限閾値電圧V
sup-minより低く、
図2では「CS-VC」と表示されているその起動期間中は、コールドスタート電圧変換器は、スイッチング電圧V
swに達するまで補助エネルギー貯蔵装置C1に充電するために作動し、但し、この例ではV
sup-min≦V
sw≦V
sup-maxである。その後、メイン電圧変換器システムは作動を開始し、この期間は
図2では「M-VC」で表示されている。実施形態では、
図2に例示されたように、補助電圧V
cが下限閾値電圧V
sup-minまで降下した場合、メイン電圧変換器システムは、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置の充電を反復的に停止し、その代わりに上限閾値電圧V
sup-maxに達するまで補助エネルギー貯蔵装置に再充電する。
図2に示されていない他の実施形態では、上述されたように、補助電圧V
cを一定の電圧範囲内に維持する代わりに、補助電圧V
cは、目標値に等しく維持することもできる。
【0061】
図2に更に例示されたように、メイン電圧変換器システムは、上限貯蔵値V
Batt1-upに達するまで第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1に充電する。この例では、V
Batt1は電圧であり、上限貯蔵値V
Batt1-upは、補助エネルギー貯蔵装置C1の上限閾値電圧V
sup-maxより高い電圧である。実際に、補助エネルギー貯蔵装置は、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置から電気的に分離して維持されるので、電圧V
sup及びV
Batt1は互いに独立しており、それ故に常に異なる値を有することができる。
【0062】
実施形態では、上限閾値電圧Vsup-maxは、例えば2V~3Vの間の値、例えば2.5Vであることが可能であり、第1のエネルギー貯蔵装置BATT1は、上限貯蔵値VBatt1-upまで、例えば4.5Vに充電することができる。他の実施形態では、VBatt1-upは、Vsup-maxより低いことが可能である。例えば実施形態では、Vsup-maxは5Vであることが可能であり、VBatt1-upは5V未満の値であることが可能である。
【0063】
実施形態では、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1が、上限貯蔵値VBatt1-up以下の電池の準備が整った閾値VBatt1-readyまで充電される時、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1内に貯蔵されたエネルギーは、アプリケーションロードに電力供給するために使用することができる。
【0064】
実施形態では、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1は、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1のエネルギー貯蔵容量の百倍を超え、好ましくは数千倍を超えるエネルギー貯蔵容量を有する。一部の実施形態では、BATT1のエネルギー貯蔵容量は、C1の貯蔵容量の百万倍を超えることさえ可能である。この方法で、補助エネルギー貯蔵装置を充電する時間は、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置の充電時間に比べて非常に短い。例えば補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1は、0.1ナノファラッド~100マイクロファラッドの範囲内の貯蔵容量のキャパシタであることが可能であり、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置は、1マイクロファラッド~100ファラッドの範囲内の貯蔵容量を有するスーパーキャパシタであることが可能である。
【0065】
上記のように、補助再充電可能な貯蔵装置C1の補助電圧Vcを下限閾値電圧Vsup-minから上限閾値電圧Vsup-max内に維持することは、例えば第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1の充電工程中に補助電圧Vcを監視することによって、及び補助電圧Vcが下限閾値電圧Vsup-minより低く降下した時に、補助エネルギー貯蔵装置C1を再充電することによって実行される。
【0066】
好ましい実施形態では、補助エネルギー貯蔵装置C1を再充電することは、メイン電圧変換器を作動することによって実行される。他の実施形態では、補助エネルギー貯蔵装置C1を再充電することは、コールドスタート電圧変換器を作動することによって実行される。
【0067】
一部の実施形態では、以下に論じるように、環境発電機からのエネルギーを使用する代わりに、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1からのエネルギーを同様に、補助エネルギー貯蔵装置に再充電するために使用することができる。それ故に、メイン電圧変換器システムを使用して補助エネルギー貯蔵装置を再充電するために少なくとも2つの選択肢、すなわち環境発電機からのエネルギー又は第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置からのエネルギーが存在する。第2の選択肢は、第1のエネルギー貯蔵装置BATT1が十分に充電され、例えば下部貯蔵値VBatt1-minより大きい電圧に達した場合のみ可能である。
