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特許7616711海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/077 20130101AFI20250109BHJP
【FI】
H04B10/077 170
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023184602
(22)【出願日】2023-10-27
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】202311040177.X
(32)【優先日】2023-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521037097
【氏名又は名称】エイチエムエヌ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チン シャオヨン
(72)【発明者】
【氏名】シュー チャンウ
(72)【発明者】
【氏名】リー ジェンピン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン リー
(72)【発明者】
【氏名】ワン イェンプ
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/186672(WO,A1)
【文献】特開2023-046243(JP,A)
【文献】国際公開第2020/194879(WO,A1)
【文献】特表2018-506229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を送受信するように構成された複数の端局と、前記複数の端局の間に設置されて前記複数の端局を連結する海底ケーブルと、それぞれ前記海底ケーブルに設置され、前記端局から送信される光信号を増幅する複数の光中継器と、を含む海底ケーブルシステムに応用される海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法において、
複数の前記光中継器の第1のスペクトルテストデータ、前記海底ケーブルの第2のスペクトルテストデータを取得するステップであって、前記第1のスペクトルテストデータは、各前記光中継器の出荷スペクトルテストデータを含み、前記第2のスペクトルテストデータは、前記海底ケーブルの固有ラマンスペクトルデータを含むステップと、
各前記第1のスペクトルテストデータと前記第2のスペクトルテストデータとに基づいて、各前記光中継器に対応するスペクトル基線を取得するステップであって、前記スペクトル基線は、前記海底ケーブルシステムが予め設定されたパワーの光信号を入力した後の各前記光中継器の入力スペクトルと出力スペクトルとを含むステップと、
各前記第1のスペクトルテストデータに基づいて、各前記光中継器に対応する利得変化モデルを取得するステップであって、前記利得変化モデルは、前記光中継器の、異なる波長及び/又は異なるパワーの光信号に対する利得データを含むステップと、
前記海底ケーブルシステムを監視測定してパワー変化データを取得するステップと、
前記パワー変化データ、前記スペクトル基線及び前記利得変化モデルに基づいて、第1の利得スペクトルを計算するステップであって、前記第1の利得スペクトルは、前記海底ケーブルシステムにおける光信号のパワー変化後の各前記光中継器の入力スペクトルと出力スペクトルとを含むステップと、を含む、
ことを特徴とする海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法。
【請求項2】
各前記第1のスペクトルテストデータと前記第2のスペクトルテストデータとに基づいて、各前記光中継器に対応するスペクトル基線を取得するステップは、
前記海底ケーブルシステムの入力光信号の波長範囲及び異なる波長信号に対応するパワー情報を取得するステップと、
前記波長範囲と前記パワー情報とに基づいて、前記海底ケーブルの前記入力光信号に対する損失スペクトルと各前記光中継器の前記入力光信号に対する利得スペクトルとを取得するステップと、
前記入力光信号に対応する前記損失スペクトルと前記利得スペクトルとを前記スペクトル基線として決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法。
【請求項3】
各前記第1のスペクトルテストデータに基づいて、各前記光中継器に対応する利得変化モデルを取得するステップは、
前記第1のスペクトルテストデータに基づいて、各前記光中継器の、異なる波長及び/又は異なるパワーの光信号に対する利得データを取得するステップと、
各前記光中継器に対応する利得データに基づいて、各前記光中継器に対応する前記利得変化モデルを決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法。
【請求項4】
前記海底ケーブルシステムを監視測定してパワー変化データを取得するステップは、
前記海底ケーブルシステムに単一波長の第1の検出光を送信するステップと、
前記第1の検出光の前記海底ケーブルシステムにおける第2の利得スペクトルを前記パワー変化データとして取得するステップであって、前記第2の利得スペクトルは、前記第1の検出光が各前記光中継器を通過した入力スペクトルと出力スペクトルとを含むステップと、を含み、
前記パワー変化データ、前記スペクトル基線及び前記利得変化モデルに基づいて、第1の利得スペクトルを計算するステップは、
前記第2の利得スペクトルが前記スペクトル基線と一致しなければ、前記第2の利得スペクトルと前記スペクトル基線との利得差を取得するステップと、
前記利得差と前記利得変化モデルとに基づいて、前記第1の利得スペクトルを計算するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法。
【請求項5】
前記第2の利得スペクトルが前記スペクトル基線と一致しなければ、前記第2の利得スペクトルと前記スペクトル基線との利得差を取得するステップは、
前記スペクトル基線から利得スペクトル情報を抽出するステップであって、前記利得スペクトル情報は、前記スペクトル基線における第1の検出光波長に対応する光信号が各前記光中継器を通過した入力スペクトルと出力スペクトルとを含むステップと、
前記第2の利得スペクトルと前記利得スペクトル情報とを比較して、前記利得差を取得するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法。
【請求項6】
前記第2の利得スペクトルは、第2の入力スペクトルと第2の出力スペクトルとを含み、前記利得スペクトル情報は、入力利得スペクトルと出力利得スペクトルとを含み、前記利得差は、入力利得差と出力利得差とを含み、前記第2の利得スペクトルと前記利得スペクトル情報とを比較して、前記利得差を取得するステップは、
各前記光中継器に対応する前記第2の入力スペクトルと前記入力利得スペクトルとの差を計算して、入力利得差を得るステップと、
各前記光中継器に対応する前記第2の出力スペクトルと前記出力利得スペクトルとの差を計算して、出力利得差を得るステップと、
各前記光中継器に対応する前記入力利得差と前記出力利得差とを各前記光中継器の送受信順序に従って配列して、前記利得差を得るステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法。
【請求項7】
前記第2の利得スペクトルと前記利得スペクトル情報とを比較して、利得差を取得する前記ステップの後には、
前記利得差における各前記入力利得差と前記出力利得差とを検出し、1番目の予め設定された数値よりも大きい又は前記予め設定された数値よりも小さい第1の差データを得るステップと、
前記第1の差データが1つの前記入力利得差であれば、前記海底ケーブルシステムの故障領域が、前記第1の差データに対応する第1の光中継器の入力端に接続された前記海底ケーブルであるステップと、
前記第1の差データが1つの前記出力利得差であれば、前記海底ケーブルシステムの故障領域が、前記第1の光中継器であるステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法。
【請求項8】
前記利得差と前記利得変化モデルとに基づいて、前記第1の利得スペクトルを計算するステップは、
前記第1の光中継器の位置に基づいて、前記海底ケーブルシステムにおける第2の光中継器を決定するステップであって、前記第2の光中継器は、前記海底ケーブルを介して前記第1の光中継器の出力端に接続された各前記光中継器を含むステップと、
前記第2の光中継器に対応する前記利得差と前記利得変化モデルとに基づいて、各前記第2の光中継器の入力スペクトルと出力スペクトルとを計算して、前記第1の利得スペクトルを得るステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法。
【請求項9】
第1の利得スペクトルを計算するステップの後には、
前記第1の利得スペクトルを表示するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法。
【請求項10】
光信号を送受信するように構成される複数の端局と、前記複数の端局の間に設置されて前記複数の端局を連結する海底ケーブルと、それぞれ前記海底ケーブルシステムに設置され、前記端局から送信されて来た光信号を増幅する複数の光中継器と、を含む海底ケーブルシステムに設置され、請求項1~9のいずれか1項に記載の海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法を実行するために用いられる海底ケーブルシステムのスペクトル検出システムにおいて、
前記スペクトル検出システムは、一端局に設置され且つ別の端局と接続されたネットワーク管理装置と、前記海底ケーブル及び前記ネットワーク管理装置に接続された海底ケーブル監視測定装置と、を含み、
前記ネットワーク管理装置は、
複数の前記光中継器の第1のスペクトルテストデータ、前記海底ケーブルの第2のスペクトルテストデータを取得するように構成されるデータ収集ユニットと、
各前記第1のスペクトルテストデータと前記第2のスペクトルテストデータとに基づいて、各前記光中継器に対応するスペクトル基線を取得し、各前記第1のスペクトルテストデータに基づいて、各前記光中継器に対応する利得変化モデルを取得するように構成される処理計算ユニットと、を含み、
