(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】測量システム及び測量方法
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G01C15/00 102Z
(21)【出願番号】P 2024110209
(22)【出願日】2024-07-09
【審査請求日】2024-07-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595160927
【氏名又は名称】計測技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170025
【氏名又は名称】福島 一
(72)【発明者】
【氏名】橋村 義人
(72)【発明者】
【氏名】中池 大介
(72)【発明者】
【氏名】藤原 伸輝
(72)【発明者】
【氏名】藤原 祥持
(72)【発明者】
【氏名】向井 一作
(72)【発明者】
【氏名】井上 颯汰
(72)【発明者】
【氏名】萬雲 智行
(72)【発明者】
【氏名】入江 燿
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-172957(JP,A)
【文献】特開2023-104187(JP,A)
【文献】特開2021-144003(JP,A)
【文献】特開2020-056710(JP,A)
【文献】特開2019-124484(JP,A)
【文献】特開2014-074597(JP,A)
【文献】国際公開第2023/120167(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00 - 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象地点
のうち、当該対象地点の名称を含む識別情報と、予め測定された、地理座標系における対象地点の設定座標とを所定の登録データベースに関連付けて登録する登録制御部と、
測量現場において、ユーザ端末に近接して設けられた位置検出装置を用いて、地理座標系におけるユーザ端末の現地点座標を取得する取得制御部と、
前記測量現場のうち、前記取得されたユーザ端末の現地点座標を含む所定の検索領域内に含まれる設定座標を有する対象地点の識別情報が存在するか否かを判定し、前記判定の結果、前記検索領域内に含まれる設定座標を有する対象地点の識別情報が存在しない場合、ユーザに対象地点への近接を促すエラー画面を表示し、前記判定の結果、前記検索領域内に含まれる設定座標を有する対象地点の識別情報が存在する場合、当該存在した対象地点の識別情報を近接対象地点の識別情報として検索する検索制御部と、
前記検索された近接対象地点の識別情報と、当該近接対象地点の測定キーと、当該近接対象地点の再検索キーとを表示する表示制御部と、
前記近接対象地点の識別情報が所望の対象地点でない場合、前記再検索キーが選択されると、前記ユーザ端末の
現地点座標の再取得と、前記近接対象地点の再検索を行う再検索制御部と、
前記近接対象地点の識別情報が所望の対象地点である場合、前記測定キーが選択されると、前記近接対象地点の設定座標に基づいて、三次元測量機を当該近接対象地点に向けて、地理座標系における対象地点の測定座標を測定する測定制御部と、
前記近接対象地点の測定座標が測定されると、前記測定された近接対象地点の測定座標を、前記登録データベースのうち、前記近接対象地点の識別情報に関連付けて記憶させる関連制御部と、
を備える測量システム。
【請求項2】
前記検索制御部は、前記検索領域内に含まれる設定座標を有する対象地点の識別情報が複数存在すると判定した場合、前記存在した対象地点の設定座標と、前記ユーザ端末の現地点座標との間の距離を、前記存在した対象地点毎に算出し、最も短い距離の対象地点を前記近接対象地点として検索する、
請求項1に記載の測量システム。
【請求項3】
前記検索領域の形状は、前記ユーザ端末の現地点座標を中心点とし、所定の検索半径で構成した検索円、又は、前記ユーザ端末の現地点座標を中心点とし、所定の検索長さで構成した検索正方形のいずれかを含む、
請求項1に記載の測量システム。
【請求項4】
複数の対象地点
のうち、当該対象地点の名称を含む識別情報と、予め測定された、地理座標系における対象地点の設定座標とを所定の登録データベースに関連付けて登録する登録制御工程と、
測量現場において、ユーザ端末に近接して設けられた位置検出装置を用いて、地理座標系におけるユーザ端末の現地点座標を取得する取得制御工程と、
前記測量現場のうち、前記取得されたユーザ端末の現地点座標を含む所定の検索領域内に含まれる設定座標を有する対象地点の識別情報が存在するか否かを判定し、前記判定の結果、前記検索領域内に含まれる設定座標を有する対象地点の識別情報が存在しない場合、ユーザに対象地点への近接を促すエラー画面を表示し、前記判定の結果、前記検索領域内に含まれる設定座標を有する対象地点の識別情報が存在する場合、当該存在した対象地点の識別情報を近接対象地点の識別情報として検索する検索制御工程と、
前記検索された近接対象地点の識別情報と、当該近接対象地点の測定キーと、当該近接対象地点の再検索キーとを表示する表示制御工程と、
前記近接対象地点の識別情報が所望の対象地点でない場合、前記再検索キーが選択されると、前記ユーザ端末の
現地点座標の再取得と、前記近接対象地点の再検索を行う再検索制御工程と、
前記近接対象地点の識別情報が所望の対象地点である場合、前記測定キーが選択されると、前記近接対象地点の設定座標に基づいて、三次元測量機を当該近接対象地点に向けて、地理座標系における対象地点の測定座標を測定する測定制御工程と、
前記近接対象地点の測定座標が測定されると、前記測定された近接対象地点の測定座標を、前記登録データベースのうち、前記近接対象地点の識別情報に関連付けて記憶させる関連制御工程と、
