(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-08
(45)【発行日】2025-01-17
(54)【発明の名称】モータコントローラ、熱交換システム、および電流注入方法
(51)【国際特許分類】
H02P 21/22 20160101AFI20250109BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20250109BHJP
【FI】
H02P21/22
H02M7/48 E
(21)【出願番号】P 2023512102
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(86)【国際出願番号】 CN2020131243
(87)【国際公開番号】W WO2022109808
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シー,チャオジエ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,シヤオプオン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,チャオチアーン
(72)【発明者】
【氏名】シエ,シヤオウエイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ホーンビーン
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-165526(JP,A)
【文献】特表2017-524323(JP,A)
【文献】国際公開第2019/038851(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111490714(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111376672(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111959252(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M7/42-7/98
H02P21/00-25/03
25/04
25/10-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ、熱交換器、油圧ポンプ、動力電池、およびモータコントローラを有する熱交換システムであって、
前記モータコントローラは、制御装置およびインバータ回路を有し、
前記制御装置は、前記モータに交流電流を入力するよう前記インバータ回路を制御するように構成され、前記交流電流は直流電流バイアスを有し、前記交流電流は前記モータを加熱するために使用され、
前記インバータ回路は、前記制御装置の制御下で前記モータの直軸または零軸に前記交流電流を出力するように構成され、
前記モータ、前記熱交換器、および前記油圧ポンプは第1の流体が流れる第1のパイプを介して接続され、
前記油圧ポンプは、前記第1の流体を
前記モータ、前記熱交換器、および前記油圧ポンプの間を循環するように流して前記モータによって放出される熱を前記熱交換器に伝達し、
前記モータコントローラ、前記熱交換器、及び前記動力電池は
、前記第1の流体とは異なる第2の流体が流れる第2のパイプを介して接続され、
前記熱交換器は、前記第1の流体からの熱を前記第2の流体に伝達し、前記第2の流体により前記動力電池を加熱するように構成される、
熱交換システム。
【請求項2】
三相三線システムが前記インバータ回路に使用され、前記インバータ回路は:
前記制御装置の制御下で前記モータの前記直軸に直流電流バイアスを持つ第1の交流電流を出力するように構成される、
請求項1に記載の熱交換システム。
【請求項3】
三相四線システムが前記インバータ回路に使用され、前記インバータ回路は:
前記制御装置の制御下で前記モータの前記零軸に直流電流バイアスを持つ第2の交流電流を出力する、または前記制御装置の制御下で前記モータの前記直軸に直流電流バイアスを持つ第3の交流電流を出力する、ように構成される、
請求項1に記載の熱交換システム。
【請求項4】
前記インバータ回路は直流電流バスに接続され;2レベルトポロジーが前記インバータ回路に使用され、前記インバータ回路の中性点が第1のスイッチユニットおよび第1のインダクタを介して前記直流電流バスの正極に接続される;または
2レベルトポロジーが前記インバータ回路に使用され、前記インバータ回路の中性点が第2のスイッチユニットおよび第2のインダクタを介して前記直流電流バスの負極に接続される;または
2レベルトポロジーが前記インバータ回路に使用され、前記インバータ回路の中性点が第3のスイッチユニットおよび第3のインダクタを介して前記直流電流バスの正極に接続され、前記インバータ回路の前記中性点は第4のスイッチユニットおよび第4のインダクタを介して前記直流電流バスの負極に接続される、
請求項2に記載の熱交換システム。
【請求項5】
開放巻線構造またはマルチレベルトポロジーが前記インバータ回路に使用される、
請求項2に記載の熱交換システム。
【請求項6】
前記交流電流は、正弦波、矩形波、三角波、ノコギリ波、および台形波のいずれか1つである、
請求項1に記載の熱交換システム。
【請求項7】