前記海底ケーブル監視測定装置は、前記海底ケーブルシステムを監視測定してパワー変化データを取得するように構成され、
前記処理計算ユニットは、さらに、前記パワー変化データ、前記スペクトル基線及び前記利得変化モデルに基づいて、第1の利得スペクトルを計算するように構成される、
ことを特徴とする海底ケーブルシステムのスペクトル検出システム。
【請求項11】
前記ネットワーク管理装置は、前記第1の利得スペクトルを表示するように構成されるスペクトル表示ユニットをさらに含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の海底ケーブルシステムのスペクトル検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、海底ケーブル検出技術の分野に関し、特に海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
海底光ファイバー通信システム(Undersea Fiber Communication Systems)は、海底光ファイバーによって様々な国及び海上機器を接続した重要な通信システムであり、数キロメートルから数万キロメートルの距離に至る。光信号の媒体における伝送には、ある程度のパワーペナルティがあり、伝送距離が大きすぎると海底ケーブルにおける光信号の減衰が深刻になるため、一定の距離ごとに海底ケーブルに光中継増幅器RPT(repeater)を設置して光信号を増幅する必要がある。
【0003】
典型的な光中継増幅器は、エルビウム添加光ファイバー増幅器EDFA(Erbium-Doped Optical Fiber Amplifier)のような希土類元素添加光ファイバー増幅器である。EDFAは、使用中においてポンプ(pump)光源により入力された光信号を増幅して出力し、それにより光信号の海底ケーブルシステムにおける伝送安定性を維持する。海底ケーブルシステムの運転中において、ポンプ失効、温度変化、ケーブル内の光ファイバー損失の増大などの要因により、EDFAの入力スペクトル及び/又は出力スペクトルが変化されて、海底ケーブルシステムの伝送安定性に影響を与える。
【0004】
海底ケーブルシステムの作動時には、EDFAのスペクトル変化を検出することにより、海底ケーブルシステムの伝送状態を取得することができる。しかし、EDFAが海底ケーブルシステムに設置される場合、海底光ファイバーと共に水中に設置されるため、海底ケーブルシステムに障害が発生した時には海底光ファイバーにおけるスペクトル変化を直接検出することができない。間接的な方式により、例えば波長可変のコヒーレント光時間領域反射計(COTDR)で海底ケーブルに検出光を送信することにより、海底ケーブルシステムにおける光中継器のスペクトル変化を取得することができるが、この場合、スペクトルの相対的な変化しか取得することができず、その正確度が低い。また、この方法は、スペクトルを取得するために複数の業務波長チャンネルを占有する必要があるため、海底ケーブルにおいて業務信号が比較的多い場合、スペクトルの測定に利用可能な波長が少なく、スペクトル検出の正確性に影響を与え、業務がフル構成される場合、スペクトル検出さえも行うことができない。そのため、海底ケーブルシステムの作動安定性要求を満たすために、海底ケーブルシステムにおける各光中継器のスペクトル性能変化を検出する時の正確度を向上させるスペクトル検出方法が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、海底ケーブルシステムにおける各光中継器のスペクトル変化を取得する時に正確度が低いという問題を解決するための、海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例の第1の態様に係る海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法は、光信号を送受信するように構成された複数の端局と、複数の端局の間に設置されて複数の端局を連結する海底ケーブルと、それぞれ海底ケーブルに設置され、端局から送信される光信号を増幅する複数の光中継器と、を含み、この方法は、
複数の光中継器の第1のスペクトルテストデータ、海底ケーブルの第2のスペクトルテストデータを取得するステップであって、第1のスペクトルテストデータは、各光中継器の出荷スペクトルテストデータを含み、第2のスペクトルテストデータは、海底ケーブルの固有ラマンスペクトルデータを含むステップと、各第1のスペクトルテストデータと第2のスペクトルテストデータとに基づいて、各光中継器に対応するスペクトル基線を取得するステップであって、スペクトル基線は、海底ケーブルシステムが予め設定されたパワーの光信号を入力した後の各光中継器の入力スペクトルと出力スペクトルを含むステップと、各第1のスペクトルテストデータに基づいて、各光中継器に対応する利得変化モデルを取得するステップであって、利得変化モデルは、光中継器の、異なる波長及び/又は異なるパワーの光信号に対する利得データを含むステップと、海底ケーブルシステムを監視測定してパワー変化データを取得するステップと、パワー変化データ、スペクトル基線及び利得変化モデルに基づいて、第1の利得スペクトルを計算するステップであって、第1の利得スペクトルは、海底ケーブルシステムにおける光信号のパワー変化後の各光中継器の入力スペクトルと出力スペクトルとを含むステップと、を含む。
【0007】
この方法は、海底ケーブルシステムにおける各光中継器の第1のスペクトルテストデータと海底ケーブルの第2のスペクトルテストデータとを取得した後、第1のスペクトルテストデータと第2のスペクトルテストデータとに基づいて、各光中継器に対応するスペクトル基線を計算して得、続いて第1のスペクトルテストデータに基づいて、各光中継器が異なる波長、異なるパワーを受信した利得データを取得し、各光中継器に対応する利得変化モデルを得、海底ケーブルシステムにパワー変化が発生したことを検出すると、パワー変化データ、スペクトル基線及び利得変化モデルに基づいて、パワーが変化した後の各光中継器の入出力スペクトルを計算し、第1の利得スペクトルを得る。以上のステップにより、海底ケーブルシステムにパワー変化が発生した後、影響を受ける各光中継器の入力スペクトルと出力スペクトルとを計算して得、それにより海底ケーブルシステムにおける各光中継器の利得スペクトルを得、スペクトルを取得する正確率を向上させることができる。
【0008】
1つの実行可能な実施形態では、各第1のスペクトルテストデータと第2のスペクトルテストデータに基づいて、各光中継器に対応するスペクトル基線を取得するステップは、海底ケーブルシステムの入力光信号の波長範囲及び異なる波長信号に対応するパワー情報を取得するステップと、波長範囲とパワー情報とに基づいて、海底ケーブルの入力光信号に対する損失スペクトルと各光中継器の入力光信号に対する利得スペクトルとを取得するステップと、入力光信号に対応する損失スペクトルと利得スペクトルをスペクトル基線として決定するステップと、を含む。このように海底ケーブルシステムが正常的に作動している中において、各光中継器の光信号に対する利得データと海底ケーブルの光信号に対する損失データとを取得する方式で、海底ケーブルシステムにおける光信号のスペクトル基線を得、それにより海底ケーブルシステムの正常的な作動時のスペクトルデータを決定することができ、海底ケーブルシステムにスペクトルデータに影響を与える故障が発生した時、スペクトル基線に基づいて迅速に更新し、スペクトルの計算効率を向上させることができる。
【0009】
1つの実行可能な実施形態では、各第1のスペクトルテストデータに基づいて、各光中継器に対応する利得変化モデルを取得するステップは、第1のスペクトルテストデータに基づいて、各光中継器の、異なる波長及び/又は異なるパワーの光信号に対する利得データを取得するステップと、各光中継器に対応する利得データに基づいて、各光中継器に対応する利得変化モデルを決定するステップと、を含む。利得変化モデルを決定することにより、海底ケーブルシステムに故障が発生して光信号の伝送に影響を与えた後、変化後のパワーデータに基づいて、各光中継器に対応する入力スペクトルと出力スペクトルとを計算して得、スペクトルを取得する正確性を向上させることができる。
【0010】
1つの実行可能な実施形態では、海底ケーブルシステムを監視測定してパワー変化データを取得するステップは、海底ケーブルシステムに単一波長の第1の検出光を送信するステップと、第1の検出光の海底ケーブルシステムにおける第2の利得スペクトルをパワー変化データとして取得するステップであって、第2の利得スペクトルは、第1の検出光が各光中継器を通過した入力スペクトルと出力スペクトルとを含むステップと、を含み、パワー変化データ、スペクトル基線及び利得変化モデルに基づいて、第1の利得スペクトルを計算するステップは、第2の利得スペクトルがスペクトル基線と一致しなければ、第2の利得スペクトルとスペクトル基線との利得差を取得するステップと、利得差と利得変化モデルとに基づいて、第1の利得スペクトルを計算するステップと、を含む。このように、海底ケーブルシステムに単一波長の検出光を送信することにより、第1の利得スペクトルの計算を行うことができ、海底ケーブルシステムにおけるパワー変化を監視測定する時に占有する業務チャンネル数を減少させ、それによりスペクトル検出を行う時、海底ケーブルシステムの伝送効率への影響を減少させることができる。
【0011】
1つの実行可能な実施形態では、第2の利得スペクトルがスペクトル基線と一致しなければ、第2の利得スペクトルとスペクトル基線との利得差を取得するステップは、スペクトル基線から利得スペクトル情報を抽出するステップであって、利得スペクトル情報は、スペクトル基線における第1の検出光波長に対応する光信号が各光中継器を通過した入力スペクトルと出力スペクトルとを含むステップと、第2の利得スペクトルと利得スペクトル情報とを比較して、利得差を取得するステップと、を含む。各光中継器とスペクトル基線及び第2の利得スペクトルとの対応関係により、各光中継器の利得差を計算して、海底ケーブルシステムのスペクトル変化データを得、スペクトル取得の正確性を向上させることができる。
【0012】
