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特許7616745活性物質の送達のための三次元マイクロ流体デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】活性物質の送達のための三次元マイクロ流体デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20250109BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 31/4748 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20250109BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61M37/00 514
A61K9/70 401
A61K31/137
A61K31/167
A61K31/192
A61K31/4748
A61K31/495
A61K45/00
A61P11/00
A61P25/04
A61P37/08
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020573128
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 IB2019055531
(87)【国際公開番号】W WO2020003248
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】62/691,699
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】524288931
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アラリー・マーク
(72)【発明者】
【氏名】ホプソン・ペイトン
(72)【発明者】
【氏名】リウ・ジャン-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】パテル・バーラト
(72)【発明者】
【氏名】デイブ・バイプル
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-511243(JP,A)
【文献】特開2009-219888(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0208167(US,A1)
【文献】国際公開第2011/018909(WO,A1)
【文献】特開2001-149485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
A61K 9/70
A61K 31/137
A61K 31/167
A61K 31/192
A61K 31/4748
A61K 31/495
A61K 45/00
A61P 11/00
A61P 25/04
A61P 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの活性製剤の長期送達のための経皮送達デバイスであって、
(a)第1の外側向きの主表面及び第2の外側向きの主表面を有するフィルムと、
(b)第1の活性製剤サブシステムであって、
(i)前記フィルム内に配置された第1の活性製剤を収容する第1の活性製剤液体リザーバと、
(ii)前記フィルム内に配置され、前記第1の活性製剤液体リザーバと流体連通している、第1の活性製剤マイクロ流体チャネルおよび第4の活性製剤マイクロ流体チャネルと、
(iii)前記第1の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している、第1の活性製剤出口ポート、及び、前記第4の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している、第4の活性製剤出口ポートと、
(iv)第1の活性製剤中空マイクロニードル、及び、第4の活性製剤中空マイクロニードルと、を含む、第1の活性製剤サブシステムと、
(c)第2の活性製剤サブシステムであって、
(i)前記フィルム内に配置された第2の活性製剤を収容する第2の活性製剤液体リザーバと、
(ii)前記フィルム内に配置され、前記第2の活性製剤液体リザーバと流体連通している、第2の活性製剤マイクロ流体チャネルと、
(iii)前記第2の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している、第2の活性製剤出口ポートと、
(iv)第2の活性製剤中空マイクロニードルと、を含む、第2の活性製剤サブシステムと、を備え、
前記第1の活性製剤液体リザーバ内に収容されている前記第1の活性製剤が前記第1の活性製剤出口ポートから流れ出ることを妨害する第1の妨害部と、
前記第2の活性製剤液体リザーバ内に収容されている前記第2の活性製剤が前記第2の活性製剤出口ポートから流れ出ることを妨害する第2の妨害部と、を更に備え、
前記第1の活性製剤マイクロ流体チャネルは、前記第1の活性製剤中空マイクロニードルの近位端から遠位端まで延在する第1の中空部を通って延び、前記第1の活性製剤出口ポートは、前記第1の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第1の中空部に位置し、
前記第4の活性製剤マイクロ流体チャネルは、前記第4の活性製剤中空マイクロニードルの近位端から遠位端まで延在する第4の中空部を通って延び、前記第4の活性製剤出口ポートは、前記第4の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第4の中空部に位置し、
前記第1の妨害部は、生分解性、生体吸収性、又は溶解性材料で作製され、前記第1の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第1の活性製剤マイクロ流体チャネル内に位置し、前記第1の妨害部が体液にさらされたときに破壊され、これにより、前記第1の活性製剤液体リザーバ内に収容されている前記第1の活性製剤が前記第1の活性製剤出口ポートから流れ出ることができ、
前記第2の活性製剤マイクロ流体チャネルは、前記第2の活性製剤中空マイクロニードルの近位端から遠位端まで延在する第2の中空部を通って延び、前記第2の活性製剤出口ポートは、前記第2の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第2の中空部に位置し、
前記第2の妨害部は、生分解性、生体吸収性、又は溶解性材料で作製され、前記第2の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第2の活性製剤マイクロ流体チャネル内に位置し、前記第2の妨害部が体液にさらされたときに破壊され、これにより、前記第2の活性製剤液体リザーバ内に収容されている前記第2の活性製剤が前記第2の活性製剤出口ポートから流れ出ることができ、
前記第1の活性製剤中空マイクロニードルおよび前記第4の活性製剤中空マイクロニードルの前記フィルムの前記第1の外側向きの主表面からの高さは、互いに異なり、
前記第1の活性製剤液体リザーバおよび前記第2の活性製剤液体リザーバの内の一方は、前記第1の活性製剤液体リザーバおよび前記第2の活性製剤液体リザーバの内の他方よりも前記第1の外側向きの主表面に近接して配置される、経皮送達デバイス。
【請求項2】
(d)第3の活性製剤サブシステムであって、
(i)前記フィルム内に配置された第3の活性製剤を収容する第3の活性製剤液体リザーバと、
(ii)前記フィルム内に配置され、前記第3の活性製剤液体リザーバと流体連通している、第3の活性製剤マイクロ流体チャネルと、
(iii)前記第3の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している、第3の活性製剤出口ポートと、
(iv)第3の活性製剤中空マイクロニードルと、を含む、第3の活性製剤サブシステム、を更に備え、
前記経皮送達デバイスが、前記第3の活性製剤液体リザーバ内に収容されている前記第3の活性製剤が前記第3の活性製剤出口ポートから流れ出ることを妨害する第3の妨害部を更に備え、
前記第3の活性製剤マイクロ流体チャネルは、前記第3の活性製剤中空マイクロニードルの近位端から遠位端まで延在する第3の中空部を通って延び、前記第3の活性製剤出口ポートは、前記第3の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第3の中空部に位置し、
前記第3の妨害部は、生分解性、生体吸収性、又は溶解性材料で作製され、前記第3の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第3の活性製剤マイクロ流体チャネル内に位置し、前記第3の妨害部が体液にさらされたときに破壊され、これにより、前記第3の活性製剤液体リザーバ内に収容されている前記第3の活性製剤が前記第3の活性製剤出口ポートから流れ出ることができる、請求項に記載の経皮送達デバイス。
【請求項3】
前記第1の活性製剤が、薬学的に許容される溶媒中のフェニレフリン塩酸塩又は薬学的に同等なフェニレフリン化合物の溶液を含む、請求項又はに記載の経皮送達デバイス。
【請求項4】
前記第1の活性製剤が、160mg~200mgの総量のフェニレフリン塩酸塩又は薬学的に同等なフェニレフリン化合物を含む、請求項に記載の経皮送達デバイス。
【請求項5】
前記第2の活性製剤が、薬学的に許容される溶媒中のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物又は薬学的に同等なデキストロメトルファン化合物の溶液を含む、請求項又はに記載の経皮送達デバイス。
【請求項6】
前記第2の活性製剤が、90mg~120mgの総量のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物又は薬学的に同等なデキストロメトルファン化合物を含む、請求項に記載の経皮送達デバイス。
【請求項7】
前記第3の活性製剤が、薬学的に許容される溶媒中のプソイドエフェドリン塩酸塩又は薬学的に同等なプソイドエフェドリン化合物の溶液を含む、請求項に記載の経皮送達デバイス。
【請求項8】
前記第3の活性製剤が、1500mg~1700mgの総量のプソイドエフェドリン塩酸塩又は薬学的に同等なプソイドエフェドリン化合物を含む、請求項に記載の経皮送達デバイス。
【請求項9】
センサを更に備える、請求項のいずれか一項に記載の経皮送達デバイス。
【請求項10】
前記センサが、経時的に送達される液体の量を検出する、請求項に記載の経皮送達デバイス。
【請求項11】
前記第1の活性製剤液体リザーバは、第1の再補充可能な液体リザーバであって、前記フィルムの前記第2の外側向きの主表面に配置された第1の入口ポートから、前記フィルム内に配置された第1の再補充チャネルを通して、新たな第1の活性製剤を前記第1の活性製剤液体リザーバ内に補充することができ、
前記第2の活性製剤液体リザーバは、第2の再補充可能な液体リザーバであって、前記フィルムの前記第2の外側向きの主表面に配置された第2の入口ポートから、前記フィルム内に配置された第2の再補充チャネルを通して、新たな第2の活性製剤を前記第2の活性製剤液体リザーバ内に補充することができる、請求項に記載の経皮送達デバイス。
【請求項12】
前記第1の活性製剤中空マイクロニードルおよび前記第2の活性製剤中空マイクロニードルの前記フィルムの前記第1の外側向きの主表面からの高さは、互いに同一であり、前記第4の活性製剤中空マイクロニードルおよび前記第2の活性製剤中空マイクロニードルの前記フィルムの前記第1の外側向きの主表面からの高さは、互いに異なる、請求項に記載の経皮送達デバイス。
【請求項13】
送達デバイスを製造するための方法であって、
(a)付加製造によって経皮送達デバイスを形成する工程であって、前記経皮送達デバイスが、
(i)第1の外側向きの主表面及び第2の外側向きの主表面を有するフィルムと、
(ii)第1の活性製剤サブシステムであって、
(A)前記フィルム内に配置され、第1の活性製剤入口ポートを有する第1の活性製剤液体リザーバと、
(B)前記フィルム内に配置され、前記第1の活性製剤液体リザーバと流体連通している、第1の活性製剤マイクロ流体チャネルおよび第4の活性製剤マイクロ流体チャネルと、
(C)前記第1の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している、第1の活性製剤出口ポート、及び、前記第4の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している、第4の活性製剤出口ポートと、
(D)第1の活性製剤中空マイクロニードル、及び、第4の活性製剤中空マイクロニードルと、を含む、第1の活性製剤サブシステムと、
(iii)第2の活性製剤サブシステムであって、
(A)前記フィルム内に配置され、第2の活性製剤入口ポートを有する第2の活性製剤液体リザーバと、
(B)前記フィルム内に配置され、前記第2の活性製剤液体リザーバと流体連通している、第2の活性製剤マイクロ流体チャネルと、
(C)前記第2の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している、第2の活性製剤出口ポートと、
(D)第2の活性製剤中空マイクロニードルと、を含む、第2の活性製剤サブシステムと、
(iv)前記第1の活性製剤液体リザーバ内に収容されている第1の活性製剤が前記第1の活性製剤出口ポートから流れ出ることを妨害する第1の妨害部と、
(v)前記第2の活性製剤液体リザーバ内に収容されている第2の活性製剤が前記第2の活性製剤出口ポートから流れ出ることを妨害する第2の妨害部と、を備える、工程と、
(b)前記第1の活性製剤液体リザーバを、前記第1の活性製剤入口ポートを通して前記第1の活性製剤を含む液体で充填する工程と、
(c)前記第2の活性製剤液体リザーバを、前記第2の活性製剤入口ポートを通して前記第2の活性製剤を含む液体で充填する工程と、
(d)前記第1の活性製剤入口ポートおよび前記第2の活性製剤入口ポートを閉じる工程と、を含み、
前記第1の活性製剤マイクロ流体チャネルは、前記第1の活性製剤中空マイクロニードルの近位端から遠位端まで延在する第1の中空部を通って延び、前記第1の活性製剤出口ポートは、前記第1の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第1の中空部に位置し、