前記交流電流は負の値を持たない、
請求項1に記載の熱交換システム。
【請求項8】
前記モータコントローラは前記熱交換器の上流に接続され、前記動力電池は前記熱交換器の下流に接続される、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熱交換システム。
【請求項9】
前記モータは油冷モータである、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の熱交換システム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の熱交換システムで用いられる電流注入方法であって:
前記モータコントローラによって、前記モータに出力されることになる交流電流のパラメータを決定することであって、前記交流電流は直流電流バイアスを有し、前記交流電流は前記モータを加熱するために使用される、決定すること;および
前記モータコントローラによって、前記モータの前記直軸または前記零軸に前記交流電流を出力すること;を含む、
方法。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の熱交換システム、および減速機を有する動力アセンブリ。
【請求項12】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の熱交換システムおよび動力アセンブリを有する車両であって、前記動力アセンブリは、前記モータ、減速機、および前記モータコントローラを有する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、新エネルギー車技術の分野、特にモータコントローラ、熱交換システム、及び電流注入法に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー分野の技術開発に伴い、新エネルギー自動車、例えば、電動車/電気自動車/ハイブリッド自動車がより広く使用されている。低温環境下では、電動車/電気自動車の動力電池(power battery)の性能が低下する。したがって、動力電池は、動力電池の性能を向上させるために、加熱される必要がある。
【0003】
従来の技術では、動力電池の加熱解決策は次の通りである:電流がモータに入力され、モータの端部巻線(end winding)が熱を発生させるために使用され、次いで、発生した熱は、動力電池を加熱するために熱交換システムを介して放出される。この解決策では、モータの鉄損も永久磁石損も引き起こされる(excited)ことができないため、熱放出出力(heat emission power)は比較的低く、動力電池の加熱速度は比較的低い。
【0004】
したがって、従来の技術で提供されている解決策では、熱放出出力が低く、動力電池の加熱速度が低いという問題がある。
【発明の概要】
【0005】
本出願の実施形態は、モータの加熱効率を改善するために、モータコントローラ、熱交換システム、および電流注入方法を提供する。
【0006】
第1の態様によると、本出願の実施形態は、モータコントローラを提供する。モータコントローラは、制御装置およびインバータ回路を含む。制御装置は、交流電流をモータに入力するようインバータ回路を制御するように構成され、交流電流は直流電流バイアスを有し、交流電流はモータを加熱するために使用される。インバータ回路は、制御装置の制御下でモータの直軸(direct axis)または零軸(zero axis)に交流電流を出力するように構成される。
【0007】
交流電流は、正弦波、矩形波、三角波、ノコギリ波、台形波のいずれか1つであり得る、または、周期的に変化する別の非直流電流であり得る。
【0008】
第1の態様で提供されるモータコントローラによれば、モータの横軸には電流が入力されないため、モータは追加の振動やトルクを持たない。直流電流バイアスを持つ交流電流は、直軸または零軸に入力される。従来の技術における端部巻線のみが熱を発するために使用される方法と比べて、モータに入力される電流は交流電流成分を含むため、モータの鉄損および永久磁石損を効果的に引き起こすことができ、モータの熱放出出力を向上させることができるため、動力電池の加熱速度が向上する。
【0009】
可能な設計では、三相三線システムがインバータ回路に使用される。インバータ回路は、具体的には、制御装置の制御下でモータの直軸に直流電流バイアスを持つ第1の交流電流を出力するように構成される。
【0010】
前述の解決策によると、モータの横軸には電流が入力されないため、モータに追加の振動やトルクがない。直流電流バイアスを有し、直軸に入力される第1の交流電流は、交流電流成分を含む。したがって、モータの鉄損および永久磁石損を効果的に引き起こすことができ、モータの熱放出出力を向上させることができるため、動力電池の加熱速度が向上する。
【0011】
別の可能な設計では、三相四線システムがインバータ回路に使用される。インバータ回路は、具体的には、制御装置の制御下でモータの零軸に直流電流バイアスを持つ第2の交流電流を出力する、または制御装置の制御下でモータの直軸に直流電流バイアスを持つ第3の交流電流を出力するように構成される。
【0012】