【0068】
実施形態では、第1の選択肢は、補助電圧Vcが下限閾値電圧Vsup-minより低く降下した場合に始動される。
【0069】
実施形態では、第2の選択肢は、補助電圧Vcが既定の臨界閾値電圧VT-Bより低く降下した場合に始動され、但し、Vcs<VT-B<Vsup-minである。実際に、環境発電機がいかなる電力も提供しない場合、次いで補助電圧Vcが下限閾値電圧Vsup-minより低く降下した場合、補助電圧Vcは降下し続け、最終的に第2の選択肢が始動されるように、臨界閾値電圧VT-Bより低く降下する。
【0070】
他の実施形態では、第2の選択肢は、補助電圧Vcが下限閾値電圧Vsup-minより低く降下した場合、及びその瞬間に環境発電機がエネルギーを生成しない、又は十分なエネルギーを生成しないことが監視された場合に始動される。環境発電機からのエネルギーの入手可能性は、例えば第1の入力端子における入力電圧又は入力電力を表示するあらゆる他のパラメータを監視することにより、監視ユニットで監視することができる。
【0071】
補助電圧Vcが下限閾値電圧Vsup-minより低く降下した場合に、補助再充電可能な貯蔵装置C1に環境発電機からエネルギーを再充電する第1の選択肢は、メイン電圧変換器システムの出力部を第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1から離断するステップと、メイン電圧変換器システムの出力部を補助再充電可能な貯蔵装置C1に結合するステップ、及び補助電圧Vcが上限閾値電圧Vsup-maxに達するまで、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1を再充電するためにメイン電圧変換器システムを作動するステップとで実行される。その後、メイン電圧変換器システムの出力部は、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1から離断され、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1に結合される。
【0072】
補助電圧Vcが既定の臨界閾値電圧VT-Bより低く降下した場合、但し、Vcs<VT-B<Vsup-minであり、又は環境発電機がエネルギーを生成しないことを監視した場合に、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1に第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1からエネルギーを再充電する第2の選択肢は、環境発電機をメイン電圧変換器システムの入力部から離断するステップと、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1をメイン電圧変換器システムの出力部から離断するステップと、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1をメイン電圧変換器システムの入力部に結合するステップと、メイン電圧変換器システムの出力部を補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1に結合するステップ、及び補助電圧Vcが上限閾値電圧Vsup-maxに達するまで、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1に再充電するためにメイン電圧変換器システムを作動するステップとで実行される。その後、環境発電機はメイン電圧変換器システムの入力部に再結合され、第1の再充電可能な貯蔵装置BATT1は、メイン電圧変換器システムの出力部に再結合される。
【0073】
実施形態では、メイン電圧変換器システム20は降圧/昇圧変換器を含み、降圧/昇圧変換器は、Vin>(Vout+Δ)である場合に降圧モードで作動し、Vin<(Vout-Δ)である場合に昇圧モードで作動し、Vin=Vout±Δである場合に降圧-昇圧モードで作動するように構成され、但し、Vin及びVoutは、それぞれメイン電圧変換器システムの入力及び出力電圧であり、Δは、降圧/昇圧電圧変換器の作動パラメータである。
【0074】
環境発電機が例えばもはや作動できず、第1の貯蔵パラメータVBatt1が、例えば既定の下部貯蔵値VBatt1-minより低い場合、補助電圧Vcが下限閾値電圧Vsup-minより低く降下した時に、補助エネルギー貯蔵装置に再充電するために入手可能な電力がない状況が発生する可能性があり、それ故に補助電圧Vcは、コントローラを作動させるために必要最小限の供給電圧Vcsより更に低減する可能性ある。上記のように、この必要最小限の供給電圧Vcsは、下限閾値電圧Vsup-minより低い閾値電圧である。
【0075】
実施形態では、メイン電圧変換器システムは、補助電圧V
cを目標値に等しく維持するため、又は補助電圧V
cを一定の電圧範囲内に維持するように作動され、上記のように補助電圧V
cが必要最小限の供給電圧V
csより低減した状況が起きた場合、コールドスタート電圧変換器は、既定のスイッチング電圧V
swに達するまで補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1に再充電するように作動可能になる。その後、コールドスタート電圧変換器の作動は無効にされ、メイン電圧変換器システムの作動は有効にされる。必要最小限の供給電圧V
csは、
図2に概略的に例示されている。
【0076】