を備える測量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測量システム及び測量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末を用いることで測量作業を効率化する測量システム及び測量方法が存在する。例えば、特開2021-144003号公報(引用文献1)には、位置取得装置と、携帯端末と、を備える測量方法が開示されている。位置取得装置は、通信部を備え、ユーザの位置座標を取得可能である。携帯端末は、位置取得装置と通信可能であって、端末通信部と、端末表示部と、端末操作部と、端末制御部と、を備える。まず、端末制御部は、作業範囲の3次元設計データを読み込み、観測の進行方向と第1の測定点とを設定し、位置取得装置にユーザの位置座標を取得させる。次に、端末制御部は、ユーザを第1の測定点に誘導し、位置取得装置に第1の測定点におけるユーザの位置座標を取得させる。次に、端末制御部は、第1の測定点から進行方向に最も近い点を第2の測定点に設定し、ユーザを第2の測定点に誘導し、位置取得装置にユーザの位置座標を取得させる。このように、端末制御部が、各測定点の設定と、ユーザの各測定点への誘導と、各測定点での位置座標の取得の指示を順次行うことで、簡易な操作で、地形に合わせた効率的な観測を可能とする技術を提供出来るとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建築分野、建設分野、土木分野等において、地理座標系において対象地点(対象物、対象位置)の座標を定期的に測定して、対象地点の変動や移動を確認する作業が存在する。対象地点は、建築物や建物に限らず、道路や橋、トンネル等の多岐にわたる。
【0005】
ここで、対象地点が、複数存在し、且つ、所定の領域で密集している場合は、ユーザ(測定者)は、複数の対象地点を識別するために、複数の対象地点のそれぞれに目印を付けて、地理座標系における対象地点の座標の測定を行うが、この方法では、目印を付ける作業に手間や時間が掛かるという課題がある。
【0006】
又、ユーザが、対象地点に目印を付けずに、対象地点が存在する位置や場所を覚えることで、対象地点を識別する方法もあるが、この方法では、ユーザが、対象地点の位置や場所を間違えたり、忘れてしまったりした場合に、一度、測定した対象地点を再度測定し直す必要が生じ、再測定の作業に手間や時間が掛かるという課題がある。そのため、複数の対象地点が存在する場合に、ユーザが、どの対象地点を測定するのかを認識することが出来るシステムが求められていた。
【0007】
ここで、特許文献1に記載の技術は、システムが、3次元設計データとユーザの位置に基づいて測定点を設定し、その測定点にユーザを誘導して位置座標を取得させる構成となっているが、ユーザがシステムの誘導に従うだけで、ユーザが、どの測定点を測定するのかを認識することが出来ないという課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、複数の対象地点を適切に認識して、効率よく測定することが可能な測量システム及び測量方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る測量システムは、登録制御部と、取得制御部と、検索制御部と、表示制御部と、再検索制御部と、測定制御部と、関連制御部と、を備える。登録制御部は、複数の対象地点の識別情報と、予め測定された、地理座標系における対象地点の設定座標とを所定の登録データベースに関連付けて登録する。取得制御部は、ユーザ端末に近接して設けられた位置検出装置を用いて、地理座標系におけるユーザ端末の現地点座標を取得する。検索制御部は、前記取得されたユーザ端末の現地点座標と、前記登録データベースの各対象地点の設定座標とに基づいて、前記ユーザ端末の現地点座標に最も近い近接対象地点の識別情報を検索する。表示制御部は、前記検索された近接対象地点の識別情報と、当該近接対象地点の測定キーと、当該近接対象地点の再検索キーとを表示する。再検索制御部は、前記近接対象地点の識別情報が所望の対象地点でない場合、前記再検索キーが選択されると、前記ユーザ端末の現時点座標の再取得と、前記近接対象地点の再検索を行う。測定制御部は、前記近接対象地点の識別情報が所望の対象地点である場合、前記測定キーが選択されると、前記近接対象地点の設定座標に基づいて、三次元測量機を当該近接対象地点に向けて、地理座標系における対象地点の測定座標を測定する。関連制御部は、前記近接対象地点の測定座標が測定されると、前記測定された近接対象地点の測定座標を、前記登録データベースのうち、前記近接対象地点の識別情報に関連付けて記憶させる。
【0010】
又、本発明に係る測量方法は、登録制御工程と、取得制御工程と、検索制御工程と、表示制御工程と、再検索制御工程と、測定制御工程と、関連制御工程と、を備える。測量方法の各制御工程は、測量システムの各制御部に対応する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の対象地点を適切に認識して、効率よく測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る測量システムの概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る測量システムの機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る測量方法の実行手順を示すためのフローチャートである。
【
図4】登録処理と登録データベースの一例を示す図(
図4A)と、検索画面の表示と現場用端末装置の現地点座標の取得の一例を示す図(
図4B)と、である。
【
図5】検索領域の表示とエラー画面の表示の一例を示す図(
図5A)と、検索領域内に対象地点の設定座標が含まれた場合と確認画面の表示の一例を示す図(
図5B)と、である。
【
図6】再度、検索領域内に対象地点の設定座標が含まれた場合と確認画面の表示の一例を示す図(
図6A)と、測定画面の表示と測量機の測定の一例を示す図(
図6B)と、である。
【
図7】関連処理と登録データベースの一例を示す図(
図7A)と、保存画面の表示と、次の検索処理の一例を示す図(
図7B)と、である。
【
図8】ユーザの繰り返し測定の一例を示す図(
図8A)と、繰り返し測定後の登録データベースの一例を示す図(
図8B)と、である。
【
図10】実施例における21個の対象地点の測定結果の表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0014】
本発明に係る測量システム1は、測量機10と、測量機用端末装置11と、サーバ12と、現場用端末装置13と、位置検出装置14と、事務所用端末装置15と、ネットワーク16と、を備える。ここで、測量機10と、測量機用端末装置11とは、現場用端末装置13と、位置検出装置14とともに、ユーザ(測定者、測量者等)に搬送され、測量現場に持ち込まれる。