上記の解決策によれば、モータの横軸には電流が入力されないため、モータに追加の振動やトルクがない。直流電流バイアスを持ち、零軸に入力される第2の交流電流は、交流電流成分を含む。したがって、モータの鉄損および永久磁石損を効果的に引き起こすことができ、モータの熱放出出力を向上させることができるため、動力電池の加熱速度が向上する。
【0013】
加えて、直流電流バイアスを持つ第2の交流電流がモータの零軸に入力されると、三相電流は同じ振幅および同じ位相を有する。したがって、モータの三相巻線は均等に発熱して同じ温度を有し、1つの相巻線が温度限界に達するが他の2つの相巻線の温度が比較的低い場合は発生しないため、巻線の熱放出能力をより十分に利用することができる。
【0014】
さらに、インバータ回路は直流電流バスに接続される。2レベルトポロジー(two-level topology)がインバータ回路に使用され、インバータ回路の中性点が、第1のスイッチユニットおよび第1のインダクタを介して直流電流バスの正極に接続される。代替的には、2レベルトポロジーがインバータ回路に使用され、インバータ回路の中性点が、第2のスイッチユニットおよび第2のインダクタを介して直流電流バスの負極に接続される。代替的には、2レベルトポロジーがインバータ回路に使用され、インバータ回路の中性点が、第3のスイッチユニットおよび第3のインダクタを介して直流電流バスの正極に接続され、インバータ回路の中性点は、第4のスイッチユニットおよび第4のインダクタを介して直流電流バスの負極に接続される。
【0015】
上記の解決策によると、スターポイントループ(star point loop)(中性線ループ(neutral line loop))が、三線システムまたは四線システムの電源の中性線を流れる電流に対して設けられ得る。
【0016】
加えて、開放巻線構造またはマルチレベルトポロジーがインバータ回路に使用される場合、スターポイントループを追加的に接続する必要はない。
【0017】
可能な設計では、交流電流は、負の値を持たない。
【0018】
負の値を持たないことは、交流電流がいつでも正の値を持つことを意味する。交流電流が負の値を持たない場合、巻線によって発生する磁場は振幅変化のみで方向変化のない脈動磁場であり、減磁磁場は発生しない。したがって、モータ加熱プロセスでの減磁リスクを低減することができ、同じ方向の磁場の正と負の変化によって生じる電磁振動およびノイズが低減される。
【0019】
第2の態様によると、本出願の一実施形態は、モータ、熱交換器、油圧ポンプ、動力電池、および、第1の態様および第1の態様の可能な設計のいずれか1つで提供されるモータコントローラを含む、熱交換システムを提供する。モータ、熱交換器、および油圧ポンプはパイプを介して接続される。モータコントローラは、モータの直軸または零軸に交流電流を出力するように構成される。交流電流は、直流電流バイアスを有し、モータが熱を放出することを可能にするために使用される。油圧ポンプは、モータによって放出された熱が熱交換器を通って動力電池に交換されるように、パイプを駆動するように構成される。
【0020】
可能な設計では、モータは油冷モータである。
【0021】
第2の態様で提供される熱交換システムにおけるモータコントローラの具体的な機能および構造については、第1の態様で提供されるモータコントローラの関連説明を参照されたい。
【0022】
第3の態様によると、本出願の実施形態は電流注入方法を提供する。この方法には、次のステップを含む:モータコントローラが、モータに出力される交流電流のパラメータを決定し、交流電流は直流電流バイアスを有し、交流電流はモータを加熱するために使用される;モータコントローラは、モータの直軸または零軸に交流電流を出力する。
【0023】
具体的には、交流電流のパラメータは、交流電流の波形、位相、振幅、周波数、直流電流バイアス値などを含む。
【0024】
モータに出力された交流電流は、電力電池を加熱ために、モータを加熱するために使用される。したがって、モータコントローラは、モータの温度、電力電池の温度、およびモータの三相巻線の電流制限と温度制限などの要因に基づいて、交流電流のパラメータを決定し得る。
【0025】
第3の態様で提供される電流注入方法は、第1の態様で提供されるモータコントローラによって実行される方法とみなされてよい。具体的な実装については、第1の態様で提供されるモータコントローラの関連説明を参照されたい。
【0026】
第4の態様によると、本出願の一実施形態は、さらに、モータ、減速機、および、第1の態様および第1の態様の可能な設計のいずれか1つで提供されるモータコントローラを含む動力アセンブリ(power assembly)を提供する。
【0027】
第5の態様によると、本出願の一実施形態は、さらに、動力電池および第4の態様で提供される動力アセンブリを含む車両を提供する。
【0028】
加えて、第2の態様から第5の態様の任意の可能な設計方法によってもたらされる技術的効果については、第1の態様の異なる設計方法によってもたらされる技術的効果を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本出願の一実施形態による熱交換システムの構造の概略図である。
【0030】
【
図2】本出願の一実施形態によるモータの構造の概略図である。
【0031】
【
図3】本出願の一実施形態によるモータコントローラの構造の概略図である。
【0032】
【
図4】本出願の一実施形態による直流電流バイアスを持つ交流電流の概略図である。