1つの実行可能な実施形態では、第2の利得スペクトルは、第2の入力スペクトルと第2の出力スペクトルとを含み、利得スペクトル情報は、入力利得スペクトルと出力利得スペクトルとを含み、利得差は、入力利得差と出力利得差とを含み、第2の利得スペクトルと利得スペクトル情報を比較して、利得差を取得するステップは、各光中継器に対応する第2の入力スペクトルと入力利得スペクトルとの差を計算して、入力利得差を得るステップと、各光中継器に対応する第2の出力スペクトルと出力利得スペクトルとの差を計算して、出力利得差を得るステップと、各光中継器に対応する入力利得差と出力利得差とを各光中継器の送受信順序従って配列して、利得差を得るステップと、を含む。入力利得差と出力利得差とを取得して配列することにより、利得変化モデルにより、各光中継器の入力スペクトルと出力スペクトルとを計算し、スペクトル取得効率を向上させることができる。
【0013】
1つの実行可能な実施形態では、第2の利得スペクトルと利得スペクトル情報とを比較して、利得差を取得するステップの後には、利得差における各入力利得差と出力利得差とを検出し、1番目の予め設定された数値よりも大きい又は予め設定された数値よりも小さい第1の差データを得るステップと、第1の差データが1つの入力利得差であれば、海底ケーブルシステムの故障領域が、第1の差データに対応する第1の光中継器の入力端に接続された海底ケーブルであるステップと、第1の差データが1つの出力利得差であれば、海底ケーブルシステムの故障領域が、第1の光中継器であるステップと、をさらに含む。第1の利得差の種別により、海底ケーブルシステムに故障が発生した領域位置を決定することができ、故障調査とメンテナンスとを行いやすい。
【0014】
1つの実行可能な実施形態では、利得差と利得変化モデルとに基づいて、第1の利得スペクトルを計算するステップは、
第1の光中継器の位置に基づいて、海底ケーブルシステムにおける第2の光中継器を決定するステップであって、第2の光中継器は、海底ケーブルを介して第1の光中継器の出力端に接続された各光中継器を含むステップと、第2の光中継器に対応する利得差と利得変化モデルに基づいて、各第2の光中継器の入力スペクトルと出力スペクトルとを計算して、第1の利得スペクトルを得るステップと、を含む。海底ケーブルシステムの故障位置を得た後、故障位置に後続的に接続された各光中継器の入力と出力スペクトルとを計算して、海底ケーブルシステムのスペクトル変化を得、計算数を減少させ、スペクトル取得効率を向上させることができる。
【0015】
1つの実行可能な実施形態では、第1の利得スペクトルを計算するステップの後には、第1の利得スペクトルを表示するステップをさらに含む。このようにスペクトル変化を表示することにより、故障位置及び故障要因などの情報をメンテナンススタッフに提示することができ、海底ケーブルシステムをメンテナンスしやすい。
【0016】
本発明の実施例の第2の態様に係る海底ケーブルシステムのスペクトル検出システムは、光信号を送受信するように構成される複数の端局と、複数の端局の間に設置されて複数の端局を連結する海底ケーブルと、それぞれ海底ケーブルシステムに設置され、端局から送信されて来た光信号を増幅する複数の光中継器と、を含む海底ケーブルシステムに設置され、上述したいずれかの海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法を実行するために用いられ、このスペクトル検出システムは、一端局に設置され且つ別の端局と接続されたネットワーク管理装置と、海底ケーブル及びネットワーク管理装置に接続された海底ケーブル監視測定装置と、を含み、
ネットワーク管理装置は、複数の光中継器の第1のスペクトルテストデータ、海底ケーブルの第2のスペクトルテストデータを取得するように構成されるデータ収集ユニットと、各第1のスペクトルテストデータと第2のスペクトルテストデータとに基づいて、各光中継器に対応するスペクトル基線を取得し、及び各第1のスペクトルテストデータに基づいて、各光中継器に対応する利得変化モデルを取得するように構成される処理計算ユニットと、を含み、海底ケーブル監視測定装置は、海底ケーブルシステムを監視測定してパワー変化データを取得するように構成され、処理計算ユニットは、さらに、パワー変化データ、スペクトル基線及び利得変化モデルに基づいて、第1の利得スペクトルを計算するようにさらに構成される。
【0017】
海底ケーブルシステムには、ネットワーク管理装置と海底ケーブル監視測定装置がそれぞれ設置され、海底ケーブル監視測定装置は、海底ケーブルシステムを監視測定して海底ケーブルシステムのパワー変化データを取得することができ、ネットワーク管理装置は、第1のスペクトルテストデータと第2のスペクトルテストデータとを取得して処理して、海底ケーブルシステムのスペクトル基線と光中継器に対応する利得変化モデルとを得、それにより海底ケーブルシステムにパワー変化が発生した後、各光中継器に対応する利得スペクトルを計算し、得られた利得スペクトルの正確性を向上させることができる。
【0018】
1つの実行可能な実施形態では、ネットワーク管理装置は、第1の利得スペクトルを表示するように構成されるスペクトル表示ユニットをさらに含む。ネットワーク管理装置にスペクトル表示ユニットを設置することにより、第1の利得スペクトルを計算して得た後、第1の利得スペクトルを表示し、それにより海底ケーブルシステムをメンテナンスすることをメンテナンススタッフに注意喚起させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の技術的構成から分かるように、本願は、複数の端局、海底ケーブル及び複数の光中継器を含む海底ケーブルシステムに応用される海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法及びシステムを提供し、この方法は、第1のスペクトルテストデータと第2のスペクトルテストデータとを取得し、得られたデータに基づいて、各光中継器に対応するスペクトル基線を取得するステップと、各第1のスペクトルテストデータに基づいて、各光中継器に対応する利得変化モデルを取得するステップと、海底ケーブルシステムを監視測定することによりパワー変化データを取得し、パワー変化データ、スペクトル基線及び利得変化モデルに基づいて、第1の利得スペクトルを計算するステップと、を含み、そのうち、第1のスペクトルテストデータは、各光中継器の出荷スペクトルテストデータを含み、第2のスペクトルテストデータは、海底ケーブルの固有ラマンスペクトルデータを含み、スペクトル基線は、海底ケーブルシステムの正常的な作動時の入力スペクトル、出力スペクトルを含み、利得変化モデルは、光中継器の、異なる波長及び/又は異なるパワーの光信号に対する利得データを含み、第1の利得スペクトルは、海底ケーブルシステムにおける光信号のパワー変化後の各光中継器の入力スペクトルと出力スペクトルとを含む。この方法は、海底ケーブルシステムにおいて伝送パワーに異常が発生した場合、利得変化モデルにより各光中継器の変化後のスペクトルを計算し、各光中継器に対応する入力スペクトル、出力スペクトルを得、それによりスペクトルを取得する正確性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下、本願の技術的構成をより明確に説明するために、実施例において使用する必要がある図面を簡単に紹介し、当業者にとしては、創造的な労力無しで、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】COTDRの測定波長の概略図である。
図2】本願の実施例における海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法のフロー概略図である。
図3a】本願の実施例における1段海底ケーブルによる損失スペクトル概略図である。
図3b】本願の実施例における別の1段海底ケーブルによる損失スペクトル概略図である。
図3c】本願の実施例における光中継器による利得スペクトルの概略図である。
図3d】本願の実施例における光中継器及び海底ケーブルによる利得スペクトル及び損失スペクトルの概略図である。
図4】本願の実施例におけるスペクトル基線を取得するフロー概略図である。
図5】本願の実施例における光中継器の構造概略図である。
図6】本願の実施例における利得変化モデルを取得するフロー概略図である。
図7a】本願の実施例における利得変化モデルにおける故障の概略図である。
図7b】本願の実施例における利得変化モデルにおける別の故障の概略図である。
図7c】本願の実施例における利得変化モデルにおけるさらに別の故障の概略図である。
図7d】本願の実施例における利得変化モデルにおけるさらに別の故障の概略図である。
図7e】本願の実施例における利得変化モデルにおけるさらに別の故障の概略図である。
図8】本願の実施例における海底ケーブルシステムを監視測定するフロー概略図である。
図9】本願の実施例における利得差を取得するフロー概略図である。
図10】本願の実施例における海底ケーブルシステムに損失故障が発生した後の第2の利得スペクトルの概略図である。
図11】本願の実施例における海底ケーブルシステムにポンプ失効が発生した後の第2の利得スペクトルの概略図である。
図12】本願の実施例における海底ケーブルシステムの構造概略図である。
図13】本願の実施例における海底ケーブルシステムのスペクトル検出システムの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を詳細に説明し、その例は図面に示される。以下の記述において図面に関する場合、特に説明しない限り、様々な図面において同一の符号で同一又は類似の要素を示す。以下の実施例に記述される実施形態は、本願と一致する全ての実施形態を表すものではない。特許請求の範囲に詳述された、本願のいくつかの態様と一致する装置及び方法の例に過ぎない。
【0022】
本願の実施例では、海底ケーブルシステムである海底光ファイバーシステムは、複数の通信ケーブルで構成された通信ネットワークシステムである。システムにおける通信ケーブルは、海底に敷設されるため、海底ケーブル線路と呼ばれることができる。海底ケーブル線路は、端局間で光通信信号を伝送し、海域を跨る通信機能を実現することができる。海底ケーブルシステムは、長距離通信を実現することができ、例えば、万キロメートルの海洋に跨ってデータ通信を実現させることができる。なお、本願の実施例に記載の海底ケーブルシステムは、河川、湖沼を跨るなどの近距離の通信領域にも用いられることができる。