前記第4の活性製剤マイクロ流体チャネルは、前記第4の活性製剤中空マイクロニードルの近位端から遠位端まで延在する第4の中空部を通って延び、前記第4の活性製剤出口ポートは、前記第4の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第4の中空部に位置し、
前記第1の妨害部は、生分解性、生体吸収性、又は溶解性材料で作製され、前記第1の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第1の活性製剤マイクロ流体チャネル内に位置し、前記第1の妨害部が体液にさらされたときに破壊され、これにより、前記第1の活性製剤液体リザーバ内に収容されている前記第1の活性製剤が前記第1の活性製剤出口ポートから流れ出ることができ、
前記第2の活性製剤マイクロ流体チャネルは、前記第2の活性製剤中空マイクロニードルの近位端から遠位端まで延在する第2の中空部を通って延び、前記第2の活性製剤出口ポートは、前記第2の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第2の中空部に位置し、
前記第2の妨害部は、生分解性、生体吸収性、又は溶解性材料で作製され、前記第2の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第2の活性製剤マイクロ流体チャネル内に位置し、前記第2の妨害部が体液にさらされたときに破壊され、これにより、前記第2の活性製剤液体リザーバ内に収容されている前記第2の活性製剤が前記第2の活性製剤出口ポートから流れ出ることができ、
前記第1の活性製剤中空マイクロニードルおよび前記第4の活性製剤中空マイクロニードルの前記フィルムの前記第1の外側向きの主表面からの高さは、互いに異なり、
前記第1の活性製剤液体リザーバおよび前記第2の活性製剤液体リザーバの内の一方は、前記第1の活性製剤液体リザーバおよび前記第2の活性製剤液体リザーバの内の他方よりも前記第1の外側向きの主表面に近接して配置される、方法。
【請求項14】
前記経皮送達デバイスが、
(iv)第3の活性製剤サブシステムであって、
(A)前記フィルム内に配置され、第3の活性製剤入口ポートを有する第3の活性製剤液体リザーバと、
(B)前記フィルム内に配置され、前記第3の活性製剤液体リザーバと流体連通している、第3の活性製剤マイクロ流体チャネルと、
(C)前記第3の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している、第3の活性製剤出口ポートと、
(D)第3の活性製剤中空マイクロニードルと、を含む、第3の活性製剤サブシステム、を更に備え、
前記経皮送達デバイスが、前記第3の活性製剤液体リザーバ内に収容されている第3の活性製剤が前記第3の活性製剤出口ポートから流れ出ることを妨害する第3の妨害部を更に備え、
前記方法が、
(e)前記第3の活性製剤液体リザーバを、前記第3の活性製剤入口ポートを通して前記第3の活性製剤を含む液体で充填する工程、を更に含み、
前記第3の活性製剤マイクロ流体チャネルは、前記第3の活性製剤中空マイクロニードルの近位端から遠位端まで延在する第3の中空部を通って延び、前記第3の活性製剤出口ポートは、前記第3の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第3の中空部に位置し、
前記第3の妨害部は、生分解性、生体吸収性、又は溶解性材料で作製され、前記第3の活性製剤中空マイクロニードルの前記遠位端における前記第3の活性製剤マイクロ流体チャネル内に位置し、前記第3の妨害部が体液にさらされたときに破壊され、これにより、前記第3の活性製剤液体リザーバ内に収容されている前記第3の活性製剤が前記第3の活性製剤出口ポートから流れ出ることができる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の活性製剤が、薬学的に許容される溶媒中のフェニレフリン塩酸塩又は薬学的に同等なフェニレフリン化合物の溶液を含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の活性製剤が、薬学的に許容される溶媒中のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物又は薬学的に同等なデキストロメトルファン化合物の溶液を含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項17】
前記第3の活性製剤が、薬学的に許容される溶媒中のプソイドエフェドリン塩酸塩又は薬学的に同等なプソイドエフェドリン化合物の溶液を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の活性製剤中空マイクロニードルおよび前記第2の活性製剤中空マイクロニードルの前記フィルムの前記第1の外側向きの主表面からの高さは、互いに同一であり、前記第4の活性製剤中空マイクロニードルおよび前記第2の活性製剤中空マイクロニードルの前記フィルムの前記第1の外側向きの主表面からの高さは、互いに異なる、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚表面で患者に有益剤を投与するためのデバイスに関する。より具体的には、本発明は、1種以上の有益剤を含む、マイクロ流体デバイス、並びにこれらのデバイスの製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚送達とは、皮膚に適用された有益剤を様々な皮膚層に大量輸送するプロセスを指す。皮膚への有益剤の適用には、長い歴史がある。従来の半固体基剤(クリーム、ゲル、軟膏)、マトリックス系(粘土、ポリマー)、及び液体系(溶液、エマルション、懸濁液)を含む多数の担体が、有益剤の皮膚適用に使用されている。
【0003】
ヒトの皮膚は、身体内への物質の経皮浸透に対する一次バリアとして機能する。経皮送達とは、皮膚表面上に適用された物質の大量輸送プロセスを指し、皮膚の各層による吸収、皮膚の微小循環による吸収、及び体循環における分散を含む。皮膚を通しての患者への有益剤の経皮送達は、送達の他の手段に勝る多くの利点を提供する。主に経皮送達は、有益剤を投与する快適で便利かつ非侵襲的な方法である。経皮送達はまた、有益剤製剤を患者に投与するための他の経路と比べ、他の利点を提供する。例えば、いくつかの有益剤の経口投与は、有益剤が胃腸管で破壊されるか、又は肝臓によって排泄されるため、有効ではない場合がある。これらは両方とも、経皮薬物送達では回避される。従来の皮下注射針を用いた非経口注射も、痛みが強く、不便であることが多いため、欠点がある。経皮性有益剤の送達もまた、任意の薬剤の血中濃度に対して高度な制御を可能にする。
【0004】
皮膚及び経皮送達は、有益剤を皮膚表面上にすり込むことによって達成され得る。しかし、有益剤の量及び位置の制御が問題である。パッチとしても知られる皮膚及び経皮デバイスは、有益剤の皮膚及び経皮送達に使用することが知られている。送達パッチは、皮膚の表面に特定の投薬量の薬剤を送達するために皮膚上に配置された薬用接着パッチである。これらのパッチは、典型的には、バッキング層及び接着剤層で構成される。多くの場合、有益剤(薬物、薬剤)は、接着剤層内に配置されるが、接着剤の表面上、又は別個の層若しくはリザーバ内に配置されてもよい。有益剤は、パッチから接着剤を通して、又はリザーバを覆う多孔膜を通して放出される。
【0005】
最近開発されたパッチは、皮膚表面へのマイクロ流体送達を使用するパッチである。マイクロ流体は、小さい、典型的にはサブミリメートルのスケールに幾何学的に制約され、かつ非常に小さい体積(ナノリットル又はピコリットルなど)を有する流体の挙動、精密な制御、及び操作を扱う科学である。
【0006】
マイクロ流体デバイスは、流体を移動、混合、分離、又は別の方法で処理する。多くの用途では、毛管力などの受動的流体制御技術が採用されている。いくつかの用途では、外部作動手段は、流体の方向付けられた移送に使用される。これらは、マイクロポンプ又はマイクロバルブなどの構成要素を含む。マイクロポンプは、連続的な方法で流体を供給するか、又は投与に使用される。マイクロバルブは、ポンプ液の流れ方向又は移動モードを決定する。
【0007】
経皮送達システムの主な欠点は、皮膚が非常に効果的なバリアであるという事実に起因し、結果として、分子が皮膚に浸透するのに十分に小さい薬物のみをこの方法によって送達することができる。現在、経皮パッチ形態で多種多様な有益剤が利用可能である。
【0008】
無傷の皮膚の問題に対処するために、様々なマイクロニードルアレイに基づく薬物送達デバイスが開発されてきた。これらの既知のマイクロニードル(又はマイクロ突起)アレイは、一般的に、2つの設計カテゴリー、すなわち(1)活性要素を含まない中実マイクロニードルアレイ、及び(2)中央に中空の穴を有するマイクロニードル、のうちの1つに含まれ、それらは従来の皮下針と同様である。
【0009】
中実送達デバイスは、生体担体又は従来のパッチを局所適用する前に、経皮薬物穿通を促進するために角質層及び表皮上部層に穿刺することによって、皮膚を予め調整することができる。中実送達デバイスが皮膚内に保持されている場合、穴がマイクロニードルで塞がれたままであるため、薬物は、皮膚内の穴を通って内部に流れていくことが容易にはできない。この方法は、皮膚の浸透性を著しく増加させることが示されている。しかしながら、この方法は、投薬量及び送達される薬物又はワクチンの量を制御するには、制限された能力しか与えない。
【0010】
投薬量制御を増加させるために、いくつかの方法は、薬物で表面被覆された中実マイクロニードル、又は生分解性、生体吸収性、若しくは溶解性の中実マイクロニードルを使用する。これらの方法は、いくらか良好になった投薬量制御を与えるが、送達される薬物の量は大幅に制限される。また、薬物製剤は、マイクロニードルの保管、輸送、又は投与(挿入)中に、マイクロニードルから容易に削ぎ落すことができる。より厚く強い薬物製剤の層の適用は、マイクロニードルの鋭利さを減らし、そのため、挿入がより困難になり、痛みを伴うため、望ましくない場合がある。この欠点により、これらの手法の広範な適用が制限され、例えば、ワクチン適用において、最適な量の抗原及び/又はアジュバントの組み合わせの同時送達が除外される。
【0011】
有益剤のリザーバに取り付けられた、中空の穴を有するマイクロニードルも知られている。これらのアレイの注射器針型の特徴は、送達の速度及び正確さ、並びに送達される薬剤の量を著しく高めることができる。しかしながら、リザーバ型の送達デバイスは、製造するのが高価であり、複雑で高価な微細加工手順を必要とする。機械加工技術を用いて中空のマイクロニードル上に鋭利な先端部を製造するのは困難である。したがって、患者の皮膚へのマイクロニードルの挿入は、困難な場合があり、痛みを伴うことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
パッチデバイスを使用した有益剤の皮膚又は経皮送達は、他の送達方法よりも魅力的な理論上の利点を提供する。しかしながら、従来のプロセスを用いて構築されたパッチに関連する設計、製造及び試験には、かなりの実用上の制限が存在する。また、複数の有益剤を同時に送達するパッチを使用する皮膚又は経皮投与のための、単純で、効果的で、かつ経済的に望ましいデバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、
(a)第1の外側向きの主表面及び第2の外側向きの主表面を有するフィルムと、
(b)フィルム内に収容された少なくとも1つの液体リザーバと、
(c)フィルム内に配置され、少なくとも1つの液体リザーバと流体連通している、約100nm~0.5mmの横方向寸法を有する少なくとも1つのマイクロ流体チャネルと、
(d)少なくとも1つのマイクロ流体チャネルと流体連通しているフィルムの第1の外側向きの主表面に作動的に接続された少なくとも1つの出口ポートと、を備える、皮膚送達デバイスに関する。
【0014】
本発明の別の態様は、
(a)第1の外側向きの主表面及び第2の外側向きの主表面を有するフィルムと、
(b)フィルム内に収容された複数の液体リザーバと、
(c)フィルム内に配置された約100nm~0.5mmの主要横方向寸法を有する少なくとも1つのマイクロ流体チャネルと流体連通している各液体リザーバと、
(d)少なくとも1つのマイクロ流体チャネルと流体連通している、フィルムの第1の外側向きの主表面に作動的に接続された少なくとも1つの出口ポートと、を備える、皮膚送達デバイスに関する。
【0015】
本発明の第3の態様は、
(a)第1の外側向きの主表面及び第2の外側向きの主表面を有するフィルムと、
(b)フィルム内に収容された少なくとも1つの液体リザーバと、
(c)フィルム内に配置され、少なくとも1つの液体リザーバと流体連通している、(約100nm~0.5mmの主要横方向寸法を有する)少なくとも1つのマイクロ流体チャネルと、
(d)少なくとも1つのマイクロ流体チャネルと流体連通しているフィルムの第1の外側向きの主表面に作動的に接続された少なくとも1つの出口ポートと、
(e)少なくとも1つの出口ポートと流体連通している少なくとも1つのマイクロニードルと、を備える、経皮送達デバイスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態のマイクロ流体送達デバイスの斜視図である。
図2図1のマイクロ流体送達デバイスの一部の2-2面に沿った断面図である。
図3図1のマイクロ流体送達デバイスの第2の実施形態の2-2面に沿った断面図である。
図4図1のマイクロ流体送達デバイスの第3の実施形態の2-2面に沿った断面図である。
図5図1のマイクロ流体送達デバイスの第4の実施形態の5-5面に沿った断面図である。
図6】本発明の第5の実施形態のマイクロ流体送達デバイスの斜視図である。
図7図6のマイクロ流体送達デバイスの一部の上面図である。
図8図6のマイクロ流体送達デバイスの一部の8-8面に沿った断面図である。
図9】第6の実施形態のマイクロ流体送達デバイスの一部の断面図である。
図10】第7の実施形態のマイクロ流体送達デバイスの一部の断面図である。
図11】マイクロニードルが患者の皮膚に穿通した後の図10のマイクロ流体送達デバイスの一部の断面図である。
図12】本発明の第8の実施形態のマイクロ流体送達デバイスの斜視図である。
図13図12のマイクロ流体送達デバイスの一部の12-12面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、マイクロ流体送達デバイスを使用して、複数の有益剤を患者に皮膚又は経皮投与するためのデバイス、並びにこれらのデバイスの製造方法及び使用方法に関する。
【0018】