実施形態では、メイン電圧変換器システム20は、第1の電圧変換器20a及び第2の電圧変換器20bを含む。これらの実施形態では、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1に環境発電機70からエネルギーを充電するステップは、第1の電圧変換器20aを作動することによって実行され、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1に環境発電機70からエネルギーを、又は第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1からエネルギーを再充電するステップは、第2の電圧変換器20bを作動することによって実行される。補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1に再充電するステップは、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1に充電するステップと無関係に実行される、すなわち第1の補助装置の充電を制御するステップは、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置の充電を制御するステップに影響を受けず、逆も同様である。
【0077】
実施形態では、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1に再充電するために使用された電圧変換器は、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置に充電するために使用された電圧変換器と異なり、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1の充電は、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1の充電と同時に実行することができる。本発明の第2の態様によれば、上に論じた環境発電のための方法を実行できる環境発電のためのパワーマネジメント集積回路が提供される。
【0078】
本発明による環境発電のための集積回路は、集積回路並びに多数の入力及び出力ピン(端子とも呼ばれる)を含むマイクロチップとして解釈するべきである。マイクロチップは、例えば16~32個の端子を有することができる。概してマイクロチップは、小型パッケージを有し、側面が1~5mmの長さを有する正方形又は長方形のフットプリントになる。本発明によるPMIC1の様々な例は、
図3a、
図3b、
図3c、
図4、
図10、及び
図12~
図15のそれぞれに示されており、PMIC1を含む環境発電機システム100の例は、
図5~
図9及び
図11に例示されている。これらの例については、以下に更に論じる。
【0079】
実施形態では、環境発電のためのPMIC1は、環境発電機又は別の電源から入力電力を受領するための1つ又は複数の電力入力端子と、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1と接続可能な第1の貯蔵装置端子12と、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1と接続可能な補助端子9とを含む。補助端子は、PMICから補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置への充電の伝送、及び逆も同様に補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置からPMICへの充電の伝送の両方が可能な入力/出力端子である。他の実施形態では、
図3bに示されたように、外部補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置に接続可能な補助端子の代わりに、PMICは集積オンチップ・キャパシタC
intを含む。
【0080】
一部の実施形態では、第1の貯蔵装置端子12は、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置に電力を出力するための電力出力端子であり、他の実施形態では、第1の貯蔵装置端子12は、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置に電力を出力するため、及び第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置からPMICに電力を入力するための両方に適切な入力/出力端子である。
【0081】
PMIC1は、1つ又は複数の電力入力端子の第1の電力入力端子11を通して入力電力を受領するためのメイン電圧変換器システム20と、メイン電圧変換器システム20を制御するように構成されたコントローラ40と、コールドスタート電圧変換器30とを更に含む。コールドスタート電圧変換器30は、i)補助端子9に、又は集積オンチップ・キャパシタCintに入力電力を伝送し、ii)1つ又は複数の電力入力端子の第1の電力入力端子11を通して、又は第2の電力入力端子8を通して入力電力を受領し、iii)最小入力電圧がコールドスタート電圧変換器の入力部で入手可能である場合、及びコントローラのための供給電圧Vsupが、必要最小限の供給電圧Vcsより低い場合に作動を開始するように構成される。
【0082】
図3a及び
図3bに示された実施形態では、メイン電圧変換器システム及びコールドスタート電圧変換器は、どちらも同じ入力端子11を通して入力電力を受領する。他の実施形態では、例えば