【0015】
ここで、測量現場には、地理座標系における座標(位置情報)を測定する必要がある対象地点2が複数存在する。尚、対象地点2の種類に特に限定は無いが、例えば、建築物、建設物、構造物、基準点、又は、これらの一部やユーザが設置したターゲット(反射プリズム、ターゲットシール)等を挙げることが出来る。
【0016】
又、測量機10は、一般に建設現場や土木現場で使用され、自動視準と自動追尾とを可能とする。ここで、測量機10は、本体部100と、(視準)望遠鏡101とを備えている。又、本体部100は、水平方向に回転可能に構成され、望遠鏡101は、本体部100に対して鉛直方向に回転可能に設けられる。そのため、望遠鏡101は、測量機10に対して水平方向及び鉛直方向に回転可能である。
【0017】
又、測量機10の望遠鏡101の視準が対象地点2に合わされ、測定命令が測量機10に入力されると、測量機10は、望遠鏡101から対象地点2に対して走査光を照射し、その走査光が対象物から反射され、再び望遠鏡101に入射される。入射された反射光は、測量機10の受光素子により受光信号に変換される。測量機10は、望遠鏡101の水平角度及び鉛直角度を角度検出器で検出する。そして、測量機10の光波距離計は、受光信号を用いて、測量機10から対象地点2までの斜距離を測定する。ここで、光波距離計は、反射プリズム及びターゲットシートを用いる所定のモードと、ターゲットシート及びプリズムを用いないノンプリズムモードとを有するが、本発明では、特に限定しない。
【0018】
又、測量機10の本体部100(計測部)は、検出した望遠鏡101の水平角度及び鉛直角度と、計測した斜距離とに基づいて、対象地点2の座標(3次元座標値)を測定値として取得する。この対象地点2の座標は、例えば、測量機10の機械点の座標を基準として算出される。
【0019】
又、測量機用端末装置11は、一般に使用されるコンピュータであり、例えば、小型コンピュータを含み、測量機10に外付けで接続されたり、測量機10に組み込まれて内蔵されたりする。ここで、測量機用端末装置11は、ユーザからの指示に基づいて測量機10の動作を制御する。又、測量機用端末装置11は、ネットワーク16を介して、サーバ12からの情報を取得したり、測量機10からの測量結果をサーバ12に送信したりすることが出来る。
【0020】
又、サーバ12は、一般に使用されるコンピュータであり、記憶媒体に情報を保存したり、記憶媒体から情報を読み込んだりする。又、サーバ12は、ネットワーク16を介して、測量機用端末装置11や現場用端末装置13との間で情報のやりとりを行う。
【0021】
又、現場用端末装置13は、一般に使用されるコンピュータであり、例えば、タッチパネル付きの携帯端末装置、タブレット型端末装置、ウェアラブル型端末装置を含み、基本的に携帯用の端末装置である。つまり、現場用端末装置13は、ユーザ端末となる。又、現場用端末装置13は、ネットワーク16を介してサーバ12にアクセスし、サーバ12にデータを書き込んだり、サーバ12からデータを読み込んだりする。又、現場用端末装置13は、ネットワーク16を介して、サーバ12からの情報を取得したり、測量機用端末装置11に測量指示を送ったり、測量結果をサーバ12に送信したりする。
【0022】
又、位置検出装置14は、GNSS装置(全地球航法衛星システム:Global・Navigation・Satelite・System)やGPS装置(全地球測位システム:Global・Positioning・System)を含む。ここで、GNSS装置は、GNSS受信機及びGNSS通信部を備える。GNSS受信機は、アンテナ一体型の航法信号受信装置である。又、GNSS受信機は、航法衛星から発信される航法信号を受信し、航法信号の送信時刻を計測して測位を行うことで、自位置を取得可能である。更に、GNSS受信機は、受信した航法信号を電気信号に変換し、この電気信号を測位データとして、GNSS通信部を介して、ユーザ用端末装置13に送信する。
【0023】
又、事務所用端末装置15は、一般に使用されるコンピュータであり、例えば、ディスクトップ型端末装置、タッチパネル付きの携帯端末装置、タブレット型端末装置、ウェアラブル型端末装置を含み、事務所、工場等に設置される端末装置である。事務所用端末装置15は、ネットワーク16を介してサーバ12にアクセスし、サーバ12にデータを書き込んだり、サーバ12からデータを読み込んだりする。
【0024】
又、ネットワーク16は、Wi-Fi(登録商標)アクセスポイントを介したLAN(Local Area Network)の他、無線基地局を介したWAN(Wide Area Network)、第3世代(3G)の通信方式、LTEなどの第4世代(4G)の通信方式、第5世代(5G)以降の通信方式、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線方式等の無線通信ネットワークを含む。
【0025】
尚、測量機用端末装置11と、サーバ12と、現場用端末装置13と、事務所用端末装置15とは、指示を入力するための入力部と、情報を蓄積するための記憶部と、情報を表示するための表示部と、を備えている。測量機10と、測量機用端末装置11と、サーバ12と、現場用端末装置13と、事務所用端末装置15とは、図示しないCPU、ROM、RAM等を内蔵しており、CPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM等に記憶されているプログラムを実行する。後述する各部についても、CPUがプログラムを実行することで各部の機能を実現する。
【0026】
次に、
図2-
図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。先ず、ユーザは、事務所等の拠点の事務所用端末装置15のソフトウェアを起動させて、測量現場に設置される複数の対象地点2の識別情報と、予め測定された、地理座標系における対象地点の設定座標を入力し、その登録の命令を指示する。すると、事務所用端末装置15の登録制御部101は、複数の対象地点2の識別情報と、当該対象地点2の設定座標とを所定の登録データベースに関連付けて登録する(
図3:S101)。
【0027】