本開示の主題は、これから、代表的な実施形態が示される添付の図及び実施例を参照して、以下でより完全に説明される。しかしながら、本開示の主題は、異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、本明細書に記載される特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全となり、また、当業者に本実施形態の範囲を完全に伝えるように提供される。別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、ここに記載された主題が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「局所」との用語及びその変形語は、「身体の隔離された部分、又はその部分に適用されること」を意味する。この用語には、直接的に、又はバイオフィルムなどの中間体を介してのいずれかで、皮膚、粘膜及びエナメル質が含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「有益剤」は、美容的又は治療的に、例えば、皮膚又は身体の症状又は状態を改善し、緩和し、低減し、又は治療するという利益を与える成分又は材料を意味する。「有益剤」に使用する他の用語としては、「生物学的」、「活性成分」、「活性製剤」、又は「生物活性材料」が挙げられる。これらの用語は全て、医薬的に活性な薬剤、例えば、鎮痛剤、麻酔剤、抗喘息剤、抗生物質、抗鬱剤、抗糖尿病剤、抗真菌剤、抗高血圧剤、抗炎症剤、抗新生物剤、抗不安薬、酵素活性剤、核酸構築物、免疫刺激剤、免疫抑制剤、ワクチンなどを指す。有益剤材料は、可溶性材料、不溶性であるが分散性の材料、天然又は配合されたマクロ粒状物、ミクロ粒状物及びナノ粒状物、並びに/又は可溶性材料、分散性の不溶性材料、天然又は配合されたマクロ粒状物、ミクロ粒状物及びナノ粒状物のうち2つ以上の混合物を含んでいてもよい。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「マイクロ流体送達デバイス」は、一般に、材料、特に液体などの流体による材料を通して、いくつかの実施形態ではマイクロスケールで、いくつかの実施形態ではナノスケールで移送することができるデバイスを指す。したがって、本開示の主題によって説明されるマイクロ流体デバイスは、マイクロスケールの特徴、ナノスケールの特徴、及び/又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0022】
したがって、マイクロ流体デバイスは、典型的には、マイクロリットル/分以下程度の流量で流体を操作することができる、ミリメートルスケール以下程度で寸法決めされた構造的又は機能的特徴を含む。典型的には、このような特徴としては、チャネル、流体リザーバ、反応チャンバ、混合チャンバ、及び分離領域が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、チャネルは、約100ナノメートル~約0.5ミリメートル(約500マイクロメートル)の少なくとも1つの横方向寸法を有する。この程度での寸法の使用により、より小さい領域に多数のチャネルを組み込むことができ、より小さい体積の流体を利用することができる。
【0023】
マイクロ流体デバイスは、単独で存在することができるか、又はマイクロ流体システムの一部であってもよく、これは、例えば、限定するものではないが、流体、例えば試薬、緩衝液などをシステム内及び/又はシステムを通して導入するためのポンプ、検出装置又はシステム、試薬、製品、又はデータ格納システム、並びにデバイス内の流体輸送及び/又は方向を制御し、デバイス内の流体が受ける、例えば温度、電流などの環境条件を監視及び制御するための制御システムを挙げることができる。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「チャネル」、「マイクロスケールチャネル」、及び「マイクロ流体チャネル」は、互換的に使用され、材料に形成された凹部若しくは空洞を意味することができ、又は、チューブ、キャピラリなどの凹部若しくは空洞に装着された任意の好適な流体伝導構造と組み合わせた凹部若しくは空洞を意味することができる。用語「フローチャネル」及び「制御チャネル」は、互換的に使用され、流体、例えば液体などの材料が通って流れることができるマイクロ流体デバイス内のチャネルを意味することができる。より具体的には、用語「フローチャネル」は、対象とする材料が流れることができるチャネルを指す。より具体的には、このようなチャネルは、マイクロ流体デバイスの材料に浸透しない流体で満たされる。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「バルブ」は、特に指示がない限り、2つのチャネルが、チャネルのうちの一方(例えば、フローチャネル)について、他方のチャネル、例えば、制御チャネルに加えられる作動力に応答して、中へ撓められるか、又はそこから後退することができるエラストマーセグメントによって分離される構成を指す。用語「バルブ」はまた、ビードによって分離されたチャネルを含む一方向バルブも含む。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「パターン」は、いくつかの実施形態では、所定の点で交差することができる、チャネル又はマイクロ流体チャネル又は統合したマイクロ流体チャネルのネットワークを意味し得る。パターンはまた、流体リザーバ又はマイクロ若しくはナノスケール流体リザーバ、マイクロ又はナノスケールの反応チャンバ、マイクロ又はナノスケールの混合チャンバ、マイクロ又はナノスケール分離領域、表面テクスチャ、マイクロ及び/又はナノ凹部及び/又は凸部を含むことができる表面上のパターンのうちの1つ以上を含むことができる。表面パターンは、規則的又は不規則的であり得る。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「交差する」は、ある点で合流すること、ある点で合流し、通り越す若しくは横切ること、又はある点で合流し重なり合うことを意味し得る。より具体的には、本明細書で使用するとき、用語「交差する」は、2つ以上のチャネルがある点で合流するか、ある点で合流し、互いを通り越す若しくは互いに横切るか、又はある点で合流し、互いに重なり合う実施形態を説明する。したがって、いくつかの実施形態では、2つのチャネルは、交差する、すなわち、ある点で合流するか、又はある点で合流し、互いを通り越すことができ、互いに流体連通することができる。いくつかの実施形態では、フローチャネルと制御チャネルとが交差する場合のように、2つのチャネルは、交差する、すなわち、ある点で合流し、互いに重なり合うことができ、互いに流体連通することができない。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「連通する」(例えば、第1の構成要素は、第2の構成要素「と連通する」か又は第2の構成要素「と連通している」)及び、その文法的な変形は、2つ以上の構成要素若しくは要素間の構造的、機能的、機械的、電気的、光学的、若しくは流体的関係、又はこれらの任意の組み合わせを示すために使用される。したがって、1つの構成要素が第2の構成要素と連通すると言われるという事実は、追加の構成要素が第1及び第2の構成要素の間に存在し得る、かつ/又は第1及び第2の構成要素と動作可能に関連する、又は係合する可能性を排除することを意図するものではない。
【0029】
流体の収容又は移動を取り扱うためにマイクロ流体デバイスの使用を参照すると、デバイス「内に(in)」、「上に(on)」、「の中へ(into)」、「の上へ(onto)」、及び「を横切って(across)」という用語は、一般に、同等の意味を有する。本明細書で使用するとき、用語「モノリシック」は、単一の均一な構造を有するか、又は単一の均一な構造として作用する構造を指す。
【0030】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体送達デバイスは、より剛性であってもよく、局所的な輪郭と整合するように、記載された三次元形状として構築されてもよい。送達デバイスは、治療への適用をより効果的に可能にするために、様々な個人に向けた領域特有の治療ゾーンを有していてもよい。個々のユーザの身体部分のプロファイルに整合した設計を物理的なガイドとして使用すると、適用は、より容易に、かつより効果的になり、適用のための正確な領域に特定の標的ゾーンを配置するのに役立ち得る。
【0031】
図面を参照すると、図1は、本発明で使用可能なマイクロ流体送達デバイス10の第1の実施形態の斜視図である。送達デバイス10は、フィルム20を含んでおり、フィルム20は、第1の外側向きの主表面22と、第2の外側向きの主表面24とを有している。第1の外側向きの主表面22は、その上に配置された複数の出口ポート32を有する。
【0032】
図1では、送達デバイス10は、長方形の取り付け領域を有するように示されている。送達デバイス10のフィルム20はまた、皮膚治療の場所に応じて、様々な形状を有していてもよい。フィルム20によって残される取り付け領域のあり得る形状としては、限定されないが、正方形、長方形、三角形、円形、楕円形、腎臓形、星形、十字形、文字の形などが挙げられる。このような形状の角部は、存在する場合には、潜在的な持ち上げ/取り外し点を減らすように角度が付けられていてもよく、又は湾曲していてもよい。治療ゾーンは、約1,000cmより大きくてもよく、約1,000cm、又は約100cm、又は約10cm、又は約1cm、又は1cm未満であってもよい。
【0033】
図1の送達デバイス10は、平面状であることが示されている。いくつかの実施形態では、アレイは、曲線であってもよい。身体表面に合わせて形成された曲線の送達デバイスにより、治療中の孤立した身体部分にアレイが良好に保持されてよい。
【0034】
フィルム20上に配置された出口ポート32は、図1の円形断面を有するように示されているが、様々な断面形状も有してもよい。出口ポート32の考えられ得る形状としては、正方形、長方形、三角形、円形、楕円形、腎臓形、星形、十字、文字などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
送達デバイス10のフィルム20要素は、好ましくは、比較的薄く、可撓性であり、それにより、好ましくは、容易にユーザの皮膚に沿い、装着が快適であり、これらのいずれも、可撓性及び形状適合性、並びにその薄さによるものである。本発明の送達デバイス10は、長時間の装着を意図していてもよく、また好ましくは、剥離、皺、割れのいずれもなく、又は油っぽさ若しくはべとつきの現れることがなく、又はそうでなくとも本質的に不快ではなく、若しくは見栄えのよくない状態ではなく、美的に洗練されたものとして形成される。送達デバイス10は、好ましくは、皮膚上にあるときに通常の使用に耐え得る十分な剛性及び一体性を有して形成される。いくつかの実施形態では、本発明の送達デバイス10は、好ましくは、衣類の擦れなどの皮膚が受け得る通常の外力にさらされたときに、皮膚上で無傷な状態で保たれるように十分な強度を有して形成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、フィルム20の第1の外側向きの主表面22は、その上に接着剤層が配置されている。接着剤層を使用し、通常の外力にさらされたときに皮膚上で無傷な状態で保たれるように、送達デバイス10に十分な強度を与えてもよい。アレイが皮膚上で無傷な状態で保たれるように、送達デバイス10に十分な強度を与える他の手段について、以下に記載する。
【0037】
図2は、図1の2-2面に沿った送達デバイス10の一部の断面図である。図は、フィルム20内に収容された液体リザーバ30、並びにフィルム20の第1の外側向きの主表面22上に配置された複数の出口ポート32を示す。有益剤は、液体リザーバ30内に配置されている。マイクロ流体チャネル34(約100ナノメートル~約0.5ミリメートルの横方向寸法を有する)は、フィルム20内に配置され、リザーバ30と流体連通している。出口ポート32は、少なくとも1つのマイクロ流体チャネル34と流体連通しているフィルム20の第1の外側向きの主表面22に作動的に接続されている。
【0038】
図はまた、液体リザーバ30から出口ポート32まで一定の幅であるものとしてマイクロ流体チャネル34を示す。他の実施形態では、マイクロ流体チャネル34は、一方の端部から他方の端部まで先細になってもよい。これらマイクロ流体チャネルが、液体リザーバ30のより広い方から出口ポート32のより細い方へ先細になっている場合、毛管流は、液体がフィルム20の外側向きの主表面22へ移動するのを助けることができる。
【0039】
有益剤は、液体リザーバ30内に配置される。いくつかの実施形態では、有益剤は、製造プロセス中に液体リザーバ30内に配置される。他の実施形態では、有益剤は、マイクロ流体送達デバイス10が作製された後(製造後)に液体リザーバ30内に配置される。
【0040】
いくつかの実施形態では、有益剤は、液体リザーバ30を1つ以上のマイクロ流体チャネル34を介して充填することによって、製造後に液体リザーバ30内に配置される。他の実施形態では、マイクロ流体送達デバイス10は、液体リザーバ30と流体連通しているフィルム20の第1の外側向きの主表面22又は第2の外側向きの主表面24に作動的に接続された充填チャネル(図示せず)を用いて製造することができる。
【0041】
図2に示す実施形態では、フィルム20内に収容された1つの液体リザーバ30が存在する。液体リザーバ30は、第1の外側向きの主表面22よりも第2の外側向きの主表面24に近接して配置される。他の実施形態では、複数の液体リザーバが存在してもよく、それらは、送達デバイスを含むフィルム内の異なる位置にあってもよい。図3は、同様の2-2平面に沿ったマイクロ流体送達デバイス100の第2の実施形態の断面図である。送達デバイス100は、フィルム120を含んでおり、フィルム120は、第1の外側向きの主表面122と、第2の外側向きの主表面124とを有している。第1の外側向きの主表面122は、その上に配置された複数の第1の出口ポート132と、第2の出口ポート142とを有する。
【0042】
第1の液体リザーバ130及び第2の液体リザーバ140は、フィルム120内に収容される。同じ又は異なる有益剤が、液体リザーバ130及び140内に配置され得る。フィルム120内に配置された第1のマイクロ流体チャネル134は第1の液体リザーバ130と流体連通しており、出口ポート132は、少なくとも1つの第1のマイクロ流体チャネル134と流体連通しているフィルム120の第1の外側向きの主表面122に、作動的に接続されている。フィルム120内に配置された第2のマイクロ流体チャネル144は、第2の液体リザーバ140と流体連通しており、第2の出口ポート142は、少なくとも1つの第2のマイクロ流体チャネル144と流体連通しているフィルム120の第1の外側向きの主表面122に作動的に接続されている。この実施形態では、第1の液体リザーバ130は、第2の液体リザーバ140よりも第2の外側向きの主表面124に近接して配置される。