図4に示されたように、メイン電圧変換器システム及びコールドスタート電圧変換器は、参照番号11及び8で表示された異なる入力端子を通して入力電力を受領する。
【0083】
上に論じたように、コントローラ40は、コントローラの供給入力部における供給電圧Vsupが、必要最小限の供給電圧Vcs以上である場合に作動可能である。
【0084】
実施形態では、
図3a及び
図4に概略的に例示されたように、メイン電圧変換器システムは、複数の電力伝送経路を通して電力を出力するように構成され、複数の電力伝送経路は、メイン電圧変換器システムをそれぞれ第1の貯蔵装置端子12及び補助端子9と電気的に接続するように構成された、少なくとも第1の電力伝送経路P-O1及び第2の電力伝送経路P-O2を含む。
【0085】
一部の実施形態では、メイン電圧変換器システムは、例えば
図6~
図9に例示されたように、単一の電圧変換器のみを含み、メイン電圧変換器システム20は、コントローラによって制御され、選択された電力伝送経路を介して電力を出力するように、複数の電力伝送経路から1つの電力伝送経路を選択するように構成された、出力選択回路21を含む。換言すると、メイン電圧変換器システム20は、第1の貯蔵装置端子に又は補助端子のいずれかに電力を選択的に出力することができる。
【0086】
実施形態では、
図3bに示されたように、電力は、メイン電圧変換器システムから第2の電力伝送経路P-O2を通って集積オンチップ・キャパシタC
intに伝送することができる。
【0087】
実施形態では、メイン電圧変換器システム20は出力選択回路21を含み、1つ又は複数のスイッチS1、S2は、
図3a、
図3b及び
図4に概略的に例示されたように、電力出力経路を選択するように提供される。スイッチS1が開き、スイッチS2が閉じた場合、電力はメイン電圧変換器システムから第1の貯蔵装置端子12に伝送されることが可能であり、スイッチS1が閉じ、スイッチS2が開いた場合、電力は、メイン電圧変換器システムから補助端子9に伝送されることが可能である。
【0088】
特定の電力伝送経路が出力選択回路21を通して選択される場合、他方の残りの電力伝送経路は、1度に1つの電力伝送経路しか選択できないように選択を解除されるという定義を示唆する。実施形態では、例えば
図3cに概略的に例示されたように、メイン電圧変換器システム20は、第1の電力伝送経路P-O1を介して第1の貯蔵装置端子12に電力を伝送するために使用される一方で、コールドスタート電圧変換器30は、補助電圧V
auxを下限閾値電圧V
sup-min以上に維持するように、補助端子(9)に又は集積オンチップ・キャパシタC
intに電力を伝送するために使用される。それ故にこれらの実施形態では、コールドスタート電圧変換器は、上に論じたように補助電圧V
auxが必要最小限の供給電圧V
csより低い値から既定のスイッチング電圧V
swに増加するまで、まず内部ノードN
auxに充電するために使用されるだけでなく、V
auxを下限閾値電圧V
sup-min以上に維持するように、内部ノードN
auxに再充電するためにも使用される。
【0089】
本発明による他の実施形態では、
図13~
図15に例示されたように、メイン電圧変換器システムは、2つの電圧変換器、すなわち第1の電力伝送経路P-O1に結合された出力部を有する第1の電圧変換器20a、及び第2の電力伝送経路P-O2に結合された出力部を有する第2の電圧変換器20bを含む。それ故に2つの出力経路及び2つの関連した電圧変換器を有するこれらの実施形態では、出力経路選択回路は必須ではない。しかし例えば
図12に例示されたように、第3の電力伝送経路P-O3を有するPMICの実施形態では、出力経路選択回路は、第1の出力経路P-O1を介して又は第3の出力経路P-O3のいずれかを介して電力を出力するために、第1の電圧変換器20aを選択することができる。
【0090】
PMICは、
図3a~
図4に更に概略的に例示されたように、内部ノードN
auxを含む。内部ノードN
auxは、内部ノードの補助電圧V
auxが補助端子9における電圧に対応するように、又は集積オンチップ・キャパシタC
intの電圧に対応するように、補助端子9と又は集積オンチップ・キャパシタC
intと電気的に接続する。内部ノードN
auxは、コントローラの入力部における供給電圧が補助電圧V
auxに対応するように、コントローラの供給入力部と更に電気的に接続される。
図3a~
図15に例示されたように、内部ノードN
auxは、補助電圧V
auxが第1の貯蔵装置端子12における電圧と無関係であるように、第1の貯蔵装置端子12から電気的に分離される電圧ノードである。
【0091】
上記のように、及び
図3a及び
図3bに例示されたように、第2の電力伝送経路P-O2は、メイン電圧変換器システムの出力部を補助端子と接続している。
図3bに示された実施形態については、内部ノードN
auxの補助電圧は、集積オンチップ・キャパシタC
intの電圧に対応する。
【0092】
コントローラ40と結合された監視ユニット45は、内部ノードの電圧Vauxを監視し、第1の貯蔵装置端子12における第1の貯蔵パラメータVBatt1を監視するように構成される。一部の実施形態では、第1の貯蔵パラメータVBatt1は、第1の貯蔵装置端子12で感知された電圧である一方で、他の実施形態では、第1の貯蔵パラメータVBatt1は、累積された充電であることが可能である。
【0093】