ここで、対象地点2の識別情報とは、対象地点2を一意に識別可能な情報を意味し、例えば、対象地点2の名称、現場名、番号、管理情報、ユーザ名、測定年月日等を挙げることが可能であり、ユーザが、現場の対象地点2の種類に応じて適宜設定する情報とすることが出来る。
【0028】
又、登録制御部101の登録方法に特に限定は無い。例えば、
図4Aに示すように、ユーザが、事務所用端末装置15の操作部を用いて、複数(例えば、4つ)の対象地点2のうち、第一の対象地点2の識別情報(例えば、「A01」)と、当該第一の対象地点2の設定座標{例えば、Sa01(Xa01、Ya01、Za01)}とを入力し、登録キーを選択すると、事務所用端末装置15の登録制御部101は、サーバ12にアクセスし、サーバ12に予め記憶された登録データベース400を参照する。
【0029】
ここで、登録データベース400には、
図4Aに示すように、登録識別情報401と、登録設定座標402と、登録測定座標403とが関連付けて記憶されている。そこで、登録制御部101は、入力された第一の対象地点2の識別情報(「A01」)を登録データベース400の登録識別情報401に記憶させるとともに、入力された第一の対象地点2の設定座標{Sa01(Xa01、Ya01、Za01)}を登録データベース400の登録設定座標402に記憶させる。これにより、第一の対象地点2の登録が完了する。
【0030】
そして、ユーザは、測定対象となる対象地点2の数だけ、その識別情報と設定座標の登録を繰り返す。例えば、ユーザが、第二の対象地点2の識別情報(例えば、「A02」)と、当該第二の対象地点2の設定座標{例えば、Sa02(Xa02、Ya02、Za02)}とを入力し、登録キーを選択すると、登録制御部101は、入力された第二の対象地点2の識別情報(「A02」)を登録データベース400の登録識別情報401に記憶させるとともに、入力された第二の対象地点2の設定座標{Sa02(Xa02、Ya02、Za02)}を登録データベース400の登録設定座標402に記憶させる。又、ユーザは、第三の対象地点2の識別情報(例えば、「A03」)と、当該第三の対象地点2の設定座標{例えば、Sa03(Xa03、Ya03、Za03)}と、第四の対象地点2の識別情報(例えば、「A04」)と、当該第四の対象地点2の設定座標{例えば、Sa04(Xa04、Ya04、Za04)}とについて、同様の操作をする。すると、登録制御部101は、第三の対象地点2の識別情報(「A03」)と、当該第三の対象地点2の設定座標{Sa03(Xa03、Ya03、Za03)}と、第四の対象地点2の識別情報(「A04」)と、当該第四の対象地点2の設定座標{Sa04(Xa04、Ya04、Za04)}と、をそれぞれ関連付けて記憶させる。これにより、ユーザは、測定対象となる対象地点2の登録を行うことが出来る。
【0031】
尚、
図4Aでは、登録制御部101が事務所用端末装置15に設けているが、これに限らず、例えば、
図2に示すように、ユーザが携帯する現場用端末装置13に登録制御部101を設けるよう構成しても良い。その場合は、ユーザが、現場用端末装置13の登録制御部101に登録処理を行わせることになる。
【0032】
さて、登録制御部101が対象地点2の登録を完了すると、ユーザは、測量機10と、測量機用端末装置11と、現場用端末装置13と、位置検出装置14とを携帯して、対象地点2が存在する測量現場へ出向く。そして、ユーザは、現場用端末装置13のソフトウェアを起動させると、現場用端末装置13の取得制御部102は、現場用端末装置13の表示部に検索画面を表示して、対象地点2を検索するための検索キーの選択を受け付ける(
図3:S102)。
【0033】
ここで、検索画面404に特に限定は無い。例えば、検索画面404には、
図4Bに示すように、検索を示すタイトル405(例えば、「検索」)と、検索の内容を示すコメント406(例えば、「測定予定の対象地点の識別情報を検索しますか?」)と、検索キー407と、終了キー408とが表示される。これにより、ユーザは、検索画面404を見て、所定のタイミングで検索キー407を選択することが出来る。
【0034】
さて、ユーザが、測定予定の対象地点2を探して動き回り、測定予定の対象地点2(例えば、「A01」)に接近して、検索キー407を選択すると(
図3:S102YES)、取得制御部102は、検索キー407の選択を受け付ける。そして、取得制御部102は、現場用端末装置13に近接して設けられた位置検出装置14を用いて、地理座標系における現場用端末装置13の現地点座標を取得する(
図3:S103)。
【0035】
ここで、取得制御部102の取得方法に特に限定は無い。例えば、
図4Bに示すように、位置検出装置14が、GNSS装置やGPS装置である場合、取得制御部102は、現場用端末装置13に近接して設けられた位置検出装置14と通信して、GNSS衛星やGPS衛星から、位置検出装置14に位置情報信号(例えば、GNSS信号、GPS信号)を受信させる。そして、取得制御部102は、位置検出装置14が受信した位置情報信号を取得し、位置検出装置14の現地点座標を現場用端末装置13の現地点座標とみなして、取得した位置情報信号から、地理座標系における現場用端末装置13の現地点座標{P1(Xp1、Yp1、Zp1)}を取得する。これにより、位置検出装置14を活用して現時点座標を直ぐに取得することが出来る。
【0036】
尚、ユーザが、検索キー407を選択せずに、終了キー408が選択されると(
図3:S102NO)、取得制御部102は、検索画面404を消去して、処理を終了することになる。
【0037】
さて、取得制御部102が取得を完了すると、次に、現場用端末装置13の検索制御部103は、取得された現場用端末装置13の現地点座標(P1)と、登録データベース400の各対象地点2の識別情報の設定座標(「Sa01」、「Sa02」、「Sa03」、、、)とに基づいて、現場用端末装置13の現地点座標(P1)に最も近い近接対象地点2の識別情報を検索する(
図3:S104)。
【0038】
ここで、検索制御部103の検索方法に特に限定は無い。例えば、検索制御部103は、現場用端末装置13の現地点座標(P1)を含む検索領域内に含まれる設定座標を有する対象地点2の識別情報が存在するか否かを判定する。そして、判定の結果、検索領域内に含まれる設定座標を有する対象地点2の識別情報が存在しない場合、検索制御部103は、ユーザに対象地点への近接を促すエラー画面を表示する。又、判定の結果、検索領域内に含まれる設定座標を有する対象地点2の識別情報が存在する場合、検索制御部103は、存在した対象地点2の識別情報を近接対象地点2の識別情報として検索する。