【0043】
マイクロ流体チャネルのパターンは、統合したマイクロ流体チャネルのネットワークであり、いくつかの実施形態では、所定の点で交差することができる。図2及び図3では、パターンは単純である。直線経路におけるマイクロ流体チャネルの流れは、フィルムの第1の外側向きの主表面に対して液体リザーバを形成する。他の実施形態では、マイクロ流体チャネルのパターン、又は液体リザーバのパターンは、より複雑であり得る。
【0044】
図4は、同様の2-2平面に沿ったマイクロ流体送達デバイス200の第3の実施形態の断面図である。送達デバイス200は、フィルム220を含んでおり、フィルム220は、第1の外側向きの主表面222と、第2の外側向きの主表面224とを有している。第1の外側向きの主表面222は、その上に配置された複数の出口ポートを有する。この実施形態では、フィルム220内に収容された第1の液体リザーバ230、第2の液体リザーバ240、第3の液体リザーバ250、及び第4の液体リザーバ260の4つの液体リザーバが存在する。同じ又は異なる有益剤が、液体リザーバ230、240、250、及び260内に配置されてもよい。
【0045】
フィルム220内に配置された第1のマイクロ流体チャネル234a及び234bは、第1の液体リザーバ230と流体連通しており、出口ポート232aは、少なくとも1つの第1のマイクロ流体チャネル234aと流体連通しているフィルム220の第1の外側向きの主表面222に作動的に接続されており、出口ポート232bは、少なくとも1つの第1のマイクロ流体チャネル234bと流体連通しているフィルム220の第1の外側向きの主表面222に作動的に接続されている。出口ポート232bは、出口ポート232aよりも第1の液体リザーバ230から著しく遠い。
【0046】
フィルム220内に配置された第2のマイクロ流体チャネル244は、第2の液体リザーバ240と流体連通しており、第2の出口ポート245は、第2のマイクロ流体チャネル244と流体連通しているフィルム220の第1の外側向きの主表面222に作動的に接続されている。フィルム220内に配置された第3のマイクロ流体チャネル254a及び254bは、第3の液体リザーバ250と流体連通している。第2の出口ポート245もまた、第3のマイクロ流体チャネル254aと流体連通しているフィルム220の第1の外側向きの主表面222に作動的に接続されている。第3のマイクロ流体チャネル254aは、第3の液体リザーバ250と流体連通している。したがって、この実施形態では、第2のマイクロ流体チャネル244及び第3のマイクロ流体チャネル254aは、第2の出口ポート245で交差し、それによって第2の液体リザーバ240の内容物が第3の液体リザーバ250の内容物と混合することを可能にする。
【0047】
第3の出口ポート255は、第3のマイクロ流体チャネル254b及び第3の液体リザーバ250と流体連通しているフィルム220の第1の外側向きの主表面222に作動的に接続されている。第3の出口ポート255もまた、第4のマイクロ流体チャネル264aと流体連通しているフィルム220の第1の外側向きの主表面222に作動的に接続されている。フィルム220内に配置された第4のマイクロ流体チャネル264aもまた、第4の液体リザーバ260と流体連通している。したがって、この実施形態では、第3のマイクロ流体チャネル254a及び第4のマイクロ流体チャネル264aは、第3の出口ポート255で交差し、それによって第3の液体リザーバ250の内容物が第4の液体リザーバ260の内容物と混合することを可能にする。
【0048】
最後に、第4の出口ポート262は、第4のマイクロ流体チャネル264bと流体連通しているフィルム220の第1の外側向きの主表面222に作動的に接続されている。フィルム220内に配置された第4のマイクロ流体チャネル264bは、第4の液体リザーバ260と流体連通している。したがって、第4の液体リザーバ260の内容物は、任意の他の液体リザーバの内容物と混合されることなく、皮膚の表面に送達され得る。
【0049】
第3の実施形態におけるマイクロ流体チャネルのパターン(図4に示す)は、第1の2つの実施形態に示されるものよりも複雑である。マイクロ流体チャネル及び液体リザーバの両方のより複雑なパターンが図5に示されている。図は、図1のデバイスの5-5平面に沿って示された、本発明のマイクロ流体送達デバイスの第4の実施形態の断面図である。この実施形態では、送達デバイス300は、第1の外側向きの主表面及び第2の外側向きの主表面(図示せず)を有するフィルム320を含む。送達デバイス300内には、第1の液体リザーバ330、第2の液体リザーバ331、第3の液体リザーバ340、第4の液体リザーバ350、第5の液体リザーバ360、及び第6の液体リザーバ370の6つの液体リザーバが存在する。点線で示されるのは、第1の外側向きの主表面上に位置する出口ポート332である。
【0050】
全ての出口ポート332は、マイクロ流体チャネルと流体連通しているフィルム320の第1の外側向きの主表面、並びにフィルム内の液体リザーバに作動的に接続されている。第1の液体リザーバ330及び第2の液体リザーバ331の直上に位置する出口ポート332は、マイクロ流体チャネル(図示せず)内の流れが液体リザーバ330及び331からフィルムの第1の外側向きの主表面への直線経路内にあるパターンをもたらす。第3の液体リザーバ340と第4の液体リザーバ350との間、又は第4の液体リザーバ350と第5の液体リザーバ360との間に位置する出口ポート332は、1つ又は2つ以上のマイクロチャネル(図示せず)によって供給されてもよい。
【0051】
フィルム320内に配置された液体リザーバ330、331、340、350、及び360は、図5に長方形断面を有するように示されているが、様々な断面形状も有してもよい。液体リザーバの考えられ得る形状としては、正方形、長方形、三角形、円形、楕円形、腎臓形、星形、十字などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
第6の液体リザーバ370は、第1の端部376aから第2の端部376bまで先細になるように示されている。第6の液体リザーバ370の直上に位置する出口ポート332は、マイクロ流体チャネル(図示せず)内の流れが、第6の液体リザーバ370からフィルムの第1の外側向きの主表面への直線経路内にあるパターンをもたらす。マイクロチャネル384は、第6の液体リザーバ370の第2の端部376bから送達デバイス300の向こう側への液体の流れを可能にするものとして示されている。マイクロチャネル384は、第1の端部386aから第2の端部386bまで先細となる。これは、マイクロチャネル384の第1の端部から第2の端部までの液体の毛管流を増大させるために行われてもよい。
【0053】
ここまで説明された全ての実施形態は、患者に皮膚の表面にて有益剤(複数可)を送達するために使用される。無傷の皮膚の問題に対処するために、様々なマイクロニードルアレイに基づくマイクロ流体送達デバイスが使用されてもよい。
【0054】
図6は、本発明で使用され得る第5の実施形態のマイクロ流体送達デバイス500の斜視図である。送達デバイス500は、フィルム520を含んでおり、フィルム520は、第1の外側向きの主表面522と、第2の外側向きの主表面524とを有している。第1の外側向きの主表面522は、そこから延在する複数の角質層穿刺中空マイクロニードル610と、角質層穿刺中実マイクロニードル620とを有する。各中空マイクロニードル610は、近位端612と遠位端614とを有し、近位端612は、送達デバイス500の第1の外側向きの主表面522上に配置された中空マイクロニードル610の端部である。出口ポート532は、中空マイクロニードル610の遠位端614上に配置されている。各中実マイクロニードル620は、近位端622と遠位端624とを有し、近位端622は、送達デバイス500の第1の外側向きの主表面522に配置された中空マイクロニードル620の端部である。
【0055】
送達デバイス500は、長方形の取り付け領域を有するように示されている。送達デバイス500のフィルム520はまた、限定されないが、正方形、長方形、三角形、円形、楕円形、腎臓形、星形、十字形、文字などが挙げられる様々な形状を有してもよい。治療ゾーンは、約1,000cmよりも大きくてもよく、約1,000cm、又は約100cm、又は約10cm、又は約1cm、又は1cm未満であってもよい。
【0056】
図6の送達デバイス500は、平面状であることが示されている。いくつかの実施形態では、アレイは、曲線であってもよい。身体表面に合わせて形成された曲線の送達デバイスにより、その表面に対して垂直に配向したマイクロニードル610、620が得られる。これにより、治療のためのより良いマイクロニードルの穿通、及びアレイの保持がもたらされる。
【0057】
送達デバイス500のフィルム520要素は、好ましくは、ユーザの皮膚に容易に適合し、その順応性のために着用が快適であるように、比較的薄くかつ可撓性である。デバイス500は、長時間の装着を意図していてもよく、そのため、剥離、皺、割れのいずれもなく、又は油っぽさ若しくはべとつきの現れることがなく、又はそうでなくとも本質的に不快ではない若しくは見栄えのよくない状態ではなく、美的に洗練されたものとして形成される。デバイスは好ましくはユーザの皮膚に置かれた場合の通常の使用に耐え得る充分な剛性及び一体性を有して形成される。
【0058】
いくつかの実施形態では、送達デバイス500は、衣類の擦れなどの皮膚が受け得る通常の外力にさらされたときに、皮膚上で無傷な状態で保たれるように十分な強度を有して形成される。いくつかの実施形態では、中空マイクロニードル610及び角質層穿刺中実マイクロニードル620は、送達デバイス500を皮膚上で無傷の状態に維持するのに十分である。他の実施形態では、フィルム520の第1の外側向きの主表面522は、その上に接着剤層が配置されている。接着剤層を使用し、通常の外力にさらされたときに皮膚上で無傷な状態で保たれるように、送達デバイス500に十分な強度を与えてもよい。あるいは、マイクロニードル610、620は、ニードルを所定位置に保持するために所望の表面構造、例えば、わずかに方向性のある隆起を有していてもよい。
【0059】
図7は、図6の送達デバイスの一部の上面図である。図は、送達デバイス500の対向する主表面522から延在する角質層穿刺中空マイクロニードル610及び角質層穿刺中実マイクロニードル620を示す。各中空マイクロニードル610は、近位端612と遠位端614とを有している。各中実マイクロニードル620は、近位端622と遠位端624とを有している。
【0060】
中空マイクロニードル610の遠位端614上に配置された出口ポート532は、図7の円形断面を有するように示されているが、様々な断面形状を有してもよい。出口ポート532のあり得る形状としては、正方形、長方形、三角形、円形、楕円形、腎臓形、星形、十字などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
図に示されるように、中空マイクロニードル610及び中実マイクロニードル620は、送達デバイス500の第1の外側向きの主表面522上に均一な正方形パターンで列状に配置されている。他の実施形態では、610及び中実マイクロニードル620は、他のパターンで配置されてもよい。
【0062】
図8は、図6の8-8面に沿った送達デバイス500の一部の断面図である。図は、フィルム520内に収容された液体リザーバ530を示す。加えて、図は、複数の中実マイクロニードル620を示し、各中実マイクロニードルは近位端622及び遠位端624を有し、同様に複数の中空マイクロニードル610を示し、各中空中実マイクロニードルは近位端622及び遠位端624を有する。各中空マイクロニードル610は、その遠位端614上に配置された出口ポート532を有する。
【0063】
有益剤は、液体リザーバ530内に配置されている。マイクロ流体チャネル534(約100ナノメートル~約0.5ミリメートルの横方向寸法を有する)は、フィルム520内に配置され、リザーバ530と流体連通している。出口ポート532は、少なくとも1つのマイクロ流体チャネル534と流体連通している中空マイクロニードル610の遠位端614に作動的に接続されている。
【0064】
図は、液体リザーバ530から出口ポート532まで一定の幅であるとしてマイクロ流体チャネル534を示す。他の実施形態では、マイクロ流体チャネル534は、一方の端部から他方の端部まで先細になってもよい。これらマイクロ流体チャネルが、液体リザーバ530のより広い方から出口ポート532のより細い方へ先細になっている場合、毛管流は、液体が液体リザーバ530から出口ポート532へ移動するのを助けることができる。
【0065】
中実マイクロニードル620は、有益剤で表面被覆されてもよく、又は1種若しくは複数種の有益剤が混合された生分解性、生体吸収性、若しくは溶解性の材料で作製されてもよい。
【0066】
マイクロニードル610、620の寸法は、送達される有益剤の種類、送達される有益剤の投薬量、及び望ましい穿通深さなどの種々の因子に応じて変化し得る。一般に、角質層穿刺マイクロニードルは、皮膚穿刺機能及び有益剤送達機能を与えるように構築されるため、皮膚への挿入及び皮膚からの引抜に耐えるように十分に丈夫であるように設計される。各マイクロニードルは、長さが約1マイクロメートル(μm)~約5000マイクロメートル(μm)、又は約1μm~約500μm、又は約100μm~約500μmである。マイクロニードルの生体障壁への穿通長さは、約50μm~約200μmである。加えて、各マイクロニードルは、幅が約1μm~約500μmである。更に、各マイクロニードルは、厚さが約1μm~約200μmである。角質層穿刺マイクロニードルの幅及び厚さは、その長さ方向に沿って変化し得ることが当業者には理解される。例えば、ベース部分は、本体部分よりも幅広く(より厚く)てもよく、又は本体部分は、先端部分に近づくにつれてわずかに先細形状を有していてもよい。
【0067】
一般に、角質層穿刺マイクロニードル610、620は、患者への痛みを最小限にしつつ、皮膚穿刺及び有益剤送達を与えるのに適した任意の細長い形状であってもよい。種々の実施形態では、個々のマイクロニードルは、実質的に円筒形、くさび形、円錐形、又は三角形(例えば、ブレード様)である。マイクロニードルの断面形状(マイクロニードルの平面基材に対してほぼ平行な面に沿って、又はマイクロニードルの長手方向軸に対してほぼ垂直な面に沿って切断)、又は皮膚に穿通し得るマイクロニードルの少なくとも一部分は、長方形、正方形、楕円形、円形、菱形、三角形又は星形を含む種々の形態をとっていてもよい。