【0033】
【
図5】本出願の一実施形態による少量の負値を持つ交流電流の概略図である。
【0034】
【
図6】本出願の一実施形態による三相三線システムを使用したインバータ回路の構造の概略図である。
【0035】
【
図7】本出願の一実施形態によるモータに出力される三相電流の概略図である。
【0036】
【
図8】本出願の一実施形態による三相四線システムを用いたインバータ回路の構造の概略図である。
【0037】
【
図9】本出願の一実施形態によるモータに出力される別の三相電流の概略図である。
【0038】
【
図10】本出願の一実施形態によるスターポイントループの構造の概略図である。
【0039】
【
図11】本出願の一実施形態によるインバータ回路の構造の概略図である。
【0040】
【
図12】本出願の一実施形態による3レベルトポロジーを持つインバータ回路の構造の概略図である。
【0041】
【
図13】本出願の一実施形態による別の熱交換システムの構造の概略図である。
【0042】
【
図14】本出願の一実施形態による電流注入方法の概略フローチャートである。
【0043】
【
図15】本出願の一実施形態による動力アセンブリの構造の概略図である。
【0044】
【
図16】本出願の一実施形態による車両構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下はまず、本出願の実施形態における適用シナリオについて説明する。
【0046】
本出願の実施形態では、
図1に示す熱交換システムが使用され得る。熱交換システムは、電気自動車の熱交換システムであり得る。
【0047】
図1に示す熱交換システムは、動力電池101、モータコントローラ102、モータ103、熱交換器104、および油圧ポンプ105を含む。
【0048】
動力電池101は、直流を出力するように構成され、例えば、蓄電池、リチウム電池、燃料電池、またはスーパーキャパシタであり得る。モータコントローラは、モータ制御ユニット(motor control unit、MCU)とも呼ばれることがあり、制御装置およびインバータ回路を含む。モータ103は、永久磁石同期モータ、非同期モータ、リラクタンスモータ、電気励磁モータなどであり得る。
【0049】
動力電池101は、直流電流バスを介してインバータ回路に接続され、インバータ回路は三相線を介してモータ103に接続される。モータ103、熱交換器104、および油圧ポンプ105は、絶縁クーラント(insulating coolant)が流れる油冷パイプを介して結合される。絶縁クーラントは、鉱物性絶縁油、合成絶縁油、植物油などを含み得る。モータコントローラ102、熱交換器104、および動力電池101は、水冷パイプを介して結合される。水冷パイプの水入口はモータコントローラ102の周りに配置され、水出口は動力電池101の周りに配置される。特に、熱交換器104は、動力電池101との熱交換を容易にするために、動力電池101の周りに配置され得る。水冷パイプ内のクーラントに絶縁要件はない。例えば、クーラントは、水、アルコール、または異なる種類の不凍液の混合物であり得る。説明を容易にするため、本出願の本実施形態では、水冷パイプ内を流れるクーラントが水である例が説明に使用される。
【0050】
本出願の本実施形態では、モータコントローラ102は、モータ103に電流を注入して、モータ103を加熱する。モータ103で発生した熱は、動力電池101の性能を向上させるために、動力電池101を加熱するように、熱交換器104を介して動力電池101に交換される。
【0051】
具体的には、前述の動力電池101を加熱するプロセスは、次の通りであり得る:制御装置は、モータ103に電流を注入するようにインバータ回路を制御し、モータ103は熱を放出する。油圧ポンプ105は、モータ103と熱交換器104のとの間に絶縁クーラントをポンプで流し(pumps)、その結果、モータ103によって放出された熱が熱交換器104に伝達され、モータ103を冷却する。モータ103によって放出された熱は、熱交換器104で水冷パイプ内の水に交換される。水冷パイプ内の水は、動力電池101を加熱するためにその熱を動力電池101に伝える。
【0052】
加えて、本出願の実施形態では、モータコントローラ102が動作するとき、モータコントローラ102内の抵抗器によって放出される熱も水冷パイプを介して動力電池101に伝達されて、動力電池101を加熱する。
【0053】
図1に示す熱交換システムでは、モータ103の可能な構造の概略図が
図2に示され得る。
図2に示す断面図では、モータ103は、ハウジング、ロータコア、ステータ、回転軸を含む。巻線(
図2には示されていない)がステータの周りに巻かれる。巻線は、モータのステータの鉄の歯に巻かれたコイルであり、モータに入力される電流の経路を提供するように構成される。モータの回転軸の軸方向の2つの端でステータコアから延びる部分を端部巻線と呼ぶ。巻線の材料は通常銅である。永久磁石(
図2には示されていない)が、励磁磁場を発生させるためにロータコアに設置される。オイルチャネルが、ハウジング、回転軸、およびロータコアに確保される(reserved)。油圧ポンプ105が油冷パイプを駆動する(drives)とき、絶縁クーラントがモータ103のオイルチャネルに流れ得るため、モータ103によって放出される熱は、より完全に取り除かれ、モータ103は完全に冷却される。具体的には、絶縁クーラントは、モータのハウジングからモータキャビティに出入りし得る、または、モータの両端からモータキャビティに出入りし得る。