【0039】
具体的には、
図5Aに示すように、検索制御部103が、現場用端末装置13の現地点座標(P1)を中心点とし、予め設定された所定の検索半径R(m)で構成した検索円Cを算出する。次に、検索制御部103は、サーバ12にアクセスし、サーバ12の登録データベース400を参照する。ここで、登録データベース400には、ユーザが先ほど登録した対象地点2の識別情報(「A01」、「A02」、、、)と、当該対象地点2の設定座標(「Sa01」、「Sa02」、、、)とが関連付けて記憶されている。
【0040】
そこで、検索制御部103は、検索円Cを構成する座標と、登録データベース400の対象地点2の識別情報毎の設定座標とを比較して、検索円C内に含まれる設定座標を有する識別情報が存在するか否かを判定する。ここで、対象地点2の識別情報の設定座標が、検索円C内に含まれるとは、例えば、地理座標系における対象地点2の識別情報の設定座標のXY座標値が、検索円Cを構成するXY座標値の内部に存在することを意味する。
【0041】
現時点では、例えば、
図5Aに示すように、ユーザが、全ての対象地点2から離れすぎていて、位置検出装置14(現場用端末装置13)に最も近い近接対象地点が存在しない。そのため、そのため、判定の結果、検索制御部103は、検索円C内に含まれる設定座標を有する識別情報が存在しないと判定する(
図3:S104NO)。この場合は、検索制御部103は、現場用端末装置13の表示部にエラー画面を表示する。
【0042】
ここで、エラー画面500に特に限定は無いが、例えば、
図5Aに示すように、エラーを示すタイトル501(例えば、「エラー」)と、エラーの内容を示すコメント502(例えば、「測定予定の対象地点に接近してください。」)と、検索キー503とが表示される。これにより、ユーザは、現時点では、測定予定の対象地点2に接近していないことを確認することが出来る。
【0043】
尚、
図5Aでは、検索制御部103の検索領域として、現場用端末装置13の現地点座標(P1)を中心点とし、所定の検索半径R(m)で構成した検索円Cを選択したが、これに限らず、他の形状の検索領域を選択しても構わない。例えば、
図5Aに示すように、検索制御部103が、現場用端末装置13の現地点座標(P1)を中心点とし、予め設定された所定の検索長さL=2*R(m)で構成した検索正方形Sを算出しても構わない。又、対象地点2の設定座標が、検索正方形S内に含まれるとは、例えば、地理座標系における対象地点2の設定座標のXY座標値が、検索正方形Sを構成するXY座標値の内部に存在することを意味する。更に、検索領域の形状は、正方形に限らず、長方形や多角形、楕円形等を挙げることが出来る。
【0044】
さて、エラー画面500を見たユーザは、再度、測定予定の対象地点2を探して、例えば、
図5Bに示すように、ユーザが、第一の対象地点2(識別情報「A01」)に近づいたとする。その際に、ユーザが、第一の対象地点2に近接する第二の対象地点2(識別情報「A02」)に近づいた状態で、検索キー503を選択すると、検索制御部103は、検索キー503の選択を受け付ける。すると、取得制御部102は、S103に戻って、位置検出装置14を用いて、地理座標系における現場用端末装置13の現地点座標{P2(Xp2、Yp2、Zp2)}を取得する(
図3:S103)。そして、検索制御部103は、取得された現場用端末装置13の現地点座標(P2)と、登録データベース400の各対象地点2の設定座標(「Sa01」、、、)とに基づいて、現場用端末装置13の現地点座標(P2)に最も近い近接対象地点2の識別情報を検索する(
図3:S104)。
【0045】
ここで、ユーザは、第一の対象地点2(識別情報「A01」)に近づいたと考えていたが、地理座標系では、現場用端末装置13の現地点座標(P2)が、第一の対象地点2に近接する第二の対象地点2(識別情報「A02」)の設定座標(「Sa01」)に最も近接していた場合、
図5Bに示すように、第一の対象地点2の識別情報「A01」の設定座標も第二の対象地点2の識別情報「A02」の設定座標も検索円C内に含まれるため、検索制御部103は、検索円C内に含まれる設定座標を有する識別情報が二つ存在すると判定する。
【0046】
ここで、検索制御部103は、検索円C内に含まれる設定座標を有する対象地点2の識別情報が複数存在すると判定した場合、例えば、存在した対象地点2の設定座標と、現場用端末装置13の現地点座標(P2)との間の距離を、存在した対象地点2毎に算出し、最も短い距離の対象地点2の識別情報を近接対象地点2の識別情報として検索する。
【0047】
具体的には、検索制御部103は、現場用端末装置13の現地点座標(P2)と第一の対象地点2の識別情報「A01」の設定座標「Sa01」との間の第一の距離Da01と、現場用端末装置13の現地点座標(P2)と第二の対象地点2の識別情報「A02」の設定座標「Sa02」との間の第二の距離「Da02」とを算出し、第一の距離「Da01」と第二の距離「Da02」とを比較して、最も短い第二の距離「Da02」の第二の対象地点2を近接対象地点2として検索する。つまり、検索の結果、検索制御部103は、第二の対象地点2の識別情報「A02」を、近接対象地点2の識別情報として検索する(
図3:S104YES)。
【0048】
尚、検索制御部103は、設定座標が検索円Cに含まれる識別情報が一つ存在すると判定した場合、存在した一つの対象地点2の識別情報を、近接対象地点2の識別情報として検索することになる(
図3:S104YES)。
【0049】
さて、検索制御部103が、近接対象地点2の識別情報を検索すると、現場用端末装置13の表示制御部104は、検索された近接対象地点2(第二の対象地点2)の識別情報(「A02」)と、当該近接対象地点2の測定キーと、他の近接対象地点2を検索するための再検索キーとを表示する(
図3:S105)。
【0050】
ここで、表示制御部104の表示方法に特に限定は無い。例えば、表示制御部104は、現場用端末装置13の表示部に、近接対象地点2(第二の対象地点2)の識別情報(「A02」)と、測定キーと、再検索キーとを表示した確認画面を表示する。
【0051】
ここで、確認画面504に特に限定は無いが、例えば、