【0023】
通信分野の技術発展革新の快速化により、海底ケーブルシステムに最新の端局伝送機器を適用するために、海底ケーブルシステムの構築は、Open Cableアーキテクチャ(すなわち、開放型海底ケーブルネットワーク)を採用する。Open Cableアーキテクチャでは、端局機器を水中機器とデカップリングすることにより、海底ケーブルシステムにおいて水中機器を交換することなく、異なるメーカーの端局伝送機器を交換することができるので、海底ケーブルシステムの更新コストを低減させ、海底ケーブルシステムの融通性を向上させることができる。しかも、Open Cableアーキテクチャの発展により、海底ケーブルシステム全体の伝送性能を監視制御して海底ケーブルシステムの入力と出力とのスペクトルを取得することが、海底ケーブルシステムの作動を検出する重要な手段となる。
【0024】
一部の実施例では、海底ケーブルシステムは、水面上に位置する端局機器と、水中に位置する海底ケーブル及び水中機器と、を含む。そのうち、端局機器は、光信号を送受信するために用いられ、海底ケーブルは、光信号を伝送するために用いられ、水中機器は、光信号の利得(gain)、海底ケーブルの分岐などの機能を実現するために用いられる。端局機器から送信された光信号の媒体での伝送にはある程度の減衰があり、海底ケーブルが水中機器に接続された時にはある程度の挿入損失があるため、水中機器は、光信号を増幅するための光中継器を含み、それにより遠距離伝送中における海底ケーブル及び水中機器による光信号のパワー損失を低減させることができる。
【0025】
なお、より多くのデータを担持させるために、端局機器から送信された光信号は、1つの波長域内の複数の波長信号の複合信号であり、海底ケーブルシステムに常用のC波長域を例とし、その波長範囲が1530nmから1568nmの間に分布され、複数の波長λ1~λnに細分化されることができ、C波長域内のいずれかの波長を指すために用いられる。
【0026】
そのため、いくつかの実施例では、波長可変のCOTDRスペクトル走査により海底ケーブルシステムの入力及び出力のスペクトル状態を検出することができる。そのうち、COTDRは、コヒーレント光時間領域反射計(Coherent Optical Time Domain Reflectometry)であり、具体的には、COTDRは、作動中において海底ケーブルシステムに波長可変の検出光信号を送信し、検出光信号の戻り光信号を受信することにより、海底ケーブルシステムにおける光中継器に対して入力スペクトルと出力スペクトルとの測定を行うことができる。図1に示すように、海底ケーブルシステムで伝送される業務データの波長は、λ1~λnであり、COTDRは、波長がそれぞれλ3、λ5、λ7の光信号を送信し、3つの異なる波長の光信号の戻り光を受信することにより、波長がλ3、λ5、λ7の光信号の海底ケーブルシステムにおけるスペクトルデータを取得することができる。COTDRは、送信された検出光信号のスペクトルデータのみを取得することができるため、COTDRから送信された検出光信号の波数が多いほど、得られるスペクトルが明瞭であるが、検出光信号が業務光信号伝送のチャンネルを占有する必要があるため、検出光信号の波数が多くなると海底ケーブルシステムの業務担持能力が低下され、海底ケーブルシステムにおいて業務がフル構成される場合、海底ケーブルシステムに検出光信号を送信してスペクトル情報を取得することができなくなる、COTDRで測定して得られるスペクトルは、1つ又は複数の波長域スペクトルの相対的な変化状況に過ぎず、各光中継器の入出力スペクトルデータを反映することができない。
【0027】
なお、海底ケーブルシステムにおけるスペクトル情報は、波長順序に従って配列された各波長が光パワーの大きさに対応するシリアルであることを示し、パワーの大きさと傾きの大きさという2つの次元を含む。光信号の波長と周波数との積が光速となるため、各波長の光信号に1つの対応する光パワーを有し且つ同一の媒体中にある場合、光信号の周波数が高いほど、波長が短く、そのため、スペクトル情報は、周波数順序に従って配列された各波長が光パワーの大きさに対応するシリアルであることも示すことができる。海底ケーブルシステムにおける水中機器の入力スペクトルと出力スペクトルについて、出力スペクトルから入力スペクトルを減算すると、水中機器に対応する利得スペクトルとなり、水中機器が信号増幅の機能を有する場合、利得スペクトルが正の利得となり、水中機器が信号減衰の機能を有する場合、利得スペクトルが負の利得となる。
【0028】
光中継器のパワーに対する利得値は、出力パワーと入力パワーとのパワー比を計算し、さらに10倍した、10を底とするパワー比の対数を計算することにより得られ、その単位は、dBであり、利得値は、正の値又は負の値であることができ、正の値は、利得を表し、負の値は、損失を表す。例えば、パワー比が1である場合、すなわち入力パワーと出力パワーが同じである場合、信号は、利得も損失もなく、利得は、0dBであり、パワー比が2である場合、利得は、約3dBであり、パワー比が1/2である場合、利得は、約-3dBである。その上で、パワー比が2n(nは整数)である場合、パワーの利得値は、3ndBが得られる。
【0029】
本願に係る海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法は、海底ケーブルシステムに応用され、本願の実施例では、海底ケーブルシステムは、複数の端局、海底ケーブル及び複数の光中継器を含み、そのうち、複数の端局は、光信号を送受信するように構成され、海底ケーブルは、複数の端局間に設置されて複数の端局間を連結し、複数の光中継器は、それぞれ海底ケーブルに設置されて、端局から送信されてきた光信号を増幅させる。
【0030】
なお、海底ケーブルシステムにおける光中継器は、光信号に対する利得に上限があるため、海底ケーブルシステムにおける海底ケーブルが長い場合、海底ケーブルを伝送する光信号のパワーが低すぎないように、海底ケーブルに複数の光中継器を設置して光信号を増幅させることができる。異なる光中継器の利得パワーを統一するために、一部の実施例では、隣接する両光中継器間の海底ケーブルの長さを同じとし、例えば海底ケーブルに100kmごとに1つの光中継器を設置して光信号利得を行い、そのうち100kmの間隔は、例示的な説明に過ぎず、光中継器の設置間隔は、海底ケーブルの光信号に対する損失及び光中継器自体の利得パワーに関連する。
【0031】
上記海底ケーブルシステムに応用される上で、図2に示すように、当該方法は、以下のステップS210~ステップS250を含む。
【0032】
ステップS210では、複数の光中継器の第1のスペクトルテストデータ、海底ケーブルの第2のスペクトルテストデータを取得する。
【0033】
第1のスペクトルテストデータは、各光中継器の出荷スペクトルテストデータを含み、第2のスペクトルテストデータは、海底ケーブルの固有ラマンスペクトルデータを含む。なお、光中継器の出荷スペクトルテストデータには、光中継器の異なる波長、異なるパワーの光信号に対する利得情報が含まれており、具体的には、光中継器の出荷スペクトルテストデータは、出荷段階で光中継器の異なる波長、異なるパワーの光信号に対する利得効果をテストすることにより取得され、それにより出荷スペクトルテストデータが得られる。海底ケーブルの固有ラマンスペクトルデータは、固有損失スペクトルとラマン損失スペクトルとに分けられ、それぞれ海底ケーブルの吸収スペクトル及び散乱スペクトルを計算することにより得られ、そのうち、損失は、負の利得と呼ばれることもできる。
【0034】
光信号の伝送特性から分かるように、同一の媒体で伝送される光信号は、伝播距離及び初期パワーが同じである場合、波長が長い(すなわち、周波数が低い)光信号のパワー損失が小さく、波長が短い(すなわち、周波数が高い)光信号のパワー損失が大きい。そのため、図3aに示すように、海底ケーブルシステムにおける光ファイバー海底ケーブルの光信号に対する損失も、波長が長い光信号に対する損失が小さく、波長が短い光信号に対する損失が大きく、海底ケーブルの固有ラマンスペクトルは、負の傾斜を呈し、海底ケーブルが異なる波長間の光パワーが同じである信号を受信する場合、海底ケーブルの出力スペクトルは、正の傾斜を呈し、各波長に対応する光パワーは、入力光信号に比べていずれも顕著に低下する。
【0035】
なお、海底ケーブルの光信号に対する損失は、海底ケーブルの長さにも関連し、海底ケーブルの長さが長いほど、海底ケーブルの光信号に対する損失が大きく、長さが異なる海底ケーブルの光信号に対する損失も異なる。本願の一部の実施例では、各光中継器間の海底ケーブルの長さが同じ、すなわち海底ケーブルシステムが標準スパンであり、海底ケーブルシステムが正常的に作動時に各段の海底ケーブルの光信号に対する損失が一致するようにすることにより、各光中継器の入力スペクトルを一致させ、入力光パワーの相違による光中継器の利得効果が異なるという問題を減少させる。他の一部の実施例では、海底ケーブルシステムの設置中において、異なるパワーの光中継器をマッチングし又は光中継器のパワーを調整することにより、海底ケーブルシステムにおける任意の隣接する2つの光中継器間の海底ケーブルの長さが異なる場合、パワー変化による海底ケーブルの損失変化が減少するように、各光中継器の出力スペクトルを同一にする。
【0036】
そのため、海底ケーブルシステムから出力される光信号の、異なる波長の光パワーを同一にするために、図3bに示すように、入力スペクトルが負の傾斜を有するように、入力光信号における異なる波長の光パワーを調整することにより、海底ケーブルによる損失後、傾斜を有しない出力スペクトルを出力することができる。なお、入力スペクトルの負の傾斜は、海底ケーブルの光信号に対する損失に対応する。
【0037】