【0054】
加えて、モータ103内を流れる絶縁クーラントは、ベアリングを含むモータコンポーネントの潤滑のためにさらに使用され得る。
【0055】
本出願の実施形態をよりよく理解するために、以下では、本出願の実施形態におけるいくつかの基本的な概念を説明する。
【0056】
1.U/V/W三相座標軸
【0057】
現在、電気自動車のモータは通常交流モータであり、動力電池は直流電源である。したがって、動力電池によって出力された直流電流は、インバータ回路を介してモータの三相交流電流に変換される。三相交流電流の座標軸は、個々にU軸、V軸、およびW軸である。交流電流の三相はまた、個々に、U相、V相、W相と区別して呼ばれ得る。
【0058】
2.直軸、横軸、および零軸
【0059】
モータの解析を簡単にするために、通常、静止三相座標が回転dq座標に変換される。このような変換はパーク変換(park transformation)である。
【0060】
dq座標系では、3つの座標軸を個々に直軸、横軸、および零軸と呼ぶ。
【0061】
直軸(direct axis)は、D軸またはd軸とも呼ばれ、静止U/V/W三相座標軸からパーク変換によって得られる時変直流電流座標軸(time-varying direct current coordinate axis)である。
【0062】
横軸(quadrature axis)は、Q軸またはq軸とも呼ばれ、静止U/V/W三相座標軸からパーク変換によって得られる時変交流電流座標軸(time-varying alternating current coordinate axis)である。
【0063】
零軸は、0軸または0-軸とも呼ばれ、直軸と横軸が位置するdq平面に垂直な座標軸である。
【0064】
具体的には、パーク変換の式は次のようになり得る:
【数1】
【0065】
θは、d軸とU軸との間の夾角(included angle)である。I_dは、直軸電流と呼ばれ、主に磁場を調整するために使用される。I_qは、横軸電流と呼ばれ、主にトルクを調整するために使用される。I_0は、ゼロシーケンス電流と呼ばれる。I_u、I_v、およびI_wは、それぞれU軸、V軸、W軸上の電流、すなわち三相電流である。
【0066】
本出願の実施形態では、モータの直軸に電流を出力することは、モータにI_dを入力することであり、I_qおよびI_0は0になるように制御される。モータの零軸に電流を出力することは、モータにI_0を入力することであり、I_dおよびI_qは0になるように制御される。
【0067】
上記の行列は、三相電流をI_d、I_q、I_0に変換する式である。I_d、I_q、I_0を三相電流に変換する式は、行列変換の逆変換によって取得され得る。ここでは詳述しない。
【0068】
三相電流はモータの実巻線に対応する電流であるため、モータの直軸に電流を出力する場合、モータコントローラは、パーク変換の逆変換によってI_dを三相電流I_u、I_v、およびI_wに変換し、モータの巻線にI_u、I_v、およびI_wを入力する必要がある;または、モータの零軸に電流を出力する場合、モータコントローラは、パーク変換の逆変換によってI_0を三相電流I_u、I_v、およびI_wに変換し、モータの巻線にI_u、I_v、およびI_wを入力する必要がある。
【0069】
3.永久磁石の銅損、ロータ心損(rotor core loss,)、渦電流損
【0070】
銅の損失は、銅損と略記され、銅導体に流れる電流による損失を指す。
【0071】
ロータ心損は、鉄損と略記され、交流磁場中のロータコアに生じる損失を指し、誘導によって生じる渦電流によって生じる渦電流損とヒステリシス効果に起因して生じるヒステリシス損を含む。同様に、ロータの回転軸およびステータも、交流磁場中で渦電流損およびヒステリシス損を生じる。
【0072】
永久磁石の渦電流損は、永久磁石損と略記され、永久磁石が交流磁場中で渦電流を発生させ、それに対応する渦電流損が生じることを意味する。
【0073】
以下はさらに、本出願の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0074】
本出願の実施形態における「複数の」は、2つ以上を意味することが留意されるべきである。加えて、本出願の説明において、「第1」および「第2」などの用語は、単に区別および説明のために使用されているに過ぎず、相対的な重要性の表示または暗示、または順番の表示または暗示として理解されてはならない。
【0075】
本出願の一実施形態は、モータコントローラを提供する。
図3に示すように、モータコントローラ300は、制御装置301およびインバータ回路302を含む。制御装置301は、交流電流をモータに入力するようインバータ回路302を制御するように構成され、交流電流は、直流電流バイアスを有し、モータを加熱するために使用される。インバータ回路302は、制御装置301の制御下でモータの直軸またはゼロ軸に交流電流を出力するように構成される。
【0076】
上記の直流電流バイアスを持つ交流電流は、直流電流が交流電流に重畳された後に得られる。例えば、
図4の例aは、直流電流バイアスがなく、モータの直軸に入力される交流電流を示し、