図5Bに示すように、確認を示すタイトル505(例えば、「確認」)と、確認の内容を示すコメント506(例えば、近接対象地点2の識別情報を含む「測定予定の対象地点は、[A02]ですか?」)と、測定キー506と、再検索キー507とが表示される。これにより、ユーザは、近接対象地点2の識別情報(「A02」)を確認することが出来る。
【0052】
さて、複数の対象地点2が存在する測量現場では、どの対象地点2がどこにあるのかを把握することが困難な場合があり、特に、2つ以上の対象地点2が近接している場合は、ユーザが、測定予定の対象地点2がどれなのかを識別するのが困難となる。そのような場合に、ユーザが、対象地点2に接近して、確認画面504で近接対象地点2の識別情報を確認することが可能となるから、測定すべき対象地点2を適切に認識することが出来る。又、ユーザが、確認画面504を確認しながら、対象地点2の測定を行うことで、同じ対象地点2を重複して測定するという測定ミスを防止することが可能となり、複数の対象地点2を効率よく測定することが出来るのである。
【0053】
又、測量現場が広い場合は、仮に、所定の検索円Cの判定が無いと、ユーザと対象地点2とが極めて離れていたとしても、近接対象地点2を検索することになり、ユーザが対象地点2を認識していないにもかかわらず、近接対象地点2の識別情報が表示されることになる。すると、ユーザの認識と近接対象地点2の識別情報の表示とに隔たりが生じ、ユーザが混乱することになる。そこで、所定の検索円C(検索領域)の判定を設けることで、ユーザが、先ず、対象地点2に近接した検索領域に入ったかどうかを確認することが出来、ユーザが対象地点2を認識しているから、近接対象地点2の識別情報を確認することになり、ユーザの認識と近接対象地点2の識別情報の表示とが合致し、ユーザが適切に近接対象地点2を認識することが出来る。
【0054】
尚、検索領域の長さは、例えば、複数の対象地点2のうち、二つの対象地点2の間の距離に対応させると、検索領域内には、一つの対象地点2しか入ることが無いことから、ユーザは、表示される一つの対象地点2の識別情報を確認しながら、希望する対象地点2を探すことが出来る。ここで、測量現場の種類によって、複数の対象地点2のうち、二つの対象地点2の間の距離は変更されることから、例えば、ユーザが、測量現場の種類に応じて、検索領域の長さを適宜設計することが出来ると好ましい。
【0055】
さて、ユーザは、確認画面504を確認して、表示された近接対象地点2の識別情報(「A02」)が所望の測定対象(例えば、最初の測定対象)でないと判断し、再度、最初の測定対象の第一の対象地点2(識別情報「A01」)に接近したとする。そして、ユーザが、確認画面504の再検索キー507を選択すると、表示制御部104は、再検索キー507の選択を受け付ける。そして、現場用端末装置13の再検索制御部105は、現場用端末装置13の現時点座標の再取得と、近接対象地点2の再検索を行う(
図3:S106YES)。
【0056】
ここで、再検索制御部105の再検索方法に特に限定は無い。例えば、再検索制御部105は、S103に戻って、取得制御部102に再取得を指示し、取得制御部102は、位置検出装置14を用いて、地理座標系における現場用端末装置13の現地点座標{P3(Xp3、Yp3、Zp3)}を取得する(
図3:S103)。又、再検索制御部105は、検索制御部105に再検索を指示し、検索制御部103は、取得された現場用端末装置13の現地点座標(P3)と、登録データベース400の各対象地点2の設定座標(「Sa01」、、、)とに基づいて、現場用端末装置13の現地点座標(P3)に最も近い近接対象地点2の識別情報を検索する(
図3:S104)。
【0057】
ここで、ユーザは、第二の対象地点2(識別情報「A02」)よりも第一の対象地点2(識別情報「A01」)に接近していた場合、
図6Aに示すように、検索制御部103は、検索円Cに含まれる設定座標が二つ存在すると判定し、位置検出装置14(現場用端末装置13)に最も近い近接対象地点2として第一の対象地点2の識別情報(識別情報「A01」)を検索する(
図3:S104YES)。
【0058】
この場合は、表示制御部104は、上述と同様に、検索された近接対象地点2(第一の対象地点2)の識別情報(「A01」)と、測定キーと、再検索キーとを表示する(
図3:S105)。
【0059】
ここで、表示制御部104は、確認画面600を表示することになるが、確認画面600には、
図6Aに示すように、タイトル601(「確認」)と、コメント602(例えば、近接対象地点2の識別情報を含む「測定予定の対象地点は、[A01]ですか?」)と、測定キー603と、再検索キー604とが表示される。これにより、ユーザは、自身が移動して、再検索キー604を選択することで、自身に最も近接する対象地点2の識別情報を確認することが可能となる。又、何度も確認画面600を表示させることで、ユーザは、所望の対象地点2を探し出すことが出来る。
【0060】
ここで、例えば、表示された対象地点2の識別情報が、ユーザの希望する識別情報でない場合、ユーザは、再度、希望する識別情報の対象地点2へ移動して、再検索キー604を選択する。すると、再度、表示制御部104は、S103へ戻り、S103からS105までの処理を繰り返すことで、所望する対象地点2の識別情報にたどり着くことが出来る。
【0061】
一方、表示された対象地点2の識別情報が、ユーザの希望する識別情報である場合、ユーザは、測定キー603を選択すると(
図3:S106NO)、表示制御部104は、測定キー603の選択を受け付ける。そして、現場用端末装置13の測定制御部106は、近接対象地点2の設定座標(「Sa01」)に基づいて、三次元測量機10を当該近接対象地点2に向けて、地理座標系における対象地点2の測定座標{例えば、Ma01(Xa01、Ya01、Za01)}を測定する(
図3:S107)。
【0062】
ここで、測定制御部106の測定方法に特に限定は無い。例えば、測定制御部106は、現場用端末装置13の表示部に測定画面を表示させる。測定画面605に特に限定は無いが、例えば、測定画面605には、
図6Bに示すように、測距を示すタイトル606(例えば、「測距」)と、測距の内容を示すコメント607(例えば、「測距しますか?」)と、OKキー608と、キャンセルキー609とが表示される。これにより、ユーザは、測距するかどうかを確認することが出来る。
【0063】