海底ケーブルシステムにおける光中継器は、光信号を増幅し、それにより海底ケーブルの光信号に対する損失による影響を減少させることができる。図3bから分かるように、負の傾斜を有する光信号は、一定の長さの海底ケーブルを通過した後、損失により傾斜を有しない出力スペクトルになり、この時、光中継器により光信号を増幅して、海底ケーブルシステムの伝送性能を向上させることができる。図3cに示すように、光中継器は、海底ケーブルから出力される傾斜を有しない出力スペクトルを増幅することにより、再度負の傾斜を有する出力スペクトルを取得し、光中継器に接続された海底ケーブルは、負の傾斜を有する出力スペクトルを受信して、図3bの過程を再度実行することができる。そのため、本願の一部の実施例では、海底ケーブルシステムが正常的に作動する状況で、図3b及び図3cに示される損失と利得との過程を交互に行い、交互の回数は、光中継器の数と同じである。なお、本願の実施例では、光中継器の入力端に接続された海底ケーブルの出力スペクトルは、光中継器の入力スペクトルとなり、光中継器の出力スペクトルは、光中継器の出力端に接続された海底ケーブルの入力スペクトルとなる。
【0038】
ステップS220では、各第1のスペクトルテストデータと第2のスペクトルテストデータとに基づいて、各光中継器に対応するスペクトル基線を取得する。
【0039】
そのうち、スペクトル基線は、海底ケーブルシステムが予め設定されたパワーの光信号を入力した後の各光中継器の入力スペクトルと出力スペクトルとを含み、予め設定されたパワーは、海底ケーブルシステムが正常的に作動している中に海底ケーブルに入力される光信号のパワーである。光中継器の出力スペクトルが光中継器の出力端に接続された海底ケーブルの入力スペクトルであり、光中継器の入力スペクトルが光中継器の入力端に接続された海底ケーブルの出力スペクトルであるため、スペクトル基線は、海底ケーブルシステムが予め設定されたパワーの光信号を入力した後の各段の海底ケーブルの入力スペクトルと出力スペクトルとでもある。
【0040】
本願の一部の実施例では、光中継器に対応する第1のスペクトルテストデータと海底ケーブルに対応する第2のスペクトルテストデータとを得た後、海底ケーブルシステムが入力する光信号のパワー及び各段の海底ケーブルの長さに基づいて、各段の海底ケーブルの出力スペクトルと各光中継器の出力スペクトルを計算することにより、スペクトル基線を得ることができる。例示的に、図3dに示すように、海底ケーブルシステムが正常的に作動している中において、光信号の入力スペクトルを、信号伝送の順序に従って、海底ケーブルにおける損失後の出力スペクトル及び光中継器における利得後の出力スペクトルを順次計算することにより、スペクトル基線を得ることができる。
【0041】
例示的に、一部の実施例では、図4に示すように、スペクトル基線を得るステップS220は、以下のステップS221~ステップS223を含むことができる。
【0042】
ステップS221では、海底ケーブルシステムの入力光信号の波長範囲及び異なる波長信号に対応するパワー情報を取得する。
【0043】
まず海底ケーブルシステムの入力光信号に含まれている全ての波長の信号及び異なる波長に対応するパワー情報を取得する必要があり、海底ケーブルの光信号に対する損失が光信号の波長に影響するため、入力される光信号における短波長の光信号のパワーが高く、長波長の光信号のパワーが低い。
【0044】
なお、入力光信号の情報は、光信号を発射する機器から直接取得することができ、本願の実施例では、海底ケーブルシステムにおける端局機器により光信号を送信する時に、後続での取得の便利のために、送信される光信号のスペクトルを記憶している。
【0045】
ステップS222では、波長範囲及びパワー情報に基づいて、海底ケーブルの入力光信号に対する損失スペクトル及び各光中継器の入力光信号に対する利得スペクトルを取得する。
【0046】
入力光信号の波長範囲及びパワー情報を得た後、第2のスペクトルテストデータにおける海底ケーブルの異なる波長信号に対する損失状況に基づいて、海底ケーブルの入力光信号に対する損失スペクトルを取得し、続いて損失スペクトル及び入力スペクトルに基づいて、1段の海底ケーブルの出力スペクトルを得ることができる。また第1のスペクトルテストデータにおける光中継器の光信号に対する利得状況に基づいて、光中継器の入力光信号に対する利得スペクトルを取得し、それにより海底ケーブルによる損失後の入力光信号のパワーを増幅する。
【0047】
図3dに示すように、光信号をRPTm-1に伝送したことを例とし、そのうち、RPTは、光中継器を表し、mは、いずれかの1よりも大きい正の整数である。光信号は、1段の海底ケーブルによる損失後、傾きが0であるスペクトルをRPTm-1に出力し、RPTm-1は、光信号を増幅し、利得スペクトルは、RPTm-1とRPTmとの間の海底ケーブルによる損失スペクトルと同じ、それによりRPTmに伝送される光信号のスペクトルの傾きは、依然として0になる。
【0048】
ステップS223では、入力光信号に対応する損失スペクトル及び利得スペクトルをスペクトル基線として決定する。
【0049】
各光中継器に対応する利得スペクトルと各段の海底ケーブルに対応する損失スペクトルとを、海底ケーブル及び光中継器の接続順序に従って、海底ケーブルシステムのスペクトル基線として決定することができる。
【0050】
一部の実施例では、スペクトル基線は、光信号の入力スペクトルを利得スペクトル及び損失スペクトルに代入した後の、各光中継器の入力スペクトル及びと出力スペクトルと各段の海底ケーブルの入力スペクトル及び出力スペクトルとをさらに含むことができる。なお、スペクトル基線における光信号のパワー及び傾きは、それぞれ海底ケーブルシステムの公称パワー及び公称傾きである。
【0051】
上記実施例における解決手段によれば、海底ケーブルシステムが正常的に作動している中において、各光中継器の光信号に対する利得データ及び海底ケーブルの光信号に対する損失データを取得し、さらに海底ケーブルシステムにおける光信号のスペクトル基線を得て、海底ケーブルシステムの正常的な作動時のスペクトルデータを決定することができ、海底ケーブルシステムにスペクトルデータに影響を与える故障が発生した時、スペクトル基線に基づいて迅速に更新し、スペクトルの計算効率を向上させることができる。
【0052】
ステップS230では、各第1のスペクトルテストデータに基づいて、各光中継器に対応する利得変化モデルを取得する。
【0053】
そのうち、利得変化モデルは、光中継器の、異なる波長及び/又は異なるパワーの光信号に対する利得データを含む。本願の実施例では、海底ケーブルシステムに応用される光中継器は、EDFAであり、図5に示すように、EDFAは、少なくともポンプ光源、光結合器、光アイソレータ、エルビウム添加光ファイバー及び光フィルタを含む。EDFAは、使用中において、ポンプ光源からポンプ光を発射してエルビウム添加光ファイバーにおけるエルビウム粒子を高レベルに励起し、入力光信号がエルビウム添加光ファイバーを通過するときに高レベルの粒子が励起状態から基底状態に戻り、それにより入力光信号を増幅して、利得を生成する。
【0054】
一部の実施例では、図6に示すように、利得変化モデルを取得するステップS230は、以下のステップS231~ステップS232を含むことができる。
【0055】
ステップS231では、第1のスペクトルテストデータに基づいて、各光中継器の、異なる波長及び/又は異なるパワーの光信号に対する利得データを取得する。
【0056】
第1のスペクトルテストデータには、光中継器の、異なる波長及び/又は異なるパワーの光信号に対する利得データが含まれているため、第1のスペクトルテストデータにより、各光中継器に対応する利得データを直接取得することができる。なお、EDFAの光信号に対する利得データは、入力スペクトルに関連するため、入力スペクトルにおける各光信号パワーは、いずれも対応する利得データを有する。
【0057】
ステップS232では、各光中継器に対応する利得データに基づいて、各光中継器に対応する利得変化モデルを決定する。
【0058】
各光中継器の、異なる波長及び/又は異なるパワーの光信号に対する利得データを得た後、異なる波長の光信号のパワーが異なる場合の利得データを統計することにより、利得変化モデルを決定し、それにより海底ケーブルシステムにおける損失が増加するか、又は他の光信号パワーに異常が発生した時、利得変化モデルにより変化後の利得データを計算して得ることができる。
【0059】
EDFAの光信号に対する利得データは、光信号パワーに関連するため、EDFAに入力される入力スペクトルが変化すること及びEDFA自体に故障が発生することは、海底ケーブルシステムにおける利得異常の問題源となり、これらの故障もEDFAの利得スペクトルが変化する原因となる。そのため、一部の実施例では、利得変化モデルは、海底ケーブルシステムにおける変化係数をさらに含むことができ、この変化係数は、海底ケーブルシステムの故障による、EDFAに対する利得影響係数であり、例示的に、海底ケーブルシステムが正常的に作動している時に各EDFAの動作時の入力スペクトル及び出力スペクトルにおけるパワー数値を公称パワーとし、スペクトルの傾きを公称傾きとすることができ、海底ケーブルシステムに故障が発生した時、海底ケーブルシステムのEDFAの利得スペクトルに対する影響は、パワー数値及びスペクトルの傾きに対する影響を含むため、変化係数の決定には、以下のいくつかの状況が存在する。
【0060】
まず、海底ケーブルシステムにおける1つのEDFAの入力スペクトルの公称パワーに変化が発生し、海底ケーブルシステムにおけるEDFAがパワーロックモードで動作するため、図7aに示すように、EDFAは、パワー変化後の光信号に対する利得が公称パワーの光信号に対する利得よりも大きく、且つ異なる波長の光信号に対する利得に区別が存在し、それにより得られるEDFAの出力スペクトルの傾きが公称傾きとは異なる。具体的には、EDFAの入力スペクトルが公称パワーでない場合、EDFAの出力スペクトルの傾きは、EDFA入力スペクトルの変化に伴って変化し、変化係数は、Δk1で示される。
【0061】
次に、図7bに示すように、海底ケーブルシステムにおけるEDFAの入力パワーが変わらないが、入力スペクトルの傾きが変化した状況であり、この時、出力スペクトルの傾きも入力スペクトルの傾きの変化に伴って変化し、傾き変化係数は、Δk2で示される。
【0062】
図7cに示すように、一部の実施例では、EDFAの入力スペクトルのパワーの大きさ及び傾きがいずれも変化した場合も発生し、出力スペクトルの変化は、入力スペクトルのパワーの変化及び傾きの変化の両方を同時に考慮する必要があり、変化係数は、両者の重畳であり、(Δk1+Δk2)で示される。
【0063】