図4の例bは、直流電流バイアスを有し、モータの直軸に入力される交流電流を示す。例bでは、Id_1は重畳された直流電流バイアスである。
【0077】
図4の例では、交流電流が正弦波である例が説明のために使用されていることが留意されるべきである。実際の応用では、本出願の本実施形態における交流電流は、正弦波、矩形波、三角波、ノコギリ波、および台形波のいずれか1つであってもよく、または周期的に変化する別の非直流電流であってもよい。
【0078】
特に、本出願の本実施形態では、直軸または零軸に入力される交流電流は、負の値を持たないまたは少量の負の値しか持たない場合がある。負の値を持たないことは、交流電流が常に正の値を持つことを意味する。例えば、
図4の例bでは、直軸に入力される交流電流は負の値を持たない。別の例として、
図5に示す交流電流は、わずかな量の負の値しか持たない。
【0079】
交流電流が負の値を持たない場合、巻線によって発生する磁場は、振幅変化のみで方向変化のない脈動磁場であり、減磁磁場は発生しない。この場合、交流電流が負の値を持たないまたはわずか量の負の値しか持たないため、巻線によって減磁磁場が発生するまたは低強度のみの減磁磁場が発生することを理解することは難くない。したがって、モータ加熱プロセスでの減磁リスクを低減でき、同一方向の磁場の正負の変化によって生じる電磁振動およびノイズが低減される。
【0080】
制御装置301は、交流電流をモータの直軸または零軸に出力するようにインバータ回路302を制御する。電流がモータの横軸に入力されないため、モータは追加の振動およびトルクがない。直流電流バイアスを持つ交流電流は、直軸または零軸に入力される。従来の技術の端部巻線のみが熱を放出するために使用される方法と比べて、モータに入力される電流は交流成分を含むため、モータの鉄損および永久磁石損を効果的に引き起こすことができ、モータの熱放出出力を向上させることができ、その結果、動力電池の加熱速度が向上する。加えて、モータコントローラ300の抵抗器によって放出される熱もまた、動力電池を加熱するために使用され得る。加えて、直流電流バス上の電流も交流電流であり、交流電流の有効値は、直流のみが入力された場合に存在する有効電流値よりも大幅に大きいため、電池の内部抵抗を、電池を加熱するために十分に利用することができる。
【0081】
加えて、直流電流バイアスのない交流電流が直軸または零軸に入力される解決策と比較して、直流電流バス上の電流の上限が同じであるとき、直流電流バイアスを持つ交流電流が直軸または零軸に入力される場合、直流電流バスを流れる交流成分は比較的小さい場合があり、その結果、直流電流バスの変動を小さくすることができ、システムの信頼性を向上させることができる。
【0082】
実際の応用では、インバータ回路302に三相三線システムまたは三相四線システムが使用され得る。三相三線システムおよび三相四線システムについて、モータコントローラ300は、異なる方法でモータに電流を注入する場合がある。以下では、2つの場合について分けて説明する。
【0083】
1.三相三線システム
【0084】
三相三線システムがインバータ回路302に使用される。インバータ回路302は、具体的には、制御装置301の制御下で直流電流バイアスを持つ第1の交流電流をモータの直軸に出力するように構成される。
【0085】
例えば、三相三線システムにおけるインバータ回路の構造の概略図が
図6に示され得る。上述のように、電流がモータの直軸に出力される場合、モータコントローラ300は、パーク変換の逆変換によってI_dを三相電流I_u,I_v,およびI_wに変換し、モータの巻線にI_u,I_v,およびI_wを入力する必要がある。モータコントローラ300によってモータの巻線に出力される三相電流は、三相三線システムにおいてインバータ回路の三相線を介して注入される。
【0086】
図4の例bの直流電流バイアスを持つ交流電流が例として使用される。電流は三相電流に変換される。三相電流の波形は
図7に示され得る。
図7から、直流電流バイアスを持つ第1の交流電流がモータの直軸に入力されるとき、三相電流の位相は同じまたは反対であり、三相電流の振幅は等しくないことが分かる。V相電流とW相電流は、同じ振幅および同じ位相を有し、U相電流とV相電流は、逆の位相および異なる振幅を有する。
【0087】
インバータ回路302は、直流電流バイアスを持つ第1の交流電流をモータの直軸に出力する。モータの横軸には電流が入力されないため、モータには追加の振動やトルクはない。直流電流バイアスを持ち、直軸に入力される第1の交流電流は、交流成分を含む。したがって、モータの鉄損および永久磁石損を効果的に引き起こすことができ、モータの熱放出出力を向上させることができるため、動力電池の加熱速度が向上する。加えて、モータコントローラ300の抵抗器によって発せられる熱もまた、動力電池を加熱するために使用され得る。
【0088】
直流電流バイアスを持つ第1の交流電流がモータの直軸に入力される場合、三相電流の振幅は等しくないことが留意されるべきである。例えば、
図7の例では、U相電流の振幅は大きく、V相電流およびW相電流の振幅は小さい。したがって、モータのU相巻線はより多くの熱を放出し、U相巻線は最初に温度限界に達する。この場合、V相巻線およびW相巻線はまだ低温状態にある。したがって、このモータ加熱方式では、巻線の熱放出能力が十分に活用されないという問題がある。
【0089】
2.三相四線システム
【0090】