コントローラは、第1の貯蔵パラメータVBatt1が既定の上限貯蔵値VBatt1-upより低い限り、第1の貯蔵装置端子12に電力を伝送し、補助電圧Vauxを目標値に等しく維持するために、又は別法として補助電圧Vauxを下限閾値電圧Vsup-minと上限閾値電圧Vsup-maxとの間の電圧範囲内に維持するために、補助端子9に又は集積オンチップ・キャパシタCintに電力を伝送するように構成される。目標値又は別法として下限閾値電圧Vsup-minは、必要最小限の供給電圧Vcsを超えるように画定される。目標値は、例えばコントローラを作動するのに適切な電圧である。
【0094】
実施形態では、コントローラは、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1に再充電するために、コールドスタート電圧変換器の作動を有効にするように更に構成される。これらの実施形態では、補助電圧Vcが下限閾値電圧Vsup-minから必要最小限の供給電圧Vcs未満の値に低減した場合、コントローラは、既定のスイッチング電圧Vswに達するまで、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1に再充電するために、コールドスタート電圧変換器の作動を有効にする。その後、コールドスタート電圧変換器の作動は無効にされ、メイン電圧変換器システムの作動は有効にされる。
【0095】
実施形態では、コントローラは、Vauxを目標値に等しく維持し、既定のスイッチング電圧Vswは、目標値以上である。
【0096】
実施形態では、コントローラは、Vauxを下限閾値電圧Vsup-minと上限閾値電圧Vsup-maxとの間の電圧範囲内に維持し、既定のスイッチング電圧Vswは、下限閾値電圧Vsup-min以上である。
【0097】
実施形態については、メイン電圧変換器システムは、例えば
図13~
図15に例示されたように、2つの専用電圧変換器を含み、第1の貯蔵装置端子への電力の伝送は、補助端子への電力の伝送に平行に、補助端子への電力の伝送と無関係に実行することができる。他の実施形態では、例えば
図6に例示されたように、電圧変換器の出力部は、出力選択回路21を使用して切り替えられ、第1の貯蔵装置端子及び補助端子への充電の伝送は、同時に実行することができない。
【0098】
コントローラ40は、補助電圧V
auxが必要最小限の供給電圧V
csより低い値から電圧V
cs以上に既定したスイッチング電圧V
swに増加した場合、コールドスタート電圧変換器30の作動を無効にし、メイン電圧変換器システムの作動を有効にするように更に構成される。これは、上に論じたように、
図2に概略的に例示されており、ここでは、コールドスタート電圧変換器の作動期間CS-VCから、メイン電圧変換器システムの期間M-VCへの切り替えが例示されている。
【0099】
コントローラ40は、Vaux及びVBatt1の監視並びに実際の値と既定の閾値の比較に基づいて、第1の電力伝送経路P-O1及び第2の電力伝送経路P-O2を介して電力の伝送を制御するように更に構成され、より詳細には、メイン電圧変換器システム20は、
a)Vsup-min≦Vauxである場合、及びVBatt1<VBatt1-upである場合、但し、VBatt1-upはVBatt1に対して既定の上限貯蔵値であり、Vsup-minはVauxに対して既定の下限閾値電圧であり、第1の経路P-O1を選択するステップ及び第1の電力入力端子11から第1の貯蔵装置端子12に電力を伝送するためにメイン電圧変換器システムを作動するステップにおいて、第1の貯蔵装置端子12に電力を伝送するステップは、VBatt1が既定の上限貯蔵値VBatt1-upに達した場合に停止される、選択するステップ及び作動するステップと、
b)Vauxが下限閾値電圧Vsup-minより高い値から下限閾値電圧Vsup-minより低い値に降下した場合、第2の電力伝送経路P-O2を選択するステップ及び補助電圧Vauxが上限閾値電圧Vsup-maxに増加するまでメイン電圧変換器システムを作動するステップと、を実行するように構成され、但し、Vsup-max>Vsup-minである。代替実施形態では、上に論じたように、コントローラは、補助電圧Vcを目標値に等しく維持し続けるように、メイン電圧変換器を作動するように構成される。
【0100】
上に論じたように、電圧Vauxを監視すること及びメイン電圧変換器システムを制御することによって、コントローラ40に対する供給電圧Vsupは、値Vsup-minに維持されるか又は閾値電圧Vsup-minとVsup-max内に維持される。第1の出力端子における電圧も、供給電圧Vsupから切り離されたまま保たれる。例えばVBatt1が一定の電圧である場合、上限貯蔵値VBatt1-upは4.5Vに等しいことが可能であり、上限閾値電圧Vsup-maxは、例えば2.5V又はあらゆる他の適切な値に等しいことが可能である。
【0101】
用語「コントローラ」の使用は、概してコンビネータ論理を含む電子デジタル回路であるように最も広い意味で解釈するべきである。メイン電圧変換器システムを制御するコントローラは、例えばメイン電圧変換器システムの電力スイッチを制御するように構成される。
【0102】
具体的な実施形態では、補助出力端子12に結合できる外部補助キャパシタを使用する代わりに、PMICは、集積オンチップ・キャパシタを含む。この具体的な実施形態では、第2の電力伝送経路P-O2は、メイン電圧変換器システムの出力部を集積オンチップ・キャパシタと電気的に接続するように構成される。この実施形態では、内部ノードNauxも、少なくともi)集積オンチップ・キャパシタ、ii)コントローラの供給入力部、iii)コールドスタート電圧変換器の出力部と電気的に接続する。
【0103】