【0068】
角質層穿刺マイクロニードル610、620の先端部分は、生体障壁に穿刺し、例えば、患者の皮膚の角質層に穿刺し、有益剤を患者の組織に送達するように設計されている。好ましくは、各マイクロニードルの先端部分は、最小限の痛みで皮膚の穿刺及び穿通を可能にするために十分に小さくかつ鋭利であるべきである。好ましい実施形態では、マイクロニードルの先端部は、本体部分から先端に向かって先細になっており、マイクロニードルの端部にある点又は頂点を画定する。様々な実施形態にでは、先細形状先端部分は、先端部において斜角の形態であってもよく、又はピラミッド形状又は円錐形状又は三角形状であってもよい。
【0069】
本発明の送達デバイスのマイクロニードルはまた、種々の長さ及び幾何形状のものでもよい。図9は、第6の実施形態の送達デバイス700の一部の断面図である。送達デバイス700は、フィルム720を含んでおり、フィルム720は、第1の外側向きの主表面722と、第2の外側向きの主表面724とを有している。図は、フィルム720内に収容された液体リザーバ730を示す。第1の外側向きの主表面722は、そこから延在する複数の角質層穿刺中空マイクロニードル740、750、760、及び770を有する。
【0070】
この実施形態では、様々な中空マイクロニードル角質層穿刺マイクロニードルの長さ及び形状が提示される。中空マイクロニードル740は、円筒形の形状であり、近位端742から遠位端744まで先細形状がない。出口ポート746は、中空マイクロニードル740の遠位端744上に配置される。中空マイクロニードル750は、円筒形の近位端752を有しており、遠位端754のある点まで先細になる。出口ポート756は、中空マイクロニードル750の遠位端754上に配置される。中空マイクロニードル760は、円錐形状であり、近位端762から遠位端764まで先細形状になっている。出口ポート766は、中空マイクロニードル760の遠位端764上に配置される。最後に、中空マイクロニードル770は、近位端772と遠位端774とを有し、波形形状を有する。出口ポート776は、中空マイクロニードル770の遠位端774上に配置される。
【0071】
中空マイクロニードル740及び750は、フィルム720の第1の外側向きの主表面722からhの高さまで延在する一方で、中空マイクロニードル760及び770は、フィルム720の第1の表面722からhの高さまで延在する。
【0072】
有益剤は、液体リザーバ730内に配置されている。マイクロ流体チャネル734(約100ナノメートル~約0.5ミリメートルの横方向寸法)は、フィルム720内に配置され、リザーバ730と流体連通している。出口ポート746、756、766、及び776は、少なくともマイクロ流体チャネル734と流体連通している。
【0073】
この実施形態では、高さhは、hの高さよりも高く、液体リザーバ730に収容された有益剤に対してユーザの皮膚へのより浅い穿通及びより深い穿通の両方の希望が存在し得る。この図は、中空マイクロニードル740及び750が、均一な高さhのものであり、一方、中空マイクロニードル760及び770が、均一な高さhのものであることを示しているが、他の実施形態では、マイクロニードルが、任意の数の異なる高さのものでもよいことが理解されるべきである。
【0074】
図10は、マイクロ流体送達デバイス800の第7の実施形態の断面図である。送達デバイス800は、フィルム820を含んでおり、フィルム820は、第1の外側向きの主表面822と、第2の外側向きの主表面824とを有している。図は、フィルム820内に収容された第1の液体リザーバ830及び第2の液体リザーバ840を示す。中空マイクロニードル850、860、及び870は、フィルム820の第1の外側向きの主表面822から延在する。
【0075】
中空マイクロニードル850は円錐形状であり、近位端852から遠位端854まで先細になる。マイクロニードル850は、フィルム820の第1の外側向きの主表面822から、hの高さまで延在する。出口ポート856は、中空マイクロニードル850の遠位端854上に配置される。
【0076】
中空マイクロニードル860は円錐形状であり、近位端862から遠位端864まで先細になる。マイクロニードル860は、フィルム820の第1の外側向きの主表面822から、hの高さまで延在する。出口ポート866は、中空マイクロニードル860の遠位端864上に配置される。
【0077】
中空マイクロニードル870は円錐形状であり、近位端872から遠位端874まで先細になる。マイクロニードル870は、フィルム820の第1の外側向きの主表面822から、hの高さまで延在する。出口ポート876は、中空マイクロニードル870の遠位端874上に配置される。
【0078】
図10は、異なる高さ(それぞれh、h、及びh)の中空マイクロニードル850、860、及び870を示しているが、他の実施形態では、マイクロニードルは全て同じ高さ、又は任意の数の異なる高さであってもよいことを理解されたい。
【0079】
第1の液体リザーバ830及び第2の液体リザーバ840は、フィルム820内に収容される。同じ又は異なる有益剤が、液体リザーバ830及び840内に配置され得る。フィルム820内に配置された第1のマイクロ流体チャネル834は第1の液体リザーバ830と流体連通しており、出口ポート856及び866は、少なくとも1つの第1のマイクロ流体チャネル834と流体連通しているフィルム820の第1の外側向きの主表面822に作動的に接続されている。フィルム820内に配置された第2のマイクロ流体チャネル844は、第2の液体リザーバ840と流体連通しており、第2の出口ポート876は、少なくとも1つの第2のマイクロ流体チャネル844と流体連通しているフィルム820の第1の外側向きの主表面822に作動的に接続されている。この実施形態では、第1の液体リザーバ830は、第2の液体リザーバ840よりも第2の外側向きの主表面124に近接して配置される。
【0080】
妨害部(obstructor)868は、中空マイクロニードル860の遠位端864付近の第1のマイクロ流体チャネル834内に配置される。いくつかの実施形態では、妨害部868は、第1の液体リザーバ830からの有益剤の流れを可能にするために開閉することができるバルブとして作用する。他の実施形態では、妨害部868は、生分解性、生体吸収性、又は溶解性材料で作製されてもよい。これらの実施形態では、第1の液体リザーバ830からの有益剤の放出は、生分解性妨害部868が体液にさらされたときに破壊されると開始され得る。
【0081】
第7の実施形態のマイクロ流体送達デバイス800は、図10において予測的な使用で実証される。図は、マイクロニードルが患者の皮膚に穿通した後のマイクロ流体送達デバイス800の一部の断面図である。この図は、外側表面982を有する皮膚組織980を示す。外側表面982の下に、表皮984、真皮986、及び皮下組織又は下皮988層が位置している。フィルム820の第1の外側向きの主表面822は、皮膚組織980の外側表面982と接している。
【0082】
中空マイクロニードル850、860、及び870は全て、外側表面982及び表皮944に穿通する。マイクロニードル860及び870は、マイクロニードル850よりも真皮986内へ深く穿通する。そのため、異なる皮膚深さでの個人向けの治療に対する需要が存在する場合、本発明の送達デバイス800により、マイクロキャストプロセスを使用して製造された送達デバイスでは得ることができない自由度が可能になる。
【0083】
本発明でここまで提示したマイクロ流体送達デバイスは、使い捨て液体リザーバを有する使い捨てデバイスである。一部の実施形態では、リザーバは、再補充可能であってもよい。図12は、本発明で使用され得るマイクロ流体送達デバイス1500の第8の実施形態の斜視図である。送達デバイス1500は、フィルム1520を含んでおり、フィルム1520は、第1の外側向きの主表面1522と、第2の外側向きの主表面1524とを有している。第1の外側向きの主表面1522は、そこから延在する複数の角質層穿刺中空マイクロニードル1610と、角質層穿刺中実マイクロニードル1620とを有する。各中空マイクロニードル1610は、近位端1612と遠位端1614とを有し、近位端1612は、送達デバイス1500の第1の外側向きの主表面1522上に配置された中空マイクロニードル1610の端部である。出口ポート1532は、中空マイクロニードル1610の遠位端1614上に配置されている。各中実マイクロニードル1620は、近位端1622と遠位端1624とを有し、近位端1622は、送達デバイス1500の第1の外側向きの主表面1522に配置された中空マイクロニードル1620の端部である。
【0084】
送達デバイス1500長方形の取り付け領域を有するように示されているが、また、正方形、長方形、三角形、円形、楕円形、腎臓形、星形、十字形、文字など様々な形状を有してもよい。治療ゾーンは、約1,000cmよりも大きくてもよく、約1,000cm、又は約100cm、又は約10cm、又は約1cm、又は1cm未満であってもよい。
【0085】
図12の送達デバイス1500は、平面状であることが示されている。いくつかの実施形態では、アレイは、曲線であってもよい。身体表面に合わせて形成された曲線の送達デバイスにより、その表面に対して垂直に配向したマイクロニードル1610、1620が得られる。これにより、治療のためのより良いマイクロニードルの穿通、及びアレイの保持がもたらされる。
【0086】
送達デバイス1500のフィルム1520要素は、ユーザの皮膚に容易に適合し、その順応性のために着用が快適であり、衣類の擦れなどの皮膚が受け得る通常の外力にさらされたときに、皮膚上で無傷な状態で保たれるように十分な強度を有して形成されるように、比較的薄く可撓性であることが好ましい。中空マイクロニードル1610及び角質層穿刺中実マイクロニードル1620は、送達デバイス1500を皮膚上で無傷の状態に維持するのに十分であり得る。しかしながら、フィルム1520の第1の外側向きの主表面1522は、その上に配置された接着剤層を有してもよい。接着剤層を使用し、通常の外力にさらされたときに皮膚上で無傷な状態で保たれるように、いくつかの実施形態では送達デバイス1500に十分な強度を与えてもよい。あるいは、マイクロニードル1610、1620は、ニードルを所定位置に保持するために所望の表面構造、例えば、わずかに方向性のある隆起を有していてもよい。
【0087】
中空マイクロニードル1610の遠位端1614上に配置された出口ポート1532は、様々な断面形状を有してもよい。出口ポート1532の考えられ得る形状としては、正方形、長方形、三角形、円形、楕円形、腎臓形、十字などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
図に示されるように、中空マイクロニードル1610及び中実マイクロニードル1620は、送達デバイス1500の第1の外側向きの主表面1522上に均一な正方形パターンで列状に配置されている。他の実施形態では、1610及び中実マイクロニードル1620は、他のパターンで配置されてもよい。
【0089】
図13は、図12の12-12面に沿った送達デバイス1500の一部の断面図である。図は、フィルム1520内に収容された液体リザーバ1530を示す。加えて、図は、複数の中実マイクロニードル1620を示し、各中実マイクロニードルは近位端1622及び遠位端1624を有し、同様に複数の中空マイクロニードル1610を示し、各中空中実マイクロニードルは近位端1622及び遠位端1624を有する。各中空マイクロニードル1610は、その遠位端1614上に配置された出口ポート1532を有する。
【0090】
有益剤は、液体リザーバ1530内に配置されている。マイクロ流体チャネル1534(約100ナノメートル~約0.5ミリメートルの横方向寸法を有する)は、フィルム1520内に配置され、リザーバ1530と流体連通している。出口ポート1532は、少なくとも1つのマイクロ流体チャネル1534と流体連通している中空マイクロニードル1610の遠位端1614に作動的に接続されている。
【0091】
図は、液体リザーバ1530から出口ポート1532まで一定の幅であるとしてマイクロ流体チャネル1534を示す。他の実施形態では、マイクロ流体チャネル1534は、一方の端部から他方の端部まで先細になってもよい。これらマイクロ流体チャネルが、液体リザーバ1530のより広い方から出口ポート1532のより細い方へ先細になっている場合、毛管流は、液体が液体リザーバ1530から出口ポート1532へ移動するのを助けることができる。
【0092】
前述したように、本実施形態では、マイクロ流体送達デバイス1500は、充填可能又は再補充可能な液体リザーバ1530を有する。図13は、フィルム1520の第2の外側向きの主表面1524上に配置された入口ポート1538を示す。再補充チャネル1536は、フィルム1520内に配置され、リザーバ1530と流体連通している。入口ポート1538は、再補充チャネル1536と流体連通している。
【0093】
再補充チャネル1536は、本質的にマイクロ流体であってもよく、すなわち、約100ナノメートル~約0.5ミリメートルの横方向寸法を有してもよい。図は、第2の外側向きの主表面1524のより広い方から再補充可能な液体リザーバ1530のより狭い方へ先細になっている再補充チャネル1536を示す。いくつかの実施形態では、再補充チャネル1536は、液体リザーバ1530から入口ポート1538まで一定の幅であってもよい。更に他の実施形態では、再補充チャネル1536は、再補充可能な液体リザーバ1530のより広い方から第2の外側向きの主表面1524のより狭い方へ先細であってもよい。
【0094】
入口ポート1538は、様々な断面形状を有してもよい。入口ポート1538の考えられ得る形状としては、正方形、長方形、三角形、円形、楕円形、腎臓形、十字などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、入口ポート1538は、液体リザーバ1530を再補充するために使用されるデバイスに適合するように形成されてもよい。
【0095】
中実マイクロニードル1620は、有益剤で表面被覆されてもよく、又は1種若しくは複数種の有益剤が混合された生分解性、生体吸収性、若しくは溶解性の材料で作製されてもよい。
【0096】