ここで、ユーザが、キャンセルキー609を選択すると、測定制御部106は、キャンセルキー609の選択を受け付けて、S106に戻り、表示制御部104は、再度、確認画面600を表示する。これにより、ユーザが、誤って測定キー603を選択した場合に、一つ前の画面に戻ることが出来る。
【0064】
一方、ユーザが、OKキー608を選択すると、測定制御部106は、OKキー608の選択を受け付けて、測量機用端末装置11と通信し、
図6Bに示すように、近接対象地点2の設定座標(「Sa01」)を用いて、測量機10の望遠鏡101を本体部100に対して回転させて、望遠鏡101の視準を近接対象地点2に向けて合わせる。
【0065】
ここで、測量機10に、地理座標系における自身の座標{例えば、T0(X0、Y0、Z0)}(機械座標、機械点)が設定されている場合は、測定制御部106は、近接対象地点2の設定座標(「Sa01」)と、測量機10の機械座標(「T0」)との位置関係に基づいて、測量機10の望遠鏡101の視準を近接対象地点2に向ける。一方、測量機10に機械座標(「T0」)が設定されていない場合は、測定制御部106が、ユーザに測量機10の機械座標(「T0」)を設定させた上で、近接対象地点2の設定座標(「Sa01」)と、測量機10の機械座標(「T0」)との位置関係に基づいて、測量機10の望遠鏡101の視準を近接対象地点2に向ける。
【0066】
そして、測定制御部106は、測量機用端末装置11に測定命令を送信することで、測量機10に、地理座標系における対象地点2の測定座標{例えば、Ma01(Xa01、Ya01、Za01)}を測定させる。ここで、近接対象地点2に、ターゲット(例えば、反射プリズムやターゲットシート)が設置されている場合は、測量機10は、ターゲットを用いる所定のモードで測距する。ターゲットが設けられることで、測量機10は、近接対象地点2の測定座標(「Ma01」)を精度高く測定することが出来る。一方、近接対象地点2に、何も設置されていない場合は、測量機10は、ノンプリズムモードで測距する。この場合は、ユーザが、測量機10へ近寄って、近接対象地点2への視準を調整して、近接対象地点2の測定座標(「Ma01」)を精度高く測定出来るようにしても良い。
【0067】
このように、ユーザは、希望する識別情報の近接対象地点2の測定座標(「Ma01」)を測定することが出来る。特に、本発明では、近接対象地点2の設定座標(「Sa01」)を用いることで、ユーザが測量機10から離れていても、測量機10の視準を制御することが出来るため、ユーザは、測量機10を特定の場所に据え付けて、複数の対象地点2を歩き回って、測定キー603やOKキー608を選択すれば、所望の対象地点2の測定座標を得ることが出来るようになる。その結果、ユーザ一人でも測量を完結することが可能となり、効率よく測定することが可能となる。
【0068】
さて、測定制御部106が測定を完了すると、現場用端末装置13の関連制御部107は、測定された近接対象地点2の測定座標(「Ma01」)を、登録データベース400のうち、近接対象地点2の識別情報(「A01」)に関連付けて記憶させる(
図3:S108)。
【0069】
ここで、関連制御部107の関連方法に特に限定は無い。例えば、関連制御部107は、
図7Aに示すように、サーバ12にアクセスし、サーバ12の登録データベース400を参照する。すると、登録データベース400には、登録識別情報401と、登録設定座標402と、登録測定座標403とが関連付けて記憶されている。
【0070】
そこで、関連制御部107は、登録データベース400の登録識別情報401のうち、検索された第一の対象地点2の識別情報(「A01」)を特定し、特定した登録識別情報401の登録測定座標403に、測定された対象地点2の測定座標(「Ma01」)を記憶させる。これにより、ユーザは、確認した第一の対象地点2の識別情報(「A01」)に、測定された対象地点2の測定座標(「Ma01」)を関連付けることが可能となる。
【0071】
又、第一の対象地点2の識別情報(「A01」)に、予め登録された第一の対象地点2の設定座標(「Sa01」)と、測定された対象地点2の測定座標(「Ma01」)とを関連付けることで、例えば、第一の対象地点2の測定座標(「Ma01」)が、設定座標(「Sa01」)に対して移動したのかどうか、不動なのかどうかを確認することが可能となる。
【0072】
更に、第一の対象地点2が、例えば、測量の基準となる基準点である場合、今回の測定によって、基準点の設定座標(「Sa01」)と測定座標(「Ma01」)との差分(差異)(例えば、Ca01=Ma01-Sa01)を修正値(補正値)として算出することが出来る。すると、今から測定する対象地点2の測定座標に修正値を用いて、測定座標を修正(補正)することで、対象地点2の測定座標をより精度高く測定することが出来る。
【0073】
さて、関連制御部107が、測定座標(「Ma01」)の関連付けを完了すると、例えば、現場用端末装置13の表示部に保存画面を表示させる。ここで、保存画面700に特に限定は無いが、例えば、保存画面700には、
図7Bに示すように、保存を示すタイトル701(例えば、「保存」)と、保存の内容を示すコメント702(例えば、近接対象地点2の識別情報を含む「測定値は、[A01]に記録しました。測距を継続しますか?」)と、継続キー703と、終了キー704とが表示される。これにより、ユーザは、対象地点2の識別情報に測定座標が記憶されたことを確認することが出来る。
【0074】
ここで、ユーザが、次の測定予定の対象地点2の測定座標を測定するために、継続キー703を選択すると(
図3:S109NO)、関連制御部107は、継続キー703の選択を受け付けて、S102に戻り、取得制御部102は、現場用端末装置13の表示部に検索画面を表示する(
図3:S102)。
【0075】
そこで、ユーザは、
図7Bに示すように、次の測定予定の第二の対象地点2(識別情報「A02」)に接近して、検索キー407を選択すると(
図3:S102YES)、取得制御部102は、地理座標系における現場用端末装置13の現地点座標(P4)を取得し(
図3:S103)、検索制御部103は、現場用端末装置13の現地点座標(P4)に最も近い近接対象地点2の識別情報を検索する(
図3:S104)。ここで、検索制御部103は、第二の対象地点2の識別情報「A02」を、近接対象地点2の識別情報として検索すると(