本願の一部の実施例では、入力スペクトルが変化しないが、EDFAにおけるボンプ失効により、EDFAの光信号に対する利得が変化する場合もある。図7dに示すように、入力スペクトルは、パワーが公称パワーであり、傾きが公称傾きであり、EDFAの光信号に対する利得効果は、失効したポンプ光源の数に影響され、ポンプ失効の影響は、1つのEDFAにおけるポンプ光源の総数及びポンプ失効の数に関連し、この時、出力スペクトルのパワー及び傾きはいずれも変化し、パワーに対する影響係数は、ΔPEDFAで示されることができ、傾きに対する影響は、Δk3で示されることができる。例示的に、ΔPEDFAは、直接ポンプ光源の総数及びポンプ失効の数により計算されることができ、EDFAには、2つのポンプ光源pump1、pump2が設置されていることを例とし、pump2が失効し、pump1が正常的に動作する時、EDFAの利得効果は、元の1/2に近似し、そのため、出力スペクトルのパワーは、約3dB低下する。
【0064】
また、中継器の出力パワーの変化により中継器の出力端に接続された光ファイバーによる損失スペクトルが変化し、光ファイバー内のラマン効果により異なる入射光パワー下でスペクトルの傾きが異なる。例示的に、図7eに示すように、入射光パワーが高いほど、異なる波長間のパワー遷移が顕著になり、傾き変化が大きくなり、当該変化係数は、Δk4で示される。
【0065】
そのため、利得変化モデルでは、海底ケーブルシステムにおけるスペクトルのパワー変化は、以下のような数式(1)によって記述されることができる。
【0066】
【数1】
【0067】
ここで、Pは、海底ケーブルにおけるスペクトルのパワーデータであり、Pbaseは、海底ケーブルシステムの入力光信号の公称パワーであり、ΔPEDFAは、ポンプ失効時のEDFAの出力スペクトルパワーに対する影響であり、ΔPLossは、海底ケーブルの入力光信号の公称パワーに対する損失である。
【0068】
海底ケーブルシステムにおけるスペクトルの傾き変化は、以下のような数式(2)によって記述されることができる。
【0069】
【数2】
【0070】
ここで、kは、海底ケーブルにおけるスペクトルの傾きデータであり、kbaseは、海底ケーブルシステムにおける入力光信号の公称傾きである。
【0071】
各EDFAの入力スペクトル及び出力スペクトルは、いずれもパワーと傾きという2つの次元により勘定する必要があるため、EDFAの入力スペクトル又は出力スペクトルは、以下のような数式(3)によって示されることができる。
【0072】
【数3】
【0073】
なお、一部の実施例では、海底ケーブルシステム全体に応用される通信帯域λ1~λnの状況に適用されるだけでなく、そのうちのより小さい帯域λi~λjの状況にも適用され、その数式(4)は、以下のように示されることができる。
【0074】
【数4】
【0075】
ここで、i、jは、いずれも1以上かつn以下の正の整数であり、iは、jよりも大きい。
【0076】
上記実施形態では、海底ケーブルシステムにおける故障情報及び光中継器の異なるパワー信号に対する利得データにより、光中継器に対応する利得変化モデルを決定することができ、海底ケーブルシステムにおいて光信号パワーに影響を与える故障が発生した後、故障と変化後のパワーデータとに基づいて、各光中継器に対応する入力スペクトル及び出力スペクトルを計算して得、スペクトルを取得する正確性を向上させることができる。
【0077】
ステップS240では、海底ケーブルシステムを監視測定してパワー変化データを取得する。
【0078】
海底ケーブルシステムを監視測定することは、海底ケーブルシステムの端局機器に監視測定機器を設置することにより実現することができる。本願の実施例では、COTDRが端局機器に接続されるように設置することにより、海底ケーブルシステムの監視測定機能を実現することができ、例示的に、図8に示すように、海底ケーブルシステムを監視測定してパワー変化データを取得するステップS240は、以下のステップS241~ステップS242を含むことができる。
【0079】
ステップS241では、海底ケーブルシステムに単一波長の第1の検出光を送信する。
【0080】
海底ケーブルシステムが正常的に作動している中において、端局機器に接続されたCOTDRが海底ケーブルシステムに第1の検出光を送信する方式により、海底ケーブルシステムの作動状態を検出することができる。本願の一部の実施例では、第1の検出光の波長は、海底ケーブルシステムに使用される通信帯域λ1~λnのいずれかの波長(例えば、λ2又はλ4)であり、第1の検出光は、中継器の1つの波長を占有して伝送する必要があり、そのため、監視測定中において海底ケーブルシステムにおける空き波長により第1の検出光の担持を行い、それにより海底ケーブルシステムに第1の検出光を送信する目的を実現することができる。
【0081】
なお、波長が短いほど光信号が受ける利得の影響が大きく、波長が長いほど光信号が受ける利得の影響が小さいため、第1の検出光は、波長が短いか又は波長が長い光信号である場合、海底ケーブルシステムのスペクトルが変化すれば、利得スペクトルの変化が大きい。一部の実施例では、海底ケーブルシステムにおいてC波長域を業務波長域とする場合、第1の検出光の波長範囲は、1530nmから1535nm及び1560nmから1568nmから選択することができる。上記第1の検出光の波長範囲は、1つの実行可能な実施形態に過ぎず、第1の検出光の具体的な波長は、第1の検出光を送信する時に海底ケーブルシステムにおいて占有された業務波長に基づいて決定する必要もある。
【0082】
ステップS242では、第1の検出光の海底ケーブルシステムにおける第2の利得スペクトルをパワー変化データとして取得する。
【0083】
そのうち、第2の利得スペクトルは、第1の検出光の各光中継器を通過した入力スペクトル及び出力スペクトルを含む。第1の検出光を海底ケーブルシステムに送信した後、COTDRは、第1の検出光の戻り光を取得する必要があり、それにより戻り光により第1の検出光の海底ケーブルシステムにおける伝送状態を取得する。そのため、本願の一部の実施例では、第2の利得スペクトルは、第1の検出光の戻り光のスペクトルであることができ、戻り光のスペクトルがスペクトル基線と一致すれば、海底ケーブルシステムの伝送が正常であり、戻り光のスペクトルがスペクトル基線と一致しなければ、海底ケーブルシステムの伝送に異常が発生した。
【0084】
上記実施例では、COTDRを設置して第1の検出光を送信することにより、海底ケーブルシステムにおける伝送状態を取得することができ、第1の利得スペクトルの計算を行う必要があるか否かを判断しやすく、しかも、単一波長の検出光は、海底ケーブルシステムを監視測定する時に占有する業務チャンネル数を減少させることができ、それによりスペクトル検出を行う時、海底ケーブルシステムの伝送効率への影響を減少させることができる。
【0085】
ステップS250では、パワー変化データ、スペクトル基線及び利得変化モデルに基づいて、第1の利得スペクトルを計算する。
【0086】
そのうち、第1の利得スペクトルは、海底ケーブルシステムにおける光信号のパワー変化後の各光中継器の入力スペクトル及び出力スペクトルを含む。なお、第1の利得スペクトルにおける光信号の波長範囲は、海底ケーブルシステムが入力した光信号が占有する全ての業務波長域を含む。
【0087】
上記一部の実施例では、第1の検出光により海底ケーブルシステムにおける第2の利得スペクトルを取得し、第2の利得スペクトルとスペクトル基線との関係により、海底ケーブルシステムの伝送状態を取得することができる。そのため、一部の実施例では、パワー変化データ、スペクトル基線及び利得変化モデルに基づいて、第1の利得スペクトルを計算するステップS250は、以下のステップS251~ステップS252を含む。
【0088】
ステップS251では、第2の利得スペクトルがスペクトル基線と一致しなければ、第2の利得スペクトルとスペクトル基線との利得差を取得する。
【0089】
第2の利得スペクトルを得た後、スペクトル基線における対応する波長のスペクトルと比較し、第2の利得スペクトルがスペクトル基線と一致すれば、海底ケーブルシステムにおける光信号伝送が正常であり、パワー損失又は他の状況が発生しないことを示し、第2の利得スペクトルがスペクトル基線と一致しなければ、海底ケーブルシステムに伝送異常が発生したことを示し、海底ケーブルシステムの出力スペクトルも変化し、海底ケーブルシステムにおける各光中継器の入力と出力のスペクトルを計算する必要がある。利得差は、第2の利得スペクトルとスペクトル基線における第1の検出光波長に対応するスペクトルとの差であり、第2の利得スペクトルとスペクトル基線が一致しない結果を得た後、第2の利得スペクトルとスペクトル基線との間の差を計算することにより得られる。利得差が正の値である場合、第2の利得スペクトルにおける利得データがスペクトル基線における利得データよりも大きいことを示し、利得差が負の値である場合、第2の利得スペクトルにおける利得データがスペクトル基線における利得データよりも小さいことを示す。
【0090】
一部の実施例では、利得差を取得するステップS251は、スペクトル基線から利得スペクトル情報を抽出するステップと、第2の利得スペクトルと利得スペクトル情報とを比較して、利得差を取得するステップと、を含む。そのうち、利得スペクトル情報は、スペクトル基線における第1の検出光波長に対応する光信号の各光中継器を通過した入力スペクトルと出力スペクトルとを含む。利得差の計算を行う時、まずスペクトル基線において第1の検出光波長の光信号に対応する入力スペクトルと出力スペクトルとの基線を抽出することにより第1の検出光に対応する基線を得、そして、第2の利得スペクトルと利得スペクトル情報とに基づいてその差を計算することにより、利得差を取得することができる。本実施例では、各光中継器とスペクトル基線及び第2の利得スペクトルとの対応関係により、各光中継器の利得差を計算して、海底ケーブルシステムのスペクトル変化データを得、スペクトル取得の正確性を向上させることができる。
【0091】
本願の一部の実施例では、第2の利得スペクトルは、第2の入力スペクトルと第2の出力スペクトルとを含み、利得スペクトル情報は、入力利得スペクトルと出力利得スペクトルとを含み、利得差は、入力利得差と出力利得差とを含む。そのうち、第2の入力スペクトルは、第1の検出光の各光中継器に対応する入力スペクトルであり、第2の出力スペクトルは、第1の検出光の各光中継器に対応する出力スペクトルであり、入力利得スペクトルは、スペクトル基線における各光中継器の入力スペクトルにおける第1の検出光波長に対応するスペクトル情報を表し、出力利得スペクトルは、スペクトル基線における各光中継器の出力スペクトルにおける第1の検出光波長に対応するスペクトル情報を表し、入力利得差は、第2の入力スペクトルと入力利得スペクトルとの差であり、出力利得差は、第2の出力スペクトルと出力利得スペクトルとの差である。