前述のマイクロニードル610、620の寸法と同様に、マイクロニードル1610、1620は、約1マイクロメートル(μm)~約5000マイクロメートル(μm)の長さ、約1μm~約500μmの幅、及び約1μm~約200μmの厚さを有してもよい。角質層穿刺マイクロニードルの幅及び厚さは、その長さ方向に沿って変化し得ることが当業者には理解される。例えば、ベース部分は、本体部分よりも幅広く(より厚く)てもよく、又は本体部分は、先端部分に近づくにつれてわずかに先細形状を有していてもよい。
【0097】
角質層穿刺マイクロニードル1610、1620は、患者への痛みを最小限にしつつ、皮膚穿刺及び有益剤送達を与えるのに適した任意の細長い形状であってもよく、個々のマイクロニードルは、実質的に円筒形、くさび形、円錐形、又は三角形(例えば、ブレード様)である。マイクロニードルの断面形状(マイクロニードルの平面基材に対してほぼ平行な面に沿って、又はマイクロニードルの長手方向軸に対してほぼ垂直な面に沿って切断)、又は皮膚に穿通し得るマイクロニードルの少なくとも一部分は、長方形、正方形、楕円形、円形、菱形、三角形又は星形を含む種々の形態をとっていてもよい。
【0098】
角質層穿刺マイクロニードル1610、1620の先端部分は、生体障壁に穿刺し、例えば、患者の皮膚の角質層に穿刺し、有益剤を患者の組織に送達するように設計されている。好ましくは、各マイクロニードルの先端部分は、最小限の痛みで皮膚の穿刺及び穿通を可能にするために十分に小さくかつ鋭利であるべきである。好ましい実施形態では、マイクロニードルの先端部は、本体部分から先端に向かって先細になっており、マイクロニードルの端部にある点又は頂点を画定する。様々な実施形態にでは、先細形状先端部分は、先端部において斜角の形態であってもよく、又はピラミッド形状又は円錐形状又は三角形状であってもよい。
【0099】
好ましい実施形態では、少なくとも2つの独立した液体システムはそれぞれ、入口ポート1538を有し、少なくとも1つのマイクロニードル1610に関連する少なくとも1つのマイクロ流体チャネル1534に連結された充填可能なリザーバ1530を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、フィルム20、120、220、320は、生体適合性材料で形成されるか、又は生体適合性材料で被覆される。いくつかの実施形態では、フィルム520、720、820、1520、角質層穿刺マイクロニードル620、740、750、760、770、850、860、870、1610、1620、又はその両方は、生体適合性材料で形成されるか、又は生体適合性材料で被覆される。マイクロニードル620、740、750、760、770、850、860、870、1610、1620は、フィルム520、720、820、1520に使用される材料と同じ材料から形成されてもよく、あるいは、マイクロニードルは、フィルム材料とは異なる材料を含むことができる。構築に適した材料の代表例としては、金属及び合金、例えば、ステンレス鋼、パラジウム、チタン及びアルミニウム;プラスチック、例えば、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリメチルペンテン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニルスルホン、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレート-グリコール変性(PETG)、ポリイミド;並びにシリコン及びガラスなどのセラミックが挙げられる。材料は、好ましくは、マイクロニードルが皮膚に効果的に穿刺されるように設計された寸法でマイクロニードルが、それが顕著に曲がったり又は破損したりすることなく、十分に強いように選択される。マイクロニードル及び基材材料はまた、送達デバイスによって送達される薬物製剤と非反応性であるべきである。
【0101】
いくつかの実施形態では、フィルム、マイクロニードル、又は両方が、生分解性材料又は生体吸収性材料で形成されている。好適な材料の代表的な例としては、限定されないが、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(オルトエステル)(POE)、コポリ(エーテル-エステル)(CEE)系製剤、又はこれらの材料の組み合わせが挙げられる。マイクロニードルは、ポリビニルアルコール(PVOH)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、及びポリエチレンオキシド(PEO)系製剤、又はこれらの材料の組み合わせを含む水溶性材料から形成することができる。
【0102】
フィルム、角質層穿刺マイクロニードル、又は両方が、場合により、これらに埋め込まれているか、又はこれらに被覆されている二次的構造材料を更に含んでいてもよい。例えば、ミクロ粒子、ナノ粒子、繊維、フィブリド、又は他の粒状物質が含まれていてもよい。これらの二次的材料は、送達デバイス10、100、200、300、500、700、800、1500の1つ以上の物理的又は化学的特性を向上させることができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、角質層穿刺マイクロニードル620、740、750、760、770、850、860、870、1610、1620は生分解性材料で形成されるが、フィルム520、720、820、1520は生分解性ではない。これらの実施形態では、有益剤材料は、可溶性物質、又は不溶性であるが分散性の物質を含んでいてもよい。そのため、有益剤の送達機構は、例えば、マイクロニードルの生分解が、有益剤の溶解又は分散と同時のものであってもよい。ニードルの分解速度は、有益剤の所定の薬物送達速度を可能にするように制御されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の有益剤の放出速度は、第2の有益剤の放出速度と異なっていてもよい。全ての角質層穿刺マイクロニードルが分解した時点で、フィルム520、720、820、1520を治療部位から取り除いてもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、送達デバイス10、100、200、300、500、700、800、1500は、ニードルのみ又は基材と組み合わせて、有益剤で更にコーティングされてもよい。
【0105】
有益剤としては、潤滑剤、スリップ剤などを挙げることができる。あるいは、有益剤は、標的となる局所領域に1つ以上の利益を与え得る。このような有益剤は、ワックス、油、皮膚軟化剤、保湿剤などを含むが、これらに限定されない様々な組成物のいずれかであってもよい。
【0106】
有益剤としては、ヒアルロン酸、ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、酒石酸);抗ニキビ剤(例えば、サリチル酸、レチノール、レチノイド、又は他の角質溶解剤、及び過酸化ベンゾイル、又はニキビの治療に用いられる他の抗微生物剤);光沢調節剤(例えば、コメタンパク質、コットンパウダー、エルビオール(ジクロロフェニルイミダゾールチオキソラン);トレチノイン、イソトレチノイン、モトレチニド、アダパレン、タザロテン、アゼライン酸、及びレチノールなどのレチノイド又はその誘導体;5αリダクターゼ阻害剤、例えば、グリシン誘導体;大豆タンパク質及び小麦タンパク質などを含む植物タンパク質加水分解物、緑茶(camellia sinesis)抽出物、及び桂皮抽出物);保湿剤;抗微生物剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロルカルバン(triclocarbon)、ポリヘキサメチレンビグアニド、塩化セチルピリジウム、及び塩化メチルベンゼトニウム(methyl and benzothonium chloride)などのカチオン性抗微生物剤;ロドプロピニルブチルカルバメート、ジアゾリジニル尿素、ジグルコン酸クロルヘキシデン、酢酸クロルヘキシデン、イセチオン酸クロルヘキシジン、及び塩酸クロルヘキシデンなどのクロルヘキシジンの塩類;2,4,4’-トリクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)などのハロゲン化フェノール化合物;パラクロロメタキシレノール(PCMX);エタノール、プロパノールなどの短鎖アルコールなど);抗生剤又は消毒剤(ムピロシン、硫酸ネオマイシン、バシトラシン、ポリミキシンB、1-オフロキサシン、テトラサイクリン類(塩酸クロロテトラサイクリン、10塩酸オキシテトラサイクリン、及び塩酸テトラサイクリン)、リン酸クリンダマイシン、硫酸ゲンタマイシン、メトロニダゾール、ヘキシルレゾルシノール、塩化メチルベンゼトニウム、フェノール、第四級アンモニウム化合物、ティーツリー油、並びにこれらの医薬的に許容される塩及びプロドラッグ)、抗炎症剤(適切なステロイド系抗炎症剤、例えば、コルチコステロイド、例えば、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン、α-メチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デソキシメタソン、酢酸デソキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバリン酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン、クロロプレドニゾン、酢酸クロロプレドニゾン、クロコルテロン、クレスシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニゾリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、トリアムシノロン、及びこれらの塩など、非ステロイド系抗炎症剤、ナツシロギク(タナセタム・パーテニウム(Tanacetum parthenium))、クコの実(リシウム・バルバラム(Lycium barbarum))、マリアアザミ抽出物(シリバム・マリアナム(Silybum marianum))、アマランス油(アマランサス・クルエンタス(Amaranthus cruentus))、ザクロ(プニカ・グラナタム(Punica granatum))、イェルバ・マテ(イレクス・パラグアリエンシス(Ilex paraguariensis)葉抽出物)、ホワイトリリー花抽出物(リリウム・カンジダム(Lilium Candidum))、オリーブ葉抽出物(オレア・エウロピア(Olea europaea))、及びフロレチン(リンゴ抽出物));抗糸状菌/抗真菌剤(例えば、ミコナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、セルタコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、クリオキノール、ビフォコナゾール、テルコナゾール、ブトコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、サペルコナゾール、クロトリマゾール、ウンデシレン酸、ハロプロジン、ブテナフィン、トルナフテート、ナイスタチン、シクロピロクスオラミン、テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、エルビオール、グリセオフルビン、並びにこれらの薬学的に許容される塩及びプロドラッグ;アゾール、アリルアミン、又はこれらの混合物);外用鎮痛剤(例えば、イブプロフェン又はジクロフェナク;カプサイシン、フェンタニル、及びクエン酸フェンタニルなどのこれらの塩;パラセタモール(アセトアミノフェンとして);サリチル酸エステルなどの非ステロイド系抗炎症剤(NSAID);モルヒネ及びオキシコドンなどのオピオイド薬;イブプロフェン又はジクロフェナク含有ゲル);酸化防止剤(例えば、スルフヒドリル化合物及びその誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム及びN-アセチルシステイン)、リポ酸及びジヒドロリポ酸、レスベラトロル、ラクトフェリン;アスコルビン酸、アスコルビン酸エステル、及びアスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、及びアスコルビルポリペプチド);ブチルヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン(ブチルヒドロキシトルエン)、レチノイド(例えば、レチノール及びパルミチン酸レチノール)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェロール)、トコトリエノール、及びユビキノン;システイン、Nーアセチルシステイン、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒド・スルホキシル酸ナトリウム、アセトン-重亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、及びノルジヒドログアイアレチン酸;フラボノイド及びイソフラボノイド、並びにこれらの誘導体(例えば、ゲニステイン及びジアゼイン)を含む抽出物;レスベラトロルなどを含む抽出物;グレープシード、緑茶、松樹皮、及びプロポリス;クローブ、シナモン、オレガノ、ターメリック、クミン、パセリ、バジル、カレー粉、マスタードシード、ショウガ、コショウ、チリパウダー、パプリカ、ガーリック、コリアンダー、オニオン、及びカルダモンなどの植物由来のポリフェノール抗酸化物質;セージ、タイム、マジョラム、テラゴン、ペパーミント、オレガノ、セイボリー、バジル、及びイノンドなどの一般的なハーブ類));脱毛剤(例えば、チオグリコール酸カルシウム又はチオグリコール酸カリウム);ビタミン類(例えば、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE;α、β、γ、又はδトコフェロール、ナイアシン、又はナイアシンアミド)、並びにアスコルビン酸ジグルコシド、及び酢酸又はパルミチン酸ビタミンEなどのビタミン塩又は誘導体;サンブロック(例えば、二酸化チタン)及び/又はサンスクリーン(例えば、二酸化チタン及び酸化亜鉛などの無機サンスクリーン;オクチルメトキシシンナメート、サリチル酸オクチル、ホモサラート、アボベンゾンなどの有機サンスクリーン;血管拡張薬(例えば、ナイアシン);保湿剤(例えば、グリセリン);アンチエイジング剤(例えば、レチノイド;ジメチルアミノエタノール(DMAE)、銅含有ペプチド);グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、α-ヒドロキシ酪酸、α-ヒドロキシイソ酪酸、α-ヒドロキシイソカプロン酸、アトロ乳酸、α-ヒドロキシイソ吉草酸、ピルビン酸エチル、ガラクツロン酸、グルコヘプトン酸、グルコヘプトノ1,4-ラクトン、グルコン酸、グルコノラクトン、グルクロン酸、グルクロノラクトン、ピルビン酸イソプロピル、ピルビン酸メチル、ムチン酸、ピルビン酸、サッカリン酸、サッカリック酸1,4-ラクトン、酒石酸、及びタルトロン酸などのα-ヒドロキシ酸又はフルーツ酸及びこれらの前駆体;β-ヒドロキシ酪酸、β-フェニル-乳酸、及びβ-フェニルピルビン酸などのβ-ヒドロキシ酸;亜鉛及び酸化亜鉛などの亜鉛含有化合物;緑茶、大豆、マリアアザミ、藻類、アロエ、アンゼリカ、ビターオレンジ、コーヒー、オウレン、グレープフルーツ、ブクリョウ、スイカズラ、ハトムギ、シコン、クワ、ボタン、プエラリア、コメ(nice)、及びベニバナなどの植物抽出物、並びにこれらの塩類及びプロドラッグ);カロチノイド、セラミド、脂肪酸、酵素、酵素阻害剤、ミネラル、ステロイド、ペプチド、アミノ酸、植物抽出物、着色剤、セチリジン塩酸塩又は薬学的に同等なセチリジン化合物などのアレルギー緩和剤、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、又はその薬学的同等物などの鎮痛剤化合物、フェニレフリン塩酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、プソイドエフェドリン塩酸塩、又はその薬学的同等物などの咳/かぜ緩和活性物質、ブプロピオンSR、バレニクリン及びニコチン置換療法剤、又はその薬学的同等物などの禁煙薬、などを挙げることができる。