三相四線システムのインバータ回路が、三相三線システムのインバータ回路とは違って、三相の中性点(スターポイント)からの電源の1より多い中性線を有する。
【0091】
三相四線システムがインバータ回路302に使用される場合、モータコントローラ300は、2つの方法でモータに電流を出力し得る。
【0092】
方法1
【0093】
三相四線システムがインバータ回路302に使用される。インバータ回路302は、具体的には、制御装置301の制御下で直流電流バイアスを持つ第2の交流電流をモータの零軸に出力するように、すなわちゼロシーケンス電流(zero-sequence current)をモータに出力するように構成される。
【0094】
例えば、三相四線システムにおけるインバータ回路の構造の概略図が
図8に示され得る。上述のように、電流がモータの零軸に出力される場合、モータ制御装置は、パーク変換の逆変換によってI_dを三相電流I_u,I_v,およびI_wに変換し、モータの巻線にI_u,I_v,およびI_wを入力する必要がある。モータの巻線に出力される三相電流は、三相四線システムではインバータ回路の三相巻線を介して入力される。
【0095】
直流電流バイアスを持ち、インバータ回路302によってモータの零軸に出力される第2の交流電流の波形は、
図4の例bに示す波形と同じであるとする。上記の波形を持つ電流は、三相電流に変換され、三相電流の波形は
図9に示され得る。
図9から、直流電流バイアスを持つ第2の交流電流がモータの零軸に入力されるとき、三相電流の振幅および位相が同じであることがわかる。
【0096】
インバータ回路302は、直流電流バイアスを持つ第2の交流電流をモータの零軸に出力する。モータの横軸には電流が入力されないため、モータに追加の振動またはトルクはない。直流電流バイアスを持ち、零軸に入力される第2の交流電流は、交流成分を含む。したがって、モータの鉄損および永久磁石損を効果的に引き起こすことができ、モータの熱放出出力を向上させることができるため、動力電池の加熱速度が向上する。加えて、モータコントローラ300の抵抗器によって放出される熱もまた、動力電池を加熱するために使用され得る。
【0097】
加えて、直流電流バイアスを持つ第2の交流電流がモータの零軸に入力されるとき、三相電流は同じ振幅および同じ位相を有する。したがって、モータの三相巻線は、均等に発熱し、同じ温度を有し、1つの相巻線が温度限界に達するが他の2つの相巻線の温度が比較的低い場合は発生しないため、巻線の熱放出出力をより十分に利用することができる。
【0098】
三相四線システムは、三相三線システムより、三相の中性点(スターポイント)からの電源の1つより多い中性線を有することが留意されるべきである。本出願の本実施形態では、直流電流バイアスを持つ第2の交流がモータの零軸に出力され、電流が電源の中性線を流れる。したがって、インバータ回路302は、電源の中性線の電流のための流れるループ(flowing loop)を提供する。インバータ回路302がそのようなループを備えて構成されていない場合、追加のスターポイントループが接続される必要がある。
【0099】
特に、インバータ回路302は、直流電流バスに接続され、インバータ回路302には2レベルの(two-level)トポロジーが使用される。スターポイントループを接続する方法は次の通りであり得る:1.インバータ回路302の中性点が、
図10の例aに示すように、第1のスイッチユニットおよび第1のインダクタを介して直流電流バスの正極に接続される。2.インバータ回路302の中性点が、
図10の例bに示すように、第2のスイッチユニットおよび第2のインダクタを介して直流電流バスの負極に接続される。3.
図10の例cに示すように、インバータ回路302の中性点が、第3のスイッチユニットおよび第3のインダクタを介して直流電流バスの正極に接続され、インバータ回路302の中性点は、第4のスイッチユニットと第4のインダクタを介して直流電流バスの負極に接続され、第3のスイッチユニットと第4のスイッチユニットは同時に閉じない。
【0100】
場合によっては、インバータ回路302のトポロジーが、電源の中性線を流れる電流にループを提供し得、したがって、スターポイントループを追加で接続する必要はない。
【0101】
ケース1:
【0102】
インバータ回路302が、インバータ機能を持つ2つの回路を含む場合、インバータ回路302は既にスターポイントループを含み、スターポイントループを追加で接続する必要はない。
【0103】
例えば、デュアル三相モータまたは六相モータ用に配置されたインバータ回路302が
図11の例aに示され得る。インバータ回路302は、インバータ機能を持つ2つの回路を含み、スターポイントループを追加で接続する必要はない。
【0104】
他の例としては、
図11の例bに示すように、開放巻線構造がインバータ回路302に使用され、スターポイントループを追加で接続する必要はない。
【0105】
ケース2:
【0106】
マルチレベルトポロジーがインバータ回路302に使用される場合、マルチレベルトポロジーはスターポイントループを含むため、スターポイントループを追加で接続する必要はない。
【0107】
例えば、3レベルトポロジーを使用したインバータ回路302の構造が
図12に示され得る。
図12から、インバータ回路302はすでに、中性点(スターポイント)上の電流が流れるループを含むことが分かる。