【0092】
入力スペクトルと出力スペクトルとにより利得差を区分した上で、図9に示すように、利得差を取得するステップS251は、以下のステップS2511~ステップS2513をさらに含むことができる。
【0093】
ステップS2511では、各光中継器に対応する第2の入力スペクトルと入力利得スペクトルとの差を計算して、入力利得差を得る。
【0094】
ステップS2512では、各光中継器に対応する第2の出力スペクトルと出力利得スペクトルとの差を計算して、出力利得差を得る。
【0095】
入力利得差を計算する過程と出力利得差を計算する過程とは同じであり、本実施例では、各光中継器の入力利得差と出力利得差とを計算する必要があり、第2の利得スペクトルと利得スペクトル情報とが一致しても、値が0である利得差を取得する必要があり、それにより後続のステップにおいて配列しやすい。
【0096】
ステップS2513では、各光中継器に対応する入力利得差と出力利得差とを各光中継器の送受信順序従ってで配列して、利得差を得る。
【0097】
利得差を各光中継器の送受信順序従って配列し、利得差が0でない位置に基づいて、海底ケーブルシステムに故障が発生した位置を決定することができる。
【0098】
そのため、配列された利得差を得た後、利得差の位置に基づいて海底ケーブルシステムの故障位置を取得することができ、図9に示すように、具体的に以下のステップS2514~ステップS2516を含む。
【0099】
ステップS2514では、利得差における各入力利得差と出力利得差とを検出し、1番目の予め設定された数値よりも大きい又は予め設定された数値よりも小さい第1の差データを得る。
【0100】
そのうち、予め設定された数値は、0とすることができ、入力利得差と出力利得差との数値が0よりも大きい又は0よりも小さいことは、いずれも第2の利得スペクトルとスペクトル基線とに区別が存在することを表す。そのため、第1の差データを取得するステップは、第1の検出光の伝送順序に従って、海底ケーブルシステムにおける各光中継器に対応する各入力利得差と出力利得差とをトラバースし、そのうちの1番目の0よりも大きい又は0よりも小さい利得差を第1の差データとすることができる。
【0101】
ステップS2515では、第1の差データが1つの入力利得差であれば、海底ケーブルシステムの故障領域が、第1の光中継器の入力端に接続された海底ケーブルである。
【0102】
そのうち、第1の光中継器は、第1の差データに対応する光中継器である。海底ケーブルシステムにおける光中継器は、いずれも1つの入力スペクトルと1つの出力スペクトルとを有するため、各光中継器は、いずれもそれぞれ対応する入力利得差と出力利得差とを有し、また利得差における入力利得差と出力利得差とは、いずれも海底ケーブルシステムにおける各光中継器の送受信順序従って配列されるため、第1の差データにより、海底ケーブルシステムにおける故障が発生した領域を決定することができる。
【0103】
例示的に、第1の差データが1つの入力利得情報であれば、第1の検出光に第1の光中継器前の海底ケーブルにおいてパワー変化が発生したことを示し、そのため、第1の差データが1つの入力利得情報であり、第1の光中継器の入力端に接続された海底ケーブルに故障が発生したことを示すことができる。
【0104】
ステップS2516では、第1の差データが1つの出力利得差であれば、海底ケーブルシステムの故障領域が第1の光中継器である。
【0105】
第1の差データが1つの出力利得差である場合、第1の検出光が第1の光中継器において増幅を行う過程においてパワー変化が発生したことを示し、そのため、第1の差データはが1つの出力利得差であり、海底ケーブルシステムの故障領域あ第1の光中継器であることを示すことができる。
【0106】
上記実施例の内容から分かるように、第1の利得差が入力利得差であるか又は出力利得差であるかを決定することにより、海底ケーブルシステムに故障が発生した領域位置を決定することができ、故障調査及びメンテナンスを行いやすく、しかも、故障領域後の光中継器に対応する入力スペクトル及び出力スペクトルのみが変化するため、故障領域を決定することにより、計算する必要がある入力スペクトル及び出力スペクトルの数を減少させ、スペクトルの取得効率を向上させることができる。
【0107】
ステップS252では、利得差と利得変化モデルとに基づいて、第1の利得スペクトルを計算する。
【0108】
利得差を得た後、利得差を利得変化モデルに代入して、海底ケーブルシステムに発生した故障タイプを決定し、上記実施例における利得変化モデルにより、各光中継器に対応する第1の利得スペクトルを計算することができる。
【0109】
例示的に、一部の実施例では、海底ケーブルシステムの故障領域を決定した後、故障領域後の各光中継器に対応する入力スペクトル及び出力スペクトルを取得することにより、第1の利得スペクトルを計算する時に、得る必要がある入力スペクトル及び出力スペクトルの数を減少させ、スペクトルの計算効率を高くすることができる。そのため、図9に示すように、第1の利得スペクトルを計算するステップS252は、以下のステップS2521~ステップS2522を含む。
【0110】
ステップS2521では、第1の光中継器の位置に基づいて、海底ケーブルシステムにおける第2の光中継器を決定する。
【0111】
そのうち、第2の光中継器は、海底ケーブルを介して第1の光中継器の出力端に接続された各光中継器を含む。第1の光中継器の海底ケーブルシステムにおける位置を決定した後、海底ケーブルシステムにおける光中継器の接続順序従って第1の光中継器の出力端後の各光中継器を第2の光中継器として決定する。
【0112】
なお、第2の光中継器は、第1の光中継器の出力端に接続された光中継器であるため、第1の光中継器の出力端が海底ケーブルシステムにおける端局機器に接続された場合は、海底ケーブルシステムに第2の光中継器が存在せず、第1の利得スペクトルの計算を行う時に第1の光中継器に対応する入力スペクトル及び出力スペクトルのみを計算することができる。
【0113】
ステップS2522では、第2の光中継器に対応する利得差と利得変化モデルとに基づいて、各第2の光中継器の入力スペクトル及び出力スペクトルを計算して、第1の利得スペクトルを得る。
【0114】
第2の光中継器を決定した後、各第2の光中継器に対応する入力利得差及び出力利得差を利得変化モデルに代入して、各第2の光中継器の入力スペクトル及び出力スペクトルを計算することにより、第1の利得スペクトルを得ることができる。
【0115】
なお、第1の利得スペクトルを計算する時、第1の光中継器に対応する入力スペクトル及び/又は出力スペクトルもパワー変化を有するため、第1の光中継器及び第2の光中継器に対応する入力スペクトル及び出力スペクトルを接続順序従ってで配列することにより、第1の利得スペクトルを得ることができる。
【0116】
例示的に、海底ケーブルシステムが作動した後、海底ケーブルシステムに単一波長の第1の検出光を送信して、第1の検出光に対応する第2の利得スペクトルを取得することにより、図10に示すように、海底ケーブルシステムにおける光中継器RPTm+1が受信した光信号のパワーが低下し、RPTmが送信した光信号が正常であり、この時、光中継器RPTmとRPTm+1との間の海底ケーブルに損失が増大した状況が発生したことが分かり、そのため、パワー変化を利得変化モデルに代入することにより、光中継器の入力スペクトル及び出力スペクトルを計算することができる。
【0117】
具体的には、本実施例では、利得変化モデルにより入力スペクトル及び出力スペクトルを計算することは、以下の通りである。
【0118】
まず、損失が増加した位置は、光中継器RPTmとRPTm+1との間の海底ケーブルであり、RPTmの入力スペクトル及び出力スペクトルは、いずれもスペクトル基線と一致するため、RPTmの入力スペクトル及び出力スペクトルは、不変である。
【0119】
次に、RPTm+1の入力スペクトルは、RPTmの出力スペクトルが両者間の海底ケーブルを通過した損失後のデータであり、その数式(5)は、以下のように表される。
【0120】
【数5】
【0121】
ここで、Sm+1-inは、RPTm+1の入力スペクトルであり、Sm-outは、RPTmの出力スペクトルであり、Sm-Lossは、RPTmとRPTm+1との間の海底ケーブルの損失スペクトルであり、aは、RPTmとRPTm+1との間の海底ケーブルによって増加した損失である。
【0122】
RPTm+1の出力スペクトルは、入力スペクトルのパワー変化による公称パワーとの偏差に引き起こされた傾き変化を受けるため、その数式(6)は、以下のように表される。
【0123】
【数6】
【0124】
ここで、Sm+1-outは、RPTm+1の出力スペクトルであり、Pm-baseは、RPTmの公称パワーであり、km-baseは、RPTmの公称傾きであり、Δm1は、RPTmとRPTm+1との間の海底ケーブルの損失増加によるRPTm+1出力スペクトルの傾き変化であり、Δm4は、RPTmとRPTm+1との間の海底ケーブルの損失増加による海底ケーブル損失スペクトルの傾き変化である。このようにして、その後の各段の光中継器の入力と出力とのスペクトルを得ることができる。
【0125】
なお、図10に示す座標図において、縦座標は、パワーであり、横座標は、海底ケーブルシステムの距離であり、すなわち、第1の検出光を送信した後、第1の検出光のパワーが海底ケーブルシステムの距離の増加に伴って変化し、そのうち、パワー上昇部は、第1の検出光が光中継器を通過して光中継器によって第1の検出光を増幅した結果であり、パワー下降部は、第1の検出光が両光中継器間の海底ケーブルで伝送される中において、海底ケーブルの散乱、吸収などによる損失によりパワーが徐々に低下する。
【0126】
本願の他の一部の実施例では、海底ケーブルシステムにおけるある光中継器にポンプ失効が発生した時、ポンプ失効の光中継器の前一段と後一段の光中継器のスペクトル状況に応じて判断することができる。例示的に、RPTmにポンプ失効が発生した後、図11に示すように、失効した光中継器は、光信号に対する利得が低下し、出力される光信号のパワーがスペクトル基線のレベルに達することができず、RPTm-1、RPTm及びRPTm+1の第2の利得スペクトルの変化状況により、RPTmの状態を判断し、各光中継器の入力スペクトル及び出力スペクトルを計算する。なお、図11における座標図の横縦座標は図10と同じであるので、本実施例では、その説明を省略する。