図3:S104YES)、表示制御部104は、検索された近接対象地点2(第二の対象地点2)の識別情報(「A02」)と、当該近接対象地点2の測定キー603と、他の近接対象地点2を検索するための再検索キー604とを表示する(
図3:S105)。今回、表示された対象地点2の識別情報が、ユーザの希望する識別情報であるため、ユーザは、測定キー603を選択すると(
図3:S106NO)、測定制御部106は、近接対象地点2の設定座標(「Sa02」)に基づいて、三次元測量機10を当該近接対象地点2に向けて、地理座標系における対象地点2の測定座標(「Ma02」)を測定する(
図3:S107)。そして、関連制御部107は、測定された近接対象地点2の測定座標(「Ma02」)を、登録データベース400のうち、近接対象地点2の識別情報(「A02」)に関連付けて記憶させる(
図3:S108)。
【0076】
つまり、上述のS102からS108の処理を繰り返すことで、複数の対象地点2の測定座標の測定を行うことが出来る。例えば、
図8Aに示すように、ユーザが、複数の対象地点2を動き回って、近接対象地点2の識別情報を確認し、測定キー603を選択することで、希望する対象地点2の測定座標を次々と測定することが出来るのである。そして、
図8Bに示すように、ユーザは、測定された対象地点2の測定座標を、対象地点2の識別情報に次々と記憶させることが可能となるのである。これにより、複数の対象地点2が存在したとしても、誤って測定することなく、適切に認識して、効率よく測定することが可能となる。
【0077】
又、対象地点2の測定座標を登録データベース400に記憶させることで、例えば、他のユーザ(管理者等)が、事務所用端末装置15を用いて、サーバ12の登録データベース400にアクセスすれば、登録データベース400を確認することが出来る。これにより、他のユーザは、ユーザの測定の出来具合を遠方で確認することが可能となる。
【0078】
一方、全ての対象地点2の測定座標の測定が完了すれば、S109において、ユーザが、保存画面700の終了キー704を選択すると(
図3:S109YES)、関連制御部107は、保存画面700を消去して、処理を終了することになる。
【実施例】
【0079】
以下、実施例、比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0080】
先ず、
図1-
図8に基づいて、測量システム1を実施例として構築した。その際に、位置検出装置14は、GNSS装置を採用した。次に、実施例の作用効果を示すために、ユーザが、所定の測定現場に複数の対象地点2を設定して、それぞれの対象地点2の測定座標を測定した。その際、座標は、X座標とY座標との二座標系とした。
【0081】
図9に示すように、ユーザが、所定の測量現場において、識別情報が「No.1」の対象地点2を基準点として設定して、識別情報「No.1」の対象地点2の設定座標を登録データベースに登録した。又、識別情報が「No.2」から「No.21」の対象地点2を測定予定の対象地点2として設定して、識別情報「No.1」の対象地点2の設定座標を登録データベースに登録した。
【0082】
そして、ユーザが、測量機10と、測量機用端末装置11と、現場用端末装置13と、位置検出装置14とを測量現場に持ち込み、測量機10を設置して、機械座標を設定し、先ず、ユーザが、識別情報が「No.1」の対象地点2(基準点)に接近して、この測定座標を測定した。次に、ユーザが、複数の対象地点2が密集しているところへ移動して、識別情報「No.2」から識別情報「No.21」までの順番で複数の対象地点2へ接近して、各対象地点2の識別情報を確認しながら、各対象地点2の測定座標を測定した。
【0083】
その結果、実施例では、測定予定の対象地点2に接近することで、近接対象地点2の識別情報が表示させるように構成していることから、ユーザが、複数の対象地点を適切に認識して、間違いなく測定することが出来た。又、ユーザは、対象地点2の数が21個あったにもかかわらず、素早く測定することが可能であり、効率の良い測定作業が出来た。
【0084】
又、
図10に示すように、基準点の設定座標と測定座標との差分は、X座標の差分が-0.002mであり、Y座標の差分が0.015mであり、極めて微小な差分であっても高精度に確認することが出来た。尚、他の対象地点2の設定座標と測定座標との差分も同様であったが、ここでは省略する。又、現時点座標と測定座標との差分は、X座標の差分が0.3m未満であり、Y座標の差分が0.5m未満であり、ユーザが、1m未満で対象地点2に接近することで、その対象地点2の測定座標を適切に測定することが出来ることが分かった。仮に、この条件で検索領域の長さを設定する場合は、例えば、0.5m~1.0mの範囲内に設定されると好ましいであろう。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明に係る測量システム及び測量方法は、一般的な測定対象、建築物、機器装置、地盤、道路、車輌、鉄道等の計測分野、土木分野、測量分野等に有用であり、複数の対象地点を適切に認識して、効率よく測定することが可能な測量システム及び測量方法として有効である。
【符号の説明】
【0086】
1 測量システム
10 測量機
11 測量機用端末装置
12 サーバ
13 現場用端末装置
14 位置検出装置
15 事務所用端末装置
16 ネットワーク
101 登録制御部
102 取得制御部
103 検索制御部
104 表示制御部
105 再検索制御部
106 測定制御部
107 関連制御部
【要約】 (修正有)
【課題】複数の対象地点を適切に認識して、効率よく測定することが可能な測量システム及び測量方法を提供する。
【解決手段】登録制御部101は、複数の対象地点の識別情報と対象地点の設定座標を登録データベースに関連付けて登録する。取得制御部102は、位置検出装置14を用いて現場用端末装置13の現地点座標を取得する。検索制御部103は、現場用端末装置13の現地点座標に最も近い近接対象地点の識別情報を検索する。表示制御部104は、検索された近接対象地点の識別情報と近接対象地点の測定キーと当該近接対象地点の再検索キーとを表示する。再検索制御部105は、現場用端末装置13の現時点座標の再取得と近接対象地点の再検索を行う。測定制御部106は、三次元測量機を近接対象地点の測定座標を測定する。関連制御部107は、測定された近接対象地点の測定座標を近接対象地点の識別情報に関連付けて記憶させる。
【選択図】
図2