実施形態では、監視ユニット45は、パラメータVBatt1及びVauxを既定の閾値と比較するための信号比較器を含む。信号比較器は、当技術分野で公知のアナログ信号比較器又はデジタル信号比較器のいずれであることも可能である。デジタル信号比較器が使用される実施形態については、概ねアナログ信号VBatt1及びVauxは、最初にADC(アナログ・デジタル変換器)を使用してデジタル化される。既定の閾値は、コントローラによって局所で記憶された値であることが可能であり、又は既定の閾値は、基準電圧発生器によって発生することができ、又はPMICの外部の電圧構成器を使用することができ、閾値は構成端子若しくはコントローラを通して送信することができる。
【0104】
コールドスタート電圧変換器30は、最小入力電圧がコールドスタート電圧変換器の入力部で入手可能である場合、及びVsup<Vcsである場合、すなわちメイン電圧変換器システムが作動できない時、すなわちいわゆるリセットモードである時、作動を開始するように構成される。
【0105】
実施形態では、コールドスタート電圧変換器は、チャージポンプ及びチャージポンプにクロック信号を提供するオシレータを含む。チャージポンプの出力部は、次いで電圧Vauxを供給し、これは、上記のようにメイン電圧変換器システムのための供給電圧Vsupに等しい。オシレータは、コールドスタート電圧変換器の入力電圧が最小入力電圧より高い時に発生される有効信号によってスイッチが入れられる。この最小電圧は、例えば基準電圧発生器によって発生された基準電圧である。オシレータはスイッチを切られ、それ故にコールドスタート電圧変換器は、供給電圧Vsupがスイッチング電圧Vswに達した時にスイッチが切られ、その後メイン電圧変換器システムはスイッチを入れられる。
【0106】
PMIC1、第1の電力入力端子11に結合された環境発電機70、第1の貯蔵装置端子12に結合された第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1、及び補助端子9に結合された補助再充電可能な貯蔵装置C1を含む、環境発電システムの例が、
図5に概略的に示されている。この例では、アプリケーションロード90は、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1に接続される。
【0107】
図5に更に例示されたように、メイン電圧変換器システム20は、インダクタ25を使用することができ、インダクタ25は、概してPMIC1の外側に置かれ、例えば2つの専用端子14、15と、又はあらゆる他の適切な結合手段によりPMICに結合することができる。
【0108】
好ましい実施形態では、メイン電圧変換器システム20は、
図6及び
図7に例示されたように、DC-DC降圧/昇圧電圧変換器を含み、これはメイン電圧変換器システムの入力及び出力電圧に依存して、昇圧モード、降圧モード、又は降圧昇圧モードのいずれかで作動することができる。メイン電圧変換器システムの入力電圧が電圧変換器の出力電圧より低い時、降圧/昇圧電圧変換器は、昇圧モードで作動する。一方、降圧/昇圧電圧変換器は、入力電圧が出力電圧より高い場合に、降圧モードで作動する。入力及び出力電圧がほぼ同じ場合、変換器は降圧/昇圧モードで作動する。降圧/昇圧電圧変換器の作動モードを決定するために考慮されるメイン電圧変換器システムの出力電圧は、選択された電力伝送経路に依存する。例えば第1の電力伝送経路P-O1又は第2の電力伝送経路P-O2が選択されると、考慮された出力電圧は、第1の出力端子12における電圧及び補助端子9における電圧のそれぞれに対応する。同様にメイン電圧変換器システムが、それぞれが対応する電力入力端子に接続される複数の入力経路を有する実施形態については、降圧/昇圧変換器の作動モードを画定するために考慮される入力電圧は、選択された入力経路の入力端子の電圧に対応する。
【0109】
メイン電圧変換器システム20は、複数の電力スイッチを含み、例えば
図6に例示された実施形態は、スイッチS1及びS2を有する出力選択回路21を含み、降圧/昇圧電圧変換器20aは、スイッチS3A、S3B、S4A及びS4Bを含む。
図7に示されたメイン電圧変換器システムの実施形態は、
図6に示された実施形態より少ないスイッチを含む実施形態である。実際に、
図7の実施形態では、降圧/昇圧電圧変換器20aの一部のスイッチは、出力選択回路の選択スイッチとしても機能する。
図6の降圧/昇圧電圧変換器の公称作動中に使用されるスイッチS3Bの機能は、
図7ではスイッチS1が開いたままである時に、第1の電力伝送経路P-O1を選択する機能を実行するのと同時にスイッチS2によって実行される。同様に第2の電力伝送経路P-O2を選択する時にスイッチS2が開いたままである場合、スイッチS1は、
図6に示されたスイッチS3Bの代わりに降圧/昇圧電圧変換器の公称作動中に使用される。換言すると、出力選択回路のためのスイッチは、降圧/昇圧電圧変換器の公称作動のためのスイッチと共有することができる。
図9に示された電圧変換器システム20の実施形態は、スイッチS1及びS2を有する出力選択回路21、スイッチS5及びS6を有する入力選択回路22、並びにスイッチS3A、S3B、S4A及びS4Bを有する降圧/昇圧電圧変換器を含む。
図8の実施形態では、スイッチの数は、出力選択回路及び入力選択回路のどちらも、降圧/昇圧電圧変換器とスイッチと共有しているので、
図9の実施形態に比べて低減される。スイッチは、導電経路又は導体を開口又は閉鎖するように構成された電子スイッチとして解釈するべきである。これらのスイッチは、例えば当技術分野で公知のアナログ電子スイッチである。これらのスイッチは、例えばMOSトランジスタを使用する。