【0108】
図12に示す3レベルトポロジーのみが、本出願の本実施形態において説明のための例として使用されていることが留意されるべきである。従来技術では、本出願の本実施形態には、別の3レベルトポロジー、5レベルトポロジー、またはマルチレベルトポロジーも適用可能である。
【0109】
方法2
【0110】
三相四線システムがインバータ回路302に使用される。制御装置301は、具体的には、直流電流バイアスを持つ第3の交流電流をモータの直軸に出力するようインバータ回路302を制御するように構成される。
【0111】
言い換えれば、三相四線システムがインバータ回路302に使用される場合、制御装置301はまた、直流電流バイアスを持つ第3の交流電流をモータの直軸に出力するようにインバータ回路302を制御し得る。この場合、電源の中性線に電流は流れない。
【0112】
方法2では、スターポイントループを接続する方法については、方法1での関連説明を参照し、ここでは詳述しない。
【0113】
方法1と比較して、方法2では、三相電流の振幅および位相は完全に同じではない(
図7の例を参照)。したがって、巻線の熱放出出力が十分に利用されないという前述の問題がある。
【0114】
結論として、電流が本出願の実施形態で提供されるモータコントローラ300を使用してモータに入力される。モータの横軸には電流が入力されないため、モータは追加の振動やトルクを持たない。直流電流バイアスを持つ交流電流は、直軸または零軸に入力される。従来技術の端部巻線のみが熱を放射するために使用される方法と比べて、モータに入力される電流は交流成分を含むため、モータの鉄損および永久磁石損を効果的に引き起こすことができ、モータの熱放出出力を向上させることができるため、動力電池の加熱速度が向上する。加えて、モータコントローラ300の抵抗器によって放出される熱もまた、動力電池を加熱するために使用され得る。
【0115】
本出願の一実施形態は、さらに熱交換システムを提供する。
図13に示すように、熱交換システム1300は、モータ1301、熱交換器1302、油圧ポンプ1303、動力電池1304、および前述のモータコントローラ300を含む。モータ1301、熱交換器1302、および油圧ポンプ1303はパイプを介して接続される。
【0116】
モータコントローラ300は、モータ1301の直軸またはゼロ軸に交流電流を出力するように構成され、交流電流は、直流電流バイアスを持ち、交流電流はモータ1301が熱を放出することを可能にするために使用される。
【0117】
油圧ポンプ1303は、パイプを駆動するように構成され、その結果、モータ1301によって放出される熱は熱交換器1302を介して動力電池1304に交換される。
【0118】
モータ1301は油冷モータであり得る。モータ1301の可能な構造の概略図が
図2に示され得る。確かに、従来技術における別の油冷モータの構造もまた、本出願の本実施形態に適用可能である。
【0119】
熱交換システム1300の具体的な動作原理や接続方法については、
図1に示す熱交換システムの関連説明を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0120】
同じ発明概念に基づいて、本出願の一実施形態はさらに、電流注入方法を提供する。
図14を参照されたい。この方法は、以下のステップを含む。
【0121】
S1401。モータコントローラが、モータに出力されることになる交流電流のパラメータを決定する。
【0122】
交流電流は、直流電流バイアスを有し、モータを加熱するために使用される。
【0123】
具体的には、交流電流のパラメータは、波形、位相、振幅、周波数、および直流電流バイアス値を含む。直流電流バイアスを有し、モータに出力される交流電流は、モータを加熱して、動力電池を加熱するために、使用される。したがって、モータコントローラは、モータの温度、動力電池の温度、並びにモータの三相巻線の電流制限および温度制限などの要因に基づいて、交流電流のパラメータを決定し得る。
【0124】
S1402。モータコントローラは、モータの直軸または零軸に交流電流を出力する。
【0125】
電流注入方法は、前述のモータコントローラ300によって実行される方法と考えられ得る。この方法を実行することによって、モータコントローラ300は、モータに電流を入力して、モータを加熱することができる。モータコントローラ300によって実行される方法の詳細な実装プロセスについては、
図3に示すモータコントローラ300の関連説明を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0126】
同じ発明概念に基づいて、本出願の一実施形態はさらに動力アセンブリを提供する。
図15に示すように、動力アセンブリ1500は、モータ1501、減速機1502、および前述のモータコントローラ300を含む。
【0127】
加えて、本出願の一実施形態はさらに車両を提供する。
図16に示すように、車両1600は、動力電池1601および動力アセンブリ1500を含む。
【0128】
間違いなく、当業者は、本出願の実施形態の範囲から逸脱することなく、本出願の実施形態に様々な修正及び変更を加えることができる。本出願は、次の特許請求の範囲およびそれらの均等な技術によって定義される保護の範囲内にあることを条件としてこれらの修正及び変更を包含することを意図している。