【0127】
具体的には、本実施例では、利得変化モデルにより入力スペクトル及び出力スペクトルを計算することは、以下の通りである。
【0128】
まず、RPTmにポンプ失効の問題が発生し、RPTm-1はその影響を受けないため、RPTmの入力スペクトルは、基線に維持されるままである。
【0129】
RPTmの出力スペクトルは、自身のポンプ失効によるパワー変化ΔmEDFA及び傾き変化Δm3の影響を受け、その数式(7)は、以下のように表される。
【0130】
【数7】
【0131】
さらに、この時、RPTmの出力パワーが低下し、それによりRPTmからRPTm+1の間の海底ケーブルの損失スペクトルの傾きが変化し、その数式(8)は、以下のように表される。
【0132】
【数8】
【0133】
ここで、Sm-base-Lossは、RPTmからRPTm+1の間の海底ケーブルの光信号に対する基礎損失であり、Δm4は、RPTmからRPTm+1の間の海底ケーブルの入射パワー変化による損失スペクトルの傾き変化である。
【0134】
RPTm+1の入力スペクトルは、RPTmの出力スペクトルが両者間の海底ケーブルを通過時に損失された後のデータであり、その数式(9)は、以下のように表される。
【0135】
【数9】
【0136】
また、RPTm+1の出力スペクトルは、入力スペクトルが前一段の光中継器(すなわち、RPTm)のポンプ失効によるパワー変化に引き起こされた傾き変化Δm1、及び前一段のポンプ失効による傾き変化Δm2の影響を受け、その数式(10)は、以下のように表される。
【0137】
【数10】
【0138】
このようにして、その後の各段の中継器の入力及び出力スペクトルを得ることができる。
【0139】
上記実施形態では、海底ケーブルシステムの故障位置が得られた後、故障位置に後続的に接続された各光中継器の入力と出力とのスペクトルを計算して、海底ケーブルシステムのスペクトル変化を得、計算数量を減少させ、スペクトル取得効率を向上させることができる。
【0140】
本願の一部の実施例では、第1の利得スペクトルが得られた後、さらに第1の利得スペクトルを表示機器で表示することができ、このようにスペクトル変化を表示することにより故障位置及び故障要因などの情報をメンテナンススタッフに提示することができ、海底ケーブルシステムをメンテナンスしやすい。
【0141】
上記実施形態によれば、海底ケーブルシステムにおいてパワー変化が発生した後、影響を受ける各光中継器の入力スペクトル及び出力スペクトルを計算して得、それにより海底ケーブルシステムにおける各光中継器に対応する利得スペクトルを得、スペクトルを取得する正確率を向上させることができる。
【0142】
本願は、上記海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法に基づいて、上述したいずれかの海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法を実行するための海底ケーブルシステムのスペクトル検出システムを提供し、スペクトル検出システムは、海底ケーブルシステムに設置され、図12に示すように、海底ケーブルシステムは、複数の端局A~E、海底ケーブル及び複数の光中継器を含み、複数の端局A~Eは、光信号を送受信するように構成され、海底ケーブルは、複数の端局A~Eの間に設置されて複数の端局A~Eを連結し、複数の光中継器は、海底ケーブルにそれぞれ設置され、端局A~Eから送信される光信号を増幅し、図13に示すように、当該システムは、ネットワーク管理装置1310及び海底ケーブル監視測定装置1320を含み、ネットワーク管理装置1310は、一端局に設置され且つ別の端局と接続され、海底ケーブル監視測定装置1320は、海底ケーブルに接続され、ネットワーク管理装置1310は、海底ケーブル監視測定装置1320に接続される。
そのうち、ネットワーク管理装置1310は、データ収集ユニット1311と、処理計算ユニット1312と、を含む。そのうち、データ収集ユニット1311は、複数の光中継器の第1のスペクトルテストデータ、海底ケーブルの第2のスペクトルテストデータを取得するように構成される。処理計算ユニット1312は、各第1のスペクトルテストデータと第2のスペクトルテストデータとに基づいて、各光中継器に対応するスペクトル基線を取得し、各第1のスペクトルテストデータに基づいて、各光中継器に対応する利得変化モデルを取得するように構成される。
【0143】
海底ケーブル監視測定装置1320は、海底ケーブルシステムを監視測定してパワー変化データを取得するように構成される。海底ケーブル監視測定装置1320は、海底ケーブルシステムにおけるパワー変化データを監視測定した後、このデータを処理計算ユニット1312に送信することができ、この時、処理計算ユニット1312は、さらに、パワー変化データ、スペクトル基線及び利得変化モデルに基づいて、第1の利得スペクトルを計算するように構成される。一部の実施例では、ネットワーク管理装置1310には、データ記憶ユニット1314がさらに設置されてもよく、データ記憶ユニット1314は、データ収集ユニット1311が第1のスペクトルテストデータ及び第2のスペクトルテストデータを取得した後、後続の処理において処理計算ユニット1312が呼び出するように、得られたデータを記憶することができる。
【0144】
前述した実施例から分かるように、海底ケーブル監視測定装置1320は、単一波長の検出光を送信可能なCOTDR機器であることができ、COTDRは、それぞれ海底ケーブルとネットワーク管理装置1310に接続され、それにより海底ケーブルに第1の検出光を送信して海底ケーブルシステムの伝送状態を監視測定し、監視測定して得られた結果をネットワーク管理装置1310に送信する。
【0145】
上記実施形態から分かるように、海底ケーブルシステムにネットワーク管理装置1310と海底ケーブル監視測定装置1320とをそれぞれ設置することにより、海底ケーブルシステムのスペクトルを計算し、そのうち、海底ケーブル監視測定装置1320は、海底ケーブルシステムを監視測定して海底ケーブルシステムのパワー変化データを取得することができ、ネットワーク管理装置1310は、第1のスペクトルテストデータ及び第2のスペクトルテストデータを取得して処理し、海底ケーブルシステムのスペクトル基線と光中継器に対応する利得変化モデルとを得、それにより海底ケーブルシステムにパワー変化が発生した後、各光中継器に対応する利得スペクトルを計算し、得られた利得スペクトルの正確性を向上させることができる。
【0146】
本願の一部の実施例では、図13に示すように、ネットワーク管理装置1310は、第1の利得スペクトルを表示するように構成されるスペクトル表示ユニット1313をさらに含む。ネットワーク管理装置1310にスペクトル表示ユニット1313を設置することにより、第1の利得スペクトルを計算して得た後、第1の利得スペクトルを表示し、それにより海底ケーブルシステムをメンテナンスすることをメンテナンススタッフに注意喚起させる。
【0147】
以上の技術的構成から分かるように、本願は、複数の端局、海底ケーブル及び複数の光中継器を含む海底ケーブルシステムに応用される海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法及びシステムを提供し、この方法は、第1のスペクトルテストデータと第2のスペクトルテストデータとを取得し、得られたデータに基づいて、各光中継器に対応するスペクトル基線を取得するステップと、各第1のスペクトルテストデータに基づいて、各光中継器に対応する利得変化モデルを取得するステップと、海底ケーブルシステムを監視測定することによりパワー変化データを取得し、パワー変化データ、スペクトル基線及び利得変化モデルに基づいて、第1の利得スペクトルを計算するステップと、を含み、そのうち、第1のスペクトルテストデータは、各光中継器の出荷スペクトルテストデータを含み、第2のスペクトルテストデータは、海底ケーブルの固有ラマンスペクトルデータを含み、スペクトル基線は、海底ケーブルシステムの正常的な作動時の入力スペクトル、出力スペクトルを含み、利得変化モデルは、光中継器の、異なる波長及び/又は異なるパワーの光信号に対する利得データを含み、第1の利得スペクトルは、海底ケーブルシステムにおける光信号のパワー変化後の各光中継器の入力スペクトルと出力スペクトルとを含む。この方法は、海底ケーブルシステムにおいて伝送パワーに異常が発生した場合、利得変化モデルにより各光中継器の変化後のスペクトルを計算し、各光中継器に対応する入力スペクトル、出力スペクトルを得、それによりスペクトルを取得する正確性を向上させることができる。
【0148】
本願に係る実施例間の類似部分は、互いに参照すればよく、以上にて提供される具体的な実施形態は、本願の総的な構想におけるいくつかの例に過ぎず、本願の保護範囲を限定するものではない。当業者にとしては、創造的な労力の付与無しで、本願の解決手段に基づいて拡張される任意の他の実施形態は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【要約】
【課題】本願は、海底ケーブルシステムのスペクトル検出方法及びシステムに関する。
【解決手段】この方法は、複数の端局、海底ケーブル及び複数の光中継器を含む海底ケーブルシステムに応用され、光中継器の出荷スペクトルテストデータと海底ケーブルの固有ラマンスペクトルデータとを取得し、得られたデータに基づいて、光中継器に対応するスペクトル基線を取得するステップと、出荷スペクトルテストデータに基づいて、利得変化モデルを取得するステップと、海底ケーブルシステムを監視測定することによりパワー変化データを取得し、パワー変化データ、スペクトル基線及び利得変化モデルに基づいて、第1の利得スペクトルを計算するステップと、を含む。スペクトル基線は、正常的な作動時の入力、出力スペクトルを含み、第1の利得スペクトルは、パワー変化後の入力、出力スペクトルを含む。
【選択図】図2
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図8
図9
図10
図11
図12
図13