【0110】
第1の貯蔵装置に環境発電機からエネルギーを充電するために、昇圧モードで例えば
図7に示された降圧/昇圧電圧変換器の実施形態を作動するために、第1のエネルギー貯蔵装置BATT1の充電中に、スイッチS1が開いたままであり、スイッチS4Bは閉じたままであり、スイッチS4Aは開いたままである。昇圧モードは、インダクタ25の磁気エネルギー充電段階で開始し、スイッチS3Aは閉じ、スイッチS2は開き、その後磁気エネルギー放電段階になり、スイッチS3Aは開き、スイッチS2は閉じる。当技術分野で公知のように、スイッチS3A及びS2を繰り返し制御することにより、電力は、昇圧モードで環境発電機から第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1に伝送される。
【0111】
第1のエネルギー貯蔵装置に充電するために、降圧モードで
図7に示された降圧/昇圧電圧変換器を作動するために、第1のエネルギー貯蔵装置BATT1を充電中に、スイッチS2は閉じたままであり、スイッチS3A及びスイッチS1は開いたままである。降圧モードは、インダクタ25の磁気エネルギー充電段階で開始し、スイッチS4Aは開き、スイッチS4Bは閉じ、その後磁気エネルギー放電段階になり、スイッチS4Aは閉じ、スイッチS4Bは開く。当技術分野で公知のように、スイッチS4A及びS4Bを繰り返し制御することにより、電力は、降圧モードで環境発電機から第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1に伝送される。
【0112】
上記のように、及び
図7に示された例と共に例示されたように、スイッチS2は、DC/DC降圧/昇圧電圧変換器を作動するために必要な標準スイッチとして使用されるだけでなく、スイッチS2は、出力選択回路21の一部も形成する。実際にスイッチS2を開き、スイッチS1を閉じることにより、第2の電力伝送経路P-O2が選択される。この方法で、電圧変換器の公称作動機能及び電力伝送経路の選択機能の両方を実行するための電子スイッチの数は限定される。しかし例えば
図9及び
図6に示されたように入力及び/又は出力選択回路に専用スイッチを使用することも利点を有する、つまりインダクタ25から切り替えたノードの寄生容量は少なく、それ故に電力損失は少ないという事実を有する。
【0113】
好ましい実施形態では、
図10に例示されたように、パワーマネジメント集積回路は、第2の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT2と接続可能な第2の貯蔵装置端子13を含み、複数の電力伝送経路は、メイン電圧変換器システム20の出力部を第2の貯蔵装置端子13と電気的に接続するように構成された、第3の電力伝送経路P-O3を含む。第3の電力伝送経路は、
図10に示されたスイッチS7で選択することができる。
【0114】
概して第2の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT2は、第2の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT2の充電レベルを表示する、
図11に概略的に示されたような第2の貯蔵パラメータV
Batt2を有する。
【0115】
好ましくは、コントローラ40は、第1の貯蔵パラメータVBatt1が、既定の上限貯蔵値VBatt1-upに達した場合に、第3の経路P-O3を選択し、第1の電力入力端子11から第2の貯蔵装置端子13に電力を伝送するために、メイン電圧変換器システム20を作動するように構成される。好都合なことに、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置が、上限貯蔵値VBatt1-upによって画定された充電レベルに達すると、第2の貯蔵装置端子13に接続された第2の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT2に充電することにより、例えば環境発電機がいかなる電力も供給していない時に、追加エネルギーを貯蔵して後で使用することができる。第2のエネルギー貯蔵装置は、例えば大型のエネルギー貯蔵容量を有することができ、それ故に大型エネルギー貯蔵器として使用することができる。
【0116】
実施形態では、例えば
図8、
図9、及び
図11に示されたように、メイン電圧変換器システム20は、コントローラ40によって制御され、選択された入力経路を介して入力電力を受領するように、複数の入力経路から1つの入力経路を選択するように構成された入力選択回路22を含む。この方法で、メイン電圧変換器システムは、様々なエネルギー源から入力電力を受領することができる。
【0117】
環境発電システムの実施形態では、
図8及び
図11に示されたように、メイン電圧変換器システムに電力を供給するための複数の入力経路は、第1の電力入力端子11及び更なる電力入力端子18のそれぞれをメイン電圧変換器システム20の入力部と電気的に接続するように構成された、少なくとも第1の入力経路P-I1及び第2の入力経路P-I2を含む。第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1又は第2の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT2は、例えばPMICへの外部接続によりこの更なる電力入力端子18と電気的に接続することができ、第2の入力経路P-I2は、スイッチS6を閉じ、スイッチS5を開くことにより、入力選択回路22によって選択することができる。これにより、環境発電機70がもはやいかなる電力も供給しない時に、第2の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT2から第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1にエネルギーを伝送することができる。この方法で、アプリケーションロード90は、環境発電機がもはやいかなる電力も供給しない条件下でも、依然として作動し続けることができる。