物質は、例えば保湿すること、皮膚のトーン又は色合いの改善(顔料によるなど)、様々な皮膚の状態(例えば、乾燥又は重度の乾燥肌、湿疹、乾癬、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮疹、ニキビ、黒頭病、膿疱、面皰、酒さ、帯状疱疹、皺、口唇ヘルペス、ヘルペス、いぼ、日焼け、虫刺れ、ツタウルシなど)を治療又は少なくとも緩和すること、機械力(例えば、収縮)を加え、皺を伸ばすこと、又は、より一般的には、望ましくない皮膚の欠陥(例えば、目の下のくま、ニキビの発赤、小皺及び皺、炎症後色素沈着(PIH)、発赤、炎症、セルライト、皺、年齢による染み、斑状色素沈着、濃い染み、肝斑、目の下の腫れ)の症状及び外観を治療又は緩和すること、望ましくない顔又は身体の毛を脱毛すること、傷口の治癒を助けること、などの様々な方法のいずれかで皮膚に影響を及ぼすことができる。例えば、ローション、クリーム、オイル、及び更にはマスクを皮膚に付けることで皮膚を治療し、又は他の形で皮膚に影響を及ぼすことができる。このような個人向け又は消費者向けヘルスケア物質は、皮膚を通じた拡散又は輸送の速度が皮膚の両側の有効成分の濃度の差と相関する拡散の原理に概ねしたがって皮膚に吸収される。
【0107】
有益剤(複数可)は、単一の化合物、特に処理及び送達温度で液体であるものとして、リザーバ(複数可)に導入することができる。これらは、溶液、懸濁液などに配合することもできる。患者の治療処置のためのこれらの有益剤は、エタノール、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)又はジメチルホルムアミド(「DMF」)のような有機溶媒などの薬学的に許容される担体と共に配合されなければならず、好ましくは水溶液で希釈することができる。
【0108】
前述したように、送達デバイスを製造するための微細加工又はマイクロキャストプロセスは、単一組成のアレイの製造に限定される。本発明では、個人向けの治療に、1種類より多い有益剤を含む角質層穿刺マイクロニードルを使用する。そのため、微細加工又はマイクロキャストプロセスを使用することはできない。
【0109】
本発明の送達デバイスは、付加製造(Additive Manufacturing)技術を使用して製造することができる。付加製造は、三次元コンピュータ支援設計(CAD)データを使用して物理的な部品又はアセンブリを迅速に製造するために使用される技術群である。部品又はアセンブリの構築は、通常、3D印刷などの「付加層製造(additive layer manufacturing)」技術を用いて行われる。付加製造は、1種類より多い有益剤を同時に送達する送達デバイスを製造する、単純で、効果的で、かつ経済的な方法である。
【0110】
一般に、コンピュータ支援設計及びコンピュータ支援製造CAD-CAMワークフローは、従来の付加製造プロセスである。このプロセスは、CADワークステーションを使用した3D固体、又は走査デバイスを使用した2Dスライスのいずれかとして、幾何学的データの作成から開始する。付加製造では、このデータは、有効な幾何学的モデル、すなわち、境界面が有限な体積を包含しており、構造に設計されていない限り、内部を露出する穴を含まず、それ自体が折り返されないものを表していなければならない。言い換えると、物体は、「内部」を有していなければならない。3D空間での各点について、アルゴリズムが、その点がモデルの境界面の内部にあるか、境界面上にあるか、又は境界面の外部にあるかを一意的に判定し得る場合、モデルは有効である。CADポストプロセッサは、内部のCAD幾何学的形態を単純化された数学的形態に近似し、次いで、付加製造の一般的な特徴である特定のデータフォーマットで表現する。付加製造機構を働かせるために必要な運動制御軌道を得るために、作成した幾何学的モデルを、典型的には、層状にスライスし、そのスライスを線状にスキャンし(コンピュータ数値制御ツールパスとしての軌道を作成するために使用される「2D描画」を作成する)、層ごとに物理的な構築プロセスが得られる。
【0111】
3D印刷プロセスにより、異なる大きさ及び形状のマイクロニードルの製造が可能になり、並びに1種類より多い有益剤を有する送達デバイスを製造する能力が可能になる。個々のマイクロニードルの位置、鋭利さ、キャビテーション及び材料は、微細加工又はマイクロキャストよりも3D印刷による方が、はるかに容易に制御することができる。軟質材料、硬質材料や、及び更に液体を、個々のマイクロニードルに組み込むことができる。送達プロファイルの変化は、スマート送達デバイスを製造するためのシステムに設計することができる。非相溶性化合物も、相互汚染のおそれなく、送達デバイスの異なる部分に構築することができる。
【0112】
マイクロニードルは、少なくとも100μm以上の深さに有効成分/薬物を送達する必要があるが、約20ミクロン以上の変更可能な穿通を有するように設計することができる。異なる用途及び使用は、異なるレベルの穿通、溶解度及び設計特徴(大きさ、形状、角度、溶解度など)を必要とする。場合によっては、有益剤は、ニードル材料に溶解してもよく、他の場合では、有益剤は、リザーバ内に貯蔵され、マイクロ流体チャネルを通して送達されてもよい。いくつかの実施形態では、有益剤は、ニードル材料上に被覆されてもよい。
【0113】
有益剤を含む得られた送達デバイスは、任意の既知の方法で皮膚に適用することによって使用することができる。送達デバイスが入口ポートを有するリザーバを備える場合、リザーバは、入口ポートを通して有益剤を含む液体で充填され得る。次いで、入口ポートは、上記のように、使用のために閉鎖され得る。
【0114】
複数の有益剤が送達される実施形態では、入口ポートを有し、少なくとも1つのマイクロニードルに関連する少なくとも1つのマイクロ流体チャネルに連結された充填可能なリザーバをそれぞれが含む、少なくとも2つの独立した液体システムを、それぞれの入り口ポートを通じて、有益剤を含む所望の液体で充填することができる。入口ポートは、上記のように、使用のために閉鎖され得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、これらの皮膚送達デバイス又はパッチは、経時的に送達される液体の量を検出するセンサを含むことができ、その結果、消費者(ユーザ)が一定期間にわたって送達される量を追跡することができ、所望に応じて薬物送達プロファイルを変更することができるように、アプリを使用して薬物の量を監視することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、有益剤の大量の急速投与は、高濃度の有益剤を用いて水溶性マイクロニードルを調製するか、又は、高濃度の有益剤を用いて被覆されたマイクロニードルを調製することによって、これらの皮膚送達デバイスで送達され得る。リザーバからの低濃度の有益剤の送達は、次いで、有益剤の長期送達を提供することができる。
【0117】
本発明の組成物、形態、及び製造方法を例示する以下の具体的な実施例を参照することで本発明を更に深く理解できるであろう。当業者には組成物、形態、及び製造方法の多くの変例が自明であることが理解されるであろう。以下の実施例はあくまで例示的なものに過ぎず、部及び比率(%)は特に断らない限り重量に基づいている。
【実施例
【0118】
実施例1:長期アレルギー緩和用途のための経皮薬物送達デバイス。
内部液体リザーバ(複数可)及びマイクロ流体チャネル、並びにアレルギー緩和用途で使用するためのマイクロニードルを有するフィルムの形態の経皮薬物送達デバイスを次のように調製することができる。
【0119】
涙目、鼻水、目/鼻の痒み、くしゃみ、蕁麻疹、及び痒みなどのアレルギー症状を緩和するために使用される抗ヒスタミン剤である、セチリジン塩酸塩は、DMSO及びDMFなどの有機溶媒に溶解させることができ、好ましくは水溶液で希釈することができる。セチリジン塩酸塩は、内部液体リザーバ(複数可)内に貯蔵され、経皮送達のためにマイクロ流体チャネルを通して中空マイクロニードルに送達され得る。
【0120】
セチリジンの量は、薬物の送達の持続時間に依存する。7日間のセチリジンパッチでは、例えば、少なくとも約70mg~約100mgの薬物をリザーバ(複数可)内に貯蔵し、7日間にわたって中空マイクロニードルを通して送達することが必要になる。中空マイクロニードルの長さ及び太さは、約100マイクロメートル~約0.5mmの範囲であり得る。
【0121】
セチリジン塩酸塩は非常に水溶性が高いため、皮膚を通じた薬物の輸送中にいくらかの損失があり、したがって薬物損失を補うために70mg超の薬物が必要とされ得る。
【0122】
ジフェンヒドラミンなどの他の抗ヒスタミン剤もまた、本用途に使用することができる。薬物の量は、7日間の薬物送達デバイスに対して約700~約1000mgの範囲である。
【0123】
実施例2:長期咳/かぜ緩和用途のための経皮薬物送達デバイス。
内部液体リザーバ(複数可)及びマイクロ流体チャネル、並びに咳/かぜ緩和用途で使用するためのマイクロニードルを有するフィルムの形態の経皮薬物送達デバイスを次のように調製することができる。
(a)かぜによる息詰まりを緩和するために使用される充血緩和剤であるフェニレフリン塩酸塩は、エタノール、DMSO又はDMFなどの有機溶媒に溶解させることができ、好ましくは水溶液で希釈することができる。フェニレフリン塩酸塩は、内部液体リザーバ(複数可)内に貯蔵され、経皮送達のためにマイクロ流体チャネルを通して中空マイクロニードルに送達され得る。
フェニレフリンの量は、活性物質の送達の持続時間に依存する。7日間のパッチでは、例えば、約160mg~約200mgの薬物をリザーバ(複数可)内に貯蔵し、7日間にわたって中空マイクロニードルを通して送達することが必要になる。中空マイクロニードルの長さ及び太さは、約100マイクロメートル~約0.5mmの範囲であり得る。
(b)気道の特定の感染によって引き起こされる、痰を伴わない咳を一時的に緩和するために使用されるデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は、エタノール、DMSO又はDMFなどの有機溶媒に溶解させることができ、好ましくは水溶液で希釈することができる。デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は、内部液体リザーバ(複数可)内に貯蔵され、経皮送達のためにマイクロ流体チャネルを通して中空マイクロニードルに送達され得る。
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の量は、活性物質の送達の持続時間に依存する。7日間のパッチでは、例えば、約90mg~約120mgの薬物がリザーバ内に貯蔵され、7日間にわたって中空マイクロニードルを通して送達されることが必要になる。中空マイクロニードルの長さ及び太さは、約100マイクロメートル~約0.5mmの範囲であり得る。
(c)感染によって引き起こされる、鼻及び副鼻腔の痛み/圧迫感の一時的な緩和に使用されるプソイドエフェドリン塩酸塩は、エタノール、DMSO又はDMFなどの有機溶媒に溶解させることができ、好ましくは水溶液で希釈することができる。プソイドエフェドリン塩酸塩は、内部液体リザーバ(複数可)内に貯蔵され、経皮送達のためにマイクロ流体チャネルを通して中空マイクロニードルに送達され得る。
プソイドエフェドリン塩酸塩の量は、活性物質の送達の持続時間に依存する。7日間のパッチでは、例えば、約1500mg~約1700mgの薬物がリザーバ内に貯蔵され、7日間にわたって中空マイクロニードルを通して送達されることが必要になる。中空マイクロニードルの長さ及び太さは、約100マイクロメートル~約0.5mmの範囲であり得る。
【0124】
実施例3:長期疼痛緩和用途のための経皮薬物送達デバイス。
疼痛に最も一般的に使用される薬物としては、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、及びケトプロフェンを挙げることができる。これらの活性物質は、内部液体リザーバ(複数可)内に貯蔵され、経皮送達のためにマイクロ流体チャネルを通して中空マイクロニードルに送達され得る。アセトアミノフェンのパッチでは、薬物量は持続時間に依存し、1日間~7日間のパッチに対して、それぞれ約1300~約10,000mgの範囲になる。中空マイクロニードルの長さ及び太さは、利益を引き起こすために必要とされる薬物の量がより大きいため、約250マイクロメートル~約0.5mmの範囲であり得る。
【0125】
イブプロフェンのパッチでは、薬物の量は、1日間~7日間のパッチに対してそれぞれ約600mg~約4000mgの範囲になる。中空マイクロニードルの長さ及び太さは、約100マイクロメートル~約0.5mmの範囲であり得る。
【0126】
疼痛用途に最も好ましい薬物は、必要とされる薬物の量が他の疼痛緩和活性物質と比較して低いため、ケトプロフェンであり得る。1日のパッチでは、薬物は約40mgであり得、7日間のパッチに対して約300mgの高さにすることができる。中空マイクロニードルの長さ及び太さは、約100マイクロメートル~約0.5mmの範囲であり得る。
【0127】
実施例4:組み合わせた薬物を使用するための長期用途のための経皮薬物送達デバイス。