【0118】
実施形態では、
図8に示されたように、PMICは、更なる電力入力端子18、及びこの更なる入力端子18をメイン電圧変換器システム20の入力部と電気的に接続する第2の入力端子P-I2を含む。この方法で、補助電圧V
auxが、下限閾値電圧V
sup-minより低く降下し、環境発電機が、第2の入力経路P-I2を選択することにより、エネルギーを供給しない、又は十分なエネルギーを供給しない時に、メイン電圧変換器システム20は、更なる電力入力端子18から補助出力端子9に充電を移送することができる。実施形態では、更なる電力端子18に追加の環境発電機又は電力源を接続することができる。他の実施形態では、第1の出力端子12は、例えば第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1が接続される第1の出力端子から、更なる入力端子18に充電を移送することができるために、更なる入力端子18と電気的に接続することができる。
【0119】
図9に示された実施形態では、第2の入力経路P-I2は、第1の出力端子12をメイン電圧変換器システム20の入力部と接続するPMIC1の内部経路である。上述のように、補助電圧V
auxが下限閾値電圧V
sup-minより低く降下し、第2の入力経路P-I2を選択することにより、環境発電機がエネルギーを供給しない、又は十分なエネルギーを供給しない時に、メイン電圧変換器システム20は、第1の出力端子12から補助出力端子9に充電を移送することができる。
【0120】
上記の更なる電力入力端子18を含む実施形態では、コントローラ40は、第2の入力経路P-I2を選択し、第2の電力伝送経路P-O2を選択し、補助電圧V
auxが上限閾値電圧V
sup-maxに増加するまで、メイン電圧変換器システム20を作動するように更に構成される。実施形態では、第2の入力経路及び第2の出力経路のこの選択は、V
auxが下限閾値電圧V
sup-minより高い値から既定の臨界閾値電圧V
T-Bに降下した場合に起きる、但し、V
cs<V
T-B<V
sup-minである。既定の臨界閾値電圧V
T-Bは、
図2に概略的に例示されている。代替実施形態では、第2の入力経路及び第2の出力経路の選択は、補助電圧V
cが下限閾値電圧V
sup-minより低く降下した場合、及び同時に第1の入力端子で入手可能な入力電力がないことを監視ユニットが検出した場合に起きる。
【0121】
図11に示された実施形態では、環境発電システムは、PMIC1の追加の入力端子16に接続された一次電池80も含む。スイッチSWは、環境発電機70と一次電池80との間で選択することができる。一次電池80は、環境発電機70が作動せず、貯蔵装置が満載になった時に使用することができる、バックアップ・エネルギー源である。
【0122】
概して
図11に例示されたように、メイン電圧変換器システム20の入力部は、外部キャパシタC2に結合された別の入力端子17とも接続される。この外部キャパシタC2は、メイン電圧変換器システムの入力電圧を安定化させることができる。
【0123】
上に論じたように、コールドスタート電圧変換器30は、環境発電機70から入力電力を受領し、又は例えば一次電池、別の貯蔵装置若しくはUSB接続具などの補助供給具などの別のエネルギー源から入力電力を受領する。これは
図11に例示されており、ここでは、補助エネルギー源75は、コールドスタート電圧変換器に入力電力を供給するためのPMICの専用入力端子8に結合される。好都合なことに、このような補助供給具は、環境発電が起きるのを待つ必要なしに、PMICを試験することもできる。
【0124】
例えば
図6及び
図7に示された実施形態では、メイン電圧変換器システム20は、どちらも第1の出力端子12に又は補助出力端子9のいずれかに電力を伝送するために使用される、単一の電圧変換器20aを含む。しかし本発明によるPMICのメイン電圧変換器システム20は、1つの電圧変換器に、又は特定数の電圧変換器に限定されない。例えば上に論じたように、
図12~
図15では、第1の電圧変換器20a及び第2の電圧変換器20bを含む、メイン電圧変換器システム20の実施形態を示す。これらの例では、第1の電圧変換器は、第1の出力端子12に、又は第2の出力端子13に電力を伝送するように構成され、第2の電圧変換器は、補助出力端子9に電力を伝送するように構成される。第1及び第2の電圧変換器は、同じ共通のインダクタ25を使用できるか、又は第1及び第2の電圧変換器は、第1及び第2のインダクタのそれぞれを使用することができる。好都合なことに、第1及び第2の電圧変換器を使用する時に、2つの電圧変換器は、同時に使用することができる。
【0125】
キャパシタ及び/又はスーパーキャパシタが使用される環境発電システムの実施形態では、第1の再充電可能なエネルギー貯蔵装置BATT1は、1マイクロファラッド~100ファラッドの間のエネルギー貯蔵容量を有し、補助再充電可能なエネルギー貯蔵装置C1は、0.1ナノファラッド~100マイクロファラッドの間のエネルギー貯蔵容量を有する。