2つの薬物を組み合わせて、消費者に改善された咳/かぜの緩和をもたらすことができる。フェニレフリン塩酸塩及びデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の溶液を調製し、薬物間の相互作用を防止するために、異なるマイクロチャネル又はリザーバ内で分離して維持することができる。個々の薬物は、別々にマイクロニードルを介して送達され得、薬物間の比は、消費者のニーズに基づいて変更することができる。また疼痛及び咳/かぜ用途には他の薬物が含まれてもよく、これらの薬物は、薬物間の相互作用を最小限に抑えるために別々に送達することができ、投与を監視することができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、これらのパッチは、センサを含むことができ、その結果、消費者が一定期間にわたって送達される量を追跡することができ、所望に応じて薬物送達プロファイルを変更することができるように、アプリを使用して薬物の量を監視することができる。
【0129】
〔実施の態様〕
(1) 経皮送達デバイスであって、
(a)第1の外側向きの主表面及び第2の外側向きの主表面を有するフィルムと、
(b)前記フィルム内に配置された少なくとも1つの液体リザーバと、
(c)前記フィルム内に配置され、前記少なくとも1つの液体リザーバと流体連通している、(約100nm~0.5mmの主要横方向寸法を有する)少なくとも1つのマイクロ流体チャネルと、
(d)前記少なくとも1つのマイクロ流体チャネルと流体連通している前記フィルムの前記第1の外側向きの主表面に作動的に接続された少なくとも1つの出口ポートと、
(e)前記少なくとも1つの出口ポートと流体連通している少なくとも1つのマイクロニードルと、を備える、経皮送達デバイス。
(2) 前記フィルム内に配置された前記少なくとも1つの液体リザーバが、薬学的に許容される溶媒中のセチリジン塩酸塩又は薬学的に同等なセチリジン化合物を収容する、実施態様1に記載の経皮送達デバイス。
(3) 約70mg~約100mgの総量のセチリジン塩酸塩又は薬学的に同等なセチリジン化合物を含む、実施態様2に記載の経皮送達デバイス。
(4) 前記フィルム内に配置された前記少なくとも1つの液体リザーバが、薬学的に許容される溶媒中の鎮痛剤化合物を収容する、実施態様1に記載の経皮送達デバイス。
(5) 前記鎮痛剤が、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、及びこれらの薬学的同等物からなる群から選択される、実施態様4に記載の経皮送達デバイス。
【0130】
(6) 前記鎮痛剤が、薬学的に許容される溶媒中のアセトアミノフェン又はアセトアミノフェンの薬学的同等物を含み、前記少なくとも1つの出口ポートと流体連通している前記少なくとも1つのマイクロニードルが、約0.25mm~約0.5mmの長さを有する、実施態様4に記載の経皮送達デバイス。
(7) 約1300mg~約10000mgの総量のアセトアミノフェン又はアセトアミノフェンの薬学的同等物を含む、実施態様6に記載の経皮送達デバイス。
(8) 前記鎮痛剤が、薬学的に許容される溶媒中のイブプロフェン又はイブプロフェンの薬学的同等物を含み、前記少なくとも1つの出口ポートと流体連通している前記少なくとも1つのマイクロニードルが、約0.1mm~約0.5mmの長さを有する、実施態様4に記載の経皮送達デバイス。
(9) 約600mg~約4000mgの総量のイブプロフェン又はイブプロフェンの薬学的同等物を含む、実施態様8に記載の経皮送達デバイス。
(10) 前記鎮痛剤が、薬学的に許容される溶媒中のケトプロフェン又はケトプロフェンの薬学的同等物を含み、前記少なくとも1つの出口ポートと流体連通している前記少なくとも1つのマイクロニードルが、約0.1mm~約0.5mmの長さを有する、実施態様4に記載の経皮送達デバイス。
【0131】
(11) 約40mg~約300mgの総量のケトプロフェン又はケトプロフェンの薬学的同等物を含む、実施態様10に記載の経皮送達デバイス。
(12) センサを更に備える、実施態様1~11のいずれかに記載の経皮送達デバイス。
(13) 前記センサが、経時的に送達される液体の量を検出する、実施態様12に記載の経皮送達デバイス。
(14) 少なくとも2つの活性製剤の長期送達のための経皮送達デバイスであって、
(a)第1の外側向きの主表面及び第2の外側向きの主表面を有するフィルムと、
(b)第1の活性製剤サブシステムであって、
(i)前記フィルム内に配置された第1の活性製剤を収容する少なくとも1つの第1の活性製剤液体リザーバと、
(ii)前記フィルム内に配置され、前記少なくとも1つの第1の活性製剤液体リザーバと流体連通している、(約100nm~0.5mmの主要横方向寸法を有する)少なくとも1つの第1の活性製剤マイクロ流体チャネルと、
(iii)前記少なくとも1つの第1の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している前記フィルムの前記第1の外側向きの主表面に作動的に接続された少なくとも1つの第1の活性製剤出口ポートと、
(iv)前記少なくとも1つの第1の活性製剤出口ポートと流体連通している少なくとも1つの第1の活性製剤マイクロニードルと、を含む、第1の活性製剤サブシステムと、
(c)第2の活性製剤サブシステムであって、
(i)前記フィルム内に配置された第2の活性製剤を収容する少なくとも1つの第2の活性製剤液体リザーバと、
(ii)前記フィルム内に配置され、前記少なくとも1つの第2の活性製剤液体リザーバと流体連通している、(約100nm~0.5mmの主要横方向寸法を有する)少なくとも1つの第2の活性製剤マイクロ流体チャネルと、
(iii)前記少なくとも1つの第2の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している前記フィルムの前記第2の外側向きの主表面に作動的に接続された少なくとも1つの第2の活性製剤出口ポートと、
(iv)前記少なくとも1つの第2の活性製剤出口ポートと流体連通している少なくとも1つの第2の活性製剤マイクロニードルと、を含む、第2の活性製剤サブシステムと、を備える、経皮送達デバイス。
(15) (d)第3の活性製剤サブシステムであって、
(i)前記フィルム内に配置された第3の活性製剤を収容する少なくとも1つの第3の活性製剤液体リザーバと、
(ii)前記フィルム内に配置され、前記少なくとも1つの第3の活性製剤液体リザーバと流体連通している、(約100nm~0.5mmの主要横方向寸法を有する)少なくとも1つの第3の活性製剤マイクロ流体チャネルと、
(iii)前記少なくとも1つの第3の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している前記フィルムの前記第3の外側向きの主表面に作動的に接続された少なくとも1つの第3の活性製剤出口ポートと、
(iv)前記少なくとも1つの第3の活性製剤出口ポートと流体連通している少なくとも1つの第3の活性製剤マイクロニードルと、を含む、第3の活性製剤サブシステム、を更に備える、実施態様14に記載の経皮送達デバイス。
【0132】
(16) 前記第1の活性製剤が、薬学的に許容される溶媒中のフェニレフリン塩酸塩又は薬学的に同等なフェニレフリン化合物の溶液を含む、実施態様14又は15に記載の経皮送達デバイス。
(17) 約160mg~約200mgの総量のフェニレフリン塩酸塩又は薬学的に同等なフェニレフリン化合物を含む、実施態様16に記載の経皮送達デバイス。
(18) 前記第2の活性製剤が、薬学的に許容される溶媒中のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物又は薬学的に同等なデキストロメトルファン化合物の溶液を含む、実施態様14又は15に記載の経皮送達デバイス。
(19) 約90mg~約120mgの総量のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物又は薬学的に同等なデキストロメトルファン化合物を含む、実施態様18に記載の経皮送達デバイス。
(20) 前記第3の活性製剤が、薬学的に許容される溶媒中のプソイドエフェドリン塩酸塩又は薬学的に同等なプソイドエフェドリン化合物の溶液を含む、実施態様15に記載の経皮送達デバイス。
【0133】
(21) 約1500mg~約1700mgの総量のプソイドエフェドリン塩酸塩又は薬学的に同等なプソイドエフェドリン化合物を含む、実施態様20に記載の経皮送達デバイス。
(22) センサを更に備える、実施態様14~21のいずれかに記載の経皮送達デバイス。
(23) 前記センサが、経時的に送達される液体の量を検出する、実施態様22に記載の経皮送達デバイス。
(24) 送達デバイスを製造するための方法であって、
(a)付加製造によって経皮送達デバイスを形成する工程であって、前記経皮送達デバイスが、
(i)第1の外側向きの主表面及び第2の外側向きの主表面を有するフィルムと、
(ii)前記フィルム内に配置され、入口ポートを有する少なくとも1つの液体リザーバと、
(iii)前記フィルム内に配置され、前記少なくとも1つの液体リザーバと流体連通している、(約100nm~0.5mmの主要横方向寸法を有する)少なくとも1つのマイクロ流体チャネルと、
(iv)前記少なくとも1つのマイクロ流体チャネルと流体連通している前記フィルムの前記第1の外側向きの主表面に作動的に接続された少なくとも1つの出口ポートと、
(v)前記少なくとも1つの出口ポートと流体連通している少なくとも1つのマイクロニードルと、を備える、工程と、
(b)前記少なくとも1つの液体リザーバを、前記入口ポートを通して有益剤を含む液体で充填する工程と、
(c)前記入口ポートを閉じる工程と、を含む、方法。
(25) 前記有益剤が、薬学的に許容される溶媒中のセチリジン塩酸塩又は薬学的に同等なセチリジン化合物を含む、実施態様24に記載の方法。
【0134】
(26) 前記有益剤が、薬学的に許容される溶媒中の鎮痛剤化合物を含む、実施態様24に記載の方法。
(27) 前記鎮痛剤が、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、及びこれらの薬学的同等物からなる群から選択される、実施態様26に記載の方法。
(28) 経時的に送達される液体の量を検知することを更に含む、実施態様24~27のいずれかに記載の方法。
(29) 送達デバイスを製造するための方法であって、
(a)付加製造によって経皮送達デバイスを形成する工程であって、前記経皮送達デバイスが、
(i)第1の外側向きの主表面及び第2の外側向きの主表面を有するフィルムと、
(ii)第1の活性製剤サブシステムであって、
(A)前記フィルム内に配置され、入口ポートを有する少なくとも1つの第1の活性製剤液体リザーバと、
(B)前記フィルム内に配置され、前記少なくとも1つの第1の活性製剤液体リザーバと流体連通している、(約100nm~0.5mmの主要横方向寸法を有する)少なくとも1つの第1の活性製剤マイクロ流体チャネルと、
(C)前記少なくとも1つの第1の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している前記フィルムの前記第1の外側向きの主表面に作動的に接続された少なくとも1つの第1の活性製剤出口ポートと、
(D)前記少なくとも1つの第1の活性製剤出口ポートと流体連通している少なくとも1つの第1の活性製剤マイクロニードルと、を含む、第1の活性製剤サブシステムと、
(iii)第2の活性製剤サブシステムであって、
(A)前記フィルム内に配置され、入口ポートを有する少なくとも1つの第2の活性製剤液体リザーバと、
(B)前記フィルム内に配置され、前記少なくとも1つの第2の活性製剤液体リザーバと流体連通している、(約100nm~0.5mmの主要横方向寸法を有する)少なくとも1つの第2の活性製剤マイクロ流体チャネルと、
(C)前記少なくとも1つの第2の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している前記フィルムの前記第1の外側向きの主表面に作動的に接続された少なくとも1つの第2の活性製剤出口ポートと、
(D)前記少なくとも1つの第2の活性製剤出口ポートと流体連通している少なくとも1つの第2の活性製剤マイクロニードルと、を含む、第2の活性製剤サブシステムと、を備える、工程と、
(b)前記少なくとも1つの第1の活性製剤液体リザーバを、前記第1の活性製剤入口ポートを通して第1の有益剤を含む液体で充填する工程と、
(c)前記少なくとも1つの第2の活性製剤液体リザーバを、前記第2の活性製剤入口ポートを通して第2の有益剤を含む液体で充填する工程と、
(d)前記活性製剤入口ポートを閉じる工程と、を含む、方法。
(30) 前記経皮送達デバイスが、
(iv)第3の活性製剤サブシステムであって、
(A)前記フィルム内に配置され、入口ポートを有する少なくとも1つの第3の活性製剤液体リザーバと、
(B)前記フィルム内に配置され、前記少なくとも1つの第3の活性製剤液体リザーバと流体連通している、(約100nm~0.5mmの主要横方向寸法を有する)少なくとも1つの第3の活性製剤マイクロ流体チャネルと、
(C)前記少なくとも1つの第3の活性製剤マイクロ流体チャネルと流体連通している前記フィルムの前記第1の外側向きの主表面に作動的に接続された少なくとも1つの第3の活性製剤出口ポートと、
(D)前記少なくとも1つの第3の活性製剤出口ポートと流体連通している少なくとも1つの第3の活性製剤マイクロニードルと、を含む、第3の活性製剤サブシステム、を更に備え、
前記プロセスが、
(e)前記少なくとも1つの第3の活性製剤液体リザーバを、前記第3の活性製剤入口ポートを通して第3の有益剤を含む液体で充填する工程、を更に含む、実施態様29に記載の方法。
【0135】
(31) 前記第1の有益剤が、薬学的に許容される溶媒中のフェニレフリン塩酸塩又は薬学的に同等なフェニレフリン化合物の溶液を含む、実施態様29又は30に記載の方法。
(32) 前記第2の有益剤が、薬学的に許容される溶媒中のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物又は薬学的に同等なデキストロメトルファン化合物の溶液を含む、実施態様29又は30に記載の方法。
(33) 前記第3の有益剤が、薬学的に許容される溶媒中のプソイドエフェドリン塩酸塩又は薬学的に同等なプソイドエフェドリン化合物の溶液を含む、実施態様30に記載の方法。
(34) 経時的に送達される液体の量を検知することを更に含む、実施態様29~33のいずれかに記載の方法。
図1
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